JP2004241418A - プラスチック磁石の製造方法およびその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気特性の劣化がほとんどなく、樹脂の流れ性の高いプラスチック磁石の製造方法を得る。
【解決手段】この発明のプラスチック磁石の製造方法は、加熱シリンダー1の上流側の樹脂用投入口15bから内部に粒状あるいは粉末状の樹脂19を投入した後、下流側の磁粉用投入口15aから内部に少なくとも1種類以上の磁粉を投入する投入工程と、樹脂19を加熱シリンダー1からの熱で溶融し、磁粉18と結合する結合体を生成する溶融、結合工程と、磁粉用投入口15aの下流側に設けられ、結合体を貯留する貯留部9に結合体を送る送り工程と、結合体を加圧して貯留部9の射出口8を通じて金型5内に注入してプラスチック磁石を成形する成形工程を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】この発明のプラスチック磁石の製造方法は、加熱シリンダー1の上流側の樹脂用投入口15bから内部に粒状あるいは粉末状の樹脂19を投入した後、下流側の磁粉用投入口15aから内部に少なくとも1種類以上の磁粉を投入する投入工程と、樹脂19を加熱シリンダー1からの熱で溶融し、磁粉18と結合する結合体を生成する溶融、結合工程と、磁粉用投入口15aの下流側に設けられ、結合体を貯留する貯留部9に結合体を送る送り工程と、結合体を加圧して貯留部9の射出口8を通じて金型5内に注入してプラスチック磁石を成形する成形工程を含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば家電品、OA機器、産業用機械等に使われる電磁型モータ用プラスチック磁石の製造方法およびその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から熱可塑性プラスチック磁石の製造は、樹脂と磁粉を混練して2次原料である樹脂磁粉複合物(コンパウンド)を製造するコンパウンド工程と、コンパウンドを可塑化して金型内に射出成形する射出工程により行われている。
コンパウンド工程では、一般に2軸混練押出装置とペレッターが用いられる。2軸混練押出装置は加熱シリンダー内に2本の混練スクリューを備えており、樹脂を加熱溶融するとともに磁粉を樹脂に練り込み、シリンダー端部の吐出口より混練物を押し出す。ペレッターはカッターを備えており、押し出されたストランド状の混練物を細かく切断する。切断された混練物は常温で固化し、粒状のコンパウンドが出来上がる。
【0003】
上記射出工程では、一般に射出成形装置が用いられる。射出成形装置は加熱シリンダー内に射出スクリューを備えており、上記コンパウンドを加熱して可塑化するとともにスクリューにより規定量をシリンダー前方に搬送した後、加圧して前端の射出口より金型内に注入する。磁粉を特定の方向に配向させたい場合には、金型注入の際に特定方向への磁場印加が行われる。最後に、金型から射出成形品を取り出し、着磁処理を施してプラスチック磁石を完成させる。
【0004】
従来の技術の利点は、コンパウンド工程で2軸混練押出装置を用いることにより磁粉の樹脂中への高充填や均一分散を比較的容易に行うことが可能なことである(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【非特許文献1】
浜名正昭、高橋信一著「希土類プラスチック磁石について」、電気学会マグネティックス研究会資料、MAG−86−102
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプラスチック磁石の製造方法では、コンパウンド工程中に磁粉が混練スクリューから破断や塑性変形を受けることになり、磁気特性が劣化する問題点があった。
また、コンパウンド工程中に樹脂は加熱されることによって少なからず酸化するが、酸化は樹脂の溶融粘度を上げるため、射出工程における射出成形時に樹脂の流れ性の低下を促進し、複雑な形状の成形品に対しては金型内への充分な注入が行われずに成形品の密度低下を引き起こす問題点あった。特に、樹脂は希土類系合金磁粉と一緒に加熱された場合、該磁粉の触媒的な作用を受けて著しく酸化が進むことになり、射出成形時の樹脂の流れ性低下がより顕著となってしまうという問題点もあった。
【0007】
これに対しては、カップリング剤による磁粉の表面被覆や磁粉金属不活性剤の添加により、ある程度樹脂の酸化を抑えることが可能ではあるが、これらの添加物についても量が増加すると樹脂の流れ性の低下を招いてしまうという問題点があった。特に、磁粉として液体急冷法により製造されるNd−Fe−B系合金磁粉を用いた場合、同磁粉は一般に数十〜数百ミクロンの大きな平均粒径を有することから剪断を受けやすい状況にある上、材質が非常に脆いため、他の磁粉に比べてコンパウンド工程の混練時に磁粉の破断が生じやすく、磁粉にカップリング剤などで表面被覆処理を施していても、混練中に磁粉の破断が高頻度で生じて活性な新生破断面が数多く発生し、同破断面と樹脂が接触することによって樹脂の酸化が進行してしまうという問題点があった。
【0008】
また、磁粉としてHDDR法(Hydrogenation−Disproportionation−Desorption−Recombination)により製造されるNd−Fe−B系異方性磁粉や、還元拡散法により製造されるSm−Fe−N系異方性磁粉を用いた場合、これらの磁粉の表面が傷ついたり欠けたりすると磁粉の保磁力や磁化の熱的安定性の低下が生じるため、コンパウンド工程で混練スクリューから受ける損傷の影響はかなり重大であるという問題点があった。また、これらの磁粉に対して被覆処理を行うことにより表面をある程度保護することは可能であるが、混練スクリューからの衝撃力や摩擦力は強いため、被覆材が欠けたり剥がれたりすることが多く、磁粉表面に大きな損傷が及ぶのを避けることができないという問題点があった。
【0009】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであり、磁気特性の劣化が殆ど無く、樹脂の流れ性の高いプラスチック磁石の製造方法およびその製造装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るプラスチック磁石の製造方法は、加熱シリンダーの上流側の樹脂用投入口から内部に粒状あるいは粉末状の樹脂を投入した後、下流側の磁粉用投入口から内部に1種類以上の磁粉を投入する投入工程と、前記樹脂を前記加熱シリンダーからの熱で溶融し、前記磁粉と結合する結合体を生成する溶融、結合工程と、前記磁粉用投入口の下流側に設けられ、前記結合体を貯留する貯留部に前記結合体を送る送り工程と、前記結合体を加圧して前記貯留部の射出口を通じて金型内に注入してプラスチック磁石を成形する成形工程とを含む。
【0011】
また、この発明に係るプラスチック磁石の製造装置は、上流側の樹脂用投入口から内部に粒状あるいは粉末状の樹脂が投入され、下流側の磁粉用投入口から内部に少なくとも1種類以上の磁粉が投入されるとともに、前記樹脂を熱で溶融し、前記磁粉と結合する結合体を生成する加熱シリンダーと、前記樹脂用投入口に前記樹脂を供給する樹脂用供給手段と、前記磁粉用投入口に前記磁粉を供給する磁粉用供給手段と、前記加熱シリンダーに内蔵されているとともに、前記磁粉用投入口の下流側に設けられ前記結合体を貯留する貯留部に前記結合体を送るスクリューと、前記貯留部内の前記結合体を加圧する加圧機構と、前記貯留部の射出口を通じて前記結合体が注入され、プラスチック磁石を成形する金型とを備えている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のプラスチック磁石の製造方法およびその製造装置について詳細に説明するが、各図において、同一または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0013】
図1はこの発明のプラスチック磁石の製造装置の一例を示す構成図である。
加熱シリンダー1の側面に磁粉用ホッパー3aと樹脂用ホッパー3bが個別に取り付けられており、それぞれのホッパー3a、3bの上方には磁粉用供給器12aと樹脂用供給器12bが設置されている。ここで、磁粉用ホッパー3aおよび磁粉用供給器12aにより、磁粉用供給手段を構成している。また、樹脂用ホッパー3bおよび樹脂供給器12bにより、樹脂用供給手段を構成している。
磁粉用ホッパー3aは樹脂用ホッパー3bよりも射出口8側(下流側)に取り付けられている。磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bは、それぞれ磁粉18および樹脂19の供給速度を制御する制御機能を有しているとともに、連続供給機能をも有している。
【0014】
樹脂19は、樹脂用ホッパー3b、樹脂用投入口15bを通じて加熱シリンダー1の内部に投入される。また、磁粉18は、磁粉用ホッパー3a、磁粉用投入口15aを通じて加熱シリンダー1の内部に投入される。加熱シリンダー1はヒータにより150℃〜400℃の温度に加熱されており、投入された樹脂19は熱を受けて溶融する。磁粉18は溶融した樹脂19と結合するとともにスクリュー2によって樹脂19内に分散されながら、加熱ヒータ付きの流路10を通って貯留部9に搬送される。
貯留部9内の磁粉18および溶融した樹脂19の結合体が規定量に達した後、結合体は、加圧機構7によって加圧され、貯留部9の先端の射出口8から金型5内に射出、注入される。注入の際に成形体表面の肌荒れ不良を防ぐため、金型5は必要に応じて50℃〜180℃の温度に加熱される。
【0015】
金型5については、図2(a)、(b)に示すように、円筒形状の成形体30の左右に磁場発生手段である電磁コイル11を設置し、それぞれのコイル11に相反する方向に電流を通電させることで成形体30にラジアル方向の磁場を発生させ、ラジアル異方性リングプラスチック磁石を成形する。
【0016】
なお、図3(a)、(b)に示すように、円筒形状の成形体31の外側に6個の磁場発生手段である永久磁石23を配置し、成形体31に6つの磁極パターンの磁場を形成することで、6極異方性のプラスチック磁石の成形体31を得るようにしてもよい。この磁場の発生に永久磁石23を用いることにより、電磁コイル11の場合と比べて電流が不要、磁気回路の大きさがコンパクト等の利点を有する。
【0017】
この例では、1次原料の磁粉18および樹脂19から射出成形を行う構成としているため、従来のコンパウンド製造のためのコンパウンド工程が不要である。このため、コンパウンド工程の混練スクリューによって磁粉が受けていた破断や塑性変形、表面の損傷などの機械的損傷が回避される。
また、コンパウンド工程の加熱によって樹脂が受けていた酸化が解消される。
さらに、従来のプラスチック磁石の製造方法ではコンパウンド工程と射出工程の何れの工程でも樹脂および磁粉が高温で接する状態が生じていたが、この例ではコンパウンド工程を用いないので、樹脂19と磁粉18が高温で接する時間は従来のものと比較して半分以下である。従って、磁粉18の触媒的作用による樹脂19の酸化促進を半減することができる。
【0018】
また、この例では、上流側で投入されて加熱溶融した樹脂19が下流に送られる途中で磁粉18が投入されるので、磁粉18は溶融した樹脂19で充分に潤滑されたスクリュー2上に投下され、スクリュー2が磁粉18に与える機械的損傷が低減される。
また、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bの供給速度を個別に調節できるため、リアルタイムで磁粉18と樹脂19の比率を変えることや調整することが可能である。
【0019】
なお、図4に示すように、磁粉用ホッパー3aおよび樹脂用ホッパー3bを省略し、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bを加熱シリンダー1に直結するようにしてもよい。
【0020】
また、磁粉の加熱シリンダー内への投入では、複数の磁粉用供給器を用いることもできる。
図5にその例を示す。加熱シリンダー1の上流側には第1の磁粉用供給器12cが直結されている。加熱シリンダー1の下流側には第2の磁粉用供給器12dが直結されている。
例えば第1の磁粉用供給器12cには平均粒径が小さい第1の磁粉18aが、下流側の第2の磁粉用供給器12dには平均粒径が大きい第2の磁粉18bがそれぞれ投入される。そして、第1の磁粉18aは、第1の磁粉用投入口15cを通じて加熱シリンダー1の内部に投入される。また、第2の磁粉18bは、第2の磁粉用投入口15dを通じて加熱シリンダー1の内部に投入される。
【0021】
このように、磁粉18a、18bを粒径別に加熱シリンダー1の内部に投入することにより、一度に投入する場合と比べて樹脂19と磁粉18a、18bの結合体の急激な粘度上昇が抑制され、磁粉18a、18bが樹脂19内に分散し易くなる。特に平均粒径の小さい第1の磁粉18aは樹脂19と混ざりにくい性質を有するため、これを樹脂19の粘度の低い上流側で先行的に投入することにより、比較的容易に樹脂19内に分散させることが可能となり、結果として磁粉18a、18bを樹脂19全体にわたって均等に分散させることができる。
また、複数の磁粉用供給器を用いることは、複数の種類の磁粉から構成される複合プラスチックマグネットを射出成形する場合に大変都合がよい。
なお、上記の例では、磁粉用ホッパーが省略されているが、複数の磁粉用供給器の下方に対応してそれぞれの磁粉用ホッパーを設けるようにしてもよい。
【0022】
例えばフェライト磁粉と希土類合金系磁粉から構成される複合プラスチックマグネットを射出成形する場合、図5において第1の磁粉用供給器12cにフェライト磁粉である第1の磁粉18aを、第2の磁粉用供給器12dに希土類合金系磁粉である第2の磁粉18bをそれぞれ投入して、それぞれの供給速度を個別に調節することにより、磁粉18a、18bの構成比率を変えることや調整することが可能となる。
【0023】
なお、より高い配向度を得るためには、磁粉として磁気異方性がより大きいものを選ぶことが好ましく、例えば結晶磁気異方性が大きい異方性フェライト系磁粉、異方性Nd−Fe−B系磁粉、異方性Sm−Fe−N系磁粉、異方性Sm−Co系磁粉などが好ましい。また、形状磁気異方性が大きい針状磁粉や、硬磁性相と軟磁性相の微細混合組織を有し誘導磁気異方性が大きいナノコンポジット磁石なども用いることができる。
【0024】
また、図6に示すように、磁粉用供給器12aからの磁粉18の吐出位置を樹脂19のそれよりも上方に配置すれば、磁粉18は樹脂19に遅れて投入口15に達するため、樹脂19の後にスクリュー2上に落ちることとなる。スクリュー2は先に加熱溶融された樹脂19で充分に潤滑されているため、磁粉18のスクリュー2から受ける機械的損傷が低減される。
【0025】
なお、上記各例における樹脂19としては、各種ポリアミド(6、66、12など)や、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリエステル(芳香族ポリエステルなど)、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレン、ポリオレフィン(ポリプロピレンなど)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリアセタールなどを用いることができる。
ポリアミド12は吸湿性が低く湿度による変形が小さいため、高い寸法精度が要求される高性能モータ用磁石として好適である。
また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリエステルは耐熱性が高いため、高温下で使用される自動車用モータ用途に適している。
また、樹脂19の大きさとしては平均直径がミリオーダーの粒状のものや平均直径がサブミクロン〜サブミリオーダーの粉末状のものを用いることができる。また、樹脂19の大きさは、磁粉18の平均粒径の0.1〜10倍程度のものを用いることが好ましい。
【0026】
また、上記各例における磁粉18として、フェライト磁粉(Ba系、Sr系など)、希土類−コバルト系合金磁粉(SmCo5系、Sm2C17系など)、希土類−鉄系合金磁粉(Nd−Fe−B系合金、Sm−Fe−N系合など)を用いることができる。いずれの磁粉を用いた場合も、この発明の製造方法によれば、磁粉の破断や塑性変形が低減されるため、磁気特性の劣化が低減される。
以下にそれぞれの磁粉について詳細に説明する。
【0027】
フェライト磁粉の場合、磁粉の平均粒径としては0.5〜10μm程度のものを用いることができ、さらには1〜3μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると保磁力が低下する。また、より高い磁力を得るためには、Ba系よりも残留磁束密度および保磁力が大きいSr系を用いることが好ましい。
【0028】
SmCo5系合金磁粉の場合、磁粉の平均粒径としては0.5〜50μm程度のものを用いることができ、さらには1〜10μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると保磁力が低下する。
【0029】
Sm2Co17系合金磁粉の場合、磁粉の平均粒径としては0.5〜500μm程度のものを用いることができ、さらには1〜100μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると成形体の磁粉充填率が低下する。
【0030】
磁粉が液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉の場合、この発明の製造方法によれば同磁粉における最大の問題であった磁粉の破断が大幅に抑制されるため、破断面と樹脂とが接する頻度が減るとともに、樹脂と磁粉が高温で接する時間が従来比半分以下であることから、樹脂の酸化が大幅に低減される。磁粉の平均粒径としては10〜500μm程度のものを用いることができ、さらには20〜100μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化および保磁力の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると成形体の磁粉充填率が低下する。
【0031】
磁粉がHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉の場合、この発明の製造方法によれば同磁粉において特に問題であった磁粉表面の損傷が大幅に抑制されるため、従来に比べて磁気特性の劣化が大幅に低減される。磁粉の平均粒径としては5〜300μm程度のものを用いることができ、さらには10〜150μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化および保磁力の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると成形体の磁粉充填率が低下する。
【0032】
磁粉18が拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉の場合、この発明の製造方法によれば、同磁粉において特に問題であった磁粉表面の損傷が大幅に抑制されるため、従来に比べて磁気特性の劣化が大幅に低減される。磁粉の平均粒径としては0.5〜50μm程度のものを用いることができ、さらには1〜10μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると保磁力が低下する。
【0033】
なお、磁粉として上記の各種磁粉を2種類以上含むものを用いることができる。例えばフェライト磁粉と希土類−鉄系合金磁粉を用いた場合、フェライトが有する低温減磁の欠点と、希土類−鉄系合金磁粉が有する高温減磁の欠点を両者が補完し合うので、磁力の温度特性が改善される。
具体的には、Sr系フェライトと液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉、Sr系フェライトとHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉、Sr系フェライトと拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉、Sr系フェライトと液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉と拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉、Sr系フェライトとHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉と拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉、などを用いることができる。
【0034】
また、平均粒径の異なる磁粉を合わせることにより、成形体の磁粉の充填率を上げることができる。
具体的には、平均粒径が1〜3μmのSr系フェライト磁粉と平均粒径が20〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉、平均粒径が1〜10μmの拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉と平均粒径が20〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉、平均粒径が10〜40μmのHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉と平均粒径が60〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉、平均粒径が20〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉と平均粒径が1〜3μmのSr系フェライト磁粉と平均粒径が1〜10μmの拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉、平均粒径が20〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉と平均粒径が1〜3μmのSr系フェライト磁粉と平均粒径が20〜100μmのHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉、平均粒径が1〜3μmのSr系フェライト磁粉と平均粒径が20〜100μmの拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉と平均粒径が20〜100μmのHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉、などを用いることができる。
【0035】
磁粉の表面被覆材は、1つには主に磁気特性の劣化を防ぐ目的で磁粉の表面を保護するために用いられる。これにはZn,Sn,Sb,In,Cu,Al,Ga,C,Bi,Pb,Fから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を主構成要素とする材料が上げられる。
また、磁粉の表面被覆材は、樹脂と磁粉の接着の役割を果たすために用いられる。これには有機物を主構成要素とするカップリング剤(チタネート系、シラン系、アルミニウム系)が上げられる。
【0036】
なお、この発明では、磁粉および樹脂とともに、磁粉および樹脂の複合体を加熱シリンダー内に投入することも可能である。ここで、磁粉および樹脂の複合体は、従来のコンパウンドや射出成形で発生したスプール、ランナーを、破砕機や粉砕機により破砕片または粉砕粉末に加工したリターン材であり、射出原料として再利用することができるものである。また、射出成形により製造されたプラスチック磁石についても破砕機や粉砕機により破砕片または粉砕粉末に加工すれば同様にリターン材として用いることができる。
【0037】
図7に示すように、複合体24、磁粉18、樹脂19それぞれの供給器12e,12a,12bをそれぞれ個別に用意し、加熱シリンダー1への投入口15は共有し、また磁粉用供給器12aおよび複合体用供給器12eからの磁粉18、複合体24の吐出位置を樹脂19のそれよりも上方に配置すれば、磁粉18と複合体24は樹脂19に遅れて投入口15に達するため、樹脂19の後にスクリュー2上に落ちることとなる。スクリュー2は先に加熱溶融された樹脂19で充分に潤滑されているため、磁粉18と複合体24のスクリュー2から受ける機械的損傷が低減される。
【0038】
また、図8に示すように、磁粉18および樹脂19とともに複合体24を加熱シリンダー1内に投入する場合、複合体24の投入は、磁粉18と樹脂19の投入とは異なる位置から個別に行うこともできる。加熱シリンダー1の側面に複合体用ホッパー3e、磁粉用ホッパー3aおよび樹脂用ホッパー3bが個別に取り付けられており、それぞれのホッパー3e,3a,3bの上方には、複合体用供給器12e、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bがそれぞれ設置されている。
複合体用ホッパー3eは、磁粉用ホッパー3a、樹脂用ホッパー3bよりも射出口8側(下流側)に取り付けられており、このため上流側で投入された樹脂19と磁粉18の混合物が結合体となって下流に送られる途中で、該複合体24が投入される。従って、該複合体24は結合体上に投下されることとなるため、該複合体24を粉末状としなくとも、該結合体と、該複合体24から再編成された溶融樹脂19と磁粉の相互分散性がより高い状態を得ることができる。
また、複合体用供給器12e、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bは、それぞれの供給速度を個別に調節できるため、リアルタイムで複合体24の投入比率を変えることや調整することが可能である。
【0039】
なお、図9に示すように、複合体用ホッパー3e、磁粉用ホッパー3aおよび樹脂用ホッパー3bを省略し、複合体用供給器12e、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bを加熱シリンダー1に直結して用いるようにしてもよい。
【0040】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例について詳細に説明する。
実施例1.
平均粒径150μmの液体急冷法によって製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉にチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施し、図10に示す射出成形機の磁粉用供給器12aに該磁粉18を投入した。また、樹脂19である平均粒径20μmのポリアミド12を樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部)を添加しておいた。
ポリアミド12粉末とNd−Fe−B系磁粉が8.1wt%対91.9wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a,12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。
【0041】
なお、この例では、磁粉用供給器12a、樹脂用供給器12bのそれぞれの先端部には滞留防止手段である振動機構20が設けられている。このため、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bそれぞれの内壁に付着した樹脂19、磁粉18を容易に落とすことができ、樹脂19、磁粉18は、それぞれ樹脂用投入口15a、磁粉用投入口15aを通じて加熱シリンダー1の内部に円滑に投入される。
振動機構としては、圧電素子や磁歪素子を用いる方式や、電磁モータによる可動子の打ち付けや、偏心可動子の回転等の方式を用いることができる。
【0042】
また、この例では、磁粉用供給器12a、樹脂用供給器12bのそれぞれの内壁面には滞留防止手段であるフッ素系樹脂被膜21が形成されている。このため、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bそれぞれの内壁に樹脂19、磁粉18が付着するのを防止することができる。なお、フッ素系樹脂被膜21に限定されるものではなく、滑り性のよい材料を被膜すればよい。
【0043】
次に、比較例として、上記の原料樹脂粉末と原料磁粉を8.1wt%対91.9wt%の重量比率で混合し、該混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例1と同様である。
該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0044】
これらの磁石の磁気特性およびMFR(Melt Flow Rate)を調べた結果を表1に示す。この実施例1のプラスチック磁石は比較例1よりも磁気特性(残留磁化、保磁力、最大エレルギ−積)およびMFRがともに優れた結果となった。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例2.
平均粒径30μmの液体急冷法によって製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉にチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施した。該磁粉に平均粒径8μmのポリアミド12を加えて両者をよく混合した。ポリアミド12粉末とNd−Fe−B系磁粉粉末の重量比率はそれぞれ9.8wt%、90.2wt%である。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。
磁粉18および樹脂19の該混合粉を図11に示す射出成形機の供給器12に投入し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃であった。
【0047】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕してリターン材である複合体24を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。出発原料である原料供給器12内の混合粉と、複合体用供給器12eのリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12、12eの材料供給速度を調整し、同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0048】
比較例として、上記混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。該コンパウンドを供給器12に投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。原料供給器12のコンパウンドと、複合体用供給器12eのリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12eの材料供給速度を調整し、やはり同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0049】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例2のプラスチック磁石は比較例2よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0050】
実施例3.
平均粒径1.4μmのSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径3μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉のそれぞれに対してチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施した。次に、図12に示すように、第1の磁粉18aであるこのSr系フェライト異方性磁粉に、樹脂19である平均粒径100μmのポリアミド12を78.8wt%対21.2wt%の重量比率で加えて両者をよく混合し、該混合粉を射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。
また、第2の磁粉18bであるSm−Fe−N系異方性磁粉18bを第2の磁粉用供給器12dに投入した。
【0051】
原料供給器12内の混合粉と第2の磁粉用供給器12d内のSm−Fe−N系異方性磁粉が45.8wt%対54.2wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12、12dの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0052】
なお、この例では、滞留防止手段であるスクリュー22をホッパー3,3dの内部に取り付けることで、磁粉18a,18bおよび樹脂19のブリッジ現象が解消され、ホッパー3,3d内の磁粉18a,18bおよび樹脂19の滞留を防止することができ、樹脂19および第1の磁粉18aは、ホッパー3および投入口15を通じて、第2の磁粉18bは第2の磁粉用投入口15dを通じて加熱シリンダー1の内部に円滑に投入される。
【0053】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSr系フェライト異方性磁粉の混合粉と、Sm−Fe−N系異方性磁粉を45.8wt%対54.2wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。
なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを供給器12および12dに投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0054】
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例3のプラスチック磁石は比較例3よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0055】
実施例4.
平均粒径1.4μmのSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径5μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉のそれぞれに対してチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施した。次に、図13に示すように、この第1の磁粉18aであるSr系フェライト異方性磁粉に、平均粒径100μmの樹脂19であるポリアミド12を75.1wt%対24.9wt%の重量比率で加えて両者をよく混合し、該混合粉を射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。
【0056】
また、第2の磁粉18bであるSm−Fe−N系異方性磁粉を第2の磁粉用供給器12dに投入した。
原料供給器12内の混合粉と第2の磁粉用供給器12d内のSm−Fe−N系異方性磁粉が47.0wt%対53.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12dの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0057】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状の複合体であるリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。原料供給器12内の混合粉、第2の磁粉用供給器12d内の第2の磁粉18b、複合体用供給器12e内のリターン材がそれぞれ37.6wt%、42.4wt%、20.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12、12d、12eの材料供給速度を調整し、上記と同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
なお、この例でも実施例3と同様に、滞留防止手段であるスクリュー22をホッパー3、複合体用ホッパー3eの内部に取り付けることで、磁粉18a,18b、樹脂19および複合体24のブリッジ現象が解消され、ホッパー3内の磁粉18a,18bおよび樹脂19の滞留、複合体用ホッパー3e内の複合体24のそれぞれの滞留を防止することができ、第1の磁粉18a、第2の磁粉18bおよび樹脂19は、ホッパー3および投入口15を通じて、複合体24は、複合体用ホッパー3e、複合体用投入口15eを通じて加熱シリンダー1の内部に円滑に投入される。
【0058】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSr系フェライト異方性磁粉の混合粉と、Sm−Fe−N系異方性磁粉を47.0wt%対53.0wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを供給器12と12dに投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12および12dのコンパウンドと、供給器12eのリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器の材料供給速度を調整し、やはり上記と同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0059】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例4のプラスチック磁石は比較例4よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0060】
実施例5.
図14に示すように、平均粒径1.6μmのSr系フェライト磁粉にシラン系カップリング剤(γ−ウレイドプロピル−トリエトキシシラン)により表面被覆処理を施し、該磁粉18を射出成形機の磁粉用供給器12aに投入した。また、平均粒径50μmの樹脂19であるポリアミド6を樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリアミド6には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート] 0.15重量部、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部)を添加しておいた。
ポリアミド6とSr系フェライト磁粉の重量比率が13.2wt%対86.8wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a、12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0061】
次に、比較例として、上記の混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0062】
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例5のプラスチック磁石は比較例5よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0063】
実施例6.
図14に示すように、平均粒径50μmのHDDR法によって製造されたNd−Fe−B系異方性磁粉にチタネート系カップリング剤(イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート)により表面被覆処理を施し、該磁粉18を射出成形機の磁粉用供給器12aに投入した。また、平均粒径100μmのポリアミド12を樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。
ポリアミド12粉末とNd−Fe−B系異方性磁粉が9.8wt%対90.2wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a,12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0064】
次に、比較例として、上記の混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0065】
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例6のプラスチック磁石は比較例6よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0066】
実施例7.
図14に示すように、平均粒径4μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉にアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)により表面被覆処理を施し、該磁粉18を射出成形機の磁粉用供給器12aに投入した。また、平均粒径10μmの樹脂19であるポリフェニレンサルファイドを樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリフェニレンサルファイドには予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部)を添加しておいた。
ポリフェニレンサルファイドとNd−Fe−B系異方性磁粉の重量比率が12.8wt%対87.2wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a,12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:290℃、ゾーンB:300℃、ゾーンC:310℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0067】
次に、比較例として、上記の混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0068】
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例7のプラスチック磁石は比較例7よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0069】
実施例8.
平均粒径50μmの液体急冷法によって製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉と平均粒径3μmで拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉にチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施した。
第2の磁粉18bであるNd−Fe−B系等方性磁粉と第1の磁粉であるSm−Fe−N系異方性磁粉を50.3wt%対49.7wt%の重量比率でよく混合し、該混合磁粉を図15に示す射出成形機の磁粉用供給器12aに投入した。また、平均粒径20μmの樹脂19をポリアミド12を樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。ポリアミド12粉末と混合磁粉が8.2wt%対91.8wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a、12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0070】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末と混合磁粉を8.2wt%対91.8wt%の重量比率で混合し、該混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例8のプラスチック磁石は比較例8よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0071】
実施例9.
平均粒径50μmの液体急冷法により製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉と平均粒径3μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉にアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)により表面被覆処理を施した。第1の磁粉18aであるSm−Fe−N系異方性磁粉と平均粒径20μmの樹脂19であるポリフェニレンサルファイドを77.4wt%対22.6wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を図16に示す射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリフェニレンサルファイドには予め酸化防止剤(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部)を添加しておいた。
また、第2の磁粉18bであるNd−Fe−B系等方性磁粉を磁粉用供給器12dに投入した。原料供給器12内および第2の磁粉用供給器12d内の粉末をそれぞれ撹拌翼50により撹拌しながら活性化処理手段である紫外線照射器16により波長185nmの紫外線を180秒照射した。その後、原料供給器12内の混合粉と第2の磁粉用供給器12d内のNd−Fe−B系等方性磁粉が56.1wt%対43.9wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12aの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:290℃、ゾーンB:300℃、ゾーンC:310℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0072】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状の複合体24であるリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。原料供給器12内の混合粉18a,19、第2の磁粉用供給器12d内の第2の磁粉18b、複合体用供給器12e内の複合体24であるリターン材が44.9wt%、35.1wt%、20.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0073】
なお、この実施例では、活性化処理手段である紫外線照射器16が供給器12,12dに設けられているので、磁粉18a,18bの表面に被覆されているカップリング剤の表面および樹脂19の表面が活性化されており、磁粉18a,18bに対する樹脂19の付着性が向上する。紫外線の波長としては254nm以下であることが望ましい。
なお、活性化処理手段としてコロナ放電器を供給器12,12dに設けるようにしてもよい。この場合、印加電圧としては1kV〜30kVであることが望ましい。
【0074】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSm−Fe−N系異方性磁粉の混合粉と、Nd−Fe−B系等方性磁粉を56.1wt%対43.9wt%の重量比率でよく混合した。紫外線照射装置付きの供給器を2軸混練押出機に取付け、上記の混合粉を同様の条件で紫外線照射を行った後、該押出機に混合粉を供給してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを供給器12,12dに投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。なお、供給器12,12d内でのコンパウンドに対する紫外線照射処理は省略した。
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12,12d内のコンパウンドと、複合体用供給器12e内のリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、やはり同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0075】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例9のプラスチック磁石は比較例9よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0076】
実施例10.
平均粒径1.5μmのSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径50μmの液体急冷法により製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉にアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)により表面被覆処理を施した。第1の磁粉18aであるSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径20μmの樹脂19であるポリフェニレンサルファイドを69.4wt%対30.6wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を図16に示す射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリフェニレンサルファイドには予め酸化防止剤(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部)を添加しておいた。また、第2の磁粉18bであるNd−Fe−B系等方性磁粉を磁粉用供給器12dに投入した。供給器12,12d内の粉末をそれぞれ撹拌翼50により撹拌しながら紫外線照射器16から波長185nmの紫外線を180秒照射した。
【0077】
その後、供給器12内の混合粉18a,19と供給器12d内の第2の磁粉18bであるNd−Fe−B系等方性磁粉が48.7 wt%対51.3wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12dの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:290℃、ゾーンB:300℃、ゾーンC:310℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0078】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状の複合体24であるリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12内の混合粉18a,19、供給器12d内の第2の磁粉18b、複合体用供給器12e内の複合体24であるリターン材が39.0wt%、41.0wt%、20.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0079】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSr系フェライト異方性磁粉の混合粉と、Nd−Fe−B系等方性磁粉を48.7wt%対51.3wt%の重量比率でよく混合した。紫外線照射装置付きの供給器を2軸混練押出機に取付け、上記の混合粉を同様の条件で紫外線照射を行った後、該押出機に混合粉を供給してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例10と同様である。該コンパウンドを供給器12,12dに投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。なお、供給器12,12d内でのコンパウンドに対する紫外線照射処理は省略した。
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12,12d内のコンパウンドと、供給器12e内のリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、やはり同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0080】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例10のプラスチック磁石は比較例10よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0081】
実施例11.
平均粒径1.5μmのSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径3μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉にアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)により表面被覆処理を施した。第1の磁粉18aであるSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径20μmの樹脂19であるポリフェニレンサルファイドを69.4wt%対30.6wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を図16に示す射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリフェニレンサルファイドには予め酸化防止剤(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部)を添加しておいた。また、第2の磁粉18bであるSm−Fe−N系異方性磁粉を磁粉用供給器12dに投入した。供給器12,12d内の粉末をそれぞれ撹拌翼50により撹拌しながら紫外線照射器16にて波長185nmの紫外線を180秒照射した。
その後、供給器12内の混合粉18a,19と第2の磁粉用供給器12d内の第2の磁粉18bであるSm−Fe−N系異方性磁粉が49.0wt%対51.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12dの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:290℃、ゾーンB:300℃、ゾーンC:310℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0082】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状の複合体24であるリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12内の混合粉18a,19、供給器12dの第2の磁粉18b、供給器12e内の複合体24であるリターン材が39.2wt%、40.8wt%、20.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0083】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSr系フェライト異方性磁粉の混合粉と、Sm−Fe−N系異方性磁粉を49.0wt%対51.0wt%の重量比率でよく混合した。紫外線照射装置付きの供給器を2軸混練押出機に取付け、上記の混合粉を同様の条件で紫外線照射を行った後、該押出機に混合粉を供給してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを供給器12,12d内に投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。なお、供給器12,12d内でのコンパウンドに対する紫外線照射処理は省略した。
【0084】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12,12d内のコンパウンドと、供給器12e内のリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器の材料供給速度を調整し、やはり同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0085】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例11のプラスチック磁石は比較例11よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、従来のコンパウンド製造工程が不要であり、混練スクリューによって磁粉が受けていた破断や塑性変形、表面の損傷などの機械的損傷が回避される。
また、コンパウンド製造工程における加熱によって樹脂が受けていた酸化が解消される。
さらに、樹脂と磁粉が高温で接する時間は従来の半分以下であるため、特に金属系磁粉の触媒的作用による樹脂の酸化促進を半減することができる。
さらにまた、磁粉は溶融樹脂で充分に潤滑されたスクリュー上に投下され、スクリューが磁粉に与える機械的損傷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のプラスチック磁石の製造装置の一例を示す構造図である。
【図2】図2(a)は図1の金型の断面図、図2(b)は図2(a)のイ−イ線に沿った断面図である。
【図3】図3(a)は金型の他の例を示す断面図、図3(b)は図3(a)のロ−ロ線に沿った断面図である。
【図4】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図5】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図6】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図7】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図8】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図9】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図10】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図11】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図12】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図13】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図14】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図15】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図16】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【符号の説明】
1 加熱シリンダー、2 スクリュー、3 ホッパー、3a 磁粉用ホッパー、3b 樹脂用ホッパー、3c 第1の磁粉用ホッパー、3d 第2の磁粉用ホッパー、5 金型、6 スクリュー回転機構、7 加圧機構、8 射出口、9 貯留部、11 電磁コイル(磁場発生手段)、12 原料供給器、12a 磁粉用供給器、12b 樹脂用供給器、12c 第1の磁粉用供給器、12d 第2の磁粉用供給器、15a 磁粉用投入口、15b 樹脂用投入口、15c 第1の磁粉用投入口、15d 第2の磁粉用投入口、16 紫外線照射器(活性化処理手段)、18 磁粉、18a 第1の磁粉、18b 第2の磁粉、19 樹脂、20 振動機構(滞留防止手段)、21 フッ素系樹脂被膜(滞留防止手段)、22 スクリュー(滞留防止手段)。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば家電品、OA機器、産業用機械等に使われる電磁型モータ用プラスチック磁石の製造方法およびその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から熱可塑性プラスチック磁石の製造は、樹脂と磁粉を混練して2次原料である樹脂磁粉複合物(コンパウンド)を製造するコンパウンド工程と、コンパウンドを可塑化して金型内に射出成形する射出工程により行われている。
コンパウンド工程では、一般に2軸混練押出装置とペレッターが用いられる。2軸混練押出装置は加熱シリンダー内に2本の混練スクリューを備えており、樹脂を加熱溶融するとともに磁粉を樹脂に練り込み、シリンダー端部の吐出口より混練物を押し出す。ペレッターはカッターを備えており、押し出されたストランド状の混練物を細かく切断する。切断された混練物は常温で固化し、粒状のコンパウンドが出来上がる。
【0003】
上記射出工程では、一般に射出成形装置が用いられる。射出成形装置は加熱シリンダー内に射出スクリューを備えており、上記コンパウンドを加熱して可塑化するとともにスクリューにより規定量をシリンダー前方に搬送した後、加圧して前端の射出口より金型内に注入する。磁粉を特定の方向に配向させたい場合には、金型注入の際に特定方向への磁場印加が行われる。最後に、金型から射出成形品を取り出し、着磁処理を施してプラスチック磁石を完成させる。
【0004】
従来の技術の利点は、コンパウンド工程で2軸混練押出装置を用いることにより磁粉の樹脂中への高充填や均一分散を比較的容易に行うことが可能なことである(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【非特許文献1】
浜名正昭、高橋信一著「希土類プラスチック磁石について」、電気学会マグネティックス研究会資料、MAG−86−102
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプラスチック磁石の製造方法では、コンパウンド工程中に磁粉が混練スクリューから破断や塑性変形を受けることになり、磁気特性が劣化する問題点があった。
また、コンパウンド工程中に樹脂は加熱されることによって少なからず酸化するが、酸化は樹脂の溶融粘度を上げるため、射出工程における射出成形時に樹脂の流れ性の低下を促進し、複雑な形状の成形品に対しては金型内への充分な注入が行われずに成形品の密度低下を引き起こす問題点あった。特に、樹脂は希土類系合金磁粉と一緒に加熱された場合、該磁粉の触媒的な作用を受けて著しく酸化が進むことになり、射出成形時の樹脂の流れ性低下がより顕著となってしまうという問題点もあった。
【0007】
これに対しては、カップリング剤による磁粉の表面被覆や磁粉金属不活性剤の添加により、ある程度樹脂の酸化を抑えることが可能ではあるが、これらの添加物についても量が増加すると樹脂の流れ性の低下を招いてしまうという問題点があった。特に、磁粉として液体急冷法により製造されるNd−Fe−B系合金磁粉を用いた場合、同磁粉は一般に数十〜数百ミクロンの大きな平均粒径を有することから剪断を受けやすい状況にある上、材質が非常に脆いため、他の磁粉に比べてコンパウンド工程の混練時に磁粉の破断が生じやすく、磁粉にカップリング剤などで表面被覆処理を施していても、混練中に磁粉の破断が高頻度で生じて活性な新生破断面が数多く発生し、同破断面と樹脂が接触することによって樹脂の酸化が進行してしまうという問題点があった。
【0008】
また、磁粉としてHDDR法(Hydrogenation−Disproportionation−Desorption−Recombination)により製造されるNd−Fe−B系異方性磁粉や、還元拡散法により製造されるSm−Fe−N系異方性磁粉を用いた場合、これらの磁粉の表面が傷ついたり欠けたりすると磁粉の保磁力や磁化の熱的安定性の低下が生じるため、コンパウンド工程で混練スクリューから受ける損傷の影響はかなり重大であるという問題点があった。また、これらの磁粉に対して被覆処理を行うことにより表面をある程度保護することは可能であるが、混練スクリューからの衝撃力や摩擦力は強いため、被覆材が欠けたり剥がれたりすることが多く、磁粉表面に大きな損傷が及ぶのを避けることができないという問題点があった。
【0009】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであり、磁気特性の劣化が殆ど無く、樹脂の流れ性の高いプラスチック磁石の製造方法およびその製造装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るプラスチック磁石の製造方法は、加熱シリンダーの上流側の樹脂用投入口から内部に粒状あるいは粉末状の樹脂を投入した後、下流側の磁粉用投入口から内部に1種類以上の磁粉を投入する投入工程と、前記樹脂を前記加熱シリンダーからの熱で溶融し、前記磁粉と結合する結合体を生成する溶融、結合工程と、前記磁粉用投入口の下流側に設けられ、前記結合体を貯留する貯留部に前記結合体を送る送り工程と、前記結合体を加圧して前記貯留部の射出口を通じて金型内に注入してプラスチック磁石を成形する成形工程とを含む。
【0011】
また、この発明に係るプラスチック磁石の製造装置は、上流側の樹脂用投入口から内部に粒状あるいは粉末状の樹脂が投入され、下流側の磁粉用投入口から内部に少なくとも1種類以上の磁粉が投入されるとともに、前記樹脂を熱で溶融し、前記磁粉と結合する結合体を生成する加熱シリンダーと、前記樹脂用投入口に前記樹脂を供給する樹脂用供給手段と、前記磁粉用投入口に前記磁粉を供給する磁粉用供給手段と、前記加熱シリンダーに内蔵されているとともに、前記磁粉用投入口の下流側に設けられ前記結合体を貯留する貯留部に前記結合体を送るスクリューと、前記貯留部内の前記結合体を加圧する加圧機構と、前記貯留部の射出口を通じて前記結合体が注入され、プラスチック磁石を成形する金型とを備えている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のプラスチック磁石の製造方法およびその製造装置について詳細に説明するが、各図において、同一または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0013】
図1はこの発明のプラスチック磁石の製造装置の一例を示す構成図である。
加熱シリンダー1の側面に磁粉用ホッパー3aと樹脂用ホッパー3bが個別に取り付けられており、それぞれのホッパー3a、3bの上方には磁粉用供給器12aと樹脂用供給器12bが設置されている。ここで、磁粉用ホッパー3aおよび磁粉用供給器12aにより、磁粉用供給手段を構成している。また、樹脂用ホッパー3bおよび樹脂供給器12bにより、樹脂用供給手段を構成している。
磁粉用ホッパー3aは樹脂用ホッパー3bよりも射出口8側(下流側)に取り付けられている。磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bは、それぞれ磁粉18および樹脂19の供給速度を制御する制御機能を有しているとともに、連続供給機能をも有している。
【0014】
樹脂19は、樹脂用ホッパー3b、樹脂用投入口15bを通じて加熱シリンダー1の内部に投入される。また、磁粉18は、磁粉用ホッパー3a、磁粉用投入口15aを通じて加熱シリンダー1の内部に投入される。加熱シリンダー1はヒータにより150℃〜400℃の温度に加熱されており、投入された樹脂19は熱を受けて溶融する。磁粉18は溶融した樹脂19と結合するとともにスクリュー2によって樹脂19内に分散されながら、加熱ヒータ付きの流路10を通って貯留部9に搬送される。
貯留部9内の磁粉18および溶融した樹脂19の結合体が規定量に達した後、結合体は、加圧機構7によって加圧され、貯留部9の先端の射出口8から金型5内に射出、注入される。注入の際に成形体表面の肌荒れ不良を防ぐため、金型5は必要に応じて50℃〜180℃の温度に加熱される。
【0015】
金型5については、図2(a)、(b)に示すように、円筒形状の成形体30の左右に磁場発生手段である電磁コイル11を設置し、それぞれのコイル11に相反する方向に電流を通電させることで成形体30にラジアル方向の磁場を発生させ、ラジアル異方性リングプラスチック磁石を成形する。
【0016】
なお、図3(a)、(b)に示すように、円筒形状の成形体31の外側に6個の磁場発生手段である永久磁石23を配置し、成形体31に6つの磁極パターンの磁場を形成することで、6極異方性のプラスチック磁石の成形体31を得るようにしてもよい。この磁場の発生に永久磁石23を用いることにより、電磁コイル11の場合と比べて電流が不要、磁気回路の大きさがコンパクト等の利点を有する。
【0017】
この例では、1次原料の磁粉18および樹脂19から射出成形を行う構成としているため、従来のコンパウンド製造のためのコンパウンド工程が不要である。このため、コンパウンド工程の混練スクリューによって磁粉が受けていた破断や塑性変形、表面の損傷などの機械的損傷が回避される。
また、コンパウンド工程の加熱によって樹脂が受けていた酸化が解消される。
さらに、従来のプラスチック磁石の製造方法ではコンパウンド工程と射出工程の何れの工程でも樹脂および磁粉が高温で接する状態が生じていたが、この例ではコンパウンド工程を用いないので、樹脂19と磁粉18が高温で接する時間は従来のものと比較して半分以下である。従って、磁粉18の触媒的作用による樹脂19の酸化促進を半減することができる。
【0018】
また、この例では、上流側で投入されて加熱溶融した樹脂19が下流に送られる途中で磁粉18が投入されるので、磁粉18は溶融した樹脂19で充分に潤滑されたスクリュー2上に投下され、スクリュー2が磁粉18に与える機械的損傷が低減される。
また、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bの供給速度を個別に調節できるため、リアルタイムで磁粉18と樹脂19の比率を変えることや調整することが可能である。
【0019】
なお、図4に示すように、磁粉用ホッパー3aおよび樹脂用ホッパー3bを省略し、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bを加熱シリンダー1に直結するようにしてもよい。
【0020】
また、磁粉の加熱シリンダー内への投入では、複数の磁粉用供給器を用いることもできる。
図5にその例を示す。加熱シリンダー1の上流側には第1の磁粉用供給器12cが直結されている。加熱シリンダー1の下流側には第2の磁粉用供給器12dが直結されている。
例えば第1の磁粉用供給器12cには平均粒径が小さい第1の磁粉18aが、下流側の第2の磁粉用供給器12dには平均粒径が大きい第2の磁粉18bがそれぞれ投入される。そして、第1の磁粉18aは、第1の磁粉用投入口15cを通じて加熱シリンダー1の内部に投入される。また、第2の磁粉18bは、第2の磁粉用投入口15dを通じて加熱シリンダー1の内部に投入される。
【0021】
このように、磁粉18a、18bを粒径別に加熱シリンダー1の内部に投入することにより、一度に投入する場合と比べて樹脂19と磁粉18a、18bの結合体の急激な粘度上昇が抑制され、磁粉18a、18bが樹脂19内に分散し易くなる。特に平均粒径の小さい第1の磁粉18aは樹脂19と混ざりにくい性質を有するため、これを樹脂19の粘度の低い上流側で先行的に投入することにより、比較的容易に樹脂19内に分散させることが可能となり、結果として磁粉18a、18bを樹脂19全体にわたって均等に分散させることができる。
また、複数の磁粉用供給器を用いることは、複数の種類の磁粉から構成される複合プラスチックマグネットを射出成形する場合に大変都合がよい。
なお、上記の例では、磁粉用ホッパーが省略されているが、複数の磁粉用供給器の下方に対応してそれぞれの磁粉用ホッパーを設けるようにしてもよい。
【0022】
例えばフェライト磁粉と希土類合金系磁粉から構成される複合プラスチックマグネットを射出成形する場合、図5において第1の磁粉用供給器12cにフェライト磁粉である第1の磁粉18aを、第2の磁粉用供給器12dに希土類合金系磁粉である第2の磁粉18bをそれぞれ投入して、それぞれの供給速度を個別に調節することにより、磁粉18a、18bの構成比率を変えることや調整することが可能となる。
【0023】
なお、より高い配向度を得るためには、磁粉として磁気異方性がより大きいものを選ぶことが好ましく、例えば結晶磁気異方性が大きい異方性フェライト系磁粉、異方性Nd−Fe−B系磁粉、異方性Sm−Fe−N系磁粉、異方性Sm−Co系磁粉などが好ましい。また、形状磁気異方性が大きい針状磁粉や、硬磁性相と軟磁性相の微細混合組織を有し誘導磁気異方性が大きいナノコンポジット磁石なども用いることができる。
【0024】
また、図6に示すように、磁粉用供給器12aからの磁粉18の吐出位置を樹脂19のそれよりも上方に配置すれば、磁粉18は樹脂19に遅れて投入口15に達するため、樹脂19の後にスクリュー2上に落ちることとなる。スクリュー2は先に加熱溶融された樹脂19で充分に潤滑されているため、磁粉18のスクリュー2から受ける機械的損傷が低減される。
【0025】
なお、上記各例における樹脂19としては、各種ポリアミド(6、66、12など)や、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリエステル(芳香族ポリエステルなど)、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレン、ポリオレフィン(ポリプロピレンなど)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリアセタールなどを用いることができる。
ポリアミド12は吸湿性が低く湿度による変形が小さいため、高い寸法精度が要求される高性能モータ用磁石として好適である。
また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリエステルは耐熱性が高いため、高温下で使用される自動車用モータ用途に適している。
また、樹脂19の大きさとしては平均直径がミリオーダーの粒状のものや平均直径がサブミクロン〜サブミリオーダーの粉末状のものを用いることができる。また、樹脂19の大きさは、磁粉18の平均粒径の0.1〜10倍程度のものを用いることが好ましい。
【0026】
また、上記各例における磁粉18として、フェライト磁粉(Ba系、Sr系など)、希土類−コバルト系合金磁粉(SmCo5系、Sm2C17系など)、希土類−鉄系合金磁粉(Nd−Fe−B系合金、Sm−Fe−N系合など)を用いることができる。いずれの磁粉を用いた場合も、この発明の製造方法によれば、磁粉の破断や塑性変形が低減されるため、磁気特性の劣化が低減される。
以下にそれぞれの磁粉について詳細に説明する。
【0027】
フェライト磁粉の場合、磁粉の平均粒径としては0.5〜10μm程度のものを用いることができ、さらには1〜3μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると保磁力が低下する。また、より高い磁力を得るためには、Ba系よりも残留磁束密度および保磁力が大きいSr系を用いることが好ましい。
【0028】
SmCo5系合金磁粉の場合、磁粉の平均粒径としては0.5〜50μm程度のものを用いることができ、さらには1〜10μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると保磁力が低下する。
【0029】
Sm2Co17系合金磁粉の場合、磁粉の平均粒径としては0.5〜500μm程度のものを用いることができ、さらには1〜100μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると成形体の磁粉充填率が低下する。
【0030】
磁粉が液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉の場合、この発明の製造方法によれば同磁粉における最大の問題であった磁粉の破断が大幅に抑制されるため、破断面と樹脂とが接する頻度が減るとともに、樹脂と磁粉が高温で接する時間が従来比半分以下であることから、樹脂の酸化が大幅に低減される。磁粉の平均粒径としては10〜500μm程度のものを用いることができ、さらには20〜100μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化および保磁力の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると成形体の磁粉充填率が低下する。
【0031】
磁粉がHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉の場合、この発明の製造方法によれば同磁粉において特に問題であった磁粉表面の損傷が大幅に抑制されるため、従来に比べて磁気特性の劣化が大幅に低減される。磁粉の平均粒径としては5〜300μm程度のものを用いることができ、さらには10〜150μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化および保磁力の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると成形体の磁粉充填率が低下する。
【0032】
磁粉18が拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉の場合、この発明の製造方法によれば、同磁粉において特に問題であった磁粉表面の損傷が大幅に抑制されるため、従来に比べて磁気特性の劣化が大幅に低減される。磁粉の平均粒径としては0.5〜50μm程度のものを用いることができ、さらには1〜10μm程度が好ましい。粒径が小さすぎると残留磁化の低下が顕著となり、粒径が大きすぎると保磁力が低下する。
【0033】
なお、磁粉として上記の各種磁粉を2種類以上含むものを用いることができる。例えばフェライト磁粉と希土類−鉄系合金磁粉を用いた場合、フェライトが有する低温減磁の欠点と、希土類−鉄系合金磁粉が有する高温減磁の欠点を両者が補完し合うので、磁力の温度特性が改善される。
具体的には、Sr系フェライトと液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉、Sr系フェライトとHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉、Sr系フェライトと拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉、Sr系フェライトと液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉と拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉、Sr系フェライトとHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉と拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉、などを用いることができる。
【0034】
また、平均粒径の異なる磁粉を合わせることにより、成形体の磁粉の充填率を上げることができる。
具体的には、平均粒径が1〜3μmのSr系フェライト磁粉と平均粒径が20〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉、平均粒径が1〜10μmの拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉と平均粒径が20〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉、平均粒径が10〜40μmのHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉と平均粒径が60〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉、平均粒径が20〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉と平均粒径が1〜3μmのSr系フェライト磁粉と平均粒径が1〜10μmの拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉、平均粒径が20〜100μmの液体急冷法により製造された磁気等方性のNd−Fe−B系合金磁粉と平均粒径が1〜3μmのSr系フェライト磁粉と平均粒径が20〜100μmのHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉、平均粒径が1〜3μmのSr系フェライト磁粉と平均粒径が20〜100μmの拡散還元法によって製造された磁気異方性のSm−Fe−N系合金磁粉と平均粒径が20〜100μmのHDDR法によって製造された磁気異方性のNd−Fe−B系合金磁粉、などを用いることができる。
【0035】
磁粉の表面被覆材は、1つには主に磁気特性の劣化を防ぐ目的で磁粉の表面を保護するために用いられる。これにはZn,Sn,Sb,In,Cu,Al,Ga,C,Bi,Pb,Fから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を主構成要素とする材料が上げられる。
また、磁粉の表面被覆材は、樹脂と磁粉の接着の役割を果たすために用いられる。これには有機物を主構成要素とするカップリング剤(チタネート系、シラン系、アルミニウム系)が上げられる。
【0036】
なお、この発明では、磁粉および樹脂とともに、磁粉および樹脂の複合体を加熱シリンダー内に投入することも可能である。ここで、磁粉および樹脂の複合体は、従来のコンパウンドや射出成形で発生したスプール、ランナーを、破砕機や粉砕機により破砕片または粉砕粉末に加工したリターン材であり、射出原料として再利用することができるものである。また、射出成形により製造されたプラスチック磁石についても破砕機や粉砕機により破砕片または粉砕粉末に加工すれば同様にリターン材として用いることができる。
【0037】
図7に示すように、複合体24、磁粉18、樹脂19それぞれの供給器12e,12a,12bをそれぞれ個別に用意し、加熱シリンダー1への投入口15は共有し、また磁粉用供給器12aおよび複合体用供給器12eからの磁粉18、複合体24の吐出位置を樹脂19のそれよりも上方に配置すれば、磁粉18と複合体24は樹脂19に遅れて投入口15に達するため、樹脂19の後にスクリュー2上に落ちることとなる。スクリュー2は先に加熱溶融された樹脂19で充分に潤滑されているため、磁粉18と複合体24のスクリュー2から受ける機械的損傷が低減される。
【0038】
また、図8に示すように、磁粉18および樹脂19とともに複合体24を加熱シリンダー1内に投入する場合、複合体24の投入は、磁粉18と樹脂19の投入とは異なる位置から個別に行うこともできる。加熱シリンダー1の側面に複合体用ホッパー3e、磁粉用ホッパー3aおよび樹脂用ホッパー3bが個別に取り付けられており、それぞれのホッパー3e,3a,3bの上方には、複合体用供給器12e、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bがそれぞれ設置されている。
複合体用ホッパー3eは、磁粉用ホッパー3a、樹脂用ホッパー3bよりも射出口8側(下流側)に取り付けられており、このため上流側で投入された樹脂19と磁粉18の混合物が結合体となって下流に送られる途中で、該複合体24が投入される。従って、該複合体24は結合体上に投下されることとなるため、該複合体24を粉末状としなくとも、該結合体と、該複合体24から再編成された溶融樹脂19と磁粉の相互分散性がより高い状態を得ることができる。
また、複合体用供給器12e、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bは、それぞれの供給速度を個別に調節できるため、リアルタイムで複合体24の投入比率を変えることや調整することが可能である。
【0039】
なお、図9に示すように、複合体用ホッパー3e、磁粉用ホッパー3aおよび樹脂用ホッパー3bを省略し、複合体用供給器12e、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bを加熱シリンダー1に直結して用いるようにしてもよい。
【0040】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例について詳細に説明する。
実施例1.
平均粒径150μmの液体急冷法によって製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉にチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施し、図10に示す射出成形機の磁粉用供給器12aに該磁粉18を投入した。また、樹脂19である平均粒径20μmのポリアミド12を樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部)を添加しておいた。
ポリアミド12粉末とNd−Fe−B系磁粉が8.1wt%対91.9wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a,12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。
【0041】
なお、この例では、磁粉用供給器12a、樹脂用供給器12bのそれぞれの先端部には滞留防止手段である振動機構20が設けられている。このため、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bそれぞれの内壁に付着した樹脂19、磁粉18を容易に落とすことができ、樹脂19、磁粉18は、それぞれ樹脂用投入口15a、磁粉用投入口15aを通じて加熱シリンダー1の内部に円滑に投入される。
振動機構としては、圧電素子や磁歪素子を用いる方式や、電磁モータによる可動子の打ち付けや、偏心可動子の回転等の方式を用いることができる。
【0042】
また、この例では、磁粉用供給器12a、樹脂用供給器12bのそれぞれの内壁面には滞留防止手段であるフッ素系樹脂被膜21が形成されている。このため、磁粉用供給器12aおよび樹脂用供給器12bそれぞれの内壁に樹脂19、磁粉18が付着するのを防止することができる。なお、フッ素系樹脂被膜21に限定されるものではなく、滑り性のよい材料を被膜すればよい。
【0043】
次に、比較例として、上記の原料樹脂粉末と原料磁粉を8.1wt%対91.9wt%の重量比率で混合し、該混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例1と同様である。
該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0044】
これらの磁石の磁気特性およびMFR(Melt Flow Rate)を調べた結果を表1に示す。この実施例1のプラスチック磁石は比較例1よりも磁気特性(残留磁化、保磁力、最大エレルギ−積)およびMFRがともに優れた結果となった。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例2.
平均粒径30μmの液体急冷法によって製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉にチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施した。該磁粉に平均粒径8μmのポリアミド12を加えて両者をよく混合した。ポリアミド12粉末とNd−Fe−B系磁粉粉末の重量比率はそれぞれ9.8wt%、90.2wt%である。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。
磁粉18および樹脂19の該混合粉を図11に示す射出成形機の供給器12に投入し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃であった。
【0047】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕してリターン材である複合体24を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。出発原料である原料供給器12内の混合粉と、複合体用供給器12eのリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12、12eの材料供給速度を調整し、同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0048】
比較例として、上記混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。該コンパウンドを供給器12に投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。原料供給器12のコンパウンドと、複合体用供給器12eのリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12eの材料供給速度を調整し、やはり同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0049】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例2のプラスチック磁石は比較例2よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0050】
実施例3.
平均粒径1.4μmのSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径3μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉のそれぞれに対してチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施した。次に、図12に示すように、第1の磁粉18aであるこのSr系フェライト異方性磁粉に、樹脂19である平均粒径100μmのポリアミド12を78.8wt%対21.2wt%の重量比率で加えて両者をよく混合し、該混合粉を射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。
また、第2の磁粉18bであるSm−Fe−N系異方性磁粉18bを第2の磁粉用供給器12dに投入した。
【0051】
原料供給器12内の混合粉と第2の磁粉用供給器12d内のSm−Fe−N系異方性磁粉が45.8wt%対54.2wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12、12dの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0052】
なお、この例では、滞留防止手段であるスクリュー22をホッパー3,3dの内部に取り付けることで、磁粉18a,18bおよび樹脂19のブリッジ現象が解消され、ホッパー3,3d内の磁粉18a,18bおよび樹脂19の滞留を防止することができ、樹脂19および第1の磁粉18aは、ホッパー3および投入口15を通じて、第2の磁粉18bは第2の磁粉用投入口15dを通じて加熱シリンダー1の内部に円滑に投入される。
【0053】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSr系フェライト異方性磁粉の混合粉と、Sm−Fe−N系異方性磁粉を45.8wt%対54.2wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。
なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを供給器12および12dに投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0054】
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例3のプラスチック磁石は比較例3よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0055】
実施例4.
平均粒径1.4μmのSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径5μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉のそれぞれに対してチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施した。次に、図13に示すように、この第1の磁粉18aであるSr系フェライト異方性磁粉に、平均粒径100μmの樹脂19であるポリアミド12を75.1wt%対24.9wt%の重量比率で加えて両者をよく混合し、該混合粉を射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。
【0056】
また、第2の磁粉18bであるSm−Fe−N系異方性磁粉を第2の磁粉用供給器12dに投入した。
原料供給器12内の混合粉と第2の磁粉用供給器12d内のSm−Fe−N系異方性磁粉が47.0wt%対53.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12dの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0057】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状の複合体であるリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。原料供給器12内の混合粉、第2の磁粉用供給器12d内の第2の磁粉18b、複合体用供給器12e内のリターン材がそれぞれ37.6wt%、42.4wt%、20.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12、12d、12eの材料供給速度を調整し、上記と同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
なお、この例でも実施例3と同様に、滞留防止手段であるスクリュー22をホッパー3、複合体用ホッパー3eの内部に取り付けることで、磁粉18a,18b、樹脂19および複合体24のブリッジ現象が解消され、ホッパー3内の磁粉18a,18bおよび樹脂19の滞留、複合体用ホッパー3e内の複合体24のそれぞれの滞留を防止することができ、第1の磁粉18a、第2の磁粉18bおよび樹脂19は、ホッパー3および投入口15を通じて、複合体24は、複合体用ホッパー3e、複合体用投入口15eを通じて加熱シリンダー1の内部に円滑に投入される。
【0058】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSr系フェライト異方性磁粉の混合粉と、Sm−Fe−N系異方性磁粉を47.0wt%対53.0wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを供給器12と12dに投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12および12dのコンパウンドと、供給器12eのリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器の材料供給速度を調整し、やはり上記と同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0059】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例4のプラスチック磁石は比較例4よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0060】
実施例5.
図14に示すように、平均粒径1.6μmのSr系フェライト磁粉にシラン系カップリング剤(γ−ウレイドプロピル−トリエトキシシラン)により表面被覆処理を施し、該磁粉18を射出成形機の磁粉用供給器12aに投入した。また、平均粒径50μmの樹脂19であるポリアミド6を樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリアミド6には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート] 0.15重量部、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部)を添加しておいた。
ポリアミド6とSr系フェライト磁粉の重量比率が13.2wt%対86.8wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a、12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0061】
次に、比較例として、上記の混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0062】
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例5のプラスチック磁石は比較例5よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0063】
実施例6.
図14に示すように、平均粒径50μmのHDDR法によって製造されたNd−Fe−B系異方性磁粉にチタネート系カップリング剤(イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート)により表面被覆処理を施し、該磁粉18を射出成形機の磁粉用供給器12aに投入した。また、平均粒径100μmのポリアミド12を樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。
ポリアミド12粉末とNd−Fe−B系異方性磁粉が9.8wt%対90.2wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a,12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0064】
次に、比較例として、上記の混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0065】
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例6のプラスチック磁石は比較例6よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0066】
実施例7.
図14に示すように、平均粒径4μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉にアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)により表面被覆処理を施し、該磁粉18を射出成形機の磁粉用供給器12aに投入した。また、平均粒径10μmの樹脂19であるポリフェニレンサルファイドを樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリフェニレンサルファイドには予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部)を添加しておいた。
ポリフェニレンサルファイドとNd−Fe−B系異方性磁粉の重量比率が12.8wt%対87.2wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a,12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:290℃、ゾーンB:300℃、ゾーンC:310℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0067】
次に、比較例として、上記の混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
【0068】
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例7のプラスチック磁石は比較例7よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0069】
実施例8.
平均粒径50μmの液体急冷法によって製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉と平均粒径3μmで拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉にチタネート系カップリング剤(イソプロピル−トリイソステアロイルチタネート)により表面被覆処理を施した。
第2の磁粉18bであるNd−Fe−B系等方性磁粉と第1の磁粉であるSm−Fe−N系異方性磁粉を50.3wt%対49.7wt%の重量比率でよく混合し、該混合磁粉を図15に示す射出成形機の磁粉用供給器12aに投入した。また、平均粒径20μmの樹脂19をポリアミド12を樹脂用供給器12bに投入した。
なお、ポリアミド12には予め金属不活性剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジン0.2重量部)と酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチルフラン−2−オンとキシレンの反応生成物0.1重量部]を添加しておいた。ポリアミド12粉末と混合磁粉が8.2wt%対91.8wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12a、12bの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:230℃、ゾーンB:230℃、ゾーンC:240℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0070】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末と混合磁粉を8.2wt%対91.8wt%の重量比率で混合し、該混合粉を2軸混練押出機に投入してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを用いて上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。
これらの磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例8のプラスチック磁石は比較例8よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0071】
実施例9.
平均粒径50μmの液体急冷法により製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉と平均粒径3μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉にアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)により表面被覆処理を施した。第1の磁粉18aであるSm−Fe−N系異方性磁粉と平均粒径20μmの樹脂19であるポリフェニレンサルファイドを77.4wt%対22.6wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を図16に示す射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリフェニレンサルファイドには予め酸化防止剤(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部)を添加しておいた。
また、第2の磁粉18bであるNd−Fe−B系等方性磁粉を磁粉用供給器12dに投入した。原料供給器12内および第2の磁粉用供給器12d内の粉末をそれぞれ撹拌翼50により撹拌しながら活性化処理手段である紫外線照射器16により波長185nmの紫外線を180秒照射した。その後、原料供給器12内の混合粉と第2の磁粉用供給器12d内のNd−Fe−B系等方性磁粉が56.1wt%対43.9wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12aの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:290℃、ゾーンB:300℃、ゾーンC:310℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0072】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状の複合体24であるリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。原料供給器12内の混合粉18a,19、第2の磁粉用供給器12d内の第2の磁粉18b、複合体用供給器12e内の複合体24であるリターン材が44.9wt%、35.1wt%、20.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0073】
なお、この実施例では、活性化処理手段である紫外線照射器16が供給器12,12dに設けられているので、磁粉18a,18bの表面に被覆されているカップリング剤の表面および樹脂19の表面が活性化されており、磁粉18a,18bに対する樹脂19の付着性が向上する。紫外線の波長としては254nm以下であることが望ましい。
なお、活性化処理手段としてコロナ放電器を供給器12,12dに設けるようにしてもよい。この場合、印加電圧としては1kV〜30kVであることが望ましい。
【0074】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSm−Fe−N系異方性磁粉の混合粉と、Nd−Fe−B系等方性磁粉を56.1wt%対43.9wt%の重量比率でよく混合した。紫外線照射装置付きの供給器を2軸混練押出機に取付け、上記の混合粉を同様の条件で紫外線照射を行った後、該押出機に混合粉を供給してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを供給器12,12dに投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。なお、供給器12,12d内でのコンパウンドに対する紫外線照射処理は省略した。
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12,12d内のコンパウンドと、複合体用供給器12e内のリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、やはり同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0075】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例9のプラスチック磁石は比較例9よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0076】
実施例10.
平均粒径1.5μmのSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径50μmの液体急冷法により製造されたNd−Fe−B系等方性磁粉にアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)により表面被覆処理を施した。第1の磁粉18aであるSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径20μmの樹脂19であるポリフェニレンサルファイドを69.4wt%対30.6wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を図16に示す射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリフェニレンサルファイドには予め酸化防止剤(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部)を添加しておいた。また、第2の磁粉18bであるNd−Fe−B系等方性磁粉を磁粉用供給器12dに投入した。供給器12,12d内の粉末をそれぞれ撹拌翼50により撹拌しながら紫外線照射器16から波長185nmの紫外線を180秒照射した。
【0077】
その後、供給器12内の混合粉18a,19と供給器12d内の第2の磁粉18bであるNd−Fe−B系等方性磁粉が48.7 wt%対51.3wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12dの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:290℃、ゾーンB:300℃、ゾーンC:310℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0078】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状の複合体24であるリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12内の混合粉18a,19、供給器12d内の第2の磁粉18b、複合体用供給器12e内の複合体24であるリターン材が39.0wt%、41.0wt%、20.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0079】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSr系フェライト異方性磁粉の混合粉と、Nd−Fe−B系等方性磁粉を48.7wt%対51.3wt%の重量比率でよく混合した。紫外線照射装置付きの供給器を2軸混練押出機に取付け、上記の混合粉を同様の条件で紫外線照射を行った後、該押出機に混合粉を供給してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例10と同様である。該コンパウンドを供給器12,12dに投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。なお、供給器12,12d内でのコンパウンドに対する紫外線照射処理は省略した。
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12,12d内のコンパウンドと、供給器12e内のリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、やはり同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0080】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例10のプラスチック磁石は比較例10よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0081】
実施例11.
平均粒径1.5μmのSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径3μmの拡散還元法によって製造されたSm−Fe−N系異方性磁粉にアルミニウム系カップリング剤(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート)により表面被覆処理を施した。第1の磁粉18aであるSr系フェライト異方性磁粉と平均粒径20μmの樹脂19であるポリフェニレンサルファイドを69.4wt%対30.6wt%の重量比率でよく混合し、該混合粉を図16に示す射出成形機の原料供給器12に投入した。
なお、ポリフェニレンサルファイドには予め酸化防止剤(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部)を添加しておいた。また、第2の磁粉18bであるSm−Fe−N系異方性磁粉を磁粉用供給器12dに投入した。供給器12,12d内の粉末をそれぞれ撹拌翼50により撹拌しながら紫外線照射器16にて波長185nmの紫外線を180秒照射した。
その後、供給器12内の混合粉18a,19と第2の磁粉用供給器12d内の第2の磁粉18bであるSm−Fe−N系異方性磁粉が49.0wt%対51.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12dの材料供給速度を調整し、1分のタクトタイムでφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を射出成形した。
射出成形機における3つの加熱ゾーンの温度はそれぞれ、ゾーンA:290℃、ゾーンB:300℃、ゾーンC:310℃、であった。また、射出の際には金型5に取り付けた電磁コイル11により成形体の厚み方向に1.5Tの磁場を印加した。
【0082】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状の複合体24であるリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12内の混合粉18a,19、供給器12dの第2の磁粉18b、供給器12e内の複合体24であるリターン材が39.2wt%、40.8wt%、20.0wt%の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器12,12d,12eの材料供給速度を調整し、同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0083】
次に、比較例として、上記の樹脂粉末とSr系フェライト異方性磁粉の混合粉と、Sm−Fe−N系異方性磁粉を49.0wt%対51.0wt%の重量比率でよく混合した。紫外線照射装置付きの供給器を2軸混練押出機に取付け、上記の混合粉を同様の条件で紫外線照射を行った後、該押出機に混合粉を供給してストランド化し、ペレタイザーを用いて粒状のコンパウンドを製造した。なお、磁粉の表面被覆処理や樹脂に対する添加剤処理の条件は上記実施例と同様である。該コンパウンドを供給器12,12d内に投入し、上記と同じ条件で射出成形を行いφ30mm×t8mmプラスチック磁石を得た。なお、供給器12,12d内でのコンパウンドに対する紫外線照射処理は省略した。
【0084】
次に、射出成形を行った際に発生したスプルーとランナーを粉砕して粉末状のリターン材を製造し、これを複合体用供給器12eに投入した。供給器12,12d内のコンパウンドと、供給器12e内のリターン材が8対2の重量比率で加熱シリンダー1に投入されるように各供給器の材料供給速度を調整し、やはり同様の射出条件でφ30mm×t8mmのプラスチック磁石を成形した。
【0085】
リターン材を含む場合のプラスチック磁石の磁気特性およびMFRを調べた結果を表1に示す。この実施例11のプラスチック磁石は比較例11よりも磁気特性およびMFRがともに優れた結果となった。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、従来のコンパウンド製造工程が不要であり、混練スクリューによって磁粉が受けていた破断や塑性変形、表面の損傷などの機械的損傷が回避される。
また、コンパウンド製造工程における加熱によって樹脂が受けていた酸化が解消される。
さらに、樹脂と磁粉が高温で接する時間は従来の半分以下であるため、特に金属系磁粉の触媒的作用による樹脂の酸化促進を半減することができる。
さらにまた、磁粉は溶融樹脂で充分に潤滑されたスクリュー上に投下され、スクリューが磁粉に与える機械的損傷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のプラスチック磁石の製造装置の一例を示す構造図である。
【図2】図2(a)は図1の金型の断面図、図2(b)は図2(a)のイ−イ線に沿った断面図である。
【図3】図3(a)は金型の他の例を示す断面図、図3(b)は図3(a)のロ−ロ線に沿った断面図である。
【図4】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図5】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図6】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図7】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図8】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図9】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図10】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図11】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図12】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図13】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図14】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図15】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【図16】この発明のプラスチック磁石の製造装置の他の例を示す構造図である。
【符号の説明】
1 加熱シリンダー、2 スクリュー、3 ホッパー、3a 磁粉用ホッパー、3b 樹脂用ホッパー、3c 第1の磁粉用ホッパー、3d 第2の磁粉用ホッパー、5 金型、6 スクリュー回転機構、7 加圧機構、8 射出口、9 貯留部、11 電磁コイル(磁場発生手段)、12 原料供給器、12a 磁粉用供給器、12b 樹脂用供給器、12c 第1の磁粉用供給器、12d 第2の磁粉用供給器、15a 磁粉用投入口、15b 樹脂用投入口、15c 第1の磁粉用投入口、15d 第2の磁粉用投入口、16 紫外線照射器(活性化処理手段)、18 磁粉、18a 第1の磁粉、18b 第2の磁粉、19 樹脂、20 振動機構(滞留防止手段)、21 フッ素系樹脂被膜(滞留防止手段)、22 スクリュー(滞留防止手段)。
Claims (9)
- 加熱シリンダーの上流側の樹脂用投入口から内部に粒状あるいは粉末状の樹脂を投入した後、下流側の磁粉用投入口から内部に少なくとも1種類以上の磁粉を投入する投入工程と、
前記樹脂を前記加熱シリンダーからの熱で溶融し、前記磁粉と結合する結合体を生成する溶融、結合工程と、
前記磁粉用投入口の下流側に設けられ、前記結合体を貯留する貯留部に前記結合体を送る送り工程と、
前記結合体を加圧して前記貯留部の射出口を通じて金型内に注入してプラスチック磁石を成形する成形工程と
を含むプラスチック磁石の製造方法。 - 前記投入工程では、前記磁粉を複数の前記磁粉用投入口から投入する請求項1に記載のプラスチック磁石の製造方法。
- 前記成形工程では、前記金型に磁粉配向用の磁場を印加する請求項1または請求項2に記載のプラスチック磁石の製造方法。
- 前記投入工程では、前記樹脂および前記磁粉の少なくとも一方に樹脂および磁粉の結合を促進させる活性化処理を施す請求項1ないし請求項3の何れかに記載のプラスチック磁石の製造方法。
- 前記磁粉は、希土類合金系磁粉およびフェライト磁粉の少なくとも一方を含む請求項1ないし請求項4の何れかに記載のプラスチック磁石の製造方法。
- 上流側の樹脂用投入口から内部に粒状あるいは粉末状の樹脂が投入され、下流側の磁粉用投入口から内部に少なくとも1種類以上の磁粉が投入されるとともに、前記樹脂を熱で溶融し、前記磁粉と結合する結合体を生成する加熱シリンダーと、
前記加熱シリンダーに内蔵されているとともに、前記磁粉用投入口の下流側に設けられ前記結合体を貯留する貯留部に前記結合体を送るスクリューと、
前記貯留部内の前記結合体を加圧する加圧機構と、
前記貯留部の射出口を通じて前記結合体が注入され、プラスチック磁石を成形する金型と
を備えたプラスチック磁石の製造装置。 - 前記樹脂用投入口に前記樹脂を供給する樹脂用供給手段と、
前記磁粉用投入口に前記磁粉を供給する磁粉用供給手段を備え、
前記樹脂用供給手段および前記磁粉用供給手段の少なくとも一方には、内部に前記磁粉、前記樹脂が滞留するのを防止する滞留防止手段が設けられている請求項6に記載のプラスチック磁石の製造装置。 - 前記樹脂用供給手段および前記磁粉用供給手段の少なくとも一方には、前記樹脂と前記磁粉との結合を促進するための活性化処理を施す活性化処理手段が設けられている請求項6または請求項7に記載のプラスチック磁石の製造装置。
- 前記金型には、前記結合体に磁界を印加する磁場発生手段が設けられている請求項6ないし請求項8の何れかに記載のプラスチック磁石の製造装置。
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