JP2020053515A - 多極ボンド磁石複合体の製造方法 - Google Patents

多極ボンド磁石複合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020053515A
JP2020053515A JP2018180242A JP2018180242A JP2020053515A JP 2020053515 A JP2020053515 A JP 2020053515A JP 2018180242 A JP2018180242 A JP 2018180242A JP 2018180242 A JP2018180242 A JP 2018180242A JP 2020053515 A JP2020053515 A JP 2020053515A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bonded magnet
composite
magnetic
pole
multipolar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018180242A
Other languages
English (en)
Inventor
公平 井原
Kohei Ihara
公平 井原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichia Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Nichia Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichia Chemical Industries Ltd filed Critical Nichia Chemical Industries Ltd
Priority to JP2018180242A priority Critical patent/JP2020053515A/ja
Publication of JP2020053515A publication Critical patent/JP2020053515A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Abstract

【課題】多極ボンド磁石複合体の磁性ピッチを狭小化しつつ磁力を向上させる多極ボンド磁石複合体の製造方法を提供する。【解決手段】多極ボンド磁石複合体の製造方法は、希土類磁性粉末と樹脂とを含むボンド磁石用組成物を、軟磁性シートワイヤ70上に一体化させた後に、希土類磁性粉末を厚み方向に配向させながら、ボンド磁石用組成物と軟磁性シートワイヤ70の複合体300を押出成形する第1工程と、押出成形された複合体300に対して、間欠的に厚み方向に磁極を反転させながら着磁する第2工程とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、多極ボンド磁石複合体の製造方法に関する。
交互に磁極を形成した多極ボンド磁石複合体は、磁気エンコーダ等に用いられている。多極ボンド磁石複合体の磁極ピッチ(N極とS極の距離)を小さくすることにより磁気エンコーダの分解能を向上できる。また、自動車用途等において多極ボンド磁石複合体の磁力向上も求められている。磁力向上のためには磁性材料として希土類磁性粉末が採用されているが、希土類磁石は着磁しにくいという課題がある。
特許文献1はボンド磁石を押出成形しながら成形方向と同一方向に着磁した後、磁性方向が交互に逆転するように積層し、この積層体を切断することにより多極ボンド磁石複合体を製造している。この多極ボンド磁石複合体は磁極ピッチが押出成形の厚みに規定され、磁極ピッチを一定以下に狭小化することが難しい。また、この多極ボンド磁石複合体の長さは積層時の幅による制限を受け、一定以上の長さとすることが難しく、回転体に用いるための磁気エンコーダには適さない。
特許文献2は、ボンド磁石を押出成形しながら厚み方向に着磁して多極ボンド磁石複合体を製造している。押出成形とともに連続的に厚み方向に着磁するものの、複数極を同時に着磁するため、磁極ピッチの狭小化に限界がある。
特開2016−207773号公報 特開平08−213268号公報
本発明は、多極ボンド磁石複合体の磁性ピッチを狭小化しつつ磁力を向上させることを目的とする。
本発明の一態様にかかる多極ボンド磁石複合体の製造方法は、希土類磁性粉末と樹脂とを含むボンド磁石用組成物を、軟磁性シートワイヤ上に一体化させた後に、前記希土類磁性粉末を厚み方向に配向させながら、ボンド磁石用組成物と軟磁性シートワイヤの複合体を押出成形する第1工程と、前記押出成形された複合体に対して、間欠的に厚み方向に磁極を反転させながら着磁する第2工程とを有する。
本発明の他の一態様にかかる多極ボンド磁石複合体は、前記製造方法により得られることを特徴とする。
本発明の他の一態様にかかる磁気エンコーダの製造方法は、前記多極ボンド磁石複合体を切断する工程、および切断した前記多極ボンド磁石複合体の両端を接続する工程を含むことを特徴とする。
上記態様により、製造された多極ボンド磁石複合体は磁性ピッチが小さい一方で高い磁力を有する。さらに、長い多極ボンド磁石複合体を容易に得ることができ、磁気エンコーダの回転体への応用も可能となる。
本発明の多極ボンド磁石複合体の製造方法の模式図である。 押出成形品に磁極を反転させながら着磁する工程の模式図である。 多極ボンド磁石複合体の切断および磁気エンコーダの製造方法の模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳述する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための一例であり、本発明を以下のものに限定するものではない。なお、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<多極ボンド磁石複合体の製造方法>
本発明の多極ボンド磁石複合体の製造方法は、希土類磁性粉末と樹脂とを含むボンド磁石用組成物を、軟磁性シートワイヤ上に一体化させた後に、前記希土類磁性粉末を厚み方向に配向させながら、ボンド磁石用組成物と軟磁性シートワイヤの複合体を押出成形する第1工程と、前記押出成形された複合体に対して、間欠的に厚み方向に磁極を反転させながら着磁する第2工程とを有する。
<ボンド磁石用組成物>
ボンド磁石用組成物は、磁性材料と樹脂との混合物を加熱して混練し、冷却後、適当な大きさに切断することで得られる。磁性材料と樹脂の配合比率は、樹脂の種類によるが、ボンド磁石用組成物全体に対する磁性材料の割合は45vol%以上65vol%以下が好ましく、50vol%以上60vol%以下がより好ましい。ボンド磁石用組成物全体に対する磁性材料の割合が45vol%未満では得られるボンド磁石用組成物の磁力が低くなる傾向があり、65vol%を超えると、押出成形時の配向性が悪化し、磁性材料の充填率通りの磁気特性が得られない。ボンド磁石用組成物は、室温においてペレットのような塊状であっても、水あめ状であってもよいが、操作性の観点から塊状であることが好ましい。
ボンド磁石用組成物には、磁性材料と樹脂の他に、酸化防止剤、滑剤等の任意成分をさらに混合することもできる。
<希土類磁性粉末>
本発明では、磁性粉末の中でも特に希土類磁性粉末を用いることにより、フェライト系磁性粉末を用いた場合よりも、ボンド磁石成形品が小さくても高い磁力を持たせることができる。
希土類磁性粉末の材料となる磁性材料は希土類磁性材料であれば特に限定されず、SmFeN系、NdFeB系、SmCo系の材料が挙げられる。なかでも、耐熱性や、希少金属を含有せず、また、平均粒子径が約3μmで略球形であるため押出成形性が優れることから、SmFeN系が好ましい。SmFeN系磁性材料としては、ThZn17型の結晶構造をもち、一般式がSmFe100−x−yで表される希土類金属Smと鉄Feと窒素Nからなる窒化物が挙げられる。ここで、xは、8.1原子%以上10原子%以下、yは13.5原子%以上13.9原子%以下、残部が主としてFeとされることが好ましい。
SmFeN磁性粉末は、特開平11−189811号公報に開示された方法により製造できる。NdFeB系磁性材料は、国際公開2003/85147号公報に開示されたHDDR法により製造できる。SmCo系磁性材料は、特開平08−260083号公報に開示された方法により製造できる。また、磁性材料は、例えば特許文献1に開示された方法によりシランカップリング剤で表面処理したものを用いることができる。
希土類磁性粉末の平均粒径は、第1工程で押出成形される成形体の厚みの20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。平均粒径が押出成形される成形体の厚みの20%を超えると押出成形性が悪化し、シート磁石の成形自体が困難となる傾向がある。さらに、磁性材料の平均粒径は10μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましく、4μm以下がさらに好ましい。また、使用する磁性材料の粒径分布は、減磁特性の角型性の点から、単分散であることが好ましい。なお、本明細書中において、平均粒径の値は、空気透過法又はF.S.S.S.No(Fisher−SubSieve−Sizers−No.)によるものとする。
<樹脂>
樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂や、エステル系、ポリアミド系、などの熱可塑性エラストマー、または、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、アリル樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。また、混練、成形時の熱的な履歴による樹脂の劣化を抑制するために、希土類磁性粉末との混合時に、酸化防止剤、金属不活性剤、滑剤を混合することが好ましい。
ボンド磁石用組成物全体に対する樹脂の割合は35vol%以上55vol%以下が好ましく、40vol%以上50vol%以下がより好ましい。樹脂の割合が35vol%未満では、押出成形時の配向性が悪化し、磁性材料の充填率通りの磁気特性が得られず、55vol%を超えると得られるボンド磁石用組成物の磁力が低くなる傾向がある。
ボンド磁石用組成物は、例えば、混練機を用いて、200℃以上300℃以下で希土類磁性粉末と樹脂とを混合することにより得ることができる。
<軟磁性シートワイヤ>
軟磁性シートワイヤは金属平板でありボンド磁石用組成物の基材となる。軟磁性シートワイヤの材料としては鉄、ニッケル、コバルト等が挙げられ、この中でも鉄が好ましい。軟磁性シートワイヤの厚みは200μm以上700μm以下が好ましく、300μm以上500μm以下がより好ましい。厚みが700μmを超えるとリング状への加工が困難になる傾向があり、200μm未満では軟磁性シートの磁気飽和で得られるボンド磁石の磁力が低下し、また磁石複合体の強度が不足する傾向がある。ボンド磁石用組成物を軟磁性シートワイヤ上に一体化させることにより、希土類磁性粉末の磁路長を長くして磁気特性を高められる。ボンド磁石用組成物との一体化を促進するため、軟磁性シートワイヤには、ボンド磁石用組成物との一体化の前にレーザー照射等により表面粗化処理を行うことが好ましい。表面粗化後のRa(算術表面粗さ)は10μm以上200μm以下が好ましい。
<一体化、磁性配向、押出成形>
第1工程における一体化、磁性配向、および押出成形は、配向磁石を備えた押出成形機により実施できる。以下、図1を参照しながら説明する。
図1の押出成形機200は、ボンド磁石用組成物を一方向(x方向)に押し出すためのスクリュー10と、スクリュー10に連結された金型20とを有する。金型20の内部には、配向用磁石60が内蔵されている。
押出成形機200の前段には、軟磁性シートワイヤ70がロール80に巻かれている。軟磁性ワイヤ70はロール80から押出成形機200内の金型に供給される。
ホッパー40から供給されたボンド磁石用組成物は、スクリュー10により金型20に搬送される。スクリュー10の外側の周囲には、シリンダー50が設けられており、シリンダー50を加熱してボンド磁石用組成物を搬送しやすい状態にする。シリンダー50の温度はボンド磁石用組成物が溶融する範囲であれば良く、磁性材料の熱による磁気劣化を抑制する点から250℃以下が好ましい。
金型20に送り込まれた軟磁性シートワイヤは、金型20に送り込まれたボンド磁石用組成物が金型キャビティに対応した形状に成形されると同時に、成形されたボンド磁石用組成物と一体化されてボンド磁石複合体となる。y方向がz方向よりも長い金型キャビティとすることで、x−y方向が面方向となるようなシート状に成形することができる。以下、押出工程を経て成形されたシート状複合体を「ボンド磁石複合体300」ともいう。
金型20には、配向用磁石60が内蔵されており、溶融したボンド磁石用組成物が冷却固化する際に、磁性粉末の配向を同時に行う。すなわちボンド磁石複合体300はz方向(厚み方向)に磁性材料が配向される。配向用磁石60は電磁石であってもよいし、永久磁石であってもよい。永久磁石を用いる場合、磁石の材料はBrが1T以上のものが好ましく、例えばNd−Fe−B焼結磁石を用いることができる。また金型20には、ヒータ90を設けることにより、必要に応じて金型を加熱できる。
図1に示す例では、配向用磁石60として永久磁石を金型キャビティの上下から配置することにより、厚み方向(z方向)下向きの配向磁場が得られる。この配向磁場により、シート状に成形されるボンド磁石用組成物中の磁性粉末は、その磁化容易軸方向をシートの厚み方向、すなわち押出方向に対して垂直に揃えることができる。配向時の配向磁場の大きさは、例えば720kA/mとすることができる。ボンド磁石用組成物と軟磁性シートワイヤとの複合体中の希土類磁性粉末の配向率は75%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
前述のヒータ90によって金型キャビティ内のボンド磁石用組成物を加熱することで、磁性粉末の配向を促進できる。ヒータ90による熱処理温度は、例えば60℃以上150℃以下が好ましく、80℃以上100℃以下がより好ましい。
工程1において押出成形された複合体の、軟磁性シートワイヤも含めた厚み(図1におけるz方向)は、0.5mm以上2.7mm以下が好ましく、0.7mm以上2.0mm以下がより好ましく、1.3mm以上2.0mm以下がさらに好ましい。
押出成形された複合体中、ボンド磁石部分の厚みは0.5mm以上2.0mm以下が好ましく、1.0mm以上1.5mm以下がより好ましい。0.5mm未満では表面磁束が低くなる傾向があり、2.0mmを超えると磁石表面での割れ欠けが目立つ傾向がある。
<着磁>
第2工程では、押出成形して得られた成形体に対して、押出成形と連動して、間欠的に磁極を反転させながら、厚み方向(図1のz軸方向)に着磁工程を行う。
図1において、押出成形されたボンド磁石複合体300は、着磁器500によって厚み方向に着磁される。着磁方法の詳細について図2を参照しながら説明する。
まず、図2の(a)に示すように、押出成形機により押し出された、ボンド磁石用組成物と軟磁性シートワイヤの複合体300が、着磁器500に挟まれた位置まで移動する。続けて図2の(b)に示すように着磁器500をボンド磁石複合体に近接するよう移動させ、着磁器500に電流を印可する。上下の着磁器から矢印のごとく上方向の磁場が印可され、着磁器500に挟まれたボンド磁石の全域が上方向に着磁される。着磁後、着磁器500への電流の印加を終了する。着磁磁場の大きさは、例えば1500kA/m以上2500kA/m以下とすることができる。
その後、図2の(c)に示すように着磁器500が移動しボンド磁石複合体300から離れると同時に、複合体300が所望の磁極ピッチとなるように進行方向(左方向)に進む。次に、図2の(d)に示すように、再び着磁器500がボンド磁石複合体300に近接し、着磁器500に、(b)の時とは逆方向に電流を印加する。着磁器500から下方向の磁場が印可され、着磁器500に挟まれたボンド磁石の全域が下方向に着磁される。
図2(c)における複合体300の移動距離は多極ボンド磁石複合体の磁極ピッチとなる。磁極ピッチは、0.3mm以上2.5mm以下が好ましく、0.5mm以上1.5mm以下がより好ましい。0.3mm未満では先に着磁された領域の着磁状態が、続く着磁工程で乱されて波形が乱れる傾向がある。2.5mmを超えると複数極を同時に着磁する従来の方法でも着磁可能である。
同じ効率で押出成形と着磁を行うために、着磁機500における着磁と、押出成形機200における押出成形を連動させることが好ましい。すなわち、図2の(b)の着磁時には押出成形を停止し、(c)の着磁器500がボンド磁石複合体300から離れる時に押出成形を再開し、(d)の着磁時には押出成形を停止することが好ましい。
このように図2に示すように、(b)→(c)→(d)→(c)→(b)を繰り返し、(b)と(d)との間で間欠的に着磁磁極を反転させることで、多極着磁されたボンド磁石複合体を得ることができる。この手法では、一極ずつ着磁器に十分な電流を流して着磁を施すので、着磁に必要な磁場を容易に確保でき、保磁力の高い希土類磁石であっても高い着磁率を実現できる。着磁率は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
軟磁性材料とコイルを組み合わせた多極着磁ヨーク等を用いて多極着磁を施すと、特に狭ピッチ磁石を製造する際には着磁磁場が十分に得られず、着磁不良が生じることがあるが、本発明の製造方法ではボンド磁石複合体を最終形状に成形した後で、単純なアキシャル着磁により着磁を行うため、磁極ピッチが狭くても高い磁気特性を得られる。
<磁気エンコーダの製造方法>
多極ボンド磁石複合体を切断する工程、および切断した前記多極ボンド磁石複合体の両端を接続する工程を含む方法により、磁気エンコーダを製造できる。図3を参照すると、多極ボンド磁石複合体を切断し、シャフト等に巻き付けた後、両端を接続して回転体の磁気エンコーダ600を得ることができる。多極ボンド磁石複合体の切断時期は特に限定されないが、例えば前記多極ボンド磁石複合体の製造方法の第2工程の着磁の時、すなわち押出成形の進行が停止している時に行うことができる。これは図2の(b)および(d)の時点に該当する。切断長さは、回転体の磁気エンコーダとして旋回予定のシャフトの直径、目的の磁極数、及び着磁ピッチから、あらかじめ決定できる。ボンド磁石用組成物と一体化した軟磁性シートワイヤは、切断したボンド磁石用組成物をシャフト等に巻きつけるときの強度メンバとなり、作業性を向上する。
切断したボンド磁石用組成物は接着剤を用いてシャフトに固定できる。接着剤は汎用の物を用いることができるため、特定の物に限定されないが、シャフトの材質と軟磁性ワイヤとの化学的親和性の高いものを選択することが好ましい。接着剤の例として、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、嫌気性接着剤等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(実施例1)
エチルシリケートおよびアミノ系カップリング剤で表面処理を施した平均粒子径2.8μmの異方性SmFeN系磁性粉末を60vol%、12ナイロンを40vol%となるように秤量し、ミキサーで十分に混合した後、二軸混練機を用いて220℃で混練を行う。混練物を冷却後、長さ約3mmのペレットを得る。このペレットをボンド磁石用組成物として用いる。
ボンド磁石用組成物と軟磁性シートワイヤとの一体化、および押出成形は、押出成形機を用いる。押出成形機の前段には、幅(y方向)10mm、厚み(z方向)0.3mmの軟磁性シートワイヤが巻かれたロールをセットし、このロールから軟磁性シートワイヤを押出成形機内の金型に供給する。なお、軟磁性シートワイヤとボンド磁石用組成物の複合化を促進させるため、押出成形機の金型内部への供給前に、軟磁性シートワイヤのうちボンド磁石用組成物と接合する面をレーザーにて粗化処理を行う。粗化処理後の軟磁性シートワイヤ表面の溝の深さは100μm程度とする。
押出成形機のホッパーからボンド磁石用組成物を供給し、金型内でボンド磁石用組成物をシート状に成型すると同時に、シート状のボンド磁石用組成物と軟磁性シートワイヤを複合化する。
押出成形機の金型内部ではボンド磁石用組成物を幅(y方向)5mm、厚み(z方向)1.0mmのシート形状に成型する。押出成形の成形温度は210℃、金型温度は90℃で行う。さらに、図1に示すように配向用磁石により配向磁場を印加してボンド磁石用組成物のシート形状面に対して厚み方向(z方向)に、SmFeN系の磁性粉末の磁化容易軸が揃うように配向する。配向磁場は6.0kOeとする。
得られたボンド磁石複合体は、幅(y方向)5mm、厚み(z方向)1.3mmであり、上層の1.0mmはボンド磁石から構成された成形体であり、下層の0.3mmは軟磁性ワイヤから構成される。
磁性粉末を配向させたボンド磁石複合体に、図1に示す着磁器により配向方向と同方向(z方向)にアキシャル着磁を行う。着磁は、図2に示すように、(a)着磁器に挟まれた位置まで移動したボンド磁石複合体に対し、(b)着磁器が近接してz軸方向上向きに着磁し、(c)着磁器が離れてボンド磁石複合体が0.5mm移動し、(d)ボンド磁石複合体の新たな領域に着磁器が近接してz軸方向下向きに着磁する工程を、(b)→(c)→(d)→(c)のように繰り返して行う。着磁器は、7mm×2mmの角線を用い、巻き数は片側54ターンとする。(b)の着磁の際には着磁器に10kAのパルス電流を間欠的に印可する。図2の(c)においてボンド磁石複合体の移動距離は0.5mmとする。得られた多極ボンド磁石複合体の配向率は、VSM(振動試料型磁力計)により測定した着磁前のシート状ボンド磁石の残留磁束密度を、残留磁束密度の理論値で除することにより求める。また、着磁率は、VSMにより測定した着磁後のシート状ボンド磁石の残留磁束密度を、残留磁束密度の理論値で除することにより求める。図2の(c)においてボンド磁石複合体の移動距離を0.5mmとすることにより、多極ボンド磁石複合体の着磁ピッチは0.5mmとなる。
上記多極ボンド磁石複合体を157mmの長さになるよう切断する。切断は、間欠的な押出成形の進行が停止している図2の(b)または(d)の時期に、多極ボンド磁石複合体のN極とS極の中間の位置で行う。これにより全長157mm、314極のボンド磁石複合体が得られる。この多極ボンド磁石複合体を、軟磁性シートワイヤを内側にして直径47.4mmの鉄製シャフトに旋回し、エポキシ系接着剤を用いて鉄製シャフトと接着して磁気エンコーダを作製する。マグネットアナライザーにより磁気エンコーダの表面磁束密度を計測する。また、磁気エンコーダのボンド磁石部分の割れ・欠けの有無を目視により判定をする。
(実施例2)
ボンド磁石成形体の厚みを1.5mmとした以外は実施例1と同じ方法で多極ボンド磁石複合体を製造し、磁石配向率および着磁率の測定を行う。軟磁性シートワイヤの厚みは実施例1と同じ0.3mmであることから、得られた多極ボンド磁石複合体の厚みは1.8mmとなる。この多極ボンド磁石複合体から実施例1と同じ方法で磁気エンコーダを作製し、表面磁束密度の測定および割れ・欠けの有無の目視を行う。
(実施例3)
ボンド磁石成形体の厚みを0.5mmとした以外は実施例1と同じ方法で多極ボンド磁石複合体を製造し、磁石配向率および着磁率の測定を行う。軟磁性シートワイヤの厚みは実施例1と同じ0.3mmであることから、得られた多極ボンド磁石複合体の厚みは0.8mmであった。この多極ボンド磁石複合体から実施例1と同じ方法で磁気エンコーダを作製し、表面磁束密度の測定および割れ・欠けの有無の目視を行う。
(実施例4)
ボンド磁石成形体の厚みを2.0mmとした以外は実施例1と同じ方法で多極ボンド磁石複合体を製造し、磁石配向率および着磁率の測定を行う。軟磁性シートワイヤの厚みは実施例1と同じ0.3mmであることから、得られた多極ボンド磁石複合体の厚みは2.3mmであった。この多極ボンド磁石複合体から実施例1と同じ方法で磁気エンコーダを作製し、表面磁束密度の測定および割れ・欠けの有無の目視を行う。
(実施例5)
エチルシリケートおよびアミノ系カップリング剤で表面処理を施した平均粒子径100μmの異方性NdFeB系磁性粉末を60vol%、12ナイロンを40vol%となるように秤量し、ミキサーで十分に混合した後、二軸混練機を用いて220℃で混練した。混練物を冷却後、長さ約3mmのペレットを得た。このペレットをボンド磁石組成物として用いた以外は実施例1と同じ方法で多極ボンド磁石複合体を製造し、磁石配向率および着磁率の測定を行う。この多極ボンド磁石複合体から実施例1と同じ方法で磁気エンコーダを作製し、表面磁束密度の測定および割れ・欠けの有無の目視を行う。
(比較例1)
直径48.0mm、高さ10mmの鉄製シャフトの外周に、実施例1で用いたボンド磁石組成物(ペレット)を、径方向に異方化させながらインサート成形した。得られた一体成形品は直径50.0mm、高さ10mmであった。その後、N極とS極の磁極間隔が0.5mmとなるように、一体成形品の外側から、市販の多極着磁ヨークで磁石部分に着磁を行った。得られた磁気エンコーダの表面磁束密度の測定および割れ・欠けの有無の目視を行う。
実施例1〜5および比較例1で作製した円筒系磁気エンコーダの表面磁束密度を表1に示す。
Figure 2020053515
実施例1〜5の磁気エンコーダは、比較例1と同じ磁極ピッチでありながら、配向率および着磁率を比較例1より向上することができると予想される。
本発明の製造方法により得られる多極ボンド磁石複合体は、交互に磁極を形成した多極磁石として、例えば磁気エンコーダ等に利用可能である。
10 スクリュー
20 金型
40 ホッパー
50 シリンダー
60 配向用磁石
70 軟磁性シートワイヤ
80 ロール
90 ヒータ
200 押出成形機
300 ボンド磁石複合体
500 着磁器
600 磁気エンコーダ



Claims (9)

  1. 希土類磁性粉末と樹脂とを含むボンド磁石用組成物を、軟磁性シートワイヤ上に一体化させた後に、前記希土類磁性粉末を厚み方向に配向させながら、ボンド磁石用組成物と軟磁性シートワイヤの複合体を押出成形する第1工程と、
    前記押出成形された複合体に対して、間欠的に厚み方向に磁極を反転させながら着磁する第2工程
    とを有する多極ボンド磁石複合体の製造方法。
  2. 前記第2工程において、押出成形と連動して着磁する請求項1に記載の多極ボンド磁石複合体の製造方法。
  3. 第1工程で押出成形した複合体の厚みが、0.5mm以上2.7mm以下である請求項1または2に記載の多極ボンド磁石複合体の製造方法。
  4. 第2工程で着磁した複合体のN極S極間の磁極ピッチが、0.3mm以上2.5mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の多極ボンド磁石複合体の製造方法。
  5. 前記希土類磁性粉末が、SmFeN系の磁性粉末である請求項1〜4のいずれか1項に記載の多極ボンド磁石複合体の製造方法。
  6. 前記複合体中の希土類磁性粉末の配向率が、90%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の多極ボンド磁石複合体の製造方法。
  7. 前記複合体の着磁率が、95%以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の多極ボンド磁石複合体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られる、多極ボンド磁石複合体。
  9. 請求項8に記載の多極ボンド磁石複合体を切断する工程、および切断した前記多極ボンド磁石複合体の両端を接続する工程を含む、磁気エンコーダの製造方法。
JP2018180242A 2018-09-26 2018-09-26 多極ボンド磁石複合体の製造方法 Pending JP2020053515A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018180242A JP2020053515A (ja) 2018-09-26 2018-09-26 多極ボンド磁石複合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018180242A JP2020053515A (ja) 2018-09-26 2018-09-26 多極ボンド磁石複合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020053515A true JP2020053515A (ja) 2020-04-02

Family

ID=69997837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018180242A Pending JP2020053515A (ja) 2018-09-26 2018-09-26 多極ボンド磁石複合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020053515A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4167258A1 (en) * 2021-10-18 2023-04-19 Denso Corporation Magnet manufacturing device

Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55120109A (en) * 1979-03-12 1980-09-16 Hitachi Metals Ltd Magnetic tape for attraction
JPH03130615A (ja) * 1989-09-18 1991-06-04 Torrington Co:The 高分解能符号器
JPH04322413A (ja) * 1991-04-22 1992-11-12 Kanetetsuku Kk 可撓性永久磁石
JPH0794313A (ja) * 1993-06-30 1995-04-07 Nichirei Magnet Kk 発泡性磁石及びその製造方法
JPH08213268A (ja) * 1995-02-02 1996-08-20 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 磁気異方性環状磁石の作製方法
JP2000030931A (ja) * 1998-07-13 2000-01-28 Tokin Corp 永久磁石およびその製造方法
JP2000060080A (ja) * 1998-06-01 2000-02-25 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 永久磁石型モ―タその他の永久磁石応用装置
JP2003151823A (ja) * 2001-11-15 2003-05-23 Hitachi Metals Ltd ボンド磁石組立体
JP2003158011A (ja) * 2001-11-21 2003-05-30 Sony Corp 磁気吸着シートおよびその着磁方法と製造方法
JP2003203808A (ja) * 2002-01-07 2003-07-18 Hitachi Metals Ltd 複合型ボンド磁石およびそれを用いた回転機
JP2007027446A (ja) * 2005-07-19 2007-02-01 Daido Electronics Co Ltd 複合磁石シート
JP2008292418A (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Nsk Ltd エンコーダの着磁方法及び着磁装置
JP2016207773A (ja) * 2015-04-20 2016-12-08 日亜化学工業株式会社 ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石

Patent Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55120109A (en) * 1979-03-12 1980-09-16 Hitachi Metals Ltd Magnetic tape for attraction
JPH03130615A (ja) * 1989-09-18 1991-06-04 Torrington Co:The 高分解能符号器
JPH04322413A (ja) * 1991-04-22 1992-11-12 Kanetetsuku Kk 可撓性永久磁石
JPH0794313A (ja) * 1993-06-30 1995-04-07 Nichirei Magnet Kk 発泡性磁石及びその製造方法
JPH08213268A (ja) * 1995-02-02 1996-08-20 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 磁気異方性環状磁石の作製方法
JP2000060080A (ja) * 1998-06-01 2000-02-25 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 永久磁石型モ―タその他の永久磁石応用装置
JP2000030931A (ja) * 1998-07-13 2000-01-28 Tokin Corp 永久磁石およびその製造方法
JP2003151823A (ja) * 2001-11-15 2003-05-23 Hitachi Metals Ltd ボンド磁石組立体
JP2003158011A (ja) * 2001-11-21 2003-05-30 Sony Corp 磁気吸着シートおよびその着磁方法と製造方法
JP2003203808A (ja) * 2002-01-07 2003-07-18 Hitachi Metals Ltd 複合型ボンド磁石およびそれを用いた回転機
JP2007027446A (ja) * 2005-07-19 2007-02-01 Daido Electronics Co Ltd 複合磁石シート
JP2008292418A (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Nsk Ltd エンコーダの着磁方法及び着磁装置
JP2016207773A (ja) * 2015-04-20 2016-12-08 日亜化学工業株式会社 ボンド磁石の製造方法およびボンド磁石

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4167258A1 (en) * 2021-10-18 2023-04-19 Denso Corporation Magnet manufacturing device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101407837B1 (ko) 이방성 본드 자석의 제조 방법 및 그 제조 장치
US10232538B2 (en) Bond magnet and method for manufacturing the same
JP4358743B2 (ja) ボンド磁石の製造方法及びボンド磁石を備えた磁気デバイスの製造方法
JP2005064448A (ja) 積層極異方複合磁石の製造方法
JP2020053515A (ja) 多極ボンド磁石複合体の製造方法
US20100065156A1 (en) Method for producing rare earth anisotropic bond magnets, method for orientation processing of magnetic molded bodies, and in-magnetic filed molding apparatus
JP2004071854A (ja) 異方性シート磁石およびその製造方法
JP2003124012A (ja) 複合磁石、複合磁性材料、および、モータ
JP2016066675A (ja) 希土類等方性ボンド磁石
JPH07250460A (ja) 極磁場配向用ダイスおよび可撓性マグネットの製造方法
JP2005300935A (ja) マグネットローラまたはその製造方法
JP4518935B2 (ja) 永久磁石及びその製造方法
JP2003318051A (ja) 異方性シート磁石とその製造装置および製造方法
Arigbabowo et al. High-Performance Thermoplastic-based Magnetic Composites
JP2002343623A (ja) 可撓性シート状磁石成形体及びその製造方法
JP4508019B2 (ja) 異方性ボンドシート磁石およびその製造装置
JP2001185412A (ja) 異方性ボンド磁石
EP2667386A1 (en) Bonded magnet and motor provided with same
JPH1167568A (ja) ボンド磁石の製造方法
JPS60211908A (ja) 円筒状永久磁石の製造方法
JPS62229817A (ja) 極異方性長尺成形品の製造方法
CN110655784A (zh) 一种磁性塑料组合物及其制备方法
JP2006180607A (ja) シート状希土類ボンド磁石およびその製造方法とモータ
JP2014127686A (ja) ボンド磁石の製造方法およびその製造装置
JPH02251111A (ja) 樹脂結合型希土類磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210826

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220822

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20221220