JP2014127686A - ボンド磁石の製造方法およびその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 磁性材料と樹脂とを含むボンド磁石組成物を円筒状のキャビティに充填する工程と、そのキャビティの内周側又は外周側に配置された配向用磁石14aにより、前記磁性材料を磁気的に配向させるとともに、溶融されたボンド磁石組成物を前記キャビティの軸方向に押し出して成形する工程とを有する円筒状ボンド磁石の製造方法であって、前記配向用磁石14aは、前記軸方向に対して水平方向に磁力がでている第一の永久磁石20と、その第一の永久磁石と同極が向かい合う第二の永久磁石22を配置させてなる。
【選択図】図2
Description
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る押出成形装置の全体を示す説明図(断面図)である。押出成形装置は図1に示すように、磁性材料と樹脂とからなるボンド磁石組成物を加熱して溶融させる可塑化部4と、その可塑化部4に連続して設けられ、溶融されたボンド磁石組成物を流動させるスパイダー部3と、そのスパイダー部3に連続して設けられ、流動されてきたボンド磁石組成物を円筒状に成形する金型部2と、その金型部2に連続して設けられ、流動されてきたボンド磁石組成物を円筒状に成形するともに磁性材料を配向させる成形部1とを有する。
まず、可塑化部4のホッパー15から異方性磁性材料と樹脂とを含むボンド磁石組成物を供給し、スクリュー5にて加熱溶融させることにより流動状態とする。次に、スクリュー5の推進力によりスパイダー部3のスパイダー6と外ダイ7の間のボンド磁石組成物の流路8(円筒状キャビティともいう)に充填、通過させ、内ダイ9と外ダイ10より構成される金型部2にて筒状に成形する。そして、配向用磁石14を埋設した内ダイ12と外ダイ13の間のボンド磁石組成物の流路11を、溶融樹脂がキャビティの軸方向に押し出されて通過することにより、磁性材料の粒子は磁化容易軸方向に配向する。磁性材料が配向磁場付近を通過後、樹脂を硬化させて成形品を得る。
また、上述のようにして押出成形で得られたボンド磁石は、任意に着磁工程を行って外周及び内周に磁力を発する成形品を得ることができる。
フェライト系は、歴史が古く安価であることから最も普及しているが、希土類系よりも磁力が弱く、成形品が小さくなると磁力が不足することがある。そのため、磁力の強いボンド磁石を作製する必要がある場合には、Sm−Co系、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系の希土類系磁性粉末を用いることが好ましい。これは、希土類系の異方性磁性粉末は、配向の際に印加される磁場によって、磁化の方向が非常に揃い易く、結果的にボンド磁石の磁力が強くなるためである。また、粒子径が約3μで略球形であるため押出成形性が優れることから、Sm−Fe−N系であることが好ましい。
上記の磁性材料は1種類単独でも、2種類以上を混合物としても使用可能である。また必要に応じて、耐酸化処理やカップリング処理を施しても良い。
また、必要であれば着磁工程を行ってもよい。着磁を行うことで、表面磁束密度はより高くなる。
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では配向用磁石として図4に示すような配向用磁石14bを用いる。
図4(a)は、本実施形態に用いる配向用磁石14bの斜視図であり、図4(b)は配向用磁石14aを図4(a)中に点線で示される個所で切断した断面図を磁化方向に表す矢印とともに示したものである。配向用磁石14bは、押出方向に対して水平に配向させた第一の永久磁石20と第二の永久磁石22の間に透磁率200以上の強磁性体24(例えばSS400など)を間に挟みこみ、第一の永久磁石20と第二の永久磁石22の同極同士(ここではN極)が向かい合うようにそれぞれ強磁性体24と接着されている。図4(c)は第一の永久磁石20及び第二の永久磁石22のそれぞれと、強磁性体24との接合面における磁化方向を矢印で示したものである。これにより、配向磁場の最大値こそ低くなるが、金型内の水平方向での配向磁場面積が広がり、成形性の面において有利である。
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では配向用磁石として図3に示すような配向用磁石14cを用いる。
図3(a)は、本実施形態に用いる配向用磁石14cの斜視図であり、図3(b)は配向用磁石14cを図3(a)中に点線で示される個所で切断した断面図を磁化方向に表す矢印とともに示したものである。押出方向に対して水平に配向させた第一の永久磁石20と第二の永久磁石22は、それぞれ円筒状とされており、同極同士(ここではN極)が接着されている。配向用磁石14cは円筒状であり、外ダイ13に埋設される。また、内ダイ12は強磁性体とする。
その他の点については第1実施形態と同様であり、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では配向用磁石として図5に示すような配向用磁石14dを用いる。
図5(a)は、本実施形態に用いる配向用磁石14dの斜視図であり、図5(b)は配向用磁石14dを図5(a)中に点線で示される個所で切断した断面図を磁化方向に表す矢印とともに示したものである。
この配向用磁石14bは、押出方向に対して水平に配向させた円筒状の第一の永久磁石20と円筒状の第二の永久磁石22の間に透磁率200以上の円筒状の強磁性体24(例えばSS400など)を挟みこみ、第一の永久磁石20と第二の永久磁石22の同極同士(ここではN極)が向かい合うようにそれぞれ強磁性体24と接着されている。これにより、第2実施形態と同様に配向磁場の最大値こそ若干低くなるが、金型内の水平方向での配向磁場面積が広がり、成形性の面において有利となる。図5(c)は第一の永久磁石20及び第二の永久磁石22の接合面における磁化方向を矢印で示したものである。図5(c)は第一の永久磁石20及び第二の永久磁石22のそれぞれと、強磁性体24との接合面における磁化方向を矢印で示したものである。配向用磁石14dは円筒状であり、図6(b)に示すように外ダイ13に埋設される。外ダイ13は非磁性体(例えばSUS304。透磁率1.05)からなる。内ダイ12は強磁性体とする。
その他の点については第1実施形態と同様であり、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(磁性材料の準備)
磁性材料には、異方性のSm−Fe−N系磁性材料(平均粒子径3μm)を用いる。
Sm−Fe−N系磁性材料をエチルシリケートおよびシランカップリング剤で表面処理する。表面処理を行ったSm−Fe−N系磁性材料9137gと12ナイロン863gをミキサーで混合する。得られた混合粉を、2軸混練機を用いて220℃で混練し、冷却後、適当な大きさに切断しボンド磁石組成物を得る。
図1は、本実施例1で使用する押出成形用の製造装置を示す図である。外ダイの内径は19mm、内ダイの外径は17mmである。図2に示すように配向用磁石14aは、押出方向に配向させた第一の永久磁石20と第二の永久磁石22の同極同士を耐熱性の熱硬化エポキシ樹脂を用いて接着する。第一及び第二の永久磁石のサイズは各々直径16mm、長さは10mmの円柱状で、これを内12に埋設する。外ダイ13には透過率200以上の強磁性体(SS400)を使用し、リターンヨークとして使用する。また配向用磁石14とボンド磁石組成物の流路11を隔てる隔壁は0.5mmである。押出成形時の金型温度は200℃に設定し、圧縮空気を使った空冷もしくは金型内に水を流す水冷などで出口温度を150〜160℃付近まで冷却する。この様にして、外径19mm、内径17mm、長さ1000mm、ラジアル配向の異方性円筒状ボンド磁石を得る。切断機を用いて長さ20mmに切断する。
得られた成形品を着磁ヨークにより着磁を行う。着磁条件は、静電容量1000μF、電圧2.5KVであり、そのとき流れる電流は18.0KAである。
(磁性材料の準備)
実施例1と同じ磁性材料を使用する。
実施例1と同じ磁性材料を用いて、実施例1と同じ磁石組成物を作製する。
実施例1と異なる点として、配向用磁石が挙げられる。図3は、実施例2で使用する配向用磁石14cを示す図である。図3に示すように配向用磁石14cは、押出方向に配向させた第一の永久磁石20と第二の永久磁石22の同極同士を耐熱性の熱硬化エポキシ樹脂を用いて接着する。第一及び第二の永久磁石のサイズは各々外径30mm、内径20mmの円筒状の配向磁石であり、長さは10mmで、これを外ダイ13に埋設する。内ダイ12はリターンヨークとして使用するため、透磁率200以上の強磁性体(SS400など)を用いる。外ダイの内径は19mm、内ダイの外径は17mmである。
得られた成形品を着磁ヨークにより着磁を行う。着磁条件は、静電容量1000μF、電圧2.5KVであり、そのとき流れる電流は18.0KAである。
(磁性材料の準備)
実施例1と同じ磁性材料を使用する。
実施例1と同じ磁性材料を用いて、実施例1と同じ磁石組成物を作製する。
実施例1と異なる点として、配向用磁石を内ダイ12及び外ダイ13の双方に埋設する。内ダイ12には実施例1と同様の配向用磁石14aを、外ダイ13には実施例2と同様の配向用磁石14c(ただし、本実施例ではN極ではなく、S極同士が向かい合うようにして配置させる)を埋設する。この様にして、外径19mm、内径17mm、長さ1000mm、ラジアル配向の異方性円筒状ボンド磁石を得る。切断機を用いて長さ20mmに切断する。
得られた成形品を着磁ヨークにより着磁を行う。着磁条件は、静電容量1000μF、電圧2.5KVであり、そのとき流れる電流は18.0KAである。
(磁性材料の準備)
実施例1と同じ磁性材料を使用する。
実施例1と同じ磁性材料を用いて、実施例1と同じ磁石組成物を作製する。
図4は、本実施例で使用した配向用磁石14bを示す図である。実施例1の配向用磁石を図4の配向用磁石14bに変更する以外は、実施例1と同様に押出成形を行う。
得られた成形品を着磁ヨークにより着磁を行う。着磁条件は、静電容量1000μF、電圧2.5KVであり、そのとき流れる電流は18.0KAである。
(磁性材料の準備)
実施例1と同じ磁性材料を使用する。
実施例1と同じ磁性材料を用いて、実施例1と同じ磁石組成物を作製する。
図5は、本実施例で使用した配向用磁石14dを示す図である。実施例2の配向用磁石を図5の配向用磁石14dに変更する以外は、実施例2と同様に押出成形を行う。
得られた成形品を着磁ヨークにより着磁を行う。着磁条件は、静電容量1000μF、電圧2.5KVであり、そのとき流れる電流は18.0KAである。
(磁性材料の準備)
実施例1と同じ磁性材料を使用する。
実施例1と同じ磁性材料を用いて、実施例1と同じ磁石組成物を作製する。
実施例3の配向用磁石において、内ダイ12には実施例4と同様の配向用磁石14bを、外ダイ13には実施例5と同様の配向用磁石14d(ただし、本実施例ではN極ではなく、S極同士が向かい合うようにして配置させる)を両方埋設する以外は実施例3と同様にして、外径19mm、内径17mm、長さ1000mm、ラジアル配向の異方性円筒状ボンド磁石を得る。切断機を用いて長さ20mmに切断する。
得られた成形品を着磁ヨークにより着磁を行う。着磁条件は、静電容量1000μF、電圧2.5KVであり、そのとき流れる電流は18.0KAである。
(配向磁場の測定)
上記実施例における配向用磁石の配向磁場を、ガウスメーターにより測定した。測定は、配向用磁石を金型に埋設し、一つのN極のピークに対して、配向用磁石の長手方向にプローブを移動させて行った。図7は、各実施例における配向用磁石の長手方向に表面磁束密度を測定した結果を示す図である。
上記実施例で得られたボンド磁石について、マグネットアナライザーにより円柱状ボンド磁石の外周、若しくは円筒状ボンド磁石の内周における表面磁束密度を測定した。測定は、マグネットアナライザーの360°回転ステージに円柱状又は円筒状ボンド磁石を固定し、プローブを円柱状ボンド磁石の外周又は円筒状ボンド磁石の内周面に接触させ、ステージを360°回転させることで行った。図8は各実施例における円柱状又は円筒状ボンド磁石の周方向に沿って表面磁束密度を測定した結果を示す図である。これを表に示すと以下のようになる。
2 金型部
3 スパイダー部
4 可塑化部
5 スクリュー
6 スパイダー
7、10、13 外ダイ
9、12 内ダイ
8、11 ボンド磁石組成物の流路
14、14a、14b、14c、14d 配向用磁石
20 第一の永久磁石
22 第二の永久磁石
24 強磁性体
15 ホッパー
Claims (6)
- 磁性材料と樹脂とを含むボンド磁石組成物を円筒状のキャビティに充填する工程と、
そのキャビティの内周側又は外周側に配置された配向用磁石により、前記磁性材料を磁気的に配向させるとともに、溶融されたボンド磁石組成物を前記キャビティの軸方向に押し出して成形する工程とを有する円筒状ボンド磁石の製造方法であって、
前記配向用磁石は、前記軸方向に対して水平方向に磁力がでている第一の永久磁石と、その第一の永久磁石と同極が向かい合う第二の永久磁石を配置させてなることを特徴とする円筒状ボンド磁石の製造方法。 - 前記第一の永久磁石の軸方向に、その両側から前記第一の永久磁石と前記第二の永久磁石により挟まれるように強磁性体を配置することにより前記配向用磁石を構成する請求項1に記載の円筒状ボンド磁石の製造方法。
- 前記磁性材料が、Sm−Fe−N系の磁性材料である請求項1又は請求項2に記載の円筒状ボンド磁石の製造方法。
- 磁性材料と樹脂とを含むボンド磁石組成物が充填される円筒状のキャビティと、
前記円筒状のキャビティの内周側又は外周側に配置された配向用磁石と、を有する押出成形用の製造装置であって、
前記配向用磁石は、押出方向に対して水平方向に磁力がでている第一の永久磁石と、その第一の永久磁石と同極が向かい合う第二の永久磁石を配置させてなることを特徴とする押出成形用の製造装置。 - 前記第一の永久磁石の軸方向に、その両側から前記第一の永久磁石と前記第二の永久磁石により挟まれるように強磁性体を配置することにより前記配向用磁石が構成される請求項4に記載の製造装置。
- 前記磁性材料が、Sm−Fe−N系の磁性材料である請求項4乃至請求項5のいずれか一項に記載の製造装置。
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