JP5463773B2 - 柱状ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軸方向にN極とS極が交互に多極磁化された柱状ボンド磁石に関する。
柱状磁石は、食品から鉄粉等を除去するための異物除去装置やリニアモータの固定子や可動子など、様々な分野で使用されている。
このような柱状磁石は、複数の永久磁石の同種の磁極を対向させて貼り合わせることで製造されている。
例えば、永久磁石のN極と、別の永久磁石のN極とを貼り合わせた個所から、磁力線は、放射状に伸びており、N極と隣接するS極へと大きな弧を描いている。
このように、各貼り合せの個所からは、通常よりも強力な磁力線が発生しているので、複数の永久磁石を同種の磁極が対向するように並べて作った柱状の磁石の側面に、磁力の強いN極の部分とS極の部分とを長手方向に交互に複数存在させることができる。
上記の理由から、複数の永久磁石における同種の磁極が対向するように並べて製造した柱状磁石を用いると、異物除去装置の場合には、異物の捕集能力を高くすることができる。また、リニアモータや振動モータの場合には、強い推進力を得ることができる。以降、このような磁石のことを「交互多極磁石」と呼ぶ。
ところで、上述したような柱状の交互多極磁石を製造するには、図1(a)に示すように、軸方向に磁化された複数の柱状の磁石を同種の磁極が向かい合うように配置して組み立てなければならない。図1(b)は、図1(a)のように組み立てた柱状の交互多極磁石の側面を、ガウスメータで一端から他端まで軸方向に走査させたときの、表面磁束密度の分布を示す。図1(b)に示されたように、表面磁束密度は、正弦波を描く。ここで仮に、図1(c)のように、複数の磁石を異種の磁極が向かい合うように配置して組み立てると、各磁石は磁力により容易に近づくことができる。図1(d)は、図1(c)のように組み上げた円柱状磁石の側面をガウスメータで軸方向に走査させたときの、表面磁束密度の波形を示す。図1(d)に示されるように、磁石が接する箇所では磁極が消滅してしまうので、柱状の交互多極磁石が得られない。
しかし、図1(a)のように、同種の磁極が向かい合うように配置させながら柱状の交互多極磁石を組み立てる場合、同極同士が接近すると反発力が発生するので組み立て作業が容易でない。また、最終的に磁石が動かないように固定する必要があるので、非常に作業性が悪い。
このような交互多極磁石の製造方法として、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1は、円筒状の容器内に複数の磁石を嵌め込んだ後に、容器の両端に設けられた封止部材と容器を溶接することにより磁石を固定する方法を開示している。また、特許文献2は、複数の磁石を、それぞれ接着剤で貼り合わせることにより固定して、非磁性材料からなる円筒状のパイプ内に封入する方法を開示している。
これらの製造方法で、上述したように同種の磁極同士を対向させようとすれば、磁石を並べる際に、大きな反発力を受けるため非常に危険な作業を伴う。また、作業性が悪く、磁石を固定するための接着剤が固化するまでの間、冶具で磁石を支持する必要があるので、生産性が低いという問題がある。さらに、接着剤を用いた場合、接着剤の量や、塗布のされ方によって、磁石と磁石との間の接着部分の厚み寸法がばらつくという問題がある。この問題は、磁極数の多い交互多極磁石を製造する場合、接着する箇所が増えるので、その問題は一層深刻なものとなる。つまり、最終的な柱状の交互多極磁石の全長を、目的の寸法にすることが非常に困難である。
一方、交互多極磁石の製造方法として、上述した方法の他、特許文献3に開示される製造方法がある。この製造方法では、柱状の交互多極磁石が、上述したような接着剤を要することなく、単一の成形体として得られるので、作業性の問題や、接合面での割れや欠け、磁束の乱れといった問題が生じない。
より具体的には、特許文献3に開示されている発明は、磁性粉末を樹脂に混合して成形した成形体であるボンド磁石であること、表面磁極間に偏寄した磁路が形成されていることを特徴としている。このようなボンド磁石にすることで、従来、焼結磁石を使用していた時に問題となっていた作業性の低下の問題や磁石の割れや欠けといった問題が生じない。そして、成形体内で連続するように磁路を偏寄させ、効率的な磁路を形成させることで、焼結磁石と比して磁力の弱いボンド磁石でも十分な推力を獲得し推力の応答性を向上させている。
ここで、成形体内で連続するように磁路を偏寄させ、効率的な磁路を形成させるには、異方性の磁性粉末を原料とした異方性ボンド磁石が有用である。実際に、着磁のみによる磁極の形成、すなわち等方性の磁性粉末を原料としたコンパウンドを用いて成形し、着磁のみで交互磁極を形成しても、磁力の強さが十分なものが得られない。特許文献3は、異方性ボンド磁石が磁気特性の点から有効であることを開示している。
特開2003−303714 特開2008−182873 特開平8−130862
しかしながら、異方性の磁性粉末とする場合、その磁気特性を効率良く利用するためには、成形と同時に成形用金型の内部で、磁性粉末を十分に配向させる必要がある。このとき、長手方向に複数極を備えた単一の成形体である柱状の交互多極磁石は、その軸方向に長くなればなる程、磁性粉末を十分に配向させることが難しく、十分な表面磁束密を得るに至っていない。例えば、リニアモータや異物除去装置として使用する場合には、柱状の交互多極磁石の側面における磁力が重要である。この側面の磁力が、十分でないと、リニアモータとして使用する場合、推進力が小さくなったり、振動が大きくなったりするといった問題が発生しまう。
そこで、本発明は、側面における磁力を向上させた柱状ボンド磁石およびその製造方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために本発明に係る柱状ボンド磁石は、磁性粉末と樹脂からなる柱状ボンド磁石であって、上記柱状ボンド磁石は、射出成形によって成形された単一の成形体であり、ゲートの痕跡が上記柱状ボンド磁石の軸方向に設けられた端面の中央部に配置されているとともに、軸方向の側面にN極とS極が交互に多極磁化されていていることを特徴とする。
上記柱状ボンド磁石は、射出成形によって成形されることが好ましい。
上記磁性粉末は、異方性の希土類系磁性粉末であることが好ましい。
上記柱状ボンド磁石の製造方法において、磁性粉末と樹脂を混練しコンパウンドを得る工程と、上記柱状ボンド磁石の軸方向に形成される端面の中央部に配置させたゲートから、配向磁場を印加しながら上記コンパウンドを金型のキャビティに充填し柱状ボンド磁石に成形する工程とを有し、上記配向磁場は、同種の磁極が対向するように複数の小磁石を配列させた配向用磁石により形成されており、上記配向用磁石は、上記柱状ボンド磁石を囲むように配置されていることを特徴とする。
上記小磁石の形状は、上記キャビティの外周を形成する切り欠き部を有する略直方体であり、上記小磁石の寸法は、それらの配列方向と平行な方向の幅をP、縦および高さをそれぞれXおよびYとしたとき、そのXおよびYが、それぞれ2P≦X≦10P、2P≦Y≦10Pの範囲にあることが好ましい。
本発明は、複数の磁石で構成した配向用磁石でキャビティを覆い、金型による成形で一体ものの成形体をつくることができる。そのため、従来のような煩雑な作業を伴わずに一体ものの交互多極のボンド磁石を作ることができ、大幅に生産コストを削減することができる。しかも、成形体を形成する際に、ゲートの位置をキャビティの端面の中央部に設けることで、キャビティの全体を配向用磁石で遍く覆うことができる。そのため、いずれの側面における軸方向の表面磁束も同じように正弦波形の表面磁束密度分布が得られる。さらに、配向用磁石を構成する小磁石の同極が対向するように配置しており、この小磁石を最適なサイズとすることで、従来にない優れた磁力を有する柱状の交互多極磁石を提供することができる。
図1は、従来の柱状ボンド磁石の製造方法およびその柱状ボンド磁石の表面磁束密度の分布を示すグラフである。 図2は、本発明にかかる柱状ボンド磁石の一実施例を示す正面図である。 図3は、本発明の製造方法における金型を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の製造方法における金型内部の磁力線の様子を示す断面図である。 図5は、図4におけるX−X線上の表面磁束密度の分布を示すグラフである。 図6は、本発明の製造方法における配向用磁石を模式的に示す斜視図である。 図7は、本発明の製造方法において利用することができる着磁コイルを模式的に示す斜視図である。 図8は、本発明と比較する製造方法における金型を模式的に示す断面図である。 図9は、本発明と比較する製造方法における金型内部の磁力線の様子を示す断面図である。 図10は、図9におけるY−Y線上の表面磁束分布を示す。 図11は、本発明の比較例における配向用磁石を模式的に示す斜視図である。 図12は、本発明の柱状ボンド磁石における表面磁束を測定する際のパイプを模式的に示す斜視図である。 図13は、図12におけるP−Q線上の表面磁束密度の分布を示すグラフである。 図14は、本発明の製造方法における配向用磁石を構成する小磁石を模式的に示す斜視図である。 図15は、本発明の製造方法における配向用磁石を構成する小磁石を2つ配列させたときの状態を模式的に例示する。 図16は、図15の点Zにおける表面磁束密度を示したグラフである。
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための柱状ボンド磁石およびその製造方法を例示するものであって、本発明は柱状ボンド磁石およびその製造方法を以下に限定するものではない。
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
図2は、本発明に係る柱状の交互多極磁石を模式的に示す正面図である。本発明は、一体成形された柱状のボンド磁石ということを特徴としており、かつ、軸方向に沿って任意数の磁極を発生しているという点にある。各磁極の位置では、磁力線が放射状に伸びている。
本発明は、一体成形された柱状のボンド磁石であり、例えば、射出成形で製造される。つまり、金型のキャビティに樹脂と磁性粉末からなるコンパウンドを充填し、キャビティ105の内部でコンパウンドを固化させた後、エジェクタピン103により成形体を取り出すことにより製造される。
図3は、本形態の製造方法で使用する射出成形機における金型内部の断面図である。射出成形機の内部には、成形体を成形するためのキャビティ105と、そのキャビティ105を囲うように配置された配向用磁石101、102と、キャビティ105と配向用磁石101、102を隔てるための隔壁104と、固化した成形体を突いて取り出すためのエジェクタピン103が設けられている。
図4は、図3中の配向用磁石101、102によってキャビティ105の内部に発生する磁力線の様子を示す。キャビティ105の内部に充填されたコンパウンド中の磁性粉末は、コンパウンド中の樹脂が溶融されている間に磁力線9に沿って磁化の向きが揃えられ、樹脂が固化されるまでに磁石の配向が完了する。ここで重要となるのが、配向用磁石の配置および向きである。本形態の配向用磁石101、102は、複数の小磁石101a、101b、102a、102bの同じ磁極が対向するように、つまり磁力が反発するように、複数の小磁石が隔壁104の内部に配列されて収納されている。そのため、磁力の反発によって生じる磁力線が、磁石の対向面からキャビティ105の内部に大きな磁力線9を発生させている。
図5は、図4のX−X線上の表面磁束分布を示した図である。キャビティ105の内部に充填されたコンパウンド中の磁性粉末は、この反発によって生じる強力な磁力線9によって配向する。また、配向用磁石101、102を構成する個々の磁石の幅によって、成形される柱状交互多極ボンド磁石の配向ピッチが決まる。図6は、配向用磁石101、102の全体像を模式的に示す斜視図である。
図6に示されるように、配向用磁石101、102は、複数の小磁石101a、101b、102a、102bの集合体からなる。これらの小磁石は、それぞれキャビティ105の外周を形作る半円形状の切り欠き部を有しており、全体の外形がほぼ直方体形状である。これらの小磁石101a、101b、102a、102bは、小磁石101a(102a)と小磁石101b(102b)の同種の磁極が対向するように配列され、固定された一対の接合体101、102として構成される。さらに、接合体101は、接合体102と、同種の磁極が対向するように向かい合わせに配置されて、切り欠き部の形状によりキャビティ105の形状が形作られる。このように配向用磁石を一対の接合体101、102にて構成することで、目的とする柱状の成形体が比較的長いものでも、小磁石の数を増やしてキャビティの長さを調整することにより成形することができる。
本発明にかかる柱状の交互多極磁石の磁極ラインは、柱状の交互多極磁石の軸方向に対して垂直であるため、本発明にかかる配向用磁石を構成する小磁石1ピースの磁化方向は、キャビティの軸方向に対して平行であることが必須である。
配向用磁石を構成する小磁石1ピース分の磁石の大きさは、配向ピッチに相当する部分(図3および図6のキャビティ105の長手方向と平行な方向に測った幅)をPmm、縦をXmm、高さをYmmとした場合、2P≦X≦10P、2P≦Y≦10Pの範囲のサイズが好ましい。この範囲よりも磁石形状が小さいと極端に発生磁場が小さくなり、キャビティ内での磁性粉末の配向が不十分となる。一方、この範囲よりも大きい場合においては、磁石のサイズが大きくなっても発生磁場は大きくならず、むしろ小さくなってしまう。その上、磁石のサイズとともに金型のサイズも無駄に大きなものになってしまうため好ましくない。
本発明にかかる柱状の交互多極磁石は、金型で成形する際に、キャビティ105中にコンパウンドを注入するためのゲート106の痕跡が柱状磁石の端面の中央部に存在することを特徴とする。本発明にかかる柱状の交互多極磁石は、放射状に一様に磁力を発生するために、キャビティ105の側面は遍く配向用磁石に覆われる必要がある。そのため、成形体の側面にあたる部分や、端面の周縁部にあたる箇所にゲート106を設けることができない。
そこで、本発明者らは、種々の検討を重ねた結果、キャビティ105中にコンパウンドを注入するためのゲート106を、図2中に示した成形体の端面を成形するキャビティ105の端面の中央に配置することで、成形体の側面における磁気特性を損ねることなく柱状磁石を成形することができることを見出した。したがって、本発明の製造方法によって得られる柱状の交互多極磁石は、その柱状の成形体の端面にゲート106の痕跡が形成されている。
以上のように、配向用磁石を構成する小磁石の同種の磁極が対向するように配置し、それらを図6のような一対の接合体を向かい合わせに配置することで、キャビティの全体を、配向用磁石で覆い、さらに成形品におけるゲート106の痕跡が、成形体の端面の中央に残存するようにゲートを配置してボンド磁石を成形する。これにより、従来のものと比較して、長手方向に所望の磁極パターンを有し、優れた生産性および磁気特性を有するボンド磁石を製造することができる。
配向用磁石101、102の材料は、残留磁束密度:Brが1T以上のものが好ましく、例えば、NdFeB焼結磁石が好ましい。この他に、SmCo系の焼結磁石とすることもできる。このように磁力の大きい磁石を使うと、キャビティ内部に発生する磁力が強くなり、ボンド磁石の磁力も強くなるため、好ましい。
射出成形で得られる柱状の交互多極磁石は、金型内で配向磁化されているのでそのまま使用することもできるが、成形後に着磁工程を行っても良い。着磁を行うことで、柱状のボンド磁石の磁力をより強力なものとすることができる。
本発明にかかる柱状の交互多極磁石の直径は、3mm以上30mm以下であることが好ましく、より好ましくは、3mm以上10mm以下である。直径が30mmよりも大きいものになると、本発明以外の組み立てによる方法でも比較的容易に製造することができる。また、本発明にかかる配向磁場は、主にキャビティの外周に近いほど強く、中心に近いほど弱くなる。すなわち、キャビティの直径が大きくなるほど、キャビティ内部に充填される磁性コンパウンド中の、配向できる磁性コンパウンドの割合が少なくなってしまうため、直径が大きくなっただけの磁力向上の効果が得られない。
本発明にかかる交互多極ボンド磁石の磁極間距離は、1mm以上30mm以下であることが好ましく、より好ましくは、1mm以上10mm以下である。磁極間距離が1mm以下になると、それに合わせて金型に配置する配向用磁石の厚みも1mmよりも薄くする必要があり、加工および金型内への組み込みが非常に困難になるため現実的でない。逆に、磁極間距離が30mmより大きなもの、つまり柱状の成形体1個当りの磁極数が小さなものは、本発明でも製造は容易にできる。しかし、金型による成形以外でも比較的容易に製造することができるため、本発明が特徴とする一体成形の利点を生かしたい場合、磁極間距離は、30mm以下が好ましく、より好ましくは10mm以下である。
本形態における柱状のボンド磁石の製造方法において、配向磁場の発生源は、永久磁石としたり電磁コイルとしたりすることができる。特に、配向用磁場の発生源は、永久磁石とすることが好ましい。電磁コイルを用いる方法でも、長手方向に、複数のラジアル配向部分を付与することができる。しかし、成形する柱状磁石の磁極数が増えると、コイルを配置する部分が多くなるので、金型内部での配線も複雑となる。また、電磁コイルを用いる方法では、電磁コイルの発熱による発生磁場の低下なども問題となる。
本形態における柱状のボンド磁石の製造方法において、配向用磁石の配置は、図6に示されるように、一対の接合体101、102がキャビティ105を両側から覆うような配置とすることが好ましい。しかし、キャビティの全体を配向用磁石で完全に囲む形をとってもよい。キャビティの全体を配向用磁石で完全に囲む形とするかどうかは、原料となる磁性材料を含むコンパウンドの収縮率によって適宜変更すれば良い。成形体の原料となるコンパウンドは、溶融されてキャビティ内に充填され固化された後、金型の内部から突き出される。そのため、得られる成形体は、径方向に若干収縮し、金型のキャビティの内径寸法よりも、得られる成形体の外径寸法は小さくなる。収縮率が大きい場合には、キャビティと成形体との間に十分な隙間ができるので、配向用磁石がキャビティ全体を覆う形であっても、成形体を取り出すことができる。以下、本形態の各構成について詳述する。
(磁性粉末)
本形態で用いられる磁性粉末は、異方性または等方性の磁性粉末が適用できる。異方性の磁性粉末としては、例えば、フェライト系、SmCo系、NdFeB系、SmFeN系が挙げられる。等方性の磁性粉末としては、例えば、SmCo系、NdFeB系などが挙げられる。磁力の強い円柱状ボンド磁石を作製する必要がある場合には、異方性の磁性粉末を用いることが好ましく、特に、異方性の希土類系磁性粉末が好ましい。これは、希土類系の異方性磁性粉末は、配向の際に印加される磁場によって、磁化の方向が非常に揃い易く、結果的に円柱状ボンド磁石の磁力が強くなるためである。さらに、成形性を考慮すれば、SmFeN系が好ましい。上記の磁性粉末は、一種単独でも二種以上を混合してもよい。また、必要に応じて耐酸化処理やカップリング処理を施してもよい。
(樹脂)
本形態で用いられる樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂や、エステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂とすることができる。また、これらを適宜混合して使用することもできる。
磁性粉末の配合比率は、樹脂の種類にもよるが、円柱状ボンド磁石全体に対する磁性粉末の割合が45〜75Vol%とすることが好ましい。また、酸化防止剤、滑剤等をさらに混合することもできる。
(成形方法)
本発明で用いられる成形方法としては、特に制限はなく、例えば、押出成形、圧縮成形、射出成形が適用可能である。生産性、配向設備の設置の容易性から、特に射出成形によって成形することが好ましい。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
<実施例1>
(コンパウンドの準備)
異方性SmFeN磁性粉末をエチルシリケートおよびシランカップリング剤で表面処理する。表面処理を行ったSmFeN磁性粉末9137gと12ナイロン863gをミキサーで混合する。得られた混合粉を、2軸混練機を用いて220℃で混練し、冷却後、適当な大きさに切断しコンパウンドを得る。
(配向用磁石の磁石ピース)
残留磁束密度:Brが1.35Tの市販の焼結NdFeB焼結磁石を加工し、配向用磁石を構成する小磁石を作製する。図14は、加工した小磁石の概略斜視図を示す。小磁石の各辺の大きさを、図14に示したように、それぞれ幅Pmm、縦Xmm、高さYmmとする。幅Pは、複数の小磁石の配列方向と平行な方向すなわち、成形される柱状ボンド磁石の軸方向の長さとする。得られた2つの小磁石を同極が対向するように配置する。図15は、2つの小磁石を貼り合せたときの概略斜視図を示す。貼り合せ位置に相当する点Zにおける表面磁束密度を測定する。本実施例では、P=5mm、Y=10mmとし、Xの大きさを変化させて点Zにおける表面磁束密度を測定する。図16は、XおよびYの大きさを横軸に、点Zにおける表面磁束密度を縦軸に示したグラフである。このグラフによれば、配向用磁石を構成する小磁石のサイズのXおよびYにおいて、2P≦X≦10P、2P≦Y≦10Pの範囲で、他の範囲よりも大きな配向磁場が得られていることが分かる。
(円柱状交互多極磁石の作製)
本実施例の射出成形機のキャビティは、全長40mm、内径5mmの円柱状の形状とする。配向用磁石は、市販のNdFeB焼結磁石(残留磁束密度:Br=1.35T)を使用する。配向用磁石を構成する小磁石1ピースのサイズは、5mm−15mm−20mmとする(ここで、「○−○−○」は、順に、図14中の記号、P、XおよびYに対応する大きさを表す。以下、同様とする。)。同種の磁極が対向するように、すなわち、小磁石が反発するように小磁石同士を接着させ、図6のような一対の接合体101、102を作成し、図3に示すように金型の隔壁104内に配置する。射出成形機は、コンパウンドを溶融するシリンダーの温度を230℃とし、キャビティ105の温度を90℃に設定する。射出成形機によって、溶融したコンパウンドをキャビティ105内へ充填させる。射出成形機の射出圧力を100MPaとし、射出速度を80mm/sに設定する。コンパウンド中の樹脂は、キャビティ105内へ充填されると冷却されて固化し成形体を形成する。キャビティ105内の成形体を8秒間保持させた後、キャビティ105を開放させ、次にエジェクタピン103により成形体を突き出して、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。本実施例における着磁コイルは、図7に示されるように、非磁性のボビン109の側面に被覆銅線110を巻回した後、一定の間隔をおいて、先に巻回した被覆銅線とは逆方向に巻回して形成させたものである。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え5mmとする。
<実施例2>
(円柱状交互多極磁石の作製)
配向用磁石を構成する小磁石1ピースのサイズを、P−X−Yが2.5mm−15mm−20mmに変更する以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離2.5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え、2.5mmとする。
<実施例3>
(円柱状交互多極磁石の作製)
配向用磁石を構成する小磁石1ピースのサイズを、P−X−Yが10mm−15mm−20mmに変更する以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径10mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え、10mmとする。
<実施例4>
(円柱状交互多極磁石の作製)
射出成形キャビティの全長を20mm、内径を3mmに変更する以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径3mm、全長20mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え、5mmとする。
<実施例5>
(円柱状交互多極磁石の作製)
射出成形キャビティの内径を10mmに変更する以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径10mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え、5mmとする。
<実施例6>
(コンパウンドの準備)
異方性NdFeB磁性粉末をエチルシリケートおよびシランカップリング剤で表面処理する。表面処理を行ったNdFeB磁性粉末9119gと12ナイロン881gをミキサーで混合する。得られた混合粉末を、2軸混練機を用いて220℃で混練し、冷却後適当な大きさに切断しコンパウンドを得る。
(円柱状交互多極磁石の作製)
上記コンパウンドを使用し、射出成形時の射出速度を150mm/sに変更する以外は、全て実施例1と同じ方法で製造を行い、異方性NdFeBを原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え、5mmとする。
<比較例1>
(円柱状多極磁石の作製)
配向用磁石を構成する小磁石の配置を変更する以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。本比較例における配向用磁石の構成は、実施例1と異なり、小磁石同士の反発なしの配置である。つまり、図8に磁石の配置を示したように、金型の内部における配向用磁石は、小磁石の同種の磁極が対向していないので小磁石同士が反発していない。図9は、配向用磁石により発生されるキャビティの内部における磁力線の様子を示す。更に、図10は、図9中の点Y−Y線上の表面磁束分布を示す。図11は、本比較例1で使用した、配向用磁石の全体像を示す概略斜視図である。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え5mmとする。
<比較例2>
(円柱状磁石の作製)
配向方法を変更する以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mmの円柱状の交互多極磁石を得る。配向方法は電磁石を用いて、アキシャル方向とした。印加磁場は9kOeとする。成形後は、アキシャル方向に配向しているのみで、側面に磁極はまだ形成されていない。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、脱磁後、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、5mmとする。着磁することで、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石が得られる。
<比較例3>
(円柱状磁石の作製)
配向の有無以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mmの円柱状の交互多極磁石を得る。配向用磁石も電磁石も使用せず、無配向で射出成形を行う。成形後は、配向していないので、側面に磁極はまだ形成されていない。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、5mmとする。着磁することで、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石が得られる。
<比較例4>
(円柱状磁石の作製)
配向の有無と、原料に市販の等方性NdFeBを含むコンパウンドを使用した以外は、全て実施例1と同じ方法で行い、等方性NdFeBを含むコンパウンドを原料とした直径5mm、全長40mmの円柱状の交互多極磁石を得る。配向用磁石も電磁石も使用せず、無配向で射出成形を行う。成形後は、配向していないので、側面に磁極はまだ形成されていない。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、5mmとする。着磁することで、等方性NdFeBコンパウンドを原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石が得られる。
<比較例5>
(円柱状交互多極磁石の作製)
配向用磁石を構成する小磁石1ピースのサイズを、P−X−Yが5mm−5mm−10mmに変更する以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え、5mmとする。
<比較例6>
(円柱状交互多極磁石の作製)
配向用磁石を構成する小磁石1ピースのサイズを、P−X−Yが5mm−8mm−10mmに変更する以外は、全て実施例1と同じ方法および同じコンパウンドで製造を行い、異方性SmFeN磁性粉末を原料とした直径5mm、全長40mm、磁極間距離5mmの円柱状の交互多極磁石を得る。
(着磁)
射出成形で得られた円柱状の交互多極磁石を、図7で示した着磁コイルを用いて着磁する。着磁は、コンデンサ容量500μFで、充電電圧1500Vにてパルス着磁を行う。着磁ピッチは、配向品のピッチ間と揃え、5mmとする。
<比較例7>
(ボンド磁石ピースの作製)
実施例1と同じコンパウンドを使用する。射出成形機にて、直径5mm、高さ5mmの円柱状ボンド磁石ピースを作製する。射出成形の際、電磁石を使用して、アキシャル方向に配向させた。成形条件は、アキシャル方向に9kOeの配向磁場を印加する以外は、実施例1と同じである。
(着磁)
射出成形後、取り出した磁石ピースの着磁を行う。着磁条件は、印加磁場60kOeのパルス着磁、着磁方向は、配向方向と同じ、アキシャル方向とする。
(円柱状多極磁石の組み立て)
上記で作製したボンド磁石ピース8個を、同種の磁極が対向するように、一つずつ、手作業で固定する。固定には市販のエポキシ系接着剤(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、商品名:アラルダイトラピッド)を使用する。接着剤が固化するまでの間、磁石が反発力で剥がれないように、冶具で磁石を固定する。
<比較例8>
(ボンド磁石ピースの作製)
実施例1と同じコンパウンドを使用する。比較例7と同様の方法で、アキシャル方向に配向した直径5mm、高さ5mmの円柱状ボンド磁石ピースを作製する。
(着磁)
比較例7と同様の方法でボンド磁石ピースを着磁する。
(円柱状多極磁石の組み立て)
材質がSUS304製で、全長50mm、内径5mm、厚み0.2mmのパイプに、作製したボンド磁石ピース8個を同極が対向、すなわち反発するように、挿入する。パイプの両端を材質がSUS304製で外径5mm、高さ5mmのプラグで栓をし、最後に両端を溶接して固定する。
以上、実施例1から6、比較例1から8の各条件を下記の[表1]にまとめる。配向用磁石のサイズとは、一対の接合体を構成する小磁石の1ピース分の各辺の大きさである。図14は、各辺P−X−Yの位置関係を示す。
Figure 0005463773
(表面磁束の測定)
実施例1から6、比較例1から7で得た着磁後の円柱状の交互多極磁石を、材質がSUS304製で、全長50mmおよび30mm、内径5mm、厚み0.2mmのパイプに挿入する。両端を、材質がSUS304製で外径5mm、高さ5mmのプラグで栓をし、エポキシ系接着剤(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、商品名:アラルダイトラピッド)で固定する。比較例6については、組み立ての時にすでにパイプに挿入している。
表面磁束密度の測定を行う。図12で示した点Pから点Qに沿って、ガウスメータのプローブを走査させ、表面磁束密度を計測する。図13は、実施例1で得られた円柱状多極磁石の表面磁束密度の分布グラフを示す。得られた波形は、正弦波であり、所望の磁気パターンを得ることができる。
また、本実施例では、ゲート106の位置を、円柱状ボンド磁石の長手方向に向かい合って設けられる二つの端面のうち、一方の端面の中央部に配置している。そのため、円柱状磁石の側面のほぼ全体を配向用磁石で覆うことができる。これにより、円柱状磁石のいずれの側面における軸方向の表面磁束密度も図13とほぼ同一となる。表面磁束密度が最大となる値を最大表面磁束密度とし、測定結果を[表2]に示す。
実施例1から6では、最大表面磁束が200mT以上と優れた磁気特性を有しており、比較例1から6と比較して、優れた特性が得られる。比較例1との比較から、配向用磁石を使用した極配向の中でも、特に同磁極同士を対向させた反発配置が優れていること、比較例4との比較から、等方性でなく異方性の希土類系磁性粉末を原料としたコンパウンドを用いた方が、磁気特性が優れていること、比較例5および比較例6との比較から、配向用磁石ピースのサイズに適正なサイズがあることが分かる。
(生産性の評価)
10本の円柱状多極磁石を作製するために必要となる成形体の個数を[表2]に示す。また、それら成形体を射出成形に要した時間を[表2]に示す。比較例7、8については、10本の円柱状の交互多極磁石の組み立てに必要とした時間を[表2]に示す。実施例1から6および、比較例1から6は、組み立て時間を必要としない。
Figure 0005463773
実施例1から6および比較例1から6は、1回の射出成形で1本の棒状ボンド磁石を作製することができるため、射出成形に要する時間はどれも2分と少ない。これに対して、比較例7、8については、円柱状の磁石に組み立てるための時間が更に必要となる。
以上のことから、本発明によれば、複数の磁石で構成した配向用磁石でキャビティを覆い、金型による成形で一体ものの成形体をつくることができる。そのため、従来のような煩雑な作業を伴わずに一体ものの交互多極のボンド磁石を作ることができ、大幅に生産コストを削減することができる。しかも、成形体を形成する際に、ゲートの位置をキャビティの端面の中央部に設けることで、キャビティの全体を配向用磁石で遍く覆うことができる。そのため、いずれの側面における軸方向の表面磁束も同じように正弦波形の表面磁束密度分布が得られる。さらに、配向用磁石を構成する小磁石の同極が対向するように配置しており、この小磁石を最適なサイズとすることで、従来にない優れた磁力を有する柱状の交互多極磁石を提供することができる。
本発明の円柱状ボンド磁石は、異物除去装置やリニアモータ用の永久磁石材料として利用することができる。
101、102・・・配向用磁石、103・・・エジェクタピン、104・・・隔壁、105・・・キャビティ、106・・・ゲート、107・・・柱状磁石、108・・・ゲートの痕跡、109・・・ボビン、110・・・被覆銅線、111・・・センターピン、112・・・パイプ。

Claims (5)

  1. 磁性粉末と樹脂からなる柱状ボンド磁石の製造方法において、
    前記磁性粉末と前記樹脂を混練しコンパウンドを得る工程と、配向磁場を印加しながら前記コンパウンドを金型のキャビティに充填し柱状ボンド磁石に成形する工程とを有し、
    前記配向磁場は、同種の磁極が対向するように複数の小磁石を配列させた配向用磁石により形成され、前記配向用磁石は、前記柱状ボンド磁石を囲むように配置されており、
    前記小磁石の形状は、前記キャビティの外周を形成する切り欠き部を有する略直方体であり、
    前記小磁石の寸法は、それらの配列方向と平行な方向の幅をP、縦および高さをそれぞれXおよびYとしたとき、そのXおよびYが、それぞれ2P≦X≦10P、2P≦Y≦10Pの範囲にあることを特徴とする柱状ボンド磁石の製造方法。
  2. 前記磁性粉末は、異方性の希土類系磁性粉末である請求項に記載の柱状ボンド磁石の製造方法。
  3. 前記コンパウンドを注入するためのゲートが、前記キャビティの端面の中央に配置されている請求項1又は2に記載の柱状ボンド磁石の製造方法。
  4. 前記成形方法は、押出成形、圧縮成形、射出成形から選択される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の柱状ボンド磁石の製造方法。
  5. 前記小磁石の幅Pは、1mm以上30mm以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の柱状ボンド磁石の製造方法。
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