JP4577604B2 - 異方性希土類ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

異方性希土類ボンド磁石の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、モーター等の回転機器に使用されるリング状の希土類ボンド磁石の製造方法、特に異方性希土類ボンド磁石の製造方法に関する。
従来より、エアコン、洗濯機等の白物家電、自動車の電装機器、レコードプレーヤ等の駆動用に多種多様なモーターが使用されている。近年では、HDD、DVD等の磁気式/光学式記録装置の駆動用、プリンター等のOA機器の制御用、さらにはパソコンや電源装置の冷却用として、さらに多くのモーターが使用されている。
これらのモーターに使用されている永久磁石は、その材料に着目すると、Sr系フェライト、Ba系フェライト等の酸化物系磁石と、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系、Sm−Co系等の希土類金属系磁石とに大別できる。該酸化物系磁石は安価であるが、磁気特性の一つである最大エネルギー積が低いという特徴を有する。これに対して希土類金属系磁石は材料自体が高価であるものの、最大エネルギー積が高いため、年々その使用量は増加している。
また、永久磁石は焼結磁石とボンド磁石とに大別することもできる。該ボンド磁石は磁石材料と樹脂バインダーとを混合したものから成形され、任意の形状に成形できるという特徴を有する。このボンド磁石の製造方法には、圧縮成形、射出成形、および押出成形がある。前記した記録装置やOA機器に使用する磁石としては、薄肉かつ精密な形状でなければならないこと並びにコストの面から、ボンド磁石が主に使用されている。
このようなボンド磁石の製造方法には、例えば射出成形が挙げられる。該射出成形では、磁石粉末を熱可塑性樹脂からなるバインダーと混合してコンパウンドとし、このコンパウンドを溶融して十分な流動性を持たせ、その溶融状態のコンパウンドに圧力をかけて小さな吐出口から樹脂の凝固温度以下の金型内に吐出して、金型内のキャビティに送り込み、そのキャビティの形状に固化してボンド磁石とする。
また永久磁石を、その結晶構造上の磁化容易軸に起因する磁気的配向に着目すると、等方性磁石と異方性磁石とに大別できる。等方性磁石では、磁化容易軸の方向が揃っておらず、配向されていない。しかしながら、この等方性磁石は、製造の容易さ、コストの安さの観点から多用されている。それに対し、異方性磁石とは、磁石を成形する段階で磁化容易軸の方向が揃えられた、つまり配向されたものである。従って、この異方性磁石は、成形時に磁化容易軸の方向を揃えるために配向磁界を印加する必要があるが、磁化容易軸が揃っているため等方性磁石よりも磁石特性が優れたものとなる。
前記等方性磁石は任意の方向に着磁でき、モーター等に組み込む前に着磁して、該着磁磁界の方向に対応するN極とS極を形成する必要がある。着磁の方法には、磁石表面の磁束密度分布が矩形波になる矩形波着磁と正弦波になる正弦波着磁とがあり、さらに該正弦波着磁には内周面に着磁する場合と外周面に着磁する場合とがある。各着磁方法における磁石M中での極性Aを図1〜3で図示する。図1は矩形波着磁した場合を図示し、図2は内周面s2に正弦波着磁した場合を図示し、また図3は外周面s1に正弦波着磁した場合を図示する。
一方、異方性磁石では成形時に配向磁界が加えられ、磁化容易軸の方向に対応してN極とS極とが形成がされている。成形後、さらにこの配向により付与されたN極とS極に極
性を合わせて着磁されて磁石として用いられる。この異方性磁石には、ラジアル異方性磁石と極異方性磁石がある。ラジアル異方性磁石中の極性は矩形波着磁した等方性磁石のものと同様であり(図1参照。)、また磁石表面の磁束密度分布も同様に矩形波となる。これに対して極異方性磁石中の極性は正弦波着磁した等方性磁石のものと同様であり(図2および図3参照。)、また磁石表面の磁束密度分布も同様に正弦波となる。さらに、極異方性磁石の場合に、磁石の外周面および内周面のうち、一方の面に沿ってNS極が現れ、それとは逆の面には殆ど磁束が現れない点も正弦波着磁した等方性磁石と同様である。
ところで、ラジアル異方性磁石をモーターに組み込んだ場合、コギングの原因となることが知られている。コギングトルクによる回転ムラは、高密度化が求められている記録媒体用のスピンドルモーターにとって致命的である。しかしながら、ラジアル異方性磁石は極異方性磁石と比較して容易に製造できる利点を有する。
ラジアル異方性の配向を施すためには、リング形状のキャビティに磁場を内周側から外周側に流して配向磁場を形成する必要がある。一般的な横型の磁場中射出成形機では、金型の前後のスペースに電磁石コイルを設け、そこで磁場を発生させて磁気ヨークで集め、金型の軸方向に向けて前後から磁場を流して金型内で衝突させ、リング状のキャビティの内周面から外周面に向けて磁場を流す方法が行われている。該磁場は、金型を支える支柱を通って元の電磁石コイルに戻ることとなる。
対照的に、極異方性磁石はモーターに組み込んだ場合にコギングを低減する。さらに、極異方性磁石は、その磁束密度分布の波形のピーク値が高くなるため有利である。しかしながら、極異方性磁石には製造上の制約が多いという問題がある。さらに、リング磁石を薄肉化することも困難である。これは、例えば内周面着磁の場合、薄肉化により磁束が肉厚中に収まらず、外側に漏れてしまうことから生じる。磁束が漏れてしまうと、極異方性磁石の表面磁束は矩形波に近づき、台形波となってしまう。この対策として、極異方性磁石の外側に磁性材料からなるバックヨークを取付けることが行われているが、該バックヨークに逃げた磁束の分だけロスが生じてしまう。このため、モーターに組み込んだ場合の効率が低下する。
前記極異方性磁石の製造は、外周側に極異方性の配向を施す場合、金型に設けられたリング状キャビティーの外周面にN極とS極とが現れるよう、該キャビティーの外側に永久磁石あるいは配向コイルを埋め込んだ構成の金型を用いて行われる。該金型ではキャビティーに極異方性配向磁界が形成されており、そしてボンド磁石の場合には、磁性粉末と樹脂バインダーとからなる溶融したコンパウンドを該金型キャビティー中に射出充填し、冷却後に金型から取り出すことにより、上記した極異方性磁石を製造することができる。これとは逆に、内周側に極異方性の配向を施す場合、該キャビティーの内側に永久磁石あるいは配向コイルを埋め込んだ構成の金型を用いて行なわなければならない。
該金型ではキャビティーに極異方性配向磁界が形成されており、そしてボンド磁石の場合には、磁性粉末と樹脂バインダーとからなる溶融したコンパウンドを該金型キャビティー中に射出充填し、冷却後に金型から取り出すことにより、上記した極異方性磁石を製造することができる。
また異方性磁石の磁場形成に関しては、配向コイルによる静磁場を用いる方法(電磁石方式)、配向コイルによるパルス磁場を用いる方法、および永久磁石による磁気回路を用いる方法(永久磁石方式)がある。これらのうちパルス磁場を用いる方法は、パルス磁場の発生時間内に成形を完了させる必要があるため、圧縮成形には適用されているものの射出成形および押出成形には用いられていない。
従来の極異方性磁石は、フェライト射出成形ボンド磁石またはフェライト焼結磁石で製
造されたものがほとんどで、希土類金属系磁石で製造されたものはなかった。その理由は、希土類ボンド磁石では成形工程において、また希土類焼結磁石では焼結工程前の圧粉体成形工程において、成形金型のキャビティー内で磁性粉末を配向させることが困難であったためである。
磁石成形時に金型キャビティー中で磁石粉末を配向させるために印加する磁界は、大きければ大きいほど望ましい。例えば、約800kA/mの非常に高い保磁力を有する異方性のNd−Fe−B系磁石を磁場中で配向させるには、最低でもその1.5倍の約1200kA/m以上の配向磁場が必要と見積もられる。しかしながら、成形しようとする極異方性磁石の寸法および極数、キャビティーに接するスリーブの材質および肉厚、永久磁石または配向コイルもしくは磁気回路を構成するヨーク材の材質、磁気回路を埋め込むために許容される空間の大きさ等により印加し得る磁界の強度は制限を受ける。特に、リング形状の磁石の内周面を配向するためには、ダイセット中のリング形状のキャビティーよりも内周側に銅線を巻いた配向用のコイルを組み込まなければならないが、磁石を完全に配向させるためにコイルの巻き数を多くするか、または大きな電流を流すことで強力な磁場を発生させる必要がある。さらに、配向コイルを内蔵したダイセットは成形時に大きなプレス圧が掛かるため、ある程度の強度を持たせる必要もある。そして、これらの条件を満たすことは従来不可能であった。
希土類金属系磁石の場合、現在使用されているボンド磁石は、異方性磁石よりも磁気特性が劣る等方性磁石が主流である。さらにボンド磁石では樹脂バインダーの介在により磁性相の占める体積比が低くなるため、磁石特性を示すエネルギー積は、焼結磁石や熱間加工磁石の20〜30%程度に止まってしまう。
そこで、希土類ボンド磁石のエネルギー積を改善する手段が種々検討されている。該手段の一つとして、フレキシブル磁石が挙げられる(例えば、特許文献1および2参照。)。フレキシブル磁石とは、異方性の磁石を配向させてフレキシブルなシート状としたもので、モーターに組み付ける際には、シート状の磁石を丸めてリング状とする。しかしながら、磁石シートを丸め、その両端を接合してリング形状にするという複雑な工程が必要となり、さらにはモーターに組み込んだ場合、接合部分が磁場の乱れを起こしてモーター特性を劣化させる惧れがあるという問題もある。
特開2002−343623公報 特開2003−318052公報
また、より配向し易い磁石粉末についての検討を行っている例もある(例えば、特許文献3および4参照。)。しかしながら、内周面着磁でかつ多極を有する極異方性磁石について適用することについての示唆はない。
特開2000−195713公報 特開2000−195714公報
さらに、極異方性に配向された磁石リングと、ラジアル異方性に配向された磁石リングとを組み合わせて使用することも考案されている(例えば、特許文献5および6参照。)。
特公平7−1726号公報 特公平7−1727号公報
HDD、DVD等の磁気式/光学式記録装置の駆動用として、近年使用量が増大しているモーターにアウターローター型のブラシレスDCモーターがある。そしてこれらの装置
に対する小型化、高性能化の要求は非常に強い。従って、小型かつ薄型で、高性能な磁石が必要となる。さらにアウターローター型であることからリング形状の磁石の内周面を着磁しなければならなず、また記録装置の記録密度を向上させるためにモーターを高速かつ滑らかに回転させることが要求される。そのため、小型かつ薄型であることに加え、極数を多くすることおよび正弦波に着磁することが求められる。即ち、最も望ましい磁石は、小型かつ薄型で、多極を有する極異方性のものである。
また、インナーローター型のモーターとしては、プリンター等のOA機器の制御用として多用されているステッピングモーターが挙げられる。該ステッピングモーターにおいて、正弦波着磁が可能であればより大きなトルクを得ることができ、また、該ステッピングモーターはDCモーターと比較してコギングが大きいという問題があるが、コギングを低減するためにも、極数を多くすることと正弦波に着磁することは有効である。よってDCモーターの場合と同様、最も望ましいのは、多極を有する極異方性の磁石となる。
ただし、モーターのコギングを低く抑えるためには、モーターの逆起電圧定数が「正弦波形状」になることが必要である。磁石を「正弦波形状の磁束密度分布」に近づけると、モーターの逆起電圧定数も「正弦波形状」に近づく傾向にはあるものの、差異は生じる。これは、モーターの基本設計である磁気回路を構成する鉄芯と巻線コイル、そして磁石との兼ね合いによる。このため、単に極異方性の磁石を実現するだけでなく、適用するモーターの基本設計に応じて磁石の配向状態を適切に制御できることが重要となる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、高性能なリング形状の異方性希土類ボンド磁石の製造方法、とりわけ小型かつ薄型で、多極を有する異方性希土類ボンド磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1観点は、
複数の極を有するリング形状の異方性希土類ボンド磁石の製造方法であって、
希土類磁石粉末と熱可塑性樹脂を含んでなるペレットを前記異方性希土類ボンド磁石の材料として準備する工程と、
前記準備したぺレットを用い、製造すべき異方性希土類ボンド磁石をリング中心軸に沿って縦分割した形状で、極の部分に対応する複数の極領域部材と、極に隣接する部分に対応する複数の非極領域部材とからなる二種類の部材をそれぞれ射出成形し、かつ、該射出成形時に、前記非極領域部材のみに磁場を印加して略横断面上において周方向のいずれかに配向する工程と、
射出成形した前記複数の非極領域部材と前記複数の極領域部材を脱磁する工程と、
脱磁した前記複数の極領域部材と前記複数の非極領域部材とを交互に並べ、該非極領域部材同士の隣り合う部材間で異方性磁石粉末の配向方向が逆方向となるように、複数の極領域部材と複数の非極領域部材とを組み立ててリング形状体を形成する工程と
前記リング形状体を正弦波着磁する工程と、
からなることを特徴とする異方性希土類ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第2観点は、
複数の極を有するリング形状の異方性希土類ボンド磁石の製造方法であって、
希土類磁石粉末と熱可塑性樹脂を含んでなるペレットを前記異方性希土類ボンド磁石の材料として準備する工程と、
前記準備したぺレットを用い、製造すべき異方性希土類ボンド磁石を二分割した形状の部材であって、各々、リング形状の端部と該端部より長手方向に延びる幾つかの延長部とからなり、それぞれ異方性希土類磁石粉末を含む二つの部材を射出成形し、かつ、該射出成形時に、二つの部材のうち一方の部材中の前記希土類磁石粉末のみを、略横断面上において、周方向のうちのいずれかに配向する際、該延長部同士の隣り合う部間で前記希土類磁石粉末の配向方向が逆方向となるように前記希土類磁石を配向する工程と、
射出成形した前記二つの部材を脱磁する工程と、
製造された二分割された部材を組み立ててリング形状体を形成する工程と
前記リング形状体を正弦波着磁する工程と、
からなる異方性希土類ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第3観点は、
前記リング形状体の当該磁石の内周面から前記異方性希土類ボンド磁石に対して、正弦波着磁を行うことを特徴とする観点1または2に記載の異方性希土類ボンド磁石の製造方法
である。
本発明によれば、外周側に設置したコイルや磁石によって極異方性に配向可能なリング形状の異方性ボンド磁石を製造することができる。従来、リング形状の磁石の内周面を極異方性に配向させる場合、配向コイルはダイセット中のリング形状のキャビティーの内側に配置しなければならず、そのような狭い空間に、大きな配向磁場を形成し得る永久磁石、配向コイル等を設置することは不可能であった。しかしながら、本発明の異方性ボンド磁石は、配向コイルをキャビティーの外側に配置できるため、小型化かつ薄型化の磁石であっても配向が可能となり、さらにより大きな配向磁場を必要とする希土類ボンド磁石をも製造することができ、多極を持つリング形状の異方性ボンド磁石が製造可能である。
このような本発明の異方性ボンド磁石は、リング状の半径方向に多極のN極とS極を極異方性に配向しているため、永久磁石型モータ用の永久磁石として特に有効である。
本発明の異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、Nd−Fe−B系希土類磁石、Sm−Fe−N系希土類磁石、Sm−Co系希土類磁石等のいずれでも良く、またこれらを2種以上を組み合わせて使用しても良い。
具体的に言うと、Nd−Fe−B系には、Nd2Fe14Bの他、Nd2Fe14Bとα−Feとのナノコンポジット磁石、Nd2Fe14BとFe3Bとのナノコンポジット磁石がある。Sm−Fe−N系には、Sm2Fe173とSmFe91.5とがある。Sm−Co系には、SmCo5とSm2Co17とがある。いずれの磁石においても、CoまたはFeを同じ鉄
族元素(Fe、Co、Ni)で置換したものや、NdまたはSmを同じ希土類金属元素(Yを含む)で置換したものも含まれる。
さらに、磁石特性や配向等を制御する目的で、必要に応じて等方性と異方性の磁石粉末を組み合わせても構わない。例えば、円周方向に配向する領域に異方性の磁石粉末を用い、無配向とする領域に等方性の磁石粉末を用いることができる。従って、異方性のボンド磁石を得るためには、必ずしもその磁石粉末全てを異方性のものとしなければならない訳ではない。しかしながら、異方性のボンド磁石を得るためには、基本的には異方性の磁石粉末を使用しなければならず、必ず1種以上は異方性磁石粉末を使用する必要がある。
さらに希土類磁石の磁石特性を調整する目的で、Ba系フェライトまたはSr系フェライトと混合して用いてもよい。これらには、通常用いられているマグネトプランバイト型(M型)結晶構造をとるものの他に、W型結晶構造をとるものもある。
上記の磁石粉末の平均粒径は特に限定されないが、20〜50μmが好ましい。粗大粒はコンパウンドの流動性を損なうのでカットした方が望ましい。凡そ100μm以下が目安となる。これらを満たした上で粒度分布をある程度広く取ると、流動性が向上する。
上記の磁石粉末を他の成分と混合してコンパウンドとし、該コンパウンドを成形して本発明の磁石が製造されるが、使用する樹脂バインダーは磁石粉末の結合剤として働くものであり、樹脂バインダーを構成する樹脂は特に限定されない。該樹脂としては例えば、熱可塑性樹脂である6ナイロン、12ナイロン等が挙げられる。また、所要により2種以上の熱可塑性樹脂を混合して使用しても良い。
前記樹脂バインダーの含有量は、磁石粉末と樹脂バインダーを含めたコンパウンド全体に対する体積比で20%以上、50%以下とする。樹脂バインダーを50%よりも多く充填した場合、ボンド磁石の磁束密度が著しく低下する。逆に、20%より少ないと著しく成形性が低下し所望の成形体が得られない。
また前記コンパウンドを製造するとき、添加物としてカップリング剤、滑剤や安定剤等を使用してもよい。滑剤として一般的に使用されているものには、例えば、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸がある。この滑剤の使用により、金型充填性や離型性が向上するだけでなく、圧縮性が向上して成形体密度も増加する。
上記の磁石粉末、樹脂バインダー等を、例えばナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等の混練機を使用して混合混練し、そして適当な形状、例えばペレット形状に造粒、整粒することにより異方性ボンド磁石用のコンパウンドが製造できる。造粒、整粒にはホットカッター方式やストランドカッター方式を採用し得る。
前記コンパウンドを、配向磁界発生側のダイセット中のキャビティーに必要な強度の磁界が印加できる金型に射出成形することによって、本発明の異方性ボンド磁石を形成する各種部材が得られる。ここで必要となる配向磁界の強さは、射出されるコンパウンドを構成する磁石粉末の特性、特に保磁力に依存して決定される。該配向磁界の強さは、凡そ磁石粉末の保磁力の1.5倍を目安にすれば良い。また、射出成形時のシリンダー温度はボンド磁石の溶融温度以上に、また金型温度は固化温度以下に設定する。一般的には、180〜300℃の範囲内のシリンダー温度で行なわれている。また、金型温度は磁石特性と生産性に影響を及ぼす。この温度が高いと成形時間が長くなり、逆に低いと磁石特性が低下するが、一般的には室温〜120℃の範囲が選択される。
前記ダイセット中のキャビティーにコンパウンドを射出充填する際のゲートは、最終的にリング形状体とした場合に端面となる部位に配置されるのが一般的である。
配向磁界の形成方法は特に限定されず、永久磁石方式、配向コイルによる電磁石方式のいずれでも良い。
また本発明の異方性ボンド磁石は、異なる領域において、それぞれ異なる磁石特性を有する材料を使用することもできる。
本発明の異方性ボンド磁石は、取り扱いを容易にする、ゴミ等の付着を防止する等の目的から一旦脱磁しても良い。そして必要に応じて磁石表面をコーティングし、着磁した後、ローターあるいはステーターに組み込まれ、モーター等に使用され得る。
前記コーティングと前記着磁の順序はどちらが先でも構わない。該コーティングは磁石の錆びを防止するために行なわれるが、磁石粉末に対して樹脂バインダーの量が多い場合には磁石は錆び難いものとなるため、コーティング工程を省略しても構わない。該コーティングの方法には、樹脂をスプレーで塗布する方法、Ni等の金属でメッキする方法等がある。
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明するが、これらの図は本発明をある特定の態様に制限することを意図しない。
図4は、本発明の第1観点に係る異方性ボンド磁石の一態様を図示する。図4で図示する態様の異方性ボンド磁石は4極を有し、該極の各々の中心でリング中心軸Zに沿って縦分割した形状の四つの部材a1〜a4から形成されている。ここで各部材は、該製造の際に、各々の部材中の異方性磁石粉末を、略横断面上において略時計回り周方向D2または略反時計回り周方向D1のうちのいずれか一方向に配向されており、a1およびa3が反時計回り周方向D1に、そしてa2およびa4は時計回り周方向D2に配向されている。そして各々の部材における異方性磁石粉末の配向方向は、部材の略一半分の領域では異方性磁石粉末の配向方向がリング外周面s1からリング内周面s2に向かう方向となり、該部材の略他半分の領域では異方性磁石粉末の配向方向がリング内周面s2からリング外周面s1に向かう方向となっている。そしてa1〜a4の各部材を組み立ててリング形状体が形成されているが、該組み立ては、隣接する部材間で逆方向となるように成されている。
図4で図示される部材a1〜a4を配向するには、具体的には、配向コイルをキャビティーCの外周側に設置し、軟磁性を示す鉄製のヨークなどによって図5で図示するような配向磁場Hを形成すればよい。永久磁石を用いる場合も同様である。
図6は、本発明の第3観点に係る異方性ボンド磁石の一態様を図示する。図6で図示する態様の異方性ボンド磁石は4極を有し、製造すべき異方性ボンド磁石をリング中心軸Zに沿って縦分割した形状の部材であって、該極の部分に対応する四つの極領域部材b1〜b4と、該極に隣接する部分に対応する四つの非極領域部材c1〜c4とから形成されている。ここで、各極領域部材中の異方性磁石粉末は、略横断面上においてリング中心に近づく方向D5またはその反対方向D6のいずれかに配向されているが、b1およびb3とb2およびb4とでは配向方向が異なり、b1およびb3が中心に近づく方向D3に配向されているのに対し、b2およびb4はその逆方向D4に配向されている。また各非極領域部材中の異方性磁石粉末は、略横断面上において時計回り周方向D3または反時計回り周方向D4のうちのいずれかに配向されているが、c1およびc3とc2およびc4とでは配向方向が異なり、c1およびc3が反時計回り周方向D4に配向されているのに対し
、c2およびc4は時計回り方向に周配向D3されている。そして極領域部材b1〜b4および非極領域部材c1〜c4を組み立ててリング形状体が形成されており、極領域部材と非極領域部材とが交互に並び、極領域部材同士の隣り合う部材間および非極領域部材同士の隣り合う部材間で異方性磁石粉末の配向方向が逆方向となっている。
図7は、本発明の第4観点に係る異方性ボンド磁石の一態様を図示する。図7で図示する態様の異方性ボンド磁石は4極を有し、製造すべき異方性ボンド磁石をリング中心軸Zに沿って縦分割した形状の部材であって、該極の部分に対応する四つの極領域部材b1〜b4と、該極に隣接する部分に対応する四つの非極領域部材c1〜c4とから形成されている。ここで、各極領域部材中の異方性磁石粉末は無配向である。また各非極領域部材中の異方性磁石粉末は、略横断面上において時計回り周方向D3または反時計回り周方向D4のうちのいずれかに配向されているが、c1およびc3とc2およびc4とでは配向方向が異なり、c1およびc3が反時計回り周方向D4に配向されているのに対し、c2およびc4は時計回り方向D3に周配向されている。そして極領域部材b1〜b4および非極領域部材c1〜c4を組み立ててリング形状体が形成されており、極領域部材と非極領域部材とが交互に並び、非極領域部材同士の隣り合う部材間で異方性磁石粉末の配向方向が逆方向となっている。
従来であれば、リング形状の磁石の内周面s2に正弦波の磁束密度分布が形成されるよう配向させる場合、配向コイルはダイセット中のリング形状のキャビティーの内側に配置しなければならなかった。しかしながら、本発明の構成とすることによって、配向コイルをキャビティーの内側ではなく外側に配置できることを見出した。これによって、磁石の小型化、薄型化、多極化が可能になる。さらに、異方性化によって磁石特性の向上が著しい。
ここで、図7で図示する本発明の異方性ボンド磁石では、極領域部材b1〜b4を無配向とすることによって、磁石の磁束が完全に閉じた系となる。結果として磁束は外に漏れないために、外見上は等方性磁石と変わらない「擬等方性磁石」となる。従来の異方性磁石の問題点として、完全には脱磁できないためにゴミの付着等によるコンタミの発生があったが、図7で図示する態様の異方性ボンド磁石ではこの問題を解決することができる。クリーンルーム中で組み立ての全工程が行われる程にコンタミを嫌うHDD用のスピンドルモーターを考慮した場合、「擬等方性磁石」としてコンタミ発生を抑制し得ることは著しい利点となる。
本発明の異方性ボンド磁石の製造方法では、予め各部材を製造した後に、それらを組み立てるが、該組み立てを容易にするために、前記リング形状体の中心部の空洞に対応する形状の円柱状治具d1と、該リング形状体を取り囲む円筒状部材d2とを利用することができる。例えば、図4で図示する態様の異方性ボンド磁石の組立では、図8に図示するように、部材a1〜a4を配向方向によりa1およびa3の組とa2およびa4の組に分け、一方の組み、例えばa1およびa3を円柱状治具d1に、また他方の組み、即ちa2およびa4を円筒状治具d2に取り付けられている。そして治具に取り付けた後、円柱状治具d1を円筒状治具d2に挿入することにより、異方性ボンド磁石が組み立てられる。
同様に、図6および図7で図示する態様の異方性ボンド磁石においても、治具d1、d2を利用することができる。これらの態様では、極領域部材b1〜b4および非極領域部材c1〜c4のうち、一方を円柱状部材d1に取り付け、また他方を円筒状部材d2に取り付けることにより、リング形状体を容易に組み立てることができる。
また本発明の異方性ボンド磁石は、製造すべき異方性ボンド磁石を二分割した形状の部材であって、各々、リング形状の端部e1と端部e1より長手方向に延びる幾つかの延長
部e2とからなり、それぞれ異方性磁石粉末を含む二つの部材から製造することもできる。図8で図示する態様の異方性ボンド磁石は、図4に図示され態様のものに対応するが、図4のa1およびa3に相当する部材がその長手方向の端部のリング状部分で結合して一体化されて端部e1と延長部e2とからなる部材となり、また図4のa2およびa4に相当する部材が一体化されて端部e1’と延長部e2’とからなる部材となり、二分割された部材を組み立ててリング形状体を形成することができる。
同様に、図6および図7で図示する態様においても、極領域部材および/または非極領域部材を、端部e1と延長部e2とからなる一体化された部材として、本発明の異方性ボンド磁石を製造することもできる。
こうして製造される本発明の異方性ボンド磁石は、モーターに組み込む前に、着磁して使用することができ、該着磁は例えば、ボンド磁石の内周側s2に正弦波着磁して行われる。
図4で図示する態配向状態の異方性ボンド磁石は、着磁せずにモーターに組み込んで使用しても構わない。しかしながら、実際のモーターの組立工程では、異方性の磁石は取り扱いが困難なために一旦脱磁される。従って着磁工程が必要となる。
また図6で図示する配向状態では、異方性ボンド磁石内部の極性は、極異方性に準じた配向状態となっている。これをさらに着磁ヨークにより、例えば磁石の内側に、図10で図示するような磁場Hで、正弦波の表面磁束密度分布が形成されるよう成形時に付与されたN極とS極に準じて着磁することによって極異方性磁石が得られる。
図7で図示する配向状態では、上記したように「擬等方性磁石」になっているため、磁化されていないように取り扱うことができる。しかしながら、磁石内部の結晶構造は完全に異方性磁石となっており、これをさらに着磁ヨークで、例えば磁石の内側に、図10で図示するような磁場Hで、正弦波の表面磁束密度分布が形成されるように成形時に付与されたN極とS極に準じて着磁することによって極異方性磁石が得られる。
また本発明の異方性ボンド磁石では、極領域aと非極領域bとの割合を任意に変化させることができる。4つの極を設けた場合、例えば図11で図示するように、極領域aの角度αと非極領域bの角度βの関係はα+β=90°となる。この関係を満たす範囲内であれば、角度αおよび角度βは任意であり、該角度に応じて極領域aと非極領域bとの割合が変化する。
また、極領域aと非極領域bとが接する面と異方性ボンド磁石が形成するリング形状体の半径方向とがなす角度を任意に変化させることもできる。即ち、図12で図示した角度θを正および負の方向に変化させることによって、表面磁束密度分布を任意に制御することができる。例えば図13で図示するように、リング形状の磁石の内周面をマグネットアナライザにて測定した結果は、θ=0の場合には太線で示す正弦波よりも多少丸い形状の波形となる。しかしながら、適切な分だけ角度θの値を正の方向に変化させることによって、破線で示すきれいな正弦波の波形が得られる。また、さらにθの値を正の方向に変化させると、細線で示す尖った波形となる。逆に、θの値をの負の方向に変化させることにより、太線よりもさらに丸い波形を得ることができる。
この他に、最終的に得られる異方性ボンド磁石の断面リング形状を同心円とせず、内周のみ、外周のみ、または内周および外周共に楕円とすることによって、磁束密度分布を制御する方法もある。内周を同心円、そして外周を楕円とした二つの極P1およびP2を有する磁石Mの例を図14に図示する。
「発明が解決しようとする課題」で述べたように、モーターのコギングを低く抑えるためには、単に極異方性の磁石を実現するだけでなく、適用するモーターの基本設計に応じて磁石の配向状態を適切に制御しなければならない。このために、上記した各手法を用いることができる。
以下の例で本発明をより詳細に説明するが、これらの例は本発明をある特定の態様に制限することを意図しない。
比較例1
異方性のSm−Fe−N磁石粉末を60体積%、12ナイロンを40体積%と極微量のカップリング剤を混合し、混練機を用いて混練、押出しした。これをストランドカッター方式によって造粒、整粒し、ボンド磁石用ペレット(混合物)を作製した。
このペレットを用いて、射出成形機にて80×10×5mmの板材を射出成形した。このときのシリンダー温度は250℃、金型温度は100℃、および取り出した成形体の冷却方法は空冷とした。また、印加磁場は1200kA/mとした。
得られた板材をB−Hカーブトレーサにてその磁石特性を評価した。最大エネルギー積:(BH)max、残留磁束密度:Br,固有保磁力:iHc、保磁力:bHc、および配向度の結果を表1に示す。
Figure 0004577604
比較例2
上記の比較例1と同じ異方性ボンド磁石用ペレットを用いて、外径:20.0mm、内径:17.5mm、高さ:2.5mmのラジアル異方性ボンド磁石を射出成形した。このときのシリンダー温度は250℃、金型温度は100℃、および取り出した成形体の冷却方法は空冷とした。
射出成形時には、ダイセットの外に配向コイルを設置し、軟鉄製のヨークで金型の軸方向に向けて前後から磁場を流して金型内で衝突させてリング状のキャビティの内周側から外周側に向かう磁場Hを形成した(図15参照。)。印加磁場は1200kA/mとした。
極異方性ボンド磁石を比較対象としなかったのは、このような小型のリング形状磁石を成形するキャビティーの内周側に、8極の極異方配向を施すために必要な磁場を発生し得る永久磁石も、配向コイルも設計する、埋め込むことは不可能であったためである。
次に、これらの成形体を消磁コイルにて一旦消磁した。そして、内周面に8極の極異方性になるように着磁ヨークを用い、パルス磁界を印加して着磁し、比較例2の磁石Mを作製した。
実施例1
上記の比較例1と同じ異方性ボンド磁石用ペレットを用いて、外径:20.0mm、内径:17.5mm、高さ:2.5mmの内周面8極の極異方性ボンド磁石を作製した。
作製においては、磁石を円周方向に8等分し(図16参照。)、各部材を個々に射出成形した。このときのシリンダー温度は250 ℃、金型温度は100℃、および取り出した成形体の冷却方法は空冷とした。
射出成形時には、磁石を成形するキャビティーの外周側に配向コイルを設置し、軟鉄製のヨークによって、各部材について、図16で図示するような方向の磁場Hを形成した。また、印加磁場は1200kA/mとした。
次に、得られた部材を消磁コイルにて一旦消磁した。そして、図16で図示するように部材を組み合わせて一つのリング形状の磁石とした後、内周に8極の極異方性のN極とS極と極性に沿うよう着磁ヨークを用い、パルス磁界を印加して着磁し、実施例1の磁石Mを作製した。
実施例2
上記の比較例1と同じ異方性ボンド磁石用ペレットを用いて、外径:20.0mm、内径:17.5mm、高さ:2.5mmの内周面8極の極異方性ボンド磁石を作製した。
作製においては、磁石を円周方向に16等分し(図17参照。)、各部材を個々に射出成形した。このときのシリンダー温度は250 ℃、金型温度は100℃、および取り出した成形体の冷却方法は空冷とした。
射出成形時には、磁石を成形するキャビティーの外周側に配向コイルを設置し、軟鉄製のヨークによって、各部材について、図17で図示するような円周方向はまた半径方向の磁場Hを形成した。また、印加磁場は1200kA/mとした。
次に、得られた部材を消磁コイルにて一旦消磁した。そして、図17で図示するように部材を組み合わせて一つのリング形状の磁石とした後、着磁ヨークを用いてパルス磁界を印加し、成形時に付与されたN極とS極の極性に準じて、内周に正弦波の磁束密度分布が得られるよう着磁し、実施例2の磁石Mを作製した。
実施例3
上記の比較例1と同じ異方性ボンド磁石用ペレットを用いて、外径:20.0mm、内径:17.5mm、高さ:2.5mmの内周面8極の極異方性ボンド磁石を作製した。
作製においては、磁石を円周方向に16等分し(図18参照。)、各部材を個々に射出成形した。このときのシリンダー温度は250 ℃、金型温度は100℃、および取り出した成形体の冷却方法は空冷とした。
射出成形時には、磁石を成形するキャビティーの外周側に配向コイルを設置し、軟鉄製のヨークによって、各部材について、図18で図示するような半径方向の磁場Hを形成した。また、印加磁場は1200kA/mとした。なお、無配向とする部材の射出成形時には無磁場とした。
次に、得られた部材を消磁コイルにて一旦消磁した。そして、図18で図示するように部材を組み合わせて一つのリング形状の磁石とした後、着磁ヨークを用いてパルス磁界を印加し、成形時に付与されたN極とS極の極性に準じて、内周に正弦波の磁束密度分布が得られるよう着磁し、実施例3の磁石Mを作製した。
そして、実施例1から実施例3および比較例2の磁石の内周の表面磁束密度を測定した。ここで、ホール素子を使用したマグネットアナライザーを用いた。結果を図19に示す。
実施例1から実施例3において、着磁波形がきれいな正弦波や、これよりもとがった形状、丸い形状の波形が得られていることが判る。
これとは逆に、比較例2の着磁波形は矩形波であり、かつそのピーク値は、実施例1から実施例3のいずれのものよりも低い。
図1は、矩形波着磁した磁石中での極性、並びにラジアル異方性磁石中での極性を図示する模式図である。 図2は、内周面に正弦波着磁した磁石中での極性、並びに極異方性(内周側)磁石中での極性を図示する模式図である。 図3は、外周面に正弦波着磁した磁石中での極性、並びに極異方性(外周側)磁石中での極性を図示する模式図である。 図4は、本発明の第1観点に係る異方性ボンド磁石の一態様を図示する斜視図である。 図5は、図4で図示される部材a1〜a4を配向するために形成する配向磁場を図示する模式図である。 図6は、本発明の第3観点に係る異方性ボンド磁石の一態様を図示する斜視図である。 図7は、本発明の第4観点に係る異方性ボンド磁石の一態様を図示する斜視図である。 図8は、図4で図示される異方性ボンド磁石と同様の配向を有し、同じ方向に配向されている部材同士が一体化されている異方性ボンド磁石の一態様を図示する斜視図である。 図9は、図4で図示される異方性ボンド磁石を、各部材が円柱状部材および円筒状部材に取り付けた状態で図示する斜視図である。 図10は、図6および図7で図示する異方性ボンド磁石により形成される磁界を図示する模式図である。 図11は、極領域aおよび非極領域bの比率を決定する角度αおよび角度βを図示する模式図である。 図12は、極領域aと非極領域bとが接する面と異方性ボンド磁石が形成するリング形状体の半径方向とがなす角度θを図示する模式図である。 図13は、図12で図示する角度θの変化による異方性ボンド磁石の内周面の表面磁束密度分布の変化を表すグラフである。 図14は、断面リング形状の内周を同心円、そして外周を楕円とした二つの極を有する磁石を図示する模式図である。 図15は、比較例2の磁石の極性を図示する模式図である。 図16は、実施例1の磁石の極性を図示する模式図である。 図17は、実施例2の磁石の極性を図示する模式図である。 図18は、実施例3の磁石の極性を図示する模式図である。 図19は、実施例1から実施例3と比較例2の磁石内周面の表面磁束密度分布を測定した結果を表すグラフである。
符号の説明
a 部材
b 極領域部材
c 非極領域部材
d 治具
e1 端部
e2 延長部

Claims (3)

  1. 複数の極を有するリング形状の異方性希土類ボンド磁石の製造方法であって、
    異方性希土類磁石粉末と熱可塑性樹脂を含んでなるペレットを前記異方性希土類ボンド磁石の材料として準備する工程と、
    前記準備したペレットを用い、製造すべき異方性希土類ボンド磁石をリング中心軸に沿って縦分割した形状で、極の部分に対応する複数の極領域部材と、極に隣接する部分に対応する複数の非極領域部材とからなる二種類の部材をそれぞれ射出成形し、かつ、該射出成形時に、前記非極領域部材のみに磁場を印加して略横断面上において周方向のいずれかに配向する工程と、
    射出成形した前記複数の非極領域部材と前記複数の極領域部材を脱磁する工程と、
    脱磁した前記複数の極領域部材と前記複数の非極領域部材とを交互に並べ、該非極領域部材同士の隣り合う部材間で異方性希土類磁石粉末の配向方向が逆方向となるように、複数の極領域部材と複数の非極領域部材とを組み立ててリング形状体を形成する工程と
    前記リング形状体を正弦波着磁する工程と、
    からなることを特徴とする異方性希土類ボンド磁石の製造方法。
  2. 複数の極を有するリング形状の異方性希土類ボンド磁石の製造方法であって、
    異方性希土類磁石粉末と熱可塑性樹脂を含んでなるペレットを前記異方性希土類ボンド磁石の材料として準備する工程と、
    前記準備したペレットを用い、製造すべき異方性希土類ボンド磁石を二分割した形状の部材であって、各々、リング形状の端部と該端部より長手方向に延びる幾つかの延長部とからなり、それぞれ異方性希土類磁石粉末を含む二つの部材を射出成形し、かつ、該射出成形時に、二つの部材のうち一方の部材中の前記異方性希土類磁石粉末のみを、略横断面上において、周方向のうちのいずれかに配向する際、該延長部同士の隣り合う部間で前記異方性希土類磁石粉末の配向方向が逆方向となるように前記希土類磁石を配向する工程と、
    射出成形した前記二つの部材を脱磁する工程と、
    製造された二分割された部材を組み立ててリング形状体を形成する工程と、
    前記リング形状体を正弦波着磁する工程と、
    からなる異方性希土類ボンド磁石の製造方法。
  3. 前記リング形状体の当該磁石の内周面から前記異方性希土類ボンド磁石に対して、正弦波着磁を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の異方性希土類ボンド磁石の製造方法。
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