JP4478869B2 - 異方性ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モーター等の回転機器に使用されるリング形状のボンド磁石の製造方法、特に異方性ボンド磁石の製造方法に関する。
従来より、エアコン、洗濯機等の白物家電、自動車の電装機器、レコードプレーヤ等の駆動用に多種多様なモーターが使用されている。近年では、HDD、DVD等の磁気式/光学式記録装置の駆動用、プリンター等のOA機器の制御用、さらにはパソコンや電源装置の冷却用として、さらに多くのモーターが使用されている。
これらのモーターに使用されている永久磁石は、その材料に着目すると、Sr系フェライト、Ba系フェライト等の酸化物系磁石と、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系、Sm−Co系等の希土類金属系磁石とに大別できる。該酸化物系磁石は安価であるが、磁気特性の一つである最大エネルギー積が低いという特徴を有する。これに対して希土類金属系磁石は材料自体が高価であるものの、最大エネルギー積が高いため、年々その使用量は増加している。
また、永久磁石は焼結磁石とボンド磁石とに大別することもできる。該ボンド磁石は磁石材料と樹脂バインダーとを混合したものから成形され、任意の形状に成形できるという特徴を有する。また、焼結磁石は磁石材料と焼結助剤等の添加物を混合して成形した後に焼結してなる。焼結磁石は、ボンド磁石と比較して、形状の自由度は低いが磁気特性に優れたものとなる。しかしながら、上記した記録装置やOA機器に使用する磁石としては、薄肉かつ精密な形状でなければならないこと並びにコストの面から、ボンド磁石が主に使用されている。
このようなボンド磁石の製造方法には圧縮成形、射出成形、および押出成形とがある。
射出成形は、磁石粉末を熱可塑性樹脂からなるバインダーと混合してコンパウンドとする。このコンパウンドを溶かして十分な流動性をもたせた状態にし、その溶融状態のコンパウンドに圧力をかけて小さな吐出口から樹脂の凝固温度以下の金型内に吐出して、金型内のキャビティに送り込み、そのキャビティの形状に固化してボンド磁石とする方法である。射出成形法は磁石組成物に流動性をもたせるために磁石用組成物中の樹脂成分量が圧縮成形に比べて多くなるために磁石成形体の磁気性能は多少低下するものの、形状の自由度は非常に大きい。
押出成形法は、射出成形の場合と同様に磁石粉末を熱可塑性樹脂からなるバインダーと混合してコンパウンドとする。このコンパウンドを溶かして十分な流動性をもたせた状態で金型内で賦形し、かつ冷却固化して所定の形状に成形する方法である。この成形法は、長尺な形状の磁石の製造に好適である。
また永久磁石を、その結晶構造上の磁化容易軸に起因する磁気的配向に着目すると、等方性磁石と異方性磁石とに大別できる。等方性磁石では、磁化容易軸の方向が揃っておらず、配向されていない。しかしながら、この等方性磁石は、製造の容易さ、コストの安さの観点から多用されている。それに対し、異方性磁石とは、磁石を成形する段階で磁化容易軸の方向が揃えられた、つまり配向されたものである。従って、この異方性磁石は、成形時に磁化容易軸の方向を揃えるために配向磁界を印加する必要があるが、配向しているため等方性磁石よりも磁石特性が優れたものとなる。
前記等方性磁石は任意の方向に着磁でき、モーター等に組み込む前に着磁して、該着磁磁界の方向に対応するN極とS極を形成する必要がある。着磁の方法には、磁石表面の磁束密度分布が矩形波になる矩形波着磁と正弦波になる正弦波着磁とがあり、さらに該正弦波着磁には内周面に着磁する場合と外周面に着磁する場合とがある。各着磁方法における磁石中での極性を図1〜3に図示する。図1は矩形波着磁した場合を図示し、図2は内周面に正弦波着磁した場合を図示し、また図3は外周面に正弦波着磁した場合を図示する。
一方、異方性磁石では成形時に配向磁界が加えられ、磁化容易軸の方向に対応してN極とS極とが形成がされており、成形後、さらにこの配向により付与されたN極とS極に極性を合わせて着磁されて磁石として用いられる。この異方性磁石には、ラジアル異方性磁石と極異方性磁石がある。ラジアル異方性磁石中の極性は矩形波着磁した等方性磁石のものと同様であり(図1参照。)、また磁石表面の磁束密度分布も同様に矩形波となる。これに対して極異方性磁石中の極性は正弦波着磁した等方性磁石のものと同様であり(図2および図3参照。)、また磁石表面の磁束密度分布も同様に正弦波となる。さらに、極異方性磁石の場合に、磁石の外周面および内周面のうち、一方の面に沿ってNS極が現れ、それとは逆の面には殆ど磁束が現れない点も正弦波着磁した等方性磁石と同様である。
ところで、ラジアル異方性磁石をモーターに組み込んだ場合、コギングの原因となることが知られている。コギングトルクによる回転ムラは、高密度化が求められている記録媒体用のスピンドルモーターにとって致命的である。しかしながら、ラジアル異方性磁石は極異方性磁石と比較して容易に製造できる利点を有する。
ラジアル異方性の配向を施すためには、リング形状のキャビティに磁場を内周側から外周側に流して配向磁場を形成する必要がある。一般的な横型の磁場中射出成形機では、金型の前後のスペースに電磁石コイルを設け、そこで磁場を発生させて磁気ヨークで集め、金型の軸方向に向けて前後から磁場を流して金型内で衝突させ、リング状のキャビティの内周面から外周面に向けて磁場を流す方法が行われている。該磁場は、金型を支える支柱を通って元の電磁石コイルに戻ることとなる。
対照的に、極異方性磁石はモーターに組み込んだ場合にコギングを低減する。さらに、極異方性磁石は、その磁束密度分布の波形のピーク値が高くなるため有利である。しかしながら、極異方性磁石には製造上の制約が多いという問題がある。さらに、リング磁石を薄肉化することも困難である。これは、例えば内周面着磁の場合、薄肉化により磁束が肉厚中に収まらず、外側に漏れてしまうことから生じる。磁束が漏れてしまうと、極異方性磁石の表面磁束は矩形波に近づき、台形波となってしまう。この対策として、極異方性磁石の外側に磁性材料からなるバックヨークを取付けることが行われているが、該バックヨークに逃げた磁束の分だけロスが生じてしまう。このため、モーターに組み込んだ場合の効率が低下する。
前記極異方性磁石の製造は、外周側に極異方性の配向を施す場合、金型に設けられたリング状キャビティーの外周面にN極とS極とが現れるよう、該キャビティーの外側に永久磁石あるいは配向コイルを埋め込んだ構成の金型を用いて行われる。これとは逆に、内周側に極異方性の配向を施す場合、該キャビティーの内側に永久磁石あるいは配向コイルを埋め込んだ構成の金型を用いて行なわなければならない。
該金型ではキャビティーに極異方性配向磁界が形成されており、そしてボンド磁石の場合には、磁性粉末と樹脂バインダーとからなる溶融したコンパウンドを該金型キャビティー中に射出充填し、冷却後に金型から取り出すことにより、上記した極異方性磁石を製造することができる。
また異方性磁石の磁場形成に関しては、配向コイルによる静磁場を用いる方法(電磁石
方式)、配向コイルによるパルス磁場を用いる方法、および永久磁石による磁気回路を用いる方法(永久磁石方式)がある。これらのうちパルス磁場を用いる方法は、パルス磁場の発生時間内に成形を完了させる必要があるため、圧縮成形には適用されているものの射出成形および押出成形には用いられていない。
従来の極異方性磁石は、フェライト射出成形ボンド磁石またはフェライト焼結磁石で製造されたものがほとんどで、希土類金属系磁石で製造されたものはなかった。その理由は、希土類ボンド磁石では成形工程において、また希土類焼結磁石では焼結工程前の圧粉体成形工程において、成形金型のキャビティー内で磁性粉末を配向させることが困難であったためである。
磁石成形時に金型キャビティー中で磁石粉末を配向させるために印加する磁界は、大きければ大きいほど望ましい。例えば、約800kA/mの非常に高い保磁力を有する異方性のNd−Fe−B系磁石を磁場中で配向させるには、最低でもその1.5倍の約1200kA/m以上の配向磁場が必要と見積もられる。しかしながら、成形しようとする極異方性磁石の寸法および極数、キャビティーに接するスリーブの材質および肉厚、永久磁石または配向コイルもしくは磁気回路を構成するヨーク材の材質、磁気回路を埋め込むために許容される空間の大きさ等により印加し得る磁界の強度は制限を受ける。特に、リング形状の磁石の内周面を配向するためには、ダイセット中のリング形状のキャビティーよりも内周側に銅線を巻いた配向用のコイルを組み込まなければならないが、磁石を完全に配向させるためにコイルの巻き数を多くするか、または大きな電流を流すことで強力な磁場を発生させる必要がある。さらに、配向コイルを内蔵したダイセットは成形時に大きなプレス圧が掛かるため、ある程度の強度を持たせる必要もある。そして、これらの条件を満たすことは従来不可能であった。
希土類金属系磁石の場合、現在使用されているボンド磁石は、異方性磁石よりも磁気特性が劣る等方性磁石が主流である。さらにボンド磁石では樹脂バインダーの介在により磁性相の占める体積比が低くなるため、磁石特性を示すエネルギー積は、焼結磁石や熱間加工磁石の20〜30%程度に止まってしまう。
そこで、希土類ボンド磁石のエネルギー積を改善する手段が種々検討されている。該手段の一つとして、フレキシブル磁石が挙げられる(例えば、特許文献1および2参照。)。フレキシブル磁石とは、異方性の磁石を配向させてフレキシブルなシート状としたもので、モーターに組み付ける際には、シート状の磁石を丸めてリング状とする。しかしながら、磁石シートを丸め、その両端を接合してリング形状にするという複雑な工程が必要となり、さらにはモーターに組み込んだ場合、接合部分が磁場の乱れを起こしてモーター特性を劣化させる惧れがあるという問題もある。
特開2002‐343623公報 特開2003‐318052公報
また、より配向し易い磁石粉末についての検討を行っている例もある(例えば、特許文献3および4参照。)。しかしながら、内周面着磁でかつ多極を有する極異方性磁石について適用することについての示唆はない。
特開2000‐195713公報 特開2000‐195714公報
さらに、極異方性に配向された磁石リングと、ラジアル異方性に配向された磁石リングとを組み合わせて使用することも考案されている(例えば、特許文献5および6参照。)。
特公平7‐1726号公報 特公平7‐1727号公報
HDD、DVD等の磁気式/光学式記録装置の駆動用として、近年使用量が増大しているモーターにアウターローター型のブラシレスDCモーターがある。そしてこれらの装置に対する小型化、高性能化の要求は非常に強い。従って、小型かつ薄型で、高性能な磁石が必要となる。さらにアウターローター型であることからリング形状の磁石の内周面を着磁しなければならなず、また記録装置の記録密度を向上させるためにモーターを高速かつ滑らかに回転させることが要求される。そのため、小型かつ薄型であることに加え、極数を多くすることおよび正弦波に着磁することが求められる。即ち、最も望ましい磁石は、小型かつ薄型で、多極を有する極異方性のものである。
また、インナーローター型のモーターとしては、プリンター等のOA機器の制御用として多用されているステッピングモーターが挙げられる。該ステッピングモーターにおいて、正弦波着磁が可能であればより大きなトルクを得ることができ、また、該ステッピングモーターはDCモーターと比較してコギングが大きいという問題があるが、コギングを低減するためにも極数を多くすることと、正弦波に着磁することは有効である。よってDCモーターの場合と同様、最も望ましいのは、多極を有する極異方性の磁石となる。
但し、モーターのコギングを低く抑えるためには、モーターの逆起電圧定数が「正弦波形状」になることが必要である。磁石を「正弦波形状の磁束密度分布」に近づけると、モーターの逆起電圧定数も「正弦波形状」に近づく傾向にはあるものの、差異は生じる。これは、モーターの基本設計である磁気回路を構成する鉄芯と巻線コイル、そして磁石との兼ね合いによる。このため、単に極異方性の磁石を実現するだけでなく、適用するモーターの基本設計に応じて磁石の配向状態を適切に制御できることが重要となる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、高性能なリング形状の異方性ボンド磁石の製造方法、とりわけ小型かつ薄型で、多極を有する極異方性ボンド磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1観点は、
複数の極を有するリング形状の異方性ボンド磁石を製造する方法であって、
異方性ボンド磁石を、極の部分に対応する極領域と、該極領域と隣接する非極領域とに区分し、
該極領域および該非極領域を2段階で射出成形して1つのリング形状を成形し、
射出成形時に、該極領域および該非極領域の一方を円周方向に配向し、他方をラジアル方向に配向することを特徴とする異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第2観点は、
複数の極を有するリング形状の異方性ボンド磁石を製造する方法であって、
異方性ボンド磁石を、極の部分に対応する極領域と、該極領域と隣接する非極領域とに区分し、
該極領域および該非極領域とを2段階で射出成形して1つのリング形状を成形し、
射出成形時に、該極領域および該非極領域の一方を円周方向に配向し、他方を無配向とすることを特徴とする異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第3観点は、
前記非極領域は互いに結合していることを特徴とする、第1または第2観点に記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第4観点は、
前記異方性ボンド磁石は、前記極の数の2倍の数の領域に区分されていることを特徴とする、第1または第2観点に記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第5観点は、
前記異方性ボンド磁石は、前記極の数+1の数の領域に区分されていることを特徴とする、第1または第2観点に記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第6観点は、
前記異方性ボンド磁石の断面リング形状が同心円でなく、内周のみ、外周のみ、または内周および外周共に楕円であることを特徴とする、
第1ないし第5観点のうちいずれか一つに記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第7観点は、
前記異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系、Sm−Co系のいずれか1種または2種以上の希土類金属系磁石であることを特徴とする、第1ないし第6観点のうちのいずれか一つに記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第8観点は、
前記異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、Ba系フェライト、Sr系フェライトのいずれか1種または2種の酸化物系磁石であることを特徴とする、第1ないし第6観点のうちのいずれか一つに記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第9観点は、
前記異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系またはSm−Co系の希土類金属系磁石と、Ba系フェライトまたはSr系フェライトの酸化物系磁石との混合物からなることを特徴とする、第1ないし第6観点のうちのいずれか一つに記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第10観点は、
バックヨークと一体成形することを特徴とする、第1ないし第9観点のうちのいずれか一つに記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明の第11観点は、
ローターまたはステーターと一体成形することを特徴とする、第1ないし第9観点のうちのいずれか一つに記載の異方性ボンド磁石の製造方法
である。
本発明によれば、極領域と非極領域に区分してリンク形状の異方性ボンド磁石を2段階に分けて成形し、かつ各々の領域の配向と形状を適切に制御することによって、小型かつ薄型で、多極の極異方性ボンド磁石を、比較的容易かつ安価に製造できる方法を提供することができる。
本発明により製造された異方性ボンド磁石は、リング状の円周方向に多数のN極とS極とが極異方性に配向しているため、永久磁石型モーター用の永久磁石として特に有効である。
本発明の製造方法により成形された異方性ボンド磁石は、モーターの基本設計に応じて
、磁石材質の性能を最大限に引き出し、最適な極異方性の配向を施すことができるため、その工業的価値はきわめて大きい。
本発明の異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、Nd−Fe−B系希土類磁石、Sm−Fe−N系希土類磁石、Sm−Co系希土類磁石、Ba系フェライト磁石、Sr系フェライト磁石のいずれでも良く、またこれらを二種以上を組み合わせて使用しても良い。
具体的に言うと、Nd−Fe−B系には、Nd2Fe14Bの他、Nd2Fe14Bとα−Feとのナノコンポジット磁石、Nd2Fe14BとFe3Bとのナノコンポジット磁石がある。Sm−Fe−N系には、Sm2Fe173とSmFe91.5とがある。Sm−Co系には、SmCo5とSm2Co17とがある。いずれの磁石においても、CoまたはFeを同じ鉄族元素(Fe、Co、Ni)で置換したものや、NdまたはSmを同じ希土類金属元素(Yを含む)で置換したものも含まれる。これらの中で、Nd−Fe−B系の磁石のが最も優れた磁石特性を示すものの、耐熱性や耐食性に劣る。このために、Sm−Fe−N系やSm−Co系の磁石が用いられる用途も多い。
さらに本発明の異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、上記した希土類磁石に、必要に応じてBa系フェライト磁石またはSr系フェライト磁石を混合して用いてもよい。これらの酸化物系磁石には、通常用いられているマグネトプランバイト型(M型)結晶構造をとるものの他に、W型結晶構造をとるものもある。本発明の製造方法では、希土類金属系磁石を用いた場合において最も大きな効果が得られるが、酸化物系磁石を用いた場合においても、本発明の製造方法の効果を得ることが可能である。特に、希土類金属系磁石の磁石特性を調整するために、一部酸化物系磁石と混合して用いても良い。
希土類金属系磁石と酸化物系磁石の混合比によって、最終的に得られる異方性ボンド磁石の磁石特性と重さを制御することができるので、特にリング形状の磁石をモーターのローターに組み込んで使用する場合、このローターのイナーシャ(慣性)の設計に自由度を与えることができる。
本発明の製造方法は、希土類金属系磁石を用いた場合においてもっと大きな効果が得られるが、酸化物系磁石を用いた場合においても、本発明の製造方法の効果を得ることができる。
さらに、磁石特性や配向等を制御する目的で、必要に応じて等方性と異方性の磁石粉末を組み合わせても構わない。例えば、円周方向に配向する領域に異方性の磁石粉末を用い、無配向とする領域に等方性の磁石粉末を用いることができる。従って、異方性のボンド磁石を得るためには、必ずしもその磁石粉末全てを異方性のものとしなければならない訳ではない。しかしながら、異方性のボンド磁石を得るためには、基本的には異方性の磁石粉末を使用しなければならず、必ず1種以上は異方性磁石粉末を使用する必要がある。
本発明の異方性ボンド磁石では、極領域と非極領域とを各々異なる磁石特性をもった材料で成形する、所謂二色成形を行うことができる。極異方性に配向する困難さの一つとして、磁束がマグネットの外に逃げやすいことが挙げられるが、例えば円周方向に配向する領域に残留磁束密度の高い材料を用いることにより、異方性化の効果と併せて非常に高い磁束密度を得ることができる。そしてこの高い磁束密度のために、磁束がマグネットの外に逃げることを防止できる。
本発明で使用する磁石粉末の平均粒径は特に限定されないが、20〜50μmが好ましい。粗大粒はコンパウンドの流動性を損ねるためカットした方が望ましい。おおよそ、100μm以下が目安となる。これらを満たした上で、かつ粒度分布をある程度広く取ると、流動性が向上する。
本発明で使用する樹脂バインダーは磁石粉末の結合材として働くものであり、樹脂バインダーを構成する樹脂は特に限定されない。該樹脂としては例えば、熱可塑性樹脂である
6ナイロン、12ナイロン等が挙げられる。また、所要により2種以上の熱可塑性樹脂を混合して使用しても良い。
樹脂バインダーの含有量は、磁石粉末と樹脂バインダーとを含むコンパウンド全体に対する体積比で20%以上、50%以下である。樹脂バインダーを50%よりも多く充填すると、異方性ボンド磁石の磁束密度が著しく低下し、また逆に20%より少ないと、異方性ボンド磁石の成形性が著しく低下して所望の成形体が得られない。
また前記コンパウンド中に添加剤としてカップリング剤、滑剤、安定剤等を添加すると、さらにコンパウンドの加熱流動性が向上し成形性や磁気特性が向上する。滑剤として一般的に使用されているものに、例えば、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸がある。金型充填性や離型性が向上するだけでなく、圧縮性が向上して成形体密度も増加する。
本発明の異方性ボンド磁石の製造方法では、磁石粉末、樹脂バインダー等を、例えばナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して混合混練する。そして適当な形状、例えばペレット形状に造粒、整粒することによって異方性ボンド磁石用のコンパウンドを得る。造粒、整粒にはホットカッター方式やストランドカッター方式を採用し得る。
前記コンパウンドを、配向磁界発生側のダイセット中のキャビティーに必要な強度の磁界が印加できる金型に射出成形することによって本発明の異方性ボンド磁石が得られる。ここで必要となる配向磁界の強さは、射出されるコンパウンドを構成する磁石粉末の特性、特に保磁力に依存して決定される。該配向磁界の強さは、凡そ磁石粉末の保磁力の1.5倍を目安にすれば良い。また、射出成形時のシリンダー温度はボンド磁石の溶融温度以上に、また金型温度は固化温度以下に設定する。該シリンダー温度は樹脂バインダーの材質、磁石粉末の粒度、樹脂バインダーと磁石粉末の混合比等に依存して決定されるが、一般には180〜300℃の範囲内である。また、該金型温度は磁石特性と生産性に影響を及ぼす。金型温度が高いと成形時間が長くなり、逆に低いと磁石特性が低下してしまうので、一般に室温〜120℃の範囲が選択される。
前記ダイセット中のキャビティーにコンパウンドを射出充填する際のゲートは、リング状磁石の端面に配置されるのが一般的である。ここで本発明の異方性ボンド磁石のゲートは、最終的に得られる極の数の2倍の点数を有する多点ゲートであることが望ましい。しかしながら、ゲート数は必ずしもこれに限定されない。
配向磁界の発生方法は特に限定されず、永久磁石方式、配向コイルによる電磁石方式のいずれでも良い。しかしながら本発明の異方性ボンド磁石の製造方法では2段階に分けて射出成形し、各段階で印加する磁界が異なるため、各段階で磁界を切り替えできることから配向コイルによる電磁石方式がより好ましい。但し、一方の領域を無配向とする場合には、二段階の射出工程のうち無配向な領域を成形する際には磁界を印加する必要はない。
本発明の異方性ボンド磁石の製造方法では、バックヨークを使用するモーターに磁石を供する場合、あらかじめバックヨークをダイセットのキャビティー中に入れておき、ここに異方性ボンド磁石を射出成形することによって、一体成形する方法もある。
さらに本発明の異方性ボンド磁石の製造方法では、ローターまたはステーターをダイセットのキャビティー中に入れておき、ここに異方性ボンド磁石を射出成形することによって、ローターまたはステーターと異方性ボンド磁石とを一体成形することもできる。
これらの方法によれば、磁石とバックヨーク、磁石とローター、または磁石とステーターとの嵌め合いのバラツキが減少し、また組み立て作業およびコストを削減できる。この
ように一体成形したバックヨーク、ローター、またはステーターと異方性ボンド磁石とをモーターに組み込むことによって、モーターの組み立て精度が向上すると共に、組み立て作業およびコストを削減できる。例えば、HDDやDVD等の記録装置用ブラシレスDCモーターでは、記録密度を上げるために、振動等を極力排除しなければならない。このためには、磁石に多極に着磁することと、極異方性に着磁することに加え、磁石の寸法精度が求められる。さらには、磁石とローター、さらにはシャフト等、個々の部品の精度と嵌め合い精度が非常に重要になる。このため、射出成形により磁石とローターを一体成形する意味は非常に大きい。これは、プリンター等の制御に用いられるステッピングモーター等についても同様である。
本発明により製造された異方性ボンド磁石は、取り扱いを容易にする、ゴミ等の付着を防止する等の目的から一旦脱磁しても良い。そして必要に応じて磁石表面をコーティングし、着磁した後、ローターあるいはステーターに組み込まれ、モーター等に使用され得る。
前記コーティングと前記着磁の順序はどちらが先でも構わない。該コーティングは磁石の錆びを防止するために行なわれるが、磁石粉末に対して樹脂バインダーの量が多い場合には磁石は錆び難いものとなるため、コーティング工程を省略しても構わない。該コーティングの方法には、樹脂をスプレーで塗布する方法、Ni等の金属でメッキする方法等がある。
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明するが、これらの図は本発明をある特定の態様に制限することを意図しない。
図4は、4つの極を有するリング形状の異方性ボンド磁石を図示する。異方性ボンド磁石1は該極の部分に対応する極領域aと、極領域aと隣接する非極領域bとに区分されており、異方性ボンド磁石1は全体として極の数の2倍の数、即ち8つの領域に区分されている。そして本発明の製造方法では、極領域aおよび非極領域bを2段階で射出成形して1つのリング形状を成形するが、例えば、4つの非極領域bを射出成形した後、それらの間に残る4つの極領域aを射出成形する。射出成形の順序は逆でも構わない。
図5は、図4で図示するリング形状の異方性ボンド磁石において、非極領域bを円周方向に配向し、極領域aをラジアル方向に配向した異方性ボンド磁石の磁界を図示する。従来であれば、リング形状の磁石の内周面に正弦波の磁束密度分布が形成されるよう配向させる場合、配向コイルをダイセット中のリング形状のキャビティーの内側に配置する必要があった。しかしながら、本発明では配向コイルをキャビティーの外側に配置することができ、これにより磁石の小型化、薄型化、多極化が可能になる。さらには、異方性化により、磁石特性も著しく向上する。
また図6は、図4で図示するリング形状の異方性ボンド磁石において、非極領域bを円周方向に配向し、極領域aを無配向とした異方性ボンド磁石の磁界を図示する。このように着磁した場合にも、配向コイルをキャビティーの外側に配置でき、磁石の小型化、薄型化、多極化、磁石特性の向上が図られる。
図8は、4つの極を有するリング形状の異方性ボンド磁石の他の態様を図示する。この態様では、異方性ボンド磁石1は極の部分に対応する極領域aと、極領域aと隣接する非極領域bとに区分されており、そして非極領域bは互いに結合して一つの領域となっている。従って、異方性ボンド磁石1は全体として極の数の+1の数の領域、即ち5つの領域に区分されている。
図9は、図8で図示するリング形状の異方性ボンド磁石において、非極領域bを円周方向に配向し、極領域aをラジアル方向に配向した異方性ボンド磁石の磁界を図示する。また図10は、図8で図示するリング形状の異方性ボンド磁石において、非極領域bを円周方向に配向し、極領域aを無配向とした異方性ボンド磁石の磁界を図示する。
ここで、図6および図10で図示した態様では、極領域aを無配向とすることによって、異方性ボンド磁石1の磁束は完全に閉じた系となる。結果として、異方性ボンド磁石1の磁束は外に漏れず、外見上は等方性磁石と変わらない「擬等方性磁石」となる。従来の異方性磁石の問題点として、完全に脱磁できないためにゴミの付着等によるコンタミの発生があったが、図6および図10で図示した態様の異方性ボンド磁石1ではこの問題を解決することができる。クリーンルーム中で組み立ての全工程が行われる程にコンタミを嫌うHDD用のスピンドルモーターを考慮した場合、「擬等方性磁石」としてコンタミ発生を抑制し得ることは著しい利点となる。
また、図6および図10で図示した態様とは逆に、極領域aをラジアル方向に配向し、非極領域を無配向としてもかまわない。ここで配向する領域と無配向の領域とを同一のコンパウンドで成形しても良いし、異なるコンパウンドを使用し、所謂二色成形としても良い。
以上、図4から図10を用いて本発明1から本発明5の製造方法に射出成形を用いる旨、説明してきた。しかしながら、長尺なリング形状の磁石を得たい場合、この射出成形に準じて押出成形を用いても構わない。
本発明の異方性ボンド磁石1は、モーターに組み込む前に着磁して使用することができる。図5および図9に図示する配向状態では、異方性ボンド磁石1内部の極性は、極異方性に準じた配向状態となっている。これをさらに着磁ヨークにより、例えば磁石の内側に、図7および図11に図示するように、正弦波の磁束密度分布が形成されるよう成形時に付与されたN極とS極に準じて着磁することによって極異方性磁石が得られる。
また図6および図10で図示した配向状態では、上記したように「擬等方性磁石」になっているため、磁化されていないように取り扱うことができる。しかしながら、磁石内部の結晶構造は完全に異方性磁石となっており、これをさらに着磁ヨークで、例えば磁石の内側に、図7および図11に図示するような、正弦波の磁束密度分布が形成されるように成形時に付与されたN極とS極に準じて着磁することによって極異方性磁石が得られる。
また本発明の異方性ボンド磁石1では、極領域aと非極領域bとの割合を任意に変化させることができる。4つの極を設けた場合、例えば図12に図示するように、極領域aの角度αと非極領域bの角度βの関係はα+β=90°となる。この関係を満たす範囲内であれば、角度αおよび角度βは任意であり、該角度に応じて極領域aと非極領域bとの割合が変化する。
また、極領域aと非極領域bとが接する面と異方性ボンド磁石1が形成するリング形状の半径方向とがなす角度を任意に変化させることもできる。即ち、図13に図示した角度θを正および負の方向に変化させることによって、表面磁束密度を任意に制御することができる。例えば図14に図示するように、リング形状の磁石の内周面をマグネットアナライザにて測定した結果は、θ=0の場合には太線で示す正弦波よりも多少丸い形状の波形となる。しかしながら、適切な分だけ角度θの値を正の方向に変化させることによって、破線で示すきれいな正弦波の波形が得られる。また、さらにθの値を正の方向に変化させると、細線で示す尖った波形となる。逆に、θの値をの負の方向に変化させることにより、太線よりもさらに丸い波形を得ることができる。
この他に、最終的に得られる異方性ボンド磁石の断面リング形状を同心円とせず、内周
のみ、外周のみ、または内周および外周共に楕円とすることによって、磁束密度分布を制御する方法もある。
「発明が解決しようとする課題」で述べたように、モーターのコギングを低く抑えるためには、単に極異方性の磁石を実現するだけでなく、適用するモーターの基本設計に応じて磁石の配向状態を適切に制御しなければならない。このために、上記した各手法を用いることができる。
ところで、図5、図6、図9および図10に図示する異方性ボンド磁石1において、例えば非極領域bを異方性磁場中で射出成形した後に極領域aを射出成形する場合、極領域aの成形時に非極領域bにより形成される磁場が無視し得なくなる惧れがある。しかしながら、先に形成された非極領域bが生じる磁場を打ち消すように外部から磁場を印加すること、および/または、前記角度θの大きさを極領域aの両端で異なるように設定して磁場を調整することにより、この問題を解決することができる。これら二つの方法は、磁石や配向条件、配向コイル等に応じて適宜選択して使用し得る。また逆に、無配向の領域を射出成形した後に他方の領域を異方性磁場中で射出成形する場合には、この問題は生じない。
以下の例で本発明をより詳細に説明するが、これらの例は本発明をある特定の態様に制限することを意図としない。
実施例
異方性のNd−Fe−B磁石粉末並びに異方性のSm−Fe−N磁石粉末をそれぞれ60体積%、12ナイロンを40体積%と極微量のカップリング剤を混合し、混練機を用いて混練、押出しした。これをストランドカッター方式によって造粒、整粒し、ボンド磁石用ペレット(混合物)を作製した。
このペレットを用いて、射出成形機にて80×10×5mmの板材を射出成形した。ここで、印加する異方性磁場をパラメータとした。また、シリンダー温度は250℃、金型温度は100℃、および取り出した成形品の冷却方法は空冷とした。
得られた板材を10×10×5mmにカットして測定試料1から測定試料5(Nd−Fe−B磁石)、および測定試料6から測定試料10(Sm−Fe−N磁石)とした。B−Hカーブトレーサにてそれらの磁石特性を評価した。印加した磁場と、測定した最大エネルギー積:(BH)max、残留磁束密度:Br、固有保磁力:iHc、保磁力:bHc、および配向度の結果を表1に示す。
1200kA/mの磁場中で射出成形すると、いずれの磁石粉末を用いたボンド磁石(測定試料4および測定試料9)も磁石特性がほぼ飽和していることが判る。無磁場で射出成形した場合に比べて、磁石特性が著しく向上し、異方性化した効果が十分に示された。
Figure 0004478869
上記のうち、Sm−Fe−N磁石粉末の異方性ボンド磁石用ペレットを用いて、外径:20.0mm、内径:17.5mm、高さ:2.5mmの内周面8極の極異方性ボンド磁石を射出成形した。このときの印加磁場は1200kA/mとした。また、シリンダー温度は250℃、金型温度は100℃、および取り出した成形品の冷却方法は空冷とした。
ダイセットは2系統の配向コイルを磁石の外周側に設置した構造とした。ここで、2段階にて射出成形するため、2段目に射出する領域は、1段目の射出時は塞いでおくよう、スライドする部材でマスクしておく。1段目に射出する領域1はラジアル方向に配向、あるいは無配向とした。また、二段目に射出する領域2は円周方向に配向した。そして、領域1の配向の有無と、角度:α、βおよびθをパラメータとして本発明1から本発明5を得た。図15、図16および表2に詳細を示す。
次に、これらの成形体を消磁コイルにて一旦消磁した。そして、内周に8極の極異方性になるように着磁ヨークを用い、パルス磁界を印加して着磁した。このとき、配向時のN極とS極の極性に準じて、内周に正弦波の磁束密度分布が得られるよう着磁し、本発明1から本発明5の磁石を得た。
Figure 0004478869
同じく上記のうち、Sm−Fe−N磁石粉末の異方性ボンド磁石用ペレットを用いて、外径:20.0mm、内径:17.5mm、高さ:2.5mmのラジアル異方性ボンド磁石を射出成形した。このときの印加磁場は1200kA/mとした。また、シリンダー温度は250℃、金型温度は100℃、および取り出した成形品の冷却方法は空冷とした。このとき、ダイセットの外に配向コイルを設置し、軟鉄製のヨークで金型の軸方向に向けて前後から磁場を流して金型内で衝突させてリング状のキャビティの内周側から外周側に
向かう磁場を形成した。
極異方性ボンド磁石を比較試料としなかったのは、このような小型のリング形状磁石の内周に、8極の極異方配向を施すために必要な磁場を発生し得る永久磁石も、配向コイルも、ダイセット中のリング形状のキャビティー内に設計する、埋め込むことは不可能であったためである。
次に、リング形状の磁石を消磁コイルにて一旦消磁した。そして、内周に8極のラジアル異方性のN極とS極と極性に沿うよう着磁ヨークを用い、パルス磁界を印加して着磁し、比較例1の磁石を作製した。
そして、本発明1から本発明5と比較例1の磁石の内周の表面磁束密度を測定した。ここで、ホール素子を使用したマグネットアナライザーを用いた。結果を図17に示す。本発明1から本発明5において、角度:α、β、θを振ることによって、着磁波形がきれいな正弦波や、これよりもとがった形状、丸い形状の波形が得られていることが判る。
これとは逆に、比較例1の着磁波形は矩形波であり、かつそのピーク値は、本発明1から本発明5のいずれのものよりも低い。
図1は、矩形波着磁した磁石中での極性、並びにラジアル異方性磁石中での極性を図示する模式図である。 図2は、内周面に正弦波着磁した磁石中での極性、並びに極異方性(内周側)磁石中での極性を図示する模式図である。 図3は、外周面に正弦波着磁した磁石中での極性、並びに極異方性(外周側)磁石中での極性を図示する模式図である。 図4は、4つの極を有するリング形状の異方性ボンド磁石を図示する模式図である。 図5は、図4で図示する異方性ボンド磁石において、非極領域bを円周方向に配向し、極領域aをラジアル方向に配向した異方性ボンド磁石中での極性を図示する模式図である。 図6は、図4で図示する異方性ボンド磁石において、非極領域bを円周方向に配向し、極領域aを無配向とした異方性ボンド磁石中での極性を図示する模式図である。 図7は、図4で図示する異方性ボンド磁石により形成される磁界を図示する模式図である。 図8は、4つの極を有するリング形状の異方性ボンド磁石の他の態様を図示する模式図である。 図9は、図8で図示する異方性ボンド磁石において、非極領域bを円周方向に配向し、極領域aをラジアル方向に配向した異方性ボンド磁石中での極性を図示する模式図である。 図10は、図8で図示する異方性ボンド磁石において、非極領域bを円周方向に配向し、極領域aを無配向とした異方性ボンド磁石中での極性を図示する模式図である。 図11は、図8で図示する異方性ボンド磁石により形成される磁界を図示する模式図である。 図12は、極領域aおよび非極領域bの比率を決定する角度αおよび角度βを図示する模式図である。 図13は、極領域aと非極領域bとが接する面と異方性ボンド磁石1が形成するリング形状の半径方向とがなす角度θを図示する模式図である。 図14は、図13で図示する角度θの変化による異方性ボンド磁石の内周面の表面磁束密度分布の変化を表すグラフである。 図15は、実施例における角度α、β、θを図示する模式図である。 図16は、実施例における領域1および2を図示する模式図である。 図17は、実施例1から実施例5と比較例1の磁石内周面の表面磁束密度分布を測定した結果を表すグラフである。
符号の説明
a 極領域
b 非極領域

Claims (11)

  1. 複数の極を有するリング形状の異方性ボンド磁石を製造する方法であって、
    異方性ボンド磁石を、極の部分に対応する極領域と、該極領域と隣接する非極領域とに区分し、
    該極領域および該非極領域を2段階で射出成形して1つのリング形状を成形し、
    射出成形時に、該極領域および該非極領域の一方を円周方向に配向し、他方をラジアル方向に配向することを特徴とする異方性ボンド磁石の製造方法。
  2. 複数の極を有するリング形状の異方性ボンド磁石を製造する方法であって、
    異方性ボンド磁石を、極の部分に対応する極領域と、該極領域と隣接する非極領域とに区分し、
    該極領域および該非極領域とを2段階で射出成形して1つのリング形状を成形し、
    射出成形時に、該極領域および該非極領域の一方を円周方向に配向し、他方を無配向とすることを特徴とする異方性ボンド磁石の製造方法。
  3. 前記非極領域は互いに結合していることを特徴とする、請求項1または2に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
  4. 前記異方性ボンド磁石は、前記極の数の2倍の数の領域に区分されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
  5. 前記異方性ボンド磁石は、前記極の数+1の数の領域に区分されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
  6. 前記異方性ボンド磁石の断面リング形状が同心円でなく、内周のみ、外周のみ、または内周および外周共に楕円であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
  7. 前記異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系、Sm−Co系のいずれか1種または2種以上の希土類金属系磁石であることを特徴とする、請求項1ないし6のうちのいずれか一項に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
  8. 前記異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、Ba系フェライト、Sr系フェライトのいずれか1種または2種の酸化物系磁石であることを特徴とする、請求項1ないし6のうちのいずれか一項に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
  9. 前記異方性ボンド磁石を構成する磁石粉末は、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系またはSm−Co系の希土類金属系磁石と、Ba系フェライトまたはSr系フェライトの酸化物系磁石との混合物からなることを特徴とする、請求項1ないし6のうちのいずれか一項に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
  10. 前記異方性ボンド磁石をバックヨークと一体成形することを特徴とする、請求項1ないし9のうちのいずれか一項に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
  11. 前記異方性ボンド磁石をローターまたはステーターと一体成形することを特徴とする、請求項1ないし9のうちのいずれか一項に記載の異方性ボンド磁石の製造方法。
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