JP2002190421A - 樹脂磁石成形物及びその製造方法 - Google Patents

樹脂磁石成形物及びその製造方法

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JP2002190421A JP2001216149A JP2001216149A JP2002190421A JP 2002190421 A JP2002190421 A JP 2002190421A JP 2001216149 A JP2001216149 A JP 2001216149A JP 2001216149 A JP2001216149 A JP 2001216149A JP 2002190421 A JP2002190421 A JP 2002190421A
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resin magnet
magnet
magnetic powder
molding
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Eiji Ofuku
英治 大福
Kota Kono
耕太 河野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融時の流動性に優れ、磁性粉の充填量を多
くしても良好な溶融流動性を維持し得、成形加工性を低
下させることなく成形物の高磁力化を達成することがで
きる樹脂磁石用成形物を提供すること。 【解決手段】 樹脂バインダーに磁性粉とヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤とを配合した樹脂磁石用組成物を
120〜180℃の温度で所望の形状に成形してなる樹
脂磁石成形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂磁石成形物に
関するもので、特に、電子写真装置や静電気録装置等に
用いられるマグネットローラなどの高磁力を要求される
樹脂磁石成形物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、複写機、プリンタ等の電子写
真装置や静電記録装置などにおいて、感光ドラム等の潜
像保持体上の静電潜像を可視化する現像ローラとして、
回転するスリーブ内に、樹脂磁石により成形され、所定
の磁化パターンが着磁されたマグネットローラを配設
し、上記磁化パターンに従って、磁性現像剤(磁性トナ
ー)をスリーブ表面に吸い上げて搬送した後、上記磁性
トナーを上記潜像保持体上に飛翔させるいわゆるジャン
ピング現象によって、潜像保持体表面の静電潜像上に磁
性トナーを供給し、可視化する現像方法が知られてい
る。
【0003】上記マグネットローラは、熱可塑性樹脂の
バインダーに磁性粉体を混合した樹脂磁石用組成物を、
周囲に磁場を形成した金型を用いて射出成形又は押出成
形することによって、ローラ状に成形すると共に、マグ
ネットローラの表面の磁力が所望の磁化パターンになる
ように着磁させることにより、製造されている。
【0004】また、近年の電子写真装置等の進歩に伴っ
て、マグネットローラに対してもより複雑な磁化パター
ンが要求される傾向にあり、この要求に応えるため、目
的とする磁化パターンに応じた磁極を着磁させた複数の
マグネット片を上記樹脂磁石用組成物で成形し、これら
をシャフトの周囲に貼り合わせることにより所望の磁力
パターンを構成することも行なわれている。
【0005】このような、マグネットローラを得るため
の樹脂磁石用組成物としては、フェライトや希土類磁石
等の磁性粉をポリアミド−6,ポリアミド−12等のポ
リアミド樹脂やポリプロピレンなどからなる樹脂バイン
ダー中に混合分散したものが従来から用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
OA機器の高度化、高速度化、高精度化などに伴ってマ
グネットローラの高磁力化に対する要求が高まってきて
おり、また他の分野においても樹脂磁石の高磁力化につ
いては常に要求されているところである。
【0007】この要求に応えるため、マグネットローラ
等を構成する樹脂磁石用組成物のフェライト磁性粉の充
填量を多くする方法が考えられるが、フェライト磁性粉
の充填量を多くすると、樹脂磁石用組成物の溶融時の流
動性が低下し、成形加工性が著しく低下し、得られる成
形物に磁力のばらつきや寸法精度の低下といった問題が
生じることとなる。このため、磁性粉の充填量はおのず
から制限され、高磁力化の要求を満足させるに十分な量
の磁性粉を充填することができないのが現状である。
【0008】また、上記フェライト磁性粉に代えて、希
土類磁性合金粉末を用いることにより、高磁力化を図る
ことも可能であるが、この場合でも十分な磁力を得るに
は溶融流動性の低下を良好に防止するには至らず、特に
小型のマグネットローラを作製しようとする場合には、
樹脂磁石用組成物が型内に十分に充填されず、ショート
ショットとなるため、成形不良になるという問題が生じ
ることとなる。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、溶融時の流動性に優れ、磁性粉の充填量を多くして
も良好な溶融流動性を維持し得、成形加工性を低下させ
ることなく成形物の高磁力化を達成することができる樹
脂磁石成形物及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく、成形材料への添加剤及び成形条件に着目
して別途に検討を重ねた結果、樹脂バインダーに磁性粉
を混合分散した成形材料の樹脂磁石用組成物に、所定量
のヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加すると共
に、この樹脂磁石用組成物を120〜180℃の温度で
成形することにより、成形時の流動性が改善され、寸法
精度が高く、表面磁力のバラツキの少ない磁化性能に優
れた樹脂磁石成形物が得られることを見出し、本発明を
完成した。
【0011】従って、本発明は、 1.樹脂バインダーに磁性粉とヒンダードフェノール系
酸化防止剤とを配合した樹脂磁石用組成物を120〜1
80℃の温度で所望の形状に成形してなることを特徴と
する樹脂磁石成形物、 2.上記磁性粉が、希土類磁性合金粉末である1記載の
樹脂磁石成形物、 3.上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量
を、樹脂バインダーと磁性粉との総量に対して、0.1
〜5重量%とした1または2記載の樹脂磁石成形物、 4.射出成形法により成形したものである1〜3のいず
れかに記載の樹脂磁石成形物、 5.成形物が、電子写真プロセスにおける現像操作に用
いられるマグネットローラである1〜4のいずれかに記
載の樹脂磁石成形物、 6.樹脂バインダーに磁性粉及びヒンダードフェノール
系酸化防止剤を混合分散した樹脂磁石用組成物を、成形
金型を用いて成形する際に、120〜180℃の金型温
度にて成形するようにしたことを特徴とする樹脂磁石成
形物の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく
説明する。本発明にかかる樹脂磁石成形物は、上述のよ
うに、樹脂バインダーに磁性粉とヒンダードフェノール
系酸化防止剤とを配合した樹脂磁石用組成物を120〜
180℃の温度で所望の形状に成形してなるものであ
る。
【0013】上記樹脂バインダーとしては、ポリアミド
樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート
樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(P
BT)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレ
ンエチルアクリレート樹脂(EEA)、エポキシ樹脂、
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVO
H)、ポリプロピレン樹脂(PP),ポリエチレン,ポ
リエチレン共重合体等のポリオレフィンや、これらポリ
オレフィンの構造中に無水マレイン酸基,カルボキシル
基,ヒドロキシル基,グリシジル基等の反応性を持つ官
能基を導入した変性ポリオレフィン等の種々の熱可塑性
樹脂が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わ
せて用いることができるが、特に本発明においては、ポ
リアミド−6、ポリアミド−12、ポリアミド−66、
ポリアミド−11、ポリアミド−46などのポリアミド
系樹脂が好ましく用いられ、中でも、ポリアミド−1
2、ポリアミド−6が特に好ましく用いられる。
【0014】なお、上記樹脂バインダーには、溶融時の
流動性をより一層向上させる目的で、重合脂肪酸系ポリ
アミドを配合してもよい。このような重合脂肪酸系ポリ
アミドとしては、特に限定されるものではないが、特に
下記式(1)に示されるものが好ましく用いられる。
【0015】
【化1】 [式中、R1はHOOC(CH2nCOOH(n=7又
はn=8)、Cmはジアミン残鎖(m=2〜20)、Cn
はダイマー酸残鎖(n=20〜48)、aは1〜50の
整数、bは1〜50の整数、xは1〜50の整数をそれ
ぞれ表す]
【0016】ここで、上記式(1)中の各符号は上記の
通りであるが、更に説明すれば、R 1はHOOC(C
2nCOOHで表されるアゼライン酸(n=7)又は
セバシン酸(n=8)であり、この場合アゼライン酸
(n=7)を含むブロックとセバシン酸(n=8)を含
むブロックとが混在していてもよい。また、Cmはm=
2〜20のジアミン残鎖であり、具体的にはエチレンジ
アミン、1,4−ジアミノブタンヘキサメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシ
クロヘキシル)メタン、メタキシレンジアミン等が挙げ
られ、Cnはn=20〜48のダイマー残鎖であり、具
体的にはオレイン酸、リノール酸、エルカ酸等の二量体
等が挙げられる。更に、式中のaは1〜50の整数、b
は1〜50の整数、xは1〜50の整数である。なお、
特に制限されるものではないが、この式(1)で表され
る重合脂肪酸系ポリアミドの分子量は1000〜650
00(数平均分子量)、特に5000〜25000であ
ることが好ましい。
【0017】この式(1)で表される重合脂肪酸系ポリ
アミドとして具体的には、富士化成(株)社製「PA−
30L」、「PA−30」、「PA−40L」、「PA
−40」、「PA−30R」、「PA−30H」、「P
A−50R」、「PA−50M」、「PA−60」、
「PA−160」、「PA−260」などが挙げられ
る。なお、重合脂肪酸系ポリアミドは上記式(1)以外
のものを用いることも可能であるが、本発明ではエラス
トマーは除くものとする。
【0018】この重合脂肪酸系ポリアミドの添加量は、
上記樹脂バインダーの種類、磁性粉の充填量などに応じ
て適宜選定され、特に制限されるものではないが、通常
は樹脂磁石用組成物全体の0.1〜20重量%、特に
0.1〜5重量%とすることが好ましい。この添加量が
0.1重量%未満であると、溶融流動性の向上効果が十
分に得られない場合があり、一方20重量%を超えると
相対的に磁性粉の充填量が少なくなるため、十分な磁力
特性が得られない場合がある。
【0019】上記樹脂バインダーに混合分散される磁性
粉としては、従来から樹脂磁石に磁性粉として用いられ
ている公知の磁性粉を用いることができ、具体的には、
Srフェライト,Baフェライト等のフェライト粉末、
アルニコ合金、Sm−Co合金,Nd−Fe−B系合
金,Sm−Fe−N系合金,Ce−Co合金等の希土類
系合金粉末などを例示することができるが、高磁力化の
観点から希土類系合金粉末が好ましく用いられ、中でも
Nd2Fe14BやNd12Fe78Co46などのNd系磁
性粉、或いはSm2Fe173などのSm系磁性粉などが
特に好ましく用いられる。これらの磁性粉は、単独で用
いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても良い。な
お、上記磁性粉は粉末として用いられ、その粒径は制限
されるものではないが、得られる樹脂磁石用組成物の溶
融流動性、磁性粉の配向性、充填率等の観点から、平均
粒径1〜250μm、特に20〜50μmであることが
好ましい。
【0020】上記磁性粉は、必要に応じて公知の前処理
を施して、樹脂磁石用組成物中に配合することができ
る。この場合、特に制限されるものではないが、シラン
カップリング剤やチタネート系カップリング剤などの公
知のカップリング剤を用いてカップリング処理を施すこ
とが好ましく、このようなカップリング処理を施した磁
性粉を用いることにより、高充填時の溶融流動性をより
効果的に向上させることができる。
【0021】上記シランカップリング剤としては、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β―メトキシ
エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシ
シラン等が挙げられ、これらの中では、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン等が特に好ましく用いられ
る。
【0022】上記チタネート系カップリング剤として
は、イソプロピルビス(ジオクチルパイロホスフェー
ト)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル
・アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリイソス
テアロイルチタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチ
ルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピ
ルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ
オクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネー
ト、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチ
ル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビ
ス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテート
チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エ
チレンチタネート等が挙げられ、中でもイソプロピルビ
ス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネートが特に
好ましく用いられる。
【0023】本発明の樹脂成形物を得るための樹脂磁石
用組成物における上記樹脂バインダーと磁性粉の配合割
合は、特に制限はなく、樹脂成形物に要求される磁力の
強さに応じて適宜選定される。通常は、樹脂磁石用組成
物全量に対し、磁性粉が70〜95重量%程度(密度が
2.5〜6.0g/cm3程度)とされているが、本発
明においては、後述するヒンダードフェノール系酸化防
止剤の添加による流動性改良効果のため、80重量%以
上、特に80〜95重量%(密度が3.2〜6.0g/
cm3程度)の範囲となるような高充填の配合比率であ
っても、良好な流動性を維持することができる。
【0024】本発明では、この樹脂磁石用組成物にヒン
ダードフェノール系酸化防止剤を添加して成形に供す
る。このヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、
特に制限はなく市販のヒンダードフェノール系酸化防止
剤を用いることができ、具体的には、N,N’−ビス
[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニル]ヒドラジン(チバ・スペシャルテ
ィケミカルズ(株)製「IRGANOX MD 102
4」)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t
−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート](チバ・スペシャルティケミカルズ(株)
製「IRGANOX 245,245FF,245DW
J」)、ペンタエリスリトール テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート](チバ・スペシャルティケミカルズ
(株)製「IRGANOX 1010,1010FP,
1010FF」)、チオジエチレン ビス[3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート](チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製
「IRGANOX 1035,1035FF」)、オク
タデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ
ケミカルズ(株)製「IRGANOX 1076,10
76FF,1076FD、1076DWJ」)、N,
N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド]
(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製「IRGA
NOX 1098」)、ベンゼンプロパン酸3,5−ビ
ス(1,1’−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC
7,C9側鎖アルキルエステル(チバ・スペシャルティ
ケミカルズ(株)製「IRGANOX 1135」)、
2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フ
ェノール+IRGANOX 1076(チバ・スペシャ
ルティケミカルズ(株)製「IRGANOX 114
1」)、ジエチル{[3,5−ビス(1,1−ジメチル
エチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ホスフェ
ート(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製「IR
GANOX 1222」)、3,3’,3’’,5,
5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’
−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−ク
レゾール(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製
「IRGANOX 1330」)、カルシウムジエチル
ビス{[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−
4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート}+ポ
リエチレンワックス(チバ・スペシャルティケミカルズ
(株)製「IRGANOX 1425WL」)、4,6
−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(チバ
・スペシャルティケミカルズ(株)製「IRGANOX
1520L」)、ヘキサメチレン ビス[3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート](チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製
「IRGANOX 259」)、1,3,5−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3
H,5H)−トリオン(チバ・スペシャルティケミカル
ズ(株)製「IRGANOX 3114」)、1,3,
5−トリス[(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,
6−キシリル)メチル−1,3,5−トリアジン−2,
4,6−(1H,3H,5H)−トリオン](チバ・ス
ペシャルティケミカルズ(株)製「IRGANOX 3
790」)、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4
−トリメチルペンテンとの反応生成物(チバ・スペシャ
ルティケミカルズ(株)製「IRGANOX 505
7」)、2,6−ジ−t−ブチル4−(4,6−ビス
(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イル
アミノ)フェノール(チバ・スペシャルティケミカルズ
(株)製「IRGANOX 565,565DD」)、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製「IRG
ANOX 168,168FF」)などを例示すること
ができる。
【0025】この、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
の添加量は、磁性粉やバインダー樹脂の種類などに応じ
て適宜決定されるものであるが、通常は、0.1〜20
重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲で添加す
る。
【0026】また、上記樹脂磁石用組成物には、必要に
応じて上記磁性粉を分散するための分散剤や潤滑剤、可
塑剤を適量添加することができる。上記分散剤として
は、フェノール系、アミン系等の分散剤を用いることが
でき、上記潤滑剤としては、パラフィンワックス、マイ
クロスタリンワックス等のワックス類やステアリン酸、
オレイン酸等の脂肪酸又はこれらの金属塩(ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等)などが好適に用い
られ、上記可塑剤としてはモノエステル系又はポリエス
テル系可塑剤、エポキシ系可塑剤などが好適に用いられ
る。
【0027】更に、上記樹脂磁石用組成物には、マイカ
やウィスカ或はタルク,炭素繊維,ガラス繊維等の補強
効果の大きな充填材を本発明の目的を妨げない範囲で適
宜添加することができる。即ち、成形物に要求される磁
力が比較的低く、上記磁性粉の充填量が比較的少ない場
合には、成形物の剛性が低くなりやすく、このような場
合には剛性を補うためにマイカやウィスカ等の充填材を
添加して成形物の補強を行うことができる。この場合、
本発明に好適に用いられる充填材としてはマイカ或はウ
ィスカが好ましく、ウィスカとしては、炭化ケイ素,窒
化ケイ素等からなる非酸化物系ウィスカ、ZnO,Mg
O,TiO2,SnO2,Al23等からなる金属酸化物
系ウィスカ、チタン酸カリウム,ホウ酸アルミニウム,
塩基性硫酸マグネシウム等からなる複酸化物系ウィスカ
などが挙げられるが、これらの中ではプラスチックとの
複合化が容易な点から複酸化物系ウィスカが特に好適に
使用される。
【0028】これらの充填材を用いる際の配合量は、特
に制限されるものではないが、通常は樹脂磁石用組成物
全体の1〜50重量%、特に5〜20重量%程度とされ
る。なお、本発明の樹脂磁石成形物を製造するに当たっ
ては、本発明の目的を逸脱しない限り、上記磁性粉分散
剤、潤滑剤、可塑剤及び充填材以外の添加材を添加して
も差し支えなく、例えば有機錫系安定剤等を必要に応じ
て適量添加することができる。
【0029】上記樹脂磁石用組成物の調製方法として
は、特に制限はないが、例えば樹脂バインダー、磁性粉
及び必要に応じて用いられる重合脂肪酸系ポリアミド,
分散剤,充填材等を、通常の方法に従って混合し、溶融
混練した後、ペレット状に成形することにより、樹脂磁
石用組成物を調製することができる。この際、溶融混練
には、一軸或いは二軸混練押出機、KCK押出機などを
用いる通常の方法及び条件を採用することができる。
【0030】本発明の樹脂磁石成形物は、このようにし
て調製されたヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有
する樹脂磁石用組成物を、120〜180℃で所望の形
状に成形したものである。この場合、成形方法として
は、特に制限されるものではなく、射出成形法,押出成
形法,圧縮成形法等により金型温度を上記120〜18
0℃に保持して成形を行うことができるが、特に射出成
形法であることが好ましい。
【0031】本発明では、成形温度(金型温度)を従来
の85〜100℃よりも高く設定したことと、上記ヒン
ダードフェノール系酸化防止剤の流動性改良効果との相
乗効果により、上記成形金型のキャビティー内に射出注
入された樹脂磁石用組成物の溶融流動性(MFR)を高
めた状態で、樹脂磁石成形物を成形することができ、こ
れにより、寸法精度が高く、表面磁力のバラツキの少な
い高磁力の樹脂磁石成形物を得ることができるものであ
る。
【0032】本発明にかかる樹脂磁石成形物は、種々の
用途に用いることができ、特に制限されるものではない
が、高磁力で高度な磁気特性が要求されることから、電
子写真装置や静電記録装置の現像機構部に用いられるマ
グネットローラ又はその形成部材として特に好ましく用
いられる。この場合、通常マグネットローラは、樹脂磁
石からなるローラ本体と、該ローラ本体の両端部から突
出するシャフト部とを具備した構成とされるが、この場
合、金属等からなるシャフトを金型にセットしてその外
周に本発明の樹脂磁石成形物を成形してもよく、またシ
ャフト部とローラ本体とを本発明の樹脂磁石成形物で一
体に形成してもよい。
【0033】更に、高度で複雑な磁気特性が要求される
場合などには、上記樹脂磁石用組成物で棒状等の樹脂磁
石片を複数形成し、これらを金属等からなるシャフトの
外周に張り合わせてローラ本体を形成してもよい。この
場合、勿論全ての樹脂磁石片を本発明の樹脂磁石成形物
としてもよいが、場合によっては特に高い磁力が要求さ
れる樹脂磁石片のみを本発明の樹脂磁石成形物としても
よい。また、マグネットローラの着磁は、金型の周囲に
磁場を形成して成形と同時に行っても、成形後に公知の
着磁機を用いて行ってもよい。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。
【0035】[実施例1]原子重量%でNd12Fe78
46の組成を有するNd系希土類磁石合金原料粉末
(ゼネラルモータース社製「MQP−B」、平均粒径2
50μm)を平均粒径50μmに粉砕後、シランカップ
リング剤(日本ユニカ(株)製「A1100」)により
表面処理した。この表面処理した磁性粉1880gを精
秤後、樹脂バインダーであるナイロン12(宇部興産
(株)製「P 3012 U」)120g、ヒンダード
フェノール系酸化防止剤であるN,N’−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル]ヒドラジン(チバ・スペシャルティケミ
カルズ(株)製「IRGANOX MD 1024」)
50gとを混合して、樹脂磁石用組成物を調製した。得
られた混合物を一軸混練機にて混練後、ペレタイズし、
ペレット状の樹脂磁石用組成物を得た。上記得られた樹
脂磁石用組成物の溶融流動性は185g/10min
(250℃、5kgf)であった。次に射出成形機によ
り、シリンダー温度270℃、金型温度150℃及び射
出圧力を100kg/cm2の射出条件にて、端部をゲ
ートとして上記樹脂磁石用組成物を射出注入し、樹脂磁
石成形物(断面積3mm×3mm、長さが300mm)
を成形したところ、寸法精度が高く、表面磁力のバラツ
キが少ない良好な成形物が得られた。
【0036】[比較例1]ナイロン12を170gとし
て、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(IRGANO
X MD 1024)を添加しないこと以外は実施例1
と同様にして樹脂磁石用組成物を調製した。この樹脂磁
石用組成物の溶融流動性(MFR)は97g/10mi
n(250℃、5kgf)と上記実施例1よりもかなり
低い値を示した。上記樹脂磁石用組成物を用いて、上記
実施例1と同じ射出条件で同様の樹脂磁石成形物を成形
したところ、樹脂磁石用組成物が型内に十分充填され
ず、ショートショットとなり、成形不良となった。
【0037】[比較例2]上記実施例1と同一の組成の
樹脂磁石用組成物を用い、金型温度を100℃とした以
外は、上記実施例1と同じ射出条件で同様の樹脂磁石成
形物を成形したところ、この場合も、樹脂磁石用組成物
が型内に十分充填されず、ショートショットとなり、成
形不良となった。
【0038】[実施例2]ヒンダードフェノール系酸化
防止剤として、上記実施例1のN,N’−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル]ヒドラジンに代えて、同量(50g)の
トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト](チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製「IR
GANOX 245」)を用いて上記実施例1と同様に
して樹脂磁石用組成物を作製した。得られた樹脂磁石用
組成物の溶融流動性(MFR)は、133g/10mi
n(250℃、5kgf)であった。次に、上記樹脂磁
石用組成物を用いて、上記実施例1と同じ条件で樹脂磁
石成形物を成形したところ、寸法精度が高く、表面磁力
のバラツキが少ない良好な成形物が得られた。
【0039】[比較例3]上記実施例2と同一の組成の
樹脂磁石用組成物を用い、金型温度を100℃とした以
外は上記実施例2と同じ射出条件で同様の樹脂磁石成形
物を成形したところ、樹脂磁石用組成物が型内に十分充
填されず、ショートショットとなり、成形不良となっ
た。
【0040】[実施例3]Srフェライト(日本弁柄工
業(株)社製「NF110」)50.00kg、Baフ
ェライト(日本弁柄工業(株)社製「DNP−S」)2
0.55kgをシランカップリング剤(日本ユニカ
(株)製「A1160」)0.71kgにより表面処理
して、磁性粉を調製した。この磁性粉を、ナイロン6
(宇部興産(株)製「P 1010」)12.5kg、
酸化防止剤(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製
「IRGANOX 245」)0.42kg及び重合脂
肪酸系ポリアミド(富士化成(株)製「PA−30
L」)0.42kgと混合し、2軸混練機により混練
後、ペレタイズしてペレット状とし、樹脂磁石用組成物
を得た。得られた樹脂磁石用組成物の溶融流動性(MF
R)をメルトインデクサー(東洋精機(株)社製)で測
定したところ、156.84g/10min(270
℃、5kgf)で良好な溶融流動性を有していた。次に
射出成形機により、シリンダー温度270℃、金型温度
120℃及び射出圧力を100kg/cm2の射出条件
にて、端部をゲートとして上記樹脂磁石用組成物を射出
注入し、直径9.6mmの円柱状樹脂磁石成形物を成形
し、表面磁力を測定したところ、80.5mТの表面磁
力を示した。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
樹脂バインダーに希土類磁性合金粉末等の磁性粉と、流
動性改良効果を有するヒンダードフェノール系酸化防止
剤とを混合分散させた樹脂磁石用組成物を調製し、12
0〜180℃の温度で樹脂磁石用組成物を成形するよう
にしたので、上記樹脂磁石用組成物の溶融流動性(MF
R)を向上させた状態で成形を行うことができる。従っ
て、寸法精度が高く、かつ磁力のバラツキの少ない、高
磁力の樹脂磁石成形物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/09 G03G 15/09 A H01F 1/06 H01F 7/02 H 7/02 B29L 31:00 // B29L 31:00 31:32 31:32 H01F 1/06 A Fターム(参考) 2H031 AC18 4F206 JA07 JQ81 4J002 AA011 CL011 CL031 DA086 DC006 EJ067 EQ027 EU187 EW047 FB096 GQ00 5E040 AA03 CA01 HB07 5E062 CC02 CD05 CE02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂バインダーに磁性粉とヒンダードフ
    ェノール系酸化防止剤とを配合した樹脂磁石用組成物を
    120〜180℃の温度で所望の形状に成形してなるこ
    とを特徴とする樹脂磁石成形物。
  2. 【請求項2】 上記磁性粉が、希土類磁性合金粉末であ
    る請求項1記載の樹脂磁石成形物。
  3. 【請求項3】 上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤
    の配合量を、樹脂バインダーと磁性粉との総量に対し
    て、0.1〜5重量%とした請求項1または請求項2記
    載の樹脂磁石成形物。
  4. 【請求項4】 射出成形法により成形したものである請
    求項1〜請求項3のいずれかに記載の樹脂磁石成形物。
  5. 【請求項5】 成形物が、電子写真プロセスにおける現
    像操作に用いられるマグネットローラである請求項1〜
    請求項4のいずれかに記載の樹脂磁石成形物。
  6. 【請求項6】 樹脂バインダーに磁性粉及びヒンダード
    フェノール系酸化防止剤を混合分散した樹脂磁石用組成
    物を、成形金型を用いて成形する際に、120〜180
    ℃の金型温度にて成形するようにしたことを特徴とする
    樹脂磁石成形物の製造方法。
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