JP3391747B2 - 樹脂磁石用組成物、それを用いた磁性部材及びその製造方法 - Google Patents

樹脂磁石用組成物、それを用いた磁性部材及びその製造方法

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    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
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    • H01F41/0266Moulding; Pressing

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂磁石用組成
物、それを用いた磁性部材及びその製造方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は高磁力を有する磁性部材を得
るのに好適な樹脂磁石用組成物、この組成物を用いて得
られた高磁力を有するマグネットローラやマグネットピ
ースなどの磁性部材及びこの磁性部材を効率よく製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機,プリンタなどの電子写真
装置や静電記録装置などにおいて、感光ドラムなどの潜
像保持体上の静電潜像を可視化するための現像ローラと
して、回転するスリーブ内に樹脂磁石用組成物により成
形されたマグネットローラを配設し、スリーブ表面に保
持した磁性現像剤(トナー)を、該マグネットローラの
磁力特性により、潜像保持体上に飛翔させるいわゆるジ
ャンピング現象によって、潜像保持体表面にトナーを供
給し、静電潜像を可視化する方法が知られている。
【0003】上記マグネットローラは、これまで、熱可
塑性樹脂のバインダーに磁性粉体を混合した樹脂磁石用
組成物を、キャビティーの周囲に磁場を形成した金型を
用いて射出成形又は押出成形することによって、ローラ
状に成形すると共に、所望の磁力特性に着磁させること
により、製造されている。しかしながら、最近の電子写
真装置などの進歩に伴い、マグネットローラに対しても
より複雑な磁力パターンが要求される傾向にあるが、こ
れまでのマグネットローラでは設計し得る磁力パターン
に限界があり、この要求に充分に応えることができな
い。
【0004】そこで、近年、マグネットローラの磁力パ
ターンの自由度を高めるため、目的とする磁力パターン
に応じた磁極を着磁させた複数のマグネットピースを上
記樹脂磁石用組成物で成形し、これらをシャフトの周囲
に貼り合わせることにより所望の磁力パターンを構成す
ることが行われている。このような、マグネットローラ
などの磁性部材を得るための樹脂磁石用組成物として
は、ポリアミド−6,ポリアミド−12等のポリアミド
樹脂やポリプロピレン樹脂,塩化ビニル樹脂,エチレン
−エチルアクリレート共重合体樹脂(EEA)のような
熱可塑性樹脂を主材としてなる樹脂バインダー中に、フ
ェライトや希土類磁石等の磁性粉を混合分散したものが
従来から用いられている。また、上記樹脂磁石用組成物
を用いて磁性部材を成形する方法としては、主に磁場中
射出成形法と磁場中押出し成形法が採用されている。こ
の場合、磁場中射出成形法では、金型に磁場を印加した
状態で溶融した樹脂磁石用組成物を射出することによ
り、樹脂磁石用組成物中の磁性粉が印加した磁場に応じ
て配向し、その配向状態が保持される程度の粘度まで樹
脂磁石用組成物が金型内で冷却され、そのため磁気特性
の高い磁性部材を得ることができる。これに対し、従来
の磁場中押出し成形法では、上記の磁場中射出成形法に
比べて低磁力の磁性部材しか得られないという問題があ
った。
【0005】図1は、磁場中押出し成形法の一例を示す
説明図であり、樹脂磁石用組成物は、押出し成形機1中
において加熱溶融され、スクリュー2により、流動状態
にて、磁場印加部材3によって成形された磁場中に押し
出され成形される。このような、押出し成形において
は、樹脂磁石用組成物は、押出し成形時の温度において
Bingham流体とみなすことができ、押出し機の口
金内では管中央部付近の流速が最も大きく、管壁部付近
の流速が最も小さくなる。したがって、このような流動
状態で、磁場が印加されるために、印加磁場方向に配向
すべき磁性粉が組成物の流れによって乱されることによ
り、高磁力の磁性部材を得ることは困難である。例え
ば、後述の実施例で作製された形状の磁性成形体では、
表面磁力1000ガウスを超えるものを得ることは非常
に難しい。
【0006】所望の磁力の磁性部材を得るには、口金内
での組成物の流速が一定であるのが理想的な流れである
と考えられる。この場合、磁性粉の配向が口金内の流れ
による摩擦、流速場の影響を全く受けないことになるた
め、得られる磁性部材の高磁力化が可能になると考えら
れる。これまで、押出し成形時の流速場を理想に近づけ
るために、例えば口金の表面平滑性を向上させるなどの
処理がとられている。しかしながら、この場合、非常に
遅い押出し速度では効果があるものの、押出し速度が速
いと効果が発揮されないという問題があった。磁場中押
出し成形法は、このような問題を有しているが、射出成
形法に比べて成形タクトが短く、連続加工できるために
加工時間を短くすることができ、また金型構造が簡単か
つ小型にできるために金型費用が安価である上、長手方
向に沿った表面磁力の磁力差が小さいなどの磁力均一性
に優れるマグネットローラが得られるという利点を有し
ている。したがって、磁場中押出し成形法により、高磁
力を有するマグネットローラなどの磁性部材を得る技術
の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、高磁力を有する磁性部材を得るための樹脂磁
石用組成物、この組成物を用いて得られた高磁力を有す
る磁性部材及び該磁性部材を効率よく製造する方法を提
供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂磁石用組
成物は、押出し成形時の温度においては、Bingha
m流体とみなすことができ、その粘度特性を制御するこ
とで、口金内の流れをできるだけ理想状態に近づければ
よいことに着目し、以下の知見を得た。上記樹脂磁石用
組成物の溶融状態での粘度特性において、ηR を剪断応
力(dyne/cm2 )、η0 を降伏応力〔外挿法によ
る剪断速度0のときの剪断応力(dyne/cm2 )〕
及びγを剪断速度(S-1)とした場合、η0 が特定の範
囲にある温度領域で、かつγがある値以下で、ηR /η
0 とγとが一定の関係を満たす樹脂磁石用組成物は、口
金内の流れを理想状態に近づけることができ、磁性部材
用成形材料としてその目的に適合しうることを見出し
た。また、この組成物を、特定の温度及び圧力にて磁場
中に押出し成形することにより、高磁力を有する磁性部
材が容易に得られることを見出した。
【0009】本発明は、かかる知見に基づいて完成した
ものである。すなわち、本発明は、(1)熱可塑性樹脂
と磁性粉を含有する樹脂磁石用組成物において、該組成
物の加熱溶融状態での粘度特性を測定し、ηR を剪断応
力(dyne/cm2 )、η 0 を降伏応力〔外挿法によ
る剪断速度0のときの剪断応力(dyne/cm2 )〕
及びγを剪断速度(S-1)とした場合、η0 が1.0×1
6 〜1.0×107 dyne/cm2 を満たす温度領域
で、その一次直線(横軸:γ、縦軸:ηR /η 0 )の傾
きが0.02以下であることを特徴とする樹脂磁石用組成
物、(2)上記(1)の樹脂磁石用組成物を用いて得ら
れた磁性部材、及び(3)上記(1)の樹脂磁石用組成
物を、温度80〜300℃、圧力10〜300kgf/
cm2 の条件で、磁場中に押出し成形することを特徴と
する磁性部材の製造方法、を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂磁石用組成物は、熱
可塑性樹脂と磁性粉を含有するものであって、マグネッ
トローラなどの磁性部材の成形材料として用いられ、以
下に示す粘度特性を有することが必要である。該組成物
は、加熱溶融状態での粘度特性を測定して、ηR を剪断
応力(dyne/cm2 )(詳しくは、剪断速度R S
-1のときの剪断応力)、η0 を降伏応力〔外挿法による
剪断速度0のときの剪断応力(dyne/cm2 )〕及
びγを剪断速度(S-1)とし、横軸をγ、縦軸をηR
η0 とした場合、η0 が1.0×106 〜1.0×107
yne/cm2 、好ましくは2.0×106 〜1.0×10
7 dyne/cm2 、さらに好ましくは3.0×106
8.0×106 dyne/cm2 を満たす温度領域で、か
つγが100S-1以下、好ましくは50S-1以下にて、
ηR /η0 とγとの関係が、近似的に一次式で表され、
そして、その一次直線の傾きC値が0.02以下、好まし
くは0.01以下である。このC値が0.02を超えると、
高い磁力を有する磁性部材が得られにくい。
【0011】また、剪断速度50S-1における剪断応力
をη50とした場合、η50/η0 の値は3.0以下であるの
が好ましい。このような粘度特性を有する樹脂磁石用組
成物は、押出し機の口金内で流速がほぼ均一となり、外
部磁場により配向しようとする磁性粉が、組成物の流れ
によって乱れるのが抑制され、高い磁力を有する磁性部
材が得られる。なお、本発明においては、上記粘度特性
は、JIS K7210の流れ試験に準拠し、下記の方
法に従って測定される。試料としては、粘度特性を測定
しようとする樹脂磁石組成物を5mm角以下の大きさに
ペレタイズし、このペレットを80℃のオーブンで24
時間乾燥したものを用い、乾燥後、吸湿しない状態を保
持して1時間以内に粘度特性の測定を、ダイ形状が穴径
1mm,穴の長さ2mm(JIS K7210の参考図
4と同様のもの)の流れ試験装置(島津製作所製フロー
テスター)を使用して行う。まず、試験荷重を100k
gf/cm2 にセットし、測定温度100℃程度からス
タートして荷重をかけ、ダイから流動するまで、5℃ず
つ昇温する。次に、荷重100kgf/cm2 でダイか
ら流動する温度を維持しながら、荷重を流動しなくなる
まで5〜10kgf/cm2 程度ずつ小さくしていき、
粘度特性を測定する。
【0012】また、降伏応力η0 及び前記一次直線の傾
きC値は、下記のようにして求める。 <降伏応力η0 >上記測定方法において、剪断速度30
-1以下の点が3点以上とれる場合には、それらの点か
ら外挿し、剪断速度0S-1のときの剪断応力を求め、降
伏応力η 0 とする。なお、組成物の種類によっては、上
記方法では剪断速度30S-1以下で3点とれないことが
あるが、その場合は測定されたデータのうち、最も小さ
い剪断速度からの3点より外挿し、剪断速度0S-1のと
きの剪断応力を求め、降伏応力η0 とする。 <一次直線の傾きC値>上記測定方法で得られたデータ
のうち、剪断速度が最も小さいときの剪断応力をη1、
そのときの剪断速度γ1とし、剪断速度が2番目に小さ
いときの剪断応力をη2、そのときの剪断速度をγ2と
した場合、C値を、式 C=(η2−η1)/{η0 (γ2−γ1)} に従って算出する。
【0013】本発明の樹脂磁石用組成物は、前記の粘度
特性を有するとともに、樹脂バインダーとしての熱可塑
性樹脂と磁性粉を含有するものである。熱可塑性樹脂と
しては、該組成物に前記の粘度特性を付与するには、塩
化ビニル樹脂やその共重合体とエチレン−酢酸ビニル共
重合体との混合樹脂が好適である。ここで、塩化ビニル
樹脂やその共重合体としては、例えば塩化ビニル単独重
合体、塩化ビニルとエチレン、(メタ)アクリル酸エス
テル,酢酸ビニルなどとの共重合体を挙げることができ
る。これら塩化ビニル樹脂やその共重合体の平均重合度
は、500〜2500、特に800〜2000であるこ
とが好ましく、この平均重合度が500未満であると、
溶融粘度が低下して得られる磁性部材の形状が不安定と
なる場合があり、一方2500を超えると磁性部材の強
度は向上するのの組成物の溶融時粘度が高くなって、押
出し成形法により成形を行うことが困難となる場合があ
る。この塩化ビニル樹脂やその共重合体は一種用いても
よく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】一方、エチレン−酢酸ビニル共重合体とし
ては、酢酸ビニル単位含有量が25〜60重量%、特に
30〜55重量%の範囲にあるものが好適である。この
酢酸ビニル単位含有量が25重量%未満では前記の塩化
ビニル樹脂やその共重合体との相溶性が低下し、得られ
る磁性部材の強度が低くなるおそれがあり、60重量%
を超えると該共重合体がゲル化しやすく、その結果、得
られる磁性部材の表面平滑性が低下するおそれがある。
このエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレー
ト(MFR)については特に制限はないが、JIS K
6730に規定されたJIS K7210によるMFR
(190℃,2.16kgf)が10〜1000g/10
分の範囲にあるのが好ましい。なお、JIS K721
0に規定されたMFRには、手動によるA法と自動によ
るB法とがあるが、本発明においては、A法,B法のい
ずれでMFRを測定してもよい。
【0015】上記塩化ビニル樹脂やその共重合体と上記
エチレン−酢酸ビニル共重合体との配合割合は、特に制
限されるものではないが、磁力特性と力学的強度の両面
から重量比で5:1〜1:5、特に3:1〜1:3とす
ることが好ましい。本発明の樹脂磁石用組成物において
は、樹脂バインダーである熱可塑性樹脂として、前記し
たように、塩化ビニル樹脂やその共重合体とエチレン−
酢酸ビニル共重合体との混合樹脂が好ましく用いられる
が、さらに、これらの樹脂成分に、必要に応じて、エチ
レン−エチルアクリレート共重合体(EEA),エポキ
シ樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン樹脂,塩素化ポリエチレン樹脂,ポリアミド樹脂,
ポリスチレン樹脂,ポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂,ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹
脂,ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等の一
種又は二種以上を配合してもよい。
【0016】上記樹脂バインダー中に混合分散される磁
性粉としては、従来からマグネットローラ等の磁性部材
に用いられている公知の磁性粉を用いることができ、具
体的にはSrフェライト、Baフェライト等のマグネト
プランバイト型フェライトやSm−Co合金,Nd−F
e−B合金,Ce−Co合金等の希土類系合金粉末など
を例示することができる。この磁性粉には、必要に応じ
て公知の前処理を施しておくこともできる。本発明で用
いられる磁性粉は、特に制限されるものではないが、得
られる樹脂磁石用組成物の溶融流動性,磁性粉の配向
性,充填率等の観点から、通常平均粒径が0.8〜2.2μ
m、特に1.2〜1.8μmの範囲にあるものが好ましい。
【0017】本発明の樹脂磁石用組成物における上記磁
性粉の含有量は、目的とする磁性部材の所望磁力の強さ
に応じて適宜選定されるが、通常は80〜97重量%の
範囲で選ばれる。本発明の樹脂磁石用組成物には、前記
樹脂バインダー及び磁性粉に加えて、本発明の目的が損
なわれない範囲で、必要に応じ、上記磁性粉を分散する
ための分散剤や潤滑剤、可塑剤などの添加剤、さらには
補強用充填材などを配合することができる。上記分散剤
としては、フェノール系,アミン系等の分散剤を用いる
ことができ、上記潤滑剤としては、パラフィンワック
ス,マイクロクリスタリンワックス等のワックス類やス
テアリン酸,オレイン酸等の脂肪酸又はこれらの金属塩
(ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸亜鉛等)など
が好適に用いられ、上記可塑剤としてはモノエステル系
又はポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤などが好
適に用いられる。なお本発明の樹脂磁石用組成物を押出
し成形して磁性部材を成形する場合には、口金との摩擦
を低減化するために上記潤滑剤を添加することが好まし
い。
【0018】また、補強用充填材としては、例えばマイ
カ,ウイスカー,タルク,炭素繊維,ガラス繊維などを
用いることができる。磁性部材に要求される磁力が比較
的低く、上記磁性粉の充填量が少ない場合には、磁性部
材の剛性が低くなりやすく、このような場合には剛性を
補うために、マイカやウイスカーなどの充填材を添加し
て磁性部材の補強を行うことができる。この場合、好適
に用いられる充填材としては、マイカやウイスカーなど
が挙げられる。このウイスカーとしては、例えば炭化ケ
イ素,窒化ケイ素などからなる非酸化物系ウイスカー,
ZnO,MgO,TiO2 ,SnO2 ,Al2 3 など
からなる金属酸化物系ウイスカー,チタン酸カリウム,
ホウ酸アルミニウム,塩基性硫酸マグネシウムなどから
なる複酸化物系ウイスカーなどが挙げられるが、これら
の中で、プラスチックとの複合化が容易な点から複酸化
物系ウイスカーが好適である。
【0019】これらの充填材を用いる際の配合割合につ
いては特に制限はないが、通常は樹脂磁石用組成物全量
に対して、0.1〜7重量%の範囲である。前記樹脂磁石
用組成物の調製方法としては特に制限はないが、例えば
樹脂バインダー,磁性粉及び必要に応じて用いられる添
加剤や充填材を、通常の方法に従って混合し、溶融混練
したのち、ペレット状に成形することにより、樹脂磁石
用組成物を調製することができる。この際、溶融混練に
は、二軸混練押出機,KCK混練押出機などを用いる通
常の方法及び条件を採用することができる。次に、本発
明の磁性部材、例えばマグネットローラやマグネットピ
ースなどは、前記本発明の樹脂磁石用組成物を成形して
得られたものであり、その成形方法としては、所望の磁
力特性や機械特性などを有するものが得られる方法であ
ればよく、特に制限はないが、以下に示す本発明の磁場
中押出し成形法を用いることにより、高磁力を有する磁
性部材を効率よく製造することができる。
【0020】本発明において採用される押出し成形法
は、射出成形法に比べて成形タクトが短く連続加工でき
るために加工時間を短くすることができ、また金型構造
が簡単かつ小型にできるために金型費用が安価である
上、長手方向に沿った表面磁力の磁力差が小さいといっ
た磁力均一性に優れたマグネットローラ等の磁性部材が
得られるという利点もある。本発明の方法においては、
前記樹脂磁石用組成物を、温度80〜300℃、好まし
くは100〜150℃、圧力10〜300kgf/cm
2 、好ましくは40〜180kgf/cm2 の条件で、
磁場中に押出し成形することにより、所望の磁性部材を
製造する。従来の磁場中押出し成形法では、前述したよ
うに高磁力を有する磁性部材を作製するのが困難であっ
たが、本発明のように、粘度特性が制御された樹脂磁石
用組成物を用いることにより、高磁力を有する磁性部材
を容易に作製することができる。
【0021】また、本発明の樹脂磁石用組成物を用いて
マグネットローラを得る場合、通常マグネットローラ
は、樹脂磁石からなるローラ本体と、該ローラ本体の両
端部から突出するシャフト部とを具備した構成とされる
が、この場合、金属等からなるシャフトを前記の押出し
成形により得られた厚肉円筒状のローラ本体に圧入して
ローラ本体とシャフト部とからなるマグネットローラを
得ることができる。また、高度で複雑な磁力特性が要求
される場合などには、樹脂磁石用組成物を用いて複数の
マグネットピースを前記のようにして押出し成形し、こ
れらを金属等からなるシャフトの外周に貼り合わせてロ
ーラ本体を形成してもよい。なお、本発明の樹脂磁石用
組成物は、上記マグネットローラやマグネットピースの
成形材料として好適に使用されるものであるが、その用
途はこれに限定されるものではなく、例えば電気モータ
用の部品など、種々の磁性部材用の成形材料として好適
に使用される。
【0022】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳しく説明
するが、本発明は、これらの例によってなんら限定され
るものではない。 実施例 樹脂磁石用組成物の材料として、以下に示すものを用い
た。 フェライト:磁場配向用異方性ストロンチウムフェライ
ト,日本弁柄製 塩化ビニル樹脂:太陽商会製,商品名「TH800」,
平均重合度800 エチレン−酢酸ビニル共重合体:東ソー製,商品名「7
60」,酢酸ビニル単位含有量42重量%,MFR70
g/10分 可塑剤:フタル酸ジ−2−エチルヘキシル
【0023】上記のフェライト91.0重量部、塩化ビニ
ル樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体との重量比5:
5の混合樹脂8.0重量部及び可塑剤1.0重量部を、二軸
混練り機で混練して、樹脂磁石用組成物を調製した。こ
の組成物について、明細書本文記載の方法に従い、粘度
特性を特定し、図2に、温度125℃,135℃及び1
45℃における剪断速度γと剪断応力ηR との関係をプ
ロットした。また図3に剪断速度100S-1以下におけ
る剪断速度γとηR /η0 との関係をグラフで示す。図
2から分かるように、125℃,135℃及び145℃
においては、η0 は2.0×106 〜1.0×107 の範囲
にあり、また図3から分かるように、各温度におけるC
値は、いずれも0.02以下である。次に、前記樹脂磁石
用組成物を、温度130℃、圧力100kgf/cm2
の条件で、図4に示す形状の成形物を、押出し速度を変
えて磁場中押出し成形し、押出し速度と該成形物の表面
磁力との関係を図5にプロットした。この図5から分か
るように、実施例のものは、いずれの押出し速度におい
ても、1000ガウス以上の表面磁力が得られている。
また、該樹脂磁石用組成物を、圧力10〜350kgf
/cm2 、押出し速度1.0m/分の条件で、押出し温度
を変えて降伏応力η0 を変化させ、上記と同様に磁場中
に押出し成形し、η0 と成形物の表面磁力との関係を図
6にプロットした。
【0024】この図6から、η0 が1.0×106 〜1.0
×107 dyne/cm2 の範囲では高い表面磁力が得
られることが分かる。 比較例1 実施例1において、塩化ビニル樹脂とエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体との混合樹脂の代わりに、塩化ビニル樹脂
(実施例1と同じもの)と塩素化ポリエチレン(昭和電
工製,商品名「エラスレン303A」)との重量比5:
5の混合樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして樹
脂磁石用組成物を調製した。この組成物について、明細
書本文記載の方法に従い、粘度特性を測定し、図7に、
温度90℃,100℃及び110℃における剪断速度γ
と剪断応力ηR との関係をプロットした。また図8に、
剪断速度80S-1以下における剪断速度γとηR /η0
との関係をグラフで示す。
【0025】図8から分かるように、100℃における
C値は0.066、110℃におけるC値は0.039であ
り、実施例に比べ高い値であった。次に、前記樹脂磁石
用組成物を、温度100℃、圧力95〜180kgf/
cm2 の条件で、図4に示す形状の成形物を押出し速度
を変えて磁場中押出し成形し、押出し速度と該成形物の
表面磁力との関係を図5にプロットした。図5から分か
るように、比較例1のものは、いずれの押出し速度にお
いても、表面磁力は1000ガウス未満で低かった。 比較例2 実施例1において、塩化ビニル樹脂とエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体との混合樹脂の代わりに、エチレン−エチ
ルアクリレート共重合体(日本ユニカー製、商品名「D
PDJ6169」)とポリプロピレン樹脂(日本ポリオ
レフィン製、商品名「アドラックスER320P」)と
の重量比6:4の混合樹脂を用いた以外は、実施例1と
同様にして樹脂磁石用組成物を調製した。
【0026】この組成物について、明細書本文記載の方
法に従い、粘度特性を測定し、図9に、温度140℃及
び150℃における剪断速度γと剪断応力ηR との関係
をプロットした。また図10に、剪断速度50S-1以下
における剪断速度γとηR /η0 との関係をグラフで示
す。図10から分かるように、140℃におけるC値は
0.079、150℃におけるC値は0.067であり、実
施例に比べて高い値であった。次に、前記樹脂磁石用組
成物を、温度180℃、圧力80〜160kgf/cm
2 の条件で、図4に示す形状の成形物を、押出し速度を
変えて磁場中押出し成形し、押出し速度と該成形物の表
面磁力との関係を図5にプロットした。この図5から分
かるように、比較例2のものは、いずれの押出し速度に
おいても、表面磁力は850ガウス近辺であり低かっ
た。
【0027】
【発明の効果】本発明の樹脂磁石用組成物は、特定の粘
度特性を有するものであって、磁場中押出し成形法によ
り、高い磁力を有するマグネットローラやマグネットピ
ースなどの磁性部材を容易に与えることができる。した
がって、本発明の磁性部材は、複写機,ファクシミリ,
プリンターなどの電子写真装置や静電記録装置などにお
ける現像機構部などに好適に用いられる
【図面の簡単な説明】
【図1】 磁場中押出し成形法の一例を示す説明図であ
る。
【図2】 実施例で得られた樹脂磁石用組成物の各温度
における剪断速度γと剪断応力ηR との関係を示すプロ
ット図である。
【図3】 実施例で得られた樹脂磁石用組成物の各温度
における剪断速度γとη R /η0 との関係を示すグラフ
である。
【図4】 実施例及び比較例において、磁場中に押出し
成形して得られた成形物の形状を示す説明図である。
【図5】 実施例,比較例1及び比較例2で得られた成
形物の表面磁力と押出し速度との関係を示すプロット図
である。
【図6】 実施例で得られた成形物の表面磁力と降伏応
力η0 との関係を示すプロット図である。
【図7】 比較例1で得られた樹脂磁石用組成物の各温
度における剪断速度γと剪断応力ηR との関係を示すプ
ロット図である。
【図8】 比較例1で得られた樹脂磁石用組成物の各温
度における剪断速度γとηR /η0 との関係を示すグラ
フである。
【図9】 比較例2で得られた樹脂磁石用組成物の各温
度における剪断速度γと剪断応力ηR との関係を示すプ
ロット図である。
【図10】 比較例2で得られた樹脂磁石用組成物の各
温度における剪断速度γとηR /η0 との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1:押出し成形機 2:スクリュー 3:磁場印加部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/00 - 1/117 C08K 3/22 C08L 101/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂と磁性粉を含有する樹脂磁
    石用組成物において、該組成物の加熱溶融状態での粘度
    特性を測定し、ηR を剪断応力(dyne/cm2 )、
    η0 を降伏応力〔外挿法による剪断速度0のときの剪断
    応力(dyne/cm2 )〕及びγを剪断速度(S-1
    とした場合、η0 が1.0×106 〜1.0×107 dyn
    e/cm2 を満たす温度領域で、その一次直線(横軸:
    γ、縦軸:ηR /η0 )の傾きが0.02以下であること
    を特徴とする樹脂磁石用組成物。
  2. 【請求項2】 温度領域が、η0 が2.0×106 〜1.0
    ×107 dyne/cm2 を満たすものである請求項1
    記載の樹脂磁石用組成物。
  3. 【請求項3】 磁性粉を80〜97重量%の割合で含有
    してなる請求項1又は2記載の樹脂磁石用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂磁
    石用組成物を用いて得られた磁性部材。
  5. 【請求項5】 磁性部材が、マグネットローラ又はマグ
    ネットピースである請求項4記載の磁性部材。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂磁
    石用組成物を温度80〜300℃、圧力10〜300k
    gf/cm2 の条件で、磁場中に押出し成形することを
    特徴とする磁性部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 磁性部材が、マグネットローラ又はマグ
    ネットピースである請求項6記載の磁性部材の製造方
    法。
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