JP2001311423A - マグネットローラ - Google Patents

マグネットローラ

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JP2001311423A
JP2001311423A JP2000129806A JP2000129806A JP2001311423A JP 2001311423 A JP2001311423 A JP 2001311423A JP 2000129806 A JP2000129806 A JP 2000129806A JP 2000129806 A JP2000129806 A JP 2000129806A JP 2001311423 A JP2001311423 A JP 2001311423A
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magnet
resin
linear expansion
piece
magnetic
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JP2000129806A
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English (en)
Inventor
Masaharu Iwai
雅治 岩井
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Kaneka Corp
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Tochigi Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Tochigi Kaneka Corp
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Publication date
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  • Magnetic Brush Developing In Electrophotography (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のマグネットピースを貼り合わせて形成
したマグネットローラであっても、反りがほとんどな
く、磁気特性の変化(軸方向磁束密度のバラツキ)も実
用上問題ない程度に抑制でき、画像の濃度ムラを防止
し、使用温度範囲全域においてカラー化にも好適なマグ
ネットローラを提供せんとする。 【解決手段】 マグネットローラを形成するマグネット
ピースのうち、最大の線膨張係数(Lmax)をもつマ
グネットピースと、最小の線膨張係数(Lmin)をも
つマグネットピースとの関係が「Lmax≦1.3×L
min」を満足するように、その線膨張係数を調整した
マグネットピースを貼り合わせてマグネットローラを形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、レーザー
ビームプリンターまたはファクシミリの受信装置などの
画像形成装置において、電子写真プロセスを採用した電
子写真装置に組み込まれるマグネットローラに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来のマグネットローラのなかには、実
開昭61−49369や実開昭59−134154等に
開示されているように、特定磁極の表面磁束を高める必
要がある等の理由から、一部の磁極用マグネットピース
として他磁極とは異なる磁石材料を用いている場合があ
る。この場合、高磁力を要求される磁極用マグネットピ
ースとしてフェライト焼結磁石や硬質樹脂磁石を用い、
他の磁極用マグネットピースとしては軟質樹脂磁石やゴ
ム磁石を用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように複数のマ
グネットピースを貼り合わせて形成したマグネットロー
ラは、選択された磁石材料により、それぞれのマグネッ
トピースの線膨張係数が異なり、使用環境下で温度変化
が生じるとバイメタル効果(温度が上昇すると線膨張係
数が大きいマグネットピース側が凸になる)により0.
15mmを超える反りが生じることがあった。そしてこ
のような大きな反りが発生すると、磁気特性が変化し、
軸方向の磁束密度バラツキが4mTを超えるようになっ
て、画質の濃度ムラが発生し、使用温度変化内で一定の
良好な画質が得られないという問題があった。
【0004】本発明は、複数のマグネットピースを貼り
合わせて形成したマグネットローラであっても、反りが
ほとんどなく、軸方向磁束密度のバラツキに代表される
磁気特性の変化を実用上問題ない程度に抑制することが
でき、これにより画質の濃度ムラを発生させず、使用温
度範囲全域にわたって一定の良好な画質が得られ、且つ
カラー化にも好適なマグネットローラを提供せんとする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記
載したように、マグネットローラを形成するマグネット
ピースのうち、最大の線膨張係数(Lmax)をもつマ
グネットピースと、最小の線膨張係数(Lmin)をも
つマグネットピースとが、「Lmax≦1.3×Lmi
n」という関係式を満たすように、その線膨張係数が調
整された各マグネットピースを貼り合わせてマグネット
ローラを形成することが特徴である。「Lmax>1.
3×Lmin」では、反りが大きく軸方向磁束密度バラ
ツキも実用上の許容範囲を超える。「Lmax≦1.3
×Lmin」であることにより、反りが0.15mm以
下となり、軸方向磁束密度バラツキも実用上問題がなく
なり(4mT以下)、軸方向に安定した磁束密度を有す
るマグネットローラが得られ、高品質の画像を得ること
ができる。そして、このマグネットローラは軸方向磁束
密度バラツキが小さいことから、現像ゾーンの現像剤の
穂立ちが安定し、濃度バラツキが小さいため、カラー対
応用途に使用した場合には、カラーバランスのよい画像
が得られる。
【0006】貼り合わせるマグネットピース相互間に成
形方法や材料の差があったり、マグネットピース間に空
間が存在したりする場合がある。前記請求項1記載の発
明は、これら各場合を包括するものであるが、特にこれ
ら各場合に着目したものとして、請求項2〜5記載の発
明が提案される。
【0007】請求項2記載の発明は、貼り合わせるマグ
ネットピース間にマグネットピースの存在しない空間が
有る場合と無い場合があることを特に意識した発明であ
る。この場合、マグネットローラの横断面全体の80%
以上の断面積を占めるマグネットピース存在箇所に含ま
れるマグネットピースの最大の線膨張係数をLmax、
最小の線膨張係数をLminとしたとき、「Lmax≦
1.2×Lmin」なる関係式を満たすように、その線
膨張係数が調整されたマグネットピースを軸上に貼り合
わせてマグネットローラを形成するというものである。
前記「横断面全体の80%以上の断面積」部分以外の部
分には、空間が含まれている場合もあるし含まれていな
い場合もあるが、このいずれの場合についても前記関係
式が満たされていれば、そのマグネットローラは実用上
問題のないものとして使用できる。「Lmax>1.2
×Lmin」では、反りが大きく軸方向磁束密度バラツ
キも実用上の許容範囲を超える。「Lmax≦1.2×
Lmin」なる関係式を満たすように各マグネットピー
スの線膨張係数を調整し、これら線膨張係数が調整され
たマグネットピースをバランスよく配置することによ
り、マグネットピース間に空間がある場合でも、反りが
0.15mm以下となり、反りによる軸方向磁束密度バ
ラツキも実用上問題なくなり(4mT以下)、軸方向に
安定した磁束密度を有するマグネットローラが得られ、
高品質の画像を得ることができるようになる。
【0008】請求項3記載の発明は、射出成形で成形し
たマグネットピースと押出成形で作製したマグネットピ
ースを組み合わせて用いる際に、請求項1又は請求項2
のいずれかで規定した関係式を満たすように各マグネッ
トピースの線膨張係数を調整し、この線膨張係数が調整
された成形方法の異なるマグネットピースを軸上に貼り
合わせてマグネットローラを得るものである。射出成形
と押出成形とを比較すると寸法精度では射出成形の方が
優れており、磁気特性でも射出成形の方が高磁力が実現
できるため優れており、生産性の点では押出成形の方が
優れている。したがって、これら特性上の差異を考慮し
て異なる成形法で成形したマグネットピースを適宜貼り
合わしてマグネットローラを構成することで所望の特性
を備えたマグネットローラが提供できるが、この際にも
前記関係式を満たすように各マグネットピースの線膨張
係数を調整することで反りの少ない(0.15mm以
下)、軸方向磁束密度バラツキも実用上問題のない程度
に小さな(4mT以下)マグネットローラが提供でき
る。
【0009】請求項4は、高磁束密度を要求された場
合、マグネットピース材料として、希土類系磁性粉とフ
ェライト系磁性粉を混合した樹脂磁石材料、あるいは希
土類系磁性粉のみの樹脂磁石材料を用い、これら材料よ
りなるマグネットピースを少なくともひとつ以上用いて
マグネットピースを構成する場合が想定されるが、この
場合にも請求項1又は請求項2のいずれかの関係式を満
たすように、それぞれの線膨張係数を調整したマグネッ
トピースを用いるようにするというものである。これに
より、要求どおりの高磁束密度を実現しつつ、反りが小
さく(0.15mm以下)、反りによる軸方向磁束密度
バラツキも実用上問題のない程度(4mT以下)に抑制
された高品質な画像を得ることができるマグネットロー
ラが提供できる。
【0010】請求項5は、貼り合わせるマグネットピー
ス間にマグネットピースの存在しない空間がある場合、
ここに樹脂ピースあるいは無着磁のマグネットピースを
埋設することを提案し、更に、このような構成のマグネ
ットローラについても請求項1又は請求項2の関係式を
満たすように線膨張係数を調整したマグネットピースを
使用するというものである。例えば要求される磁束密度
パターンによっては、マグネットピースが不要な部分が
発生し、その部分が空間となる場合がある。この場合、
空間部分の線膨張係数は空気の線膨張係数となり、樹脂
マグネットピースとのそれと大きな差が生じる。その結
果、温度上昇にともなって空間とは逆方向に凸の反りが
発生することになる。これを防止するために、この空間
部分に、請求項1あるいは請求項2を満足し、かつ他の
磁極の磁束密度に影響のない無着磁のマグネットピー
ス、あるいは磁性粉を含まない樹脂ピースを埋設する。
これにより、反りが小さく(0.15mm以下)なり、
反りによる軸方向磁束密度バラツキも実用上問題なくな
り(4mT以下)、軸方向に安定した磁束密度のマグネ
ットローラが得られ、高品質の画像を得ることができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のマグネットロールは、図
6に示すように金属製等の軸2の外周面に射出成形や押
出成形によって作製したマグネットピース1,1……を
貼り合わせる構成において、各マグネットピース1,1
……の線膨張係数を特定の関係に調整したことを特徴と
している。各マグネットピース1,1……はこの特定の
関係を満たすのであれば、その材質及び形状は問わな
い。以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0012】異方性フェライト磁性粉の50重量%〜9
5重量%と、樹脂バインダーの5重量%〜50重量%と
からなる混合物を主体とし、必要に応じて、表面処理剤
としてシラン系やチタネート系のカップリング剤、溶融
磁石材料の流動性を良好にする滑剤としてアミド系滑
剤、樹脂バインダーの熱分解を防止する安定剤、もしく
は難燃剤などを添加した磁石材料を、混合分散し、溶融
混練し、ペレット状に成形した後に、射出成形法あるい
は押出成形法などにより、マグネットピースが成形され
る。
【0013】いずれの成形方法でも成形時に印加する磁
場は、各マグネットピースに要求される磁束密度により
適宜選択すればよい。また、成形時には磁場を印加せ
ず、成形後に着磁しても良い。
【0014】図1はマグネットピースを貼り合わして形
成されるマグネットローラの一例を示している。この例
では、S1極に硬質系樹脂マグネットピースを用い、他
の4つには軟質系樹脂マグネットピースを用い、これら
を金属等(非磁性体のSUS303等や磁性体のSUM
22等)の軸の外周面に貼り合わせてマグネットローラ
を形成する。ここでは5極構成の場合を示しているが、
本発明ではこれに限らず、所望の磁力と磁界分布に従っ
て、上記製法で作られたマグネットピースの数量を選択
し、磁極数や磁極位置も適宜設定すればよい。
【0015】上記の射出成形、押出成形と同時に磁場を
印加する場合、成形物の脱型性の向上や、成形物のMg
カス等のゴミ付着の防止やマグネットの取り扱い性を容
易にする為に、成形後金型内あるいは金型外で一旦脱磁
し、その後磁性粒子配向方向にほぼ沿った方向に着磁し
てもよい。
【0016】前記混合磁性粉の含有率が50重量%未満
では、磁性粉不足によりマグネットローラの磁気特性が
低下して所望の磁力が得られず、またその含有率が95
重量%を超えると、バインダー不足となり本体部の成形
性が損なわれる。
【0017】樹脂バインダーとしては、エチレンーエチ
ルアクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹
脂、PET(ポリエチレンテレフタタレート)、PBT
(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニ
レンスフィド)、EVA(エチレンー酢酸ビニル共重合
体)、EVOH(エチレンービニルアルコール共重合
体)およびPVC(ポリ塩化ビニル)などの1種類ある
いは2種類以上、もしくは、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂およびポリイミド樹脂などの熱硬化性樹
脂の1種類あるいは2種類以上を混合して用いることが
できる。
【0018】上記の樹脂と磁性粉を混合し、成形した樹
脂マグネットピースの線膨張係数を制御するには、
[1]樹脂と磁性粉の混合物に添加する可塑剤の量を適
宜調整する、[2]2つ以上の樹脂を混合しさらに磁性
粉を混合する、[3]単独樹脂あるいは混合樹脂にガラ
ス繊維を5%〜30%程度混合しさらに磁性粉を混合す
る、[4]樹脂の材質を変更し、線膨張係数を調整す
る、等が挙げられる。
【0019】特に、硬質系(ナイロン系)樹脂マグネッ
トピース(線膨張係数=4.3×10-5/°C)を射出
成形で成形したものと、軟質系(塩ビ系)樹脂マグネッ
トピース(線膨張係数=12×10-5/°C)を押出成
形で成形したものとを軸の外周面に貼り合わせてマグネ
ットローラを形成する場合(図1)、線膨張係数の差が
大きく異なる為、使用温度範囲(例えば10°C〜30
°C)で約0.5mmの反りが発生する。反る方向は、
硬質系(ナイロン系)樹脂マグネットピースを貼り付け
た方向が凸となる。従って、この反りにより、軸方向の
S1極の磁束密度のバラツキは10mT以上となり、画
質の濃度ムラの原因となり、実用上使用不可能となる。
【0020】このような場合は、硬質系樹脂の可塑剤を
できるだけ増量するか、あるいは線膨張係数が軟質系に
近い樹脂(例えばポリエステル樹脂や高密度ポリエチレ
ン樹脂等)あるいは混合樹脂を選択し、できるだけ線膨
張係数を高くして軟質系樹脂の線膨張係数に近づけるよ
うにする。あるいは軟質系樹脂の可塑剤をできるだけ減
らすか、あるいは樹脂材質をナイロンの線膨張係数に近
いポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリ
プロピレン(PP)等に変更し、硬質系樹脂の線膨張係
数に近づける。また前記両方の手段を同時に行ってもよ
い。
【0021】ナイロン等の樹脂バインダー(5重量%〜
50重量%)に配合する磁性粉(50重量%〜95重量
%)としては、異方性フェライト系磁性粉と等方性希土
類系磁性粉の両方を用いる。これらの混合比(重量比)
は、異方性フェライト系磁性粉(C):等方性希土類系
磁性粉(D)=1:9〜9:1に調整するのが望まし
く、更に希土類系磁性粉の混合比を減らし低コスト化を
図る観点からは、C:D=2:8〜8:2の範囲に調整
するのが好ましい。前記混合比がC:D=1:9未満で
は、等方性希土類系磁性粉の含有量が少ない為従来のフ
ェライト樹脂磁石並の磁力しか得られず、他方で前記混
合比がC:D=9:1を超えると、磁性粉として等方性
希土類系磁性粉を用いたマグネットローラのように高磁
力を得られるが、所望範囲を超えた磁力を有する磁極が
着磁されたり、マグネットローラの仕様に無駄が生じ、
また製造コストも高くなる。
【0022】上記の希土類磁性粉として例を挙げると、
R(希土類)−Fe−N系合金、R―Fe―B系合金、
R−Co系合金、R−Fe−Co系合金などがある。こ
れらの中でも、軟磁性相と硬磁性相とを含み両相の磁化
が交換相互作用する構造をもつ交換スプリング磁性粉を
用いることが好ましい。交換スプリング磁性粉は、軟磁
性相であることに起因する低保磁力を有し、かつ交換相
互作用に起因する高い残留磁束密度を有するので、高い
磁力を得ることができる。また交換スプリング磁性粉は
従来の希土類磁性粉に比べ耐酸化性が良好で、メッキ等
の表面被覆をすることなく錆が防止でき、さらに多量の
軟磁性相が含まれるので、キュリー点が高くなり(40
0°C以上)、使用限界温度が高く(約200°C以
上)、残留磁化の温度依存性も小さいという利点を有す
る。
【0023】前記R(希土類元素)としては、好ましく
はSm、Nd、この他にPr、Dy、Tbなどの1種ま
たは2種類以上を組合せたものを用いることができ、ま
た、前記Feの一部を置換して磁気特性を高めるため
に、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Al、S
i、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、Mo、
Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、S
b、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、
Hg、Tl、Pb、Biなどの元素の1種または2種以
上を添加することができる。交換スプリング磁性粉とし
ては、硬磁性相としてR−Fe−B化合物、且つ軟磁性
相としてFe相またはFe−B化合物相を用いたもの、
もしくは、硬磁性相としてR−Fe−N系化合物相、且
つ軟磁性相としてFe相を用いたものが好ましい。より
具体的には、Nd−Fe−B系合金(軟磁性相:Fe−
B合金、αFe)、Sm−Fe−N系合金(軟磁性相:
αFe)、Nd−Fe−Co−Cu−Nb−B系合金
(軟磁性相:Fe−B系合金、αFeなど)Nd−Fe
−Co系合金(軟磁性相:αFeなど)などの交換スプ
リング磁性粉が好適であり、特に、保磁力(iHc)を
低く且つ残留磁束密度(Br)を大きくする観点から
は、Nd4Fe8020合金(軟磁性相:Fe3B、αF
e)やSm2Fe173合金(軟磁性相:αFe)の交換
スプリング磁性粉が好ましい。また、上記フェライト磁
性粉としては、MO・Fe23(nは自然数)に代表さ
れる化学式をもつ異方性のフェライト磁性粉を用い、式
中のMとして、Sr、Baまたは鉛などの1種類あるい
は2種類以上を適宜選択して用いる。特に、ナイロン等
からなる樹脂バインダーの場合に配合する場合は、PV
C等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂である可撓性
を付与した樹脂バインダー系とすると更に好適である。
【0024】ここで、技術用語である「交換スプリング
磁性」の説明を行う。「交換スプリング磁性」とは磁石
内に多量の軟磁性相が存在し、軟磁性特性を有する結晶
粒と硬磁性特性を有する結晶粒の磁化が交換相互作用で
互いに結びつき、軟磁性結晶粒の磁化が反転するのを硬
磁性結晶粒の磁化が妨げ、あたかも軟磁性相が存在しな
いかのような特性を示すものである。このように、交換
スプリング磁石には硬磁性相(通常希土類磁石はこの相
のみ)より残留磁束密度が大きくかつ保磁力が小さい軟
磁性相が多量に含まれるので、保磁力が小さくかつ高残
留磁束密度の磁石が得られる。
【0025】
【実施例】[実施例1](図2) N1極、S1極、S2極用の樹脂磁石材料として、樹脂
バインダーにナイロン6を10重量%(可塑剤、安定剤
も含む)、磁性粉として異方性ストロンチウムフェライ
ト(SrO・6Fe23)磁性粉を90重量%とし、こ
れらを混合し、溶融混練し、ペレット状に成形し、この
ペレットを溶融状態にし、注入口から溶融樹脂磁石材料
を射出注入し、318K・A/m〜1194K・A/m
の磁場を印加しながら配向着磁し、図2におけるN1
極、S1極、S2極用の各マグネットピースを成形し
た。
【0026】N2極用の樹脂磁石材料として、樹脂バイ
ンダーにナイロン12を10重量%(可塑剤、安定剤も
含む)、磁性粉として異方性ストロンチウムフェライト
(SrO・6Fe23)磁性粉を90重量%とし、これ
らを混合し、溶融混練し、ペレット状に成形し、このペ
レットを溶融状態にし、注入口から溶融樹脂磁石材料を
射出注入し、637K・A/mの磁場を印加しながら配
向着磁し、図2におけるN2極用のマグネットピースを
成形した。そしてこれら各々のマグネットピースを、図
2に示すように軸の外周面に貼り合わせてマグネットロ
ーラを形成した。マグネット外径はφ13.6、マグネ
ット軸方向長さは300mm、軸はφ6のSUM22
(磁性体)を用いた。
【0027】得られたマグネットローラの両端の軸部を
支持し、マグネットローラを回転させながら、レーザー
測定器により、反り量の最大値とその方向を測定した。
ここで、反り量はマグネットローラの温度が10°Cで
の反りを基準(0)とし、マグネットローラを30°C
まで上昇させた時の反り量を測定した。表1に、反り量
の最大値、反りの方向、各マグネットピースの線膨張係
数及びN1極の磁束密度(マグネットローラの中心から
8mm離れたところの磁束密度)を示す。
【0028】[実施例2](図2) N2極用の樹脂磁石材料として、樹脂バインダーにナイ
ロン6にガラス繊維を7%加えたもの(GF7%)に変
更する以外はすべて実施例1と同様に行った。表1に、
反り量の最大値、反りの方向、各マグネットピースの線
膨張係数を示す。
【0029】[実施例3](図3) N1極、S1極、N2極、N3極用の樹脂磁石材料とし
て、樹脂バインダーにナイロン6を10重量%(可塑
剤、安定剤も含む)、磁性粉として異方性ストロンチウ
ムフェライト(SrO・6Fe23)磁性粉を90重量
%とし、これらを混合し、溶融混練し、ペレット状に成
形し、このペレットを溶融状態にし、注入口から溶融樹
脂磁石材料を射出注入し、318K・A/m〜1194
K・A/mの磁場を印加しながら配向着磁し、図3にお
けるN1極、S1極、N2極、N3極用の各マグネット
ピースを成形した。S2極用の樹脂磁石材料として、樹
脂バインダーにナイロン6にガラス繊維5%を加えたも
の(GF5%)を10重量%(可塑剤、安定剤も含
む)、磁性粉として異方性ストロンチウムフェライト
(SrO・6Fe23)磁性粉を90重量%とし、これ
らを混合し、溶融混練し、ペレット状に成形し、このペ
レットを溶融状態にし、注入口から溶融樹脂磁石材料を
射出注入し、637K・A/mの磁場を印加しながら配
向着磁し、S3極用の樹脂磁石材料として、樹脂バイン
ダーに高密度ポリエチレンを10重量%(可塑剤、安定
剤も含む)、磁性粉として異方性ストロンチウムフェラ
イト(SrO・6Fe23)磁性粉を90重量%とし、
これらを混合し、溶融混練し、ペレット状に成形し、こ
のペレットを溶融状態にし、注入口から溶融樹脂磁石材
料を射出注入し、637K・A/mの磁場を印加しなが
ら配向着磁し、図3(横断面図)で示すS2極用及びS
3極用のマグネットピースを成形した。次いでこれら全
マグネットピースを図3に示すように軸の外周面に貼り
合わせてマグネットローラを形成した。ただし、S3極
用マグネットピースの扇開き角度を70°(マグネット
ローラ断面積の20%未満)とした。マグネット外径は
φ13.6、マグネット軸方向長さは300mm、軸は
φ6のSUM22(磁性体)を用いた。表1に、反り量
の最大値、反りの方向、各マグネットピースの線膨張係
数を示す。
【0030】[実施例4](図2) N1極、S1極、S2極用の樹脂磁石材料として、樹脂
バインダーにエチレンエチルアクリレート共重合体を1
0重量%(可塑剤、安定剤も含む)、磁性粉として異方
性ストロンチウムフェライト(SrO・6Fe23)磁
性粉を90重量%とし、これらを混合し、溶融混練し、
ペレット状に成形し、このペレットを溶融状態にし、注
入口から溶融樹脂磁石材料を射出注入し、318K・A
/m〜1194K・A/mの磁場を印加しながら配向着
磁し、図2におけるN1極、S1極、S2極用のマグネ
ットピースを射出成形した。
【0031】N2極用の樹脂磁石材料として、樹脂バイ
ンダーに塩化ビニール(軟質)を10重量%(可塑剤、
安定剤も含む)、磁性粉として異方性ストロンチウムフ
ェライト(SrO・6Fe23)磁性粉を90重量%と
し、これらを混合し、溶融混練し、ペレット状に成形
し、このペレットを溶融状態にし、溶融樹脂磁石材料
を、637K・A/mの磁場を印加し配向着磁しながら
押出成形を行ない、図2におけるN2極用のマグネット
ピースを押出成形した。これら全マグネットピースを、
図2に示すように軸の外周面に貼り合わせてマグネット
ローラを形成した。マグネット外径はφ13.6、マグ
ネット軸方向長さは300mm、軸はφ6のSUM22
(磁性体)を用いた。表1に、反り量の最大値、反りの
方向、各マグネットピースの線膨張係数を示す。
【0032】[実施例5](図3) N1極、S1極、S2極、N3極用の樹脂磁石材料とし
て、樹脂バインダーにエチレンエチルアクリレート(共
重合体)を10重量%(可塑剤、安定剤も含む)、磁性
粉として異方性ストロンチウムフェライト(SrO・6
Fe23)磁性粉を90重量%とし、これらを混合し、
溶融混練し、ペレット状に成形し、このペレットを溶融
状態にし、注入口から溶融樹脂磁石材料を射出注入し、
318K・A/m〜1194K・A/mの磁場を印加し
ながら配向着磁し、図3におけるN1極、S1極、S2
極、N3極用のマグネットピースを射出成形した。
【0033】N2極用の樹脂磁石材料として、樹脂バイ
ンダーに塩化ビニール(軟質)を10重量%(可塑剤、
安定剤も含む)、磁性粉として異方性ストロンチウムフ
ェライト(SrO・6Fe23)磁性粉を90重量%と
し、これらを混合し、溶融混練し、ペレット状に成形
し、このペレットを溶融状態にし、溶融樹脂磁石材料
を、637K・A/mの磁場を印加し配向着磁しながら
押出成形し、S3極用の樹脂磁石材料として、樹脂バイ
ンダーにナイロン6を10重量%(可塑剤、安定剤も含
む)、磁性粉として異方性ストロンチウムフェライト
(SrO・6Fe23)磁性粉を90重量%とし、これ
らを混合し、溶融混練し、ペレット状に成形し、このペ
レットを溶融状態にし、注入口から溶融樹脂磁石材料を
射出注入し、637K・A/mの磁場を印加しながら配
向着磁し、図3(横断面図)におけるN2極用とS3極
用のマグネットピースを成形した。次いで全マグネット
ピースを、図3に示すように軸の外周面に貼り合わせて
マグネットローラを形成した。ただし、S3極用のマグ
ネットピースの扇開き角度を70°とした。(マグネッ
トローラの断面積の20%未満) マグネット外径はφ13.6、マグネット軸方向長さは
300mm、軸はφ6のSUM22(磁性体)を用い
た。表1に、反り量の最大値、反りの方向、各マグネッ
トピースの線膨張係数を示す。
【0034】[実施例6](図2) N1極用の樹脂磁石材料として、希土類系磁性粉(Nd
13.5Fe81.7B4.8)と異方性フェライト系
磁性粉(SrO・6Fe2O3)を2:8の重量割合で
混合し、その混合磁性粉(90重量%)と樹脂バインダ
ーであるナイロン6を10重量%(可塑剤、安定剤を含
む)を混合し、また配向着磁磁場として2388K・A
/mとする以外はすべて実施例1と同様に行った。表1
に、反り量の最大値、反りの方向、各マグネットピース
の線膨張係数及びN1極の磁束密度(マグネットローラ
の中心から8mm離れたところの磁束密度)を示す。
【0035】[実施例7](図2) N1極用の樹脂磁石材料として、希土類系磁性粉(Nd
13.5Fe81.7B4.8)を90重量%、樹脂バ
インダーであるナイロン6を10重量%(可塑剤、安定
剤を含む)を混合し、また配向着磁磁場として2388
K・A/mとする以外はすべて実施例1と同様に行っ
た。表1に、反り量の最大値、反りの方向、各マグネッ
トピースの線膨張係数及びN1極の磁束密度(マグネッ
トローラの中心から8mm離れたところの磁束密度)を
示す。
【0036】[実施例8](図4) N1極、S1極、N2極、N3極、S2極用の樹脂磁石
材料として、樹脂バインダーにナイロン6を10重量%
(可塑剤、安定剤も含む)、磁性粉として異方性ストロ
ンチウムフェライト(SrO・6Fe23)磁性粉を9
0重量%とし、これらを混合し、溶融混練し、ペレット
状に成形し、このペレットを溶融状態にし、注入口から
溶融樹脂磁石材料を射出注入し、318K・A/m〜1
194K・A/mの磁場を印加しながら配向着磁し、図
4におけるN1極、S1極、N2極、N3極、S2極用
のマグネットピースを成形した。また、N2極とN3極
との空間(空間部)を埋める樹脂材料として、樹脂材料
のみ(ガラス繊維25%含んだナイロン6)を用い、こ
のペレットを溶融状態にし、注入口から溶融樹脂磁石材
料を射出注入し、図4における樹脂ピース3を成形し
た。次いでこれら成形した全マグネットピースを、図4
に示すように軸の外周面に貼り合わせてマグネットロー
ラを形成した。マグネット外径はφ13.6、マグネッ
ト軸方向長さは300mm、軸はφ6のSUM22(磁
性体)を用いた。表1に、反り量の最大値、反りの方
向、各マグネットピースの線膨張係数を示す。
【0037】[比較例1](図2) N2極用の樹脂磁石材料用の樹脂バインダーとして、ナ
イロン6のガラス繊維15%入り(GF15%)を用い
る以外は、すべて実施例1と同様に行った。表1に、反
り量の最大値、反りの方向、各マグネットピースの線膨
張係数を示す。
【0038】[比較例2](図2) N2極用の樹脂磁石材料用の樹脂バインダーとして、高
密度ポリエチレンを用いる以外は、すべて実施例1と同
様に行った。表1に、反り量の最大値、反りの方向、各
マグネットピースの線膨張係数を示す。
【0039】[比較例3](図2) N2極用の樹脂磁石材料用の樹脂バインダーとして、P
PSを用いる以外は、すべて実施例1と同様に行った。
表1に、反り量の最大値、反りの方向、各マグネットピ
ースの線膨張係数を示す。
【0040】[比較例4](図2) N2極用の樹脂磁石材料用の樹脂バインダーとして、エ
チレンエチルアクリレート(共重合体)を用いる以外
は、すべて実施例1と同様に行った。表1に、反り量の
最大値、反りの方向、各マグネットピースの線膨張係数
を示す。
【0041】[比較例5](図3) N2極用の樹脂磁石材料として、樹脂バインダーにナイ
ロン6にガラス繊維を10%加えたもの(GF10%)
に変更する以外はすべて実施例3と同様に行った。表1
に、反り量の最大値、反りの方向、各マグネットピース
の線膨張係数を示す。
【0042】[比較例6](図5) 図5に示すように、S3極用マグネットピースの扇開き
角度を80°とする(マグネットローラ断面積の20%
を超える)以外はすべて実施例3と同様に行った。表1
に、反り量の最大値、反りの方向、各マグネットピース
の線膨張係数を示す。
【0043】[比較例7](図4) N1極、S1極、N2極、N3極、S2極用の樹脂磁石
材料として、樹脂バインダーにナイロン6を10重量%
(可塑剤、安定剤も含む)、磁性粉として異方性ストロ
ンチウムフェライト(SrO・6Fe23)磁性粉を9
0重量%とし、これらを混合し、溶融混練し、ペレット
状に成形し、このペレットを溶融状態にし、注入口から
溶融樹脂磁石材料を射出注入し、318K・A/m〜1
194K・A/mの磁場を印加しながら配向着磁し、図
4におけるN1極、S1極、N2極、N3極、S2極用
の各マグネットピースを成形した。また、N2極とN3
極との空間は樹脂等で埋めず、空間のままとした。各々
のマグネットピースを、図4に示すように軸の外周面に
貼り合わせてマグネットローラを形成した。マグネット
外径はφ13.6、マグネット軸方向長さは300m
m、軸はφ6のSUM22(磁性体)を用いた。表1
に、反り量の最大値、反りの方向、各マグネットピース
の線膨張係数を示す。
【0044】
【表1】
【0045】[評価]表1で示した結果から明らかなよ
うに、実施例1ではN2極の線膨張係数が5.5×10
-5/°C(Lmax)となり、他極の線膨張係数は4.
3×10-5/°C(Lmin)となり、Lmax≦1.
3×Lminの関係を満足している。このときの反り量
は0.12mmとなり、実用上問題のない反り量とされ
る0.15mm以下となる。また、軸方向磁束密度バラ
ツキも3.2mTとなり、実用上問題のない軸方向磁束
密度バラツキとされる4mT以下の値となる。
【0046】これに対し、比較例1のN2極の線膨張係
数は6×10-5/°C(Lmax)となり、Lmax≦
1.3×Lminの関係を満足できなくなり、その結
果、反り量が0.25mm(0.15mmを超える)と
なり、軸方向磁束密度バラツキも5.8mT(4mTを
超える)となる。
【0047】実施例2と比較例2を比べると、実施例2
のようにN2極の線膨張係数が3.5×10-5/°C
(Lmin)となり、他極の線膨張係数は4.3×10
-5/°C(Lmax)となり、Lmax≦1.3×Lm
inの関係を満足している。この場合、反り量は0.1
3mm(0.15mm以下)となり、軸方向磁束密度バ
ラツキは3.8mT(4mT以下)となる。これに対
し、比較例2のN2極の線膨張係数は2.5×10-5
°C(Lmax)となり、Lmax≦1.3×Lmin
の関係を満足できなくなり、その結果、反り量が0.2
0mm(0.15mmを超える)となり、軸方向磁束密
度バラツキは5.5mT(4mTを超える)となってい
る。
【0048】比較例3は、N2極の線膨張係数が1.3
×10-5/°Cとなり、反り量はN2極の方向へ0.4
5mm(0.15mmを超える)となり、軸方向磁束密
度バラツキは11mT(4mTを超える)となる。
【0049】比較例4は、N2極の線膨張係数が10×
10-5/°Cとなり、反り量はN2極と逆側(N1極の
方向)へ0.55mm(0.15mmを超える)とな
り、軸方向磁束密度バラツキは15mT(4mTを超え
る)となる。
【0050】実施例3と比較例5,6を比べると、実施
例3は、マグネットローラの横断面の80%以上を占め
る断面積部分、ここでは、N1極、S1極、N2極、S
2極、N3極を対象となるが、これらのマグネットピー
スのうちの最大の線膨張係数が4.3×10-5/°C
(Lmax)、最小の線膨張係数を3.7×10-5/°
C(Lmin)となり、「Lmax≦1.2×Lmi
n」を満足するマグネットピースで形成されていること
により、実施例3はS2方向に反り量が0.12mm
(0,15mm以下)となり、軸方向磁束密度バラツキ
も3.6mT(4mT以下)となっている。これに対
し、比較例5はマグネットローラの横断面の80%以上
を占める断面積、ここでは、N1極、S1極、N2極、
S2極、N3極が対象となるが、これらのマグネットピ
ースのうちの最大の線膨張係数が4.3×10-5/°C
(Lmax)、最小の線膨張係数を3×10-5/°C
(Lmin)となり、「Lmax≦1.2×Lmin」
を満足しないことにより、S2方向に反り量が0.17
mm(0.15mmを超える)となり、軸方向磁束密度
が4.8mT(4mTを超える)となっている。また、
比較例6は、S3極用マグネットピースの開き角度を8
0°にすることにより、マグネットローラの断面積の2
0%を超えることになり、N2方向に反り量が0.17
mm(0.15mmを超える)となり、軸方向磁束密度
バラツキも4.9mT(4mTを超える)となる。
【0051】実施例6と比較例7を比べると、マグネッ
トピースの無い空間部分に、磁性粉を含まない樹脂(線
膨張係数=4×10-5/°C)を図4のように貼り合わ
せることにより、Lmax(=4.3×10-5/°C)
≦1.3×Lmin(=4×10-5/°C)の関係を満
足し、N1の方向に反り量が0.1mm(0.15mm
以下)となり、軸方向磁束密度バラツキが3.2mT
(4mT以下)となる。これに対し、比較例7はマグネ
ットピースが無い空間部分には何も貼り付けないことに
より、N1方向に反り量が0.25mm(0.15mm
を超える)となり、軸方向磁束密度が5.7mT(4m
Tを超える)となる。
【0052】また、実施例4のように、N2極のみが押
出成形でマグネットピースを成形し、他極は射出成形で
マグネットピースを成形しても、Lmax(=12×1
-5/°C)≦1.3×Lmin(=10×10-5/°
C)の関係を満足するため、反り量は0.10mm
(0.15mm以下)となり、軸方向磁束密度は3.1
mT(4mT以下)となる。実施例5では、N2極のみ
押出成形でマグネットピースを成形し、他極は射出成形
でマグネットピースを成形し、S3極を除く極でマグネ
ットローラの断面積の80%以上を占めることになり、
Lmax(=12×10-5/°C)≦Lmin(=10
×10-5/°C)を満足し、反り量が0.14mm
(0.15mm以下)となり、軸方向磁束密度が3.8
mT(4mT以下)となる。
【0053】さらに、実施例6、7のように、マグネッ
トピース材料の磁性粉として希土類系磁性粉とフェライ
ト系磁性粉との混合粉を用いたり、希土類系磁性粉のみ
を用いたりすることにより、100mTや120mTと
いう高磁束密度も可能となる。
【0054】このように複数のマグネットピースを貼り
合わせて形成するマグネットローラにおいて、前記マグ
ネットピースのうち最大の線膨張係数(Lmax)をも
つマグネットピースと、前記マグネットピースのうち最
小の線膨張係数(Lmin)をもつマグネットピースと
の関係が「Lmax≦1.3×Lmin」を満足するよ
うに線膨張係数を調整したマグネットピースを用いてマ
グネットローラを形成することにより、反り量が0.1
5mm以下となって軸方向磁束密度バラツキが4mT以
下となり、濃度ムラのない高画質でカラー化にも最適な
マグネットローラが得られることがわかる。
【0055】またマグネットローラの横断面全体の80
%以上の断面積を占めるマグネットピース存在箇所に含
まれるマグネットピースのうち最大の線膨張係数をLm
ax、最小の線膨張係数をLminとするとき、「Lm
ax≦1.2×Lmin」を満足するように各マグネッ
トピースの線膨張係数を調整することにより、反り量が
0.15mm以下となり、軸方向磁束密度バラツキも4
mT以下となり、濃度ムラのない高画質でカラー化にも
最適なマグネットローラが得られることがわかる。
【0056】また、射出成形で成形したマグネットピー
スと押出成形で成形したマグネットピースを組み合わせ
て用いた場合においても、前記条件を満足すれば、反り
量が0.15mm以下となり、軸方向磁束密度バラツキ
も4mT以下となり、濃度ムラのない高画質でカラー化
にも最適なマグネットローラが得られることがわかる。
【0057】また特定磁極について高磁束密度を要求さ
れた場合などであって、マグネットピース材料として、
希土類系磁性粉とフェライト系磁性粉とを混合した樹脂
磁石材料、あるいは希土類系磁性粉のみの樹脂磁石材料
より形成されたマグネットピースを少なくともひとつ以
上用いる場合にも、前記条件を満足させることによっ
て、高磁束密度を実現しながら、且つ反り量が0.15
mm以下となって軸方向磁束密度バラツキが4mT以下
となり、濃度ムラのない高画質でカラー化にも最適なマ
グネットローラが得られることがわかる。
【0058】また、貼り合わせるマグネットピース間に
マグネットピースを貼り付けない空間がある場合には、
この空間に着磁されていない樹脂マグネットピース又は
磁性粉を含まない樹脂ピースを埋設したうえ、前記条件
を満足させることによって、反り量が0.15mm以下
となって軸方向磁束密度バラツキが4mT以下となり、
濃度ムラのない高画質でカラー化にも最適なマグネット
ローラが得られることがわかる。
【0059】
【発明の効果】請求項1に係る発明は、貼り合わせるマ
グネットピースのうち最大の線膨張係数(Lmax)を
もつマグネットピースと、最小の線膨張係数(Lmi
n)をもつマグネットピースとの関係を「Lmax≦
1.3×Lmin」を満足するように各マグネットピー
スの線膨張係数を調整しているから、これらマグネット
ピースを貼り合わせて構成されるマグネットローラの反
り量、軸方向磁束密度バラツキを当該マグネットローラ
の使用温度範囲全域において実用上問題のない程度にま
で抑制することができるようになり、濃度ムラのない高
画質でカラー化にも適したマグネットローラを提供でき
るようになる。
【0060】請求項2に係る発明は、マグネットピース
間にマグネットピースの存在しない空間が有る場合と無
い場合のいずれをも対象として、マグネットローラの横
断面全体の80%以上の断面積を占めるマグネットピー
ス存在箇所に含まれるマグネットピースの最大の線膨張
係数をLmax、最小の線膨張係数をLminとすると
き、「Lmax≦1.2×Lmin」なる関係を満足す
るように各マグネットピースの線膨張係数を調整するよ
うにしているから、マグネットピース間に空間があるよ
うなマグネットローラに対しても、マグネットローラの
反り量、軸方向の磁束密度をその使用温度範囲全域にお
いて実用上問題のない程度にまで抑制できるようにな
り、濃度ムラのない高画質な画像が得られるカラー化に
も適したマグネットローラが得られる。
【0061】請求項3に係る発明は、射出成形で作製し
たマグネットピースと押出成形で作製したマグネットピ
ースとを組み合わせてマグネットローラを構成する際に
も前記請求項1又は請求項2において規定した条件を満
足することで、反り量及び軸方向磁束密度バラツキが使
用温度範囲全域において実用上問題のない程度に抑制さ
れることを示したので、寸法精度、磁力、生産性との関
係から各マグネットピースの成形法を選択する必要があ
るような場合でも、高画質な濃度ムラのない画像が得ら
れるマグネットローラを提供することができる。
【0062】請求項4に係る発明は、希土類系磁性粉と
フェライト系磁性粉とを混合した樹脂磁石材料、あるい
は希土類系磁性粉のみの樹脂磁石材料を用いて成形した
マグネットピースを少なくともひとつ以上用いるような
マグネットローラにおいても、前記請求項1又は請求項
2で規定した条件を満足することで、使用温度範囲全域
において反り量及び軸方向磁束密度バラツキが実用上問
題のない程度にまで抑制されることを示したので、特定
磁極に関して高磁力が求められる等の理由から、マグネ
ットピースに前記磁石材料を用いる必要がある場合で
も、高画質な濃度ムラのない画像が得られるマグネット
ローラを提供することができる。
【0063】請求項5に係る発明は、貼り付けるマグネ
ットピース間にマグネットピースが存在しない空間があ
る場合、この空間部分に無着磁のマグネットピースある
いは磁性粉を含まない樹脂ピースを、請求項1又は請求
項2の条件を満足させつつ埋設することにより、使用温
度範囲全域において、反り量及び軸方向磁束密度バラツ
キが実用上問題のない程度にまで抑制されることを示し
たので、マグネットピースの存在しない箇所を有するマ
グネットローラであっても、高画質な濃度ムラのない画
像が得られるマグネットローラを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネットピースを貼り合わして形成されるマ
グネットローラの一例を示す説明図
【図2】マグネットピースの配設例を示す説明図
【図3】マグネットピースの配設例を示す説明図
【図4】マグネットピースの配設例を示す説明図
【図5】マグネットピースの配設例を示す説明図
【図6】マグネットローラがマグネットピースを貼り合
わせて構成されることを示す説明図
【符号の説明】
1 マグネットピース 2 軸 3 樹脂ピース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 7/02 H01F 7/02 K 41/02 41/02 G Fターム(参考) 2H031 AC18 AC19 3J103 AA02 AA13 AA32 AA71 AA85 BA22 BA34 EA02 EA07 FA01 FA03 FA18 GA02 GA52 GA57 GA58 GA60 HA03 HA05 HA15 HA16 HA22 HA31 HA32 HA42 HA43 HA45 HA46 HA60 4J002 BB061 BB071 BC031 BD041 BE031 BF031 CC031 CC181 CD001 CF061 CF071 CF211 CH121 CL001 CN011 DC006 FD020 GM00 5E062 CC01 CD02 CD05 CE02 CE03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のマグネットピースを貼り合わせて
    形成するマグネットローラにおいて、前記マグネットピ
    ースのうち最大の線膨張係数(Lmax)をもつマグネ
    ットピースと最小の線膨張係数(Lmin)をもつマグ
    ネットピースとが「Lmax≦1.3×Lmin」なる
    関係式を満たすように、その線膨張係数が調整されたマ
    グネットピースを用いてマグネットローラを形成したこ
    とを特徴とするマグネットローラ。
  2. 【請求項2】 複数のマグネットピースを貼り合わせて
    形成するマグネットローラにおいて、マグネットピース
    間にマグネットピースの存在しない空間が有る場合と無
    い場合のいずれをも対象として、マグネットローラの横
    断面全体の80%以上の断面積を占めるマグネットピー
    ス存在箇所に含まれるマグネットピースの最大の線膨張
    係数をLmax、最小の線膨張係数をLminとしたと
    き、「Lmax≦1.2×Lmin」なる関係式を満た
    すように、その線膨張係数が調整されたマグネットピー
    スを用いてマグネットローラを形成したことを特徴とす
    るマグネットローラ。
  3. 【請求項3】 射出成形で成形したマグネットピースと
    押出成形で成形したマグネットピースを組み合わせて用
    いた請求項1又は2記載のマグネットローラ。
  4. 【請求項4】 希土類系磁性粉とフェライト系磁性粉と
    を混合した樹脂磁石材料、あるいは希土類系磁性粉のみ
    の樹脂磁石材料を用いて成形したマグネットピースを少
    なくともひとつ以上用いた請求項1〜3のいずれか1項
    に記載のマグネットローラ。
  5. 【請求項5】 複数のマグネットピースを貼り合わせて
    形成され、且つ貼り合わせるマグネットピース間にマグ
    ネットピースの存在しない空間を有するマグネットロー
    ラの前記空間に、着磁されていない樹脂マグネットピー
    ス又は磁性粉を含まない樹脂ピースを埋設した請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のマグネットローラ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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