JP4491118B2 - オゾンの取出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生成したオゾンを貯蔵し、こののちに取り出し、適宜使用する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
水処理の方法として水中にオゾンを供給して、水中の難分解物質を処理する方法が近年注目を浴びている。そして、オゾンの発生方法としては、無声放電を用いたものが使われている。生活排水に、このオゾンによる水処理が用いられる場合には、昼間の電力需要が増大するため、オゾンを深夜電力により発生させ、貯蔵する必要がある。
オゾンの貯蔵方法としては、冷却した吸着媒体に加圧してオゾンを貯蔵し、オゾンを取り出すさいには吸着媒体を加熱すると同時に減圧を行うものである。
【0003】
従来、オゾンの貯蔵方法としては、貯蔵容器内にシリカゲルを充填し、−60℃乃至−30℃に冷却したシリカゲルに加圧によりオゾンを吸着させるものである。そして、オゾンの取出方法としては、貯蔵容器内のシリカゲルを加熱すると共に、貯蔵容器内を減圧してオゾンを取り出すものである。
例えば、特開平11−292512号公報に記載された技術などが知られている。この技術は、吸着剤を冷却機により−30℃以下に冷却し、吸着剤にオゾンを加圧して供給することにより、オゾンを吸着剤に貯蔵するものであり、オゾンを取り出す際には、吸着剤を過熱するとともに、減圧するものである。
すなわち、オゾンを吸着させる際には、5atmまで加圧し、オゾンを取り出す場合は0.04気圧まで減圧するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のオゾンの貯留方法はオゾンを加圧する必要がある。
このため、オゾンを加圧によりシリカゲルに吸着させるためには多くの電力を必要とし、効率的ではない。また、加圧されたオゾンは反応性が増し、オゾン貯蔵容器の耐久性が問題となる。
さらには、加圧に伴い、設備がおおがかりとなり、作業従事者も増えるなど、コストがかかるとともに、大きな配置空間を必要とする。このため、オゾン貯留装置を普及させる場合には多くの問題点が残っている。
また、吸着を行う際には吸着剤を冷却し、オゾンの排出を行う際には吸着剤を加熱するので、吸着剤に急激な温度変化がを与えるものであり、吸着剤の耐久性を低下させるとともに、大きなエネルギーが必要となるものである。
【0005】
次に課題となるものは、シリカゲルのオゾン貯蔵機構における特性である。シリカゲルは、一般に、表面積に比例して、ガスの吸着量が増すとされているが、オゾンにおいては、その傾向がみられなかった。これは、オゾンがシリカゲルに対して、単に表面吸着を行うものではなく、オゾンはシリカゲルにおいて他の機構により吸蔵されることを示すものである。また、コンピュータによる近似の半経験的分子軌道法を用いた計算によっては、オゾン分子がシリカゲル中のアルミニウム近傍に結合しやすいことが見出された。このことより、オゾンをシリカゲルに吸蔵するには、オゾンの吸着機構に合ったシリカゲルを用いるとともに、オゾンの吸着機構に合った貯蔵および取り出しを行う必要がある。発明者は、オゾンの貯蔵および取出方法における上記の欠点を改善すべく鋭意研究を重ねた結果、効率的なオゾンの貯蔵および取出方法を見いだすに至った。即ち、本発明の目的は、シリカゲルのオゾン貯蔵特性に応じた取出方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、シリカゲルにオゾンを供給すると、シリカゲルの細孔により、オゾンが等温圧縮され、シリカゲル内において一部が液化すると考えられる。本発明の発明者はオゾンの貯蔵機構に鑑みて、本発明のオゾンの貯蔵方法および取出方法を発明するに至った。
【0007】
オゾンが等温圧縮に際して、シリカゲルの細孔を一定の範囲において維持する必要がある。従来の方法においては、中和後の水洗において、過剰な水洗が行われるため、シリカゲルの細孔が溶解したり、溶媒である水の蒸発の際に亀裂が生じ、細孔が崩壊する。
このため、本発明は、弱酸性状態で、ケイ酸アルカリの中和により生成したゲルをpH6乃至7になる範囲で、乾燥させ使用する方法および、そのシリカゲルを硫酸もしくは水により破砕したシリカゲルを用いるものである。さらに、シリカゲルとしては、アルミニウムを 0.1から0.002重量%含有するものを用いる。
そして、シリカゲルへの窒素の吸着を防止するべく、シリカゲルに酸素を吸着させ、真空引きした後に、シリカゲルにオゾンを供給するものである。
【0008】
次に、オゾンをシリカゲルより取り出す際には、オゾンの重力による流下を利用するものである。
従来の方法としては、加熱もしくは減圧によりオゾンを膨張させ、シリカゲルより取り出す方法を用いるが、本発明者等はシリカゲルにおけるオゾンの吸蔵は等温圧縮であることを見だすとともに、シリカゲルに貯蔵されることによりオゾンがクラスターとなることを見出したものである。
すなわち、シリカゲルよりオゾンを取り出す方法としては、オゾンの重力による流下と共に拡散を利用することができるものである。シリカゲルを充填したオゾン貯蔵容器内にオゾンを貯蔵し、該オゾン容器の下部を開口する。これと同時にオゾン貯蔵容器の上部よりオゾンの流下速度に合わせて、酸素を供給するものである。これにより、オゾンの自然流下を促すことができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1はオゾン貯蔵装置の構成示す概略図、図2はオゾンの貯蔵および取出構成を示す略図である。
【0010】
図1に示すオゾン貯蔵装置は、酸素供給源1、オゾン発生装置2、真空ポンプ5、オゾン貯蔵容器6およびシリカゲル7により構成されている。酸素供給源1とオゾン発生装置2は配管により接続されており、酸素供給源1より酸素がオゾン発生装置2に供給される。
オゾン発生装置2において発生したオゾンは配管を通じてオゾン貯蔵容器6内に導入される。オゾン発生装置2とオゾン貯蔵容器6を接続する配管には三方弁3および弁4が配設されている。
オゾン貯蔵容器6の上部および下部には配管が接続されており、該オゾン貯蔵容器6の下部に接続した配管には弁8が配設されている。
【0011】
オゾン貯蔵容器6内に充填するシリカゲル7について説明する。
オゾンを貯蔵するシリカゲル7として、オゾンの等温圧縮細孔に適したシリカゲルを用いるものである。
オゾンの等温圧縮細孔に適したシリカゲルとしては、ケイ酸ソーダと硫酸とを中和させて生じたシリカゲルをpHが6乃至7となるまで水洗する。この際、過剰な水洗することを避ける必要がある。これは、水洗による細孔の破壊もしくは溶解を防止するためであるとともに、シリカゲルに硫酸を残存させるためである。
この後にシリカゲルは乾燥され使用されるか、場合によっては水洗もしくは硫酸により処理され破砕されるものである。
【0012】
硫酸を用いて洗浄を行う場合には、0.1〜5%(wt)硫酸を用いて一時間乃至二時間の洗浄を行うものである。硫酸によりシリカゲルを洗浄することにより、シリカゲルに硫酸が残存し、乾燥時の亀裂の発生を抑止するものである。
水により洗浄を行う場合には、水によりシリカゲルを約一時間洗浄するものである。水によりシリカゲルを洗浄することにより、シリカゲル内に含まれるアルミニウムの流出を抑止できるものである。
【0013】
オゾンのシリカゲルへの吸蔵の機構において、シリカゲルの細孔内において等温圧縮されたオゾンはシリカゲル内のアルミニウムとの相互作用により、該シリカゲルの細孔内に保持されるものである。このため、アルミニウムを 0.1から0.002重量%含有するシリカゲルを貯蔵媒体として用いるものである。
【0014】
次に、オゾン貯蔵容器6内の真空引きの工程について説明する。
オゾンの吸蔵を行うシリカゲル7は、酸素を吸着させた後に真空引きするものである。これは、シリカゲルに吸着した窒素を取り除くための作業であり、シリカゲルより窒素を取り除くことにより、オゾンの吸蔵量を増すことが可能となる。
【0015】
図1の構成においては、酸素供給源1よりオゾン貯蔵容器6内のシリカゲル7に酸素を供給する。そして、弁8を閉じ、三方弁3により真空ポンプ5とオゾン貯蔵容器6を接続し、真空ポンプ5を作動させるものである。これにより、オゾン貯蔵容器6内が真空引きされる。
すなわち、シリカゲルに窒素が吸着している場合には、オゾンをシリカゲルに吸蔵する前段階として、オゾン貯蔵容器6内のシリカゲル7に酸素を通じた後に、真空引きするものである。
【0016】
次に、オゾンの貯蔵構成について、図2を用いて説明する。
弁4および弁8を開き、オゾン発生装置2よりのオゾンをオゾン貯蔵容器6内に導入する。これにより、オゾンがシリカゲル7に吸蔵される。オゾンはオゾン貯蔵容器6の上部より供給されるため、オゾン貯蔵容器6の上部に充填されたシリカゲル7よりオゾンが吸蔵される。このため、図2(i)に示すごとく、オゾン貯蔵容器6の上部に、シリカゲル7のオゾン吸蔵域7bが生じる。
そして、図2(ii)に示すごとく、オゾンの供給を継続することにより、オゾン貯蔵容器6に充填されたシリカゲル7の全体がオゾン吸蔵域7bとなる。
【0017】
図2(ii)に示すごとく、オゾン吸蔵域7bが、オゾン貯蔵容器6の下部に達した時点で、図2(iii)に示すごとく、弁4および弁8を閉じ、オゾン貯蔵容器6内にオゾンを貯蔵することが可能となる。オゾン貯蔵容器6内にオゾンが十分に貯蔵されたことを認識する手段としては、オゾン貯蔵容器6下部内側に配設したオゾン濃度検出計により行うことが可能である。もしくは、オゾンがシリカゲルに吸蔵されることにより、青色に変色することを利用して、シリカゲルの色により判断することも可能である。
【0018】
オゾンをオゾン貯蔵容器6より取り出す際には、弁4および弁8を開き、オゾン貯蔵容器6内に酸素を供給するものである。酸素の供給速度はオゾンの自然流下の速度に合わせるものであり、1リットル容器に対して200ml/minの供給速度で行うものである。
これにより、オゾンの自然流下を阻害することなく、オゾン貯蔵容器6内に貯蔵されたオゾンを排出することが可能となる。シリカゲルに1〜5気圧の低圧において、貯蔵されたオゾンがクラスレート化することを発明者等は、数多くの研究を通じて見出しており、このクラスレート化したオゾンをクラスター状態で取り出すには、オゾンの自然流下を用いることが最適である。
また、クラスター化したオゾンは、強い酸化力もしくは分解力を示すものであり、クラスターを維持することにより、オゾンの酸化力もしくは分解力を向上させることが可能となる。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の方法を用いることにより、オゾンを効率的に貯蔵が可能となる。さらに、クラスター化したオゾンを取り出すことが可能であり、オゾンを用いた酸化分解を効率的に行うことが可能となる。
また、オゾン貯蔵設備の構成を簡便にすることができ、貯蔵設備の耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オゾン貯蔵装置の構成示す概略図。
【図2】オゾンの貯蔵および取出し構成を示す略図。
【符号の説明】
1 酸素供給源
2 オゾン発生装置
3 三方弁
4 弁
5 真空ポンプ
6 オゾン貯蔵容器
7 シリカゲル
8 弁
Claims (2)
- シリカゲルを充填した容器にオゾンを供給し、当該シリカゲルにオゾンを吸蔵することで前記容器内にオゾンを貯蔵し、オゾンを貯蔵した容器の下部を開口し、オゾンの自然流下により、シリカゲルに吸蔵されたオゾンを下方に排出し、オゾン貯蔵容器の上部より酸素をオゾンの流下速度に応じて供給し、オゾンを取り出すとともに、
前記シリカゲルは、ケイ酸アルカリの中和により生成したゲルをpH6乃至7になる範囲で水洗し、乾燥させたシリカゲル、
もしくは、前記シリカゲルは、ケイ酸アルカリの中和により生成したゲルをpH6乃至7になる範囲で水洗し、乾燥させたシリカゲルを硫酸もしくは水により破砕洗浄したシリカゲルであり、
さらに、前記シリカゲルは、アルミニウムを0.1から0.002重量%含有することを特徴とするオゾンの取出方法。 - 前記シリカゲルを充填した容器にオゾンを供給する前に、前記シリカゲルに酸素を吸着させた後に、真空引きすることを特徴とする請求項1に記載のオゾンの取出方法。
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