JP2002037610A - オゾンの貯蔵方法および取出方法 - Google Patents

オゾンの貯蔵方法および取出方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリカゲルを用いたオゾン貯蔵設備におい
て、オゾンを効率的に貯蔵するとともに、オゾンの特性
を生かしたオゾン取出方法を得ることを課題とする。 【解決手段】 ケイ酸アルカリの中和により生成したゲ
ルをpH6乃至7になるの範囲で水洗し、乾燥させたシ
リカゲルおよび、硫酸もしくは水により破砕洗浄したシ
リカゲルに、酸素を吸着させ、真空引きし、オゾンを供
給する。アルミニウムを 0.1から0.002重量%
含有するシリカゲルを貯蔵媒体として用いる。貯蔵した
容器の下部を開口し、オゾンの自然流下により、オゾン
を取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生成したオゾンを
貯蔵し、こののちに取り出し、適宜使用する技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】水処理の方法として水中にオゾンを供給
して、水中の難分解物質を処理する方法が近年注目を浴
びている。そして、オゾンの発生方法としては、無声放
電を用いたものが使われている。生活排水に、このオゾ
ンによる水処理が用いられる場合には、昼間の電力需要
が増大するため、オゾンを深夜電力により発生させ、貯
蔵する必要がある。オゾンの貯蔵方法としては、冷却し
た吸着媒体に加圧してオゾンを貯蔵し、オゾンを取り出
すさいには吸着媒体を加熱すると同時に減圧を行うもの
である。
【0003】従来、オゾンの貯蔵方法としては、貯蔵容
器内にシリカゲルを充填し、−60℃乃至−30℃に冷
却したシリカゲルに加圧によりオゾンを吸着させるもの
である。そして、オゾンの取出方法としては、貯蔵容器
内のシリカゲルを加熱すると共に、貯蔵容器内を減圧し
てオゾンを取り出すものである。例えば、特開平11−
292512号公報に記載された技術などが知られてい
る。この技術は、吸着剤を冷却機により−30℃以下に
冷却し、吸着剤にオゾンを加圧して供給することによ
り、オゾンを吸着剤に貯蔵するものであり、オゾンを取
り出す際には、吸着剤を過熱するとともに、減圧するも
のである。すなわち、オゾンを吸着させる際には、5a
tmまで加圧し、オゾンを取り出す場合は0.04気圧
まで減圧するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のオゾンの貯留方
法はオゾンを加圧する必要がある。このため、オゾンを
加圧によりシリカゲルに吸着させるためには多くの電力
を必要とし、効率的ではない。また、加圧されたオゾン
は反応性が増し、オゾン貯蔵容器の耐久性が問題とな
る。さらには、加圧に伴い、設備がおおがかりとなり、
作業従事者も増えるなど、コストがかかるとともに、大
きな配置空間を必要とする。このため、オゾン貯留装置
を普及させる場合には多くの問題点が残っている。ま
た、吸着を行う際には吸着剤を冷却し、オゾンの排出を
行う際には吸着剤を加熱するので、吸着剤に急激な温度
変化がを与えるものであり、吸着剤の耐久性を低下させ
るとともに、大きなエネルギーが必要となるものであ
る。
【0005】次に課題となるものは、シリカゲルのオゾ
ン貯蔵機構における特性である。シリカゲルは、一般
に、表面積に比例して、ガスの吸着量が増すとされてい
るが、オゾンにおいては、その傾向がみられなかった。
これは、オゾンがシリカゲルに対して、単に表面吸着を
行うものではなく、オゾンはシリカゲルにおいて他の機
構により吸蔵されることを示すものである。また、コン
ピュータによる近似の半経験的分子軌道法を用いた計算
によっては、オゾン分子がシリカゲル中のアルミニウム
近傍に結合しやすいことが見出された。このことより、
オゾンをシリカゲルに吸蔵するには、オゾンの吸着機構
に合ったシリカゲルを用いるとともに、オゾンの吸着機
構に合った貯蔵および取り出しを行う必要がある。発明
者は、オゾンの貯蔵および取出方法における上記の欠点
を改善すべく鋭意研究を重ねた結果、効率的なオゾンの
貯蔵および取出方法を見いだすに至った。即ち、本発明
の目的は、シリカゲルのオゾン貯蔵特性に応じた貯蔵方
法および取出方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、シリカ
ゲルにオゾンを供給すると、シリカゲルの細孔により、
オゾンが等温圧縮され、シリカゲル内において一部が液
化すると考えられる。本発明の発明者はオゾンの貯蔵機
構に鑑みて、本発明のオゾンの貯蔵方法および取出方法
を発明するに至った。
【0007】オゾンが等温圧縮に際して、シリカゲルの
細孔を一定の範囲において維持する必要がある。従来の
方法においては、中和後の水洗において、過剰な水洗が
行われるため、シリカゲルの細孔が溶解したり、溶媒で
ある水の蒸発の際に亀裂が生じ、細孔が崩壊する。この
ため、本発明は、弱酸性状態で、ケイ酸アルカリの中和
により生成したゲルをpH6乃至7になる範囲で、乾燥
させ使用する方法および、そのシリカゲルを硫酸もしく
は水により破砕したシリカゲルを用いるものである。さ
らに、シリカゲルとしては、アルミニウムを 0.1か
ら0.002重量%含有するものを用いる。そして、シ
リカゲルへの窒素の吸着を防止するべく、シリカゲルに
酸素を吸着させ、真空引きした後に、シリカゲルにオゾ
ンを供給するものである。
【0008】次に、オゾンをシリカゲルより取り出す際
には、オゾンの重力による流下を利用するものである。
従来の方法としては、加熱もしくは減圧によりオゾンを
膨張させ、シリカゲルより取り出す方法を用いるが、本
発明者等はシリカゲルにおけるオゾンの吸蔵は等温圧縮
であることを見だすとともに、シリカゲルに貯蔵される
ことによりオゾンがクラスターとなることを見出したも
のである。すなわち、シリカゲルよりオゾンを取り出す
方法としては、オゾンの重力による流下と共に拡散を利
用することができるものである。シリカゲルを充填した
オゾン貯蔵容器内にオゾンを貯蔵し、該オゾン容器の下
部を開口する。これと同時にオゾン貯蔵容器の上部より
オゾンの流下速度に合わせて、酸素を供給するものであ
る。これにより、オゾンの自然流下を促すことができる
ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図を用いて説明する。図1はオゾン貯蔵装置の構成示
す概略図、図2はオゾンの貯蔵および取出構成を示す略
図である。
【0010】図1に示すオゾン貯蔵装置は、酸素供給源
1、オゾン発生装置2、真空ポンプ5、オゾン貯蔵容器
6およびシリカゲル7により構成されている。酸素供給
源1とオゾン発生装置2は配管により接続されており、
酸素供給源1より酸素がオゾン発生装置2に供給され
る。オゾン発生装置2において発生したオゾンは配管を
通じてオゾン貯蔵容器6内に導入される。オゾン発生装
置2とオゾン貯蔵容器6を接続する配管には三方弁3お
よび弁4が配設されている。オゾン貯蔵容器6の上部お
よび下部には配管が接続されており、該オゾン貯蔵容器
6の下部に接続した配管には弁8が配設されている。
【0011】オゾン貯蔵容器6内に充填するシリカゲル
7について説明する。オゾンを貯蔵するシリカゲル7と
して、オゾンの等温圧縮細孔に適したシリカゲルを用い
るものである。オゾンの等温圧縮細孔に適したシリカゲ
ルとしては、ケイ酸ソーダと硫酸とを中和させて生じた
シリカゲルをpHが6乃至7となるまで水洗する。この
際、過剰な水洗することを避ける必要がある。これは、
水洗による細孔の破壊もしくは溶解を防止するためであ
るとともに、シリカゲルに硫酸を残存させるためであ
る。この後にシリカゲルは乾燥され使用されるか、場合
によっては水洗もしくは硫酸により処理され破砕される
ものである。
【0012】硫酸を用いて洗浄を行う場合には、0.1
〜5%(wt)硫酸を用いて一時間乃至二時間の洗浄を行
うものである。硫酸によりシリカゲルを洗浄することに
より、シリカゲルに硫酸が残存し、乾燥時の亀裂の発生
を抑止するものである。水により洗浄を行う場合には、
水によりシリカゲルを約一時間洗浄するものである。水
によりシリカゲルを洗浄することにより、シリカゲル内
に含まれるアルミニウムの流出を抑止できるものであ
る。
【0013】オゾンのシリカゲルへの吸蔵の機構におい
て、シリカゲルの細孔内において等温圧縮されたオゾン
はシリカゲル内のアルミニウムとの相互作用により、該
シリカゲルの細孔内に保持されるものである。このた
め、アルミニウムを 0.1から0.002重量%含有
するシリカゲルを貯蔵媒体として用いるものである。
【0014】次に、オゾン貯蔵容器6内の真空引きの工
程について説明する。オゾンの吸蔵を行うシリカゲル7
は、酸素を吸着させた後に真空引きするものである。こ
れは、シリカゲルに吸着した窒素を取り除くための作業
であり、シリカゲルより窒素を取り除くことにより、オ
ゾンの吸蔵量を増すことが可能となる。
【0015】図1の構成においては、酸素供給源1より
オゾン貯蔵容器6内のシリカゲル7に酸素を供給する。
そして、弁8を閉じ、三方弁3により真空ポンプ5とオ
ゾン貯蔵容器6を接続し、真空ポンプ5を作動させるも
のである。これにより、オゾン貯蔵容器6内が真空引き
される。すなわち、シリカゲルに窒素が吸着している場
合には、オゾンをシリカゲルに吸蔵する前段階として、
オゾン貯蔵容器6内のシリカゲル7に酸素を通じた後
に、真空引きするものである。
【0016】次に、オゾンの貯蔵構成について、図2を
用いて説明する。弁4および弁8を開き、オゾン発生装
置2よりのオゾンをオゾン貯蔵容器6内に導入する。こ
れにより、オゾンがシリカゲル7に吸蔵される。オゾン
はオゾン貯蔵容器6の上部より供給されるため、オゾン
貯蔵容器6の上部に充填されたシリカゲル7よりオゾン
が吸蔵される。このため、図2(i)に示すごとく、オ
ゾン貯蔵容器6の上部に、シリカゲル7のオゾン吸蔵域
7bが生じる。そして、図2(ii)に示すごとく、オゾ
ンの供給を継続することにより、オゾン貯蔵容器6に充
填されたシリカゲル7の全体がオゾン吸蔵域7bとな
る。
【0017】図2(ii)に示すごとく、オゾン吸蔵域7
bが、オゾン貯蔵容器6の下部に達した時点で、図2
(iii)に示すごとく、弁4および弁8を閉じ、オゾン
貯蔵容器6内にオゾンを貯蔵することが可能となる。オ
ゾン貯蔵容器6内にオゾンが十分に貯蔵されたことを認
識する手段としては、オゾン貯蔵容器6下部内側に配設
したオゾン濃度検出計により行うことが可能である。も
しくは、オゾンがシリカゲルに吸蔵されることにより、
青色に変色することを利用して、シリカゲルの色により
判断することも可能である。
【0018】オゾンをオゾン貯蔵容器6より取り出す際
には、弁4および弁8を開き、オゾン貯蔵容器6内に酸
素を供給するものである。酸素の供給速度はオゾンの自
然流下の速度に合わせるものであり、1リットル容器に
対して200ml/minの供給速度で行うものである。これに
より、オゾンの自然流下を阻害することなく、オゾン貯
蔵容器6内に貯蔵されたオゾンを排出することが可能と
なる。シリカゲルに1〜5気圧の低圧において、貯蔵さ
れたオゾンがクラスレート化することを発明者等は、数
多くの研究を通じて見出しており、このクラスレート化
したオゾンをクラスター状態で取り出すには、オゾンの
自然流下を用いることが最適である。また、クラスター
化したオゾンは、強い酸化力もしくは分解力を示すもの
であり、クラスターを維持することにより、オゾンの酸
化力もしくは分解力を向上させることが可能となる。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の方法を用いることにより、オゾンを効率的に貯蔵が可
能となる。さらに、クラスター化したオゾンを取り出す
ことが可能であり、オゾンを用いた酸化分解を効率的に
行うことが可能となる。また、オゾン貯蔵設備の構成を
簡便にすることができ、貯蔵設備の耐久性を向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】オゾン貯蔵装置の構成示す概略図。
【図2】オゾンの貯蔵および取出し構成を示す略図。
【符号の説明】
1 酸素供給源 2 オゾン発生装置 3 三方弁 4 弁 5 真空ポンプ 6 オゾン貯蔵容器 7 シリカゲル 8 弁

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ酸アルカリの中和により生成したゲ
    ルをpH6乃至7になる範囲で水洗し、乾燥させたシリ
    カゲルおよび、硫酸もしくは水により破砕洗浄したシリ
    カゲルにオゾンを供給することを特徴とするオゾンの貯
    蔵方法。
  2. 【請求項2】 シリカゲルに酸素を吸着させた後に、真
    空引きしたシリカゲルにオゾンを供給することを特徴と
    するオゾンの貯蔵方法。
  3. 【請求項3】 アルミニウムを 0.1から0.002
    重量%含有するシリカゲルを貯蔵媒体として用いること
    を特徴とするオゾンの貯蔵方法。
  4. 【請求項4】 オゾンを貯蔵した容器の下部を開口し、
    オゾンの自然流下により、シリカゲルに吸蔵されたオゾ
    ンを下方に排出すると共に、オゾン貯蔵容器の上部より
    酸素をオゾンの流下速度に応じて供給し、オゾンを取り
    出すことを特徴とするオゾンの取出方法。
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