JP4466483B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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しかし、これらの複合粒子化されたロイコ染料を用いた感熱記録体でも、記録体が使用される環境の湿度変化に伴い感熱記録層中の水分が変化すると、記録感度が変動し、中間調領域において常に一定した記録濃度が得難いという欠点があり、特に合成樹脂フィルムの如き支持体を用いた場合にはこの欠点が顕著となる。このため、多階調で記録できることを要求され、しかも中間調領域の記録濃度が環境の湿度変化に左右されることなく常に一定していることが要求される医療診断用の感熱記録媒体には、その改善が強く要請されている。
ここで静発色開始温度とは、前記複合粒子から選ばれた1種の複合粒子と前記呈色剤からなる感熱記録層を有する感熱記録体を70〜200℃の温度の熱板に5秒間、且つ1kgf/cm 2 の圧力で押しつけた時の発色濃度が0.30となる温度である。
ここで静発色開始温度とは、前記複合粒子から選ばれた1種の複合粒子と前記呈色剤からなる感熱記録層を有する感熱記録体を70〜200℃の温度の熱板に5秒間、且つ1kgf/cm 2 の圧力で押しつけた時の発色濃度が0.30となる温度である。
なお、本発明の発色色調が同系色である複合粒子とは、複合粒子を用いて作成された感熱記録体の静発色開始温度の差が10℃から40℃となる2種類以上のそれぞれの複合粒子を呈色剤によって呈色させた発色色調の色差ΔEが13.0未満である複合粒子を指す。GretagMacbeth SpectroLino ScanT D65光源を用いて測定したL*、a*、b*の値を用いて、(L*1、a*1、b*1)と(L*2、a*2、b*2)の色差ΔEは、次に示す式で表される。一般に、ΔEが13.0未満は、同じ系統の色として判別される範囲である。
ΔE={(L*1―L*2)2+(a*1―a*2)2+(b*1―b*2)2}1/2
また本発明は、低静発色開始温度の複合粒子における疎水性樹脂と高静発色開始温度の複合粒子における疎水性樹脂が同一であり、好ましくは、複合粒子を形成する疎水性樹脂が、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネートとm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種を用いて生成されたウレア系樹脂またはウレア−ウレタン系樹脂であり、また、低静発色開始温度の複合粒子と高静発色開始温度の複合粒子との感熱記録層中の含有割合が、質量比で20:80〜80:20である。
静発色開始温度とは、感熱記録体に所定の温度の熱板を一定時間、一定の圧力で押しつけた時の発色を開始する温度である。疎水性樹脂の種類を選択することにより、そのTgを変更したり、粒子径を変更することによって、静発色開始温度を制御することは可能である。しかし、疎水性樹脂のTgや粒子径を変更することなく、ロイコ染料と疎水性樹脂の割合を変更することで、静発色開始温度の異なる複合粒子を形成することが可能である。本発明は複合粒子の疎水性樹脂のTgや粒子径を変更することなく、静発色開始温度の異なる複合粒子を使用することにより、環境湿度変化に起因する感熱記録体の水分変化による記録感度の変動が少ない感熱記録体を得ることができる。
静発色開始温度の異なる複合粒子を製造する場合、低静発色開始温度の複合粒子における疎水性樹脂に対するロイコ染料の割合は、疎水性樹脂100質量部に対してロイコ染料が120〜300質量部であることが好ましく、高静発色開始温度の複合粒子における疎水性樹脂に対するロイコ染料の割合は、疎水性樹脂100質量部に対してロイコ染料が50〜110質量部であることが好ましい。
なお、静発色開始温度の異なる複合粒子は上記の例ように2種のみではなく、静発色開始温度の差が10℃から40℃となる範囲の複数種の複合粒子を任意に選択できる。
なお、静発色開始温度は、70〜200℃の熱板に、一定時間(5秒)、一定圧力(1kgf/cm2)で押圧し、発色濃度が0.30となる温度とする。
なお、感熱記録層を2層以上設ける場合、上層に含有する複合粒子を用いて作成された感熱記録体は低静発色開始温度を有するものであるのが好ましい。
はない。なお、特に断らない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%
」を示す。
・A1液(複合粒子A1分散液)の調製
ロイコ染料として3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン5部、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン5部、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン4部、及び3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド4部と、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン8部とを、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、デスモジュールW)11部、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、タケネート(登録商標)TMXDI)11部からなる混合溶媒に加熱溶解(150℃)し、この溶液をポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバール(登録商標)PVA−217EE)8.5部と、界面活性剤としてアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(日信化学社製、オルフィンE1010)0.15部を含む水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数10000rpmの攪拌によって乳化分散した。この乳化分散液に、水30部、多価アミン化合物(シェル・インターナショナル・ペトロリウム社製、エピキュア(登録商標)T)3部を水22部に溶解した水溶液を加えて均一化した。この乳化分散液を75℃に昇温し、7時間の重合反応を行い、体積平均粒子径0.85μm(レーザー光回折法による)のロイコ染料含有複合粒子A1分散液を調製した。なお、ロイコ染料含有複合粒子A1分散液が25%となるように水で調製した。
4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール22部、4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホン5部、4,4′−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン12部とポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバール(登録商標)PVA−203)の10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物をウルトラビスコミルを用いて平均粒子径が0.3μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液(B液)を得た。
N−(p−トリルスルホニル)−N′−フェニル尿素42部、ポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバール(登録商標)PVA−203)の10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物をウルトラビスコミルを用いて平均粒子径が0.3μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液(C液)を得た。
A1液104部、B液78部、C液25部、固形分濃度42%のポリウレタン/スチレン−ブタジエン系ハイブリットポリマーラテックス(大日本インキ化学工業社製、パテラコール(登録商標)H−2090)71部、及び水40部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
アイオノマー型ウレタン系樹脂ラテックス(大日本インキ化学工業社製、ハイドラン(登録商標)AP−30F、固形濃度20%)100部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール[日本合成化学工業社製、ゴーセファイマー(登録商標)Z−410、重合度:約2300、鹸化度:約98モル%]の8%水溶液500部、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリンの25%水溶液5部、平均粒子径0.8μmのカオリン(エンゲルハード社製、UW−90)の60%スラリー50部、ステアリン酸アミド(中京油脂社製、ハイミクロンL−271、固形濃度25%)26部、ステアリルリン酸カリウム塩(松本油脂製薬社製、ウーポール1800、固形濃度35%)4部、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(セイミケミカル社製、サーフロン(登録商標)S−145)の10%水溶液15部、及び水300部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
青色透明なポリエチレンテレフタレートフィルム[帝人デュポン社製、メリネックス(登録商標)912、厚さ175μm、透過測定色彩値a*(−6.4)、b*(−12.9)、ヘイズ値3%、]の片面上に、感熱記録層用塗液をスロットダイコーターを用いて、乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布乾燥して感熱記録層を設け、その上に保護層用塗液をスロットダイコーターを用いて、乾燥後の塗布量が3.5g/m2となるように塗布乾燥して保護層を設け、感熱記録体を得た。
・A2液(複合粒子A2分散液)の調製
ロイコ染料として3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6.4部、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン6.4部、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン5.1部、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド5.1部と、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン5部とを、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、デスモジュールW)9部、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、タケネート(登録商標)TMXDI)9部からなる混合溶媒に加熱溶解(150℃)し、この溶液をポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバール(登録商標)PVA−217EE)8.5部と、界面活性剤としてアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(日信化学社製、オルフィンE1010)0.15部を含む水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数10000rpmの攪拌によって乳化分散した。この乳化分散液に、水30部、多価アミン化合物(シェル・インターナショナル・ペトロリウム社製、エピキュア(登録商標)T)3部を水22部に溶解した水溶液を加えて均一化した。この乳化分散液を75℃に昇温し、7時間の重合反応を行い、体積平均粒子径0.83μm(レーザー光回折法による)のロイコ染料含有複合粒子A2分散液を調製した。なお、ロイコ染料含有複合粒子A2分散液が25%となるように水で調製した。
比較例1の感熱記録層用塗液の調製において、A1液の代わりにA2液を用いた以外は、比較例1と同様にして感熱記録体を得た。
・A3液(複合粒子A3分散液)の調製
ロイコ染料として3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6.1部、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン6.1部、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン4.9部、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド4.9部と、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン15部とを、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、デスモジュールW)4部、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、タケネート(登録商標)TMXDI)4部からなる混合溶媒に加熱溶解(150℃)し、この溶液をポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバール(登録商標)PVA−217EE)8.5部と、界面活性剤としてアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(日信化学社製、オルフィンE1010)0.30部を含む水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数10000rpmの攪拌によって乳化分散した。この乳化分散液に、水30部、多価アミン化合物(シェル・インターナショナル・ペトロリウム社製、エピキュア(登録商標)T)3部を水22部に溶解した水溶液を加えて均一化した。この乳化分散液を75℃に昇温し、7時間の重合反応を行い、体積平均粒子径0.80μm(レーザー光回折法による)のロイコ染料含有複合粒子A3分散液を調製した。なお、ロイコ染料含有複合粒子A3分散液が25%となるように水で調製した。
比較例1の感熱記録層用塗液の調製において、A1液の代わりにA3液を用いた以外は、比較例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1の感熱記録層用塗液の調製において、A1液104部の代わりに、A1液52部とA2液52部を用いた以外は、比較例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1の感熱記録層用塗液の調製において、A1液104部の代わりに、A1液52部とA3液52部を用いた以外は、比較例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1の感熱記録体の作製において、青色透明なポリエチレンテレフタレートフィルム[帝人デュポン社製、メリネックス(登録商標)912、厚さ175μm、透過測定色彩値a*(−6.4)、b*(−12.9)、ヘイズ値3%、]の片面上に、比較例1で用いた感熱記録層用塗液をスロットダイコーターを用いて、乾燥後の塗布量が10g/m2となるように塗布乾燥して第1感熱記録層を設け、その上に比較例3で用いた感熱記録層用塗液をスロットダイコーターを用いて、乾燥後の塗布量が10g/m2となるように塗布乾燥して第2感熱記録層を設けた以外は、比較例1と同様にして感熱記録体を得た。
(記録感度)
感熱記録体を23℃−40%RHの環境下で24時間放置後、同一環境下で感熱印字プリンターUP−DF500(ソニー社製)を用いてステップモードにて印画し、各ステップの発色濃度をX−Rite Model 301(X−Rite社製)を用いて測定した。
感熱記録体を熱傾斜試験機TYPE HG−100(東洋精機社製)を用いて、熱板(110℃〜155℃まで、5℃間隔)の押圧1kgf/cm2、押し付け時間5秒間の条件で発色させ、各温度での発色濃度をX−Rite Model 301(X−Rite社製)を用いて測定した。
それぞれ単独の複合粒子を使用した比較例1(複合粒子A1)、比較例2(複合粒子A2)及び比較例3(複合粒子A3)の感熱記録体の静発色特性において、発色濃度が0.30となる温度を各複合粒子(A1、A2、A3)の静発色開始温度とした。
感熱記録体を23℃−10%RHと85%RHの環境下で24時間放置後、各環境下で感熱印字プリンターUP−DF500(ソニー社製)を用いてステップモードにて印画し、各ステップの発色濃度をX−Rite Model 301(X−Rite社製)を用いて測定した。各ステップについて、23℃−10%RH時と23℃−85%RH時での発色濃度の差を求め、その最大値をその感熱記録体の発色濃度変動最大値とした。
感熱記録体を23℃−40%RHの環境下で24時間放置後、感熱印字プリンターUP−DF500(ソニー社製)を用いてステップモードにて印画し、各ステップの発色色調をGretagMacbeth SpectroLino ScanT D65光源を用いて測定した。この測定値から、 L*値が10であるa*、b*値を読み取り、色差ΔEを計算した。
複合粒子1と2および3の色差は小さく、色の違いは見分けることができない。
Claims (4)
- 支持体の少なくとも片面上に、ロイコ染料と疎水性樹脂で形成される複合粒子と、呈色剤とを含有する感熱記録層を有する感熱記録体において、前記複合粒子が2種以上であり、前記複合粒子の発色色調が同系色で、かつ静発色開始温度の差が10℃から40℃となる複合粒子を前記感熱記録層中に含有し、前記複合粒子を形成する疎水性樹脂が、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネートとm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種を用いて生成されたウレア系樹脂またはウレア−ウレタン系樹脂であり、感熱記録体の静発色開始温度の異なる複合粒子を、それぞれ別々の感熱記録層に含有したことを特徴とする感熱記録体。
ここで静発色開始温度とは、前記複合粒子から選ばれた1種の複合粒子と前記呈色剤からなる感熱記録層を有する感熱記録体を70〜200℃の温度の熱板に5秒間、且つ1kgf/cm 2 の圧力で押しつけた時の発色濃度が0.30となる温度である。 - 低静発色開始温度の複合粒子における疎水性樹脂に対するロイコ染料の割合が、疎水性樹脂100質量部に対してロイコ染料が120〜300質量部であり、高静発色開始温度の複合粒子における疎水性樹脂に対するロイコ染料の割合が、疎水性樹脂100質量部に対してロイコ染料が50〜110質量部である請求項1に記載の感熱記録体。
- 低静発色開始温度の複合粒子と高静発色開始温度の複合粒子との感熱記録層中の含有割合が、質量比で20:80〜80:20である請求項1または請求項2に記載の感熱記録体。
- 低静発色開始温度の複合粒子における疎水性樹脂と高静発色開始温度の複合粒子における疎水性樹脂が同一である請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
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