JP2007130991A - 透明感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗工ムラがなく、しかも透明性に優れた透明感熱記録体を提供することにある。
【解決手段】透明支持体上に、ロイコ染料と呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層を設けた透明感熱記録体において、感熱記録層が、接着剤としてアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類の水分散性接着剤と、該水分散性接着剤の総量に対して2.5〜10質量%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウムとを含有する記録層用塗液を塗布、乾燥して設けられたことを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した透明感熱記録体に関し、特に感熱記録層用塗液の乾燥時の塗工ムラが少なく、透明性に優れた感熱記録体に関するものである。
ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体は、比較的安価であり、記録機器がコンパクトで、且つその保守も容易であるため、ファクシミリ、ワードプロセッサー、各種計算機、ビデオ用、医療画像及びその他の用途の記録媒体として、幅広い分野において使用されている。
その用途の拡大に伴なって要求される品質も多様化しており、支持体としてポリエステルフィルム等の透明フィルムを用いた感熱記録体が医療診断機器の画像用記録媒体に使用されている。
ところで、均一な感熱記録層を得るためにアンカーコート層や感熱記録層中に、ジアルキルスルホコハク酸塩を添加し得ることは知られており(特許文献1)、また、感熱記録層中にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩を添加した技術(特許文献2)も公知である。しかし、透明フィルムのような透明支持体を用いた透明感熱記録体にあっては、ジアルキルスルホコハク酸塩の添加量によっては乾燥工程でおきる塗工層のムラ(風紋)が顕著に確認され、画質の均一な感熱記録層が得られないことがある。
特開2005−74701号公報(実施例1) 特開2005−178101号公報(実施例1)
本発明の課題は、乾燥工程で発生する塗工ムラがなく、しかも透明性に優れた感熱記録体を提供することにある。
本発明は、透明支持体上に、ロイコ染料と呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層を設けた透明感熱記録体において、感熱記録層が、接着剤としてアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類の水分散性接着剤と、該水分散性接着剤の総量に対して2.5〜10質量%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウムとを含有する記録層用塗液を塗布、乾燥して設けられたことを特徴とするものである。
本発明の感熱記録体は、塗工ムラがなく、かつ優れた透明性を有するため、医療診断用の透明感熱記録媒体としても利用できるものである。
本発明では、感熱記録層用塗液中に、水分散性接着剤としてアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレンーブタジエン系樹脂の少なくとも1種類を含有し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを該水分散性接着剤の総量に対して、2.5〜10質量%、より好ましくは2.8〜8.0質量%、最も好ましくは3.0〜8.0質量%含有せしめることが極めて重要である。
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが2.5質量%未満になると、乾燥工程において塗工ムラ(風紋)を発現し、均一な塗工層が得られず、記録部に画像ムラが発生する。また、10質量%を越えると、感熱記録体の透明性(ヘイズ値)が低下し透明感熱記録体としての用途として満足なものが得られない。
感熱記録層用塗液中にジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを前記接着剤の総量に対して2.5質量%以上含有することにより、塗工ムラ(風紋)が改良される理由は定かではないが、乾燥工程で塗液になんらかの熱ゲル化反応が生じて塗液の粘度が高まり、その結果塗工層が不動化し、乾燥時の風による影響を受けにくくなるものと推定される。
以上のように、本発明は上記水分散性接着剤の総量に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを2.5〜10質量%、より好ましくは2.8〜8.0質量%、最も好ましくは3.0〜8.0質量%含有させることにより、乾燥時の風による塗工ムラがなく、しかも透明性に優れた記録体が得られるものである。
本発明で使用する感熱記録層中の水分散性接着剤としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂のエマルジョンないしはラテックスが挙げられる。
これらのうち、アクリル系樹脂としては、アクリルエステル系樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。
ウレタン系樹脂としては、ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系アイオノマー樹脂などが挙げられる。
また、スチレン−ブタジエン系樹脂としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。
これらの水分散性接着剤のうち、ポリウレタン系アイオノマーとスチレン−ブタジエン系樹脂からなるハイブリッド樹脂は、塗工ムラや透明性に優れ、かつ透明支持体との密着性に優れるため好ましい。このポリウレタン系アイオノマーとスチレン−ブタジエン系樹脂からなるハイブリッド樹脂におけるポリウレタン系アイオノマー樹脂の含有量は特に限定するものではないが、3〜30質量%程度が好ましい。なお、このハイブリッド樹脂としては、例えばパテラコールH2090、H2020Aなどとして大日本インキ化学工業株式会社から市販されているものが使用できる。
水分散性接着剤の使用量としては特に限定されないが、感熱記録層の全固形量に対して5〜40質量%程度が好ましい。
なお、感熱記録層の接着剤として、必要に応じて、例えばポリビニルアルコールおよびその誘導体、澱粉およびその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン等の水溶性接着剤を併用することもできる。
感熱記録層に含有されるロイコ染料の具体例としては、例えば3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3,3−ビス(1−n−アミル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−クロロフルオラン等の赤色発色性ロイコ染料、
3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフルオラン、3−(2−メチル−1−n−オクチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド等の青色発色性ロイコ染料、
3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン等の緑色発色性ロイコ染料、3,6−ジメトキシフルオラン、1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレン、1,3,3−トリメチルインドリン−2,2'−スピロ−6'−ニトロ−8'−メトキシベンゾピラン等の黄色発色性ロイコ染料、
および3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,6−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン等の黒色発色性ロイコ染料等が挙げられる。
ロイコ染料の使用量としては特に限定されないが、感熱記録層に対して5〜30質量%程度が好ましい。
本発明ではロイコ染料を固体微粒子の状態で感熱記録層中に含有せしめることもできるが、ロイコ染料と疎水性樹脂とを含む複合粒子を形成した形態で使用するのが好ましい。ここで、ロイコ染料が「ロイコ染料と疎水性樹脂とを含む複合粒子を形成した形態」とは、例えば、(1)1種以上のロイコ染料を特開昭60−244594号公報に記載された方法でマイクロカプセル化した形態、(2)1種以上のロイコ染料を特開平9−263057号公報に記載された方法で多価イソシアネートからなる疎水性樹脂母材中に含有せしめた形態、(3)1種以上のロイコ染料の微粒子表面に特開2000−158822号公報に記載された方法で不飽和炭素結合を有する化合物を重合せしめた形態が挙げられる。これら複合粒子中のロイコ染料は外部との隔離性が高く、熱や湿度による地肌カブリや発色画像の消色が少なく、さらに、(1)及び(2)の形態はロイコ染料がイソシアネートや有機溶媒に溶解されているため、感熱記録層の透明度がロイコ染料を固体微粒子状態で使用する場合に比較して優れるという利点も備えている。
複合粒子中のロイコ染料の含有比率としては、複合粒子の全固形分に対して、好ましくは10〜70質量%程度、より好ましくは35〜60質量%程度である。
複合粒子を形成する疎水性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ウレア系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア−ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。なかでも、ウレア系樹脂、ウレア−ウレタン系樹脂は耐熱地肌カブリ性に優れるため好ましい。
ウレア系樹脂またはウレア−ウレタン系樹脂中にロイコ染料が分散された複合粒子を作製する場合は、例えば多価イソシアネート化合物とロイコ染料とを溶解した油性溶液をポリビニルアルコール等の親水性保護コロイド溶液中に体積平均粒子径が0.5〜3μm程度、より好ましくは0.5〜1.5μm程度となるように乳化分散後、多価イソシアネート化合物の高分子化反応を促進させることにより得られる。
多価イソシアネート化合物とは水と反応することによりポリウレア、またはポリウレア−ポリウレタンを形成する化合物であり、多価イソシアネート化合物単独であってもよいし、または多価イソシアネート化合物及びこれと反応するポリオール、ポリアミンとの混合物、或いは多価イソシアネート化合物とポリオールの付加物、多価イソシアネート化合物のビウレット体、イソシアヌレート体等の多量体であってもよい。これら多価イソシアネート化合物にロイコ染料を溶解し、この溶液を、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を溶解含有している水性媒体中に乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加温することにより、多価イソシアネート化合物を重合させることによって高分子化し、それによってロイコ染料と疎水性樹脂とからなる複合粒子を形成することができる。
多価イソシアネート化合物の具体例としては、例えばp−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3,3'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルプロパンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物等が挙げられる。
また、ポリオール化合物の具体例としては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロピレングリコール、1,3−ジヒドロキシブタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、フェニルエチレングリコール、ペンタエリスリトール、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、等が挙げられる。
ポリアミン化合物の具体例としては、例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチルピペラジン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられる。
勿論、多価イソシアネート化合物、多価イソシアネートとポリオールの付加物、及びポリオール化合物等は、前記化合物に限定されるものではなく、また必要に応じて2種以上を併用してもよい。
更に、複合粒子中には記録感度を高めるために融点が40〜150℃程度の芳香族有機化合物(増感剤)、耐光性を高めるための紫外線吸収剤、及び安定化剤としてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等を含有させることもできる。
感熱記録層中の複合粒子の含有比率としては、感熱記録層の全固形分に対して10〜60質量%程度、好ましくは20〜50質量%程度である。また、感熱記録層中の複合粒子と呈色剤との比率は、複合粒子100質量部に対して50〜300質量部程度、好ましくは100〜200質量部程度である。
ロイコ染料と共に感熱記録層中に含有される呈色剤としては、例えば4,4'−イソプロピリデンジフェノール、4,4'−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、3,3'−ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、2−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−[(2−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−(sec−ブチル)フェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−(sec−ブチル)フェノールなどのフェノール性化合物、N−p−トリルスルホニル−N'−フェニルウレア、4,4'−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルメタン、4,4'−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N−p−トリルスルホニル−N'−p−ブトキシフエニルウレアなどの分子内にスルホニル基とウレイド基を有する化合物、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸などの芳香族カルボン酸の亜鉛塩化合物などが挙げられる。
なお、呈色剤は、ロイコ染料1質量部に対して1〜4質量部程度使用するのが好ましい。
更に、感熱記録層には記録部の保存性を高めるための保存性改良剤や記録感度を高めるための増感剤を含有させることもできる。保存性改良剤の具体例としては、例えば4,4'−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,4−ジ(tert−ブチル)−3−メチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(5−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール類;4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4'−(2,3−グリシジルオキシ)ジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系エポキシ化合物類;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、ステアリン酸メチレンビスアミド、ステアリン酸エチレンビスアミド、p−ベンジルビフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−メトキシフェノキシ)エタン、ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチル−ベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル等が挙げられる。
助剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの滑剤、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム等の顔料、その他消泡剤、蛍光増白染料、架橋剤等が挙げられる。
感熱記録層は、水を分散媒体とし、例えば複合粒子化されたロイコ染料あるいは平均粒径が0.2〜1.0μm程度に微粒化されたロイコ染料および呈色剤と、接着剤、並びに必要により保存性改良剤、増感剤および助剤とを混合して調製された感熱記録層用塗液を透明支持体上に乾燥後の塗布量が3〜30g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。
透明支持体としては、例えば厚さ30〜300μm程度の二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、塩化ビニルフィルム等が挙げられる。
なかでも、厚さ100〜200μmで、青色に着色されたヘイズ値10%以下のPETフィルムが、シャウカステン適性にも優れ好ましい。
感熱記録層用塗液は、例えばダイコーティング、エアーナイフコーティング、ロッドブレードコーティング、バーコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ショート−ドウェルコーティング等の塗工方法により塗布されるが、ダイコーティングがより望ましい。
更に、感熱記録層上に保護層を設けたり、感熱記録層を多色感熱記録層としたり、保護層上に紫外線または電子線を照射して硬化された光沢層を設けたりするなどの感熱記録体製造分野における各種の公知技術が必要に応じて付加し得るものである。
本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。なお、複合粒子および顔料の平均粒子径はレーザー光回折型粒度分布計SALD2000(島津製作所社製)を用いて測定し、呈色剤の平均粒子径は動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500(堀場製作所製)を用いて測定した。
実施例1
・A液分散(複合粒子分散液の調製)
ロイコ染料として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン11部、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン6部、及び3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド5部と、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン10部とを、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、デスモジュールW)2部、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、TMXDI)12部からなる混合溶媒に加熱溶解(150℃)し、この溶液をポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールPVA−217EE)8.5部を含む水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数10000rpmの攪拌によって乳化分散した。この乳化分散液に、水30部、多価アミン化合物(シェル・インターナショナル・ペトロリウム社製、エピキュアT)2.5部を水22.5部に溶解した水溶液を加えて均一化した。この乳化分散液を75℃に昇温し、7時間の重合反応を行い、平均粒子径0.8μmのロイコ染料含有複合粒子分散液を調製した。なお、ロイコ染料含有複合粒子分散液が25%となるように水で希釈した。
・B液分散(呈色剤分散液の調製)
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン42部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物をウルトラビスコミルを用いて平均粒子径が0.28μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液を得た。
・C液分散(呈色剤分散液の調製)
2−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−[(2−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−(sec−ブチル)フェノール42部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物をウルトラビスコミルを用いて平均粒子径が0.30μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液を得た。
・D液分散(呈色剤分散液の調製)
4,4'−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン42部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物をウルトラビスコミルを用いて平均粒子径が0.30μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液を得た。
(感熱記録層用塗液の調製)
A液88部、B液42部、C液50部、D液28部、固形分濃度48%のスチレン−ブタジエン系ラテックス(スマーテックスPA−9280、日本A&L社製)100部、固形分濃度10%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液(SNウエットOT−70、サンノプコ社)15部、及び水55部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
(保護層用塗液の調製)
アイオノマー型ウレタン系樹脂ラテックス[大日本インキ化学工業社製、ハイドラン(登録商標)AP−30F、固形濃度20%]100部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール[日本合成化学工業社製、ゴーセファイマー(登録商標)Z−410、重合度:約2300、鹸化度:約98モル%]の8%水溶液500部、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリンの25%水溶液5部、カオリン(エンゲルハード社製、UW−90)を平均粒子径が1.8μmとなるように微粒化した60%スラリー50部、ステアリン酸アミド(中京油脂社製、ハイミクロンL−271、固形濃度25%)26部、ステアリルリン酸エステルカリウム塩(松本油脂製薬社製、ウーポール1800、固形濃度35%)4部、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物[セイミケミカル社製、サーフロン(登録商標)S−145]の10%水溶液15部、及び水300部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
(感熱記録体の作製)
青色透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:メリネックス912、厚さ175μm、帝人デュポン社製)の片面上に、感熱記録層用塗液をスロットダイコーターを用いて乾燥後の塗布量が20g/mとなるように塗布乾燥して感熱記録層を設け、その上に保護層用塗液をスロットダイコーターを用いて乾燥後の塗布量が3.5g/mとなるように塗布乾燥して保護層を設け感熱記録体を得た。
実施例2
(感熱記録層用塗液の調製)
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、固形分濃度48%のスチレン−ブタジエン系ラテックス(スマーテックスPA−9280、日本A&L社製)100部の代わりに、固形分濃度48%の水分散性アクリル樹脂(AE872、JSR社製)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例3
(感熱記録層用塗液の調製)
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、固形分濃度48%のスチレン−ブタジエン系ラテックス(スマーテックスPA−9280、日本A&L社製)100部の代わりに、固形分濃度41%のポリウレタン系アイオノマーとスチレン−ブタジエン系樹脂のハイブリッド樹脂(ポリウレタンアイオノマーを含有する水性媒体中でスチレンモノマー及びブタジエンモノマーが重合されたラテックス:パテラコールH2090、大日本インキ化学工業社製)120部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例4
(感熱記録層用塗液の調製)
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、固形分濃度10%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液(SNウエットOT−70、サンノプコ社)15部及び水55部の代わりに、10%ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液45及び水25部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例5
・E液分散(呈色剤混合分散液の調製)
4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール23部、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン14部、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン5部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物を、ウルトラビスコミルを用いて体積平均粒子径が0.28μmとなるまで粉砕して呈色剤混合分散液を得た。
・F液(呈色剤分散液)の調製
N−(p−トリルスルホニル)−N’−フェニルウレア42部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物を、ウルトラビスコミルを用いて体積平均粒子径が0.30μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液を得た。
(感熱記録層用塗液の調製)
A液88部、E液100部、F液20部、固形分濃度41%のポリウレタン系アイオノマーとスチレン−ブタジエン系樹脂のハイブリッド樹脂(ポリウレタンアイオノマーを含有する水性媒体中でスチレンモノマー及びブタジエンモノマーが重合されたラテックス:パテラコールH2090、大日本インキ化学工業社製)76部、固形分濃度10%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液(SNウエットOT−70、サンノプコ社)10部、固形分濃度1.5%のフッ素系界面活性剤(メガファックF445、大日本インキ化学工業社製)10部、及び水45部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。この感熱記録層用塗液を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1
(感熱記録層用塗液の調製)
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、固形分濃度10%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液(SNウエットOT−70、サンノプコ社)15部及び水55部、の代わりに、水70部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例2
(感熱記録層用塗液の調製)
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、固形分濃度10%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液(SNウエットOT−70、サンノプコ社)15部及び水55部、の代わりに、10%ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液70部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例3
(感熱記録層用塗液の調製)
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、固形分濃度10%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液(SNウエットOT−70、サンノプコ社)15部及び水55部、の代わりに、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(日信化学社製、オルフィンE1010)1.5部及び水68.5部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例4
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、固形分濃度10%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液(SNウエットOT−70、サンノプコ社)15部及び水55部、の代わりに、10%ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液11.5部及び水60部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
かくして得られた感熱記録体について以下の評価を行い、その結果を表に示す。
〔風紋〕
得られた感熱記録体を感熱記録機(ソニー社製、UP−DF500)で記録し、記録画質をシャウカステンを用いて目視判定した。
◎:記録像に感熱塗工層の風紋に起因する印画ムラがまったく見られない。
○:記録像に感熱塗工層の風紋に起因する印画ムラがほとんど見られない。
×:記録像に感熱塗工層の風紋に起因する印画ムラが見られる。
〔ヘイズ値測定〕
感熱記録体のヘイズ値をヘイズメーター(商品名:TC−H 4型、東京電色社製)を用いて測定した。
Figure 2007130991
透明支持体上に、ロイコ染料と呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層を設けた透明感熱記録体において、感熱記録層を、接着剤としてアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類の水分散性接着剤と
、該水分散性接着剤の総量に対して2.5〜10質量%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウムとを含有する記録層用塗液を塗布、乾燥して設けることにより、塗工ムラがなく、しかも透明性に優れた感熱記録体を提供でき、医療用透明感熱記録体などにも適用できる。



Claims (5)

  1. 透明支持体上に、ロイコ染料と呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層を設けた透明感熱記録体において、感熱記録層が、接着剤としてアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類の水分散性接着剤と、該水分散性接着剤の総量に対して2.5〜10質量%のジオクチルスルホコハク酸ナトリウムとを含有する記録層用塗液を塗布、乾燥して設けられたことを特徴とする透明感熱記録体。
  2. ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムの含有量が、前記水分散性接着剤の総量に対して2.8〜8.0質量%である請求項1記載の透明感熱記録体。
  3. 水分散性接着剤がポリウレタン系アイオノマーとスチレン−ブタジエン系樹脂からなるハイブリッド樹脂である請求項1または2記載の透明感熱記録体。
  4. ロイコ染料が、ロイコ染料と疎水性樹脂とを含む複合粒子を形成した形態で含有された請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明感熱記録体。
  5. 複合粒子を形成する疎水性樹脂が、ウレア系樹脂またはウレア−ウレタン系樹脂である請求項4記載の透明感熱記録体。




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