JP4905283B2 - 感熱記録体 - Google Patents

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Description

本発明は、感熱記録層と保護層を有する感熱記録体に関し、特に医療用の画像診断用記録媒体に適した感熱記録体に関するものである。
従来から、ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体は、比較的安価であり、記録機器がコンパクトで、且つその保守も容易であるため、ファクシミリ、ワードプロセッサー、各種計算機、ビデオプリンター等の出力媒体、POSラベル、乗車券及びその他の用途の記録媒体として、幅広い分野において使用されている。
そしてその用途の拡大に伴って、合成紙を支持体とした感熱記録体やポリエステルフィルム等の透明な支持体を用いた感熱記録体が、医療診断機器の画像診断用記録媒体として使用されている。
このうち、特に透明な支持体を用いた画像診断用記録媒体には、正確な診断ができるよう、細部にいたるまで明瞭な画像が形成できること、同一印加エネルギーで形成された画像に濃度ムラがないことなどの特性が要求される。かかる特性を備えた感熱記録体を得るには、支持体上に形成される各層に厚薄がなく均一な塗工層が形成されていること、および感熱記録層にハジキやピンホールなどの塗工欠陥がないことが重要である。
そこで、均一な感熱記録層を得るために、アンカーコート層にジアルキルスルホコハク酸塩を添加した感熱記録体(特許文献1参照)や、塗布面状の均一性を得るために、分子中にスルホン酸塩を含むフッ素系化合物を感熱記録層に含有させた感熱記録材料(特許文献2参照)やポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルを保護層に含有させた感熱記録材料(特許文献3参照)等が提案されている。
しかしながら、これらの従来技術によっても満足しうる特性を備えた感熱記録体が得られない場合があり、更なる改善が求められている。
なお、耐薬品性および帯電防止性の向上を目的として、保護層中にパーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物などのフッ素系界面活性剤を使用した感熱記録材料(特許文献4参照)が提案されており、その実施例10では、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(商品名:サーフロンS−145)が使用されている。しかし、かかるパーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物は、正確には、パーフルオロアルキルアミドのエチレンオキシド付加物であって、この化合物を感熱記録層に配合しても画像の濃度ムラを改善することができなかった。
特開2005−074701号公報(請求項1) 特開2005−199561号公報(請求項1) 特開2005−047251号公報(請求項1) 特開平7−017134号公報(段落番号[0035]、実施例10)
本発明の課題は、細部にいたるまで明瞭な画像を形成することができ、しかも同一印加エネルギーで形成された記録画像に濃度ムラがない、医療画像診断用に適した感熱記録体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するため、感熱記録層に配合する添加剤について鋭意検討した。その結果、感熱記録層に特定のフッ素系化合物を配合すると、上記課題が達成されることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき完成されたものであって、次の感熱記録体を提供するものである。
〔項1〕 支持体上に、少なくとも、ロイコ染料および呈色剤を含有する感熱記録層と、保護層を有する感熱記録体において、感熱記録層中に下記一般式(1)で表されるフッ素系化合物を含有せしめたことを特徴とする感熱記録体。
F(CF2CF2)CH2CH2O(CH2CH2O)H 一般式(1)
〔式中、mは2〜5の整数を表し、nは3〜7の整数を表す。〕
〔項2〕 フッ素系化合物を、感熱記録層の全固形分に対して0.05〜1.0質量%含有する項1に記載の感熱記録体。
〔項3〕 ロイコ染料が、ロイコ染料と疎水性樹脂とを含む複合粒子の形態で含有されている項1または2に記載の感熱記録体。
〔項4〕 支持体が、透明な合成樹脂フィルムである項1〜3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
本発明に係る感熱記録体は、細部にいたるまで明瞭な画像を形成することができ、しかも同一印加エネルギーで形成された記録画像に濃度ムラを生じないという優れた効果を発揮する。
本発明は、支持体上に、少なくとも、ロイコ染料および呈色剤を含有する感熱記録層と、保護層を有する感熱記録体において、感熱記録層中に下記一般式(1)で表されるフッ素系化合物(以下、単に「特定のフッ素系化合物」と称する)を含有せしめたことを特徴とする。
F(CF2CF2)CH2CH2O(CH2CH2O)H 一般式(1)
〔式中、mは2〜5の整数を表し、nは3〜7の整数を表す。〕
上記一般式(1)で表される特定のフッ素系化合物において、パーフルオロアルキル基の鎖長を表すmは、本発明の所望の効果を得るうえで極めて重要であって、mが2〜5の範囲にある化合物の混合物を使用するよりは、mが2又は3又は4又は5である化合物のいずれか1種を単独で使用するのが好ましく、特に、mが3又は4である化合物のいずれかを単独で使用するのが好ましい。
また、上記一般式(1)で表される特定のフッ素系化合物において、エチレンオキシドの付加モル数を規定するnも重要であり、nが3〜7の範囲の整数である場合に、本発明の所望する効果が得られる。エチレンオキシドの付加モル数を規定するnは、パーフルオロアルキル基の鎖長を表すmとは異なり、3〜7の範囲にある化合物の混合物であってもよく、市販のフッ素系化合物においては、エチレンオキシドの付加モル数の異なる化合物の混合物であるのが一般的である。従って、このような混合物である場合、「nが3〜7の範囲の整数」とは、混合物中に最多頻度で存在するnの値が3から7の間の整数であることを表す。かかるエチレンオキシドの付加モル数を規定するnは、4〜6の整数である化合物が好ましく、特に、n=5である化合物の使用が好ましい。
本発明で感熱記録層に含有せしめる特定のフッ素系化合物において、最も好ましく使用される化合物は、下記式(2)または(3)で表される化合物である。
F(CF2CF2)CH2CH2O(CH2CH2O)5H 式(2)
F(CF2CF2)CH2CH2O(CH2CH2O)5H 式(3)
なお、上記式(2)および(3)において、エチレンオキシドの付加モル数を表す「5」は、エチレンオキシド付加モル数の異なる混合物における最多頻度で存在するnの値を表す。
上記の如く、本発明では、パーフルオロアルキル基の鎖長を表すmと、エチレンオキシドの付加モル数を規定するnが特定の範囲内にあるフッ素系化合物を使用するものであるが、一般的な合成過程や精製過程で除去できない程度の微量成分として、これらのmやnの数値範囲を外れた化合物を含んでいてもよい。
なお、上記特定のフッ素系化合物は、市販されている化合物の中から適宜選択して使用すればよい。
感熱記録層中に特定のフッ素系化合物を含有せしめることにより、同一印加エネルギーで形成された記録画像に濃度ムラ(以下、単に、「濃度ムラ」と称する)がなく、かつ細部にいたるまで明瞭な画像が形成できる感熱記録体が得られる理由については、定かではないが、以下のように推測される。
感熱記録層用塗液に特定のフッ素系化合物を添加することで、感熱記録層の表面張力が低下し、濡れ性が向上してハジキやピンホールといった塗工欠陥がなくなり、いわゆる“印画抜け(ドット抜け)”による細部画像の不鮮明さが抑制される。さらに、特定のフッ素系化合物が塗工直後の記録層表面近傍に多く存在し易いため、溶媒(水)の蒸発速度を制御する効果があり、その結果乾燥後の感熱記録層表面が平滑になり、その上に形成される層(例えば、保護層あるいは中間層と保護層)の膜厚も均一になり、記録画像の濃度ムラが抑制されるとともに、細部にいたるまで一層明瞭な画像が形成できるのではないかと考えられる。
本発明における特定のフッ素系化合物の使用割合は、感熱記録層の全固形分に対して0.05〜1.0質量%の範囲が好ましく、0.1〜0.5質量%の範囲が更に好ましい。特定のフッ素系化合物の使用割合が0.05〜1.0質量%の範囲内にあると、ハジキやピンホールのない均一な感熱記録層が形成でき、加えて記録層の上に形成される層の膜厚も均一になる。
本発明における感熱記録層は、発色成分として少なくともロイコ染料と呈色剤を含有するが、更に必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
感熱記録層に含有されるロイコ染料の具体例としては、例えば3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−トリルアミノ−7−メチルフルオラン、3−トリルアミノ−7−エチルフルオラン、2−(N−アセチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ(n−ブチル)アミノフルオラン、2−(N−ベンゾイルアニリノ)−3−メチル−6−ジ(n−ブチル)アミノフルオラン、2−(N−カルボブトキシアニリノ)−3−メチル−6−ジ(n−ブチル)アミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ(n−ブチル)アミノフルオラン等の赤色発色性ロイコ染料;3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフルオラン、3−(2−メチル−1−n−オクチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド等の青色発色性ロイコ染料;3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン等の緑色発色性ロイコ染料;3,6−ジメトキシフルオラン、1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレン、1,3,3−トリメチルインドリン−2,2′−スピロ−6′−ニトロ−8′−メトキシベンゾピラン等の黄色発色性ロイコ染料;3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,6−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2,4−ジメチル−6−(4−ジメチルアミノアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン等の黒色発色性ロイコ染料、等が挙げられる。
ロイコ染料の使用量としては特に限定されないが、感熱記録層に対して5〜30質量%程度が好ましい。
ロイコ染料は、微粒子化した固体粒子の形態で使用してもよいし、ロイコ染料と疎水性樹脂とを含む複合粒子の形態で使用してもよい。
ここで、ロイコ染料が、ロイコ染料と疎水性樹脂とを含む複合粒子の形態とは、例えば(1)1種以上のロイコ染料を特開昭60−244594号公報に記載された方法でマイクロカプセル化した形態、(2)1種以上のロイコ染料を特開平9−263057号公報に記載された方法で疎水性樹脂母材中に含有せしめた形態、(3)特開2000−158822号公報に記載された方法でロイコ染料の表面に疎水性樹脂からなる発色調節層を形成した形態を包含する。なお、かかる複合粒子の体積平均粒子径としては、0.5〜3.0μm程度が好ましく、より好ましくは0.5〜1.5μm程度が望ましい。
複合粒子中のロイコ染料は外部との隔離性が高く、熱や湿度による地肌カブリや発色画像の消色が少なく、さらに(1)および(2)の複合粒子はロイコ染料がイソシアネートや有機溶媒に溶解されているため、感熱記録層の透明度がロイコ染料を固体微粒子状態で使用する場合に比較して優れているため好ましい。
複合粒子を形成する疎水性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ウレア系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア−ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。なかでも、ウレア系樹脂、ウレア−ウレタン系樹脂は耐熱地肌カブリ性に優れるため好ましい。
ウレア系樹脂またはウレア−ウレタン系樹脂中にロイコ染料が分散された複合粒子を作製する場合は、例えば多価イソシアネート化合物とロイコ染料とを溶解した油性溶液をポリビニルアルコール等の親水性保護コロイド溶液中に平均粒子径が0.5〜3μm程度となるように乳化分散後、多価イソシアネート化合物の高分子化反応を促進させることにより得られる。
多価イソシアネート化合物とは水と反応することによりポリウレア、またはポリウレア−ポリウレタンを形成する化合物であり、多価イソシアネート化合物単独であってもよいし、または多価イソシアネート化合物及びこれと反応するポリオール、ポリアミンとの混合物、或いは多価イソシアネート化合物とポリオールの付加物、或いは多価イソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体等の多量体であってもよい。これら多価イソシアネート化合物にロイコ染料を溶解し、この溶液を、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を溶解含有している水性媒体中に乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加温することにより、高分子形成性原料を重合させることによって高分子化し、それによってロイコ染料と疎水性樹脂とを含む複合粒子を形成することができる。
多価イソシアネート化合物の具体例としては、例えばp−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4′,4″−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物等が挙げられる。
また、ポリオール化合物の具体例としては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロピレングリコール、1,3−ジヒドロキシブタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、フェニルエチレングリコール、ペンタエリスリトール、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン等が挙げられる。
ポリアミン化合物の具体例としては、例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチルピペラジン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられる。
勿論、多価イソシアネート化合物、多価イソシアネートとポリオールの付加物、及びポリオール化合物等は、前記化合物に限定されるものではなく、また必要に応じて2種以上を併用してもよい。
更に、複合粒子中には記録感度を高めるため、後述するような増感剤や保存性改良剤等を含有させることもできる。
感熱記録層中の複合粒子の含有比率としては、感熱記録層の全固形分に対して10〜60質量%程度、好ましくは20〜50質量%程度である。
ロイコ染料と共に感熱記録層中に含有される呈色剤としては、例えば4,4′−イソプロピリデンジフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、2−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−6−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチル〕−4−(sec−ブチル)フェノール、2,6−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−4−(sec−ブチル)フェノール、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−p−トリルスルホニル−N′−フェニルウレア、4,4′−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4′−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トリルスルホニル−N′−p−ブトキシフエニルウレア等の分子内にスルホニル基とウレイド基を有する化合物、4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩化合物等が挙げられる。
なお、呈色剤はロイコ染料1質量部に対して1〜4質量部程度使用するのが好ましい。
更に、感熱記録層には記録部の保存性を高めるための保存性改良剤や記録感度を高めるための増感剤を含有させることもできる。保存性改良剤の具体例としては、例えば4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,4−ジ(tert−ブチル)−3−メチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(5−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール類;4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4′−(2−メチル−2,3−グリシジルオキシ)ジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系エポキシ化合物類;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、ステアリン酸メチレンビスアミド、ステアリン酸エチレンビスアミド、p−ベンジルビフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−メトキシフェノキシ)エタン、ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル等が挙げられる。
感熱記録層は、一般に水を分散媒体とし、ロイコ染料及び呈色剤と、前記特定のフッ素系化合物、接着剤、並びに必要により保存性改良剤、増感剤、及び下記の助剤とを混合して調製された感熱記録層用塗液を支持体上に乾燥後の塗布量が3〜30g/m2程度となるように塗布乾燥して形成される。
接着剤としては、例えば酸化デンプン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、部分鹸化または完全鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、及びカゼイン等の水溶性接着剤、並びに、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等の疎水性接着剤等が挙げられる。
接着剤の使用量としては特に限定されないが、感熱記録層の全固形量に対して5〜40質量%程度が好ましい。なお、感熱記録層用塗液の媒体が水の場合は、疎水性接着剤はラテックスの形態で使用される。
助剤としては、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステル−ナトリウム塩、脂肪酸金属塩等の界面活性剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の滑剤、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム等の顔料、その他消泡剤、蛍光増白染料、架橋剤等が挙げられる。
感熱記録層用塗液は、例えばエアナイフコーティング、ロッドブレードコーティング、バーコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアブレードコーティング、ショート−ドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の塗工方法により塗布される。
感熱記録層が設けられる支持体としては、特に限定するものではなく、紙、合成紙、透明な合成樹脂フィルム、白色顔料を含有する不透明な合成樹脂フィルム等を使用することができるが、合成紙や透明な合成樹脂フィルム、特に透明な合成樹脂フィルムを用いた場合、本発明の効果が顕著に発揮されるため、好ましい。なお、合成樹脂フィルムを用いる場合には、感熱記録層との密着性を高めるために表面にアンカーコート層を設けたり、コロナ放電処理を施すこともできる。更に、導電剤による導電処理を施してもよい。
本発明における保護層は、一般に水を媒体とし、接着剤、及び必要により添加される顔料や各種助剤を、混合攪拌して得られる保護層用塗液を、感熱記録層上に塗布、乾燥することにより、形成することができる。
かかる接着剤としては、前記感熱記録層に使用される接着剤と同様のものが使用でき、例えば、部分鹸化または完全鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン等の水溶性接着剤、並びに酢酸ビニル系ラテックス、ウレタン系ラテックス、アクリル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス等の水分散性接着剤が挙げられる。
接着剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは、保護層全固形量に対して、30〜90質量%程度、特に40〜80質量%程度である。
顔料としては、例えば、カオリン、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム等の無機顔料、架橋ポリメチルメタクリレート等の有機顔料が挙げられる。粒子径としては、無機顔料の場合、体積平均粒子径が1μm以下のものが好ましく、有機顔料の場合、体積平均粒子が1〜2μmのものが好ましい。
顔料の含有量は特に限定されないが、好ましくは、保護層全固形量に対して10〜60質量%程度、更に好ましくは15〜50質量%程度である。
助剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステル・ナトリウム塩、パーフルオロアルキルアミドのエチレンオキシド付加物等の界面活性剤;ポリエチレンワックス、カルナバロウ等のパラフィンワックス、ステアリルリン酸エステルカリウム塩等のエステルワックス等のワックス類;ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩などの滑剤類;グリオキザール、ホルマリン、グリシン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、ジメチロール尿素、ケテンダイマー、ジアルデヒド澱粉、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ケトン−アルデヒド樹脂、アジピン酸ジヒドラジド、ホウ砂、ホウ酸、炭酸ジルコニウムアンモニウム、エポキシ系化合物等の耐水化剤、その他消泡剤、蛍光染料、着色染料等が挙げられる。助剤の使用量は、広い範囲から適宜設定することができる。
保護層用塗液の塗工方法は特に限定されず、例えば、エアナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等を用いることができる。
保護用塗液の塗布量は、乾燥後の塗布量で0.5〜10g/m2程度、好ましくは2〜5g/m2程度である。
本発明においては、必要に応じて、感熱記録層と保護層の間に、水性樹脂を主成分とする中間層を設けることもできる。
かかる中間層は、一般に水を媒体とし、水性樹脂、及び必要により添加される顔料や各種助剤を、混合攪拌して得られる中間層用塗液を、感熱記録層上に塗布、乾燥することにより、形成することができる。
中間層形成に使用する水性樹脂としては、保護層に使用する水溶性接着剤および水分散性接着剤から、適宜選択して使用することができる。また、顔料および各種助剤も、保護層に使用する顔料や各種助剤を使用できる。なお、中間層における顔料の割合は、中間層の全固形分に対して35質量%以下、好ましくは15質量%以下とするのが望ましい。
中間層用塗液の塗工方法は特に限定されず、保護層用塗液の塗工方法と同様の方法を採用することができる。中間層用塗液の塗布量は、乾燥後の塗布量で0.5〜10g/m2程度である。
なお、本発明においては、感熱記録層、保護層、必要に応じて感熱記録層と保護層の間に形成される中間層は、各層形成用の塗液を各々塗布乾燥して塗り重ねてもよいし、各層形成用の塗液を逐次あるいは同時に塗工したのち乾燥してもよい。
本発明では、各層を形成した後、或いは全ての層を形成した後に、スーパーカレンダーによる平滑化処理を施すことも可能である。
また、本発明の感熱記録体には、支持体の裏面(感熱記録層を設けた面の反対面)に接着剤と顔料を含有する裏面層を設けるなど、感熱記録体製造分野における各種の公知技術が必要に応じて付加し得るものである。
以下に実施例を挙げて本発明の感熱記録体をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。また、複合粒子および保護層に配合する顔料の体積平均粒子径はレーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2000(島津製作所社製)を用いて測定し、呈色剤の体積平均粒子径は動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500(堀場製作所社製)で測定した。
実施例1
・A液(複合粒子分散液)の調製
ロイコ染料として3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン5部、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)−フルオラン5部、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン6部、及び3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド2部と、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン8部とを、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(商品名:デスモジュールW、住化バイエルウレタン社製)5部、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート〔商品名:タケネート(登録商標)TMXDI、三井化学ポリウレタン社製〕15部からなる混合溶媒に加熱溶解(150℃)し、この溶液をポリビニルアルコール〔商品名:ポバール(登録商標)PVA−217EE、クラレ社製〕8.5部と、界面活性剤としてアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物〔商品名:オルフィン(登録商標)E1010、日信化学社製〕0.5部を含む水溶液100部に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数10000rpmの攪拌によって乳化分散した。この乳化分散液に、水30部、多価アミン化合物〔商品名:jERキュア(登録商標)T、ジャパンエポキシレジン社製〕3部を水22部に溶解した水溶液を加えて均一化した。この乳化分散液を75℃に昇温し、7時間の重合反応を行い、体積平均粒子径0.8μmのロイコ染料含有複合粒子分散液を調製し、固形分濃度が25%となるように水で希釈した。
・B液(呈色剤混合分散液)の調製
4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール23部、4,4′−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン14部、4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホン5部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物を、ウルトラビスコミルを用いて体積平均粒子径が0.28μmとなるまで粉砕して呈色剤混合分散液を得た。
・C液(呈色剤分散液)の調製
N−(p−トリルスルホニル)−N′−フェニルウレア42部、スルホン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液60部、及び水18部からなる組成物を、ウルトラビスコミルを用いて体積平均粒子径が0.30μmとなるまで粉砕して呈色剤分散液を得た。
・感熱記録層用塗液の調製
A液88部、B液100部、C液20部、ポリウレタン系アイオノマーとスチレン−ブタジエン系樹脂のハイブリッド樹脂(商品名:パテラコールH2090、大日本インキ化学工業社製、固形分濃度41%)120部、前記一般式(1)においてm=4,最多頻度で存在するnの値=5であるフッ素系化合物の1.5%水溶液10部、及び水45部からなる組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗液を得た。
・D液(カオリン分散液)の調製
カオリン〔商品名:UW−90(登録商標)、エンゲルハード社製〕80部、ポリアクリル酸ナトリウムの40%水溶液(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1部、及び水53部を混合し、サンドミルを用いて体積平均粒子径が1.6μmとなるまで粉砕してカオリン分散液を得た。
・E液(焼成カオリン分散液)の調製
焼成カオリン〔商品名:アンシレックス(登録商標)93、エンゲルハード社製〕100部、ポリ(アクリル酸−スチレン−マレイン酸)ナトリウムの40%水溶液(商品名:ポイズ520、花王社製)2.5部、及び水147.5部を強い撹拌により混合し、焼成カオリン分散液を得た。
・保護層用塗液の調製
アイオノマー型ウレタン系樹脂ラテックス〔商品名:ハイドラン(登録商標)AP−30F、大日本インキ化学工業社製、固形分濃度20%〕100部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール〔商品名:ゴーセファイマー(登録商標)Z−410、日本合成化学工業社製、重合度:約2300、鹸化度:約98モル%〕の8%水溶液650部、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリンの25%水溶液5部、D液28部、E液3.75部、ステアリン酸アミド(商品名:ハイミクロンL−271、中京油脂社製、固形分濃度25%)18部、ステアリルリン酸エステルカリウム塩(商品名:ウーポール1800、松本油脂製薬社製、固形分濃度35%)3部、パーフルオロアルキルアミドのエチレンオキシド付加物〔商品名:サーフロン(登録商標)S−145、セイミケミカル社製〕の10%水溶液6部、及び水490部からなる組成物を攪拌して保護層用塗液を得た。
・感熱記録体の作製
青色透明なポリエチレンテレフタレートフィルム〔商品名:メリネックス(登録商標)912、帝人デュポン社製、厚さ175μm〕の片面上に、前記感熱記録層用塗液をスロットダイコーターを用いて、乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布乾燥して感熱記録層を設け、その上に前記保護層用塗液をスロットダイコーターを用いて、乾燥後の塗布量が3.5g/m2となるように塗布乾燥して保護層を設け、感熱記録体を得た。
実施例2
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)においてm=4,最多頻度で存在するnの値=5であるフッ素系化合物の1.5%水溶液の添加量を20部とし、水の添加量を35部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例3
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)においてm=4,最多頻度で存在するnの値=5であるフッ素系化合物の1.5%水溶液の添加量を30部とし、水の添加量を25部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例4
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)においてm=3,最多頻度で存在するnの値=5であるフッ素系化合物の1.5%水溶液の添加量を10部とし、水の添加量を45部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例5
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)においてm=3,最多頻度で存在するnの値=5であるフッ素系化合物の1.5%水溶液の添加量を20部とし、水の添加量を35部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例6
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)においてm=3,最多頻度で存在するnの値=5であるフッ素系化合物の1.5%水溶液の添加量を30部とし、水の添加量を25部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)で表されるフッ素系化合物を添加せず、水の添加量を55部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例2
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)においてm=4,最多頻度で存在するnの値=5であるフッ素系化合物の1.5%水溶液の代わりに、前記一般式(1)においてm=4,最多頻度で存在するnの値=10であるフッ素系化合物の1.5%水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例3
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)で表されるフッ素系化合物の代わりに、パーフルオロアルキルアミドのエチレンオキシド付加物〔商品名:サーフロン(登録商標)S−145、セイミケミカル社製〕の1.5%水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例4
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、前記一般式(1)で表されるフッ素系化合物の代わりに、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム〔商品名:ラピゾール(登録商標)B−07、日本油脂社製〕の1.5%水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
かくして得られた感熱記録体について、以下の評価を行い、その結果を表1に示した。
(塗工欠陥)
記録装置として、感熱プリンターUP−DF500(ソニー社製)を用い、各感熱記録体100枚(17inch×14inch/1枚)を全面ミディアムグレー(光学濃度1.0〜1.2)で印字し、ピンホールの有無を目視で観察し、ピンホール(0.08mm2以上)が1つでも出現した枚数を数え、下記の基準で評価した。
◎:0枚。
○:1〜4枚。
△:5〜9枚。
×:10枚以上。
(濃度ムラ)
記録装置として、感熱プリンターUP−DF500(ソニー社製)を用い、各感熱記録体1枚(17inch×14inch/1枚)を全面ミディアムグレー(光学濃度1.0〜1.2)で印字し、濃度ムラを目視で観察して、下記の基準で評価した。なお、濃度ムラ発生部位の濃度差は、透過濃度計(X−Rite Model 301、X−Rite社製)にて濃度の濃い部分と薄い部分の透過濃度を測定し、その差を示した。
○:濃度ムラが見られないか、若しくは極僅かな濃度ムラが見られるが、その濃度差は
0.01未満である。
△:若干の濃度ムラが見られ、その濃度差は0.01以上、0.03未満である。
×:濃度ムラが見られ、その濃度差は0.03以上である。
Figure 0004905283
本発明の感熱記録体は、ピンホール等の塗工欠陥がなく、従って印画抜けを生ずることがなく、しかも記録画像の濃度ムラもないため、細部にいたるまで明瞭な画像を形成することができ、医療用の画像診断用記録媒体としても適用できる。

Claims (4)

  1. 支持体上に、少なくとも、ロイコ染料および呈色剤を含有する感熱記録層と、保護層を有する感熱記録体において、感熱記録層中に下記一般式(1)で表されるフッ素系化合物を含有せしめたことを特徴とする感熱記録体。
    F(CF2CF2)CH2CH2O(CH2CH2O)H 一般式(1)
    〔式中、mは2〜5の整数を表し、nは3〜7の整数を表す。〕
  2. フッ素系化合物を、感熱記録層の全固形分に対して0.05〜1.0質量%含有する請求項1に記載の感熱記録体。
  3. ロイコ染料が、ロイコ染料と疎水性樹脂とを含む複合粒子の形態で含有されている請求項1または2に記載の感熱記録体。
  4. 支持体が、透明な合成樹脂フィルムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
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