JP3085187B2 - 染料前駆体含有樹脂複合微粒子およびこの複合微粒子を含む感熱記録材料 - Google Patents

染料前駆体含有樹脂複合微粒子およびこの複合微粒子を含む感熱記録材料

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JP3085187B2 JP08095873A JP9587396A JP3085187B2 JP 3085187 B2 JP3085187 B2 JP 3085187B2 JP 08095873 A JP08095873 A JP 08095873A JP 9587396 A JP9587396 A JP 9587396A JP 3085187 B2 JP3085187 B2 JP 3085187B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、染料前駆体含有樹
脂複合微粒子、およびこの複合微粒子を含み、耐圧性、
耐摩擦性に優れ、生保存性および印字後の画像安定性に
すぐれ、かつ白紙かぶりの少ない感熱記録材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリマー微粒子の製造方法、あるいは油
性液体を芯物質として含有し、ポリマーからなる壁膜材
を含むマイクロカプセルの製造については数多くの方法
が知られており、成著も多数発行されている。例えば、
東レリサーチセンター調査研究企画部編集:「機能性材
料としての微粒子ポリマーの新展開」、東レリサーチセ
ンター発行(1994)、小石真純編著「微粒子設計」
工業調査会発行(1987)、近藤保編「マイクロカプ
セル−その機能と応用」日本規格協会発行(1991)
などの文献をあげることができる。ポリマー微粒子の製
造方法は、大きく分けて、重合性モノマーから、その重
合過程で粒子形成を行う重合造粒法と、微小液滴化した
ポリマー溶液から粒子形成を行う分散造粒法に分類でき
る。またマイクロカプセルの製造方法についても前記と
ほぼ同様に分類することができる。染料前駆体を油性液
体に溶解し、この溶液をマイクロカプセル内に内包させ
ることは、感圧複写紙において従来から行われており、
例えば、特公昭60−49119号公報、および特開昭
63−31788号公報等に記載されている。
【0003】一方、染料前駆体と、この染料前駆体と加
熱下に接触反応してこれを発色させる顕色性化合物との
発色反応を利用し、加熱により両発色物質を溶融接触さ
せ、発色画像を得るようにした感熱記録材料が広く知ら
れている。このような感熱記録材料は、比較的安価であ
り、記録機器がコンパクトであり、かつその保守も容易
であるため、例えばファクシミリ、ワードプロセッサ
ー、各種計算機等の各種用途の記録媒体として、幅広い
分野において使用されている。しかしながら、染料前駆
体からなる固体粒子と顕色性化合物とを含む従来の感熱
記録材料は、熱または湿度の影響でその発色画像が消色
するという欠点を有している。
【0004】上記の欠点を解消するために、感熱記録材
料に、マイクロカプセル内に内包した染料前駆体を利用
することも公知であり、例えば特公平4−4960号公
報、特公平4−37796号公報、特公平4−3779
7号公報、および特公平5−63315号公報等に記載
されている。しかしながら、これらの染料前駆体を溶解
した油性液体を内包するマイクロカプセルを感熱記録材
料に応用すると、圧壊や圧力かぶりをしばしば生じ、地
肌が着色するなどの問題を生じ、これを防ぐために壁膜
を厚くすることは有効であるが、得られる感熱記録材料
の発色感度が低下するという問題を生ずる。
【0005】壁膜により形成された中空部内に染料前駆
体を内包し、しかし有機溶媒を内包しないマイクロカプ
セルは、例えば特開平4−101885号公報に記載さ
れている。しかしながらこのようなマイクロカプセルに
おいて、有機溶媒を含有する状態で壁膜が形成されるた
め、通常のマイクロカプセルと同様の壁膜が形成され、
この壁膜内に染料前駆体が含有され、マイクロカプセル
の芯部分は中空となる。このため、この中空マイクロカ
プセルは圧力で破壊されやすく、それによりかぶりが発
生するという欠点を有する。すなわち、かぶり防止と良
好な発色感度とを両立させることが極めて難しく、ま
た、壁膜形成時に溶媒が蒸発除去されるため、膜形成が
阻害され、形成された膜の隔離性が十分ではなく、この
ような染料前駆体含有マイクロカプセルを感熱記録材料
に用いた場合、その生保存性、印字保存性はかならずし
も満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、実質的に溶
媒を含まず外部からの圧力で破壊されにくく、かつ非加
熱時に、外部からの隔離性が高く、発色しにくい染料前
駆体含有樹脂複合微粒子を提供しようとするものであ
る。また、本発明は、前記染料前駆体含有樹脂複合微粒
子を含み、耐圧性、耐摩擦性に優れ、さらに生保存性及
び印字後の画像安定性に優れ、白紙かぶりの少ない感熱
記録材料を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る染料前駆体
含有樹脂複合微粒子は、多価イソシアネート化合物含有
重合成分のみを溶媒とし、その中に染料前駆体を含有す
る溶質を溶解し、得られた溶液を親水性保護コロイド含
有水溶液中に乳化分散し、この乳化分散液を、前記重合
成分の高分子化反応に供することによって得られ、ポリ
ウレア又はポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる母材
中に、前記染料前駆体が含有されていることを特徴とす
るものである。本発明に係る複合微粒子において、前記
溶質は、染料前駆体と、40〜150℃の融点と、20
0℃以上の沸点を有する少なくとも1種の有機化合物を
含有するものであってもよい。また、本発明に係わる複
合微粒子において、前記溶媒が多価イソシアネート化合
物のみからなり、かつ前記溶質が染料前駆体のみからな
るものであってもよく、或いは、前記溶媒が多価イソシ
アネート化合物のみからなり、かつ前記溶質が、染料前
駆体および40〜150℃の融点と200℃以上の沸点
を有する有機化合物のみからなるものであってもよい。
また、本発明に係る複合微粒子において、前記重合成分
が、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、ヘ
キサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサ
メチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ジシ
クロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、5
−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,
3,3−トリメチルシクロヘキサンテトラメチルキシリ
レンジイソシアネートおよび1,3ビス(イソシアナト
メチル)シクロヘキサンから選ばれる少なくとも1種の
多価イソシアネート化合物を含んでいることが好まし
い。また、本発明に係る感熱記録材料は、支持体と、そ
の上に形成されかつ染料前駆体、およびこの染料前駆体
と加熱下に反応してこれを発色させる顕色性化合物を含
有している感熱発色層とを有し、前記染料前駆体が、前
記本発明の複合微粒子中に含有されていることを特徴と
するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の染料前駆体含有樹脂複合
微粒子は、多価イソシアネート化合物含有重合成分のみ
を溶媒とし、その中に染料前駆体を含有する溶質を溶解
させて溶液を調製し、この溶液を親水性保護コロイド含
有水溶液中に乳化分散し、この乳化分散液を、前記重合
成分の高分子化反応に供して得られるものであって、ポ
リウレア又はポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる母
材中に、前記染料前駆体が含有されていることを特徴と
するものであり、この複合微粒子は、その中に実質的に
有機溶剤を含まないため高い物理的強度を有している。
このため、本発明の複合微粒子を用いた感熱記録材料
は、耐圧性、および耐摩擦性に優れた感熱発色層を有し
ている。また、低沸点有機溶剤を用いる製法で作成され
た染料前駆体内包マイクロカプセルを使用して得られる
感熱記録材料よりも、はるかに高い生保存性と印字保存
性を示し、かつ地肌かぶりも少ない。さらに、本発明で
は、必要に応じて溶質として染料前駆体とともに融点が
40〜150℃であり、かつ沸点が200℃以上の有機
化合物例えば増感剤を含有させることによりその発色感
度を向上させることができる。
【0009】本発明の複合微粒子は、ポリウレアまた
は、ポリウレタン−ポリウレアより選ばれた少なくとも
1種の高分子物質(樹脂)からなる母材と、その中に含
有されている染料前駆体とからなるものであって、染料
前駆体と高分子物質とが分子レベルで混合し、固溶体状
態で存在していると考えられる。この複合微粒子中に
は、実質的に油性溶媒などの液体を含有していない。複
合微粒子は空隙のない充実固体(内実体)であることが
最も好ましいが、多孔質固体、又は粒子径の三分の一未
満の直径を有する中空部を有する中空固体であってもよ
い。しかし、中空固体は、圧壊を受けやすいので好まし
くない。また上記中空部の小さな中空体よりもむしろ微
細な空孔が散在する多孔質固体の方が好ましい。前述の
ように、本発明の複合微粒子は、空隙部分が実質的に存
在しない充実固体であることが最も好ましい。ここで
「空隙部分が実質的に存在しない」とは、電子顕微鏡に
よる複合微粒子の断面観察において空隙部分の存在が認
識できないことをいう。複合微粒子中に液体が存在して
いたり、粒子径の三分の一以上の直径を有する単一の空
洞部分が存在すると、感熱発色層面、あるいは感熱発色
層上に設けた保護層面を加圧式のカレンダーで平滑化処
理を行う時に複合微粒子が破壊されやすく、白色度が低
下するという不都合を生ずることがある。複合微粒子が
多孔質状態であるか、空隙部分が実質的に存在しない
か、あるいは粒子径の三分の一以上の直径を有するよう
な単一の空洞部分を有しているかは、電子顕微鏡を使用
し、複合微粒子の切断断面を観察することにより容易に
判別することができる。
【0010】本発明の複合微粒子の製造において、例え
ば、染料前駆体を多価イソシアネート化合物のみからな
る溶媒中に溶解し、または必要に応じ融点が40〜15
0℃であり、かつ沸点が200℃以上の有機化合物を染
料前駆体と共に多価イソシアネート化合物のみからなる
溶媒中に溶解して溶液を作成する。このときの溶解温度
は、60〜200℃であることが好ましく、それ以下の
温度では、溶質として用いられる染料前駆体、または融
点が40〜150℃であり、かつ沸点が200℃以上の
有機化合物の多価イソシアネート化合物に対する溶解性
が低く、このため十分な隔離性を有する複合微粒子を製
造することができない。又、溶解温度が200℃を超え
ると、使用する多価イソシアネートが安定に存在するこ
とができず、このため十分な隔離性を有する複合微粒子
を製造することができない。この溶液をポリビニルアル
コール等の保護コロイド物質を溶解含有している水性媒
体中に乳化分散する。この乳化分散液にさらに必要によ
り水溶性ポリアミン等の反応性物質を後添加する。この
乳化分散液を40℃以上に加熱し、重合成分を重合させ
てポリウレアまたはポリウレタン−ポリウレア樹脂から
なる母材と、この母材中に含有される染料前駆体、およ
び必要により40〜150℃の融点かつ200℃以上の
沸点を有する有機化合物からなる複合微粒子を形成す
る。
【0011】また、本発明の複合微粒子を用いた感熱記
録材料は、低沸点有機溶剤を用いて製造された染料前駆
体内包マイクロカプセルを使用した感熱記録材料より
も、はるかに高い生保存性と印字保存性を示し、地肌か
ぶりも少ないという特徴を有する。この理由について
は、低沸点有機溶剤を用いたマイクロカプセルの場合と
異なり、本発明の複合微粒子では、樹脂母材の形成時に
溶媒の蒸発がないため、生成する樹脂母材が緻密であっ
て、染料前駆体を、他の発色成分から十分に隔離してい
るためと考えている。また、本発明では、必要に応じて
溶質として染料前駆体と共に40〜150℃の融点と、
200℃以上の沸点を有する有機化合物を含有させるこ
とにより、その発色感度を向上させることもできる。
【0012】本発明で使用される染料前駆体は、トリア
リール系、ジフェニルメタン系、チアジン系、スピロピ
ラン系、ラクタム系、フルオラン系などのロイコ体から
選択使用することができる。その具体例を下記に示す。
黒色発色を与える染料前駆体としては、3−ピロリジノ
−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチル
アミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フル
オラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−
7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エ
チル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフ
ルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフ
ルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフ
ルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ
−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イ
ソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニ
リノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチル
アミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−
〔N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ)
−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−
(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ)−6−
メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ
−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n
−ブチル)アミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオ
ラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノ
フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−
(2,6−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリ
ノ)フルオラン、2、4−ジメチル−6−(4−ジメチ
ルアミノアニリノ)フルオラン、および3−(N−シク
ロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン等の少なくとも1種を用いることがで
きる。
【0013】本発明においては、前記黒色発色を与える
染料前駆体の中でも、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6
−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミ
ル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3
−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,6−ジメチ
ルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メ
チル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、
および2、4−ジメチル−6−(4−ジメチルアミノア
ニリノ)フルオランが地肌かぶりを生じにくいという点
で好ましい。
【0014】赤もしくは赤紫、オレンジ色系統の発色を
与える染料前駆体としては、3,6−ビス(ジエチルア
ミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3,6−ビ
ス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(p−ニトロ)
アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フ
ルオラン−γ−(o−クロロ)アニリノラクタム、3−
ジメチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチル
アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフ
ルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−
ジエチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチル
アミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミ
ノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ
−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−7−tert−ブチルフルオラン、3−(N−エ
チル−N−トリルアミノ)−7−メチルフルオラン、3
−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−エチルフル
オラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−
6−メチル−7−クロロフルオラン、および3−(N−
エチル−N−イソアミルアミノ)−7,8−ベンゾフル
オランをあげることができる。
【0015】赤色、赤紫色、オレンジ色系統の発色色調
を与える染料前駆体としては、さらに3−シクロヘキシ
ルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジ−n−ブチル
アミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジ−
n−ブチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ト
リルアミノ−7−メチルフルオラン、3−トリルアミノ
−7−エチルフルオラン、2−(N−アセチルアニリ
ノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラ
ン、2−(N−プロピオニルアニリノ)−3−メチル−
6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベン
ゾイルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルア
ミノフルオラン、2−(N−カルボブトキシアニリノ)
−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(N−ホルミルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−
n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジルアニ
リノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオ
ラン、2−(N−アリルアニリノ)−3−メチル−6−
ジ−n−ブチルアミノフルオラン、および2−(N−メ
チルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミ
ノフルオランをあげることができる。
【0016】赤色、赤紫色、およびオレンジ色系統の発
色色調を示す染料前駆体として、さらに3,3′−ビス
(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)
フタリド、3,3′−ビス(1−エチル−2−メチルイ
ンドール−3−イル)フタリド、3,3′−ビス(1−
n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタ
リド、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3
−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロク
ロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3′−フタリ
ド〕、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3
−メチル−1−p−メチルフェニルスピロ〔(1,4−
ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,
3′−フタリド〕、および7−(N−エチル−N−n−
ヘキシルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ
〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾー
ル)−4,3′−フタリド〕などをあげることができ
る。
【0017】上記化合物のなかでも、発色感度が高く、
地肌かぶりが少ないという点で、赤色発色を与える染料
前駆体としては、3−ジエチルアミノ−7−クロロフル
オラン、および3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−
クロロフルオランが好ましく、オレンジ色発色を与える
染料前駆体としては、3−シクロヘキシルアミノ−6−
クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメ
チルフルオラン、および7−(N−エチル−N−イソア
ミルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ
〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾー
ル)−4,3′−フタリド〕が好ましく、また赤紫色発
色を与える染料前駆体としては、3,3′−ビス(1−
n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリ
ドが好ましい。
【0018】青色発色を与える染料前駆体としては、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジ
メチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2
−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニ
ル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル
−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエ
チルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2
−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−
4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3
−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−
4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルイン
ドール−3−イル)−3−(2−n−ヘキシルオキシ−
4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、お
よび3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフル
オランなどをあげることができる。特に、これらの青発
色性染料前駆体の中では、3−(4−ジエチルアミノ−
2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−6−ジメチルアミノフタリドが、地肌かぶりが
少ないという点から好ましい。
【0019】緑色発色を与える染料前駆体としては、3
−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニ
リノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジル
アミノフルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ
−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−
(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フ
ェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−〔p−
(p−アニリノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7
−クロロフルオラン、および3,6−ビス(ジメチルア
ミノ)フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチ
ルアミノ)フタリドなどをあげることができる。これら
のなかでも3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン
−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリ
ドが、地肌かぶりが少ないという点から好ましい。
【0020】黄色系統の発色を与える染料前駆体とし
て、3,6−ジメトキシフルオラン、および1−(4−
n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−
(2−キノリル)エチレンなどがある。上記の染料前駆
体は単独化合物からなるものであってもよいが、色調補
正のために他の色の染料前駆体化合物と併用することも
効果的である。さらに、本発明の複合微粒子に含有させ
る染料前駆体としては、上述の電子供与性発色性染料の
他に酸化型発色性染料を利用することができる。またジ
アゾニウム塩を含有させ、カプラーとの反応を利用する
こともできる。
【0021】本発明で用いられる多価イソシアネート化
合物とは、水と反応することによりポリウレアまたは、
ポリウレタン−ポリウレア樹脂を形成する化合物であ
る。本発明の重合成分は、多価イソシアネート化合物の
みからなるものであってもよいし、又は多価イソシアネ
ート化合物と、これと反応するポリオールとの混合物、
或いは多価イソシアネート化合物とポリオールとの付加
物、並びにそのビウレット体、およびイソシアヌレート
体等の多量体であってもよい。これら多価イソシアネー
ト化合物含有重合成分に染料前駆体含有溶質を溶解し、
この溶液を、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物
質を溶解含有している水性媒体中に乳化分散し、さらに
必要により乳化分散液にポリアミン等の反応性物質を混
合後、この乳化分散液を加温することにより、重合成分
を重合させて、ポリウレアまたは、ポリウレタン−ポリ
ウレア樹脂からなる母材を形成するとともに、この樹脂
母材中に染料前駆体含有溶質を含有させて複合微粒子を
形成することができる。
【0022】樹脂形成用重合成分として用いられる多価
イソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレ
ンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリ
レンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシ
アネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネ
ート、ジシクロヘキシルメタン−4,4‘−ジイソシア
ネート、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチ
ル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、テトラ
メチルキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イ
ソシアナトメチル)シクロヘキサン、3,3′−ジメチ
ルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キ
シリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフ
ェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピ
レン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−
ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソ
シアネート、およびシクロヘキシレン−1,4−ジイソ
シアネート等のジイソシアネート類、4,4′,4″−
トリフェニルメタントリイソシアネート、およびトルエ
ン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシア
ネート類、並びに4,4′−ジメチルジフェニルメタン
−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等のテト
ライソシアネート類、などがある。また本発明の多価イ
ソシアネート化合物は多価イソシアネート化合物とポリ
オールとの付加物を包含し、このような付加物として
は、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチ
ロールプロパン付加物、2,4−トリレンジイソシアネ
ートのトリメチロールプロパン付加物、キシリレンジイ
ソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、トリレ
ンジイソシアネートのヘキサントリオール付加物等のイ
ソシアネートプレポリマーを用いることができる。また
多価イソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイ
ソシアネートのビウレット体、およびイソシアヌレート
体等の多量体も、本発明の重合成分に用いられる多価イ
ソシアネート化合物に包含させる。
【0023】本発明において、染料前駆体に関して隔離
性の高い複合微粒子を作成するためには、多価イソシア
ネート化合物として、芳香族系より脂肪族系のものを用
いることが好ましい。具体的には、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリ
メチロールプロパン付加物、ヘキサメチレンジイソシア
ネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネー
トのイソシアヌレート体、ジシクロヘキシルメタン−
4,4′−ジイソシアネート、および5−イソシアナト
−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチ
ルシクロヘキサンから選ばれるすくなくとも1種が好ま
しく用いられる。その中でもジシクロヘキシルメタン−
4,4′−ジイソシアネートを用いて得られる樹脂母材
は、その中に含まれる染料前駆体に関して非常に隔離性
の高いものであるので特に好ましく用いられる。
【0024】また重合成分中に必要により含まれるポリ
オール化合物としては、例えばエチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオ
ール、プロピレングリコール、2,3−ジヒドロキシブ
タン、1,2−ジヒドロキシブタン、1,3−ジヒドロ
キシブタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオ
ール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジ
オール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロ
ヘキサン、ジエチレングリコール、1,2,6−トリヒ
ドロキシヘキサン、フェニルエチレングリコール、1,
1,1−トリメチロールプロパン、ヘキサントリオー
ル、ペンタエリスリトール、およびグリセリン等の脂肪
族ポリオール、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)
ベンゼン、および1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン等の芳香族多価アルコールとアルキレンオ
キサイドとの縮合生成物、p−キシリレングリコール、
m−キシリレングリコール、α,α′−ジヒドロキシ−
p−ジイソプロピルベンゼン、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルメタン、2−(p,p′−ジヒドロキシジフ
ェニルメチル)ベンジルアルコール、4,4′−イソプ
ロピリデンジフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、4,4′−イソプロピリデンジフェノールの
エチレンオキサイド付加物、4,4′−イソプロピリデ
ンジフェノールのプロピレンオキサイド付加物、およ
び、2−ヒドロキシアクリレートのようなヒドロキシ基
を有するアクリレート等が挙げられる。
【0025】もちろん、多価イソシアネート化合物、多
価イソシアネートとポリオールとの付加物、及びポリオ
ール化合物などは、上記化合物に限定されるものではな
く、また、必要に応じてこれらの二種以上を併用しても
よい。
【0026】また本発明の樹脂母材形成に必要により用
いられるポリアミン化合物としては、例えばエチレンジ
アミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメ
チルピペラジン、2−ヒドロキシトリメチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミ
ン、テトラエチレンペンタミン、エポキシ化合物のアミ
ン付加物等が挙げられる。また本発明の目的を損なわな
い範囲で、樹脂母材中に他の高分子物質を含有させるこ
ともできる。
【0027】本発明では、複合微粒子の発色感度を向上
させる目的で、複合微粒子作成時の溶質成分として、染
料前駆体とともに融点が40〜150℃であり、かつ沸
点が200℃以上の有機化合物を併用することができ
る。本発明で用いることができる融点が40℃〜150
℃であり、かつ沸点が200℃以上の有機化合物として
は、芳香族ケトン化合物、芳香族エーテル化合物、芳香
族環状エステル化合物が好ましく使用できる。その具体
例を下記に示す。芳香族ケトン化合物としては、ベンゾ
フェノン、芳香族エーテル化合物としては、1,2−ジ
(m−トリルオキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエ
タン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(2−メ
チルフェノキシ)エタン、芳香族環状エステル化合物と
しては、クマリン、フタリドなどがある。上記の有機化
合物は単独で使用してもかまわないが、その2種以上を
併用することも可能である。
【0028】本発明の複合微粒子製造における染料前駆
体と多価イソシアネート化合物との重量比率は、発色感
度の点から、複合微粒子の合計重量に対して、染料前駆
体の含有量が5〜80重量%であることが好ましく、2
0〜50重量%であることがより好ましい。また、複合
微粒子製造において、前記溶質溶液の合計重量に対し、
多価イソシアネート化合物と、染料前駆体と、融点が4
0℃〜150℃であり、かつ沸点が200℃以上である
有機化合物との合計重量が80重量%以上であることが
望ましい。また実質的に多価イソシアネート化合物と染
料前駆体のみからなる溶液、または、実質的に多価イソ
シアネート化合物、染料前駆体、および融点が40〜1
50℃であり、かつ沸点が200℃以上である有機化合
物からなる溶液とは、溶液の合計重量の95重量%以上
が上記の化合物の合計量であることを示す。
【0029】本発明において、複合微粒子の調製に用い
られる乳化剤(保護コロイド剤)としては、ポリアクリ
ルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコー
ル、スルホン基変性ポリビニルアルコールなどの変性ポ
リビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩
及びそれらの誘導体などの水溶性合成高分子化合物を用
いることができる。このような乳化剤とともに界面活性
剤、消泡剤などを使用してもよい。複合微粒子調製の際
の乳化剤の使用量については特に限定はないが、一般
に、得られる複合微粒子重量に対して、1〜50重量%
の乳化剤を用いることが好ましく、3〜30重量%であ
ることがより好ましい。
【0030】本発明の複合微粒子中には、染料前駆体の
他に、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶性
蛍光染料、および/又は離型剤等が樹脂母材中に含まれ
ていてもよい。このような添加物質は、常温で固体であ
ることが好ましいが、液体であってもよい。染料前駆体
が2種類以上の混合物であってもよい。
【0031】本発明の感熱発色層、又は複合微粒子中に
紫外線吸収剤を含有させることは、耐光性の点から好ま
しく、特に2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾ
ール系の紫外線吸収剤は、発色画像の耐光性向上効果だ
けでなく発色感度向上効果もあり、好ましく使用でき
る。また、複合微粒子調製における重合成分の重合の際
に、反応促進剤として錫化合物、ポリアミド化合物、エ
ポキシ化合物、ポリアミン化合物などを併用してもよ
い。尚、ポリアミン化合物を使用する場合は、耐光性を
低下させないという点から、脂肪族ポリアミン化合物を
用いることが好ましい。
【0032】本発明の複合微粒子の平均粒子径は、発色
感度を考慮すると、0.1〜15μmであることが好ま
しく、0.3〜6.0μmの範囲内に調節されることが
より好ましい。平均粒子径が小さい程、得られる複合微
粒子の発色感度は高くなるが、それが小さすぎると白紙
かぶりを生ずるようになることがあるので好ましくな
い。
【0033】本発明の複合微粒子を使用することによ
り、得られる感熱記録材料の感熱発色層は、押圧力によ
る地発色や、白紙のまゝ長期保存した時の地肌かぶり発
生を抑制することができ、そればかりでなく、発色画像
の熱や湿度による消色も著しく抑制することができる。
【0034】本発明の感熱記録材料に使用される顕色性
化合物については特に制限はないが、一般に温度の上昇
によって液化、又は溶解する性質を有し、染料前駆体と
接触してこれを発色させる性質を有するものから選ばれ
る。代表的な顕色性化合物としては、4−tert−ブ
チルフェノール、4−アセチルフェノール、4−ter
t−オクチルフェノール、4,4′−sec−ブチリデ
ンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4′−
ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−イソプロピ
リデンジフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンジ
フェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−1−フェニルエタン、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルサルファイド、4,4′−チオビス(3−メチル−
6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポ
キシジフェニルスルホン、およびビス(3−アリル−4
−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのフェノール性化
合物をあげることができる。
【0035】本発明において、顕色性化合物として使用
できる化合物としては、さらに4−ヒドロキシベンゾフ
ェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロ
キシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピ
ル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒ
ドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベ
ンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキ
シ安息香酸クロロフェニル、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルエーテルなどのフェノール性化合物、または、
安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル
安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−
ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−
ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリ
チル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸など
の芳香族カルボン酸、およびこれらフェノール性化合
物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、ア
ルミニウム、カルシウムなどの多価金属との塩などの有
機酸性物質などが挙げられる。本発明において使用する
顕色性化合物は、ヒドロキシル基を分子内に含むジフェ
ニルスルホン誘導体がより好ましく、例えば、4,4′
−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒド
ロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イ
ソプロポキシジフェニルスルホン、およびビス(3−ア
リル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどを例示す
ることができる。このような顕色性化合物は、発色画像
の保存性に優れた特性を有する。これは、上記顕色性化
合物のスルホン基の強い電子吸引性によるものと推測さ
れる。また、油や可塑剤などが接触してもより消色しに
くい発色画像を形成するためには、顕色性化合物として
4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボ
ニルアミノ)ジフェニルメタン、又はN−(p−トルエ
ンスルホニル)−N′−フェニル尿素を使用することが
好ましい。
【0036】本発明の感熱記録材料において、顕色性化
合物は、通常、染料前駆体の合計重量に対し、100〜
700重量%の割合で用いることが好ましく、より好ま
しくは150〜400重量%の割合で使用される。もち
ろん必要に応じて、2種類以上の顕色性化合物を併用す
ることもできる。
【0037】本発明の感熱記録材料において、主に発色
記録画像の保存性向上のために、画像安定化剤を用いて
もよい。このような画像安定化剤としては、例えば1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シ
クロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル
フェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
4,4′−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチ
リデン)〕ビスフェノール、および4,4′−〔1,3
−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェ
ノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキ
シフェニル−4′−(2−メチル−2,3−エポキシプ
ロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−
1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および
4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニ
ルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−ト
リス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4
−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌ
ル酸化合物から選ばれた1種以上を含むものを用いるこ
とができる。もちろん、画像安定化剤はこれらに限定さ
れるものではなく、又必要に応じて2種類以上の化合物
を併用することもできる。
【0038】本発明の感熱記録材料の感熱発色層の発色
感度を調節するために、感熱発色層に熱可融性物質を増
感剤として含有させることができる。増感剤としては、
従来から感熱記録材料の増感剤として知られている化合
物を使用することができる。例えばパラベンジルビフェ
ニル、ジベンジルテレフタレート、1−ヒドロキシ−2
−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン
酸ジ−o−クロルベンジル、1,2−ジ(3−メチルフ
ェノキシ)エタン、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、
シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、1,2−ジフェノキ
シエタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)
エタン、1,3−ビス(2−ナフトキシ)プロパンなど
をあげることができる。特にシュウ酸ジ−p−メチルベ
ンジルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルを増感剤とし
て使用すると、かぶりが少ない増感効果が得られる。
【0039】本発明の感熱記録材料に使用される顕色性
化合物、画像安定化剤および増感剤などの添加剤は、水
を分散媒体として、サンドグラインダー、アトライタ
ー、ボールミル、コボーミル等の各種湿式粉砕機によっ
て粉砕し、これをポリアクリルアミド、ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコール、スルホン基変性ポリビ
ニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、メチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン
−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体などの
水溶性合成高分子化合物の他、必要に応じて界面活性
剤、消泡剤などと共に分散媒体中に分散させて分散液を
調製し、これを感熱発色層形成塗料中に混合すればよ
い。また、これらの添加剤を溶剤に溶解し、これを水溶
性高分子化合物を乳化剤として用いて水中に乳化し、こ
の乳化液を感熱発色層形成塗料に含ませてもよい。さら
には前述の複合微粒子調製方法と同様の方法で、これら
化合物を含有する樹脂複合微粒子を作成し、これを感熱
発色層に含有させてもよい。
【0040】本発明においては、感熱発色層の白色度向
上、および画像の均一性向上のため、白色度が高く、平
均粒子径が10μm以下の微粒子顔料を感熱発色層に含
有させることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレ
ー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸
化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウ
ム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機
顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタ
クリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が
使用できる。サーマルヘッドに対するかす付着、および
スティッキングの防止のためには、吸油量が50ml/1
00g以上の顔料を使用することが好ましい。顔料の配
合量は、発色濃度を低下させない程の量、すなわち、感
熱発色層の全固形分重量に対して50重量%以下である
ことが好ましい。
【0041】本発明の感熱記録材料において、感熱発色
層に含まれる他の成分材料として、接着剤が用いられ、
さらに必要により、架橋剤、ワックス類、金属石鹸、有
色染料、有色顔料、および蛍光染料などを用いることが
できる。接着剤としては、例えばポリビニルアルコール
及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセル
ロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、
ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エ
ステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル
−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重
合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶
性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタ
ン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレー
ト、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンや
スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン
−アクリル系共重合体などの水不溶性重合体のラテック
スなどをあげることができる。
【0042】また、感熱発色層の耐水性を向上させるた
めに、接着剤を三次元硬化させるための架橋剤を感熱発
色層中に含有させることができる。例えば、グリオキザ
ール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等の
ポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹
脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリ
ジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、並びに過
硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、および塩化マグネシウ
ム、四ホウ酸ソーダ、四ホウ酸カリウム等の無機化合物
又はホウ酸、ホウ酸トリエステル、ホウ素系ポリマー等
から選ばれた少なくとも1種の架橋性化合物を感熱発色
層の全固形分重量に対し1〜10重量%の範囲で用いる
ことが好ましい。
【0043】感熱発色層に添加されるワックス類として
は、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイ
クロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス、
およびポリエチレンワックスなどのワックス類、並びに
例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸
アミドなどの高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、
およびその誘導体などをあげることができる。特にメチ
ロール化脂肪酸アミドを感熱発色層に添加すると、地肌
かぶりを悪化せずに増感効果を得ることができる。
【0044】感熱発色層に添加される金属石鹸として
は、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、
およびオレイン酸亜鉛等をあげることができる。また低
温発色色調に対して補色の関係にある色調を有する有色
染料、および/又は有色顔料を感熱発色層中に含有させ
ることは、印字前の記録材料の色調を調節するために好
ましく用いられる。必要に応じて、本発明の効果を損な
わない範囲内で、感熱発色層中に、さらに撥油剤、消泡
剤、粘度調節剤など各種添加剤を添加することができ
る。
【0045】本発明の感熱記録材料に用いられる支持体
材料の種類、形状、寸法などには、格別の限定はなく、
例えば上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、
アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネ
ート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織
布、合成樹脂フィルム等の他、各種透明支持体等も適宜
選択して使用することができる。
【0046】2色以上の発色画像を形成することができ
る多色感熱記録材料は、感熱発色層中に本発明の染料前
駆体含有樹脂複合微粒子を含有させ、さらにそれとは異
なる色調に発色する染料前駆体と、これら染料前駆体を
発色させる顕色性化合物とを例えば固体微粒子状態で含
有させることにより製造することができる。また、互い
に異なる色調に発色する染料前駆体の各々を含む2種以
上の本発明の複合微粒子を調製し、その平均粒子径、お
よび/又は樹脂母材の種類を互いに異るようにすること
により2色以上の発色画像を形成可能にすることもでき
る。もちろん、本発明の複合微粒子を含み、互いに発色
色相の異る、2層以上の感熱発色層を積層して多色化す
ることができる。本発明においては、感熱記録材料の付
加価値を高めるために、これにさらに加工を施し、より
高い機能を付与した感熱記録材料とすることができる。
例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック
型の粘着剤などによる塗布加工を施すことにより、粘着
紙、再湿接着紙、ディレードタック紙としたり、或は裏
面に磁気加工を施すことにより裏面磁気記録層を有する
感熱記録材料とすることができる。特に、粘着加工、お
よび磁気加工を施したものは2色感熱ラベルや、2色感
熱磁気乗車券などの用途に有用である。また、裏面を利
用して、これに熱転写用紙、インクジェット用紙、ノー
カーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての
機能を付与し、両面記録が可能な記録紙とすることもで
きる。もちろん両面感熱記録材料とすることもできる。
【0047】本発明においては、感熱発色層の上に保護
層を設け、および/又は感熱発色層の下に下塗層を設け
ることができる。これらの追加層として、従来より公知
の感熱記録材料に使用されている保護層、および下塗層
を利用することができる。保護層、および下塗層は、と
もに顔料、および接着剤を主体とし構成することができ
る。特に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッ
キングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ス
テアリン酸亜鉛のような滑剤が添加されていることが好
ましく、またこれを2層以上に構成することもできる。
また光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加
価値を高めることもできる。下塗り層には、シリカ、焼
成カオリンなどのような空隙率の高い顔料を使用するこ
とにより、その上の感熱発色層の発色感度をあげること
ができる。また下塗り層中にプラスチックピグメント、
中空粒子、発泡体などを含有させることもその上に形成
される感熱発色層の発色感度向上に効果がある。
【0048】本発明の感熱記録材料において、感熱発色
層上にUV硬化樹脂、EB硬化樹脂を含む保護層を設け
ることもできるし、その上に、UVインキ、フレキソイ
ンキなどで印刷することもできる。保護層にシリコンな
どの離型剤を用いることにより本発明の感熱記録材料を
ライナーレスの粘着ラベルとして利用することもでき
る。この場合、印刷後に離型剤を塗工してもよい。
【0049】支持体上に上記各層を形成する方法として
は、エアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロール
コーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、および
エクストルージョン法などの既知の塗布方法のいずれを
利用してもよい。また印刷機などを使用して本発明の感
熱発色層形成塗料を部分印刷して使用することもでき
る。感熱発色層形成塗料は、支持体の一表面に通常1〜
20g/m2 (乾燥)となる様に塗布され、それを乾燥
することによって感熱発色層が形成される。また、記録
材料裏面からの油や可塑剤の浸透を抑制したり、又はカ
ールコントロールのためにバック層を設けることもでき
る。また感熱発色層をスーパーカレンダーやソフトカレ
ンダーなどの既知の平滑化方法を用いて平滑化処理する
ことは、その発色感度を高める事に効果がある。このと
き感熱発色層表面を、カレンダーの金属ロールおよび弾
性ロールのいずれかに当てて処理してもよい。
【0050】
【実施例】本発明を下記実施例により更に詳しく説明す
るが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、特に断わらない限り、「部」および「%」はそれ
ぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0051】複合微粒子の製造例 実施例1 黒色発色性染料として3−ジ(n−アミル)アミノ−6
−メチル−7−アニリノフルオラン6部を100℃に加
熱したジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシア
ネート24部に溶解し、この溶液を、8%ポリビニルア
ルコール(日本合成化学工業製、商標:ゴーセノールG
M−14L)水溶液250部中に徐々に添加し、ホモジ
ナイザーを用い、回転数5000rpm の攪拌によって乳
化分散した。この乳化分散液に水100部を加えてこれ
を均一化した。この乳化分散液を90℃に昇温し、この
温度に10時間加熱して、硬化反応を行わせ、平均粒子
径1.3μmの、黒色発色性染料前駆体含有樹脂複合微
粒子Aの分散液を調製した。
【0052】実施例2 実施例1と同様の操作を行った。但し、ジシクロヘキシ
ルメタン−4,4′−ジイソシアネート24部の代わり
に、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネ
ート20部を用い、また溶質としてベンゾフェノン4部
を追加した。平均粒子径1.6μmの、黒色発色性染料
前駆体含有樹脂複合微粒子Bの分散液を得た。
【0053】実施例3 実施例1と同様の操作を行った。但し、ジシクロヘキシ
ルメタン−4,4′−ジイソシアネート24部の代わり
に、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネ
ートとのモル比1:3の付加物24部を用いた。平均粒
子径1.5μmの、黒色発色性染料前駆体含有樹脂複合
微粒子Cの分散液を得た。
【0054】実施例4 実施例1と同様の操作を行った。但し、ジシクロヘキシ
ルメタン−4,4′−ジイソシアネート24部の代わり
に、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−
1,3,3−トリメチルシクロヘキサン24部を用い
た。平均粒子径1.4μmの、黒色発色性染料前駆体含
有樹脂複合微粒子Dの分散液を得た。
【0055】実施例5 実施例1と同様の操作を行った。但し、3−ジ(n−ア
ミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6
部の代わりに、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン5部を用い、さらに紫外線
吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール(チバガイギー製、商
標:チヌビンP)1部を溶質に追加した。平均粒子径
1.5μmの、黒色発色性染料前駆体含有樹脂複合微粒
子Eの分散液を得た。
【0056】実施例6 実施例1と同様の操作を行った。但し、3−ジ(n−ア
ミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランの
代わりに、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−
7−アニリノフルオランを用いた以外は平均粒子径1.
7μmの、黒色発色性染料前駆体含有樹脂複合微粒子F
の分散液を得た。
【0057】比較例1 黒色発色性染料として3−ジ(n−アミル)アミノ−6
−メチル−7−アニリノフルオラン6部を室温で塩化メ
チレン24部に溶解し、次に、この溶液にジシクロヘキ
シルメタン−4,4′−ジイソシアネート24部を添加
して均一に溶解し、この溶液を、8%ポリビニルアルコ
ール(日本合成化学工業製、商標:ゴーセノールGM−
14L)水溶液250部中に徐々に添加し、ホモジナイ
ザーを用い、回転数5000rpm の攪拌によって乳化分
散した後、この乳化分散液に水100部を加えて均一化
した。この乳化分散液を90℃に昇温し、この温度にお
いて10時間の硬化反応を行わせた。平均粒子径1.5
μmの、黒色発色性染料前駆体含有樹脂複合微粒子Gの
分散液を得た。
【0058】複合微粒子のテスト 上記7種の複合微粒子A〜Gは、溶剤を含まない複合微
粒子であり、その形状はほぼ球体であった。
【0059】複合微粒子の断面を観察するために、上記
複合微粒子A分散液と複合微粒子G分散液の各々をアル
ミ箔上に塗布し、乾燥させた後、これを液体窒素で凍結
し破断した。これらの破断面を断面観察に供した。この
観察のために、日立製作所製走査型電子顕微鏡S−80
0を使用した。観察時の加速電圧は20kV、拡大倍率は
500〜1万倍であった。
【0060】得られた電子顕微鏡写真を図1(複合微粒
子A、凍結破断)、図2(複合微粒子G、凍結破断)に
示す。
【0061】図1〜2から明らかなように、複合微粒子
Aは、微粒子中に小さな中空部(空洞)を有するもので
あるが、この中空部の直径は微粒子直径の三分の一以下
であった。複合微粒子Gの構造は、例えば、「近藤保
著、日本規格協会編、マイクロカプセルその機能と応
用」の167〜168頁掲載の写真に示されているいわ
ゆるマイクロカプセルと称される中空構造を有するもの
に類似するものであって、その中空部の直径は、微粒子
の直径の三分の一をこえるものである。
【0062】感熱記録材料の製造例 実施例7 (1)顕色性化合物、増感剤分散液の調製 顕色性化合物:4,4′−イソプロピリデンジフェノー
ル 増感剤:シュウ酸ジ−p−メチルベンジル 上記顕色性化合物、および増感剤を別個に、下記ポリビ
ニルアルコール水溶液と下記の配合比率で混合し、各混
合物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンド
グラインダー)を用いて、平均粒子径が1.2μmとな
るように別個に粉砕、分散した。 成 分 量(重量部) 顕色性化合物または増感剤 40 ポリビニルアルコール10%液 40 (重合度500、鹸化度90%) 水 20
【0063】(2)顔料分散液の調製 シリカ(ミズカシルP527、吸油量190ml/100
g、水沢化学工業(株)製)を、ポリアクリル酸ソーダ
水溶液と下記の配合比率で混合し、この混合物をカウレ
ス分散機で分散した。 成 分 量(重量部) シリカ 30 ポリアクリル酸ソーダ0.7%溶液 70
【0064】別に接着剤液として固形分濃度10%のポ
リビニルアルコール(NM11Q、日本合成化学工業
(株)製)水溶液、および滑剤分散液として固形分濃度
21%のステアリン酸亜鉛水性分散液(Z−7、中京油
脂(株)製)を用意した。
【0065】(3)下塗り層の形成 上記の顔料分散液と接着剤液とを固形分配合比率が8
5:15となるように配合し、この塗工液をメイヤーバ
ーを用いて坪量60g/m2 の上質紙(中性紙)上に乾
燥塗布量が5.0g/m2 になるように塗工し、乾燥し
て下塗り層を形成した。
【0066】(4)感熱発色層の形成 上記の複合微粒子Aの分散液、顕色性化合物分散液、増
感剤分散液、顔料分散液、接着剤液、滑剤分散液を、固
形分配合比率が30:25:15:15:3:5となる
ように配合し、感熱発色層塗工液を調製した。この塗工
液をメイヤーバーを用いて先に形成した下塗り層の上
に、乾燥塗布量が5.0g/m2 になるように塗工し乾
燥して、感熱発色層を形成し、感熱記録材料(カレンダ
ー処理前)を作成した。
【0067】実施例8 実施例7と同様にしてカレンダー処理前の感熱記録材料
を作成した。但し、複合微粒子Aの分散液の代わりに、
複合微粒子Bの分散液を用いた。
【0068】実施例9 実施例7と同様にしてカレンダー処理前の感熱記録材料
を作成した。但し、複合微粒子Aの分散液の代わりに、
複合微粒子Cの分散液を用いた。
【0069】実施例10 実施例7と同様にしてカレンダー処理前の感熱記録材料
を作成した。但し、複合微粒子Aの分散液の代わりに、
複合微粒子Dの分散液を用いた。
【0070】実施例11 実施例7と同様にしてカレンダー処理前の感熱記録材料
を作成した。但し、複合微粒子Aの分散液の代わりに、
複合微粒子Eの分散液を用いた。
【0071】実施例12 実施例7と同様にしてカレンダー処理前の感熱記録材料
を作成した。但し、複合微粒子Aの分散液の代わりに、
複合微粒子Fの分散液を用いた。
【0072】比較例2 実施例7と同様にしてカレンダー処理前の感熱記録材料
を作成した。但し、複合微粒子Aのの分散液の代わり
に、複合微粒子Gの分散液を用いた。
【0073】感熱記録材料のテスト 実施例7〜12および比較例2の各々の感熱記録材料の
各々について、スーパーカレンダーにより、感熱記録面
のベック平滑度(JIS−P8119)が100〜15
0秒となるように平滑化処理し、カレンダー処理前およ
び後の感熱記録材料の白色度(ハンター白色度、JIS
P8123)を測定した。カレンダー処理後の白色度
が75以上であれば見栄えのよい十分な白さであると評
価できる。
【0074】上記の操作により得られた感熱記録材料の
各々について下記感熱記録試験およびその性能試験を行
なった。感熱記録は、感熱印字試験装置TH−PMD
(大倉電機製)を用いて、1ライン記録時間:5msec、
副走査線密度:8ライン/mm、ドット当たり印加エネル
ギー:1.0mJの条件下に256ラインのベタ印字を行
った。次にその発色部の濃度をマクベス濃度計(マクベ
ス社製、型番:RD−914)で測定し、保存性試験前
印字濃度とした。この印字濃度が1.1以上であれば、
実用上十分であり、それが1.3以上あればすぐれてい
ると評価される。
【0075】また、生保存性、印字保存性を評価するた
めに、得られた感熱記録材料を50℃、90%RHの環境
下に120時間放置した後に、その発色部の濃度、およ
び白色度(ハンター白色度、JIS P8123)を測
定し、それぞれ保存性試験後印字濃度、および保存性試
験後白色度とした。保存性試験後の発色部の濃度が0.
80以上であれば実用上十分であるが、0.90以上で
あれば優れていると評価され、さらに1.00以上あれ
ば特に優れていると評価される。保存性試験後白色度は
62以上であれば実用上十分であるが、65以上であれ
ば優れていると評価され、70以上あれば特に優れてい
ると評価される。
【0076】上記試験結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
によって、実質的に溶媒を含まずかつ非加熱時に外部と
の隔離性の高い染料前駆体含有樹脂複合微粒子を安定に
製造することが可能になり、また、耐圧性、耐摩擦性に
優れ、さらに生保存性及び印字後の画像安定性に優れた
感熱記録材料を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の複合微粒子Aの破断面の電子
顕微鏡写真。
【図2】図2は、比較例として作成した中空複合微粒子
Gの破断面の電子顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 聡 東京都江東区東雲1丁目10番6号 新王 子製紙株式会社 東雲研究センター内 (56)参考文献 特開 平9−142025(JP,A) 特開 平9−262457(JP,A) 特開 平4−101885(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/28 - 5/34 B01J 13/02 C09B 67/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多価イソシアネート化合物含有重合成分
    のみからなる溶媒中に染料前駆体を含有する溶質を溶解
    し、得られた溶液を親水性保護コロイド含有水溶液中に
    乳化分散し、この乳化分散液を、前記重合成分の高分子
    化反応に供することによって得られ、ポリウレア又はポ
    リウレタン−ポリウレア樹脂からなる母材中に、前記染
    料前駆体が含有されていることを特徴とする複合微粒
    子。
  2. 【請求項2】 前記溶質が染料前駆体と、40℃〜15
    0℃の融点および200℃以上の沸点を有する少なくと
    も1種の有機化合物とを含有する、請求項1に記載の複
    合微粒子。
  3. 【請求項3】 前記溶媒が、多価イソシアネート化合物
    のみからなり、前記溶質が染料前駆体のみからなる、請
    求項1に記載の複合微粒子。
  4. 【請求項4】 前記溶媒が多価イソシアネート化合物の
    みからなり、前記溶質が、染料前駆体および前記40〜
    150℃の融点と200℃以上の沸点を有する有機化合
    物のみからなる、請求項2に記載の複合微粒子。
  5. 【請求項5】 前記重合成分が、ヘキサメチレンジイソ
    シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメ
    チロールプロパン付加物、ヘキサメチレンジイソシアネ
    ートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネート
    のイソシアヌレート体、ジシクロヘキシルメタン−4,
    4′−ジイソシアネート、5−イソシアナト−1−(イ
    ソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘ
    キサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、およ
    び1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
    から選ばれる少なくとも1種の多価イソシアネート化合
    物を含む請求項1,3又は4に記載の複合微粒子。
  6. 【請求項6】 前記重合成分が、ジシクロヘキシルメタ
    ン−4,4′−ジイソシアネートである、請求項1,
    3,4又は5に記載の複合微粒子。
  7. 【請求項7】 前記溶質の溶解が、60℃〜200℃の
    温度において行われる請求項1又は2に記載の複合微粒
    子。
  8. 【請求項8】 支持体と、その上に形成され、かつ染料
    前駆体、およびこの染料前駆体と加熱下に反応してこれ
    を発色させる顕色性化合物を含有している感熱発色層と
    を有し、前記染料前駆体が、請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の複合微粒子に含有されていることを特徴とす
    る感熱記録材料。
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