JP4424777B2 - フィルムコート剤および積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムコート剤およびこのフィルムコート剤の被膜が形成された積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムは、強度、透明性、成形性に優れていることから、包装材料として幅広い用途に使用されている。しかしながら、これらの熱可塑性樹脂フィルムは酸素等のガス透過性が大きいため、一般食品、レトルト処理用食品等の包装に使用した場合、長時間保管するうちに、フィルムを透過した酸素等のガスによる内容物の変質が生じる。
【0003】
そこで、熱可塑性樹脂フィルムの表面にポリ塩化ビニリデン(PVDC)のエマルジョン等をコーテイングしてガスバリアー性の高いPVDC層を形成せしめ積層フィルムが食品包装等に広く使用されてきた。しかしながら、PVDCは焼却時に塩素ガス等の有毒物質を発生するため、近年、環境への関心が高まるとともに、他材料への移行が強く望まれている。
【0004】
一方、表面に無機金属の蒸着処理を施した熱可塑性樹脂フィルムは、ガスバリアー性が高く、このフィルムは焼却時の有毒物質の発生等の問題はない。特にシリカ蒸着処理を施した熱可塑性樹脂フィルムは比較的透明性も高く、PVDCをコートした熱可塑性樹脂フィルムと同様の外観を持っている。しかしながら、シリカ蒸着処理を施した熱可塑性樹脂のシリカ層は亀裂が入りやすく、使用するうちにガスバリアー性が低下するという問題があった。
【0005】
この問題を解決するため、無機蒸着フィルムの表面にポリビニルアルコール(PVA)の水溶液をコーティングする方法等が用いられる。PVAは焼却時の有毒ガス発生の問題もなく、ガスバリアー性も高く、フィルムにPVA層を設けることにより、ガスバリアー性を向上させることが可能であり、無機物の蒸着層の亀裂が入った場合にも、亀裂部からのガスバリアー性の低下を抑えることができる。しかしながら、PVAのガスバリアー性は温度依存性が高く、高湿度下でのガスバリアー性が低いこと、また、PVAは水溶性樹脂であるため、水と直接接触した場合にPVA樹脂の溶出が起こるという問題があった。
【0006】
この問題を解決する方法として、本発明者らは熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面にジアセトンアクリルアミド−脂肪酸ビニルエステル共重合体のケン化物にヒドラジン化合物を反応させることにより得られる架橋被膜を有する積層フィルム(特願平10−360570号)を提案しており、この積層フィルムの架橋被膜は水中でも溶出せず、高湿度下でのガスバリアー性の低下も少なかった。
【0007】
しかしながら、この積層フィルムをレトルト食品の包装材料等に使用した場合、基材である熱可塑性樹脂と架橋被膜の密着性が悪く、熱水中に浸漬した場合、架橋被膜が基材から剥離しやすいという問題があり、これを解決する方法が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の欠点を改善し、耐水性およびガスバリアー性に優れ、熱水中でも熱可塑性樹脂からの溶出または剥離が起こりにくい塗工被膜を形成することのできるフィルムコート剤およびこのコート剤の被膜を有する食品包装材料等に有用な積層フィルムを提供することを目的とするものである。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するものであって、(A)ジアセトンアクリルアミド単位を0.1〜15モル%含有するジアセトンアクリルアミド−脂肪酸ビニルエステル共重合体のケン化物と(B)ヒドラジン系化合物と(C)−Si−X3(Xはアルコキシ基、水酸基またはクロロ基を示す。)で示される構造を有する有機けい素化合物とを配合してなることを特徴とするフィルムコート剤および熱可塑性樹脂フィルムのシリカ蒸着面上に前記フィルムコート剤の架橋被膜を形成してなることを特徴とする積層フィルムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の(A)成分として使用されるジアセトンアクリルアミド−脂肪酸ビニルエステル共重合体のケン化物(以下、DAVESと略記する)は、ジアセトンアクリルアミドと脂肪酸ビニルエステルとを共重合して得られる重合体をケン化するなどにより製造することができるものであって、このジアセトンアクリルアミド単位の含有量は0.05〜15モル%の範囲である。ジアセトンアクリルアミド単位の含有量が0.05モル%未満であると、耐水化の目的を達成することができない。また、前記含有量が15モル%を超えても、耐水化効果が飽和状態になるだけでなく、水溶性が低下し、作業性に問題が生じる。
【0011】
上記の共重合に使用する脂肪酸ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられ、中でも酢酸ビニルが工業的に望ましい。
【0012】
上記の共重合体は、従来より公知のバルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの各種の重合法により製造することができるが、中でもメタノールを溶剤として用いる溶液重合が工業的に好ましい。
【0013】
また、得られた共重合体のケン化方法は、従来より公知のアルカリケン化および酸ケン化法を適用することができ、中でも重合体のメタノール溶液またはメタノールと水、酢酸メチル、ベンゼン等の混合溶液に水酸化アルカリを添加して加アルコール分解する方法が工業的に好ましい。
【0014】
上記のDAVESのケン化物の重合度、ケン化度は特に制限されないが、20℃における4%水溶液粘度が3mPa・s以上、ケン化度85モル%以上が好ましい。
【0015】
上記のDAVESには、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸およびそのエステル・塩・無水物・アミド・ニトリル類、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等の不飽和二塩基酸モノアルキルエステル類、炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類を共重合することができ、中でも、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類を共重合したDAVESを使用した積層フィルムは高湿度下でのガスバリアー性が高く、好適である。この他、得られた共重合体をアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、アセトアセチル化などによって変性したものでもよい。
【0016】
本発明において架橋剤として使用されるヒドラジン系化合物(B)としては、例えば、ヒドラジン、ヒドラジンヒドラート、ヒドラジンの1水和物もしくは塩、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ヘキサデカン二酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4′−ビスベンゼンジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N′−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、イタコン酸ジヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,3−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、およびN−アミノポリアクリルアミドなどが挙げられるが、これに限らない。
【0017】
また、本発明において使用されるヒドラジン系化合物(B)は、ヒドラジン化合物の誘導体も包含されるものであって、前記のヒドラジン化合物にケトン基を有するアセトン、メチルエチルケトンを反応させたアジピン酸ジヒドラジドジアセトンヒドラゾン、アジピン酸ジヒドラジドジメチルエチルケトンヒドラゾンなどのヒドラジン化合物の誘導体などが挙げられるが、これに限らない。
【0018】
また、上記のヒドラジン系化合物の添加量は、共重合体のケン化物100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量部であり、さらに好ましくは1〜12重量部である。
【0019】
ヒドラジン系化合物の添加量が0.1重量部未満の場合には耐水化効果が低く、また20重量部を超える場合には耐水化効果が飽和になるばかりでなく、未反応のヒドラジン系化合物が水中に溶出するため好ましくない。
【0020】
本発明の(C)成分として使用される有機けい素化合物は−Si−X3(Xはアルコキシ基、水酸基またはクロロ基を示す。)で示される構造を有するシランカップリング剤であり、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリセロソルブエステルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用することができる。
【0021】
上記の有機けい素化合物の添加量は、目的に応じて選択することができるが、通常、DAVES100重量部に対して0.5〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。
【0022】
本発明のフィルムコート剤は、混合水溶液として使用されるが、その作製方法としては、通常、DAVES(A)を純水に分散した後、90℃以上に昇温し攪拌溶解し、DAVESの水溶液を作製した後、有機けい素化合物(C)を添加し、次いでヒドラジン系化合物を添加する方法が好ましく、この際、有機けい素化合物およびヒドラジン系化合物は液体状あるいは固体状のまま添加しても、純水等で希釈したものを添加してもその効果は変わらない。
本発明のフィルムコート剤の混合水溶液を作製する際、これには必要に応じてPVAやデンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ゼラチン等の他の天然高分子、合成高分子、クレー、カオリン、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等の無機充填剤、グリセリン、ソルビトール等の可塑剤、界面活性剤、消泡剤、帯電防止剤、キレート剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0023】
また、DAVESの水溶液に架橋剤を添加した場合の水溶液中での架橋反応を防止するため、有機アミン化合物またはアンモニア等を添加して、可使時間を長くすることもできる。ここで使用される有機アミン化合物としては、各種のものが使用でき、例えば、モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシエチル)−アミノメタン等の第一級アルカノールアミン、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ブチルメタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の第二級アルカノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アルカノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第一級アルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アルキルアミン、トリメチルアミン等の第三級アルキルアミン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、メチオニン、フェニルアラニンなどのアミノ酸、アミノ安息香酸、アミノカプロン酸、アミノ酪酸、アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸、アミノエチル化アクリルポリマーおよびアンモニアなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0024】
本発明において基材フィルムの原料として使用される熱可塑性樹脂としては、特に制限がなく、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の延伸、もしくは未延伸のフィルムが挙げられ、中でもシリカ蒸着処理した熱可塑性樹脂フィルムは透明性が高く、そのシリカ蒸着面上に本発明の樹脂組成物からなる架橋被膜を形成した場合、フィルムと架橋被膜との密着性が高く、好適である。
【0025】
また、本発明の積層フィルムを作製する方法としては、上述の混合水溶液を基材であるシリカ蒸着処理を施した熱可塑性樹脂フィルムのシリカ蒸着面上にコートし、乾燥過程で架橋被膜を形成してもよいが、DAVESと有機けい素化合物の混合水溶液を基材フィルムのシリカ蒸着面上にコーティングし、乾燥被膜を形成した後、ヒドラジン系化合物の水溶液等を塗布するなどの方法により、架橋被膜とする方法を用いることもできる。
【0026】
また、フィルムへの混合水溶液のコーティング方法は、特に限定されるものではなく、グラビアロールコーティング法、リバースロールコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ドクターブレードコーティング法、ディップコーティング法、エアーナイフコーティング法などの通常使用されている方法を用いることができる。
【0027】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、得られたフィルムコート剤を使用した積層フィルムは、次の基準に従って評価した。
▲1▼.耐水性(基材と塗膜との密着性試験)
積層フィルムを95℃の熱水に30分間浸漬した後、取り出して塗膜表面を観察した。さらに、その積層フィルムを20℃、65%RHの条件で24時間放置し、塗膜と基材フィルムとの剥離強度を東洋精機社製ストログラフで測定し、次のように評価した。
○:浸漬直後の塗膜に粘つきがなく、塗膜と基材フィルムとの剥離強度が300kg/cm2以上である。
△:浸漬直後の塗膜に粘つきはないが、塗膜と基材フィルムとの剥離強度が300kg/cm2未満である。
×:浸漬直後の塗膜に粘つきがあるか、溶出している。
【0028】
▲2▼.酸素ガスバリアー性
積層フィルムを手で1回折り曲げ、その部分の酸素ガスバリアー性として、酸素バリアー性測定器(モコン社製)により、20℃相対湿度85%(高湿度下)の条件下で酸素透過量〔cc/m2・day・atm〕を測定した。
○:20未満
△:20以上、80未満
×:80以上
【0029】
ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物の合成
合成例1
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素吹き込み口、開始剤導入口及び変性モノマー導入口を備えたガラス製フラスコ中に酢酸ビニル672重量部、ジアセトンアクリルアミド10重量部、及びメタノール178重量部を仕込み、系内の窒素置換を行った後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2′−アゾビスイソブチリロニトリル0.3重量部をメタノール50重量部に溶解した溶液を添加し、重合を開始した。重合開始後、5時間かけて、ジアセトンアクリルアミド55重量部をメタノール35重量部に溶解した溶液を添加ポンプを用いて一定速度で滴下した。6時間後に重合収率が76%に達したところで、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼンを添加し、重合を停止した。
【0030】
得られた反応混合物にメタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体の50%メタノール溶液を得た。この混合物500重量部にメタノール50重量部と水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液10重量部とを加えてよく混合し、40℃でケン化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し、メタノールでよく洗浄した後に乾燥して、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を得た。1H−NMR分析の結果、得られた樹脂中のジアセトンアクリルアミド単位の含有率は5.0モル%であり、JIS−K6726に準じて重合度、ケン化度を測定したところ、それぞれ1600、98.4モル%であった。
【0031】
合成例2〜4
表1に示すように、モノマーの配合比、添加剤量、重合収率等の重合条件、ケン化条件を変更した以外は、合成例1と同様にして合成例2〜4のジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を合成した。得られた樹脂の重合度、ケン化度は表1に示すとおりであった。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例1
合成例1で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を純水中に攪拌しながら徐々に投入し、均一に分散させた後、90℃に加熱して完全溶解させ、15%の水溶液を作製した。この水溶液100重量部にγ−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0重量部とアジピン酸ジヒドラジド0.75重量部を添加し、よく攪拌した。
この混合溶液を厚み12μmのシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、バーコーターを用いて塗布し、150℃、1分間乾燥して2μm厚の塗膜を有する積層フィルムを作製した。
得られた積層フィルムの耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は、表2に示すように、優れたものであった。
【0034】
実施例2
γ−アミノプロピルトリメトキシシランに代えて、γ−グリシドキシトリメトキシシラン2.0重量部を添加した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は、表2に示すように、優れたものであった。
【0035】
実施例3
γ−アミノプロピルトリメトキシシランに代えて、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン0.5重量部を添加した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は、表2に示すように、優れたものであった。
【0036】
実施例4
架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジドに代えて、カルボヒドラジド0.5重量部を添加した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は、表2に示すように、優れたものであった。
【0037】
実施例5
架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジドに代えて、N−アミノポリアクリルアミド1.0重量部を添加した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は、表2に示すように、優れたものであった。
【0038】
実施例6
合成例1で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物に代えて、合成例2で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は、表2に示すように、優れたものであった。
【0039】
比較例1
フィルム塗工剤を塗工しない厚み12μmのシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムについて実施例1と同様にしてガスバリアー性を評価したところ、その結果は表2に示すように、劣るものであった。
【0040】
比較例2
合成例1で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物に代えて、合成例3で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用した以外は実施例1と同様にして純水中に攪拌しながら徐々に投入し、均一に分散させた後90℃に加熱したが溶解しなかったため、積層フィルムを作製することができなかった。
【0041】
比較例3
合成例1で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物に代えて、合成例4で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物を使用した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は表2に示すように、いずれも劣るものであった。
【0042】
比較例4
合成例1で得られたジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物に代えて、ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度98.5%)を使用した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は表2に示すように、いずれも劣るものであった。
【0043】
比較例5
アジピン酸ジヒドラジドを添加しない以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は表2に示すように、いずれも劣るものであった。
【0044】
比較例6
γ−アミノプロピルトリメトキシシランを添加しない以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、耐水性およびガスバリアー性を評価した。その結果は表2に示すように、耐水性の点で劣るものであった。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、耐水性およびガスバリアー性に優れ、熱水中でも熱可塑性樹脂からの溶出または剥離が起こりにくい塗工被膜を形成することのできるフィルムコート剤およびこのコート剤の被膜を有する食品包装材料等に有用な積層フィルムを提供することができる。
Claims (1)
- (A)ジアセトンアクリルアミド単位を0.1〜15モル%含有するジアセトンアクリルアミド−脂肪酸ビニルエステルの共重合体のケン化物を純水に分散した後、90℃以上に昇温し、水溶液を作製する工程、該水溶液に、(C)−Si−X3 (Xはアルコキシ基、水酸基またはクロロ基を示す。)で示される構造を有する有機けい素化合物を前記(A)ケン化物100重量部に対して1〜20重量部添加し、次いで(B)ヒドラジン系化合物を添加してなるフィルムコート剤を得る工程、シリカ蒸着処理を施した熱可塑性樹脂フィルムのシリカ蒸着面上に該フィルムコート剤をコートし、架橋被膜を形成し、積層フィルムを得る工程を含むことを特徴とするレトルト食品包装材料用積層フィルムの製造方法。
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