JP3897099B2 - 耐水性樹脂組成物および紙用コート剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高度な耐水性を有する樹脂組成物およびそれを主成分とする紙用コート剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)系樹脂は水溶性であるため、非溶剤系で使用することができ、物性面においても造膜性や皮膜強度に優れ、また、セルロースとのなじみが良いことから、紙用コート剤等に幅広く使用されてきた。しかしながら、その水溶液から得られる皮膜は耐水性が乏しく、これを改良するために種々の方法が検討されている。例えば、PVAの水溶液にグリオキザール等のジアルデヒド類、金属塩などの架橋剤を添加する方法や尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等を添加する方法などが知られているが、いずれも高温処理などの特別な処理が必要であったり、架橋剤等を添加した混合溶液での粘度安定性が悪いなどの問題があるとともに、架橋剤自体の毒性が高かったり、分解によってホルムアルデヒドなどの有害物質を発生するなどの問題もある。
【0003】
また、アセトアセチル基を有する変性PVAを使用し、ヒドラジン化合物等を反応させる耐水化方法(特公平1−60192号公報)が提案されており、この方法で得られた樹脂組成物は高温処理などの特別な処理を行わなくても、比較的高い耐水性を示すが、架橋剤を添加した混合溶液の粘度安定性が極めて悪いため、作業性の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題点を解決する方法として、本発明者らはジアセトン基を有するPVAにヒドラジン類を反応させる耐水化方法(特開平8−151412号公報)およびそれにアミン類を共存させる粘度安定性の優れた樹脂組成物(特開平10−87936号公報)を提案している。これらの耐水化方法は、加熱処理や強酸の添加などの特別な処理を必要とせず、有害物質の発生などもなく、混合溶液での可使時間が比較的長く、優れた耐水性を示す。
【0005】
しかしながら、一部の用途では、技術の進歩とともに、さらに高度な耐水性が要求され、熱処理を行わなくても、極めて高い耐水性を有するPVA系樹脂組成物が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来技術の欠点を解決し、常温で乾燥しても、極めて高い耐水性を発揮する樹脂組成物を提供することを目的とするもので、ジアセトンアクリルアミド−脂肪酸ビニルエステルの共重合体のケン化物(A)100質量部、多官能ヒドラジド化合物(B)1〜15質量部、およびマレイン酸共重合体(C)0.05〜10質量部からなることを特徴とする耐水性樹脂組成物およびそれを主成分とする紙用コート剤である。前記マレイン酸共重合体(C)は、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体であることが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の(A)成分として使用されるジアセトンアクリルアミド−脂肪酸ビニルエステル共重合体のケン化物(以下、DAVESと略記する)は、ジアセトンアクリルアミドと脂肪酸ビニルエステルとを共重合して得た重合体をケン化するなどの公知の方法により製造することができる。
【0008】
上記の共重合に使用する脂肪酸ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルが挙げられ、中でも酢酸ビニルが工業的に好ましい。
【0009】
上記のジアセトンアクリルアミドと脂肪酸ビニルエステルとの共重合方法は、従来から公知の塊状重合、溶液重合、縣濁重合、乳化重合などの各種の方法を採用することができ、中でもメタノールを溶剤として用いる溶液重合が工業的に好ましい。
【0010】
ジアセトンアクリルアミドと脂肪酸ビニルエステルとを共重合して得られる重合体のケン化方法は、従来から公知のアルカリケン化および酸ケン化を適用することができ、中でも重合体のメタノール溶液またはメタノールと水、酢酸メチル、ベンゼン等の混合溶液に水酸化アルカリを添加して加アルコール分解する方法が工業的に好ましい。
【0011】
上記のDAVESは、本発明の効果を阻害しない範囲で、脂肪酸ビニルエステルまたはジアセトンアクリルアミドと共重合可能な、例えば、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸およびそのエステル・塩・無水物・アミド・ニトリル類、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等の不飽和二塩基酸モノアルキルエステル類、炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン類などとともに共重合したものであっても良い。この他、得られたDAVESを本発明の効果を阻害しない範囲で、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、アセトアセチル化、カチオン化などの反応によって後変性したものでも良い。
【0012】
上記のDAVES中のジアセトンアクリルアミド単位の含有量は、特に制限はないが、1〜15モル%の範囲が好ましく、より好ましくは2〜10モル%である。ジアセトンアクリルアミド単位の含有量が少ない場合には、耐水性が低下するおそれがあり、またジアセトンアクリルアミドが多い場合には、造膜性や耐溶剤性などのPVAの優れた特性が低下するおそれがある。
【0013】
また、上記のDAVESの重合度、ケン化度は特に制限されないが、20℃における4質量%水溶液粘度は3mPa.s以上、ケン化度は85モル%以上がそれぞれ好ましい。
【0014】
本発明の(B)成分として使用される多官能ヒドラジド化合物とは、分子内にヒドラジド基を2個以上有する化合物のことで、例えば、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4′−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N′−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、イタコン酸ジヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、ブタントリカルボヒドラジド、1,2,3−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、およびN−アミノポリアクリルアミドなどが挙げられるほか、これらの多官能ヒドラジド化合物にアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を反応させた多官能ヒドラジド誘導体なども含まれる。
【0015】
上記の多官能ヒドラジド化合物(B)の添加量は、DAVES100質量部に対して1〜15質量部であり、2〜10質量部が好ましく、より好ましくは3〜8質量部である。多官能ヒドラジド化合物の添加量が1質量部より少ないと、十分に架橋が起こらないため、耐水性が低く、また15質量部を超えると、反応に寄与しない多官能ヒドラジド化合物が溶出するため、耐水性が低下する。
【0016】
本発明の(C)成分として使用するマレイン酸共重合体とは、マレイン酸、無水マレイン酸またはマレイン酸モノアルキルエステル等のマレイン酸単量体とエチレン性不飽和単量体との交互共重合体のことであり、具体的には、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体などが例示され、中でも耐水性の点でメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
【0017】
マレイン酸共重合体におけるマレイン酸単位の含有量は、特に制限はないが、10モル%以上が好ましく、より好ましくは30モル%以上である。また、マレイン酸共重合体の分子量にも特に制限はないが、PVA系樹脂の塗工特性を阻害しない低重合度のものが好ましい。
【0018】
マレイン酸共重合体におけるマレイン酸単位としては、無水物、遊離酸のいずれの形態のものも使用することができ、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールを反応させたマレイン酸モノアルキルエステルであっても良い。また、マレイン酸共重合体にアンモニア、有機アミン、アルカリ金属を加え、中和させたものであっても良く、中和度にも特に制限はない。
【0019】
マレイン酸共重合体(C)の添加量は、DAVES100質量部に対して、0.05〜10質量部であり、0.1〜8質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量部である。マレイン酸共重合体の添加量が0.05質量部より少ないと、耐水性の改良効果が小さく、また10質量部を超えて添加しても、耐水性の改良効果が変わらないだけでなく、PVA系樹脂の優れた皮膜特性を損なう恐れがある。
【0020】
本発明の耐水性樹脂組成物は、通常、混合水溶液または混合水分散液として調製されるが、その調製方法としては、まずDAVESの水溶液を作製し、そこにマレイン酸共重合体、多官能ヒドラジド化合物を添加する方法、DAVESおよびマレイン酸共重合体を溶解した水溶液に多官能ヒドラジド化合物を添加する方法などが挙げられる。その際、マレイン酸共重合体および多官能ヒドラジド化合物は固形物として添加することもできるが、水溶液または水分散液として添加するほうが好ましい。
【0021】
また、上記の混合液は、水中でもDAVESと多官能ヒドラジド化合物との反応が起こるため、粘度の上昇が起こり、最終的にゲル化し、用途によっては可使時間が短いという問題があるが、有機アミン化合物またはアンモニアを添加することによって、短時間での粘度上昇やゲル化を防止することができる。その際に使用される有機アミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチルー1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシエチル)−アミノメタン等の第一級アルカノールアミン、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ブチルメタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の第二級アルカノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アルカノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第一級アルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アルキルアミン、トリメチルアミン等の第三級アルキルアミン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンなどのアミノ酸、アミノ安息香酸、アミノカプロン酸、アミノ酪酸、アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸、アミノエチル化アクリルポリマーおよびアンモニアなどが挙げられ、DAVES100質量部に対して、0.1〜10質量部添加することにより、粘度安定性を改良することができる。
【0022】
本発明の耐水性樹脂組成物の混合水溶液または水分散液を調製する際に、DAVESの水溶液に必要に応じて、他の水溶性樹脂、水分散性樹脂、あるいは無機充填剤、可塑剤、pH調整剤等を併用することもできる。
【0023】
前記の併用しうる他の水溶性あるいは水分散性樹脂としては、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、アラビアゴム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、PVA、変性PVA等の水溶性樹脂、あるいはSBRラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリルエステル系エマルジョン等の水分散性樹脂が挙げられる。
【0024】
また、前記の併用しうる無機充填剤としては、シリカ、クレー、タルク、ケイソウ土、ゼオライト、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化亜鉛、サチンホワイト等が挙げられ、可塑剤としては、グリセリン、ソルビトール、ジブチルフタレート等が挙げられ、またpH調整剤としては、塩酸、硫酸などの各種酸性物質、水酸化ナトリウム、アンモニア、アミン系化合物などの各種塩基性物質等が挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0025】
本発明の耐水性樹脂組成物は、紙用コート剤、各種バインダー、接着剤、乳化分散剤、繊維糊剤、表面処理剤、フィルム等の高度な耐水性を要求される用途に有用である。中でも、紙用コート剤として有用である。
【0026】
本発明の耐水性樹脂組成物を紙用コート剤として使用する場合には、本発明の組成物の混合水溶液等(等をいれました。混合液もあるからです)をエアーナイフコーター、ロールブレードコーター、ドクターブレードコーターなどの通常使用されている方法を用いて、一般上質紙のほか、撥水紙、感熱紙、感圧紙、転写紙、防錆紙、剥離紙、着色紙、艶紙、アート紙、コート紙、板紙、ダンボール紙等に塗工した後、乾燥して使用される。塗工量は一般には乾燥質量が0.1〜50g/m2程度であるが、特にこれに制限されるものではなく、使用目的に応じて決められる。
【0027】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。
なお、得られた組成物についての耐水性の評価は次の3種の耐水性試験によって行った。
【0028】
▲1▼.フィルムの耐水性試験(熱水不溶分率の測定)
組成物の混合水溶液をポリエチレンテレフタレート製のシート上に流延して20℃,65%RH中で4日間乾燥し、厚み100μmのキャストフィルムを作製し、この熱水不溶分率を以下のようにして測定した。
試料(乾燥質量W1)を95℃の熱水に1時間浸漬して可溶成分を溶解させ、不溶残留分を105℃で乾燥し、その質量W2を測定して下記の式(1)により算出した。
熱水不溶分率(%)=(W2/W1)×100 (1)
【0029】
▲2▼.塗工紙の耐水性試験(ウエットラブ試験)
組成物の5質量%水溶液を50g/m2の上質紙に乾燥後の塗工量が1g/m2になるようにワイヤーバーを用いて塗工し、乾燥ドラムを使用して50℃で乾燥して塗工紙を得た。
上記塗工紙を20℃の水中に一昼夜浸漬した後、指でこすって塗工物が溶出する程度を下記の基準で評価した。
○:粘つきがない。
×:粘つきが多い。または、塗工物が溶出している。
【0030】
▲3▼.塗工紙の耐水性試験(耐水ブロッキング性試験)
▲2▼で作製した塗工紙の塗工面に純水0.1gを垂らし、塗工面同士を重ね合わせ、50g/cm2の荷重をかけて60℃で24時間乾燥したあと、塗工面を剥がし、紙の剥がれ具合を目視で下記の基準に従って評価した。
○:紙の剥がれが見えない
×:紙の剥がれが見られる
【0031】
実施例1
ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物(重合度1700、鹸化度98.4モル%、ジアセトンアクリルアミド含有量5.2モル%)100質量部を900質量部の水に溶解した水溶液にメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体(アイエスピー・ジャパン製GANTREZ AN−119:無水マレイン酸含有量50モル%、10質量%における水溶液粘度40mPa.s)1.0質量部を10質量%水溶液として添加し、攪拌後、アジピン酸ジヒドラジド5.0質量部を10質量%水溶液として添加し、さらに、純水を加え、濃度5質量%の樹脂組成物の混合液を作製した。
得られた混合液から作製したキャストフィルムの熱水不溶分率は表2に示すように97.4%であり、さらに塗工紙のウェットラブ試験でも表面の粘つきは見られず、耐水ブロッキング性試験でも紙表面に剥がれは見られなかった。
【0032】
実施例2
実施例1で使用したメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体の10質量%水溶液に代えて、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体に水酸化ナトリウムを添加して得られるメチルビニルエーテル−マレイン酸ジナトリウム(中和度80%)の10質量%水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして混合液(表1参照)を調製し、フィルムの耐水性試験、塗工紙のウェットラブ試験と耐水ブロッキング性試験を行った。表2から明らかなように、いずれの耐水性試験でも良好な性能を示した。
【0033】
実施例3
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体に代えて、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩(クラレ製イソバン104:無水マレイン酸含有量50モル%、分子量70000)を使用した以外は実施例1と同様にして混合液(表1参照)を調製し、フィルムの耐水性試験、塗工紙のウェットラブ試験と耐水ブロッキング性試験を行った。表2から明らかなように、いずれの耐水性試験でも良好な性能を示した。
【0034】
実施例4〜6
使用するマレイン酸共重合体の種類および添加量、多官能ヒドラジド化合物の種類および添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして混合液を作製し、キャストフィルムおよび塗工紙の耐水性試験を行った。表2から明らかなように、いずれの耐水性試験でも良好な性能を示した。
【0035】
比較例1
ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体のケン化物に代えて、未変性のPVA(重合度1700、ケン化度98.5モル%)を使用した以外は実施例1と同様にして混合液(表1参照)を調製し、キャストフィルムおよび塗工紙の耐水性試験を行った。結果は表2から明らかなように、フィルムは完全に溶解し、塗工紙の耐水性試験でも実用レベルには達していなかった。
【0036】
比較例2
アジピン酸ジヒドラジドを添加しない以外は実施例1と同様にして混合液(表1参照)を調製し、キャストフィルムおよび塗工紙の耐水性試験を行った。結果は表2から明らかなように、フィルムは完全に溶解し、塗工紙の耐水性試験でも実用レベルには達していなかった。
【0037】
比較例3
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を添加しない以外は、実施例1と同様にして混合液(表1参照)を調製し、キャストフィルムおよび塗工紙の耐水性試験を行った。結果は表2から明らかなように、フィルムおよび塗工紙の耐水性は比較的良好であったが、実施例と比較すると、キャストフィルムの熱水不溶分率は低く、耐水ブロッキング性試験では目標レベルに達していなかった。
【0038】
比較例4
メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体を添加しない以外は、実施例4と同様にして混合液(表1参照)を調製し、キャストフィルムおよび塗工紙の耐水性試験を行った。結果は表2から明らかなように、フィルムおよび塗工紙の耐水性は比較的良好であったが、実施例と比較すると、キャストフィルムの熱水不溶分率は低く、耐水ブロッキング性試験では目標レベルに達していなかった。
【0039】
【表1】
(B),(C)の添加量は、(A)100質量部に対する質量部である。
多官能ヒドラジド化合物(B)
ADH:アジピン酸ジヒドラジド、
CH:カルボヒドラジド、
APA:N−アミノポリアクリルアミド
マレイン酸共重合体(C)
MVE−MA:メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体
IB−MA:イソブチレン−無水マレイン酸共重合体
E−MA:エチレン−無水マレイン酸共重合体
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、混合液の粘度安定性が良く、比較的低温で乾燥しても極めて優れた耐水性を発揮する耐水性樹脂組成物およびそれを用いた紙用コート剤を提供することができる。
Claims (2)
- ジアセトンアクリルアミド−脂肪酸ビニルエステル共重合体のケン化物(A)100質量部、多官能ヒドラジド化合物(B)1〜15質量部、およびメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体またはこれにアンモニア、有機アミンもしくはアルカリ金属を加えて中和させたもの(C)0.05〜10質量部からなることを特徴とする耐水性樹脂組成物。
- 請求項1記載の耐水性樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする紙用コート剤。
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JPH0711217A (ja) | エマルジョン組成物 |
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