JP4374211B2 - レーンマーカー位置検出方法及びレーンマーカー位置検出装置並びに車線逸脱警報装置 - Google Patents

レーンマーカー位置検出方法及びレーンマーカー位置検出装置並びに車線逸脱警報装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面に設置されたレーンマーカーの位置を検出するレーンマーカー位置検出方法及びレーンマーカー位置検出装置並びに車線逸脱警報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、運転者の居眠り等により発生する事故の予防・防止を図ることを目的として、走行中の車両が道路に設けられるレーンマーカー(車線、白線)から逸脱した場合に警報等を発して運転者に注意を促すシステムが開発されている。走行車両とレーンマーカーとの位置関係を把握する方法として、車両に設置されたカメラによって撮像された路面映像から、ハフ(Hough)変換法を用いて直線成分を抽出し、レーンマーカーの位置検出を行う方法が多く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−1424783号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハフ変換法を用いて直線成分の抽出を行うためには、三角関数による演算処理が不可欠であるため計算量が多くなってしまい、演算処理能力の高いシステムが必要とされ、また、リアルタイム処理を行うことが容易ではないという問題があった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、多量の計算処理を行うことなく路面に設けられたレーンマーカー位置の検出を行うことが可能なレーンマーカー位置検出方法及びレーンマーカー位置検出装置並びに車線逸脱警報装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載されたカメラにより路面を撮像し、前記カメラにより撮像された、輝度の分布で表された画像を俯瞰画像に変換し、変換された俯瞰画像に表される前記路面の路幅方向に直交する方向の座標の輝度を画像全体に対して直接積分することにより積分輝度を求めて該積分輝度を前記路幅方向の座標別に検出し、高い積分輝度を示した前記路幅方向の座標に対応する前記路面の位置を求めることにより、前記路面に設置されたレーンマーカー位置の検出を行うレーンマーカー位置検出方法であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、車両に搭載されたカメラにより路面を撮像し、前記カメラにより撮像された画像を俯瞰画像に変換し、変換された俯瞰画像に表される前記路面の路幅方向に直交する方向の座標の輝度を積分することにより積分輝度を求めて該積分輝度を前記路幅方向の座標別に検出し、高い積分輝度を示した前記路幅方向の座標及びその近傍の座標であって他の座標よりも相対的に高い積分輝度を示す一群の座標の座標幅を求め、前記座標幅と前記レーンマーカーの前記路幅方向の規定値とを対比して前記座標幅が前記レーンマーカーの既定値に対応する場合に、前記一群の座標に対応する前記路面の位置を求めて前記路面に設置されたレーンマーカー位置の検出を行うレーンマーカー位置検出方法であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のレーンマーカー位置検出方法において、最も高い積分輝度を示す前記路幅方向の座標及びその近傍の座標を除く他の座標において、高い積分輝度を示す前記路幅方向の座標を求めて、再度レーンマーカー位置の検出を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、走行車両より撮像された路面の画像を俯瞰画像に変換する俯瞰変換手段と、変換された前記俯瞰画像において、前記路面の路幅方向に直交する方向の座標の輝度を積分することにより積分輝度を求め、該積分輝度を前記路幅方向の座標別に検出することにより輝度プロファイルを作成する輝度プロファイル作成手段と、該輝度プロファイルより高い積分輝度を示した前記路幅方向の座標を求める高輝度座標検出手段と、該高輝度座標検出手段により求められた座標に対応する前記路面の位置を求める路面位置検出手段とを備え、前記路面位置検出手段により求められた前記路面の位置によって前記レーンマーカー位置の検出を行うレーンマーカー位置検出装置であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、走行車両より撮像された路面の画像を俯瞰画像に変換する俯瞰変換手段と、変換された前記俯瞰画像において、前記路面の路幅方向に直交する方向の座標の輝度を積分することにより積分輝度を求め、該積分輝度を前記路幅方向の座標別に検出することによって輝度プロファイルを作成する輝度プロファイル作成手段と、該輝度プロファイルより高い積分輝度を示した前記路幅方向の座標及びその近傍の座標であって他の座標よりも相対的に高い積分輝度を示す一群の座標の座標幅を求める高輝度座標検出手段と、前記座標幅と前記レーンマーカーの路幅方向の規定値とを対比して前記座標幅が前記レーンマーカーの規定値に対応する場合に、前記一群の座標に対応する前記路面の位置を求める路面位置検出手段とを備え、前記路面位置検出手段により求められた前記路面の位置によって前記レーンマーカー位置の検出を行うレーンマーカー位置検出装置であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項4又は請求項5に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記俯瞰変換手段により変換された俯瞰画像を、路面以外の部分を削除した後に前記路幅方向に直行する方向に圧縮する俯瞰画像圧縮手段を備え、前記輝度プロファイル作成手段は、前記俯瞰画像圧縮手段により圧縮された俯瞰画像を用いて前記輝度プロファイルを作成することを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項4又乃至請求項6のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記俯瞰変換手段により変換された俯瞰画像から、該俯瞰画像における前記走行車両の車幅であって車両の進行する方向に延びる画像部分を削除した修正俯瞰画像を作成する修正俯瞰画像作成手段を備え、前記輝度プロファイル作成手段は、前記修正俯瞰画像作成手段により生成された修正俯瞰画像を用いて前記輝度プロファイルを作成することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記輝度プロファイル作成手段は、前記路面の路幅方向に直交する方向と前記俯瞰画像の走査線方向とが一致するように前記俯瞰画像を回転させて、前記走査線毎に積分輝度を求めて前記輝度プロファイルを作成することを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記輝度プロファイル作成手段が、アナログ積分回路を有し、前記アナログ積分回路は、前記俯瞰画像がアナログデータにより形成されている場合に、前記走査線における積分輝度を求めることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項8又は請求項9に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記輝度プロファイル作成手段が、全加算器を有し、前記全加算器は、前記俯瞰画像がデジタルデータにより形成されている場合に、前記走査線における積分輝度を求めることを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項4乃至請求項10のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記輝度プロファイル作成手段により作成された輝度プロファイルに対してハイパスフィルタを作用させることによって、前記輝度プロファイルにおいて一定値以上の積分輝度だけを抽出する積分輝度抽出手段を備え、前記高輝度座標検出手段は、前記積分輝度抽出手段により抽出された積分輝度の中から高い積分輝度を示した前記座標を求めることを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項4乃至請求項11のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記高輝度座標検出手段は、前記輝度プロファイル作成手段により作成された輝度プロファイルに微分フィルタを作用させることによって微分プロファイルを作成し、前記微分プロファイルの極大となる位置および極小となる位置の座標に基づいて前記輝度プロファイルにおける変曲点位置の座標を求め、前記微分プロファイルがゼロとなる位置の座標に基づいて前記輝度プロファイルにおけるピーク位置を求め、 前記路面位置検出手段は、前記高輝度座標検出手段により求められた前記変曲点位置の座標に基づいて前記レーンマーカーの車線幅を求め、前記ピーク位置に基づいて前記レーンマーカーの路面位置を求めることを特徴とする。
【0018】
請求項13に係る発明は、請求項4乃至請求項12のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記高輝度座標検出手段は、前記輝度プロファイル作成手段により作成された輝度プロファイルの積分輝度を、ローパスフィルタを用いて経時的に検出することによって、高い積分輝度を示した座標を求めることを特徴とする。
【0019】
請求項14に係る発明は、請求項4乃至請求項13のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出手段において、レーンマーカーの車線幅及び隣接するレーンマーカーの間隔が異なる複数の車線モデルを記憶する車線モデル記憶手段を備え、前記路面位置検出手段は、前記高輝度座標検出手段により求められた座標の間隔により前記車線モデル記憶手段に記憶される車線モデルより前記路面における車線状態に該当する車線モデルを抽出し、抽出した車線モデルのレーンマーカーの間隔及び車線幅等を考慮して前記レーンマーカー位置を検出することを特徴とする。
【0020】
請求項15に係る発明は、請求項14に記載のレーンマーカー位置検出装置において、前記路面位置検出手段は、前記高輝度座標検出手段が、前記輝度プロファイルより高い積分輝度を示す座標と該座標の積分輝度よりも低い積分輝度を示す複数の近接した座標とを求めた場合に、前記車線モデル記憶手段より該当する前記車線モデルを抽出し、抽出された車線モデルより高い積分輝度を示す前記座標に該当するレーンマーカーを検出し、該レーンマーカーに基づいて隣接する破線状のレーンマーカーの位置を前記車線モデルと前記低い積分輝度を示す座標との関係より検出することを特徴とする。
【0021】
請求項16に係る発明は、請求項4乃至請求項15のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置と、前記レーンマーカー位置検出装置により検出されたレーンマーカーの位置より、走行車両と該走行車両に最も近いレーンマーカーとの距離を算出する距離算出手段と、前記距離算出手段により算出された距離に応じて異なる警報音を運転者に発する警報発生第1手段とを備える車線逸脱警報装置であることを特徴とする。
【0022】
請求項17に係る発明は、請求項4乃至請求項15のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置と、前記レーンマーカー位置検出装置により検出されたレーンマーカーの位置より、走行車両に最も近いレーンマーカーを求めるレーンマーカー検出手段と、前記走行車両の横移動速度を検出する横移動速度検出手段と、前記走行車両が前記レーンマーカー検出手段により検出されたレーンマーカー側に移動して、かつ前記走行車両の横移動速度が所定速度以上である場合に、運転者に対して警報を発する警報発生第2手段とを備える車線逸脱警報装置であることを特徴とする。
【0023】
請求項18に係る発明は、請求項4乃至請求項15のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置と、前記レーンマーカー位置検出装置により検出されたレーンマーカーの位置より、走行車両に最も近いレーンマーカーと該レーンマーカーまでの距離とを求めるレーン距離検出手段と、前記走行車両の横移動速度を検出する横移動速度検出手段と、前記レーン距離検出手段により求められた距離に応じて異なる警報音を運転者に発する警報発生第1手段と、前記走行車両が前記レーン距離検出手段により検出されたレーンマーカー側に移動して、かつ前記走行車両の横移動速度が所定速度以上である場合に、運転者に対して警報を発する警報発生第2手段とを備え、前記警報発生第1手段は、前記距離が所定距離以下の状態が所定時間又は所定走行距離だけ続いた場合に前記警報を中止し、前記警報発生第2手段は、前記警報発生第1手段の警報が中止された後に前記運転者への警報を行う車線逸脱警報装置であることを特徴とする。
【0024】
請求項19に係る発明は、請求項4乃至請求項15のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置と、前記レーンマーカー位置検出装置により検出されたレーンマーカーの位置より、走行車両と該走行車両に最も近いレーンマーカーとの距離を算出する距離算出手段と、前記走行車両の横移動速度を検出する横移動速度検出手段と、前記距離算出手段により算出された前記距離と、該横移動速度検出手段により検出された前記横移動速度とを用いて前記走行車両が前記レーンマーカーを逸脱するまでの時間を算出し、算出された時間が一定時間以下である場合に運転者に対して警報を発する警報発生第3手段とを備える車線逸脱警報装置であることを特徴とする。
【0025】
請求項20に係る発明は、請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載の車線逸脱警報装置において、前記走行車両には、車両速度を検出する車速センサとハンドルの操舵角度を検出する操舵角センサが設けられており、前記横移動速度検出手段は、車速センサにより検出された車両速度と、操舵角センサにより検出された操舵角度とに基づいて前記横移動速度を検出することを特徴とする。
【0026】
請求項21に係る発明は、請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載の車線逸脱警報装置において、前記横移動速度検出手段は、前記距離算出手段により算出された距離の時間変化を測定することによって、前記横移動速度を検出することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
[実施例1]
以下、実施例1に係るレーンマーカー位置検出装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るレーンマーカー位置検出装置1及びカメラ2を示したブロック図である。
【0028】
カメラ2は、広角レンズが設けられた広角撮影可能なCCDカメラであり、図2に示すように車両3の後部に設置される。カメラ2は、車両の真後ろの路面4を斜めに見下ろすようにして設置されており、例えば図3に示す撮像画像のように、水平線5とカメラ2の上下のフレーム(6,7)とが略平行となるように(広角レンズを用いている場合には完全に平行とはならない)路面が撮像され、撮像された画像は、中心部に較べて周辺部が湾曲した画像となる。
【0029】
レーンマーカー位置検出装置1は、俯瞰変換ユニット8と、強度プロファイル作成ユニット9と、メモリユニット10と、レーンマーカー検出ユニット11とを備えている。俯瞰変換ユニット8は、カメラ2により撮影された路面画像の歪みを修整して車両3の上方より真下を見下ろした画面へと俯瞰変換し、また必要に応じて画像の拡大/縮小を行う。例えば、俯瞰変換ユニット8は、図3に示した路面画像を、図4に示すように俯瞰表示した画像に変換する。なお、俯瞰画像に変換する技術は、特開平3−99952号公報、特開平9−171348号公報、特開2001−114048号公報、特開2001−116567号公報に公開されており、いわゆる当業者に公知の技術であるため、その詳細な説明は省略する。
【0030】
強度プロファイル作成ユニット9は、俯瞰変換ユニット8により変換された俯瞰画像に対して横軸Yを路面の路幅方向とし、この横軸Yに直交する方向を縦軸Xとして画像を取り込み、縦軸X方向の明るさ(輝度)を積分して積分輝度を求め、横軸Yの座標(画素)別に並べた強度プロファイル(輝度プロファイル)を作成する。カメラ2は車両3の真後ろを撮像するように設置されているので、直線道路を車両3が走行する場合には、路面に形成されたレーンマーカー13(中央ライン、又は境界ライン等)が延びる方向が縦軸X方向となる。メモリユニット10は、強度プロファイル作成ユニット9により作成された強度プロファイルを記憶すると同時に、一般的なレーンマーカー13の規定幅L等の情報を記憶する。
【0031】
図5bは、図4(図5a)に示した俯瞰画像に対する強度プロファイルを示したグラフであり、レーンマーカー13は一般に白色、黄色等の輝度の高い明るい色彩で描かれるのに対して、路面4はグレー等輝度の低い色彩が用いられる。このため、俯瞰画像においてレーンマーカー13が設置される位置と設置されていない位置とを比較すると、レーンマーカー13の設置されている座標の積分輝度が際立って高い値を示すようになる。例えば、図5bに示す強度プロファイルにおいて最も高い積分輝度の値を示した座標は、図4(図5a)において画面の縦軸X方向に延びるようにして表示されるレーンマーカー13の横軸Y上の座標に対応している。なお、俯瞰変換ユニット8により俯瞰画像を縮小して俯瞰画像が表示することができる範囲を広くすることにより、レーンマーカー13の表示される縦軸X方向の長さに対してその他のマーカー14(路面上に設けられたデザインや制限速度表示等のマーカー:例えば、図4、図5aの「40」等)の表示長さが相対的に短くなるので、レーンマーカー13とその他のマーカー14との積分輝度差を大きくすることができる。
【0032】
レーンマーカー検出ユニット11は、強度プロファイルにおいて高い積分輝度の値を示す横軸Y上の座標を求め、求められた座標よりレーンマーカー13の位置を判断する。図6に示すフローチャートは、レーンマーカー検出ユニット11におけるレーンマーカー位置の検出処理を示した第1のフローチャートである。
【0033】
レーンマーカー検出ユニット11は、まず、強度プロファイルより最も高い積分輝度の値を示す横軸Yの座標(例えば、図5に示す強度プロファイルにおいてはY1)を検出し(ステップS1)、求めた座標及びその前後の座標の積分輝度の値を読み出す(ステップS2)。その後レーンマーカー検出ユニット11は、求められた積分輝度の値から、この積分輝度がノイズにより生じたものであるか、又は、ノイズ以外のデータ(正しいデータ)であるかの判断を行う(ステップS3)。具体的には、レーンマーカー検出ユニット11が、検出した座標の積分輝度とその座標に隣接する座標の積分輝度とを比較し、検出した座標と隣接する座標との積分輝度がほぼ同様の値を示す場合には、レーンマーカー13の規定幅Lだけほぼ同一の積分輝度を示す座標が連続したものと考えられることから正しいデータであると判断し、検出した座標又は隣接する座標のいずれかのみが突出して高い積分輝度を示している場合にはノイズにより生じたものであると判断する。
【0034】
レーンマーカー検出ユニット11が、検出した座標の積分輝度がノイズにより生じたものであると判断した場合には、その座標の積分輝度を検出の対象とする座標から除外(ステップS4)して再度最も高い積分輝度の値を示す座標の検出を行う(ステップS1)。レーンマーカー検出ユニット11が、検出した座標の積分輝度が正しいデータである(ノイズではない)と判断した場合には、検出した座標をレーンマーカー位置と判断してメモリユニット10に記憶する(ステップS5)。その後、レーンマーカー検出ユニット11は、レーンマーカー位置を中心としてレーンマーカー13の規定幅Lに該当する座標幅の座標の積分輝度のデータを強度プロファイルから削除し(ステップS6)、レーンマーカー位置の検出処理が1回目である場合には再度同一の処理を繰り返し、1回目ではない場合(2回目以降の場合)には処理を終了する(ステップS7)。
【0035】
処理が1回目の場合には、1回目にレーンマーカーとして検出した座標を除いて最も高い積分輝度の値を示す座標を求め(ステップS1、S2)、求めた座標の積分輝度がノイズにより生じたものであるか否かの判断(ステップS3)を行った後に、2本目のレーンマーカー位置を検出してメモリユニット10に記録する(ステップS5)。一般的にレーンマーカー13は道路の左右に存在するので、このように2度レーンマーカー位置の判断を行うことにより左右のレーンマーカー位置を検出することが可能となる。
【0036】
このように、俯瞰変換処理を用いて画像の俯瞰変換を行った後に、強度プロファイルを作成し、最も高い積分輝度を示す座標を求めてレーンマーカー位置を検出することにより、三角関数等の多量の計算処理を行うことなくレーンマーカー位置を検出することができ、ハフ変換法を用いた直線成分抽出処理によってレーンマーカー位置を検出する場合よりも簡易なシステムで迅速にレーンマーカー位置の検出を行うことが可能となる。また、多量の計算処理を行う必要がないので、リアルタイム処理を行うことが容易となる。
【0037】
特に、実施例1に係るレーンマーカー検出装置1は、車両3近辺の路面画像に基づいて俯瞰画像を作成しているので、遠方に位置するレーンマーカーよりも比較的車両3に近い領域でのレーンマーカー位置の検出に適しており、レーン逸脱警報等のシステムに最適な検出装置となる。
【0038】
図7に示すフローチャートは、レーンマーカー検出ユニット11におけるレーンマーカー位置の検出処理を示した第2のフローチャートである。第1のフローチャートでは、最も高い積分輝度を示す座標を求めてレーンマーカーの位置検出処理を行っているのに対して、第2のフローチャートでは、積分輝度の値が最も高い座標及びその近傍の座標であって他の座標よりも相対的に高い積分輝度を示す一群の座標の座標幅(画素幅)lを求め、この座標幅lとレーンマーカーの規定幅Lとを対比することによってレーンマーカーの位置検出処理を行う点において相違する。なお、図6に示した第1のフローチャートと同一処理については同一符号を附して説明する。
【0039】
レーンマーカー検出ユニット11は、まず、強度プロファイルより最も高い積分輝度を示す座標を検出し(ステップS1)、検出した座標及びその近傍の座標の積分輝度の値を求めて、高い積分輝度の値を示す一群の座標幅lを求める(ステップS2’)。その後、レーンマーカー検出ユニット11は、求められた座標幅lがメモリユニット10に記憶されているレーンマーカー13の規格幅Lと同程度の幅であるかどうかを、横軸Yの座標全体に対する積分輝度の値の変化(ピーク分布等)等を考慮して判断する(ステップS3’)。求められた座標幅lがレーンマーカー13の規定幅Lに対応するものではないとレーンマーカー検出ユニット11が判断した場合には、該当する座標の積分輝度を検出の対象から除外して(ステップS4’)して再度最も高い積分輝度を示す座標の検出を行う(ステップS1)。
【0040】
レーンマーカー検出ユニット11が、求められた座標幅lとこれに対応するレーンマーカー13の規定幅Lとは同程度の幅であると判断した場合には、座標幅lの中心部の座標をレーンマーカー位置と判断してメモリユニット10に記憶する(ステップS5’)。その後、レーンマーカー検出ユニット11は、一群の座標の積分輝度のデータを強度プロファイルから削除し(ステップS6’)、レーンマーカー位置の検出処理が1回目である場合には再度同一の処理を繰り返し、1回目ではない場合(2回目以降の場合)には処理を終了する(ステップS7)。
【0041】
このように、俯瞰変換処理を用いて画像の俯瞰変換を行った後に、強度プロファイルを作成し、積分輝度の高い一群の座標の座標幅を求めてレーンマーカー位置を検出することにより、三角関数等の多量の計算処理を行うことなくレーンマーカー位置を検出することができ、第1のフローチャートに示した処理と同様に、ハフ変換法を用いた直線成分抽出処理によりレーンマーカー位置を検出する場合よりも簡易なシステムで迅速にレーンマーカー位置検出を行うことが可能となる。また、多量の計算処理を行う必要がないので、リアルタイム処理を行うことが容易となる。
【0042】
さらに、一群の座標の座標幅に基づいてレーンマーカー位置の検出処理を行うため、レーンマーカー以外のマーカー(路面上に設けられたデザインや制限速度表示等のマーカー)との違いを判断し易く、レーンマーカー位置の誤検出を低減させることが容易となる。
【0043】
[実施例2]
以下、車線逸脱警報装置を、図面を用いて説明する。図8に示すように車線逸脱警報装置20には、俯瞰変換装置21と、モニタ22とが接続されている。俯瞰変換装置21は、実施例1において説明した俯瞰変換ユニット8に該当する処理を行う。俯瞰変換装置21は、カメラ2で撮影された図3に示すような画像に対して視点変換を施すことによって図4に示すような俯瞰画像を生成する。
【0044】
車線逸脱警報装置20は、フレームメモリ23と、マイコン24と、ワークメモリ25と、エンコーダ26と、警報装置27とを備えている。車線逸脱警報装置20は、俯瞰変換装置で生成された俯瞰画像を用いて強度プロファイルを生成し、生成された強度プロファイルを用いて車両3とレーンマーカー13との位置関係を検出して必要に応じて運転者に車線逸脱に関する警報を発する。
【0045】
フレームメモリ23は、強度プロファイルを生成する際に同期をとるために用いられるメモリではある。フレームメモリ23には、俯瞰変換装置により生成された俯瞰画像が蓄えられる。マイコン24の処理速度、コスト、強度プロファイルの作成方法等の観点からフレームメモリ23に代えてラインメモリが設置されている場合もある。ラインメモリが使用される場合については後述する。
【0046】
マイコン24は、フレームメモリ23に蓄えられた俯瞰画像を用いて強度プロファイルを作成する。また、マイコン24は、図示を省略した操舵角センサによりハンドルの操舵角を検知し、さらに図示を省略する車速度センサより車速情報を得て、車両3の車幅方向に対する移動速度(横移動速度)を計算する。なお、横移動速度を計算する方法として、操舵角センサや車速センサ等の車載情報機器から車載情報を抽出して求める方法のほか、画像処理によって横移動速度を計算する方法等が知られている。車線逸脱警報装置20の場合には、操舵角センサを用いることによりレーンマーカー13に対して車両3が接近中か離反中かを判断することができ、さらに車速度センサを用いることによって、横方向移動速度を定量的に計算することができる。ナビゲーション装置等の車載情報機器が設けられた車両3においては、ヨーレートセンサ(加速度センサ)等を用いることによって車両3の動きを常に監視することが可能なので、車両3の動きに関する情報を取得することによってマイコン24が横移動速度を検出することもできる。なお、画像処理により横移動速度を計算する方法を行う場合、マイコン24の処理能力に応じて横移動速度の計算処理速度が変化する。画像処理により横移動速度を計算する方法の一例として、画面上のレーンマーカー位置をフレーム毎に追跡し、フレーム間での移動距離を監視することでフレーム毎に車両3が白線に近づいているか離れているのかの検出を行う。フレーム間時間は約30msecであることから、速度を割り出すことが可能である。
【0047】
さらにマイコン24は、車両3の横移動速度の検出結果と、俯瞰画像より求めた強度プロファイルの結果とを用いて車両3が車線を逸脱していないかの判断を行う。車両が車線を逸脱しているものと車両3が判断した場合には、警報装置27を用いて運転者に警報を発する。より具体的にマイコン24は、図9に示すように、強度プロファイルを俯瞰画像より生成して(ステップS11)レーンマーカー位置が検出された輝度積分のピーク位置を検出し(ステップS12)、さらに前述した横移動速度を検出して(ステップS13)、車両3が検出されたレーンマーカー位置に対して一定速度以上の速さで横方向に移動していないかを判断する。車線を逸脱する可能性が高いとマイコン24が判断した場合には、マイコン24は警報装置27を用いて運転者に注意を促す(ステップS14)。
【0048】
警報装置27は、一般的にブザー等を発する音響警報装置が用いられるが、必要に応じて警報メッセージを、エンコーダ26を介してアナログ信号に変換し、モニタ22に表示させることも可能である。従って、音響警報装置のみにより警報を発する場合には、図8に示したエンコーダ26やモニタ22は不要となる。
【0049】
以下、車線逸脱警報装置20を用いたレーンマーカー検出において、レーンマーカーの誤認識を減らす方法および、車両3が車線(レーンマーカー)13を逸脱した場合等に行う警報方法について説明する。
【0050】
まず、レーンマーカー13の検知精度を高める画像変換方法について説明する。
【0051】
本発明に係る車線逸脱警報装置20では、レーンマーカー13を検出するのに適した縦横比を備えた俯瞰画像を用いて強度プロファイルの作成を行う。
【0052】
従来、マイコン24は俯瞰変換装置21によって生成された縦横比が等倍の俯瞰画像を用いて強度プロファイルを作成していた。このため、俯瞰画像において車両前方のレーンマーカー13を見渡せるように、視点変換処理における視点位置を高い位置に設定して表示範囲の広い俯瞰画像を生成しようとすると、道路の延びる方向(縦方向)だけでなく路幅方向(横方向)にも画像の表示範囲が広がってしまう。例えば図11に示すように、レーンマーカー13、13aだけでなく側壁31や中央分離帯32等の映像が俯瞰画像に入り込んでしまう。この俯瞰画像を用いて強度プロファイルを生成すると、レーンマーカー13、13a以外の側壁31や中央分離帯部分32の積分輝度(以下、強度とする)も強度プロファイルに現れてしまうので、このようにして生成された強度プロファイルを用いてレーンマーカー13の位置判断を行うことは大変困難である。
【0053】
そこで、マイコン24は、強度プロファイルを生成する前に、俯瞰変換装置21において作成される俯瞰画像の段階で俯瞰画像の幅を車両3の約左右1〜1.5m程度の横幅に限定して俯瞰画像を抽出し、さらに抽出された俯瞰画像を車両進行方向(縦方向)に圧縮することによって、図10に示すように誤認識を招く側壁31や中央分離帯32を俯瞰画像に含めずに、レーンマーカー検出に必要なレーンマーカーのみを車両進行方向に広い範囲で取り込むことができる。
【0054】
マイコン24により路幅方向の画像に対して車両進行方向の画像を圧縮して俯瞰画像を生成する技術(非等倍俯瞰画像技術)を用いることによって、強度プロファイル作成時に、レーンマーカー13の車線幅の強度値をより高く検出することができるとともに、誤認識を招く他の強度ピークの検出を抑制することが可能となる。
【0055】
また、図12に示すように、車両幅とほぼ同一幅であって車両進行方向(縦方向)に延びる部分13cを俯瞰画像より削除し、左右の分離俯瞰画像を僅かに拡大してつなげ合わせて新たな俯瞰画像を生成してもよい。このようにして生成された俯瞰画像を用いて強度プロファイルを作成することにより(分離俯瞰画像技術)、車線の中央付近に描かれている各種マーカー、例えば、制限速度表示(図12の「40」が該当)等が、強度ピークとして強度プロファイル作成時に検出されてしまうことを防止することができる。
【0056】
また、分割俯瞰画像が拡大されることによってレーンマーカー13、13aも拡大表示されることになるので、さらにレーンマーカー13、13aの位置検出精度を向上させることが容易となる。
【0057】
さらに、車両幅部分を削除した俯瞰画像においてレーンマーカー部分が表示されていない場合には、車両3が車線から逸脱したものと判断することができるので、生成された俯瞰画像を車両3の逸脱判断における有効な判断材料として用いることができる。
【0058】
上述説明したように、強度プロファイルの作成に使用される俯瞰画像を、非等倍俯瞰画像技術や分離俯瞰画像技術を用いて加工することによって、レーンマーカーの位置検出精度を向上させることが可能となる。
【0059】
次に、レーンマーカー13、13aの位置検出処理の処理スピードを向上させる方法について説明する。図13はレーンマーカー位置検出の処理スピードを向上させた車線逸脱警報装置20’を示したものである。
【0060】
まず、マイコン24は、俯瞰変換装置21で作成された俯瞰画像をメモリ33に記憶する。このメモリ33には、図8において説明したフレームメモリではなくラインメモリあるいは積分回路が使用されている。マイコン24は、俯瞰画像の縦軸1ライン分の情報をラインメモリ33に記録し、走査線1本分の画像情報における積分輝度の検出処理を行う。具体的には図14に示すように、マイコン24が縦方向の画像データを、90度回転された俯瞰画像の走査線1本分の画像データとして処理を行う。このように1ラインごとに抽出された俯瞰画像を用いて強度プロファイルを作成することによって、マイコン24において行われる強度プロファイル作成処理の分散・軽減を図ることができる。
【0061】
従来の方法を用いて強度プロファイルを作成する場合、マイコン24は、一度俯瞰画像の全画像データをマイコン24に取り込み、マイコン24内のメモリ上で縦方向にすなわち垂直方向に和演算を行っていた。一方、車線逸脱警報装置20においては、マイコン24に俯瞰画像の全画像データを取り込まなくとも、ラインメモリ33により、走査線毎に連続的に流れてくる信号を1ライン毎に足し算するだけで各ラインの強度(積分輝度)を検出することができるので、マイコン24に全画像データを転送する処理を省略することができる。さらに、走査線一本分の輝度信号を簡単な積分回路(図示省略)で足し算するだけで簡単に強度ファイルを作成することができる。
【0062】
積分回路は、俯瞰変換装置21から出力される俯瞰画像がアナログ信号の場合(例えば白黒のNTSC信号等)には、アナログ積分回路で積分して電圧出力し、その電圧をA/Dコンバータによりデジタル化する。さらに最近ではA/Dコンバータが内蔵されているマイコンも存在するため、このようなマイコンを使用することによって、積分結果のアナログ信号を直接読みとることが可能となる。なおアナログ積分回路は、水平同期信号に同期してリセットする。一方、デジタル信号で俯瞰画像が出力されてくる場合には、全加算器などにより加算し、そのままマイコンで読み出す。
【0063】
上述した方法を用いることによって、強度プロファイル作成処理を一走査線分毎に分割することができるので、この処理を行うコンパクトなハードウェアを設けることによって、マイコン24の処理を軽減させることがでる。また、マイコン24の処理を軽減させることができるので、マイコン24の能力に左右されることなく強度プロファイル作成処理を行うことも可能である。また、マイコン24による全画像データの読み込み処理が不要となることから、全画像データの読み込み処理の時間(従来の処理方法の場合、全処理時間の半分以上を画像データの読み込み処理で占めることもあった)を短縮させることができる。マイコン24の読み込みデータ量を1/数百(横軸の解像度)にすることができるので、マイコン24の計算資源を本来のレーンマーカー検出処理および車線逸脱警報処理により多く割り振ることが可能となる。
【0064】
次に、レーンマーカー13の検出処理においてレーンマーカー13の強度ピークの検出精度を高める方法について説明する。
【0065】
俯瞰画像より作成された強度プロファイルが理想的なものであった場合、強度プロファイルは図15(a)に示すような強度ピークが検出される。しかしながら実際には、レーンマーカー13以外の路面部分の背景信号からも強度が検出されてしまうので図15(b)に示すように、全体的に強度ピークの値がかさ上げされた状態となってしまいピーク形状も不明確になることが多かった。このため、強度プロファイルを作成する際にマイコン24は、図15(b)のように検出される強度ピークを図15(a)に示すピーク形状に近づけるための処理としてハイパスフィルタを用いて背景信号の強度を低減させる処理を行う。図15(c)は、ハイパスフィルタを用いて強度を低減させた強度プロファイルを示したものである。
【0066】
ハイパスフィルタを用いることによって、強度の低周波成分を減少させて背景信号を取り除くことができるだけではなく、適切なカットオフ周波数を選択することによって、幅広な信号(例えば路上の速度制限マーカー)の強度を低下させてレーンマーカー位置の誤検出を減少させることができる。
【0067】
また、カメラ2において広角レンズが使用されている場合には、広角レンズのレンズ特性のために図16に示すように画像周縁部ほど暗くなり、強度プロファイルの強度が画像両端で低下するような状況になり易い。このため、不均一な背景信号を考慮せずに、強度の一定の低周波成分だけを均一に低減させてしまうと、各ピーク間での強度比較を行うことが困難となり誤検出が生じやすくなる。ハイパスフィルタは緩やかな変化の背景信号を除くことができるため、図16に示すように、カメラ2に広角レンズを用いた場合であっても、背景信号に該当する部分だけを低減させることができる。
【0068】
また、レーンマーカー13、13aは車線に対して連続的に設けられているので、レーンマーカー位置検出により検出されるレーンマーカー13の検出位置もその時間の前後と較べて大きく変化するものではない。そのため、強度プロファイル作成時に、検出される強度の時間的な変化を考慮して強度プロファイルを作成することによって、レーンマーカー13の検出精度を向上させることが可能となる。
【0069】
例えば、破線で描かれたレーンマーカー13aの強度を検出する場合、車両に設置されているカメラの取り付け角度が深くてあまり遠方を写すことができないときには、撮影タイミングによって破線のレーンマーカー13aが俯瞰画像に全く表示されない場合があり、図10に示すように縦方向に俯瞰画像を圧縮させた場合であっても破線のレーンマーカー13aを検出することができないおそれがある。このような場合には、その俯瞰画像の前後画像を用いて、俯瞰画像における時間的な変化を考慮した強度プロファイルを作成することが望ましい。
【0070】
しかしながら、時間的な変化を考慮して強度プロファイルを作成した場合であっても、破線のレーンマーカー13aにおける強度の値は相対的に低くなってしまうので、十分なピーク強度を取得することが困難となり、破線のレーンマーカー13aのピーク強度がノイズ等として誤検出されるおそれがある。
【0071】
このため、マイコン24は、ピーク強度の時間的な変化に対してローパスフィルタを用いて強度プロファイルを作成することによって、破線のレーンマーカー13aにおける輝度信号の補強を行う。図17(a)は、破線のレーンマーカー13aが検出された位置における強度変化を、ローパスフィルタを用いないで時間変化させたものであり、図17(b)はローパスフィルタを用いて時間変化させたものである。ローパスフィルタを通すことで、ピーク強度が必ず検出されるようになり常時ピーク強度が信号として現れている。このように破線のレーンマーカー位置に対してローパスフィルタを用いることによって、どの瞬間においても破線のレーンマーカー13aの位置検出を行うことが出来るようになる。なお、信号の強度が低いところは、過去のピーク強度の比率が高いため、急激な車線変更等を行った際に、正しい位置に破線のピーク強度が現れない場合がある(以下、この現象をマルチピーク現象という)が、このような場合には後述する「マルチピーク対応処理」を用いて強度の検出を行っている。
【0072】
さらに、俯瞰画像に基づいて強度プロファイルを作成してレーンマーカー13の位置を判断するだけでなく予め数種類の車線モデル(レーンマーカーのモデル)を記憶しておき、強度プロファイルにより検出されたレーンマーカー13に関する情報との比較を行ってレーンマーカー位置を総合的に判断するようにしてもよい。
【0073】
なお、車線モデルとはレーンマーカー13、13aの車線幅及び隣接するレーンマーカー13、13aの間隔を主とした車線の特徴的な情報を数値化したデータモデルであり、レーンマーカー13、13aの車線幅やレーンマーカー13、13aの間隔等を法規、一般的なレーンマーカー寸法等に基づいて規定したものである。図18は、車線逸脱警報装置20を用いてレーンマーカー位置を検出し、車両3が車線を逸脱しているものとマイコン24が判断した場合に運転者に警報を行う処理を示したフローチャートである。
【0074】
まず、マイコン24は、車線モデルをロードしてワークメモリ25内に記録し(ステップS20)、その後に、俯瞰変換装置21により作成された俯瞰画像の強度プロファイルを作成してレーンマーカー13、13aと推定されるピーク強度を決定し、ロードされた車線モデルとの比較を行う(白線候補ピーク検出処理:ステップS21)。同様の処理を所定回数、例えば、30回繰り返して(ステップS22)、所定回数以上ピーク強度と車線モデルとの比較を行った後に、まず比較により求められた値が安定(常に一定)しているか否かの判断を行う(ステップS23)。具体的にマイコン24は、ステップS21において繰り返された所定回数におけるピーク強度と車線モデルとの比較値の分散が一定範囲以内であるか否かに基づいて安定性を判断する(ステップS23)。不安定であると判断した場合には、ロードされた車線モデルに基づいて不安定であると判断した回数が何回目であるかを求める(ステップS24)。ステップS23において不安定であると判断された回数が所定回数、例えば10回以上である場合には、車線モデルを変更し(ステップS25)、所定回数以下の場合には、再度同一車線モデルを用いて白線候補ピーク検出処理(ステップS21)を繰り返す。車線モデルを変更する場合(ステップS25)には、予め記録されている車線モデルのうち、まだロードされていない他の車線モデルが有るか否かの判断を行い(ステップS26)、ロードされていない車線モデルが存在する場合には、次の車線モデルをロードし(ステップS20)、他の車線モデルが残っていない場合には、記憶されていた車線モデルに該当するものが無いものと判断してエラー処理、具体的には、該当する車線モデルが存在しない旨を運転者に通知して(ステップS27)処理を終了する。
【0075】
マイコン24は、ステップS23において安定であると判断した場合、車線モデルを決定して(ステップS28)ピーク強度と車線モデルとの比較値の平均より決定された車線モデルが妥当なものであるか否かの判断を行う(ステップS29)。具体的にマイコン24は、強度プロファイルにより検出されたレーンマーカーの車線幅と隣り合うレーンマーカーとの間隔とのズレ幅が許容範囲以内のものであるかを基準として妥当であるか否かの判断を行う。例えば、レーンマーカー13の車線幅のズレが20〜30%以内であり、隣接するレーンマーカー13、13aの間隔が10〜15%以内の場合には、マイコン24は妥当であると判断する。この判断によりマイコン24が車線モデルは妥当ではないと判断した場合には、マイコン24は次の車線モデルをロードして(ステップS20)、白線候補ピーク検出処理を行う(ステップS21)。妥当である場合には、白線追跡処理を行う。
【0076】
白線追跡処理においてマイコン24は、ステップS21において行った白線候補ピーク検出処理を実行して、俯瞰画像より強度プロファイルを求めてレーンマーカー位置の検出を行う(ステップS30)。その後、検出されたレーンマーカー位置がその直前に検出されたレーンマーカー位置と比較して急激に変化していないかどうか、つまりレーン位置の変化が連続的であるか否かの判断を行う(ステップS31)。連続的でない場合、マイコン24は、車両3が車線変更を行ったか、又は道路状況が変化したもの(例えば、車線数が変化した、車線幅が変化した、交差点を曲がって別の道路に入った等)と判断して、変化した車線又は路面に対応する車線モデルを検出するためにステップS20の処理を行う。連続的に変化する場合には、変化したレーンマーカー13、13aの位置を決定された車線モデルに基づいて判断して車両が車線を逸脱していないか、または逸脱するおそれがないかの判断を行う(ステップS32)。逸脱するおそれがある場合には、運転者に警報を発し、逸脱するおそれがない場合には再度白線候補ピーク検出処理(ステップS30)を行って白線追跡処理を繰り返す。
【0077】
このように検出したピーク強度と車線モデルとを比較して車線の逸脱判断を行うことによって、車線モデルを使用しないでレーンマーカー位置を判断する場合よりも簡単に且つ迅速に判断を行うことが可能となる。また、検出されたレーンマーカーの連続性によって車両の走行状況変化および道路環境変化を判断するので、変化があった時にはその変化の有無を素早く検出することができ、さらに新たな道路状況に素早く対応することが可能となる。
【0078】
また、上述した車線モデルを用いた車線逸脱判断を行うことにより前述したマルチピーク現象が生じても、正確な破線のレーンマーカー13aの位置を検出することが可能となる(マルチピーク対応処理)。
【0079】
マルチピーク現象は、破線のレーンマーカー13aの検出を行うために、ローパスフィルタを用いて過去の情報を利用した強度プロファイルを作成する場合等に生じやすく、例えば、強度プロファイルを作成するときに車両が車線変更動作等を行って左右に大きく動いてしまった場合等に生じる。図19はマルチピーク現象が生じた強度プロファイルを示したものであり、進行方向に連続するレーンマーカー13のピーク強度は、符号30に示すように、ピーク幅が少し広くなるだけであるが、破線のレーンマーカー13aの場合には小さなピークが複数現れてしまう。小さなピークが複数現れた強度プロファイルにおいて各ピークの間隔が狭い場合は、どれが正しいピークなのか判断することが困難である。
【0080】
マイコン24は、図19に示すようなマルチピーク現象が現れた場合に、ピーク強度が最も高い値を示している部分(図19においては、符号30で示されるピーク)が、連続するレーンマーカー13のピーク強度を示しているものと判断する。次にマイコン24は、車線モデルより連続するレーンマーカーを求めて、ピーク強度が最も高い値を示す部分が連続するレーンマーカーに該当するものして車線モデルのレーンマーカー位置と強度プロファイルの強度ピーク位置との具体的な対応付けを行って、車線モデルの破線のレーンマーカー位置情報より破線のレーンマーカーを示すピーク強度を推定する。このように車線モデルを用いることによってマルチピーク現象が生じる場合であっても正確なレーンマーカー13aの位置を求めることが可能となる。
【0081】
なお、このマルチピーク対応処理は、必ずしもマルチピーク現象が生じる場合にのみ限定されるものではない。例えば、特定のレーンマーカーの位置が明確である場合、そのレーンマーカー位置を基準として車両モデルより他のレーンマーカー位置を求めることが可能となる。また、通常よりこのマルチピーク対応処理を利用してレーンマーカー位置を求めることによって、マルチピーク現象の有無に拘わらずに、他のレーンマーカー位置をより精度良く求めることが可能となる。
【0082】
次に、微分フィルタを用いてレーンマーカーの位置及び車線幅を精度良く検出する方法を説明する。
【0083】
図15において、背景信号が強度プロファイルとして検出されないようハイパスフィルタを用いて背景信号の強度を低減させる処理を説明したが、ハイパスフィルタを用いた技術はその処理が比較的軽いという利点を有する反面、ハイパスフィルタの影響によりピーク形状が変化してしまうために車線モデルを用いてレーンマーク位置を正確に評価することが困難であるという問題がある。そこで、マイコン24に対して、ハイパスフィルタを用いる場合に較べていくらか処理負荷をかけることにはなるが、微分フィルタを用いて強度プロファイルの強度を変化させてからレーンマーカーの位置検出を行うことによってレーンマーカーの位置検出精度を向上させることが可能である。図20(a)は、微分フィルタをかける前の強度プロファイルを示したものであり、図20(b)は、図20(a)に対して微分フィルタをかけた微分プロファイルを示したものである。図20(b)の場合、プロファイルのピークが図20(a)に示すレーンマーカーのピーク強度における変曲点位置となるので、マイコン24がピークを検出する回数(処理)が2倍となってしまう。しかしながらこのピークはレーンマーカーの車線幅の両端位置を示すことになるので、ピークの現れる位置からレーンマーカーの車線幅の長さとレーンマーカーの間隔とを求めることが容易となる。実験結果からも、この手法で得られるレーンマーカーの車線幅は、ハイパスフィルタを用いて車線幅を求める場合に比べ精度が良くなる。
【0084】
次に、上述の処理方法を用いることによって、車両がレーンマーカーを逸脱し又は逸脱するおそれがあるとマイコン24が判断した場合の警報方法を説明する。以下、3つの警報方法を説明するが、どの警告方法を使用するかは場合に応じて選択することが可能であり、また併用することも可能である。
【0085】
まず1つ目の方法として、距離に依存した警報を行う方法(距離警報モード)を説明する。警告を発する場合、運転者に対して警報を出すタイミングが重要である。逸脱警報は逸脱した時に警報を出すのが基本的な動作であるが、逸脱する前にレーンマーカーに車両が近接したときに事前に警報を出す方が、運転者が未然に車線逸脱を防ぐことができるのでより好ましい。そのため、マイコン24は、図21に示すようにレーンマーカー13、13aから車両3までの距離(図20(b)に示す距離例1又は距離例2)に応じて異なる警報音を発生し、運転者に対して正確に危険情報を知らせる。例えば、図20(a)に示すように、車両3がレーンマーカー13、13aに近づくに従って音量を大きくしたり周波数を高くしたりすることにより、車線逸脱の危険度に応じた警報を行うことが可能となる。なお、警報を行う方法として、警報音の音量と周波数とのどちらか一方を使用して警報を行うだけでなく、両方を併用して警報を行っても良い。人間の音声を用いて警報する場合には、この図20(a)に示す音量特性で警報することが望ましい。また、距離に応じて警報を変化させる場合、その変化の割合は図20(a)の符号34に示すように直線的に変化させても良く、また符号35に示すようにニ次関数的に変化させてもよい。なお、レーンマーカー13、13aとの距離に比例して警報音を出す場合、車両の車線変更を行うときも警報音が発生してしまうおそれがあるので、レーンマーカー13と車両3との距離が一定の距離以下になった場合、マイコン24は車両3が車線変更をするものと判断して警報を停止する。
【0086】
2つ目の方法として距離だけでなく車両の横移動速度を考慮して警報行う方法(距離・速度警報モード)を説明する。上述ように、単純にレーンマーカー13、13aと車両3との距離に応じて警報を行う方法では、レーンマーカー13に接近して安定走行する癖のある運転者が運転する車両3において、比較的安全な走行状態であるにも関わらず警報が出てしまうおそれがある。そこで、2つ目の警報方法では、単純にレーンマーカー13と車両3との距離に応じて警報を発するのではなく、車両3がレーンマーカー13に近づく速度(横移動速度)をマイコン24が判断して、一定の速度以上の速さで車両3が横移動した場合に、レーンマーカー13と車両3との距離に応じた警報を行い、一定の速度以下で横移動する場合には警報を行わない。なお、この「一定値」は運転者が設定してもよいし、マイコン24が学習して運転者毎に設定するようにしても良い。運転者の操作により、あるいはマイコン24の自動学習により警報を行うタイミングを切り替えることによって、車両3を運転する運転者に応じて最適な警報を行うことが可能となる。
【0087】
図22は、横移動速度に応じて警報方法を切り替えるマイコン24の処理を示したフローチャートである。マイコン24は、最初に車両が左右どちらのレーンマーカー13、13aに近いかを強度プロファイル等を用いて判定し(ステップS40)、近い方のレーンマーカー13を注視白線と認定する(ステップS41)。次にマイコン24は、注視白線と車両3との距離を求めるとともに注視白線への接近速度(横移動速度)を検出し(ステップS42)、注視白線に一定速度以上の速さで接近しているか否かの判断を行う(ステップS43)。マイコン24が、一定速度以上で車両3が注視白線に接近しているものと判断した場合には、注視白線との距離に応じて警報音の決定を行い(警報強度決定処理、ステップS44)、決定された警報音で警報を行う(ステップS45)。接近速度が一定速度以下である場合には、警報を行わない。
【0088】
なお、1つ目の警報方法として説明した警報方法(「距離警報モード」)と2つ目の警報方法として説明した警報方法(「距離・速度警報モード」)とを、マイコン24による自動学習により切り替えるようにしても良い。マイコン24による自動学習で警報方法を切り替える場合には、「距離警報モード」で動作中にマイコン24が警報時間を監視し、連続して警報が出る状態が一定時間あるいは一定走行距離以上になったときに、警報方法(動作モード)を変更する処理が行わせてもよい。また、警報方法をマイコン24が自動的に変更するのではなく、運転者に知らせることによって運転者が変更する構成としても良い。
【0089】
3つ目の警報方法として、横移動速度を利用することによって車両が車線を逸脱するまでの時間を求めて、求められた時間に応じて警報を行うか否かの判断をする方法を、図23を用いて説明する(時間警報モード)。
【0090】
まず、マイコン24は上述した「距離・速度警報モード」の警報方法と同様に、最初に車両が左右どちらのレーンマーカーに近いかを強度プロファイル等を用いて判定し(ステップS50)、近い方のレーンマーカーを注視白線と認定する(ステップS51)とする。次にマイコン24は、注視白線と車両との距離を求めるとともに注視白線への接近速度(横移動速度)を検出し(ステップS52)、注視白線までの距離を接近速度で割ることによって何秒で車両が注視白線を逸脱するか(車線逸脱予想時間)を検出する(ステップS53)。マイコン24は、車両3が逸脱するまでの時間が一定時間以上時間がかかると判断した場合には警報を出さず、一定時間以内に逸脱すると判断した場合には警報(ステップS54)を発する。このため、例えば、車両3が車線の中央を走行している最中であっても、急激なハンドル操作を行った場合には短時間で車線を逸脱するものとマイコン24が判断するので警報が行われ、車線のすぐ近くを走行している場合であっても、車両3が横方向にほとんど移動していない場合に、車線を逸脱するまでの時間が一定時間以上かかるものと判断されて警報が行われない。このように、車両3の挙動に応じて警報が行われるので、より適切に警報を出すことができる。
【0091】
以上、本発明に係るレーンマーカー位置検出装置を実施例1において説明し、車線逸脱警報装置を実施例2において説明したが、本発明に係るレーンマーカー位置検出装置及び車線逸脱警報装置は上記のものに限定されるものではない。例えば、第1のフローチャートを用いて説明した「最も高い積分輝度を示す横軸Yの座標を求めることによってレーンマーカー位置を検出する処理」と、第2のフローチャートを用いて説明した「積分輝度の高い一群の横軸Yの座標における座標幅を求めることによってレーンマーカー位置を検出する処理」とを併用することによって、より精度良くレーンマーカー位置の検出を行うことが可能である。
【0092】
また、上述した発明の実施の形態では、図2に示すように1台のカメラ2しか車両3に設置されていないが1台に限定されるものではなく、複数台設置されていても良い。カメラ2を複数台設置することにより1台しかカメラ2を設置しない場合に較べて多角度から路面を撮像することが可能となるので、死角が減り広いエリアを撮像することが可能となる。
【0093】
さらに、発明の実施の形態では、図2に示すように車両3の後方にカメラ2を設置して、車両3の後方の路面を撮像する場合について説明を行ったが、カメラ2を設置する位置及び撮像する方向は上記の位置及び方向に限定されるものではなく、カメラ2を車両前方又は側方等どの位置に設置し、どの方向の路面を撮像するように設定しても、撮像した画像に路面及びレーンマーカーが撮影されているならば、レーンマーカーの位置検出を行うことが可能である。
【0094】
また、発明の実施の形態において、レーンマーカー位置検出装置は、図1に示すように、俯瞰変換ユニット8と、強度プロファイル作成ユニット9と、メモリユニット10と、レーンマーカー検出ユニット11とを備えているが、これらのユニットは、全てが異なる半導体デバイスにより構成されていても良く、また全てのユニットを1つの半導体デバイスにまとめた構成でも良い。例えば、上記デバイスの機能を一般的に用いられているCPUにより処理させることとし、CPUが行う処理に対応するプログラムを実行させることによってレーンマーカーの位置検出を行う場合であっても本発明と同様の効果を奏することができる。車線逸脱警報装置においても同様である。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るレーンマーカー位置検出装置及び車線逸脱警報装置は、上述した構成とすることにより多量の計算処理を行うことなく路面に設けられたレーンマーカー位置の検出を行うことができるので、簡易なシステムで迅速にレーンマーカー位置検出を行うことが可能となる。また、多量の計算処理を行う必要がないので、リアルタイムに処理を行うことが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係るカメラ及びレーンマーカー位置検出装置を示したブロックである。
【図2】車両に設置されたカメラの概略位置を示した斜視図である。
【図3】広角レンズを用いて撮像された路面画像を示した図である。
【図4】図4に示した路面画像を俯瞰変換した画像である。
【図5】図4に示した画像における強度プロファイルを示したものであり、(a)は図4に示した画像であり、(b)は図4の横軸座標に対応する積分輝度の値を示した強度プロファイルのグラフである。
【図6】レーンマーカー検出ユニットにおける処理を示した第1のフローチャートである。
【図7】レーンマーカー検出ユニットにおける処理を示した第2のフローチャートである。
【図8】実施例2にかかるカメラと俯瞰変換装置と車両逸脱警報装置とモニタとを示したブロック図である。
【図9】車両逸脱警報装置のマイコンが行う処理を示したフローチャートである。
【図10】縦方向に画像を圧縮した俯瞰画像を示した図である。
【図11】俯瞰変換装置により形成された広範囲を映した俯瞰画像を示す図である。
【図12】分離した俯瞰画像を拡大してつなぎ合わせた俯瞰画像を示す図である。
【図13】図8に示した車両逸脱警報装置においてフレームメモリを積分回路又はラインメモリに変更した車両逸脱警報装置を示したブロック図である。
【図14】俯瞰画像データを90度回転させた俯瞰画像と、回転された俯瞰画像を用いて作成された強度プロファイルを示した図である。
【図15】俯瞰画像の強度プロファイルを示した図であり、(a)は理想的な強度プロファイルを示したものであり、(b)は実際に生成される強度プロファイルを示した図であり、(c)はハイパスフィルタを通した俯瞰画像を用いて作成された強度プロファイルを示した図である。
【図16】広角レンズで撮像された俯瞰画像を用いて作成された強度プロファイルを示した図である。
【図17】破線のレーンマーカー強度の時間的な変化を示したプロファイルであって、(a)はローパスフィルタを用いない俯瞰画像における強度の時間変化を示したものであり、(b)はローパスフィルタを用いた俯瞰画像における強度の時間変化を示したものである。
【図18】レーンマーカー位置を検出して運転者に警報を行う処理を示したフローチャートである。
【図19】マルチピーク現象が生じた強度プロファイルを示した図である。
【図20】(a)は、強度プロファイルを示した図であり、(b)は(a)に示した強度プロファイルに微分フィルタを使用して強度変換を行った微分プロファイルを示した図である。
【図21】(a)警報音として発生される音量・周波数と、レーンマーカーから車両までの距離との対応関係を示した図であり、(b)は車両とレーンマーカーまでの距離の一例を示したものである。
【図22】マイコンが警報を行うための処理を示した第1のフローチャートである。
【図23】マイコンが警報を行うための処理を示した第2のフローチャートである。
【符号の説明】
1 レーンマーカー位置検出装置
2 カメラ
8 俯瞰変換ユニット(俯瞰変換手段)
9 強度プロファイル作成ユニット(輝度プロファイル作成手段)
10 メモリユニット
11 レーンマーカー検出ユニット(高輝度座標検出手段、路面位置検出手段)
20、20’ 車線逸脱警報装置
21 俯瞰変換装置(俯瞰変換手段)
22 モニタ
23 フレームメモリ
24 マイコン(輝度プロファイル作成手段)
25 ワークメモリ
26 エンコーダ
27 警報装置
33 積分回路/ラインメモリ

Claims (21)

  1. 車両に搭載されたカメラにより路面を撮像し、前記カメラにより撮像された、輝度の分布で表された画像を俯瞰画像に変換し、変換された俯瞰画像に表される前記路面の路幅方向に直交する方向の座標の輝度を画像全体に対して直接積分することにより積分輝度を求めて該積分輝度を前記路幅方向の座標別に検出し、高い積分輝度を示した前記路幅方向の座標に対応する前記路面の位置を求めることにより、前記路面に設置されたレーンマーカー位置の検出を行うことを特徴とするレーンマーカー位置検出方法。
  2. 車両に搭載されたカメラにより路面を撮像し、前記カメラにより撮像された画像を俯瞰画像に変換し、変換された俯瞰画像に表される前記路面の路幅方向に直交する方向の座標の輝度を積分することにより積分輝度を求めて該積分輝度を前記路幅方向の座標別に検出し、高い積分輝度を示した前記路幅方向の座標及びその近傍の座標であって他の座標よりも相対的に高い積分輝度を示す一群の座標の座標幅を求め、前記座標幅と前記レーンマーカーの前記路幅方向の規定値とを対比して前記座標幅が前記レーンマーカーの既定値に対応する場合に、前記一群の座標に対応する前記路面の位置を求めて前記路面に設置されたレーンマーカー位置の検出を行うことを特徴とするレーンマーカー位置検出方法。
  3. 最も高い積分輝度を示す前記路幅方向の座標及びその近傍の座標を除く他の座標において、高い積分輝度を示す前記路幅方向の座標を求めて、再度レーンマーカー位置の検出を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーンマーカー位置検出方法。
  4. 走行車両より撮像された路面の画像を俯瞰画像に変換する俯瞰変換手段と、
    変換された前記俯瞰画像において、前記路面の路幅方向に直交する方向の座標の輝度を積分することにより積分輝度を求め、該積分輝度を前記路幅方向の座標別に検出することにより輝度プロファイルを作成する輝度プロファイル作成手段と、
    該輝度プロファイルより高い積分輝度を示した前記路幅方向の座標を求める高輝度座標検出手段と、
    該高輝度座標検出手段により求められた座標に対応する前記路面の位置を求める路面位置検出手段と
    を備え、前記路面位置検出手段により求められた前記路面の位置によって前記レーンマーカー位置の検出を行うことを特徴とするレーンマーカー位置検出装置。
  5. 走行車両より撮像された路面の画像を俯瞰画像に変換する俯瞰変換手段と、
    変換された前記俯瞰画像において、前記路面の路幅方向に直交する方向の座標の輝度を積分することにより積分輝度を求め、該積分輝度を前記路幅方向の座標別に検出することによって輝度プロファイルを作成する輝度プロファイル作成手段と、
    該輝度プロファイルより高い積分輝度を示した前記路幅方向の座標及びその近傍の座標であって他の座標よりも相対的に高い積分輝度を示す一群の座標の座標幅を求める高輝度座標検出手段と、
    前記座標幅と前記レーンマーカーの路幅方向の規定値とを対比して前記座標幅が前記レーンマーカーの規定値に対応する場合に、前記一群の座標に対応する前記路面の位置を求める路面位置検出手段と
    を備え、前記路面位置検出手段により求められた前記路面の位置によって前記レーンマーカー位置の検出を行うことを特徴とするレーンマーカー位置検出装置。
  6. 前記俯瞰変換手段により変換された俯瞰画像を、路面以外の部分を削除した後に前記路幅方向に直行する方向に圧縮する俯瞰画像圧縮手段を備え、
    前記輝度プロファイル作成手段は、前記俯瞰画像圧縮手段により圧縮された俯瞰画像を用いて前記輝度プロファイルを作成することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  7. 前記俯瞰変換手段により変換された俯瞰画像から、該俯瞰画像における前記走行車両の車幅であって車両の進行する方向に延びる画像部分を削除した修正俯瞰画像を作成する修正俯瞰画像作成手段を備え、
    前記輝度プロファイル作成手段は、前記修正俯瞰画像作成手段により生成された修正俯瞰画像を用いて前記輝度プロファイルを作成することを特徴とする請求項4又乃至請求項6のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  8. 前記輝度プロファイル作成手段は、前記路面の路幅方向に直交する方向と前記俯瞰画像の走査線方向とが一致するように前記俯瞰画像を回転させて、前記走査線毎に積分輝度を求めて前記輝度プロファイルを作成することを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  9. 前記輝度プロファイル作成手段は、アナログ積分回路を有し、
    前記アナログ積分回路は、前記俯瞰画像がアナログデータにより形成されている場合に、前記走査線における積分輝度を求める
    ことを特徴とする請求項8に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  10. 前記輝度プロファイル作成手段は、全加算器を有し、
    前記全加算器は、前記俯瞰画像がデジタルデータにより形成されている場合に、前記走査線における積分輝度を求める
    ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  11. 前記輝度プロファイル作成手段により作成された輝度プロファイルに対してハイパスフィルタを作用させることによって、前記輝度プロファイルにおいて一定値以上の積分輝度だけを抽出する積分輝度抽出手段を備え、
    前記高輝度座標検出手段は、前記積分輝度抽出手段により抽出された積分輝度の中から高い積分輝度を示した前記座標を求める
    ことを特徴とする請求項4乃至請求項10のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  12. 前記高輝度座標検出手段は、前記輝度プロファイル作成手段により作成された輝度プロファイルに微分フィルタを作用させることによって微分プロファイルを作成し、前記微分プロファイルの極大となる位置および極小となる位置の座標に基づいて前記輝度プロファイルにおける変曲点位置の座標を求め、前記微分プロファイルがゼロとなる位置の座標に基づいて前記輝度プロファイルにおけるピーク位置を求め、
    前記路面位置検出手段は、前記高輝度座標検出手段により求められた前記変曲点位置の座標に基づいて前記レーンマーカーの車線幅を求め、前記ピーク位置に基づいて前記レーンマーカーの路面位置を求めることを特徴とする請求項4乃至請求項11のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  13. 前記高輝度座標検出手段は、前記輝度プロファイル作成手段により作成された輝度プロファイルの積分輝度をローパスフィルタを用いて経時的に検出することによって、高い積分輝度を示した座標を求めることを特徴とする請求項4乃至請求項12のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  14. レーンマーカーの車線幅及び隣接するレーンマーカーの間隔が異なる複数の車線モデルを記憶する車線モデル記憶手段を備え、
    前記路面位置検出手段は、前記高輝度座標検出手段により求められた座標の間隔により前記車線モデル記憶手段に記憶される車線モデルより前記路面における車線状態に該当する車線モデルを抽出し、抽出した車線モデルのレーンマーカーの間隔及び車線幅等を考慮して前記レーンマーカー位置を検出することを特徴とする請求項4乃至請求項13のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  15. 前記路面位置検出手段は、前記高輝度座標検出手段が、前記輝度プロファイルより高い積分輝度を示す座標と該座標の積分輝度よりも低い積分輝度を示す複数の近接した座標とを求めた場合に、前記車線モデル記憶手段より該当する前記車線モデルを抽出し、抽出された車線モデルより高い積分輝度を示す前記座標に該当するレーンマーカーを検出し、該レーンマーカーに基づいて隣接する破線状のレーンマーカーの位置を前記車線モデルと前記低い積分輝度を示す座標との関係より検出することを特徴とする請求項14に記載のレーンマーカー位置検出装置。
  16. 請求項4乃至請求項15のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置と、
    前記レーンマーカー位置検出装置により検出されたレーンマーカーの位置より、走行車両と該走行車両に最も近いレーンマーカーとの距離を算出する距離算出手段と、
    前記距離算出手段により算出された距離に応じて異なる警報音を運転者に発する警報発生第1手段と
    を備えることを特徴とする車線逸脱警報装置。
  17. 請求項4乃至請求項15のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置と、
    前記レーンマーカー位置検出装置により検出されたレーンマーカーの位置より、走行車両に最も近いレーンマーカーを求めるレーンマーカー検出手段と、
    前記走行車両の横移動速度を検出する横移動速度検出手段と、
    前記走行車両が前記レーンマーカー検出手段により検出されたレーンマーカー側に移動して、かつ前記走行車両の横移動速度が所定速度以上である場合に、運転者に対して警報を発する警報発生第2手段と
    を備えることを特徴とする車線逸脱警報装置。
  18. 請求項4乃至請求項15のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置と、
    前記レーンマーカー位置検出装置により検出されたレーンマーカーの位置より、走行車両に最も近いレーンマーカーと該レーンマーカーまでの距離とを求めるレーン距離検出手段と、
    前記走行車両の横移動速度を検出する横移動速度検出手段と、
    前記レーン距離検出手段により求められた距離に応じて異なる警報音を運転者に発する警報発生第1手段と、
    前記走行車両が前記レーン距離検出手段により検出されたレーンマーカー側に移動して、かつ前記走行車両の横移動速度が所定速度以上である場合に、運転者に対して警報を発する警報発生第2手段とを備え、
    前記警報発生第1手段は、前記距離が所定距離以下の状態が所定時間又は所定走行距離だけ続いた場合に前記警報を中止し、
    前記警報発生第2手段は、前記警報発生第1手段の警報が中止された後に前記運転者への警報を行う
    ことを特徴とする車線逸脱警報装置。
  19. 請求項4乃至請求項15のいずれか1項に記載のレーンマーカー位置検出装置と、
    前記レーンマーカー位置検出装置により検出されたレーンマーカーの位置より、走行車両と該走行車両に最も近いレーンマーカーとの距離を算出する距離算出手段と、
    前記走行車両の横移動速度を検出する横移動速度検出手段と、
    前記距離算出手段により算出された前記距離と、該横移動速度検出手段により検出された前記横移動速度とを用いて前記走行車両が前記レーンマーカーを逸脱するまでの時間を算出し、算出された時間が一定時間以下である場合に運転者に対して警報を発する警報発生第3手段と
    を備えることを特徴とする車線逸脱警報装置。
  20. 前記走行車両には、車両速度を検出する車速センサとハンドルの操舵角度を検出する操舵角センサが設けられており、
    前記横移動速度検出手段は、車速センサにより検出された車両速度と、操舵角センサにより検出された操舵角度とに基づいて前記横移動速度を検出することを特徴とする請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載の車線逸脱警報装置。
  21. 前記横移動速度検出手段は、前記距離算出手段により算出された距離の時間変化を測定することによって、前記横移動速度を検出することを特徴とする請求項17乃至請求項19のいずれか1項に記載の車線逸脱警報装置。
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