JP4107587B2 - 車線認識画像処理装置 - Google Patents
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Description
特に、米国カリフォルニア州には、Raised Pavement Markersの1種であるボッツ・ドッツ(Botts’ Dots)と呼ばれる道路鋲が敷設されたフリーウェイや州道などがある。
したがって、ボッツ・ドッツは、白線や黄色線のようなペイント・レーンマーキングと比べて、路面とのコントラストが低く且つ進行方向の連続性が乏しいため視認性が非常に悪く、画像処理装置における車線認識を非常に困難なものとしている。
また、通常のレーンマーキングと同じレーン認識アルゴリズムを用いて画像認識する場合、ボッツ・ドッツをノイズから識別して分離する必要があり、後処理をするためのハードウェア・ソフトウェアの負荷が大きい。
特許文献1の従来装置においては、ボッツ・ドッツの敷設道路に対して、エッジの量からレーンマーキング認識を禁止することにより、レーンマーキング誤認識を回避しているので、ボッツ・ドッツ敷設道路に対しては、常に認識不可の状態となってしまう。
また、特許文献2の場合、エッジ点列の途切れ部分を検出することにより、レーンマーキング種類(たとえば、「破線」など)を判定しているが、不連続に敷設されるドットに対しては有効な手段とはなり得ない。
図15はボッツ・ドッツ3と車線の近似直線L1と車両境界線L2とレーンマーキング候補点Cとの関係を示す説明図であり、走行路の左側のボッツ・ドッツ3のレーンマーキング候補点位置Cを車線内側とした場合に、近似直線L1がドット3の1/2幅分だけ振動することを示している。
図16(a)〜(c)はボッツ・ドッツ3とレーンマーキング探索ライン4とレーンマーキング候補点Cとの関係を示す説明図であり、左側のボッツ・ドッツ3のレーンマーキング候補点Cの位置を車線内側とした場合に、レーンマーキング探索ライン4との位置関係によって、レーンマーキング候補点Cの位置が異なることを示している。
したがって、図15に示すように、車線認識結果は、ドット3(レーンマーキング)の横幅の1/2に相当するズレ量を生じる。
したがって、レーンマーキング候補点Cが「1個のドット3上のみにあること」を判定する必要がある。ただし、レーンマーキング候補点Cが1個のドット3上のみに存在するかを判定する際に、単に候補点数のみに基づいて判定すると、2点のボッツ・ドッツ3を結ぶ直線近似が可能な場合であっても、認識不可と判断されてしまう。
この2点間距離を判定するための閾値は、1個のドット3上であることを誤りなく判定可能な値に設定されることが求められる。
この対策措置として、レーンマーキング候補点Cから得られる情報を無効化する方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、ボッツ・ドッツ敷設道路を走行中に或るフレームのみが無効となった場合に、1フレームのみにも関わらず、車線認識結果を参照できなくなる。また、レーンマーキング探索を前回の車線認識結果を基準に行う場合には、速やかな車線認識復帰が困難になる。
すなわち、上記無効化がなされた場合に、前回の車線認識結果または時間平均化結果を出力することはできるものの、その前回結果の保持期間は、リアルタイム性と信頼性を損なわないように設定する必要がある。
また、この課題を解決するためには、候補点集合の進行方向の2点間距離により判定する必要があるが、全ての2点間距離の組合せを参照するのは、演算コストが高くなるという課題があった。
特に、レーンマーキング探索を前回の車線認識結果を基準に行う場合には、速やかな車線認識の復帰が困難になるという課題があった。
さらに、前回の車線認識結果が誤認識であるにも関わらず、前回の車線認識結果を出力している場合には、次の無効化されない車線認識結果を得るまでは誤認識出力が修正されないという課題があった。
さらに具体的には、レーンマーキング幅の中点をレーンマーキング候補点位置とし、且つ、レーンマーキング候補が1個のドット上のみにしか存在しない場合には車線認識結果を無効にする、というハードウェア・ソフトウェアの負荷が極めて小さい方法で認識信頼性を向上させた車線認識画像処理装置を得ることを目的とする。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1による車線認識画像処理装置を示すブロック構成図であり、図2はこの発明の実施の形態1による車線認識画像処理装置を搭載した車両の外観図である。
図2において、撮影手段を構成するカメラ1は、車両2の前方上部に設置されており、車両2の前方を撮影するようになっている。
車線認識手段30は、レーンマーキング候補点位置変換手段31と、認識処理手段32と、レーンマーキング候補判定手段33と、無効化手段34とを有する。
車線認識手段30は、レーンマーキング候補点Cの集合に基づいて、車両2の走行路上の車線を認識し、最終的な車線認識結果を車線認識結果出力手段40を介して外部に出力する。
このとき、レーンマーキング候補点位置変換手段31は、後述するように、レーンマーキング候補点Cを含むレーンマーキング候補領域Rの中点をレーンマーキング候補点位置として認識し、レーンマーキング候補点Cをレーンマーキング候補点位置に変換する。
また、閾値は、車両2の走行路上のレーンマーキングの横幅以上、且つ車両2の進行方向に対するレーンマーキングのセット間隔以下に設定されているものとする。
さらに、車線認識手段30内の無効化手段34は、閾値を越える2点間距離が存在しない場合には、レーンマーキング候補点Cから得られる情報を無効化する。
図3(a)〜(c)は撮影手段10(カメラ1)から出力される画像Gおよびその処理手順を示す説明図であり、もっぱらレーンマーキング候補点抽出手段20の処理動作に対応している。
図3(a)は車両2の前方道路を撮影した画像Gの具体例を示している。図3(a)において、車両2の走行路上に敷設されたボッツ・ドッツ3は、走行路延長線上の無限遠の消失点Sに向かって配列されている。ボッツ・ドッツ3の1ドットに対応して、1本のレーンマーキング探索ライン4が設定されている。
通常、レーンマーキング候補点抽出手段20により抽出されたレーンマーキング候補点C(または、候補領域R)は、開始点Aまたは終了点B上に存在する可能性もあり、実際のボッツ・ドッツ3の輪郭線上に存在するか否かは不明です。図3(c)においては、レーンマーキング候補点位置変換手段31の機能例として、候補領域Rの開始点Aと終了点Bとの中点を変換後の候補点Cの位置としています。
このとき、図3(a)内の画像Gに示すように、自車線の左右のレーンマーキングは、いずれもボッツ・ドッツ3であり、レーンマーキング探索ライン4の水平画角内に収まっているものとする。
このとき、一般にフィルタ処理が行われるが、水平座標方向に輝度値を読み出した輝度分布に対してフィルタ処理を行う方法と、立ち上がり・立ち下がりの正負エッジ処理によりフィルタ処理を行う方法とがある。
レーンマーキング候補点抽出手段20は、まず、図3(a)に示すレーンマーキング探索ライン4上の輝度分布に対して1次元画像フィルタ処理を施し、図3(b)に示すフィルタ出力結果5を取得する。
したがって、続いてフィルタ閾値Thfと比較することにより、図3(c)のように、2値化された結果が得られる。ここで、左右レーンマーキングとして抽出された2値化領域を、レーンマーキング候補領域Rとする。また、各レーンマーキング候補領域R上の走査方向(消失点Sの方向に対して直交方向)の開始点および終了点を、それぞれ、レーンマーキング候補領域Rの開始点Aおよび終了点Bとする。
図3(c)において、レーンマーキング候補領域Rの開始点Aおよび終了点Bを、レーンマーキング候補点位置変換手段31により変換した位置は、レーンマーキング候補点Cの位置となる。
図4および図5はレーンマーキング候補点位置変換手段31による処理動作を示す説明図であり、それぞれ、消失点方向に対する各レーンマーキング候補点Cの配列を、ボッツ・ドッツ3上の開始点Aおよび終了点Bと関連させて示している。
図4および図5において、ボッツ・ドッツ3上のレーンマーキング候補点Cを含むレーンマーキング候補領域の開始点Aおよび終了点Bから、レーンマーキング候補点Cは、消失点Sの方向の直線上の位置に変換することができる。
たとえば、図4において、消失点Sの方向の直線とドット3とのオフセット位置は、使用者によって任意に決定されるものであり、レーンマーキング端からの距離を求める場合には、ドット3と接する直線を用いてもよい。
なお、オフセットを決定する具体的な比率については、図6を参照しながら後述する。
図4内のレーンマーキング候補点位置への変換結果を画面視状態(斜視図)で示すと、図5のように表される。
図6は図4および図5におけるレーンマーキング候補点位置への変換法則を示す説明図であり、レーンマーキング候補領域Rを半径rの円で表している。
図6において、円中心Qを通る弦(A1−B1)において、各点A1、B1およびC1は、それぞれ、開始点A、終了点Bおよびレーンマーキング候補点Cに対応している。
同様に、円中心Qから離れた任意の弦(A2−B2)において、各点A2、B2およびC2は、それぞれ、開始点A、終了点Bおよびレーンマーキング候補点Cに対応している。
ここで、任意の開始点A2(または、終了点B2)と円中心Qとを結ぶ直線(Q−A2)が水平方向となす角度をθとする。なお、開始点A2および終了点B2は、同一水平線上に位置しているので、円中心Qから開始点A2または終了点B2のいずれを結ぶ直線と水平方向とのなす角度をθとしてもよい。
したがって、任意のレーンマーキング候補点C2は、弦(A2−B2)を、以下の式(1)に示す比率で内分する点として求められることになる。
まず、図6において、円中心Qを通る弦(A1−B1)を内分する比率がa:bであるとき、線分(A1−C1)の距離D1は、半径rを用いて、以下の式(2)のように表される。
なお、比率a、bは任意に設定可能な定数であるから、任意のレーンマーキング候補点C2は、内分点に限定されることはなく、式(1)に基づく外分点であってもよい。
逆に、a=0、b=1とすれば、式(1)に基づくレーンマーキング候補点Cの変換位置は、ドット3の右側と接する消失点Sの方向の直線上に設定される。
このときの車線認識方法としては、数学的モデル式により近似して、レーンマーキング数学的モデル式による推定演算を行うことが多い。
レーンマーキング数学的モデル式としては、レーンマーキング候補点間の線形補間、レーンマーキング候補点の集合に対する直線近似、曲線近似などが挙げられ、また、前方距離で区切った複数の領域に対して直線近似を行う方法や、前方距離に応じて直線近似と曲線近似を使い分ける方法などが考えられ、さらに、ストリングモデルを用いて車線に沿わせるという手法などもある。
図8においては、走行路の左側のボッツ・ドッツ3上のレーンマーキング候補点Cおよび車線方向の近似直線L1とともに、レーンマーキング候補点C間の最大距離Dm、レーンマーキング間隔Pmおよびレーンマーキング横幅Wmと、最大距離Dmに対する閾値THおよび閾値設定範囲ΔTHとが、斜視図により示されている。
図10においては、車両2の走行方向にある車線境界線L2とともに、車線境界線L2上のボッツ・ドッツ3(レーンマーキング)およびリフレクタ6と、レーンマーキング間隔PM(=1.2[m])と、ボッツ・ドッツ3(レーンマーキング)のセット間隔PS(=5.5[m]×2)とが、平面図により示されている。
ここで、車線認識が正常であれば、近似直線L1は、ボッツ・ドッツ3により表される車線境界線L2と一致する。
図8のように、複数のボッツ・ドッツ3上にレーンマーキング候補点Cが分布している場合は、近似直線L1は、車線境界線L2と一致する。
まず、図8において、各レーンマーキング候補点C(全9点)のうち、最近傍点と最遠点との間の進行方向距離を、レーンマーキング候補点C間の最大距離Dmとする。
レーンマーキング間隔PM(図10参照)は、各レーンマーキング(ドット3)間の平面距離であり、平面的なレーンマーキング間隔PMを斜視図に座標変換した値は、レーンマーキング間隔Pm(図8参照)となる。
同様に、平面的なレーンマーキング横幅WM(図11参照)を進行方向に関して斜視図に座標変換した値は、レーンマーキング横幅Wm(図8参照)となる。
斜視図に座標変換したレーンマーキング間隔Pmおよびレーンマーキング横幅Wmの値は、垂直座標位置によって異なるが、図8に示すように、最近傍点の垂直座標を基準として設定される。
また、閾値設定範囲ΔTHは、図8のように、レーンマーキング横幅Wm以上、且つ、レーンマーキング間隔Pm以下の間に設定される。さらに、閾値設定範囲ΔTHから、閾値TH(図8および図9参照)設定される。
一方、図9の場合は、Dm<THであり、レーンマーキング候補点Cが1個のドット3上のみに存在することが分かる。
すなわち、図9のように、1個のドット上のみにしかレーンマーキング候補点Cが存在しない場合には、得られる近似直線L1は、ボッツ・ドッツ3の配列が示す車線境界線L2から大きくかけ離れたものとなり得る。
また、レーンマーキング候補点C間の最大距離Dmを用いたが、最大距離Dmの代わりに、レーンマーキング候補点Cの集合内の任意の2点を抽出し、各2点間距離の組合せにおいて、閾値THを越えるものが存在しないか否かを判定しても同様の結果が得られる。
無効化手段34は、たとえば、図9のように、レーンマーキング候補点C間の最大距離Dmが閾値TH以下であれば、レーンマーキング候補点Cから得られるデータを無効化する。
この場合、レーンマーキング候補点抽出手段20により抽出されたレーンマーキング候補点Cを無効化することにより、レーンマーキング候補点抽出手段20の後段側にある車線認識手段30内のレーンマーキング候補点位置変換手段31および認識処理手段32(図1内の破線枠内参照)により得られる処理結果は、全て無効データとなる。
この場合、レーンマーキング候補点位置変換手段31の後段側にある認識処理手段32により得られる処理結果は、全て無効データとなる。
この場合、認識処理手段32の後段側にある手段、車線認識結果出力手段40が無効化されるので、たとえば、通信手段により車線認識結果を外部へ出力しても、無効データとなる。
この場合、車線認識結果が出力されても、同時に「無効フラグ」が出力されるので、実質的に無効であることを認識することができる。
この場合、車線認識画像処理装置の外部で参照される「車線認識結果」が更新されないので、システム動作としては、前回の車線認識結果を保持し続ける状態、または、車線を見失った状態となる。
無効化手段34の具体的処理は、無効化が実現可能であれば、上述した各例に限定されるものではない。
また、レーンマーキング候補判定手段33は、レーンマーキング候補点Cの集合からなる2点間距離が閾値TH以下か否かにより、または、レーンマーキング候補点Cの集合のうち、最も離れた位置にある2点間の最大距離Dmが閾値TH以下か否かにより、1個のドット3上のレーンマーキング候補点Cのみであるか否かを判定する。
また、無効化手段34は、2点間距離が閾値TH以下であれば、レーンマーキング候補点Cから得られる情報を無効化する。
これにより、各ドット3上のレーンマーキング候補点Cの位置を、レーンマーキングの探索ライン4の位置および分解能などに依存せずに安定させることができる。
また、図8に示すように、複数のボッツ・ドッツ3上にレーンマーキング候補点Cが存在すれば、レーンマーキング数学的モデル式と車線境界線L2とが一致する車線認識結果を得ることができる。
なお、上記実施の形態1では、特に言及しなかったが、車線認識手段内に車線認識結果記憶手段を設け、無効化処理時に前回の記憶情報を有効化してもよい。
以下、図12を参照しながら、車線認識結果記憶手段36を設けたこの発明の実施の形態2による車線認識画像処理装置について説明する。
図12において、車線認識手段30Aは、前述の各手段31〜33および34Aに加えて、認識処理手段32の出力側に挿入された開閉手段35と、認識処理手段32による車線認識結果を記憶する車線認識結果記憶手段36とを備えている。
また、車線認識手段30Aは、無効化手段34Aによる無効化処理が所定時間以上継続する場合には、車両2がレーンマーキングのセット間隔PSを走行するのに要する時間に相当する所定期間にわたって、車線認識結果記憶手段内の記憶情報の有効化処理を継続させ、所定期間の経過後には、記憶情報の有効化処理を禁止するようになっている。
同時に、車線認識結果は、車線認識結果記憶手段36を通して車線認識手段30Aから出力され、車線認識結果出力手段40を介して車線認識画像処理装置の外部に出力される。このときの情報出力方法としては、シリアル通信またはCAN通信などが挙げられる。
しかし、車線認識結果記憶手段36には、前回の車線認識結果が記憶保持されているので、前回の車線認識結果は、有効化された情報として、車線認識結果出力手段40を介して外部に出力される。
すなわち、無効化手段34により無効化処理が実行された場合には、車線認識結果出力手段40からの出力されるデータ(車線認識結果)として、車線認識結果記憶手段36に記憶されている前回の車線認識結果が用いられる。
ただし、無制限に前回データを利用することは、リアルタイム性が崩れることから望ましくないので、車速に応じた所定期間だけ記憶情報の有効化処理を継続させるようになっている。
たとえば、車両2が車速80[km/h]で走行中であれば、記憶情報の有効化を継続する所定期間は、0.5秒間である。
これにより、無効化処理時においても、前回の車線認識結果を継続して出力することができるとともに、所定期間の経過後には、リアルタイム性の低下した前回の車線認識結果の有効化を禁止することができる。
すなわち、車線認識手段30Aは、車線認識結果を記憶する車線認識結果記憶手段36を含み、無効化手段34Aにより情報が無効化された場合には、車線認識結果記憶手段36内の記憶情報を有効化することにより、車線認識中のあるフレームのみが車線認識無効となった場合は、前回の車線認識結果を保持し、誤認識となるフレームのみを排除することで、信頼性の高いロバストな車線認識結果を得ることができる。
すなわち、車線認識手段30Aは、無効化手段34Aによる無効化処理が所定時間以上継続する場合には、車両2がレーンマーキングのセット間隔PSを走行するのに要する時間に相当する所定期間にわたって、車線認識結果記憶手段内の記憶情報の有効化処理を継続させ、所定期間の経過後には記憶情報の有効化処理を禁止する。これにより、複数フレームにわたって無効化処理が継続する場合でも、次回のレーンマーキング探索基準となる前回の車線認識結果を所定期間(レーンマーキングのセット間隔PSを走行する時間)だけ保持するので、リアルタイム性を確保して、速やかな車線認識処理(通常処理)への復帰を可能にすることができる。
なお、上記実施の形態2では、無効化処理時に前回の車線認識結果を出力させたが、車線認識手段内に時間平均化処理手段を設け、車線認識中の或る1つのフレームのみが車線認識無効となった場合に、悪影響が軽減された時間平均化結果を出力させてもよい。
以下、図13を参照しながら、時間平均化処理手段37を設けたこの発明の実施の形態3による車線認識画像処理装置について説明する。
図13において、車線認識手段30Bは、前述の各手段31〜33および34B〜36Bに加えて、認識処理手段32の出力側に挿入された時間平均化処理手段37と、時間平均化結果記憶手段36Bの出力側に挿入された切換手段38とを備えている。
これにより、車線認識中の或る1つのフレームのみが車線認識無効となった場合には、前回の車線認識結果が誤認識であったとしても、時間平均化処理によって悪影響が軽減された時間平均化結果を記憶保持することができる。
時間平均化処理手段37による時間平均化処理としては、ローパスフィルタ処理などの時間的フィルタ処理が用いられる。
また、車線認識手段30Bは、無効化手段34Bによる無効化処理が所定時間以上継続する場合には、レーンマーキング(ボッツ・ドッツ3)のセット間隔PSを車両が走行するのに要する時間に相当する所定期間にわたって、時間平均化結果記憶手段36B内の記憶情報の有効化処理を継続させるようになっている。
また、このとき、切換手段38は、図13内の破線位置を選択しており、認識処理手段32からの車線認識結果を車線認識結果出力手段40に出力する。
したがって、車線認識結果は、車線認識手段30Bから、車線認識結果出力手段40を介して、車線認識画像処理装置の外部に出力される。
また、これと同時に、切換手段38が実線位置に切換えられて、車線認識結果出力手段40に接続されるので、時間平均化結果記憶手段36Bに記憶保持された前回までの時間平均化結果は、有効化された情報として、車線認識結果出力手段40を介して外部に出力される。
これにより、無効化手段34Bにより無効化処理が実行された場合には、車線認識結果出力手段40からの出力データ(車線認識結果)として、前回までの車線認識結果の時間平均化結果が用いられる。
したがって、車線認識結果出力手段40は、出力データ(車線認識結果)を使い分け、通常は認識処理手段32による車線認識結果を用い、無効化手段34Bにより無効化処理が実行された場合には、時間平均化結果記憶手段36B内の時間平均化結果を用いることになる。
これにより、無効化処理時においても、前回までの車線認識結果の時間平均化結果を継続して出力することができるとともに、所定期間の経過後には、リアルタイム性の低下した時間平均化結果の有効化処理を禁止することができる。
図14はレーンマーキングの探索範囲WSを示す説明図であり、ボッツ・ドッツ3を敷設した道路上を走行する車両2とレーンマーキングおよびその探索範囲WSとの位置関係を示している。
また、図14において、(a)、(b)、(c)は時間経過順の車両2の位置変化を示している。
また、レーンマーキングのセット間隔PS(ボッツ・ドッツ3のセット間の距離)は、孤立したリフレクタ6を対象外とすると、前述(図10参照)と同様に、5.5×2[m](=11.0[m])である。
この場合、図14(b)に示すように、レーンマーキングの探索範囲WS内にボッツ・ドッツ3が含まれないフレームが存在する。このとき、探索範囲WS内に抽出されるドットとしては、1個のリフレクタ6のみであるため、抽出データは無効となる。
ここで、図14において、(a)と(c)との間の車両2の走行距離は、レーンマーキングのセット間隔PSに等しいことが分かる。
したがって、車両2が所定期間(レーンマーキングのセット間隔PSを走行する時間に相当)にわたって無効化処理の実行を継続すれば、確実に1セットのボッツ・ドッツ3を抽出することができるので、時間平均化結果記憶手段36B(または、車線認識結果記憶手段36)からの記憶情報の有効化処理を終了して、通常時の処理に復帰することができる。
仮に、記憶情報の有効化処理を所定期間(セット間隔PSの走行時間)以上にわたって継続すると、ボッツ・ドッツ3の敷設規則ではない別の原因(たとえば、逆光撮像により認識困難な画像)であるにも関わらず、過去の記憶結果の利用を不当な長期間にわたって維持することになり、リアルタイム性を損なううえ、車両制御において不適切な状況に陥る可能性がある。
Claims (7)
- 車両に搭載された車線認識画像処理装置であって、
前記車両の前方を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮像された画像からレーンマーキング候補領域上の走査方向の開始点および終了点を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段に基づいて前記車両の走行路上の車線を認識する車線認識手段とを備え、
前記車線認識手段は、
前記レーンマーキング候補領域の開始点および終了点を、消失点方向の線上に定められるレーンマーキング候補点位置に変換するレーンマーキング候補点位置変換手段と、
前記レーンマーキング候補点の集合の有効性判定基準となる閾値を設定する閾値設定手段と、
前記レーンマーキング候補点の集合のうち、前記車両の進行方向に最も離れた位置にある2点を抽出して、前記2点の間の2点間距離が前記閾値を越えたか否かを判定するレーンマーキング候補判定手段と、
前記閾値を越える2点間距離が存在しない場合に、前記レーンマーキング候補点から得られる情報を無効化するための無効化手段と
を有してなることを特徴とする車線認識画像処理装置。 - 前記レーンマーキング候補点位置変換手段は、前記レーンマーキング候補点を含むレーンマーキング候補領域の中点を前記レーンマーキング候補点位置として認識することを特徴とする請求項1に記載の車線認識画像処理装置。
- 前記閾値は、前記車両の走行路上のレーンマーキングの横幅以上、且つ前記車両の進行方向に対する前記レーンマーキングのセット間隔以下に設定されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車線認識画像処理装置。
- 前記車線認識手段は、
車線認識結果を記憶する車線認識結果記憶手段を含み、
前記無効化手段により情報が無効化された場合には、前記車線認識結果記憶手段内の記憶情報を有効化することを特徴とする請求項1に記載の車線認識画像処理装置。 - 前記車線認識手段は、前記無効化手段による無効化処理が所定時間以上継続する場合には、前記車両が前記レーンマーキングのセット間隔を走行するのに要する時間に相当する所定期間にわたって、前記車線認識結果記憶手段内の記憶情報の有効化処理を継続させ、前記所定期間の経過後には、前記記憶情報の有効化処理を禁止することを特徴とする請求項4に記載の車線認識画像処理装置。
- 前記車線認識手段は、
車線認識結果に対して時間平均化処理を施す時間平均化処理手段と、
前記時間平均化処理手段による時間平均化結果を記憶する時間平均化結果記憶手段とを含み、
前記無効化手段により情報が無効化された場合には、前記時間平均化結果記憶手段内の記憶情報を有効化することを特徴とする請求項1に記載の車線認識画像処理装置。 - 前記車線認識手段は、前記無効化手段による無効化処理が所定時間以上継続する場合には、前記車両が前記レーンマーキングのセット間隔を走行するのに要する時間に相当する所定期間にわたって、前記時間平均化結果記憶手段内の記憶情報の有効化処理を継続させ、前記所定期間の経過後には、前記記憶情報の有効化処理を禁止することを特徴とする請求項6に記載の車線認識画像処理装置。
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