JP4343475B2 - 難燃剤及びこれを用いた難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃剤及びこれを用いた難燃性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、ハロゲン、リン、窒素、等の原子を実質的に含有せず、かつ高度な難燃性能を発揮する新規な難燃剤、および、この難燃剤を用いることにより、臭素、塩素、リン、等の化合物を用いずに高度に難燃化された難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
背景技術
樹脂を工業的に利用する場合、例えば電気電子等の分野に利用する場合は、火災に対する安全性を確保するために、使用する樹脂に対し、UL−94 V−0(米国アンダーライターズラボラトリー規格)に適合するような高度な難燃性が要求される例が多く、このため種々の難燃剤が開発検討されている。近年、ヨーロッパを中心とした環境問題に対する関心の高まりから、シリコーン系難燃剤等の非ハロゲン系難燃剤の使用が種々検討されている。
【0003】
シリコーン系難燃剤を配合した樹脂組成物として、特公昭62−60421号公報では、熱可塑性非シリコーンポリマーに、式SiO3/2で示されるT単位を80重量%以上含むポリシロキサン樹脂(ポリシロキサン樹脂の分子量が2000以上6000以下で、フェニル基80%以下、残りがメチル基であることがポリマー組成物の耐燃化には好ましいと記載)を配合した樹脂組成物が開示されている。また、特開平10−139964号公報では、芳香環を含有する非シリコーン樹脂に、式SiO2/2で示される単位と式SiO3/2で示される単位とを有するシリコーン樹脂(重量平均分子量は10000以上270000以下)を配合した難燃性樹脂組成物を開示している。一方、特開平10−316868号公報では、アリール含有シリコーン化合物とジオルガノポリシロキサン化合物とのコポリマーを含む、芳香族をベースとするポリマーに対する難燃性添加剤が開示されている。
【0004】
しかしながら従来のシリコーン系難燃剤は難燃化効果が小さいため、芳香族ポリカーボネート系樹脂など特定の樹脂に添加した時にはある程度の難燃性が得られるものの、芳香族ポリカーボネート系樹脂以外の樹脂に添加した場合にはほとんど難燃性が得られないなど、樹脂に汎用的に使用できるものではなかった。また比較的高価であるために汎用樹脂に使用したばあいに経済的に使用できるものではなかった。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、安価で難燃化効果が大きく、かつハロゲン、リン、窒素、等の原子を実質的に含有しない難燃剤、及び、これを用いて難燃化された難燃性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
発明の開示
本発明は、ケイ素、ホウ素及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸素結合及びホウ素−酸素結合から形成される骨格を有し、かつ、分子内に芳香環を有する重合体からなる難燃剤である。
また本発明は、樹脂100重量部、及び、上記難燃剤0.1〜50重量部を含有する難燃性樹脂組成物でもある。
【0007】
以下に本発明を詳述する。
本発明の難燃剤は、ケイ素、ホウ素及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸素結合及びホウ素−酸素結合から形成される骨格を有する重合体からなる。すなわち、上記重合体の骨格を形成する結合のうち、80%以上、好ましくは90%以上を、ケイ素−酸素結合及びホウ素−酸素結合が占めるが、これら以外に、ケイ素−ケイ素結合、ホウ素−ホウ素結合、酸素−酸素結合、ケイ素と2価の有機基との結合、ホウ素と2価の有機基との結合などが含まれていてもよい。なお本明細書で、骨格という場合、ケイ素又はホウ素と1価の有機基との結合は、骨格を形成する結合から除外して考える。
【0008】
好ましくは、上記重合体は、ケイ素原子及びホウ素原子が酸素原子を介して他のケイ素原子及び/又はホウ素原子と結合してなる骨格を有する。この場合、重合体の骨格は、実質的にSi−O−Si結合、Si−O−B結合、及びB−O−B結合からなる。すなわち、上記重合体の骨格は、Si−O−B結合のみから形成されるものでもよいし、実質的にSi−O−B結合から形成され、わずかにSi−O−Si結合及び/又はB−O−B結合を含むものでもよい。また、Si−O−Si結合、Si−O−B結合、及びB−O−B結合をランダムに含むような骨格でもよい。さらに、実質的にSi−O−Si結合及びB−O−B結合からなり、わずかにSi−O−B結合を含むような骨格でもよい。この場合、上記重合体は、ほぼケイ素のみからなる部分と、ほぼホウ素のみからなる部分とが分子中で分割されたような骨格を持つ。上記重合体の骨格は、線状骨格であってもよいし、三次元架橋骨格であってもよいが、難燃性の観点から、三次元架橋構造が好ましい。
【0009】
本発明の難燃剤における重合体(以下「難燃剤重合体」ともいう)は、分子内に有機基を有する。ここで有機基とは、炭素原子と、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子などのいずれかとから構成される1価以上の置換基をいう。典型的には炭化水素基であり、炭素数1〜20が好ましい。
【0010】
本発明の難燃剤重合体は、有機基のなかでも、特に、芳香環を有するものである。この芳香環は、1価、2価、3価などであってよいが、合成の容易さから、1価のものが好ましい。また、分子内の芳香環はどのような形式で結合されていてもよく、ケイ素原子及び/又はホウ素原子に直接結合してもよいし、メチレン基やエチレン基などの2価の有機基を介してケイ素原子及び/又はホウ素原子に結合してもよい(すなわち、芳香環は、ベンジル基やフェニルエチル基などのアラルキル基として含まれるものでもよい)。難燃性がより向上するため、分子内の芳香環はケイ素原子に直接結合したものが好ましい。分子内に芳香環を導入する方法には特に限定はない。
【0011】
ここで芳香環とは芳香族に属する環の総称を指し、特に限定されるものではない。好ましい芳香環としては、フェニル基、クレジル基、キシレニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。より好ましくは炭素数6〜20の1価のベンゼン系又は縮合ベンゼン系芳香族基であり、さらに好ましくは炭素数6〜10のものである。また、ハロゲン、酸素、窒素、その他の元素で置換された芳香環であってもよい。
【0012】
また本発明の難燃剤重合体は、上記芳香環を含まない有機基を更に有してもよい。上記芳香環を含まない有機基は、1価、2価、3価などであってよいが、合成の容易さから、1価のものが好ましい。芳香環を含まない有機基としては1価の直鎖又は環状のアルキル基が挙げられ、なかでも炭素数1〜12のものが好適である。より優れた難燃性を得るためには、アルキル基の炭素数が少ないもの、具体的には炭素数が1〜4のものが好ましい。特に好ましいアルキル基はメチル基である。
【0013】
全有機基中に占める、芳香環を有する有機基の比率には特に限定はないが、より優れた難燃性を得るためには有機基の10mol%以上が芳香環を有する有機基であることが好ましく、有機基の30mol%以上が芳香環を有する有機基であることがより好ましく、有機基の50mol%以上が芳香環を有する有機基であることがさらに好ましい。
【0014】
難燃剤重合体中のケイ素原子は、SiO4/2単位、SiRO3/2単位、SiR2/2単位およびSiR1/2単位(式中、Rは、ケイ素原子と結合可能な1価の置換基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよ)のうち少なくとも1種として含有されることが好ましい。ケイ素原子と結合可能な1価の置換基としては、上述した芳香環及び芳香環を含まない有機基のほか、水酸基、アルコキシル基、ハロゲン原子などが挙げられる。また、芳香環を有する1価の有機基とは、1価の芳香環そのものであってもよいし、芳香環を含む1価の有機基であってもよい。ただし、重合体内のSiに結合した複数の有機基のうち少なくともひとつは芳香環を有する1価の有機基であることが好ましい。
【0015】
これらの単位の比率には特に限定はない。好ましくはケイ素原子全数のうち、SiRO3/2単位を10モル%以上、より好ましくはSiRO3/2単位を30モル%以上、更に好ましくはSiRO3/2単位を50モル%以上、含有するものである。SiRO3/2単位が10モル%未満では、得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が十分ではない場合がある。また、好ましくはケイ素原子全数のうち、SiO4/2単位が50モル%未満、より好ましくはSiO4/2単位が30モル%未満、更に好ましくはSiO4/2単位が10モル%未満である。SiO4/2単位が50モル%を超えると、得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が低下したり、衝撃強度が低下したりする傾向がある。また、好ましくはケイ素原子全数のうち、SiR2/2単位が80モル%未満、より好ましくはSiR2/2単位が50モル%未満、更に好ましくはSiR2/2単位が20モル%未満である。SiR2/2単位が80モル%を超えると、得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が低下する傾向がある。
【0016】
また、難燃剤重合体中のホウ素原子は、BO3/2単位、BR′O2/2単位およびBR′1/2単位(式中、R′は、ホウ素原子と結合可能な1価の置換基を示し、複数のR′はそれぞれ同一でも異なっていてもよ)のうち少なくとも1種として含有されることが好ましい。ホウ素原子と結合可能な1価の置換基としては、上述したような芳香環やこれを含まない有機基、水酸基、アルコキシル基、ハロゲン原子などが挙げられる。上記単位のうち、安定性の観点から、BO3/2単位が好ましい。ただし、重合体内のBに結合した複数の有機基のうち少なくともひとつは芳香環を有する1価の有機基であることが好ましい。
【0017】
本発明の難燃剤重合体は、骨格中にSiRO3/2単位(式中Rは上記と同じ)及びBO3/2単位を含有する三次元架橋重合体であると、より優れた難燃性が得られるため好ましい。この場合、SiRO3/2単位以外のケイ素含有単位を含んでもよいし、BO3/2単位以外のホウ素含有単位を含んでもよい。特に、SiRO3/2単位及びBO3/2単位以外に、SiR1/2単位(式中Rは上記と同じ)を含有するものがより好ましい。
【0018】
SiRO3/2単位とBO3/2単位を含有する難燃剤重合体は、下記構造(1)を分子内に有するものと予想される。
【化1】
Figure 0004343475
(式中、Rは上記と同じであり、nは1以上の数を示す)
【0019】
また、SiR2/2単位を有する難燃剤重合体であれば、以下のような構造(2)が分子内に含まれるものと予想される。
【化2】
Figure 0004343475
(式中、Rは上記と同じであり、nは1以上の数を示す)
【0020】
また、本発明の難燃剤重合体は、骨格中にSiR1/2単位(式中Rは上記と同じ)及びBO3/2単位を含有する三次元架橋重合体も、より優れた難燃性が得られるため好ましい。この場合、SiR1/2単位以外のケイ素含有単位を含んでもよいし、BO3/2単位以外のホウ素含有単位を含んでもよい。
【0021】
本発明の難燃剤重合体は、架橋性置換基を含まないものが好ましい。また、架橋性置換基を含む場合であっても、重合体中のケイ素原子及びホウ素原子上の置換基のうち、架橋性置換基と非架橋性置換基との比率(架橋性性置換基/非架橋性置換基)が1/4未満のものが好ましい。より好ましく1/6未満であり、さらに好ましくは1/10未満である。架橋性置換基/非架橋性置換基の比率が1/4以上では、難燃性が大きく低下する場合がある。
【0022】
ここでいう架橋性置換基(活性基ともいう)とは、重合体中のケイ素原子又はホウ素原子上の1価の置換基であって、難燃剤重合体単独を300℃に加熱処理したときに、置換基同士が相互に縮合反応を生じて分子間の架橋を生じることが可能な置換基をいう。代表的な架橋性置換基としては、ケイ素原子上の水酸基、ケイ素原子上のクロロ基、ホウ素原子上の水酸基、ケイ素原子上のアルコキシル基、ホウ素原子上のアルコキシル基;ケイ素原子又はホウ素原子上の有機基であって水酸基、エポキシ基又はカルボキシル基を含むもの;などが挙げられる。これらのうち、ケイ素原子上の水酸基、ケイ素原子上のクロロ基、ホウ素原子上の水酸基、ケイ素原子上のアルコキシル基などは、難燃剤重合体の製造時に生じる欠損構造及び/又は重合体末端構造として、分子構造内に含まれる可能性がある架橋性置換基である。非架橋性置換基とは上記架橋性置換基以外の置換基をいい、通常は、ケイ素原子又はホウ素原子上の炭化水素基である。
【0023】
本発明の難燃剤重合体は公知の方法で製造することができ、たとえば特開昭53−50299号公報、特開昭54−83100号公報、特開昭57−23629号公報、特開昭58−201821号公報、等に記載された方法で製造することが可能である。
【0024】
具体的には、例えばホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸金属塩、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸エステルなどから選ばれる1種以上のホウ素化合物と、SiR″X(式中、R″は、1価の有機基を表す。Xはハロゲン、水酸基、及び水酸基の脱水縮合物(例えばアルコキシル基など)から選ばれる1種以上であり、複数のXは同一でも互いに異なっていてもよい。)で示される1種以上のケイ素化合物とを、溶媒の存在下あるいは非存在下にて、必要により加熱しながら混合することにより合成することが可能である。このときSiR″Xで示される化合物のうちR″として芳香環を有する化合物を一部用いることにより、骨格中にSiRO3/2単位(式中、Rは、ケイ素原子と結合可能な1価の置換基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、かつ複数のRのうち少なくともひとつは芳香環を有する1価の有機基である)及びBO3/2単位を含有する三次元架橋重合体を得ることができる。
【0025】
また、SiR″Xで示される化合物以外に、SiX、SiR″、SiR″X(式中R″及びXは上記と同じ)で示される1種以上のケイ素化合物を混在させて反応させることにより、種々の特性を有する難燃剤を合成することが可能である。特に合成反応の停止剤としてSiR″Xで示される化合物を適量用いることにより、所望の分子量の重合体を合成することができる。
【0026】
重合体中の架橋性置換基の含量は、SiR″Xで示される1種以上の単官能ケイ素化合物等を用いて、ケイ素原子上の水酸基、ケイ素原子上のクロロ基、ホウ素原子上の水酸基、ケイ素原子上のアルコキシル基などの架橋性置換基を封鎖することにより低減できる。すなわち、1種以上のホウ素化合物と、SiR″Xで示される1種以上のケイ素化合物とを混合し、重合させた後、さらに、SiR″Xで示される1種以上のケイ素化合物を添加し、反応させる。この場合、第一工程で用いるケイ素化合物として、SiR″Xで示される化合物以外に、SiX、SiR″、及び/又は、SiR″Xを加えてもよい。なお、架橋性置換基含量の低減方法はこれに限定されるものではなく、種々の方法により可能である。
【0027】
分子内の架橋性置換基は重合体製造に用いる原料によって異なるが、例えばSiR″XとしてXが塩素であるクロロシラン化合物を用いた場合には、ケイ素原子上にクロロ基や水酸基が残存する割合が高く、Xがアルコキシル基であるアルコキシシランを用いた場合には、ケイ素原子上にアルコキシル基や水酸基が残存する割合が高い。またホウ素源としてホウ酸を用いた場合にはホウ素原子上に水酸基が残存する割合が高い。
【0028】
例えば難燃剤重合体の出発原料としてフェニルトリクロロシランとホウ酸とを用いても、実質上水を含まない条件下で反応させた場合には上記構造(1)が主体になると予想されるが、微量の水の存在下で反応を実施した場合には、下記構造(3)や、その他種々の構造が混在する化合物を生じるものと予想される。
【化3】
Figure 0004343475
(式中、Rは上記(1)のものと同じ)
【0029】
本発明の難燃剤重合体に含まれるケイ素原子:ホウ素原子比率は特に限定されないが、ケイ素原子:ホウ素原子比率がモル比で100:1〜1:4が好ましく、70:1〜1:3がさらに好ましく、50:1〜1:2が最も好ましい。ケイ素原子:ホウ素原子比率が100:1よりもケイ素原子比率が高くなると、得られる難燃性が十分でないことがある。ケイ素原子:ホウ素原子比率が1:4よりもホウ素原子比率が高くなると、得られる重合体が加水分解されやすくなるなど不安定となる傾向がある。
【0030】
この比率は、出発原料の種類、反応条件、仕込み比、等により任意に変更が可能である。また、難燃剤重合体の分子量に応じて、架橋性置換基を封鎖する目的で用いる化合物の割合が変化するため、任意の割合のものを容易に合成する事が可能である。
【0031】
本発明の難燃剤重合体は、樹脂との親和性を高めたり、各種特性を付与するために、本発明の趣旨を損なわない範囲で各種化合物を共重合させたり、各種官能基にて変成させることができる。各種化合物を共重合させる方法には特に限定はなく、グラフト共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、末端のみ置換された共重合体、等が挙げられる。各種官能基にて変成させる方法にも特に限定はなく、官能基含有化合物を共重合する方法、難燃剤を合成した後に各種化学反応により変成させる方法、等が挙げられる。また共重合させる化合物は本発明の趣旨を損なわない範囲で特に限定は無い。共重合させる化合物の例として、エポキシ基含有化合物、ビニル基含有化合物、水酸基含有化合物、カルボニル基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、アルコキシル基含有化合物、フェニル基含有化合物、アミノ基含有化合物、アミド基含有化合物、イミド基含有化合物、メルカプト基含有化合物、ニトリル基含有化合物、エーテル基含有化合物、エステル基含有化合物、各種高分子化合物、等が挙げられる。特に添加される樹脂と親和性の高い置換基を有する化合物または高分子を共重合させることにより、得られた難燃性樹脂組成物の各種特性を維持させることが可能となる。
【0032】
本発明の難燃剤重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、1000以上が好ましく、1200以上がさらに好ましく、1500以上が最も好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、GPC測定装置にて、溶媒としてトルエンを用い、検出器としてUVを用いたときの、ポリスチレン換算での重量平均分子量である。重量平均分子量が1000未満の場合、得られる難燃性が十分でないことがある。また分子量の上限は、溶媒としてトルエンを用いた場合にトルエンへの溶解度が1g/100ml以上となるような、溶媒に可溶な分子量であることが好ましい。トルエンへの溶解度が1g/100ml未満では、難燃剤が溶媒に不溶な状態であるので、得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が大幅に低下するほか、得られた成形体の衝撃強度や成形加工性が低下する傾向がある。
【0033】
本発明の難燃剤を使用する場合の形状としては特に限定されず、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ガラス状、ペレット状など任意の形状であってよい。本発明の難燃剤を使用する場合には、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上の組み合わせとしては特に限定されず、重合成分やモル比が異なるもの、分子量が異なるもの等を任意に組み合わせて使用することができる。また、本発明の難燃剤には、本発明の趣旨を損なわない範囲でその他の添加物を配合することを排除するものではない。
【0034】
本発明の難燃剤重合体は、樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部添加することで所期の目的を達成することができる。0.1重量部未満では難燃性の改善効果が得られない場合があり、50重量部を超えると、表面性や成形加工性等が悪化する傾向がある。好ましくは0.3〜30重量部であり、より好ましくは0.5〜20重量部である。なお、本発明の難燃剤と、他の公知の各種難燃剤とを組み合わせて使用することにより、さらに高度な難燃性を得ることができるが、そのときには上記使用量に限定されず、さらに少量の添加量でも難燃性組成物を得ることが可能である。また、本発明の難燃剤が他の添加成分を有するときは、上記難燃剤重合体の配合量が上述の範囲となるようにすればよい。
本発明の難燃性樹脂組成物で用いられる樹脂としては特に限定されず、難燃剤を混合することが可能な各種高分子化合物を用いることができる。樹脂は熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよく、また合成樹脂であっても自然界に存在する樹脂であっても良い。本発明の難燃剤を単独で用いて十分な難燃性を得るのが困難な場合には、他の公知の各種難燃剤を組み合わせることにより高度な難燃性を発揮させることができる。
【0035】
樹脂の中でも本発明を用いて難燃化させることが容易であることから、樹脂として芳香族系樹脂を用いるのが好ましい。芳香族系樹脂とは、分子内に少なくとも1個以上の芳香環を有する樹脂を示す。
【0036】
芳香族系樹脂の中でも、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、N−芳香族置換マレイミド系樹脂、及び芳香族ポリイミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。これらの樹脂を単独で用いてもよく、他の各種樹脂とのアロイとして用いてもよい。
【0037】
本発明の難燃性樹脂組成物には、更に成形流動性を高めたり、難燃性を向上させるために、本発明の特性(難燃性等)を損なわない範囲で、本発明の難燃剤重合体以外のシリコーン等を添加することができる。
【0038】
本発明の難燃剤重合体以外のシリコーンとは、本発明の難燃剤重合体を除く広義のポリオルガノシロキサンのことをさし、具体的には、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等の(ポリ)ジオルガノシロキサン化合物;メチルシルセスキオキサン、フェニルシルセスキオキサン等の(ポリ)オルガノシルセスキオキサン化合物;トリメチルシルヘミオキサン、トリフェニルシルヘミオキサン等の(ポリ)トリオルガノシルヘミオキサン化合物;これらを重合して得られる共重合体;ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンである場合には、分子末端がエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、エーテル基等により置換された変性シリコーンも有用である。シリコーンの形状には特に制限はなく、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット状など任意のものが利用可能である。
【0039】
更に本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の特性(難燃性等)を損なわない範囲で強化充填剤を組み合わせることにより、強化材料としてもよい。すなわち、強化充填剤を添加することで、更に耐熱性や機械的強度等の向上を図ることができる。このような強化充填剤としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の繊維状充填剤;ガラスビーズ、ガラスフレーク;タルク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、スメクタイト、珪藻土等のケイ酸塩化合物;炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。なかでも、ケイ酸塩化合物及び繊維状充填剤が好ましい。
【0040】
また、本発明の難燃性樹脂組成物をより高性能なものにするため、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤;リン系安定剤等の熱安定剤;等を1種のみで又は2種類以上併せて使用することが好ましい。更に必要に応じて、通常良く知られた、滑剤、離型剤、可塑剤、リン化合物等の難燃剤、難燃助剤、ドリッピング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等の添加剤を1種のみで又は2種類以上併せて使用することもできる。
【0041】
本発明の難燃性樹脂組成物を製造するための方法としては特に限定されない。例えば、上述したような成分を必要に応じて乾燥させた後、単軸、二軸等の押出機のような溶融混練機にて、溶融混練する方法等により製造することができる。また、配合剤が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて二軸押出機に途中添加して製造することもできる。
【0042】
本発明の難燃性樹脂組成物の成形加工法としては特に限定されず、一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、発泡成形等を利用することができる。
【0043】
本発明の難燃性樹脂組成物は、種々の用途に好適に使用することができる。好ましい用途としては、家電、OA機器部品、自動車部品等の射出成形品、ブロー成形品、押出成形品、発泡成形品等が挙げられる。
【0044】
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下では特に断りがない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。
【0045】
製造例1 樹脂添加用難燃剤(S−1)の製造
ホウ酸(100g、1.62mol)を含むピリジン溶液(1L)に、氷冷下、フェニルトリクロロシラン(342.7g、1.62mol)を滴下し、滴下終了後ホウ酸粉末が無くなってから5時間加熱し、環流下反応を行った。その後トリメチルクロロシラン(176g、1.62mol)を加えてさらに1時間環流反応させた後、過剰の水を加えてさらに1時間還流反応させてから反応を終了した。反応混合物は2N−塩酸で中和し、ジエチルエーテル(500mL)で抽出した。得られた溶液は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下溶剤を留去することにより化合物を得た。GPC分析の結果、重量平均分子量は3000(ポリスチレン換算、UV検出器、トルエン溶媒)であった。得られた化合物は、IR分析の結果1360cm−1付近にB−O結合由来のピークを示し、1430cm−1付近にSi−Ph結合由来のピークを示した。NMRによる分析の結果、ケイ素原子全数中、Me−Si−O1/2結合が17モル%、Ph−Si−O3/2結合が83モル%、(−OH基)/(Ph基+Me基)比率が1/16であった。トルエン溶解度は100g/100ml以上であった。
【0046】
なお、当該重合体においては、水洗浄操作によりケイ素原子上のクロロ基が加水分解して取り除かれており、分子中には実質的に残存していない。したがって、上記の(−OH基)/(Ph基+Me基)比率が、当該重合体に関する(架橋性置換基/非架橋性置換基)の比率に相当する。これは以下の製造例でも同様である。
【0047】
製造例2 樹脂添加用難燃剤(S−2)の製造
ホウ酸(100g、1.62mol)を含むピリジン溶液(1L)に、氷冷下、フェニルトリクロロシラン(162.4g、0.81mol)及びジフェニルジクロロシラン(205.1g、0.81mol)を滴下し、5時間、環流下反応を行った。その後、トリメチルクロロシラン(176g、1.62mol)を加えてさらに3時間環流して反応を終了した。反応混合物は2N−塩酸で中和し、ジエチルエーテル(500mL)で抽出した。得られた溶液は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下溶剤を留去することにより目的の化合物を得た。分子量はGPC分析の結果、Mn=6450、Mw=8925(ポリスチレン換算、UV検出器)であった。NMRによる分析の結果、ケイ素原子全数中、Me−Si−O1/2結合が14モル%、Ph−Si−O3/2結合が51モル%、Ph−Si−O2/2結合が35モル%、−OH基量はNMRによる検出限界値以下であった。トルエン溶解度は100g/100ml以上であった。
【0048】
製造例3 樹脂添加用難燃剤(S−3)の製造
ホウ酸(100g、1.62mol)を含むピリジン溶液(1L)に、氷冷下、フェニルトリクロロシラン(257g、1.22mol)及びメチルフェニルジクロロシラン(77.4g、0.40mol)を滴下し、滴下終了後5時間加熱環流下反応を行った。その後トリメチルクロロシラン(176g、1.62mol)を加えてさらに1時間環流反応させた後、過剰の水を加えてさらに1時間還流反応させてから反応を終了した。反応混合物は2N−塩酸で中和し、ジエチルエーテル(500mL)で抽出した。得られた溶液は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下溶剤を留去することにより化合物を得た。分子量はGPC分析の結果、Mw=18000(ポリスチレン換算、UV検出器、トルエン溶媒)であった。NMRによる分析の結果、Me−Si−O1/2結合が9モル%、PhMe−Si−O2/2結合が22モル%、Ph−Si−O3/2結合が69モル%、(−OH基)/(Ph基+Me基)比率が1/21であった。トルエン溶解度は100g/100ml以上であった。
【0049】
製造例4 樹脂添加用難燃剤(S−4)の製造
ホウ酸(100g、1.62mol)を含むピリジン溶液(2L)に、氷冷下、フェニルトリクロロシラン(342.7g、1.62mol)を滴下し、5時間、環流下反応を行った。その後、過剰の水を加えてさらに1時間還流反応させてからトリメチルクロロシラン(17.6g、0.162mol)を加えてさらに3時間環流して反応を終了した。反応混合物は2N−塩酸で中和し、ジエチルエーテル(500mL)で抽出した。得られた溶液は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下溶剤を留去することにより化合物を得た。分子量はGPC分析の結果、Mw=20000(ポリスチレン換算、UV検出器、トルエン溶媒)であった。NMRによる分析の結果、ケイ素原子全数中、Me−Si−O1/2結合が7モル%、Ph−Si−O3/2結合が93モル%、(−OH基)/(Ph基+Me基)比率が2/3であった。トルエン溶解度は100g/100ml以上であった。
【0050】
製造例5 樹脂添加用難燃剤(S−5)の製造
ホウ酸(100g、1.62mol)を含むピリジン溶液(1L)に、氷冷下、フェニルトリクロロシラン(342.7g、1.62mol)を滴下し、滴下終了後300℃まで加熱して溶媒を除去しながら反応を行った。その後トリメチルクロロシラン(176g、1.62mol)を加えてさらに3時間加熱反応させた後、冷却して水を加えながらさらに1時間反応させて終了した。得られたものはトルエンに不溶のため、GPC分析での分子量測定は不可能であった。NMRによる分析の結果、ケイ素原子全数中、であった。ケイ素原子全数中、Me−Si−O1/2結合が1モル%、Ph−Si−O3/2結合が99モル%、(−OH基)/(Ph基+Me基)比率が1/15であった。トルエンには溶解しなかった。
【0051】
参考製造例1 シリコーン化合物(Si−1)の製造
メチルイソブチルケトン溶液(1L)中にフェニルトリクロロシラン(342.7g、1.62mol)を溶解し、ドライアイス+メタノールにて冷却しながら、6時間かけて純水500mlを滴下した後、1時間常温にて反応を行った。その後トリメチルクロロシラン(176g、1.62mol)を加えてさらに1時間環流して反応を終了した。終了後、洗浄水が中性となるまで純水にて洗浄を繰り返した。真空下溶剤を留去することにより目的のシルセスキオキサン化合物を得た。GPC分析の結果、重量平均分子量=3500(ポリスチレン換算、UV検出器、トルエン溶媒)であった。NMRによる分析の結果、ケイ素原子全数中、Me−Si−O1/2結合が10モル%、Ph−Si−O3/2結合が90モル%、−OH基はNMRによる検出限界値以下であった。トルエン溶解度は100g/100ml以上であった。
【0052】
参考製造例2 樹脂添加用難燃剤(S−X)の製造
ホウ酸(50g、0.81mol)を含むピリジン溶液(1L)に、氷冷下、ジメチルジクロロシラン(209.1g、1.62mol)を滴下し、5時間、環流下反応を行った。その後、トリメチルクロロシラン(17.6g、0.16mol)を加えてさらに3時間環流して反応を終了した。反応混合物は2N−塩酸で中和し、ジエチルエーテル(500mL)で抽出した。得られた溶液は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下溶剤を留去することにより化合物を得た。分子量はGPC分析の結果、Mn=2480、Mw=3650(ポリスチレン換算、UV検出器)であった。NMRによる分析の結果、ケイ素原子全数中、Me2−Si−O2/2結合が91モル%、Me−Si−O1/2結合が9モル%、であった。
【0053】
実施例1 樹脂組成物の調製
粘度平均分子量が約22000のビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(PC)100重量部、製造例1で製造した樹脂添加用難燃剤(S−1)5重量部、並びに、燐系及びフェノール系安定剤としてそれぞれアデカスタブHP−10及びAO−60(いずれも旭電化製で商品名)各0.1重量部、テトラフルオロエチレンとしてポリフロンFA−500(ダイキン工業製商品名)0.2重量部、を予めドライブレンドした後、シリンダー温度を270℃に設定したベント付き二軸押出機[TEX44(商品名):日本製鋼所製]のホッパーに供給し溶融押出することにより、樹脂組成物を得た。
【0054】
試験片の作成
得られたペレットを120℃にて5時間乾燥させた後、35t射出成形機を用い、シリンダー温度270℃、金型温度50℃にて厚み0.9mm、1.6mm、2.2mm及び3.2mmのバー(幅12mm、長さ127mm)を作成して下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
評価方法
・難燃性:UL−94規格に従い、厚み0.9mm、1.6mm及び/又は2.2mmバーの難燃性をV試験で評価した。なお総燃焼時間とは、UL−94規格のV試験にて試験を行った5本のサンプルの、各燃焼時間の合計値である。
・耐衝撃性:ASTM D−256に従い、厚み3.2mmバーの23℃ノッチ付きアイゾット衝撃試験で評価した。
・成形品外観:得られた試験片の透明性、表面性、等を目視にて評価した。
【0056】
実施例2〜7及び比較例1〜4
難燃剤添加量を表1又は表2に示した部数に変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。こうして得られたペレットから、上と同様にして各試験片を作成した。これらの試験片で上記評価方法を実施した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004343475
【0058】
表1に示す通り、実施例ではいずれも薄い厚みの試験片であっても非常に良好な難燃性を示し、かつ耐衝撃性良好、成形品外観は透明又は半透明であるのに対し、比較例1では難燃剤を用いていないため難燃性が劣っている。また比較例2では難燃剤として本発明とは異なるシリコーン重合体を用いたため、特に薄い試験片での難燃性が劣っているほか、成形品が不透明となる。また比較例3では本発明の範囲外の化合物を難燃剤として用いたため、難燃性、耐衝撃性、等が低下していることがわかる。比較例4では難燃剤の添加量が本発明の範囲外であるため、成形加工が困難であった。
【0059】
【表2】
Figure 0004343475
【0060】
実施例8〜15及び比較例5〜12
樹脂として、以下の物を用い、表3〜4に示した割合で樹脂及び難燃剤を配合した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
【0061】
・PET:対数粘度0.70のポリエチレンテレフタレート樹脂
・PBT:対数粘度が1.20のポリブチレンテレフタレート樹脂
・PPE:対数粘度が0.50のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂
・HIPS:ブタジエン・スチレン共重合樹脂である(新日鐵化学株式会社製商品名)エスチレンHI H−53・ABS:アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂である(鐘淵化学工業株式会社製商品名)カネカMUH E−1300
・PMI:スチレン・N−フェニルマレイミド・無水マレイン酸共重合樹脂である(電気化学工業株式会社製商品名)IPポリマーMS−NA
【0062】
【表3】
Figure 0004343475
【0063】
【表4】
Figure 0004343475
【0064】
表3〜4に示すように、いずれも本発明の難燃剤を添加することにより難燃性が向上していることがわかる。
【0065】
産業上の利用の可能性
本発明の難燃剤は、塩素、臭素、リン、窒素など一般に用いられている難燃剤を用いなくても少量の添加量で非常に優れた難燃性を示し、樹脂が本来有する特徴を損なうことも少ない。また種々の樹脂に対して難燃化効果を有しており、かつ安価な原料を用いて比較的容易に合成することが可能である。このような難燃剤は工業的に非常に有用である。

Claims (10)

  1. ケイ素、ホウ素及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸素結合及びホウ素−酸素結合から形成される骨格を有し、かつ、分子内に芳香環を有する重合体からなる難燃剤であって、
    前記重合体は、骨格中にSiR 1/2 単位(式中、Rは、ケイ素原子と結合可能な置換基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)及びBO 3/2 単位を含有し、重合体骨格全体中のSiに結合した複数の有機基のうち少なくともひとつは芳香環を有する1価の有機基である三次元架橋重合体である難燃剤
  2. 前記重合体の骨格が、実質的にSi−O−Si結合、Si−O−B結合、及びB−O−B結合からなり、かつ、分子内の芳香環がケイ素原子に直接結合したものである請求項1記載の難燃剤。
  3. 前記重合体は、骨格中にSiRO3/2単位(式中、Rは、ケイ素原子と結合可能な1価の置換基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよ)及びBO3/2単位を含有する三次元架橋重合体である請求項1又は2記載の難燃剤。
  4. 前記重合体は、分子中に架橋性置換基を含まないか、又は、分子中に架橋性置換基を含む場合には、重合体中のケイ素原子及びホウ素原子上の置換基のうち、架橋性置換基と非架橋性置換基との比率(架橋性置換基/非架橋性置換基)が1/4未満のものである請求項1、2又記載の難燃剤。
  5. 前記重合体は、下記構造を分子内に有するものである請求項1、2、3又記載の難燃剤。
    Figure 0004343475
    (式中、Rは、ケイ素原子と結合可能な1価の置換基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよ。nは1以上の数を示す)
  6. 前記重合体は、重量平均分子量が1000以上であり、かつトルエン溶媒100ml中に1g以上溶解するものである請求項1、2、3、4又記載の難燃剤。
  7. 前記重合体は、1種以上のホウ素化合物と、SiR″X(式中、R″は、1価の有機基を表す。Xはハロゲン、水酸基、及び水酸基の脱水縮合物から選ばれる1種以上であり、複数のXは同一でも互いに異なっていてもよい。)で示される1種以上のケイ素化合物とを混合し、重合させた後、さらに、SiR″X(式中、R″及びXは上記と同じ)で示される1種以上のケイ素化合物を添加し、反応させることにより得られるものである請求項1、2、3、4、5又記載の難燃剤。
  8. 樹脂100重量部、及び、請求項1からのいずれか1項に記載の難燃剤0.1〜50重量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  9. 樹脂は芳香族系樹脂である請求項記載の難燃性樹脂組成物。
  10. 樹脂は、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、N−芳香族置換マレイミド系樹脂、及び芳香族ポリイミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である請求項記載の難燃性樹脂組成物。
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