JP2001323270A - 難燃剤 - Google Patents

難燃剤

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JP2001323270A
JP2001323270A JP2000138975A JP2000138975A JP2001323270A JP 2001323270 A JP2001323270 A JP 2001323270A JP 2000138975 A JP2000138975 A JP 2000138975A JP 2000138975 A JP2000138975 A JP 2000138975A JP 2001323270 A JP2001323270 A JP 2001323270A
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silicon
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JP2000138975A
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Etsuo Horii
越生 堀井
Koji Tsuneishi
浩司 常石
Tatsushi Yoshida
龍史 吉田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で難燃化効果が大きく、かつハロゲン、
リン、窒素、等の原子を実質的に含有しない難燃剤、及
び、これを用いて難燃化された難燃性樹脂組成物を提供
する。 【解決手段】 ケイ素、チタン及び酸素からなり、実質
的にケイ素−酸素結合及びチタン−酸素結合から形成さ
れる骨格を有し、かつ、分子内に芳香環を有する重合体
からなる難燃剤、及び、樹脂100重量部に対して、こ
の難燃剤を0.1〜50重量部含有させてなる難燃性樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン、リン、
窒素、等の原子を含有せず、かつ高度な難燃性能を発揮
する新規な難燃剤、及びこの難燃剤を用いることによ
り、臭素、塩素、リン、等の化合物を用いずに高度に難
燃化された難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂を工業的に利用する場合、例えば電
気電子等の分野に利用する場合は、火災に対する安全性
を確保するために、使用する樹脂に対し、UL−94
V−0(米国アンダーライターズラボラトリー規格)に
適合するような高度な難燃性が要求される例が多く、こ
のため種々の難燃剤が開発検討されている。近年、ヨー
ロッパを中心とした環境問題に関する関心の高まりか
ら、シリコーン系難燃剤等の非ハロゲン系難燃剤の使用
が種々検討されている。
【0003】シリコーン系難燃剤を配合した樹脂組成物
として、特公昭62−60421号公報では、熱可塑性
非シリコーンポリマーに、式SiO1.5で示されるT
単位を80重量%以上含むポリシロキサン樹脂(ポリシ
ロキサン樹脂の分子量が2000以上6000以下で、
フェニル基80%以下、残りがメチル基であることがポ
リマー組成物の耐燃化には好ましいと記載)を配合した
樹脂組成物が開示されている。また、特開平10−13
9964号公報では、芳香環を含有する非シリコーン樹
脂に、式SiO2/2で示される単位と式SiO3/2
で示される単位とを有するシリコーン樹脂(重量平均分
子量は10000以上270000以下)を配合した難
燃性樹脂組成物を開示している。一方、特開平10−3
16868号公報では、アリール含有シリコーン化合物
とジオルガノポリシロキサン化合物とのコポリマーを含
む、芳香族をベースとするポリマーに対する難燃性添加
剤が開示されている。
【0004】しかしながら従来のシリコーン系難燃剤は
難燃化効果が小さいため、芳香族ポリカーボネート系樹
脂など特定の樹脂に添加した時にはある程度の難燃性が
得られるものの、芳香族ポリカーボネート系樹脂以外の
樹脂に添加した場合にはほとんど難燃性が得られないな
ど、汎用的な難燃剤として使用できるものではなかっ
た。また比較的高価であるために経済上、汎用樹脂に使
用できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、安価で難燃化効果が大きく、かつハロゲン、リ
ン、窒素、等の原子を実質的に含有しない難燃剤、及
び、これを用いて難燃化された難燃性樹脂組成物を提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ケイ
素、チタン及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸素結
合及びチタン−酸素結合から形成される骨格を有し、か
つ、分子内に芳香環を有する重合体からなる難燃剤であ
る。本発明の好適な態様では、上記重合体の骨格は、実
質的にSi−O−Si結合、Si−O−Ti結合、及び
Ti−O−Ti結合のいずれかの結合からなり、かつ、
分子内の芳香環がケイ素原子に直接結合する。また本発
明は、樹脂100重量部に対して、上記難燃剤0.1〜
50重量部を含有する難燃性樹脂組成物でもある。以下
に本発明を詳述する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の難燃剤は、ケイ素、チタ
ン及び酸素からなり、実質的にケイ素−酸素結合及びチ
タン−酸素結合から形成される骨格を有する重合体から
なる。すなわち、上記重合体の骨格を形成する結合のう
ち、80%以上、好ましくは90%以上が、ケイ素−酸
素結合及びチタン−酸素結合であるが、これら以外に、
ケイ素−ケイ素結合、チタン−チタン結合、酸素−酸素
結合、ケイ素と2価の有機基との結合、チタンと2価の
有機基との結合などが含まれてもよい。なお本明細書
で、骨格という場合、ケイ素又はチタンと1価の有機基
との結合は、骨格を形成する結合から除外して考える。
【0008】好ましくは、上記重合体は、ケイ素、チタ
ン及び酸素からなり、ケイ素原子及びチタン原子が酸素
原子を介して他のケイ素原子及び/又はチタン原子と結
合して形成される骨格を有する。この場合、上記重合体
の骨格は、Si−O−Ti結合のみから形成されるもの
でもよいし、実質的にSi−O−Ti結合から形成さ
れ、わずかにSi−O−Si結合及び/又はTi−O−
Ti結合を含むものでもよい。また、Si−O−Ti結
合、Si−O−Si結合及びTi−O−Ti結合をラン
ダムに含むような骨格でもよい。さらに、実質的にSi
−O−Si結合及びTi−O−Ti結合からなり、わず
かにSi−O−Ti結合を含むような骨格でもよい。こ
の場合、上記重合体は、ほぼケイ素のみからなる部分
と、ほぼチタンのみからなる部分とが分子中で分割され
たような骨格を持つ。上記重合体の骨格は、線状骨格で
あってもよいし、三次元架橋骨格であってもよいが、難
燃性の観点から、三次元架橋骨格が好ましい。
【0009】本発明の難燃剤における重合体(以下「難
燃剤重合体」ともいう)は、分子内に芳香環を有する。
この芳香環は、1価、2価、3価などであってよいが、
合成の容易さから、1価のものが好ましい。また、分子
内の芳香環はどのような結合形式で結合されていてもよ
く、ケイ素原子及び/又はチタン原子に直接結合しても
よいし、メチレン基やエチレン基などの2価の有機基を
介してケイ素原子及び/又はチタン原子に結合してもよ
い(すなわち、芳香環は、ベンジル基やフェニルエチル
基などのアラルキル基として含まれるものでもよい)。
しかし難燃性がより向上するため、分子内の芳香環はケ
イ素原子に直接結合したものが好ましい。分子内に芳香
環を導入する方法には特に限定はない。
【0010】ここで芳香環とは芳香族に属する環の総称
を指し、特に限定されるものではない。芳香環上には各
種の置換基がついていてもよい。好ましい芳香環として
は、フェニル基、クレジル基、キシレニル基、ビフェニ
ル基、ナフチル基、アントラセニル基、などが挙げられ
る。より好ましくは炭素数6〜20の1価のベンゼン系
又は縮合ベンゼン系芳香環であり、さらに好ましくは炭
素数6〜10のものである。最も好ましくはフェニル基
である。
【0011】また上記重合体は、上記芳香環を含まない
有機基をさらに有してもよい。上記芳香環を含まない有
機基は、1価、2価、3価などであってよいが、合成の
容易さから、1価のものが好ましい。なお、有機基とい
う場合には、ケイ素原子とチタン原子をつなぐ酸素原
子、ケイ素原子同士をつなぐ酸素原子、チタン原子同士
をつなぐ酸素原子は含まない。上記芳香環を含まない有
機基としては、炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素
基が好ましく、より優れた難燃性を得るために、炭素数
1〜6の1価の脂肪族炭化水素基がより好ましい。最も
好ましくはメチル基である。
【0012】より優れた難燃性や耐衝撃性を得るために
は、本発明における難燃剤重合体が有する有機基総量の
うち、芳香環を有する有機基が10モル%以上を占める
ことが好ましく、20モル%以上がより好ましく、30
モル%以上がさらに好ましい。本発明における難燃剤重
合体の好適な態様では、炭素数6〜10の1価の芳香環
と炭素数1〜6の1価の脂肪族炭化水素基の両方を有す
る。
【0013】難燃剤重合体中のケイ素原子は、SiO
4/2単位、SiRO3/2単位、SiR2/2
位およびSiR1/2単位(式中、Rは、Siと結
合可能な置換基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異
なっていてもよく、かつ複数のRのうち少なくともひと
つは芳香環を有する炭化水素基である。)からなる群よ
り選択される少なくとも1種として含有されることが好
ましい。Siと結合可能な置換基は、Siと結合可能な
有機基であり、具体的には、上述した芳香環や、芳香環
を含まない有機基のことをいう。
【0014】これらのケイ素含有単位の比率には特に限
定はない。しかし、SiRO3/2単位は、ケイ素含有
単位総量のうち好ましくは10モル%以上、より好まし
くは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上を
占める。SiRO3/2単位が10モル%未満では、得
られる難燃性樹脂組成物の難燃性が十分ではない場合が
ある。また、SiR2/2単位は、ケイ素含有単位
総量のうち好ましくは90モル%未満、より好ましくは
70モル%未満、更に好ましくは50モル%未満を占め
る。SiR2/2単位が90モル%を超えると、得
られる難燃性樹脂組成物の難燃性が低下する傾向があ
る。さらに、SiO4/2単位は、ケイ素含有単位総量
のうち好ましくは90モル%未満、より好ましくは70
モル%未満、更に好ましくは50モル%未満を占める。
SiR2/2単位が90モル%を超えると、樹脂と
の相溶性が低下する傾向がある。
【0015】難燃剤重合体中のチタン原子は、TiO
3/2単位、TiR′O2/2単位、TiR′
1/2単位、TiO4/2単位、TiR′O3/2
位、TiR′2/2単位およびTiR′1/2
単位(式中、R′は、Tiと結合可能な置換基を示し、
複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、かつ
複数のR′のうち少なくともひとつは芳香環を有する炭
化水素基である。)からなる群より選択される少なくと
も1種として含有されることが好ましい。Tiと結合可
能な置換基は、Tiと結合可能な有機基であり、具体的
には、上述した芳香環や、芳香環を含まない有機基のこ
とをいう。上記チタン含有単位のなかでも、得られる重
合体の安定性の観点から、TiO3/2単位やTiO
4/2単位が好ましく、入手の容易さから、より好まし
くはTiO4/2単位である。
【0016】本発明の好適な態様では、難燃剤重合体
は、SiO4/2単位、SiRO3/2単位、SiR
2/2単位およびSiR1/2単位からなる群よ
り選択される少なくとも1種と、TiO4/2単位およ
び/またはTiO3/2単位とから形成される構造を有
する。各構成単位の比率を変更することにより、種々の
特性を有する難燃剤重合体を得ることが可能である。
【0017】本発明のより好適な態様では、難燃剤重合
体は、SiRO3/2単位及びTiO 4/2単位から形
成される構造を有する三次元架橋重合体である。このよ
うな態様では、より優れた難燃性が得られる。ただし、
この場合でも、SiRO3/2単位以外のケイ素含有単
位を含んでもよいし、TiO4/2単位以外のチタン含
有単位を含んでもよい。
【0018】本発明のさらに好適な態様では、難燃剤重
合体は、SiRO3/2単位、SiR 1/2単位及
びTiO4/2単位から形成される構造を有する三次元
架橋重合体である。このような態様では、特に優れた難
燃性が得られる。ただし、この場合でも、SiRO
3/2単位およびSiR1/2単位以外のケイ素含
有単位を含んでもよいし、TiO4/2単位以外のチタ
ン含有単位を含んでもよい。本発明における難燃剤重合
体は、水酸基、アルコキシ基やハロゲン原子などがチタ
ン原子やケイ素原子に結合してなる反応性基を含まない
ものが好ましい。このような反応性基が難燃剤中に含ま
れると、難燃性が低下する傾向がある。
【0019】本発明の難燃剤重合体に含まれるケイ素原
子:チタン原子比率は特に限定されないが、ケイ素原
子:チタン原子比率がモル比で100:1〜1:5が好
ましく、70:1〜1:3がより好ましく、50:1〜
1:2がさらに好ましい。ケイ素原子:チタン原子比率
が100:1よりもケイ素原子比率が高くなると、得ら
れる難燃性が十分でないことがある。ケイ素原子:チタ
ン原子比率が1:4よりもチタン原子比率が高くなる
と、得られる難燃性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾
向がある。
【0020】本発明の難燃剤重合体の重量平均分子量は
特に限定されないが、800以上1000万以下が好ま
しく、1000以上100万以下がより好ましく、15
00以上20万以下がさらに好ましい。重量平均分子量
が800未満の場合、得られる難燃性が十分でないこと
があり、重量平均分子量が1000万を超えると、得ら
れる難燃性樹脂組成物の成形加工性及び難燃性が低下す
る傾向がある。
【0021】このような難燃剤重合体の製造方法として
は特に限定されず、例えば、Vysokomoleku
lyarnye Soedineniya Vol.2
136−140(1960)等に記載された公知の方
法であってよい。例えば、少なくとも1種の縮合性のケ
イ素化合物と、少なくとも1種の縮合性のチタン化合物
とを混合して、縮合反応をさせることにより製造でき
る。ここで、縮合性のケイ素化合物および縮合性のチタ
ン化合物とは、必要により加水分解を伴って、縮合する
ことにより、Si−O−Si結合、Si−O−Ti結
合、Ti−O−Ti結合などを形成しうる化合物のこと
をいう。
【0022】縮合性のケイ素化合物としては特に限定さ
れず、例えば、四塩化ケイ素、テトラアルコキシシラ
ン、水ガラス、金属ケイ素塩などの四官能ケイ素化合
物、RSiXで示される三官能ケイ素化合物、R
iXで示される二官能ケイ素化合物、RSiXで示
される一官能ケイ素化合物などが挙げられる(式中、R
は、上述と同じ基を表す。Xは、同一又は異なって、ハ
ロゲン、水酸基、または、水酸基の脱水縮合物であ
る)。そのほか、分子内にシロキサン結合を有している
縮合性のケイ素化合物も使用できる。
【0023】縮合性のチタン化合物としては特に限定さ
れず、例えば、チタン酸、酸化チタン、チタン酸金属
塩、ハロゲン化チタン、アルコキシチタンや、有機基を
持つ縮合性チタン化合物などが挙げられる。チタンは3
価のものでもよいし、4価のものでもよいが、入手の容
易さから、4価のものが好ましい。
【0024】反応は、用いる基質や目的の化合物の構造
および分子量によって条件が異なるが、一般的には、必
要により水、酸及び/又は有機溶媒の存在下で、必要に
より加熱しながら上記化合物を混合することにより行う
ことができる。また、ケイ素化合物とチタン化合物の添
加順序を変更することによって、重合体の内部構造や分
子量を制御することも可能である。上述したような反応
性基を含まない難燃性重合体を得る場合には、上記縮合
反応の後、さらに、RSiXで示される少なくとも1
種の一官能ケイ素化合物を過剰量加えて縮合反応をさせ
ることが好ましい。
【0025】SiRO3/2単位及びTiO4/2単位
から形成される構造を有する三次元架橋重合体を得るに
は、チタン酸、酸化チタン、チタン酸金属塩、ハロゲン
化チタンおよびアルコキシチタンからなる群より選択さ
れる少なくとも1種の4価のチタン化合物と、RSiX
で示される三官能ケイ素化合物とを縮合反応させるこ
とが好ましい。
【0026】また、SiRO3/2単位、SiR
1/2単位及びTiO4/2単位から形成される構造を
有する三次元架橋重合体を得るには、チタン酸、酸化チ
タン、チタン酸金属塩、ハロゲン化チタンおよびアルコ
キシチタンからなる群より選択される少なくとも1種の
4価のチタン化合物と、RSiXで示される少なくと
も1種の三官能ケイ素化合物および少なくとも1種のR
SiXで示される一官能ケイ素化合物とを縮合反応を
させることが好ましい。
【0027】特に、上述したような反応性基を含まず、
かつ、SiRO3/2単位、SiR1/2単位及び
TiO4/2単位から形成される構造を有する難燃性重
合体を得る場合には、チタン酸、酸化チタン、チタン酸
金属塩、ハロゲン化チタンおよびアルコキシチタンから
なる群より選択される少なくとも1種の4価のチタン化
合物と、RSiXで示される少なくとも1種の三官能
ケイ素化合物とを縮合反応をさせた後、さらに、R
iXで示される少なくとも1種の一官能ケイ素化合物を
過剰量加えて縮合反応をさせることが好ましい。
【0028】本発明の難燃剤重合体は、樹脂との親和性
を高めたり、各種特性を付与するために、本発明の趣旨
を損なわない範囲で各種化合物を共重合させたり、各種
官能基にて変成させることができる。各種化合物を共重
合させる方法には特に限定はなく、グラフト共重合体、
ブロック共重合体、ランダム共重合体、末端のみ置換さ
れた共重合体、等が挙げられる。各種官能基にて変成さ
せる方法にも特に限定はなく、官能基含有化合物を共重
合する方法、難燃剤を合成した後に各種化学反応により
変成させる方法、等が挙げられる。また共重合させる化
合物は本発明の趣旨を損なわない範囲で特に限定は無
い。共重合させる化合物の例として、エポキシ基含有化
合物、ビニル基含有化合物、水酸基含有化合物、カルボ
ニル基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、アルコ
キシル基含有化合物、フェニル基含有化合物、アミノ基
含有化合物、アミド基含有化合物、イミド基含有化合
物、メルカプト基含有化合物、ニトリル基含有化合物、
エーテル基含有化合物、エステル基含有化合物、各種高
分子化合物、等が挙げられる。特に添加される樹脂と親
和性の高い置換基を有する化合物または高分子を共重合
させることにより、得られた難燃性樹脂組成物の各種特
性を維持させることが可能となる。
【0029】本発明の難燃剤を使用する場合の形状とし
ては特に限定されず、オイル状、ガム状、ワニス状、粉
体状、ペレット状など任意の形状であってよい。本発明
の難燃剤を使用する場合には、1種類のみを単独で用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
2種以上の組み合わせとしては特に限定されず、重合成
分やモル比が異なるもの、分子量が異なるもの等を任意
に組み合わせて使用することができる。また、本発明の
難燃剤には、本発明の趣旨を損なわない範囲でその他の
添加物を配合することを排除するものではない。
【0030】本発明の難燃剤重合体は、樹脂100重量
部に対して、0.1〜50重量部添加することで所期の
目的を達成することができる。0.1重量部未満では難
燃性の改善効果が得られない場合があり、50重量部を
超えると、表面性や成形加工性等が悪化する傾向があ
る。好ましくは0.3〜30重量部であり、より好まし
くは0.5〜20重量部である。したがって、10重量
部以下という極少量の使用であっても十分な難燃性を得
ることが可能である。なお、本発明の難燃剤と、他の公
知の各種難燃剤とを組み合わせて使用することにより、
さらに高度な難燃性を得ることができるが、そのときに
は上記使用量に限定されず、さらに少量の添加量でも難
燃性組成物を得ることが可能である。また、本発明の難
燃剤が他の添加成分を有するときは、上記難燃剤重合体
の配合量が上述の範囲となるようにすればよい。
【0031】本発明の難燃性樹脂組成物で用いられる樹
脂としては特に限定されず、難燃剤を混合することが可
能な各種高分子化合物を用いることができる。樹脂は熱
可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよく、ま
た合成樹脂であっても自然界に存在する樹脂であっても
良い。本発明の難燃剤を単独で用いて十分な難燃性を得
るのが困難な場合には、他の公知の各種難燃剤を組み合
わせることにより高度な難燃性を発揮させることができ
る。樹脂の中でも本発明を用いて難燃化させることが容
易であることから、樹脂として芳香族系樹脂を用いるの
が好ましい。芳香族系樹脂とは、分子内に少なくとも1
個以上の芳香環を有する樹脂を示す。
【0032】芳香族系樹脂の中でも、芳香族ポリカーボ
ネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニ
レンエーテル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニ
レンスルフィド系樹脂、N−芳香族置換マレイミド系樹
脂、ポリイミド系樹脂、および、これらのうちの少なく
とも2種からポリマーアロイ、からなる群より選択され
る少なくとも1種を用いるのが好ましい。これらの樹脂
を単独で用いてもよく、これ以外の他の各種樹脂とのア
ロイとして用いてもよい。
【0033】本発明の難燃性樹脂組成物には、更に成形
流動性を高めたり、難燃性を向上させるために、本発明
の特性(難燃性等)を損なわない範囲で、本発明の難燃
剤重合体以外のシリコーン等を添加することができる。
本発明の難燃剤以外のシリコーンとは、本発明の難燃剤
を除く広義のポリオルガノシロキサンのことをさし、具
体的には、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキ
サン等の(ポリ)ジオルガノシロキサン化合物;メチル
シルセスキオキサン、フェニルシルセスキオキサン等の
(ポリ)オルガノシルセスキオキサン化合物;トリメチ
ルシルヘミオキサン、トリフェニルシルヘミオキサン等
の(ポリ)トリオルガノシルヘミオキサン化合物;これ
らを重合して得られる共重合体;ポリジメチルシロキサ
ン、ポリフェニルメチルシロキサン等が挙げられる。ポ
リオルガノシロキサンである場合には、分子末端がエポ
キシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミ
ノ基、エーテル基等により置換された変性シリコーンも
有用である。シリコーンの形状には特に制限はなく、オ
イル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット状など任
意のものが利用可能である。
【0034】更に本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明
の特性(難燃性等)を損なわない範囲で強化充填剤を組
み合わせることにより、強化材料としてもよい。すなわ
ち、強化充填剤を添加することで、更に耐熱性や機械的
強度等の向上を図ることができる。このような強化充填
剤としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素
繊維、チタン酸カリウム繊維等の繊維状充填剤;ガラス
ビーズ、ガラスフレーク;タルク、マイカ、カオリン、
ワラストナイト、スメクタイト、珪藻土等のケイ酸塩化
合物;炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム
等が挙げられる。なかでも、ケイ酸塩化合物及び繊維状
充填剤が好ましい。
【0035】また、本発明の難燃性樹脂組成物をより高
性能なものにするため、フェノール系酸化防止剤、チオ
エーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤;リン系安定剤等
の熱安定剤;等を1種のみで又は2種類以上併せて使用
することが好ましい。更に必要に応じて、通常良く知ら
れた、滑剤、離型剤、可塑剤、リン化合物等の難燃剤、
難燃助剤、ドリッピング防止剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、
相溶化剤、抗菌剤等の添加剤を1種のみで又は2種類以
上併せて使用することもできる。
【0036】本発明の難燃性樹脂組成物を製造するため
の方法としては特に限定されない。例えば、上述したよ
うな成分を必要に応じて乾燥させた後、単軸、二軸等の
押出機のような溶融混練機にて、溶融混練する方法等に
より製造することができる。また、配合剤が液体である
場合は、液体供給ポンプ等を用いて二軸押出機に途中添
加して製造することもできる。
【0037】本発明の難燃性樹脂組成物の成形加工法と
しては特に限定されず、一般に用いられている成形法、
例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、
プレス成形、カレンダー成形、発泡成形等を利用するこ
とができる。本発明の難燃性樹脂組成物は、種々の用途
に好適に使用することができる。好ましい用途として
は、家電、OA機器部品、自動車部品等の射出成形品、
ブロー成形品、押出成形品、発泡成形品等が挙げられ
る。
【0038】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、以下では特に断りがない限り、「部」
は重量部を、「%」は重量%を意味する。実施例1 樹脂添加用難燃剤(HS−1)の製造 フェニルトリメトキシシラン(198.3g、1.00
mol)、水(36g、2.00mol)、0.2N−
塩酸(1.00g)を室温で1時間撹拌し、均一溶液と
してから、反応溶液の温度を50℃に上げてからチタン
テトライソプロポキシド(71.1g、0.25mo
l)のトルエン溶液200mlを加え、80℃で3時間
撹拌を行った。その後、室温に戻してからトリメチルク
ロロシラン(108.6g、1.00mol)を加え、
更に60℃で2時間撹拌し、反応を終了した。反応終了
後、溶液を純水で洗浄し、減圧下溶媒を留去することに
より目的の化合物(171.0g)を得た。分子量はG
PC分析の結果、Mw=2276(ポリスチレン換算、
RI検出器)であった。得られた化合物は、IR分析の
結果920cm−1付近にSi−O−Ti結合由来のピ
ークを示し、1050〜1140cm−1付近にSi−
O−Si結合由来のピークを示し、1430cm −1
近にSi−Ph結合由来のピークを示した。NMRによ
る分析の結果、ケイ素原子全数中、Me−Si−O
1/2結合が34モル%、Ph−Si−O /2結合が
66モル%であった。
【0039】樹脂組成物の調製 粘度平均分子量が約22000のビスフェノールA型ポ
リカーボネート樹脂(A−1)100重量部、製造例1
で製造した樹脂添加用難燃剤(HS−1)5重量部、並
びに、燐系及びフェノール系安定剤としてそれぞれアデ
カスタブHP−10及びAO−60(いずれも旭電化製
で商品名)各0.1重量部、テトラフルオロエチレンと
してポリフロンFA−500(ダイキン工業製商品名)
0.2重量部、を予めドライブレンドした後、シリンダ
ー温度を270℃に設定したベント付き二軸押出機[T
EX44(商品名):日本製鋼所製]のホッパーに供給
し溶融押出することにより、樹脂組成物を得た。
【0040】試験片の作成 得られたペレットを120℃にて5時間乾燥させた後、
35t射出成形機を用い、シリンダー温度270℃、金
型温度50℃にて厚み0.9mm、1.6mm、3.2
mmのバー(幅12mm、長さ127mm)を作成して
下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】評価方法 ・難燃性:UL−94規格に従い、厚み0.9mm、
1.6mmバーの難燃性をV試験で評価した。なお、消
火しなかった場合を「測定不可」として表した。 ・耐衝撃性:ASTM D−256に従い、厚み3.2
mmバーの23℃ノッチ付きアイゾット衝撃試験で評価
した。 ・成形品外観:得られた試験片の透明性、表面性、等を
目視にて評価した。
【0042】実施例2〜4及び比較例1〜4 難燃剤添加量を表1に示した部数に変更した以外は、実
施例1と同様にして樹脂組成物を得た。こうして得られ
たペレットから、上と同様にして各試験片を作成した。
これらの試験片で上記評価方法を実施した。評価結果を
表1に示す。ただし、実施例2〜12で使用したHS−
2、比較例2で使用したSi−1、および、比較例3で
使用したT−Xは、次のようにして製造したものを用い
た。
【0043】樹脂添加用難燃剤(HS−2)の製造 フェニルトリメトキシシラン(198.3g、1.00
mol)、水(36g、2.00mol)、0.2N−
塩酸(1.00g)を室温で1時間撹拌し、均一溶液と
してから、反応溶液を80℃に上げ、チタンテトライソ
プロポキシド(71.1g、0.25mol)のトルエ
ン溶液200mlを加え、環流下、3時間撹拌を行っ
た。その後、室温に戻してからトリメチルクロロシラン
(108.6g、1.00mol)を加え、更に60℃
で2時間撹拌し、反応を終了した。反応終了後、溶液を
純水で洗浄し、減圧下溶媒を留去することにより目的の
化合物(154.5g)を得た。分子量はGPC分析の
結果、Mw=2311(ポリスチレン換算、RI検出
器)であった。得られた化合物は、IR分析の結果93
0cm−1付近にSi−O−Ti結合由来のピークを示
し、1000〜1140cm−1付近にSi−O−Si
結合由来のピークを示し、1430cm−1付近にSi
−Ph結合由来のピークを示した。NMRによる分析の
結果、ケイ素原子全数中、Me−Si−O1/2結合
が24モル%、Ph−Si−O3/2結合が76モル%
であった。
【0044】シリコーン化合物(Si−1)の製造 メチルイソブチルケトン溶液(lL)中にフェニルトリ
クロロシラン(342.7g、1.62mol)を溶解
し、氷冷下、純水を250mlを滴下後、5時間、環流
下反応を行った。その後、トリメチルクロロシラン(1
76g、1.62mol)を加えてさらに3時間環流し
て反応を終了した。反応終了後、純水にて洗浄を繰り返
し、真空下溶剤を留去することによりシルセスキオキサ
ン化合物を得た。分子量はGPC分析の結果、Mw=1
1700(ポリスチレン換算、UV検出器)であった。
NMRによる分析の結果、ケイ素原子全数中、Me
Si−O1/2結合が8モル%、Ph−Si−O3/2
結合が92モル%であった。
【0045】樹脂添加用難燃剤(T−X)の製造 ジメチルジメトキシシラン(120.2g、1.00m
ol)、水(36g、2.00mol)、0.2N−塩
酸(1.00g)を室温で1時間撹拌し、均一溶液とし
てから、反応溶液を80℃に上げ、チタンテトライソプ
ロポキシド(71.1g、0.25mol)のトルエン
溶液200mlを加え、環流下、3時間撹拌を行った。
その後、室温に戻してからトリメチルクロロシラン(1
08.6g、1.00mol)を加え、更に60℃で2
時間撹拌し、反応を終了した。反応終了後、溶液を純水
で洗浄し、減圧下溶媒を留去することにより目的の化合
物(115.0g)を得た。分子量はGPC分析の結
果、Mw=3857(ポリスチレン換算、RI検出器)
であった。NMRによる分析の結果、ケイ素原子全数
中、Me−Si−O2/2結合が74モル%、Me
−Si−O1/2結合が26モル%であった。
【0046】
【表1】
【0047】表1に示す通り、実施例ではいずれも薄い
厚みの試験片であっても非常に良好な難燃性を示し、か
つ耐衝撃性良好、成形品外観は半透明であるのに対し、
比較例1では難燃剤を用いていないため難燃性が劣って
いる。また比較例2では難燃剤として本発明とは異なる
シリコーン重合体を用いたため、特に薄い試験片での難
燃性が劣っているほか、成形品が不透明となる。また比
較例3では本発明の範囲外の化合物を難燃剤として用い
たため、難燃性、耐衝撃性、等が低下していることがわ
かる。比較例4では難燃剤の添加量が本発明の範囲外で
あるため、成形加工が困難であった。
【0048】実施例5〜12及び比較例5〜12 樹脂として、以下の物を用い、表2〜3に示した割合で
樹脂及び難燃剤を配合した以外は実施例1と同様にして
樹脂組成物を得た。 ・PET:対数粘度0.70のポリエチレンテレフタレ
ート樹脂 ・PBT:対数粘度が1.20のポリブチレンテレフタ
レート樹脂 ・PPE:対数粘度が0.50のポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂 ・HIPS:ブタジエン・スチレン共重合樹脂である
(新日鐵化学株式会社製商品名)エスチレンHI H−
53 ・ABS:アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共
重合樹脂である(鐘淵化学工業株式会社製商品名)カネ
カMUH E−1300 ・PMI:スチレン・N−フェニルマレイミド・無水マ
レイン酸共重合樹脂である(電気化学工業株式会社製商
品名)IPポリマーMS−NA
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】表2〜3に示すように、いずれも本発明の
難燃剤を添加することにより難燃性が向上していること
がわかる。
【0052】
【発明の効果】本発明の難燃剤は、塩素、臭素、リン、
窒素、等一般に用いられている難燃剤を用いなくても少
量の添加で非常に優れた難燃性を示し、樹脂が本来有す
る特徴を損なうことも少ない。また種々の樹脂に対して
難燃化効果を有しており、かつ安価な原料を用いて比較
的容易に合成することが可能である。このような難燃剤
は工業的に非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83:14) C08L 83:14) (72)発明者 吉田 龍史 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4H028 AA42 AA49 AB04 BA03 BA06 4J002 BC001 BH021 CF041 CG011 CH071 CM041 CN021 CP032 CP072 CP202 CQ032 FD010 FD020 FD060 FD070 FD132 GQ00 4J030 CA01 CB01 CB18 CC15 CC16 CD11 CE02 CG22

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ素、チタン及び酸素からなり、実質
    的にケイ素−酸素結合及びチタン−酸素結合から形成さ
    れる骨格を有し、かつ、分子内に芳香環を有する重合体
    からなることを特徴とする難燃剤。
  2. 【請求項2】 ケイ素、チタン及び酸素からなり、実質
    的にケイ素−酸素結合及びチタン−酸素結合から形成さ
    れる骨格を有し、かつ、分子内に芳香環を有する重合体
    の骨格が、実質的にSi−O−Si結合、Si−O−T
    i結合、及びTi−O−Ti結合のいずれかの結合から
    なり、かつ、分子内の芳香環がケイ素原子に直接結合し
    たものである請求項1記載の難燃剤。
  3. 【請求項3】 ケイ素、チタン及び酸素からなり、実質
    的にケイ素−酸素結合及びチタン−酸素結合から形成さ
    れる骨格を有し、かつ、分子内に芳香環を有する重合体
    は、SiRO3/2単位(式中、Rは、Siと結合可能
    な置換基を示し、複数のRはそれぞれ同一でも異なって
    いてもよく、かつ複数のRのうち少なくともひとつは芳
    香環を有する炭化水素基である)及びTiO4/2単位
    から形成される構造を有する三次元架橋重合体である請
    求項1又は2記載の難燃剤。
  4. 【請求項4】 樹脂100重量部に対して、請求項1か
    ら3のいずれか1項に記載の難燃剤0.1〜50重量部
    を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂は芳香族系樹脂である請求項4記載
    の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 樹脂は、芳香族ポリカーボネート系樹
    脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテ
    ル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフ
    ィド系樹脂、N−芳香族置換マレイミド系樹脂、ポリイ
    ミド系樹脂、および、これらのうちの少なくとも2種か
    らなるポリマーアロイ、からなる群より選択される少な
    くとも1種である請求項4又は5記載の難燃性樹脂組成
    物。
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