JP2000129109A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JP2000129109A
JP2000129109A JP29996198A JP29996198A JP2000129109A JP 2000129109 A JP2000129109 A JP 2000129109A JP 29996198 A JP29996198 A JP 29996198A JP 29996198 A JP29996198 A JP 29996198A JP 2000129109 A JP2000129109 A JP 2000129109A
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Yoichi Ohara
洋一 大原
Yoshitaka Oono
良貴 大野
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非ハロゲン難燃剤であるシリコーン樹脂およ
び酸化ジルコニウムを主たる難燃剤とした樹脂組成物で
あって、難燃性と共に成形体の表面外観性、耐薬品性に
も優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物を得る。 【解決手段】 (A)ポリカーボネート系樹脂100〜
50重量%および(B)ポリエステル系樹脂0〜50重
量%からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、
(C)シリコーン樹脂0.5〜30重量部、(D)酸化
ジルコニウム0.5〜50重量部からなる難燃性熱可塑
性樹脂組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコーン樹脂お
よび酸化ジルコニウムで難燃化され、さらに成形体表面
外観性、耐薬品性に優れたポリカーボネート系熱可塑性
樹脂組成物に関する。
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、機械的特性、
耐熱性、透明性に優れており、電気電子部品用材料、自
動車部品用材料、建築用材料、シート材料、食品容器材
料などに広く用いられている。また、成形流動性や耐薬
品性などが要求される分野においては、ポリエステル樹
脂との組成物として用いられる。さらに、難燃性が要求
される用途においては、各種難燃剤が添加される。近
年、ハロゲン系難燃剤、特に塩素あるいは臭素を含有す
る難燃剤においては、加熱溶融時の腐食性ガス発生など
の問題により、塩素あるいは臭素を含有しない、いわゆ
る、非ハロゲン難燃剤が注目されており、その1種とし
て、シリコーン樹脂が特に注目されている。シリコーン
樹脂は、樹脂の耐摩耗性、潤滑性、摺動性、成形加工性
を改善する目的で用いることは既に知られており、さら
に、他の難燃剤と組み合わせることにより燃焼試験時の
溶融滴下性を防止する効果があることも既に知られてい
る。さらに、難燃剤として用いる技術としては、特開平
1−318069号公報には、特定のシリコーン樹脂を
耐焔剤として用いる方法が、特開平3−143951号
公報には、ポリカーボネート系樹脂に特定の縮合トリオ
ルガノシロキサン単位と縮合ジオルガノシロキサン単位
からなるシリケート樹脂を添加した難燃性芳香族ポリカ
ーボネート系樹脂組成物が、特開平4−359960号
公報にはポリカーボネート樹脂にポリ(アリールオキシ
シロキサン)を添加した難燃性、透明性、耐衝撃性に優
れた樹脂組成物が、特開平10−139964号公報に
は芳香環を含有する非シリコーン樹脂とR2SiO1.0
よびRSiO1.5で示される単位を持つ特定のシリコー
ン樹脂からなる難燃性樹脂組成物がそれぞれ提案されて
いる。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記技
術に関し、ポリカーボネート系熱可塑性樹脂組成物にお
いて本発明者らが検討した結果、確かにシリコーン樹脂
を用いることにより、難燃性は向上するものの、UL9
4の5V試験のようなさらに高い難燃性の要求に対して
は満足いくものではなく、高い難燃性を得るためには、
シリコーン樹脂を多量に添加する必要が有り、コスト
高、ポリカーボネート樹脂本来の物性低下などの問題が
有ることがわかった。このような問題点があるため、シ
リコーン樹脂を用いたポリカーボネート系熱可塑性樹脂
組成物の利用が制限されている。このような問題を解決
するために、本発明者らは、シリコーン樹脂に遷移金属
系化合物、ホウ素系化合物を併用することを提案した。
しかしながら、このような方法では、高い難燃性は選ら
れるものの、射出成形にて成形体を得る場合、薄肉成形
体あるいはピンゲートなどの小口径ゲートによって、高
速射出力あるいは高せん断力などがかかる成形体の成形
においては、ゲート周辺などにシルバーや剥離が発生
し、表面性が大きく損なわれる問題があることがわかっ
た。本発明の目的は、非ハロゲン難燃剤であるシリコー
ン樹脂を主たる難燃剤とし、UL94−5V試験でも高
い難燃性を有するとともに、成形体表面性の良好なポリ
カーボネート系熱可塑性樹脂組成物を提供することであ
る。
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、シリコーン樹脂に遷移金属系化合物の中で特に
酸化ジルコニウムを併用添加することにより、高い難燃
性が選られると共に、射出成形にて、高速射出力あるい
は高せん断力などがかかる成形体の成形においても良好
な表面性が選られることを見出し本発明に至った。さら
に、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、シリコーン
樹脂および酸化ジルコニウムを用いることで耐薬品性に
も優れ、特に、ポリカーボネート系樹脂およびポリエス
テル系樹脂からなる樹脂組成物で顕著であることもわか
った。すなわち、本発明は、(A)ポリカーボネート系
樹脂100〜50重量%および(B)ポリエステル系樹
脂0〜50重量%からなる熱可塑性樹脂100重量部に
対して、(C)シリコーン樹脂0.5〜30重量部
(D)酸化ジルコニウム0.5〜50重量部からなる難
燃性熱可塑性樹脂組成物(請求項1)、さらには、
(E)フッ素樹脂0.005〜1重量部からなる請求項
1記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求項2) (C)シリコーン樹脂が、R2SiO1.0単位(式中、R
はそれぞれ独立に置換または非置換の1価の炭化水素
基)を有するシリコーンオイルであることを特徴とする
難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求項3)、(C)シリコ
ーン樹脂が、RSiO1.5単位、R3SiO0.5単位(式
中、Rはそれぞれ独立に置換または非置換の1価の炭化
水素基)を有するポリオルガノシルセスキオキサン樹脂
であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物(請
求項4)、(C)シリコーン樹脂が、RSiO1.5
位、R2SiO1.0単位(式中、Rはそれぞれ独立に置換
または非置換の1価の炭化水素基)を有するポリオルガ
ノシロキサン樹脂であることを特徴とする難燃性熱可塑
性樹脂組成物(請求項5)、(C)シリコーン樹脂が、
ポリオルガノシロキサン系ゴムであることを特徴とする
難燃性熱可塑性樹脂組成物(請求項6)に関する。
【発明の実施形態】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
は、(A)ポリカーボネート系樹脂100〜50重量%
および(B)ポリエステル系樹脂0〜50重量%からな
る熱可塑性樹脂100重量部に対して、(C)シリコー
ン樹脂0.5〜30重量部、(D)酸化ジルコニウム
0.5〜50重量部からなる樹脂組成物である。本発明
で用いられるポリカーボネート系樹脂(A)は、2価以
上のフェノール化合物と、ホスゲン、または、ジフェニ
ルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを反応させて得
られるものである。前記2価以上のフェノール化合物と
しては、2価フェノールである、例えば、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェ
ノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン;ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニ
ル)メタン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン;1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン;2−メチル−1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン;1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−フル
オロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,4−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ペンタン;4−メチル−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン;4,4−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ノナン;1,10−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)デカン;1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンな
どのジヒドロキシジアリールアルカン類、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジ
ヒドロキシジアリールシクロアルカン類、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン;ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキ
シジアリールスルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテル;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエ
ーテル類、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒド
ロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケ
トン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィ
ド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドな
どのジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’
−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル
類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類などが挙げ
られる。また、前記二価フェノール類以外に、ヒドロキ
ノン,レゾルシノール,メチルヒドロキノンなどのジヒ
ドロキシベンゼン類、1,5−ジヒドロキシナフタレ
ン;2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキ
シナフタレン類なども挙げられる。これらの中では、
2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニ
ル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−ジヒ
ドロキシベンゾフェノンが本発明の難燃性熱可塑性樹脂
組成物の成形加工性、難燃性および得られる成形体の機
械的強度、難燃性の点から好ましい。これらの二価フェ
ノール等は、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を
組合わせて用いてもよい。前記炭酸ジエステル化合物と
しては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカー
ボネートや、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネ
ートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。ポリ
カーボネート系樹脂(A)には、必要に応じて、分岐性
を生成させることを目的として分岐剤を用いるものであ
ってもよい。前記分岐剤としては、例えば、フロログル
シン,メリト酸,トリメリト酸,トリメリト酸クロリ
ド,無水トリメリト酸,没食子酸,没食子酸n−プロピ
ル,プロトカテク酸,ピロメリト酸,ピロメリト酸二無
水物,α−レゾルシン酸,β−レゾルシン酸,レゾルシ
ンアルデヒド,トリメチルクロリド,イサチンビス(o
−クレゾール),トリメチルトリクロリド,4−クロロ
ホルミルフタル酸無水物,ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸;2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン;
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン;2,4,4’−トリヒドロキシフェニルエーテル;
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシフェニルエーテ
ル;2,4,4’−トリヒドロキシジフェニル−2−プ
ロパン;2,2’−ビス(2,4−ジヒドロキシ)プロ
パン;2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニ
ルメタン;2,4,4’−トリヒドロキシジフェニルメ
タン;1−〔α−メチル−α−(4’−ジヒドロキシフ
ェニル)エチル〕−3−〔α’,α’−ビス(4”−ヒ
ドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;1−〔α−メチ
ル−α−(4’−ジヒドロキシフェニル)エチル〕−4
−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エ
チル〕ベンゼン;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼ
ン;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5’−メチルベン
ジル)−4−メチルフェノール;4,6−ジメチル−
2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−2
−ヘプテン;4,6−ジメチル−2,4,6−トリス
(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプタン;1,
3,5−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゼ
ン;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン;2,2−ビス〔4,4−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキシル〕プロパン;2,6−ビス
(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)−
4−イソプロピルフェノール;ビス〔2−ヒドロキシ−
3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−5
−メチルフェニル〕メタン;ビス〔2−ヒドロキシ−3
−(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)
−5−メチルフェニル〕メタン;テトラキス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;トリス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フェニルメタン;2’,4’,7−トリヒドロキ
シフラバン;2,4,4−トリメチル−2’,4’,7
−トリヒドロキシフラバン;1,3−ビス(2’,4’
−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン;トリ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)−アミル−s−トリア
ジンなどが挙げられる。また、場合によっては、ポリカ
ーボネート系樹脂(A)としては、ポリカーボネート部
と、ポリオルガノシロキサン部とからなるポリカーボネ
ート−ポリオルガノシロキサン共重合体であってもよ
い。この際ポリオルガノシロキサン部の重合度は5以上
が好ましい。また、ポリカーボネート系樹脂(A)の重
合時の末端停止剤としては、公知の各種のものを使用す
ることができる。具体的には、一価フェノールとして、
例えば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチル
フェノール,p−t−オクチルフェノール,p−クミル
フェノール,ブロモフェノール,トリブロモフェノー
ル,ノニルフェノールなどが挙げられる。さらに、難燃
性を高めるために、リン含有化合物との共重合体、ある
いは、リン含有化合物で末端封止したポリカーボネート
樹脂を使用することもできる。さらに、耐候性を高める
ためには、ベンゾトリアゾール基を有する二価フェノー
ルとの共重合体、あるいは、ベンゾトリアゾール基を有
する一価フェノールで末端封止したポリカーボネート樹
脂を使用することもできる。ポリカーボネート系樹脂
(A)としては、好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロ
キシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニ
ルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
スルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンから
選ばれる1種以上のフェノール化合物、さらに好ましく
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサンから選ばれる1種以
上のフェノール化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステル
とを反応させて得られるポリカーボネート樹脂あるいは
ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体が
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の成形加工性および
得られる成形体の機械的強度の点から好ましく用いられ
る。ポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量
は、好ましくは10000〜60000であり、さらに
好ましくは15000〜45000、最も好ましくは1
8000〜35000である。粘度平均分子量が100
00未満では得られる樹脂組成物の難燃性、強度などが
不充分となり、粘度平均分子量が60000を越える
と、成形流動性に問題がある傾向がある。ポリカーボネ
ート系樹脂(A)は、単独で、あるいは、2種以上を組
み合わせて使用される。2種以上組み合わせて使用する
場合には、組み合わせは限定されない。例えば、モノマ
ー単位が異なるもの、共重合モル比が異なるもの、分子
量が異なるものなどが任意に組み合わせられる。本発明
では、ポリカーボネート系樹脂(A)の成形流動性、耐
薬品性などを改善する目的から、ポリエステル系樹脂
(B)を用いることができる。ポリエステル系樹脂
(B)とのは、2価以上のカルボン酸成分と2価以上の
アルコールおよび/またはフェノール成分とを公知の方
法で重縮合することにより得られる熱可塑性ポリエステ
ル樹脂である。前記2価以上のカルボン酸成分として
は、炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、炭
素数3〜12の2価以上の脂肪族カルボン酸、炭素数8
〜15の2価以上の脂環式カルボン酸、などのカルボン
酸類およびこれらのエステル形成性誘導体が用いられ
る。これらの具体例としては、芳香族カルボン酸として
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ビス(p−カルボシフェニル)メタンアン
トラセンジカルボン酸、4−4’−ジフェニルジカルボ
ン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−
ジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、トリ
メシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、等のカル
ボン酸及びそのエステル形成能を有する誘導体が挙げら
れる。脂肪族カルボン酸または脂環族カルボン酸とし
て、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカル
ボン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン
酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、などのジカルボン酸また
は、そのエステル形成能を有する誘導体が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて
用いてもよい。これらの中ではテレフタル酸、イソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成
性誘導体が本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の成形加
工性、得られる成形体の機械的強度の点から好ましく用
いられる。前記2価以上のアルコール化合物及び/又は
フェノール化合物としては、炭素数2〜15の脂肪族化
合物、炭素数6〜20の脂環式化合物、炭素数6〜40
の芳香族化合物であって分子内に2個以上の水酸基を有
する化合物類、およびこれらのエステル形成性誘導体な
どが挙げられる。具体的には、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオー
ル、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロ
ヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,
2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールな
どの化合物または、そのエステル形成能を有する誘導体
が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく2種以上
を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、エチレ
ングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シ
クロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパンが本発明の熱可塑性樹脂組成
物中におけるポリエステル系樹脂(B)の分散性および
ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性の点から好ま
しく用いられる。また、ポリエステル系樹脂(B)に
は、前記の成分以外に、本発明の難燃性樹脂組成物の難
燃性、耐湿熱性などの特性を損なわない範囲で、公知の
共重合可能な成分を共重合しても良い。前記共重合可能
な成分としては、p−オキシ安息香酸、p−ヒドロキシ
安息香酸のようなオキシ酸およびこれらのエステル形成
性誘導体、ε−カプロラクトンのような環状エステルな
ども共重合成分として使用することができる。さらに、
ポリエーテル化合物である、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコ
ール、ポリ(エチレンオキシド・プロピレンオキシド)
共重合体、ポリ(エチレンオキシド・テトラヒドロフラ
ン)共重合体、ポリ(エチレンオキシド・プロピレンオ
キシド・テトラヒドロフラン)共重合体、ビスフェノー
ルAのエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノールA
のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAの
テトラヒドロフラン付加重合体、ビスフェノールAの
(エチレンオキシド・プロピレンオキシド)付加重合
体、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加重合体、
ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加重合体、ビ
スフェノールSのテトラヒドロフラン付加重合体、ビス
フェノールSの(エチレンオキシド・プロピレンオキシ
ド)付加重合体などのビスフェノール類のエチレンオキ
シド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどの
アルキレンオキシド付加重合体なども共重合成分として
挙げられる。また、ε−カプロラクトン、メチル−ε−
カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、トリ
メチル−ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、
ビバロラクトン、γ−バレロラクトン、エナントラクト
ン、カプリロラクトンなど環状のラクトン類の重合体で
あるポリラクトンも共重合体成分として挙げられる。前
記ポリエーテル化合物および/またはポリラクトンは、
単独で用いても良よく異種および/または分子量の異な
る2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記ポリエー
テル化合物および/またはポリラクトンの共重合割合は
40重量%以下、さらには35%以下が好ましい。ポリ
エステル系樹脂(B)の具体例としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタ
レート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレ
ート、ポリアリレートなどの芳香族ポリエステル、ポリ
エチレンアジペート等の脂肪族ポリエステルなどが挙げ
られ、さらには、これらの芳香族ポリエステルと脂肪族
あるいは脂環族ポリエステルとの共重合体であってもよ
い。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせ
て用いてもよい。これらの中では、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレン
ナフタレート、ポリアリレートが、特にはポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが、ポリ
カーボネート系樹脂(A)との相溶性および難燃性、成
形加工性、耐湿熱性の点から好ましく用いられる。ポリ
エステル系樹脂(B)の、フェノール/テトラクロロエ
タン=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で測定した
ときの対数粘度(IV)は、0.30〜2.00dl/
gであり、好ましくは0.40〜1.80dl/g、さ
らに好ましくは0.50〜1.60dl/gである。対
数粘度が0.30dl/g未満の場合では、成形体の機
械的強度などが不十分である場合が多く、対数粘度が
2.00dl/gを超えると、成形流動性に問題がある
傾向がある。ポリエステル系樹脂(B)は、単独で用い
てもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上
を組み合わせて用いる場合には、組み合わせは限定され
ない。例えば、共重合成分やモル比が異なるもの、対数
粘度の異なるものなどが任意に組み合わせて用いられ
る。本発明において、ポリカーボネート系樹脂(A)と
ポリエステル系樹脂(B)との混合比((A)成分/
(B)成分)は、重量比で100/0〜50/50であ
り、好ましくは99/1〜55/45、さらに好ましく
は95/5〜60/40の範囲である。ポリカーボネー
ト系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との混合比
((A)成分/(B)成分)が50/50未満の場合、
ポリカーボネート系樹脂の特徴である機械的強度や耐衝
撃性が低下する傾向にあるため好ましくない。本発明で
は、難燃性を付与する目的で、シリコーン樹脂(C)、
酸化ジルコニウム(D)を用いる。両者の併用により難
燃性、表面外観性、耐薬品性に優れたポリカーボネート
系樹脂組成物を得ることができる。本発明で用いられる
シリコーン樹脂(C)は、R3SiO0.5(M単位)、R
2SiO1.0(D単位)、RSiO1.5(T単位)、Si
2.0(Q単位)(式中、Rはそれぞれ独立に置換また
は非置換の1価の炭化水素基)で表わされる単位の少な
くともいずれかから成るポリオルガノシロキサンであ
る。具体的には、R3SiO0.5(M単位)、R2SiO
1.0(D単位)を有するポリジオルガノシロキサンオイ
ル、R3SiO0.5(M単位)、RSiO1.5(T単位)
を有するポリシルセスキオキサン樹脂、R2SiO
1.0(D単位)、RSiO1.5(T単位)を有するポリオ
ルガノシロキサン樹脂、R3SiO0.5(M単位)SiO
2.0(Q単位)を有するポリオルガノシロキサン樹脂、
ポリオルガノシロキサンゴムなどが挙げられる。ここ
で、Rは互いに同一または異種の、置換または非置換の
1価の炭化水素基を表す。Rとしては、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、ビニル
基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル
基などのアリール基、シクロヘキシル基、シクロオクチ
ル基などのシクロアルキル基あるいはこれらの基の炭素
原子に結合した水素原子をアミノ基、エポキシ基、カル
ボキシル基などで置換した基などが例示される。Rで好
ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基、エポキシ
基を含有する炭化水素基であり、特に好ましくは、難燃
性および耐衝撃性の点からメチル基、フェニル基であ
る。シリコーン樹脂(C)の具体例としては、ポリジメ
チルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチ
ルフェニルシロキサンなどのポリジオルガノシロキサ
ン、あるいは、これらの末端の一部をアミノ基、エポキ
シ基、カルボキシル基などを有する基で置換したポリジ
オルガノシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、
ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニル
シルセスキオキサンなどのポリオルガノシルセスキオキ
サン、あるいは、これらの末端の一部をアミノ基、エポ
キシ基、カルボキシル基などを有する基で置換したポリ
オルガノシルセスキオキサン、R2SiO1.0(D単
位)、RSiO1.5(T単位)を有するポリオルガノシ
ロキサン樹脂であって、Rがメチル基および/またはフ
ェニル基であるポリオルガノシロキサン樹脂、R3Si
0.5(M単位)SiO2.0(Q単位)を有するポリオル
ガノシロキサン樹脂であって、Rがメチル基および/ま
たはフェニル基であるポリオルガノシロキサン樹脂、、
ポリオルガノシロキサンゴムなどが挙げられる。本発明
に用いられるシリコーン樹脂(C)の分子量には特に制
限はないが、好ましくは数平均分子量が1000以上、
更に好ましくは数平均分子量が2000〜100000
00の範囲の重合体であることが、難燃性の点で好まし
い。本発明に用いられるシリコーン樹脂(C)の製造方
法は、特に制限はなく、公知の方法で製造される。例え
ば、メチルトリアルコキシシラン,ジメチルジアルコキ
シシラン,トリメチルアルコキシシラン,フェニルトリ
アルコキシシラン,ジフェニルジアルコキシシラン,ト
リフェニルアルコキシシラン、メチルフェニルジアルコ
キシシランなどのオルガノアルコキシシラン、メチルト
リクロロシラン,ジメチルジクロロシラン,トリメチル
クロロシラン,フェニルトリクロロシラン,ジフェニル
ジクロロシラン,トリフェニルクロロシラン、メチルフ
ェニルジクロロシラン,ジメチルフェニルクロロシラン
などのオルガノクロロシランの加水分解に続く脱水縮合
反応によって得られる。シリコーン樹脂(C)の性状に
は特に制限はなく、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体
状、ペレット状、等の任意のものが用いられる。シリコ
ーン樹脂(C)は、単独で用いてもよく、2種以上組み
合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせて用いる場
合には、組み合わせは限定されない。例えば、重合成
分、構成単位のモル比、分子量が異なるものが、任意に
組み合わせられる。シリコーン樹脂(C)の含有量は、
ポリカーボネート系樹脂(A)100重量部、あるい
は、ポリカーボネート系樹脂(A)およびポリエステル
系樹脂(B)の合計量100重量部に対して、1〜30
重量部であり、好ましくは1〜25重量部、更に好まし
くは、2〜20重量部である。前記含有量が1重量部未
満では、難燃性、耐衝撃性が不十分であり、30重量部
を越えると、本発明の難燃性樹脂組成物の難燃性、表面
外観性が低下する傾向にあるため好ましくない。本発明
で用いる酸化ジルコニウム(D)の平均粒径は、好まし
くは30μm以下であり、さらに好ましくは15μm以
下、特に好ましくは10μm以下である。さらには酸化
ジルコニウム(D)はシラン系カップリング剤、チタネ
ート系カップリング剤などの表面処理剤で処理されてい
てもよい。該シラン系カップリング剤としては例えばエ
ポキシ系シラン、アミノ系シラン、ビニル系シランなど
が挙げられ、チタネート系カップリング剤としては、例
えばモノアルコキシ型、キレート型、コーディネート型
などのものが挙げられる。酸化ジルコニウム(D)を表
面処理剤で処理する方法には特に限定はなく、通常の方
法で実施しうる。例えば、酸化ジルコニウム(D)に該
表面処理剤を添加し、溶液中であるいは加熱しながら撹
拌あるいは混合することで行える。 酸化ジルコニウム
(D)の含有量は、ポリカーボネート系樹脂(A)10
0重量部、あるいは、ポリカーボネート系樹脂(A)お
よびポリエステル系樹脂(B)の合計量100重量部に
対して、1〜50重量部であり、好ましくは1〜40重
量部、更に好ましくは、2〜30重量部である。前記含
有量が1重量部未満では、難燃性が不十分であり、50
重量部を越えると、本発明の難燃性樹脂組成物の耐衝撃
性、表面外観性が低下する傾向にあるため好ましくな
い。酸化ジルコニウム(D)は、単独で用いてもよく、
2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合
わせてもちいる場合には、組み合わせは特に限定されな
い。本発明で用いられるフッ素系樹脂(E)とは、フッ
素原子を有する樹脂である。具体的には、ポリモノフル
オロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフル
オロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体な
どのフッ素化ポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニリデ
ン樹脂などを挙げることができる。また、該フッ素系樹
脂の製造に用いる単量体と共重合可能な単量体とを併用
し重合してえられた共重合体を用いてもよい。フッ素系
樹脂(E)で好ましくはフッ素化ポリオレフィン樹脂で
あり、さらに好ましくは、平均粒径が700μm以下の
フッ素化ポリオレフィン樹脂である。ここでいう平均粒
径とは、フッ素化ポリオレフィン樹脂の一次粒子が凝集
して形成される二次粒子の平均粒径をいう。さらに、フ
ッ素化ポリオレフィン樹脂で好ましくは、密度と嵩密度
の比(密度/嵩密度)が6.0以下のフッ素化ポリオレ
フィン樹脂である。ここでいう、密度と嵩密度とは、J
IS−K6891に記載されている方法にて測定したも
のである。フッ素系樹脂(E)は単独で用いてもよく、
2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み
合わせて使用する場合には、組み合わせは限定されな
い。たとえば、種類の異なるものなどが任意に用いられ
る。フッ素系樹脂(E)の使用量は、ポリカーボネート
系樹脂(A)100重量部、あるいは、ポリカーボネー
ト系樹脂(A)およびポリエステル系樹脂(B)の合計
量100重量部に対して、0.005〜1重量部であ
り、好ましくは0.01〜0.75重量部、さらに好ま
しくは0.02〜0.6重量部である。使用量が0.0
05未満では、難燃性を向上させる効果が小さく、1重
量部を越えると本発明の難燃性樹脂組成物の成形流動
性、成形体表面外観性が低下する傾向にあるため好まし
くない。さらに本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の難燃性、耐衝撃性
を損なわない範囲で強化充填剤を添加することで、さら
に機械的強度、耐熱性の向上をはかることができる。強
化充填剤の具体例としては、例えば、ガラス繊維、炭素
繊維、チタン酸カリウム繊維、などの繊維状充填剤、ガ
ラスビーズ、ガラスフレーク、タルク、マイカ、カオリ
ン、ワラストナイト、スメクタイト、珪藻土、炭酸カル
シウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられ
る。強化充填剤で好ましくは難燃性の点から珪酸塩化合
物である。珪酸塩化合物としては、化学組成にしてSi
O2 単位を含む粉体状、粒状、針状、板状などの形状を
持つ化合物であって、例えば、珪酸マグネシウム、珪酸
アルミニウム、珪酸カルシウム、タルク、マイカ、ワラ
ストナイト、カオリン、珪藻土、スメクタイトなどが挙
げられ、天然であっても合成されたものであってもよ
い。なかでもタルク、マイカ、カオリン、スメクタイト
が好ましく、特に好ましくはタルク、マイカである。さ
らに該珪酸塩化合物はシラン系カップリング剤、チタネ
ート系カップリング剤などの表面処理剤で処理されてい
てもよい。該シラン系カップリング剤としては例えばエ
ポキシ系シラン、アミノ系シラン、ビニル系シランなど
が挙げられ、チタネート系カップリング剤としては、例
えばモノアルコキシ型、キレート型、コーディネート型
などのものが挙げられる。珪酸塩化合物を表面処理剤で
処理する方法には特に限定はなく、通常の方法で実施し
うる。例えば、層状珪酸塩に該表面処理剤を添加し、溶
液中であるいは加熱しながら撹拌あるいは混合すること
で行える。本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物の特性を
損なわない範囲でさらに他の任意の熱可塑性あるいは熱
硬化性の樹脂、例えばポリアミド系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニ
レンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサル
ホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム状弾性体等を
単独あるいは2種以上あわせて添加しても良い。また本
発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物をより高性能な物にす
るため、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化
防止剤、等の酸化防止剤、リン系安定剤、等の熱安定
剤、等を単独または2種類以上併せて使用することが好
ましい。さらに必要に応じて、通常良く知られた、安定
剤、滑剤、離型剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、
顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶
化剤、抗菌剤、等の添加剤を単独または2種類以上併せ
て使用することが出来る。本発明で製造された難燃性熱
可塑性樹脂組成物の成形加工法は特に限定されるもので
はなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成
形法、例えば射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成
形、プレス成形、カレンダー成形、等が適用できる。
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下では特にことわりがない限り、「部」は重量部
を、「%」は重量%を意味する。なお、樹脂組成物の評
価は下記の方法で行った。 評価方法 得られた樹脂組成物を120℃にて4時間以上乾燥した
後、80t射出成形機にて1/10インチ厚みのバー
(幅12mm、長さ127mm)、1/10インチ厚み
平板(152mm×152mm)を成形し、以下の評価
を行った。・UL94 V試験による難燃性評価:1/
10インチバーを用い、UL94 V試験に従い難燃性
を評価した。 ・UL94 5V試験による難燃性評価:1/10イン
チバー、1/10インチ平板を用いUL94 5V試験
に従い難燃性を評価した。 ・表面外観性:得られた樹脂組成物を120℃にて4時
間以上乾燥した後、80t射出成形機、樹脂温度290
℃、射出速度60%にて、直径100mm、厚み2mm
の円盤(ゲートは円盤中央にあり直径0.5mmのピン
ゲート)の成形体を成形し、目視にて観察して以下の基
準にて表面外観性を評価した。 ○:表面外観性良好 △:ゲート付近にフラッシュあるいは剥離が若干見られ
る ×:ゲート付近にフラッシュあるいは剥離が見られる ・耐ガソリン性:1/10インチバーに1%歪みを与
え、ガソリンを塗布して、23℃24時間放置して表面
変化を目視にて観察して以下の基準にて耐ガソリン性評
価を行った。 ◎:表面性良好 ○:長さ2mm未満のクラック発生 △:長さ2mm以上5mm未満のクラック発生 ×:長さ5mm以上のクラック発生あるいは破断 用いた原材料を以下にまとめて表す。 PC−1:粘度平均分子量22000のビスフェノール
A型ポリカーボネートP C−2:粘度平均分子量30000のビスフェノールA
型ポリカーボネートPE T :対数粘度が0.75のポリエチレンテレフタレー
ト PBT :対数粘度が0.85のポリブチレンテレフタ
レート Zr−1:平均粒径0.25μmの酸化ジルコニウム Zr−2:平均粒径1μm酸化ジルコニウム ZB:ホウ酸亜鉛水和物(ユーエスボラックス社製ファ
イアーブレークZB:2ZnO・3B23・3.5H
2O) シリコーン1:アルコール変性ポリジメチルシロキサン
オイル(日本ユニカー(株)製FZ−3711) シリコーン2:製造例1で製造された、ポリメチルシル
セスキオキサン シリコーン3:製造例2で製造された、ポリメチルフェ
ニルシルセスキオキサン シリコーン4:製造例3で製造された、ポリメチルフェ
ニルシロキサン シリコーン5:エポキシ変性ポリオルガノシロキサン系
ゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製トレ
フィルE601) PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業
(株)製ポリフロンFA−500) 製造例1 ガラス容器にメチルトリイソプロポキシシラン100
部、トルエン68部を添加し、攪拌しながら1%塩酸水
溶液50部を徐々に滴下してシランの加水分解反応を行
った。添加終了後、しばらく攪拌した後、静置して分液
し、有機相を取り出し水洗した。さらにトルエンを減圧
留去してシラノール基含有のポリメチルシルセスキオキ
サンを得た。次いで、前記ポリメチルシルセスキオキサ
ン100部、トルエン200部、トリメチルクロロシラ
ン10部およびヘキサメチルジシラザン50部をガラス
容器に仕込み、加熱攪拌を2時間行った。反応終了後、
水洗およびトルエンの減圧留去を行い、ポリメチルシル
セスキオキサン樹脂(シリコーン2)を得た。得られ
た、ポリメチルシルセスキオキサン樹脂の分子量は約1
3000(GPC測定、ポリスチレン換算)、CH3
iO1.5単位約95モル%、CH3SiO0.5単位約5モ
ル%(NMRスペクトル)であった。得られたポリメチ
ルシルセスキオキサン樹脂を粉砕機にて粉砕を行い、平
均粒径が約5μmの粉体とした。 製造例2 メチルトリイソプロポキシシラン50部、フェニルトリ
クロロシラン50部を用いた他は、製造例1と同様にし
て、分子量は約15000、RSiO1.5単位約95モ
ル%、RSiO0.5単位約5モル%(NMRスペクト
ル;Rはメチル基あるいはフェニル基)、平均粒径は約
5μmのポリメチルフェニルシルセスキオキサン樹脂
(シリコーン3)を得た。 製造例3 ジフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラ
ン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン
を用い、製造例1と同様にして、分子量は約1500
0、RSiO1.5単位/R2SiO1.0単位=1/4、フ
ェニル基/メチル基=75/25(NMRスペクトル;
Rはメチル基あるいはフェニル基)のポリメチルフェニ
ルシロキサン(シリコーン4)を得た。 実施例1 ポリカーボネート樹脂(PC−1)100部、平均粒径
0.25μmの酸化ジルコニウム(Zr−1)3部、ア
ルコール変性ポリジメチルシロキサンオイル(日本ユニ
カー(株)製FZ−3711)(シリコーン1)6部を
ドライブレンドした後、同方向2軸押出機(池貝鉄工製
PCM−30)を用い、シリンダー温度設定280℃に
て押出混練を行い、樹脂組成物を得た。結果を表1に示
す。 実施例2〜10 表1に示した組成で行った他は、実施例1と同様にして
樹脂組成物を得、評価した。結果を表1に示す。 比較例1〜7 表2に示した組成で行った他は、実施例1と同様にして
樹脂組成物を得、評価した。結果を表2に示す。実施例
1〜10と比較例1〜7を比較すると、本発明の熱可塑
性樹脂組成物は難燃性、成形体表面外観性、耐薬品性の
いずれにおいても優れていることがわかる。特に成形体
表面外観性においては、酸化ジルコニウムを用いた本発
明の実施例3、7、9とホウ酸亜鉛を用いた比較例2、
3とを比較してわかるように、本発明の難燃性熱可塑性
樹脂組成物の方が優れている。さらには、耐ガソリン性
は、ポリカーボネート系とポリエステル系樹脂からなる
組成物の方が優れており、さらに、シリコーン樹脂と酸
化ジルコニウムを併用した実施例3、7、9とシリコー
ン樹脂単独あるいは酸化ジルコニウム単独しか用いてい
ない比較例1、6、7と比較してわかるように、シリコ
ーン樹脂と酸化ジルコニウムの両者を含有する本発明の
難燃性熱可塑性樹脂組成物の方が優れている。
【発明の効果】本発明によれば、非ハロゲン難燃剤であ
るシリコーン樹脂と酸化ジルコニウムを主たる難燃剤と
したポリカーボネート樹脂系組成物であって、難燃性と
共に、成形体表面外観性、特に、射出成形にて成形体を
得る場合、薄肉成形体あるいはピンゲートなどの小口径
のゲートによって、高速射出力あるいは高せん断力など
がかかる成形体の成形において、表面外観性に優れた難
燃性熱可塑性樹脂組成物をうることができる。
【表1】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83:04 27:12)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート系樹脂100〜
    50重量%および(B)ポリエステル系樹脂0〜50重
    量%からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、
    (C)シリコーン樹脂0.5〜30重量部(D)酸化ジ
    ルコニウム0.5〜50重量部からなる難燃性熱可塑性
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 さらには、(E)フッ素樹脂0.005
    〜1重量部からなる請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 (C)シリコーン樹脂が、R2SiO1.0
    単位(式中、Rはそれぞれ独立に置換または非置換の1
    価の炭化水素基)を有するシリコーンオイルであること
    を特徴とする請求項1または2記載の難燃性熱可塑性樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 (C)シリコーン樹脂が、RSiO1.5
    単位、R3SiO0.5単位(式中、Rはそれぞれ独立に置
    換または非置換の1価の炭化水素基)を有するポリオル
    ガノシルセスキオキサン樹脂であることを特徴とする請
    求項1または2記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (C)シリコーン樹脂が、RSiO1.5
    単位、R2SiO1.0単位(式中、Rはそれぞれ独立に置
    換または非置換の1価の炭化水素基)を有するポリオル
    ガノシロキサン樹脂であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (C)シリコーン樹脂が、ポリオルガノ
    シロキサン系ゴムであることを特徴とする請求項1また
    は2記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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