JP4343006B2 - 磁気素子、磁気情報再生用ヘッド及び磁気情報再生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気センサーなどに用いる磁気素子、高密度磁気記録の記録情報再生(読出)用磁気ヘッド及び磁気記録情報再生装置に関する。
巨大磁気抵抗効果(GMR効果)を利用したGMRヘッドの登場以来、磁気記録の記録密度は、年率100%で向上してきた。GMR素子には、スピンバルブ型素子、人口格子型素子などがある。スピンバルブ型素子は、強磁性体層/非磁性体層/強磁性体層の積層膜を備える。ここで、一方の強磁性体層に例えば反強磁性体膜からの交換バイアスを及ぼして磁化を固定し、他方の強磁性体層の磁化方向を外部磁界(信号磁界)により変化させる。これにより2つの強磁性体層における磁化方向の相対角度が変化し、この相対角度の変化を素子抵抗の変化として検出することができる。
スピンバルブ型GMR素子には、積層膜の膜面内に電流を流して抵抗変化を検出するCIP(Current In Plane)型のGMR素子と、積層膜の膜面に対して垂直に電流を流して抵抗変化を検出するCPP(Current Perpendicular to Plane)型のGMR素子がある。
より高密度な磁気記録に対応するため、トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を利用したTMR素子の開発が進められている。TMR素子は、強磁性体層/トンネル誘電体層/強磁性体層の積層膜を備え、2つの強磁性体層間に電圧を印加すると、TMR素子にトンネル電流が流れる。TMR素子を流れるトンネル電流の大きさが2つの強磁性体層の磁化の向きによって変化することを利用し、磁化の相対的角度の変化をトンネル抵抗値の変化として検出することができる。
TMR素子のMR比は最大で50%程度が得られている。TMR素子は、GMR素子よりもMR比が大きいため信号電圧も大きくなる。しかしながら、純粋な信号成分だけでなく、ショットノイズによる雑音成分も大きくなり、SN比(信号対雑音比)が改善しないという問題を抱えている。
ショットノイズは、電子が積層膜のトンネル障壁を不規則に通過することによって発生する電流の揺らぎに起因しており、トンネル抵抗の平方根に比例して増大する。従って、ショットノイズを抑えつつ必要な信号電圧を得るにはトンネル誘電体層を薄くし、トンネル抵抗を低くする必要がある。
また、記録密度を高密度化するほど素子サイズは記録ビットと同程度のサイズに小さくする必要があり、高密度になるほどトンネル誘電体層の接合抵抗を小さく(トンネル誘電体層を薄く)する必要がある。300Gbit/inch2の記録密度では1Ω・cm2以下の接合抵抗が必要とされ、Al-O(アルミニウム酸化膜)トンネル誘電体層の膜厚に換算して原子2層分の厚さとなる。しかし、トンネル誘電体層を薄くするほど上下強磁性体層間の短絡が生じやすくMR比の低下を招くため、素子の作製は飛躍的に困難になっていく。
その他に、強磁性体によるスピン偏極電流を利用した素子が提案されている。例えば、スピン注入三端子素子において、強磁性体電極からスピン偏極電流をチャネルに注入してゲート制御するトランジスタが提案されている(特許文献1参照)。
上述の素子に共通した磁気的白色雑音(ホワイトノイズ)の問題が近年浮上している。この雑音は、上に述べたショットノイズなどの電気的雑音とは異なり、強磁性体の微小磁化の熱ゆらぎに起因して生じる。この熱揺らぎは素子の微細化に伴いより支配的となり、200〜300Gbit/inch2では電気的雑音を凌駕すると考えられる。磁気的白色雑音を回避し、磁気記録の記録密度をさらに高めるためには従来の磁気抵抗効果とは異なる原理により動作する微小磁気センサーの開発が必要である。
特開2002−26417公報
上述したように、磁気的白色雑音は高密度磁気記録において大きな問題となり得る。本発明は、このような磁気的白色雑音を利用した新しい動作原理による磁気素子等を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様の磁気素子は、外部磁場に依存する磁化の熱ゆらぎをもち、熱ゆらぎに依存するスピンゆらぎを持つ伝導電子を生成する第1の磁性体(強磁性体/反強磁性体)と、強磁性体に積層され、伝導電子を伝達する非磁性導電体と、非磁性導電体に積層され、伝導電子の注入を受けて磁気共鳴を生じ、磁化の熱揺らぎの変化により磁気共鳴の強度が変化する第2の磁性体と、第1の磁性体に電気結合した第1の電極と、第2の磁性体に電気結合した第2の電極とを備えることを特徴とする磁気素子を提供する。尚、第1の磁性体は、強磁性体及び反強磁性体のいずれかより選ぶことができ、第2の磁性体は、強磁性体、非磁性層を介して積層された複数の強磁性層が反強磁性結合している積層体、及び反強磁性体のいずれかより選択することができる。
本発明の他の態様による磁気素子は、微小な第1の磁性体において不可避な磁化の熱ゆらぎを利用するもので、強磁性体磁化の熱ゆらぎによって生じる伝導電子のスピンゆらぎを非磁性体を介して第2の磁性体に注入することを特徴とする。注入された伝導電子が持つスピンゆらぎはsd交換相互作用などの相互作用を介して第2の磁性体に実効高周波磁場として作用し、第2の磁性体に磁気共鳴を誘起する。
外部の印加磁場(信号磁場)が変化し、第1の磁性体磁化のゆらぎが変化すると第2の磁性体に誘起される磁気共鳴の強度が変化する。この磁気共鳴の強度変化は、第2の磁性体を含む素子の実効的電気抵抗の変化として検知される。このような原理により、本発明の磁気素子は微小高感度磁気センサーとして機能する。
このように本発明に関わる磁気素子は、第1の磁性体の磁化の熱ゆらぎを利用するため、素子の接合面積が減少しても感度およびSN比が低減しないという特徴を有し、磁気情報再生装置の再生用ヘッドや磁気情報再生装置へ応用すると、記録密度が数100G(ギガ)bpsiから1T(テラ)bpsiを超える超高密度記録への対応も可能となる。
本発明の一態様による磁気素子などによれば、素子の接合面積が減少しても感度およびSN比が低減しないという特徴を有し、高密度と高い磁気抵抗変化を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以後の説明では、共通の構成に同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所も含んでいるが、実際に素子等を製造する際には、以下の説明と公知の技術の参酌により適宜変更することができる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に関わる磁気素子を説明するための断面図である。
この磁気素子は、図1の基板11上に形成され、磁気シールドを兼ねた下部電極13、その上部に形成された反強磁性結合の人工格子膜(人工反強磁性体膜)15、非磁性体膜17、強磁性体膜19、磁気シールドを兼ねた上部電極21を備える。下部電極13と上部電極21は配線も兼ねているため、図1の紙面横方向に伸びており、その端部において素子に流す電流を制御する電流供給回路や読出し(センス)回路などと接続される。
尚、下部電極13と上部電極21は磁気シールドと配線も兼ねているが、磁気シールドや配線を独立に設けることも可能である。その場合にも、磁気シールドや配線は、電極13、21や強磁性体膜19の膜面と平行な面内(図1の断面では紙面左右方向に伸びる平面内)に形成することができる。
上述の素子では、微小な強磁性体において不可避な磁化の熱ゆらぎを積極的に利用する。つまり、強磁性体膜19の磁化の熱ゆらぎに起因する伝導電子のスピンゆらぎを、非磁性体膜17を介して隣り合う人工反磁性体15に注入することを特徴とする。注入された伝導電子のスピンゆらぎは、sd交換相互作用を介して人工反強磁性体膜15に実効高周波磁場として作用し人工反強磁性体膜15に磁気共鳴を誘起する。
外部磁場が変化して強磁性体膜19の磁化のゆらぎが変化すると、人工反強磁性体膜15に誘起される磁気共鳴の強度が変化するが、この強度変化は素子の実効的電気抵抗の変化として検知される。このような原理により、約10エルステッド(Oe)の外部磁場の変化に対して数10〜数100%の素子抵抗変化が得られる。このように本実施の形態の素子は微小高感度磁気センサーとして機能する。
本実施の形態の磁気素子は強磁性体膜19の磁化の熱ゆらぎを利用するため、素子の接合面積(人工反強磁性体膜15、非磁性体膜17、強磁性体膜19間の接合面積)が減少しても、感度およびSN比が低減しないという特徴を有する。よって、磁気情報再生用磁気ヘッドへ応用した場合には、記録密度が数100Gbpsiから1Tbpsiを超える超高密度記録への対応が可能である。
本実施の形態では、微小な強磁性体の一例として、1Tb/inch2対応の読出用磁気ヘッドを想定して強磁性体膜19の平面積は約30×30nm2、厚さは約1nmとした。尚、人工反強磁性体膜15と非磁性体膜17も強磁性体膜19の平面積と同じにすることができる。つまり、この素子の接合面積は、約30×30nm2となる。尚、この実施の形態では、人工反強磁性体膜15、非磁性体膜17及び強磁性体膜19は正方柱をなすように形成しており、その四方側面は非磁性絶縁体(図示せず)で囲まれている。この積層膜の形状は、円柱、三角柱、多角柱などの他の形状に適宜変形することができる。
強磁性体膜19には、には、AxMn1-x(AはFe, Co, Ni, Ir, Pr, Rh, Cu, Cr, Pt, Pd, AlおよびTiから選択される少なくとも一つを含み、xは0≦x<1である)、あるいはByC1-y(Bは少なくともFeおよびNiのいずれかを含み、CはV, CrおよびCuから選択される少なくとも一つを含み、yは0<y≦1である) を用いることができる。人工反強磁性体15に替えて磁性体膜を用いる場合には、これらの材料を磁性体膜15として用いることができる。
また、強磁性体膜19と非磁性体膜17、人工反強磁性体膜15の結晶構造が六方最稠密構造(0001)配向膜、あるいは立方最稠密構造の(111)配向膜にすることができる。
非磁性体膜17には、Al, Pt, Au, Ag, Cu等の貴金属、あるいはCr, Ru, Pd等の非磁性遷移金属等を用いることができる。
非磁性体膜17の厚さは約1nmから数10nm、例えば約5nmとすることができる。非磁性体膜17は、強磁性体膜19と人工反強磁性体15との間に働く交換相互作用を遮断し、同時に強磁性体膜19に発生した伝導電子のスピンゆらぎを人工反強磁性体15へ輸送する役目を担っている(図1)。
人工反強磁性体15は、強磁性体層15aと非磁性体層15bが交互に積層された人工格子膜であり、非磁性体層15bを介して隣り合う2つの強磁性体層15aが互いに略反平行の磁化を持つように、つまり反強磁性的に結合している。
人工反強磁性体膜15の強磁性体層15aには、Fe, Co, Ni及びそれらの合金を、非磁性体層15bには、Pt, Au, Ag, Cu等の貴金属、あるいはCr, Ru, Rh, Mo, W等の非磁性遷移金属を用いることができる。
強磁性体層15aの厚さは後に述べる理由により約0.1nm以上約1nm以下が好ましく、例えば0.5nm程度とする。非磁性体層15bは、隣接する2つの強磁性体層15a間の反強磁性結合の強さを制御するため、その厚さを例えば約0.2nm以上約2nm以下とすることができる。人工反強磁性体15の全体の厚さは数10nm、例えば約30nmとする。隣り合う2つの強磁性体層15a間の結合強さは、強磁性体層15aや非磁性体層15bの層厚と材料などを調整して、例えば、0.5〜10 erg/cm2程度とする。
電極13、21には、Al, Cu, Au, Ag等の金属を用いた膜を使用する。また、電極13,21が磁気シールドを兼ねる場合には、上記の金属膜とNiFe等の公知のシールド材料膜とを積層形成する。
尚、基板11にはシリコンやAl23・TiC、SiO2などの非磁性絶縁体の基板など、一般に磁気素子を形成するに適した基板材料を用いる。
次に、強磁性体膜19における磁化の熱ゆらぎについて説明する。
図2(a)は、強磁性体膜19の熱ゆらぎのパワースペクトルS<mt>を模式的に示している。図2(b)は、強磁性体膜19の膜面内の磁化成分を示しており、Msは強磁性体膜19の飽和磁化、Mtは強磁性体膜19の磁化の飽和磁化と直交する横成分である。つまり図2(b)のmtは強磁性体膜19の磁化の熱ゆらぎの角度(radian)を表している。
温度T(Kelvin)における強磁性体膜19の磁化の熱ゆらぎは、mt(=Mt/Ms)の二乗平均<mt 2>のパワースペクトルS<mt>を用いて(1)式のように表される。
Figure 0004343006
(1)式中、χ"FMは強磁性体膜19の高周波帯磁率の虚数部、VFMは強磁性体膜19の体積、αは強磁性体膜19のギルバートの減衰係数、γ(=19×106rad/sOe)はジャイロ磁気比、f0は強磁性体膜19の共鳴周波数、Hは強磁性体膜19の受ける外部磁場、HKは強磁性体膜19の異方性磁場である。
(1)式及び図2(a)から、外部磁場周波数fが共鳴周波数f0近傍である場合において、高周波帯磁率χ"FMが増大し、強磁性体膜19の磁化ゆらぎのパワースペクトルS<mt>も増大することが分かる。
強磁性体膜19として体積VFMが約30×30×1nm3のFe(飽和磁化Ms=1700Gauss)を用いた場合、共鳴周波数f0=10GHz、ギルバートの減衰係数α=0.01とすると、外部磁場の周波数f=f0、バンド幅Δfにおける強磁性体膜19の磁化の熱ゆらぎ<mt 21/2は(2)式のようになる。
Figure 0004343006
ここで、バンド幅Δfは強磁性体膜19の共鳴線の半値幅Δf=2αf0=2×108Hzとした。
このような磁化のゆらぎを持つ強磁性体膜19の中の伝導電子には、強磁性体膜19の磁化の熱ゆらぎに起因するスピンゆらぎが生じる。このスピンゆらぎを持つ伝導電子は、積層膜に流れる電流により輸送されて非磁性体膜17を通過して人工反強磁性体15に注入される。注入された伝導電子のスピンゆらぎは、sd交換相互作用により実効高周波磁場として人工反強磁性体15に作用して、人工反強磁性体膜15で磁気共鳴を誘起する。
ここで、実効高周波磁場の強さはゆらぎの大きさS<mt>に加えて、強磁性体膜19中の伝導電子のスピン偏極度P、非磁性体膜17のスピン輸送効率、人工反強磁性体15中のsd交換相互作用の強さJsd、電流密度i、接合面積S(人工反強磁性体膜15と非磁性体膜17との接合面積で、この実施の形態では素子サイズに一致する)、人工反強磁性体15の体積VAFおよび人工反強磁性体15に注入されたスピンの緩和時間τsに依存する。
上述のような薄層状の非磁性体膜17のスピン輸送効率をほぼ100%とし、人工反強磁性体15の厚さが後に述べるスピンの横成分の減衰長λAF程度とすると、実効磁場Heffは(3)式ように表される。
Figure 0004343006
ここで、Nは人工反強磁性体15を構成する強磁性体層15a中の磁性イオン密度、gはg因子(約2)、μBはボーア磁子である。人工反強磁性体15に磁気共鳴を誘起するためには磁化に垂直方向(横方向)の実効高周波磁場(すなわち伝導電子のスピンゆらぎ)が必要なので、(3)式中のスピン緩和時間は横方向成分の緩和時間τs(sec)を表している。
最近の研究によると、非磁性体を介して強磁性体に注入された伝導電子のスピンは強磁性体の磁化からトルクを受けスピンの横成分(磁化に垂直成分)はその界面近傍で速やかに減衰してしまう。横成分の減衰長λFMは、強磁性体中の上向きスピン電子および下向きスピン電子のフェルミ波数をそれぞれkF↑、kF↓とすると、λFMは2π/|kF↑―kF↓|程度である。例えば、Feの減衰長λFMは約3nmである。
一方、Mnのような反強磁性体ではkF↑=kF↓であり、トルクは働かず、減衰長λAFは数10nm以上である。
本実施の形態の人工反強磁性体15においても、それを構成する強磁性体層15aの膜厚が減衰長λFM(約3nm)に比べて十分薄ければ、通常の反強磁性体の場合と同様に減衰長λAFは数10nm以上となる。なぜならば、人工反強磁性体15に注入された電子はスピン横成分の大きな減衰を受けずに最初の強磁性体層15aを透過することができ、磁化が逆方向を向いた次の強磁性体層15aでは逆向きのトルクを受けることによりスピンの横成分が回復するからである。
次に、人工反強磁性体15における電子スピンの横方向成分の緩和時間τsは次の(4)式の関係から見積もることができる。
Figure 0004343006
ここでDは人口反強磁性体膜15の膜面に垂直な方向の電子の拡散係数(約10cm2/s、vFは電子のフェルミ速度、lは電子の平均自由行程である。λAFは約100nm、lは約1nm、vFは約108cm/sとすると、τsは約3×10-12sであると見積もられる。
また、(3)式中の他のパラメタは、Jsdが約0.5eV、Nが約8×1022/cm3、Pが約0.4程度である。接合面積S=30×30nm2、人工反強磁性体15の体積VAF=30×30×10nm3の場合には、f0=10GHzにおける実効磁場Heffは、(3)式においてΔf=2αf0を約2×108Hzとして、約(4×10-4)i(Oe)となる。
すなわち、電流密度iが約105A/cm2では、数10Oeの強い高周波磁場が人工反強磁性体15内に発生することが分かる。尚、S<mt>は5×10-11Hz-1、μBは9.27×10-21erg/gaussである。
一般に体積VAFの反強磁性体に周波数fの高周波磁場Hrfを加えた場合、磁気共鳴により吸収される単位時間あたりのエネルギーPは次の(5)式で表される。(5)式中のχ"AFは反強磁性体の高周波帯磁率の虚数部である。
Figure 0004343006
人工反強磁性体15内では単一の周波数ではなく周波数分布を持った磁場が存在するので、単位時間あたりの吸収エネルギーは(5)式を書き換えた次の(6)式で表すことができる。
Figure 0004343006
ここでχ"SAFは(7)式で表される人工反強磁性体15の複素帯磁率の虚数部である。
Figure 0004343006
(7)式においてHAは異方性磁場、HEは強磁性体層15a間に働く交換磁場、Msubは人工反強磁性体15の部分格子磁化、f1は人口反強磁性体膜15の共鳴周波数、α'は強磁性体層15aのギルバートの減衰定数である。
強磁性体層15aとして強磁性体膜19と同じ材料、例えばFeを用いた場合を想定して、f1=f0=10GHz(GHz)、α'=α=0.01、HAは約4×102Oe、HEは約1.5×104Oe、Msubが(Ms/2)×LFe/(LFe+LN)に略等しいとすると、(6)、(7)式から次の(8)式が得られる。ここでLFe、LNはそれぞれ人工反強磁性体15の強磁性体層15aおよび非磁性体層15bの厚さであり、I(=iS)は素子を流れる電流である。
Figure 0004343006
(8)式から共鳴吸収により素子抵抗が次の(9)式で与えられる実効抵抗Reffだけ増大することが分かる。
Figure 0004343006
Fe/(LFe+LN)=2/3とすると、Reff=140Ωと見積もられる。共鳴吸収のない状態での素子抵抗Rは界面抵抗Rcとバルク抵抗Rbの和であるが、Rcは一つの磁性体と非磁性体の界面の抵抗を2×10-11Ωcm2とし、界面数を20とすると面積30×30nm2の素子では約44Ω、バルク抵抗Rbは比抵抗を10-5Ωcmとして約1Ωである。よって、(ΔR/R)=Reff/(Rc+Rb)は約3.1となり、磁気共鳴を誘起することにより磁気素子に約200%の抵抗変化が生じることがわかる。
この抵抗変化による電圧変化ΔVは、I=10μA(i=1.1×106A/cm2)の電流を流した場合に約1.4mVである。(1)式から、強磁性体膜19の共鳴線の半値幅(ΔH/2)は磁場に換算すると次の(10)式のようになり、約30Oeになる。
Figure 0004343006
以上について図3を用いて説明すると、外部磁場を約30Oe変化させることにより、周波数f0=f1=10GHzでの磁化ゆらぎのパワースペクトルS<mt>が著しく減少し、人工反強磁性体15の磁気共鳴周波数f1では強い共鳴吸収の状態から共鳴吸収の殆どない状態へと変化することがわかる。この結果、人工反強磁性体15の磁気共鳴強度は減少する。
ここで、外部磁場の変化により人工反強磁性体15の共鳴周波数が変化しないように人工反強磁性体15の面内の磁化方向(容易軸方向)を外部磁場と略垂直にしておくことが重要である。
以上の説明では簡単のため人工反強磁性体膜15の磁気共鳴周波数f1を強磁性体膜19の共鳴周波数f0に等しいとしたが、f1とf0の差を最適化することにより、数Oeの外部磁場変化により数10%の抵抗変化を示し、約1mVの信号電圧が取り出せる高感度磁気センサーを得ることができる。
人工反強磁性体膜15の磁気共鳴周波数f1と強磁性体膜19の共鳴周波数f0の調整は、例えば次の方法による。まず、人工反強磁性体膜15中の磁性体15a及び非磁性体15bの膜厚を調整し、f1が約10GHzとなるようにする。そして、強磁性体膜19の容易軸方向に印加するバイアス磁場を調整してf0=f1となるようにする。
次に、本実施の形態による磁気センサーの電気的、磁気的ノイズについて述べる。図1に示す磁気センサーは多数の強磁性体と非磁性体の界面を含むが、素子にかかる全電圧V0は数mV程度なので、eV0<<kTの関係が成り立ち、電気的ノイズとしては次の(11)式の熱雑音が支配的となる。
Figure 0004343006
上述のように素子抵抗R=(44+1)Ω、ΔfB=300MHzとすると、電気的な雑音電圧は次の(12)式の通りとなる。
Figure 0004343006
(1)式で用いたゆらぎの時間平均<mt 2>は、本来十分長い時間についての平均を意味しているが、現実の素子では動作周波数に対応した時間TB=1/fBである約(1/300×106)sec程度の時間内での平均となっている。従って、それより長い時間(低い周波数)の磁化ゆらぎは共鳴吸収パワーあるいは実効抵抗値のゆらぎとして素子ノイズの原因となっている。周波数fB以下のパワーゆらぎΔPは(5)式と類似の次の(13)式で表すことができる。
Figure 0004343006
(13)式の積分範囲は、図2および図3に示したχ"SAFのf1のピーク周波数とS<mt>のf0のピーク周波数より一桁以上低くそれらの値はきわめて小さくなるので、ΔP<10-6Pである。実効抵抗のゆらぎによる出力電圧ノイズはΔPに比例するので磁気的電圧ノイズは(14)式のようになり、極めて小さい。
Figure 0004343006
ここで、Vmagは上記原因で発生する磁気的雑音電圧、Vsigは信号電圧である。
すなわちこの素子の本質的な磁気的ノイズは極めて小さく、磁気的ノイズの要因は外部磁場や異方性磁場のゆらぎによるものが支配的となる。本質的な電気的、磁気的ノイズをあわせた素子のSN比(SNR)の二乗は次の(15)式で表される。
Figure 0004343006
sig=1mVにおけるSN比は、次の(16)式の通りとなり、この素子では本質的に高いSN比が得られることがわかる。
Figure 0004343006
さて、(2)式は人工反強磁性体15の厚さがスピンの横成分の減衰長λAF程度である場合に成り立つ。ここで、人工反強磁性体15内の有効磁場は注入されたスピン密度に比例するので、人口反強磁性体膜15の厚さを薄くし、かつ適切なバリアを設けて注入電子を人工反強磁性体15内に閉じ込めることにより素子の感度を高めることができる。バリアは、例えば図4の素子断面図に符号29で示したように層状に挿入する。
図4のバリア層29は、下部電極13と人工反強磁性体膜15との間に形成されている。バリア層は、その他に人工反強磁性体膜15と非磁性体膜17に挿入してもよく、また、人工反強磁性体膜15の上下両面に形成してもよい。
例えば、人工反強磁性体膜15の厚さを約10nmから約3nmに薄くし、電子透過率が1/10のバリアを人工反強磁性体15の上下に設けた場合、素子抵抗は、非共鳴時には約90Ωとなるが、共鳴吸収に伴う実効抵抗Reffは約330Ωに上昇するので、抵抗変化率は約400%に上昇する。バリアの材料には、CuO, Al2O3, MgOなどの酸化物、AlN, HfN等の窒化物やSi, Ge, ZnS等の半導体を用いる。層状のバリアは、層厚を10箇所測定してその平均値を約1nm以下、好ましくは0.1〜0.5nm程度(ピンホールの様な微小な孔があっても可)とする。
また、人工反強磁性体15の体積を一定に保った場合においても、図4の素子断面図に示すように非磁性体膜17および人工半強磁性体15の各層15a,15bの平面積を広げることにより、界面抵抗およびバルク抵抗が減少するため抵抗変化率およびSN比が増大する。
また、人工反強磁性体15中の2つの強磁性体層15aの間の結合を弱め実質的に複数の強磁性体の集合とすることによりχ"SAFを最大で数倍増大せしめ、共鳴特性や非共鳴時の吸収パワーの差(すなわち抵抗変化率)をさらに向上させることも可能である。強磁性体層15a間の層間結合を弱める(例えば0.1erg/cm2)ためには、例えば貴金属非磁性体の厚さを約5nm以上にする。
さらに、人工反強磁性体15にかえてλFMが約3nm程度の厚さの強磁性体膜を用いても、人工反強磁性体15の場合に比べて特性は劣るもののセンサーとして十分機能する素子を構成することが可能である。このような磁性体としては、Fe, Co, Niのいずれか単体、もしくはこれらのいずれかを含む合金がある。
外部磁場に依存する磁化の熱揺らぎをもち、この熱ゆらぎに依存したスピンゆらぎを持つ伝導電子を生成する磁性体として強磁性体の他に反強磁性体を用いてもよい。また、スピンゆらぎを持つ伝導電子の注入を受けて磁気共鳴を生じ、磁化の熱揺らぎの変化により磁気共鳴の強度が変化する磁性体として反強磁性結合した積層体の他に反強磁性体を用いてもよい。但し、テラHz帯では反強磁性体の磁化の熱ゆらぎおよび高周波帯磁率ともに減少するため、共鳴の強度は上で述べた人工反強磁性体を用いた素子に比べて約1/100程度になるので、出力電圧は1/10程度になる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、非磁性体膜17から磁性体(例えば、人工反強磁性体膜15)へのスピン横成分の注入効率について、界面反射のスピン依存性を検討した。
磁性体15内では図5に示したようにアップスピンとダウンスピンのバンド構造が異なるため界面のポテンシャル障壁がスピンに依存する(アップスピンのポテンシャル障壁はV↑、ダウンスピンのポテンシャル障壁はV↓)。
ここで、量子化軸の方向(第2の磁性体15の内部磁場の方向)とθだけ傾いたスピン関数は(17)式のように表される。
Figure 0004343006
非磁性体膜17から磁性体へ入る電子のエネルギーがV↑とV↓の間にある場合にはアップスピン成分だけが非磁性体膜17から磁性体へ透過し、ダウンスピン成分は反射されるので透過および反射電子のスピン関数はそれぞれ(18)式、(19)式のように表すことができ、スピン横成分は界面で急速に減衰し消失することがわかる。
Figure 0004343006
Figure 0004343006
スピン横成分の減衰長は波動関数の浸出し長(エバネッセント長)程度であり、高々数原子層程度である。フェルミ面上に分布した伝導電子を考えた場合、ポテンシャル障壁V↑とV↓はそれぞれのスピンをもつ電子の磁性体中でのフェルミ面の大きさや形と関係している。
フェルミ面の大きさや形について、図6に示した自由電子モデルを用いて説明する。図6の左に非磁性体NM、右に磁性体FMのバンド図(上)とフェルミ面(下)をそれぞれ描いた。各バンド図の左半分はダウンスピンのバンドを示し、右半分はアップスピンのバンドを示す。
非磁性体としてCu、Au、Agなどの貴金属を、磁性体としてFe(bcc)、Co(fcc)やその合金を想定した場合、非磁性体のフェルミ面と磁性体のアップスピンバンドのフェルミ面とはほぼ同じ大きさであり、磁性体のダウンスピンバンドのフェルミ面はそれらに比べてかなり小さい。非磁性体のフェルミ面の右半分が右向きの速度を持ち非磁性体から磁性体に進む電子(図6中の実線の矢印で示すアップスピン電子)に対応している。
非磁性体/磁性体界面で界面に平行な運動量が保存されると仮定すると、フェルミ面上の電子のうちアップスピン電子に関しては、殆どの電子が磁性体内に流れ込むことができるが、ダウンスピン電子に関しては2本の点線間Aにある電子だけが磁性体に流れ込むことができ、それ以外のダウンスピン電子は、図6中の点線の矢印に示すように反射される。
図6を図5のポテンシャル障壁に対応した図に書き直したものが図7である。図7の縦軸Exは電子の運動エネルギーの界面(非磁性体/磁性体界面)に垂直方向のエネルギーであり、フェルミエネルギーEFがエネルギーの原点0にとられている。ここで、式(20)より、x方向の運動エネルギーがV↓以下のダウンスピン電子は界面で反射され、磁性体に流れ込めない。
Figure 0004343006
fcc構造のCu、Au、Agなどの貴金属のフェルミ面やFe(bcc)、Co(fcc)などの強磁性体におけるアップスピンバンドのフェルミ面は上記の自由電子モデルが比較的よく当てはまるが、ダウンスピンバンドのフェルミ面は球面から大きくずれているため現実の界面に関するスピンに依存した透過率の計算は第1原理計算によりなされている。その場合透過率はフェルミ面の大きさや形状のみならずバンドの対称性にも依存する。ここでいうバンドの対称性というのはバンドを構成する軌道の対称性のことであり、図8に示したように貴金属のフェルミ面は主としてs、p軌道により構成されている。強磁性体のアップスピンバンドのフェルミ面はs、p、d軌道により構成され、d軌道にはdz2軌道も含まれている。一方、ダウンスピンバンドのフェルミ面はdxyタイプのd軌道のみから構成されている。s、p軌道とdxy軌道との重なり積分はゼロになるので、ダウンスピン電子は貴金属に流れ込むことができず、大きさや形から推測される値以上に大きなスピン依存性が生じる。M. D. Stiles (NIST)によるいくつかの界面についての計算例を表1に示す。表1では、実験との比較のため透過率から界面抵抗を導出し、界面抵抗を式(21)のように表した場合の結果を示してある。尚、表1中の下の2行はCPP−MRの実験から求めた値であるが、実験は殆どCu/Coに限られ、界面の結晶面も特定されていない。
Figure 0004343006
Figure 0004343006
表1に示したいずれの界面も大きなγ値(規格化されたアップスピン電子とダウンスピン電子の伝導度を比で表した値)を示しているが、このことは注入されたスピンの横成分が界面近傍の数原子層で急速に減衰してしまうことを示唆している。表1の結果は横成分の注入が極めて難しいことを示しており何らかの打開策が必要である。
fccおよびbcc構造をしたGMR材料は一般に大きなMR比を示し、従って界面透過率のスピン依存性も大きい。近年GMR素子の脇役として、反磁場効果(静磁エネルギー)を低減しフリー層磁化の磁場感度を向上させる目的でRu層/Co層(hcp)を繰り返し積層した人工格子がしばしば用いられている。これらの材料は六方晶構造をしておりそのためフェルミ面形状が立方晶のGMR材料とは大きく異なっている。Ru膜は通常c軸配向し、その上にc軸配向の六方晶Co膜が成長するので界面はc面と平行になる。
図9及び10に、c面に射影したフェルミ面をRuおよびCoのアップスピンおよびダウンスピンについて示した。図9右にはCoのアップスピンバンドを、図10右にはCoのダウンスピンバンドを示す。各図の複数の輪郭線がバンドに対応している。射影されたCoのフェルミ面はいずれのスピンについてもRuのフェルミ面とほぼ同じ大きさをしている。Co↑のフェルミ面はRuおよびCo↓のフェルミ面よりやや小さいがこの図には表されていないc軸方向のフェルミベクトルの大きさを考慮すると電流透過率のスピン依存性は単純な面積比よりも小さくなる。
また4d遷移金属であるRuのフェルミ面はAu、Ag、Cuなどの貴金属と異なり主としてd軌道から成り立っているためフェルミ面の対称性に由来する透過率のスピン依存性は小さい。Ru/Co(hcp)界面についての第一原理計算の報告はなされていないが、最近報告されたRu/Co人工格子膜に関するCPP−MR測定では4.2KにおけるMR比=−0.2%、非対称性パラメタγ=−0.2の極めて小さい値が報告されている。
以上の理由から、六方晶Ru/Coを用いた人工反強磁性体を用いることによりスピンゆらぎ(横成分)の高効率注入が可能と考えられる。その他の既存材料の中ではRu/Co(hcp)と同様に六方晶遷移金属(5d)を非磁性層とするRe/Co(hcp)、Os/Co(hcp)など、また立方晶においては4d遷移金属を非磁性層するRh/Co(fcc)、Pd/Co(fcc)やPd/Niなどの(111)界面について小さなスピン依存性が期待される。
しかしながら3d遷移金属を非磁性層とするCr/Fe(bcc)はスピン依存性が大きい。つまり、六方晶Ru/Co、Re/Co、Os/Coの(0001)界面や立方晶Rh/Co、Pd/Co、Pd/Niなどの(111)界面が高い注入効率を示す。従って、素子特性の観点からは人工反強磁性体を構成する強磁性体にはCoあるいはNiを、非磁性体にはRu、Re、Os、Rh、Pdを用いることが最も好ましく、スピン輸送層もこれらの非磁性体あるいは合金あるいはこれらの非磁性体と他の非磁性体の積層膜とすることが好ましい。
(実施例1)
次に、第1の実施の形態に関わる実施例1について図11の断面模式図を用いて説明する。
<強磁性体の熱揺らぎの評価>
この実施例では、まず強磁性体の磁化の熱ゆらぎを測定した。
まず、スパッタ成膜と電子線リソグラフィーを用いてシリコン基板31上に次の積層膜を形成した。この積層膜は、基板31から非磁性のCu層33、強磁性のCo層35、非磁性のCu層37、強磁性のFe層39、非磁性のCu層41、非磁性のAu層43、非磁性のCu層45を有する。
各層の厚さは、Cu層33が約100nm、Co層35が約50nm、Cu層37が約30nm、Fe層39が約1nm、Cu層41が約10nm、Au層43が約100nm、Cu層45が約100nmとした。強磁性のCo層35、Fe層39と非磁性のCu層33、37、41との各接合面積は約100×100nm2とした。
Co層35およびFe層39の形成は、約1000Oeの磁場を膜の面内に印加しながら成膜することでこれらの膜に磁気的一軸異方性を付与した。
この積層膜の素子抵抗Rは5.2Ω、MR比(=ΔR/R)は約0.8%であった。膜面内の容易磁化方向に外部磁場を印加し、素子電流1mAでノイズスペクトルの測定を行った。その結果を図12に示す。
図12の横軸は、印加磁場の周波数f(GHz)を示し、縦軸はバンド幅当りの雑音電圧(picoVolt/(Hz)1/2)を示す。図6の白丸は410Oeの外部磁場を印加した場合のスペクトル、黒丸(b)は外部磁場470Oeの下でのスペクトルである。外部磁場が60Oe変化すると雑音で夏のスペクトルピークが約0.2GHz移動することが分かる。スペクトルピークの幅から見積もったFe層39のギルバート減衰係数αは約0.02である。
雑音電圧Vnと磁化揺らぎ<mt 2>の間には次の(22)式の関係が成り立つ。
Figure 0004343006
すると、図12の結果から次の(23)式のように見積もることができる。
Figure 0004343006
ここで、厚さ50nmのCo層35の磁化ゆらぎは厚さ1nmのFe層39の磁化ゆらぎに比較して無視できるので、上記の磁化ゆらぎはFe層39の磁化ゆらぎと考えることができる。
<人工反強磁性体の作製と評価>
Si基板上に人工反強磁性体を約1000Oeの磁場印加の下でスパッタ法により作製した。この人口反強磁性体は、Fe層とCr層を交互に10回積層したものであり、各Fe層の膜厚を約1nm、Cr層の膜厚を約0.7nmとした。この(Fe1nm/Cr0.7nm)10積層膜の反強磁性共鳴スペクトルをXバンドの磁気共鳴装置を用いて観測した。
まず、人口は反強磁性体膜を形成したSi基板を共振周波数可変の空洞共振器内にセットし、磁場を積層膜の面内に印加して、共振周波数の印加磁場依存性を測定した。この結果を図13に示す。
黒丸は外部磁場を反強磁性体積層膜の容易軸方向に印加した場合、白丸は容易軸に垂直に磁場を印加した場合である。図13から、磁場0での共鳴周波数が約10GHzであり、磁場を磁化容易軸に垂直に印加した場合には、共鳴周波数が殆ど変化しないことがわかる。外部磁場が0の場合の共鳴周波数から次の(24)式のことがわかる。
Figure 0004343006
ここで、HEは人口反強磁性体のFe層間に働く交換磁場、HAは異方性磁場である。また、磁場を人口反強磁性体のFe層の容易軸に垂直に印加した場合には共鳴周波数は殆ど変化しないことがわかる。一方、共鳴線の半値幅は約0.3GHzであり、この値から求めたギルバートの減衰係数は約0.015であった。
続いて、図11の素子における厚さ50nmのCo層35を、上述の人工反磁性体膜(Fe1nm/Cr0.7nm)10で置き換えた素子を形成した。人口反強磁性体膜の形成に際して、その膜面に平行な約1000Oeの磁場中スパッタ法を用いた。但し、磁場中スパッタ法により上記積層膜を形成する際の外部磁場印加方向は、各層の面内に平行とし、強磁性体のFe層1nm形成時の磁場方向に垂直とした。つまり、人口反強磁性体積層膜と強磁性体の磁化容易軸は互いに直交している。そして、電子線リソグラフィーとArイオンミリングにより素子を約100nm×100nmの接合サイズに加工し、層間絶縁膜としてSiO2を、上部電極としてCu層を形成した。
Fe層39の磁化容易軸方向に外部磁場を印加し、素子の電流電圧を測定した。結果を図14に示す。黒丸は450Oeの外部磁場の下での特性、白丸は400Oeの下での特性である。この結果は、450Oeの外部磁場の下で反強磁性共鳴が誘起され、400Oeの外部磁場下に比べて素子抵抗が増大したことを示している。
図14から、抵抗変化率は100μA以下で約100%であるが、200μAでは80%に減少しており、共鳴強度の非線形性を示すことがわかる。
(実施例2)
実施例2では、実施例1に係る人工反強磁性体膜にかえて、(Co0.5nm/Ru1.5nm)10積層膜について検討した。(Co0.5nm/Ru1.5nm)積層膜は、Coの磁化は膜面に対して垂直方向に反強磁性結合している。実施例1と同様に、反強磁性体膜を形成したSi基板を共振周波数可変の空洞共振器内にセットし、磁場を積層膜の面内に印加して、共振周波数の印加磁場依存性を測定した。その結果、磁場0GHzでの共鳴周波数約10GHzに対して、磁場を膜面に平行に印加しても人工反強磁性体の共鳴周波数はほとんど変化しなかった。
次に、人工反磁性体を積層膜(Co約0.5nm/Ru約1.5nm)10で置き換えた磁気素子を作製した。強磁性体であるFeをスパッタする場合には、1000Oeの磁場を基板面内に印加しつつ成膜した。この場合の積層膜には特に磁場中での熱処理(アニール)は行わなかった。実施例1と同様に、素子を約50×50nm2の接合面積に加工し、強磁性体Feの磁化容易軸方向に外部磁場を印加して素子の電流電圧測定を行った。その結果、約530Oeの外部磁場の下で反強磁性共鳴が誘起され素子抵抗は約48Ωとなり、約400Oeの外部磁場下の場合の素子抵抗約25Ωと比較して、反強磁性共鳴時には約100%抵抗が増大した。
同様の積層構造を持つ磁気素子を約30×30nm2に加工し、同様の測定を行った。その結果を、図15の磁場(Oe)―抵抗(Ω)特性に示す。磁場を印加していない場合の素子抵抗約75Ωに対して、強磁性体Feの容易軸方向に約530Oeの外部磁場を印加した場合には、素子抵抗が約300Ωに増加し、約300%の抵抗変化率が得られることがわかった。
(実施例3)
実施例3では、実施例1の素子にバリア層29を設けた素子を作成した。このバリア層には例として酸化物層を用いた。
まず、実施例1と同様の方法で最下層のCu層33(約100nm)を形成後、チャンバー内に10-5torrの純酸素を約1分間導入しCu層表面を酸化し、Cu層と人口反強磁性体界面に約4Ωのバリア層29を形成した。さらに人口反強磁性体膜の積層数を5層に減らし、実施例1と同様な素子を作製した。この素子の電流電圧特性を図16に示す。図16中の黒丸は約450Oeの外部磁場の下での特性、白丸は約400Oeの下での特性である。実施例1の素子に比べ抵抗変化率が増大して約50μAでは約200%以上である。しかし、約70μA以上で共鳴抵抗の若干の減少が見られる。
(実施例4)
実施例3と同様な方法で、スピン輸送用の非磁性層にはRe(六方稠密構造(0001)配向30nm)、人工反強磁性体膜15には(六方稠密構造(0001)配向のCo1nm/Re0.5nm)10回積層膜を用いて磁気センサーを作成した。この積層膜中のCo層の磁化容易軸は膜面に垂直となっていることを磁化測定により確認した。面内に外部磁場を印加した場合の共鳴周波数は磁場にほとんど依存せず9.6GHzであり、ギルバート減衰係数は0.2であった。実施例3と同様に微小強磁性体の磁化容易軸方向に外部磁場を印加し素子の電流電圧測定を行った。約470Oeの外部磁場の下で反強磁性共鳴が誘起され100μAの電流を流した場合140%、200μAでは110%の抵抗変化がそれぞれ観測された。
(比較例)
実施例3の人口反強磁性体膜にかえて厚さ1nmのFe層を用いて素子を形成した。ただし、このFe層と強磁性体として用いたFe層の磁化容易軸は互いに直交している。この素子では外部磁場を450Oeから400Oeに変化させた際の磁気抵抗変化は約8%と小さかったが、電流値1mAの下でも共鳴抵抗の有効な減少は観測されなかった。
以上詳述した磁気素子は磁気センサーとして用いることができる。また、ハードディスクドライブなどに搭載される磁気情報読み取り用のヘッドの再生素子として利用することができる。この読み取り用の磁気ヘッドとこれを搭載したハードディスク装置などの磁気記録情報再生装置では、記録密度が数100Gbpsiから1Tbpsiを超える超高密度記録への対応が可能となる。
以上、本発明の実施の形態と実施例について説明したが、本発明はこれらに限られず、特許請求の範囲に記載の発明の要旨の範疇において様々に変更可能である。
また、本発明は、実施段階においてその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1の実施の形態に関わる磁気素子の断面模式図。 強磁性体の磁化の熱ゆらぎとパワースペクトルを説明するための図。 人工反強磁性体の磁気共鳴スペクトルが外部磁場の変化に依存することを示す図。 人工反磁性体膜に伝導電子を閉じ込めるため、バリア層を挿入した素子の断面模式図。 磁性体中のアップスピンとダウンスピンのバンド構造を示す模式図。 自由電子モデルによるフェルミ面の大きさや形を示す模式図。 図5のポテンシャル障壁に対応する模式図。 貴金属、強磁性体のフェルミ面を示す模式図。 Ru及びCoのアップスピンのc面に射影したフェルミ面を示す模式図。 R及びCoのアップスピンのc面に射影したフェルミ面を示す模式図。 本発明の実施例1に関わる積層膜の断面模式図。 実施例1に関わる雑音(ノイズ)スペクトルを示す図。 実施例1で用いた反強磁性体積層膜の共鳴周波数の磁場依存性を示す図。 実施例1の素子の電流電圧特性が外部磁場に依存することを示す図。 本発明の実施例2の磁気素子について抵抗の外部磁場依存性を示す図。 本発明の実施例3の磁気素子の電流電圧特性が外部磁場に依存することを示す図。
符号の説明
11・・・基板
13・・・下部電極
15、25・・・人工反強磁性体膜
15a、25a・・・強磁性体層
15b、25b・・・非磁性体層
17、27・・・非磁性体膜
19・・・強磁性体膜
21・・・上部電極
29・・・バリア層
31・・・シリコン基板
33・・・Cu層
35・・・Co層
37・・・Cu層
39・・・Fe層
41・・・Cu層
43・・・Au層
45・・・Cu層

Claims (11)

  1. 外部磁場に依存する磁化の熱ゆらぎをもち、前記熱ゆらぎに依存したスピンゆらぎを持つ伝導電子を生成する第1の磁性体と、
    前記第1の磁性体に積層され、前記伝導電子を伝達する非磁性導電体と、
    前記非磁性導電体に積層され、前記伝導電子の注入を受けて磁気共鳴を生じ、前記磁化の熱揺らぎの変化により前記磁気共鳴の強度が変化する第2の磁性体と、
    前記第1の磁性体に電気結合した第1の電極と、
    前記第2の磁性体に電気結合した第2の電極とを備えることを特徴とする磁気素子。
  2. 前記第2の磁性体の磁化容易軸が前記第1の磁性体の磁化容易軸及び前記磁気素子の印加磁場方向と直交しており、前記第2の磁性体の磁気共鳴吸収の共鳴周波数が前記第1の磁性体の共鳴周波数に近接していることを特徴とする請求項1記載の磁気素子。
  3. 前記第1の磁性体は、Fe, Co, Ni, Fe合金、Co合金、またはNi合金よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気素子。
  4. 前記第2の磁性体は複数の強磁性体層と前記複数の強磁性体層に挟まれた非磁性体層を備え、前記非磁性体層を介して隣り合う前記強磁性体層は互いに反強磁性磁気結合していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気素子。
  5. 前記強磁性体層はFe, Co, Ni, Fe合金、Co合金またはNi合金よりなり、層厚が0.1nm以上1nm以下であることを特徴とする請求項4記載の磁気素子。
  6. 前記非磁性体層は、Pt, Au, Ag, Cu, Cr, Ru, Rh, Mo, W, Pd, Re, Osのいずれかよりなり、層厚が0.2nm以上2nm以下であることを特徴とする請求項4または5記載の磁気素子。
  7. 前記第1および第2の磁性体は、AxMn1-x(AはFe, Co, Ni, Ir, Pr, Rh, Cu, Cr, Pt, Pd, AlおよびTiから選択される少なくとも一つを含み、xは0≦x<1である)、あるいはByC1-y(Bは少なくともFeおよびNiのいずれかを含み、CはV, CrおよびCuから選択される少なくとも一つを含み、yは0<y≦1である)であることを特徴とする請求項1記載の磁気素子。
  8. 前記第1の磁性体、前記非磁性導電体および前記第2の磁性体の結晶構造が六方最稠密構造(0001)配向膜、あるいは立方最稠密構造の(111)配向膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁気素子。
  9. 前記非磁性導電体と前記第2の磁性体の間、あるいは前記第2の磁性体の前記非磁性導電体と接する面の反対側に誘電体よりなる層を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気素子。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の磁気素子を用いた磁気情報再生用ヘッド。
  11. 請求項10に記載の磁気情報再生用ヘッドを搭載した磁気情報再生装置。
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