JP2003077269A - 磁気抵抗効果を用いた不揮発固体メモリ素子およびメモリとその記録再生方法 - Google Patents

磁気抵抗効果を用いた不揮発固体メモリ素子およびメモリとその記録再生方法

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JP2003077269A
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magnetic
magnetization
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Akio Koganei
昭雄 小金井
Masahiko Hirai
匡彦 平井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気抵抗効果を用いた不揮発の固体メモリ素
子、およびメモリとそれらの記録再生方法を提供する。 【解決手段】 メモリ素子は、基板上に磁化が膜面垂直
方向である第1磁性層と第2磁性層と、その間に非磁性
層が積層された磁気抵抗素子と、その上部に設けられた
ビット線と、第1磁性層、第2磁性層の磁化方向を電流
によって変化させる書込み線と、電界効果トランジスタ
からなり、そのトランジスタのドレイン領域の直上に、
磁気抵抗素子が形成され、書込み線を磁気抵抗素子を挟
む位置に上下に2本ずつ計4本設け、書込み線の電流磁
界により磁気抵抗素子の磁化状態を変化させる。記録再
生方法は、第1の磁性層の磁化方向を所定方向に初期化
し、書込み線に電流を流して、磁気抵抗素子の第2磁性
層の磁化方向を決定して情報を記録し、磁気抵抗素子の
抵抗の絶対値を検出して、記録情報を再生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】磁気抵抗効果を用いた不揮発
の固体メモリ素子、およびメモリとそれらの記録再生方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】昨今では、携帯電話、PDAを中心とし
てモバイル端末の開発が盛んになっている。モバイル機
器においては格納用メモリとして、大容量の不揮発性高
速アクセスメモリの必要性が叫ばれている。近年、非磁
性層を強磁性層の間にはさみ込んだ磁気抵抗膜で巨大磁
気抵抗効果(Giant Magnet Resistance)が発見され、
この現象を利用した磁気センサー、磁気メモリ素子(以
下MRAM)が注目を集めている。強磁性層/非磁性絶
縁層/強磁性層と積層された薄膜の膜垂直方向に電流を
流したときの電気抵抗の変化は、強磁性層のスピン分極
率の差により、非磁性絶縁層をトンネルバリア層とした
トンネル電流の変化として検知され、トンネル磁気抵抗
効果(TMR効果)と呼ばれている。TMR素子では高
い磁気抵抗比が得られることから、MRAMや磁気ヘッ
ドの実用化に向け開発が加速している。
【0003】MRAMでは2つの強磁性層とその間に挟
んだ薄い非磁性層が情報を記憶する基本構造となる。非
磁性層をはさみ込んだ強磁性層の磁化方向がそろってい
る場合と反平行な場合とで抵抗値が異なる現象を利用し
て、“0”、“1”の状態を記憶する。情報の読み出し
は、抵抗の絶対値で判断する絶対検出方式と、書き込み
の際より弱い磁場を印加して、保磁力が低い方の強磁性
層だけ磁化反転させて“0”、“1”の状態を読み出す
差動検出方式が知られている。情報の書き込みは、絶対
検出方式では、2つの強磁性層のうち、保磁力が低い一
方の磁化方向を外部磁界で変化させることで行う。差動
検出方式では2つの強磁性層のうち、保磁力が高い一方
の磁化方向を外部磁界で変化させることで行う。磁気抵
抗素子の近傍に配置した配線に電流を流し、発生する磁
界を利用する方法が知られている。磁気的に記憶される
ため放射線耐性に優れ、原理的に不揮発であり高速で書
き込み回数の制限がない利点がある。既存の半導体技術
を流用する事で高密度記録が容易に行えるので、将来的
にはDRAMの置き換えが期待される。
【0004】MRAMに使われる磁性材料を磁化方向で
分類すると、膜面に平行な磁化成分を持つ面内磁化膜型
と、膜面に垂直な磁化成分を持つ垂直磁化膜型とに分け
られる。NiFe、Co等の強磁性体は、磁化方向が膜
面に平行な面内磁化膜型であるが、この面内磁化膜では
磁性体の微細化が進むと磁極同士が近づいて反磁界が大
きくなるため、磁化のカーリング現象が起きるという問
題がある。カーリングが発生すると、磁化の方向を判別
することが困難になる。そのため、面内磁化膜を用いた
MRAMでは形状異方性をつけるため、メモリセルとな
る強磁性層を平面的に見て長軸を持つ形状(長方形な
ど)とする必要がある。長方形の長軸と短軸の比は、少
なくとも2倍以上必要だと予想される。従って、カーリ
ング現象防止のために、メモリセルのサイズが制約を受
け、集積度向上の阻害要因となる。
【0005】一方、強磁性層としてTbFe、TbFe
Co、GdFe等の希土類−遷移金属からなるフェリ磁
性体を用いる場合、これら磁性体の垂直磁気異方性が高
いため、膜厚と組成によっては、磁化を膜面に対し垂直
方向に持つ垂直磁化膜となる。垂直磁化膜の場合には、
磁化の方向は、形状的に最も反磁界が大きい膜面垂直方
向を向いており、垂直磁気異方性を示す時点で既に最大
の反磁界係数に打ち勝っていることになる。つまり、面
内磁化膜のようにメモリセルを長方形とする必要がな
く、メモリセルの平面形状を正方形とすることができ
る。さらに、素子を微細化すると、磁化容易軸である膜
厚方向と比べ、平面的な面積が小さくなるので、形状異
方性の観点では、磁化のカーリングがより起きにくい方
向になる。そのため、垂直磁化膜型は、メモリセル部の
集積度を向上する上では、面内磁化膜型と比べ有利であ
る。
【0006】次に、本願発明の基本となる技術をすでに
出願された特許出願とその他先行技術を例に挙げて従来
技術として説明する。
【0007】例えば、特許出願(file#199745 2000年9
月27日出願)に垂直磁化膜を利用したメモリ素子として
MOSFETの直上に磁気抵抗膜を配置した提案があ
る。図16にこのメモリ素子の断面構造を示す。なお、
記号の記載のない部分は基本的に絶縁体を示す。半導体
基板1には、ドレイン領域2、ソース領域3が形成さ
れ、さらに絶縁膜を介してゲート電極4が形成され、こ
れらでMOSFET(電界効果型トランジスタ)が構成
されている。各電界効果トランジスタ間はLOCOSフ
ィールド酸化膜21によって絶縁されている。
【0008】電界効果トランジスタのドレイン領域2に
は、プラグ電極5を介して、ドレイン領域2の直上の位
置に、膜面垂直方向に磁化した磁気抵抗膜9が接続さ
れ、さらにビット線6に接続されている。ソース電極2
2には、図示していないが接地配線が設けられている。
また、磁気抵抗膜9の側部には、絶縁体を介して書き込
み線10が設けられている。書き込み線10、ゲート線
4、ソース電極に接続された接地配線は、紙面の垂直方
向に伸びている。ビット線は紙面平行方向に伸びてい
る。
【0009】図16を参照すると、磁気抵抗膜9と電界
効果トランジスタのドレイン領域2とはプラグ5のみで
接続されている。図16のメモリ素子においては、用い
られている磁気抵抗膜が垂直磁化膜であるため、書き込
み線10の発生磁界の膜面に対し垂直な成分を利用して
記録や再生を行っている。面内磁化膜を利用したメモリ
素子の場合は、磁性層の上か下に書き込み線を配して面
内方向の電流磁界を印加する必要があるため、プラグか
ら横方向にオフセットした位置に磁気抵抗膜を配置する
必要があった。垂直磁化膜を利用したメモリ素子の場合
には、その必要が無いため、よりシンプルでプロセス加
工マージンの広がる設計が可能である。
【0010】また、垂直磁化膜を用いることによって、
メモリ素子のサイズを小さくしても反磁界の影響によっ
て、スピンがカーリングすることがなく、安定に磁化を
保つことができるため、面内磁化膜を利用したメモリ素
子と比較して、磁気抵抗膜の幅/長さの比が1にでき、
メモリセル面積が小さくでき、集積度を高めることがで
きる。加工におけるフィーチャーサイズをFとするとセ
ル面積は最小4F×2F=8F2まで小さくすることが
できる。
【0011】しかしながら、図16から明らかなよう
に、書き込み線10からの発生磁界の中で磁気抵抗膜の
膜面に垂直成分だけを使用するため、書き込み線と磁気
抵抗膜の高さがオフセットしている分、利用効率が悪
い。従って、特許出願(file#200004 2000年10月3日出
願)に示すように、垂直磁化膜を利用したメモリ素子に
おいては、書き込み線と磁気抵抗膜の厚さ方向のずれ量
δが書き込み線厚さの1/2未満であるようにすること
が望ましい。
【0012】メモリ素子は記録容量を増大させるために
微細化が必須であり、微細化の進展によりスケーリング
則に乗らないファクターが重要となる。MRAMの場合
は磁化反転を引き起こすための電流磁界の発生が問題で
ある。これは、アンペールの法則より電流磁界の大きさ
は流れる電流の大きさで決まるのに対し、配線に流せる
限界電流密度には材料固有の上限があるためである。例
えばAl配線の場合、使用条件にもよるが1MA/cm
2が一つの目安とされる。磁化反転に必要な磁界の大き
さは、微細化により変わらないか、むしろ増大する傾向
があるため、電流密度を増す必要がある。しかしなが
ら、前述の制約があるため、配線がエレクトロマイグレ
ーションにより破断してしまう恐れがある。現在の加工
水準では問題ないが、将来を俯瞰した場合にはブレーク
スルーが必須である。
【0013】書き込み線の電流密度を軽減する方策とし
ては、幾多の提案がある。例えば、特許出願(file#199
745 2000年9月27日出願)には、2本の書き込み線を磁
気抵抗膜を挟む形で配置する例示がある。1本の場合と
比べ同じ大きさの磁界を発生させる上では電流密度は低
下し、磁界の対称性も良くなるメリットがある。図5は
例として、図16に示す従来技術に対して磁気抵抗膜を
挟む形で書き込み線を配置したものである。現在の加工
水準では問題ないが、将来を俯瞰した場合には不十分で
あることが予想される。
【0014】また、特許USP5956267(Honeywe
ll)には書き込み線にkeeper層と称する高透磁率
材料を設けて、書き込み線が生じる電流磁界を特定方向
のみに広がるよう有効利用する提案がある。少ないプロ
セス変更で磁界を集中させる効果が認められるが、将来
を俯瞰した場合には不十分であると予想される。
【0015】書き込み線に頼らない磁化反転方法に関す
る研究開発も現在進展している。例えばスピン偏極電子
を注入することで磁化反転を引き起こす手法についてG
MR膜構成について報告がある("Current-Driven Magne
tization Reversal and Spin-Wave Excitations in Co/
Cu/Co Pillars"、J.A.Katine et al、 Physical Rev.Le
tt.Vol.84、No.14、(2000)p3149-3152)。また特許US
P6130814において、同じ現象を元にした磁気ス
イッチとメモリ素子の提案がある。しかしながら、注入
に必要な電流密度が高いことから、この現象をトンネル
膜を含むTMR構成に適用することは現実的でない("Cu
rrent-driven excitation of magneticmultilayers"、
J.C.Slonczewski、J.Mag.Mag.Mat.、159(1996)、L1-L
7)。
【0016】さらに最近磁歪を利用して電圧印加で磁化
反転を起こす方法についても検討されている(V.Novosad
et al、 J.Appl.Phys.、87、6400(2000)が、十分な効
果が得られたという報告はない。
【0017】従って、いずれの方式を用いても十分な改
善を図ることは不可能であった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する第1の課題は、書き込み線の電流密度を下げること
である。
【0019】第2の課題は、第1の課題を実現しなが
ら、高集積化に適する垂直磁化膜を利用したメモリ素子
の特徴を保つことである。
【0020】第3の課題は、第1の課題を達成する上で
生じるコストアップを可能な限り低減することである。
【0021】第4の課題は、メモリ素子の記録再生動作
の安定性を高め、高速に記録再生可能な不揮発固体メモ
リを実現することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明のメモリ素子は、
基板上に磁化容易軸が膜面垂直方向である第1磁性層と
第2磁性層が積層され、磁性層間に非磁性層が積層され
た磁気抵抗素子と、磁気抵抗素子の上部に設けられたビ
ット線と、第1磁性層または第2磁性層の磁化方向を電
流によって発生する磁界により変化させる書き込み線
と、電界効果トランジスタからなり、電界効果トランジ
スタのドレイン領域の直上に、磁気抵抗素子が形成され
ているメモリ素子において、書き込み線を磁気抵抗素子
を挟む位置に上下に2本ずつ合計4本設け、書き込み線
の電流磁界により磁気抵抗素子の磁性層の磁化状態を変
化させることを特徴とする。
【0023】また、書き込み線のうち磁気抵抗素子の上
方に位置する2本をビット線の下に配しても良い。
【0024】また、書き込み線を隣接する磁気抵抗素子
と共用化することを特徴とする。
【0025】また、電界効果トランジスタのソース領域
を隣接する磁気抵抗素子と共用化することを特徴とす
る。
【0026】また、4本の書き込み線に流す電流のタイ
ミングを調整し、常に同じ場所から磁化反転が生じるよ
うになる機能を設けても良い。
【0027】また、4本の書き込み線に流す電流のタイ
ミングを調整し、常に同じ書き込み線が他の書き込み線
より早くオンになる機能を設けても良い。
【0028】さらに、4本の書き込み線に流す電流のタ
イミングを調整し、ヒステリシスを取り除く機能を設け
ても良い。
【0029】また、4本の書き込み線に流す電流のタイ
ミングをランダム化しても良い。
【0030】また、非磁性層が絶縁体であることを特徴
とする。
【0031】また、基板上にマトリクス状に設けたこと
を特徴とする。
【0032】さらに、第1磁性層もしくは第2磁性層
が、希土類鉄族合金からなることを特徴とする。
【0033】また、希土類鉄族合金のうち、希土類元素
がGd、 Tb、 Dyの少なくとも1種の元素を含
み、鉄族元素がFe、 Coの少なくとも1種の元素を
含むことを特徴とする。
【0034】また、第1磁性層と非磁性層間と、第2磁
性層と非磁性層間の少なくとも一方に、Fe、 Coの
うち、少なくとも一つの元素を含む磁性層が設けられて
いることを特徴とする。
【0035】また、書き込み線を作成するレチクルマス
クを下方に位置するレチクルマスクと上方に位置するレ
チクルマスクを共用化できるようにすることを特徴とす
る。
【0036】さらに、本発明のメモリ素子の記録再生方
法は、メモリ素子を用いて、第1の磁性層の磁化方向を
あらかじめ所定の方向に初期化し、書き込み線に電流を
流すことによって、磁気抵抗素子の第2の磁性層の磁化
方向を決定して情報を記録し、磁気抵抗素子の抵抗の絶
対値を検出して、記録された情報を再生することを特徴
とする。
【0037】さらにまた、本発明のメモリ素子の記録再
生方法は、メモリ素子を用いて、書き込み線に電流を流
すことによって、磁気抵抗素子の第1の磁性層の磁化方
向を決定して情報を記録し、第2の磁性層の磁化方向を
反転させて、そのときに生じる抵抗変化を検出して、記
録された情報を再生することを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を、図面
を用いて詳細に説明する。図1は本発明のメモリ素子の
断面構造を示す図である。なお、記号の記載のない部分
は基本的に絶縁体を示す。図ではメモリ素子2つ分を表
示しており、機能が同一でそれぞれに固有な部分につい
てはa、bに分けて表示している。半導体基板1には、
ドレイン領域2、ソース領域3が形成され、さらに絶縁
膜を介してゲート電極4が形成され、これらでMOSF
ET(電界効果型トランジスタ)が構成されている。各
電界効果トランジスタ間はLOCOSフィールド酸化膜
21によって絶縁されている。
【0039】電界効果トランジスタのドレイン領域2に
は、プラグ電極5を介して、ドレイン領域2の直上の位
置に、膜面垂直方向に磁化した磁気抵抗膜9が接続さ
れ、さらにビット線6に接続されている。ソース電極2
2には、図示していないが接地配線が設けられている。
また、磁気抵抗膜9a(9b)の側部下方には、絶縁体
を介して書き込み線10、11(14、15)が磁気抵
抗膜9a(9b)の両脇に設けられている。さらにビッ
ト線6の上方にも2本の書き込み線12、13(16、
17)が設けられており、磁気抵抗膜を中心に四方に書
き込み線が配置された構造となっている。書き込み線1
0−17、ゲート線4、ソース電極に接続された接地配
線は、紙面の垂直方向に伸びている。ビット線6は紙面
平行方向に伸びている。
【0040】1本の書き込み線からの電流磁界によって
記録再生動作を行う場合と比べ、本発明においては書き
込み線が4本あるため、同じ磁界を発生させる上では1
本当たりの書き込み線にかかる電流密度は概ね4分の1
になる。
【0041】上記の効果は単純に配線本数を増やしたこ
とにとどまらない。下側の2本の書き込み線と上側の2
本の書き込み線の形状を統一し、共通部分を増やせば、
マスク及び回路仕様の設計やレチクルマスク製造にかか
るコストをミニマムに抑制することが可能になる。
【0042】さらに、本発明の書き込み線構成は、記録
再生動作の安定化を図る上で大きな効果を発揮すること
を確認した。具体的には、従来からの提案のように、磁
気抵抗膜斜め側方から合成磁界を加えて垂直磁化膜から
なる磁気抵抗膜に磁界を印加した場合には、斜方成分が
残るために磁化が不安定になることが避けられなかっ
た。しかし、本発明の構成のように四方から取り囲む配
置とすることで真に対称性に優れた垂直磁界を印加する
ことが可能になった。
【0043】書き込み線を四方から取り囲む配置とする
メリットは上記の効果に留まらない。微細化した磁性体
が磁化反転する動作は一斉回転モードで近似できるとさ
れているが、4本の書き込み線に電流を印加するタイミ
ングを調整することで、この一斉回転モードの磁化反転
の生じる場所を任意に決めることができ、常に同じ場所
から磁化反転が行われるよう調整することが可能になっ
た。
【0044】上記とは逆に常に同じ場所から飽和磁界に
達しないレベルで磁化反転動作を行うようにしている
と、完全な磁化反転をしなくなる懸念があった。この場
合には、適宜磁化反転の発生個所を変化させることで磁
気抵抗膜の磁化反転動作を安定化することができる。従
って、余分なマージンを見込むことなく記録再生に必要
な電流をミニマムに抑制することができ、消費電力の低
減と書き込み線に印加される電流密度の低減を同時に達
成することが可能になったのである。
【0045】本発明のMRAMでは、基板には、Siウ
エハ、石英、SOI等平坦性の高い非磁性材料基板が用
いられる。SOI基板の作製方法はELTRAN法、S
IMOX法など各種方式が適用できる。その際、基板表
面のSiの結晶方位は(100)が好ましい。
【0046】前記基板上に磁気抵抗膜を形成する際、バ
ッファ層は、第1磁性膜より下面の表面自由エネルギー
を調整し、より平坦性の高い界面構造を実現する目的で
挿入される。Ta、Cu、Cr等の各種金属やSiN、
SiO2、Al23等の絶縁体が用いられるが、基板材
料と磁気抵抗膜の材料の選び方によっては、挿入しなく
てもよい。バッファ層の膜厚は、2〜10nmの範囲が
好適である。これは、成膜方法によっては2nmより薄
いと島状成長による膜質不均一の問題があり、一方、1
0nmより厚いと生産性低下の問題があるためである。
【0047】スピン散乱膜の場合、非磁性層としては導
体が用いられる。Cu、Ag、Au、Al、Mg等が用
いられるが、より好適にはCuが用いられる。非磁性層
の膜厚は、1〜10nmの範囲が好適である。これは、
成膜方法によって1nm未満では、島状成長によるピン
ホール発生の恐れがあり、両磁性層の相互作用により磁
気抵抗が発現しない場合があり、一方、10nmを超え
る場合には、両磁性層間の間隔が電子の平均自由行程に
対し広すぎてスピン依存性散乱が減るため磁気抵抗が小
さくなるためである。
【0048】スピントンネル膜の場合、非磁性層として
は絶縁体が用いられる。絶縁体としては、Al、Si、
Cu、Mg等の酸化物や窒化物が用いられるが、フェル
ミ準位が他の磁性層に近いAl酸化物がより好適に用い
られる。非磁性層の膜厚は、0.5〜5nmの範囲が好
適である。これは、成膜方法によって0.5nm未満で
は、島状成長によるピンホール発生の恐れがあり、両磁
性層の相互作用により磁気抵抗が発現しない場合があ
り、一方、5nmを超える場合には、両磁性層間の間隔
が電子の平均自由行程に対し広すぎてトンネリング確率
が減るため磁気抵抗が小さくなるためである。
【0049】磁気抵抗膜の構成要素である第1磁性層と
第2磁性層の組み合わせは軟磁性材料と硬磁性材料から
なり、第1磁性層が軟磁性層、第2磁性層が硬磁性層と
する組み合わせのみでなく、第1磁性層が硬磁性層、第
2磁性層が軟磁性層とする組み合わせを用いても良い。
軟磁性材料は容易に磁化が反転するため再生層として機
能する。硬磁性材料は軟磁性材料と比べ、磁化が反転し
にくいためメモリ層として機能する。なお、本発明にお
いて、軟磁性材料と硬磁性材料の区別は2つの強磁性層
間における保磁力の大小関係で定義されるもので、相対
的に保磁力が大きいものを硬磁性材料とする。
【0050】また、第1磁性層、第2磁性層とは機能を
示すもので、各磁性層自体は単一元素から成る単層の場
合もあるが各種合金の多層構造でも良い。例えば、硬磁
性材料として機能させるために第1(あるいは第2)磁
性層として、厚さ5nmのCoと厚さ30nmのFeM
nの二層構造としてピン止めしたものを用いることがで
きる。第1磁性層および第2磁性層としては、TbF
e、TbFeCo、GdFe等のフェリ磁性体が用いら
れる。これら二磁性層の組成は、その保磁力が異なるよ
う適宜調整される。第1磁性層、第2磁性層の膜厚は、
2〜100nmの範囲に選択するのが好適である。
【0051】垂直磁化膜の場合には、磁化の方向は、形
状的に最も反磁界が大きい膜面垂直方向を向いており、
垂直磁気異方性を示す時点で既に最大の反磁界係数に打
ち勝っている。そのため、素子を微細化した場合でもカ
ーリングは発生しにくい。また、面内磁化膜のように、
カーリングを防止するため平面的な形状を長方形とする
必要もないため、メモリセル部の集積度を向上する上で
は、垂直磁化膜は面内磁化膜と比べ有利である。
【0052】上述したように磁気抵抗膜の積層方向の抵
抗は、第1磁性層と第2磁性層の磁化の相対角度によっ
て決まる。両者が平行な場合には抵抗が低くなり、反平
行な場合には抵抗は高くなる。アップスピンとダウンス
ピンの状態密度の差が大きい方が磁気抵抗が大きくな
り、再生信号が大きくなるため、第1磁性層と第2磁性
層の間の絶縁層界面近傍にはスピン分極率の高い磁性材
料を用いることが望ましい。具体的には、FeやCo等
でこれらを主成分とする磁性材料を界面近傍にはさむこ
とで理論上は50%に到達する抵抗変化が得られる。
【0053】FeとCoを含むこれらの磁性材料は面内
磁化膜であるものが多いが、膜厚を数nm程度以下と薄
くすることで垂直磁化膜からなる第1磁性層及び第2磁
性層と交換結合して垂直磁化膜として機能する。従っ
て、磁化の方向は膜面垂直方向で統一されることにな
り、信号が小さくなることはない。
【0054】次に本発明の記録再生方法を図3を用いて
説明する。図3はメモリ素子1つ分に相当する回路図
で、実際にはマトリクス状に多数のメモリ素子を基板上
に配置して使用する形態となる。磁気抵抗膜R1の一端
には電界効果型トランジスタTcが接続されており、も
う一端はビット線に接続している。ビット線は一端を接
地電位、もう一端を電源電圧Vddに負荷R0と選択ト
ランジスタTrを介して接続されている。選択トランジ
スタと負荷R0の間のノードN1はセンスアンプS.
A.に接続されており、センスアンプのもう一端はレフ
ァレンスとなる参照抵抗(不図示)に接続されている。
また、磁気抵抗膜R1の近傍には四方を取り囲むように
書き込み線がトランジスタT1からT4を介して接続さ
れている。
【0055】はじめに、再生動作について説明する。ワ
ード線に電流を流して電界効果型トランジスタTcを選
択し、併せてビット線の選択トランジスタTrをオン状
態にすると電源電圧Vddと負荷R0に応じた電流が磁
気抵抗膜R1に流れる。このとき磁気抵抗膜R1の抵抗
が高抵抗状態か低抵抗状態かを、ノードN1の電位を参
照抵抗と比較することで判定する。参照抵抗の大きさは
磁気抵抗膜R1の高低2種類の抵抗値の中間値となるよ
うに設定しておく。
【0056】次に記録動作について説明する。情報を記
録する磁気抵抗膜R1を選択するために電解効果型トラ
ンジスタTcと選択トランジスタTr、さらには書き込
み線の選択トランジスタT1〜T4をオン状態とした上
でビット線及び書き込み線に電流を流して、それらの合
成磁界により磁気抵抗膜の記録層の磁化方向を変化させ
ることで記録を行う。電流方向を逆転させれば磁化方向
を反転させることができるため、“0”、“1”に対応
する信号を任意に記録することができる。
【0057】この時、選択トランジスタT1〜T4に対
し、書き込み電流が流れるタイミングを調整することで
磁性層に印加する磁界を調整することが可能である。そ
れは前述した書き込み線を四方から取り囲む配置とする
メリットである。微細化した磁性体が磁化反転する動作
は一斉回転モードで近似できるとされているが、4本の
書き込み線に電流を印加するタイミングを調整すること
で、この一斉回転モードの磁化反転の生じる場所を任意
に決めることができる。
【0058】図17は、書き込み線に流す電流のタイミ
ングチャートである。図17においては、選択トランジ
スタT1のオンするタイミングを他のT2〜T4と比べ
若干速くすることで、印加される磁界が大きくなり始め
る場所はトランジスタT1に接続される書き込み線近傍
となる。このように常に同じ場所から磁化反転が行われ
るよう調整することが本発明の構成では可能になり、磁
化反転動作を安定的に行うことができる。
【0059】上記とは逆に常に同じ場所から飽和磁界に
達しないレベルで磁化反転動作を行うようにしている
と、完全な磁化反転をしなくなる懸念があった。この場
合には、適宜磁化反転の発生個所を変化させることで磁
気抵抗膜の磁化反転動作を安定化することができる。こ
の場合には、図17に示したタイミングチャートの速く
オンになる選択トランジスタをT1に固定せずに、ラン
ダムに変わるようにすることで可能である。従って、余
分なマージンを見込むことなく記録再生に必要な電流を
ミニマムに抑制することができ、消費電力の低減と書き
込み線に印加される電流密度の低減を同時に達成するこ
とが可能になる。
【0060】次に本発明の記録再生方法を図15のメモ
リセルをマトリクス状に配置したメモリアレイ回路を例
に説明する。中央にある電界効果トランジスタ(T2
2)と磁気抵抗膜(R22)から構成されたメモリセル
に注目すると、ビット線B2は、書き込み線を兼ね、セ
ル中央の磁気抵抗素子(R22)の一方の端子に結合さ
れ、センスアンプ(SA)の一方の端子に接続される。
磁気抵抗素子(R22)のもう一方の端子は電界効果型
トランジスタ(T22)のドレイン端子に結合され、該
電界効果型トランジスタ(T22)のソース端子は接地
される。ワード線(G2)は該電界効果型トランジスタ
(T22)のゲート端子に接続される。また、書き込み
線(W21、W22、W23、W24)は、ビット線と
直交するように、磁気抵抗素子R22の近傍に配置され
る。
【0061】初めに読み出し動作について説明する。ま
ずビット線B2の左端に電源電圧Vddを印加し、ワー
ド線G2に電圧を印加し、トランジスタT22をオン状態
とすることで、磁気抵抗素子R22に定常電流が流れ、
ビット線B2の右端のセンスアンプ(SA)の端子に磁
気抵抗素子R22の抵抗に応じた電位が生じる。センス
アンプSAのもう一方の端子には、磁気抵抗素子R22
の2つの抵抗値の中間の電位を入れる。これにより、r
efとR22のどちらが高抵抗かによってセンスアンプ
の出力がVddまたは0Vのどちらかが選択されること
になる。
【0062】次に書き込み動作について説明する。磁気
抵抗素子R22に情報を書き込む場合には、ビット線B
2とW21、W22、W23、W24に電流を流すこと
によって、配線が交差する場所での磁場が強めあい、R
22の磁化が書き換えられる。B2とW21、W22、
W23、W24の電流方向を逆転させれば逆方向の磁界
を印加することが可能になる。このような操作によっ
て、情報の書き込みを行う。
【0063】書き込み線は磁気抵抗膜に垂直に磁界がか
かるように配置する。書き込み線と磁気抵抗膜の間には
絶縁膜が設けられる。絶縁膜を設けるのは、書き込み線
と磁気抵抗膜が短絡するのを防ぐためである。これは、
再生時に書き込み線の電流が再生信号に混入して信号が
劣化するのを防ぐため必要である。
【0064】書き込み線と磁気抵抗膜の間隔は長い場合
は十分な磁界を印加することができず、短い場合は書き
込み線と磁気抵抗膜の間で絶縁破壊が生じたり漏洩電流
が流れたりするため、少なくとも1nm以上500nm
以下で、望ましくは5nm以上100nm以下とするの
が良い。
【0065】ここで記録方法に関して更に詳細に説明す
る。記録時には書き込み線に電流を流して、そこから発
生する磁界を用いて磁気抵抗膜の磁性層の磁化を情報に
応じて適宜配向させることで行う。書き込み線には紙面
垂直方向に電流が流れる。例えば、紙面に向かって電流
を流すと書き込み線に対して右回りに磁界が発生する。
図1の構成では、書き込み線10と12に紙面に向かう
電流を流し、書き込み線11と13に紙面から飛び出す
方向に電流を流すと磁気抵抗素子9aに対し上向きの垂
直磁界が印加される。この書き込み線と同時にビット線
6に電流を流す。ビット線電流によって、磁気抵抗膜の
面内方向に磁界が印加される。書き込み線とビット線各
々からの磁界は複数のメモリセルに印加されるが、これ
ら書き込み線とビット線からの合成磁界は電流を流した
導体線の密集点に位置する磁気抵抗膜にしか磁化反転を
引き起こすような磁界が印加されない。これにより、所
定のメモリセルのみに対し記録ができる。電流の向きに
応じて書き込む情報を調整できることは言うまでもな
い。
【0066】次に再生方法に関して詳細に説明する。、
絶対検出法と差動検出法に大別されるがまず、絶対検出
法について述べる。絶対検出における磁気抵抗膜の構成
は、一方の磁性層を磁化情報が保存されるメモリ層、も
う一方の磁性層を常に決められた一定の方向に磁化が配
向したピン層とする。例えば”0”、”1”のデータを
メモリ層の磁化の上向き、下向きに対応させる。記録時
は書き込み線に流す電流の発生する磁界によってメモリ
層の磁化を情報に合わせて配向させる。再生時は磁性層
の磁化反転は行わずに抵抗値の絶対値で情報の検出を行
う。このため、再生時に抵抗値の変化を検出するための
磁化反転を行う必要がないため高速かつ低消費電力で再
生を行うことができる。
【0067】次に差動検出法について説明する。差動検
出における磁気抵抗膜の構成は、一方の磁性層を磁化反
転が容易な検出層、もう一方の磁性層を磁化情報が保存
されるメモリ層とする。記録時は書き込み線に流す電流
の発生する磁界によってメモリ層の磁化を情報に合わせ
て配向させる。再生時は書き込み線により発生する磁界
を記録時より弱めて印加して検出層のみの磁化方向を反
転させる。こうすることで、弱い磁界の印加に伴って小
→大、もしくは大→小の抵抗値変化により記録情報を検
出することができる。この方法では絶対検出ほど高速で
の読み出しはできないが、微分検出法などを用いて小さ
な信号でも感度良く再生を行うことができる。
【0068】図1においては本発明の意図を明確化する
ために1つのメモリセルごとに4本の書き込み線を配置
する構成を示したが、従来技術において説明した通り、
図5に示したように隣接するメモリセルと書き込み線を
共用化することが可能である。
【0069】
【実施例】(実施例1)図2は本発明の実施例を示すも
ので断面構造を示す。図1と比べ、隣接するメモリセル
と書き込み線を共用化している。なお、記号の記載のな
い部分は基本的に絶縁体を示す。図ではメモリ素子2つ
分を表示しており、機能が同一でそれぞれに固有な部分
についてはa、bと分けて表示している。半導体基板1
には、ドレイン領域2、ソース領域3が形成され、さら
に絶縁膜を介してゲート電極4が形成され、これらでM
OSFET(電界効果型トランジスタ)が構成されてい
る。各電界効果トランジスタ間はLOCOSフィールド
酸化膜21によって絶縁されている。
【0070】電界効果トランジスタのドレイン領域2に
は、プラグ電極5を介して、ドレイン領域2の直上の位
置に、膜面垂直方向に磁化した磁気抵抗膜9が接続さ
れ、さらにビット線6に接続されている。ソース電極2
2には、図示していないが接地配線が設けられている。
また、磁気抵抗膜9a(9b)の側部下方には、絶縁体
を介して書き込み線10、11(10、15)が磁気抵
抗膜9a(9b)の両脇に設けられている。さらにビッ
ト線6の上方にも2本の書き込み線12、13(12、
17)が設けられており、磁気抵抗膜を中心に四方に書
き込み線が配置された構造となっている。書き込み線1
0−17、ゲート線4、ソース電極22に接続された接
地配線は、紙面の垂直方向に伸びている。ビット線6は
紙面平行方向に伸びている。
【0071】図2に示す実施例が図1と異なる点は、書
き込み線10と12が、左側の磁気抵抗膜9aと右側の
磁気抵抗膜9bの両者に対して使える構造となっている
点である。従って、磁気抵抗膜9aに対し情報を記録す
る場合には書き込み線10、11、12、13を使用
し、磁気抵抗膜9bに対し情報を記録する場合には書き
込み線10、15、12、17を使用する。図1の場合
と比べ、書き込み線本数が減るため、集積度が向上可能
である。
【0072】図13は図2のメモリセルをマトリクス状
に配置したメモリアレイ回路を示している。中央にある
電界効果トランジスタ(T22)と磁気抵抗膜(R2
2)から構成されたメモリセルに注目すると、ビット線
B2は、書き込み線を兼ね、セル中央の磁気抵抗素子
(R22)の一方の端子に結合され、センスアンプ(S
A)の一方の端子に接続される。磁気抵抗素子(R2
2)のもう一方の端子は電界効果型トランジスタ(T2
2)のドレイン端子に結合され、該電界効果型トランジ
スタ(T22)のソース端子は接地される。ワード線
(G2)は該電界効果型トランジスタ(T22)のゲー
ト端子に接続される。また、書き込み線(WU2、WB
2、WU3、WB3)は、ビット線と直交するように、
磁気抵抗素子R22の近傍に配置される。
【0073】4本の書き込み線WU2、WB2、WU
3、WB3は磁気抵抗素子R21、R22、R23に対
して作用する。このうち、書き込み線WU2、WB2は
書き込み線WU1、WB1と共に磁気抵抗素子R11、
R12、R13に対して作用する。書き込み線WU3、
WB3は書き込み線WU4、WB4と共に磁気抵抗素子
R31、R32、R33に対して作用する。
【0074】初めに読み出し動作について説明する。ま
ずビット線B2の左端に電源電圧Vddを印加し、ワー
ド線G2に電圧を印加し、トランジスタT22をオン状態
とすることで、磁気抵抗素子R22に定常電流が流れ、
ビット線B2の右端のセンスアンプ(SA)の端子に磁
気抵抗素子R22の抵抗に応じた電位が生じる。センス
アンプSAのもう一方の端子には、磁気抵抗素子R22
の2つの抵抗値の中間の電位を入れる。これにより、r
efとR22のどちらが高抵抗かによってセンスアンプ
の出力がVddまたは0Vのどちらかが選択されること
になる。
【0075】次に書き込み動作について説明する。磁気
抵抗素子R22に情報を書き込む場合には、ビット線B
2とWU2、WB2、WU3、WB3に電流を流すこと
によって、配線が交差する場所での磁場が強めあい、R
22の磁化が書き換えられる。B2とWU2、WB2、
WU3、WB3の電流方向を逆転させれば逆方向の磁界
を印加することが可能になる。このような操作によっ
て、情報の書き込みを行う。
【0076】図6から12は図2に示す実施例1のメモ
リ素子を作成するプロセス工程図である。
【0077】まず始めに図6に示すMOSFETを半導
体プロセスを用いて作成する。半導体基板1には、ドレ
イン領域2、ソース領域3が形成され、さらに絶縁膜を
介してゲート電極4が形成され、これらでMOSFET
(電界効果型トランジスタ)が構成されている。各電界
効果トランジスタ間はLOCOSフィールド酸化膜21
によって絶縁されている。
【0078】電界効果トランジスタのドレイン領域2に
は、プラグ電極5が形成され、また、その側部下方に
は、絶縁体を介して書き込み線10、11、15がプラ
グ電極5a(5b)の両脇に設けられている。
【0079】次にマグネトロンスパッタを用いて磁気抵
抗膜9を成膜する(図7)。途中、非磁性層であるAl
2O3はプラズマ酸化を行って調質する。
【0080】さらに、プラグ電極と接続するメモリセル
となる領域を規定する加工を行い、周囲を絶縁層で電気
的に隔離する(図8)。磁気抵抗膜9a、9bと接続す
るように紙面平行方向にビット線6を形成し、絶縁層で
埋め込む(図9)。
【0081】最後に、上面の絶縁層に上側の書き込み線
を作るための溝を形成して(図10)、電極膜18で埋
め込む(図11)。CMPを行って平坦化し、書き込み
線12、13、17を形成した後、絶縁膜で保護すると
プロセス完了である(図12)。
【0082】本発明の構成とすることで、書き込み線の
電流密度を大幅に下げながら、一方で高集積化を実現す
ることができた。 (実施例2)図4は本発明の実施例を示すもので断面構
造を示す。図1と比べ、隣接するメモリセルと書き込み
線を共用化している。また、図2に示す実施例1と比
べ、上側の書き込み線12、13、17がビット線6の
下に配置されており、磁気抵抗膜9とビット線の間には
プラグ18が形成されている。上記の構成により、書き
込み線を共有化することによって配線本数が減り、デバ
イス構造が簡略化されるために、メモリ素子を小型化で
きる。 (実施例3)図14は本発明の実施例を示すもので断面
構造を示す。図1と比べ、隣接するメモリセルと書き込
み線を共用化している。また、図2に示す実施例1と比
べ、ソース領域3が磁気抵抗膜9aと9bで共有化され
る構造となっている。上記の構成により、ソース領域を
共有化することによって配線本数が減り、デバイス構造
が簡略化されるために、メモリ素子を小型化できる。 (実施例4)図2に示す本発明のメモリ素子の4本の書
き込み線のうち1本に対してオンするタイミングを早
め、磁化反転を同じ個所から起こるようにした。図2に
おいて、磁気抵抗膜9aに信号を記録する場合におい
て、書き込み線10、11、12、13のうち書き込み
線10が常に早くオンするように設定した。垂直磁化膜
からなる磁気抵抗膜9aは絶対検出型とし、メモリ層と
して機能する第1磁性層の磁化方向が上向きと下向きを
それぞれ”0”、”1”に対応させる。例えば、”0”
を記録する際には、書き込み線10、12に紙面に向か
う方向に、書き込み線11、13に紙面から飛び出す方
向に電流を印加して記録を行う。このとき、常に書き込
み線10がオンになるタイミングが他の書き込み線と比
べ2nsほど早くなるよう調整した。この場合は、図2
において、磁気抵抗膜9aの書き込み線10に近い側が
磁化反転の開始点となる。4本の書き込み線に電流を加
えるタイミングを同一としていた場合と比べ、本発明に
より磁化反転が安定化するため、書き込み電流を10%
少なく設定しても安定動作が得られるようになった。 (実施例5)図2に示す本発明のメモリ素子の4本の書
き込み線のうち1本に対してオンするタイミングを早め
る動作をランダムに変え、磁化反転が生じる場所を変え
る効果を確認した。まず、定常状態における動作を安定
化するため、図2において、磁気抵抗膜9aに信号を記
録する場合において、書き込み線10、11、12、1
3のうち書き込み線10が常に早くオンするように設定
した。垂直磁化膜からなる磁気抵抗膜9aは絶対検出型
とし、メモリ層として機能する第1磁性層の磁化方向が
上向きと下向きをそれぞれ”0”、”1”に対応させ
る。例えば、”0”を記録する際には、書き込み線1
0、12に紙面に向かう方向に、書き込み線11、13
に紙面から飛び出す方向に電流を印加して記録を行う。
このとき、常に書き込み線10がオンになるタイミング
が他の書き込み線と比べ2nsほど早くなるよう調整し
た。この場合は、図2において、磁気抵抗膜9aの書き
込み線10に近い側が磁化反転の開始点となる。実施例
4で述べた通り、4本の書き込み線に電流を加えるタイ
ミングを同一としていた場合と比べ、本発明により磁化
反転が安定化するため、書き込み電流を10%少なく設
定しても安定動作が得られるようになった。
【0083】しかしながら、このままの状態では103
回を超える書き換えを繰り返すと書き込みができなくな
ることがあった。そこで、上記のように書き込みが不可
能になった場合には、今度は常に書き込み線10が始め
にオンになる状態からランダムにオンになる状態へと切
り替えた。この場合は磁化反転が生じるポイントは書き
込み線10の近傍だけではなく、各書き込み線の近傍へ
と変化する。具体的には書き込み線11が先にオンにな
る場合には磁気抵抗膜9aの書き込み線11に近い側が
磁化反転の開始点となる。
【0084】ランダムに早くオンになる点が切り替わる
状態を20回繰り返した後、元の通り、書き込み線10
が先にオンになるよう固定化した所、以前と同じ電流密
度で書き換えが可能になった。
【0085】以上の結果から、本発明の効果により、磁
化反転動作を安定的に行えるようになった。
【0086】
【発明の効果】本発明の適用により、垂直磁化膜の磁気
抵抗効果を利用したメモリ素子において、書き込み線の
電流密度を大幅に下げながら、一方で高集積化を実現
し、コストの上昇を抑制することが可能になる。また、
副次的効果として、メモリ素子の記録再生動作の安定性
を高め、高速に記録再生可能な不揮発固体メモリを実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメモリ素子の断面構造を示す図であ
る。
【図2】本発明のメモリ素子の別形態を示す断面構造図
である。
【図3】本発明のメモリ素子の基本的な回路図である。
【図4】本発明のメモリ素子の別形態を示す断面構造図
である。
【図5】従来技術を示すメモリ素子の断面構造を示す図
である。
【図6】実施例1のメモリ素子を作成するプロセスを説
明する図(1)である。
【図7】実施例1のメモリ素子を作成するプロセスを説
明する図(2)である。
【図8】実施例1のメモリ素子を作成するプロセスを説
明する図(3)である。
【図9】実施例1のメモリ素子を作成するプロセスを説
明する図(4)である。
【図10】実施例1のメモリ素子を作成するプロセスを
説明する図(5)である。
【図11】実施例1のメモリ素子を作成するプロセスを
説明する図(6)である。
【図12】実施例1のメモリ素子を作成するプロセスを
説明する図(7)である。
【図13】実施例1のメモリ素子の回路図である。
【図14】本発明のメモリ素子の別形態を示す断面構造
図である。
【図15】本発明の図1に示す構造のメモリ素子の回路
図である。
【図16】従来技術を示すメモリ素子の断面構造図であ
る。
【図17】本発明のメモリ素子における選択トランジス
タのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 基板 2 ドレイン領域 3 ソース領域 4 ゲート電極 5、18 プラグ 6 ビット線 9 磁気抵抗膜 10、11、12、13、14、15、16、17
書き込み線 21 LOCOS領域 22 ソース電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F083 FZ10 GA01 GA05 GA09 GA30 HA02 KA20 LA03 LA12 LA16 PR22 PR40

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に磁化容易軸が膜面垂直方向であ
    る第1磁性層と第2磁性層が積層され、前記磁性層間に
    非磁性層が積層された磁気抵抗素子と、前記磁気抵抗素
    子の上部に設けられたビット線と、前記第1磁性層また
    は第2磁性層の磁化方向を電流によって発生する磁界に
    より変化させる書き込み線と、電界効果トランジスタか
    らなり、前記電界効果トランジスタのドレイン領域の直
    上に、前記磁気抵抗素子が形成されているメモリ素子に
    おいて、 前記書き込み線を前記磁気抵抗素子を挟む位置に上下に
    2本ずつ合計4本設け、前記書き込み線の電流磁界によ
    り前記磁気抵抗素子の磁性層の磁化状態を変化させるこ
    とを特徴とするメモリ素子。
  2. 【請求項2】 前記書き込み線のうち前記磁気抵抗素子
    の上方に位置する2本をビット線の下に配したことを特
    徴とする請求項1記載のメモリ素子。
  3. 【請求項3】 前記書き込み線を隣接する磁気抵抗素子
    と共用化することを特徴とする請求項1記載のメモリ素
    子。
  4. 【請求項4】 前記電界効果トランジスタのソース領域
    を隣接する磁気抵抗素子と共用化することを特徴とする
    請求項1記載のメモリ素子。
  5. 【請求項5】 前記4本の書き込み線に流す電流のタイ
    ミングを調整し、常に同じ場所から磁化反転が生じるよ
    うになる機能を設けたことを特徴とする請求項1記載の
    メモリ素子。
  6. 【請求項6】 前記4本の書き込み線に流す電流のタイ
    ミングを調整し、常に同じ書き込み線が他の書き込み線
    より早くオンになる機能を設けたことを特徴とする請求
    項5記載のメモリ素子。
  7. 【請求項7】 前記4本の書き込み線に流す電流のタイ
    ミングを調整し、ヒステリシスを取り除く機能を設けた
    ことを特徴とする請求項1記載のメモリ素子。
  8. 【請求項8】 前記4本の書き込み線に流す電流のタイ
    ミングをランダム化する請求項7記載のメモリ素子。
  9. 【請求項9】 前記非磁性層が絶縁体であることを特徴
    とする請求項1記載のメモリ素子。
  10. 【請求項10】 前記基板上にマトリクス状に設けたこ
    とを特徴とする請求項1記載のメモリ素子。
  11. 【請求項11】 前記第1磁性層もしくは第2磁性層
    が、希土類鉄族合金からなることを特徴とする請求項1
    記載のメモリ素子。
  12. 【請求項12】 前記希土類鉄族合金のうち、希土類元
    素がGd、Tb、Dyの少なくとも1種の元素を含み、
    鉄族元素がFe、Coの少なくとも1種の元素を含むこ
    とを特徴とする請求項11記載のメモリ素子。
  13. 【請求項13】 前記第1磁性層と前記非磁性層間と、
    前記第2磁性層と前記非磁性層間の少なくとも一方に、
    Fe、Coのうち、少なくとも一つの元素を含む磁性層
    が設けられていることを特徴とする請求項1記載のメモ
    リ素子。
  14. 【請求項14】 前記書き込み線を作成するレチクルマ
    スクを下方に位置するレチクルマスクと上方に位置する
    レチクルマスクを共用化できるようにすることを特徴と
    する請求項1記載のメモリ素子。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載されているメモリ素子
    を用いて、前記第1の磁性層の磁化方向をあらかじめ所
    定の方向に初期化し、前記書き込み線に電流を流すこと
    によって、前記磁気抵抗素子の第2の磁性層の磁化方向
    を決定して情報を記録し、前記磁気抵抗素子の抵抗の絶
    対値を検出して、記録された情報を再生することを特徴
    とするメモリ素子の記録再生方法。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載されているメモリ素子
    を用いて、前記書き込み線に電流を流すことによって、
    前記磁気抵抗素子の第1の磁性層の磁化方向を決定して
    情報を記録し、前記第2の磁性層の磁化方向を反転させ
    て、そのときに生じる抵抗変化を検出して、記録された
    情報を再生することを特徴とするメモリ素子の記録再生
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005327988A (ja) * 2004-05-17 2005-11-24 Toshiba Corp 磁気ランダムアクセスメモリ及びその磁気ランダムアクセスメモリのデータ書き込み方法
US7580227B2 (en) 2003-06-27 2009-08-25 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic element, magnetic information reproducing head, and magnetic information reproducing apparatus

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