JPH113585A - 磁性薄膜メモリ素子およびその記録再生方法 - Google Patents

磁性薄膜メモリ素子およびその記録再生方法

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JPH113585A
JPH113585A JP9155225A JP15522597A JPH113585A JP H113585 A JPH113585 A JP H113585A JP 9155225 A JP9155225 A JP 9155225A JP 15522597 A JP15522597 A JP 15522597A JP H113585 A JPH113585 A JP H113585A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存時においては磁化安定性が高く、記録時
においては弱い磁界でも磁化反転し消費電力が小さく、
安定した記録再生ができ、高集積化が可能な磁性薄膜メ
モリ素子を提供する。 【解決手段】 基板上に、膜面内の一方向に磁化配向し
ており低い保磁力を有する第1磁性層と、膜面内の一方
向に磁化配向しており高い保磁力を有する第2磁性層が
非磁性層を介して積層され、第1磁性層の磁化と第2磁
性層の磁化が平行の時は低い抵抗値を示し、反平行の時
は高い抵抗値を示す磁気抵抗素子であって、外部磁界が
0の時に第1磁性層の磁化と第2磁性層の磁化は反平行
状態を示し、第1磁性層、第2磁性層およびこれらに接
して設けられた第3磁性層により非磁性層を囲むように
閉磁路が構成され、第3磁性層のキュリー温度が第1磁
性層および第2磁性層のキュリー温度より低い磁性薄膜
メモリ素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁化の向きによっ
て情報を記録し、磁気抵抗効果によって再生する磁気抵
抗素子(磁性薄膜メモリ素子)、並びにそれを用いた磁
性薄膜メモリ及びその記録再生方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】磁性薄膜メモリは、半導体メモリと同じ
く稼働部のない固体メモリであるが、電源が断たれても
情報を失わない、繰り返し書換回数が無限回である、放
射線が入射すると記録内容が消失する危険性がない等、
半導体メモリと比較して有利な点がある。特に近年、巨
大磁気抵抗(GMR)効果を利用した磁性薄膜メモリ
は、従来提案されている異方性磁気抵抗効果を用いた磁
性薄膜メモリと比較して大きな出力が得られるため注目
されている。
【0003】例えば、日本応用磁気学会誌Vol.2
0,p22(1996)には、図11に示すような硬質
磁性膜101/非磁性膜102/軟磁性膜103なる構
成要素を非磁性膜を介して複数回積層してメモリー素子
とした固体メモリーが提案されている。このメモリー素
子には、金属導体と接合されたセンス線104、および
絶縁膜105によってこのセンス線と絶縁されたワード
線106が各々設けられており、このワード線電流およ
びセンス線電流によって発生する磁界によって情報の書
き込みを行う。
【0004】具体的には、図12に示すように、ワード
線106に電流Iを流し、電流の向きIDによって異な
る方向の磁界を発生させて硬質磁性膜101の磁化反転
を行い、メモリー状態「0」又は「1」の記録を行う。
例えば、図12(a)に示すように正の電流を流して右
向きの磁界を発生させて硬質磁性膜に「1」の記録を行
い、図12(c)に示すように負の電流を流して左向き
の磁界を発生させて硬質磁性膜に「0」の記録を行う。
【0005】情報の読み出しは、図13に示すようにワ
ード線に記録電流より小さい電流Iを流して軟磁性膜の
磁化反転のみを起こし、その際の抵抗変化を測定する。
巨大磁気抵抗効果を利用すれば軟磁性膜と硬質磁性膜の
磁化が平行の場合と反平行の場合で抵抗値が異なるの
で、その時生ずる抵抗変化により「1」及び「0」のメ
モリー状態を判別することができる。図13(a)に示
すような正から負のパルスを印加すると、軟磁性膜は右
向きから左向きになり、メモリー状態「1」に対して
は、図13(b)のように小さい抵抗値を示す状態から
図13(c)のように大きい抵抗値を示す状態に変化
し、メモリー状態「0」に対しては、図13(d)のよ
うに大きい抵抗値を示す状態から図13(e)のように
小さい抵抗値を示す状態に変化する。このようにして抵
抗の変化を読みとれば、記録後の軟磁性膜の磁化状態に
関わらず硬質磁性膜に記録した情報の読み出しが可能で
あり、非破壊読み出しが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記構成の磁
性薄膜メモリは、ビットセルの面積を小さくするに伴っ
て、磁性層内部で生じる反磁界(自己減磁界)が無視で
きなくなり、記録保持する磁性層の磁化方向が一方向に
定まらず不安定となってしまう。そのため、上記構成の
磁性薄膜メモリは、ビットセルを微細化するにしたがい
情報の保存が困難となり、高集積化が不可能であるとい
った欠点を有していた。
【0007】従来の2層の磁性層からなるメモリでは、
各磁性層の磁化の向きは平行、反平行のどちらの状態も
存在し、特に非磁性層の厚さが40nmを超える場合に
は一様でなく定まらない。また、非磁性層を40nm以
下に薄くした場合では、非磁性層の厚さによっては磁化
が反平行状態または平行状態の一方を取り得る場合があ
るが、非磁性層の厚さを薄くするにしたがって2層の磁
化が平行、反平行を繰り返すようになる。このため、磁
化が反平行となる非磁性層の膜厚のマージンが狭いとい
った問題がある。すなわち、反平行の磁化状態を、1つ
のメモリ上にある数多くのメモリ素子で安定的に実現す
ることは困難であった。
【0008】また、2層の磁性層の磁化が保存状態で平
行であると、メモリ素子外部へ、無視できない大きさの
磁界が漏れ、隣接するセルに誤記録・誤再生する場合が
ある。このため、従来のものは記録・再生が不安定であ
った。
【0009】そこで本発明は、これらの点に鑑み、ビッ
トセルを微細化する際に問題となる磁性薄膜の反磁界を
なくし、高集積化を可能にした磁性薄膜メモリ素子およ
びメモリの提供を目的とする。
【0010】さらに、保存時においては磁化安定性が高
く情報の保存性に優れ、記録時においては弱い磁界でも
磁化反転し消費電力の小さい磁性薄膜メモリ素子および
メモリの提供を目的とする。
【0011】また、安定して記録再生でき、再生時間が
短く、ノイズの少ない記録再生方法の提供を目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために種々の検討を重ねた結果、本発明を完
成した。
【0013】第1の発明は、基板上に、主に膜面内の一
方向に磁化配向しており低い保磁力を有する第1磁性層
と、主に膜面内の一方向に磁化配向しており高い保磁力
を有する第2磁性層が非磁性層を介して積層され、第1
磁性層の磁化と第2磁性層の磁化が平行の時は低い抵抗
値を示し、反平行の時は高い抵抗値を示す磁気抵抗素子
であって、外部磁界が0の時に第1磁性層の磁化と第2
磁性層の磁化は反平行状態を示し、第1磁性層、第2磁
性層およびこれらに接して設けられた第3磁性層により
非磁性層を囲むように閉磁路が構成され、第3磁性層の
キュリー温度が第1磁性層および第2磁性層のキュリー
温度より低いことを特徴とする磁性薄膜メモリ素子に関
する。
【0014】第2の発明は、第1の発明の磁性薄膜メモ
リ素子がマトリックス状に配列され、縦または横方向に
並ぶ該メモリ素子を直列に接続するセンス線と、該セン
ス線と交差する方向に並ぶ前記メモリ素子列に電気的に
絶縁された形で近接して設けられるワード線とを備えた
ことを特徴とする磁性薄膜メモリに関する。
【0015】第3の発明は、第1の発明の磁性薄膜メモ
リ素子がマトリックス状に配列され、縦または横方向に
並ぶ第1ワード線と該第1ワード線と交差する方向に並
ぶ第2ワード線とにより前記メモリ素子が並列に接続さ
れていることを特徴とする磁性薄膜メモリに関する。
【0016】第4の発明は、第1の発明の磁性薄膜メモ
リ素子がダイオード又はトランジスタからなる半導体素
子と接続されたハイブリッド構造を有することを特徴と
する磁性薄膜メモリに関する。
【0017】第5の発明は、第2、第3又は第4の発明
の磁性薄膜メモリにおいて、ワード線に電流を流し、該
電流により生じる磁界により第2磁性層の磁化方向を定
め、該ワード線の電流を流す方向を変えることにより
「0」と「1」の状態を記録することを特徴とする磁性
薄膜メモリの記録方法に関する。
【0018】第6の発明は、第2、第3又は第4の発明
の磁性薄膜メモリにおいて、再生時のワード電流により
生じる磁界により、該メモリ素子の第1磁性層のみの磁
化方向が反転することにより生じる抵抗変化を利用する
ことを特徴とする磁性薄膜メモリの再生方法に関する。
【0019】本発明の磁性薄膜メモリは、保存時には記
録に関わる磁性膜が閉磁路となっているため、反磁界に
よる悪影響を無くすことが可能であり、安定に磁化情報
を保存できる。このため1ビットのセル幅を小さくする
ことができ、集積度が高い磁性薄膜メモリを実現するこ
とができる。また、隣接セルに磁界が漏れ出さないた
め、より安定に情報の記録再生を行うことが可能とな
る。また、再生を1パルスで行うことができるためアク
セス時間を短縮することができる。
【0020】また、磁化が反平行となる非磁性層の膜厚
のマージンが広くなるため、容易に、低コストで作製で
きる。
【0021】本発明の磁性薄膜メモリ素子は、磁界を印
加していない状態では、第1磁性層と第2磁性層の磁化
は常に逆向きとなっており、このためアクセスしない他
のメモリセルの抵抗値は常に一定になっている。従っ
て、本発明のメモリ素子を用いた再生方法は、メモリ素
子の磁化状態が定まっていない従来の方法と比較して、
抵抗のバラツキが無くなるため、よりノイズの少ない精
度のよい検出が可能である(S/Nが向上)。
【0022】本発明の磁性薄膜メモリは、上記のように
保存時には記録に関わる磁性膜が閉磁路となっているた
め、反磁界による悪影響を無くすことが可能であり、安
定に磁化情報を保存できる。一方、記録時においては、
閉磁路が切断されて容易に磁化反転するようになってい
る。このため、本発明によれば、消費電力が少なく、か
つ集積度が高く、保存安定性が良好な磁性薄膜メモリを
実現することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて詳細に説明する。図1及び図2は本発明の磁性
薄膜メモリ素子の一例を示す構造断面図である。図1に
おいて、1は第1磁性層、2は第2磁性層、3は第3磁
性層、4は非磁性層を示す。また矢印は各磁性層におけ
る主な磁化方向を示している。
【0024】図1に示すように、本発明の薄膜状の磁気
抵抗素子は、膜面内の一方向に磁化方向がある第1磁性
層1及び第2磁性層2が、非磁性層4を介して積層され
ており、この第1磁性層および第2磁性層の側面には第
3磁性層3が設けられており、全体として第1磁性層と
第2磁性層と第3磁性層とで非磁性層を囲むように構成
されている。外部磁界が0の保存状態では、第1磁性層
の磁化と第2磁性層の磁化は反平行であって、第3磁性
層を介して閉磁路構成となっている。
【0025】図1では、第3磁性層は、第1磁性層、非
磁性層および第2磁性層の側面に接するように配置され
ているが、図2に示すように第3磁性層を第1磁性層と
第2磁性層との間に配置して、非磁性層の一部を置き換
える形で設けてもよい。この場合には、第3磁性層の占
有範囲を大きくしすぎると磁気抵抗効果が低下するの
で、第3磁性層の合計の長さは非磁性層の長さに対して
3分の1以内にすることが望ましい。より望ましくは4
分の1以下がよい。図2の構成の素子における第3磁性
層は、閉磁路のうち主に垂直磁化領域を受け持つ部分な
ので垂直磁化成分が大きい材料を用いることが好まし
い。
【0026】図1及び図2には、それぞれの層の磁化の
向きを簡略化して示したが、詳細には第3磁性層の磁化
は緩やかに曲がって環状のループを形成しており、安定
なエネルギー状態が実現されている。従来知られている
第3磁性層を有しない磁性2層膜構造では、磁荷の密度
が高い端面でスピンが曲がってしまい、磁化が安定に保
持されないが、本発明の磁性薄膜メモリ素子においては
安定に磁化情報を保存することができる。
【0027】データの記録は、後述するように隣接する
ワード線から発生する磁界でおこなう。この際、ワード
線からの発熱によりメモリセルは温度が上昇する。本発
明の磁性薄膜メモリ素子は、第3磁性層のキュリー温度
が第1及び第2磁性層のキュリー温度よリも低く設定さ
れているため、記録しようとするメモリ素子の第3磁性
層は、磁化の環状のループを形成するに十分な磁性を無
くしてしまう。よって磁化情報を保存する第2磁性層は
磁化反転しやすくなる。このため、安定に磁化情報を記
録するとともに、記録を小さい電流で行うことができ
る。
【0028】第3磁性層のキュリー温度は、低すぎると
保存時において第2磁性層に記録された磁化情報を安定
に保存するのが妨げられ、高すぎると記録時に磁化の環
状ループを切れやすくする本発明の効果が薄れてしま
う。
【0029】第1磁性層の例として、磁歪が0であるN
66Fe16Co18及びNi14Fe13Co73が挙げられ、
これらのキュリー温度はそれぞれ約700℃及び約10
00℃である。また、第2磁性層の例としてFeCoが
挙げられ、そのキュリー温度は図7に示すように約90
0℃である。
【0030】第3磁性層は、第1及び第2磁性層のキュ
リー温度より低く設定する必要があるため500℃以下
が望ましい。また、保存時の温度が50℃近くまで上昇
することを考慮すると100℃以上が望ましい。このた
め第3磁性層のキュリー温度は100℃以上で500℃
以下が望ましい。より望ましくは120℃以上で400
℃以下がよい。さらに望ましくは150℃以上で300
℃以下がよい。さらに望ましくは150℃以上で200
℃以下がよい。
【0031】第3磁性層の室温での保磁力は4 Oe以
上で6 Oe以下がよい。
【0032】図3に、(NixFe100-x100-yCoy
組成とキュリー温度の関係を示す。図3より、第3磁性
層の組成は、(NixFe100-x100-yCoyとすると、
キュリー温度を500℃以下にするためには25<x<
50、0≦y<30の範囲内で適当な組成を選択するこ
とが望ましい。キュリー温度をより好ましい300℃以
下にするためには20<×<40、0≦y<20の範囲
内で適当な組成を選択することが望ましい。
【0033】図4には、(NixFe100-x100-yCoy
の組成と飽和磁化Msの関係を示す。図4に示すように
飽和磁化Msは少なくとも500emu/cc以上あ
り、本発明の効果を示すことができる。
【0034】図5には、Gdx(Fe100-yCoy100-x
の組成とキュリー温度の関係を示す。図5より、第3磁
性層の組成は、Gdx(Fe100-yCoy100-xとする
と、例えばキュリー温度を200℃以下にするために
は、43≦x、0≦y≦50、又はx≦18、y≦5な
どの組成を選択することが望ましい。また、例えばキュ
リー温度を100℃以上にするためにはx≦50とする
ことが望ましい。
【0035】図6には、Gdx(Fe100-yCoy100-x
の組成と飽和磁化Msの関係を示す。図6より、飽和磁
化が±50 Oe以内となる組成では、第3磁性層にお
ける磁束密度が小さくなって、本発明の効果を大きく発
揮できない。このためxは24%±2%の範囲内を避け
ることが望ましい。
【0036】第3磁性層は、磁化の環状ループのうち曲
率の大きいところを担っているため、第1磁性層および
第2磁性層に比べて磁気異方性および保磁力が小さく、
透磁率が高く、容易に任意の磁化方向を取れる材料が望
ましい。また、第3磁性層に磁壁エネルギーが小さい材
料を選択することも、スピンがカーブする場合におきる
磁壁エネルギーの上昇を抑えるために好ましい。本発明
の磁性薄膜メモリの磁化は環状のループを形成してお
り、磁路が閉磁路となっているため安定な磁化状態が実
現できる。第1、第2及び第3磁性層内部の至る所で磁
束密度と断面積の積が一定であることが完全な閉磁路が
できるために望ましい。第3磁性層の材料としては、N
iFe、NiFeCoが挙げられ、磁歪定数、磁気異方
性が小さく、第1磁性層および第2磁性層より保磁力が
小さい磁性材料が好ましい。また、GdxFe100-x、N
xFe100-x、TbxFe100-xなどの垂直磁化膜を主成
分としてもよい。これらの垂直磁化膜については、xは
元素組成で10〜35が望ましく、さらにCo等の元素
を添加してもよい。垂直磁化膜の中ではGdFeが保磁
力が小さいため最も望ましい。
【0037】メモリセルの配列構造 次に、本発明の磁性薄膜メモリ素子を多数配列して固体
メモリを作製する場合のメモリセルの配列構造の例(直
列配列構造および並列配列構造)を説明する。
【0038】直列配列構造 図8(a)は図1に示す本発明の磁性薄膜メモリ素子を
直列に配列した構造例を立体的に示したものである。図
8(a)に示すように、メモリ素子10は直列に配列さ
れ、各メモリ素子の上部にはワード線5が設けられてい
る。また、メモリ素子の下部には別のワード線6が設け
られている。ここで、センス線はメモリ素子10を直列
に結んだものである。
【0039】図8(a)では省略しているが各ワード線
とメモリ素子との間には絶縁層が充填されており、ワー
ド線とメモリ素子間が電気的に導通するのを防いでい
る。また、センス線とワード線5で記録を行う場合に
は、ワード線6は設けなくともよい。また、メモリ素子
間の抵抗を低減するために、メモリ素子間を良導体で接
続したり、第3磁性層の上部に良導体を設けたりしても
よい。この良導体はAlなどの少なくとも第1磁性層お
よび第2磁性層よりも抵抗率の低い材料を主成分とする
ものが望ましい。
【0040】再生時にはセンス線に電流を流すため第3
磁性層を電流が通過する。この際に第3磁性層の磁化状
態が再生信号に影響を与えると好ましくないので、これ
を避けるために第3磁性層のセンス線方向の長さは50
0A以上とするのが望ましい。
【0041】図9(a)は、本発明の磁性薄膜メモリ素
子を直列に配列した場合のメモリの平面図である。メモ
リ素子10は直列に並んでセンス線7を構成している。
同図では横方向にセンス線を配置したが、縦方向にセン
ス線を配置してもよい。ワード線5は、同図には示して
いない絶縁層を介して各メモリ素子の直上に置かれ、セ
ンス線と直交して配置されている。センス線7の下部に
は、ワード線5と直交するワード線6を設けてもよい。
主に、ワード線は記録をするために、センス線は再生信
号を取り出すために設けられる。各ワード線と各センス
線の両端90、100、110には、これらを駆動する
ためのデコーダー、ドライバ等の半導体素子が設けられ
ている。また、センス線の端部には、再生信号を増幅す
るセンスアンプが組み込まれている。本発明に用いられ
るワード線は、どれも導電率が第1、第2、第3磁性層
よりも大きな良導体からなる。ワード線の例としては、
アルミニウム、銅、タングステン若しくはこれらの合
金、又はこれらとシリコン等との混合物などが挙げられ
る。本発明の磁性薄膜メモリ素子の基板は、Siを主成
分とする基板であることが望ましい。これは、上述の半
導体素子を本発明のメモリ素子と同一の基板上に作製す
ることが可能になるためである。
【0042】並列配列構造 図8(b)に、図1に示す本発明の磁性薄膜メモリ素子
を並列に配列した構造を示す。メモリ素子10は、図8
(b)に示すように並列に配列され、各メモリ素子の上
部にはワード線5が、下部にはワード線6が設けられて
いる。ここで、ワード線5とメモリ素子10とワード線
6を結んだものがセンス線となる。
【0043】図9(b)は、本発明の磁性薄膜メモリ素
子を並列に配列したメモリの平面図である。メモリ素子
10は、縦または横方向に並ぶワード線5及びこれと交
差するワード線6により並列に接続されてなる。各ワー
ド線の両端90、100、110には、これらを選択駆
動するためのデコーダー、ドライバー等の半導体素子が
設けられている。これらのワード線は、記録と同時に再
生のために設けられている。ワード線5、6の端部に
は、再生信号を増幅するセンスアンプが組み込まれてい
る。
【0044】本発明のメモリセルの構造 次に、本発明のメモリセルの構造の別の例を図10を用
いて説明する。
【0045】図10(a-1)及び(a-2)には直列に接
続した複数個の本発明のメモリ素子を一単位とした構造
を並列に配列して、各構造のクロストーク解消のために
ダイオードを設けたメモリセルの配列構造の一単位の回
路図とデバイス構造の断面図を、図10(b-1)及び
(b-2)にはトランジスタと本発明のメモリ素子を接続
したアクティブマトリックス構造の一単位の回路図とデ
バイス構造の断面図を、図10(c-1)及び(c-2)に
は並列にメモリセルを配列した構造であって、クロスト
ーク解消のためにダイオードと本発明のメモリ素子を接
続した構造の一単位の回路図とデバイス構造の断面図を
示す。図10に示すように、本発明のメモリ素子がダイ
オードやトランジスタからなる半導体素子と接続された
ハイブリッド構造を形成すると、製造プロセスはやや複
雑になるが、メモリ素子を前述の単純マトリックスで配
列した場合に発生する浮遊容量等のインピーダンス成分
を排除することができ、より安定な動作を行うことがで
きる。
【0046】本発明の磁性薄膜メモリ素子を用いた記録
方法 次に、本発明の磁性薄膜メモリ素子を用いた記録方法の
一例を説明する。この磁性薄膜メモリ素子には、ワード
線およびセンス線が設けられており、この各線に電流を
流せばアンペールの法則にしたがって磁界が発生する。
これら2本の電極線は直交しているため発生する磁界も
直交しており、メモリセルの磁性層にかかる磁界はこれ
らの直交する磁界のベクトル和となる。この状態でワー
ド線電流によリ第2磁性層が反転できる程度の大きさの
磁界を印加すれば第2磁性層の磁化は所望の方向に配向
して記録が行われる。したがって、マトリックス上の多
数のセルから特定のセルのみの記録を行うことが可能で
ある。
【0047】さらにこの際にワード線からの発熱で、セ
ル部分、特に電流を流した直交するワード線の下のメモ
リセルの部分は、温度が高くなる。本発明の特徴とし
て、第3磁性層のキュリー温度は低く設定されているた
め、記録しようとするメモリ素子の第3磁性層は磁化の
環状のループを形成するに十分な磁性を無くしてしま
う。したがって、第2磁性層は磁化反転しやすくなる。
すなわち、記録しようとするメモリセルのみ磁化反転磁
界が小さくなり、そのほかのメモリセルは高い磁化反転
磁界を有することとなる。これにより、保存時には磁化
が安定し保存性に優れ、記録時には小さい磁界で反転で
きるため記録電流が低減できる。
【0048】なお、磁化反転の可否は、磁性層のアステ
ロイド曲線で示される。第2磁性層は、安定に磁化状態
を保存することが望ましいので、高い保磁力を有するこ
とが必要である。しかし、同時にワード線がエレクトロ
マイグレーションによって断線するのを防ぐため、およ
び消費電力を抑えるためには、小さい電流によって発生
する弱い磁界で第2磁性層の磁化を反転できることが望
ましく、このためには、第2磁性層は低い保磁力を有す
ることが必要である。この両方の要請を満たすように第
2磁性層の保磁力が決定される。具体的には第2磁性層
の保磁力は5〜50 Oeが望ましい。さらに好ましく
は10〜30 Oeである。
【0049】上述のようにワード線およびセンス線で本
発明の基本的な記録および後述する再生を行うことがで
きるので、図8中のワード線6は必ずしも設ける必要は
ないが、より大きな磁界を発生させるためにワード線5
と直交するワード線6を用いて記録および後述する再生
を行ってもよい。また、メモリ素子の上にあるワード線
5を省いてメモリ素子の下にあるワード線6をセンス線
7と直交する方向に配置してもよい。但し、半導体素子
とメモリ素子を同一基板上に作り込む場合、ワード線は
メモリ素子を成膜後に作製する方が製造が容易になる。
このため、基板/第1磁性層/非磁性層/第2磁性層/
絶縁層/ワード線の順序で構成するのが好ましい。
【0050】また、保磁力を制御するなどの目的で基板
とメモリ素子との間にバッファー層を設けてもよい。こ
れは、主に絶縁体からなるバッファー層を設けることに
より、異なるメモリセル間の保磁力のばらつきを抑える
ことができたり、保磁力の絶対値を制御することが容易
になるからである。このようなバッファー層としては、
例えばSiNからなる絶縁材料が挙げられる。
【0051】本発明の磁性薄膜メモリ素子を用いた再生
方法 次に、本発明の磁性薄膜メモリ素子を用いた再生方法の
一例を説明する。本発明の磁性薄膜メモリは、スピン依
存散乱による巨大磁気抵抗(GMR)効果を示し、その
抵抗値は、第1磁性層と第2磁性層の磁化が平行の時は
低く、反平行の時は高くなる。再生の際には、メモリ素
子の上部または下部にあるワード線に記録時よりも弱い
電流を流して小さい磁界を発生させる。この磁界は、再
生の際に保存した磁化情報が消えないようにするため、
第1磁性層のみが反転し第2磁性層は反転しない大きさ
とする。第1磁性層の保磁力は第2磁性層の保磁力より
も小さいことが必要である。十分な発生磁界のマージン
を確保するためには、第1磁性層の保磁力は第2磁性層
の保磁力の半分以下であることが望ましく、さらに望ま
しくは3分の1以下である。また、ワード線から発生す
る磁界が、第1磁性層の反転磁界よりも大きく、第2磁
性層の反転磁界よりも小さくなるように電流値を設定す
る。
【0052】さらに、記録時と同様に、この際にワード
線電流からの発熱で、セル部分、特に電流を流した直交
するワード線の下のメモリセルの部分は温度が高くな
る。本発明の特徴として、第3磁性層のキュリー温度は
低く設定されているため、記録しようとするメモリ素子
の第3磁性層は、磁化の環状のループを形成するに十分
な磁性を無くしてしまう。したがって第2磁性層は磁化
反転しやすくなる。すなわち、記録しようとするメモリ
セルのみ磁化反転磁界が小さくなり、そのほかのメモリ
セルは高い磁化反転磁界を有することとなる。これによ
り、保存時には磁化が安定し保存性に優れ、記録時には
小さい磁界で反転できるため記録時の電流を低減でき
る。
【0053】なお、上述では1セルのみの再生について
記したが、現実にはマトリックス上に多数のセルが配置
されており、特定のセルの磁化情報のみを再生する必要
がある。このためには記録と同じように、対象となるセ
ルに接続されているセンス線に電流を流すと同時にセン
ス線と直交するワード線にも電流を流して磁界を発生さ
せて、対象セルの第1磁性層のみが磁界のアステロイド
曲線の外側の磁界がかかるようすることで達成される。
または直交する2本のワード線を用いて特定のセルの第
1磁性層のみを反転させる。前記抵抗変化は、縦または
横方向に並ぶメモリ素子を直列に接続するセンス線の両
端で測定される。具体的には、図9(a)及び(b)に
示す90、100もしくは110の部分に抵抗変化を検
出するための半導体素子が配置されており、一本のセン
ス線に並んだセルを順次再生することが可能である。
【0054】本発明の磁性薄膜メモリ素子の第1の例 本発明の磁性薄膜メモリ素子の第1の例は、スピン依存
散乱により磁気抵抗効果が生じることを特徴とする。こ
のスピン依存散乱による磁気抵抗効果は、例えば図1に
示すように第1磁性層/非磁性層/第2磁性層の構造に
おいて、非磁性層に良導体からなる金属層を用いること
によって発生させることができる。このスピン依存散乱
による磁気抵抗効果は、伝導電子の散乱がスピンによっ
て大きく異なることに由来している。すなわち、磁化と
同じ向きのスピンを持つ伝導電子はあまり散乱されない
ため抵抗が小さくなるが、磁化と反対向きのスピンを持
つ伝導電子は散乱によって抵抗が大きくなる。そのた
め、第1磁性層と第2磁性層の磁化が反対向きである場
合は、同じ向きである場合の抵抗値よりも大きくなる。
【0055】再生電流は、膜面に平行または垂直に流す
2つの方式のどちらでもよい。再生時には、電流を膜面
に対して垂直に流すCPP(Current Perpendicular to
thefilm Plane)−MR(Magneto-Resistance)効果を
用いる。このCPP−MRは、膜面に平行に電流を流す
CIP(Current Inplane to the filmm Plane)一MR
効果よりも伝導電子が界面を横切る確率が増えるため、
大きな抵抗変化率が得られ、信号検出感度を高くするこ
とができる。
【0056】この場合の第1磁性層と第2磁性層と非磁
性層の特徴を示す。第1磁性層は、第2磁性層と環状ル
ープを形成するとともに、第2磁性層に保存された磁化
情報を巨大磁気抵抗効果を利用して読み出すために設け
られたものである。第1磁性層はNi、Fe、Coを主
成分として用いられるか、Co、Feを主成分とするア
モルファス合金として用いられることが望ましい。例え
ばNiFe、NiFeCo、FeCo、CoFeBなど
の磁性膜からなる。NiFeの元素組成は、NixFe
100-xとした場合、xは35〜86が望ましい。また、
NiFeCoの元素組成は、Nix(Fe100-yCoy
100-xとした場合、xは10〜70、yは30〜90が
望ましく、さらにyは6〜85が望ましい。また、Co
84Fe97、Co72Fe820等の組成を持つCoFe
B等のアモルファス磁性体を用いてもよい。
【0057】第2磁性層は、主に磁化情報を保存する目
的で設けられたもので、「0」、「1」の情報に応じて
磁化の向きが決定される。第2磁性層は、第1磁性層と
同じく巨大磁気抵抗効果が効率的に発生すること、及び
安定に磁化状態を保存できることが必要である。第2磁
性層は、Fe、Coを主成分とする磁性層からなってお
り、例えばFe、FeCo、Co等の磁性膜からなる。
また、Pt等の元素を加えてもよい。CoにFeを添加
すると保磁力は小さくなり、Ptを添加すると保磁力は
大きくなるので、第2磁性層を例えばCo100-x-yFex
Ptyとして元素組成x及びyを調節して保磁力を制御
すればよい。同様に第1磁性層の保磁力もFe、Coの
組成比およびPt等の元素の量で調節することができ
る。
【0058】第1磁性層の膜厚は、散乱型の巨大磁気抵
抗効果が効率よく発生するように設定することが必要で
ある。CPP−MRでは、スピンの向きを保存して動け
る距離、すなわち、スピン拡散長が重要因子となる。具
体的には、第1磁性層の膜厚が電子の平均自由行程より
大幅に大きくなると、フォノン散乱を受けてその効果が
薄れるため、少なくとも200A以下であることが望ま
しい。さらに好ましくは150A以下がよい。しかし、
薄すぎるとセルの抵抗値が小さくなり再生信号出力が減
少してしまい、また磁化を保持できなくなるので、20
A以上が望ましく、さらには80A以上が望ましい。
【0059】第2磁性層の膜厚も第1磁性層の場合と同
様に、散乱型の巨大磁気抵抗効果が効率よく発生するよ
うに設定するためには、少なくとも200A以下である
ことが望ましい。さらに好ましくは150A以下がよ
い。しかし、あまり薄すぎるとメモリ保持性能が劣化し
たり、セルの抵抗値が小さくなり再生信号出力が減少し
たり、また磁化を保持できなくなるので20A以上が望
ましく、さらには80A以上が望ましい。
【0060】非磁性層は良導体、好ましくはCuを主成
分とするものが用いられる。これは、磁性層とフェルミ
エネルギー準位が近く、密着性もよいため、磁化方向が
変わるときに界面で抵抗が生じ易く、大きな磁気抵抗比
を得るのに好都合であるからである。また、非磁性層の
膜厚は5〜60Aであることが望ましい。
【0061】第1磁性層と非磁性層の間もしくは第2磁
性層と非磁性層の間、または第1磁性層と非磁性層の間
および第2磁性層と前記非磁性層の間にCoを主成分と
する磁性層が設けられると、磁気抵抗比が高くなるた
め、より高いS/N比が得られるため望ましい。この場
合のCoを主成分とする層の厚みは20A以下が好まし
い。またS/N比を向上させるために、第1磁性層/非
磁性層/第2磁性層/非磁性層を1つのユニットとし
て、このユニットを積層してもよい。積層する組数は多
い程MR比が大きくなり好ましいが、余り多くするとM
R磁性層が厚くなり電流を多く必要とする。このため、
積層の回数は40組以下が好ましく、3〜20組がより
好ましい。
【0062】本発明の磁性薄膜メモリ素子の第2の例 本発明の磁性薄膜メモリ素子の第2の例は、スピン依存
トンネリングによリ磁気抵抗効果が生じることを特徴と
する。このスピントンネリングによる磁気抵抗効果は、
例えば図1に示すように第1磁性層/非磁性層/第2磁
性層の構造において、非磁性層に薄い絶縁層を用いるこ
とによって発生させることができる。そして、再生時に
電流を膜面に対して垂直に流した際に第1磁性層から第
2磁性層へ電子のトンネル現象が起きるようにする。
【0063】本発明のスピン依存トンネリングタイプの
磁性薄膜メモリ素子は、強磁性体金属において伝導電子
がスピン偏極を起こしているため、フェルミ面における
上向きスピンと下向きスピンの電子状態が異なってお
り、このような強磁性体金属を用いて、強磁性体と絶縁
体と強磁性体からなる強磁性トンネル接合を作ると、伝
導電子はそのスピンを保ったままトンネルするため、両
磁性層の磁化状態によってトンネル確率が変化し、それ
がトンネル抵抗の変化となって現れる。これにより、第
1磁性層と第2磁性層の磁化が平行の場合は抵抗が小さ
く、第1磁性層と第2磁性層の磁化が反平行の場合は抵
抗が大きくなる。上向きスピンと下向きスピンの状態密
度の差が大きい方がこの抵抗値は大きくなりより大きな
再生信号が得られるので、第1磁性層と第2磁性層はス
ピン分極率の高い磁性材料を用いることが望ましい。具
体的には第1磁性層と第2磁性層は、フェルミ面におけ
る上下スピンの偏極量が大きいFeを選定し、Coを第
2成分として選定してなる。具体的には、Fe、Co、
Niを主成分とした材料から選択して用いることが望ま
しい。好ましくは、Fe、Co、FeCo、NiFe、
NiFeCo等がよい。NiFeの元素組成は、Nix
Fe100-xとした場合、xは0〜82が望ましい。よリ
具体的には、Fe、Co、Ni72Fe28、Ni51
49、Ni42Fe58、Ni25Fe75、Ni9Fe91等が
挙げられる。
【0064】第1磁性層は、第2磁性層と環状ループを
形成するとともに、第2磁性層に保存された磁化情報を
スピントンネルによる巨大磁気抵抗効果を利用して読み
出すために設けられたものである。第1磁性層は第2磁
性層よりも低い保磁力を有し、再生時には第1磁性層の
みが反転するようにする。また、第2磁性層と環状ルー
プを形成しやすいようにする。このため上述の組成のう
ちNiを含む軟磁性材料が望ましく、具体的にはNiF
e、NiFeCoを主成分として用いることが望まし
い。NiFeの元素組成は、NixFe100-xとした場
合、xは30〜82が望ましい。またNiFeCoの元
素組成は、Nix(Fe100-yCoy100-xとした場合、
xは30〜82、yは0〜90が望ましい。第1磁性層
の膜厚は、薄すぎるとセルの抵抗値が小さくなって再生
信号出力が減少してしまうので20A以上が望ましく、
さらには80A以上が望ましい。また厚すぎるとセルの
抵抗値が大きくなりすぎる等の問題があるので、500
0A以下が望ましく、より望ましくは1000A以下が
よい。
【0065】第2磁性層は、主に磁化情報を保存する目
的で設けられたもので、「0」、「1」の情報に応じて
磁化の向きが決まる。第2磁性層は、第1磁性層と同じ
く巨大磁気抵抗効果が効率的に発生すること、及び安定
に磁化状態を保存できることが必要である。第2磁性層
は第1磁性層よりも高い保磁力を有する。このため第2
磁性層は上述の組成のうち、Fe、Coを主成分として
用いることが望ましい。例えばFe、FeCo、Co等
の磁性膜からなる。また第2磁性層に保磁力の制御や耐
食性の向上などの目的でPt等の元素を加えてもよい。
CoにFeを添加すると保磁力は小さくなり、Ptを添
加すると保磁力は大きくなるので、第2磁性層を例えば
Co100-x-yFexPtyとして元素組成x及びyを調節
して保磁力を制御すればよい。また成膜時の基板温度高
くすることによっても保磁力を高めることができるので
別の保磁力の制御方法として成膜時の基板温度を調節す
ることもよい。この方法と前述した強磁性薄膜の組成を
調節する方法とを組合せてもよい。また、第1磁性層の
保磁力の調節も上述と同様に、膜組成と成膜時の基板温
度で調節することができる。
【0066】第2磁性層の膜厚は、あまり薄すぎるとメ
モリ保持性能が劣化したり、セルの抵抗値が小さくなり
再生信号出力が減少したり、また磁化を保持できなくな
るので20A以上が望ましく、さらには80A以上が望
ましい。また厚すぎるとセルの抵抗値が大きくなりすぎ
たり、またワード電極からの距離が離れて磁化反転が起
きにくくなるなどの問題があるので、5000A以下が
望ましく、より望ましくは1000A以下がよい。
【0067】非磁性層は、電子がスピンを保持してトン
ネルするために非磁性でなければならない。非磁性膜の
全部が絶縁層であっても、その一部が絶縁層であっても
よい。一部を絶縁層にしてその厚みを極小にすることに
より、磁気抵抗効果をさらに高めることができる。非磁
性金属膜を酸化させた酸化層にする例としては、Al膜
の一部を空気中で酸化させてAl23層を形成する例が
挙げられる。非磁性層は絶縁体からなり、好ましくは、
AlOx、AlNx、SiOx、SiNx、NiO xを主成
分として用いられてなる。このうちAl23層が絶縁性
が高く緻密であるため好ましい。また、非磁性層は数1
0A程度の均一な層であって、その膜厚は4〜25Aで
あることが望ましい。より望ましくは6〜18Aであ
る。
【0068】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、磁化情報の保存性に優れ、高い集積度と高い信
頼性を有し、消費電力の小さい磁性薄膜メモリ素子およ
びメモリを提供できる。
【0069】また、非磁性層の製造マージンが広いた
め、容易に、低コストで磁性薄膜メモリ素子を作製でき
る。
【0070】また、安定した記録再生ができ、再生時間
が短く、ノイズの少ない記録再生方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性薄膜メモリ素子の構造断面図であ
る。
【図2】本発明の磁性薄膜メモリ素子の構造断面図であ
る。
【図3】NiFeCoの組成とキュリー温度の関係を示
すグラフである。
【図4】NiFeCoの組成と飽和磁化Msの関係を示
すグラフである。
【図5】GdFeCoの組成とキュリー温度の関係を示
すグラフである。
【図6】GdFeCoの組成と飽和磁化Msの関係を示
す図である。
【図7】FeCoの組成とキュリー温度の関係を示すグ
ラフである。
【図8】本発明の磁性薄膜メモリ素子の配列構造の説明
図である。
【図9】本発明の磁性薄膜メモリの平面図である。
【図10】本発明の磁性薄膜メモリ素子の配列構造の説
明図である。
【図11】巨大磁気抵抗効果を用いた従来の磁性薄膜メ
モリの構造断面図である。
【図12】巨大磁気抵抗効果を用いた従来の磁性薄膜メ
モリの記録動作を示す図である。
【図13】巨大磁気抵抗効果を用いた従来の磁性薄膜メ
モリの再生動作を示す図である。
【符号の説明】
1 第1磁性層 2 第2磁性層 3 第3磁性層 4 非磁性層 5、6 ワード線 7 センス線 10 メモリ素子 91 メモリ素子 92 ワード線 93 コントロールゲート 94 トランジスタ 95 ダイオード 96 P基板 101 硬質磁性膜 102 軟磁性膜 103 非磁性膜 104 センス線 105 絶縁膜 106 ワード線 ID 電流の向き
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年7月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】第3磁性層は、磁化の環状ループのうち曲
率の大きいところを担っているため、第1磁性層および
第2磁性層に比べて磁気異方性および保磁力が小さく、
透磁率が高く、容易に任意の磁化方向を取れる材料が望
ましい。また、第3磁性層に磁壁エネルギーが小さい材
料を選択することも、スピンがカーブする場合におきる
磁壁エネルギーの上昇を抑えるために好ましい。本発明
の磁性薄膜メモリの磁化は環状のループを形成してお
り、磁路が閉磁路となっているため安定な磁化状態が実
現できる。第1、第2及び第3磁性層内部の至る所で磁
束密度と断面積の積が一定であることが完全な閉磁路が
できるために望ましい。第3磁性層の材料としては、N
iFe、NiFeCoが挙げられ、磁歪定数、磁気異方
性が小さく、第1磁性層および第2磁性層より保磁力が
小さい磁性材料が好ましい。また、GdxFe100-x、T
xFe100-x などの垂直磁化膜を主成分としてもよい。
これらの垂直磁化膜については、xは元素組成で10〜
35が望ましく、さらにCo等の元素を添加してもよ
い。垂直磁化膜の中ではGdFeが保磁力が小さいため
最も望ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】この場合の第1磁性層と第2磁性層と非磁
性層の特徴を示す。第1磁性層は、第2磁性層と環状ル
ープを形成するとともに、第2磁性層に保存された磁化
情報を巨大磁気抵抗効果を利用して読み出すために設け
られたものである。第1磁性層はNi、Fe、Coを主
成分として用いられるか、Co、Feを主成分とするア
モルファス合金として用いられることが望ましい。例え
ばNiFe、NiFeCo、FeCo、CoFeBなど
の磁性膜からなる。NiFeの元素組成は、NixFe
100-xとした場合、xは35〜86が望ましい。また、
NiFeCoの元素組成は、Nix(Fe100-yCoy
100-xとした場合、xは10〜70、yは30〜90が
望ましく、さらにyは60〜85が望ましい。また、C
84Fe97、Co72Fe820等の組成を持つCoF
eB等のアモルファス磁性体を用いてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、主に膜面内の一方向に磁化配
    向しており低い保磁力を有する第1磁性層と、主に膜面
    内の一方向に磁化配向しており高い保磁力を有する第2
    磁性層が非磁性層を介して積層され、第1磁性層の磁化
    と第2磁性層の磁化が平行の時は低い抵抗値を示し、反
    平行の時は高い抵抗値を示す磁気抵抗素子であって、外
    部磁界が0の時に第1磁性層の磁化と第2磁性層の磁化
    は反平行状態を示し、第1磁性層、第2磁性層およびこ
    れらに接して設けられた第3磁性層により非磁性層を囲
    むように閉磁路が構成され、第3磁性層のキュリー温度
    が第1磁性層および第2磁性層のキュリー温度より低い
    ことを特徴とする磁性薄膜メモリ素子。
  2. 【請求項2】 第3磁性層のキュリー温度が100〜5
    00℃である請求項1記載の磁性薄膜メモリ素子。
  3. 【請求項3】 第3磁性層の保磁力が、第1磁性層およ
    び第2磁性層の保磁力より小さい請求項1記載の磁性薄
    膜メモリ素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の磁性薄膜メモリ素子がマ
    トリックス状に配列され、縦または横方向に並ぶ該メモ
    リ素子を直列に接続するセンス線と、該センス線と交差
    する方向に並ぶ前記メモリ素子列に電気的に絶縁された
    形で近接して設けられるワード線とを備えたことを特徴
    とする磁性薄膜メモリ。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の磁性薄膜メモリ素子がマ
    トリックス状に配列され、縦または横方向に並ぶ第1ワ
    ード線と該第1ワード線と交差する方向に並ぶ第2ワー
    ド線とにより前記メモリ素子が並列に接続されているこ
    とを特徴とする磁性薄膜メモリ。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の磁性薄膜メモリ素子がダ
    イオード又はトランジスタからなる半導体素子と接続さ
    れたハイブリッド構造を有することを特徴とする磁性薄
    膜メモリ。
  7. 【請求項7】 請求項4、5又は6記載の磁性薄膜メモ
    リにおいて、ワード線に電流を流し、該電流により生じ
    る磁界により第2磁性層の磁化方向を定め、該ワード線
    の電流を流す方向を変えることにより「0」と「1」の
    状態を記録することを特徴とする磁性薄膜メモリの記録
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項4、5又は6記載の磁性薄膜メモ
    リにおいて、再生時のワード電流により生じる磁界によ
    り、該メモリ素子の第1磁性層のみの磁化方向が反転す
    ることにより生じる抵抗変化を利用することを特徴とす
    る磁性薄膜メモリの再生方法。
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