JPH09270549A - 多層磁気抵抗効果膜、磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗効果型磁気ヘッド - Google Patents

多層磁気抵抗効果膜、磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗効果型磁気ヘッド

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JPH09270549A
JPH09270549A JP8077994A JP7799496A JPH09270549A JP H09270549 A JPH09270549 A JP H09270549A JP 8077994 A JP8077994 A JP 8077994A JP 7799496 A JP7799496 A JP 7799496A JP H09270549 A JPH09270549 A JP H09270549A
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film
multilayer
magnetoresistive effect
layer
magnetic
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Akira Kochiyama
彰 河内山
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バイアス磁界を発生する層を外部に設ける必
要がなく、かつ良好なバイアス磁界が印加された多層磁
気抵抗効果膜を提供する。また、薄型化が達成されると
ともに微弱な磁界や微少な磁界変化を高感度に検出する
ことを可能とした磁気抵抗効果素子を提供する。更に、
薄型化されるとともに高密度記録された記録媒体を正確
に再生することを可能とした磁気抵抗効果型磁気ヘッド
を提供する。 【解決手段】 多層磁気抵抗効果膜1は、磁性層8と非
磁性導体層7とが積層された多層膜4と、この多層膜4
に近接して設けられ、軟磁性膜を有する軟磁性層6とを
備える。この多層磁気抵抗効果膜1では、軟磁性層6が
多層膜4に対してバイアス磁界を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性層と非磁性層
とが積層された多層膜を有し、巨大磁気抵抗効果を示す
多層磁気抵抗効果膜に関する。また、本発明は、このよ
うな多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子及び
磁気抵抗効果型磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果素子は、磁界検出用の素子
であり、通常、短冊状に形成された磁気抵抗効果膜と、
磁気抵抗効果膜の両端に取り付けられた一対の電極とを
備えている。ここで、磁気抵抗効果膜は、外部磁界の大
きさによって抵抗値が変化する薄膜である。そして、磁
気抵抗効果素子を用いて外部磁界を検出する際は、通
常、一対の電極を介して磁気抵抗効果膜に一定のセンス
電流を供給し、このセンス電流の電圧変化を検出する。
すなわち、磁気抵抗効果素子では、外部磁界の変化によ
って磁気抵抗効果膜の抵抗が変化し、この抵抗変化がセ
ンス電流の電圧変化として検出される。
【0003】そして、このような磁気抵抗効果素子は、
例えば、再生用磁気ヘッドに使用されている。ここで、
磁気抵抗効果素子を用いた再生用磁気ヘッドは、磁気抵
抗効果型磁気ヘッドと呼ばれており、記録媒体からの信
号磁界を磁気抵抗効果素子の抵抗変化として検出する。
【0004】ところで、従来、このような磁気抵抗効果
素子としては、磁気抵抗効果膜として異方性磁気抵抗効
果を示すNi−Fe合金膜(いわゆるパーマロイ膜)を
用いた磁気抵抗効果素子が広く使用されている。しかし
ながら、パーマロイ膜を用いた磁気抵抗効果素子は、磁
気抵抗変化率が小さく、より大きな磁気抵抗変化率を示
す磁気抵抗効果素子が望まれている。
【0005】特に、パーマロイ膜を用いた磁気抵抗効果
素子の磁気抵抗変化率は、磁気ヘッド等に用いられるよ
うな条件下では、約2%以下と非常に小さなものとなっ
てしまう。そのため、磁気記録の高密度化に伴って、磁
気抵抗効果型磁気ヘッドに使用される磁気抵抗効果素子
として、より大きな磁気抵抗効果を示すものが強く求め
られている。
【0006】これに対して、近年、異種の金属等を数原
子層ずつ交互に積層した人工格子膜構造の多層膜におい
て、非常に大きな磁気抵抗効果(いわゆる巨大磁気抵抗
効果)が得られることが報告されている。具体的には、
例えば、M.N.Baibich らにより、”Phys.Rev.Lett.61,p
2472(1988)”において、Feからなる磁性層と、Crか
らなる非磁性導体層とを積層した人工格子膜構造の多層
膜が巨大磁気抵抗効果を示すことが報告されている。ま
た、例えば、S.S.P.Parkinらにより、”Phys.Rev.Lett.
66,p2152(1991) ”において、Coからなる磁性層と、
Cuからなる非磁性導体層とを積層した人工格子膜構造
の多層膜が巨大磁気抵抗効果を示すことが報告されてい
る。
【0007】このような人工格子膜構造の多層膜におい
て、巨大磁気抵抗効果が得られる原因は、非磁性導体層
中の伝導電子を介して磁性層間でRKKY(ルーダーマ
ン・キッテル・糟谷・芳田)相互作用が働き、相対する
磁性層が反強磁性結合することによって反平行スピン状
態が発生し、その結果、スピン依存散乱が生じるためで
ある考えられている。
【0008】そして、このような人工格子膜構造の多層
膜からなる磁気抵抗効果膜(以下、多層磁気抵抗効果膜
と称する。)は、従来のパーマロイ膜によって得られる
磁気抵抗効果よりも遥かに大きな磁気抵抗効果を示すた
め、磁気抵抗効果素子への応用、並びに磁気抵抗効果型
磁気ヘッド等のデバイスへの応用が期待されている。
【0009】しかし、多層磁気抵抗効果膜は、抵抗値の
変化量は大きいが、抵抗変化に要する磁界変化量が大き
いという問題がある。すなわち、多層磁気抵抗効果膜
は、磁気ヘッド等のように微弱な磁界を検出する必要が
あるデバイスに用いるには、感度が不十分である。した
がって、多層磁気抵抗効果膜を、磁気ヘッド等のように
微弱な磁界を検出する必要があるデバイスに適用するに
は、小さな磁界変化でも大きな抵抗変化を得られるよう
にすることが必要となっている。
【0010】ところで、上述のような多層磁気抵抗効果
膜を用いた磁気抵抗効果素子において、外部磁界の大き
さと抵抗値との関係を示す磁気抵抗効果曲線は、図6に
示すように、外部磁界が0Oeのときを最大値とする上
に凸の曲線となっている。この磁気抵抗効果曲線を有す
る磁気抵抗効果素子では、外部磁界が0Oe付近で線形
性を有しておらず、小さな磁界変化のときには抵抗変化
が小さかった。
【0011】このため、上述した磁気抵抗効果素子で
は、図7に示すように、バイアス磁界Hbを印加するこ
とによって、外部磁界が0Oeのときに対応する磁気抵
抗効果曲線上の点A(動作点)をより線形性を有する部
分に移動させていた。これにより、上述した磁気抵抗効
果素子では、抵抗値が外部磁界に対して線形性を有して
変化するとともに、小さい磁界変化のときでもより大き
な抵抗変化を示す。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子では、
多層磁気抵抗効果膜に対してバイアス磁界を印加するた
めに、外部にバイアス磁界を発生する層が形成されてい
る。このため、この磁気抵抗効果素子では、素子全体の
厚み寸法が大きくなってしまい、薄型化が困難であると
いった問題点があった。
【0013】したがって、この磁気抵抗効果素子では、
磁気抵抗効果型磁気ヘッド等に用いられる場合、バイア
ス磁界を発生する層を形成するために、薄型化すること
が困難である。そして、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、
薄型化が実現しないと、高密度に記録された記録媒体を
正確に再生することができないといった問題点があっ
た。
【0014】また、上述した多層磁気抵抗効果膜を用い
た磁気抵抗効果素子では、多層磁気抵抗効果膜に対して
バイアス磁界を印加する層を外部に形成する工程が必要
であるため、製造工程が複雑化するといった問題点があ
った。
【0015】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、バイアス磁界を発生する層を外
部に設ける必要がなく、かつ良好なバイアス磁界が印加
された多層磁気抵抗効果膜を提供することを目的として
いる。また、本発明は、このような多層磁気抵抗効果膜
を用いることにより、薄型化が達成されるとともに微弱
な磁界や微少な磁界変化を高感度に検出することを可能
とした磁気抵抗効果素子を提供することも目的としてい
る。更に、本発明は、このような多層磁気抵抗効果膜を
用いることにより、薄型化されるとともに高密度記録さ
れた記録媒体を正確に再生することを可能とした磁気抵
抗効果型磁気ヘッドを提供することも目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的を達成した本発
明に係る多層磁気抵抗効果膜は、磁性層と非磁性導体層
とが積層された多層膜と、この多層膜に近接して設けら
れ、軟磁性材料を有する軟磁性層とを備える。この多層
磁気抵抗効果膜では、軟磁性層が多層膜に対してバイア
ス磁界を印加する。
【0017】以上のように構成された本発明に係る多層
磁気抵抗効果膜では、軟磁性層が多層膜に対してバイア
ス磁界を印加するために、バイアス磁界を発生する層を
外部に設けなくても、抵抗値が外部磁界の変化に対して
線形性を有して変化する。
【0018】そして、本発明に係る磁気抵抗効果素子
は、上述のような本発明に係る多層磁気抵抗効果膜を少
なくとも一部に用いている。
【0019】また、本発明に係る磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドは、上述のような本発明に係る多層磁気抵抗効果膜
を少なくとも一部に用いている。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。なお、本発明は以下の例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、形状や材質等を
任意に変更することが可能である。
【0021】まず、本発明を適用した多層磁気抵抗効果
膜の実施の形態の一例について説明する。
【0022】本実施の形態に係る多層磁気抵抗効果膜
は、巨大磁気抵抗効果を示す磁気抵抗効果膜であり、ス
パッタ法によって形成されたものである。なお、スパッ
タを行うとき、到達真空度は1×10-4Pa以下とし、
Arガス圧は0.1〜0.5Paとした。
【0023】図1に示すように、この多層磁気抵抗効果
膜1は、基板2と、この基板2上に形成された下部磁性
層3と、この下部磁性層3上に積層された多層膜4と、
この多層膜4上に積層された上部磁性層5と、この上部
磁性層5に積層された軟磁性層6とから構成されてい
る。
【0024】下部磁性層3は、強磁性材料からなる磁性
薄膜であり、膜厚が約7nmのNi−Fe薄膜からな
る。上部磁性層5は、強磁性材料からなる磁性薄膜であ
り、膜厚が約5nmのNi−Fe薄膜からなる。
【0025】また、多層膜4は、非磁性導体層7と磁性
層8とが、8周期繰り返し積層されてなる。非磁性導体
層7は、非磁性材料で良導性材料が用いられ、膜厚が約
2.1nmのCu薄膜からなる。磁性層8は、強磁性材
料からなる磁性薄膜であり、膜厚が約0.42nmのF
e薄膜からなる第1の磁性層8aと、膜厚が約1.58
nmのNi薄膜からなる第2の磁性層8bとが積層され
てなる。そして、多層膜4を構成している各磁性層8
は、反強磁性結合しており、外部磁界がないとき、それ
らの磁化方向は交互に逆方向となっている。
【0026】軟磁性層6は、上述した上部磁性層5上に
非磁性層9を介して積層されいる。軟磁性層6は、第1
の軟磁性層10と第2の軟磁性層11とが3周期繰り返
し積層されてなる。ここで、非磁性層9は、膜厚が約1
0nmのCr薄膜からなる。第1の軟磁性層10は、膜
厚が約6nmのNiFe薄膜よりなる。第2の軟磁性層
11は、膜厚が約8nmのFeC薄膜よりなる。
【0027】上述したように本実施の形態に係る多層磁
気抵抗効果膜1は、下部磁性層3の上に、Ni薄膜/F
e薄膜/Cu薄膜よりなる積層膜が8周期繰り返し積層
されてなる多層膜4が積層され、この多層膜4の最上層
に形成された第2の磁性層8bの上に、上部磁性層5が
形成されている。さらに、多層磁気抵抗効果膜1は、こ
の上部磁性層5の上に、NiFe薄膜/FeC薄膜より
なる積層膜が3周期繰り返し積層されてなる軟磁性層6
が積層されている。
【0028】なお、この多層磁気抵抗効果膜1を構成す
る各層は、上述の例に限定されるものではなく、多層磁
気抵抗効果膜1全体として巨大磁気抵抗効果を示すよう
な構成となっていればよい。
【0029】ここで、多層膜4を構成する磁性層11の
膜厚、すなわち第1の磁性層8aの膜厚と第2の磁性層
8bの膜厚の合計は、約2.0nmである。すなわち、
この多層磁気抵抗効果膜1は、多層膜4を構成する磁性
層8よりも厚い下部磁性層3が多層膜4の下部に配され
るとともに、多層膜4を構成する磁性層11よりも厚い
上部磁性層5が多層膜4の上部に配されて構成されてい
る。
【0030】なお、この多層膜4を構成する磁性層8
は、上述のようなNi薄膜とFe薄膜との積層膜に限定
されるものではなく、例えば、Ni合金薄膜とFe合金
薄膜との積層膜や、Ni−Fe系合金薄膜とNi−Fe
系合金薄膜との積層膜や、Ni−Fe系合金薄膜とこの
Ni−Fe系合金薄膜とは組成の異なるNi−Fe系合
金薄膜との積層膜等も好適である。また、上記多層膜4
を構成する非磁性導体層10の材料は、Cuに限定され
るものではなく、例えば、Cu、Ag、Au、Cu合
金、Ag合金又はAu合金から選ばれる少なくとも1種
を含むもの等が広く使用可能である。
【0031】さらに、上述した軟磁性層6を構成する第
1の軟磁性層10及び第2の軟磁性層11は、上述した
材料に限定されるものではなく、Co系アモルファス薄
膜、FeSi系合金薄膜、FeC系合金薄膜、FeSi
系薄膜とNiFe系合金薄膜との積層膜、FeC系薄膜
とNiFe系合金薄膜との積層膜、又はFeN系合金薄
膜から選ばれる少なくとも1種を含んでいればよい。
【0032】以上のように構成された多層磁気抵抗効果
膜1は、多層膜4の上に軟磁性層6を配している。これ
により、多層磁気抵抗効果膜1は、バイアス磁界を発生
する層を外部に設けることなく、多層膜4に対して所定
の自己バイアス磁界を印加することができる。
【0033】つぎに、本発明を適用した磁気抵抗効果素
子の実施の形態の一例について説明する。
【0034】図2に示すように、本実施の形態に係る磁
気抵抗効果素子20は、短冊状の多層磁気抵抗効果膜2
1と、多層磁気抵抗効果膜21の両端に取り付けられた
一対の電極22,23とを備えている。
【0035】上記多層磁気抵抗効果膜21は、外部磁界
の大きさによって抵抗値が大きく変化する巨大磁気抵抗
効果を示す多層膜であり、上記実施の形態に係る多層磁
気抵抗効果膜1を短冊状に加工したものである。なお、
本実施の形態では、多層磁気抵抗効果膜21の幅寸法W
は約2μmとし、長軸方向の長さ寸法Lは約10μmと
した。
【0036】また、多層磁気抵抗効果膜21の両端に取
り付けられた一対の電極22,23は、外部磁界を検出
する際に、多層磁気抵抗効果膜21にセンス電流Isを
供給するためのものである。なお、本実施の形態では、
電極22と電極23との間の距離D、すなわち磁気抵抗
効果素子20の感磁部となる部分の長さ寸法は、約8μ
mとした。
【0037】以上のように構成された磁気抵抗効果素子
20では、外部磁界を検出する際、一対の電極22,2
3を介して、多層磁気抵抗効果膜21の長軸方向に対し
て平行に、多層磁気抵抗効果膜21に一定のセンス電流
Isを供給する。
【0038】このとき、磁気抵抗効果素子20を構成す
る多層磁気抵抗効果膜21は、外部磁界の大きさに応じ
た抵抗値を示す。そして、磁気抵抗効果素子20では、
一定のセンス電流が供給されることにより、多層磁気抵
抗効果膜21の抵抗値の変化を電圧の変化として示す。
【0039】そして、磁気抵抗効果素子20では、多層
磁気抵抗効果膜21が軟磁性層を備えて構成されている
ため、多層磁気抵抗効果膜1に対して所定の自己バイア
ス磁界が印加されている。これにより、磁気抵抗効果素
子20は、図3に示すような磁気抵抗効果曲線を示す。
ここで、図3は、磁気抵抗効果素子20の磁気抵抗効果
曲線であり、縦軸が電圧変化量を示し、横軸が外部磁界
の大きさを示す。
【0040】磁気抵抗効果素子20を構成している多層
膜10には、図3に示すように、図3中Hbで示す大き
さの自己バイアス磁界が、多層膜に非磁性層を介して積
層された軟磁性層から印加されている。これにより、磁
気抵抗効果素子20では、磁気抵抗効果曲線における外
部磁界が0Oeに対応する点、すなわち動作点(図3中
Dで示す。)がHbの分だけ移動する。これにより、こ
の磁気抵抗効果素子20では、外部磁界の変化に対応し
て電圧変化量が線形性を有して変化する。したがって、
この磁気抵抗効果素子20は、外部磁界の小さな変化に
対しても大きな電圧変化量を示すことができ、微弱な磁
界や微少な磁界変化を高感度に検出することができる。
【0041】つぎに、本発明を適用した磁気抵抗効果型
磁気ヘッドの実施の形態の一例について説明する。
【0042】本実施例に係る磁気抵抗効果型磁気ヘッド
は、磁気抵抗効果膜の長軸方向が記録媒体の摺動方向に
対して垂直となるように磁気抵抗効果膜を配した、いわ
ゆる縦型の磁気抵抗効果型磁気ヘッドである。なお、縦
型の磁気抵抗効果型磁気ヘッドについては、例えば、”
H.Suyama et al. IEEE(アメリカ電気通信学会)Transa
ction on Magnetics,MAG-24,p2612(1988) ”に記載され
ている。
【0043】図4に示すように、本実施の形態に係る磁
気抵抗効果型磁気ヘッド30は、非磁性材料からなる基
体31の上に非磁性層32を介して形成されており、非
磁性層32上に形成された下部シールドコア33と、下
部シールドコア33上に形成された非磁性層34と、非
磁性層34上に形成された磁気抵抗効果素子35と、磁
気抵抗効果素子35上に形成された非磁性層36と、非
磁性層36上に形成された上部シールドコア37とを備
えている。なお、この磁気抵抗効果型磁気ヘッド30の
上には、図示していないが、磁気抵抗効果型磁気ヘッド
30を保護するための保護層が形成される。
【0044】この磁気抵抗効果型磁気ヘッド30におい
て、下部シールドコア33は、磁気抵抗効果素子35の
下部を磁気的にシールドするためのものであり、磁性材
料からなる。同様に、上部シールドコア37は、磁気抵
抗効果素子35の上部を磁気的にシールドするためのも
のであり、磁性材料からなる。また、下部シールドコア
33と磁気抵抗効果素子35との間に配された非磁性層
34は、下部シールドコア33と磁気抵抗効果素子35
との間に磁気ギャップを形成するためのものであり、非
磁性の絶縁材料からなる。同様に、磁気抵抗効果素子3
5と上部シールドコア37との間に配された非磁性層3
6は、磁気抵抗効果素子35と上部シールドコア37と
の間に磁気ギャップを形成するためのものであり、非磁
性の絶縁材料からなる。
【0045】そして、非磁性層34と非磁性層36との
間に配された磁気抵抗効果素子35は、上述した実施の
形態に係る磁気抵抗効果素子20と同様な構成を有して
おり、本発明を適用した多層磁気抵抗効果膜35aと、
多層磁気抵抗効果膜35aの前端部から導出された電極
35bと、多層磁気抵抗効果膜35aの後端部から導出
された電極35cとから構成されている。
【0046】ここで、多層磁気抵抗効果膜35aは、上
述した実施の形態に係る磁気抵抗効果素子20の多層磁
気抵抗効果膜21と同様に、短冊状に形成されており、
その前端部が記録媒体対向面Aに露出している。
【0047】この多層磁気抵抗効果膜35aを形成する
際は、例えば、記録媒体対向面Aに臨むように、非磁性
層34の上に多層磁気抵抗効果膜35aを被着形成し、
その後、既知のフォトリソグラフィ技術を用いて、当該
多層磁気抵抗効果膜35aを所定の短冊状のパターンに
パターニングする。ここで、パターニングは、例えば、
フォトレジストの塗布、パターン露光、現像及びこれを
マスクとしたイオンビームエッチング等の工程を施すこ
とによって行われる。
【0048】この多層磁気抵抗効果膜35aの前端部か
ら導出された電極35b、及び後端部から導出された電
極35cは、多層磁気抵抗効果膜35aにセンス電流I
sを供給するためのものであり、良導体材料からなる。
そして、これらの電極35b,35cも、多層磁気抵抗
効果膜35aと同様に、フォトリソグラフィ技術によっ
て所定のパターンにパターニングされて形成される。
【0049】以上のような磁気抵抗効果型磁気ヘッド3
0により、記録媒体から情報信号を再生する様子を図5
に示す。ここで、図5は、磁気抵抗効果型磁気ヘッド3
0による情報信号再生の様子を模式的に示す図であり、
磁気抵抗効果型磁気ヘッド30の要部と、記録媒体40
とを図示している。
【0050】この図5に示すように、記録媒体40から
情報信号を再生する際は、磁気抵抗効果型磁気ヘッド3
0の記録媒体対向面Aを記録媒体40の記録トラックに
対向させるとともに、電極35b,35cから多層磁気
抵抗効果膜35aに一定のセンス電流Isを供給し、こ
のときの電極35bと電極35cとの間の電圧変化を検
出する。
【0051】すなわち、この磁気抵抗効果型磁気ヘッド
30では、記録媒体40の記録トラックに記録された磁
界の向きの変化によって、多層磁気抵抗効果膜35aの
抵抗が変化する。そこで、この多層磁気抵抗効果膜35
aの抵抗変化を電極35bと電極35cとの間の電圧変
化として検出することにより、記録媒体40からの情報
信号が再生されることとなる。
【0052】以上のように構成された磁気抵抗効果型磁
気ヘッド30では、図3に示した磁気抵抗効果曲線を有
する多層磁気抵抗効果膜35aが用いられているため、
外部にバイアス磁界を発生する層を配することなく、軟
磁性層6が多層部4に対して自己バイアス磁界を印加し
ている。これにより、磁気抵抗効果型磁気ヘッド30
は、多層磁気抵抗効果膜35aの抵抗変化に対応して線
形性をもって変化する出力電圧を検出することができ
る。したがって、磁気抵抗効果型磁気ヘッド30は、記
録媒体40からの微弱な磁界や微少な磁界変化を検出
し、高い再生出力を得ることが可能である。
【0053】また、磁気抵抗効果型磁気ヘッド30で
は、多層磁気抵抗効果膜35aが軟磁性層6を備えて構
成されているために、バイアス磁界を発生する層を磁気
抵抗効果素子35とは別に設ける必要がない。これによ
り、磁気抵抗効果型磁気ヘッド30は、下部シールドコ
ア33と上部シールドコア37との間を薄型化すること
ができる。
【0054】したがって、この磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ド30は、図4中Bで示す再生ギャップ長を狭く設定す
ることができる。磁気抵抗効果型磁気ヘッド30では、
再生ギャップ長を狭く設定することで、磁気記録媒体の
線密度方向への再生分解能が向上する。
【0055】また、磁気抵抗効果型磁気ヘッド30で
は、バイアス磁界を発生する層を磁気抵抗効果素子35
とは別に設ける必要がないので、その製造工程の簡易化
が図られる。
【0056】なお、本実施の形態では、磁気抵抗効果を
利用したデバイスとして、磁気抵抗効果型磁気ヘッドを
挙げたが、本発明に係る多層磁気抵抗効果膜や磁気抵抗
効果素子は、磁気抵抗効果型磁気ヘッド以外のデバイス
にも適用可能である。具体的には、本発明に係る多層磁
気抵抗効果膜や磁気抵抗効果素子は、例えば、地磁気方
位センサのような磁気センサ等にも適用可能である。
【0057】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る多層磁気抵抗効果膜では、外部にバイアス磁界を
発生する層を必要とせず、この多層磁気抵抗効果膜を構
成する軟磁性層によって良好な自己バイアス磁界を印加
することができる。したがって、本発明によれば、バイ
アス磁界を不要とし、かつ良好な自己バイアス磁界が印
加された多層磁気抵抗効果膜を提供することができる。
【0058】そして、本発明に係る磁気抵抗効果素子
は、上述のように外部にバイアス磁界を発生する層を外
部に設ける必要がない多層磁気抵抗効果膜を用いている
ので、薄型化が達成される。また、この磁気抵抗効果素
子は、良好な自己バイアス磁界が印加された多層磁気抵
抗効果膜を用いているので、微弱な磁界や微少な磁界変
化を高感度に検出することが可能である。すなわち、本
発明によれば、特に磁気ヘッド等のように微弱な磁界を
検出する必要があるデバイスに対して好適な磁気抵抗効
果素子を提供することができる。
【0059】そして、本発明に係る磁気抵抗効果型磁気
ヘッドは、上述のように外部にバイアス磁界を発生する
層を外部に設ける必要がない多層磁気抵抗効果膜を用い
ているので、薄型化が達成される。すなわち、本発明に
よれば、再生特性が非常に優れており、高密度記録に適
した磁気抵抗効果型磁気ヘッドを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した多層磁気抵抗効果膜の一構成
例を示す断面図である。
【図2】本発明を適用した多層磁気抵抗効果素子の一構
成例の概略を示す平面図である。
【図3】本発明を適用した磁気抵抗効果素子の磁気抵抗
効果曲線の一例を示す図である。
【図4】本発明を適用した磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
一構成例を示す断面図である。
【図5】図4に示した磁気抵抗効果型磁気ヘッドによる
情報信号再生の様子を模式的に示す要部斜視図である。
【図6】従来の多層磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果曲
線を示す図である。
【図7】従来の多層磁気抵抗効果素子に対してバイアス
磁界を印加したときの磁気抵抗効果曲線を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 多層磁気抵抗効果膜、 2 基板、 3 下部磁性
層、 4 多層膜、5 上部磁性層、10 非磁性導体
層、11 磁性層、11a 第1の磁性層、11b 第
2の磁性層、20 磁気抵抗効果素子、21 多層磁気
抵抗効果膜、22,23 電極、30 磁気抵抗効果型
磁気ヘッド、31 基体、32 非磁性層、33 下部
シールドコア、34 非磁性層、35 磁気抵抗効果素
子、35a 多層磁気抵抗効果膜、35b,35c 電
極、36 非磁性層、37 上部シールドコア、40
記録媒体、Is センス電流

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性層と非磁性導体層とが積層された多
    層膜と、 上記多層膜に近接して設けられ、軟磁性材料を有する軟
    磁性層と、 を備え、 上記軟磁性層が上記多層膜に対してバイアス磁界を印加
    することを特徴とする多層磁気抵抗効果膜。
  2. 【請求項2】 上記軟磁性層と上記多層膜とが非磁性層
    を介して積層されていることを特徴とする請求項1記載
    の多層磁気抵抗効果膜。
  3. 【請求項3】 上記軟磁性層が、Co系アモルファス薄
    膜、FeSi系合金薄膜、FeC系合金薄膜、FeSi
    系薄膜とNiFe系合金薄膜との積層膜、FeC系薄膜
    とNiFe系合金薄膜との積層膜、又はFeN系合金薄
    膜から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする
    請求項1記載の多層磁気抵抗効果膜。
  4. 【請求項4】 上記磁性層が、Ni薄膜とFe薄膜との
    積層膜、Ni合金薄膜とFe合金薄膜との積層膜、Ni
    −Fe系合金薄膜とNi−Fe系合金薄膜との積層膜、
    又はNi−Fe系合金薄膜とこのNi−Fe系合金薄膜
    とは組成の異なるNi−Fe系合金薄膜との積層膜から
    なることを特徴とする請求項1記載の多層磁気抵抗効果
    膜。
  5. 【請求項5】 上記磁性層よりも厚い磁性層が、上記多
    層膜の上下に配されていることを特徴とする請求項1記
    載の多層磁気抵抗効果膜。
  6. 【請求項6】 上記多層膜の上下に配されている磁性層
    が、NiFe系合金からなることを特徴とする請求項5
    記載の多層磁気抵抗効果膜。
  7. 【請求項7】 上記非磁性導体層が、Cu、Ag、A
    u、Cu合金、Ag合金又はAu合金から選ばれる少な
    くとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の多層
    磁気抵抗効果膜。
  8. 【請求項8】 磁性層と非磁性導体層とが積層された多
    層膜と、上記多層膜に近接して設けられ、軟磁性材料を
    有する軟磁性層とを備え、上記軟磁性層が上記多層膜に
    対してバイアス磁界を印加する多層磁気抵抗効果膜を、
    少なくとも一部に用いていることを特徴とする磁気抵抗
    効果素子。
  9. 【請求項9】 磁性層と非磁性導体層とが積層された多
    層膜と、上記多層膜に近接して設けられ、軟磁性材料を
    有する軟磁性層とを備え、上記軟磁性層が上記多層膜に
    対してバイアス磁界を印加する多層磁気抵抗効果膜を、
    少なくとも一部に用いていることを特徴とする磁気抵抗
    効果型磁気ヘッド。
JP8077994A 1996-03-29 1996-03-29 多層磁気抵抗効果膜、磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗効果型磁気ヘッド Withdrawn JPH09270549A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7580227B2 (en) 2003-06-27 2009-08-25 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic element, magnetic information reproducing head, and magnetic information reproducing apparatus

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