JP2000215419A - 磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、フリー磁性層を単磁区化するため
の縦バイアス磁界を印加できる機構を採用しながら、縦
バイアス磁界の印加を確実に行い得、構造的に製造し易
く、特性の安定した磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を備え
た薄膜磁気ヘッドとその製造方法の提供を目的とする。 【解決手段】 本発明は、反強磁性層2と固定磁性層3
と非磁性導電層4とフリー磁性層5とを具備してなる積
層体S1を有し、積層体の両側に設けられた軟磁性層6
Bと軟磁性層に積層されて軟磁性層に一方向性交換結合
を生じさせフリー磁性層にバイアス磁界を作用させる副
反強磁性層6Cと導電層8とを有して構成された磁気抵
抗効果型薄膜素子を磁気情報の読出素子として備え、反
強磁性層が熱処理により一方向性交換結合を示して固定
磁性層の磁化を固定し、副反強磁性層が熱処理を要する
ことなく成膜のままで一方向性交換結合を生じるもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部磁界の変化に
応じて大きな抵抗変化を示す磁気抵抗効果型薄膜磁気素
子を備えた薄膜磁気ヘッドに関し、特にフリー磁性層に
与える縦バイアス磁界が良好に印加されるような構造を
採用した技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ハードディスク等の磁気記録媒体
からの磁気情報を読み取るための磁気抵抗効果型読取ヘ
ッドの一例として、巨大磁気抵抗効果(GMR効果)を
示す素子を利用したGMRヘッドが知られ、中でも比較
的構造が単純で外部磁界に対する抵抗変化率の高いもの
としてスピンバルブ方式のものが知られている。図20
はこの種のスピンバルブ方式の巨大磁気抵抗効果素子薄
膜(GMR素子薄膜)を備えた素子構造の一例を示す断
面図である。図20に示す素子構造においては、基板上
に順に下地層201とフリー磁性層202と非磁性導電
層203とピン止め磁性層204と反強磁性層205と
保護層206とが積層されてなる断面台形状の積層体2
07が形成され、積層体207の両側に各々積層体20
7の傾斜部分に被さるようにハードバイアス層208と
電極層209とが形成されている。
【0003】図20に示す構造においてピン止め磁性層
204の保磁力はフリー磁性層202の保磁力よりも高
く設定されるとともに、ピン止め磁性層204に直に積
層された反強磁性層205が作用させる交換異方性磁界
によりピン止め磁性層204は図20のY方向へ単磁区
化され、磁化の方向がY方向へ固定されている。また、
ハードバイアス層208は図20のX1方向に磁化され
ており、ハードバイアス層208に隣接するフリー磁性
層202がハードバイアス層208により図20のX1
方向に単磁区化されることになるので、フリー磁性層2
02に多数の磁区を形成することで生じるバルクハウゼ
ンノイズの発生が防止されるようになっている。
【0004】この例の素子構造において、導電層209
からフリー磁性層202と非磁性導電層203とピン止
め磁性層204にセンス電流が与えられる。ハードディ
スク等の磁気記録媒体の走行方向は、図20においてZ
方向とされ、磁気記録媒体からの漏れ磁界がY方向に与
えられると、フリー磁性層202の磁化の方向がX1方
向からY方向へ向けて変化する。このフリー磁性層20
2内での磁化の方向の変動と、ピン止め磁性層204の
固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵
抗変化に基づく電圧変化により、磁気記録媒体からの漏
れ磁界が検出される。
【0005】図21は、スピンバルブ方式の素子構造に
おいてバイアス印加方式を図20に示す構造とは異なる
方式としたものの一例を示すもので、この例の構造にお
いては、基板210上に、順にTaの下地層211と、
NiFe合金のフリー磁性層212と、Cuの非磁性導
電層213と、NiFeのピン止め磁性層214と、F
eMnの反強磁性層215と、絶縁材料からなる保護層
216とが積層されて積層体217が形成されるととも
に、積層体217の左右両側にNiFe合金からなる強
磁性層218と、NiMn合金からなる反強磁性層21
9と、Cuからなる導電層220が積層された構造とさ
れている。
【0006】図21に示す構造において、ピン止め磁性
層214に積層された反強磁性層215が作用させる交
換異方性磁界により、ピン止め磁性層214は図20の
矢印222方向(Y方向)へ単磁区化され、磁化の方向
がY方向へ固定されている。また、NiMn合金からな
る反強磁性層219は常温では反強磁性ではないが加熱
されると反強磁性になり、その磁化の方向は、熱処理時
に図21の矢印221方向(X1方向)に磁場を印加す
ることで印加磁場方向に沿って配列されている。 熱処
理後、反強磁性層219の磁化は固定され、強磁性層2
18との反強磁性結合を生じ、図21においても強磁性
層218の磁化の向きにフリー磁性層212を単磁区化
することができ、バルクハウゼンノイズを発生させない
状況で磁気抵抗効果を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図20に示した構造に
おいて、ハードバイアス層208によってフリー磁性層
202を単磁区化する機構であると、ハードバイアス層
208に近接するフリー磁性層202の端部領域がハー
ドバイアス層208の磁化の向きに影響されて磁化の向
きが容易に変化しない不感領域となり易いために、磁気
記録媒体の記録密度の向上に伴う狭トラック化に支障を
来す問題があった。このため、狭トラック化の面におい
てはハードバイアス層を用いていない図21に示すバイ
アス方式が有効となり得るが、図21に示す構造におい
てバイアスを印加しようとする場合、以下に説明する問
題があった。
【0008】図21に示す構造において、ピン止め磁性
層214の磁化の向きをピン止めするのは、反強磁性層
215であり、一方、バイアスのためにフリー磁性層2
12を単磁区化するのは、反強磁性層219であり、反
強磁性層215と反強磁性層219が作用させる磁化の
向きは90゜異なることになる。
【0009】ここで、各反強磁性層215、219の磁
化の方向を制御するには、通常、磁界中成膜処理や成膜
後の磁場中アニール処理により行っているが、最初に成
膜した反強磁性層215の磁化の方向を乱す事なく、後
で成膜する反強磁性層219の磁化方向を先の磁化の方
向と異なる方向に制御するのは、極めて難しい問題があ
る。また、図21に示す構造を開示している特開平8−
45032号(特願平7−122104号)明細書に記
載の如く、ネール温度の異なるFeMn合金磁性膜とN
iMn合金磁性膜を使い分け、最初にネール温度の高い
磁性膜を高温加熱して磁場配向熱処理し、次にネール温
度の低い磁性膜を低温加熱して先の磁場配向熱処理と9
0゜異なる磁場配向熱処理するならば、前述の問題を回
避することができると記載されているが、反強磁性層を
構成する材料であるFeMn合金はネール温度が低く、
反強磁性が消失するとされるブロッキング温度が低いの
で、ハードディスクなどの磁気記録装置が駆動時に発生
する熱によってFeMn合金の反強磁性層が作用させる
バイアス磁界が不安定になり易い問題があった。
【0010】更に、特開平8−45032号明細書に記
載の構造においては、熱処理の必要なネール温度の高い
NiMn合金膜を縦バイアス印加用に用い、ネール温度
の低いFeMn合金膜をピン止め磁性層の磁化のピン止
めに用いている。ところが、通常の成膜工程において、
反強磁性層とピン止め磁性層の成膜後に縦バイアス印加
用のNiMn合金膜を成膜するので、NiMn合金膜の
熱処理工程が反強磁性層とピン止め磁性層の成膜工程あ
るいは熱処理工程の後工程になることになり、NiMn
合金膜の熱処理によって反強磁性層とピン止め磁性層を
具備して構成されるスピンバルブ膜の特性に悪影響を及
ぼすおそれが高いものであった。
【0011】本発明は上記事情に鑑み、フリー磁性層を
単磁区化するための縦バイアス磁界を印加できる機構を
採用しながら、縦バイアス磁界の印加を確実に行い得る
とともに、構造的に製造し易く、特性の安定した磁気抵
抗効果型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッドとその製
造方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、反強磁性層
と、この反強磁性層に接して形成されてこの反強磁性層
による交換結合磁界により一定方向に磁化が固定された
固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性導電層を介し形
成されて前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向に磁
化が揃えられたフリー磁性層とを具備してなる積層体を
有し、この積層体の両側に積層体を挟んで設けられた軟
磁性層とこの軟磁性層に積層されて該軟磁性層に一方向
性交換結合を生じさせ前記フリー磁性層にバイアス磁界
を作用させる副反強磁性層と導電層を有して構成された
磁気抵抗効果型薄膜素子を磁気情報の読出素子として備
え、前記反強磁性層が熱処理により一方向性交換結合を
示して固定磁性層の磁化を固定するものであり、前記副
反強磁性層が熱処理を要することなく成膜のままで一方
向性交換結合を生じるものであることを特徴とする。
【0013】本発明は前記構造において、前記磁気抵抗
効果型薄膜磁気素子が、前記フリー磁性層の厚さ方向両
側に各々非磁性導電層と固定磁性層と反強磁性層が形成
されたデュアル型構造とされてなることを特徴とするも
のでも良い。本発明において、前記固定磁性層とフリー
磁性層の少なくとも一方が非磁性層を介して2つに分断
され、分断された層どうしで磁化の向きが180゜異な
るフェリ磁性状態とされてなることを特徴とするもので
も良い。
【0014】本発明において、前記反強磁性層が、成膜
後の熱処理により不規則構造から規則構造に変換されて
一方向性交換結合を示すものとされたことを特徴とする
ものでも良い。本発明において、前記反強磁性層が、X
−Mn合金、Pt−Mn−X’合金(ただし、前記組成
式において、XはPt,Pd,Ir,Rh,Ruの中から選
択される1種を示し、X’はPd,Ir,Rh,Ru,A
u,Ag,Cr,Niの中から選択される1種または2種
以上を示す。)のいずれかからなることを特徴とするも
のでも良い。
【0015】本発明において、前記副反強磁性層がX''
-Mn合金(ただし前記X''はRu、Rh、Ir、P
d、Ptの内のいずれか1種以上を示す。)からなるこ
とを特徴とするものでも良い。本発明において、前記積
層体と前記軟磁性層との間に非磁性導電体からなる下地
層が形成されてなることを特徴とするものでも良い。
【0016】本発明の製造方法は、不規則構造の反強磁
性層と固定磁性層と非磁性導電層とフリー磁性層とを具
備する積層体を形成するとともに、前記反強磁性層に熱
処理を施して不規則構造の反強磁性層を規則構造の反強
磁性層に変態させて反強磁性層による交換結合磁界によ
り固定磁性層の磁化を一定方向に固定するとともに、こ
の後に積層体の両側に軟磁性層と副反強磁性層と導電層
を形成し、前記副反強磁性層の一方向性交換結合により
軟磁性層を介してフリー磁性層の磁化方向を前記固定磁
性層の磁化方向と交差する方向に揃えることを特徴とす
る。
【0017】本発明の製造方法において、前記熱処理を
施す際にトラック幅方向に磁場を印加することが好まし
い。本発明の製造方法において、前記副反強磁性層に副
反強磁性層のブロッキング温度よりも低い温度で副反強
磁性層の構造を変態させない熱処理を施すことが好まし
い。本発明の製造方法において、前記副反強磁性層を成
膜する際にトラック幅方向に磁場を印加しつつ副反強磁
性層を成膜することが好ましい。本発明の製造方法にお
いて、前記副反強磁性層に前記反強磁性層のブロッキン
グ温度より低く、副反強磁性層のブロッキング温度より
も高い温度で副反強磁性層の構造を変態させない熱処理
を施しても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の薄膜磁気ヘッドの
第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。 「第1実施形態」図1は本発明の第1実施形態の薄膜磁
気ヘッドに備えられる巨大磁気抵抗効果型薄膜磁気素子
の一例を示す断面図である。図1に示される構造は例え
ば図2〜図4に例示する浮上走行式の薄膜磁気ヘッドに
設けられる構造であり、この例の薄膜磁気ヘッド150
は、ハードディスク装置などに搭載されるものである。
【0019】この例の薄膜磁気ヘッド150のスライダ
151は、図2において符号155で示す側がディスク
面の移動方向の上流側に向くリーディング側であり、符
号156で示す側がトレーリング側である。このスライ
ダ151の磁気ディスクに対向する面では、レール状の
ABS面(エアーベアリング面:レール部の浮上面)1
51a、151a、151bと、エアーグルーブ151
c、151cとが形成されている。そして、このスライ
ダ151のトレーリング側の端面151dには、磁気コ
ア部157が設けられている。
【0020】この例において示す薄膜磁気ヘッドの磁気
コア部157は、図3および図4に示す構造の複合型磁
気コア構造であり、スライダ151のトレーリング側端
面151d上に、読出ヘッド(巨大磁気抵抗効果型薄膜
磁気素子を利用したGMRヘッド)h1と、書込ヘッド
(インダクティブヘッド)h2とが積層されて構成され
ている。
【0021】この例のGMRヘッドh1は、スライダ1
51のトレーリング側端部に形成された保護層162上
の磁性合金からなる下部シールド層163上に、下部ギ
ャップ層164が設けられている。そして、下部ギャッ
プ層164上には、磁気抵抗効果型薄膜磁気素子GMR
1が積層されている。この磁気抵抗効果型薄膜素子層G
MR1上には、上部ギャップ層166が形成され、その
上に上部シールド層167が形成されている。この上部
シールド層167は、その上に設けられるインダクティ
ブヘッドh2の下部コア層と兼用にされている。
【0022】次に、インダクティブヘッドh2は、前記
上部シールド層167と兼用にされた下部コア層の上
に、ギャップ層174が形成され、その上に平面的に螺
旋状となるようにパターン化されたコイル176が形成
されている。前記コイル176は、絶縁材料層177に
囲まれている。絶縁材料層177の上に形成された上部
コア層178は、その先端部178aをABS面151
bにて下部コア層167に微小間隙をあけて対向し、そ
の基端部178bを下部コア層167と磁気的に接続さ
せて設けられている。また、上部コア層178の上に
は、アルミナなどからなる保護層179が設けられてい
る。
【0023】前述の構造のGMRヘッドh1は、ハード
ディスクのディスクなどの磁気記録媒体からの微小の漏
れ磁界の有無により、巨大磁気抵抗効果素子層GMR1
の抵抗を変化させ、この抵抗変化を読み取ることで磁気
記録媒体の記録内容を読み取るものである。次に、前述
の構造のインダクティブヘッドh2では、コイル176
に記録電流が与えられ、コイル176からコア層に記録
電流が与えられる。そして、前記インダクティブヘッド
h2は、磁気ギャップGの部分での下部コア層167と
上部コア層178の先端部からの漏れ磁界により、ハー
ドディスクなどの磁気記録媒体に磁気信号を記録するも
のである。
【0024】ここまで薄膜磁気ヘッド150の全体構造
について説明したが、以下に本発明の要部である巨大磁
気抵抗効果薄膜素子GMR1について図1を基に詳述す
る。ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向は図
1のZ方向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向
は図1のY方向である。
【0025】この形態の構造においてAl23−TiC
(商品名:アルチック)等のセラミックなどからなる硬
質絶縁材料製のスライダ151の上に、アルミナ(Al
23)などの絶縁体からなる保護層162が形成され、
保護層162上に下部シールド層163が形成され、こ
の下部シールド層163の上にアルミナ(Al23)な
どの絶縁体からなる下部ギャップ層164が形成され、
この下部ギャップ層164上に磁気抵抗効果型薄膜磁気
素子GMR1が形成されている。
【0026】この形態の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子G
MR1は、いわゆるボトム型のシングルスピンバルブの
一例であり、下地膜1と反強磁性層2と固定磁性層3と
非磁性導電層4とフリー磁性層5と保護層7が下部ギャ
ップ層164上に積層された断面等脚台形状の積層体S
1と、この積層体S1の左右両側傾斜部分側に各々下地層
6Aと軟磁性層6Bと副反強磁性層6Cと導電層8とが
積層されて構成されており、副反強磁性層6Cが軟磁性
層6Bに対して図1のX1方向(トラック幅Tw方向)に
一方向異方性を付与することにより軟磁性層6Bを介し
てフリー磁性層5の磁化が図1の矢印に示すようにX1
方向に揃えられて単磁区化され、これによりフリー磁性
層5には縦バイアス磁界が印加された状態とされてい
る。
【0027】ここで、固定磁性層3は、反強磁性層2に
接して形成され、磁場中アニール(熱処理)を施すこと
により、前記固定磁性層3と反強磁性層2の界面にて一
方向性交換結合を生じて交換結合磁界(交換異方性磁
界)が発生され、例えば図1に示すように、前記固定磁
性層3の磁化が、図示Y方向に固定されている。
【0028】前記積層構造において、一例として下地膜
1はTaなどの非磁性体からなり、前記固定磁性層3は
Co膜、NiFe合金膜、CoNiFe合金膜、CoF
e合金膜などからなり、フリー磁性層5はNiFe合金
膜、非磁性導電層4はCuなどの非磁性導電膜からな
り、保護層7はTaなどの非磁性膜からなる。
【0029】また、本発明において前記反強磁性層2
は、PtMn合金で形成されていることが好ましい。P
tMn合金は従来から反強磁性層として使用されている
NiMn合金やFeMn合金などに比べて耐食性に優
れ、しかもブロッキング温度が高く(380℃)、交換
結合磁界(交換異方性磁界)も大きい。また本発明で
は、前記PtMn合金に代えて、X−Mn(ただしX
は、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種、または2
種以上の元素である)合金、あるいは、Pt−Mn−
X’(ただしX’はPd,Ir,Rh,Ru,Au,A
gのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で
反強磁性層2が形成されていてもよい。この反強磁性層
2は、一方向性交換結合による交換結合磁界により隣接
する固定磁性層3の磁化の向きをピン止めして図1のY
方向に向ける作用を奏する。また、前記2元系のX−M
n合金において、元素Xの含有量はX=37〜63原子
%(37原子%以上、63原子%以下;以下特に規定し
ない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以上、以下
を意味する。)の範囲が好ましく、X=44〜57原子
%の範囲がより好ましい。更に、前記3元系のPt−M
n−X’合金において、Ptの含有量は37〜63原子
%の範囲(37原子%以上、63原子%以下)が好まし
く、元素X’の含有量はX’=0.2〜10原子%の範
囲が好ましい。また、3元系のPt−Mn−X’合金に
おいて、Pt+X’の含有量は44〜57原子%の範囲
がより好ましい。
【0030】これらの適正な組成範囲の合金を用い、成
膜したままでは不規則構造のものを熱処理(アニール処
理)することで規則構造とすることで大きな交換結合磁
界を発生する反強磁性層2を得ることができ、特にPt
−Mn合金であれば800(Oe)を超える交換結合磁
界を有し、交換結合磁界を失うブロッキング温度が38
0℃の極めて高い優れた反強磁性層2を得ることができ
る。これらの合金は成膜したままでは不規則系の面心立
方構造(fcc:格子定数がa軸とc軸で同じ値)であ
るが、熱処理によりCuAuIタイプの規則系の面心立
方構造(fct:a軸/c軸≒0.9)に構造変態す
る。
【0031】前記下地層6Aは、Taなどの非磁性導電
層からなることが好ましい。この下地層6Aはこの上に
積層される軟磁性層6Bの膜質を整える目的で形成され
るものであるので、本実施形態では設けられているが、
省略しても差し支えない層である。前記軟磁性層6B
は、NiFe合金、Co、Co合金などからなる。
【0032】前記副反強磁性層6Cとして用いるのは、
X''−Mn合金(ただし、X''は、Ru、Rh、Ir、
Pd、Ptの中から選択される1種または2種以上を示
す。)が用いられる。X''−Mn合金において、X''が
Ruである場合にRuは10〜45原子%の範囲が好ま
しく、X''がRhまたはIrである場合にRhまたはI
rは10〜40原子%の範囲が好ましく、X''がPdま
たはPtである場合にPdまたはPtは10〜25原子
%の範囲が好ましい。なお、先の反強磁性層2に用いら
れる合金は成膜したままでは不規則構造であり、これに
熱処理を施すことで規則構造に変態させているが、副反
強磁性層6Cは先に記載の組成のものを成膜したままの
不規則構造のものを用いる。
【0033】X''−Mn合金において前述の組成を用い
たのは、先に本発明者が特開平9−35212号(特願
平7−183121号)明細書で明らかにした如く、前
記組成範囲であるならば、適切な交換異方性磁界を有す
ると同時に優れた耐食性を有するためである。例えば、
Ru−Mn合金の場合、より好ましい範囲は15.5〜
44原子%であり、Rh−Mn合金の場合、より好まし
い範囲は19.2〜37原子%、Ir−Mn合金の場
合、より好ましい範囲は15.2〜35.5原子%、Pd
−Mn合金の場合、より好ましい範囲は12.4〜22.
6原子%、Pt−Mn合金の場合、より好ましい範囲は
10.9〜21.3原子%である。
【0034】前記副反強磁性層6Cの磁化の向きは図1
のX1方向に調整されており、これにより交換異方性磁
界を軟磁性層6Bに作用させることでフリー磁性層5の
磁化が図1のX1方向に向けられて単磁区化されてい
る。副反強磁性層6Cの磁化の向きを調整するにはX1
方向(トラック幅Tw方向)に磁場を印加しながら副反
強磁性層6Cを成膜する磁場中成膜処理を行えば良い。
【0035】図1における磁気抵抗効果型薄膜磁気素子
GMR1では、前記導電層8からフリー磁性層5、非磁
性導電層4、及び固定磁性層3にセンス電流が与えられ
る。記録媒体から図1に示す図示Y方向に磁界が与えら
れると、フリー磁性層5の磁化は図示X1方向からY方
向に変動し、このときの非磁性導電層4とフリー磁性層
5との界面、及び非磁性導電層4と固定磁性層3との界
面でスピンに依存した伝導電子の散乱が起こることによ
り、電気抵抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出
される。この際、固定磁性層3の磁化の向きは反強磁性
層2による異方性磁界により固定されているが、フリー
磁性層5の磁化の向きは回転できるので、磁気記録媒体
からの漏れ磁界が作用した状態になることでフリー磁性
層5の磁化の向きが回転する結果、磁気抵抗変化が起こ
る。そして、その場合、フリー磁性層5の磁化の回転が
円滑になされるためには、フリー磁性層5に図1のX1
方向に一軸異方性が付与されていてフリー磁性層5が単
磁区化されていること、即ちフリー磁性層5に縦バイア
ス磁界が付加されていることが好ましいので、軟磁性層
6Bを介して副反強磁性層6Cから受けている異方性磁
界の影響で一軸異方性が付与されたフリー磁性層5であ
るならば、バルクハウゼンノイズの生じないスムーズな
抵抗変化が得られ易くなる。
【0036】次に、従来構造においてハードバイアス層
を設けた構造においてはハードバイアス層による磁化に
よってトラック幅領域内のフリー磁性層両端部に不感領
域を生じてしまい、狭トラック化の障害となっていた
が、前述の副反強磁性層6Cと軟磁性層6Bを用いたバ
イアス磁界付加機構にあっては、フリー磁性層5にこの
ような不感領域はほとんど生じないので図1に示す構造
を採用することでより狭トラック化に対応することがで
きる特徴を有する。
【0037】また、特開平8−45032号公報(特願
平7−122104号)に記載されている如く、熱処理
の必要なNiMn合金を縦バイアス磁界印加用として用
い、FeMn合金層の反強磁性層をピン止め用として設
けた構造においては、NiMnのブロッキング温度が4
00℃近傍でFeMn合金のブロッキング温度が150
℃程度と低いので、縦バイアス磁界用のNiMn合金層
を熱処理する際にピン止め用のFeMn合金層の磁化に
も悪影響を与えてしまう問題があるが、本願発明構造で
あるならば、縦バイアス磁界印加用の副反強磁性層6C
に対する各処理が反強磁性層2に悪影響を及ぼすおそれ
はない。更に、FeMn合金は耐食性に劣るが、本願発
明で用いるX−Mn系、Pt−Mn−X’系合金である
ならば、FeMnよりも耐食性に優れているので、耐環
境性にも優れた薄膜磁気ヘッドを提供できる。
【0038】ところで、図1において非磁性導電層4の
厚さ方向上下には、固定磁性層3とフリー磁性層5をそ
れぞれ単層構造として設けたが、これらを複層構造とす
ることもできる。巨大磁気抵抗変化を示すメカニズム
は、非磁性導電層4と固定磁性層3とフリー磁性層5と
の界面で生じる伝導電子のスピン依存散乱によるもので
あり、Cuの非磁性導電層4に対してスピン依存散乱が
大きな組み合わせとしてCo層が例示できるので、固定
磁性層3をCo以外の材料で形成した場合に固定磁性層
3の非磁性導電層4側の部分を図1の2点鎖線で示すよ
うに薄いCo層3aで形成し、フリー磁性層5の非磁性
導電層4側の部分を図1の2点鎖線で示すように薄いC
o層5aで構成しても良い。
【0039】以下に前記構造の巨大磁気抵抗効果型薄膜
素子GMR1の製造方法の一例について説明する。図1
に示す構造の巨大磁気抵抗効果型薄膜素子GMR1を製
造するには、基板上に保護層162と下部シールド層1
63と下部ギャップ層164を形成し、この下部ギャッ
プ層164上に下地膜1とPtMn合金の反強磁性層と
固定磁性層3と非磁性導電層4とフリー磁性層5と保護
層7を順次スパッタ等の成膜手段で成膜する。なお、基
板上に形成する保護層162と下部シールド層163と
下部ギャップ層164は図2〜図4に示す構成の薄膜磁
気ヘッドを製造する場合に必要な層なので、他の構造の
薄膜磁気ヘッドを製造する場合にはそれぞれ必要な層を
積層するものとする。
【0040】成膜処理が終了した時点において成膜した
ままの状態のPtMn合金の反強磁性層2は不規則構造
のものであり固定磁性層3に対する交換異方性磁界はほ
とんど生じないか、生じたとしても固定磁性層3の磁化
の向きをピン止めするには不足であるが、この反強磁性
層に一方向の磁界(図1のY方向磁界:素子高さ方向の
磁界)を印加しながら200〜350℃の範囲の温度に
加熱後徐冷するアニール処理を施すならば、不規則構造
の反強磁性層を規則構造の反強磁性層2に変態させるこ
とができ、この結果として極めて高い交換異方性磁界を
発生させて固定磁性層3の磁化の向きを強くピン止めす
ることができる。次に、下部ギャップ層164上の積層
膜にレジストを被せてイオンミリングにより加工し、図
1に示すような断面台形状の積層体S1に加工する。な
お、前記の熱処理は積層体S1に加工してから行っても
差し支えない。
【0041】前記加工が終了したならば、この加工後に
積層体S1の両側の下部ギャップ層164上に、積層体
S1を挟むように下地層6Aと軟磁性層6Bと副反強磁
性層6Cと導電層8とを積層する。ここで副反強磁性層
6Cを成膜する場合、図1のX1方向(トラック幅Tw方
向)に磁界を印加しながら成膜する磁場中成膜処理を行
うならば、副反強磁性層6Cによる一方向性交換結合に
よって、軟磁性層6Bをトラック幅方向に単磁区化する
ことができ、これによりフリー磁性層5に縦バイアス磁
界を印加することができる。
【0042】また、積層後に副反強磁性層6Cに250
℃以下の調質用あるいは歪取用の熱処理を施しても良
い。なお、この熱処理温度は副反強磁性層6Cが不規則
構造のままの状態を維持できる温度、換言すると熱処理
によって規則構造とならないような処理温度で行うもの
とする。なお、前述の磁場中成膜において、積層体S1
の温度は成膜装置の余熱で多少温度が上昇する程度か、
あるいは、前述の熱処理を施しても反強磁性層2を規則
構造に変態させる温度よりも低い温度で処理するので、
先の製造工程においてピン止めを行った反強磁性層2の
異方性磁界には特に影響はない。よって、固定磁性層3
の磁化の向きをピン止めしたままの状態で、このピン止
め方向に対して90゜異なる方向にフリー磁性層5を単
磁区化することができ、良好な縦バイアス磁界をフリー
磁性層5に印加することができ、図1に示す構造を製造
することができる。
【0043】以上説明した方法によって図1に示す構造
の巨大磁気抵抗効果型薄膜素子GMR1を製造する際
に、一度固定磁性層3の磁化の向きをピン止めした後に
反強磁性層2の異方性磁界に影響を及ぼさないようにし
て副反強磁性層6Cを形成することができる利点は、本
願発明製造方法に特有の効果であり、従来技術において
は実現できない特徴である。例えば、従来構造において
ハードバイアス層を設けた構造においてはハードバイア
ス層による磁化によってトラック幅領域内のフリー磁性
層両端部に不感領域を生じて狭トラック化の障害となっ
ていたが、前述の副反強磁性層6Cと軟磁性層6Bを用
いたバイアス磁界付加機構ではフリー磁性層5にこのよ
うな不感領域はほとんど生じないので狭トラック化に対
応することができる。
【0044】「第2実施形態」図5は本発明の第2実施
形態の薄膜磁気ヘッドに備えられる巨大磁気抵抗効果型
薄膜磁気素子の一例を示す断面図である。なお、この第
2実施形態の薄膜磁気ヘッドにおいて全体の概略構造は
図2〜図4を基に先に説明した構造の薄膜磁気ヘッド1
50と同等であるが、GMRヘッドh1に設けられてい
る磁気抵抗効果型薄膜磁気素子GMR2が異なってい
る。よって、図5に示す第2実施形態の構造において
は、基板と下地層と磁気抵抗効果型薄膜磁気素子GMR
2の部分について説明し、その他のスライダ部分とイン
ダクティブヘッド(書込ヘッド)部分の構造については
説明を省略する。更に図5に示す第2実施形態の構造に
おいては、基板を省略して記載したが、基板構造は図1
に示した第1実施形態の構造と同等であるので説明は省
略する。
【0045】この第2実施形態の構造において先に説明
した第1実施形態の構造と異なるのは、磁気抵抗効果型
薄膜磁気素子GMR2の構造である。この実施形態の磁
気抵抗効果型薄膜磁気素子GMR2は、いわゆるトップ
型のシングルスピンバルブ構造であって、図5の下から
順に下地膜1とフリー磁性層5と非磁性導電層4と固定
磁性層3と反強磁性層2と保護層7が積層された断面台
形状の積層体S2とされ、その左右両側傾斜部分に下地
層6Aと軟磁性層6Bと副反強磁性層6Cと導電層8と
が積層されて構成されており、軟磁性層6が図5のX1
方向に磁化されることによりフリー磁性層5の磁化が図
5の矢印に示すようにX1方向に揃えられている。
【0046】本第2実施形態の下地膜1とフリー磁性層
5と非磁性導電層4と固定磁性層3と保護層7と下地層
6Aと軟磁性層6Bと副反強磁性層6Cの構成材料は先
の第1実施形態の場合と同等とされる。また、反強磁性
層5を構成する材料も同等であるがその好ましい組成範
囲は若干異なる。反強磁性層5を構成する2元系のX−
Mn合金において、元素Xの含有量はX=37〜63原
子%(37原子%以上、63原子%以下)の範囲が好ま
しいが、X=47〜57原子%の範囲がより好ましい。
更に、前記3元系のPt−Mn−X’合金において、P
tの含有量は37〜63原子%の範囲が好ましく、元素
X’の含有量はX’=0.2〜10原子%の範囲が好ま
しい。また、3元系のPt−Mn−X’合金において、
Pt+X’の含有量は47〜57原子%の範囲がより好
ましい。
【0047】この第2実施形態の構造においても副反強
磁性層6Cが軟磁性層6Bに作用させる一方向性結合磁
界の作用により、軟磁性層6Bがフリー磁性層5に縦バ
イアス磁界を印加するとともにフリー磁性層5の磁化の
向きを図5のX1方向に揃えてフリー磁性層5を単磁区
化することができる。また、本実施形態においてその他
の効果は先の実施形態と同様である。
【0048】「第3実施形態」図6は本発明の第3実施
形態の薄膜磁気ヘッドに備えられる基板と磁気抵抗効果
型薄膜磁気素子の一例を示す断面図である。なお、この
第3実施形態の薄膜磁気ヘッドにおいて全体の概略構造
は図2〜図4を基に先に説明した構造の薄膜磁気ヘッド
150と同等であるが、GMRヘッドh1に設けられて
いる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子が異なっている。よっ
て、図6に示す第3実施形態の構造について、磁気抵抗
効果型薄膜磁気素子の部分について説明し、その他のス
ライダ部分とインダクティブヘッド(書込ヘッド)部分
の構造について説明を省略する。更に図6に示す第3実
施形態の構造においては、基板を省略して記載したが、
基板の構造は図1に示した第1実施形態の構造と同等で
あるので詳細な説明は省略する。
【0049】この第3実施形態の構造において先に説明
した第1実施形態の構造と異なるのは、磁気抵抗効果型
薄膜磁気素子GMR3の構造である。この実施形態の磁
気抵抗効果型薄膜磁気素子GMR3は、いわゆるデュア
ル型スピンバルブ構造であり、図6の下から順に下地膜
1と反強磁性層2と固定磁性層3と非磁性導電層4とフ
リー磁性層5と非磁性導電層4と固定磁性層3と反強磁
性層2と保護層7が積層された断面台形状の積層体S3
とされ、その左右両側傾斜部分側に各々下地層6Aと軟
磁性層6Bと副反強磁性層6Cと導電層8とが積層され
て構成されており、反強磁性層6Bの強磁性結合により
軟磁性層6Bが図5のX1方向に縦バイアス磁界を印加
することによりフリー磁性層5の磁化が図5の矢印に示
すようにX1方向に揃えられている。また、本実施形態
においてその他の効果は先の実施形態と同様である。
【0050】本第3実施形態の下地膜1と固定磁性層3
と非磁性導電層4とフリー磁性層5と保護層7の構成材
料は先の第1実施形態の場合と同等とされる。また、反
強磁性層5を構成する材料も同等である。
【0051】この第3実施形態の構造においても副反強
磁性層6Cの一方向性交換結合磁界の影響を受けた軟磁
性層6Bが発生させる縦バイアス磁界の作用によりフリ
ー磁性層5の磁化の向きを図1のX1方向に揃えること
ができる。また、本実施形態においてその他の効果は先
の実施形態と同様である。
【0052】「第4実施形態」図7、図8は本発明にお
ける第4実施形態の薄膜磁気ヘッドに備えられる磁気抵
抗効果型薄膜磁気素子の一例を模式図的に示した図であ
る。なお、この第4実施形態の薄膜磁気ヘッドにおいて
全体の概略構造は図2〜図4を基に先に説明した構造の
薄膜磁気ヘッド150と同等であるが、GMRヘッドh
1に設けられている磁気抵抗効果型薄膜磁気素子が異な
っている。よって、図7に示す第4実施形態の構造にお
いては、磁気抵抗効果型薄膜磁気素子の部分について説
明し、その他のスライダ部分とインダクティブヘッド
(書込ヘッド)部分の構造については説明を省略する。
更に図7に示す第4実施形態の構造においては、基板部
分を省略して記載したが、基板部分の構造は図1に示し
た第1実施形態の構造と同等であるので詳細な説明は省
略する。
【0053】図7に示す磁気抵抗効果型薄膜磁気素子G
MR4は、反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層、及
びフリー磁性層が一層ずつ形成され、反強磁性層が底部
側に設けられた、いわゆるボトム型シングルスピンバル
ブ薄膜磁気素子の1種であり、最も下に形成された層
は、Taなどの非磁性材料で形成された下地膜10であ
って、この下地膜10の下に基板側の下部ギャップ層1
64が設けられた構造となる。図7の構造では前記下地
膜10の上に、反強磁性層11が形成され、反強磁性層
11の上に、第1の固定磁性層12が形成されている。
そして図7に示すように前記第1の固定磁性層12の上
には非磁性中間層13が形成され、さらに前記非磁性中
間層13の上に第2の固定磁性層14が形成され、その
上に順に、非磁性導電層15と、層17及び層18から
なるフリー磁性層16と、保護層19とが積層されて積
層体S4が形成されている。前記第lの固定磁性層12
及び第2の固定磁性層14は、例えばCo膜、NiFe
合金、CoNiFe合金、CoFe合金などで形成され
ている。
【0054】また、本発明では、前記反強磁性層11は
PtMn合金で形成されていることが好ましい。PtM
n合金は、従来から反強磁性層として使用されているN
iMn合金やFeMn合金などに比べて耐食性に優れ、
しかも、ブロッキング温度が高く、交換結合磁界(交換
異方性磁界)も大きい。また本発明では、前記PtMn
合金に代えて、X−Mn(ただしXは、Pd,Ir,R
h,Ruのいずれか1種、または2種以上の元素であ
る)合金、あるいは、Pt−Mn−X’(ただしX’
は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Agのいずれか1
種または2種以上の元素である)合金で形成されていて
もよい。また、これら各合金の組成については、先の第
1実施形態の構造のX−Mn合金およびPt−Mn−
X’合金と同等で良い。
【0055】ところで図7に示す第1の固定磁性層12
及び第2の固定磁性層14に示されている矢印は、それ
ぞれの磁気モーメントの大きさ及びその方向を表してお
り、前記磁気モーメントの大きさは、飽和磁化(Ms)
と膜厚(t)とをかけた値で選定される。
【0056】図7に示す第lの固定磁性層12と第2の
固定磁性層14とは同じ材質、例えばCo膜で形成さ
れ、しかも第2の固定磁性層14の膜厚tP2が、第1
の固定磁性層12の膜厚tP1よりも大きく形成されて
いるために、第2の固定磁性層14の方が第1の固定磁
性層12に比べ磁気モーメントが大きくなっている。な
お、本実施形態では、第1の固定磁性層12及び第2の
固定磁性層14が異なる磁気モーメントを有することを
必要としており、従って、第1の固定磁性層12の膜厚
tP1が第2の固定磁性層14の膜厚tP2より厚く形成
されていてもよい。図7に示すように第1の固定磁性層
12は図示Y方向、すなわち記録媒体から離れる方向
(素子高さ方向あるいはハイト方向)に磁化されてお
り、非磁性中間層13を介して対向する第2の固定磁性
層14の磁化は前記第lの固定磁性層12の磁化方向と
反平行(フェリ状態)に磁化されている。
【0057】第1の固定磁性層12は、反強磁性層11
に接して形成され、磁場中アニール(熱処理)を施すこ
とにより、前記第1の固定磁性層12と反強磁性層11
との界面にて交換結合磁界(交換異方性磁界)が発生
し、例えば図7に示すように、前記第1の固定磁性層1
2の磁化が、図示Y方向に固定される。前記第1の固定
磁性層12の磁化が、図示Y方向に固定されると、非磁
性中間層12を介して対向する第2の固定磁性層14の
磁化は、第1の固定磁性層12の磁化と反平行の状態で
固定される。
【0058】交換結合磁界が大きいほど、第1の固定磁
性層12の磁化と第2の固定磁性層14の磁化を安定し
て反平行状態に保つことが可能であり、特に本実施形態
では反強磁性層11としてブロッキング温度が高く、し
かも第1の固定磁性層12との界面で大きい交換結合磁
界(交換異方性磁界)を発生させるPtMn合金を使用
することで、前記第1の固定磁性層12及び第2の固定
磁性層14の磁化状態を熱的にも安定して保つことがで
きる。
【0059】以上のように本実施形態では、第1の固定
磁性層12と第2の固定磁性層14との膜厚比を適正な
範囲内に収めることによって、交換結合磁界(Hex)
を大きくでき、第1の固定磁性層12と第2の固定磁性
層14の磁化を、熱的にも安定した反平行状態(フェリ
状態)に保つことができ、しかも△MR(抵抗変化率)
\を従来と同程度に確保することが可能である。
【0060】次に、図7に示す第1の固定磁性層12と
第2の固定磁性層14との間に介在する非磁性中間層1
3に関して説明する。本発明では、第lの固定磁性層1
2と第2の固定磁性層14との間に介在する非磁性中間
層13は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち
l種あるいは2種以上の合金で形成されていることが好
ましい。
【0061】図7に示すように、第2の固定磁性層14
の上には、Cuなどで形成された非磁性導電層15が形
成され、さらに前記非磁性導電層15の上にフリー磁性
層16が形成されている。図7に示すようにフリー磁性
層16は、2層で形成されており、前記非磁性導電層1
5に接する側に形成された符号17の層はCo膜で形成
されている。またもう一方の層18は、NiFe合金
や、CoFe合金、あるいはCoNiFe合金などで形
成されている。なお非磁性導電層15に接する側にCo
膜の層17を形成する理由は、Cuにより形成された前
記非磁性導電層15との界面での金属元素等の拡散を防
止でき、また、△MR(抵抗変化率)を大きくできるか
らである。なお符号19はTaなどで形成された保護層
である。
【0062】また、図8に示す磁気抵抗効果型薄膜磁気
素子GMR4の左右両側には、先の第1実施形態の下地
層6Aと同等の材料からなる下地層130Aと、先の第
1実施形態の軟磁性層6Bと同等の材料からなる軟磁性
層130Bと、先の第1実施形態の副反強磁性層6Cと
同等の材料からなる副反強磁性層130Cと、Cu、W
またはCrの導電膜で形成された導電層131が形成さ
れており、前記副反強磁性層130Cの影響を受けた軟
磁性層130Bにより、前記フリー磁性層16の磁化
は、図示X1方向に向けられた状態となっている。
【0063】この第4実施形態の構造においても軟磁性
層130Bが作用させる縦バイアス磁界の影響によりフ
リー磁性層16の磁化の向きが図8のX1方向に揃えら
れて一軸異方性が付与されて単磁区化されている。ま
た、本実施形態においてその他の効果は先の実施形態と
同様である。
【0064】図7、8における磁気抵抗効果型薄膜磁気
素子GMR4では、前記導電層131からフリー磁性層
16、非磁性導電層15、及び第2の固定磁性層14に
センス電流が与えられる。記録媒体から図7、8に示す
図示Y方向に磁界が与えられると、フリー磁性層16の
磁化は図示X1方向からY方向に変動し、このときの非
磁性導電層15とフリー磁性層16との界面、及び非磁
性導電層15と第2の固定磁性層14との界面でスピン
に依存した伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵
抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。そ
の際、軟磁性層130Bが作用させる縦バイアス磁界に
よりフリー磁性層21が単磁区化されているので、バル
クハウゼンノイズを生じない円滑な抵抗変化を得ること
ができる。また、本実施形態においてその他の効果は先
の実施形態と同様である。
【0065】ところで前記センス電流は、実際には、第
1の固定磁性層12と非磁性中間層13の界面などにも
流れる。前記第1の固定磁性層12は△MRに直接関与
せず、前記第1の固定磁性層12は、△MRに関与する
第2の固定磁性層14を適正な方向に固定するための、
いわば補助的な役割を担った層となっている。このため
センス電流が、第1の固定磁性層12及び非磁性中間層
13に流れることは、シャントロス(電流ロス)になる
が、このシャントロスの量は非常に少なく、本実施形態
では、従来とほぼ同程度の△MRを得ることが可能とな
っている。
【0066】「第5実施形態」図9、図10は、本発明
の第5の実施形態の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子の構造
を模式図的に示した横断面図である。この形態の磁気抵
抗効果型薄膜磁気素子GMR5は、図7のボトム型スピ
ンバルブ薄膜磁気素子の膜構成を逆にして形成したトッ
プ型シングルスピンバルブ薄膜磁気素子構造である。
【0067】即ち、図9、図10に示す磁気抵抗効果型
薄膜磁気素子GMR5にあっては、下地膜10、NiF
e膜22、Co膜23(NiFe膜22とCo膜23を
合わせてフリー磁性層21)、非磁性導電層24、第2
の固定磁性層25、非磁性中間層26、第1の固定磁性
層27、反強磁性層28、及び保護層29の順で積層さ
れて積層体S5が構成されている。前記反強磁性層28
は、先の第2実施形態の反強磁性層2と同等のPtMn
合金あるいはX−Mn合金で形成されていることが好ま
しい。
【0068】次に図9、図10に示す第1の固定磁性層
27と第2の固定磁性層25との間に介在する非磁性中
間層26は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのう
ち1種あるいは2種以上の合金で形成されていることが
好ましい。図9、10に示すスピンバルブ型薄膜磁気素
子では、第1の固定磁性層27の膜厚tP1は、第2の
固定磁性層25の膜厚tP2と異なる値で形成され、例
えば前記第1の固定磁性層27の膜厚tP1の方が、第
2の固定磁性層25の膜厚tP2よりも厚く形成されて
いる。また前記第1の固定磁性層27の磁化が、図示Y
方向に磁化され、前記第2の固定磁性層25の磁化は図
示Y方向と逆の方向に磁化されて、第1の固定磁性層2
7と第2の固定磁性層25磁化はフェリ状態となってい
る。なお、図10に示すように、下地膜10から保護層
29までの積層体S5の左右両側には、先の第4実施形
態の構造と同様に下地層130Aと軟磁性層130Bと
副反強磁性層130Cと導電層131が形成されてお
り、前記軟磁性層130Bから縦バイアス磁界が印加さ
れることによって、フリー磁性層21の磁化が図示X1
方向に揃えられている。
【0069】この第5実施形態の構造においてもフリー
磁性層21に軟磁性層130Bから縦バイアス磁界が印
加されてフリー磁性層21の磁化の向きが図10のX1
方向に向けられている。
【0070】図9、10における磁気抵抗効果型薄膜磁
気素子GMR5では、前記導電層131からフリー磁性
層21、非磁性導電層24、及び固定磁性層25、27
にセンス電流が与えられる。記録媒体から図10に示す
図示Y方向に磁界が与えられると、フリー磁性層21の
磁化は図示X1方向からY方向に変動し、このとぎの非
磁性導電層24とフリー磁性層21との界面、及び非磁
性導電層24と第2の固定磁性層25との界面でスピン
に依存した伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵
抗が変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。そ
の際、軟磁性層130Bの誘導磁気異方性によりフリー
磁性層21に縦バイアス磁界が印加されて単磁区化され
ているので、バルクハウゼンノイズを生じない円滑な抵
抗変化を選ることができる。また、本実施形態において
その他の効果は先の実施形態と同様である。
【0071】「第6実施形態」図11は本発明の第6実
施形態の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子の構造を模式図的
に示した横断面図、図12は図11に示す磁気抵抗効果
型薄膜磁気素子を記録媒体との対向面側から見た構造を
模式的に示した断面図である。この磁気抵抗効果型薄膜
磁気素子GMR6は、フリー磁性層を中心としてその上
下に非磁性導電層、固定磁性層、及び反強磁性層が1層
ずつ形成された、いわゆるデュアルスピンバルブ型薄膜
磁気素子である。このデュアルスピンバルブ型薄膜磁気
素子では、フリー磁性層/非磁性導電層/固定磁性層の
この3層の組合わせが2組存在するため前述のシングル
スピンバルブ型薄膜磁気素子に比べて大きな△MRを期
待でき、高密度記録化に対応できるものとなっている。
【0072】図11、図12に示す磁気抵抗効果型薄膜
磁気素子GMR6は、基板側の下部ギャップ層163の
上に、下地膜30、反強磁性層31、第1の固定磁性層
(下)32、非磁性中問層(下)33、第2の固定磁性
層(下)34、非磁性導電層35、フリー磁性層36
(符号37,39はCo膜、符号38はNiFe合金
膜)、非磁性導電層40、第2の固定磁性層(上)4
1、非磁性中間層(上)42、第1の固定磁性層(上)
43、反強磁性層44、及び保護層45の順で積層され
て積層体S6が構成されている。なお、図12に示すよ
うに下地膜30から保護層45までの積層体の両側に
は、先の構造と同様に下地層130Aと軟磁性層130
Bと副反強磁性層130Cと導電層131が形成されて
おり、前記軟磁性層130Bが図示X1方向に磁化され
ていることによって、フリー磁性層36の磁化が図示X
1方向に揃えられている。
【0073】図11、12に示すスピンバルブ型薄膜磁
気素子の反強磁性層31,44は、先の実施形態で述べ
たPtMn合金あるいはX−Mn合金で形成されている
ことが好ましい。
【0074】次に図11、12に示す第1の固定磁性層
(下)32,(上)43と第2の固定磁性層、(下)3
4,(上)41との間に介在する非磁性中間層33,4
2は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種
あるいは2種以上の合金で形成されていることが好まし
い。
【0075】図11、12に示すように、フリー磁性層
36より下側に形成された第1の固定磁性層(下)32
の膜厚tP1は、非磁性中間層33を介して形成された
第2の固定磁性層(下)34の膜厚tP2に比べて薄く
形成されている。一方、フリー磁性層36よりも上側に
形成されている第1の固定磁性層(上)43の膜厚tP
1は、非磁性中間層42を介して形成された第2の固定
磁性層41(上)の膜厚tP2に比べ厚く形成されてい
る。そして、第1の固定磁性層(下)32,(上)43
の磁化は共に図示Y方向と反対方向に磁化されており、
第2の固定磁性層(下)34,(上)41の磁化は図示
Y方向に磁化された状態になっている。
【0076】図7〜図10に示すシングルスピンバルブ
型簿膜素子の場合にあっては、第1の固定磁性層のMs
・tP1と第2の固定磁性層のMs・tP2が異なるよう
に膜厚などを調節し、第1の固定磁性層の磁化の向き
は、図示Y方向あるいは図示Y方向と反対方向のどちら
でもよい。しかし、図11、12に示すデュアルスピン
バルブ型の薄膜磁気素子にあっては、第1の固定磁性層
(下)32,(上)43の磁化が共に同じ方向に向くよ
うにする必要性があり、そのために、本実施形態では、
第1の固定磁性層(下)32,(上)43の磁気モーメ
ントMs・tP1と、第2の固定磁性層(下)34,
(上)41の磁気モーメントMs・tP2との調整、及
び熱処理中に印加する磁場の方向及びその大きさを適正
に調節することデュアルスピンバルブ型薄膜磁気素子と
して満足に機能させることができる。
【0077】ここで、第1の固定磁性層(下)32,
(上)43の磁化を共に同じ方向に向けておくのは、前
記第1の固定磁性層(下)32,(上)43の磁化と反
平行になる第2の固定磁性層(下)34,(上)41の
磁化を共に同じ方向に向けておくためであり、その理由
について以下に説明する。
【0078】前述したように、スピンバルブ型薄膜磁気
素子の△MRは、固定磁性層の固定磁化とフリー磁性層
の変動磁化との関係によって得られるものであるが、本
発明のように固定磁性層が第1の固定磁性層と第2の固
定磁性層の2層に分断された場合にあっては、前記△M
Rに直接関与する固定磁性層の層は第2の固定磁性層で
あり、第1の固定磁性層は、前記第2の固定磁性層の磁
化を、一定方向に固定しておくためのいわば補助的な役
割を担っている。
【0079】仮に図11、12に示す第2の固定磁性層
(下)34,(上)41の磁化が互いに反対方向に固定
されているとすると、例えば第2の固定磁性層(上)4
1の固定磁化と、フリー磁性層36の変動磁化との関係
では抵抗が大きくなっても、第2の固定磁性層(下)3
4の固定磁化と、フリー磁性層36の変動磁化との関係
では抵抗が非常に小さくなってしまい、結局、デュアル
スピンバルブ型薄膜磁気素子における△MRは、図7や
図8に示すシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子の△M
Rよりも小さくなってしまう。
【0080】この問題は、本実施形態のように、固定磁
性層を非磁性中間層を介して2層に分断したデュアルス
ピンバルブ型薄膜磁気素子に限ったことではなく、他の
デュアルスピンバルブ型薄膜磁気素子であっても同じこ
とであり、シングルスピンバルブ型薄膜磁気素子に比ベ
△MRを大きくでき、大きな出力を得ることができるデ
ュアルスピンパルブ型薄膜磁気素子の特性を発揮させる
には、フリー磁性層の上下に形成される固定磁性層の磁
化を共に同じ方向に固定しておく必要がある。
【0081】ところで本実施形態では、図11、12に
示すように、フリー磁性層36よりも下側に形成された
固定磁性層は、第2の固定磁性層(下)34のMs・t
2の方が、第1の固定磁性層(下)32のMs・tP1
に比べて大きくなっており、Ms・tP2の大きい第2
の固定磁性層(下)34の磁化が図示Y方向に固定され
ている。前記第2の固定磁性層(下)34の磁化が図示
Y方向に固定されている。更に第2の固定磁性層34の
Ms・tP2と、第1の固定磁性層32のMs・tP1
を足し合わせた、いわゆる合成磁気モーメントは、Ms
・tP2の大きい第2の固定磁性層34の磁気モーメン
トに支配され、図示Y方向に向けられている。
【0082】一方、フリー磁性層36よりも上側に形成
された固定磁性層は、第1の固定磁性層(上)43のM
s・tP1の方が、第2の固定磁性層(上)41のMs
・tP2に比べて大きくなっており、Ms・tP1の大き
い第1の固定磁性層(上)43の磁化が図示Y方向と反
対方向に固定されている。第1の固定磁性層(上)43
のMs・tP1と、第2の固定磁性層(上)41のMs
・tP2とを足した、いわゆる合成磁気モーメントは、
第1の固定磁性層(上)43のMs・tP1に支配さ
れ、図示Y方向と反対方向に向けられている。
【0083】すなわち、図11、12に示すデュアルス
ピンバルブ型薄膜磁気素子では、フリー磁性層36の上
下で、第1の固定磁性層のMs・tP1と第2の固定磁
性層のMs・tP2を足して求めることができる合成磁
気モーメントの方向が反対方向になっているのである。
このためフリー磁性層36よりも下側で形成される図示
Y方向に向けられた合成磁気モーメントと、前記フリー
磁性層36よりも上側で形成される図示Y方向と反対方
向に向けられた合成磁気モーメントとが、図示左周りの
磁界を形成している。従って、前記合成磁気モーメント
によって形成される磁界により、第1の固定磁性層
(下)32,(上)43の磁化と第2の固定磁性層
(下)34,(上)41の磁化とがさらに安定したフェ
リ状態を保つことが可能である。
【0084】更に、センス電流114は、主に比抵抗の
小さい非磁性導電層35,39を中心にして流れ、セン
ス電流114を流すことにより右ネジの法則によってセ
ンス電流磁界が形成されることになるが、センス電流1
14を図11の方向に流すことにより、フリー磁性層3
6の下側に形成された第1の固定磁性層(下)32/非
磁性中間層(下)33/第2の固定磁性層(下)の場所
にセンス電流が作るセンス電流磁界の方向を、前記第1
の固定磁性層(下)32/非磁性中間層(下)33/第
2の固定磁性層(下)の合成磁気モーメントの方向と一
致させることができ、さらに、フリー磁性層36よりも
上側に形成された第1の固定磁性層(上)43/非磁性
中間層(上)42/第2の固定磁性層(上)41の場所
にセンス電流が作るセンス電流磁界を、前記第1の固定
磁性層(上)43/非磁性中間層(上)42/第2の固
定磁性層(上)41の合成磁気モーメントの方向と一致
させることができる。
【0085】センス電流磁界の方向と合成磁気モーメン
トの方向を一致させることのメリットに関しては後で詳
述するが、簡単に言えば、前記固定磁性層の熱的安定性
を高めることができることと、大きなセンス電流を流せ
ることができるので、再生出力を向上できるという、非
常に大きいメリットがある。センス電流磁界と合成磁気
モーメントの方向に関するこれらの関係は、フリー磁性
層36の上下に形成される固定磁性層の合成磁気モーメ
ントが図示左周りの磁界を形成しているからである。
【0086】通常、ハードディスク装置内の環境温度は
約200℃程度まで上昇し、さらに今後、記録媒体の回
転数や、センス電流の増大などによって、環境温度がさ
らに上昇する傾向にある。このように環境温度が上昇す
ると、交換結合磁界は低下するが、本実施形態によれ
ば、合成磁気モーメントで形成される磁界と、センス電
流磁界により、熱的にも安定して第1の固定磁性層
(下)32,(上)43の磁化と第2の固定磁性層
(下)34,(上)41の磁化とをフェリ状態に保つこ
とができる。
【0087】前述した合成磁気モーメントによる磁界の
形成、及び、合成磁気モーメントによる磁界とセンス電
流磁界との方向関係は、本発明特有の構成であり、フリ
ー磁性層の上下に単層で形成され、しかも同じ方向に向
けられ固定磁化された固定磁性層を有する従来のデュア
ルスピンバルブ型薄膜磁気素子では、得ることがでぎな
いものとなっている。
【0088】また本実施形態では、フリー磁性層36よ
りも下側に形成された第1の固定磁性層(下)32のM
s・tP1を、第2の固定磁性層34のMs・tP2より
も大きくし、且つ、前記フリー磁性層36よりも上側に
形成された第1の固定磁性層43のMs・tP1を第2
の固定磁性層41のMs・tP2よりも小さくしてもよ
い。この場合においても、第1の固定磁性層(下)3
2,(上)43の磁化を得たい方向、すなわち図示Y方
向あるいは図示Y方向と反対方向に5k(Oe)以上の
磁界を印加することによって、フリー磁性層36の上下
に形成された第2の固定磁性層(下)34,(上)41
を同じ方向に向けて固定でき、しかも図示右回りのある
いは左回りの合成磁気モーメントによる磁界を形成でき
る。
【0089】以上、図11、12に示したスピンバルブ
型薄膜磁気素子によれば、固定磁性層を非磁性中間層を
介して第1の固定磁性層と第2の固定磁性層との2層に
分断し、これら2層の固定磁性層問に発生する交換結合
磁界(RKKY相互作用)によって前記2層の固定磁性
層の磁化を反平行状態(フェリ状態)にすることによ
り、従来に比べて熱的にも安定した固定磁性層の磁化状
態を保つことができる。特に本実施形態では、反強磁性
層としてブロッキング温度が非常に高く、また第lの固
定磁性層との界面で大きい交換結合磁界(交換異方性磁
界)を発生するPtMn合金を使用することにより、第
1の固定磁性層と第2の固定磁性層との磁化状態を、よ
り熱的安定性に優れたものにできる。
【0090】さらに本実施形態では、反強磁性層として
PtMn合金など、第1の固定磁性層との界面で交換結
合磁界(交換異方性磁界)を発生させるために熱処理を
必要とする反強磁性材料を使用した場合に、第1の固定
磁性層のMs・tP1と第2の固定磁性層のMs・tP2
とを異なる値で形成し、さらに熱処理中の印加磁場の大
きさ及びその方向を適正に調節することによって、前記
第1の固定磁性層(及び第2の固定磁性層)の磁化を得
たい方向に磁化させることが可能である。
【0091】特に図11、12に示すデユアルスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子にあっては、第1の固定磁性層
(下)32,(上)43のMs・tP1と第2の固定磁
性層(下)34,(上)41のMs・tP2を適正に調
節し、さらに熱処理中の印加磁場の大きさ及びその方向
を適正に調節することによって、△MRに関与するフリ
ー磁性層36の上下に形成された2つの第2の固定磁性
層(下)34,(上)41の磁化を共に同じ方向に固定
でき、且つフリー磁性層36の上下に形成される合成磁
気モーメントを互いに反対方向に形成できることによっ
て、前記合成磁気モーメントによる磁界の形成、及び、
前記合成磁気モーメントによる磁界とセンス電流磁界と
の方向関係の形成ができ、固定磁性層の磁化の熱的安定
性をさらに向上させることが可能である。
【0092】なお、図12に示すように、下地膜10か
ら保護層29までの積層体S6の左右両側には、先の第
5実施形態の構造と同様に下地層130Aと軟磁性層1
30Bと副反強磁性層130Cと導電層131が形成さ
れており、前記軟磁性層130Bがフリー磁性層36に
縦バイアス磁界を印加することによって、フリー磁性層
36の磁化が図示X1方向に揃えられている。
【0093】図11、12における磁気抵抗効果型薄膜
磁気素子GMR6では、前記導電層からフリー磁性層3
6、非磁性導電層35、40及び第2の固定磁性層
(下)34、(上)41にセンス電流が与えられる。記
録媒体から図11、12に示す図示Y方向に磁界が与え
られると、フリー磁性層36の磁化は図示X1方向から
Y方向に変動し、このときの非磁性導電層35、40と
フリー磁性層36との界面、及び非磁性導電層35、4
0と第2の固定磁性層(下)34との界面でスピンに依
存した伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵抗が
変化し、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。その
際、軟磁性層130Bの誘導磁気異方性によりフリー磁
性層36が単磁区化されているので、バルクハウゼンノ
イズを生じない円滑な抵抗変化を選ることができる。
【0094】「第7実施形態」図13は、本発明の第7
実施形態の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子の構造を記録媒
体との対向面から見た場合の模式的構造断面図、図14
は図14に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子を記録媒体
との対向面から見た場合の構造を模式的に示す断面図で
ある。この実施形態の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子GM
R7においても図8〜図12に示す各スピンバルブ型薄
膜磁気素子と同様に、ハードディスク装置に設けられた
浮上式スライダのトレーリング側端部などに設けられ
て、ハードディスクなどの記録磁界を検出するものであ
る。なお、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方
向は図示Z方向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界の
方向はY方向である。 この第7実施形態の磁気抵抗効
果型薄膜磁気素子GMR7は、固定磁性層のみならず、
フリー磁性層も非磁性中間層を介して第1のフリー磁性
層と第2のフリー磁性層の2層に分断されている。
【0095】図13に示すように、下地膜50、反強磁
性層51、第1の固定磁性層52、非磁性中間層53、
第2の固定磁性層54、非磁性導電層55、第1のフリ
ー磁性層56、非磁性中間層59、第2のフリー磁性層
60、及び保護層61の順に積層されて積層体S7が構
成されている。前記各層を構成する材料は先の実施形態
のものと同等で良い。
【0096】第1の固定磁性層52及び第2の固定磁性
層54は、Co膜、NiFe合金、CoFe合金、ある
いはCoNiFe合金などで形成されている。また非磁
性中間層53は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cu
のうち1種あるいは2種以上の合金で形成されているこ
とが好ましい。さらに非磁性導電層55はCuなどで形
成されている。前記第1の固定磁性層52の磁化と第2
の固定磁性層54の磁化は、互いに反平行に磁化された
フェリ状態となっており、例えば第1の固定磁性層52
の磁化は図示Y方向に、第2の固定磁性層54の磁化は
図示Y方向と反対方向に固定されている。このフェリ状
態の安定性を保つためには、大きい交換結合磁界が必要
であり、本実施形態では、より大きな交換結合磁界を得
るために、以下に示す種々の、適正化を行っている。
【0097】図13に示す非磁性導電層55の上には、
第1のフリー磁性層56が形成されている。図13に示
すように前記第1のフリー磁性層56は2層で形成され
ており、非磁性導電層55に接する側にCo膜57が形
成されている。非磁性導電層55に接する側にCo膜5
7を形成するのは、第1に△MRを大きくできること
と、第2に非磁性導電層55との拡散を防止するためで
ある。前記Co膜57の上にはNiFe合金膜58が形
成されている。さらに前記NiFe合金膜58上には、
非磁性中間層59が形成されている。そして前記非磁性
中間層59の上には、第2のフリー磁性層60が形成さ
れ、さらに前記第2のフリー磁性層60上にはTaなど
で形成された保護層61が形成されている。前記第2の
フリー磁性層60は、Co膜、NiFe合金、CoFe
合金、あるいはCoNiFe合金などで形成されてい
る。
【0098】図14に示す下地膜50から保護層61ま
での積層体S8は、その側面が傾斜面に削られ、前記積
層体S8は断面台形状で形成されている。前記積層体S8
の両側には、先の構造と同様に下地層62Aと軟磁性層
62Bと副反強磁性層62Cと導電層63が形成されて
おり、前記軟磁性層62Bが図示X1方向に磁化されて
いることによって縦バイアス磁界がフリー磁性層60に
印加され、フリー磁性層60の磁化が図示X1方向に揃
えられている。
【0099】図14に示す第1のフリー磁性層56と第
2のフリー磁性層60の間には非磁性中間層59が介在
し、前記第1のフリー磁性層56と第2のフリー磁性層
60間に発生する交換結合磁界(RKKY相互作用)に
よって、前記第1のフリー磁性層56の磁化と第2のフ
リー磁性層60の磁化は互いに反平行状態(フェリ状
態)になっている。
【0100】図14に示すスピンバルブ型薄膜磁気素子
では、例えば第1のフリー磁性層56の膜厚tF1は、
第2のフリー磁性層60の膜厚tF2よりも小さく形成
されている。そして前記第1のフリー磁性層56のMs
・tF1は、第2のフリー磁性層60のMs・tF2より
も小さく設定されており、軟磁性層62Bから図示X1
方向にバイアス磁界が与えられると、Ms・tF2の大
きい第2のフリー磁性層60の磁化が前記バイアス磁界
の影響を受けて、図示X1方向に揃えられ、前記第2の
フリー磁性層60との交換結合磁界(RKKY相互作
用)によって、Ms・tF1の小さい第1のフリー磁性
層56の磁化は図示X1方向と反対方向に揃えられる。
【0101】図示Y方向から外部磁界が侵入してくる
と、前記第1のフリー磁性層56と第2のフリー磁性層
60の磁化はフェリ状態を保ちながら、前記外部磁界の
影響を受けて回転する。そして、△MRに奇与する第1
のフリー磁性層56の変動磁化と、第2の固定磁性層5
4の固定磁化(例えば図示Y方向と反対方向に磁化され
ている)との関係によって電気抵抗が変化し、外部磁界
が電気抵抗変化として検出される。その際、軟磁性層6
2Bの誘導磁気異方性によりフリー磁性層60に縦バイ
アス磁界が印加されているので、バルクハウゼンノイズ
を生じない円滑な抵抗変化を得ることができる。
【0102】また本実施形態では、第1のフリー磁性層
60との間に介在する非磁性中間層59は、Ru、R
h、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以
上の合金で形成されていることが好ましい。
【0103】「第8実施形態」図15は、本発明の第8
実施形態の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を模式図的に示
した横断面図、図16は図15に示す磁気抵抗効果型薄
膜磁気素子を記録媒体との対向面から見た場合の断面構
造を模式的に示す断面図である。この実施形態の磁気抵
抗効果型薄膜磁気素子GMR8は、図13、14に示す
スピンバルブ型薄膜磁気素子の積層の順番を逆にしたも
のである。即ち下から、下地膜70、第2のフリー磁性
層71、非磁性中間層72、第1のフリー磁性層73、
非磁性導電層76、第2の固定磁性層77、非磁性中間
層78、第1の固定磁性層79、反強磁性層80、及び
保護層81の順で積層されている。前記下地膜70及び
保護層81は例えばTaなどで形成されている。前記反
強磁性層80は、PtMn合金あるいは前述のX−Mn
合金で形成されていることが好ましい。
【0104】第1の固定磁性層79及び第2の固定磁性
層77は、Co膜、NiFe合金、CoFe合金、ある
いはCoNiFe合金などで形成されている。また非磁
性中問層78は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cu
のうち1種あるいは2種以上の合金で形成されているこ
とが好ましい。さらに非磁性導電層76はCuなどで形
成されている。
【0105】図15に示すスピンパルプ型薄膜磁気素子
では、フリー磁性層が2層に分断されて形成されてお
り、非磁性導電層76に接する側に第1のフリー磁性層
73が形成され、もう一方のフリー磁性層が、第2のフ
リー磁性層71となっている。図15に示すように第l
のフリー磁性層73は2層で形成されており、非磁性導
電層76に接する側に形成された層75はCo膜で形成
されている。また、非磁性中間層72に接する側に形成
された層74と、第2のフリー磁性層71は、例えばN
iFe合金、CoFe合金、あるいはCoNiFe合金
などで形成されていて、積層体S8が構成されている。
【0106】図16に示す下地膜70から保護層81ま
での積層体S8は、その側面が傾斜面に削られ、前記積
層体S8は断面台形状で形成されている。前記積層体S8
の傾斜部分の両側には、先の構造と同様に下地層82A
と軟磁性層82Bと副反強磁性層82Cと導電層83が
形成されており、前記軟磁性層82Bが図示X1方向に
磁化されていることによりバイアス磁界がフリー磁性層
73に作用され、フリー磁性層73の磁化が図示X1方
向に揃えられている。
【0107】図15、16に示す第1のフリー磁性層7
3と第2のフリー磁性層71の間には非磁性中間層72
が介在し、前記第1のフリー磁性層73と第2のフリー
磁性層71間に発生する交換結合磁界(RKKY相互作
用)によって、前記第1のフリー磁性層73の磁化と第
2のフリー磁性層71の磁化は反平行状態(フェリ状
態)となっている。図16に示すスピンバルブ型薄膜磁
気素子では、例えば第1のフリー磁性層73の膜厚tF
1は、第2のフリー磁性層71の膜厚tF2より大きく形
成されている。そして前記第1のフリー磁性層73のM
s・tF1は、第2のフリー磁性層71のMs・tF2
りも大きくなるように設定されており、軟磁性層82B
から図示X1方向にバイアス磁界が与えられると、Ms
・tF1の大きい第1のフリー磁性層73の磁化が前記
バイアス磁界の影響を受けて、図示X1方向に揃えら
れ、前記第1のフリー磁性層73との交換結合磁界(R
KKY相互作用)によってMs・tF2の小さい第2の
フリー磁性層71の磁化は図示X1方向と反対方向に揃
えられる。なお、本実施形態では、第1のフリー磁性層
73の膜厚tF1が、第2のフリー磁性層71の膜厚t
2よりも小さく形成され、前記第1のフリ一磁性層7
3のMS・tF1が第2のフリー磁性層71のMS・t
2よりも小さく設定されていてもよい。ただしその場
合、大きな膜厚とした第2のフリー磁性層71の磁化の
方向がX1方向に向き、小さな膜厚とした第1のフリー
磁性層73の磁化の方向がX1方向と反対方向となる。
【0108】図示Y方向から磁気記録媒体からの外部磁
界が侵入してくると、前記第1のフリー磁性層73と第
2のフリー磁性層71の磁化はフェリ状態を保ちなが
ら、前記外部磁界の影響を受けて回転する。そして△M
Rに奇与する第1のフリー磁性層73の磁化方向と、第
2の固定磁性層71の固定磁化との関係によって電気抵
抗が変化し、外部磁界の信号が検出される。その際、軟
磁性層82Bの作用させる縦バイアス磁界によりフリー
磁性層73が単磁区化されているので、バルクハウゼン
ノイズを生じない円滑な抵抗変化を得ることができる。
また本発明では、第1のフリー磁性層73と第2のフリ
ー磁性層71との間に介在する非磁性中間層72は、R
u、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは
2種以上の合金で形成されていることが好ましい。
【0109】第1のフリー磁性層73と第2のフリー磁
性層71との合成磁気モーメントの絶対値を、第1の固
定磁性層79と第2の固定磁性層77との合成磁気モー
メントの絶対値よりも大きくすることにより、前記第1
のフリー磁性層79と、第2のフリー磁性層77の磁化
が、第1の固定磁性層79と第2の固定磁性層77との
合成磁気モーメントの影響を受けにくくなり、前記第1
のフリー磁性層73及び第2のフリー磁性層71の磁化
が外部磁界に対して感度良く、回転し、出力を向上させ
ることが可能になる。
【0110】この第8実施形態の構造においても軟磁性
層82Bがフリー磁性層73に与える縦バイアス磁界の
作用によりフリー磁性層73の磁化の向きを揃えること
で、バルクハウゼンノイズの生じていない円滑な抵抗変
化を得ることができる。
【0111】「第9実施形態」図17は本発明の第9実
施形態の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子の構造を模式的に
表す横断面図であり、図18は図17に示す磁気抵抗効
果型薄膜磁気素子を、記録媒体との対向面側から見た断
面構造を模式的に示す断面図である。この実施形態の磁
気抵抗効果型薄膜磁気素子GMR9は、フリー磁性層を
中心にしてその上下に非磁性導電層、固定磁性層、及び
反強磁性層が積層されたデュアルスピンバルブ型薄膜磁
気素子であり、前記フリー磁性層、及び固定磁性層が、
非磁性中間層を介して2層に分断されて形成されてい
る。
【0112】図17、18に示す磁気抵抗効果型薄膜磁
気素子GMR9において最も下側に形成されている層
は、下地膜91であり、この下地膜91の上に反強磁性
層92、第1の固定磁性層(下)93、非磁性中間層9
4(下)、第2の固定磁性層(下)95、非磁性導電層
96、第2のフリー磁性層97、非磁性中間層100、
第1のフリー磁性層101、非磁性導電層104、第2
の固定磁性層(上)105、非磁性中間層(上)10
6、第1の固定磁性層(上)107、反強磁性層10
8、及び保護層109が形成されて積層体S9が形成さ
れている。そして、積層体S9の両側には下地膜110
Aと軟磁性層110Bと副反強磁性層110Cと導電層
111が積層されている。
【0113】まず各層の材質について説明する。反強磁
性層92,108は、先の実施形態においても用いたP
tMn合金あるいはX−Mn合金で形成されていること
が好ましい。第1の固定磁性層(下)93,(上)10
7、及び第2の固定磁性層(下)95,(上)105
は、Co膜、NiFe合金、CoFe合金、あるいはC
oNiFe合金などで形成されている。また第1の固定
磁性層(下)93,(上)107と第2の固定磁性層
(下)95,(上)105問に形成されている非磁性中
間層(下)94,(上)106及び第1のフリー磁性層
101と第2のフリー磁性層97間に形成されている非
磁性中間層100は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、
Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成されてい
ることが好ましい。さらに非磁性導電層96,104は
Cuなどで形成されている。
【0114】図17、18に示すように、第1のフリー
磁性層101及び第2のフリー磁性層97は2層で形成
されている。非磁性導電層96,104に接する側に形
成された第1のフリー磁性層101の層103及び第2
のフリー磁性層97の層98はCo膜で形成されてい
る。また、非磁性中間層100を介して形成されている
第1のフリー磁性層101の層102及び第2のフリー
磁性層97の層99は、例えば、NiFe合金、CoF
e合金、あるいはCoNiFe合金などで形成されてい
る。非磁性導電層96,104側に接する層98,10
3をCo膜で形成することにより、△MRを大きくで
き、しかも非磁性導電層96,104との拡散を防止す
ることができる。また、積層体S9の両側に積層されて
いる下地膜110Aと軟磁性層110Bと副反強磁性層
110Cと導電層111は、先の実施形態の下地膜82
Aと軟磁性層82Bと副反強磁性層82Cと導電層83
を形成する材料と各々同等のものが用いられている。
【0115】ところで、本実施形態では前述したよう
に、反強磁性層92,108としてPtMn合金など、
第1の固定磁性層(下)93,(上)107との界面で
交換結合磁界(交換異方性磁界)を発生させるために熱
処理を必要とする反強磁性材料を使用している。しか
し、フリー磁性層よりも下側に形成されている反強磁性
層92と第1の固定磁性層(下)93との界面では、金
属元素の拡散が発生しやすく熱拡散層が形成されやすく
なっているために、前記第1の固定磁性層(下)93と
して機能する磁気的な膜厚は実際の膜厚tP1よりも薄
くなっている。従ってフリー磁性層よりも上側の積層膜
で発生する交換結合磁界と、下側の積層膜から発生する
交換結合磁界をほぼ等しくするには、フリー磁性層より
も下側に形成されている(第1の固定磁性層(下)93
の膜厚tP1/第2の固定磁性層(下)95の膜厚t
2)が、フリー磁性層よりも上側に形成されている
(第1の固定磁性層(上)107の膜厚tP1/第2の
固定磁性層(上)105の膜厚tP2よりも大きい方が
好ましい。フリー磁性層よりも上側の積層膜から発生す
る交換結合磁界と、下側の積層膜から発生する交換結合
磁界とを等しくすることにより、前記交換結合磁界の製
造プロセス劣化が少なく、磁気へッドの信頼性を向上さ
せることができる。
【0116】ところで、図17、18に示すデュアルス
ピンバルブ型薄膜磁気素子においては、フリ一磁性層の
上下に形成されている第2の固定磁性層(下)95,
(上)105の磁化を互いに反対方向に向けておく必要
がある。これはフリー磁性層が第1のフリー磁性層10
1と第2のフリー磁性層97の2層に分断されて形成さ
れており、前記第1のフリー磁性層101の磁化と第2
のフリー磁性層97の磁化とが反平行になっているから
である。
【0117】例えば図17、18に示すように、第1の
フリー磁性層101の磁化が図示X1方向と反対方向に
磁化されているとすると、前記第1のフリー磁性層10
1との交換結合磁界(RKKY相互作用)によって、第
2のフリー磁性層97の磁化は、図示X1方向に磁化さ
れた状態となっている。前記第1のフリー磁性層101
及び第2のフリー磁性層97の磁化は、フェリ状態を保
ちながら、外部磁界の影響を受けて反転するようになっ
ている。本実施形態では、このように第1のフリー磁性
層101と第2のフリー磁性層97とがフェリ状態にな
るので、どちらか一方の磁気的膜厚MtFを他方よりも
大きくしておく必要がある。図18では第2のフリー磁
性層97の磁化をX1方向に向けるので、副反強磁性層
110Cと軟磁性層110Bとで与える縦バイアスによ
り第2のフリー磁性層97をX1方向に単磁区化する
と、第2のフリー磁性層97と第1のフリー磁性層10
1との交換結合磁界(RKKY相互作用)によって第1
のフリー磁性層101はX1方向と180゜反対の方向
に向いて磁気的に安定することとなる。
【0118】図17、18に示すデュアルスピンバルブ
型薄膜磁気素子にあっては、第1のフリー磁性層101
の磁化及び第2のフリー磁性層97の磁化は共に△MR
に関与する層となっており、前記第1のフリー磁性層1
01及び第2のフリー磁性層97の変動磁化と、第2の
固定磁性層(下)95,(上)105の固定磁化との関
係で電気抵抗が変化する。シングルスピンバルブ型薄膜
磁気素子に比べ大きい△MRを期待できるデユアルスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子としての機能を発揮させるに
は、第1のフリー磁性層101と第2の固定磁性層
(上)105との抵抗変化及び、第2のフリー磁性層9
7と第2の固定磁性層(下)95との抵抗変化が、共に
同じ変動を見せるように、前記第2の固定磁性層(下)
95,(上)105の磁化方向を制御する必要性があ
る。すなわち、第1のフリー磁性層101と第2の固定
磁性層(上)105との抵抗変化が最大になるとき、第
2のフリー磁性層97と第2の固定磁性層(下)95と
の抵抗変化も最大になるようにし、第1のフリー磁性層
101と第2の固定磁性層(上)105との抵抗変化が
最小になるとき、第2のフリー磁性層97と第2の固定
磁性層(下)95との抵抗変化も最小になるようにすれ
ばよいのである。
【0119】よって図17、18に示すデュアルスピン
バルブ型薄膜磁気素子では、第1のフリー磁性層101
と第2のフリー磁性層97の磁化が反平行に磁化されて
いるために、第2の固定磁性層(上)105の磁化と第
2の固定磁性層(下)95の磁化を互いに反対方向に磁
化する必要性がある。以上のようにして、フリー磁性層
の上下に形成された第2の固定磁性層(下)95,
(上)105を反対方向に磁化することで、従来のデュ
アルスピンバルブ型薄膜磁気素子と同程度の△MRを得
ることができる。
【0120】この第9実施形態の構造においても軟磁性
層110Bによりフリー磁性層97に縦バイアス磁界が
付加されてフリー磁性層97の磁化の向きが図18のX
1方向に向き易くなる。即ち、フリー磁性層97の磁気
異方性(異方性磁界)を好ましい範囲に調整することが
できる。
【0121】以上、図13から図18に示すスピンバル
ブ型薄膜磁気素子では、固定磁性層のみならず、フリー
磁性層も、非磁性中間層を介して第1のフリー磁性層と
第2のフリー磁性層の2層に分断し、この2層のフリー
磁性層の間に発生する交換結合磁界(RKKY相互作
用)によって前記2層のフリー磁性層の磁化を反平行状
態(フェリ状態)にすることにより、前記第1のフリー
磁性層と第2のフリー磁性層の磁化を、外部磁界に対し
て感度良く反転できるようにしている。
【0122】また本発明では、第1のフリー磁性層と第
2のフリー磁性層との膜厚比や、前記第1のフリー磁性
層と第2のフリー磁性層との間に介在する非磁性中間層
の膜厚、あるいは第1の固定磁性層と第2の固定磁性層
との膜厚比や、前記第1の固定磁性層と第2の固定磁性
層との間に介在する非磁性中間層の膜厚、及び反強磁性
層の膜厚などを適正な範囲内で形成することによって、
交換結合磁界を大きくすることができ、第1の固定磁性
層と第2の固定磁性層との磁化状態を固定磁化として、
第1のフリー磁性層と第2のフリー磁性層との磁化状態
を変動磁化として、熱的にも安定したフェリ状態に保つ
ことが可能であり、しかも従来と同程度の△MRを得る
ことが可能となっている。本発明では、さらにセンス電
流の方向を調節することで、第1の固定磁性層の磁化と
第2の固定磁性層の磁化との反平行状態(フェリ状態)
を、より熱的にも安定した状態に保つことが可能となっ
ている。
【0123】スピンバルブ型薄膜磁気素子では、反強磁
性層、固定磁性層、非磁性導電層、及びフリー磁性層か
ら成る積層膜の両側に導電層が形成されており、この導
電層からセンス電流が流される。前記センス電流は、比
抵抗の小さい前記非磁性導電層と、前記非磁性導電層と
固定磁性層との界面、及び非磁性導電層とフリー磁性層
との界面に主に流れる。本発明では、前記固定磁性層は
第lの固定磁性層と第2の固定磁性層とに分断されてお
り、前記センス電流は主に第2の固定磁性層と非磁性導
電層との界面に流れている。前記センス電流を流すと、
右ネジの法則によって、センス電流磁界が形成される。
本発明では前記センス電流磁界を第1の固定磁性層の磁
気モーメントと第2の固定磁性層の磁気モーメントを足
し合わせて求めることができる合成磁気モーメントの方
向と同じ方向になるように、前記センス電流の流す方向
を調節している。
【0124】「センス電流磁界の作用」次に、図7〜図
18に示す各実施形態の構造においてセンス電流磁界の
作用について説明する。図7、8に示すスピンバルブ型
薄膜磁気素子ては、非磁性導電層15の下側に第2の固
定磁性層14が形成されている。この場合にあっては、
第1の固定磁性層12及び第2の固定磁性層14のう
ち、磁気モーメントの大きい方の固定磁性層の磁化方向
に、センス電流磁界の方向を合わせる。
【0125】図7に示すように、前記第2の固定磁性層
14の磁気モーメントは第1の固定磁性層12の磁気モ
ーメントに比べて大きく、前記第2の固定磁性層14の
磁気モーメントは図示Y方向と反対方向(図示左方向)
に向いている。このため前記第1の固定磁性層12の磁
気モーメントと第2の固定磁性層14の磁気モーメント
とを足し合わせた合成磁気モーメントは、図示Y方向と
反対方向(図示左方向)に向いている。
【0126】前述のように、非磁性導電層15は第2の
固定磁性層14及び第1の固定磁性層12の上側に形成
されている。このため、主に前記非磁性導電層15を中
心にして流れるセンス電流112によって形成されるセ
ンス電流磁界は、前記非磁性導電層15よりも下側にお
いて図示左方向に向くように、前記センス電流112の
流す方向を制御すればよい。このようにすれば、第lの
固定磁性層12と第2の固定磁性層14との合成磁気モ
ーメントの方向と、前記センス電流磁界の方向とが一致
する。
【0127】図7に示すように前記センス電流112は
図示X1方向に流される。右ネジの法則により、センス
電流を流すことによって形成されるセンス電流磁界は、
紙面に対して図7の矢印に示すように右回りに形成され
る。従って、非磁性導電層15よりも下側の層には、図
示方向(図示Y方向と反対方向)のセンス電流磁界が印
加されることになり、このセンス電磁によって、第1の
合成磁気モーメントを補強する方向に作用し、第1の固
定磁性層12と第2の固定磁性層14間に作用する交換
結合磁界(RKKY相互作用)が増幅され、前記第1の
固定磁性層12の磁化と第2の固定磁性層14の磁化の
反平行状態をより熱的に安定させることが可能になる。
【0128】特にセンス電流を1mA流すと、約30
(Oe)程度のセンス電流磁界が発生し、また素子温度
が約15℃程度上昇することが判っている。さらに、記
録媒体の回転数は1000rpm程度まで速くなり、こ
の回転数の上昇により、スライダ摺動面の温度は約10
0℃まで上昇する。このため例えばセンス電流を10m
A流した場合、スピンバルブ型薄膜磁気素子の素子温度
は、約250℃程度まで上昇し、さらにセンス電流磁界
も300(Oe)と大きくなる。このような、非常に高
い環境温度下で、しかも大きなセンス電流が流れる場合
にあっては、第1の固定磁性層12の磁気モーメントと
第2の固定磁性層14とを足し合わせて求めることがで
きる合成磁気モーメントの方向と、センス電流磁界の方
向とが逆向きであると、第1の固定磁性層12の磁化と
第2の固定磁性層14の磁化との反平行状態が壊れ易く
なる。また、高い環境温度下でも耐え得るようにするに
は、センス電流磁界の方向の調節の他に、高いブロッキ
ング温度を有する反強磁性材料を反強磁性層11として
使用する必要があり、そのために本実施形態ではブロッ
キング温度が約400℃程度のPt−Mn合金を使用し
ている。
【0129】なお、図7に示す第1の固定磁性層12の
磁気モーメントと第2の固定磁性層14の磁気モーメン
トとで形成される合成磁気モーメントが図示とは逆に右
方向(図示Y方向)に向いている場合には、センス電流
を図示X1方向と反対方向に流し、センス電流磁界が紙
面に対し左回りに形成されるようにすればよい。
【0130】次に図9、10に示すスピンバルブ型薄膜
磁気素子のセンス電流方向について説明する。図9、1
0に示す構造では、非磁性導電層24の上側に第2の固
定磁性層25及び第1の固定磁性層27が形成されてい
る。図9に示すように、第1の固定磁性層27の磁気モ
ーメントの方が第2の固定磁性層25の磁気モーメント
よりも大きくなっており、また前記第1の固定磁性層2
7の磁気モーメントの方向は図示Y方向(図示右方向)
を向いている。このため前記第1の固定磁性層27の磁
気モーメントと第2の固定磁性層25の磁気モーメント
とを足し合わせた合成磁気モーメントは図9の図示右方
向(Y方向)を向いている。
【0131】図9に示すように、センス電流113は図
示X1方向に流される。右ネジの法則により、センス電
流113を流すことによって形成されるセンス電流磁界
は図10の矢印に示すように紙面に対して右回りに形成
される。非磁性導電層24より上側に第2の固定磁性層
25及び第1の固定磁性層27が形成されているので、
前記第2の固定磁性層25及び第1の固定磁性層27に
は、図示右方向(図示Y方向と反対方向)のセンス電流
磁界が侵入してくることになり、合成磁気モーメントの
方向と一致し、従って、第1の固定磁性層27の磁化と
第2の固定磁性層25の磁化との反平行状態は壊れ難く
なっている。
【0132】なお、前記合成磁気モーメントが図示のも
のとは逆に左方向(図示Y方向と反対方向)に向いてい
る場合には、センス電流113を図示X1方向と反対方
向に流し、前記センス電流113を流すことによって形
成されるセンス電流磁界を紙面に対し左回りに発生さ
せ、第1の固定磁性層27と第2の固定磁性層25の合
成磁気モーメントの向きと前記センス電流磁界の向きを
一致させる必要がある。
【0133】図11、12に示すスピンバルブ型薄膜磁
気素子は、フリー磁性層36の上下に第1の固定磁性層
(下)32,(上)43と第2の固定磁性層(下)3
4,(上)41が形成されたデュアルスピンバルブ型薄
膜磁気素子である。このデユアルスピンバルブ型薄膜磁
気素子では、フリー磁性層36の上下に形成される合成
磁気モーメントが互いに反対方向に向くように、前記第
1の固定磁性層(下)32,(上)43の磁気モーメン
トの方向及びその大きさと第2の固定磁性層(下)3
4,(上)41の磁気モーメントの方向及びその大きさ
を制御する必要がある。
【0134】図11に示すようにフリー磁性層36より
も下側に形成されている第2の固定磁性層(下)34の
磁気モーメントは、第1の固定磁性層(下)32の磁気
モーメントよりも大きく、また前記第2の固定磁性層
(下)34の磁気モーメントは図示右方向(図示Y方
向)を向いている。従って、前記第1の固定磁性層
(下)32の磁気モーメントと第2の固定磁性層(下)
34の磁気モーメントを足し合わせて求めることができ
る合成磁気モーメントは図示右方向(図示Y方向)を向
いている。またフリー磁性層36よりも上側に形成され
ている第1の固定磁性層(上)43の磁気モーメントは
第2の固定磁性層(上)41の磁気モーメントよりも大
きく、また前記第1の固定磁性層(上)43の磁気モー
メントは図示左方向(図示Y方向と反対方向)に向いて
いる。このため前記第1の固定磁性層(上)43の磁気
モーメントと第2の固定磁性層(上)41の磁気モーメ
ントを足し合わせて求めることができる合成磁気モーメ
ントは図示左方向(図示Y方向と反対方向)を向いてい
る。このように本発明ではフリー磁性層36の上下に形
成される合成磁気モーメントが互いに反対方向に向いて
いる。
【0135】本実施形態では図12に示すように、セン
ス電流114は図示X1方向と180゜反対方向(図1
1の紙面裏側から紙面表側に向かう方向)に流される。
これにより前記センス電流114を流すことによって形
成されるセンス電流磁界は図11の矢印で示すように紙
面に対し左回りに形成される。前記フリー磁性層36よ
りも下側で形成された合成磁気モーメントは図示右方向
(図示Y方向)に、フリー磁性層36よりも上側で形成
された今成磁気モーメントは図示左方向(図示Y方向と
反対方向)に向いているので、前記2つの合成磁気モー
メントの方向は、センス電流磁界の方向と一致しており
フリー磁性層36の下側に形成された第1の固定磁性層
(下)32の磁化と第2の固定磁性層(下)34の磁化
の反平行状態、及びフリー磁性層36の上側に形成され
た第1の固定磁性層(上)43の磁化と第2の固定磁性
層(上)41の磁化の反平行状態を、熱的にも安定した
状態で保つことが可能である。
【0136】なお、フリー磁性層36よりも下側に形成
された合成磁気モーメントが図示とは逆に左方向に向い
ており、フリー磁性層36よりも上側に形成された合成
磁気モーメントが図示とは逆に右側に向いている場合に
は、センス電流114を図示とは逆のX1方向に流し、
前記センス電流を流すことによって形成されるセンス電
流磁界の方向と、前記合成磁気モーメントの方向とを一
致させる必要がある。
【0137】また、図13及び図14では、フリー磁性
層が非磁性中問層を介して第1のフリー磁性層と第2の
フリー磁性層の2層に分断されて形成されたスピンバル
ブ型薄膜磁気素子の実施形態であるが、図13に示すス
ピンバルブ型薄膜磁気素子のように、非磁性導電層55
よりも下側に第1の固定磁性層52及び第2の固定磁性
層54が形成された場合にあっては、図7に示すスピン
バルブ型薄膜磁気素子の場合と同様のセンス電流方向の
制御を行えばよい。
【0138】また、図15に示すスピンバルブ型薄膜磁
気素子のように、非磁性導電層76よりも上側に第1の
固定磁性層79と第2の固定磁性層77が形成されてい
る場合にあっては、図9に示すスピンバルブ型薄膜磁気
素子の場合と同様のセンス電流方向の制御を行えばよ
い。
【0139】以上のように前述の各実施形態によれば、
センス電流を流すことによって形成されるセンス電流磁
界の方向と、第1の固定磁性層の磁気モーメントと第2
の固定磁性層の磁気モーメントを足し合わせることによ
って求めることができる合成磁気モーメントの方向とを
一致させることにより、前記第1の固定磁性層と第2の
固定磁性層間に作用する交換結合磁界(RKKY相互作
用)を増幅させ、前記第lの固定磁性層の磁化と第2の
固定磁性層の磁化の反平行状態(フェリ状態)を熱的に
安定した状態に保つことが可能である。特に本実施形態
では、より熱的安定性を向上させるために、反強磁性層
にPtMn合金などのブロッキング温度の高い反強磁性
材料を使用しており、これによって、環境温度が、従来
に比べて大幅に上昇しても、前記第1の固定磁性層の磁
化と第2の固定磁性層の磁化の反平行状態(フェリ状
態)を壊れ難くすることができる。
【0140】また高記録密度化に対応するためセンス電
流量を大きくして再生出力を大きくしようとすると、そ
れに従ってセンス電流磁界も大きくなるが、本発明の実
施形態では、前記センス電流磁界が、第1の固定磁性層
と第2の固定磁性層の間に働く交換結合磁界を増幅させ
る作用をもたらしているので、センス電流磁界の増大に
より、第1の固定磁性層と第2の固定磁性層の磁化状態
はより安定したものとなる。なおこのセンス電流方向の
制御は、反強磁性層にどのような反強磁性材料を使用し
た場合であっても適用でき、例えば反強磁性層と固定磁
性層(第1の固定磁性層)との界面で交換結合磁界(交
換異方性磁界)を発生させるために、熱処理が必要であ
るか、あるいは必要でないかを問わない。更に、図1、
5、6に示す実施形態のように固定磁性層が単層で形成
されていたシングルスピンバルブ型薄膜磁気素子の場合
てあっても、前述したセンス電流を流すことによって形
成されるセンス電流磁界の方向と、固定磁性層の磁化方
向とを一致させることにより、前記固定磁性層の磁化を
熱的に安定化させることが可能であるのは勿論である。
【0141】
【実施例】Siからなるウエハ基板上に、スパッタ装置
を用いて厚さ500Åのアルミナ層(Al23層)の下
地層を成膜した。
【0142】このウエハ基板上に、スパッタ装置を用い
てTaからなる厚さ50Åの下地膜を形成し、その上に
厚さ300ÅのPtMn膜からなる反強磁性層を形成
し、更に厚さ25ÅのCo膜からなる固定磁性層を形成
し、厚さ25ÅのCu膜からなる非磁性導電層を形成
し、厚さ10ÅのCo膜と厚さ50ÅのNiFe膜から
なるフリー磁性層を形成し、更に、その上に厚さ50Å
のTaからなる保護層を形成し、全体をトラック幅に相
当する幅にイオンミリング加工を施して断面台形状の積
層体を得た。このように形成された積層体の積層構造を
略記すると、(Si/Al23/Ta層50Å/PtM
n層300Å/Co層25Å/Cu層25Å/Co層1
0Å/NiFe層50Å/Ta層50Å)で示される積
層体構造となる。なお、PtMnの反強磁性層と固定磁
性層の交換結合を素子高さ方向(図1においてY方向)
に得るために、素子高さ方向に約1 kOeの磁場を印
加しながら約240℃、4時間のアニールを行った。こ
の処理により反強磁性層は不規則構造から規則構造に変
態し、交換異方性磁界が作用して固定磁性層の磁化の向
きがピン止めされた。
【0143】次に、この積層体の両側にTaからなる厚
さ50Åの下地層を形成し、NiFe合金の厚さ100
Åの軟磁性層を形成し、更にRuMnからなる厚さ10
0Åの副反強磁性層とCuからなる厚さ500Åの導電
層を積層して磁気抵抗効果型薄膜磁気素子(ボトム型の
スピンバルブ素子)を得た。なお、副反強磁性層を成膜
する場合、積層体のトラック幅方向に約300(Oe)
の磁場を印加しながら、約200℃に加熱するアニール
処理を施して副反強磁性層から軟磁性層を介してフリー
磁性層に縦バイアスを付与し、磁気抵抗効果型薄膜磁気
素子を得た。ここで、アニール時の磁場の強さを300
(Oe)としたのは、先の工程でアニール処理した固定
磁性層の異方性磁界に悪影響を及ぼさないようにするた
めである。
【0144】図19は、前述のように製造された(Si
基板/Al23層/Ta層50Å/PtMn層300Å
/Co層25Å/Cu層25Å/Co層10Å/NiF
e層50Å/Ta層50Å)で示されるボトム型の磁気
抵抗効果型薄膜磁気素子のR−Hカーブを示す。図19
に示すように優れた巨大磁気抵抗変化を示す薄膜素子を
得ることができた。この磁気抵抗効果型薄膜磁気素子に
おいてHbf(フリー層のバイアス磁界:フリー磁性層が
磁化反転を開始する磁界)の値は8 Oe、Hex(交換
異方性磁界)の値は950 Oeである。
【0145】
【発明の効果】以上説明したように本発明の巨大磁気抵
抗効果型薄膜磁気素子に対し、導電層からフリー磁性
層、非磁性導電層、及び固定磁性層にセンス電流を与え
た状態において、記録媒体から漏れ磁界が与えられる
と、フリー磁性層の磁化は変動し、このときの非磁性導
電層とフリー磁性層との界面、及び非磁性導電層と固定
磁性層との界面でスピンに依存した伝導電子の散乱が起
こることにより、電気抵抗が変化し、記録媒体からの洩
れ磁界を検出できる。この際、固定磁性層の磁化の向き
は反強磁性層による異方性磁界により固定されている
が、フリー磁性層の磁化の向きは回転できるので、磁気
記録媒体からの漏れ磁界が作用した状態になることでフ
リー磁性層の磁化の向きが回転する結果として、磁気抵
抗変化が起こる。そして、この際、軟磁性層を介して副
反強磁性層から受けている異方性磁界の影響で一方向異
方性が付与されたフリー磁性層であるならば、バルクハ
ウゼンノイズの生じないスムーズな抵抗変化が得られ易
くなる。
【0146】次に、従来構造においてハードバイアス層
を設けた構造においてはハードバイアス層による磁化に
よってトラック幅領域内のフリー磁性層両端部に不感領
域を生じてしまい、狭トラック化の障害となっていた
が、副反強磁性層と軟磁性層を用いたバイアス磁界付加
機構にあっては、フリー磁性層にこのような不感領域は
ほとんど生じないので本発明構造を採用することでより
狭トラック化に対応することができる特徴を有する。そ
して、前記巨大磁気抵抗効果型薄膜素子は、フリー磁性
層の厚さ方向両側に各々非磁性導電層と固定磁性層と反
強磁性層を設けたデュアル型であっても、固定磁性層と
フリー磁性層の少なくとも一方を2層に分断した構造で
あっても本願発明構造を採用することができる。
【0147】また、従来の如く熱処理の必要なNiMn
合金を縦バイアス磁界印加用として用い、FeMn合金
層の反強磁性層をピン止め用として設けた構造において
は、NiMnのブロッキング温度が400℃近傍でFe
Mn合金のブロッキング温度が150℃程度と低いの
で、縦バイアス磁界用のNiMn合金層を熱処理する際
にピン止め用のFeMn合金層の磁化にも悪影響を与え
てしまう問題があるが、本願発明構造であるならば、縦
バイアス磁界印加用の副反強磁性層に対する各処理が反
強磁性層に悪影響を及ぼすおそれはない。即ち、副反強
磁性層が高温の熱処理を要することなく、成膜のままで
軟磁性層に一方向交換結合を生じさせるものであるの
で、巨大磁気抵抗効果型薄膜磁気素子に設けられている
反強磁性層に悪影響を及ぼすことがない。更に、FeM
n合金は耐食性に劣るが、本願発明で用いるX−Mn
系、Pt−X−Mn系合金であるならば、FeMnより
も耐食性に優れているので、耐環境性にも優れた薄膜磁
気ヘッドを提供できる。
【0148】一方、以上説明したように本発明の製造方
法にあっては、巨大磁気抵抗効果型薄膜素子を製造する
際に、反強磁性層を熱処理して一度固定磁性層の磁化の
向きをピン止めした後に、反強磁性層の異方性磁界に影
響を及ぼさないようにして副反強磁性層を形成すること
ができる利点があり、この利点は本願発明製造方法に特
有の効果であり、従来技術においては実現できない特徴
である。従って、反強磁性層と固定磁性層と非磁性導電
層とフリー磁性層とを備え、それらの両側に縦バイアス
印加用の軟磁性層と副反強磁性層を設ける構造を製造す
る場合であっても、反強磁性層と固定磁性層の一方向性
交換結合を得るための熱処理後に軟磁性層と副反強磁性
層とを成膜するだけの方法で、反強磁性層と固定磁性層
の一方向性交換結合に悪影響を及ぼすことなく副反強磁
性層と軟磁性層によってフリー磁性層に確実に縦バイア
ス磁界を印加することができるようになる効果がある。
また、従来構造においてハードバイアス層を設けた構造
においてはハードバイアス層による磁化によってトラッ
ク幅領域内のフリー磁性層両端部に不感領域を生じて狭
トラック化の障害となっていたが、本発明の製造方法で
得られる副反強磁性層と軟磁性層を用いたバイアス磁界
付加機構ではフリー磁性層にこのような不感領域は生じ
ないので狭トラック化に容易に対応することができる巨
大磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1実施形態の薄膜磁気ヘッド
に設けられる巨大磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断
面図。
【図2】 図1に示す巨大磁気抵抗効果型薄膜磁気素子
を備えた薄膜磁気ヘッドの一例を示す斜視図。
【図3】 図2に示す薄膜磁気ヘッドの断面図。
【図4】 図2に示す薄膜磁気ヘッドの要部を断面とし
た斜視図。
【図5】 本発明に係る第2実施形態の薄膜磁気ヘッド
に設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断面
図。
【図6】 本発明に係る第3実施形態の薄膜磁気ヘッド
に設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断面
図。
【図7】 本発明に係る第4実施形態の薄膜磁気ヘッド
に設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断面
図。
【図8】 本発明に係る第4実施形態の薄膜磁気ヘッド
に設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を他の方向か
ら見た断面図。
【図9】 本発明に係る第5実施形態の薄膜磁気ヘッド
に設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断面
図。
【図10】 本発明に係る第5実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を他の方向
から見た断面図。
【図11】 本発明に係る第6実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断面
図。
【図12】 本発明に係る第6実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を他の方向
から見た断面図。
【図13】 本発明に係る第7実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断面
図。
【図14】 本発明に係る第7実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を他の方向
から見た断面図。
【図15】 本発明に係る第8実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断面
図。
【図16】 本発明に係る第8実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を他の方向
から見た断面図。
【図17】 本発明に係る第9実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を示す断面
図。
【図18】 本発明に係る第9実施形態の薄膜磁気ヘッ
ドに設けられる磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を他の方向
から見た断面図。
【図19】 本発明の構造を採用して得られた巨大磁気
抵抗効果型薄膜磁気素子のR−Hカーブを示す図。
【図20】 従来のスピンバルブ型の巨大磁気抵抗効果
薄膜磁気素子の一例を示す図。
【図21】 従来のスピンバルブ型の巨大磁気抵抗効果
薄膜磁気素子の他の例を示す図。
【符号の説明】
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9・・・積層
体、GMR1、GMR2、GMR3、GMR4、GMR5、
GMR6、GMR7、GMR8、GMR9・・・磁気抵抗効果
型薄膜磁気素子、2、11、28、31、44、51、
80、92、108・・・反強磁性層、3、12、27、
32、34、41、43、52、79、93、95、1
05、107・・・固定磁性層、4、15、24、35、
40、55、76、96、104・・・非磁性導電層、
5、16、21、36、56、60、71、73、9
7、101・・・フリー磁性層、6B、62B、82B、
110B、130B・・・軟磁性層、6C、62C、82
C、110C、130C・・・副反強磁性層、14、2
5、54、77・・・第2の固定磁性層、8、63、8
3、111、131・・・導電層。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反強磁性層と、この反強磁性層に接して
    形成されてこの反強磁性層による交換結合磁界により一
    定方向に磁化が固定された固定磁性層と、前記固定磁性
    層に非磁性導電層を介し形成されて前記固定磁性層の磁
    化方向と交差する方向に磁化が揃えられたフリー磁性層
    とを具備してなる積層体を有し、この積層体の両側に積
    層体を挟んで設けられた軟磁性層とこの軟磁性層に積層
    されて該軟磁性層に一方向性交換結合を生じさせ前記フ
    リー磁性層にバイアス磁界を作用させる副反強磁性層と
    導電層とを有して構成された磁気抵抗効果型薄膜素子を
    磁気情報の読出素子として備え、 前記反強磁性層が熱処理により一方向性交換結合を示し
    て固定磁性層の磁化を固定するものであり、前記副反強
    磁性層が熱処理を要することなく成膜のままで一方向性
    交換結合を生じるものであることを特徴とする磁気抵抗
    効果型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記磁気抵抗効果型薄膜磁気素子が、前
    記フリー磁性層の厚さ方向両側に各々非磁性導電層と固
    定磁性層と反強磁性層が形成されたデュアル型構造とさ
    れてなることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効
    果型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記固定磁性層とフリー磁性層の少なく
    とも一方が非磁性層を介して2つに分断され、分断され
    た層どうしで磁化の向きが180゜異なるフェリ磁性状
    態とされてなることを特徴とする請求項1または2のい
    ずれかに記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を備えた薄
    膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記反強磁性層が、成膜後の熱処理によ
    り不規則構造から規則構造に変換されて一方向性交換結
    合を示すものとされたことを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を備えた
    薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記反強磁性層が、X−Mn合金、Pt
    −Mn−X’合金(ただし、前記組成式において、Xは
    Pt,Pd,Ir,Rh,Ruの中から選択される1種を示
    し、X’はPd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Cr,Ni
    の中から選択される1種または2種以上を示す。)のい
    ずれかからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁
    気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記副反強磁性層がX''-Mn合金(た
    だし前記X''はRu、Rh、Ir、Pd、Ptの内のい
    ずれか1種以上を示す。)からなることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気
    素子を備えた薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記積層体と前記軟磁性層との間に非磁
    性導電体からなる下地層が形成されてなることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の磁気抵抗効果型薄
    膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 不規則構造の反強磁性層と固定磁性層と
    非磁性導電層とフリー磁性層とを具備する積層体を形成
    するとともに、前記反強磁性層に熱処理を施して不規則
    構造の反強磁性層を規則構造の反強磁性層に変態させて
    反強磁性層による交換結合磁界により固定磁性層の磁化
    を一定方向に固定し、この後に積層体の両側に軟磁性層
    と副反強磁性層と導電層を形成し、前記副反強磁性層の
    一方向性交換結合により軟磁性層を介してフリー磁性層
    の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交差する方向
    に揃えることを特徴とする磁気抵抗効果型薄膜磁気素子
    を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記熱処理を施す際にハイト方向(素子
    高さ方向)に磁場を印加することを特徴とする請求項8
    に記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気
    ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記副反強磁性層に副反強磁性層のブ
    ロッキング温度よりも低い温度で副反強磁性層の構造を
    変態させない熱処理を施すことを特徴とする請求項8ま
    たは9に記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子を備えた薄
    膜磁気ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記副反強磁性層を成膜する際にトラ
    ック幅方向に磁場を印加することを特徴とする請求項8
    〜10のいずれかに記載の磁気抵抗効果型薄膜磁気素子
    を備えた薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記副反強磁性層に前記反強磁性層の
    ブロッキング温度より低く、副反強磁性層のブロッキン
    グ温度よりも高い温度で副反強磁性層の構造を変態させ
    ない熱処理を施すことを特徴とする請求項8または請求
    項9に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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