JP4329126B2 - 炊飯器 - Google Patents

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Description

本発明は、一般家庭および家庭用の炊飯器に関する。
一般に、この種の炊飯器は、容器である内釜を本体に収納自在とし、炊飯を行なうものが例えば特許文献1などで知られている。この特許文献1では、本体の上部に内釜を覆う蓋が設けられており、蓋は本体に対し軸支され開閉自在とする構造になっている。さらに、この蓋には、内釜に対向して配置される内蓋などが設けられる。被炊飯物を収容する内釜には加熱手段が設けられており、この加熱手段を加熱制御手段が制御することによって、炊飯後に保温を行なう構成となっている。
近年の炊飯器は、所定時間に炊き上げる予約炊飯コースを加熱制御手段が実行できるようになっており、予め米と水を入れた内釜を本体に収容し、炊きあがり時刻を設定して予約炊飯を行なうことで、好みの時間に炊き立てのご飯が食べられるという利点があった。また炊飯後の保温工程においては、雑菌の増殖による内釜内のご飯の腐敗を抑えるために、保温温度を約73℃に設定していた。
特開2000−70129号公報
しかし、上述した従来の炊飯器の構造では、次のような問題点があった。
前述の予約炊飯コースを備えた炊飯器では、炊飯工程開始までの予約炊飯待機中には、内釜内の被炊飯物が常圧,室温下に置かれるため、予約炊飯待機が長時間になる場合は、内釜内では雑菌の増殖や、米・水の腐敗などが起こることが考えられ、炊上がりのご飯の美味しさが損なわれる可能性がある。
また、保温工程ではメイラード反応によるご飯の黄ばみや、酸化による保温臭を抑えることが難しく、これを解決する方法として、内釜内に蒸気を投入したり、保温温度を下げたりすることが行なわれてきた。しかし、蒸気を投入する場合は、ご飯の表面だけに限られてしまい、ご飯全体に蒸気を行き渡らせることが難しかった。また、保温温度を下げる場合は、黄ばみをある程度は抑えることができるものの、雑菌が増殖し腐敗などが起こる問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み、容器内での雑菌の増殖や被炊飯物の腐敗を効果的に抑え、食味のよいご飯を得ることができる炊飯器を提供することを、その目的とする。
本発明の請求項1における炊飯器では、例えばひたしなどの炊飯待機時や、炊飯完了後の保温工程で、例えば保温が安定するまでの一定時間を経過すると、容器内を所定圧よりも低くする。これにより、雑菌の増殖による容器内の被炊飯物の腐敗を抑え、また酸化による臭いを抑制して、ご飯の劣化を防止することができる。
また、容器内の減圧時に内蓋と容器との気密性を向上することができ、雑菌の好気的活動をより抑えることが可能になる。
本発明の請求項2における炊飯器では、容器に対してだけでなく、被炊飯物の表面に対向する内蓋を、必要に応じて加熱制御することができるので、保温時において被炊飯物全体の保温温度を通常よりも下げて、メイラード反応を抑えることが可能になると共に、逆に保温温度の下げ過ぎによる雑菌の増殖を抑えることができる。
本発明の請求項3における炊飯器では、所定状態になると、容器内を異なる圧力の状態に繰返し可変させることで、容器内に充満している蒸気を浸透効果でご飯に染み込ませ、ご飯の乾燥を抑えることができる。
本発明の請求項4における炊飯器では、内蓋を蓋に装着した時に、減圧用のポンプに連通する経路が形成されるようになっており、これにより蓋から内蓋単体を取り外して、当該内蓋を洗うことができ、内蓋を清潔に保つことができる。
本発明の請求項における炊飯器では、選択したメニューに応じて、最適な圧力制御を容器内に行なうことができる。
本発明の請求項1における炊飯器によれば、容器内での雑菌の増殖や被炊飯物の腐敗を効果的に抑え、食味のよいご飯を得ることができる。
また、容器内の減圧時に内蓋と容器との機密性を向上ことができ、雑菌の好気的活動をより抑えることが可能になる。
本発明の請求項2における炊飯器によれば、容器内全体を必要に応じて加熱することができる。
本発明の請求項3における炊飯器によれば、容器内に充満している蒸気を浸透効果でご飯に染み込ませ、ご飯の乾燥を抑えることができる。
本発明の請求項4における炊飯器によれば、蓋から内蓋単体を取り外して、当該内蓋を洗うことができ、内蓋を清潔に保つことができる。
本発明の請求項における炊飯器によれば、選択したメニューに応じて、最適な圧力制御を容器内に行なうことができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
まず、図1に基づき、本発明の一例である炊飯器の構成について説明する。同図において、1は炊飯器の外郭をなす本体で、この本体1は、その上面と上側面を構成する上枠2と、側面を構成するほぼ筒状の外枠3とにより形成され、外枠3の底部開口を覆う底板4が設けられている。そして、上枠2や底板4は、PP(ポリプロピレン)などの合成樹脂で形成される一方で、外枠3は清掃性や外観品位を向上させるために、例えばステンレスなどの金属部材で形成される。また、上枠2の上面内周部から一体に垂下させて形成されるほぼ筒状の鍋収容部6と、この鍋収容部6の下面開口を覆って設けられ、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂で形成される内枠8とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体9が形成される。
前記鍋収容体9内には、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の鍋11が着脱自在に収容される。内釜に相当する鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。鍋11の側面中央から上部に発熱体13を設けないのは、鍋11の軽量化を図るためである。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成されている。なお、鍋収容部6の外周には加熱手段を設けない構成となっている。
前記内枠8は、鍋11の発熱体13に対向して位置しているが、この内枠8の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって鍋11の発熱体13が発熱し、鍋11ひいては鍋11内の水や米などの被炊飯物が加熱されるようになっている。
また、内枠8の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、鍋温度検出手段としての温度センサ21が配置され、鍋11の温度を検知し、加熱コイル16による鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
前記鍋収容体9の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ26が、鍋11のフランジ部14の下側に位置して円環状に配置されている。このコードヒータ26は電熱式ヒータからなり、鍋収容体9の上端に載置するようにして取り付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング27上に保持されると共に、コードヒータ26を上から覆うようにしてヒータリング27に取り付けられ、かつ熱伝導性に優れた例えばアルミ板からなる固定金具と放熱部とを兼用する金属板29を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板29は、炊飯器本体1と蓋体31との隙間に対向して位置している。そして、前記金属板29の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が本体1の上枠2に吊られた状態で、鍋収容体9内に収容されるようになっている。したがって、鍋11とこの鍋11が収容された鍋収容体9の上端との間における隙間がほとんどない構成になる。しかも、鍋11のフランジ部14は、外形がコードヒータ26と同等以上の大きさに形成されており、これにより、コードヒータ26が鍋11のフランジ部14で上から覆われるようになっている。但し、図示していないが、鍋11の持ち手部(フランジ部14)は非接触にし、部分的に隙間を形成することで、鍋11の外面に水が付着した状態で炊飯したときに、当該隙間から蒸気が排出されるようにしてある。
蓋体31は、その上面外殻を形成する例えばプラスチック製の外蓋32と、蓋体31の内面である下面を形成する放熱板34と、外蓋32および放熱板34を結合させて蓋体31の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー35とを主たる構成要素としている。外蓋カバー35に設けられる放熱板34は金属製であり、例えば、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした材料からなっている。また、前記蓋体31の内部にあって、放熱板34の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ36が設けられている。この蓋ヒータ36は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
前記本体1を構成する上枠2の後方には、蓋体31と連結するヒンジ部38が設けられる。このヒンジ部38には、炊飯器の正面から見て左右方向に一対の孔(図示せず)が設けられていると共に、ねじりコイルバネなどで形成したヒンジバネ40が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー35の後方にも、前記ヒンジ部38に設けた孔と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔(図示せず)が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部38の孔39に共通して、棒状のヒンジシャフト41を挿通することで、本体1と蓋体31がヒンジシャフト41を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ40の一端と他端が、外蓋カバー35と外枠2にそれぞれ引掛けられることで、蓋体31は常時開方向に付勢されている。
蓋体31の前方上面には、蓋開ボタン46が露出状態で配設されており、この付勢力に抗して蓋開ボタン46を押すと、蓋体31と本体1との係合が解除され、ヒンジバネ40によって蓋体31が自動的に開く構成となっている。また、蓋開ボタン46の下側には、クランプシャフト(図示せず)を中心に回転するクランプ(図示せず)の基端部が設けられる。蓋体31の内部には、前記クランプの基端部を蓋開ボタン46側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段(図示せず)が設けられており、これにより蓋開ボタン46を常時上方に押し上げようとする力が作用する。
一方、上枠2に設けたヒンジ部38の略反対側に位置して、当該上枠2の前方には本体クランプ部としてのクランプ受け(図示せず)が配設されており、蓋体31を本体1側に閉じようとすると、クランプがクランプシャフトを中心軸として回転し、当該クランプ受けに係合することで、本体1に対し蓋体31を閉状態に保持するようになっている。
55は、放熱板34の外側すなわち下側に設けられる内蓋体としての内蓋組立体である。この内蓋組立体55は、鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の内蓋56と、鍋11と内蓋56との間をシールするために、当該内蓋56の外縁上部全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなるシール部材としての蓋パッキン57と、内釜の内圧力を調整する調圧部58とを備えている。環状に形成された蓋パッキン57は、蓋体31を閉じた時(蓋閉時)に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋56との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。また、前記内蓋56の外周部には、内蓋組立体55を蓋体31に装着したときにのみ、前記クランプ付勢手段の弾性力をクランプに作用させるフック部(図示せず)を形成したパッキンベース59が固定されており、パッキンベース59と内蓋56とにより挟まれて蓋パッキン57が固定されている。これにより、内蓋56と蓋パッキン57はパッキンベース59で一体化され、内蓋組立体55が蓋体31の下面から着脱可能に設けられることにより、炊飯毎に内蓋組立体55を単体で洗うことが可能になる。
前記放熱板34には、蓋体31の特に内蓋56の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ51による内蓋56の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ61が設けられていている。また、蓋体31の上面後方寄り部には、蓋体31の上面側から着脱可能な蒸気口(図示せず)が設けられる。蒸気口と前記調圧部58は蓋体31の内部で連通しており、これらの蒸気口や調圧部58により、鍋11内で発生した蒸気を外部へ放出するための蒸気排出機構が形成される。
前記調圧部58は、調圧用の調圧弁65と、調圧弁65を保持する調圧弁ホルダー66と、調圧弁65を覆うドーム状の調圧弁カバー67とにより構成される。調圧弁65は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレスからなるボールであってもよい。調圧弁ホルダー66は、球状の調圧弁65を載置する台座部69と、調圧弁65の下方に配置され、鍋11と連通してこの鍋11内の蒸気を排気する第1の連通孔としての連通孔70とを有する。連通孔70は、鍋11と内蓋56とを連通させるためのもので、この連通孔70を通過する蒸気が、蒸気口から外部に放出されるようになっている。また、調圧弁65は台座部69に載置された状態で、連通孔70を塞ぐようになっており、連通孔70の開口面積と調圧弁65の重量とにより、鍋11内の圧力を調整することができる。さらに調圧弁カバー67は、調圧弁65の移動範囲を規制するためのもので、連通孔70から放出する蒸気を蒸気口に導く複数の孔(図示せず)が設けられている。
前記内蓋組立体55には、その他に鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると、ばねに抗して弁体75を押し上げ、孔76を開放して鍋11の内圧を下げる安全弁77が設けられる。調圧部58および安全弁77は、内蓋56を外蓋カバー35の下側に取付けたときに、蒸気口の入口側に臨んで設けられる。
78は、蓋体31の内部に設けられ、前記調圧弁65を動かして蓋体31の密閉度すなわち鍋11の内圧を調節するソレノイドである。本実施例では、ソレノイド78の非通電状態において、その先端部を進出位置に保持し、調圧弁65を連通孔70から退避する一方で、通電状態において当該先端部を退避させて、調圧弁65を連通孔70に自重で転動させ、連通孔70を塞いで鍋11内に圧力を投入するものである。
81は、蓋体31を本体1に閉じた状態で、鍋11内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段81は、本体1の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプ82と、この減圧ポンプ82から本体1および蓋体31を経て、内蓋56に設けた孔83に至る管状の経路84と、経路84の途中に接続する分岐路85と、当該分岐路85の終端に取り付けられた圧力検出手段としての圧力センサ86とにより構成される。また、蓋体31の内部に位置する分岐路85の基端部には、当該分岐路85を開閉する開閉手段としての電磁弁87と、この電磁弁87を収容する弁収容体88が設けられる。弁収容体88の一側には、前記分岐路85の基端が接続されると共に、弁収容体88の他側には、前記内蓋56の孔83の周囲に向けて放熱板34から下方に突出した筒状の減圧パッキン89が接続される。
そして、内蓋56を含む内蓋組立体55を蓋体31の下面に装着すると、減圧パッキン89が弾性変形しながら内蓋56の上面に密閉当接し、これにより孔83と減圧ポンプ82とを連通する経路84が形成される。また、内蓋組立体55を装着した状態で蓋体31を閉じると、蓋パッキン57が鍋11に密着して、調圧弁65が連通孔70を塞いでいれば、密閉した鍋11と電磁ポンプ82との間が経路84により連通する。この状態から減圧ポンプ82を起動させると、電磁弁87ひいては経路84が開放して、鍋11内の空気が経路84および減圧ポンプ82を通って本体1の外部に排出され、密閉した鍋11内の圧力が低下する。鍋11内の圧力は、圧力センサ86により監視されており、鍋11内の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合に、電磁弁87ひいては経路84を閉塞して、鍋11内を減圧状態に保っている。さらに、スローリークにより鍋11内の圧力が上昇した場合にも、同様に圧力センサ86がこれを検知して、電磁弁87ひいては経路84を開放し、減圧ポンプ82を起動させて、鍋11内を大気圧よりも低い状態に維持している。
また、内蓋56を含む内蓋組立体55は、鍋11内の圧力に応じてその位置が異なるように、蓋体31に対して上下動可能に設けられている。すなわち、図2に示す炊飯時には、鍋11内がほぼ大気圧若しくは大気圧以上となっているので、内蓋組立体55が蓋体31の下面側に近づく方向に上昇するが、図3に示す真空減圧時には、鍋11内が減圧状態になっていて、内蓋組立体55が蓋体31の下面側から離れる方向に下降し、鍋11のフランジ部14に対する蓋パッキン57の押し付け力が増加して、鍋11と内蓋組立体55との密閉度が高まるようになっている。
なお、本実施例では減圧ポンプ82が本体1の内部に設けられ、経路84が蓋体31からヒンジ部38を通って本体1に延びているが、減圧ポンプ82を蓋体31の内部に取付けた場合は、経路84を本体1に延ばす必要はない。つまり、内蓋56の孔83に連通する経路84は、少なくとも蓋体31に設けられていて、場合によっては本体1に延びて設けられている。
再度図1に戻り、前記本体1の前部には操作パネル101が設けられている。この操作パネル101の内側には、時間や選択したメニューを表示するLCD102や、他にいずれも図示しないが、現在の工程を表示するLEDや、炊飯を開始させたり、メニューを選択させたりする操作スイッチ103(図4参照)の他に、鍋11内の真空状態を選択する真空選択スイッチなどを配置した基板が配設される。操作パネル101にはボタン名などが表示され、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル101を蓋体31の正面側に設けてもよい。
111は、本体1の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段111は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子(図示せず)を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器112に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン113から発する風を放熱器112に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。
冷却ファン113は、加熱制御手段111に取り付けられた放熱器112の下方、若しくは側部に配置されている。また、本体1の底部若しくは側部には、冷却ファン113から発し、加熱制御手段111に取り付けられた放熱器112から熱を奪って温かくなった風を、本体1の外部へ排出するための孔(図示せず)が複数設けられている。加熱制御手段111は製品内部すなわち本体1内に収納されるが、鍋11の外周囲のどの位置に配置してもよい。また、本体1の底部若しくは側部に設けた孔も、どの位置に配置してもよい。しかし、近年は製品の小形化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段111や冷却ファン113と、温かな風を排出する孔114は、鍋11をはさんで略反対位置に配置するのが好ましい。さらに、本体1の内部には、電源プラグ(図示せず)を巻き取るためのコードリール116が設けられる。
次に制御系統について、図4を参照しながら説明する。同図において、111は前述の加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ21および蓋温度センサ61からの各温度情報を受けて、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ26と、蓋体31を加熱する蓋ヒータ36とを各々制御すると共に、圧力センサ86からの圧力情報を受けて、前述した減圧ポンプ82や電磁弁87を各々制御するものである。特に本実施例の加熱制御手段111は、鍋温度センサ21の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ52の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ26が制御されて放熱板34ひいては内蓋56を温度管理するようになっている。加熱制御手段111は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記鍋11内の被炊飯物を炊飯加熱する炊飯制御手段118と、保温時に鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段119とをそれぞれ備えている。
ここでの保温制御手段119はタイマー手段120を備えており、保温動作が開始するとタイマー手段120を起動させて保温経過時間を計時し、この保温経過時間が予め設定した時間(例えば1時間)に達したら、鍋11内の圧力が加圧状態からほぼ大気圧に戻り、且つ鍋11内の温度が保温温度にまで低下した、いわゆる保温が安定する状態と判断するようになっている。また、加熱制御手段11はその他に、操作スイッチ103からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め記憶手段に記憶された所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段118を制御する予約炊飯コースを実行可能な予約炊飯制御手段121を備えている。なお、前記所定時間は、操作スイッチ103の例えば時間キーや分キーを操作することで、適宜変更することができる。
122は、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段111の出力側には、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、放熱板34や内蓋56を加熱するように蓋ヒータ36を駆動させる蓋ヒータ駆動手段123と、コードヒータ26をオンにするコードヒータ駆動手段124と、ソレノイド78をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段125と、減圧ポンプ82を駆動させるポンプ駆動手段126と、電磁弁89をオンまたはオフにする電磁弁駆動手段127と、前述したLCDやLEDからなる表示手段128を駆動させる表示駆動手段129が各々設けられる。前記炊飯制御手段118による炊飯時、および保温制御手段119による保温時には、鍋温度センサ21と蓋温度センサ61からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ26による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ36による蓋体31への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段118による炊飯が終了し、鍋11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段119による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ21の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ26による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
特に前記コードヒータ26による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ26を発熱させて、蓋体31と本体1との隙間の空間に金属板29から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ26により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
さらに、本実施例における加熱制御手段111は、予約炊飯制御手段121による予約炊飯の待機時の炊飯が開始するまでの期間や、炊飯制御手段118が実質的な炊飯を開始するまでのひたし工程の期間や、保温制御手段119により前述した保温が安定する状態と判断した後で、鍋11内が大気圧より低くなるように、減圧ポンプ82や減圧状態保持用の電磁弁87を動作させる減圧制御手段130としての機能をも備えている。
次に、上記構成について、その作用を図5のタイミングチャートに基づき説明する。なお、この図5において、最上段およびその次の段にある各グラフは、鍋11内における圧力および温度の各推移を示し、以下、真空選択スイッチの動作タイミングと、前記LCDによる真空表示ランプの動作タイミングと、圧力センサ86による圧力上昇の検知タイミングと、減圧ポンプ82の動作タイミングと、電磁弁87の動作タイミングとをそれぞれ示している(塗潰しの状態がオン)。
先ず、予約炊飯時における動作を説明すると、操作スイッチ103の時間キーや分キーを操作することで、前記所定時間に相当する炊上がりの希望時刻を設定し、鍋11内に被炊飯物である米および水を入れて、その後で操作スイッチ103の別な例えばタイマースイッチを操作すると、予約炊飯制御手段121による予約炊飯コースが設定(セット)され、予約炊飯の待機状態に移行する。この予約炊飯コースでは、所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段118を制御するが、予約炊飯の待機状態から実質的に炊飯が開始する時点までの間に、減圧制御手段130が動作して鍋11内の圧力が大気圧(1atm=1013hPa)よりも低くなるように、減圧ポンプ82や電磁弁87が制御される。
具体的には、予約炊飯コースがセットされると、減圧制御手段130は炊飯が開始する直前まで真空選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128のLCDに表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。また、減圧制御手段130は、鍋11内から空気を排出するために、減圧ポンプ82を駆動させる信号をポンプ駆動手段126に出力すると共に、この減圧ポンプ82に同期して電磁弁87ひいては経路84を開放させる信号を電磁弁駆動手段127に出力する。その後、予め設定された圧力値(設定圧力値)にまで鍋11内が減圧したのを圧力センサ86が検知すると、減圧制御手段130は減圧ポンプ82の駆動を停止させ、且つ電磁弁87ひいては経路84を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持する。
予約炊飯の待機中は、加熱制御手段111がソレノイド78をオン状態(通電状態)にしているため、調圧弁65が連通孔70を塞ぐ位置に転動されているが、鍋11内には僅かではあるが空気が侵入し(スローリーク)、鍋11内の圧力が電磁弁87の閉塞時点から次第に上昇する。減圧制御手段130は、圧力センサ86による検知圧力が、設定圧力値に対して所定値以上上昇すると、再び減圧ポンプ82を駆動させると共に、電磁弁87ひいては経路84を開放させて、鍋11内から空気を排出する。このときの圧力センサ86の検知タイミングが、図5に示されている。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ82と電磁弁87が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。なお、実質的な炊飯が開始した後の動作は、後述する通常の炊飯動作と共通しているので、ここでは省略する。
こうして、予約炊飯コースが設定された後、炊飯が開始するまでの待機時間が長く設定された場合でも、鍋11内は減圧若しくは真空状態が維持されるため、鍋11内で雑菌が増殖したり、被炊飯物である米や水の腐敗が起こるのを効果的に防止できる。よって、最終的には炊上がり時に食味のよいご飯を得ることができる。また、この実施例では、予約炊飯の待機中の全期間に渡って、圧力制御手段130が鍋11内の圧力を減圧する制御を行なっているが、例えば予約炊飯コースが設定された後、所定の時間(例えば2時間)が経過したら、鍋11に対する減圧制御を行なうようにしてもよい。このように、予約炊飯の待機中の一定時間だけ、鍋11の圧力を大気圧よりも低くすることで、例えば炊飯開始までの待機時間がさほど長くないのに、鍋11内への減圧制御が強制的に行なわれて、減圧ポンプ82や電磁弁87を動作させるのに無駄な電力を消費する懸念を解消できる。
次に、予約炊飯を行なわない通常の炊飯について、その動作を説明する。なお、前述した通り、予約炊飯コースにおける実質的な炊飯が開始した後の動作は、これから説明する通常炊飯の動作と共通している。
鍋11内に被炊飯物である米および水を入れ、操作スイッチ103の例えば炊飯キーを操作すると、炊飯制御手段118による炊飯が開始する。ここで炊飯制御手段118は、実質的な炊飯を開始する前に、鍋11内の米に対する吸水を促進させるために、鍋温度センサ21による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ26で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたしを行なう。このひたし工程中は、ソレノイド78をオン状態にして、調圧弁65が連通孔70を塞ぐ位置に転動されている。
この炊飯待機状態であるひたし時にも、減圧制御手段130が動作して鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ82や電磁弁87が制御される。具体的には、ひたし工程が開始すると、減圧制御手段130は実質的な炊飯が開始する直前まで真空選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128のLCDに表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。また、減圧制御手段130は、鍋11内から空気を排出するために、減圧ポンプ82を駆動させる信号をポンプ駆動手段126に出力すると共に、この減圧ポンプ82に同期して電磁弁87ひいては経路84を開放させる信号を電磁弁駆動手段127に出力する。その後、設定圧力値にまで鍋11内が減圧したのを圧力センサ86が検知すると、減圧制御手段130は減圧ポンプ82の駆動を停止させ、且つ電磁弁87ひいては経路84を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークにより圧力センサ86による検知圧力が、設定圧力値に対して所定値以上上昇すると、減圧制御手段130は再び減圧ポンプ82を駆動させると共に、電磁弁87ひいては経路84を開放させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ82と電磁弁87が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
こうして、炊飯待機時にも鍋11内は減圧若しくは真空状態が維持されるため、鍋11内で雑菌が増殖したり、被炊飯物である米や水の腐敗が起こるのを効果的に防止できる。よって、最終的には炊上がり時に食味のよいご飯を得ることができる。
その後、所定時間のひたしが終了すると、炊飯制御手段118は実質的な炊飯動作を開始すると共に、減圧制御手段130による鍋11への減圧制御は中断し、真空選択スイッチはオフになると共に、LCDによる減圧状態である旨の表示も停止する。併せて、減圧ポンプ82および電磁弁87は、その後の保温が安定した状態になるまでオフ状態となる。
炊飯工程に移行すると、炊飯制御手段118は加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被炊飯物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体31の温度が90℃以上で安定したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。沸騰加熱の途中で、炊飯制御手段118はソレノイド78をオフ状態にして、調圧弁65を連通口70から退避させる。これにより、調圧部58は密閉せずに鍋11の内外を連通させた開放状態となり、鍋11はほぼ大気圧に維持される。なお、上述の蓋体31の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ61からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ21と蓋温度センサ61とにより、鍋11の底部および蓋体31がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
また、前記鍋11の底部,鍋11の側面部または蓋体31のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段111は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃以上になって所定時間(例えば5分)経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ21または蓋温度センサ61が、何らかの理由(汚れや傾きや接触不良など)で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を序止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段118は蓋ヒータ36による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋56の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ61の検知温度により管理される。また沸騰継続加熱に移行したら、炊飯制御手段118はソレノイド78を周期的にオン・オフさせる。この沸騰継続加熱では、操作スイッチ103により選択したメニューに応じて、ソレノイド78の通断電タイミングを変えるのが好ましい。これにより、鍋11に通じる調圧部58の密閉度を、選択したメニューに応じて最適なものに可変することができる。
そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、鍋11内の炊上がりを検知して、炊飯制御手段118による炊飯工程を終了し、保温制御手段119により保温工程に移行して、最初のむらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ61の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ36を通断電し、内蓋56への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段119による保温に移行する。
保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ36により蓋体31の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ26でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ21や蓋温度センサ61が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
また、上記むらしにおける調圧部58の密閉度は、選択した炊飯メニューに応じて変えるが、むらし終了の所定時間前になったら、ソレノイド78をオフにして調圧部58の密閉度を下げ、炊飯終了時に蓋体31を開けるのに支障がない程度に減圧する。
一方、保温制御手段119は、炊飯工程が終了するとタイマー手段120による保温経過時間の計時を開始する。このとき減圧制御手段130は、当該保温経過時間が予め設定した時間になるまで、すなわち保温が安定する状態と判断されるまで、表示手段128のLCDを利用して、真空表示を短時間繰り返し行なわせる。これにより利用者は、炊き上げ後、鍋11内が未だ減圧状態に移行していないことを理解できる。
その後、前述した保温経過時間が予め設定した時間に達すると、すなわち鍋11内で保温が安定する状態になると、減圧制御手段130により鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ82や電磁弁87が制御される。この減圧制御の具体的な動作は前述した通りであり、減圧制御手段130は少なくとも蓋体31が開けられて、真空選択スイッチがオフするまで、当該真空選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128のLCDに表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。また、減圧制御手段130は、鍋11内から空気を排出するために、減圧ポンプ82を駆動させる信号をポンプ駆動手段126に出力すると共に、この減圧ポンプ82に同期して電磁弁87ひいては経路84を開放させる信号を電磁弁駆動手段127に出力する。その後、設定圧力値にまで鍋11内が減圧したのを圧力センサ86が検知すると、減圧制御手段130は減圧ポンプ82の駆動を停止させ、且つ電磁弁87ひいては経路84を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークにより圧力センサ86による検知圧力が、設定圧力値に対して所定値以上上昇すると、減圧制御手段130は再び減圧ポンプ82を駆動させると共に、電磁弁87ひいては経路84を開放させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ82と電磁弁87が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
こうして、炊飯完了後の保温が安定する状態になると、鍋11内は減圧若しくは真空状態が維持されるため、鍋11内の保温温度を下げたり、鍋11内に蒸気を投入しなくても、鍋11内で雑菌が増殖したり、ご飯の腐敗が起こるのを効果的に防止できる。よって、長期にわたって食味のよいご飯を得ることができる。また、特に保温が安定した状態以降になると、鍋11内の圧力を設定値と設定値よりも高い値に繰返し可変させることで、鍋11内に充満している蒸気を浸透効果でご飯に染み込ませ、ご飯の乾燥を抑えることができる。
さらに、加熱制御手段111が、操作スイッチ103の例えばメニュー選択キーからの操作信号を受けて、複数の炊飯メニュー(例えば、白米,玄米,無洗米など)の中から、一つの炊飯メニューを選択でき、この選択した炊飯メニューに応じて、加熱コイル16,蓋ヒータ36,コードヒータ26などを独自に制御して、炊飯や保温を行なえる炊飯器にも、上述した減圧制御の手法を適用できる。その場合、選択した炊飯メニューによって、鍋11内の圧力や、減圧制御を行なう時間が異なるようにして、異なる減圧制御を行なえるようにするのが好ましい。例えば、鍋11内に投入する被炊飯物の含水率の違いにより、白米を被炊飯物とする白米メニューでは、鍋11内の圧力を0.8気圧(atm)となるように減圧制御し、玄米を被炊飯物とする玄米メニューでは、鍋11内の圧力を白米メニューよりも低い0.6気圧となるように減圧制御し、さらに無洗米を被炊飯物とする無洗米メニューでは、鍋11内の圧力を白米メニューよりも高く、玄米メニューよりも低い0.7気圧となるように減圧制御すれば、炊飯メニューに応じた最適な減圧制御を行なえる。なお、これはあくまでも一例であって、別な炊飯メニューでは、それに応じた最適な減圧制御を採用すればよい。さらに、選択した炊飯メニューによっては、あえて減圧制御を行なわない構成としてもよい。
以上のように、本実施例の炊飯器は、炊飯器の外郭をなす本体1と、この本体1に収納される容器たる鍋11と、本体1に軸支され開閉自在な蓋たる蓋体31と、鍋11を密閉するために蓋体31に設けられる内蓋56と、鍋11を加熱する第1の加熱手段としての加熱コイル16やコードヒータ26と、加熱コイル16やコードヒータ26を制御して炊飯後に保温を行なう加熱制御手段111とを備えた炊飯器において、炊飯待機時または炊飯完了後の保温が安定する状態になると、鍋11内を所定圧すなわち大気圧より低くする減圧手段81を備えている。
こうすれば、例えばひたしなどの炊飯待機時や、炊飯完了後の保温工程で、保温が安定するまでの一定時間を経過すると、減圧手段81により鍋11内の空気を排出して、鍋11内を通常の大気圧よりも低くする。これにより、雑菌の増殖による鍋11内の被炊飯物の腐敗を抑え、また酸化による臭いを抑制して、ご飯の劣化を防止することができる。
この場合、内蓋56を加熱する第2の加熱手段として、蓋ヒータ36をさらに備えていることが好ましい。すなわち、鍋11に対してだけでなく、被炊飯物の表面に対向する内蓋56を、必要に応じて加熱制御することができるので、保温時において被炊飯物全体の保温温度を通常よりも下げて、メイラード反応を抑えることが可能になると共に、逆に保温温度の下げ過ぎによる雑菌の増殖を抑えることができる。
また、前記減圧手段81は、炊飯完了後の保温が安定する所定の状態になると、鍋11内の圧力を異なる複数の設定圧力値の間で繰返し可変させる構成とするのが好ましい。こうすれば、保温が安定した後に、鍋11内を最も好ましくは真空と大気圧、さもなければ設定値と設定値よりも高い値のような異なる圧力の状態に繰返し可変させることで、鍋11内に充満している蒸気を浸透効果でご飯に染み込ませ、ご飯の乾燥を抑えることができる。
また、本実施例における減圧手段81は、減圧源としてのポンプたる減圧ポンプ82と、減圧ポンプ82で減圧する経路84とを備えると共に、この経路84は蓋体31に設けられ、この蓋体31を閉じた時に経路84が形成されるようになっている。この場合、内蓋56を蓋体31に装着した時に、減圧ポンプに連通する経路84が形成され、これにより蓋体31から内蓋56単体を取り外して、当該内蓋56を洗うことができ、内蓋56を清潔に保つことができる。
また、本実施例の内蓋56は、鍋11内の圧力に応じて位置が異なるように、蓋体31に対して上下動可能に設けられている。すなわち、内蓋56を蓋体31に装着した時に、この内蓋56が内蓋56内の圧力に応じて移動すなわち上下動可能になっているので、減圧時に鍋11内の圧力を利用して内蓋56を鍋11側に移動させて、内蓋56と鍋11との気密性を向上することができ、これにより雑菌の好気的活動をより抑えることが可能になる。
さらに本実施例では、炊飯時のメニュー選択によって、減圧手段81による鍋11内への減圧制御(圧力制御)が異なるようにする圧力制御手段130を備えている。こうすれば、選択した炊飯メニューに応じて、炊飯待機時、または炊飯完了後の保温が安定する状態になると、最適な圧力制御を鍋11内に行なうことができる。
本実施例では、前記加熱制御手段111が、所定時間に鍋11内の被炊飯物を炊き上げる予約炊飯コースを実行可能な機能を、予約炊飯制御手段121として備えた炊飯器において、予約炊飯の待機時の炊飯が開始する時点までの間に、鍋11内を所定圧である大気圧より低くする減圧手段81を備えている。
こうすれば、予約炊飯コースを選択することで、鍋11内に水や米を投入したまま炊飯を待機する状態が長時間になった場合でも、炊飯が開始するまでの間は、鍋11内の圧力を通常の大気圧より低くしているので、雑菌の増殖による鍋11内の水や米の腐敗を抑えて、ご飯の劣化を防止することができる。
また好ましくは、前記減圧手段81は、予約炊飯の待機時の炊飯が開始するまでの間の少なくとも一定時間に、鍋11内を大気圧より低くするように構成される。すなわち、予約炊飯時の炊飯が開始するまでの全期間ではなく、少なくとも一定時間だけ鍋11内の圧力を大気圧より低くすることで、必要最小限の消費電力でご飯の劣化を防止することができる。
さらに好ましくは、前記減圧手段81は、選択されたメニューすなわち炊飯メニューによって、鍋11内の圧力を大気圧より低くする減圧時間を異ならせるように構成されている。こうすれば、選択した炊飯メニューに応じた最適な時間で、鍋11内の圧力を大気圧より低く保つことができる。
また別な例として、前記減圧手段81は、選択された炊飯メニューによって鍋11内の圧力を大気圧より低くし、且つ選択された炊飯メニューによって鍋11内の圧力が異なるように構成されている。すなわち、選択した炊飯メニューにより、必要によっては鍋11内の圧力を大気圧より低くすると共に、この鍋11内の圧力を選択した炊飯メニューに応じて異ならせる。これにより、選択した炊飯メニューに応じた最適な圧力制御を、鍋11内に行なうことができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。実施例中における圧力の設定値や設定時間は一例に過ぎず、各炊飯器の仕様に合せて適宜変更してよい。さらに、減圧手段81としての構成も、本実施例のような減圧ポンプ82と、経路84と、電磁弁87とを組み合わせたものに限定されない。
本発明の一実施例における炊飯器の全体断面図である。 同上、炊飯時における要部の拡大断面図である。 同上、減圧時における図2と同じ要部の拡大断面図である。 同上、電気的構成を示すブロック図である。 同上、鍋内の温度および圧力の推移と、各部の動作状態をあらわしたタイミングチャートである。
1 本体
11 鍋(容器)
16 加熱コイル(加熱手段)
26 コードヒータ(加熱手段)
31 蓋体(蓋)
56 内蓋
81 減圧手段
82 減圧ポンプ(ポンプ)
84 経路
111 加熱制御手段
130 圧力制御手段

Claims (5)

  1. 本体と、この本体に収納される容器と、前記本体に軸支され開閉自在な蓋と、前記容器を密閉するために前記蓋に設けられる内蓋と、前記容器の加熱手段と、前記加熱手段を制御する加熱制御手段とを備えた炊飯器において、
    炊飯待機時、および炊飯完了後の保温状態になると前記容器内を所定圧より低くする減圧手段を備え、前記内蓋は、前記容器内の圧力に応じて位置が異なるように、前記蓋に対して上下動可能に設けられており、前記容器内がほぼ大気圧若しくは大気圧以上となっている時に、前記内蓋が前記蓋の下面側に近づく方向に上昇し、前記容器内が減圧状態の時に、前記内蓋が前記蓋の下面側から離れる方向に下降し、前記容器と前記内蓋との密閉度が高まるように構成されることを特徴とする炊飯器。
  2. 前記内蓋の加熱手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
  3. 前記減圧手段は、所定状態になると前記容器内の圧力を繰返し可変させるものであることを特徴とする請求項1または2記載の炊飯器。
  4. 前記減圧手段はポンプと、経路とを備えると共に、
    前記経路は前記蓋に設けられ、この蓋を閉じた時に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の炊飯器。
  5. メニュー選択によって、圧力制御が異なるようにする圧力制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の炊飯器。
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