JP2004290566A - 炊飯器 - Google Patents
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Abstract
【課題】菌類汚染の心配がなく、また温度分布差によるフヤケ飯とならずに飯の保温劣化を抑制できる炊飯器を得る。
【解決手段】吸引工程では、開閉弁A31が閉、開閉弁B32が開、開閉弁C37が開、開閉弁D38が閉とし、吸引装置34を動作させ、内釜23と内蓋28に囲まれた空間の気体を吸引して、炊飯器内の圧力が大気圧より小さくなるため、炊飯器内で飯に吸収されていない余剰水分が蒸発し、水の蒸発潜熱に相当する温度低下が起こり、圧力センサ40の出力が飯の保温温度に適する70℃に相当する水の蒸気圧31kPa(234mmHg)にさせる。
【選択図】 図1
【解決手段】吸引工程では、開閉弁A31が閉、開閉弁B32が開、開閉弁C37が開、開閉弁D38が閉とし、吸引装置34を動作させ、内釜23と内蓋28に囲まれた空間の気体を吸引して、炊飯器内の圧力が大気圧より小さくなるため、炊飯器内で飯に吸収されていない余剰水分が蒸発し、水の蒸発潜熱に相当する温度低下が起こり、圧力センサ40の出力が飯の保温温度に適する70℃に相当する水の蒸気圧31kPa(234mmHg)にさせる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、飯の保温劣化を抑制する炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
まず、飯の保温温度は一般に70℃付近に定められており、その理由および保温中の飯の黄変反応について説明する。
保温温度が70℃である理由は、飯の温度が高いほど飯の劣化、すなわち、黄変反応(アミノカルボニル反応)が促進されるため、保温温度はできるだけ低温が望ましいが、一方、70℃未満では菌類汚染の危険性が高まってしまう。よって、設定温度は70℃に決められている。
【0003】
黄変反応であるアミノカルボニル反応は、飯中の蛋白質と糖類が大きく分けて以下の3段階の反応を示し、最終的に複雑な構造を持つメラノイジン(褐色〜黒色)を生成することにより黄変すると言われている。
第1段階は、飯の成分物質である糖と蛋白質が反応し、その後、脱水、転移してシッフ塩基を生成する。
R・CH(OH)・CHO+P・NH2(Rはこの反応に直接影響していない糖の他の部分、Pも同様に蛋白質の他の部分を示す)
→R・CH(OH)・CH(OH)・NH・P
→R・CH(OH)・CH=N・P+H2O
さらに異性化して転移し、ケトースアミンとなる。
→R・C=O・CH2・NH・P(ここでは、糖がアルドースの場合を示す)
【0004】
第2段階は、ケトースアミンがカルボニル誘導体や不飽和ポリカルボニル誘導体に変化する。この誘導体は、アミンやアミノ酸と反応して別のカルボニル化合物や、遊離アミノ酸の脱カルボキシル化を生成する。なお、化学式は複雑のため、省略する。
第3段階は、不飽和ポリカルボニル誘導体が分裂と重合を繰り返し、一方では低分子の揮発性物質が形成されて臭いを発生する。重合による生成物は高分子化して複雑な構造を持つメラノイジンを生成する。なお、化学式は複雑のため、省略する。
【0005】
そこで、従来の炊飯器において、保温劣化を抑制し、保温性向上を狙うために飯の保温雰囲気を脱酸素することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、炊飯終了後に炊飯器に外部空気を導入して、飯温度を急冷し、上記劣化反応を遅らせることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−154039号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】
特開平4−307010号公報(第2−3頁、図1)
【0007】
図6は特開平5−154039号公報に示された従来の炊飯器の断面図である。図において、1は炊飯器本体、2は炊飯器本体1の上面開口を開閉する蓋、3は本体1内に着脱自在にセットされる内釜で、この中に洗米した米と適量の水を入れて炊飯する。4は炊飯器本体1の低部に配置されたアングル、5はアングル4を介して内釜3を加熱するヒータ、6はアングル4のほぼ中央に開けられた開口部、7は開口部6に配置され、内釜3に接触して温度を感知する温度センサである。
【0008】
8は蓋2に設けられた内蓋、9は内蓋8に開口し、開閉弁に連通する吸気管、10は炊飯器外に開口し三方弁と連通する排気管、11は吸気管9から流入空気を排気管10に流入させるか、気体分離膜に流入させるか選択する三方弁、12は高分子化合物よりなり、空気中の窒素と酸素を選択的に分離する気体分離膜、13は吸引装置から排出される気体の排出口、14は吸引装置である。
【0009】
次に、動作について説明する。
炊飯工程が終了して保温工程となり、飯温度が保温温度の70℃付近に低下した通常の保温状態においては、三方弁11により吸気管9と気体分離膜12が連通している。そこで、炊飯器内空気は、吸引装置14の稼動により吸気管9、三方弁11、気体分離膜12を通過して吸引装置14に達し、排出口13より炊飯器外に排出される。
【0010】
ここで、気体分離膜12では空気が高圧側(炊飯器内空気)から低圧側(吸引装置内空気)に移動する際に気体の種類によって膜面への溶解、拡散速度が異なることを利用して気体の分離を行う。この場合、空気中の酸素と窒素では、酸素が窒素よりも気体分離膜12を通過しやすいことから、高圧側(炊飯器内空気)では窒素濃度が高く、酸素濃度が低い状態を作ることができる。
これにより、炊飯器内空気から、より酸素濃度の高い組成の空気が吸引装置14により外部に排出され、炊飯器内には酸素濃度の低い空気が残ると共に、炊飯器内の空気圧が低くなることになる。よって、脱酸素環境をつくることができ、黄変反応を防止することができる。
【0011】
また、図7は特開平4−307010号公報に示された従来の保温式炊飯器の断面図である。図6と同一または相当部分には同一符号を付け、説明を省略する。15はファンである。
詳細な動作説明は省略するが、炊飯終了後に炊飯器に外部空気を導入して、飯温度を急冷し、上記劣化反応を遅らせる方式を採用し、酸素濃度に変化はないが、炊飯器に専用のファン15を設け、外部空気を飯に吹きかけ、冷却するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように従来の炊飯器において、黄変反応を抑制する方法には、1.保温温度を下げる(反応速度を低下させる)、2.脱酸素雰囲気とする(酸素が同反応の触媒と言われている)などがある。上記1は上述の菌類汚染対策のため、70℃未満に設定できない。また、炊飯直後に外部空気を導入する方式は、飯温度は70℃付近に保たれるが、空気中の雑菌を炊飯器内に入れてしまう可能性があり、さらに、炊飯器内で温度分布差を生じ、高温度部分から発生した水蒸気が、低温部分に結露し、飯が水分を過剰に含むフヤケ飯を作ってしまうという問題点があった。このため、上記2の脱酸素環境による保温法が提案されてきた。しかしながら、従来の酸素濃度を下げる方式では、長時間酸素濃度が低い保存雰囲気となるため、通常酸素濃度では問題のない嫌気性菌類(例えばボツリヌス菌)の繁殖環境を作り、菌類汚染を起こす可能性があるという問題点があった。
【0013】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、菌類汚染の心配がなく、また温度分布差によるフヤケ飯とならずに飯の保温劣化を抑制できる炊飯器を得るものである
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る炊飯器は、内釜を収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上面開口を開閉する蓋と、炊飯後に前記内釜を加熱し、飯を所定温度で保温する加熱手段と、内釜内と炊飯器外部を連通する蒸気排出口と、内釜内の空気を吸引し、内釜外へ排出する吸引装置と、内釜内の空気圧を検出する圧力検出手段と、を備え、炊飯終了後、前記圧力検出手段による空気圧が所定値に達するまでの間は前記蒸気排出口を閉じ、前記吸引装置を稼動させるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す炊飯器の断面図、図2はこの炊飯器の炊飯終了後の飯中央部の温度変化を示す図であり、飯1合を冷却した場合の温度変化を示す。図3はこの炊飯器の各開閉弁および吸引装置の動作を示すタイミングチャート、図4はこの炊飯器における吸引装置による吸引時間、炊飯器内圧力、飯中央部温度、蒸発水分量の関係を示す図であり、飯1合(米の容量180cm3)を冷却した場合を示す。
【0016】
図において、21は炊飯器本体、22は炊飯器本体21の上面開口を開閉する蓋、23は本体21内に着脱自在にセットされる内釜で、この中に洗米した米と適量の水を入れて炊飯する。24は本体1の下部に配置され、内釜23を誘導加熱する電磁誘導コイル、25は電磁誘導コイル24を駆動し、発熱量を制御する制御部、27は内釜23に接触して温度を感知する温度センサ、28は蓋22に設けられた内蓋である。
【0017】
29は内蓋28に開口し、開閉弁(後述)に連通する吸気管、30は炊飯器外に開口する排気管、31は吸気管29からの気体を排気管30に連通させるか、遮断するかを制御する開閉弁A、32は吸気管29と凝縮器(後述)を連通させるか遮断するかを制御する開閉弁B、33は開閉弁B32と吸引装置(後述)の間に設けた凝縮器、34は蓋22を閉めた場合に密閉された炊飯器内を減圧するための吸引装置、35は吸引装置34から排出する気体の排出口、36は凝縮器33と吸引装置34を連通させる導管である。
【0018】
37は炊飯器の使用終了後に蓋22を開けて凝縮水を排出する場合に、吸引装置34に凝縮水が流入しないように閉じる開閉弁C、38は開閉弁C37が閉じている時のみ開状態となる開閉弁D、39は開閉弁D38より流れた凝縮水を貯蔵する水受け、40は炊飯器内の圧力を検出する圧力センサ、41は制御部25からの炊飯終了信号や圧力センサ40の出力等に基づき、開閉弁A31、開閉弁B32、開閉弁C37、開閉弁D38、吸引装置34を制御する吸引装置制御部である。
【0019】
次に動作について説明する。
まず、炊飯工程では、吸引装置制御部41により開閉弁A31が開状態、開閉弁B32が閉状態、開閉弁C37が開状態、開閉弁D38が閉状態に設定され、内釜23に洗米した米と適量の水を入れ、電磁誘導コイル24を駆動させ、内釜23を加熱して炊飯が行われる。炊飯工程終了後、吸引工程に進む。
【0020】
吸引工程では、吸引装置制御部41により開閉弁A31が閉状態、開閉弁B32が開状態に設定され、開閉弁C37と開閉弁D38は状態に変化がなく、開閉弁C37が開状態、開閉弁D38が閉状態のままである。また、吸引装置34を動作させ、内釜23と内蓋28に囲まれた空間の気体を吸引する。この時の気体は、炊飯後のため、ほとんど水蒸気であり、また、飯温度は図2に示すように100℃である。
【0021】
ここで、吸引された気体はほとんど水蒸気であるため、凝縮器33で液化して水となり、液化していない気体は導管36を通過して吸引装置34に達し、排出口35より排出される。また、炊飯器内の圧力が大気圧より小さくなるため、炊飯器内で飯に吸収されていない余剰水分が蒸発する。この際、水の蒸発潜熱に相当する温度低下が起こる。さらに吸引装置34により炊飯器内の吸引を継続するため、炊飯器内の温度に対応した蒸気圧で圧力が維持され、蒸発量に応じて潜熱分の温度低下が発生する。なお、この温度低下を示す実験データを図4に示す。
【0022】
そこで、圧力センサ40の出力が飯の保温温度に適する70℃に相当する水の蒸気圧31kPa(234mmHg)になった場合には、吸引装置制御部41が吸引動作の完了と判断し、開閉弁A31を開状態、開閉弁B32を閉状態、開閉弁C37を閉状態、開閉弁D38を開状態に設定し、吸引装置34を停止する。その後、電磁誘導コイル24を駆動させ、内釜23を加熱して保温を行う。
なお、凝縮器33内には、飯1合に付き15〜20gの凝縮水が溜まり、この凝縮水は蓋22を開けた時に重力により導管36を流れて水受け39に溜まる。この溜まった水は、炊飯器の清掃時等に合わせて廃棄する。
【0023】
ここで、飯の経時劣化は、前述のアミノカルボニル反応によるものであり、10℃高くなる毎に2〜4倍早くなると言われている。仮に中央値の3倍で計算した場合、炊飯直後の飯温度は約100℃のため、炊飯直後の劣化速度は70℃に比べて27倍の劣化速度となる。このため、炊飯器中の飯を冷却する必要があるが、従来例のように外部空気を導入するなどの方法では、前述のように空気中の塵埃や雑菌による汚染だけでなく、外部空気の導入部分の飯は低温化するが、他の部分は高温のままである。また、内釜や蓋に外部空気をあてる方法も、内釜や蓋近傍部分の飯は低温化するが、中の部分の飯温度が高温のままである。これらの温度分布によって、高温部の飯の蒸気が、より低温部分の飯や内釜、蓋の内面に結露して、この余剰水によって飯が過大な大きさに膨潤したフヤケ飯となり、不味くなってしまう。しかしながら、この実施の形態1では、炊飯直後の飯温度を水蒸気の吸引によって急激に低下させることにより、飯全体が水分蒸発し、結露水を作らないため、フヤケ飯にならずに、蒸発潜熱により、飯の温度を均一に低下させることができる。
【0024】
以上のように、実施の形態1では炊飯器内の気体を吸引する方法で蒸発を促進し、その蒸発潜熱で飯温度を低下させるため、飯が結露水によるフヤケ飯とならずに、保温に最適な温度まで短時間に低下させることができる。また、酸素濃度が低い状態は短時間のため、嫌気性菌繁殖の懸念がなく、飯の保温劣化を抑制することができる。
【0025】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2を示す炊飯器の断面図であり、凝縮器33を実施の形態1の蓋2側とは異なり、本体21側に配置するとともに、放熱フィン3aおよびペルチエ素子42により冷却するものである。図において、実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付け、説明を省略する。33aは凝縮器33から熱を放出するために設けられた放熱フィン、42は凝縮器33と吸引装置34に接触面を持つペルチエ素子であり、凝縮器33を冷却し、吸引装置34を加熱する機能を持つ。
なお、実施の形態1との相違点は、導管36を炊飯器本体21の背部まで延長し、凝縮器33、開閉弁C37、開閉弁D38、水受け39を炊飯器本体21の背部に配置し、凝縮器33と吸引装置34を近設させ、これにより、ペルチエ素子42が凝縮器33および吸引装置34との接触面を有することになる。
【0026】
次に、動作について説明する。
まず、炊飯工程では、吸引装置制御部41により開閉弁A31が開状態、開閉弁B32が閉状態、開閉弁C37が開状態、開閉弁D38が閉状態に設定され、内釜23に洗米した米と適量の水を入れ、電磁誘導コイル24を駆動させ、内釜23を加熱して炊飯が行われる。炊飯工程終了後、吸引工程に進む。
【0027】
吸引工程では、吸引装置制御部41により開閉弁A31が閉状態、開閉弁B32が開状態に設定され、開閉弁C37と開閉弁D38は状態に変化がなく、開閉弁C37が開状態、開閉弁D38が閉状態のままである。また、吸引装置34を動作させ、内釜23と内蓋28に囲まれた空間の気体を吸引する。この時の気体は、炊飯後のため、ほとんど水蒸気であり、また、飯温度は100℃である。
【0028】
ここで、吸引された気体はほとんど水蒸気であるため、凝縮器33で液化して水となり、液化していない気体は導管36を通過して吸引装置34に達し、排出口35より排出される。また、炊飯器の圧力が大気圧より小さくなるため、炊飯器内で飯に吸収されていない余剰水分が蒸発する。この際、水の蒸発潜熱に相当する温度低下が起こる。さらに吸引装置34により炊飯器内の吸引を継続するため、炊飯器内の温度に対応した蒸気圧で圧力が維持され、蒸発量に応じて潜熱分の温度低下が発生する。
【0029】
また、凝縮器33の温度をTc、吸引装置34の温度をTpとした場合、常にTc<Tpとなるよう凝縮器33にペルチエ素子42の低温側による冷却機能を作用させ、同時に高温側による加熱機能を吸引装置34に作用させる。水の蒸気圧は低温ほど小さく、高温ほど高いため、Tc<Tpの条件を常に保つことで、吸引装置34内に水が溜まり、動作不良が起こらないような条件を作ることができる。
【0030】
その後、圧力センサ40の出力が飯の保温温度に適する70℃に相当する水の蒸気圧31kPa(234mmHg)になった場合には、吸引装置制御部41が吸引動作の完了と判断し、開閉弁A31を開状態、開閉弁B32を閉状態、開閉弁C37を閉状態、開閉弁D38を開状態に設定し、吸引装置34を停止する。その後、電磁誘導コイル24を駆動させ、内釜23を加熱して保温を行う。
なお、凝縮器33内には、飯1合に付き15〜20gの凝縮水が溜まり、この凝縮水は蓋22を開けた時に重力により導管36を流れて水受け39に溜まる。この溜まった水は、炊飯器の清掃時等に合わせて廃棄する。
【0031】
以上のように、実施の形態2では、実施の形態1と比べて、凝縮器33の温度より吸引装置34の温度が高いため、炊飯器内水蒸気は効率良く凝縮器33内で凝縮し、吸引装置34では凝縮せず、故障しにくい吸引冷却機能を維持することができる。
なお、実施の形態2は、凝縮器33の冷却と吸引装置34の加熱をペルチエ素子42で行ったが、熱交換手段以外に冷却手段、加熱手段を単独で用い、常にTc<Tpの温度条件を保ってもよい。
【0032】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0033】
本発明の請求項1によれば、内釜を収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上面開口を開閉する蓋と、炊飯後に前記内釜を加熱し、飯を所定温度で保温する加熱手段と、内釜内と炊飯器外部を連通する蒸気排出口と、内釜内の空気を吸引し、内釜外へ排出する吸引装置と、内釜内の空気圧を検出する圧力検出手段と、を備え、炊飯終了後、前記圧力検出手段による空気圧が所定値に達するまでの間は前記蒸気排出口を閉じ、前記吸引装置を稼動させるので、炊飯器内の気体を吸引させて蒸発を促進し、その蒸発潜熱で飯温度を低下させるため、飯に結露を生じさせずに保温に最適な温度まで短時間に達することなり、保温劣化を抑制し、結露水によるフヤケ飯とならずに美味しく保温することができる。嫌気性菌の繁殖を懸念する必要もない。
【0034】
また、内釜内と前記吸引装置の間の通路中に凝縮器を備えたので、水蒸気はほとんど凝縮器で取ることができ、吸引装置に水が混入しないため、水混入による吸引装置の動作不良を防止することができる。
【0035】
さらに、前記凝縮器と前記吸引装置の両方またはいずれか一方に、加熱または冷却手段を備え、前記加熱または冷却手段によって前記凝縮器の温度よりも吸引装置の温度を高くするので、さらに水蒸気の回収効率が高まり、吸引装置に水が混入することによる吸引装置の動作不良を防止することができる。
【0036】
また、前記圧力検出手段による空気圧が所定値に達した後は、前記蒸気排出口を開き、前記吸引装置を停止させるので、飯の保温温度である70℃付近で、吸引動作を停止して無駄な動作を防止し、省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す炊飯器の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す炊飯器の飯の温度変化を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す炊飯器のタイミングチャートを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示す炊飯器の吸引装置による吸引時間、炊飯器内圧力、飯中央部温度、蒸発水分量の関係を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示す炊飯器の断面図である。
【図6】従来の炊飯器の断面図である。
【図7】従来の炊飯器の断面図である。
【符号の説明】
21 炊飯器本体、 22 蓋、 23 内釜、 24 電磁誘導コイル、 24 制御部、 29 吸気管、 30 排気管、 31 開閉弁A、 32 開閉弁B、 33 凝縮器、 33a 放熱フィン、 34 吸引装置、 36導管、 37 開閉弁C、 38 開閉弁D、 40 圧力センサ、 41 吸引装置制御部、 42 ペルチエ素子。
【発明の属する技術分野】
この発明は、飯の保温劣化を抑制する炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
まず、飯の保温温度は一般に70℃付近に定められており、その理由および保温中の飯の黄変反応について説明する。
保温温度が70℃である理由は、飯の温度が高いほど飯の劣化、すなわち、黄変反応(アミノカルボニル反応)が促進されるため、保温温度はできるだけ低温が望ましいが、一方、70℃未満では菌類汚染の危険性が高まってしまう。よって、設定温度は70℃に決められている。
【0003】
黄変反応であるアミノカルボニル反応は、飯中の蛋白質と糖類が大きく分けて以下の3段階の反応を示し、最終的に複雑な構造を持つメラノイジン(褐色〜黒色)を生成することにより黄変すると言われている。
第1段階は、飯の成分物質である糖と蛋白質が反応し、その後、脱水、転移してシッフ塩基を生成する。
R・CH(OH)・CHO+P・NH2(Rはこの反応に直接影響していない糖の他の部分、Pも同様に蛋白質の他の部分を示す)
→R・CH(OH)・CH(OH)・NH・P
→R・CH(OH)・CH=N・P+H2O
さらに異性化して転移し、ケトースアミンとなる。
→R・C=O・CH2・NH・P(ここでは、糖がアルドースの場合を示す)
【0004】
第2段階は、ケトースアミンがカルボニル誘導体や不飽和ポリカルボニル誘導体に変化する。この誘導体は、アミンやアミノ酸と反応して別のカルボニル化合物や、遊離アミノ酸の脱カルボキシル化を生成する。なお、化学式は複雑のため、省略する。
第3段階は、不飽和ポリカルボニル誘導体が分裂と重合を繰り返し、一方では低分子の揮発性物質が形成されて臭いを発生する。重合による生成物は高分子化して複雑な構造を持つメラノイジンを生成する。なお、化学式は複雑のため、省略する。
【0005】
そこで、従来の炊飯器において、保温劣化を抑制し、保温性向上を狙うために飯の保温雰囲気を脱酸素することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、炊飯終了後に炊飯器に外部空気を導入して、飯温度を急冷し、上記劣化反応を遅らせることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−154039号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】
特開平4−307010号公報(第2−3頁、図1)
【0007】
図6は特開平5−154039号公報に示された従来の炊飯器の断面図である。図において、1は炊飯器本体、2は炊飯器本体1の上面開口を開閉する蓋、3は本体1内に着脱自在にセットされる内釜で、この中に洗米した米と適量の水を入れて炊飯する。4は炊飯器本体1の低部に配置されたアングル、5はアングル4を介して内釜3を加熱するヒータ、6はアングル4のほぼ中央に開けられた開口部、7は開口部6に配置され、内釜3に接触して温度を感知する温度センサである。
【0008】
8は蓋2に設けられた内蓋、9は内蓋8に開口し、開閉弁に連通する吸気管、10は炊飯器外に開口し三方弁と連通する排気管、11は吸気管9から流入空気を排気管10に流入させるか、気体分離膜に流入させるか選択する三方弁、12は高分子化合物よりなり、空気中の窒素と酸素を選択的に分離する気体分離膜、13は吸引装置から排出される気体の排出口、14は吸引装置である。
【0009】
次に、動作について説明する。
炊飯工程が終了して保温工程となり、飯温度が保温温度の70℃付近に低下した通常の保温状態においては、三方弁11により吸気管9と気体分離膜12が連通している。そこで、炊飯器内空気は、吸引装置14の稼動により吸気管9、三方弁11、気体分離膜12を通過して吸引装置14に達し、排出口13より炊飯器外に排出される。
【0010】
ここで、気体分離膜12では空気が高圧側(炊飯器内空気)から低圧側(吸引装置内空気)に移動する際に気体の種類によって膜面への溶解、拡散速度が異なることを利用して気体の分離を行う。この場合、空気中の酸素と窒素では、酸素が窒素よりも気体分離膜12を通過しやすいことから、高圧側(炊飯器内空気)では窒素濃度が高く、酸素濃度が低い状態を作ることができる。
これにより、炊飯器内空気から、より酸素濃度の高い組成の空気が吸引装置14により外部に排出され、炊飯器内には酸素濃度の低い空気が残ると共に、炊飯器内の空気圧が低くなることになる。よって、脱酸素環境をつくることができ、黄変反応を防止することができる。
【0011】
また、図7は特開平4−307010号公報に示された従来の保温式炊飯器の断面図である。図6と同一または相当部分には同一符号を付け、説明を省略する。15はファンである。
詳細な動作説明は省略するが、炊飯終了後に炊飯器に外部空気を導入して、飯温度を急冷し、上記劣化反応を遅らせる方式を採用し、酸素濃度に変化はないが、炊飯器に専用のファン15を設け、外部空気を飯に吹きかけ、冷却するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように従来の炊飯器において、黄変反応を抑制する方法には、1.保温温度を下げる(反応速度を低下させる)、2.脱酸素雰囲気とする(酸素が同反応の触媒と言われている)などがある。上記1は上述の菌類汚染対策のため、70℃未満に設定できない。また、炊飯直後に外部空気を導入する方式は、飯温度は70℃付近に保たれるが、空気中の雑菌を炊飯器内に入れてしまう可能性があり、さらに、炊飯器内で温度分布差を生じ、高温度部分から発生した水蒸気が、低温部分に結露し、飯が水分を過剰に含むフヤケ飯を作ってしまうという問題点があった。このため、上記2の脱酸素環境による保温法が提案されてきた。しかしながら、従来の酸素濃度を下げる方式では、長時間酸素濃度が低い保存雰囲気となるため、通常酸素濃度では問題のない嫌気性菌類(例えばボツリヌス菌)の繁殖環境を作り、菌類汚染を起こす可能性があるという問題点があった。
【0013】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、菌類汚染の心配がなく、また温度分布差によるフヤケ飯とならずに飯の保温劣化を抑制できる炊飯器を得るものである
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る炊飯器は、内釜を収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上面開口を開閉する蓋と、炊飯後に前記内釜を加熱し、飯を所定温度で保温する加熱手段と、内釜内と炊飯器外部を連通する蒸気排出口と、内釜内の空気を吸引し、内釜外へ排出する吸引装置と、内釜内の空気圧を検出する圧力検出手段と、を備え、炊飯終了後、前記圧力検出手段による空気圧が所定値に達するまでの間は前記蒸気排出口を閉じ、前記吸引装置を稼動させるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す炊飯器の断面図、図2はこの炊飯器の炊飯終了後の飯中央部の温度変化を示す図であり、飯1合を冷却した場合の温度変化を示す。図3はこの炊飯器の各開閉弁および吸引装置の動作を示すタイミングチャート、図4はこの炊飯器における吸引装置による吸引時間、炊飯器内圧力、飯中央部温度、蒸発水分量の関係を示す図であり、飯1合(米の容量180cm3)を冷却した場合を示す。
【0016】
図において、21は炊飯器本体、22は炊飯器本体21の上面開口を開閉する蓋、23は本体21内に着脱自在にセットされる内釜で、この中に洗米した米と適量の水を入れて炊飯する。24は本体1の下部に配置され、内釜23を誘導加熱する電磁誘導コイル、25は電磁誘導コイル24を駆動し、発熱量を制御する制御部、27は内釜23に接触して温度を感知する温度センサ、28は蓋22に設けられた内蓋である。
【0017】
29は内蓋28に開口し、開閉弁(後述)に連通する吸気管、30は炊飯器外に開口する排気管、31は吸気管29からの気体を排気管30に連通させるか、遮断するかを制御する開閉弁A、32は吸気管29と凝縮器(後述)を連通させるか遮断するかを制御する開閉弁B、33は開閉弁B32と吸引装置(後述)の間に設けた凝縮器、34は蓋22を閉めた場合に密閉された炊飯器内を減圧するための吸引装置、35は吸引装置34から排出する気体の排出口、36は凝縮器33と吸引装置34を連通させる導管である。
【0018】
37は炊飯器の使用終了後に蓋22を開けて凝縮水を排出する場合に、吸引装置34に凝縮水が流入しないように閉じる開閉弁C、38は開閉弁C37が閉じている時のみ開状態となる開閉弁D、39は開閉弁D38より流れた凝縮水を貯蔵する水受け、40は炊飯器内の圧力を検出する圧力センサ、41は制御部25からの炊飯終了信号や圧力センサ40の出力等に基づき、開閉弁A31、開閉弁B32、開閉弁C37、開閉弁D38、吸引装置34を制御する吸引装置制御部である。
【0019】
次に動作について説明する。
まず、炊飯工程では、吸引装置制御部41により開閉弁A31が開状態、開閉弁B32が閉状態、開閉弁C37が開状態、開閉弁D38が閉状態に設定され、内釜23に洗米した米と適量の水を入れ、電磁誘導コイル24を駆動させ、内釜23を加熱して炊飯が行われる。炊飯工程終了後、吸引工程に進む。
【0020】
吸引工程では、吸引装置制御部41により開閉弁A31が閉状態、開閉弁B32が開状態に設定され、開閉弁C37と開閉弁D38は状態に変化がなく、開閉弁C37が開状態、開閉弁D38が閉状態のままである。また、吸引装置34を動作させ、内釜23と内蓋28に囲まれた空間の気体を吸引する。この時の気体は、炊飯後のため、ほとんど水蒸気であり、また、飯温度は図2に示すように100℃である。
【0021】
ここで、吸引された気体はほとんど水蒸気であるため、凝縮器33で液化して水となり、液化していない気体は導管36を通過して吸引装置34に達し、排出口35より排出される。また、炊飯器内の圧力が大気圧より小さくなるため、炊飯器内で飯に吸収されていない余剰水分が蒸発する。この際、水の蒸発潜熱に相当する温度低下が起こる。さらに吸引装置34により炊飯器内の吸引を継続するため、炊飯器内の温度に対応した蒸気圧で圧力が維持され、蒸発量に応じて潜熱分の温度低下が発生する。なお、この温度低下を示す実験データを図4に示す。
【0022】
そこで、圧力センサ40の出力が飯の保温温度に適する70℃に相当する水の蒸気圧31kPa(234mmHg)になった場合には、吸引装置制御部41が吸引動作の完了と判断し、開閉弁A31を開状態、開閉弁B32を閉状態、開閉弁C37を閉状態、開閉弁D38を開状態に設定し、吸引装置34を停止する。その後、電磁誘導コイル24を駆動させ、内釜23を加熱して保温を行う。
なお、凝縮器33内には、飯1合に付き15〜20gの凝縮水が溜まり、この凝縮水は蓋22を開けた時に重力により導管36を流れて水受け39に溜まる。この溜まった水は、炊飯器の清掃時等に合わせて廃棄する。
【0023】
ここで、飯の経時劣化は、前述のアミノカルボニル反応によるものであり、10℃高くなる毎に2〜4倍早くなると言われている。仮に中央値の3倍で計算した場合、炊飯直後の飯温度は約100℃のため、炊飯直後の劣化速度は70℃に比べて27倍の劣化速度となる。このため、炊飯器中の飯を冷却する必要があるが、従来例のように外部空気を導入するなどの方法では、前述のように空気中の塵埃や雑菌による汚染だけでなく、外部空気の導入部分の飯は低温化するが、他の部分は高温のままである。また、内釜や蓋に外部空気をあてる方法も、内釜や蓋近傍部分の飯は低温化するが、中の部分の飯温度が高温のままである。これらの温度分布によって、高温部の飯の蒸気が、より低温部分の飯や内釜、蓋の内面に結露して、この余剰水によって飯が過大な大きさに膨潤したフヤケ飯となり、不味くなってしまう。しかしながら、この実施の形態1では、炊飯直後の飯温度を水蒸気の吸引によって急激に低下させることにより、飯全体が水分蒸発し、結露水を作らないため、フヤケ飯にならずに、蒸発潜熱により、飯の温度を均一に低下させることができる。
【0024】
以上のように、実施の形態1では炊飯器内の気体を吸引する方法で蒸発を促進し、その蒸発潜熱で飯温度を低下させるため、飯が結露水によるフヤケ飯とならずに、保温に最適な温度まで短時間に低下させることができる。また、酸素濃度が低い状態は短時間のため、嫌気性菌繁殖の懸念がなく、飯の保温劣化を抑制することができる。
【0025】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2を示す炊飯器の断面図であり、凝縮器33を実施の形態1の蓋2側とは異なり、本体21側に配置するとともに、放熱フィン3aおよびペルチエ素子42により冷却するものである。図において、実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付け、説明を省略する。33aは凝縮器33から熱を放出するために設けられた放熱フィン、42は凝縮器33と吸引装置34に接触面を持つペルチエ素子であり、凝縮器33を冷却し、吸引装置34を加熱する機能を持つ。
なお、実施の形態1との相違点は、導管36を炊飯器本体21の背部まで延長し、凝縮器33、開閉弁C37、開閉弁D38、水受け39を炊飯器本体21の背部に配置し、凝縮器33と吸引装置34を近設させ、これにより、ペルチエ素子42が凝縮器33および吸引装置34との接触面を有することになる。
【0026】
次に、動作について説明する。
まず、炊飯工程では、吸引装置制御部41により開閉弁A31が開状態、開閉弁B32が閉状態、開閉弁C37が開状態、開閉弁D38が閉状態に設定され、内釜23に洗米した米と適量の水を入れ、電磁誘導コイル24を駆動させ、内釜23を加熱して炊飯が行われる。炊飯工程終了後、吸引工程に進む。
【0027】
吸引工程では、吸引装置制御部41により開閉弁A31が閉状態、開閉弁B32が開状態に設定され、開閉弁C37と開閉弁D38は状態に変化がなく、開閉弁C37が開状態、開閉弁D38が閉状態のままである。また、吸引装置34を動作させ、内釜23と内蓋28に囲まれた空間の気体を吸引する。この時の気体は、炊飯後のため、ほとんど水蒸気であり、また、飯温度は100℃である。
【0028】
ここで、吸引された気体はほとんど水蒸気であるため、凝縮器33で液化して水となり、液化していない気体は導管36を通過して吸引装置34に達し、排出口35より排出される。また、炊飯器の圧力が大気圧より小さくなるため、炊飯器内で飯に吸収されていない余剰水分が蒸発する。この際、水の蒸発潜熱に相当する温度低下が起こる。さらに吸引装置34により炊飯器内の吸引を継続するため、炊飯器内の温度に対応した蒸気圧で圧力が維持され、蒸発量に応じて潜熱分の温度低下が発生する。
【0029】
また、凝縮器33の温度をTc、吸引装置34の温度をTpとした場合、常にTc<Tpとなるよう凝縮器33にペルチエ素子42の低温側による冷却機能を作用させ、同時に高温側による加熱機能を吸引装置34に作用させる。水の蒸気圧は低温ほど小さく、高温ほど高いため、Tc<Tpの条件を常に保つことで、吸引装置34内に水が溜まり、動作不良が起こらないような条件を作ることができる。
【0030】
その後、圧力センサ40の出力が飯の保温温度に適する70℃に相当する水の蒸気圧31kPa(234mmHg)になった場合には、吸引装置制御部41が吸引動作の完了と判断し、開閉弁A31を開状態、開閉弁B32を閉状態、開閉弁C37を閉状態、開閉弁D38を開状態に設定し、吸引装置34を停止する。その後、電磁誘導コイル24を駆動させ、内釜23を加熱して保温を行う。
なお、凝縮器33内には、飯1合に付き15〜20gの凝縮水が溜まり、この凝縮水は蓋22を開けた時に重力により導管36を流れて水受け39に溜まる。この溜まった水は、炊飯器の清掃時等に合わせて廃棄する。
【0031】
以上のように、実施の形態2では、実施の形態1と比べて、凝縮器33の温度より吸引装置34の温度が高いため、炊飯器内水蒸気は効率良く凝縮器33内で凝縮し、吸引装置34では凝縮せず、故障しにくい吸引冷却機能を維持することができる。
なお、実施の形態2は、凝縮器33の冷却と吸引装置34の加熱をペルチエ素子42で行ったが、熱交換手段以外に冷却手段、加熱手段を単独で用い、常にTc<Tpの温度条件を保ってもよい。
【0032】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0033】
本発明の請求項1によれば、内釜を収容する炊飯器本体と、この炊飯器本体の上面開口を開閉する蓋と、炊飯後に前記内釜を加熱し、飯を所定温度で保温する加熱手段と、内釜内と炊飯器外部を連通する蒸気排出口と、内釜内の空気を吸引し、内釜外へ排出する吸引装置と、内釜内の空気圧を検出する圧力検出手段と、を備え、炊飯終了後、前記圧力検出手段による空気圧が所定値に達するまでの間は前記蒸気排出口を閉じ、前記吸引装置を稼動させるので、炊飯器内の気体を吸引させて蒸発を促進し、その蒸発潜熱で飯温度を低下させるため、飯に結露を生じさせずに保温に最適な温度まで短時間に達することなり、保温劣化を抑制し、結露水によるフヤケ飯とならずに美味しく保温することができる。嫌気性菌の繁殖を懸念する必要もない。
【0034】
また、内釜内と前記吸引装置の間の通路中に凝縮器を備えたので、水蒸気はほとんど凝縮器で取ることができ、吸引装置に水が混入しないため、水混入による吸引装置の動作不良を防止することができる。
【0035】
さらに、前記凝縮器と前記吸引装置の両方またはいずれか一方に、加熱または冷却手段を備え、前記加熱または冷却手段によって前記凝縮器の温度よりも吸引装置の温度を高くするので、さらに水蒸気の回収効率が高まり、吸引装置に水が混入することによる吸引装置の動作不良を防止することができる。
【0036】
また、前記圧力検出手段による空気圧が所定値に達した後は、前記蒸気排出口を開き、前記吸引装置を停止させるので、飯の保温温度である70℃付近で、吸引動作を停止して無駄な動作を防止し、省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す炊飯器の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す炊飯器の飯の温度変化を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す炊飯器のタイミングチャートを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示す炊飯器の吸引装置による吸引時間、炊飯器内圧力、飯中央部温度、蒸発水分量の関係を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示す炊飯器の断面図である。
【図6】従来の炊飯器の断面図である。
【図7】従来の炊飯器の断面図である。
【符号の説明】
21 炊飯器本体、 22 蓋、 23 内釜、 24 電磁誘導コイル、 24 制御部、 29 吸気管、 30 排気管、 31 開閉弁A、 32 開閉弁B、 33 凝縮器、 33a 放熱フィン、 34 吸引装置、 36導管、 37 開閉弁C、 38 開閉弁D、 40 圧力センサ、 41 吸引装置制御部、 42 ペルチエ素子。
Claims (4)
- 内釜を収容する炊飯器本体と、
この炊飯器本体の上面開口を開閉する蓋と、
炊飯後に前記内釜を加熱し、飯を所定温度で保温する加熱手段と、
内釜内と炊飯器外部を連通する蒸気排出口と、
内釜内の空気を吸引し、内釜外へ排出する吸引装置と、
内釜内の空気圧を検出する圧力検出手段と、を備え、
炊飯終了後、前記圧力検出手段による空気圧が所定値に達するまでの間は前記蒸気排出口を閉じ、前記吸引装置を稼動させることを特徴とする炊飯器。 - 内釜内と前記吸引装置の間の通路中に凝縮器を備えたことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
- 前記凝縮器と前記吸引装置の両方またはいずれか一方に、加熱または冷却手段を備え、前記加熱または冷却手段によって前記凝縮器の温度よりも吸引装置の温度を高くすることを特徴とする請求項1または2記載の炊飯器。
- 前記圧力検出手段による空気圧が所定値に達した後は、前記蒸気排出口を開き、前記吸引装置を停止させることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
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