JP4317641B2 - 防火区画用スクリーン装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の幕体を横並び状態で配列して、それぞれの幕体を同期して繰り出しするようにした防火区画用スクリーン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の内部には、従来から火災時に備えて、火炎や煙を遮断するための防火隔壁や防火シャッターなどの防火設備が計画的に配備されており、最近、これら防火隔壁や防火シャッターなどに代わる新しい防火設備として、不燃性や耐火性の幕体を使用して火炎や煙を遮断する防火区画用スクリーン装置が提案されている。
【0003】
この防火区画用スクリーン装置は、不燃性または耐火性に富み可撓性を有するスクリーンとしての幕体を天井部分に設置した巻取り軸に巻回しておき、該巻取り軸を正・逆回転することにより当該幕体を繰り出したり巻き取ったりするようになっている。そして、巻取り軸から幕体を下方に繰り出すことにより、通路や空間部分を画成できるようになっている。
【0004】
このような防火区画用スクリーン装置では、大空間など開口の広い防火区画に設置する場合には巻取り軸寸法の肥大化防止、装置の製造や搬入,設置の簡便化・合理化を図るために、幕体および巻取り軸を分割している。しかし、このように分割した場合は隣接する幕体同士の間に隙間が生じるため、この隙間を塞ぐ必要があり、例えば、その封止構造としては特許第2936478号によって提案された技術がある。これは、互いに隣接する幕体の側縁それぞれにファスナーを固着し、これらファスナー同士をスライダー部において順次噛合するようになっている。またさらに、このファスナーの噛合部分を表裏から覆うように、各幕体からはそれぞれ、ファスナー部分を一方の側から塞ぐカバーを設けている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなファスナーを用いた封止構造では、幕体側縁のファスナー同士を互いに的確に噛み合わすことができなければ、幕体間に生じる隙間を確実に塞ぐことはできない。このファスナーの噛み合わせを確保するためには、ファスナーで互いに結合される幕体同士が相互に位置ズレすることなく、すなわち幕体同士が互いに相対移動しないように幕体の繰り出しをコントロールする必要があり、従ってファスナーを噛み合わせるスライダー部には、相当の高い精度が要求されるとともに、これに伴って構造も複雑化する。
【0006】
また、一部は噛み合ったけれども一部では噛み合いが得られないなど、ファスナーに噛合ミスが発生した場合には、幕体の側縁が表裏方向に波打つなどの歪みが生じるおそれがある。そして、このようにファスナー同士の噛合が正常に達成されない場合には、ファスナー部分を覆うカバーを備えていても、ファスナーを用いたがゆえの幕体の歪みに起因して、当該歪みによってカバーが押し開けられてそこに隙間が生じることとなり、幕体間を確実に封止することが難しいという課題があった。
【0007】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、きわめて簡単な構造でありながら、幕体の側縁同士の隙間を確実に封止することができて、互いに隣接する幕体相互間の密閉性を確実かつ十分に保証することができる防火区画用スクリーン装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の防火区画用スクリーン装置は、複数の幕体が横並び状態で配置され、これら幕体が同期して繰り出されて防火区画を形成する防火区画用スクリーン装置において、
互いに隣接する幕体の少なくとも一方の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部が形成され、
上記二股状の封止部が互いに重なり合う2枚の幕材によって形成され、少なくとも一方の幕材には、繰り出し過程で上記他方の幕体の側縁を挟み込むために、その繰り出し方向に互いに間隔を隔てて上記封止部を適宜に開くための切り込みが形成され、
上記複数の幕体が繰り出される際に、上記封止部の切込みが形成された幕材を起立させるガイドプレートが設けられ、このガイドプレートにより上記幕材が起立させられた部分において上記他方の幕体の側縁が上記二股状の封止部内に進入するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、互いに隣接する少なくとも一方の幕体の側縁に形成した二股状の封止部が他方の幕体の側縁を挟み込み、これによって幕体の側縁同士の隙間を確実に封止することができて、互いに隣接する幕体相互間の密閉性を確実かつ十分に保証することができる。
【0010】
特に、二股状の封止部は、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込むので、幕体の繰り出し動作中や下降終了時点で幕体同士の間に相対的な位置ズレを生じても、これを吸収することができ、構造簡単にして確実に幕体の側縁間の隙間を封鎖することができる。また、このように相対移動を許容できることは、幕体に歪みが生じた場合でも二股状封止部はこれを吸収することができ、この面からも確実に隙間を封止することができる。さらに、二股状の封止部は、他方の幕体の側縁を表裏両方から一括して覆う形態であるので、幕体の歪みで二股の一方が押されても、他方がこれに追随して幕体側縁に密接するので、これによっても幕体間に生じる隙間を確実に封止することができる。
【0011】
また、上記幕体と同期して繰り出され、少なくとも上記封止部に重ね合わされる補助幕体を設けたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、封止部で幕体の側縁間を密閉した上にさらに、封止部の少なくとも片方を補助幕体によって覆うことができ、封止部と補助幕体との二段構えの密閉構造を作り出すことができて、幕体間の密閉性を更に高めることができる。
【0014】
また、繰り出し過程において、切り込みを介して少なくとも一方の幕材を適宜に開くことができて、これにより開かれた封止部へと他方の幕体の側縁を順次に挟み込んでいくことができ、二股状の封止部に幕体を挟み込みつつ繰り出すという一連の動作を簡単な構造で、円滑かつ確実に達成することができる。
【0015】
また、本発明は、複数の幕体が横並び状態で配置され、これら幕体が同期して繰り出されて防火区画を形成する防火区画用スクリーン装置において、
互いに隣接する幕体のうち少なくとも一方の幕体の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部を形成し、
互いに隣接する上記幕体は、共通のウエイトを介して連結されつつ異なる巻取り軸にそれぞれ巻き取られており、
互いに隣接する幕体の何れか一方の幕体は、上記少なくとも一方の幕体の封止部が上記他方の幕体の側縁を挟み込むように、上記ウエイトの内部で折り返されていることを特徴とする。
さらに、本発明は、複数の幕体が横並び状態で配置され、これら幕体が同期して繰り出されて防火区画を形成する防火区画用スクリーン装置において、
互いに隣接する幕体のうち一方の幕体の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部を形成し、
互いに隣接する上記幕体は、共通のウエイトを介して連結されつつ異なる巻取り軸にそれぞれ巻き取られており、
上記二股状の封止部は、互いに重なり合う2枚の幕材によって形成され、これら2枚の幕材は拡開した状態で上記ウエイトに連結され、
上記他方の幕体は上記ウエイトの内部で折り返されて、上記2枚の幕材の上記ウエイトへの連結位置の間の位置において上記ウェイトから繰り出し可能とされていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、共通のウエイトで互いに隣接する幕体が同期して繰り出され、この繰り出しのときに、いずれかの幕体がウエイトで繰り出し自在に折り返されるようになっていて、ウエイトで折り返されつつ繰り出される一方の幕体の折り返し部分と、巻取り軸からそのまま繰り出される他方の幕体相互間で、幕体同士の干渉を避けつつ、封止部による側縁の挟み込みが可能となって、二股状の封止部に幕体を挟み込みつつ繰り出すという一連の動作を簡単な構造で、円滑かつ確実に達成することができる。また、折り返される方の幕体のウエイトに達しない部分が該封止部に沿って配置されて補助幕体として機能するため、2重の気密保持機能を発揮することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1から図5は本発明の防火区画用スクリーン装置の第1実施形態を示し、図1は防火区画用スクリーン装置の正面図、図2は巻取り部分の断面図、図3は巻取り部分の斜視図、図4は図1中A−A線からの拡大断面図、図5は封止部の背面斜視図である。
【0018】
本実施形態の防火区画用スクリーン装置10は、基本的には複数の幕体12,14が横並び状態で配置され、これら幕体12,14が同期して繰り出されて防火区画を形成するようになっていて、特に、互いに隣接する幕体12,14のうち、少なくともいずれか一方の幕体14の側縁に、他方の幕体12の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部34を形成して構成されている。
【0019】
即ち、図1に示すように本実施形態の防火区画用スクリーン装置は、横方向に配列される複数の主幕体12と、これら主幕体12間に配置される副幕体14とを備え、これら主幕体12と副幕体14は横並び状態で配置される。これら主幕体12および副幕体14は、ガラス繊維の織布やシリカクロスなど布製の素材を用いて形成され、不燃性あるいは耐火性に富んだ可撓性を有する。
【0020】
上記各主幕体12はそれぞれに設けられた主巻取り軸16に巻回され、該主巻取り軸16が正回転することにより主幕体12は巻き取られて上昇し、逆回転することにより主幕体12は下方に繰り出される。各主巻取り軸16はそれぞれ同軸に配列して、隣接する端部どうしが相互に連結され、図外の巻き取りモータを駆動源として各主巻取り軸16は正回転が制御される。主巻取り軸16の逆回転による主幕体12の繰り出しは、該主幕体12の下端縁に取り付けられる、後述する棒状ウエイト40によって達成される。またこの棒状ウエイト40の重量により、該主幕体12の緊張状態が保持される。
【0021】
上記各主幕体12間には、主巻取り軸16を連結するためのスペースなどを要することから所定の隙間δが設けられ、この隙間δ部分を覆うように上記副幕体14が配置される。該副幕体14は、副巻取り軸18に巻回されるようになっており、該副巻取り軸18は上記主巻取り軸16の斜め下方に位置して、該主巻取り軸16と平行に配置される。該副巻取り軸18には図外の渦巻き式スプリングなどのねじりトルク発生手段が接続され、これのねじりトルクにより副幕体14を巻き取る方向、つまり正回転方向の回転付勢力が常時与えられ、自然状態で副幕体14を副巻取り軸18に巻き取るようになっている。また、上記ねじりトルク発生手段は副幕体14を繰り出す際に、該副巻取り軸18の逆回転によってねじりトルクが蓄積されるようになっている。
【0022】
図2,図3は上記主巻取り軸16および上記副巻取り軸18の取付け状態を示し、これら主・副巻取り軸16,18は天井裏に設置されるケーシング22内に収納される。上方に配置された主巻取り軸16に巻回された主幕体12は、第1ガイドローラ24によって下方に案内されるとともに、下方に配置された副巻取り軸18に巻回された副幕体14は、第2ガイドローラ26によって下方に案内され、これら主幕体12と副幕体14は第1ガイドローラ24部分で互いに重合される。そして、重合された主幕体12と副幕体14は第3ガイドローラ28によって下方に案内され、天井30を貫通するガイドスリット32を通過して下方に繰り出される。
【0023】
ここで、上記副幕体14は、図4,図5に示すように上記主幕体12間の隙間δより十分に幅広な表幕材14aと、該隙間δより幅広で表幕材14aより幅狭となる裏幕材14bとを縫製Sすることにより構成される。即ち、これら表幕材14aと裏幕材14bは、それぞれの中心を一致させて重合した状態で、その中心部分を上記隙間δとほぼ等しい間隔Wをもって対称に縫製Sされる。このとき、表幕材14aと裏幕材14bは、縫製S位置より外方部分が二股状の2枚の幕片34a,34bとなって二股状封止部34が構成され、該二股状封止部34、つまり幕片34a,34b間に主幕体12の側縁を挟み込むようになっている。従って、このように二股状封止部34に主幕体12を挟み込んだ状態では、主幕体12と副幕体14との間が該二股状封止部34を介して密閉されることになり、ひいては主幕体12どうしの間(隙間δ部分)が該副幕体14を介して密閉されることになる。
【0024】
ところで、上記主幕体12と二股状封止部34との関係は、それぞれ独立した主巻取り軸16および副巻取り軸18から主幕体12および副幕体14とが繰り出される際に、主幕体12の側縁が副幕体14の二股状封止部34に進入し、また、主巻取り軸16および副巻取り軸18に巻き取られる際に、二股状封止部34から主幕体12が分離することになる。このように主幕体12を二股状封止部34に進入または分離させるには、二股状封止部34の主幕体12が位置する側の幕片34bを、進入・分離部分で起立させることにより行われる。
【0025】
そこで、本実施形態では幕片34bを起立するために、図2,図3に示したように第1ガイドローラ24を副幕体14の配置部分で隙間δの間隔をもって分断し、その分断した対向部に上記幕片34bを起立するためのガイドプレート36を取り付けてある。該ガイドプレート36は中央部が副幕体14に対して直角に立ち上がるとともに、副幕体14の移動方向両端部が外方に後退した形状となり、副幕体14が巻取りまたは繰り出しに伴って移動すると、前記幕片34bは該ガイドプレート36端部の後退部分で起立方向に案内されつつ中央部の立上り部分で直立される。ここで、本実施形態では前記幕片34bには図5に示すように、起立を容易にするために該幕片34bの全長に亘って切り込み38を等間隔に形成してある。該切り込み38が形成される間隔は、前記ガイドプレート36の案内方向長さより短く設定される。
【0026】
ところで、上記各主幕体12の下端部間には図1に示したように棒状ウエイト40が連続して水平に取付けられる。そして、該棒状ウエイト40の重量によって主幕体12を下降させるとともにその緊張状態を保持し、主巻取り軸16から主幕体12が繰り出されて棒状ウエイト40が着床された状態で、主幕体12が火災による圧力で煽られた場合にも容易に移動するのを防止する。
【0027】
また、上記副幕体14の下端部は上記棒状ウエイト40に固定され、主幕体12が主巻取り軸16から繰り出されて下降する際に、該副幕体14は棒状ウエイト40の重量により副巻取り軸18から繰り出されるようになっている。一方、主幕体12が主巻取り軸16に巻き取られて上昇する際には、副幕体14もねじりトルクが付加されている副巻取り軸18に巻き取られる。もって、主巻取り軸16および副巻取り軸18による巻取りおよび繰り出しが同期して行われるようになっている。このとき、上記ねじりトルク発生手段により副巻取り軸に付加するトルクは、棒状ウエイト40の重量より小さく、副幕体14の総重量より大きく設定されることはいうまでもない。
【0028】
以上の構成により本実施形態の防火区画用スクリーン装置10にあっては、通常時は主幕体12および副幕体14が主巻取り軸16および副巻取り軸18に巻き取られた状態にある。そして、火災発生などの非常時には主巻取り軸16の回転を制動している図示しないロックを外して制動を解除し、棒状ウエイト40の重量によって該主巻取り軸16を逆回転し、これによって主幕体12は繰り出されて棒状ウエイト40とともに下降される。このとき、棒状ウエイト40の下降によって副幕体14の下端部が引っ張られ、これによって副巻取り軸18の逆回転を伴いつつ副幕体14が上記主幕体12と同期して下降される。
【0029】
このように主幕体12および副幕体14が主巻取り軸16および副巻取り軸18から繰り出される際、副幕体14に設けた二股状封止部34の一方の幕片34aはガイドプレート36によって起立され、この起立部分から主幕体12の側縁が二股状封止部34内に進入する。そして、該主幕体12が進入した後、該幕片34aはガイドプレート36を通過した時点で元の状態、つまり平坦な状態に復元され、表裏の幕片34a,34b間に主幕体12の側縁を密接して挟み込む。このような挟み込み動作が上記ガイドプレート36部分で連続して行われることにより、主幕体12と副幕体14は上記二股状封止部34を介して合体した状態で順次繰り出されることになる。
【0030】
従って、相互に隣接される主幕体12と副幕体14との間は、上記二股状封止部34の2枚の幕片34a,34bで覆われて、両者間を密閉することができる。つまり、このことは主幕体12間の隙間δ部分が副幕体14を介して密閉されることになり、複数の主幕体12を幅方向に繋ぎ合わせた場合にも、気密性を確保して本来の防火防煙機能を十分に発揮できるようになる。そして、このように隣接される主幕体12と副幕体14との間、ひいては隣接される主幕体12どうしの間の気密保持が、2枚の幕片34a,34bを設けるという簡単な構造の二股状封止部34によって達成されるためコスト的にも有利になる。
【0031】
また、主幕体12と副幕体14との合体が、二股状封止部34を介して相手側の幕体を単に挟み込む構造であるため、両幕体12,14間の相対的な位置ズレを挟み込み部分の滑りにより許容することができる。このため、隣接される主幕体12と副幕体14との間、または隣接される主幕体12どうしの間に、例えば巻回部分の巻きむらやガイドローラ24,26,28の摩擦などによって相対的なずれが発生した場合にも、このずれを上記二股状封止部34が吸収して隙間が発生するのを防止することができる。従って、前記棒状ウエイト40が着床して主幕体12および副幕体14によって空間部を遮断した状態では、上記二股状封止部34によって隙間が表裏両面から覆われるため、この遮断された内,外空間のいずれの方向の空気移動に対しても高い密閉性を発揮することができる。
【0032】
そして、火災などの非常状態が解消されて主幕体12を上昇する際には、モータを駆動して主巻取り軸12を正回転することにより、該主幕体12は巻き取られて棒状ウエイト40とともに上昇される。また、副幕体14はこの主幕体12の上昇とともに、トルク発生手段のねじりトルクで副巻取り軸18が逆回転することで、主幕体12と同期して巻き取られる。このとき、主幕体12および副幕体14が主巻取り軸16および副巻取り軸18にそれぞれ巻き取られる直前では、主幕体12の側縁が二股状封止部34に挟み込まれる動作とは逆に、ガイドプレート36によって幕片34bが起立された部分で主幕体12が二股状封止部34から分離される。
【0033】
このように、上記二股状封止部34に主幕体12の側縁が進入し、または分離する際に一方の幕片34bを起立させるようになっているが、該幕片34bには所定間隔をもって切り込み38が形成されているため、該切り込み38によって幕片34bは容易に起立されることになる。このため、二股状封止部34に主幕体12の側縁を挟み込みつつ主幕体12および副幕体14を繰り出すという一連の動作、および二股状封止部34から主幕体12を分離しつつ主幕体12および副幕体14を主巻取り軸16および副巻取り軸18に巻き取るという一連の動作が円滑に行われることになる。
【0034】
図6は他の実施形態を示し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。同図は上記図4に対応する断面図で、二股状封止部34の挟み込み部分の少なくとも片面を補助幕体60によって覆うようにしたものである。
【0035】
即ち、図6に示すように補助幕体60は二股状封止部34の裏側、つまり副幕体14の裏幕材14b側に配置される。該補助幕体60は、副幕体14と同様に上端部がねじりトルクが付加される図外の巻取り軸に巻回されるとともに、下端部が棒状ウエイト40に取付けられる。補助幕体60は副幕体14の表幕材14aとほぼ等しい幅に形成され、該補助幕体60の両側部分で二股状封止部34の幕片34bを全体的に覆うようになっている。
【0036】
従って、この実施形態では主幕体12と副幕体14との間が二股状封止部34を介して密閉された状態で、更に上記補助幕体60によって該二股状封止部34の挟み込み部分を覆うことができるため、主幕体12と副幕体14との間、ひいては隣接される主幕体12どうしの間の密閉機能を更に高めることができる。特に、この実施形態では上記補助幕体60が裏幕材14b側に配置されたことにより、切り込み38が形成された幕片34bを該補助幕体60で覆うことができるため、該切り込み38によって密閉性が損なわれるおそれを無くすことができる。
【0037】
ところで上記実施形態では、主幕体12間に別途副幕体14を備えてこれに二股状封止部34を形成する構成を示したが、このような副幕体14を介在させることなく、互いに隣接する主幕体12のいずれかに直接二股状封止部34を形成するようにしてもよいことは勿論である。また、前記各実施形態では副幕体14側に二股状封止部34を形成したが、これに限ることなく図7に示すように主幕体12側に二股状封止部34を形成して、これに副幕体14の両側縁を挟み込むようにしてもよい。
【0038】
図8から図10は本発明の防火区画用スクリーン装置10aの第2実施形態を示し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図8は幕体の巻取り部分の断面図、図9は拡開機構部分の斜視図、図10は図8中B−B線からの断面斜視図である。
【0039】
この実施形態の防火区画用スクリーン装置10aは、上記実施形態と同様に、複数の主幕体12と、これら主幕体12間に配置される副幕体14とが横並び状態で配置されるようになっており、また、主幕体12はそれぞれに設けられた主巻取り軸16の正,逆回転により巻取りおよび繰り出しが行われるとともに、副幕体14は、副巻取り軸18に巻回されて上記主巻取り軸16に同期して巻取りおよび繰り出しが行われる。
【0040】
そしてこの実施形態では基本的には、互いに隣接する主幕体12および副幕体14は、共通の棒状ウエイト108を介して連結されつつ異なる主巻取り軸16および副巻取り軸18にそれぞれ巻き取られているとともに、これら幕体の少なくともいずれか一方、図示例では副幕体14は、主幕体12に設けられた二股状封止部102が副幕体14の側縁を挟み込み可能に棒状ウエイト108で繰り出し自在に折り返されて構成されている。副巻取り軸18は、主幕体12および副幕体14の繰り出し部分100に対して上記主巻取り軸16とは反対側に配置され、主巻取り軸16から繰り出される主幕体12と、副巻取り軸18から繰り出される副幕体14とは、上記繰り出し部分100に向かって互いに進むことになる。また、この実施形態では、二股状封止部102は主幕体12の側縁に形成されるようになっており、この二股状封止部102の表幕材102aと裏幕材102bとの間に、副幕体14の両側縁が挟み込まれる状態となる。そして、上記二股状封止部102は、主幕体12が主巻取り軸16に巻き取られる際、閉じ状態で一緒に巻き込まれることになる。
【0041】
上記繰り出し部分100には、繰り出された主幕体12を天井30に形成したガイドスリット32に案内するメインガイドローラ104が設けられるとともに、該メインガイドローラ104に隣接させて主巻取り軸16から離れる方向に適宜距離だけ離隔して、端部が上記二股状封止部102の幕片102a,102b間に挿入される拡開機構としての拡開用ガイド106が設けられる。上記メインガイドローラ104は、主幕体12の略全幅に亘って連続して配置され、その両端部が図示しない支持部材を介して上方の天井スラブ等の躯体に支持されるとともに、上記拡開用ガイド106は副幕体14の略全幅に相当する長さを有し、その中央部分が図示しない支持部材を介して上方の天井スラブ等の躯体に支持される。
【0042】
上記主幕体12は下端縁が棒状ウエイト108に取付けられるが、このとき、上記二股状封止部102の下端部も幕片102a,102bがそれぞれ該棒状ウエイト108に連結される。また、該棒状ウエイト108は中空状に形成され、内部に副幕体14の折り返しガイド110が設けられるとともに、該棒状ウエイト108の上面には副幕体14の折り返しに対応させて、少なくとも一方の幕片102bを挟むようにして1対のスリット112,112aが形成される。これらスリット112,112aのうち幕片102bよりも主巻取り軸16側に形成されるスリット112aは、二股状封止部102の幕片102a,102b間に設けられる。
【0043】
そして、上記副巻取り軸18から繰り出された副幕体14は、サブガイドローラ114により下方に案内された後、一方のスリット112から棒状ウエイト108内に挿入され、そして、上記折り返しガイド110を周回して上方に折り返された後、上記他方のスリット112aから繰り出される。そして、該スリット112aから繰り出された副幕体14は、側縁が二股状封止部102の幕片102a,102b間に挿入されながら、その上端部が上記拡開用ガイド106に連結される。
【0044】
従って、この実施形態では火災発生によりロックが外れて、主幕体12および副幕体14に棒状ウエイト108の重量が作用すると、主幕体12は、主巻取り軸16から繰り出されるとともに、副幕体14は、先端部が拡開用ガイド106に固定された状態で、折り返しガイド110に周回される中間部分が上記棒状ウエイト108を介して繰り出されつつ、全体が副巻取り軸18から繰り出される。
【0045】
このとき、主巻取り軸16から主幕体12が繰り出されるに伴って、二股状封止部102は、一方の幕片102aがメインガイドローラ104から下方に案内されるのに対し、他方の幕片102bは拡開用ガイド106を介して下方に案内されるため、繰り出し過程では幕片102a,102b間に僅かながら隙間が形成される。この際、折り返しガイド110を周回して見かけ上、上方へ繰り出される副幕体14は、その側縁が上記二股状封止部102の幕片102a,102b間に順次挟み込まれていく。さらに、サブガイドローラ114から折り返しガイド110に至る副幕体14は、上記二股状封止部102の一方を覆うように配置されるため、当該部分の副幕体14は上記の補助幕体として機能する。つまり、上記主幕体12と副幕体14との関係は図10に示すようになり、隣接される主幕体12間の隙間δは、両側縁が封止部102に挟み込まれる副幕体14と、該封止部102の裏側を覆う副幕体14とによって二重の密閉構造となる。
【0046】
また、この実施形態では繰り出し部分100の天井30には、棒状ウエイト108が嵌入される凹部30aが形成され、主幕体12および副幕体14が巻き取られて格納された際に、棒状ウエイト108が凹部30aに収納されて天井30面が平坦化される。
【0047】
従って、この実施形態の防火区画用スクリーン装置10aでは、前記各実施形態と同様に、二股状封止部102によって横並び状態の主幕体12と副幕体14との間の気密性を保持するとともに、補助幕体としての機能をも同時に発揮できるため、高い防火・防煙機能を達成することができる。特に、この実施形態では副幕体14を折り返しガイド110で折り返すことにより、主幕体12間の気密保持と、当該気密保持部分の裏側を覆う補助幕体とを単一の副幕体14によって同時に確保することができる。
【0048】
ところで、この実施形態では主幕体12の側縁に二股状封止部102を設けて、これに副幕体14の側縁を挟み込むようにしたが、これに限ることなく拡開用ガイド106を副幕体14側に設けるとともに、折り返しガイド110に主幕体12を周回させることにより、図11に示すように上記二股状封止部102を副幕体14の両側縁に設けることができる。
【0049】
また、本発明では二股状の封止部34,102を介して複数の幕体を連結したが、この場合、前記各実施形態に示した主幕体12と副幕体14との連結に限ることなく、副幕体14を排除して主幕体12同士の連結が可能となる。更に、このように封止部34,102によって隣接される幕体間の気密性を確保できるため、隣接される幕体間、つまり、主幕体12と副幕体14との間、または主幕体12同士の間に適宜角度を持たせて、スクリーン装置10を全体的に湾曲させることができる。さらに幕体同士の連結部分に、ガイド用として方立等の設置物を用いる必要もなくなり、幕体を格納した場合の空間を広く使用することができる。
【0050】
なお、幕体同士の封止部分は二股状に限らず、一例として図12に示したように、例えば主幕体12および副幕体14の端縁を、当該端縁同士が互いに重なり合うように反対向きに折り曲げて、いわゆるカシメの形態の封止部分116として構成してもよい。
【0051】
また、前記各実施形態では、主幕体12の繰り出しを棒状ウエイト40,108の重量で行う場合を説明したが、モータによって繰り出し制御するようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に示す防火区画用スクリーン装置にあっては、互いに隣接する幕体の少なくとも一方の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部を形成したので、互いに隣接する少なくとも一方の幕体の側縁に形成した二股状の封止部によって他方の幕体の側縁を挟み込むことができ、幕体の側縁同士の隙間を確実に封止することができて、互いに隣接する幕体相互間の密閉性を確実かつ十分に保証することができる。
【0053】
特に、二股状の封止部は、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込むので、幕体の繰り出し動作中や下降終了時点で幕体同士の間に相対的な位置ズレを生じても、これを吸収することができ、構造簡単にして確実に幕体の側縁間の隙間を封鎖することができる。また、このように相対移動を許容できることは、幕体に歪みが生じた場合でも二股状封止部はこれを吸収することができ、この面からも確実に隙間を封止することができる。さらに、二股状の封止部は、他方の幕体の側縁を表裏両方から一括して覆う形態であるので、幕体の歪みで二股の一方が押されても、他方がこれに追随して幕体側縁に密接するので、これによっても幕体間に生じる隙間を確実に封止することができる。
また、繰り出し過程において、切り込みを介して少なくとも一方の幕材を適宜に開くことができて、これにより開かれた封止部へと他方の幕体の側縁を順次に挟み込んでいくことができ、二股状の封止部に幕体を挟み込みつつ繰り出すという一連の動作を簡単な構造で、円滑かつ確実に達成することができる。
【0054】
また、本発明の請求項2に示す防火区画用スクリーン装置にあっては、上記幕体と同期して繰り出され、少なくとも上記封止部に重ね合わされる補助幕体を設けたので、封止部で幕体の側縁間を密閉した上にさらに、封止部の少なくとも片方を補助幕体によって覆うことができ、封止部と補助幕体との二段構えの密閉構造を作り出すことができて、幕体間の密閉性を更に高めることができる。
【0056】
また、本発明の請求項3に示す防火区画用スクリーン装置にあっては、複数の幕体が横並び状態で配置され、これら幕体が同期して繰り出されて防火区画を形成する防火区画用スクリーン装置において、互いに隣接する幕体のうち少なくとも一方の幕体の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部を形成し、互いに隣接する上記幕体は、共通のウエイトを介して連結されつつ異なる巻取り軸にそれぞれ巻き取られており、互いに隣接する幕体の何れか一方の幕体は、上記少なくとも一方の幕体の封止部が上記他方の幕体の側縁を挟み込むように、上記ウエイトの内部で折り返されていることとし、
更にまた、本発明の請求項4に示す防火区画用スクリーン装置にあっては、互いに隣接する幕体のうち一方の幕体の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部を形成し、互いに隣接する上記幕体は、共通のウエイトを介して連結されつつ異なる巻取り軸にそれぞれ巻き取られており、上記二股状の封止部は、互いに重なり合う2枚の幕材によって形成され、これら2枚の幕材は拡開した状態で上記ウエイトに連結され、上記他方の幕体は上記ウエイトの内部で折り返され、上記2枚の幕材の上記ウエイトへの連結位置の間の位置において上記ウェイトから繰り出し可能とした。
これにより、共通のウエイトで互いに隣接する幕体を同期して繰り出す際に、ウエイトで折り返されつつ繰り出される一方の幕体の折り返し部分と、巻取り軸からそのまま繰り出される他方の幕体相互間で、幕体同士の干渉を避けつつ、封止部による側縁の挟み込みが可能となり、二股状の封止部に幕体を挟み込みつつ繰り出すという一連の動作を簡単な構造で、円滑かつ確実に達成することができる。また、折り返される方の幕体のウエイトに達しない部分が該封止部に沿って配置されて補助幕体として機能するため、2重の気密保持機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す防火区画用スクリーン装置の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の巻取り部分の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の巻取り部分の斜視図である。
【図4】図1中A−A線からの拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の副幕体の背面斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態の他の実施例を示す図4に対応する拡大断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の他の実施例を示す封止部の概略平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の幕体の巻取り部分の断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の拡開機構部分の斜視図である。
【図10】図8中B−B線からの断面斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態の他の実施例を示す封止部の概略平面図である。
【図12】封止部の他の例を示す概略平面図である。
【符号の説明】
10,10a 防火区画用スクリーン装置
12 主幕体
14 副幕体
16 主巻取り軸
18 副巻取り軸
34,102 二股状封止部
34a,34b,102a,102b 幕片
36 ガイドプレート
38 切り込み
40,108 棒状ウエイト
60 補助幕体
110 折り返しガイド
Claims (4)
- 複数の幕体が横並び状態で配置され、これら幕体が同期して繰り出されて防火区画を形成する防火区画用スクリーン装置において、
互いに隣接する幕体の少なくとも一方の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ、二股状の封止部が形成され、
上記二股状の封止部が互いに重なり合う2枚の幕材によって形成され、少なくとも一方の幕材には、繰り出し過程で上記他方の幕体の側縁を挟み込むために、その繰り出し方向に互いに間隔を隔てて上記封止部を適宜に開くための切り込みが形成され、
上記複数の幕体が繰り出される際に上記封止部の切込みが形成された幕材を起立させるガイドプレートが設けられ、このガイドプレートにより上記幕材が起立させられた部分において上記他方の幕体の側縁が上記二股状の封止部内に進入するように構成されていることを特徴とする防火区画用スクリーン装置。 - 上記幕体と同期して繰り出され、少なくとも上記封止部に重ね合わされる補助幕体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の防火区画用スクリーン装置。
- 複数の幕体が横並び状態で配置され、これら幕体が同期して繰り出されて防火区画を形成する防火区画用スクリーン装置において、
互いに隣接する幕体のうち少なくとも一方の幕体の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部を形成し、
互いに隣接する上記幕体は、共通のウエイトを介して連結されつつ異なる巻取り軸にそれぞれ巻き取られており、
互いに隣接する幕体の何れか一方の幕体は、上記少なくとも一方の幕体の封止部が上記他方の幕体の側縁を挟み込むように、上記ウエイトの内部で折り返されていることを特徴とする防火区画用スクリーン装置。 - 複数の幕体が横並び状態で配置され、これら幕体が同期して繰り出されて防火区画を形成する防火区画用スクリーン装置において、
互いに隣接する幕体のうち少なくとも一方の幕体の側縁に、他方の幕体の側縁を相対移動自在に挟み込んでこれら幕体の側縁同士の隙間を塞ぐ二股状の封止部を形成し、
互いに隣接する上記幕体は、共通のウエイトを介して連結されつつ異なる巻取り軸にそれぞれ巻き取られており、
上記二股状の封止部は、互いに重なり合う2枚の幕材によって形成され、これら2枚の幕材は拡開した状態で上記ウエイトに連結され、
上記他方の幕体は上記ウエイトの内部で折り返されて、上記2枚の幕材の上記ウエイトへの連結位置の間の位置において上記ウェイトから繰り出し可能とされていることを特徴とする防火区画用スクリーン装置。
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