JP3964802B2 - スクリーン装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築構造物内の通路開口等に設置され、火災等の必要時に該通路開口を遮蔽することにより、煙や火炎の拡散を防止したり、あるいは風や埃塵等の進入を防止したりするスクリーン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築構造物等の内部で、火災時の煙が拡散するのを防止する手段として、通路開口に設置されて火災等の必要時に該通路開口を遮蔽する遮煙スクリーン装置が知られている。
【0003】
かかる遮煙スクリーン装置として、例えば、通路開口の両側部にそれぞれが配設される一対のガイドレールと、両該ガイドレール間の上方に回動自在に配設される巻き取りドラムと、該巻き取りドラムに巻き取られて両該ガイドレール間を上昇するとともに巻き戻されて下降することにより両該ガイドレール間を開放・閉鎖可能なシート体とを備えたものが知られている。
【0004】
この遮煙スクリーン装置によれば、例えば、火災時の火災信号等により巻き取りドラムからシート体を巻き戻す方向に該巻き取りドラムを駆動回転させれば、該巻き取りドラムから巻き戻されて下降するシート体により両ガイドレール間を閉鎖することができる。
【0005】
ここに、上記遮煙スクリーン装置では、各上記ガイドレールが互いに対向して上下方向に連続して延びる挿入口をそれぞれ有しており、上記シート体は各該ガイドレールの各該挿入口に各幅方向端部がそれぞれ挿入された状態で昇降可能とされている。このため、この遮煙スクリーン装置では、シート体が両ガイドレール間を下降して両ガイドレール間を閉鎖した火災時に、熱風等によりシート体が押圧されると、その圧力によりシート体の両幅方向端部が両ガイドレールの挿入口の一方側の開口縁部に密着し、これによりシート体の両幅方向端部と両ガイドレールとの間から煙等が漏れ難くなっている。
【0006】
しかし、シート体に作用する押圧力が大きくなると、シート体の幅方向端部がガイドレールの挿入口から抜け出てしまうおそれがある。このようにシート体の幅方向端部がガイドレールの挿入口から抜き出た状態では、遮煙機能を有効に果たし得ない。
【0007】
このような問題は、上記遮煙スクリーン装置と同様の構成を有する、通路開口を閉鎖して風や塵埃等の進入を防止するためのスクリーン装置においても、同様に発生しうる。
【0008】
そこで、シート体に作用する押圧力が大きくなってもシート体の幅方向端部がガイドレールの挿入口から抜き出ることを防止すべく、両ガイドレール間を閉鎖した状態にあるシート体の幅方向端部がガイドレールの挿入口から抜け出ることを防止するストッパ機構を備えたスクリーン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
このスクリーン装置に係るストッパ機構は、シート体の幅方向端部が挿入される絞り部をガイドレール内に形成し、この絞り部の隙間よりも大きなストッパ体をシート体の幅方向端部の先端に取り付けることにより構成されている。詳しくは、ガイドレールの対向内壁面に、凸条部が上下方向に連続して延びる一対の断面略くの字状帯板を該凸条部が対向するように取り付けることにより、両帯板の凸条部間に絞り部を形成する。そして、絞り部よりも奥に挿入されるシート体の幅方向端部に、該幅方向端部から先端側の一部が水平方向にはみ出す複数のガイド片をシート体の長手方向に沿って所定間隔で配設、固定するとともに、各ガイド片の先端に2個の袋状ナットを表裏からそれぞれ共締めすることにより、絞り部の開口幅よりも大きな複数のストッパ体を構成する。
【0010】
したがって、このストッパ機構によれば、シート体が両ガイドレール間を下降して閉鎖した状態で、シート体の幅方向端部に取り付けられた各ストッパ体が絞り部にそれぞれ係止するすることにより、シート体の幅方向端部がガイドレールから抜け出ることを確実に防止することができる。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−328321号公報(第2−3頁、第1図及び第2図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のスクリーン装置のストッパ機構は、シート体の長手方向に沿って所定間隔で配設された複数のストッパ体がガイドレール内の絞り部に係止するものである。すなわち、このストッパ機構では、各ストッパ体自身と絞り部との当接部位ではそれぞれシール性を確保することができても、ストッパ体と絞り部との当接によりガイドレールの全体にわたって上下方向に連続してシール性を確保することができる構成となっていない。
【0013】
このため、シート体に作用する押圧力の変動等によりシート体の幅方向端部と絞り部との間に隙間が生じた場合には、煙等がその隙間から漏れ出るおそれがあり、シート体の幅方向端部におけるシール性をより確実に確保することが困難である。
【0014】
また、ガイドレールの内壁面に一対の帯板を固定するとともに、先端に2個の袋状ナットを表裏から共締めした複数のガイド片をシート体の幅方向端部に取り付けることにより、ストッパ機構を構成していることから、部品点数が多く、その製造や組付けが面倒である。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、シート体の幅方向端部においてガイドレールの上下方向に連続してシール性を確実に確保することでき、しかも部品点数が少なく製造や組付けの簡単なストッパ機構を備えたスクリーン装置を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のスクリーン装置は、建築構造物内の開口部の両側部にそれぞれが配設される一対のガイドレールと、両該ガイドレール間の上方に回動自在に配設される巻き取りドラムと、該巻き取りドラムに巻き取られて両該ガイドレール間を上昇するとともに巻き戻されて下降することにより両該ガイドレール間を開放・閉鎖可能なシート体とを備えたスクリーン装置において、各上記ガイドレールは、互いに対向して上下方向に連続して延びて設けられ上記シート体の各幅方向端部がそれぞれ挿入される幅狭挿入口と、該幅狭挿入口の奥で上下方向に連続して延びて設けられ該幅狭挿入口の開口幅よりも大きな幅の幅広収納空間とをそれぞれがもつ一方、上記シート体は、該幅狭挿入口の開口幅よりも大きな幅をもち該シート体が下降して両該ガイドレール間を閉鎖した状態にあるときに該幅広収納空間内に上下方向に連続して延びて存在するシール機能付きストッパ体を各該幅方向端部にそれぞれ有し、上記シール機能付きストッパ体は、上記シート体の幅方向端部の先端に設けられ該シート体の長手方向に連続して延びる内部空間を形成する袋状側部と、該袋状側部の該内部空間内に収納され該シート体の長手方向に連続して延びるボールチェーンとからなることを特徴とするものである。
【0017】
このスクリーン装置では、シート体が両ガイドレール間を昇降するとき又は閉鎖しているときに、シート体の幅方向端部に設けられたシール機能付きストッパ体(袋状側部の外面)がガイドレール(幅広収納空間の内壁面や幅狭挿入口の開口端縁等)に当接して係止されるにより、シート体の幅方向端部がガイドレールの幅狭挿入口から抜け出ることを確実に防止することができる。したがって、両ガイドレール間におけるシート体の昇降を確実かつスムースに行うことが可能となる。
【0018】
そして、シート体が両ガイドレール間を閉鎖しているときは、ガイドレールの幅広収納空間内で上下方向に連続して延びて存在するシール機能付きシート体(袋状側部の外面)とガイドレール(幅広収納空間の内壁面や幅狭挿入口の開口端縁等)との当接により、シート体の幅方向端部において、ガイドレール内で上下方向に連続してシール性を確実に確保することができる。したがって、両ガイドレール間を下降して閉鎖した状態にあるシート体の両側部を上下方向に連続して確実にシールして気密性を高めることができ、煙、風や塵埃等を確実に遮断することが可能となる。
【0019】
また、シール機能付きストッパ体を構成するボールチェーンのボール部における剛性により、シール機能付きストッパ体(袋状側部の外面)とガイドレール(幅広収納空間の内壁面や幅狭挿入口の開口端縁等)との係止力が高まるので、シート体の幅方向端部がガイドレールの幅狭挿入口から抜け出ることをより確実に防止することができるとともに、シート体の幅方向端部におけるシール性をより確実に確保することができる。
【0020】
しかも、ボールチェーン自体は全体的に見れば可撓性があり、ロール状に巻き取ることができるため、シート体の幅方向端部の先端に設けられた袋状側部の内部空間内にボールチェーンを収納してなるシール機能付きストッパ体を、シート体と共に巻き取りドラムに巻き取ることが可能となる。そして、シート体の下降時には、ボールチェーンが自重等により直線状に伸びようとするため、シート体の両幅方向端部の姿勢が安定し、シート体をより円滑に下降させることが可能となる。
【0021】
さらに、シール機能付きストッパ体は、シート体の幅方向端部に設けられた袋状側部内にボールチェーンを収納してなるため、その構成が簡素であり、部品点数も少ないことから、その製造や組付けが簡単となる。
【0022】
好適な態様において、前記ガイドレールは、被取り付け部材に固定手段により固定されて取り付けられる第1部材と、該固定手段を覆うように該第1部材に結合された第2部材とからなる。
【0023】
この態様によれば、被取り付け部材(建築構造物内の開口部の両側にある室内側壁等)に対してボルトやビス等の固定手段を用いてガイドレールを固定する際に、被取り付け部材に第1部材を固定するための固定手段を第2部材で覆って隠すことができる。このため、固定手段を用いてガイドレールを被取り付け部材に確実に固定しつつ、ガイドレールの意匠性を向上させてその外観を良好なものとすることが可能となる。
【0024】
好適な態様において、前記ガイドレールは押し出し成形品よりなり、前記幅狭挿入口及び前記幅広収納空間は押し出し成形により所定形状に形成されている。
【0025】
この態様によれば、ガイドレール内に幅狭挿入口や幅広収納空間を形成するための部材を別途製造してガイドレールに固定等させる必要がないことから、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0026】
好適な態様において、前記ガイドレールは板材の曲げ加工品よりなり、前記幅狭挿入口及び前記幅広収納空間は曲げ加工により所定形状に形成されている。
【0027】
この態様によれば、ガイドレール内に幅狭挿入口や幅広収納空間を形成するための部材を別途製造してガイドレールに固定等させる必要がないことから、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0028】
本発明のスクリーン装置は、建築構造物内の所定の位置で、火災時の煙や火炎が拡散するのを防止したり、あるいは風や埃塵等の進入を防止したりするために、建築構造物内の開口部に設置される。この建築構造物内の開口部としては、特に限定されず、例えば、建物内の廊下、出入り口やエレベータの扉の前等の通路開口の他、マンション管理人室のカウンター窓等の窓の開口を挙げることができる。
【0029】
上記建築構造物内の開口部の両側部に設置される各ガイドレールの幅挟挿入口は、シート体が摺接又は非接触状態で通過しうるようにシート体の厚さよりも少なくとも若干大きな開口幅を有するものとすることができ、例えば一定の開口幅で上下方向に連続して延びる一対の対向壁部で形成することができる。ただし、シート体の昇降時における摺動抵抗を無くして、シート体をより円滑に昇降させるべく、ガイドレールの幅狭挿入口の開口幅は、シート体が非接触状態で通過しうるようにシート体の厚さよりも大きくすることが好ましい。
【0030】
また、各ガイドレールの幅広収納空間は、少なくとも幅挟挿入口の開口幅よりも大きな幅をもつとともに、シール機能付きストッパ体を収納可能でかつ該シール機能付きストッパ体が上下方向に摺動又は非接触状態で遊動可能な空間とすることができる。ただし、シート体の昇降時における摺動抵抗を無くして、シート体をより円滑に昇降させるべく、ガイドレールの幅広収納空間は、シール機能付きストッパ体が非接触状態で遊動しうる大きさ及び形状とすることが好ましい。また、幅広収納空間は、シール機能付きストッパ体との当接(好ましくは面接触)によりシール機能を果たしうる断面形状(内面形状)が上下方向に連続して延びたものとすることが好ましい。
【0031】
ガイドレールの材質は特に限定されず、金属又は合成樹脂等とすることができるが、火災時の煙や火炎が拡散するのを防止するための遮煙・遮炎スクリーン装置に本発明のスクリーン装置を適用する場合は、耐熱性の高い材料、例えば鉄又は鉄合金やアルミニウム又はアルミニウム合金とすることが好ましい。特に、火災時の煙が拡散するのを防止するための遮煙スクリーン装置に本発明を適用する場合はアルミニウム又はアルミニウム合金を採用することが好ましく、また、火災時の煙のみならず火炎が拡散するのを防止するための遮炎スクリーン装置に本発明を適用する場合はアルミニウム等よりも耐熱性の高い鉄又は鉄合金を採用することが好ましい。
【0032】
なお、ガイドレールを押し出し成形品により構成する場合は、アルミニウム又はアルミニウム合金を好適に採用することができ、また、ガイドレールを板材の曲げ加工品により構成する場合は、鉄又は鉄合金を好適に採用することができる。板材の曲げ加工品は、曲げ型によるロールホーミング加工やプレス加工等を利用して板材を所定形に曲げ加工することにより得ることができる。
【0033】
両上記ガイドレール間の上方に回動自在に配設される巻き取りドラムとしては、シート体を巻き戻し自在に巻き取るものであれば特に限定されない。この巻き取りドラムは、例えば、正逆回転可能なモータ等の駆動手段を備えた駆動ユニットにより、シート体を巻き取る方向及び巻き戻す方向のいずれにも回転駆動可能なものとすることができる。勿論、正回転のみ可能なモータ等の駆動手段により、シート体を巻き取る(シート体を上昇させる)ときのみに、巻き取りドラムを回転駆動させ、シート体の下降はシート体の自重により行ってもよい。また、手動又は無線等により電気信号若しくは煙感知器信号等の非常用電気信号により解除可能なロック機構を駆動ユニットに内蔵させるとともに、シート体の下端部に重りを取り付けることもできる。こうすれば、停電等によりモータ等の駆動手段が作動しない場合であっても、手動や非常用電気信号等によりロック機構を解除すれば、巻き取りドラムに巻き取られたシート体を、自重により巻き取りドラムから巻き戻すとともにガイドレール間を下降させて閉鎖することができる。なお、上記駆動ユニットとしては、正回転方向(シート体を巻き取って上昇させる方向)に付勢するばね手段や手動によりシート体を巻き取る構成としてもよい。
【0034】
上記巻き取りドラムに巻き取られて両ガイドレール間を上昇するとともに巻き戻されて下降することにより両該ガイドレール間を開放・閉鎖可能なシート体としては、その材質は特に限定されるものではないが、火災時の煙や火炎が拡散するのを防止する遮煙・遮炎用スクリーン装置に本発明のスクリーン装置を適用する場合は、ガラス繊維の織布やシリカクロス等の不燃又は耐火材料とすることが好ましい。
【0035】
【実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0036】
(第1実施形態)
図1〜図12に示す本実施形態は、エレベータ扉の前の通路開口に設置する遮炎用及び遮煙用のスクリーン装置であって、特に、火災時の煙のみならず火炎が拡散するのを防止するための遮炎スクリーン装置に本発明を適用したものである。
【0037】
なお、図1はこの遮炎スクリーン装置の全体構成を示し、シート体が両ガイドレール間を開放した状態にある遮炎スクリーン装置を縦に切断した断面の一部断面端面図であり、図2は図1のA−A線から上方を見た底面図であり、図3は図8のB−B線から下方を見た平面図であり、図4は図1のC−C線から下方を見た平面図であり、図5は図1のD−D線から下方を見た平面図であり、図6は目板部材の側面図であり、図7は目板部材の斜視図であり、図8はシート体が両ガイドレール間を閉鎖した状態にある遮炎スクリーン装置を縦に切断した断面の一部断面端面図であり、図9はシート体が両ガイドレール間を閉鎖した状態にある遮炎スクリーン装置の正面図であり、図10はシート体が両ガイドレール間を閉鎖した状態にある遮炎スクリーン装置の要部断面図であり、図11はガイドレールと被取り付け部材との取り付け構造等を示す要部断面図であり、図12はガイドレールの斜視図である。
【0038】
この遮炎スクリーン装置は、エレベータ扉前の通路開口の両側部にそれぞれが配設される一対のガイドレール1、1と、両ガイドレール1、1間の上方に回動自在に配設される巻き取りドラム2と、この巻き取りドラム2に巻き取られて(巻回されて)両ガイドレール1、1間を上昇するとともに巻き戻されて下降することにより、両ガイドレール1、1間を昇降可能に設けられて両ガイドレール1、1間を開放・閉鎖可能なシート体3とを主に備えている。
【0039】
各上記ガイドレール1、1は、互いに対向して上下方向に連続して延びる幅狭挿入口4、4と、この幅狭挿入口4、4の奥で上下方向に連続して延びかつ幅狭挿入口4、4の開口幅よりも大きな幅の幅広収納空間5、5とをそれぞれが有している。なお、幅挟挿入口4及び幅広収納空間5は、いずれもガイドレール1の全体、すなわちガイドレール1の上端から下端まで連続して延びている。
【0040】
上記幅挟挿入口4は、シート体3が非接触状態で容易に通過しうるようにシート体3の厚さよりも大きな開口幅を有するもので、この一定の開口幅で上下方向に連続して延びる一対の対向壁部6、6(図2参照)間に形成されている。
【0041】
上記幅広収納空間5は、幅挟挿入口4の開口幅よりも大きな幅をもち、後述するシール機能付きストッパ体を収納可能でかつ該シール機能付きストッパ体10が上下方向に非接触状態で遊動可能な断面略五角形状の空間とされている。なお、幅広収納空間5の幅狭挿入口4側には、幅狭挿入口4から幅広収納空間5の奥側に向かうに連れて幅広収納空間5の幅が徐々に広くなるように、対向壁部6、6から連続して延びる一対のテーパ壁部7、7(図2参照)が設けられている。
【0042】
上記ガイドレール1は、図11及び図12に示されるように、上記通路開口の両側の室内側壁11の出っ張り部(被取り付け部材)11bにビス(固定手段)41により固定されて取り付けられた座板(第1部材)42と、座板42に対してボルト43で固定されて結合されたガイドレール本体(第2部材)44とから構成されている。
【0043】
座板42は、曲げ型を用いたロールホーミング加工等を利用して鉄板を折り曲げ加工することにより一体に形成されたもので、出っ張り部11bの出っ張り端面に当接した状態でビス41で固定された底板部42aと、この底板部42aの一端側(図11の右端側で、ガイドレール1の内方側)から連続的に前方(図11の下方で、エレベータロビー側)に屈曲された前方屈曲部42bと、底板部42aの他端(図11の左端側で、ガイドレール1の外方側)から連続的に後方(図11の上方で、エレベータカゴ側)に屈曲された後方屈曲部42cとを有している。なお、座板42の底板部42aには、ビス41を挿通させるための複数の挿通孔(図示せず)がガイドレール1の上下方向(長手方向)に沿って間隔を隔てて貫設されている。また、座板42の後方屈曲部42cには、ボルト43を貫通させるための複数の貫通孔がガイドレール1の上下方向に沿って間隔を隔てて貫設されている。
【0044】
ガイドレール本体44は、曲げ型を用いたロールホーミング加工等を利用して鉄板を折り曲げ加工することにより一体に形成された第1折り曲げ加工品45と、同じく曲げ型を用いたロールホーミング加工等を利用して鉄板を折り曲げ加工することにより一体に形成された第2折り曲げ加工品46とからなる。これら第1折り曲げ加工品45及び第2折り曲げ加工品46は、それぞれ所定の形状に折り曲げ加工される際に、第1折り曲げ加工品45の一端に設けられた折り返し挟持部45aで第2折り曲げ加工品46の一端に設けられた折り曲げ被挟持部46aを挟持することにより両者が一体的に結合されている。
【0045】
なお、第1折り曲げ加工品45においては、折り返し挟持部45aと、幅広収納空間5を区画する一方の底面部45bと、幅広収納空間5を区画する一方の側面部45cと、一方の前記テーパ壁部7と、一方の前記対向壁部6と、ガイドレール1の内方側面のエレベータロビー側の一部を構成する内方側面部45dと、ガイドレール1の主な意匠面たる正面を構成する正面部45eと、ガイドレール1の主な意匠面たる外方側面を構成する外方側面部45fとが一端から他端に向けて順に連続的に設けられている。一方、第2折り曲げ加工品46においては、折り曲げ被挟持部46aと、幅広収納空間5を区画する他方の底面部46bと、幅広収納空間5を区画する他方の側面部46cと、他方の前記テーパ壁部7と、他方の前記対向壁部6と、ガイドレール1の内方側面のエレベータカゴ側の一部を構成する内方側面部46dと、略L字状折り曲げ部46eとが一端から他端に向けて連続的に設けられている。
【0046】
そして、第1折り曲げ加工品45の外方側面部45fが座板42の後方折り曲げ部42cの外側に配設されるとともに、第2折り曲げ加工品46の内方側面部46dが座板42の前方折り曲げ部42bの外側に配設されかつ第2折り曲げ加工品46の略L字状折り曲げ部46eが座板42の底板部42aの一部を覆った状態で、ボルト43により座板42とガイドレール本体44とが一体的に結合されている。このため、この結合状態では、座板42とこの座板42を室内側壁11の出っ張り部11bに固定するためのビス41とは、ガイドレール本体44により完全に覆われて外部から全く見えないようになっている。したがって、出っ張り部11bに対してビス41をガイドレール1を確実に固定しつつ、ガイドレール1の意匠性を向上させてその外観を良好なものとすることができる。また、ガイドレール1の主な意匠面たる正面と外方側面とは、ガイドレール本体44の第1折り曲げ加工品45の正面部45eとこれに連続してかつ一体に設けられた外方側面部45fとによりそれぞれ構成されているため、このガイドレール1は外から分割線が見えず、外観上あたかも一体品のように見え、意匠性に優れている。
【0047】
上記シート体3は、各上記ガイドレール1、1の各上記幅狭挿入口4、4に各幅方向端部(側端部)がそれぞれ挿入された状態で昇降可能に設けられている。このシート体3は、不燃又は耐火材料としてのシリカクロスよりなる。そして、シート体3の先端部(下端部)には、シート体3が自重により両ガイドレール1、1間を下降しうるように重り8がボルト9により取り付けられている。
【0048】
また、シート体3の各幅方向端部には、シート体3が下降して両ガイドレール1、1間を閉鎖した状態にあるときに上記幅広収納空間5内にガイドレール1、1の上端から下端まで全長にわたって上下方向に連続して延びて存在するシール機能付きストッパ体10、10がそれぞれ設けられている。
【0049】
このシール機能付きストッパ体10は、シート体3の幅方向端部の先端に設けられシート体3の長手方向全長(基端から先端までの全体)にわたって連続して延びる内部空間を形成する袋状側部10bと、この袋状側部10bの該内部空間内に収納されシート体3の長手方向全長にわたって連続して延びるボールチェーン10aとから構成されている。なお、袋状側部10bは、シート体3の幅方向端部(側端部)の先端(側端)を袋状に折り返すとともに、この折り返し先端部を二重に重ね折りした状態で縫い付けることにより形成されている。
【0050】
そして、シール機能付きストッパ体10の最大幅(シート体3の厚さ方向における最大幅)及びボールチェーン10aのボール部における外径は、両テーパ壁部7、7間の最大幅(幅広収納空間5の最大幅)よりも小さく、かつ、両テーパ壁部7、7間の最小幅(幅狭挿入口4の開口幅)よりも大きく設定されており、シール機能付きストッパ体10が両テーパ壁部7、7の略中間部分に当接、着座して係止されることにより、シート体3の幅方向端部がガイドレール1の幅狭挿入口4から抜け出ることを防止するとともに、シート体3の両側端部におけるシール性を確保することができるようになっている。
【0051】
なお、シート体3の長さは、巻き取りドラム2から巻き戻されて両ガイドレール1、1間を下降したシート体3の下端部が床面に到達する長さよりも所定量長めに設定されている。
【0052】
また、本実施形態においては、上述のとおり上記シール機能付きストッパ体10と上記幅広収納空間5との間には一定のクリアランスがある。このため、図3に示すように、シート体3の一面側(エレベータロビー側)と他面側(エレベータカゴ側)との間で圧力差のない無圧力時においては、シート体3が両ガイドレール1、1間を下降するとき又は閉鎖した状態にあるときに、シール機能付きストッパ体10は幅広収納空間5の内壁面にそれぞれ当接しておらず、風圧等によりシート体3が一方側又は他方側へ移動してはじめてそれぞれ当接する態様となっている。
【0053】
シート体3の基端部は、該シート体3を両ガイドレール1、1間で昇降させるための巻き取りドラム2に固定されている。この巻き取りドラム2は、図1及び図9に示されるように、上記通路開口の上方の室内側壁11に取り付けられている。すなわち、室内側壁11に台板12がボルト13により張り付け固定され、この台板12の両側端部にボルト14により突設された一対のドラム用支持板15、15に巻き取りドラム2が回動可能に軸支されている。
【0054】
上記巻き取りドラム2は、正回転可能なモータ(図示せず)を備えた駆動ユニット(図示せず)により、シート体3を巻き取る方向に回転駆動可能とされている。そして、この駆動ユニットは、シート体3を巻き取った状態で保持するロック機構(図示せず)を備えており、このロック機構は手動又は無線等の電気信号により解除可能となされている。また、駆動ユニットは、自重により落下しようとするシート体3の落下荷重に対抗してその落下速度を減速せしめてシート体3の急激な落下を防止しうる落下防止機構16を備えている。
【0055】
さらに、巻き取りドラム2の軸2aの両端側には、巻き取りドラム2に巻き取られるシート体3が蛇行するのを規制して、シート体3がきちんと整列した状態で巻き取りドラム2に巻き取られるようにするための一対の規制板17、17が固定されている。
【0056】
加えて、本実施形態の遮炎スクリーン装置は、シート体3の幅方向に連続して延びて設けられ、両上記ガイドレール1、1間を閉鎖した状態にある上記シート体3の上方部を該シート体3の幅方向に連続してシール可能な上部押し付けシール機構20をさらに備えている。
【0057】
この上部押し付けシール機構20は、後述する受け止め部24がエレベータロビー側(図1参照)を向くように両ガイドレール1、1の上端部間に架け渡され、シート体3の幅方向に連続して延びて設けられた目板部材21と、両ガイドレール1、1の上端部間に架け渡されて上記受け止め部24に対してエレベータロビー側の前方に対向配設され、シート体3の幅方向に連続して延びて設けられた押し付けローラ22とを備えている。
【0058】
目板部材21は、曲げ型を用いたロールホーミング加工等を利用して鉄板を折り曲げ加工等することにより製造されたもので、図10に示されるように、上記通路開口の上方の室内側壁11の段部11aに対して密着状態で取り付け可能な取り付け部23と、シート体3を密着状態で受け止め可能な受け止め部24とを有している。
【0059】
目板部材21の取り付け部23は、目板部材21の一端(図10の下端。以下、同様)側に断面略コの字状部材を溶接等で一体的に固着することにより設けられている。
【0060】
一方、目板部材21の受け止め部24は、目板部材21の他端(図10の上端。以下、同様)側を略M字状に折り曲げ加工することにより一体に設けられており、シート体3と当接可能な上下一対の凸状部25、25と、両凸状部25、25間に設けられ、押し付けローラ22で押し付けられたシート体3との間に隙間S(図10参照)を形成しうる断面略V字状の凹状部26とを有している。この凹状部26は、30mmの一定幅(図10の上下方向の幅)で水平方向に延びており、最深部の深さが3mmとされている。また、各凸状部25の先端は鋭角(80度程度)の角部とされている。なお、凸条部25及び凹状部26の形状や寸法は目板部材21等の大きさ等に応じて適宜設定可能であり、例えば、凹状部26の幅は15〜40mm程度、凹状部26の最深部の深さは2〜5mm程度、凸状部25の先端角部の角度は68〜82度程度とすることができる。
【0061】
また、目板部材21の一端側には、該一端側を断面略コの字状に折り曲げ加工することによりカバー部27が一体に設けられている。そして、受け止め部24がエレベータロビー側を向き、取り付け部23の先端が上記段部11aの側面に密着するとともに、カバー部27の先端が上記段部11aの下面に密着した状態で、被取り付け部材としての室内側壁11の段部11aに取り付け部23がボルト28で取り付けられている。
【0062】
押し付けローラ22は、各ガイドレール1の上端部にそれぞれボルト締めされた一対のローラ用支持板29に回動可能に軸支されている。なお、このローラ用支持板29は、図5及び図9に示されるように、エレベータロビー側のガイドレール1の前面にボルト30により固定されている。
【0063】
また、ガイドレール1の前面とローラ用支持板29との間には数枚のスペーサ板(図示せず)が介装されている。このスペーサ板は1〜3mm程度の厚さのもので、ガイドレール1前面とローラ用支持板29との間に介装させる枚数を変えることにより押し付けローラ22の軸心と目板部材21の受け止め部24との距離を変化させて、シート体3を受け止め部24に押し付ける押し付け荷重を調製するためのものである。
【0064】
ここに、本実施形態では、押し付けローラ22で押し付けられたシート体3が目板部材21の受け止め部24の両凸状部25に密着状態で確実に当接するとともに該シート体3と受け止め部24の凹状部26との間に最大で数mm程度の隙間Sが形成され、しかもこの状態を維持しつつ、重り8を備えたシート体3の自重により、該シート体3との接触による押し付けローラの回転に伴って該シート体3が両ガイドレール1、1間を確実に下降しうるように、押し付けローラ22の押し付け荷重が調整されている。
【0065】
また、本実施形態のスクリーン装置では、押し付けローラ22の両端部の上方に一対の案内ローラ31が配設されている。各案内ローラ31は、各上記ローラ用支持板29に一体的に設けられた支持片32に回動可能に軸支されている。なお、この案内ローラ31は、巻き取りドラム2から巻き戻されたシート体3を、目板部材21の受け止め部24と押し付けローラ22との間に案内するためのものである。
【0066】
上記構成を有する本実施形態の遮炎スクリーン装置は、以下のようにしてエレベータ扉前に設置することができる。まず、エレベータ扉前の通路開口の両側部の出っ張り部11bにガイドレール1、1を配設する。すなわち、出っ張り部11bにガイドレール1の座板42をビス41で固定した後、この座板42に対して、第1折り曲げ加工品45及び第2折り曲げ加工品46よりなるガイドレール本体44をボルト43で結合する。そして、通路開口の上方の室内側壁11に巻き取りドラム2を取り付ける。また、この室内側壁11の段部11aに目板部材21を取り付ける。なお、ガイドレール1、巻き取りドラム2及び目板部材21の取り付け順序は特に制限されない。そして、巻き取りドラム2からシート体3を巻き戻し、各シール機能付きストッパ体10を各ガイドレール1の幅広収納空間5内に通しつつシート体3を下降させた後、シート体3の先端に重り8をボルト締めする。その後、押し付けローラ22及び案内ローラ31をガイドレール1に対して取り付けた後、巻き取りドラム2、目板部材21、押し付けローラ22及び案内ローラ31を収容するカバー部材33を上記室内側壁11にボルト締めする。なお、カバー部材33を取り付けた後に、重り8をシート体3に取り付けることも勿論可能である。最後に、上記駆動ユニットを作動させて巻き取りドラム2にシート体3を巻き取って上昇させ、両ガイドレール1、1間を開放した状態として、遮炎スクリーン装置の設置を完了する(図1の状態)。なお、カバー部材33の下面のエレベータカゴ側の端面33aと室内側壁11の上記段部11aとの間にはシート体3の重り8が通過しうる開口34が形成されており、シート体3が巻き取りドラム2に巻き取られて両ガイドレール1、1間を開放した状態にあるときはシート体3の重り8はこのカバー部材33内に収容されている。
【0067】
こうして設置された本実施形態の遮炎スクリーン装置では、火災等の発生あるいは点検等の必要時に、駆動ユニットのロック機構が手動又は無線等の電気信号により解除されると、重り8をもつシート体3の自重により、巻き取りドラム2からシート体3が巻き戻されつつ両ガイドレール1、1間を下降する。このとき、駆動ユニットの落下防止機構により、シート体3の急激な落下は防止される。また、シール機能付きストッパ体10と幅広収納空間5との間には一定のクリアランスがあり、シール機能付きストッパ体10が幅広収納空間5の内壁面に当接していないため、摺動抵抗が生じず、シート体3の下降がスムースに行われる。そして、シート体3の重り8が床面に着床して、シート体3により両ガイドレール1、1間が閉鎖される(図8〜図10の状態)。
【0068】
そして、この遮炎スクリーン装置における上部押し付けシール機構20では、両ガイドレール1、1の上端部間に架け渡された目板部材21の取り付け部23が被取り付け部材としての室内側壁11の段部11aに取り付けられるとともに、この目板部材21の受け止め部24に対してシート体3が押し付けローラ22により所定の押し付け荷重で押し付けられることにより、目板部材21の取り付け部23と段部11aとの間及び目板部材21の受け止め部24とシート体3との間が密着状態とされる。このため、目板部材21と段部11aとの間及び目板部材21とシート体3との間において、所定のシール性を確保することができる。しかも、本実施形態では、押し付けローラ22で押し付けられたシート体3を、目板部材21の受け止め部24に設けられた鋭角な角部よりなる上下一対の凸状部25で受け止めることができるので、シート体3と目板部材21の受け止め部24との間できわめて高いシール性を確保することができる。そして、この目板部材21及び押し付けローラ22よりなる上部押し付けシール機構20はシート体3の幅方向に連続して延びて設けられている。したがって、この上部押し付けシール機構20によれば、両ガイドレール1、1間を下降して閉鎖した状態にあるシート体3の上方部を幅方向に連続して確実にシールして気密性を高めることができ、煙、風や塵埃等を確実に遮断することが可能となる。
【0069】
また、この上部押し付けシール機構20では、シート体3の自重により、シート体3との接触による押し付けローラ22の回転に伴ってシート体3が下降することができるように、押し付けローラ22の押し付け荷重が予め所定の大きさに設定されているので、シート体3の下降時にはシート体3が確実に下降する。このため、スクリーン装置の設置時に巻き取りドラム2の設置位置が正しい位置から例えば上方にずれたとしても、シート体3の下降時には両ガイドレール1、1間を下降するシート体3の下端部が床面に確実に到達して着座しうるため、両ガイドレール1、1間を閉鎖した状態にあるシート体3の下端部と床面との間において所定のシール性を確保することができる。したがって、スクリーン装置の設置後に巻き取りドラム2の設置位置を微調整するという、面倒な調整作業を省略することが可能となる。
【0070】
さらに、シート体3が両ガイドレール1、1間を閉鎖しているときに、例えばエレベータロビー側とエレベータカゴ側との間の圧力差により、シート体3がエレベータロビー側からエレベータカゴ側へたわみつつ移動した場合、シート体3の幅方向端部はシール機能付きストッパ体10と共に内側へ引っ張られつつエレベータカゴ側へ移動する。この移動により、シール機能付きストッパ体10(袋状側部10bの外面)がガイドレール1の幅広収納空間5のテーパ壁部(エレベータカゴ側のテーパ壁部)7に当接して密着状態で係止される。このため、シート体3の幅方向端部がガイドレール1の幅挟挿入口4から抜け出ることを確実に防止することができるとともに、高いシール性を確保して気密性を向上させることができる。また、ガイドレール1の対向壁部(エレベータカゴ側の対向壁部)6とシート体3の幅方向端部とが面接触により当接するため、この部分でもシール性を確保することができる。しかも、シート体3が両ガイドレール1、1間を閉鎖した状態にあるとき、シール機能付きストッパ体10はガイドレール1の上端から下端までガイドレール1の全体にわたって上下方向に連続して延びて存在するため、シート体3の両側部にあるガイドレール1、1内の全体で気密性を確実に向上させることができる。
【0071】
そして、本実施形態のスクリーン装置では、シール機能付きストッパ体10を構成するボールチェーン10aのボール部における剛性により、シール機能付きストッパ体(袋状側部10bの外面)とガイドレール(幅広収納空間の内壁面や幅狭挿入口の開口端縁等)との係止力が高まるので、シート体3の幅方向端部がガイドレール1の幅狭挿入口4から抜け出ることをより確実に防止することができるとともに、シート体3の幅方向端部におけるシール性をより確実に確保することができる。
【0072】
また、上述のとおり、シート体3が両ガイドレール1、1間を閉鎖しているとき、シート体3の両側部のみならず、シート体の上方部でも上部押し付けシール機構20により幅方向に連続してシールして気密性を高めることができる。しかもこの上部押し付けシール機構20の目板部材21は、両ガイドレール1、1の上端部間に架け渡されてシート体3の幅方向に連続して延びて設けられているため、目板部材21の両端部とガイドレール1の上端部間にも隙間がなく、この部分から煙等が流通することもない。
【0073】
したがって、本実施形態によれば、両ガイドレール1、1間を閉鎖したシート体3の両側部及び上方部の3辺を確実にシールすることができる。また、シート体3の下端部は重り8が床面に着床することによりシールされる。よって、エレベータカゴ側とエレベータロビー側とが本実施形態の遮炎スクリーン装置により完全に遮断され、火災等による火炎や煙がエレベータカゴ側とエレベータロビー側との間を流通することを確実に防止することが可能となる。このため、ある階で発生した火災による火炎や煙は該スクリーン装置により遮断され、エレベータシャフトが煙突の役目をして他の階に煙が拡散することを確実に防止することができる。
【0074】
また、シール機能付きストッパ体10を構成するボールチェーン10a自体は全体的に見れば可撓性があり、ロール状に巻き取ることができるため、シート体3の幅方向端部の先端に設けられた袋状側部10bの内部空間内にボールチェーン10aを収納してなるシール機能付きストッパ体10を、シート体3と共に巻き取りドラム2に巻き取ることが可能となる。そして、シート体3の下降時には、ボールチェーン10aが自重等により直線状に伸びようとするため、シート体3の両幅方向端部の姿勢が安定し、シート体3をより円滑に下降させることが可能となる。
【0075】
さらに、シール機能付きストッパ体10は、シート体3の幅方向端部に設けられた袋状側部10b内にボールチェーン10aを収納してなるため、その構成が簡素であり、部品点数も少ないことから、その製造や組付けが簡単となる。
【0076】
加えて、ガイドレール1を構成する座板42及びガイドレール本体44は板材の折り曲げ加工品よりなり、前記幅狭挿入口4及び前記幅広収納空間5等は曲げ加工により所定形状に形成されていることから、ガイドレール内に幅狭挿入口や幅広収納空間を形成するための部材を別途製造してガイドレールに固定等させる必要がなく、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0077】
なお、この実施形態では、被取り付け部材(室内側壁11の出っ張り部11b)に固定手段(ビス41)により固定されて取り付けられる第1部材を座板42により構成するとともに、固定手段を覆うように第1部材に結合される第2部材をガイドレール本体44(第1折り曲げ加工品45と第2折り曲げ加工品46との結合品)により構成する例について示したが、該第1部材を座板42及び第2折り曲げ加工品46よりなる結合品により構成するとともに、該第2部材を第1折り曲げ加工品45により構成することも可能である。
【0078】
すなわち、座板43と第2折り曲げ加工品46とを溶接(ボルト締めでもよい)により予め結合しておき、この結合品を室内側壁11の出っ張り部11bにビス41により取り付けた後、第2折り曲げ加工品46の折り曲げ被挟持部46aに対して第1折り曲げ加工品45の折り返し挟持部45aをはめ込んで結合してもよい。
【0079】
(第2実施形態)
第1実施形態では、火災時の煙のみならず火炎が拡散するのを防止するための遮炎スクリーン装置に本発明を適用した関係上、ガイドレール1及び目板部材21等の材質としてより耐熱性の高い鉄を採用する例について説明したが、煙の拡散を防止するための遮煙スクリーン装置に本発明を適用する場合は、ガイドレール1及び目板部材21等の材質としてアルミニウム又はアルミニウム合金を採用することもできる。
【0080】
すなわち、本実施形態に係るガイドレール47は、図13及び図14に示されるように、上記通路開口の両側の室内側壁11の出っ張り部11bに固定手段としてのビス41により固定されて取り付けられたガイドレール本体(第1部材)48と、ガイドレール本体48に対してボルト43で固定されて一体的に結合されたカバー部材(第2部材)49とから構成されている。
【0081】
ガイドレール本体48は、アルミニウム合金を押し出し成形により一体に形成した押し出し成形品よりなり、シート体3の厚さよりも大きな開口幅で上下方向に連続して延びる前記幅狭挿入口50と、幅挟挿入口50の開口幅よりも大きな最大幅をもち、シール機能付きストッパ体10を収納可能でかつ該シール機能付きストッパ体10が上下方向に非接触状態で遊動可能な断面略楕円形状の幅広収納空間51とを有している。なお、幅狭挿入口50は、一対の対向壁部52、52間に形成されている。また、幅広収納空間51の幅狭挿入口50側には、幅狭挿入口50から幅広収納空間5の奥側に向かうに連れて幅広収納空間50の幅が広くなるように、対向壁部52、52から連続して延びる一対の曲面壁部53、53が設けられている。この曲面壁部53、53は、シール機能付きストッパ体10と面接触により当接しうるように、シール機能付きストッパ体10の外面形状に対応した曲面形状とされている。
【0082】
また、ガイドレール本体48は、出っ張り部11bの出っ張り端面に当接した状態でビス41で固定された底部48aと、ガイドレール1の主な意匠面たる正面の一部を構成する第1正面部48bと、ガイドレール1の内方側面を構成する内方側面部48cと、底部48aの一端側(図13の左端側で、ガイドレール1の外方側)からガイドレール47の前方に突出する突出部48dとを有している。そして、底部48aには、ビスを挿通させるための複数の挿通孔(図示せず)がガイドレール47の上下方向(長手方向)に沿って間隔を隔てて貫設されている。また、突出部48dには、ボルト43を貫通させるための複数の貫通孔がガイドレール47の上下方向に沿って間隔を隔てて貫設されている。さらに、第1正面部48bの一端側(図13の左端側で、ガイドレール1の外方側)の端部にはカバー部材49の後述する凸状係合部49cと凹凸係合する凹状係合部48eが設けられている。なお、ガイドレール本体48の第1正面部48bと、カバー部材49の後述する第2正面部49aとが一体的となって、ガイドレール47の主な意匠面たる正面を構成する。
【0083】
カバー部材49は、アルミニウム合金を押し出し成形により一体に形成した押し出し成形品よりなり、ガイドレール47の主な意匠面たる正面の一部を構成する第2正面部49aと、ガイドレール1の主な意匠面たる外方側面を構成する外方側面部49bとを有している。そして、外方側面部49bには、ボルト43を貫通させるための複数の貫通孔がガイドレール47の上下方向に沿って間隔を隔てて貫設されている。また、第2正面部49aの他端側(図13の右端側で、ガイドレール1の内方側)の端部にはガイドレール本体48の凹状係合部48eと凹凸係合する凸状係合部49cが設けられている。
【0084】
本実施形態のガイドレール47は、以下のようにしてエレベータ扉前の通路開口の両側部の出っ張り部11bに設置することができる。まず、出っ張り部11bにガイドレール本体48をビス41で固定する。そして、このガイドレール本体48に対して、凹状係合部48eと凸状係合部49cとを凹凸係合させつつ、カバー部材49をボルト43で結合する。
【0085】
この結合状態では、ガイドレール本体48の底部48a及び底部48aを室内側壁11の出っ張り部11bに固定するためのビス41等が、カバー部材49により完全に覆われて外部から全く見えないようになっている。このため、このガイドレール47は意匠性に優れている。
【0086】
また、ガイドレール47を構成するガイドレール本体48及びカバー部材49はアルミニウム合金の押し出し成形品よりなり、幅狭挿入口50及び幅広収納空間51等が押し出し成形により所定形状に形成されていることから、ガイドレール内に幅狭挿入口や幅広収納空間を形成するための部材を別途製造してガイドレールに固定等させる必要がなく、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0087】
また、目板部材は、図15及び図16に示されるように、アルミニウム合金を押し出し成形により一体に形成した押し出し成形品よりなる。
【0088】
なお、上述の目板部材21と同様、この目板部材35は取り付け部36、受け止め部37及びカバー部38を有しており、また、受け止め部37は先端が鋭角な角部とされた上下一対の凸状部39、39及び凹状部40を有している。
【0089】
その他の構成及び作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0090】
(その他の実施形態)
なお、上述の実施形態では、1個の押し付けローラ22を目板部材21の受け止め部24に対向配設した例について説明したが、上部押し付けシール機構20の態様としてはこれに限られない。例えば、目板部材21の受け止め部24に対して、エレベータロビー側の前方で斜め上方の位置に第1押し付けローラを配設するとともに、エレベータロビー側の前方で斜め下方の位置に第2押し付けローラを配設し、第1及び第2押し付けローラの双方でシート体3を受け止め部24に押し付ける態様としてもよい。
【0091】
また、上述の実施形態では、建築構造物内の開口部としてエレベータ扉前の通路開口に遮炎・遮煙スクリーン装置を設置する例について説明したが、本発明のスクリーン装置は人が通過する通路開口以外の開口部、例えばマンション管理人室のカウンター窓の開口に設置することも勿論可能である。
【0092】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明のスクリーン装置は、シート体が両ガイドレール間を閉鎖しているときに、ガイドレールの幅広収納空間内で上下方向に連続して延びて存在するシール機能付きシート体とガイドレールとの当接により、シート体の幅方向端部において、ガイドレール内で上下方向に連続してシール性を確実に確保することができる。したがって、両ガイドレール間を下降して閉鎖した状態にあるシート体の両側部を上下方向に連続して確実にシールして気密性を高めることができ、煙、風や塵埃等を確実に遮断することが可能となる。
【0093】
また、シール機能付きストッパ体は、シート体の幅方向端部に設けられた袋状側部内にボールチェーンを収納してなるため、その構成が簡素であり、部品点数も少ないことから、その製造や組付けが簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の遮炎スクリーン装置の全体構成を示し、シート体が両ガイドレール間を開放した状態にある遮炎スクリーン装置を縦に切断した断面の一部断面端面図である。
【図2】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、図1のA−A線から上方を見た底面図である。
【図3】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、図6のB−B線から下方を見た平面図である。
【図4】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、図1のC−C線から下方を見た平面図である。
【図5】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、図1のD−D線から下方を見た平面図である。
【図6】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、目板部材の側面図である。
【図7】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、目板部材の斜視図である。
【図8】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、シート体が両ガイドレール間を閉鎖した状態にある遮炎スクリーン装置を縦に切断した断面の一部断面端面図である。
【図9】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、シート体が両ガイドレール間を閉鎖した状態にある遮炎スクリーン装置の正面図である。
【図10】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、シート体が両ガイドレール間を閉鎖した状態にある遮炎スクリーン装置の要部断面図である。
【図11】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、ガイドレールと被取り付け部材との取り付け構造等を示す要部断面図である。
【図12】第1実施形態の遮炎スクリーン装置に係り、ガイドレールの斜視図である。
【図13】第2実施形態の遮煙スクリーン装置に係り、ガイドレールと被取り付け部材との取り付け構造等を示す要部断面図である。
【図14】第2実施形態の遮煙スクリーン装置に係り、ガイドレールを構成するガイドレール本体の斜視図である。
【図15】第2実施形態の遮煙スクリーン装置に係り、目板部材の側面図である。
【図16】第2実施形態の遮煙スクリーン装置に係り、目板部材の斜視図である。
【符号の説明】
1…ガイドレール 2…巻き取りドラム
3…シート体 4…幅狭挿入口
5…幅広収納空間 10…シール機能付きストッパ体
10a…ボールチェーン 10b…袋状側部
11b…出っ張り部(被取り付け部材)
41…ビス(固定手段) 42…座板(第1部材)
44…ガイドレール本体(第2部材)
47…ガイドレール 48…ガイドレール本体(第1部材)
49…カバー部材(第2部材) 50…幅狭挿入口
51…幅広収納空間

Claims (4)

  1. 建築構造物内の開口部の両側部にそれぞれが配設される一対のガイドレールと、両該ガイドレール間の上方に回動自在に配設される巻き取りドラムと、該巻き取りドラムに巻き取られて両該ガイドレール間を上昇するとともに巻き戻されて下降することにより両該ガイドレール間を開放・閉鎖可能なシート体とを備えたスクリーン装置において、
    各上記ガイドレールは、互いに対向して上下方向に連続して延びて設けられ上記シート体の各幅方向端部がそれぞれ挿入される幅狭挿入口と、該幅狭挿入口の奥で上下方向に連続して延びて設けられ該幅狭挿入口の開口幅よりも大きな幅の幅広収納空間とをそれぞれがもつ一方、上記シート体は、該幅狭挿入口の開口幅よりも大きな幅をもち該シート体が下降して両該ガイドレール間を閉鎖した状態にあるときに該幅広収納空間内に上下方向に連続して延びて存在するシール機能付きストッパ体を各該幅方向端部にそれぞれ有し、
    上記シール機能付きストッパ体は、上記シート体の幅方向端部の先端に設けられ該シート体の長手方向に連続して延びる内部空間を形成する袋状側部と、該袋状側部の該内部空間内に収納され該シート体の長手方向に連続して延びるボールチェーンとからなることを特徴とするスクリーン装置。
  2. 前記ガイドレールは、被取り付け部材に固定手段により固定されて取り付けられる第1部材と、該固定手段を覆うように該第1部材に結合された第2部材とからなることを特徴とする請求項1記載のスクリーン装置。
  3. 前記ガイドレールは押し出し成形品よりなり、前記幅狭挿入口及び前記幅広収納空間は押し出し成形により所定形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスクリーン装置。
  4. 前記ガイドレールは板材の曲げ加工品よりなり、前記幅狭挿入口及び前記幅広収納空間は曲げ加工により所定形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスクリーン装置。
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