JP4305792B2 - 金属の精製方法及び精錬方法 - Google Patents

金属の精製方法及び精錬方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,金属、特に工業的に非常に重要な金属であるFe,Co,Ni,Cu中に含まれる微量の不純物、例えば軽元素,アルカリ金属,アルカリ土類金属,セラミックス介在物を除去することによって高純度の金属に精製する方法に関するものであり、さらには精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Fe,Co,Ni,Cu等の金属は、電子材料,機能性材料として広く使われているが、その中でもFe,Coは、特に強磁性体としての特性を活かした様々な記録媒体,永久磁石材料やリチウムイオン電池の正極材等の用途に使用されている。
【0003】
記録媒体としては、デジタル信号を記録するための蒸着テープ,いわゆるM0、MDに代表される光磁気記録媒体,ハードディスクに代表される磁気記録媒体が挙げられる。永久磁石材料としてはSmCo,NdFeB等が有名である。これらの材料は、当然のことながら高純度であることが望ましい。
【0004】
また、今後LSIの原料にFe,Co,Ni,Cu等の金属を使用する可能性が指摘され、最近これらの金属のスパッタリングに関する研究が盛んに行われている。例えば、配線材にCoを使用すれば、CoSix (0<x)ターゲットの需要も拡大され、ますます高純度Coが工業的に重要となってくる。さらに、半導体材料として赤外域におけるオプトエレクトロニクスへの応用が期待されているFeも、今後更に重要となってくる。
【0005】
このように、半導体に使用されるFe,Co,Ni,Cu等の金属は、上記の記録媒体等に使用される素材に比較し、より高純度のものが求められる。例えば、MOSデバイスの特性を劣化させるNa等のアルカリ金属不純物、Mg,Ca等のアルカリ土類金属不純物、また、α線を放出し誤作動の原因となるU,Th等の放射性元素不純物の極低減化が強く求められている。
【0006】
以上のような技術的背景のもと、高純度のFe,Co,Ni,Cuの需要は今後ますます増えていくと考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば使用済みのFe,Co,Ni,Cuには、多量の酸素が含まれているため、その再生・高純度化には多量に含有される酸素の迅速かつ効率的な除去が不可欠である。この多量の酸素の除去とは、換言すれば金属酸化物から酸素を除去し金属を得る一般の金属製錬と原理的には同様であるが、このような使用済みFe,Co,Ni,Cuを経済的・地球環境的な面から効果的にリサイクルする方法は現在のところ知られていない。
【0008】
そこで近年、原料金属や使用済みFe,Co,Ni,Cu金属スクラップを高純度に精製し回収するための技術、特に、操業が容易で経済的にも有利であり、環境にも優しい技術の確立が求められている。
【0009】
従来、金属酸化物を金属にまで還元するには、
イ.還元剤(C,Al,Mg等)を用いて乾式製錬により還元する方法。
ロ.一旦水溶液に溶解して、電解採取する方法、または溶融塩電解する方法。
ハ.還元雰囲気(例:水素気流)中で、温度を上昇させて還元する方法。
等、非常に長時間を要するプロセスが主である。
【0010】
そして、例えば上記イに記載したプロセスでは、当該金属より酸素との親和カの強いAl,Ca等を還元剤として当該金属と一緒に溶融し、Al23,CaO等の形で金属から除去する技術が用いられている。
【0011】
この場合、当該金属に含まれる酸素量をきちんと見積っておかないと、還元剤の投入量によって酸素が充分除去できなかったり、逆に過剰なAl,Ca等の還元剤が不純物として残留してしまうという問題が残る。
【0012】
また、上記ロに記載した方法の場合は、溶媒にHCl浴を使用すれば、反応生成物としてH2,Cl2ガスの発生は免れない。上記ハに記載した方法の場合は、反応温度が非常に高温で高エネルギーを要する等の欠点がある。
【0013】
以上のような酸素除去の方法の他に、金属不純物・非金属不純物を除去する方法として、次のようなプロセスがある。
【0014】
すなわち、10-2〜10-4Paの真空中において電子ビームで溶解し、金属との蒸気圧差を利用して金属不純物を蒸発除去させる方法である。
【0015】
この方法における課題としては、排気量の大きな真空排気装置が必要であり、しかも真空を長時間保持することが必要なことから、装置が大掛かりとなることが挙げられる。また,金属不純物を極低減化するためには、長時間にわたる溶融が不可欠であり、当該金属自体の蒸発損失が大きくなり歩留まりが悪くなるという欠点がある。
【0016】
さらに、上記従来技術では、U,Th等の放射性元素不純物の除去が困難である。U,Th等の放射性元素不純物を除去するためには、当該金属を一旦水溶液中に溶解し、イオン交換法や溶媒抽出等の湿式工程を経る必要がある。このような湿式工程では、溶融法に代表される乾式工程に比較すると単位処理量に対して必要なスペースが数十倍から数百倍かかることがあり、非経済的である。また、湿式工程を経て高純度化された金属含有溶液から金属を還元回収する方法も、電解採取法や、当該溶液を蒸発乾固させて金属塩を回収してから固相水素還元を行う方法等、非常に時間とエネルギーを費やす非経済的な方法である。
【0017】
さらには、これらの方法で回収した金属を塊状にするためには、もう一つの工程(溶解鋳造)が別に必要となる。なお、これら複数の工程を要する高純度化では、各工程での不純物汚染防止等、厳密な工程管理が必要不可欠であり、工程を大幅に煩雑化することになる。
【0018】
本発明の目的は,精練・精製装置及びその付帯設備の大型化や、操業の煩雑化を招くことなく、高純度の金属(Fe,Co,Ni,Cu)を容易に精製・回収可能とし、その再生・再利用までを含めた完全リサイクルプロセスを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは,上記従来技術の課題を解決すべく長期に亘り鋭意研究検討した結果、水素プラズマアーク溶解法、または水素雰囲気アーク溶解法を適用してFe,Co,Ni,Cu等の金属を溶解溶融処理することにより、単一溶解溶融工程処理でFe,Co,Ni,Cu等の金属に含まれる微量のNa等のアルカリ金属不純物、Ca等のアルカリ土類金属不純物、酸素、窒素、炭素等の軽元素不純物、U,Th等の放射性元素不純物を迅速に蒸発除去することが可能であるという知見を得て本発明を完成したものである。
【0020】
また、水素プラズマアーク溶解法または水素雰囲気アーク溶解法により金属中の酸素の除去が可能であるという知見を発展させ、さらに鋭意研究検討した結果、Fe,Co,Ni,Cuの高純度酸化物から高純度Fe,Co,Ni,Cu金属に精錬する方法にもこれら水素プラズマアーク溶解法または水素雰囲気アーク溶解法が適用可能であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0021】
すなわち、本願の第1の発明は、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、放射性元素から選ばれる少なくとも1種の金属不純物と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1種の不純物を含むFe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種の金属を、水素の含有量が0.05〜10容量%の生成ガスを用いて生成した活性水素を含むプラズマアークで溶融し、溶融金属中から上記金属不純物及び上記不純物を蒸発除去する金属の精製方法である。
【0022】
第2の発明は、セラミックス介在物と酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1種の不純物とを含むFe,Co,Ni,Cuから選ばれるいずれか1種の金属を、水素の含有量が0.05〜10容量%の生成ガスを用いて生成した活性水素を含むプラズマアークで溶融し、溶融金属とセラミックス介在物の密度差を利用して当該セラミックス介在物を溶融金属上に浮遊させるとともに、浮遊したセラミックス介在物を分解除去し、上記溶融金属中から上記不純物を蒸発除去する金属の精製方法である。
【0023】
第3の発明は、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1種の不純物を含むFe 、Co 、NiO、CuOから選ばれるいずれか1種の金属酸化物を、水素の含有量が0.05〜10容量%の生成ガスを用いて生成した活性水素を含むプラズマアークで溶融し、金属に還元する金属の精錬方法である。
【0024】
以上の各発明は、Fe,Co,Ni,Cu等の金属を精錬する方法に水素プラズマアーク溶解法または水素雰囲気アーク溶解法を適用するというのが基本的な考えであり、これにより、非金属不純物である例えば酸素,窒素,炭素を効果的に除去し、これらの不純物を極低濃度レベルとして高純度の金属(Fe,Co,Ni,Cu)の精製,回収方法を提案するものである。
【0025】
これら発明の精製プロセスは、単位体積当たりにかかる還元反応時間が非常に短く、反応生成物も金属、H2O(+Ar)のみと非常にクリーンで地球環境にも優しい非常に優れたプロセスである。
【0026】
また、同様に、本発明の精錬方法によれば、従来の方法に比較して非常に安価で迅速な,金属酸化物の還元プロセスを提供することができる。このプロセスは従来技術に比較して非常にクリーンなプロセスであり、経済的であるばかりでなく、環境にも優しい優れたプロセスである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した精製方法、精錬方法について詳述する。
【0028】
例えば、Fe,Co,Ni,Cu等の金属には、Na等のアルカリ金属不純物、Ca,Mg等のアルカリ土類金属不純物、軽元素不純物(B,C,N,O,F,Al,Si,P,S,Cl等)、及びU,Th等の放射性元素不純物が微量に含まれている。これらの中で、特に酸素や窒素、炭素等の軽元素不純物は、大きな課題である。
【0029】
そこで、本発明では、Fe,Co,Ni,Cu等の金属を活性水素を含むプラズマアークで溶融(以下、水素プラズマアーク溶解法と称する。)し、上記不純物を蒸発させて除去する。これにより、非金属不純物である酸素,窒素,炭素を効果的に除去し、これらの不純物を極低濃度レベルとした高純度の金属(Fe,Co,Ni,Cu)の精製,回収が可能である。
【0030】
上記水素プラズマアーク溶解法においては、プラズマ生成ガスとして水素を含むガスを用いるが、これは水素ガスと不活性ガスの混合ガス、あるいは水素ガス単独からなるものである。
【0031】
前者の場合、不活性ガスとしては、アルゴン、窒素等を挙げることができるが、通常はアルゴンガスを用いる。
【0032】
上記プラズマ生成ガス中に含まれる水素ガスの割合としては、0.05〜100容量%(この場合は、水素ガス単独ということになる。)とすることが好ましく、水素ガスの割合が0.05容量%未満では、添加による脱酸を主とする不純物除去効果を十分に得ることができない。
【0033】
また、上記水素プラズマアーク溶解法においては、炉内圧を1.33kPa〜310kPa(10Torr〜2.3kTorr)に調整することが好ましい。炉内圧がこの範囲を外れると、プラズマアークが不安定になる。
【0034】
以上により、Fe,Co,Ni,Cu等の金属に含まれる微量の不純物を除去し高純度化することが可能であるが、この技術は金属スクラップ等、不純物を多く含有する金属の精製にも応用することが可能である。
【0035】
具体的には、不純物を多く含有する金属スクラップを、上記水素プラズマアーク溶解法によって処理することにより、純度99.9%程度まで、特に酸素、炭素、窒素については、1〜50mass−ppm 程度にまで制御することが可能である。不純物濃度を制御するには、例えば溶解時間を制御すればよく、例えば要求に応じて1mass−ppm 以下にまで除去することが可能である。
【0036】
以上が本発明の基本的な精製方法であるが、例えばセラミックス介在物を不純物として含む場合にも応用可能である。
【0037】
この場合には、先ず、セラミックス介在物を含む金属を活性水素を含むプラズマアークで溶融する。すると、溶融金属とセラミックス介在物の密度差により、セラミックス介在物が溶融金属上に浮遊する。そこで、この浮遊したセラミックス介在物を水素プラズマアークにより速やかに分解除去する。
【0038】
また、金属の精錬に応用することも可能である。例えば、Fe23、Co34、NiO、CuO等の金属酸化物を活性水素を含むプラズマアークで溶融することにより、酸素を速やかに除去することができ、金属に還元することができる。
【0039】
この場合、炉内圧、プラズマ生成ガス中の水素の比率等の条件は、先の精製方法と同様の設定とすればよい。
【0040】
次に、上記水素プラズマアーク溶解法による不純物除去のメカニズムについて説明する。
【0041】
一般に、水素は、5000K以上の高温で式1のように解離し活性水素Hとして存在する。
【0042】
2 → H+H ・・・式1
この活性水素は、標準状態の水素H2 に比較して反応性,還元力が著しく優れており、この活性水素Hを利用することにより、優れた精製効果が得られる。すなわち、一般に金属不純物蒸気は、水素プラズマ相と接する溶融金属表面上のガス側境界層内において、式2に示すように反応する。
【0043】
xM[蒸気]+yH[活性水素]→Mxy[一時的な緩い結合]・・・式2
ここで、Mは溶融金属表面上の、Na等のアルカリ金属不純物、Ca等のアルカリ土類金属不純物、U,Th等の放射性元素不純物の蒸気である。従って、Fe,Co,Ni,Cu等の金属よりも高い蒸気圧を有する金属不純物の蒸気と活性水素Hが一時的な緩い結合を形成し、活性水素Hがこれら不純物蒸気を補足する形でガス相側に搬出し、その結果、高い蒸気圧を有する金属不純物の蒸発除去を促進する。
【0044】
酸素、窒素、炭素等の軽元素不純物については、式3のような反応が起こっていると考えられる。式3では、特に酸素について示す。
【0045】
O(溶融金属中)+H(プラズマアーク中)→ H2O ・・・式3
これらの軽元素不純物について,酸素は式3のように水(H2O )を生じ、窒素は窒素水素化物(NHx),炭素はメタン、エタン等の炭化水素ガス(CHx)を生じ、金属不純物蒸気よりも強固な結合を形成して溶融金属中からガス相へと移動し、被溶融金属の精製を促す。当然のことながら、このことは溶融金属の表面酸化層(膜)の除去を可能にし、そのために金属不純物の蒸発がより容易になる。
【0046】
従って、総合的に見て、それぞれの元素の除去機構がお互い有機的に作用し、より一層の精製効果を発揮することになる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果をもとに説明する。
【0048】
実施例1
あるプロセスのスクラップとして出てきたCo中には、酸素が非常に多く含まれている(およそ3000mass−ppm )。
【0049】
これを活性水素を含むアルゴン−水素プラズマアークで溶融すると、溶融時間に比例して酸素が除去されていく。
【0050】
なお、本実験では、装置には図1に示すようなプラズマスカル溶解炉(大同特殊鋼株式会社製)を使用、試験条件はH2 添加量最大5容量%,投入電力300kW,溶解金属(Co)質量20kgで溶解を行った。
【0051】
上記プラズマスカル溶解炉は、炉1の上部に、プラズマトーチ2を配置するとともに、頂部にホッパー3を配してなるものであり、ホッパー3から供給される原料を原料供給管4を介してルツボ5に供給し、これを上記プラズマトーチ2から放出されるプラズマアークによって溶解するものである。
【0052】
溶解された溶融物6は、不純物が除去された後、注ぎ口8よりキャスティングモールド9中に注入され、所定の形状に成形される。
【0053】
この時の溶解時間と酸素濃度の関係を表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004305792
【0055】
当試験は、1バッチ20kgの溶解炉での実施例だが、1バッチ数10gのボタン溶解炉で同様の試験を行った場合、脱酸に要する時間はもっと短くなることが明らかになっている。これは,プラズマスカル溶解炉に比べて、ボタン溶解炉の方がプラズマアークを溶解試料全体に当てることができるため、活性水素Hが溶解試料に全面にわたって溶射できることが理由と考えられる。すなわち、溶解試料へのアークの当て方を工夫すれば、脱酸に要する溶解時間はもっと短縮できることを示している。
【0056】
従来から高純度金属として市販されている金属は,金属不純物は極低減化されているものの、酸素、窒素、炭素等の不純物は金属不純物に比べて多量に含まれていた。
【0057】
この技術は、従来技術に比較して特に酸素、窒素、炭素を除去することを得意とするプロセスである。本技術を用いれば、例えば蒸着テープ等に使用されるCoの許容酸素含有量である10mass−ppm まではおよそ1時間30分,また、さらに酸素、窒素、炭素含有量を減じて1mass−ppm 以下にするには3時間程度の溶解を行えば簡単に極低減化が図れる。
【0058】
実施例2
本実施例では、実施例1と同様にしてNiの脱酸試験を行った。但し、用いた試験装置は、ボタン溶解炉(溶解可能質量:数10g/1バッチ、最大出力:10kW)である。
【0059】
使用したボタン溶解炉の概略構成を図2に示す。このボタン溶解炉は、図2に示すように、炉11の頂部にプラズマトーチ12を配してなるものである。
【0060】
プラズマトーチ12は、タングステンカソード13を備え、その先端からプラズマアークを発生する。
【0061】
上記プラズマトーチ12は、冷却管14に循環される冷却水により冷却されるとともに、ガス供給管15によりプラズマ生成ガス(例えばAr+H2 )が供給される。
【0062】
プラズマトーチ12のタングステンカソード13には、RFスタータ17を介して電源16が接続されており、マイナス電位が印加されている。
【0063】
一方、上記タングステンカソード13と対向する位置には、ホルダー18によって支持されたルツボ19が配置されており、この中の金属20がプラズマアークによって溶解処理される。
【0064】
なお、上記ホルダー18は、やはり冷却管21によって循環される冷却水によって冷却されるとともに、上記電源16によりプラス電位が印加されている。
【0065】
水素プラズマアーク溶解法によるNiの脱酸効率は、Coよりも更に大きく、0.1容量%程度の水素濃度で30秒程度溶解しただけでも、1mass−ppm 以下に脱酸することができた。
【0066】
実施例3
本例は、Coの精錬に応用した例である。
【0067】
すなわち、本例においては、Co34の還元を行った。試験に使用した装置は、実施例2と同様である。
【0068】
粉末状のCo34を冷間粉末成形してペレットを形成した。これを銅ルツボ上にセットし、チャンバーを閉じて10-2Torrまで真空引きをした。この時Arガス置換を行い、チャンバー内の水分,内壁に吸着しているガス成分を充分取り除いた。
【0069】
真空引きが完了したら、チャンバー内をArガスで充たし、最初にArプラズマを発生させ、その熱でCo を溶融した。全体が溶融したら、Hガスの添加を開始した。この時、Hガス添加を急激に行うとトーチ−ルツボ間のインピーダンスが急激に上昇し、プラズマが消失する原因となるので、Hガス添加は静かに行った。
【0070】
2 ガス添加を開始すると、溶融物の表面が徐々に金属光沢を帯びてくる。反応開始初期段階では、溶融酸化物の表面張力が小さいので、溶融物はAr−H2 プラズマアークの風圧に押され、ルツボ外側に片寄っているが、金属光沢を帯びるにしたがって,すなわち還元が進行して金属に近づくにしたがって表面張力が増し丸くなる。
【0071】
最後には完全に金属となり、金属光沢を有するボタン状の塊が得られる。
【0072】
実施例4
本例は、銅(Cu)の精製に関するものである。
【0073】
一般に、OFC(無酸素銅)と呼ばれる銅の純度は、およそ4N(99.99%)である。活性水素を含むアルゴン−水素プラズマアーク溶融前後でのOFCに含まれる不純物の変化を調べた。水素濃度は10容量%,溶融時間を1.8ks(30分)とした。表2に活性水素を含むアルゴン−水素プラズマアーク溶融前後のCuの不純物含有量を示す。
【0074】
【表2】
Figure 0004305792
【0075】
表2から明らかなように、炭素、窒素、酸素が効率良く除去された。また、Na、Mg、K、Ca等のアルカリ金属、アルカリ土類金属や、Th、U等の放射性元素も除去されている。
【0076】
実施例5
本実施例では、Fe中の窒素の除去について検討した。
【0077】
すなわち、活性水素を含むアルゴン−水素プラズマアーク溶融時のFe中の窒素濃度変化を調べた。結果を図3に示す。
【0078】
図に示したように、Arプラズマアーク溶解では、脱窒の進行はほとんど認められないが、このプラズマガスに水素を5容量%添加すると、Fe中の窒素濃度は短時間にうちに1mass−ppm 以下にまで低減することができた。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、精練・精製装置及びその付帯設備の大型化や、操業の煩雑化を招くことなく、高純度の金属(Fe,Co,Ni,Cu)を容易に精製・回収することができ、さらにはその再生・再利用までを含めた完全リサイクルが可能な、精製方法、精錬方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマスカル溶解炉の一例を示す模式図である。
【図2】ボタン溶解炉の一例を示す模式図である。
【図3】Fe中窒素濃度の変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1,11 炉、2,12 プラズマトーチ、5,19 ルツボ、6 溶融物、20 金属

Claims (7)

  1. アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、放射性元素から選ばれる少なくとも1種の金属不純物と、酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1種の不純物を含むFe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種の金属を、水素の含有量が0.05〜10容量%の生成ガスを用いて生成した活性水素を含むプラズマアークで溶融し、溶融金属中から上記金属不純物及び上記不純物を蒸発除去する金属の精製方法。
  2. 上記生成ガスが、アルゴンを含有する請求項1記載の金属の精製方法。
  3. 上記プラズマアークによる溶融の際に、炉内圧を1.33kPa〜310kPaとする請求項1記載の金属の精製方法。
  4. セラミックス介在物と酸素、窒素、炭素から選ばれる少なくとも1種の不純物とを含むFe,Co,Ni,Cuから選ばれる少なくとも1種の金属を、水素の含有量が0.05〜10容量%の生成ガスを用いて生成した活性水素を含むプラズマアークで溶融し、溶融金属とセラミックス介在物の密度差を利用して当該セラミックス介在物を溶融金属上に浮遊させるとともに、浮遊したセラミックス介在物を分解除去し、上記溶融金属中から上記不純物を蒸発除去する金属の精製方法。
  5. 上記プラズマアークによる溶融の際に、炉内圧を1.33kPa〜310kPaとする請求項記載の金属の精製方法。
  6. 窒素、炭素から選ばれる少なくとも1種の不純物を含むFe、Co、NiO、CuOから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を、水素の含有量が0.05〜10容量%の生成ガスを用いて生成した活性水素を含むプラズマアークで溶融し、金属に還元する金属の精錬方法。
  7. 上記プラズマアークによる溶融の際に、炉内圧を1.33kPa〜310kPaとする請求項記載の金属の精錬方法。
JP08223799A 1999-03-25 1999-03-25 金属の精製方法及び精錬方法 Expired - Lifetime JP4305792B2 (ja)

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