JP4303418B2 - 組換え部位を有する核酸を使用する組換えクローニング - Google Patents

組換え部位を有する核酸を使用する組換えクローニング Download PDF

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Description

【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、組換えDNA技術に関する。操作された組換え部位を有するDNAおよびベクターが、組換えタンパク質を用いるDNAセグメントの効率的かつ特異的な組換えを可能にする組換えクローニング方法における使用のために提供される。このDNA、ベクターおよび方法は、インビトロまたはインビボにおける、DNAのサブクローニングのような種々のDNA交換のために有用である。
【0002】
(関連技術)
部位特異的リコンビナーゼ。部位特異的リコンビナーゼは、多くの生物(例えば、ウイルスおよび細菌)において存在するタンパク質であり、そしてエンドヌクレアーゼ特性およびリガーゼ特性の両方を有すると特徴付けられている。これらのリコンビナーゼは(いくつかの場合においては関連するタンパク質とともに)、DNA中の塩基の特異的配列を認識し、そしてそれらのセグメントに隣接するDNAセグメントを交換する。リコンビナーゼおよび会合タンパク質は、総称して「組換えタンパク質」と称する(例えば、Landy, A., Current Opinion in Biotechnology 3:699−707 (1993)を参照のこと)。
【0003】
種々の生物由来の多数の組換え系が記載されている。例えば、Hoessら、Nucleic Acids Research 14(6):2287 (1986); Abremskiら、J. Biol. Chem. 261(1):391 (1986); Campbell, J. Bacteriol. 174(23):7495 (1992); Qianら、J. Biol. Chem. 267(11):7794 (1992); Arakiら、J. Mol. Biol. 225(1):25 (1992); MaeserおよびKahnmann Mol. Gen. Genet. 230:170−176(1991);Espositoら,Nucl.Acids Res.25(18):3605(1997)を参照のこと。
【0004】
これらの多くは、リコンビナーゼのインテグラーゼファミリーに属する(Argosら、EMBO J. 5:433−440 (1986))。おそらく、これらの中で最も十分に研究されたのは、バクテリオファージλ由来のインテグラーゼ/att系(Landy. A. Current Opinions in Genetics and Devel. 3:699−707 (1993))、バクテリオファージP1由来のCre/loxP系(HoessおよびAbremski (1990) Nucleic Acids and Molecular Biology、第4巻、EcksteinおよびLilley編、Berlin−Heidelberg: Springer−Verlag; 90−109頁)、ならびにSaccharomyces cerevisiae 2μ環状プラスミド由来のFLP/FRT系(Broachら、Cell 29:227−234 (1982))である。
【0005】
これらの組換え系は特定の生物について特徴付けられたが、関連技術は、インビボにおける組換えについて、組換え部位により隣接される組換えDNAを用いて教示されたのみである。
【0006】
Backman(米国特許第4,673,640号)は、野生型組換え部位attBおよびattPを用いる酵素学的部位特異的組換えによりDNAセグメントを生成するタンパク質を組み換えるためのλリコンビナーゼのインビボにおける使用を開示する。
【0007】
HasanおよびSzybalski(Gene 56:145−151 (1987))は、プロモーターに隣接する野生型attP部位とattB部位との間の分子内組換えのためのインビボにおけるλIntリコンビナーゼの使用を開示する。これらの部位の方向は互いに逆であるので、これは目的の遺伝子に対して不可逆的なプロモーター領域のフリッピング(flipping)を引き起こす。
【0008】
Palazzoloら、Gene 88:25−36 (1990)は、クローン化されるDNA配列の外側および野生型loxP部位間に配置された制限部位を含有するバクテリオファージλアームを有するファージλベクターを開示する。これらのファージベクターを用いる、Creリコンビナーゼを発現するE. coli細胞の感染は、loxP部位間での組換えおよびプラスミドレプリコン(クローン化cDNAを含む)のインビボ切り出しを生じる。
【0009】
Posfaiら(Nucl. Acids Res. 22:2392−2398 (1994))は、ゲノムDNA中へ、2つの野生型FRT認識配列により隣接される選択マーカーを有する部分的発現ベクターを挿入するための方法を開示する。細胞中に存在するFLP部位特異的リコンビナーゼが、ベクターをゲノム中に所定の部位において組み込むために使用される。レプリコンが機能的である条件下において、このクローン化ゲノムDNAは増幅され得る。
【0010】
Bebeeら(米国特許第5,434,066号)は、2つのloxP部位を含むDNAのためのCreのような部位特異的リコンビナーゼの使用が部位間のインビボ組換えのために使用されることを開示する。
【0011】
Boyd(Nucl. Acids Res. 21:817−821(1993))は、E. coli宿主細胞中に存在するCre部位特異的リコンビナーゼにより作用される野生型loxP部位を含有する脱リン酸化されたベクターの分子間連結を促進する条件を用いて平滑末端DNAのクローニングを容易にする方法を開示する。
【0012】
Waterhouseら(PCT第93/19172号およびNucleic Acids Res. 21(9):2265 (1993))は、特定の抗体のL鎖およびH鎖がloxPおよびloxP 511部位の間で異なるファージベクター中にクローン化され、そしてそれを使用して新たなE. coli細胞を形質転換するインビボ方法を開示する。Cre(宿主細胞において2つの親分子(1つはプラスミド、1つはファージ)に作用する)は4つの産物を平衡して生成した:2つの異なる共挿入(loxP部位またはloxP 511部位のいずれかにおける組換えにより生成される)、および2つの娘分子(その1つが所望された産物であった)。
【0013】
他の関連技術とは対照的に、SchlakeおよびBobe(Biochemistry 33:12746−12751 (1994))は、各々が野生型およびスペーサー変異されたFRT組換え部位により隣接される、規定された染色体位置において発現カセットを交換するためのインビボ方法を開示する。二重相互交叉(double−reciprocal crossover)が部位特異的組換えのためにこのFLP/FRT系を用いることにより、培養哺乳動物細胞において媒介された。
【0014】
トランスポゼース。酵素のファミリーであるトランスポゼースもまた、レプリコン間で遺伝子情報を移動するために使用されている。トランスポゾンは構造的に可変性であるが(単純(simple)または複合(compound)と記載される)、代表的には逆方向に組織されるDNA配列により隣接されるリコンビナーゼ遺伝子をコードする。トランスポゾンの組み込みは、ランダムであり得るかまたは高度に特異的であり得る。Tn7(これは高度に部位特異的である)のような代表物が、レプリコン間のDNAセグメントのインビボにおける移動に適用された(Lucklowら、J. Virol. 67:4566−4579 (1993))。
【0015】
DevineおよびBoeke Nucl. Acids Res. 22:3765−3772 (1994)は、DNAセグメントのインビトロにおけるレシピエントDNA分子中への挿入のための人工トランスポゾンの構築を開示する。この系は、酵母TY1ウイルス様粒子のインテグラーゼを利用する。目的のDNAセグメントは、標準的な方法を用いて、トランスポゾン様エレメントTY1の末端間にクローン化される。TY1インテグラーゼの存在下において、生じるエレメントは第2の標的DNA分子中へランダムに組み込まれる。
【0016】
DNAクローニング。DNAセグメントのクローニングは、現在、多数の研究所における日常的な慣例として、そして多数の遺伝子解析における事前に必要な工程として生じている。しかし、これらのクローニングの目的は多様であり、2つの一般的な目的は以下にように考えられ得る:(1)大きなDNAまたはRNAセグメント(染色体、YAC、PCRフラグメント、mRNAなど)からのDNAの最初のクローニング(pUC、pGem、pBlueScriptのような比較的少ない公知のベクターにおいて実施される)、および(2)これらのDNAセグメントの特殊化されたベクター中への機能的分析のためのサブクローニング。多量の時間および努力が、DNAセグメントの最初のクローニングベクターからより特殊化されたベクターへの移動においての両方で費やされている。この移動はサブクローニングと呼ばれる。
【0017】
クローニングのための基本的な方法は長年公知であり、そしてその間にほとんど変化していない。代表的なクローニングプロトコルは以下のとおりである:
(1) 目的のDNAを1つまたは2つの制限酵素で消化し;
(2) 既知の場合目的のDNAセグメントをゲル精製し;
(3) 適切な制限酵素での切断、アルカリホスファターゼでの処理、ゲル精製など(適切なように)によりベクターを調製し;
(4) 未切断および自己連結されたベクターのバックグラウンドを除去するための適切なコントロールを用いて、DNAセグメントをベクターに連結し;
(5) 生じるベクターをE. coli宿主細胞中に導入し;
(6) 選択されたコロニーをひろい、そして小培養物を一晩増殖させ;
(7) DNAミニプレップを作製し;そして
(8) アガロースゲル上で(しばしば診断的制限酵素消化の後)またはPCRにより、単離されたプラスミドを分析する。
【0018】
DNAセグメントをサブクローニングするために使用される特殊化されたベクターは、機能的に多様である。これらは、以下を包含するがこれらに限定されない:種々の生物において遺伝子を発現させるためのベクター;遺伝子発現を調節するためのベクター;タンパク質精製を補助するため、または細胞におけるタンパク質の追跡を可能にするためのタグを提供するためのベクター;クローン化されたDNAセグメントを改変(例えば、欠失の生成)するためのベクター;プローブの合成(例えば、リボプローブ)のためのベクター;DNA配列決定のためのテンプレートの調製のためのベクター;タンパク質コード領域の同定のためのベクター;種々のタンパク質コード領域の融合のためのベクター;多量の目的のDNAを提供するためのベクターなど。特定の研究が、目的のDNAセグメントをいくつかの異なる特殊化されたベクター中へサブクローニングする工程を包含することは一般的である。
【0019】
当該分野において公知であるように、単純なサブクローニングは1日で実施され得る(例えば、DNAセグメントが大きくなく、そして制限部位がサブクローニングベクターの制限部位と適合性である)。しかし、他の多くのサブクローニング(特に、未知の配列、長いフラグメント、毒性遺伝子、制限部位の不適切な配置、高いバックグラウンド、不純な酵素などを含むサブクローニング)は、数週間かかり得る。従って、DNAフラグメントのサブクローニングは、しばしば、可能な限り少ない回数で実施されるべき面倒な仕事であるとみなされる。DNAセグメントのクローニングを容易にするいくつかの方法が、例えば以下の参考文献におけるように記載されている。
【0020】
Ferguson, J.ら、Gene 16:191 (1981)は、酵母DNAのフラグメントのサブクローニングのためのベクターのファミリーを開示する。このベクターは、カナマイシン耐性をコードする。より長い酵母DNAセグメントのクローンが部分的に消化され得、そしてサブクローニングベクター中に連結され得る。もとのクローニングベクターがアンピシリンに対する耐性を有する場合には、形質転換の前に精製は必要ではない。なぜなら、選択はカナマイシンについてであるからである。
【0021】
Hashimoto−Gotoh, T.ら、Gene 41:125 (1986)は、ストレプトマイシン感受性遺伝子内のユニークなクローニング部位を有するサブクローニングベクターを開示し;ストレプトマイシン耐性宿主において、優性感受性遺伝子における挿入または欠失を有するプラスミドのみが、ストレプトマイシン選択を生き残る。
【0022】
従って、制限酵素およびリガーゼを用いる伝統的なサブクローニング方法は、時間がかかり、そして比較的信頼できない。かなりの労働が費やされ、そして2日目以降に所望のサブクローンが候補プラスミドの中で見出され得なければ、次いで、全体のプロセスが意図される別の条件で繰り返されなければならない。部位特異的リコンビナーゼがDNAをインビボにおいて組換えるために使用されたが、インビトロにおけるこのような酵素の成功する使用は、いくつかの問題を抱えると予想された。例えば、部位特異性および効率は、インビトロにおいて異なると予想され;トポロジー的に連結された産物が予想され;そしてDNA基質および組換えタンパク質のトポロジーがインビトロにおいて顕著に異なると予想された(例えば、Adamsら、J. Mol. Biol. 226:661−73 (1992)を参照のこと)。インビボにおいて長時間続き得る反応は、インビトロにおいて酵素が不活性になる前に有意により短い時間で生じると予想された。複数のDNA組換え産物が、使用される生物学的宿主において予想され、サブクローニングの不満足な信頼性、不満足な特異性または不満足な効率を生じた。従ってインビトロ組換え反応は、所望のレベルの産物を生じるに十分に効率的であるとは予想されなかった。
【0023】
従って、制限酵素およびリガーゼの公知の使用を超えて利点を提供する別のサブクローニング系を提供することが、長い間必要と感じられていた。
【0024】
(発明の要旨)
本発明は、インビトロまたはインビボにおいて、組換えタンパク質および少なくとも1つの組換え部位を用いる、増幅されたキメラ核酸分子または増幅された組換え核酸分子を得るための、核酸、ベクターおよび方法を提供する。これらの方法は、標準のクローニングまたはサブクローニング技術より、高度に特異的であり、迅速でありかつ労働集約的でない。本発明の改善された特異性、スピードおよび収率は、任意の関連する目的のために有用なDNAもしくはRNAのクローニングまたはサブクローニング、調節または交換を容易にする。
【0025】
本発明は、所望の性質および/またはDNAセグメントを有する、キメラDNA分子を提供するための、少なくとも1つの組換え部位および少なくとも1つの組換えタンパク質を用い、核酸セグメント(好ましくは、DNAセグメントまたはフラグメント)を移動または交換するための、核酸、ベクターおよび方法に関連する。従って、本発明の使用は、種々のベクター内に、このような核酸分子をクローニングまたはサブクローニングすることを可能にする。一般に、1つ以上の親核酸分子(好ましくは、DNA分子)が組換えられて、1つ以上の娘分子を与え、その少なくとも1つが所望の産物分子であり、好ましくは、それが所望の核酸セグメントを含むベクターである。従って、本発明は、交換をもたらすための、および/または1つ以上の所望の産物を選択するための、核酸分子、ベクターおよび方法に関する。
【0026】
本発明の1つの実施態様は、キメラDNAの作製方法に関し、この方法は以下の工程を包含する:
(a) インビトロまたはインビボにおいて、
(i) 第1の組換え部位および第2の組換え部位により隣接される所望の核酸セグメントを含む、1つ以上の挿入ドナーDNA分子であって、ここで第1および第2の組換え部位は、実質的に互いに組換えない;
(ii) 第3の組換え部位および第4の組換え部位を含む、1つ以上のベクタードナー分子であって、ここで、第3および第4の組換え部位は、実質的に互いに組換えない;および
(iii) 第1および第3の組換え部位および/または第2および第4の組換え部位を組換え得る、1つ以上の部位特異的組換えタンパク質;
を組み合わせ;
それにより、組換えを生じさせ得、その結果少なくとも1つのコインテグレート核酸分子、上記所望のセグメントを含む少なくとも1つの所望の産物核酸分子、および必要に応じて副産物核酸分子を生成する工程;次いで、必要に応じて、
(b) 産物または副産物DNA分子について選択する工程。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、キメラ分子の生成の方法に関し、以下の工程を包含する
(a) インビトロまたはインビボにおいて、
(i) 2つ以上の組換え部位に隣接する所望の核酸セグメントを含む、1つ以上の挿入ドナー分子であって、ここで、この組換え部位は、実質的に互いに組換えない;
(ii) 2つ以上の組換え部位を含む、1つ以上のベクタードナー分子であって、ここで、この組換え部位は、実質的に互いに組換えない;および
(iii) 1つ以上の部位特異的組換えタンパク質;
を組み合わせる工程、
(b) 1つ以上の上記ベクタードナー分子内に1つ以上の上記所望のセグメントを移すために十分な条件下で上記組み合わせ物をインキュベートする工程であって、これにより1つ以上の産物分子を生成する工程。生じた産物分子を、コインテグレート分子、副産物分子、および未反応のベクタードナー分子または挿入ドナー分子のような別の分子から離れて、必要に応じて選択し得るか、または必要に応じて単離し得る。本発明の好ましい局面において、挿入ドナー分子を、1つ以上の異なったベクタードナー分子と結合し、これにより異なった産物分子の生成を可能にし、ここで目的の核酸を、単段階で任意の数の異なったベクター内に移す。
【0028】
本発明に従って、上記方法は逆転されて、元々の挿入ドナー分子を提供し得、次いで、この挿入ドナー分子を1つ以上の異なったベクタードナー分子と組み合わせて使用して、新規の産物分子または副産物分子を生成し得る。あるいは、本発明の方法により生成された産物分子は、1つ以上の異なったベクタードナー分子と直接組み合わせて使用され得る挿入ドナー分子として作用し得、これによって、新規の産物分子または副産物分子を生成し得る。従って、目的の核酸分子を、任意の数の所望のベクターに移し得、または移動し得、これによって、目的の分子をサブクローニングするための効果的な手段を提供する。
【0029】
従って、本発明は、第2の産物分子を生成するための第2のベクタードナー分子と産物分子を組み合わせすることに関する。次に、第2の産物DNA分子を、第3の産物分子を生成するために第3のベクタードナー分子と組み合わせて利用し得る。本発明のこのプロセスを、任意の数の異なったベクター内に目的の挿入物を移すまたは移動するために任意の回数を繰り返し得る。本発明のこの局面において、2つ以上の異なったベクタードナー分子の組合わせを、単段階で異なった産物分子を生成するための産物分子と組み合わせ得る。ここで、所望の核酸セグメント(産物DNA分子由来)を、任意の数の異なったベクターに移す。
【0030】
特に、本発明は、1つ以上の所望の核酸分子をクローニングまたはサブクローニングするための方法に関し、以下の工程を包含する:
(a)インビトロまたはインビボにおいて、
(i)少なくとも2つの組換え部位に隣接した1つ以上の所望の核酸セグメントを含む、1つ以上の挿入ドナー分子であって、ここで、この組換え部位は、実質的に互いに組換えない;
(ii)少なくとも2つの組換え部位を含む、1つ以上のベクタードナー分子であって、ここで、この組換え部位は、実質的に互いに組換えない;および
(iii)1つ以上の上記部位特異的組換えタンパク質;
を組み合わせる工程、
(b) 1つ以上のこのベクタードナー分子内に1つ以上のこの所望のセグメントを移し得るために十分な条件下で上記の組み合わせ物をインキュベートする工程であって、これによって、1つ以上の産物分子を生成する工程;
(c) 上記の産物分子を必要に応じて選択または単離する工程;
(d) インビトロまたはインビボにおいて
(i)2つ以上の組換え部位に隣接した所望の核酸セグメントを含む、1つ以上の産物分子であって、ここで、この組換え部位は、実質的に互いに組換えない;
(ii)2つ以上の組換え部位を含む、1つ以上の異なったベクタードナー分子であって、ここで、この組換え部位は、実質的に互いに組換えない;および (iii)1つ以上の部位特異的組換えタンパク質;
を組み合わせる工程;および
(e)1つ以上の異なったベクタードナー分子内に1つ以上の所望のセグメントを移すために十分な条件下で該組み合わせ物をインキュベートする工程であって、これにより、1つ以上の異なった産物分子を生成する、工程。
【0031】
本発明に従って、ベクタードナー分子は、種々の系または宿主細胞において機能し得るベクターを含み得る。本発明に使用するための好ましいベクターは、原核細胞ベクター、真核細胞ベクター、または種々の原核生物系および/または真核生物系の間で往復し得るベクター(例えば、シャトルベクター)を含む。本発明に使用するための好ましい原核生物ベクターは、Eschrichia属、Salmonella属、Proteus属、Clostridium属、Klebsiella属、Bacillus属、Streptomyces属、およびPsuedomonas属の細菌を含むグラム陰性細菌および/またはグラム陽性細菌において、ならびに好ましくは、E.coli種において増殖および/または複製し得るベクターを含むが、これに限定されない。本発明に使用するための真核生物ベクターは、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、(特にヒト細胞)、真菌細胞、昆虫細胞、魚細胞などにおいて増殖および/または複製するベクターを含む。目的の特定のベクターは、クローニングベクター、配列決定ベクター、発現ベクター、融合ベクター、ツーハイブリッドベクター、遺伝子治療ベクター、および逆方向ツーハイブリッドベクターを含むが、これに限定されない。このようなベクターは、特定のベクターに依存して原核生物系および/または真核生物系において使用され得る。
【0032】
本発明に従って使用した挿入ドナー分子は、好ましくは、ドナー分子の挿入物(例えば、目的の核酸セグメント)を、本発明に従って1つ以上のベクタードナー分子内に移する、または移動することを可能にするための2つ以上の組換え部位を含む。本発明の挿入ドナー分子を、目的の分子を付加した2つ以上の組換え部位により、任意の多数の技術によって調製し得る。本発明の挿入ドナー分子を調製するために組換え部位を含むためのこのような技術は、核酸分子の変異誘発(例えば、ランダムまたは部位特異的変異誘発)、組換え技術(例えば、アダプターの連結または核酸分子の組換え部位を含む直鎖分子への連結)、増幅(例えば、組換え部位またはその部分を含むプライマーを使用する)遺伝子転移(例えば、組換え部位を含むトランスポゾンを使用する)、組換え(例えば、組換え部位を含む1つ以上の相同な配列を使用する)、核酸合成(例えば、組換え部位を含む分子の化学的合成または種々のポリメラーゼもしくは逆転写酵素を使用する酵素学的合成)などを含む。本発明に従って、1つ以上の組換え部位が付加される核酸分子は、任意の供給源から由来する任意の核酸分子であり得、そして非天然に存在する核酸を含み得る(例えば、RNA’s、米国特許第5,539,082および5,482,836を参照のこと)。特に好ましい核酸分子は、DNA分子(一本鎖または二本鎖)である。さらに、挿入ドナー分子を生成するための目的の核酸分子は、直鎖または環状であり得、そしてさらに、目的の特定の配列(例えば、遺伝子)を含み得るか、または分子の集団(例えば、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから作製された分子)であり得る。
【0033】
従って、本発明は、挿入ドナー分子およびこのような方法で作製された挿入ドナー分子を作製するための多数の方法に関する。本発明の1つの局面において、1つ以上の組換え部位またはその部分を含むプライマーを、本発明の挿入ドナー分子を調製するための核酸合成または核酸増幅に使用する。従って、本発明は、核酸分子を合成するための方法に関連し、以下の工程を包含する:
(a) ポリメラーゼ活性を有するポリペプチドおよび1つ以上の組換え部位またはその部分を含む1つ以上のプライマーと、1つ以上の核酸テンプレートとを混合する工程;および
(b) このテンプレートの全部または一部分に相補的な1つ以上の核酸分子および1つ以上の組換え部位を含む1つ以上の核酸分子を合成するために十分な条件下でこの混合物をインキュベートする工程。本発明に従って、テンプレートを含む組換え部位の全部または一部分に相補的な核酸分子を合成するために適切な条件下で、テンプレートとして、1つ以上の該組換え部位を含む合成された核酸分子を使用し得、それによって、1つ以上の組換え部位を含む二本鎖分子を形成する工程。好ましくは、1つ以上の組換え部位を含む、1つ以上のプライマーの存在下で、このような第2合成段階を行なう。なお別の局面において、1つ以上の組換え部位を含み得るプライマーを用い、合成された二本鎖分子を増幅し得る。
【0034】
本発明の別の局面において、任意の数の核酸増幅技術により、核酸分子に1つ以上の組換え部位を付加し得る。特に、このような方法は、以下の工程を包含する:
(a) ポリメラーゼ活性を有する1つ以上のポリペプチドの存在下で、前記第1の核酸分子の一部分に相補的な第1のプライマー分子と、第1の核酸分子を接触する工程、および第2の核酸分子の一部分に相補的な第2プライマー分子と、第2の核酸分子を接触させる工程;
(b) 第1核酸分子の全部または一部分に相補的な第3の核酸分子を形成するために十分な条件下で該分子をインキュベートする工程、および第2の核酸分子の全部または一部分に相補的な第4の核酸分子を形成するために十分な条件下で該分子をインキュベートする工程;
(c) 第1および第3、ならびに第2および第4の核酸分子を変性させる工程;および
(d) 段階(a)から(c)を1回以上繰り返す工程であって、ここで、該第1および/または該第2プライマー分子は、1つ以上の組換え部位またはその部分を含む。
【0035】
本発明のなお別の局面において、核酸分子に1つ以上の組換え部位を付加するための方法は、以下の工程を包含し得る:
(a) 1つ以上の組換え部位またはその部分を含む1つ以上のアダプターまたは核酸分子と、1つ以上の核酸分子を接触させる工程;および
(b) この核酸分子に1つ以上の組換え部位を付加するために十分な条件下でこの混合物をインキュベートする工程。好ましくは、直鎖分子を、本発明に従って、このようなアダプターまたは分子に付加するために使用し、そしてこのようなアダプターまたは分子を、好ましくは、このような直鎖分子の1つ以上の末端に付加する。機械的に(例えば、超音波処理または剪断)または酵素的に(例えば、制限エンドヌクレアーゼのようなヌクレアーゼ)を含む任意の技術により、直鎖分子を調製し得る。従って、本発明の方法は、1つ以上のヌクレアーゼ(好ましくは、任意の制限エンドヌクレアーゼ)で核酸分子を消化する工程、および目的の分子にアダプターまたは分子を含む1つ以上の組換え部位を連結する工程をさらに包含し得る。平滑末端または突出末端分子を用い、連結を成し遂げ得る。あるいは、本発明に従って、組換え部位を導入するために、トポイソメラーゼを使用し得る。トポイソメラーゼを、核酸分子を開裂し、そして再結合し、そのために、ヌクレアーゼおよびリガーゼの代わりに使用し得る。
【0036】
別の局面において、デノボ合成により核酸分子に、1つ以上の組換え部位を付加し得る。従って、本発明は、合成プロセスの間、ヌクレオチドの適切な配列を付加することにより組換え部位を付加することにおいて、1つ以上の核酸分子を化学的に合成することを含むこのような方法に関する。
【0037】
本発明の別の実施態様において、1つ以上の組換え部位を、以下の工程を包含する方法により目的の核酸分子に付加し得る:
(a) 1つ以上の組換え部位またはその部分を含む1つ以上の組み込み配列と、1つ以上の核酸分子を接触させる工程;および
(b)核酸分子内に組み込み配列を含む組換え部位を取り込むために十分な条件下で混合物をインキュベートする工程。本発明のこの局面に従って、組み込み配列は、組換えによって、または組み込みにより目的の核酸分子の一部分になる任意の核酸分子を含み得る。本発明のこの局面に従って、インビボまたはインビトロの組換え(相同組換えまたは非正統的な組換え)によって、またはトランスポゾン、配列挿入、組み込みウイルス、ホーミングイントロン、または他の組み込みエレメントを用いることにより、インビボまたはインビトロの導入により、組み込み配列を導入し得る。
【0038】
他の局面において、本発明は、本発明の方法を実行するためのキットに関し、そしてより詳細には、クローニングまたはサブクローニングキットおよび本発明の挿入ドナー分子を作製するためのキットに関する。このようなキットは、任意の数の容器をその中に受け入れ、そして保持するために区切られた担体または容器を含み得る。このような容器は、本発明の方法およびこのような成分の組み合わせを実行するための、任意の数の成分を含み得る。特に、本発明のキットは、1つ以上の組換えタンパク質またはリコンビナーゼ、1つ以上のベクタードナー分子、1つ以上の挿入ドナー分子および1つ以上の宿主細胞(例えば、コンピテントセル)からなる群より選択された1つ以上の成分(またはその組み合わせ)を含み得る。
【0039】
本発明の挿入ドナー分子を作製するためのキットは、任意または多数の成分を含み得、そしてこのようなキットの組成は、含まれる特定の方法に非常に依存して変化し得る。増幅により挿入ドナー分子を合成するためのキットは、ポリメラーゼ活性を有する1つ以上のポリペプチド(好ましくは、DNAポリメラーゼ、そして最も好ましくは、熱安定性DNAポリメラーゼ)、1つ以上のヌクレオチド、および1つ以上の組換え部位を含む1つ以上プライマーからなる群より選択された1つ以上の成分(またはその組み合わせ)を含み得る。組換え部位を目的の核酸分子に挿入または付加するためのキットは、1つ以上のヌクレアーゼ(好ましくは、制限エンドヌクレアーゼ)、1つ以上のリガーゼ、1つ以上のトポイソメラーゼ、1つ以上のポリメラーゼ、および1つ以上の組換え部位を含む1つ以上の核酸分子またはアダプターを含み得る。組換え部位を1つ以上の目的の核酸分子内に組み込むためのキットは、1つ以上の組換え部位を含む1つ以上の組み込み配列からなる群より選択された1つ以上の成分(またはその組み合わせ)を含み得る。このような組み込み配列は、1つ以上のトランスポゾン、組み込みウイルス、相同組換え配列、1つ以上の宿主細胞などを含み得る。
【0040】
本発明はまた、本発明の方法を実行するための組成物、または本発明の方法を実行することにより生成される組成物に関する。特に、このような組成物は、1つ以上の挿入ドナー分子、1つ以上のベクタードナー分子、および1つ以上の組換えタンパク質(または、その組み合わせ)を含み得る。さらなる局面において、本発明の組成物は、1つ以上のコインテグレート分子、1つ以上の産物分子、および1つ以上の副産物分子(またはその組み合わせ)を含み得る。
【0041】
挿入ドナー分子を調製することに関連した組成物は、所望の挿入ドナー分子を調製することに利用される特定の方法に非常に依存して変化し得る。増幅によりこのような分子を調製するための組成物は、ポリメラーゼ活性を有する1つ以上のポリペプチド、1つ以上の組換え部位を含む1つ以上のプライマー、1つ以上のヌクレオチド、および増幅するための1つ以上の核酸分子(またはその組み合わせ)を含み得る。所望の核酸分子に組換え部位を挿入することまたは付加することに関連した組成物は、1つ以上の組換え部位を含む1つ以上の核酸分子またはアダプター、1つ以上のリガーゼ、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼ、1つ以上のトポイソメラーゼ、およびこのような組換え部位を含むために所望される1つ以上の核酸分子(またはその組み合わせ)を含み得る。所望の核酸分子に組換え部位を組み込むことに関連した組成物は、1つ以上の組換え部位を含む1つ以上の組み込み配列、および組換え部位を含むために所望される1つ以上の核酸分子を含み得る。
【0042】
本発明の特に好ましい局面において、ライブラリー(例えば、ランダム配列または縮重オリゴヌクレオチドのようなデノボ合成により生成されるゲノムDNAまたはcDNAの集団、あるいは核酸分子の集団)を、本発明に従って利用する。核酸分子のこのような集団に組換え部位を挿入、または付加することにより、挿入ドナー分子の集団を生成する。本発明の組換え方法により、異なったベクター(またはベクターの組み合わせ)内に、従って、ライブラリーまたはライブラリー由来の特定の配列もしくはクローンを評価および分析するための異なった宿主系(原核生物および真核生物)内に、ライブラリーを容易に移動し得る。あるいは、所望の分子を含むベクターを、RNAおよび/またはタンパク質の生成のためのインビトロ発現系のようなインビトロ系において使用し得る。特に好ましい局面において、1つ以上の組換え部位を、以下の工程を包含する方法によりライブラリーの核酸分子に付加する:
(a) 直鎖核酸分子の集団と1つ以上の組換え部位を含む1つ以上のアダプターとを混合する工程、
(b) 直鎖分子の1つ以上の末端に1つ以上のアダプターを付加するために十分な条件下で混合物をインキュベートする工程。好ましい局面において、核酸分子の集団は、二本鎖DNA分子(好ましくは、ゲノムDNAまたはcDNA)である。本発明において使用するための直鎖フラグメントの集団を、ゲノムまたはcDNAを(機械的手段にまたは酵素学的手段により)開裂することにより調製し得る。好ましい局面において、直鎖分子の1つ以上の末端にアダプターを付加する。
【0043】
本発明の別の特に好ましい局面において、本発明の挿入ドナーDNA分子の集団を調製するために、cDNAライブラリーを使用する。特に、本発明のこの局面は、以下の工程を包含する方法に関する:
(a) RNA、mRNA、またはポリA+RNAテンプレートの集団と逆転写酵素活性を有する1つ以上のポリペプチド、および1つ以上の組換え部位を含む1つ以上のプライマーを接触する工程、
(b) テンプレートに相補的なDNA分子の第1の集団を合成するために十分な条件下で混合物をインキュベートする工程であって、ここでDNA分子は、1つ以上の組換え部位を含む。本発明のこの局面は、DNA分子の第1の集団の全部または一部に相補的なDNA分子の第2の集団を生成するために十分な条件下で、合成されたDNAをインキュベートする工程をさらに含み得、これによって1つ以上の組換え部位を含む二本鎖DNA分子の集団を形成する。
【0044】
特に好ましい局面において、本発明の挿入ドナー分子は、少なくとも2つの組換え部位を含み、ここで挿入ドナー分子は、直鎖であり、このような2つ以上の組換え部位を、好ましくは、分子の両末端に、またはその近くに配置する。本発明に従って、さらなる組換え部位(2つ以上)の使用を、このような組換え部位の形態および配置に依存する、挿入ドナー分子内に異なった挿入物のサブクローニングを容易にするために使用し得る。
【0045】
別の実施態様は、本発明の方法において有用なDNAおよびベクターを含む。特に、1つの実施態様において、ベクタードナー分子を提供し、ここで、ベクタードナー内のDNAセグメントを、(i) 環状ベクタードナーにおいて、少なくとも2つの組換え部位で、または(ii) 直鎖状ベクタードナーにおいて、少なくとも1つの組換え部位で、のいずれかにより分離し、ここで、組換え部位は、好ましくは、組換えの特異性または効率を増強するように操作される。1つのベクタードナーの実施態様は、第1のDNAセグメントおよび第2のDNAセグメントを含み、第1または第2のセグメントは選択マーカーを含む。第2のベクタードナーの実施態様は、第1のDNAセグメントおよび第2のDNAセグメントを含み、第1または第2のDNAセグメントは、毒性遺伝子を含む。第3のベクタードナーの実施態様は、第1のDNAセグメントおよび第2のDNAセグメントを含み、第1または第2のDNAセグメントは、少なくとも1つの選択マーカーの不活性フラグメントを含み、ここで選択マーカーの不活性フラグメントは、第1または第2の組換え部位を少なくとも1つの選択マーカーの別の不活性フラグメントで横切って組み換えられる場合に機能的な選択マーカーを再構成し得る。
【0046】
本発明の別の好ましい実施態様は、当該分野において公知であることに照らして、本発明の以下の図面および記載に照らして、そして特許請求の範囲に照らして当業者に明白である。
【0047】
(発明の詳細な説明)
可逆的なおよび/または繰り返しの可能なクローニングまたはサブクローニング反応が組換えタンパク質および組換え部位を使用してキメラ核酸を形成するための核酸を操作するために使用され得ることが、本発明において予期せずに発見される。従って、本発明による組換えクローニングは、インビトロおよびインビボにおける核酸分子のセグメントを移動または交換するための少なくとも1つの選択された組換え部位を有する組換え核酸分子と共に組換えタンパク質を使用する。
【0048】
これらの方法は、所望の特性(単数または複数)および/または核酸セグメント(単数または複数)を有するキメラDNAまたはRNA分子を生成するために組換え反応を使用する。本発明の方法は目的の核酸分子が任意の数のベクター系に移動または移入され得る手段を提供する。本発明に従って、種々のベクター系へのこのような移入は、別々に、連続的にまたは集団で(例えば、1工程において任意の数の異なったベクター中で)達成され得る。本発明の改良された特異性、速度および/または収量は、任意の関連した目的のために有用なDNAまたはRNAのクローニング、サブクローニング、調節または交換を容易にする。このような目的としては、DNAまたはRNAのセグメントのインビトロ組換え、および転写されたか、複製されたか、単離されたかもしくはゲノムのDNAまたはRNAのインビトロまたはインビボにおける挿入あるいは改変が挙げられる。
【0049】
(定義)
以下の記載において、組換えDNA技術において使用される多数の用語が広く利用される。明細書および請求の範囲(このような用語に与えられるべき範囲を含む)の明確かつ一貫した理解を提供するために、以下の定義が提供される。
【0050】
副産物:これは、クローン化またはサブクローン化されることが所望されるセグメントを欠く、娘分子(組換えクローニングプロセスの間、第2の組換え事象の後に産生される新たなクローン)である。
【0051】
コインテグレート:これは、親(出発)分子の両方を含む、本発明の少なくとも1つの組換え中間体核酸分子である。これは通常環状である。いくつかの実施態様においては、これは直鎖状であり得る。
【0052】
宿主:これは、組換えクローニング産物のレシピエントであり得る、任意の原核生物または真核生物である。本明細書において用いられる用語「宿主」は、遺伝子操作され得る原核生物または真核生物を包含する。このような宿主の例については、Maniatisら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York (1982)を参照のこと。
【0053】
挿入物(単数または複数):これは、本発明の方法により操作され得る所望の核酸セグメントまたは核酸セグメントの集団(図1のセグメントA)を含む。従って、用語「挿入物(単数または複数)」は、特定の核酸(好ましくはDNA)セグメントまたはセグメントの集団を含むことを意味する。このような挿入物(単数および複数)は1以上の遺伝子を含み得る。
【0054】
挿入ドナー:これは、挿入物を有する、本発明の2つの親核酸分子(例えば、RNAまたはDNA)のうちの1つである。この挿入ドナー分子は、両方の末端において組換え部位に隣接される挿入物を含む。この挿入ドナーは直鎖状または環状であり得る。本発明の1つの実施態様において、この挿入ドナーは環状DNA分子であり、そして組換えシグナルの外側のクローニングベクター配列をさらに含む(図1を参照のこと)。挿入物の集団または核酸セグメントの集団が挿入ドナーを作製するために使用される場合、挿入ドナーの集団が生じ、そして本発明に従って使用され得る。
【0055】
産物:これは、組換えクローニングプロセスの間、第2の組換え事象の後に産生される、AおよびD配列を含む1つの所望の娘分子である(図1を参照のこと)。この産物は、クローン化またはサブクローン化されるべきであった核酸を含む。本発明に従って、挿入ドナーの集団が使用される場合、生じた産物分子の集団は、挿入ドナーの挿入物の集団のすべてまたは一部を含み、そして好ましくは、挿入ドナーの最初の分子の代表的集団を含む。
【0056】
プロモーター:これは、開始コドンの近位に位置する、遺伝子の5’領域として一般に記載されるDNA配列である。隣接するDNAセグメントの転写はプロモーター領域で開始される。抑制性プロモーターの転写速度は、抑制物質に応答して減少する。誘導性プロモーターの転写速度は、誘導物質に応答して増加する。構成性プロモーターの転写速度は、一般的な代謝条件の影響下で変化し得るが、特異的に調節されない。
【0057】
認識配列:認識配列は、タンパク質、化学物質、DNAまたはRNA分子(例えば、制限エンドヌクレアーゼ、修飾メチラーゼ、またはリコンビナーゼ)が認識し、そして結合する、特定の配列である。本発明において、認識配列は通常、組換え部位のことをいう。例えば、Creリコンビナーゼのための認識配列は、8塩基対のコア配列に隣接する2つの13塩基対の逆方向反復(リコンビナーゼ結合部位として作用する)からなる34塩基対の配列である、loxPである。Sauer, B., Current Opinion in Biotechnology 5:521−527 (1994)の図1を参照のこと。認識配列の他の例としては、リコンビナーゼ酵素であるλインテグラーゼにより認識される、attB、attP、attL、およびattR配列である。attBは、2つの9塩基対のコア型Int結合部位および7塩基対の重複領域を含む約25塩基対の配列である。attPは、コア型Int結合部位およびアーム型Int結合部位、ならびに補助タンパク質組込み宿主因子(IHF)、FIS、およびエグジショナーゼ(excisionase)(Xis)のための部位を含む約240塩基対の配列である。Landy, Current Opinion in Biotechnology 3:699−707 (1993)を参照のこと。このような部位はまた、本発明に従って操作され、本発明の方法における産物の産生を増強し得る。このように操作された部位が組換え反応を不可逆的にするためにP1またはH1ドメインを欠く場合(例えば、attRまたはattP)、このような部位は、これらの部位のドメインが何らかの方法で修飾されることを示すためにattR’またはattP’と命名され得る。
【0058】
リコンビナーゼ:これは、特異的な組換え部位におけるDNAセグメントの交換を触媒する酵素である。
【0059】
組換えクローニング:これは、本明細書において記載される方法であって、これにより核酸分子のセグメントまたはこのような分子の集団が、インビトロまたはインビボにおいて、交換、挿入、取り替え(replace)、置換(substitute)または改変される。
【0060】
組換えタンパク質:これは、1つ以上の組換え部位を含む組換え反応に関与する、切り出しタンパク質または組み込みタンパク質、酵素、コファクターまたは会合タンパク質を包含する。Landy (1994)(下記)を参照のこと。
【0061】
抑制カセット:これは、サブクローニングベクター中に存在する選択マーカーのリプレッサーを含む核酸セグメントである。
【0062】
選択マーカー:これは、特定の条件下でしばしば、それを含有する分子または細胞について、あるいはそれを含有する分子または細胞に対して選択することを可能にする、DNAセグメントである。これらのマーカーは、RNA、ペプチド、またはタンパク質の産生のような(これらに限定されない)活性をコードし得るか、あるいは、RNA、ペプチド、タンパク質、無機および有機化合物または組成物などのための結合部位を提供し得る。選択マーカーの例としては以下が挙げられるがそれらに限定されない:(1)そうでなければ毒性ある化合物(例えば、抗生物質)に対する耐性を提供する産物をコードするDNAセグメント;(2)レシピエント細胞において別に欠如している産物をコードするDNAセグメント(例えば、tRNA遺伝子、栄養要求マーカー);(3)遺伝子産物の活性を抑制する産物をコードするDNAセグメント;(4)容易に同定され得る産物をコードするDNAセグメント(例えば、βガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、および細胞表面タンパク質のような表現型マーカー);(5)そうでなければ細胞の生存および/または機能に有害である産物に結合するDNAセグメント;(6)そうでなければ上記番号(1)〜(5)に記載のDNAセグメントのいずれかの活性を阻害するDNAセグメント(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド);(7)基質を修飾する産物に結合するDNAセグメント(例えば、制限エンドヌクレアーゼ);(8)所望の分子(例えば、特定のタンパク質結合部位)を単離または同定するために使用され得るDNAセグメント;(9)そうでなければ非機能性であり得る特異的ヌクレオチド配列をコードするDNAセグメント(例えば、分子の亜集団のPCR増幅のための);(10)存在しない場合、直接的または間接的に、特定の化合物に対する耐性または感受性を与えるDNAセグメント;および/または(11)レピシエント細胞において毒性である産物をコードするDNAセグメント。
【0063】
選択スキーム:これは、挿入ドナー、ベクタードナー、任意の中間体、(例えば、コインテグレート)および/または副産物を含む混合物からの、所望の産物(単数または複数)の、選択、富化、または同定を可能にする任意の方法である。1つの好ましい実施態様の選択スキームは、組換えクローニングの間に連結されているまたは連結されていないのいずれかである、少なくとも2つの成分を有する。一方の成分は選択マーカーである。他方の成分は、選択マーカーのインビトロまたはインビボにおける発現、あるいは選択マーカーを有するプラスミドを有する細胞の生存を制御する。一般的に、この制御エレメントは、選択マーカーのリプレッサーまたはインデューサーであるが、選択マーカーの発現を制御するための他の手段が使用され得る。リプレッサーが使用されるかアクチベーターが使用されるかは、当業者に容易に明らかなように、マーカーがポジティブ選択用であるかネガティブ選択用であるか、および種々のDNAセグメントの正確な配列に依存する。好ましい必要条件は、選択スキームが1つ以上の所望の産物のみの選択または富化を生じることである。本明細書において定義されるように、DNA分子について選択は、(a)所望のDNA分子の存在について選択または富化する工程、および(b)所望のDNA分子でないDNA分子の存在に対して選択または富化する工程を包含する。
【0064】
1つの実施態様において、この選択スキーム(これは、逆に実施され得る)は、3つの形態のうちの1つをとり、これは図1に関して議論される。第1(選択マーカーおよびそのリプレッサーについて本明細書において例示される)は、セグメントDを有し、そしてセグメントCを欠く分子について選択する。第2は、セグメントCを有する分子に対しておよびセグメントDを有する分子について選択する。第2の形態の可能な実施態様は、その中にインビトロ反応産物が導入されるべき細胞に対して毒性な遺伝子を保持するDNAセグメントを有する。毒性遺伝子は、毒性遺伝子産物(毒性タンパク質またはRNA)として発現されるDNAであり得るか、またはそれ自体でおよびそれだけで毒性であり得る(後者の場合において、毒性遺伝子はその古典的な定義の「遺伝性の特性(heritable trait)」を有すると理解される)。
【0065】
このような毒性遺伝子産物の例は当該分野において周知であり、そして、制限エンドヌクレアーゼ(例えば、DpnI)、アポトーシス関連遺伝子(例えば、ASK1またはbcl−2/ced−9ファミリーのメンバー)、レトロウイルス遺伝子(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の毒性遺伝子産物を含む)、ディフェンシン(例えば、NP−1、逆方向反復または対の回文構造のDNA配列、バクテリオファージ溶解遺伝子(例えば、φX174またはバクテリオファージ T4由来の遺伝子);抗生物質感受性遺伝子(例えば、rpsL)、抗菌剤感受性遺伝子(例えば、pheS、プラスミド殺傷遺伝子、バクテリアに対して毒性の遺伝子産物を産生する真核生物転写ベクター遺伝子(例えば、GATA−1)および抑制機能の非存在下で宿主を傷害する遺伝子(例えば、kicBまたはccdB)を含むがそれらに限定されない。あるいは、毒性遺伝子はインビトロにおいて選択され得る(例えば、制限部位)。
【0066】
誘導プロモーターに対して作動可能に連結した制限エンドヌクレアーゼについてコードする多くの遺伝子が知られ、そして本発明において使用され得る。例えば、米国特許第4,960,707号(DpnIおよびDpnII);同第5,00,333号、5,082,784号、および同第5,192,675号(KpnI);同第5,147,800号(NgoAIIIおよびNgoAI);5,179,015号(FspIおよびHaeIII);同第5,200,333号(HaeIIおよびTaqI);同第5,248,605号(HpaII);同第5,312,746号(ClaI);同第5,231,021号および同第5,304,480号(XhoIおよびXhoII);同第5,334,526号(AluI);同第5,470,740号(NsiI);同第5,534,428号(SstI/SacI);同第5,202,248号(NcoI);同第5,139,942号(NdeI);および同第5,098,839号(PacI)を参照のこと。Wilson、G.G.、Nucl.Acids.Res.19:2539−2566(1991);およびLunnen、K.Dら、Gene 74:25−32(1998)もまた参照のこと。
【0067】
第2の形態において、セグメントDは選択マーカーを有する。この毒性遺伝子は、ベクタードナー、コインテグレート、および副産物分子を有する形質転換体を除去するが、選択マーカーは、産物を含有する細胞について、および挿入ドナーのみを有する細胞に対して選択するために使用され得る。
【0068】
第3の形態は、同一の分子上にシスでセグメントAおよびセグメントDの両方を有する細胞については選択するが、異なる分子上にトランスで両方のセグメントを有する細胞については選択しない。これは、2つの不活性なフラグメント(各々1つがセグメントAおよびD上にある)に分割される選択マーカーにより具体化され得る。
【0069】
このフラグメントは、セグメントが組換え事象により一緒にもたらされる場合、それらが機能性の選択マーカーを再構成するように、組換え部位に関して配列される。例えば、この組換え事象はプロモーターを構造遺伝子と連結し得、構造遺伝子の2つのフラグメントを連結し得、または生存のために必要なヘテロダイマー遺伝子産物をコードする遺伝子を連結し得、またはレプリコンの部分を連結し得る。
【0070】
部位特異的リコンビナーゼ:これは、代表的には少なくとも以下の4つの活性(またはその組合わせ)を有するリコンビナーゼの型である:(1)1または2つの特異的核酸配列の認識;(2)前記配列(単数または複数)の切断;(3)鎖交換に関与するトポイソメラーゼ活性;および(4)核酸の切断された鎖の再封鎖(reseal)をするリガーゼ活性。Sauer,B.,Current Opinions in Biotechnology 5:521−527 (1994)を参照のこと。保存的部位特異的組換えは、両方のパートナーについての高度の特異性により、相同組換えおよび転位から区別される。鎖交換機構は、DNA合成の非存在下における特異的DNA配列の切断および再結合を含む(Landy,A.(1989)Ann.Rev.Biochem. 58:913−949)。
【0071】
サブクローニングベクター:これは、好ましくは、適切なレプリコンを含む環状または直鎖状核酸分子を含むクローニングベクターである。本発明において、サブクローニングベクター(図1におけるセグメントD)はまた、最終産物中に組み込まれて、クローン化されたDNA挿入物(図1におけるセグメントA)に対して作用するか、またはそれとともに作用することが所望される、機能性および/または調節エレメントを含み得る。このサブクローニングベクターはまた、選択マーカー(好ましくはDNA)を含み得る。
【0072】
ベクター:これは、挿入物に、有用な生物学的または生化学的性質を提供する核酸分子(好ましくは、DNA)である。例としては、インビトロまたは宿主細胞において複製し得るかまたは複製され得る、あるいは所望の核酸セグメントを宿主細胞内の所望の位置に運搬し得る、プラスミド、ファージ、自己複製配列(ARS)、動原体および他の配列が挙げられる。ベクターは、そこにおいて配列が、ベクターの本質的な生物学的機能を損失することなく決定可能な様式で切断され得、そしてその中に核酸フラグメントが、その複製およびクローニングを生じさせるためにスプライスされ得る、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を有し得る。ベクターは、プライマー部位(例えば、PCRのための)、転写および/または翻訳開始および/または調節部位、組換えシグナル、レプリコン、選択マーカーなどをさらに提供し得る。明らかに、相同組換え、転移または制限酵素の使用を必要としない所望の核酸フラグメントの挿入方法(例えば(これらに限定されない)、PCRフラグメントのUDGクローニング(米国特許第5,334,575号、その全体が本明細書中に参考として援用される)、T:Aクローニングなど)はまた、本発明に従って使用されるべきクローニングベクター中へフラグメントをクローン化するために適用され得る。クローニングベクターは、クローニングベクターで形質転換された細胞の同定における使用のために適切な1つ以上の選択マーカーをさらに含み得る。
【0073】
ベクタードナー:これは、所望の産物の部分になるべきDNAベクターを含むDNAセグメントを有する、本発明の2つの親核酸分子(例えば、RNAまたはDNA)の1つである。このベクタードナーは、組換え部位により隣接される、サブクローニングベクターD(または、挿入ドナーが既にクローニングベクターを含まない場合、これはクローニングベクターと呼ばれ得る)および組換え部位によって隣接したセグメントCを含む(図1を参照のこと)。セグメントCおよび/またはDは、選択スキームについて上記で述べたように、所望の産物娘分子についての選択に貢献するエレメントを含み得る。組換えシグナルは、同一であるかまたは異なり得、そして同一のまたは異なるリコンビナーゼにより作用され得る。さらに、ベクタードナーは直鎖状または環状であり得る。
【0074】
プライマー:これは、核酸分子(例えば、DNA分子)の増幅または重合中にヌクレオチドモノマーの共有結合によって伸長される1本鎖または2本鎖オリゴヌクレオチドのことをいう。好ましい局面において、このプライマーは、1以上の組換え部位またはこのような組換え部位の部分を含む。組換え部位の部分は少なくとも2塩基、少なくとも5塩基、少なくとも10塩基または少なくとも20塩基の目的の組換え部位を含む。組換え部位の部分が使用される場合、組換え部位のミッシング部分は、新しく合成された核酸分子によって提供され得る。このような組換え部位はプライマー内および/またはプライマーの1つもしくは両終端に配置され得る。好ましくは、さらなる配列は、組換えを増強または改良し、および/または組換え中の組換え部位を安定化するために組換え部位(単数または複数)に隣接したプライマーに添加される。このような安定化配列は任意の長さの任意の配列(好ましくはG/Cに富む配列)であり得る。好ましくは、このような配列は、サイズで1〜約1000塩基、1〜約500塩基、および1〜約100塩基、1〜約60塩基、1〜約25塩基、1〜約10塩基、2〜約10塩基および好ましくは約4塩基の範囲である。好ましくは、このような配列は、1塩基長より大きく、そして好ましくは2塩基長より大きい。
【0075】
テンプレート:これは、増幅され、合成され、または配列決定される2本鎖または1本鎖核酸分子のことをいう。2本鎖分子の場合、第1鎖および第2鎖を形成するためのその鎖の変性は、好ましくはこれらの分子が増幅され、合成されまたは配列決定される前に行われ、あるいは2本鎖分子は直接テンプレートとして使用され得る。1本鎖テンプレートに関して、テンプレートの部分に対して相補的なプライマーは、適切な条件下でハイブリダイズされ、次いで、ポリメラーゼ活性を有する1以上のポリペプチド(例えば、DNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素)が前記テンプレートのすべてまたは部分に相補的な核酸分子を合成し得る。あるいは、2本鎖テンプレートに関して、1以上のプロモーターが、このテンプレートのすべてまたは部分に対して相補的な核酸分子を作製するために1以上のポリメラーゼと組み合わせて使用され得る。本発明に従って新しく合成された分子は、長さにおいて元のテンプレートと同じかまたは短くあり得る。さらに、元のテンプレート集団の代表的な核酸分子の集団を作製するために核酸テンプレートの集団は、合成または増幅中に使用され得る。
【0076】
アダプター:これは、1以上の組換え部位(またはこのような組換え部位の部分)を含むオリゴヌクレオチドもしくは核酸フラグメントまたはセグメント(好ましくはDNA)であり、この組み換え部位は、本発明に従って環状または直鎖状挿入ドナー分子、ならびに本明細書中に記載の他の核酸分子に加えられ得る。組換え部位の部分を使用する場合、ミッシング部分は、挿入ドナー分子によって提供され得る。このようなアダプターは、環状または直鎖状分子内の任意の位置に加えられ得るが、このアダプターは、好ましくは直鎖状分子の1端もしくは両端に、あるいはその近傍に加えられる。好ましくは、アダプターは、特に目的の核酸分子の両側に(隣接する)位置するように配置される。本発明に従って、アダプターは、標準の組換え技術(例えば、制限消化および連結(ligation))によって目的の核酸分子に加えられ得る。例えば、アダプターは、適切な制限酵素を使用した最初に消化した分子によって環状分子に加えられ得、切断部位にアダプターを加え、そして切断部位にアダプター(単数または複数)を含む環状分子を再構成する。あるいは、アダプターは、直鎖状分子の1以上のおよび好ましくは両末端に直接連結され得、それによって1つまたは両末端にアダプターを有する直鎖状分子を生ずる。本発明の1つの局面において、アダプターは、直鎖状分子の集団(例えば、切断または消化されたcDNAライブラリーまたはゲノムDNA)に加えられ、前記集団のすべてまたは実質的な部分の1つおよび好ましくは両末端でアダプターを含む直鎖状分子の集団を形成し得る。
【0077】
ライブラリー:これは、核酸分子のコレクションのことをいう(環状または直鎖状)。1つの好ましい実施態様において、ライブラリーは、生物(「ゲノム」ライブラリー)のDNA含有量のすべてまたは重要な部分の代表、あるいは細胞、組織、器官または生物における発現された遺伝子(cDNAライブラリー)のすべてまたは重要な部分の代表的な核酸分子の1つのセットである。ライブラリーはまた、デノボ合成、1以上の配列の変異誘発などによって作製されるランダムな配列を含み得る。このようなライブラリーは、1以上のベクター中に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0078】
増幅:これは、ポリメラーゼを使用して、ヌクレオチド配列のコピー数を増加するためのインビトロでの任意の方法をいう。核酸の増幅は、DNAおよび/もしくはRNA分子あるいはプライマーにヌクレオチドの組み込みを生じ、これによってテンプレートに対して相補的な新しい分子を形成する。形成された核酸分子およびそのテンプレートは、さらなる核酸分子を合成するためのテンプレートとして使用され得る。本明細書に使用されるように、1回の増幅反応は、多くのラウンドの増幅からなり得る。DNA増幅反応は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む。1回のPCR反応は、5〜100「サイクル」のDNA分子の変性および合成からなり得る。
【0079】
オリゴヌクレオチド:これは、共有結合的に連結したヌクレオチド配列を含む合成または天然の分子のことをいい、これは、1つのヌクレオチドのデオキシリボースまたはリボースの3’位と隣接するヌクレオチドのデオキシリボースまたはリボースの5’位の間のホスホジエステル結合によって結合される。
【0080】
ヌクレオチド:これは、塩基−糖−リン酸の組み合わせのことをいう。ヌクレオチドは、核酸配列(DNAおよびRNA)の単量体単位である。用語、ヌクレオチドは、リボヌクレオシド三リン酸であるATP、UTP、CTG、GTPおよびデオキシヌクレオシド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP)またはその誘導体を含む。このような誘導体には、例えば、[αS]dATP、7−デアザ−dGTPおよび7−デアザ−dATPを含む。本明細書中に使用されるように、用語、ヌクレオチドはまた、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)およびこれらの誘導体をいう。例示されたジデオキシリボヌクレオシド三リン酸の実例には、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、およびddTTPが含まれるがこれらに限定されない。本発明に従って、「ヌクレオチド」は非標識であり得、または周知の技術によって直接標識され得る。検出可能な標識は、例えば放射性同位元素、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識および酵素標識を含む。
【0081】
ハイブリダイゼーション:用語「ハイブリダイゼーション」および「ハイブリダイズしている」は、2本鎖分子を生じるための2つの相補的1本鎖核酸分子(RNAおよび/またはDNA)の塩基の対合をいう。本明細書中で使用されるように、2つの核酸分子はハイブリダイズされ得るが、塩基の対合は完全に相補的ではない。従って、ミスマッチした塩基は、当該分野で周知の適切な条件が使用された場合、2つの核酸分子のハイブリダイゼーションを妨げない。
【0082】
組換えDNA技術ならびに分子生物学および細胞生物学の分野で使用される他の用語は、本明細書中で使用されるように、当業者によって一般に、理解される。
【0083】
(組換えスキーム)
本発明のインビトロまたはインビボの方法についての1つの一般的なスキームは図1に示され、ここで挿入ドナーおよびベクタードナーは、環状DNAまたは直鎖状DNAのいずれかであり得るが、環状として示される。ベクターDは、最初のクローニングベクターBと交換される。この挿入ドナーはベクターを含む必要がない。本発明の方法は、挿入物Aが任意の数のベクターに移入されることを可能にする。本発明に従って、この挿入は特定のベクターに移入され得、または1つの工程で多数のベクターに移入され得る。さらに、この挿入物は、異なったベクタードナーと組み合わせて挿入ドナーとして例えば、産物DNA分子を使用して、連続的に任意の数のベクターに移入され得る。目的の核酸分子は、新しいベクターに移入され得、それによって新しい産物DNA分子を産生する。次いで、この新しい産物DNA分子は、出発材料として使用され、新しいベクターに目的の核酸分子を移入し得る。このような連続的な移入は、任意の数の異なったベクターにおいて多くの回数、達成され得る。従って、本発明は、核酸分子をクローニングまたはサブクローニングすること可能にし、そしてその容易性および単純性のため、これらの方法は、特に、高生産性(high through−put)適用に適合する。本発明に従って、エレメントAおよびDを含み、そして1以上のコインテグレート(単数および複数)を含む、他の分子に対する娘分子について選択することが所望され得る。この四角および円は、異なったセットの組換え部位(例えば、lox部位またはatt部位)である。セグメントAまたはDは、少なくとも1つの選択マーカー、発現シグナル、複製起点、または検出、選択、発現、マッピング、もしくは配列決定したDNAに関する特定の機能を含み得、ここでDは、この実施例で使用される。このスキームはまた、本明細書中で記載されるように本発明に従って、逆にされ得る。次いで、生じた逆反応の産物(例えば、挿入ドナー)は、1つまたは多くのベクターを組み合わせて使用され、この挿入物が任意の数のベクターに含まれる新しい産物分子を調製し得る。
【0084】
エレメントAまたはDの部分であり得る所望のDNAセグメントの例は、PCR産物、大きなDNAセグメント、ゲノムクローンまたはフラグメント、cDNAクローンまたはフラグメント、機能性エレメントなど、および有用な核酸またはタンパク質をコードする遺伝子または部分的遺伝子を含むが、それらに限定されない。さらに、本発明の組換えクローニングは、タンパク質発現(ネイティブもしくは融合タンパク質)および/または遺伝子治療のための、エクソビボおよびインビボ遺伝子移入ビヒクルを作製するために使用され得る。
【0085】
図1において、そのスキームは以下のようにAおよびベクターDを含む所望の産物を提供する。挿入ドナー(AおよびBを含む)は、組換えタンパク質により、ベクタードナー(CおよびDを含む)と四角の組換え部位においてまず組換えて、A−D−C−Bの各々を有するコインテグレートを形成する。次に、丸の組換え部位において組換えが生じて、産物DNA(AおよびD)ならびに副産物DNA(CおよびB)を形成する。しかし、所望であれば、2つ以上の異なるコインテグレートが形成されて、2つ以上の産物を生成し得る。
【0086】
本発明のインビトロまたはインビボ組換えクローニング方法の1つの実施態様において、少なくとも1つの所望の産物DNAを選択するための方法が提供される。これは、図2に示されるプラスミドpEZC726のマップの考慮により理解され得る。2つの例示的な組換え部位は、attPおよびloxPである。これらの部位により規定される1つのセグメント上に、そのプロモーターがトランスポゾンTn10由来のtetOPオペレーター/プロモーターにより置換されているカナマイシン耐性遺伝子が存在する。tetリプレッサータンパク質の非存在下において、E.coli RNAポリメラーゼは、tetOPからカナマイシン耐性遺伝子を転写する。tetリプレッサーが存在する場合、それはtetOPに結合し、そしてカナマイシン耐性遺伝子の転写をブロックする。pEZC726の他のセグメントは、構成性プロモーターにより発現されるtetリプレッサー遺伝子を有する。従って、pEZC726により形質転換される細胞は、tetRと同じセグメント上のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のためにクロラムフェニコールに耐性であるが、カナマイシンに感受性である。組換え反応は、tetR遺伝子の調節されたカナマイシン耐性遺伝子からの分離を生じる。この分離は、所望の組換え産物を受ける細胞においてカナマイシン耐性を生じる。
【0087】
2つの異なる組のプラスミドを、インビトロ方法を実証するために構築した。Creリコンビナーゼのみのでの使用のための1つの組(クローニングベクター602およびサブクローニングベクター629(図3))は、loxPおよびloxP 511部位を含有した。Creおよびインテグラーゼでの使用のための第2の組(クローニングベクター705およびサブクローニングベクター726(図2))は、loxPおよびatt部位を含有した。所望の娘プラスミドの産生の効率は、Cre単独を使用するよりも、両方の酵素を使用すると、約60倍高かった。Cre単独反応由来の24コロニー中19が、所望の産物を含んだが、インテグラーゼ+Cre反応由来の38コロニー中38が、所望の産物プラスミドを含んだ。
【0088】
種々の他の選択スキームは、組換えクローニングが実施される特定の目的に適合し得る場合、当該分野において公知であるそれらが、使用され得る。個々の嗜好および要求に依存して、多数の異なる型の選択スキームが本発明の組換えクローニングまたはサブクローニング方法において使用され得る。当業者は、多数のDNAセグメントまたはそれらを作製するための方法、および当該分野において慣例的に使用される異なる選択方法の有効性を利用し得る。このようなDNAセグメントは、活性(例えば、RNA、ペプチド、もしくはタンパク質の産生、しかしこれらに限定されない)をコードするDNAセグメント、またはこのようなRNA、ペプチド、もしくはタンパク質のための結合部位を提供するDNAセグメントを含むが、これらに限定されない。選択スキームの考案において使用されるDNA分子の例は、「選択スキーム」の定義のもとに、上記に示される。
【0089】
さらなる例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(i)PCRのための新たなプライマー部位の生成(例えば、以前は並置されていなかった2つのDNA配列の並置);
(ii)制限エンドヌクレアーゼまたは他のDNA修飾酵素、化学物質、リボザイムなどにより作用されるDNA配列の含有;
(iii)DNA結合タンパク質、RNA、DNA、化学物質などにより認識されるDNA配列の含有(例えば、集団についての選択または集団からの排除のためのアフィニティータグとしての使用のための)(Davis,Nucl.Acids Res.24:702−706(1996);J.Virol.69:8027−8034(1995))あるいはインビトロ転写に関するプロモーターを並置するために;
(iv)ランダマイズされ、そしてcDNA由来のRNAライブラリーを用いることによる、エプスタインバーウイルス発現RNAに会合するリボソームL22タンパク質についてのRNAリガンドのインビトロ選択;
(vi)その活性が特異的方向および並置を必要とする機能性エレメント(例えば、(a)トランスでは弱く反応するが、シスに配置されると、適切なタンパク質の存在下において、分子の特定の集団を破壊する組換え(例えば、インビトロRNA合成を可能にするプロモーター配列の再構成)を生じる組換え部位)の配置。このRNAは直接使用され得るか、または逆転写されて所望のDNA構築物を入手し得る;
(vii)分子(単数または複数)のサイズ(例えば、画分)または他の物理的性質による所望の産物の選択;および
(viii)その同定を可能にする特異的修飾(例えば、メチル化)のために必要とされるDNA配列の含有。
【0090】
本発明の方法における産物および副産物の形成後、特定の組換えクローニング手順において必要に応じて考案された特定の選択スキームに依存して、選択工程はインビトロまたはインビボのいずれかにおいて実施され得る。
【0091】
例えば、選択のインビトロ方法が、挿入物ドナーおよびベクタードナーDNA分子について案出され得る。このようなスキームは、組換え事象の後に、希な切断部位が副産物中に至るように、出発環状ベクターにおいて希な制限部位を操作することを含み得る。従って、希な制限部位を結合し、そしてそれを切断する制限酵素がインビトロにおいて反応混合物に添加されると、希な切断部位を有するDNA分子(すなわち、出発DNA分子、同時組込み、および副産物)の全ては切断され、そして意図される宿主細胞において複製不能にされる。例えば、セグメントBおよびCにおける切断部位(図1を参照のこと)は、産物以外のすべての分子に対して選択するために使用され得る。あるいは、セグメントDについて(例えば、B上に見出されない薬物耐性遺伝子により)選択し得る場合、Cにおける切断部位のみが必要とされる。
【0092】
同様に、直鎖状DNA分子を扱う場合、インビトロ選択方法が案出され得る。PCRプライマー配列に相補的なDNA配列が、産物分子にのみ、組換えクローニング方法により、移入されるように操作され得る。反応が完了した後、適切なプライマーが反応溶液に添加され、そしてサンプルがPCRに供される。従って、産物分子の全てまたは一部が増幅される。
【0093】
他のインビボ選択スキームが、種々の宿主細胞、特にE.coli株を用いて使用され得る。1つのスキームは、サブクローニングプラスミドの一方のセグメント上にリプレッサー遺伝子を、そして同じプラスミドの他方のセグメント上にそのリプレッサーにより制御される薬物マーカーを置くことである。別のスキームは、サブクローニングプラスミドのセグメントC上にキラー遺伝子を置くことである(図1)。もちろん、このようなプラスミドを増殖させるための方法が存在しなくてはならない。すなわち、それにおいてキラー遺伝子が死滅させない状況が存在しなければならない。E.coliの特定の株を必要とする公知の多数の遺伝子が存在する。1つのこのようなスキームは、制限酵素DpnI(これは、その認識配列GATCがメチル化されない限り切断しない)を使用することである。多数の普及した一般的なE.coli株はGATC配列をメチル化するが、その中でクローン化されたDpnIが害なしに発現され得る変異体が存在する。その他の制限酵素遺伝子もまた、選択のための毒性遺伝子として用いられ得る。このような場合、対応するメチラーゼ遺伝子をコードするゲノム(gem)を含む宿主が、本発明における使用のための保護された宿主を提供する。同様に、ccdBタンパク質は、DNAジャイレースの潜在的な毒物であり、切断可能な複合体中のジャイレース分子を効率的にトラップし、DNA鎖切断および細胞死を引き起こす。DNAジャイレースのgyrAサブユニット中の変異、特に、gyrA462変異は、ccdBに対する耐性を付与する(BernardおよびCouturier、J.Mol.Bio.226(1992)735−745)。gyrA462変異を含むE.coli株DB2が構築されている。ccdB遺伝子を発現するプラスミドを含むDB2細胞は、ccdBにより殺されない。この株は、Life Technologiesから入手可能であり、そして1997年10月14日に、Agricultural Research Culture Collection(NRRL)、1815、North University Street、Peoria、IL 61604 USAのコレクションに、寄託番号NRRL B−21852として寄託されている。
【0094】
もちろん、類似の選択スキームが他の宿主生物のために案出され得る。例えば、Tn10のtetリプレッサー/オペレーターが真核生物において遺伝子発現を制御するように適合させられた(Gossen,M.,およびBujard,H.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547−5551(1992))。従って、本明細書において例証されるtetリプレッサーによる薬物耐性の同じ制御または本明細書に記載の他の選択スキームが、真核生物細胞において産物を選択するために適用され得る。
【0095】
(組換えタンパク質)
本発明において、DNAセグメントの交換は、組換えタンパク質(リコンビナーゼならびに会合するコファクターおよびタンパク質を含む)の使用によって達成される。種々の組換えタンパク質が当該分野において記載されている。このようなリコンビナーゼの例には以下が含まれる:
Cre: バクテリオファージP1由来のタンパク質(AbremskiおよびHoess、J.Biol.Chem.259(3):1509−1514(1984))は、loxP(交叉の遺伝子座)部位と呼ばれる34bp DNA配列間の交換を触媒する(すなわち、組換えを引き起こす)(Hoessら、Nucl.Acids Res.14(5):2287(1986)を参照のこと)。Creは市販されている(Novagen、カタログNo.69247−1)。Creによって媒介される組換えは、自由に可逆的である。熱力学的考察からは、Cre媒介性組込み(1つの分子を形成する2つの分子間の組換え)が、Cre媒介性切り出し(2つの娘分子を形成する同一分子中の2つのloxP部位間の組換え)より、はるかに効率的でないことは驚くべきことではない。Creは、当該分野において周知のように、補因子としてマグネシウムまたはスペルミジンのいずれかを含む単純な緩衝液中で働く。DNA基質は、直鎖状または超らせん状のいずれかであり得る。多くの変異体loxP部位が記載されている(Hoessら、前掲)。これらの1つloxP 511は、別のloxP 511部位と組換えるが、loxP部位とは組み換えない。
【0096】
インテグラーゼ:λゲノムのE.coli染色体への組込みを媒介する、バクテリオファージλ由来のタンパク質。バクテリオファージλInt組換えタンパク質は、溶原状態の形成または誘導の一部として、その基質att部位間の組換えを促進する。組換え反応の可逆性は、組込み組換えおよび切り出し組換えのための2つの独立した経路から生じる。各経路は特有であるが重複する、att部位DNAを含む15のタンパク質結合部位のセットを使用する。4つのタンパク質(Int、Xis、IHFおよびFIS)が関与する協同的および競合的相互作用が組換えの方向を決定する。
【0097】
組込み組換えには、IntおよびIHFタンパク質、ならびに部位attP(240bp)およびattB(25bp)が関与する。組換えは、2つの新たな部位:attLおよびattRの形成を生じる。切り出し組換えは、attPおよびattBを生成するために、Int、IHF、およびXis、ならびに部位attLおよびattRを必要とする。特定の条件下で、FISは、切り出し組換えを刺激する。これらの正常な反応に加えて、attPおよびattBは、同一分子上に配置される場合、切り出し組換えを促進して2つの切り出し産物(attLを有するものおよびattRを有するもの)を生成し得ることを理解すべきである。同様に、attLを含む分子とattRを含む分子との間での分子間組換えは、Int、IHFおよびXisの存在下で、組込み組換えならびにattPおよびattBの生成を生じ得る。従って、DNAセグメントを、操作したatt部位の適切な組合せと隣接させることによって、適切な組換えタンパク質の存在下で、切り出し組換えまたは組込み組換えを、互いの逆反応として導き得る。
【0098】
att部位のそれぞれは、15bpのコア配列を含む。機能的重要性の個々の配列エレメントは、この共通コアの境界の範囲内に、外側に、およびその境界を横切って存在する(Landy,A.,Ann.Rev.Biochem.58:913(1989))。種々のatt部位間の効率的な組換えは、中心共通領域の配列が組換えパートナー間で同一であることを必要とする。しかし、現在は、正確な配列は改変可能であることが見出されている。その結果、コア内に変化を有する、att部位の誘導体が、少なくとも天然のコア配列と同程度に効率的に組換えることが、現在は見出されている。
【0099】
インテグラーゼはバクテリオファージλ上のattP部位(約240bp)をE.coliゲノム上のattB部位(約25bp)と組換えて(Weisberg,R.A.およびLandy,A.Lambda II、p.211(1983)、Cold Spring Harbor Laboratory)、attL(約100bp)およびattR(約160bp)部位によって隣接された、組み込まれたλゲノムを生成するように作用する。Xisの非存在下(下記参照のこと)で、この反応は本質的に不可逆的である。インテグラーゼおよびIHFによって媒介される組込み反応は、インビトロで、スペルミジンを含む単純な緩衝液を用いて働く。インテグラーゼは、Nash,H.A.、Methods of Enzymology 100:210−216(1983)によって記載されるように入手され得る。IHFは、Filutowicz,M.ら、Gene 147:149−150(1994)によって記載されるように入手され得る。
【0100】
種々の生物由来の多くの組換え系もまた、本明細書中に提供される教示およびガイダンスに基づいて、使用され得る。例えば、Hoessら、Nucleic Acids Research 14(6):2287(1986);Abremskiら、J.Biol.Chem.261(1):391(1986);Campbell、J.Bacteriol.174(23):7495(1992);Qianら、J.Biol.Chem.267(11):7794(1992);Arakiら、J.Mol.Biol.225(1):25(1992)を参照のこと。これらの多くは、リコンビナーゼのインテグラーゼファミリーに属する(Argosら、EMBO J.5:433−440(1986))。おそらく、これらのうち、バクテリオファージλ由来のインテグラーゼ/att系(Landy,A.(1993)Current Opinions in Genetics and Devel.3:699−707)、バクテリオファージP1由来のCre/loxP系(HoessおよびAbremski(1990)Nucleic Acids and Molecular Biology、第4巻、EcksteinおよびLilley編、Berlin−Heidelberg:Springer−Verlag;90−109頁)、およびSaccharomyces cerevisiae2μ環状プラスミド由来のFLP/FRT系(Broachら、Cell 29:227−234 (1982))が、最も良く研究されている。
【0101】
部位特異的リコンビナーゼの第2のファミリーのメンバーであるリゾルベースファミリー(例えば、γδ、Tn3リゾルベース、Hin、Gin、およびCin)もまた公知である。リコンビナーゼのこの高度に関連するファミリーのメンバーは、代表的には、分子内反応(例えば、反転および切り出し)に制約され、そして宿主がコードする因子を必要とし得る。宿主因子の要求性のいくつか(MaeserおよびKahnmann(1991)Mol.Gen.Genet.230:170−176)および分子内組換えの制約のいくつかを軽減する変異体が単離されている。
【0102】
λIntに類似の他の部位特異的リコンビナーゼおよびP1 Creに類似の他の部位特異的リコンビナーゼは、IntおよびCreを置換し得る。このようなリコンビナーゼは公知である。多くの場合、このような他のリコンビナーゼの精製は、当該分野において記載されている。それらが公知でない場合、細胞抽出物が使用され得るか、またはCreおよびIntについて記載された手順を使用して、酵素が部分的に精製され得る。
【0103】
CreおよびIntが例として詳細に記載されているが、多くの関連するリコンビナーゼ系が存在し、そして記載された発明に対するそれらの適用もまた、本発明に従って提供される。部位特異的リコンビナーゼのインテグラーゼファミリーは、例えば、バクテリオファージλ、φ80、P22、P2、186、P4およびP1によりコードされる部位特異的組換えタンパク質のような、本発明のための別の組換えタンパク質および組換え部位を提供するために使用され得る。この群のタンパク質は、配列の予想し得ないほど大きな多様性を示す。この多様性にも関わらす、すべてのリコンビナーゼは、そのC末端側の半分において整列され得る。
【0104】
C末端付近の40残基領域は、すべてのタンパク質において、特によく保存されており、そして酵母2μプラスミドFlpタンパク質のC末端付近の領域と相同である。3つの位置がこのファミリー内で完全に保存されている:ヒスチジン、アルギニンおよびチロシンが、よく保存されたC末端領域内のそれぞれのアラインメント位置396、399および433に見出される。これらの残基は、このファミリーのリコンビナーゼの活性部位に寄与し、そしてチロシン-433が鎖切断および再結合の間にDNAと一時的に共有結合を形成することを示唆する。例えば、Argos,P.ら、EMBO J. 5:433−40 (1986)を参照のこと。
【0105】
接合性トランスポゾン(例えば、Tn916)(ScottおよびChurchward.1995.Ann Rev Microbiol 49:367;TaylorおよびChurchward、1997.J.Bacteriol 179:1837)のようないくつかのトランスポゾンのリコンビナーゼは、リコンビナーゼのインテグラーゼファミリーに属し、そしていくつかの場合には、特異的組込み部位に対する強い選択性を示す(Ikeら、1992.J.Bacteriol 174:1801;Trieu−Cuotら、1993.Mol.Microbiol 8:179)。
【0106】
あるいは、IS231および他のBacillus thuringiensisの転移エレメントが、組換えタンパク質および組換え部位として使用され得る。Bacillus thuringiensisは、その毒性が、農業的な有害生物ならびにヒトおよび動物の疾患のベクターに対して活性である、胞子嚢中のデルタエンドトキシン結晶の存在に起因する、昆虫病原性(entomopathogenic)細菌である。これらの毒素タンパク質をコードする遺伝子のほとんどは、プラスミドに保有され、そして一般に、挿入配列(IS231、IS232、IS240、ISBT1およびISBT2)ならびにトランスポゾン(Tn4430およびTn5401)と構造的に関連している。これらの可動エレメントのいくつかは活性であり、そして結晶遺伝子の可動性に関与し、そのことによって細菌毒性の変動に寄与することが示されている。
【0107】
イソIS231エレメントの構造分析により、それらがClostridium perfringens由来のIS1151に関連し、そしてEscherichia coli由来のIS4およびIS186に遠縁に関連することが示される。他のIS4ファミリーのメンバーと同様に、それらは、他のISファミリーおよびレトロウイルスに見出される、保存されたトランスポゼース−インテグラーゼモチーフを含む。さらに、Escherichia coliのIS231Aから収集した機能的データは、特異的な標的に対して優先性を有する、非複製様式の転位を示す。同様な結果はまた、Bacillus subtilisおよびB.thuringiensisにおいても得られた。例えば、Mahillon,J.ら、Genetica 93:13−26(1994);Campbell、J.Bacteriol.7495−7499(1992)を参照のこと。
【0108】
リコンビナーゼの非関連ファミリーである、トランスポザーゼもまた、レプリコン間の遺伝情報を移入するために用いられている。トランスポゾンは構造的に変動可能であり、単一物または複合物として記載されるが、代表的には、逆向きに組織化されたDNA配列が隣接するリコンビナーゼ遺伝子をコードする。トランスポゾンの組込みは、ランダムまたは高度に特異的であり得る。高度に部位特異的である、Tn7のような代表例は、レプリコン間のDNAセグメントの効率的な移動に適用された(Lucklowら、1993.J.Virol 67:4566−4579)。
【0109】
関連するエレメントであるインテグロンはまた、1つのレプリコンから他への薬物耐性カセットの移動を転座可能に促進する。しばしば、これらのエレメントは、欠損性トランスポゾン誘導体である。トランスポゾンTn21は、In2と呼ばれるクラスIインテグロンを含む。In2からのインテグラーゼ(IntII)は、このクラスのすべてのインテグロンに共通であって、2つの59bpエレメント間、または59bpエレメントとattI部位との間の組換えを仲介し、これは、レシピエントのインテグロン中への挿入をもたらし得る。このインテグラーゼもまた、切除的組換えを触媒する(Hall、1997.Ciba Found Symp 207:192;Franciaら、1997.J Bacteriol 179:4419)。
【0110】
グループIIイントロンは、触媒的RNAおよびタンパク質をコードする移動性遺伝子エレメントである。このタンパク質成分は、逆転写酵素、マチュラーゼ、およびエンドヌクレアーゼ活性を持ち、その一方このRNAは、エンドヌクレアーゼ活性を持ち、そしてイントロンが組込まれる標的部位の配列を決定する。このRNA配列の部分を改変することにより、このエレメントが組込まれる組込み部位を規定し得る。外来DNA配列を、イントロンの両末端間に取込み得、特異的部位を標的にすることを可能にする。このプロセスは、レトロホーミングと呼ばれ、DNA:RNA中間体を経由して生じ、これは、cDNA中、そして最終的には、二本鎖DNA中にコピーされる(Matsuuraら、Genes and Dev 1997;Guoら、EMBO J,1997)。多くのインロトンにコードされるホーミングエンドヌクレアーゼが同定されている(BelfortおよびRoberts、1997.NAR 25:3379)。このような系は、記載されたサブクローニング方法への適用に容易に採用され得る。
【0111】
組換え反応を駆動するために添加されるリコンビナーゼの量は、公知のアッセイを用いることによって決定され得る。詳細には、力価アッセイを使用して、精製されたリコンビナーゼ酵素の適切な量または抽出物の適切な量を決定する。
【0112】
(操作された組換え部位)
上記リコンビナーゼおよび対応するリコンビナーゼ部位は、本発明に従う組換えクローニングにおける使用に適切である。しかし、野生型組換え部位は、本発明の方法において適用されるような、組換え反応の効率もしくは特異性または産生分子の機能を低下させる配列を含む。例えば、attB、attR、attP、attLおよびloxP組換え部位における複数の終止コドンが、両方の鎖上の複数のリーディングフレーム中に生じる。従って、翻訳の効率は、例えば、コード配列が組換え部位を横切らなければならない(1つのリーディングフレームのみがloxPおよびattB部位の各鎖上で利用可能である)場合、低下するか、または(attP、attRもしくはattLにおいて)不可能である。
【0113】
従って、本発明はまた、これらの問題を克服する操作された組換え部位を提供する。例えば、att部位は、組換え反応の特異性または効率および産物DNAの性質を増強するために(例えば、att1、att2、およびatt3部位)、逆反応を減少させるために(例えば、attRからのP1およびH1の除去)、1または複数の変異を有するように操作され得る。これらの変異体の試験は、どの変異体が、本発明に従う組換えサブクローニングに適切であるに十分な組換え活性を生じるかを決定する。
【0114】
従って、変異は、部位特異的組換えを増強するために組換え部位に導入され得る。このような変異には、翻訳終止コドンを有さない組換え部位(これは、融合タンパク質がコードされることを可能にする);同一のタンパク質によって認識されるが塩基配列が異なる組換え部位(その結果、これらは、それらの相同なパートナーと大きくまたは排他的に反応して、複数の意図されるべき反応を可能にする)および組換え部位のヘアピン形成を防ぐ変異体が含まれるが、これらに限定されない。どの特定の反応が起こるかは、どの特定のパートナーが反応混合物中に存在するかによって特定され得る。例えば、三部分タンパク質融合体は、組換え部位attR1およびattL1;ならびにattB3;attR1;attP3および10xP;ならびに/またはattR3および10xP;ならびに/またはattR3およびattL2を含む親プラスミドを用いて達成され得る。
【0115】
特定の変異を核酸配列に導入するための周知の手順が存在する。これらの多くはAusubel,F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology(Wiley Interscience, New York (1989−1996))に記載されている。変異は、オリゴヌクレオチド中に設計され得、これは、既存のクローニングされた配列を改変するために、または増幅反応において使用され得る。所望の変異体DNAまたはRNAを単離するために適切な選択方法が利用可能である場合、ランダム変異誘発もまた用いられ得る。所望の変異の存在は、核酸を周知の方法によって配列決定することにより確認され得る。
【0116】
以下の限定されない方法が、所定の組換え部位のコア領域を改変または変異して、本発明で使用され得る変異した部位を提供するために、使用され得る:
1.部位特異的(例えば、attBを得るためのattLおよびattR)組換え機構または他の(例えば、相同)組換え機構による2つの親DNA配列の組換えによる。この親DNAセグメントは、最終的な変異コア配列を生じる1つ以上の塩基変化を含む;
2.所望のコア配列の直接的な変異または変異誘発(部位特異的、PCR、ランダム、自発的など)による;
3.組み換えられて所望のコア配列を生じる親DNA配列の変異誘発(部位特異的、PCR、ランダム、自発的など)による;
4.所望のコア配列をコードするRNAの逆転写による;および
5.所望の塩基変化を有する配列のデノボ合成(化学合成)。
【0117】
変異体組換え部位の機能性は、所望の特定の特性に依存する方法で示され得る。例えば、組換え部位における翻訳終止コドンの欠如は、適切な融合タンパク質を発現させることによって示され得る。相同なパートナー間の組換えの特異性は、適切な分子をインビトロ反応に導入し、本明細書中に記載したように、または当該分野において公知のように、そして組換え産物について、アッセイすることによって、示され得る。組換え部位における他の所望の変異は、制限部位、翻訳または転写開始シグナル、タンパク質結合部位、および核酸塩基配列の他の公知の機能が存在することまたは存在しないことを包含し得る。組換え部位における特定の機能的特性に関する遺伝子選択スキームは、公知の方法の工程に従って使用され得る。例えば、(相互作用しない一対の部位から)相互作用するパートナーを提供するための部位の改変は、毒性物質をコードするDNA配列のこれら部位間の組換えを介しての欠失を要求することよって達成され得る。同様に、翻訳終止配列を除去する部位についての選択、タンパク質結合部位の存在または非存在などは、当業者によって容易に案出され得る。
【0118】
従って、本発明は、選択マーカーおよび/または所望のDNAセグメントに隣接する少なくとも2つの操作された組換え部位を有する少なくとも1つのDNAセグメントを含む核酸分子を提供する。ここで、上記組換え部位のうち少なくとも1つは、同時組込みDNAまたは産物DNAの形成においてインビトロで組換えを増強する、少なくとも1つの操作された変異を有するコア領域を含む。
【0119】
好適な実施では、組換え部位は配列が異なり、そして互いに相互作用しないが、同じ配列を含む部位を操作して、互いとの組換えを阻害し得ることが認識される。このような概念も考慮され、そして本明細書中に援用される。例えば、タンパク質結合部位を、部位の一つに隣接して操作し得る。このような部位を認識するタンパク質の存在下で、リコンビナーゼは、この部位にアクセスし得ず、そしてそれ故、他の部位が優先的に用いられる。融合体では、この部位は、もはや反応し得ない。なぜなら、それは、例えば、attBからattLに変化しているからである。この融合体の分解において、タンパク質は不活性化され得(例えば、抗体、熱または緩衝液の交換)、そして第2の部位が組換えを行い得る。
【0120】
核酸分子は、上記組換えの少なくとも1つの増強を付与する、少なくとも1つの変異を有し得る。この増強は、実質的に(i)組込みを優先すること;(ii)組換えを優先すること;(ii)宿主因子の要求性を軽減すること;(iii)上記コインテグレートDNAまたは産物DNA形成の効率を増加させること;および(iv)上記コインテグレートDNAまたは産物DNA形成の特異性を増加させることからなる群より選択される。
【0121】
核酸分子は、好ましくは、attB、attP、attLまたはattR(例えば、attR’またはattP’)に由来する少なくとも1つの組換え部位を含む。より好ましくは、att部位は、本明細書に記載のように、att1、att2、またはatt3から選択される。
【0122】
好ましい実施態様において、コア領域は、以下からなる群より選択されるDNA配列:
(a)RKYCWGCTTTYKTRTACNAASTSGB(m−att)(配列番号1);
(b)AGCCWGCTTTYKTRTACNAACTSGB(m−attB)(配列番号2);
(c)GTTCAGCTTTCKTRTACNAACTSGB(m−attR)(配列番号3);
(d)AGCCWGCTTTCKTRTACNAAGTSGB(m−attL)(配列番号4);
(e)GTTCAGCTTTYKTRTACNAAGTSGB(m−attP1)(配列番号5);
(f)RBYCWGCTTTYTTRTACWAASTKGD(n−att)(配列番号39);
(g)ASCCWGCTTTYTTRTACWAASTKGW(n−attB)(配列番号40);
(h)ASCCWGCTTTYTTRTACWAAGTTGG(n−attL)(配列番号41);
(i)GTTCAGCTTTYTTRTACWAASTKGW(n−attR)(配列番号42);
(j)GTTCAGCTTTYTTRTACWAAGTTGG(n−attP)(配列番号43);
あるいは対応するまたは相補的なDNAもしくはRNA配列を含む。ここで、米国特許法施行規則§1.822(本明細書中に参考としてその全体を援用する)に示されているように、R=AまたはG;K=GまたはT/U;Y=CまたはT/U;W=AまたはT/U;N=AまたはCまたはGまたはT/U;S=CまたはG;そしてB=CまたはGまたはT/Uであり、コア領域は、1以上のリーディングフレームにおいて終止コドンを含まない。
【0123】
コア領域はまた、好ましくは、以下からなる群より選択されるDNA配列:
(a)AGCCTGCTTTTTTGTACAAACTTGT(attB1)(配列番号6);
(b)AGCCTGCTTTCTTGTACAAACTTGT(attB2)(配列番号7);
(c)ACCCAGCTTTCTTGTACAAAGTGGT(attB3)(配列番号8);
(d)GTTCAGCTTTTTTGTACAAACTTGT(attR1)(配列番号9);
(e)GTTCAGCTTTCTTGTACAAACTTGT(attR2)(配列番号10);
(f)GTTCAGCTTTCTTGTACAAAGTGGT(arrR3)(配列番号11);
(g)AGCCTGCTTTTTTGTACAAAGTTGG(attL1)(配列番号12);
(h)AGCCTGCTTTCTTGTACAAAGTTGG(attL2)(配列番号13);
(i)ACCCAGCTTTCTTGTACAAAGTTGG(attL3)(配列番号14);
(j)GTTCAGCTTTTTTGTACAAAGTTGG(attP1)(配列番号15);
(k)GTTCAGCTTTCTTGTACAAAGTTGG(attP2、P3)(配列番号16);または、対応するかもしくは相補的なDNAまたはRNA配列を含む。
【0124】
従って、本発明はまた、核酸分子を作製するための方法を提供する。この方法は、上記配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも80〜99%の相同性(あるいはその中の任意の範囲または値)を有する少なくとも1つのDNA配列を含む少なくとも1つの操作された組換え部位、または任意の適切な組換え部位を有する核酸分子、あるいは、当該分野において公知のように、ストリンジェントな条件下で、その核酸分子にハイブリダイズする核酸分子を提供する工程を包含する。
【0125】
明らかなことではあるが、このような周知のインビトロおよびインビボ選択方法の種々のタイプおよび変更が存在する。これらの各々については、簡略にするために、本明細書に記載されない。しかし、このような変形および変更は、本発明の異なる実施態様であると意図されており、そしてそのようにみなされる。
【0126】
インビトロ組換え反応である好ましい実施態様の結果として、非生物学的分子(例えば、PCR産物)が、本発明の組換えクローニング方法により操作され得ることに注目することが重要である。1つの例において、直鎖状分子を環状ベクターにクローニングすることが可能である。
【0127】
本発明には多くの適用がある。これらの使用には、ベクターを変化させること、プロモーターを遺伝子の隣に並べること(apposing)、融合タンパク質に対する遺伝子を構築すること、コピー数を変化させること、レプリコンを変化させること、ファージにクローニングすること、ならびに例えば、PCR産物(一方の端にattB部位、そして他方の端にloxP部位を有する)、ゲノムDNAおよびcDNAをクローニングすることが含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
(ベクタードナー)
本発明に従って、任意のベクターを用いて本発明のベクタードナーを構築するために使用し得る。特に、当該分野で公知のベクターおよび市販されているベクター(およびそれらの改変体または誘導体)を本発明に従って操作し、本発明の方法における使用のための一つ以上の組換え部位を含め得る。このようなベクターは、例えば、Vector Laboratories Inc.、InVitrogen、Promega、Novagen、NEB、Clontech、Boehringer Mannheim、Pharmacia、EpiCenter、OriGenes Technologies Inc.、Stratagene、Perkin Elmer、Pharmingen、Life Technologies、Inc.、およびResearch Geneticsから得られ得る。次いでこのようなベクターは、例えば、目的の核酸分子をクローニングまたはサブクローニングするために用いられ得る。特定の目的のベクターの一般的なクラスは、原核生物および/または真核生物クローニングベクター、発現ベクター、融合ベクター、ツーハイブリッドまたは逆ツーハイブリッドベクター、異なる宿主における使用のためのシャトルベクター、変異誘発ベクター、転写ベクター、大挿入片などを受け入れるためのベクターなどを含む。
【0129】
目的の他のベクターは、ウイルス起源ベクター(M13ベクター、バクテリオファージλベクター、アデノウイルスベクター、およびレトロウイルスベクター)、高、低および調節可能コピー数ベクター、単一宿主中における組み合わせ使用のための適合レプリコンを有するベクター類(pACYC184およびpBR322)および真核生物エピソーム性複製ベクター(pCDM8)を含む。
【0130】
目的の特定のベクターは、pcDNAII、pSL301、pSE280、pSE380、pSE420、pTrcHisA、B、およびC、pRSETA、B、およびC(Invitrogen,Inc.)、pGEMEX−1、およびpGEMEX−2(Promega,Inc.)、pETベクター類(Novagen,Inc.)、pTrc99A、pKK223−3、pGEXベクター類、pEZZ18、pRIT2T、およびpMC1871(Pharmacia,Inc.)、pKK233−2およびpKK388−1(Clontech,Inc.)、およびpProEx−HT(Life Technologies,Inc.)のような原核生物発現ベクターおよびそれらの改変体および誘導体を含む。ベクタードナーはまた、pFastBac、pFastBacHT、pFastBacDUAL、pSFV、およびpTet−Splice(Life Technologies,Inc.)、pEUK−C1、pPUR、pMAM、pMAMneo、pBI101、pBI121、pDR2、pCMVEBNA、およびpYACneo(Clontech)、pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、およびpKK232−8(Phamacia,Inc.)、p3’SS、pXT1、pSG5、pPbac、pMbac、pMC1neo、およびpOG44(Stratagene,Inc.)およびpYES2、pAC360、pBlueBacHisA、B、およびC、pVL1392、pBsueBacIII、pCDM8、pcDNA1、pZeoSV、pcDNA3、pREP4、pCEP4、およびpEBVHis(Invitrogen,Inc.)のような真核発現ベクターおよびそれらの改変体または誘導体から作成され得る。
【0131】
特定の目的のその他のベクターは、pUC18、pUC19、pBlueScript、pSPORT、コスミド、ファージミド、YAC類(酵母人工染色体)、BAC類(細菌人工染色体)、P1(E.coliファージ)、pQE70、pQE60、pQE9(quagan)、pBSベクター、PhageScriptベクター、BlueScriptベクター、pNH8A、pNH16A、pNH18A、pNH46A(Stratagene)、pcDNA3(InVitrogen)、pGEX、pTrsfus、pTrc99A、pET−5、pET−9、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、pSPQRT1、pSPORT2、pCMVSPORT2.0およびpSV−SPORT1(Life Technologies,Inc.)およびそれらの改変体または誘導体を含む。
【0132】
目的のさらなるベクターは、pTrxFus、pThioHis、pLEX、pTrcHis、pTrcHis2、pRSET、pBlueBacHis2、pcDNA3.1/His、pcDNA3.1(−)/Myc−His、pSecTag、pEBVHis、pPIC9K、pPIC3.5K、pAO815、pPICZ、pPICZα、pGAPZ、pGAPZα、pBlueBac4.5、pBlueBacHis2、pMelBac、pSinRep5、pSinHis、pIND、pIND(SP1)、pVgRXR、pcDNA2.1、pYES2、pZErO1.1、pZErO−2.1、pCR−Blunt、pSE280、pSE380、pSE420、pVL1392、pVL1393、pCDM8、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pcDNA3.1、pcDNA3.1/Zeo、pSe、SV2、pRc/CMV2、pRc/RSV、pREP4、pREP7、pREP8、pREP9、pREP10、pCEP4、pEBVHis、pCR3.1、pCR2.1、pCR3.1−Uni、およびpCRBac(Invitrogenから);λExCell、λgt11、pTrc99A、pKK223−3、pGEX−1λT、pGEX−2T,pGEX−2TK、pGEX−4T−1、pGEX−4T−2、pGEX−4T−3、pGEX−3X、pGEX−5X−1、pGEX−5X−2、pGEX−5X−3、pEZZ18、pRIT2T、pMC1871、pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、pKK232−8、pSL1180、pNEO、およびpUC4K(Pharmaciaから);pSCREEN−1b(+)、pT7Blue(R)、pT7Blue−2、pCITE−4abc(+)、pOCUS−2、pTAg、pET−32LIC、pET−30LIC、pBAC−2cpLIC、pBACgus−2cpLIC、pT7Blue−2LIC、pT7Blue−2、λSCREEN−1、λBlueSTAR、pET−3abcd、pET−7abc、pET9abcd、pET11abcd、pET12abc、pET−14b、pET−15b、pET−16b、pET−17−b−pET−17xb、pET−19b、pET−20b(+)、pET−21abcd(+)、pET−22b(+)、pET−23abcd(+)、pET−24abcd(+)、pET−25b(+)、pET−26b(+)、pET−27b(+)、pET−28abc(+)、pET−29abc(+)、pET−30abc(+)、pET−31b(+)、pET−32abc(+)、pET−33b(+)、pBAC−1、pBACgus−1、pBAC4x−1、pBACgus4x−1、pBAC−3cp、pBACgus−2cp、pBACsurf−1、plg、Signal plg、pYX、Selecta Vecta−Neo、Selecta Vecta−Hyg、およびSelecta Vecta−Gpt(Novagenから);pLexA、pB42AD、pGBT9、pAS2−1、pGAD424、pACT2、pGAD GL、pGAD GH、pGAD10、pGilda、pEZM3、pEGFP、pEGFP−1、pEGFP−N、pEGPF−C、pEBFP、pGFPuv、pGFP、p6xHis−GFP、pSEAP2−Basic、pSEAP2−Contral、pSEAP2−Promoter、pSEAP2−Enhancer、pβgal−Basic、pβgal−Control、pβgal−Promoter、pβgal−Enhancer、pCMVβ、pTet−Off、pTet−On、pTK−Hyg、pRetro−Off、pRetro−On、pIRES1neo、pIRES1hyg、pLXSN、pLNCX、pLAPSN、pMAMneo、pMAMneo−CAT、pMAMneo−LUC、pPUR、pSV2neo、pYEX4T−1/2/3、pYEX−S1、pBacPAK−His、pBacPAK8/9、pAcUW31、BacPAK6、pTriplEx、λgt10、λgt11、pWE15、およびλTriplEx(Clontechから);λZAPII、pBK−CMK、pBK−RSV、pBluescriptIIKS+/−、pBluescriptIISK+/−、pAD−GAL4、pBD−GAL4Cam、pSurfscript、λFIXII、λDASH、λEMBL3、λEMBL4、SuperCos、pCR−Scrigt Amp、pCR−Script Cam、pCR−Script Direct、pBS+/−、pBC KS+/−、pBC SK+/−、Phagescript、pCAL−n−EK、pCAL−n、pCAL−c、pCAL−kc、pET−3abcd、pET−11abcd、pSPUTK、pESP−1、pCMVLacI、pOPRSVI/MCS、pOPI3CAT、pXT1、pSG5、pPbac、pMbac、pMClneo、pMClneo PolyA、pOG44、pOG45、pFRTβGAL、pNEOβGAL、pRS403、pRS404、pRS405、pRS406、pRS413、pRS414、pRS415、およびpRS416(Stratageneから)を含む。
【0133】
特定の目的のツーハイブリッドおよび逆ツーハイブリッドベクターは、pPC86、pDBLeu、pDBTrp、pPC97、p2.5、pGAD1−3、pGAD10、pACt、pACT2、pGADGL、pGADGH、pAS2−1、pGAD424、pGBT8、pGBT9、pGAD−GAL4、pLexA、pBD−GAL4、pHISi、pHISi−1、placZi、pB42AD、pDG202、pJK202、pJG4−5、pNLexA、pYESTrpおよびそれらの改変体および誘導体を含む。
【0134】
(ポリメラーゼ)
逆転写酵素活性を有する好ましいポリペプチド(すなわち、RNAテンプレートからのDNA分子の合成を触媒し得るポリペプチド)としては、モロニーマウス白血病ウイルス(M−MLV)逆転写酵素、ラウス肉腫ウイルス(RSV)逆転写酵素、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、ラウス随伴ウイルス(RAV)逆転写酵素、骨髄芽球症随伴ウイルス(MAV)逆転写酵素、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)逆転写酵素、レトロウイルス逆転写酵素、レトロトランスポゾン逆転写酵素、B型肝炎ウイルス逆転写酵素、カリフラワーモザイクウイルス逆転写酵素、および細菌逆転写酵素が挙げられるが、これらに限定されない。逆転写酵素活性を有するこれらのポリペプチドが特に好ましく、これはまた、RNAase H活性(すなわち、「RNAse H」ポリペプチド)が実質的に低減されている。「RNAase H活性が実質的に低減されて」いるポリペプチドによって、このポリペプチドが、野生型のRNAase H活性または野生型M−MLV逆転写酵素のようなRNase H+酵素の、約20%未満、より好ましくは約15%、約10%、または約5%未満、最も好ましくは約2%未満であることが意味される。このRNase H活性は、種々のアッセイ(例えば、米国特許第5,244,797号、Kotewicz,M.L.ら、Nucl.Acids Res.16:265(1988)およびGerard,G.F.ら、FOCUS 14(5):91(1992)に記載されるようなアッセイ、これらの全ての開示は、本明細書中に参考として援用される)によって決定され得る。本発明における使用のために適切なRNAase H-ポリペプチドとしては、M−MLV H-逆転写酵素、RSVH-逆転写酵素、AMV H-逆転写酵素、RAV H-逆転写酵素、MAV H-逆転写酵素、HIV H-逆転写酵素およびSUPERSCRIPTTMI逆転写酵素、およびSUPERSCRIPTTMII逆転写酵素が挙げられるがこれらに限定されず、これらは、例えば、Life Technologies,Inc.(Rockville,Maryland)から市販されている。
【0135】
本発明の方法における使用のために適切な核酸ポリメラーゼ活性を有する他のポリペプチドとしては、好熱性DNAポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIII、クレノウフラグメント、T7ポリメラーゼ、およびT5ポリメラーゼ、ならびに熱安定性DNAポリメラーゼ)が挙げられ、これらの熱安定性DNAポリメラーゼとしては、Thermus thermophilus(Tth)DNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、Thermotoga neopolitana(Tne)DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima(Tma)DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis(TliまたはVent(登録商標))DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus(PfuまたはDEEPVENT(登録商標))DNAポリメラーゼ、Pyrococcus woosii(Pwo)DNAポリメラーゼ、Bacillus Sterothermophilus(Bst)DNAポリメラーゼ、Sulfolobus acidocaldarius(Sac)DNAポリメラーゼ、Thermoplasma acidophilum(Tac)DNAポリメラーゼ、Thermus flavus(Tfl/Tub)DNAポリメラーゼ、Thermus ruber(Tru)DNAポリメラーゼ、Thermus brockianus(DYNAZYME(登録商標))DNAポリメラーゼ、Methanobacterium thermoautotrophicum(Mth)DNAポリメラーゼ、ならびにそれらの変異体、改変体、および誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0136】
本明細書中に記載される方法および適用に対する他の適切な改変および適合が容易に明らかであり、そして発明の範囲またはそれらの任意の実施態様から逸脱することなくなされ得ることは、関連分野の当業者に理解される。ここで、本発明を詳細に記載しているが、同じことが以下の実施例を参照してより明らかに理解される。これは、説明の目的のみが本明細書に挙げられ、本発明を限定することを意図しない。
【0137】
(実施例)
本発明の組換えクローニング法は、クローニングベクターの変化のような、あるものを使用者にとって有用にさせるための核酸セグメントの交換を達成する。これらのセグメントは、互いに関して適切な方向にある組換えシグナルによって両側で隣接されなければならない。以下の実施例において、2つの親の核酸分子(例えば、プラスミド)を、挿入ドナーおよびベクタードナーと呼ぶ。挿入ドナーは、ベクタードナーによって寄与された新しいベクターに結合されるようになるセグメントを含む。両方の開始分子を含む組換え中間体は、コインテグレートと呼ばれる。第2の組換え事象は、2つの娘分子を産生し、これらは産物(所望の新しいクローン)および副産物と呼ばれる。
【0138】
(緩衝液)
本発明の反応において、種々の公知の緩衝液を使用し得る。制限酵素については、製造者によって推奨される緩衝液の使用が望ましい。代替緩衝液が、文献から容易に見出され得るか、または当業者によって案出され得る。
【0139】
(実施例1〜3) λインテグラーゼのための1つの例示的な緩衝液には、50mM Tris−HCl(pH 7.5〜7.8)、70mM KCl、5mMスペルミジン、0.5mM EDTA、および0.25mg/ml ウシ血清アルブミン、ならびに必要に応じて10%グリセロールが含まれる。
【0140】
P1 Creリコンビナーゼのための1つの好ましい緩衝液には、50mM Tris−HCl(pH 7.5)、33mM NaCl、5mM スペルミジン、および0.5mg/ml ウシ血清アルブミンが含まれる。
【0141】
λ IntおよびP1 Creに類似する他の部位特異的リコンビナーゼのための緩衝液は、当該分野で公知であるか、または特に上記の緩衝液に照らして、当業者によって経験的に決定され得るかのいずれかである。
【0142】
(実施例1:CreならびにCreおよびIntを用いる組換えクローニング)
2対のプラスミドを、2つの異なる方法においてインビトロ組換えクローニング法を行うために構築した。一方の対であるpEZC705およびpEZC726(図2A)を、Creおよびλインテグラーゼとともに用いられる、loxPおよびatt部位を用いて構築した。他方の対であるpEZC602およびpEZC629(図3A)は、CreのためのloxP(野生型)部位、1塩基(全34中)がloxPと異なる第2の変異体lox部位(loxP 511)を含んだ。本発明の組換えクローニングに対する最小の要求は、各プラスミドにおける2つの組換え部位(一般に、XおよびY、ならびにX’およびY’)である。いずれかまたは両方の型の部位が組換えて、コインテグレート(例えば、XおよびX’)を形成し得る場合、およびいずれかまたは両方が組換えて、コインテグレート(例えば、YおよびY’)から産物または副産物プラスミドを切り出し得る場合、組換えクローニングが起こる。同一のプラスミド上の組換え部位は、組換えないことが重要である。本発明の組換えクローニングは、Creのみを用いて行われ得ることが見出された。
【0143】
(Creのみ)
2つのプラスミドを、この概念を示すために構築した(図3Aを参照のこと)。pEZC629が、ベクタードナープラスミドであった。これは、構成性薬剤マーカー(クロラムフェニコール耐性)、複製起点、loxPおよびloxP 511部位、条件的薬剤マーカー(トランスポゾンTn10のテトラサイクリン耐性オペロンのオペレーター/プロモーターによってその発現が制御されるカナマイシン耐性)、およびtetリプレッサータンパク質に対する構成性に発現される遺伝子tetRを含んでいた。pEZC629を含むE.coli細胞は、30μg/mlのクロラムフェニコールに対して耐性であるが、100μg/mlのカナマイシンに対して感受性であった。pEZC602が、挿入ドナープラスミドであり、これは、異なる薬剤マーカー(アンピシリン耐性)、複製起点、ならびにマルチクローニング部位に隣接しているloxPおよびloxP 511部位を含んだ。
【0144】
本実験は、以下の2つのパートから構成された:
パートI:各々約75ngのpEZC602およびpEZC629を全容積30μlのCre緩衝液(50mM Tris−HCl(pH7.5)、33mM NaCl、5mM スペルミジン−HCl、500μg/ml ウシ血清アルブミン)中で混合した。2つの10μlアリコートを、新しいチューブに移した。1つのチューブに、0.5μlのCreタンパク質(約4単位/μl;AbremskiおよびHoess,J. Biol.Chem.259:1509(1984)に従って、部分精製した)を入れた。両方のチューブを、37℃で30分間インキュベートし、次いで、70℃で10分間インキュベートした。各反応物のアリコートを希釈し、そしてDH5αに形質転換した。発現後、アリコートを、30μg/ml クロラムフェニコール;100μg/ml アンピシリン+200μg/ml メチシリン;または100μg/ml カナマイシン上にプレートした。
【0145】
結果:表1を参照のこと。Creを含まない反応物は、1.11×106個のアンピシリン耐性コロニー(挿入ドナープラスミドpEZC602由来);7.8×105個のクロラムフェニコール耐性コロニー(ベクタードナープラスミドpEZC629由来);および140個のカナマイシン耐性コロニー(バックグラウンド)を生じた。Creを添加した反応物は、7.5×105個のアンピリン耐性コロニー(挿入ドナープラスミドpEZC602由来);6.1×105個のクロラムフェニコール耐性コロニー(ベクタードナープラスミドpEZC629由来);および760個のカナマイシン耐性コロニー(バックグラウンドコロニーおよび組換えクローニング産物プラスミド由来のコロニーの混合物)を生じた。分析:Creの存在において、カナマイシンプレート上のコロニーの数がずっと多かったので、それらの多数またはほとんどが所望の産物プラスミドを含むと予測された。
【0146】
【表1】
Figure 0004303418
パートII:「+Cre」カナマイシンプレート由来の24コロニーをひろい、そして100μg/mlカナマイシンを含む培地中に接種した。ミニプレップを行い、そしてミニプレップDNA(非切断あるいはSmaIまたはHindIIIで切断)を電気泳動した。結果:24個のミニプレップ中19個は、産物プラスミドについて予測されるサイズの超らせん状のプラスミドを示した。19個の全ては、予測されるSmaIおよびHindIII制限フラグメントを示した。分析:Creのみのスキームを示した。詳細には、約70%(24個中19個)の産物コロニーを生じることが決定された。効率は、約0.1%(6.1×105個のクロラムフェニコール耐性コロニーから760個のカナマイシン耐性クローンが得られた)であった。
【0147】
(Cre+インテグラーゼ)
本方法を示すために使用されるプラスミドは、ベクタードナープラスミドであるpEZC726がloxP 511の代わりにattP部位を含んでいたこと、および挿入ドナープラスミドであるpEZC705がloxP 511の代わりにattB部位を含んだことを除き上記で使用されたプラスミドに正確に類似する(図2A)。
【0148】
この実験は、以下の3つのパートから構成された:
パートI:約500ngのpEZC705(挿入ドナープラスミド)を、アンピシリン耐性遺伝子内でプラスミドを直鎖化するScaIを用いて切断した。(λインテグラーゼ反応は、歴史的に直鎖状態のattBプラスミドを用いて行われている(H.Nash,私信)ので、これを行った)。しかし、インテグラーゼ反応は、超らせん状の両方のプラスミドを用いて良好に進行することが後に見出された。次いで、直鎖状プラスミドをエタノール沈殿し、そして20μlのλインテグラーゼ緩衝液(50mM Tris−HCl(約pH7.8)、70mM KCl、5mM スペルミジン−HCl、0.5mM EDTA、250μg/ml ウシ血清アルブミン)中で溶解した。また、約500ngのベクタードナープラスミドpEZC726をエタノール沈殿し、そして20μlのλインテグラーゼ緩衝液中で溶解した。使用の直前に、λインテグラーゼ(2μl、393μg/ml)を融解し、そして18μlの冷λインテグラーゼ緩衝液を添加することにより希釈した。1μlのIHF(組み込み宿主因子、2.4mg/ml、アクセサリータンパク質)を、150μlの冷λインテグラーゼ緩衝液中で希釈した。各DNAのアリコート(2μl)を、全量10μlで、λインテグラーゼ緩衝液(各々1μlのλインテグラーゼおよびIHFを含むまたは含まない)と混合した。混合物を、25℃で45分間インキュベートし、次いで、70℃で10分間インキュベートした。各反応物の半分をアガロースゲルに供した。結果:インテグラーゼおよびIHFの存在下で、全DNAの約5%が、直鎖状のコインテグレート形態に転換された。分析:インテグラーゼおよびIHFの活性を確認した。
【0149】
パートII:3μlの各反応物(すなわち、インテグラーゼおよびIHFを含むまたは含まない)を、27μlのCre緩衝液(上記)中で希釈し、次いで、各反応物を2つの10μlアリコートに分割した(全部で4つ)。これらの反応物の2つに、0.5μlのCreタンパク質(上記)を添加し、そして全ての反応物を37℃で30分間、次いで70℃で10分間インキュベートした。各反応物に、TE緩衝液(90μl;TE:10mM Tris−HCl(pH 7.5)、1mM EDTA)を添加し、そして各1μlを、E.coli DH5αに形質転換した。形質転換混合物を、100μg/ml アンピシリン+200μg/ml メチシリン;30μg/ml クロラムフェニコール;または100μg/ml カナマイシン上にプレートした。結果:表2を参照のこと。
【0150】
【表2】
Figure 0004303418
分析:Creタンパク質は、形質転換を減少させた。この効果について調節した場合、カナマイシン耐性コロニー数は、Creおよびインテグラーゼの両方を用いた場合、コントロール反応物と比較して、100倍より多く増加した。これは、99%より高い特異性を示唆する。
【0151】
パートIII:38個のコロニーを、インテグラーゼ+Creプレートからひろい、ミニプレップDNAを作製し、そしてHindIIIで切断して診断マッピング情報を得た。結果:38個全てが正確に予測されたフラグメントサイズを有した。分析:Cre+λインテグラーゼ法は、Creのみよりずっと高い特異性を有することが観察された。結論:Cre+λインテグラーゼ法を示した。効率および特異性は、Creのみよりもずっと高かった。
【0152】
(実施例2:クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子の真核生物細胞における発現のためのベクターへのサブクローニングのためのインビトロ組換えクローニングの使用(図4A))
loxP部位が遺伝子の5’末端に位置するようにloxP部位とattB部位の間でクローニングされ、E.coliのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を含む、挿入ドナープラスミドであるpEZC843を構築した(図4B)。loxP部位に隣接するサイトメガロウイルス真核生物プロモーターを含む、ベクタードナープラスミドであるpEZC1003を構築した(図4C)。1μlアリコートの各超らせん状のプラスミド(約50ngの粗製ミニプレップDNA)を、等量のλインテグラーゼ緩衝液(50mM Tris−HCl(pH7.8)、70mM KCl、5mM スペルミジン、0.5mM EDTA、0.25mg/ml ウシ血清アルブミン)およびCreリコンビナーゼ緩衝液(50mM Tris−HCl(pH7.5)、33mM NaCl、5mM スペルミジン、0.5mg/ml ウシ血清アルブミン)、2単位のCreリコンビナーゼ、16ngの組み込み宿主因子、および32ng λインテグラーゼを含む10μlの反応物中で合わせた。30℃で30分間インキュベートした後、75℃で10分間インキュベートし、1μlをコンピテントE.coli DH5α株(Life Technologies,Inc.)に形質転換した。形質転換体のアリコートを、200μg/ml カナマイシンを含む寒天プレート上に広げ、そして37℃で一晩インキュベートした。それ以外の同一のコントロール反応は、ベクタードナープラスミドのみを含んだ。コントロール反応形質転換の10%を受けたプレートから、1つのコロニーを得た;組換えクローニング反応の10%を受けたプレートからは144のコロニーを得た。これらの数は、99%より多い組換えクローニングコロニーが、所望の産物プラスミドを含んだことを示唆した。6個の組換えクローニングコロニーから作製したミニプレップDNAから、予測されたサイズのプラスミド(5026塩基対)であるCMVProdを得た。NcoIを用いた制限消化から、6個全てのプラスミドについてCMVプロモーターの下流にクローニングしたクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼと予測されるフラグメントを得た。
【0153】
(実施例3:終止コドンを有さないattB部位によって隣接されるサブクローニングされたDNAセグメント)
パートI:背景
上記の実施例は、転写が組換え部位を横切る転写融合に適する。しかし、attR部位およびloxP部位の両方は、両方の鎖に複数の終止コドンを含み、従って、コード配列が組換え部位を横断しなければならない(1つのリーディングフレームのみがloxP部位の各鎖上で利用可能である)場合、転写融合は困難であり得るか、または不可能であり得る(attRまたはattLにおいて)。
【0154】
サブクローニングのための主要な理由は、タンパク質ドメインを融合することである。例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)ドメインの目的のタンパク質への融合は、融合タンパク質がグルタチオンアガロース(Pharmacia,Inc.,1995カタログ)に対するアフィニティークロマトグラフィーによって精製されることを可能にする。目的のタンパク質が連続的なヒスチジンの連続(例えば、His6)に融合される場合、融合タンパク質は、金属イオンを含むキレート樹脂(Qiagen,Inc.)に対するアフィニティークロマトグラフィーによって精製され得る。活性、溶解性、安定性などについてアミノ末端融合体とカルボキシ末端融合体とを比較することがしばしば望まれる。
【0155】
バクテリオファージλ組み込み系のattB部位を、loxP部位に対する代替物として試験した。なぜなら、それらは小さく(25bp)、そしていくらかの配列可撓性を有するからである(Nash,H.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:4049−4053(1987))。全ての終止コードを取り除く複数の変異により、組換えサブクローニングのための有用な組換え部位を得ることは以前には示唆されていなかった。
【0156】
λバクテリオファージにおける部位特異的組換えのための標準的な表記(Weisber,Lambda III,Hendrixら編、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989))を用いて、E.coli宿主細胞における組換え反応に関与するヌクレオチド領域を以下に示す:
【0157】
【化1】
Figure 0004303418
ここで:Oは、ファージおよびE.coliゲノムの両方に見出される15bpコアDNA配列を示す;BおよびB’は、E.coliゲノム中のコアに隣接する約5塩基を示す;およびP1、H1、P2、X、H2、C、C’、H’、P’1、P’2、およびP’3は、バクテリオファージλゲノム中のタンパク質結合ドメインをコードする公知のDNA配列を示す。
【0158】
反応は、タンパク質Xis(エキシジョナーゼ)の存在下で可逆的であり;attLとattRとの間の組換えは、その組み込まれた状態からλゲノムを正確に切り出し、attP、およびattBを含む直鎖状E.coliゲノムを含む環状λゲノムを再生する。
【0159】
パートII:変異体att部位を含むプラスミドの構築および試験
変異体attL部位および変異体attR部位を構築した。重要なことに、Landyら(Ann.Rev.Biochem.58:913(1989))は、attPのP1およびH1ドメインの欠失が、切り出し反応を容易にし、そして組み込み反応を除去し、その結果切り出し反応を不可逆的にさせることを観察した。従って、変異がattRに導入されて、P1およびH1ドメインもまた欠失されたので、本実施例におけるattR’部位は、P1領域およびH1領域を欠き、そして取り除かれたNdeI部位を有し(塩基27630をCからGに改変した)、そしてバクテリオファージλ座標27619〜27738(GenBank release 92.0,bg:LAMCG、「バクテリオファージλの完全な配列」)に対応する配列を含む。
【0160】
野生型attLおよびattR部位の組換えによって産生されるattBの配列は以下のとおりである:
【0161】
【化2】
Figure 0004303418
終止コドンを斜体にし、そして下線を引いた。attL、attR、およびattPの配列はattB配列に由来し得、そしてバクテリオファージλの境界は、attLおよびattR内(座標27619〜27818)に含まれたことに留意のこと。
【0162】
変異体attR1’部位(attR’)およびattL1部位を組み換えた場合、配列attB1が産生された(変異を太字の、大きな文字で表す):
【0163】
【化3】
Figure 0004303418
4つの終止コドンが消失していることに留意のこと。
【0164】
attR1(attR’)配列およびattL1配列(太字)にさらなる変異を導入した場合、attR2(attR’)部位およびattL2部位を得た。attR2およびattL2の組換えは、attB2部位を産生した:
【0165】
【化4】
Figure 0004303418
上記のattL部位およびattR’部位の組換え活性を以下のようにアッセイした。プラスミドpEZC705のattB部位(図2B)を、attLwt、attL1、またはattL2と置換した。プラスミドpEZC726のattP部位(図2C)を、attRwt、attR1(P1およびH1領域を欠くattR’)、またはattR2(P1およびH1領域を欠くattR’)と置換した。従って、得られたプラスミドは、Creによって媒介されて、それらのloxP部位を介して組換え得、そしてInt、Xis、およびIHFによって媒介されて、それらのattR’部位およびattL部位を介して組換え得る。プラスミドの対を、Cre、Int、Xis、およびIHFと混合しそして反応させ、E.coliコンピテント細胞に形質転換し、そしてカナマイシンを含有する寒天上にプレートした。結果を表3に示す:
【0166】
【表3】
Figure 0004303418
上記のデータは、野生型att部位およびatt1部位は低い程度に組換えたが、att1部位およびatt2部位は互いに検出可能には組換えないことを示す。
【0167】
パートIII:目的のDNAセグメントに隣接する両方のattB部位のコア領域が終止コドンを含まない場合の、組換えが示された。関与するプラスミドの物理的な状態が、組換え効率に影響することが見出された。
【0168】
適切なatt部位を、pEZC705およびpEZC726中に移動し、プラスミドpEZC1405(図5G)(attR’1およびattR’2)ならびにpEZC1502(図5H)(attL1およびattL2)を作製した。本実験における所望のDNAセグメントは、pEZC1502の2つのattL部位の間にクローニングされたクロラムフェニコール耐性遺伝子のコピーであった。プラスミドの対を、Int、Xis、およびIHF(loxP部位が存在しなかったのでCreはなし)を用いてインビトロで組換えた。100ngの各プラスミドを、10μlの、50mM Tris−HCl(約pH7.8)、16.5mM NaCl、35mM KCl、5mM スペルミジン、0.25mM EDTA、0.375mg/ml BSA、3%グリセロールの反応物(これは、8.1ngのIHF、43ngのInt、4.3ngのXis、および2単位のCreを含む)中でインキュベートした。反応物を、25℃で45分間、65℃で10分間でインキュベートし、そして1μlのアリコートを、DH5α細胞に形質転換し、そしてカナマイシンプレートに広げた。表4に示すように、親プラスミドの両方が環状である場合、または一方のプラスミドが環状でありかつ他方が直鎖状の場合に、所望のカナマイシン耐性コロニーの収率を決定した:
【0169】
【表4】
Figure 0004303418
分析:変異体attR部位および変異体attL部位を用いる組換えクローニングを確認した。所望のDNAセグメントは、いずれの鎖においても終止コドンを全く含まないattB部位の間にサブクローニングされる。両方の関与する分子が超らせん状であり、そしてタンパク質が制限されている場合、切り出し反応がより効率的であった初期の観察のために、(一方の親が直鎖状の場合の)産物DNAの増大した収率は、予測外であった(Nunes−Dubyら、Cell 50:779−788(1987))。
【0170】
(実施例4:逆方向反復を有さない組換えクローニングの実証)
パートI:原理
上記実施例3は、適切な組換え部位の逆方向反復を含むプラスミド(例えば、プラスミドpEZC1502中のattL1およびattL2)(図5H)が、組換えて、これも逆方向で終止コドンを有さないattB部位によって隣接される所望のDNAセグメントが得られ得ることを示した。逆方向反復のインビボおよびインビトロでの影響が危惧された。例えば、逆方向でattB部位によって隣接される所望のDNAセグメントの転写は、ヘアピン構造を形成し得る一本鎖RNA分子を生じ、その結果、翻訳を阻害し得る。
【0171】
類似の組換え部位の逆方向を、部位を直列反復配置のatt部位に配置することにより回避し得る。親プラスミドの各々が野生型attL部位および野生型attR部位を直列反復で有する場合、Int、Xis、およびIHFタンパク質は、分子内反応においてそれらの部位によって隣接されるDNAセグメントを単に取り除く。しかし、上記の実施例3に記載の変異体部位は、分子内組換えを所望のように進行させながら、分子内反応を阻害することが可能であり得ることを示唆した。
【0172】
パートII:組換えクローニングのための逆方向反復を有さないプラスミドの構造
プラスミドpEZC1405(図5G)中のattR2配列を、反対方向でのattL2と置換し、pEZC1603(図6A)を作製した。pEZC1502(図5H)のattL2配列を、反対方向でのattR2と置換し、pEZC1706(図6B)を作製した。これらのプラスミドの各々は、att1コアとatt2コアの間の分子内反応を非常に非効率的にするコア領域中の変異を含んだ(実施例3、上記を参照のこと)。
【0173】
プラスミドpEZC1405、pEZC1502、pEZC1603およびpEZC1706を、Qiagenカラム(Qiagen,Inc.)で精製した。プラスミドpEZC1405およびpEZC1603のアリコートを、XbaIを用いて直鎖化した。プラスミドpEZC1502およびpEZC1706のアリコートを、AlwNIを用いて直鎖化した。100ngのプラスミドを、Int(43.5ng)、Xis(4.3ng)、およびIHF(8.1ng)を含む最終容量10μlの緩衝液(50mM Tris HCl(約pH7.8)、16.5mM NaCl、35mM KCl、5mM スペルミジン、0.25mM EDTA、0.375mg/ml BSA、3%グリセロール)中で混合した。反応物を25℃で45分間、65℃で10分間インキュベートし、そして1μlをE.coli DH5αに形質転換した。発現後、アリコートを、200μg/mlのカナマイシンを含有する寒天プレート上に広げ、そして37℃でインキュベートした。
【0174】
コロニー数/1μlの組換え反応物として表した結果を表5に示す:
【0175】
【表5】
Figure 0004303418
分析:全ての構造において(すなわち、環状または直鎖状)、pEZC1405×pEZC1502対(逆方向反復配置でのatt部位を有する)は、pEZC1603×pEZC1706対(ヘアピン形成を回避するために変異されたatt部位を有する)よりもより効率的であった。pEZC1603×pEZC1706対は、pEZC1405×pEZC1502対より高いバックグラウンドおよびより低い効率を与えた。あまり効率的ではないが、pEZC1603×pEZC1706反応由来の80%以上のコロニーが、所望のプラスミド産物を含むと予測された。1つのパートナーを直鎖状にすることが、全ての場合において反応を刺激した。
【0176】
(パートIII:産物プラスミド構造の確認)
直鎖状pEZC1405(図5G)×環状pEZC1502(図5H)、環状pEZC1405×直鎖状pEZC1502、直鎖状pEZC1603(図6A)×環状pEZC1706(図6B)、および環状pEZC1603×直鎖状pEZC1706反応物由来の各々6個のコロニーを富化培地に接種し、そしてミニプレップDNAを調製した。SspIでの診断的切断により、24個すべてのコロニーについて予想された制限フラグメントを得た。
【0177】
分析:同一の分子上の変異体attL部位および変異体attR部位を有するプラスミド間の組換え反応により、高い程度の特異性を有する、所望のプラスミド産物を得た。
【0178】
(実施例5:毒性遺伝子を用いる組換えクローニング)
(パートI:背景)
制限酵素DpnIは、配列GATCを認識し、そしてAがdamメチラーゼによってメチル化された場合のみ、この配列を切断する。大部分の一般的に使用されるE.coli株は、dam+である。細胞の染色体が多数の断片に切断されるので、E.coliのdam+株におけるDpnIの発現は致死性である。しかし、dam-細胞において、DpnIの発現は無害である。なぜなら染色体は、DpnI切断に対して免疫性であるからである。
【0179】
ベクタードナーが、組換え部位によって分離される2つのセグメントCおよびDを含む一般的な組換えクローニングスキームにおいて、所望の産物の選択は、セグメントDの存在およびセグメントCの非存在についての選択に依存する。元の実施例において、セグメントDは、セグメントC上に見出されるリプレッサー遺伝子によってネガティブに制御される薬剤耐性遺伝子(Km)を含んだ。Cが存在する場合、Dを含む細胞は、耐性遺伝子がオフになっていたのでカナマイシンに対して耐性ではなかった。
【0180】
DpnI遺伝子は、上記実施態様のリプレッサー遺伝子を置換し得る毒性遺伝子の例である。セグメントCがDpnI遺伝子産物を発現するする場合、dam+宿主へのプラスミドCDの形質転換は細胞を死滅させる。セグメントDを、例えば組換えクローニングによって新しいプラスミドに移入する場合、毒性遺伝子がもはや存在しないので、次いで薬剤マーカーについての選択は成功する。
【0181】
(パートII:毒性遺伝子としてDpn Iを用いるベクタードナーの構築) DpnIエンドヌクレアーゼをコードする遺伝子を、プライマー5’CCA CCA CAA ACG CGT CCA TGG AAT TAC ACT TTA ATT TAG3’(配列番号17)および5’CCA CCA CAA GTC GAC GCA TGC CGA CAG CCT TCC AAA TGT3’(配列番号18)ならびに鋳型としてDpn I遺伝子を含むプラスミド(Sanford A.Lacks, Brookhaven National Laboratory,Upton,New Yorkから入手したプラスミド由来であり;またATCC 67494としてアメリカンタイプカルチャーコレクションから入手可能である)を用いるPCRによって増幅した。
【0182】
さらなる変異を、所望の塩基変化を含むプライマーを用いる既存のattLドメインおよびattR’ドメインを増幅することによって、それぞれ、attLおよびattR’のB領域およびB’領域に導入した。変異体attL3(オリゴXis115を用いて作製された)およびattR’3(オリゴXis112を用いて作製されたaTTR’)の組換えにより、以下の配列(太字がattB1と異なる)を有するattB3を得た:
B O B’
ACCCA GCTTTCTTGTACAAA GTGGT(配列番号8)
TGGGT CGAAAGAACATGTTT CACCA(配列番号47)
既存の遺伝子ドナープラスミドのattL2の代わりにattL3配列をクローン化し、プラスミドpEZC2901を得た(図7A)。既存のベクタードナープラスミドのattR’2の代わりにattR’3配列をクローン化し、プラスミドpEZC2913を得た(図7B)。DpnI遺伝子をプラスミドpEZC2913にクローン化して、tetリプレッサー遺伝子を置換した。得られたベクタードナープラスミドをpEZC3101と名付けた(図7C)。pEZC3101をdam-SCS110株(Stratagene)に形質転換した場合、数百のコロニーを得た。同じプラスミドをdam+DH5α株に形質導入した場合、たとえDH5α細胞がSCS110細胞より約20倍コンピテントであっても、ほんの1コロニーを生じただけであった。DpnI遺伝子を含まない関連するプラスミドを同じの2つの細胞株に形質転換した場合、DH5α細胞から448のコロニーが得られたが、SCS110細胞からは28個のコロニーが生じた。これは、DpnI遺伝子がプラスミドpEZC3101(図7C)上で発現され、そしてdam+DH5α細胞を死滅させるが、dam-SCS110細胞を死滅させないという証拠である。
【0183】
(パートIII:DpnI選択を用いる組換えクローニングの実証)
プラスミド対を使用し、毒性遺伝子DpnIに依存する産物についての選択を用いる組換えクローニングを示した。プラスミドpEZC3101(図7C)を、MluIを用いて直鎖状にし、そして環状プラスミドpEZC2901(図7A)と反応させた。リプレッサー遺伝子による薬剤耐性の制御に基づく選択を用いるプラスミドの第2の対を、コントロールとして使用した:プラスミドpEZC1802(図7D)を、XbaIを用いて直鎖状にし、そして環状プラスミドpEZC1502(図5H)と反応させた。緩衝液(50mM Tris−HCl pH 約7.8、16.5mM NaCl、35mM KCl、5mM スペルミジン、0.375mg/ml BSA、0.25mM EDTA、2.5% グリセロール)ならびにタンパク質Xis(2.9ng)、Int(29ng)、およびIHF(5.4ng)を含む8マイクロリットルの反応物を、25℃で45分間、次いで75℃で10分間インキュベートし、そして1μlのアリコートを、表6に示すようにDH5α(すなわち、dam+)コンピテント細胞に形質転換した。
【0184】
【表6】
Figure 0004303418
ミニプレップDNAを、反応#2由来の4つのコロニーから調製し、そして制限酵素Ssp Iを用いて切断した。全てから予想されるフラグメントを得た。
【0185】
分析:毒性遺伝子を用いる選択を用いるサブクローニングを示した。予想される構造のプラスミドを産生した。
【0186】
(実施例6:融合タンパク質作製のための、ウラシルDNAグリコシラーゼを用いる遺伝子のクローニングおよび組換えクローニングを用いる遺伝子のサブクローニング)
(パートI:既存の発現ベクターの組換えクローニングのためのベクタードナーへの変換)
既存のベクターの機能的ベクタードナーへの変換に有用なカセットを、以下のように作製した。プラスミドpEZC3101(図7C)を、ApaIおよびKpnIを用いて消化し、末端を平滑にするためにT4 DNAポリメラーゼおよびdNTPで処理し、所望でないDNAフラグメントを小さくするためにSmaI、HpaI、およびAlwNIを用いてさらに消化し、そしてattR’I−CmR−DpnI−attR’−3ドメインを含む2.6kbカセットをゲル精製した。精製されたカセットの濃度を、約75ngDNA/μlであると評価した。
【0187】
プラスミドpGEX−2TK(図8A)(Pharmacia)は、タンパク質グルタチオンSトランスフェラーゼと、そのマルチクローニング部位にインフレームで挿入され得る任意の第2のコード配列との間の融合を可能にする。pGEX−2TK DNAを、SmaIを用いて消化し、そしてアルカリホスファターゼで処理した。約75ngの上記の精製DNAカセットを、約100ngのpGEX−2TKベクターと5μl連結物中で2.5時間連結し、次いで、1μlをコンピテントE.coli BRL3056細胞(DH10Bのdam-誘導体;市販のdam-株は、Life Technologies,Inc.,由来のDM1およびStratagene由来のSCS110を含む)に形質転換した。形質転換混合物のアリコートを、100μg/mlアンピシリン(耐性遺伝子は、pGEX−2TK上に存在する)および30μg/mlクロラムフェニコール(耐性遺伝子は、DNAカセット上に存在する)を含有するLB寒天上にプレートした。コロニーをひろい、そしてミニプレップDNAを作製した。pGEX−2TK中のカセットの方向を、EcoR Iを用いる診断的切断によって決定した。所望の方向を有するプラスミドを、pEZC3501(図8B)と名付けた。
【0188】
(パートII:3つのリーディングフレームでのレポーター遺伝子の組換えクローニング遺伝子ドナープラスミドへのクローニング)
ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)クローニングは、クローニングベクターへPCR増幅産物をクローニングするための方法である(米国特許第5,334,515号、本明細書中でその全体が参考として援用される)。簡単に述べれば、所望のDNAセグメントのPCR増幅を、それらの5’末端にチミジン塩基の代わりにウラシル塩基を含むプライマーを用いて実施する。このようなPCR産物を酵素UDGと共にインキュベートする場合、ウラシル塩基は特異的に取り除かれる。これらの塩基の欠損は、PCR産物DNAの末端における塩基対合を弱め、そして適切な温度(例えば、37℃)でインキュベートした場合、このような産物の末端は、主として一本鎖化される。PCR産物の3’末端に相補的である突出した3’テールを含む直鎖状クローニングベクターの存在下でこのようなインキュベーションを行った場合、塩基対合は、効率的にクローニングベクターにPCR産物をアニーリングする。アニーリングされた産物を、形質転換によってE.coli細胞に導入した場合、インビボプロセスは、効率的にそれを組換えプラスミドに変換する。
【0189】
3つ全てのリーディングフレームでの任意のPCR産物のクローニングを可能にするUDGクローニングベクターをpEZC3201(図8K)から以下のように調製した。8つのオリゴヌクレオチドが、Life Technologies,Inc.から得られた(全て5’→3’で記載される:rf1 上部(GGCC GAT TAC GAT ATC CCA ACG ACC GAA AAC CTG TAT TTT CAG GGT)(配列番号19)、rf1 下部(CAG GTT TTC GGT CGT TGG GAT ATC GTA ATC)(配列番号20)、rf2 上部(GGCCA GAT TAC GAT ATC CCA ACG ACC GAA AAC CTG TAT TTT CAG GGT)(配列番号21)、rf2 下部(CAG GTT TTC GGT CGT TGG GAT ATC GTA ATCT)(配列番号22)、rf3 上部(GGCCAA GAT TAC GAT ATC CCA ACG ACC GAA AAC CTG TAT TTT CAG GGT)(配列番号23)、rf3 下部(CAG GTT TTC GGT CGT TGG GAT ATC GTA ATC TT)(配列番号24)、カルボキシ上部(ACC GTT TAC GTG GAC)(配列番号25)、およびカルボキシ下部(TCGA GTC CAC GTA AAC GGT TCC CAC TTA TTA)(配列番号26))。rf1、2および3上部鎖ならびにカルボキシ下部鎖を、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてその5’末端上でリン酸化し、次いで各対の相補的な鎖をハイブリダイズした。プラスミドpEZC3201(図8K)をNot IおよびSal Iを用いて切断し、そして切断プラスミドのアリコートをカルボキシ−オリゴ二重鎖(Sal I末端)およびrf1、rf2、またはrf3二重鎖のいずれか(Not I末端)と混合した(250pmolカルボキシオリゴ二重鎖と10μg(約5pmol)切断プラスミドとを混合し、3つの20μl容積に分割し、rf1、rf2、またはrf3二重鎖の5μl(250pmol)および2μl=2単位T4 DNAリガーゼを各反応物に添加した)。室温での90分の連結後、各反応物を調製用アガロースゲルに供し、そして2.1kbのベクターバンドを溶出し、そして50μlのTEに溶解した。
【0190】
(パートIII:CATおよびphoA遺伝子のPCR)
プラスミドpACYC184由来のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子およびE.coli由来のアルカリホスファターゼ遺伝子であるphoAを増幅するために、プライマーをLife Technologies,Inc.から得た。プライマーは、ウラシル塩基を含む12塩基5’伸長を有し、その結果ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)でのPCR産物の処理は、DNAの各末端での塩基対合を弱め、そして3’鎖が上記のrf1、rf2、およびrf3ベクターの突出する3’末端とのアニーリングを可能にする。プライマーの配列(全て5’→3’で記載)は以下のとおりであった:CAT左、UAU UUU CAG GGU ATG GAG AAA AAA ATC ACT GGA TAT ACC(配列番号27);CAT右、UCC CAC UUA UUA CGC CCC GCC CTG CCA CTC ATC(配列番号28);phoA左、UAU UUU CAG GGU ATG CCT GTT CTG GAA AAC CGG(配列番号29);およびphoA右、UCC CAC UUA UUA TTT CAG CCC CAG GGC GGC TTT C(配列番号30)。次いで、プライマーを公知の方法工程(例えば、米国特許第5,334,515号(これは本明細書中にその全体が参考として援用される)を参照のこと)を用いるPCR反応のために使用し、そしてこれらのプライマーを用いて得られたポリメラーゼ連鎖反応増幅産物は、開始ATGを有するがいかなる転写シグナルも有さないCATまたはphoA遺伝子を含んだ。さらに、アミノ末端上のウラシル含有配列は、TEVプロテアーゼ(Life Technologies,Inc.)の切断部位をコードし、そしてカルボキシ末端上のウラシル含有配列は、連続的なTAAナンセンスコドンをコードした。
【0191】
非精製PCR産物(約30ng)を、1×REact4緩衝液(LTI)および1単位のUDG(LTI)を含む10μlの反応物中で、ゲル精製された、直鎖状rf1、rf2、またはrf3クローニングベクター(約50ng)と混合した。37℃での30分後、各反応の1μlアリコートを、コンピテントE.coli DH5α細胞(LTI)に形質転換し、そして50μg/mlのカナマイシンを含有する寒天上にプレートした。コロニーをひろい、そしてミニプレップDNAの分析は、CAT遺伝子が、リーディングフレーム1(pEZC3601)(図8C)、リーディングフレーム2(pEZC3609)(図8D)、およびリーディングフレーム3(pEZC3617)(図8E)でクローン化され、そしてphoA遺伝子が、リーディングフレーム1(pEZC3606)(図8F)、リーディングフレーム2(pEZC3613)(図8G)、およびリーディングフレーム3(pEZC3621)(図8H)でクローン化されたことを示した。
【0192】
(パートIV:CATまたはphoAのUDGクローニングベクターからGST融合ベクターへのサブクローニング)
3つ全てのリーディングフレームでのGSTとCATまたはphoAのいずれかとの間の融合物をコードするプラスミドを、以下の組換えクローニングによって構築した。GSTベクタードナーpEZC3501(図8B)(上記のPharmaciaプラスミドpGEX−2TK由来)のミニプレップDNAを、Cla Iを用いて直鎖状にした。約5ngのベクタードナーを、緩衝液および組換えタンパク質Int、Xis、およびIHF(実施例5)を含む8μlの反応物中、CATまたはphoAを含む各約10ngの適切な環状遺伝子ドナーベクターと混合した。インキュベーション後、1μlの各反応物を、E. coliDH5α株に形質転換し、そして表7に示すようにアンピシリン上にプレートした。
【0193】
【表7】
Figure 0004303418
(パートV:融合タンパク質の発現)
各形質転換由来の2つのコロニーを、100μg/mlのアンピシリンを含有する17×100mmのプラスチックチューブ(Falcon 2059,Becton Dickinson)中の2mlのリッチ培地(CircleGrow, Bio101 Inc.)中にひろい、そして37℃で約4時間強く振盪し、その時培養物は視覚的に濁っていた。1mlの各培養物を、GSTの発現を誘導するために10μlの10%(w/v)IPTGを含む新しいチューブに移した。さらなる2時間のインキュベーション後、全ての培養物は、ほぼ同じ濁度を有した;1つの培養物のA600は、1.5であった。0.35mlの各培養物由来の細胞を回収し、そしてサンプル緩衝液(SDSおよびβ−メルカプトエタノールを含む)で処理し、そして細胞の約0.15のA600単位に等価なアリコートを、Novex 4〜20%勾配ポリアクリルアミドゲルに供した。電気泳動後、ゲルをクーマシーブルーを用いて染色した。
【0194】
結果:単一のタンパク質のバンドの増大した発現は、12の培養物の全てで見出された。これらのタンパク質の観察されたサイズは、3つのリーディングフレームでCAT(図8I)またはphoA(図8J)に(終止コドンを含まないattB組換え部位を介して)融合されたGSTの予想したサイズと良く相関した:CAT rf1=269アミノ酸;CAT rf2=303アミノ酸;CAT rf3=478アミノ酸;phoA rf1=282アミノ酸;phoA rf2=280アミノ酸;およびphoA rf3=705アミノ酸。
【0195】
分析:CATおよびphoA遺伝子の両方を、3つ全てのリーディングフレームでGST融合ベクターにサブクローン化し、そして6つの融合タンパク質の発現を示した。
【0196】
(実施例7:逆組換えおよび組換えによるサブクローニング)
2つのプラスミドを、本発明に従う逆組換えを実証するために構築した。attB組換え部位を含み、そしてattB親プラスミド(このベクターは、産物DNAに相当し得る)と称するベクターpEZC5601(図10A)は、上記のように、さらにアンピシリン耐性遺伝子、複製起点、attB2部位、テトラサイクリン耐性遺伝子、およびattB0部位を含んだ。attP組換え部位を含み、attP親プラスミド(このベクターは、副産物DNAに相当し得るか、または異なるベクタードナーDNAに相当し得る)と称するプラスミドpEZC6701(図10B)もまた、カナマイシン耐性遺伝子、複製起点、attP2部位、毒性タンパク質ccdBをコードする遺伝子、およびattP0部位を含んだ。10×インテグラーゼ緩衝液には、0.25M Tris HCl pH 7.5、0.25M Tris HCl pH 8.0、0.7M 塩化カリウム、50mM 塩酸スペルミジン、5mM EDTA、および2.5mg/ml BSAが含まれた。attP0およびattP2がP1ドメインおよびH1ドメインを含んでいたことに注目のこと。インテグラーゼ(435ng/μlを1.5μl)およびIHF(1×インテグラーゼ緩衝液中16ng/μlを1.5μl)を13.5μlの1×Int緩衝液と混合してリコンビナーゼ混合液を作製した。
【0197】
2つの8μl反応液を集めた。反応Aには、300ngのpEZC6701プラスミドおよび1×インテグラーゼ緩衝液中の2μlのリコンビナーゼ混合液が含まれた。反応Bには、300ngのpEZC5601、300ngのpEZC6701、および1×インテグラーゼ緩衝液中の2μlのリコンビナーゼ混合液が含まれた。両方の反応を、25℃で45分間、次いで70℃で5分間インキュベートし、次いで冷却した。TE緩衝液(792μlの10mM Tris−HCl pH 7.5、1mM EDTA)を各々の反応に添加し、そして1μlのこの希釈反応液をDH5α UltraMaxコンピテントE.coli細胞(Life Technologies,Inc.,Rockville,MD)に形質転換した。非選択培地中での1時間の発現の後、各々の形質転換体の10分の1(100μl)を、100μg/ml カナマイシンを含む寒天プレート上に広げた。
【0198】
37℃における一晩のインキュベーション後、反応Aからのプレートは1つのコロニーを含んだが、一方反応Bからのプレートは392コロニーを含んだ。12のコロニーを反応Bプレートからひろい上げて、富化液体培地に移し、そして一晩増殖させた。これらの培養物から調製したミニプレップDNAを、アガロースゲル上で切断せずに泳動し、そして12のコロニーすべてが約3.8kbのプラスミドを含んだ。ミニプレップDNAのうちの6個を制限酵素ClaIで切断し、そしてこれもまたClaIで切断したpEZC6701(カナマイシン耐性の親のプラスミド)とともに泳動した。プラスミドpEZC6701を1回ClaIで切断して、約3.8kbのフラグメントを得た。6個のミニプレップDNAを2回ClaIで切断して、約900塩基対および約2900塩基対のフラグメントを得た。
【0199】
分析:pEZC6701上のattP部位とpEZC5601上のattB部位との間の組換えは、アンピシリン耐性遺伝子およびccdB遺伝子を含む、2つの娘のプラスミド、attL産物プラスミドの産生を生じる(図10C)(これは、ベクタードナーDNAまたは新しい副産物DNAに一致し得る)。そしてカナマイシンおよびテトラサイクリン耐性遺伝子を含むattR産物プラスミドの産生を生じる(図10D)(これは、挿入ドナーDNAまたは新しい産物DNAに一致し得る)。attL産物プラスミド、attP親プラスミドpEZC6701、または組換え中間体を受容するコンピテントなE.coli細胞を、毒性のccdB遺伝子産物によって殺傷した。attB親プラスミドpEZC5601を受容するコンピテントなE.coli細胞を、カナマイシン選択によって殺傷した。カナマイシンおよびテトラサイクリン耐性遺伝子を含む、所望のattR産物プラスミドを受容するコンピテントなE.coli細胞のみが、コロニーを形成するために生存した。選択ストラテジーの成功は、片方の親のプラスミドのみを含む反応に比較して、両方の親のプラスミドを含む反応からの多数のコロニーによって、示される。その反応機構は、その所望の産物プラスミドが2つのClaI制限部位を含み、1つはpEZC6701 attP親プラスミド由来のカナマイシン耐性遺伝子中にあり、そしてもう一方はpEZC5601 attB親プラスミド由来のテトラサイクリン耐性遺伝子中にあることを予測した。2つの部位の存在、およびClaI消化から生じるフラグメントのサイズによって反応機構を確認した。
【0200】
従って、本発明は図1に示される組換え反応の逆転に関し、ここでは産物DNAおよび副産物DNAを合わせて、挿入ドナーDNAおよびベクタードナーDNAを産生し得る。さらに、本発明は、サブクローニング組換えを提供し、ここでは産物DNA(図1に従って産生される)を新しいベクタードナーDNAと合わせて、新規な産物DNA(異なるベクターバックグラウンド中で)および新規な副産物を産生し得る。
【0201】
(実施例8:線状化したフラグメントのサブクローニング)
プラスミドpEZC7102(図11A)、aatP親プラスミド(これはベクタードナーDNAに対応し得る)は、セグメントattP1、複製起点、カナマイシン耐性、attP3、クロラムフェニコール耐性、および毒性遺伝子ccdBを含み、そして本明細書中で記載される実験においてはスーパーコイル型であった。プラスミドpEZC7501(図11B)、attB親プラスミド(これは挿入ドナーDNAまたは産物DNAに対応し得る)は、pCMVSPORT2.0(Life Technologies,Inc.)の機能的ドメインを含むベクター中のattB1とattB3部位との間にクローニングされたGFP遺伝子を含んだ。このattP部位は、P1およびH1ドメインを含んだ。プラスミドpEZC7501を切断せずに使用するか、またはScaIでアンピシリン耐性遺伝子内で直鎖状にするか、またはXbaIおよびSalIで切断して、SalI末端、22bp、attB1部位、GFP遺伝子、attB3部位、およびXbaI末端まで14bpを含むフラグメントを得た:
SalI末端−−22bp−−attB1−−GFP−−attB3−−14bp−−XbaI末端。
【0202】
反応(8μl最終容量)は、約40ngの各DNA、1×Int緩衝液(25mM Tris−HCl pH 7.5、25mM Tris−HCl pH 8.0、70mM KCl、5mM スペルミジンHCl、0.5mM EDTA、および0.25mg/ml BSA)、12.5%グリセロール、8ng IHF、および43ngλインテグラーゼを含む。反応を25℃で45分間、次いで70℃で5分間インキュベートし、次いで冷却した。各反応の1μlアリコートを2連でDH5α UltraMax細胞に形質転換し、そしてカナマイシン寒天プレート上に2連でプレートした。
【0203】
(スーパーコイル型)pEZC7102のみを含む反応は、平均2コロニー(1〜4の範囲)を与えた。pEZC7102およびスーパーコイル型pEZC7501の両方を含む反応は、平均612コロニー(482〜762の範囲)を与えた。pEZC7102および直鎖状(ScaI切断)pEZC7501を含む反応は、平均360コロニー(127〜605の範囲)を与えた。attB部位を超えて(SalIおよびXbaIで切断したpEZC7501)attB部位および22bpおよび14bpを有するフラグメント上にpEZC7102およびGFP遺伝子を含む反応は、平均274コロニー(243〜308)を与えた。
【0204】
ミニプレップDNAを、pEZC7102×スーパーコイル型pEZC7510反応由来の4つのコロニーから、そしてpEZC7102×pEZC7501/SalI+XbaI反応由来の10個のコロニーから調製した。14個すべてのDNAを、切断せずにアガロースゲル上で泳動し、そしてpEZC7102×pEZC7501/SalI+XbaI反応由来の10個のDNAをNcoIおよびPstIの混合液で切断し、そしてアガロースゲル上で泳動した。すべての切断していないプラスミドは、約2.8kbのサイズであった。NcoIおよびPstIの混合液で切断した10個すべてのプラスミドは、約700と2100bpとの間のフラグメントを与えた。
【0205】
結果を表8に示す。
【0206】
【表8】
Figure 0004303418
分析:プラスミドpEZC7501上のattB部位とプラスミドpEZC7102上のattP部位との間の組込み反応は、pEZC7501からのGFPセグメント、およびpEZC7102からのカナマイシン起源セグメントを含む、attL産物プラスミド(図11C)(挿入ドナーDNAに相当する)を産生することが予測された。attP親プラスミドpEZC7102(副産物DNAに対応する)上の毒性遺伝子ccdBの存在は、このプラスミドを受容したすべての細胞を殺傷することが予想された。pEZC7501が存在する場合にコロニーの数の大きな増加は、所望の反応が起こり、そしてたとえattB親プラスミド(産物DNAに対応する)が直鎖状である(ScaI切断)場合でも反応の効率は十分であることを示し、またはattB部位およびGFP遺伝子が存在する場合に、フラグメントはattB部位を超えたさらなる配列をほとんど含まなかったことを示した。
【0207】
これらの結果は、直鎖状のフラグメントが、本発明の方法によって異なるベクターに適切にサブクローニングされ得ることを示す。
【0208】
(実施例9:長いPCRフラグメントのクローニング)
PCR産物を、一方の端にattB0(野生型)部位、および他の端にloxP部位を有するように設計した。その理論的根拠は、attP0×attB0反応がattB0分子(PCR産物)を用いて十分に線状化されること(これは正常なラムダ組込み反応を含むので)、そして同時組込み物からのloxP×loxP切除はまた、効率的である(単一分子の切除反応が効率的であり、二分子組込み反応がCreを用いて効率的ではない)ことである。
【0209】
attB含有PCRプライマーの配列は、5’−TCC GTT GAA GCC TGC TTT TTT ATA CTA ACT TGA GCG AAG CCT CGG GGT CAG CAT AAG G−3’(配列番号31)であった。loxPプライマーの配列は、5’−CCA ATA ACT TCG TAT AGC ATA CAT TAT ACG AAG TTA TTG CCC CTT GGT GAC ATA CTC G−3’ (配列番号32)であった。これらのプライマーは、ヒトミオシン重鎖の一部を増幅する。ポリメラーゼ連鎖反応を、ELONGASETMおよびK562ヒトDNAを鋳型として使用して行った。ポリメラーゼ連鎖反応を以下のように行った。反応溶液(50μl)は、ELONGASETMSuperMix(Life Technologies,Inc.)中で100ng K562ヒトDNA(Life Technologies,Inc.)、0.2μMの各プライマー、および0.2mMの各dNTPを含んだ。薄い壁のチューブ中、ミネラルオイルの下で反応溶液を、94℃で1分間の変性、次いで94℃で30秒間、65℃で30秒間、および68秒間で8分30秒間の35回サイクルで行った。温度サイクリングに続いて、反応液を4℃で維持した。5.2kbのPCR産物(図9A)を、ゲル精製した。
【0210】
プラスミドpEZC1202(図9B)は、野生型attP部位、クロラムフェニコール耐性遺伝子、tetリプレッサーをコードする遺伝子、野生型loxP部位、複製起点、およびカナマイシン耐性遺伝子を転写し、そして転写制御するtetオペレーター/プロモーターを含んだ。このプラスミドは、クロラムフェニコール耐性を与えたが、カナマイシン耐性を与えなかった。なぜなら、プラスミドの1つのエレメントによって作られたtetリプレッサーが、カナマイシン耐性遺伝子を遮断したままにしたからである。本実験において使用されたpEZC1202 DNAは、その濃度が1μlあたり約50ngであると見積もられたミニプレップであった。
【0211】
約40ngのゲル精製された5.2kbPCR産物を、50mM Tris−HCl pH 約7.8、16mM NaCl、35mM KCl、0.25mM EDTA、0.375mg/ml ウシ血清アルブミン中に約50ngのスーパーコイル型pEZC1202、0.2ユニットのCreリコンビナーゼ、3.6ng IHF、および11ngのIntを含む10μlの反応液中に含めた。PCR産物を含まない第2の反応溶液を、コントロールとして含めた。27℃で45分間、次いで70℃で5分間のインキュベーションの後、1μlのアリコートをDH5α UltraMaxコンピテントE.coli細胞(Life Technologies,Inc.)に形質転換した。各発現混合液の5分の1を、100μg/mlのカナマイシンを含む寒天上にプレートし、そしてそのプレートを37℃で一晩インキュベートした。PCR産物を含んだその反応液は、34コロニーを与えたが、一方PCR産物を欠く反応溶液は31コロニーを与えた。そのプレートを室温に4日間置いた後に、26のさらなる小さいコロニーが陽性(+PCR産物)反応からのプレート上に見られたが、一方1つのさらなる小さいコロニーのみが陰性(−PCR産物)反応からのプレート上に見られた。
【0212】
26の小さいコロニーのうちの12個を、25μg/mg カナマイシンを含む富化ブロス(CircleGrow)中で一晩増殖させ、そしてミニプレップDNAをこれらの培養物から調製した。12すべてのミニプレップは約8kbのサイズであり、これらは5.2kbPCR産物を有するpEZC1202中のクロラムフェニコール耐性遺伝子およびtetリプレッサー遺伝子の置換について予測されたサイズに対応した。予想された組換え産物を図9Cに示す。これらのプラスミドのうちの2つをAvaI(予想された8部位)およびBamHI(予想された4部位)で切断した。すべての予想されたAvaIフラグメントは存在すると思われた。PCR産物中で予想されたBamHI部位のうちの1つの部位(attB端に最も近いもの)は、両方のミニプレップに存在しなかったが、他のBamHIフラグメントはクローニングされた5.2kbのPCR産物の予測された構造と一致した。
【0213】
分析:5.2kb PCR産物(ヒトミオシン重鎖の一部)を有するpEZC1202中のクロラムフェニコール耐性遺伝子およびtetリプレッサー遺伝子の置換は、カナマイシンに対する宿主E.coli細胞の中程度の耐性を与えたが、この耐性は一晩のインキュベーション後にコロニーが出現することを可能にするには十分ではなかった。従って、所望の組換え産物を含むコロニーはカナマイシンプレートで増殖するが、一晩のインキュベーション後には見られなかった。しかし、そのコロニーはさらなる室温でのインキュベーションの後にのみ見られた。そのヌクレオチド配列から予想された12のAvaIおよびBamHI制限部位のうち、11が実験的に確かめられた。従って、以下の3つの観察は、5.2kbのPCR産物が組換えによってクローニングされたという結論を支持する:(a)小さく、遅い増殖コロニーはPCR産物を含む反応物からのプレート上にのみ見られた;(b)これらのコロニー由来のミニプレッププラスミドは、予測されたサイズであった;そして(c)診断的な制限切断は、予測されたフラグメントを与えた(上記の1つの例外を伴う)。
【0214】
(実施例10:PCRフラグメントのクローニング)
PCRプライマー対の3セット(表9)を設計し、attB1−GFP−attB3を含むプラスミドpEZC7501(図11B)内の830bpの配列を、25bp attB1およびattB3組換え部位の外側末端に、さらなるヌクレオチドを有するか、またはさらなるヌクレオチドなしで、増幅した。(ここで「外側(outer)」とは、GFP遺伝子配列に隣接しないattB配列の末端をいう。)プライマーセットAは、attB1の上流に17ヌクレオチドを付加して、そしてattB3の下流に15ヌクレオチドを付加した;プライマーセットBは、attB1およびattB3にそれぞれ5および8ヌクレオチドを付加した;そしてプライマーセットCは、attB組換え配列のどちらにもさらなるヌクレオチドを付加しなかった。
【0215】
このプライマー配列を表9に提供する。
【0216】
【表9】
Figure 0004303418
(PCR反応)
最初に、プライマーセットAおよびCを、二連で、50μlで、以下のPCR反応とともに用いた。最終濃度は以下の通りであった:
20mM TrisHCl、pH8.4
50mM KCl
4つすべてのデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTPs)0.2mM
スーパーコイル化DNAテンプレート、400ng/ml pEZC7501
各プライマー 0.5μM
組換えTaq DNAポリメラーゼ(BRL−GIBCO)100 U/ml
上記反応の二連セットは1Mベタインを含有した。
【0217】
この反応は最初、94℃で1分間加熱して、次いで、94℃で45秒、55℃で30秒、および72℃で1分を25回繰り返した。
【0218】
PCR反応産物のサイズを、0.5μg/ml臭化エチジウム含有TAE緩衝液中で、1%アガロースゲル上で分析した。すべての反応が期待のサイズの産物を生じ、従って二連の反応物をプールした。ベタインの有無により対応する反応物は有意に異ならなかったので、これらもプールし、プライマーセットAおよびCを用いた反応の最終プール容量それぞれ200μlを得た。
【0219】
次いで、プライマーセットBを、上記で実行したものと同一の反応とともに用いた(反応容量を100μlに増加したことを除いて)。二連の複製反応物ならびにベタイン添加反応物およびベタイン無添加反応物をプールしたあと、プライマーセットBを用いた反応物の最終容量は、400μlであった。
【0220】
この3つのプールしたプライマー反応産物を4週間、−20℃で保存した。
【0221】
(PCR産物精製)
3つのプールされたPCR産物のそれぞれを、Tris緩衝化フェノール、イソアミルアルコールおよびクロロホルムの等量混合液を用いて1回抽出した。次いで、水性の上清を等量のイソブタノールを用いて、2回抽出して、そして水性層を、2容量のエタノール、0.1M酢酸ナトリウム、pH6.2を用いてエタノール沈殿した。このエタノール沈殿物を、室温で、13,000rpm、10分間の遠心分離により回収して、そして上清を廃棄した。この乾燥ペレットをTE(プライマーセットAおよびCを用いて調製された反応物については100μl;プライマーセットBを用いた反応物については200μl)に溶解した。
【0222】
PCRプライマーおよび外来の小さいPCR産物を除くために、1/2容量の30%PEG 8000(Sigma)、30mM MgCl2溶液を添加して、よく混合して、そしてすべて室温で13,000rpmで10分間の遠心分離をすることにより、PCR産物をポリエチレングリコール(PEG)で沈殿させた。この上清を捨てて、そしてペレットをその前の容量のTE緩衝液に溶解した。3つのPCR産物それぞれの1μlアリコートを、1%アガロースゲル上でチェックして、回収を定量して、回収は90%を超えると見積もられた。それぞれのPCR産物の濃度を、TEを用いて40ng/μlに調整した。
【0223】
(プライマーセットA、BおよびCのPCR産物を用いる組換え反応)
5つの8μl反応物を、40ngのpEZC7102 DNA、2μlのリコンビナーゼ混合物(1× Int緩衝液、50%グリセロール中に8ng/μl IHF、22ng/μl Int)を含有する、1× インテグラーゼ緩衝液(25mM Tris HCl pH7.5,25mM Tris HCl pH8.0,80mM KCl,5mM スペルミジン,0.5mM EDTA,0.25mg/ml BSA)中で構築した。反応物は、プライマーセットA(反応A)、プライマーセットB(反応B)、もしくはプライマーセットC(反応C)のPCR産物のどれかの添加により;PCR産物を添加しないこと(反応D)、または陽性コントロールとして40ngのpEZC7501 SC(スーパーコイル化)DNAの添加(反応E)により異なる。すべての反応を、二連で実行した。
【0224】
この反応を、25℃で45分間、70℃で10分間インキュベートして、次いで0〜5℃においた。それぞれの反応の2μlアリコートを、50μlの形質転換反応中で、Max Efficiency DH5α中に形質転換して、そして、50C培地中の発現後に、反応物の1/5(100μl)および4/5(400μl)を、カナマイシン含有(50μg/ml)LB培養プレート上にプレートした。この二連反応物の結果を表10に示す。
【0225】
【表10】
Figure 0004303418
(得られたコロニーの分析)
ミニプレップDNAを、プライマーセットA、BまたはCを用いたそれぞれの組換え反応物の8つのコロニーから調製した。得られたスーパーコイル化DNAを、1%アガロースゲル上で分析した:プライマーセットAおよびBの組換え産物からの8つのすべてのコロニーは、PCR産物(約824bp)とpEZC 7102によって与えられたattB1−−ori−−kan’−−attB3配列(1967bp)との間の正しい組換えについて予想されるサイズ(2791bp)であった。プライマーセットCの8つの反応産物のうち3つは、予想されるサイズで;他の5つすべては4kbよりわずかに大きかった。
【0226】
反応産物のさらなる分析を、2つの異なる制限酵素、AvaIおよびPvuIIを用いて実行した。これら酵素の各々は、予想組換え産物中で2度切断(ただし違う位置で)する(一度は、PCR産物配列中で、そして一度はpEZC7102により与えられる配列中で)。これらの酵素両方とも、2つの部位で完全なpEZC7102組換えパートナーのプラスミドを切断し、期待される組換え産物のフラグメントから容易に識別されるフラグメントをもたらすはずである。
【0227】
2つの制限酵素消化物は、プライマーセットAおよびBを用いた組換え反応物から生成されたコロニーから、ならびに期待されたサイズのスーパーコイル化DNAを示すプライマーセットCからの3つのコロニーについて、期待されるサイズのフラグメント(AvaIでは2373および430bp;PvuIIでは2473および330bp)を生じた。しかし、より長いSC DNAを生じたプライマーセットCからの他の5つのコロニーについて、PvuII消化は、pEZC7102の消化から予想されるフラグメントに対して近似のサイズのフラグメントを示したが、AvaI消化は、線状化pEZC7102(4161bp)のサイズに近似の、単一フラグメントのみを示した。
【0228】
(分析)
これらの結果は、attB部位に隣接される遺伝子を含むテンプレートから生成されたPCR産物が、逆組換え反応のための効率的基質として働き得ることを示す。attB1およびattB3部位またはコア領域の末端への短いDNA配列(例えば、プライマーセットBにおいて、各々5bおよび8bp)でさえの付加は、この反応を100倍以上刺激した。驚くべきことに、attB部位を越えてさらなる配列を含有するPCR産物を用いる逆組換え反応物が、これらの反応において、スーパーコイル化した陽性コントロールプラスミドpEZC7501よりも効率的な組換えパートナーであるようであった。
【0229】
すべての組換え産物が忠実に生成された。低レベルのバックグラウンドコロニーが、プライマーセットCを用いた相対的に非効率的な組換え反応物(25bpのattB部位を越える付加配列を欠いた)から出現した。このバックグラウンドは、活性ccdB死亡遺伝子を欠損するほぼ完全なpEZC7102(これはカナマイシン抵抗性をコードする)(このことにより、その生存を可能にする)に起因するようであった。このプラスミドにおいてAvaIについての2つの制限部位の1つがまた変化したということがこの解釈と一致する。AvaI部位の1つは、pEZC7102のccdB領域内に存在する。従って、この部位の変化は、ccdB遺伝子の変異性の不活化に対して二次的であるという可能性がある。
【0230】
(実施例11:PCRフラグメントのさらなるクローニング)
プラスミドpBR322からPCR産物を調製するための6プライマーの2つのセットを、テンプレートとして用いた。1つのセット(表11)は、TetRプロモーターを含むTetR遺伝子に隣接する配列へアニールした。他のセット(表12)は、そのプロモーターを含むAmpR遺伝子に隣接する配列へアニールした。用いた「tet」および「amp」プライマーは、attB配列を含まず、pBR322プラスミドに固有の配列のみを含む;「attB」プライマーは、pBR322配列に加えて、25bpのattB IまたはattB3配列を含む;「attB+4」プライマーは、pBR322特異的配列および25bp attB IまたはattB3配列を含み、それぞれ4つのGを外側末端に有する。(ここで「外側」は、テンプレート特異的プライマー配列に隣接しないattB配列の末端をいう。)
(pBR322テンプレートの調製)
PCR反応の効率性を改善するために、37℃で、1時間、15ユニットの制限酵素NdeIおよび最終濃度50mM Tris−HCl、pH8.0,10mM MgCl2、ならびに50mM NaClとともに、200μl反応液中で、3.5μgのスーパーコイル化(SC)pBR322 DNAをインキュベートすることにより、スーパーコイル化したpBR322 DNAを、線状化した。
【0231】
消化したpBR322 DNAをフェノール、イソアミルアルコール、およびクロロホルムを用いて1回抽出して、イソブタノールで2回抽出して、そして0.15M酢酸ナトリウム添加のエタノール2容量を添加して沈殿させた。この沈殿を、100%エタノールで1回洗浄して、乾燥して、次いで、TE緩衝液に溶解した。TAE緩衝液中の1%アガロースゲル上、0.5μg/ml臭化エチジウムで定量した、DNAの回収は、80%より大きいと見積もられた。
【0232】
【表11】
Figure 0004303418
【0233】
【表12】
Figure 0004303418
(tetおよびamp遺伝子配列のPCR増幅)
6つのPCR反応を、20mM Tris−HCl,pH8.4,50mM KCl,1.5mM MgCl2,0.2mM dNTPs,2ng線状化pBR322,2.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(GIBCO−BRL),ならびに表3および4に挙げたPCRプライマー対それぞれの0.5μMからなる、100μlの中で行った。この反応物を最初、94℃へ3分間、加熱し;次いで94℃で45秒間、55℃で30秒間、および72℃で1分間の25サイクルに供した。1%アガロースゲル分析に基づいて、反応物のすべてが、妥当な収率で期待されたサイズの産物を生成した。
【0234】
(PCR産物の精製)
上記のように、二連の反応からの産物をプールし;等容量のフェノール、イソアミルアルコールおよびクロロホルムを用いて抽出し;等容量のイソブタノールを用いて2回抽出し;そして、2容量のエタノールを用いて沈殿した。6つの沈殿物を、100%エタノールで1回洗浄して、乾燥して、そして100μl TEに溶解した。1μlのアリコートを、PEG沈殿の前に、産物のゲル分析のために取り出した。
【0235】
それぞれのチューブに50μlの30%PEG 8,000、30mM MgCl2を添加した。この溶液をよく混合して、そして室温で13,000rpmで10分間、遠心分離した。この上清を注意深く取り除き、そして沈殿を100μl TEに溶解した。回収を1%アガロース上で定量して、そして90%を超えると見積もった。ゲル分析はまた、約300ヌクレオチドより短い核酸産物が、PEG沈殿工程により効率的に除去されたことを示した。
【0236】
(組換え反応)
それぞれ、総容量8μlで、1×インテグラーゼ緩衝液、40ng pEZC7102(図11A)、および2μlリコンビナーゼ混合物を含有する7つの組換え反応を、実行した(上記、実施例10参照のこと)。それぞれの反応物はまた、6つの上記PCR産物の1つの約40ng、または陽性コントロールとして、40ngのpEZC7501(図11B)を含んだ。末端にattB部位を有するampおよびtet PCR産物を図12Aおよび12Bに示す。この反応物を、25℃で45分間、70℃で10分間インキュベートして、次いで、E.coli.への形質転換に用いるまで0〜5℃で1〜2時間保持した。
【0237】
(組換え反応産物を用いるE.coli.形質転換)
それぞれの組換え反応物の1μlを、50μl形質転換反応物中で、Max Efficiency DH5αに形質転換し、そして、SOC培地中の発現後に、それぞれの反応物の1/5(100μl)および4/5(400μl)を、カナマイシン50μg/ml含有の培養プレート上にプレートした。このプレートを一晩インキュベートして、そしてコロニーをカウントした。それぞれの二連反応セットから得られたコロニー数を表13に示す。
【0238】
【表13】
Figure 0004303418
(得られたコロニーの分析)
迅速な表現型スクリーニングとして、tet EZC反応物からの10のコロニーおよびattB+4−tet EZC反応物からの33のコロニーを、テトラサイクリン含有(15μg/ml)のLB培養プレート上に画線した。テトラサイクリンの効力についてのコントロールとして、TetR遺伝子を欠落するpUC19形質転換細胞の3つのコロニーもまた、プレートに画線した。attB+4−tet EZC反応物からのすべてのコロニーはよく増殖した;tetEZC反応物からのコロニーは、非常にわずかにのみ増殖して、そしてpUC19コロニーはまったく増殖しなかった。
【0239】
類似の結果が、amp PCR反応物からのコロニーをアンピシリン含有(100μg/ml)培養プレート上に画線することにより得られた。attB+4−amp組換え反応物から生成された21のコロニーすべてがよく増殖し、一方で、attB−amp反応物からの13のコロニーでは1つだけがアンピシリンの存在下で増殖した。amp PCR産物を用いた組換え反応物からの15のコロニーではいずれも増殖は見られなかった。
【0240】
プラスミドDNAを特徴付けるために、PCR産物を用いた6つのEZC反応物から生成された8つのコロニーを、50μg/mlカナマイシン含有LBブロスに突ついて入れて、そして37℃で一晩、増殖させた。ミニプレップDNAを、それぞれの培養物の0.9mlから調製して、そしてスーパーコイル化DNAのサイズを、0.5μg/ml臭化エチジウム含有TAE緩衝液中の1%アガロースゲル上で分析した。この結果を表14に示す。組換え産物の予想される構造を、図12Cおよび12Dに示す。
【0241】
【表14】
Figure 0004303418
(分析)
プラスミドpBR322の中の、2つの異なる遺伝子配列、tetおよびampの増幅に基づく、これらの結果は、25bpのattB1およびattB3組換え配列を含むプライマーを用いて生成されたPCR産物が、組換え反応のための高度に効率的な基質として働くことを明らかに実証する。それぞれの25bp attB部位の外側への短い配列の付加は、実施例10の実験にも観察されるように、組換え反応を100倍を超えて刺激する。また実施例10と同様に、attB部位を有する線状PCR産物を用いる組換え反応の効率は、陽性コントロールSC DNAプラスミド、pEZC7501で得られる効率を超えた。
【0242】
さらに、高いパーセンテージの反応産物は予想される通りである。なぜならattB+4−tet反応物からの試験された33コロニーすべてが、機能的なテトラサイクリン抵抗性を示して、そしてattB+4−amp反応物からの21コロニーすべてが、アンピシリン抵抗性を示したからである。ミニプレップDNAの16すべて(attB+4−tetまたはattB+4ampのいずれかのPCR産物のpEZC7102との組換え反応物から調べられた)が、スーパーコイル化DNAおよび正しいサイズの制限消化フラグメントを生成した。
【0243】
(実施例12:組換えを刺激するためのトポイソメラーゼの使用)
親のプラスミドの一方を線状にすることによる組換え反応の刺激は、期待されなかった。この刺激が、2つの組換え反応の間に生じる、いくらかの高次構造強制の緩和(コインテグレートの形成および2つの娘分子への分解)から得られる場合、トポイソメラーゼによるプラスミドの巻き戻しはまた、一方または両方の親プラスミドが環状であるときも刺激的であり得る。
【0244】
挿入ドナーは、pEZC2901(図7A)であり、ベクタードナーは、pECZ3101(図7B)であった。pEZC3101の部分を、Mlu Iで線状化した。20ngのpEZC2901および/または pECZ3101を、それぞれの10μlの反応(50mM Tris HCl pH約7.8、16.5mM NaCl,35mM KCl,5mM スペルミジン、0.375mg/ml BSA、0.25mM EDTA、2%グリセロール中の29ng Int,2.9ng Xis,5.4ng IHF)中に用いた。トポイソメラーゼI(ウシ胸腺;Life Technologes,Incより)を、1× EZC緩衝液中で、15units/μlから、表15に示す濃度へ希釈した。
【0245】
【表15】
Figure 0004303418
これらの反応物を以下の順に構築した:緩衝液;TE;DNAs;クロナーゼ;トポイソメラーゼ。反応物を、22℃〜28℃で45分間、次いで70℃で5分間インキュベートした。1μlのアリコートをUltraMax DH5αコンピテントE.coli(Life Technologies,Inc.)に形質転換した。発現後に、アリコートを100μg/mlカナマイシンにプレートして、そして30℃で48時間インキュベートした。結果:表16を参照のこと。
【0246】
【表16】
Figure 0004303418
(分析)
ベクタードナーの線状化は、コロニー数を約10倍に増加した(反応2対反応7)。環状挿入ドナーおよび線状ベクタードナーを含む反応物へのトポイソメラーゼI0.5〜5ユニットの添加は、コロニー数に対してほとんどまたはまったく影響を有さなかった(反応3,4および5と比較して反応2;最大1.4倍)。対照的に、両方の親プラスミドが環状であった場合(反応7〜10)、トポイソメラーゼIの添加は、コロニー数を5〜9倍に刺激した。従って、両方の親プラスミドが環状である反応物へのトポイソメラーゼIの添加は、ベクタードナーの親を線状化するのとほぼ同じぐらい、組換え反応を刺激した。トポイソメラーゼIは、組換え緩衝液中で、3つの組換えタンパク質と組み合わせて用いた場合、活性であった。組換え反応へのトポイソメラーゼIの添加は、組換え反応の刺激を獲得するためにベクタードナーを線状化する必要性を軽減する。
【0247】
理解を明確にするために例示および実施例によって本発明をいく分詳細に十分に記載してきたが、同様のことが、発明の範囲またはそのいずれの特定の実施態様にも影響することなく、条件、処方および他のパラメーターの広範なおよび同等の範囲内で、本発明を改変または変更することにより実行され得ること、ならびに、このような改変または変更が添付の請求項の範囲内に包含されることが意図されることは当業者にとって明白である。
【0248】
本明細書において言及されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、本発明が関係する当業者の技術水準を示しており、そして、それぞれ個々の刊行物、特許および特許出願は、参考として援用されるように詳細および個別に示されたかのように同じ程度に、参考として本明細書に援用される。
【0249】
【表17】
Figure 0004303418

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の1つの一般的な方法を示し、ここで、開始(親)DNA分子は、環状または直鎖状であり得る。目標は、新たなサブクローニングベクターDをもとのクローニングベクターBと交換することである。1つの実施態様において、ADについて、およびすべての他の分子(コインテグレートを含む)に対して選択することが所望される。四角および丸は、組換えの部位(例えば、loxP部位、att部位など)である。例えば、セグメントDは、発現シグナル、新たな薬剤マーカー、新たな複製起点、またはマッピングもしくはDNA配列決定のための特殊化された機能を含み得る。
【図2A】 図2Aは、挿入ドナープラスミド(ここでは、pEZC705)をベクタードナープラスミド(ここでは、pEZC726)と組換え、そして産物DNAおよび副産物娘分子を得るインビトロにおける方法を示す。2つの組換え部位は、ベクタードナー上のattPおよびloxPである。これらの部位により規定される1つのセグメント上に、そのプロモーターがトランスポゾンTn10由来のtetOPオペレーター/プロモーターにより置換されているカナマイシン耐性遺伝子が存在する。Sizemoreら、Nucl. Acids Res. 18(10):2875 (1990)を参照のこと。tetリプレッサータンパク質の非存在下において、E. coli RNAポリメラーゼは、tetOPからカナマイシン耐性遺伝子を転写する。tetリプレッサーが存在する場合、それはtetOPに結合し、そしてカナマイシン耐性遺伝子の転写をブロックする。pEZC726の他のセグメントは、構成性プロモーターにより発現されるtetリプレッサー遺伝子を有する。従って、pEZC726により形質転換される細胞は、tetRと同じセグメント上のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のためにクロラムフェニコールに耐性であるが、カナマイシンに感受性である。リコンビナーゼ媒介性反応は、tetR遺伝子の、調節されたカナマイシン耐性遺伝子からの分離を生じる。この分離は、所望の組換え産物を受ける細胞においてのみ、カナマイシン耐性を生じる。第1の組換え反応はインテグラーゼと呼ばれるリコンビナーゼの添加により駆動される。第2の組換え反応はリコンビナーゼCreをコインテグレート(ここでは、pEZC7 Cointegr)へ添加することにより駆動される。
【図2B】 図2Bは、pEZC705の制限地図を示す。
【図2C】 図2Cは、pEZC726の制限地図を示す。
【図2D】 図2Dは、pEZC7 Cointの制限地図を示す。
【図2E】 図2Eは、Intprodの制限地図を示す。
【図2F】 図2Fは、Intbyproの制限地図を示す。
【図3A】 図3Aは、挿入ドナープラスミド(ここでは、pEZC602)をベクタードナープラスミド(ここでは、pEZC629)と組換え、そして産物(ここでは、EZC6prod)および副産物(ここでは、EZC6Bypr)娘分子を得るインビトロにおける方法を示す。2つの組換え部位は、loxPおよびloxP 511である。これらの部位により規定されるpEZC629の1つのセグメントは、そのプロモーターがトランスポゾンTn10由来のtetOPオペレーター/プロモーターにより置換されているカナマイシン耐性遺伝子である。tetリプレッサータンパク質の非存在下において、E. coli RNAポリメラーゼは、tetOPからカナマイシン耐性遺伝子を転写する。tetリプレッサーが存在する場合、それはtetOPに結合し、そしてカナマイシン耐性遺伝子の転写をブロックする。pEZC629の他のセグメントは、構成性プロモーターにより発現されるtetリプレッサー遺伝子を有する。従って、pEZC629により形質転換される細胞は、tetRと同じセグメント上のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のためにクロラムフェニコールに耐性であるが、カナマイシンに感受性である。反応は、tetR遺伝子の、調節されたカナマイシン耐性遺伝子からの分離を生じる。この分離は、所望の組換え産物のみを受ける細胞においてカナマイシン耐性を生じる。第1および第2の組換え事象は、同じリコンビナーゼCreの添加により駆動される。
【図3B】 図3Bは、EZC6Byprの制限地図を示す。
【図3C】 図3Cは、EZC6prodの制限地図を示す。
【図3D】 図3Dは、pEZC602の制限地図を示す。
【図3E】 図3Eは、pEZC629の制限地図を示す。
【図3F】 図3Fは、EZC6cointの制限地図を示す。
【図4A】 図4Aは、真核生物細胞における発現のために、ベクター中へクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子をサブクローニングするための組換えクローニングのインビトロ方法の適用を示す。挿入ドナープラスミドpEZC843は、loxP部位が遺伝子の5’末端に位置するようにloxP部位とattB部位との間にクローニングされたE.coliのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を含む。ベクタードナープラスミドpEZC1003は、loxP部位に並置されたサイトメガロウイルス真核生物プロモーターを含む。超らせんプラスミドをλインテグラーゼおよびCreリコンビナーゼとインビトロで組み合わせた。インキュベーション後、コンピテントE. coli細胞を組換え反応溶液を用いて形質転換した。形質転換のアリコートをカナマイシンを含有する寒天プレート上に広げて、産物分子(ここでは、CMVProd)を選択した。
【図4B】 図4Bは、pEZC843の制限地図を示す。
【図4C】 図4Cは、pEZC1003の制限地図を示す。
【図4D】 図4Dは、CMVByproの制限地図を示す。
【図4E】 図4Eは、CMVProdの制限地図を示す。
【図4F】 図4Fは、CMVcointの制限地図を示す。
【図5A】 図5Aは、pEZC1301のベクター図を示す。
【図5B】 図5Bは、pEZC1305のベクター図を示す。
【図5C】 図5Cは、pEZC1309のベクター図を示す。
【図5D】 図5Dは、pEZC1313のベクター図を示す。
【図5E】 図5Eは、pEZC1317のベクター図を示す。
【図5F】 図5Fは、pEZC1321のベクター図を示す。
【図5G】 図5Gは、pEZC1405のベクター図を示す。
【図5H】 図5Hは、pEZC1502のベクター図を示す。
【図6A】 図6Aは、pEZC1603のベクター図を示す。
【図6B】 図6Bは、pEZC1706のベクター図を示す。
【図7A】 図7Aは、pEZC2901のベクター図を示す。
【図7B】 図7Bは、pEZC2913のベクター図を示す。
【図7C】 図7Cは、pEZC3101のベクター図を示す。
【図7D】 図7Dは、pEZC1802のベクター図を示す。
【図8A】 図8Aは、pGEX−2TKのベクター図を示す。
【図8B】 図8Bは、pEZC3501のベクター図を示す。
【図8C】 図8Cは、pEZC3601のベクター図を示す。
【図8D】 図8Dは、pEZC3609のベクター図を示す。
【図8E】 図8Eは、pEZC3617のベクター図を示す。
【図8F】 図8Fは、pEZC3606のベクター図を示す。
【図8G】 図8Gは、pEZC3613のベクター図を示す。
【図8H】 図8Hは、pEZC3621のベクター図を示す。
【図8I】 図8Iは、GST−CATのベクター図を示す。
【図8J】 図8Jは、GST−phoAのベクター図を示す。
【図8K】 図8Kは、pEZC3201のベクター図を示す。
【図9A】 図9Aは、5.2kb PCR prodを示す。
【図9B】 図9Bは、pEZC1202のベクター図を示す。
【図9C】 図9Cは、5.2kbクローンのベクター図を示す。
【図10A】 図10Aは、pEZC5601のベクター図を示す。
【図10B】 図10Bは、pEZC6701のベクター図を示す。
【図10C】 図10Cは、attL産物のベクター図を示す。
【図10D】 図10Dは、attR産物を示す。
【図11A】 図11Aは、pEZC7102のベクター図を示す。
【図11B】 図11Bは、pEZC7501のベクター図を示す。
【図11C】 図11Cは、attL産物を示す。
【図12A】 図12Aは、末端attB部位を有するamp PCR産物を示す。
【図12B】 図12Bは、末端attB部位を有するtet PCR産物を示す。
【図12C】 図12Cは、amp 7102のの制限地図を示す。
【図12D】 図12Dは、tet 7102の制限地図を示す。
【配列表】
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Claims (26)

  1. 1つ以上の所望の核酸分子をクローンニングまたはサブクローニングする方法であって、以下:
    (a)インビトロで以下を組合せる工程、
    (i)少なくとも2つの組換え部位と隣接する1つ以上の所望の核酸セグメントを含む1つ以上の挿入ドナー分子であって、ここで該組換え部位は実質的に互いに組換わらない、挿入ドナー分子;
    (ii)少なくとも2つの組換え部位を含む1つ以上のベクタードナー分子であって、ここで、該組換え部位は実質的に互いに組換わらない、ベクタードナー分子;および、
    (iii)1つ以上の部位特異的組換えタンパク質;
    (b)1つ以上の該所望のセグメントを1つ以上の該ベクタードナー分子に移すのに十分な条件下で該組合せ物をインキュベートし、これによって1つ以上の所望の産物核酸分子を生成する、工程;
    (c)インビトロで以下を組合せる工程
    (i)2つ以上の組換え部位と隣接する該所望のセグメントを含む1つ以上の該産物分子であって、ここで、該組換え部位は実質的に互いに組換わらない、産物分子;
    (ii)2つ以上の組換え部位を含む1つ以上の異なるベクタードナー分子であって、ここで、該組換え部位は実質的に互いに組換わらない、ベクタードナー分子;および
    (iii)1つ以上の部位特異的組換えタンパク質;ならびに
    (d)1つ以上の該所望のセグメントを1つ以上の異なるベクタードナー分子に移すのに十分な条件下で該組合せ物をインキュベートし、これにより1つ以上の異なる産物分子を生成する工程、
    を包含する、方法。
  2. 1つ以上の前記所望のセグメントを前記異なるベクタードナー分子に移すのに十分な条件下で、1つ以上の異なるベクタードナー分子と前記異なる産物分子とをインキュベートする工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 所望の核酸分子をクローニングまたはサブクローニングする方法であって、以下:
    (a)インビトロで以下を組合せる工程、
    (i)2つ以上の組換え部位と隣接する1つ以上の核酸セグメントを含む1つ以上の挿入ドナー分子であって、ここで、該組換え部位は実質的に互いに組換わらない、挿入ドナー分子、
    (ii)2つ以上の組換え部位を含む2つ以上の異なるベクタードナー分子であって、ここで該組換え部位は実質的に互いに組換わらないベクタードナー分子;および、
    (iii)1つ以上の部位特異的組換えタンパク質;ならびに、
    (b)1つ以上の該所望のセグメントを該異なるベクタードナー分子に移すのに十分な条件下で該組合せ物をインキュベートし、これによって2つ以上の異なる産物分子を生成する工程、
    を包含する、方法。
  4. 前記挿入ドナー分子がゲノムDNA由来である、請求項1または請求項3に記載の方法。
  5. 前記挿入ドナー分子がcDNA由来である、請求項1または請求項3に記載の方法。
  6. 前記挿入ドナー分子が化学合成により生成される、請求項1または請求項3に記載の方法。
  7. 前記ベクタードナー分子が少なくとも1つの選択マーカーを含む、請求項1または請求項3に記載の方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、ここで、前記選択マーカーが以下:
    (a)レシピエント細胞が耐性を提供されなければ毒性である化合物に対する該耐性をレシピエント細胞に提供する産物をコードするDNAセグメント;
    (b)DNAセグメントがコードしなければレシピエント細胞において欠けている産物をコードする該DNAセグメント;
    (c)レシピエント細胞中の遺伝子産物の活性を抑制する産物をコードするDNAセグメント;
    (d)同定され得る産物をコードするDNAセグメント;
    (e)レシピエント細胞中で細胞機能を阻害する産物をコードするDNAセグメント;
    (f)上記(a)〜(e)の任意の該DNAセグメントの活性を阻害するDNAセグメント;
    (g)基質を修飾する産物に結合するDNAセグメント;
    (h)タンパク質、RNA、DNA、または化学物質により認識され得る特定のヌクレオチド認識配列をコードするDNAセグメント;
    (i)欠失した場合に、レシピエント細胞内の特定の化合物による細胞の殺傷に対する感受性を直接的または間接的に与える、DNAセグメント;
    (j)レシピエント細胞中で毒性である産物をコードするDNAセグメント;ならびに、
    (k)所望の分子を単離または同定するために使用され得るDNAセグメント、
    からなる群から選択された少なくとも1つのDNAセグメントを含む、方法。
  9. 前記選択マーカーが、抗生物質耐性遺伝子、tRNA遺伝子、栄養要求性マーカー、毒性遺伝子、表現型マーカー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、制限エンドヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ切断部位、酵素切断部位、タンパク質結合部位、およびPCRプライマー配列に相補的な配列からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ベクタードナー分子が原核生物および/または真核生物ベクターを含む、請求項1または請求項3に記載の方法。
  11. 前記真核生物ベクターが、酵母細胞、植物細胞、魚細胞、真核生物細胞、哺乳動物細胞、および/または昆虫細胞中で増殖および/または複製するベクターを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記原核生物ベクターが、グラム陰性またはグラム陽性細菌中で増殖および/または複製するベクターを含む、請求項10に記載の方法。
  13. 前記原核生物ベクターが、Escherichia属、Salmonella属、Bacillus属、Streptomyces属および/またはPseudemonas属の細菌中で増殖および/または複製するベクターを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記原核生物ベクターが、E.coli中で増殖および/または複製するベクターを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ベクタードナー分子が、クローニングベクター、配列決定ベクター、発現ベクター、融合ベクター、2−ハイブリッドベクター、逆2−ハイブリッドベクター、またはその誘導体または改変体からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  16. 前記真核生物ベクターが、pFastBac、pFastBac HT、pFastBac DUAL、pSFV、pTet−Splice、pEUK−C1、pPUR、pMAM、pMAMneo、pBI101、pBI121、pDR2、pCMVEBNA、YACneo、pSVK3、pSVL、pMSG、pCH110、pKK232−8、p3’SS、pXT1、pSG5、pPbac、pMbac、pMC1neo、およびpOG44、pYES2、pAC360、pBlueBacHis、pVL1392、pBlueBacIII、pCDM8、pcDNAI、pZeoSV、pcDNA3、pREP4、pCEP4、ならびにpEBVHisまたはその誘導体もしくは改変体からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
  17. 前記原核生物ベクターが、pcDNAII、pSL301、pSE280、pSE380、pSE420、pTrcHis、pRSET、pGEMEX−1、pGEMEX−2、pET、pTrc99A、pKK223−3、pGEX、pEZZ18、pRIT2T、pMC1871、pKK233−2、pKK388−1、ならびにpProEx−HTまたはその誘導体もしくは改変体からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  18. 前記2−ハイブリッドおよび逆2−ハイブリッドベクターが、pPC86、pDBLeu、pDBTrp、pPC97、p2.5、pGAD1−3、pGAD10、pACt、pACT2、pGADGL、pGADGH、pAS2−1、pGAD424、pGBT8、pGBT9、pGAD−GAL4、pLexA、pBD−GAL4、pHISi、pHISi−1、placZi、pB42AD、pDG202、pJK202、pJG4−5、pNLexAならびにpYESTrpまたはその誘導体もしくは改変体からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
  19. 前記挿入ドナー分子がベクターを含む、請求項1または請求項3に記載の方法。
  20. 前記挿入ドナー分子が増幅により生成されたDNAセグメントを含む、請求項1または請求項3に記載の方法。
  21. 前記増幅がPCRである、請求項20に記載の方法。
  22. 前記挿入ドナーが直鎖状である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記挿入ドナーが、前記直鎖状分子の片側または両側の末端でまたはその近傍で少なくとも1つの組換え部位を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記組換え部位がloxP、attB、attP、attL、およびattRからなる群より選択される、請求項1または請求項3に記載の方法。
  25. 前記組換えタンパク質が、Int、Cre、Flp、Resからなる群より選択される、請求項1または請求項3に記載の方法。
  26. 前記セグメントが化学合成により生成される、請求項1または請求項3に記載の方法。
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