JP2004531259A - 核酸分子の組換えクローニングのための組成物および方法 - Google Patents

核酸分子の組換えクローニングのための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は一般に、組換えDNA技術に関する。本発明はより詳細には、組換え系を用いる核酸分子の組換えクローニングのための組成物および方法に関する。特に本発明は、1つまたは複数のFisタンパク質、および組換えクローニングのために用いられる1つまたは複数の補足的な成分(1つまたは複数の組換えタンパク質など)を含む組成物に関する。本発明はさらに、核酸分子の組換えクローニングの方法における上記の組成物の使用に関する。本発明はまた、本発明の方法によって作製される単離された核酸分子、このような核酸分子を含むベクター、ならびにこのような核酸分子およびベクターを含む宿主細胞にも関する。

Description

【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は一般に、組換えDNA技術に関する。本発明はより詳細には、組換え系を用いる核酸分子の組換えクローニングのための組成物および方法に関する。特に本発明は、1つまたは複数のFisタンパク質、および組換えクローニングのために用いられる1つまたは複数の補足的な成分(1つまたは複数の組換えタンパク質など)を含む組成物に関する。本発明はさらに、核酸分子の組換えクローニングの方法における上記の組成物の使用に関する。本発明はまた、本発明の方法によって作製される単離された核酸分子、このような核酸分子を含むベクター、ならびにこのような核酸分子およびベクターを含む宿主細胞にも関する。
【0002】
関連技術
部位特異的リコンビナーゼ
部位特異的リコンビナーゼは、多くの生物(例えば、ウイルスおよび細菌)に存在するタンパク質であり、エンドヌクレアーゼ特性およびリガーゼ特性の両方を備えることが示されている。これらのリコンビナーゼは(場合によっては関連タンパク質とともに)、DNA中の塩基の特異的配列を認識し、そのようなセグメントに隣接するDNAセグメント同士を交換する。リコンビナーゼおよび関連タンパク質は「組換えタンパク質」と総称される(例えば、Landy, A., Current Opinion in Biotechnology 3: 699-707 (1993)を参照されたい)。
【0003】
種々の生物由来のさまざまな組換え系が記載されている。例えば、Hoessら、Nucleic Acids Research 14(6): 2287 (1986);Abremskiら, J. Biol. Chem. 261(1): 391 (1986);Campbell, J. Bacteriol. 174(23): 7495 (1992);Qianら, J. Biol. Chem. 267(11): 7794 (1992);Arakiら, J. Mol. Biol. 225(1): 25 (1992);MaeserおよびKahnmann, Mol. Gen. Genet. 230:170-176 (1991);Espositoら、Nucl. Acids Res. 25(18): 3605 (1997)を参照されたい。
【0004】
これらの多くはリコンビナーゼのインテグラーゼファミリーに属する(Argosら、EMBO J. 5: 433-440 (1986))。これらの中でおそらく最も研究されているものは、バクテリオファージλ由来のインテグラーゼ/att系(Landy, A. Current Opinions in Genetics and Devel. 3: 699-707 (1993))、バクテリオファージP1由来のCre/loxP系(HoessおよびAbremski (1990)、「Nucleic Acids and Molecular Biology」第4巻、EcksteinおよびLilley編、Berlin-Heidelberg:SpringerVerlag;pp. 90-109)および出芽酵母2μ環状プラスミド由来のFLP/FRT系(Broachら、Cell 29: 227-234 (1982))である。
【0005】
Backman(米国特許第4,673,640号)は、タンパク質を産生するDNAセグメントの組換えを、野生型組換え部位であるattBおよびattPを用いる酵素的な部位特異的組換えによって行うための、λリコンビナーゼのインビボでの使用を開示している。
【0006】
HasanおよびSzybalski(Gene 56: 145-151 (1987))は、プロモーターに隣接する野生型attP部位とattB部位との間の分子内組換えのための、インビボでのλIntリコンビナーゼの使用を開示している。これらの部位の向きは互いに対して逆であるため、これは目的の遺伝子に対するプロモーター領域の非可逆的なフリッピング(flipping)を引き起こす。
【0007】
Palazzoloら、Gene 88: 25-36 (1990)は、クローニングされたDNA配列の外側かつ野生型loxP部位の間に位置する制限部位を含むバクテリオファージλアームを有する、ファージλベクターを開示している。Creリコンビナーゼを発現する大腸菌(Escherichia coli)細胞の、これらのファージベクターへの感染は、loxP部位間の組換え、およびクローニングされたcDNAを含むプラスミドレプリコンのインビボでの切除をもたらす。
【0008】
Posfaiら(Nucl. Acids Res. 22: 2392-2398 (1994))は、2つの野生型FRT認識配列によって挟まれた選択マーカーを有する部分的発現ベクターをゲノムDNAに挿入するための方法を開示している。細胞内に存在するFLP部位特異的リコンビナーゼが、ベクターをゲノム中の所定の部位に組み込むために用いられる。レプリコンが機能的である条件下において、このクローニングされたゲノムDNAは増幅されうる。
【0009】
Bebeeら(米国特許第5,434,066号)は、2つのloxP部位を含むDNAに対して、Creなどの部位特異的リコンビナーゼを部位間のインビボ組換えのために用いることを開示している。
【0010】
Boyd(Nucl. Acids Res. 21: 817-821 (1993))は、大腸菌宿主細胞内に存在するCre部位特異的リコンビナーゼが作用する野生型loxP部位を含む脱リン酸化されたベクターとの分子間連結を促進する条件を用いて、平滑末端DNAのクローニングを容易にするための方法を開示している。
【0011】
Waterhouseら(PCT第93/19172号およびNucleic Acids Res. 21(9): 2265 (1993))は、特定の抗体の軽鎖および重鎖を種々のファージベクターのloxP部位とloxP 511部位との間にクローニングし、それを新たな大腸菌細胞へのトランスフェクションに用いるインビボでの方法を開示している。Creは宿主細胞において2つの親分子(1つはプラスミド、1つはファージ)に対して作用し、2つの異なるコインテグレート(cointegrate)(loxP部位またはloxP 511部位のいずれかにおける組換えにより生じる)および2つの娘分子という平衡状態にある4つの産物を生成し、その1つが所望の産物であった。
【0012】
他の関連技術とは対照的に、SchlakeおよびBode(Biochemistry 33: 12746-12751 (1994))は、それぞれが野生型およびスペーサー変異型のFRT組換え部位によって挟まれた、規定された染色体位置で発現カセットを交換するためのインビボでの方法を開示している。部位特異的組換えのためにこのFLP/FRT系を用いることにより、二重相互乗換え(double-reciprocal crossover)が培養哺乳動物細胞において媒介されている。
【0013】
トランスポゼース
トランスポゼースという酵素ファミリーもレプリコン間の遺伝子情報の移行に用いられている。トランスポゾンは構造的にさまざまであり、単純型または複合型と記載されるが、逆方向に構成されるDNA配列によって挟まれたリコンビナーゼ遺伝子をコードすることが一般的である。トランスポゾンの組込みは、ランダムなこともあれば高度に特異的なこともある。高度に部位特異的なTn7などの代表的なものは、レプリコン間のDNAセグメントのインビボ移動に利用されている(Lucklowら, J. Viol. 67: 4566-4579 (1993))。
【0014】
DevineおよびBoeke、Nucl. Acids Res. 22: 3765-3772 (1994)は、DNAセグメントのインビトロでのレシピエントDNA分子への挿入のための人工トランスポゾンの構築を開示している。この系は、酵母TY1ウイルス様粒子のインテグラーゼを利用する。標準的な方法を用いて、目的のDNAセグメントを、トランスポゾン様エレメントTY1の末端間にクローニングする。TY1インテグラーゼの存在下において、その結果生じるエレメントは第2の標的DNA分子中にランダムに組み込まれる。
【0015】
DNAクローニング
DNAセグメントのクローニングは、現在、多くの研究所における日常的な手法として、かつ多くの遺伝子解析における事前に必要な工程として行われている。これらのクローニングの目的はさまざまであるが、一般的な目的は以下の2つと考えられる: (1)大きなDNAまたはRNAセグメント(染色体、YAC、PCR断片、mRNAなど)からのDNAの最初のクローニング、これはpUC、pGem、pBlueScriptなどの比較的少数の既知のベクターにおいて行われる、および(2)これらのDNAセグメントの、機能的分析のために特殊化されたベクター中へのサブクローニング。最初のクローニングベクターからより特殊化されたベクターへのDNAセグメントの移行には、多大な時間および努力が費やされる。この移行はサブクローニングと呼ばれる。
【0016】
クローニングのための基本的な方法は長年知られており、その間ほとんど変化していない。代表的なクローニングプロトコールは以下の通りである:
(1)目的のDNAを1つまたは2つの制限酵素で消化する;
(2)目的のDNAセグメントが既知である場合は、それをゲル精製する;
(3)適宜、適切な制限酵素による切断、アルカリホスファターゼ処理、ゲル精製などによってベクターを調製する;
(4)切断されていないベクターおよび自己連結したベクターのバックグラウンドを排除するための適切な対照とともに、DNAセグメントをベクターに連結すること;
(5)その結果得られたベクターを大腸菌宿主細胞内に導入すること;
(6)選択されたコロニーを摘出し、少量の培養物を一晩増殖させること;
(7)DNAミニプレップを作製すること;および
(8)単離されたプラスミドを、アガロースゲル(しばしば診断的な制限酵素消化の後に)またはPCRによって分析すること。
【0017】
DNAセグメントをサブクローニングするために使用される特殊化されたベクターは、機能的に多様である。これらには以下のものが非制限的に含まれる:種々の生物において遺伝子を発現させるためのベクター;遺伝子発現を調節するためのベクター;タンパク質精製を補助するためのまたは細胞におけるタンパク質の追跡を可能にするための標識を提供するベクター;クローニングされたDNAセグメントの改変(例えば、欠失の作製)のためのベクター;プローブ(例えば、リボプローブ)の合成のためのベクター;DNAシークエンシング用のテンプレートの調製のためのベクター;タンパク質コード領域の同定のためのベクター;種々のタンパク質コード領域の融合のためのベクター;目的のDNAを大量に得るためのベクター。個々の研究には、目的のDNAセグメントの、いくつかの異なる特殊化されたベクター中へのサブクローニングが用いられることが一般的である。
【0018】
当技術分野で知られているように、単純なサブクローニングは1日で行うことができる(例えば、DNAセグメントが大きくなく、制限部位がサブクローニングベクターのものと適合する場合)。しかし、他の多くのサブクローニングは、特に未知の配列、長い断片、毒性遺伝子、制限部位の配置が不適切、高度のバックグラウンド、酵素の純度の低さなどがかかわる場合には、数週間かかることがある。このため、DNA断片のサブクローニングはしばしば、できるだけ少ない回数で実施されるべき面倒な仕事であるとみなされる。DNAセグメントのクローニングを容易にするいくつかの方法は、例えば以下の参考文献に記載されている。
【0019】
Ferguson, J.ら、Gene 16: 191 (1981)は、酵母DNAの断片のサブクローニング用のベクターのファミリーを開示している。これらのベクターはカナマイシン耐性をコードする。比較的長い酵母DNAセグメントのクローンを部分的に消化し、サブクローニングベクター中に連結することができる。元々のクローニングベクターがアンピシリンに対する耐性を有する場合には、選択はカナマイシンに対するものと考えられるため、形質転換の前に精製は必要でない。
【0020】
Hashimoto-Gotoh, T.ら、Gene 41: 125 (1986)は、ストレプトマイシン感受性遺伝子の内部に一意的なクローニング部位を有するサブクローニングベクターを開示している;ストレプトマイシン耐性のある宿主において、優性感受性遺伝子における挿入または欠失を有するプラスミドのみが、ストレプトマイシン選択に抗して生き残る。
【0021】
したがって、制限酵素およびリガーゼを用いる従来のサブクローニング法は、時間がかかる上に信頼性も比較的低い。かなりの労働が費やされる上、2日またはそれ以上の日数の後に所望のサブクローンが候補プラスミド中に見いだされなければ、次いで、条件の変更を加えた上で全工程を繰り返されなければならない。部位特異的リコンビナーゼはDNAのインビボ組換えに用いられているが、インビトロでこの種の酵素を成功裏に用いるためには、いくつかの問題が伴うと予想された。例えば、部位特異性および効率はインビトロでは異なると予想され;トポロジー的に連結された産物が予想され;DNA基質および組換えタンパク質のトポロジーがインビトロでは顕著に異なると予想された(例えば、Adamsら, J. Mol. Biol. 226: 661-73 (1992)を参照のされたい)。インビボで長時間続きうる反応は、インビトロでは酵素が不活性化されるまでの著しく短い時間でしか起こらないと予想された。使用する生物学的宿主には多数のDNA組換え産物が存在し、このためにサブクローニングの信頼性、特異性、または効率が不十分なものになると予想された。このため、インビトロ組換え反応は、所望のレベルの産物が得られる程度に十分に効率的であるとは予想されなかった。
【0022】
Fisタンパク質
Fisは、大腸菌およびネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)のほか、多くの他の原核生物(例えば、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、コレラ菌(Vibrio cholera)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)など)に認められるホモ二量体タンパク質である。本タンパク質のサイズはさまざまであり、一般には約90〜110アミノ酸の範囲である。Fisは、DNAインベルターゼのファミリーによって行われるDNA組換え反応の調節に役割を果たすことから最初に同定された(Johnson, R.C.ら(1986) Cell 46: 531-9ならびにKoch, C.およびKahmann, R. (1986) J. Biol. Chem. 261: 15673-8)。Fisは、細胞内でさまざまな調節機能を担い、大腸菌核様体を形成するタンパク質-DNA塊の一部としてしばしば単離される、NAPSまたは核様体(nucleoid)関連タンパク質として知られるタンパク質のグループに属する(Pan, C.Q.ら (1996) J. Mol. Biol. 264: 675-95)。このファミリーの大半のメンバーは、DNA基質の屈曲、ループ形成、または縮合を含む、特異的または非特異的なDNA相互作用に関与すると思われる。Fisの他の役割は後になって同定されたが、これには、多数のプロモーターの転写活性化因子(Nilsson, L.ら (1990) EMBO J. 9: 727-34;Ross, W.ら (1990) EMBO J. 9: 3733-42;Xu, J.およびJohnson, R.C. (1995) J. Bacteriol. 177: 5222-31)、別のプロモーターのセットのリプレッサー(Ball, C.A.ら (1992) J. Bacteriol. 174: 8043-56;Koch, C.ら (1991) Nucl. Acids Res. 19: 5915-22;Xu, J.およびJohnson, R.C. (1995) J. Bacteriol. 177: 938-47)、DNA複製(Filutowicz, M.ら (1992) J. Bacteriol. 174: 398-407)および細胞分裂/染色体分離(Paull, T.T.およびJohnson, R.C. (1995) J. Biol. Chem. 270: 8744-54)のための補助因子、ならびにバクテリオファージλの部位特異的組換えに関与する因子(Thompson, J.F.ら (1987) Cell 50: 901-8;Ball, C.A.およびJohnson, R.C. (1991) J. Bacteriol. 173: 4027-31;Ball, C.A.およびJohnson, R.C. (1991) J. Bacteriol. 173: 4032-8)としての機能が含まれる。Fisの細胞レベルは大腸菌の細胞周期の間に、増殖段階および栄養分の入手可能性に依存して大きく変動する(Ball, C.A.ら (1992) J. Bacteriol. 174: 8043-56;Thompson, J.F.ら (1987) Cell 50: 901-8)。計算により、対数増殖期の間は、染色体に沿って500塩基対毎に結合するのに十分なFisが細胞内に存在すると予想されている。しかし、細胞が静止期に入るかまたは栄養分を除去すると、Fisのレベルはほとんど検出不能な量まで低下する(Ball, C.A.ら (1992) J. Bacteriol. 174: 8043-56)。
【0023】
FisはインビトロでDNAと非特異的に結合しうるが、逆方向反復配列と大まかに類似した15塩基対の縮重コンセンサス配列を有する一連の部位に対する親和性はそれよりもかなり高い(Pan, C.Q.ら (1996) J. Mol. Biol. 264: 675-95;Bruist, M.F.ら (1987) Genes Dev. 1: 762-72;Bokal, A.J.ら (1995) J. Mol. Biol. 245: 197-207)。
【0024】
DNAフットプリント法により、本タンパク質とこれらの15塩基対のFis結合部位内のDNAとが明らかに接触していることが示されている;しかし、DNA配列のみではFis結合親和性の予測因子としては不十分と考えられ、局所のDNA構造が任意のFis結合部位の活性に影響を及ぼす可能性がある。Fisは特異的に結合するとDNAを屈曲させ、この屈曲の程度は個々のFis結合部位に依存するように思われる(Thompson, J.F.およびLandy, A. (1988) Nucl. Acids Res. 16: 9687-9705.;Pan, C.Q.ら (1996) Biochemistry 35: 4326-33)。種々のDNA基質を用いたさまざまな実験により、屈曲角は45度〜90度の範囲であることが観察されている(Thompson, J.F.およびLandy, A. (1988) Nucl. Acids Res. 16: 9687-9705)。
【0025】
BallおよびJohnson(Ball, C.A.およびJohnson, R.C. (1991) J. Bacteriol. 173: 4027-31;Ball, C.A.およびJohnson, R.C. (1991) J. Bacteriol. 173: 4032-8)による遺伝学的証拠により、Fisはファージλの切除を誘発しうるだけでなく、溶原性もFisの存在によって増強されることが示されている。これらの実験は、F部位に変異のあるファージ、および/またはFisを欠失した大腸菌を用いてインビボで行われ、Fisが欠失すると溶原化の頻度が15分の1に低下することが示された(Ball, C.A.およびJohnson, R.C. (1991) J. Bacteriol. 173: 4032-8)。この低下は一部には、非組換え関連事象における調節因子としてのFisが存在しないためと考えられる。しかし、Xis結合には影響を及ぼさずにFis結合を失わせるF部位の変異であっても溶原化頻度の2〜3分の1への低下をもたらしたことから、Fisは切除に加えて組込みにも役割を果たすことが示唆される。組込みに関して検討するためにFisを用いてインビトロで行われた実験では、反応に対するFisの影響は同定されなかった(Thompson, J.F.ら (1987) Cell 50: 901-908)。
【0026】
リボソームタンパク質
特徴の記載
大腸菌リボソームにはほぼ53種の異なるタンパク質があり、うち21種は30Sサブユニットに関連し(S1〜S21と命名)、32種は50Sサブユニットに関連している(L1〜L34と命名)。一般に、数が小さいほど分子量が大きい。S1〜S4およびL1〜L4を例外として、それらが含むアミノ酸は200個未満である(分子量は20kDa未満である)。各タンパク質の一次アミノ酸配列は知られている。S5、S6、S8、S17、L1、L7、L9、L14、およびL30に関しては三次元構造も知られている。これらのタンパク質のほとんどでは、アルギニン(argまたはR)およびリジン(lysまたはK)という2種類の塩基性アミノ酸の頻度が相対的に高い。これはリボソームタンパク質のほとんどがRNA結合タンパク質であると仮定すれば直感的に意味をなす。リボソームタンパク質に関して知られていることの大部分は、Annual Reviews of Biochemistry:51:155 (1982);52:35 (1983);53:75 (1984);54:507 (1985);66:679 (1997)という一連の論文にまとめられている。
【0027】
酵母組換え系の強化
酵母FLP/FRT組換え系が組換えを行うために必要とするのは、FRT DNA結合部位およびFLPリコンビナーゼのみである。これに対して、λインテグラーゼ(Int)系で組換えを行うために最小限必要なものには、リコンビナーゼ(Tnt)およびDNA部位(att)のほかに、IHFタンパク質も含まれる。
【0028】
IHFは小型DNA結合タンパク質のHUファミリーに属する。これらは、DNAと結合してその構造を縮合する、100アミノ酸またはそれ未満の塩基性タンパク質である。HUはλ組換え系におけるIHFの代わりになると考えられる。IHFおよびHUは酵母FLP/FRT組換え系を活性化しないが、大腸菌リボソームタンパク質S3、S4、S5、およびL2は活性化する(BrucknerおよびCox、Nucl. Acids Res. 17:3145-3161 (1989))。酵母FLP/FRT組換え系を活性化することが示されている大腸菌リボソームタンパク質は大型であり、1つの例を除いてすべて、200個を上回るアミノ酸を有する(表1);比較的小型の大腸菌リボソームタンパク質は、FLP/FRT(または任意の他の)組換え系を活性化しないことが示されている。
【0029】
(表1)酵母Flp/Frtリコンビナーゼを賦活する大腸菌リボソームタンパク質
Figure 2004531259
【発明の開示】
【0030】
発明の概要
本発明は、インビトロまたはインビボで、組換えクローニングを用いて、増幅されたキメラ性または組換え核酸分子を入手するための組成物および方法を提供する。これらの方法は、標準的なクローニング法またはサブクローニング法よりも特異性が高く、迅速で、必要な労働量が少ない。本発明の改良された特異性、速度、および収量により、任意の関連した目的に有用な、DNAまたはRNAのクローニングまたはサブクローニング、調節または交換が容易になる。
【0031】
ある種の面において、本発明は、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換えタンパク質、ならびに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のFisタンパク質および/またはFisタンパク質断片を含む組成物であって、組換えタンパク質が少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の核酸分子の組換えクローニングのために有効な量として存在し、Fisタンパク質および/またはFisタンパク質断片が組換えクローニングの効率を高めるのに有効な量として存在する組成物を提供する。
【0032】
特定の態様において、本発明の組成物に存在するFisタンパク質は、完全長Fisタンパク質ではない。関連した態様において、本発明の組成物は、大腸菌由来のFisタンパク質でない完全長Fisタンパク質(例えば、配列番号:1に示されたアミノ酸配列を有するFisタンパク質)を含んでもよい。
【0033】
関連した面において、本発明の組成物はさらに少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の核酸分子を含んでもよく、これは線状核酸分子、閉環状核酸分子、および/またはベクター(例えば、挿入ドナー分子、ベクタードナー分子、コインテグレート分子、産物分子、および/または副産物分子)であってよい。さらに、本発明の組成物中に存在する閉環状核酸分子は超らせん状であってもよい。
【0034】
さらなる関連した面において、本発明の組成物はさらに、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のリボソームタンパク質(例えば、原核生物または真核生物リボソームタンパク質)および/またはリボソームタンパク質断片を含んでもよく、この際、リボソームタンパク質および/またはリボソームタンパク質断片は組換えクローニングの効率を高めるのに有効な量として存在する。さらに、リボソームタンパク質は、S10、S14、S15、S16、S17、S18、S19、S20、S21、L14、L21、L23、L24、L25、L27、L28、L29、L30、L31、L32、L33、およびL34からなる大腸菌リボソームタンパク質の群より選択される大腸菌リボソームタンパク質などの、大腸菌リボソームタンパク質であってもよい。加えて、本発明の組成物に含まれるリボソームタンパク質には、1つまたは複数の塩基性リボソームタンパク質が含まれうる。さらに、本発明の組成物に含まれるリボソームタンパク質には、分子量が約14キロダルトン(kDa)未満の1つまたは複数のリボソームタンパク質および/またはリボソームタンパク質断片が含まれうる。
【0035】
他の関連した面において、本発明の組成物は、大腸菌、ネズミチフス菌、肺炎桿菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、および緑膿菌からなる群より選択される生物に由来する、1つまたは複数のFisタンパク質を含みうる。
【0036】
さらに他の関連した面において、本発明の組成物は、配列番号:1のアミノ酸配列、配列番号:2のアミノ酸配列、配列番号:3のアミノ酸配列、配列番号:4のアミノ酸配列、配列番号:5のアミノ酸配列、および配列番号:6のアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む、1つまたは複数のFisタンパク質を含みうる。
【0037】
さらに別の関連した面において、本発明の組成物は、配列番号:1のアミノ酸配列、配列番号:2のアミノ酸配列、配列番号:3のアミノ酸配列、配列番号:4のアミノ酸配列、配列番号:5のアミノ酸配列、および配列番号:6のアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸残基を含む、1つまたは複数のFisタンパク質断片を含みうる。
【0038】
さらに関連した面において、本発明の組成物中の組換えタンパク質は、Int、Cre、FLP、Xis、IHF、およびHUに加えてそれらの組み合わせからなる群より選択される、原核生物組換えタンパク質または1つもしくは複数の組換えタンパク質である。
【0039】
もう1つの面において、本発明は、目的の核酸のインビトロでのクローニングのための方法であって、
(a)少なくとも第1の組換え部位を含む第1のベクターと、少なくとも第2の組換え部位を含む第2のベクターをインビトロで混合する段階、この際、第1および/または第2のベクターは目的の核酸をさらに含む;ならびに
(b)少なくとも1つの組換えタンパク質、および組換え効率を高める少なくとも1つのタンパク質またはタンパク質断片の存在下において、少なくとも第1および第2の組換え部位の組換えを引き起こすのに十分な条件下で、混合物をインキュベートし、それによって目的の核酸を含むキメラ核酸分子を作製する段階、を含む方法を提供する。選択的には、キメラ核酸分子を含む上記の段階(b)の混合物を、続いて1つまたは複数の宿主細胞と接触させ、その後にキメラ核酸分子を含む宿主細胞の選択、第1のベクターを含む細胞の除外選択、および第2のベクターを含む宿主細胞の除外選択を行い、それによって目的の核酸をクローニングしてもよい。
【0040】
特定の態様において、組換え効率を高める少なくとも1つのタンパク質またはタンパク質断片には、少なくとも1つのFisタンパク質またはFisタンパク質断片が含まれる。
【0041】
本発明はまた、発現シグナルとオープンリーディングフレームまたは部分的オープンリーディングフレームとを並置するためのインビトロでの方法であって
(a)発現シグナルおよび少なくとも第1の組換え部位を含む第1の核酸分子と、オープンリーディングフレームまたは部分的オープンリーディングフレームおよび少なくとも第2の組換え部位を含む第2の核酸分子をインビトロで混合する段階;ならびに
(b)少なくとも1つの組換えタンパク質、および組換え効率を高める少なくとも1つのタンパク質またはタンパク質断片の存在下において、少なくとも第1および第2の組換え部位の組換えを引き起こすのに十分な条件下で(a)の混合物をインビトロでインキュベートし、それによってオープンリーディングフレームまたは部分的オープンリーディングフレームの発現を発現シグナルによって制御しうるように発現シグナルとオープンリーディングフレームまたは部分的オープンリーディングフレームとを並置する段階を含む方法も提供する。
【0042】
関連した態様において、本発明は、発現シグナルと、発現可能ではあるがオープンリーディングフレームも部分的オープンリーディングフレームも含まない核酸セグメントとを並置するための、インビトロでの方法を提供する。このような核酸セグメントの例には、tRNA分子、rRNA分子およびリボザイムをコードするDNAが含まれる。
【0043】
特定の態様において、組換え効率を高める少なくとも1つのタンパク質またはタンパク質断片には、少なくとも1つのFisタンパク質またはFisタンパク質断片が含まれる。
【0044】
本発明はさらに、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の第1の核酸分子の組換えクローニングのための方法であって、
(a)第1の核酸分子を、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の第2の核酸分子および上記の本発明の組成物と混合することによって混合物を形成させる段階;ならびに
(b)(a)で形成された混合物を、第1の核酸分子と第2の核酸分子との組換えが起こるのに十分な条件下でインキュベートする段階、を含み、
第1の核酸分子および第2の核酸分子のそれぞれが少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換え部位を含むような方法を提供する。
【0045】
特定の態様において、これらの方法に用いられる第1の核酸分子は、ゲノムDNAまたはcDNAのいずれかでよい。さらに、第1の核酸分子を化学合成またはインビボもしくはインビトロでの増幅によって作製してもよい。
【0046】
さらなる特定の態様において、第2の核酸分子には1つまたは複数のベクターが含まれうる。このようなベクターの例には、原核細胞において(例えば、エシェリキア属、サルモネラ属、バシラス属、ストレプトミセス属、および/またはシュードモナス属の細菌において複製しうるベクター)、真核細胞において(例えば、酵母細胞、植物細胞、魚類細胞、哺乳動物細胞、および/または昆虫細胞において複製しうるベクター)、または原核生物および真核細胞の双方において複製が可能なベクターが含まれる。
【0047】
本発明はまた、組換えクローニング反応の効率を高めるための方法も提供する。これらの方法は、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換え部位を含む核酸分子である、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の核酸分子を、(1)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のFisタンパク質および/またはFisタンパク質断片、ならびに(2)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換えタンパク質と接触させることを含む。
【0048】
特定の態様において、本発明の方法はさらに、組換えクローニングの効率を高めるのに有効な量として存在するリボソームタンパク質および/またはリボソームタンパク質断片である、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のリボソームタンパク質(例えば、原核生物または真核生物のリボソームタンパク質)および/またはリボソームタンパク質断片を含む組成物、ならびに上記および別のところに記載されたほかの組成物の使用を含む。
【0049】
本発明はさらに、相互には実質的に組換えを行わない組換え部位である、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換え部位によって挟まれた核酸セグメントを含む、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の核酸分子のクローニングのための方法を提供する。これらの方法は以下を含む:
(a)(i)核酸分子を含む少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の挿入ドナー分子;
(ii)相互には実質的に組換えを行わない組換え部位である、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換え部位を含む少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の第1のベクタードナー分子;
(iii)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換えタンパク質の有効量;および
(iv)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のFisタンパク質および/またはFisタンパク質断片の有効量、
をインビトロまたはインビボで組み合わせて配合物(combination)を形成させる段階;ならびに
(b)核酸分子が第1のベクタードナー分子中に移行するのに十分な条件下で配合物をインキュベートし、それによって少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の第1の産物分子を作製する段階。
【0050】
直前に記載した方法はさらに、以下を含みうる:
(c)(i)核酸分子を含む第1の産物分子;
(ii)相互には実質的に組換えを行わない組換え部位である、2つまたはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換え部位を含む、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の第2のベクタードナー分子;
(iii)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換えタンパク質の有効量;および
(iv)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のFisタンパク質および/またはFisタンパク質断片の有効量、
をインビトロまたはインビボで組み合わせることによって配合物を形成させること;ならびに
(d)核酸分子が第2のベクタードナー分子中に移行するのに十分な条件下で配合物をインキュベートし、それによって少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の第2の産物分子を作製すること。
【0051】
加えて、段階(a)で形成された配合物はさらに、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のリボソームタンパク質および/またはリボソームタンパク質断片を含んでもよい。
【0052】
特定の態様において、本発明は、(1)attL部位およびattR部位を含む核酸分子、(2)attL部位を含む超らせん核酸分子およびattR部位を含む線状核酸分子、(3)それぞれが単一の組換え部位を含む核酸分子、ならびに/または(4)それぞれが単一の組換え部位を含み、単一の組換え部位がattL部位およびattR部位である核酸分子、の間の組換え反応を伴う組換えクローニングの方法を含まない。
【0053】
さらなる特定の態様において、本発明は、(1)attB部位およびattP部位を含む核酸分子、(2)それぞれが少なくとも1つの組換え部位を含み、線状核酸分子および超らせん核酸分子上の組換え部位が相互に組換えを行いうる超らせん核酸分子および線状核酸分子、(3)それぞれが少なくとも1つの組換え部位を含み、線状核酸分子および超らせん核酸分子上の組換え部位が違いに組換えを行いうる超らせん核酸分子および超らせん核酸分子、(4)それぞれが少なくとも1つの組換え部位を含み、線状核酸分子および超らせん核酸分子上の組換え部位が相互に組換えを行いうる線状核酸分子および線状核酸分子、(5)それぞれが少なくとも2つの組換え部位(例えば、少なくとも1つの他の核酸分子上の組換え部位とそれぞれが組換えを行いうる、少なくとも2つの組換え部位)を含む核酸分子、および/または(6)それぞれが単一の組換え部位を含み、単一の組換え部位がattB部位およびattP部位である核酸分子、の間の組換え反応を伴う組換えクローニングの方法を含まない。上記の組換え方法はいずれもインビボで行ってもインビトロで行ってもよい。
【0054】
本発明はまた、核酸分子の組換えクローニングに用いるためのキットも提供する。これらのキットは、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のFisタンパク質および/またはFisタンパク質断片を含む。
【0055】
特定の態様において、上記のキットはさらに、(a)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の核酸分子、(b)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換えタンパク質および/または少なくとも1つの組換えタンパク質を含む組成物、(c)リガーゼ活性を有する少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の酵素、(d)ポリメラーゼ活性を有する少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の酵素、(e)逆転写酵素活性を有する少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の酵素、(f)制限エンドヌクレアーゼ活性を有する少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の酵素、(g)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のリボソームタンパク質および/またはリボソームタンパク質断片、(h)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のプライマー、(i)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の緩衝液、(j)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)のトランスフェクション試薬、(k)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の宿主細胞、(1)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の組換えタンパク質、ならびに(m)キットの成分の使用に関する説明書からなる群より選択される、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、10など)の成分を含む。
【0056】
さらなる特定の態様において、本発明のキット中の組換えタンパク質および/または組換えタンパク質を含む組成物は、att部位間の組換えを触媒しうる。
【0057】
他の特定の態様において、本発明のキット中の組換えタンパク質および/または組換えタンパク質を含む組成物は、attB部位とattP部位との間の反応(すなわち、BP反応)、attL部位とattR部位との間の反応(すなわち、LR反応)、またはBP反応およびLR反応の双方を触媒しうる。これらの種類の反応は、GATEWAY(商標)クローニング技術解説書(Cloning Technology Instruction Manual)(Invitrogen Corp., Life Technologies Division)(2001年3月29日にアクセスしたwww.lifetech.com/Content/Tech-Online/molecular_biology/manuals_pps/gatewayman.pdfも参照されたい)に記載されており、その全開示内容は参照として本明細書に組み入れられる。
【0058】
本発明の他の態様は、当技術分野で知られている事柄により、以下の本発明の図面および記載により、ならびに特許の請求の範囲により、当業者には明らかである。
【0059】
発明の詳細な説明
概要
Fisタンパク質が、インビトロおよびインビボで、λInt組換え系などの組換え系の組換え活性を賦活(stimulate)する可能性があることが見いだされた。したがって、本発明は、組換えタンパク質(例えば、λ Int)および組換え部位を用いてキメラ核酸を形成させる目的で核酸分子を操作するために可逆的および/または反復可能なクローニングおよびサブクローニング反応を行うのに有用な、このようなFisタンパク質を含む組成物、およびこのような組成物を用いる方法を提供する。すなわち、本発明による組換えクローニングは、核酸分子のセグメントをインビトロおよび/またはインビボで移動または交換させるために、1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)のFisタンパク質および1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)の組換えタンパク質(これは部位特異的な原核生物組換えタンパク質でよい)を含む組成物を、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)の選択された組換え部位を有する組換え核酸分子と組み合わせて用いる。
【0060】
本発明の方法は、所望の特性および/または核酸セグメントを有するキメラDNAまたはRNA分子を作製するために組換え反応を用いる。本発明の方法は、1つまたは複数の目的の核酸分子が、任意の数のベクター系の中に、またはそれらの間で移動または移行するように作用する。本発明によれば、種々のベクター系への、またはそれらの間でのこのような移行を、別個に、逐次的にまたは一括して(例えば、任意の数の異なるベクターに1回の段階で)行いうる。本発明の改良された特異性、速度、および/または収量により、あらゆる関連した目的に有用な、DNAまたはRNAのクローニング、サブクローニング、調節、または交換が容易になる。このような目的には、DNAまたはRNAセグメントのインビトロでの組換え、および転写された、複製された、単離されたゲノムのDNAまたはRNAのインビトロまたはインビボでの挿入または改変が含まれる。
【0061】
定義
以下の記載には、組換えDNA技術に用いられる多くの用語が広範囲に利用される。このような用語に与えられる範囲を含め、本明細書および特許請求の範囲に対して明確かつ一貫した理解が得られるように、以下の定義を提供する。
【0062】
アダプター:1つ以上の組換え部位(またはこのような組換え部位の部分)を含むオリゴヌクレオチドまたは核酸断片もしくはセグメント(例えば、DNA)であり、本発明によれば、これは、本明細書に記載の環状または線状挿入ドナー分子および他の核酸分子に付加することができる。組換え部位の部分を用いる場合、欠損部分は挿入ドナー分子によって提供されうる。このようなアダプターは線状分子の一方もしくは両方の末端またはその付近に付加されうるが、アダプターは環状または線状分子内の任意の位置に付加されうる。例えば、アダプターを、目的の特定の核酸分子の両側に(挟み込んで)位置するように配置してもよい。本発明によれば、アダプターを、標準的な組換え技術(例えば、制限消化および連結)によって目的の核酸分子に付加しうる。例えば、分子を適切な制限酵素でまず消化し、アダプターを切断部位に付加した上で、切断部位にアダプターを含む環状分子を再形成させることにより、アダプターを環状分子に付加することができる。あるいは、アダプターを、線状分子の1つもしくは複数の末端または分子の両端に直接連結させ、それにより、一方または両方の末端にアダプターを有する線状分子を生じさせることもできる。本発明の1つの面においては、アダプターを線状分子の集団(例えば、切断または消化されたcDNAライブラリーまたはゲノムDNA)に付加し、前記集団のすべてまたはかなりの部分が一方または両方の末端にアダプターを含む直線状分子の集団を形成させることができる。
【0063】
増幅:本明細書で用いる「増幅」という用語は、文脈に応じて、ポリメラーゼを用いてヌクレオチド配列のコピーの数を増加させるための任意のインビトロの方法のことを指す。核酸増幅は、DNA分子および/もしくはRNA分子またはプライマーへのヌクレオチドの取り込みをもたらし、それによってテンプレートに対して相補的な新たな分子を形成させる。形成された核酸分子およびそのテンプレートは、さらなる核酸分子を合成するためのテンプレートとして使用することができる。本明細書で用いる場合、1つの増幅反応は多数回の複製から構成されうる。DNA増幅反応には、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が含まれる。1つのPCR反応は、DNA分子の5〜100「サイクル」の変性および合成からなりうる。
【0064】
「増幅」という用語は、インビボでの核酸の産生のことも指し、これはしばしば細胞内への導入後に起こる。このため、例えば、プラスミドが複製しうる細胞の形質転換によってプラスミドを増幅させることもできる。続いてこれらの細胞を培養し、「増幅された」プラスミドを続いて単離することができる。
【0065】
副産物:クローニングまたはサブクローニングされることが望まれるセグメントを欠く、娘分子(組換えクローニング過程の間に第2の組換え事象後に生成される新たなクローン)である。
【0066】
コインテグレート:両方の親(出発)分子を含む、少なくとも1つの本発明の組換え中間体核酸分子である。これは通常環状である。いくつかの態様において、これは線状でありうる。
【0067】
Fisタンパク質:1つまたは複数の組換え反応(例えば、λInt組換え系の組換え反応)の効率を高める、任意の数の生物に由来するFisタンパク質、ならびにFisタンパク質の変異体および誘導体のことを指す。Fisタンパク質の例は配列番号:1〜6に示されている。
【0068】
Fisタンパク質断片:1つまたは複数の組換え反応(例えば、λInt組換え系の組換え反応)の効率を高める、Fisタンパク質の断片、ならびにこのような断片の変異体および誘導体のことを指す。一般に、本発明の方法に用いるのに適したFisタンパク質断片は、少なくとも15アミノ酸を含むと考えられる。
【0069】
宿主:組換えクローニング産物のレシピエントとなりうる、任意の原核生物または真核生物のことである。本明細書で用いる「宿主」という用語には、遺伝子操作が可能な原核生物または真核生物が含まれる。このような宿主の例については、Maniatisら、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York (1982)を参照のこと。
【0070】
ハイブリダイゼーション:「ハイブリダイゼーション」および「ハイブリダイズする」という用語は、二本鎖分子を生じる2つの相補的な一本鎖核酸分子(DNAおよび/またはRNA)の塩基対合をいう。本明細書で用いる場合、2つの核酸分子は、塩基対が完全に相補的ではなくともハイブリダイズしうる。したがって、ミスマッチ塩基は、当技術分野で周知の適切な条件を用いる場合、2つの核酸分子のハイブリダイゼーションを妨げない。
【0071】
挿入物:これには、本発明の方法によって操作しうる所望の核酸セグメントまたは核酸セグメントの集団(図1のセグメントA)が含まれる。すなわち、挿入物という用語は、特定の核酸(例えば、DNA)セグメントまたはセグメントの集団を含むものとする。この種の挿入物は、1つまたは複数の遺伝子またはオープンリーディングフレーム(ORF)を含みうる。
【0072】
挿入ドナー:挿入物を有する、本発明の2つの親核酸分子(例えば、RNAまたはDNA)のうちの1つである。挿入ドナー分子は、両端を組換えシグナルに挟まれた挿入物を含む。挿入ドナーは線状または環状でありうる。本発明の1つの態様において、挿入ドナーは環状DNA分子であり、組換えシグナルの外側のクローニングベクター配列をさらに含む(図1を参照のこと)。挿入物の集団または核酸セグメントの集団を用いて挿入ドナーを作製する場合、挿入ドナーの集団が得られ、それを本発明に従って用いることができる。
【0073】
ライブラリー:ヌクレオチド配列の点で異なる核酸分子(環状または線状)の収集物(例えば、少なくとも500、1,000、2,000、3,000、5,000、10,000、15,000、20,000、30,000、50,000、70,000、80,000種などの個々の核酸分子が異なる配列を含むか、100ヌクレオチドを上回る配列同一性のある領域を共有しない、核酸分子の集団)のことを指す。1つの態様において、ライブラリーは、生物の核酸内容物の全体、一部分、もしくは有意な部分の代表物であるか(「ゲノム」ライブラリー)、または細胞、組織、器官、もしくは生物において発現される核酸分子の全体、一部分、もしくは有意な部分(例えば、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%など)の核酸分子の代表物のセット(cDNAライブラリーまたはそれに由来するセグメント)である。また、ライブラリーが、デノボ合成、1つまたは複数の核酸分子の変異誘発などによって作製されるランダムな配列を有する核酸分子を含んでもよい。そのようなライブラリーは、1つのベクターまたは2つもしくはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、7つ、10、12、15、20、30、50種など)の異なるベクターに含まれていても含まれていなくてもよい。本発明の実施に用いられるベクターは標準化されたライブラリーであってもよい。さらに、これらのライブラリーは線状または環状の分子を含みうる。
【0074】
ヌクレオチド:塩基-糖-ホスフェートの結合物のことを指す。ヌクレオチドは、核酸分子(DNAおよびRNA)の単量体単位である。ヌクレオチドという用語には、リボヌクレオシド三リン酸であるATP、UTP、CTP、GTP、およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸、例えばdATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP、またはそれらの誘導体が含まれる。このような誘導体には、例えば[αS]dATP、7-デアザ-dGTP、および7-デアザ-dATPが含まれる。ヌクレオチドという用語は、本明細書で用いる場合、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)およびその誘導体のことも指す。ジデオキシヌクレオシド三リン酸の例示的な例には、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、およびddTTPが非制限的に含まれる。本発明によれば、「ヌクレオチド」は標識されなくてもよく、周知の技術により検出可能なように標識されてもよい。検出可能な標識には、例えば、放射性同位体、蛍光標識、化学発光標識、生体発光標識、および酵素標識が含まれる。
【0075】
オリゴヌクレオチド:1つのヌクレオチドのデオキシリボースまたはリボースの3'位と、隣接するヌクレオチドのデオキシリボースまたはリボースの5'位との間のホスホジエステル結合によって結合されたヌクレオチドの共有結合配列を含む、合成または天然の分子のことを指す。
【0076】
プライマー:核酸分子(例えば、DNA分子)の増幅または重合化の際に、ヌクレオチドモノマーの共有結合により伸長する、一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドのことを指す。1つの面において、1つまたは複数の組換え部位またはそのような組換え部位の部分を含む。組換え部位の部分は、目的の組換え部位の、少なくとも2塩基、少なくとも5塩基、少なくとも10塩基、または少なくとも20塩基を含む。組換え部位の部分を用いる場合、組換え部位の欠損部分は、新規に合成された核酸分子によるテンプレートによって提供されうる。このような組換え部位は、プライマーの一方または両方の末端の内部および/またはそこに位置しうる。さらに、さらなる配列を、組換えを増強もしくは改良し、ならびに/または組換えの際に組換え部位を安定化するために、組換え部位に隣接するプライマーに付加してもよい。このような安定化配列は、任意の長さの任意の配列(好ましくは、G/Cに富む配列)でありうる。このような配列のサイズはさまざまであってよく、例えば、1〜約1000塩基、1〜約500塩基、1〜約100塩基、1〜約60塩基、1〜約25塩基、1〜約10塩基、2〜約10、または約4塩基である。ほとんどの場合、このような配列は、1または2塩基長よりも長い。
【0077】
産物:組換えクローニング過程の際に第2の組換え事象の後に生成される、AおよびDの配列を含む所望の娘分子の一方のことである(図1を参照のこと)。産物は、クローニングまたはサブクローニングしようとする核酸分子を含む。本発明によれば、挿入ドナーの集団を用いる場合には、その結果生じる産物分子の集団は挿入ドナーの挿入物の集団の全体または一部を含むと考えられ、多くの場合には、挿入ドナーの当初の配列の代表的な集団を含むと考えられる。
【0078】
プロモーター:遺伝子の5'領域と一般に記載される、開始コドンの近位に位置するDNA配列である。隣接するDNAセグメントの転写はプロモーター領域から開始される。抑制性プロモーターの転写速度は、抑制物質に応答して減少する。誘導性プロモーターの転写速度は、誘導物質に応答して増加する。構成性プロモーターの転写速度は、一般的な代謝条件の影響下で変化しうるが、特異的に調節されていない。
【0079】
組換え反応の効率を高めるタンパク質:(1)組換え反応の速度を高める、または(2)組換え反応によって生じる最終産物の量を増加させる、タンパク質またはペプチドのことを指す。このようなタンパク質の例には、Fisタンパク質および大腸菌リボソームタンパク質S10、S14、S15、S16、S17、S18、S19、S20、S21、L14、L21、L23、L24、L25、L27、L28、L29、L30、L31、L32、L33、およびL34が含まれる。そのほかの例には、組換え反応の効率を高めるタンパク質断片(例えば、Fisタンパク質断片)がある。さらなる例には、Fisが結合する核酸分子(例えば、配列番号:7または配列番号:8に示されたヌクレオチド配列を含む核酸分子)と結合し、1つまたは複数の組換え反応の効率を高めるタンパク質およびタンパク質断片がある。
【0080】
組換えクローニングの効率を高めるのに有効な量:組換え反応の効率を高めるタンパク質またはタンパク質断片の量のことを指す。このような量を決定するための方法は以下の実施例3に示されている。一般的には、組換え反応の効率を高めるタンパク質またはタンパク質断片を、タンパク質またはタンパク質断片の非存在下で行った組換え反応と比較して1つまたは複数の組換え反応の効率の測定可能な増加(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも50%などの増加)をもたらす量として含める。Fis活性、ならびに組成物が組換え反応の効率を高めるか否かの評価に用いうるアッセイ法の一例は、以下の実施例3で説明する「組換えアッセイ法」である。
【0081】
認識配列:認識配列は、タンパク質、化合物、DNA、またはRNAの分子(例えば、制限エンドヌクレアーゼ、修飾メチラーゼ、またはリコンビナーゼ)が認識し結合する特定の配列である。本発明において、認識配列は通常、組換え部位のことを指す。例えば、Creリコンビナーゼに対する認識配列はloxPであり、これは、2つの13塩基対の逆方向反復配列(これはリコンビナーゼ結合部位として働く)が8塩基対のコア配列を挟み込んだものから構成される34塩基対の配列である。Sauer, B., Current Opinion in Biotechnology 5: 521-527 (1994)の図1を参照のこと。認識配列の他の例には、attB、attP、attL、およびattRの配列があり、これはリコンビナーゼ酵素λインテグラーゼによって認識される。attBは、2つの9塩基対のコア型Int結合部位および1つの7塩基対の重複領域を含む約25塩基対の配列である。attPは、コア型Int結合部位およびアーム型Int結合部位、ならびに補助タンパク質である組込み宿主因子(IHF)、FIS、および切出し酵素(Xis)に対する部位を含む約240塩基対の配列である。Landy, Current Opinion in Biotechnology 3: 699-707 (1993)を参照のこと。そのように操作された部位が組換え反応を非可逆的にするP1ドメインおよびH1ドメイン(例えば、attRまたはattP)を含まない場合には、何らかの方法でこれらの部位のドメインが改変されたことを示すために、このような部位はattR'またはattP'と呼ばれる。
【0082】
リコンビナーゼ:特異的な組換え部位におけるDNAセグメントの交換を触媒する組換えタンパク質の一種である。
【0083】
組換えクローニング:それによって核酸分子のセグメントまたはこのような分子の集団が、インビトロまたはインビボで、交換、挿入、置換、置き換え、または改変を受ける、本明細書に記載される方法である。
【0084】
組換えタンパク質:これには、1つ以上の組換え部位がかかわる組換え反応に関与する、切出しタンパク質もしくは組込みタンパク質、酵素、補助因子、または関連タンパク質が含まれる。Landy, A., Current Opinion in Biotechnology 3: 699-707 (1993)を参照のこと。
【0085】
抑制カセット:サブクローニングベクター中に存在する選択マーカーのリプレッサーを含む核酸セグメントのことである。
【0086】
リボソームタンパク質:リボソームのサブユニットの構成要素である、タンパク質またはその変異体もしくは誘導体のことである。本発明によれば、リボソームは原核生物リボソームでも真核生物リボソームでもよい。リボソームの一例は大腸菌リボソームであり、これは30Sおよび50Sサブユニットを含む。
【0087】
リボソームタンパク質断片:リボソームのサブユニットの構成要素であるタンパク質の断片である。一般に、本発明の実施に用いられるリボソームタンパク質断片は、機能的断片である。「機能的」断片とは、1つまたは複数の組換え反応(例えば、λInt組換え系の組換え反応)の賦活に関して、対応する天然のリボソームタンパク質と実質的に同じ生物活性を有する、天然のリボソームタンパク質の断片またはそのような断片の変異体もしくは誘導体のことを意味する。
【0088】
選択マーカー:これは、しばしば特定の条件下で、ある分子もしくはそれを含む細胞を選択すること、またはそれを除外選択することを可能にするDNAセグメントである。これらのマーカーは、RNA、ペプチドもしくはタンパク質の産生などの(これらに限定されない)活性をコードしうるか、またはRNA、ペプチド、タンパク質、無機および有機化合物もしくは組成物などのための結合部位を提供しうる。選択マーカーの例には、以下のものが非制限的に含まれる:(1)通常であれば毒性のある化合物(例えば、抗生物質)に対する耐性を付与する産物をコードするDNAセグメント;(2)通常であればレシピエント細胞に存在しない産物をコードするDNAセグメント(例えば、tRNA遺伝子、栄養要求性マーカー);(3)遺伝子産物の活性を抑制する産物をコードするDNAセグメント;(4)容易に同定可能な産物をコードするDNAセグメント(例えば、βガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、および細胞表面タンパク質などの表現型マーカー);(5)通常であれば細胞の生存および/もしくは機能にとって有害な産物と結合するDNAセグメント;(6)上記の番号1〜5に記載したDNAセグメントのいずれかの活性を別の様式で阻害するDNAセグメント(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド);(7)基質を修飾する産物と結合するDNAセグメント(例えば、制限エンドヌクレアーゼ);(8)所望の分子(例えば、特異的タンパク質結合部位)の単離もしくは同定に用いうるDNAセグメント;(9)通常であれば非機能性でありうる特異的なヌクレオチド配列をコードするDNAセグメント(例えば、分子の亜集団のPCR増幅のための);(10)存在しない場合に、特定の化合物に対する耐性もしくは感受性を直接的もしくは間接的に付与するDNAセグメント;ならびに/または(11)レシピエント細胞において毒性のある産物をコードするDNAセグメント。
【0089】
選択スキーム:これは、挿入ドナー、ベクタードナー、任意の中間体(例えば、コインテグレート)、および/または副産物を含む混合物からの、所望の1つまたは複数の産物の選択、富化、または同定を可能にする任意の方法である。1つの態様の選択スキームは、組換えクローニングの際に結合しているか結合していない、少なくとも2つの構成要素を有する。一方の構成要素は選択マーカーである。もう一方の構成要素は、選択マーカーのインビトロもしくはインビボでの発現、または選択マーカーを保有するプラスミドを有する細胞の生存を制御する。一般に、この制御エレメントは選択マーカーのリプレッサーまたは誘導物質と考えられるが、選択マーカーの発現を制御するための他の手段を用いることもできる。リプレッサーまたは活性化物質のいずれを用いるかは、当業者に直ちに明らかであるように、マーカーが陽性選択用または陰性選択用のいずれであるか、および種々のDNAセグメントの厳密な配列に依存する。多くの場合、選択スキームは、1つまたは複数の所望の産物のみの選択または富化をもたらすと考えられる。本明細書に定義するように、DNA分子を選択することには、(a)所望のDNA分子の存在に関して選択または富化する段階、および(b)所望のDNA分子でないDNA分子の存在に関して除外選択または富化する段階が含まれる。
【0090】
1つの態様において、選択スキーム(これを逆に行うこともできる)は、3つの形態のうちの1つをとり、これについては図1で考察する。第1のものは、本明細書では選択マーカーおよびそのリプレッサーにより例示され、セグメントDを有しかつセグメントCを欠く分子を選択する。第2のものは、セグメントCを有する分子、およびセグメントDを有する分子を除外選択する。第2の形態の想定される態様は、インビトロ反応産物を導入しようとする細胞に対して毒性のある遺伝子を保有するDNAセグメントを有すると考えられる。毒性遺伝子は、毒性遺伝子産物(毒性タンパク質またはRNA)として発現されるDNAであってもよく、またはそれ自体もしくは単独で毒性があってもよい(後者の場合、毒性遺伝子はその古典的な定義である「遺伝性形質」を有すると解釈される)。
【0091】
このような毒性遺伝子産物の例は当技術分野で周知であり、これには、アポトーシス関連遺伝子(例えば、ASK1、またはbcl-2/ced-9ファミリーのメンバー)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のものを含むレトロウイルス遺伝子、NP-1などのデフェンシン、逆方向反復配列または対合パリンドロームDNA配列、φX174またはバクテリオファージT4由来のものなどのバクテリオファージ溶解性遺伝子;rpsLなどの抗生物質感受性遺伝子、pheSなどの抗菌薬感受性遺伝子、プラスミドキラー遺伝子、細菌に対する毒性のある遺伝子産物を生じる真核生物転写ベクター遺伝子(例えばGATA-1)および抑制機能の非存在下で宿主を死滅させる遺伝子(例えば)kicBまたはccdBが非制限的に含まれる。または、毒性遺伝子が、制限部位などのようにインビトロで選択可能であってもよい。
【0092】
第2の形態において、セグメントDは選択マーカーを有する。毒性遺伝子は、ベクタードナー、コインテグレート、および副産物分子を有する形質転換体を排除すると考えられ、一方、選択マーカーは、産物を含む細胞を選択し、挿入ドナーのみを有する細胞を除外選択するために用いることができる。
【0093】
第3の形態は、同一の分子上にセグメントAおよびセグメントDの両方をシス的に有する細胞は選択するが、異なる分子上に両方のセグメントをトランス的に有する細胞は選択しない。この具体例としては、それぞれ1つがセグメントAおよびDの上にある2つの不活性な断片に分割される選択マーカーが考えられる。
【0094】
断片は、セグメントが組換え事象によって一緒になる時にそれらが機能的な選択マーカーを再構成するように、組換え部位に対して配列される。例えば、組換え事象は、プロモーターを構造遺伝子と連結すること、構造遺伝子の2つの断片を連結すること、生存のために必要なヘテロ二量体遺伝子産物をコードする遺伝子を連結すること、またはレプリコンの部分を連結することが可能である。
【0095】
部位特異的リコンビナーゼ:これは、一般的に少なくとも以下の4つの活性(またはそれらの組み合わせ)を有するリコンビナーゼの一型である:(1)1つまたは2つの特異的DNA配列の認識;(2)前記1つまたは複数のDNA配列の切断;(3)鎖交換に関与するDNAトポイソメラーゼ活性;および(4)DNAの切断された鎖を再封するDNAリガーゼ活性。Sauer, B., Current Opinions in Biotechnology 5: 521-527 (1994)を参照のこと。鎖交換の機構には、DNA合成の非存在下における特異的DNA配列の切断および再結合が含まれる(Landy, A.(1989)Ann. Rev. Biochem.58: 913-949)。
【0096】
サブクローニングベクター:適切なレプリコンをしばしば含む環状または線状DNA分子を含むクローニングベクターである。本発明において、サブクローニングベクター(図1中のセグメントD)は、最終産物中に組込まれて、クローニングされたDNA挿入物(図1中のセグメントA)に対してまたはそれとともに作用することが望まれる、機能性および/または調節性エレメントも含みうる。また、サブクローニングベクターは、選択マーカー(例えば、DNA)も含みうる。
【0097】
テンプレート:テンプレートは、増幅、合成、またはシークエンシングを行おうとする二本鎖または一本鎖の核酸分子のことを指す。二本鎖DNA分子の場合には、これらの分子の増幅、合成、またはシークエンシングを行う前に、その鎖を第1および第2の鎖へと変性させてもよく、または二本鎖分子を直接テンプレートとして用いてもよい。一本鎖テンプレートの場合には、テンプレートの少なくとも一部に対して相補的なプライマーを適切な条件下でハイブリダイズさせ、次いでポリメラーゼ活性を有する1つまたは複数のポリペプチド(例えば、DNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素)に、テンプレートの全体または一部に対して相補的な分子を合成させることができる。または、二本鎖テンプレートの場合、1つまたは複数のプロモーターを、1つまたは複数のポリメラーゼと組み合わせて用いて、そのテンプレートの全体または一部に対して相補的な核酸分子を作製することもできる。新たに合成される分子は、本発明によれば、元のテンプレートに比較して同じであるかまたは短いと考えられる。さらに、核酸テンプレートの集団を、一般的には元のテンプレート集団の代表である核酸分子の集団を作製するために、合成または増幅の際に用いてもよい。
【0098】
ベクター:1つまたは複数の有用な生物学的または生化学的性質を挿入物に付与する核酸分子(例えば、DNA)のことである。その例には、プラスミド、ファージ、自律複製配列(ARS)、動原体、およびインビトロまたは宿主細胞における複製もしくは複製が可能な、または所望の核酸セグメントを宿主細胞内の所望の位置に運搬しうる、他のDNA配列が含まれる。ベクターは、その場所でベクターの本質的な生物学的機能を損なわずに決定可能な様式でDNA配列を切断することができ、その中にDNA断片をその複製およびクローニングを生じさせるためにスプライス導入することができる、1つまたは複数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を有しうる。ベクターはさらに、プライマー部位(例えば、PCRのための)、転写および/または翻訳開始および/または調節部位、組換えシグナル、レプリコン、選択マーカーなどを提供しうる。明らかに、相同組換え、転位、または制限酵素の使用を必要としない所望のDNA断片の挿入方法(例えば、これらには限定されないが、PCR断片のUDGクローニング(米国特許第5,334,575号、その全体が参照として本明細書に組み入れられる)、T:Aクローニングなど)も、本発明に従って使用されるクローニングベクター中に断片をクローニングするために利用することができる。クローニングベクターはさらに、クローニングベクターにより形質転換がなされた細胞の同定に用いるのに適した1つまたは複数の選択マーカーを含みうる。
【0099】
ベクタードナー:所望の産物の部分となるDNAベクターを含むDNAセグメントを有する本発明の2つの親核酸分子(例えば、RNAまたはDNA)のうち1つである。ベクタードナーは、組換え部位によって挟まれた、サブクローニングベクターD(または、挿入ドナーが既にクローニングベクターを含まない場合、これをクローニングベクターと呼ぶこともできる)およびセグメントCを含む(図1参照)。セグメントCおよび/またはDは、選択スキームに関して上に述べたように、所望の産物娘分子の選択に貢献するエレメントを含みうる。これらの組換えシグナルは同じでも異なってもよく、同一のリコンビナーゼによる作用を受けても異なるリコンビナーゼによる作用を受けてもよい。さらに、ベクタードナーは線状でも環状でもよい。
【0100】
本明細書で用いられる組換えDNA技術ならびに分子生物学および細胞生物学の分野で用いられる他の用語は、適用される技術分野の当業者に一般に理解されると考えられる。
【0101】
組換えスキーム
本発明のインビトロおよび/またはインビボでの方法に関する1つの一般的なスキームを図1に示し、ここで、挿入ドナーおよびベクタードナーは環状DNAでも線状DNAでもありうるが、環状として示している。ベクターDは元のクローニングベクターBと交換される。挿入ドナーはベクターを含む必要はない。本発明の方法により、挿入物Aを任意の数のベクターに移行させることが可能になる。本発明によれば、挿入物を特定の1つのベクターに移行させることもでき、または一段階で多数のベクターに移行させることもできる。さらに、例えば産物DNA分子を挿入ドナーとして用いて異なるベクタードナーと併用することにより、挿入を任意の数のベクターに逐次的に移行させることもできる。目的の核酸分子を新たなベクターに移行させ、それによって新たな産物DNA分子を作製する。続いて、新たな産物DNA分子を、目的の核酸分子を新たなベクターに移行させるための出発材料として用いる。このような逐次的な移行を、任意の数の異なるベクターにおいて任意の回数にわたって行いうる。このように、本発明は核酸分子のクローニングまたはサブクローニングを可能にするが、これらの方法は容易かつ簡単であるため、ハイスループット用途に特に適している。本発明によれば、エレメントAおよびDを含む娘分子を選択し、1つまたは複数のコインテグレートを含む他の分子は除外選択することが望ましい。四角印および丸印は組換え部位の異なるセットである(例えば、lox部位またはatt部位)。セグメントAまたはDは、少なくとも1つの選択マーカー、発現シグナル、複製起点、またはDNAの欠失、選択、発現、マッピング、もしくはシークエンシングのための特殊化された機能を含むことができ、この例ではDを用いている。本明細書で述べるように、このスキームを本発明に従って逆転にすることも可能である。逆反応の結果得られた産物(例えば、挿入ドナー)を1つまたは複数のベクターと併用して、挿入物が任意の数のベクターに含まれている新たな産物分子を作製することができる。
【0102】
エレメントAまたはDの部分として可能な所望のDNAセグメントの例には、PCR産物、大きなDNAセグメント、ゲノムのクローンまたは断片、cDNAのクローンまたは断片、機能性エレメントなど、および有用な核酸またはタンパク質をコードする遺伝子または部分的遺伝子が非制限的に含まれる。さらに、本発明の組換えクローニングは、タンパク質発現(天然または融合タンパク質)および/または遺伝子治療のための、エクスビボおよびインビボでの遺伝子導入媒体を作製するために用いることができる。
【0103】
図1において、本スキームはベクターDおよびAを含む所望の産物を以下のように提供する。まず挿入ドナー(AおよびBを含む)を組換えタンパク質によって四角印の組換え部位でベクタードナー(CおよびDを含む)と組換え、A-D-C-Bのそれぞれを有するコインテグレートを形成させる。次に、丸印の組換え部位で組換えが起こり、産物DNA(AおよびD)および副産物DNA(CおよびB)が形成される。しかし、必要であれば、2つまたはそれ以上の異なるコインテグレートを形成させ、2つまたはそれ以上の産物を作製することができる。
【0104】
操作された組換え部位を含む核酸分子を用いる組換えクローニング、ならびにこの技法を遂行するための材料および方法は、以下のものに詳細に記載されている:1995年6月7日に提出された米国特許出願第08/486,139号;1996年6月7日に提出された米国特許出願第08/663,002号(現在は米国特許第5,888,732号);1998年1月12日に提出された米国特許出願第09/005,476号(現在は米国特許第6,171,861号);1997年10月24日に提出された米国特許出願第60/065,930号;1998年10月23日に提出された米国特許出願第09/177,387号;1999年3月2日に提出された米国特許出願第60/122,389号;1999年3月22日に提出された米国特許出願第60/122,392号;1999年3月23日に提出された米国特許出願第60/126,049号;米国特許出願第09/233,493号(現在は米国特許第6,143,557号);1999年11月12日に提出された米国特許出願09/438,358号;1999年5月28日に提出された米国特許出願第60/136,744号;1999年11月2日に提出された米国特許出願第09/432,085号;2000年2月4日に提出された米国特許出願第09/498,074号;1998年11月13日に提出された米国特許出願第60/108,324号;1999年11月12日に提出された米国特許出願第09/438,358号;2000年3月2日に提出された米国特許出願第09/517,466号;2000年12月11日に提出された米国特許出願第09/732,914号;およびPCT国際公開公報第00/52027号(これらのすべての開示内容はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)。操作された組換え部位を含む核酸分子を用いる組換えクローニング、ならびにこの技法を遂行するための材料および方法は、以下のものにも記載されている:GATEWAY(商標)クローニング技術解説書(Invitrogen Corp., Life Technologies Division)(2001年3月29日にアクセスしたwww.lifetech.com/Content/TechOnline/molecular_biology/manuals_pps/gatewayman.pdfを参照のこと)および「FOCUS:An Introduction to GATEWAY Cloning Technology」vol. 23.1, p. 4(2001年3月29日にアクセスしたwww.lifetech.com/Content/Focus/231004.pdfを参照)(これらのすべての開示内容は参照として本明細書に組み入れられる)。
【0105】
組成物
本発明により、核酸分子またはそのセグメントの組換えクローニングに用いうる組成物が提供される。本発明の組成物は以下のものの混合物を含みうる:(1)少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)のFisタンパク質またはFisタンパク質断片、(2)本明細書に記載の組換え反応に用いられる少なくとも1つの他の成分(例えば、本発明の組成物は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)の組換えタンパク質を含みうる)、(3)少なくとも1つの組換え部位(これはベクター、ベクタードナー、挿入物、挿入ドナー、産物分子、中間体など、またはそれらの組み合わせであってよい)を含む少なくとも1つの核酸分子。本発明の組成物はさらに、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)のリボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片も含みうる。一般に、これらの組成物は核酸分子の組換えクローニングに用いるのに適していると考えられる。さらに、多くの場合、これらの組成物は、(1)Fisタンパク質もしくはFisタンパク質断片、および/または(2)リボソームタンパク質もしくはリボソームタンパク質断片の非存在下で行われた組換え反応と比較して、組換え反応の効率の向上をもたらすと考えられる。
【0106】
関連した態様において、組成物はさらに、1つまたは複数の補足的な成分を含んでもよく、これには例えば、同じでも異なってもよい1つもしくは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10、20、30、50、100、1000、5000、20000、100000など)の核酸分子(1つまたは複数の挿入ドナー分子、1つまたは複数のベクタードナー分子、1つまたは複数のコインテグレート分子、1つまたは複数の産物分子、および1つまたは複数の副産物分子を非制限的に含む)、1つもしくは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)の緩衝塩、および/または核酸分子の組換えクローニングに用いうる他の試薬などがある。
【0107】
関連した面において、Fisタンパク質、Fisタンパク質断片、組換えタンパク質および/または本発明の組成物は、貯蔵用試薬溶液に従来より含められる、1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)の安定化化合物(例えば、グリセロール、血清アルブミン、またはゼラチン)を含みうる。このような安定化化合物の適した量は、当技術分野の当業者にはよく知られているか、日常的な実験のみを用いて容易に決定しうる。例えば、グリセロールは本発明の組成物中に約5%〜75%、約10%〜65%、約15%〜60%、約20%〜55%、約25%〜50%または約50%の濃度(vol/vol)で用いることができる。さらなる関連した面において、本発明は、これらの組成物を直ちに使用できる濃度で提供し、これまで入手可能であった溶液において必要であった時間のかかる希釈および予混合の段階を不要にする。
【0108】
Fisタンパク質
本発明の組成物および/または方法に用いられる1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、10など)のFisタンパク質またはFisタンパク質断片は、非常にさまざまな生物(例えば、エシェリキア属、セラチア属、サルモネラ属、シュードモナス属、ヘモフィルス属、バシラス属、ストレプトミセス属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属のもの、または他のグラム陽性菌もしくはグラム陰性菌を非制限的に含む細菌)から入手しうる。好ましいFisタンパク質(またはその部分もしくは断片)は原核生物に由来する、またはそれから得られる。
【0109】
一般に、本発明に用いられるFisタンパク質およびFisタンパク質断片の分子量は14キロダルトン(kDa)未満であると考えられる。さらに、多くの場合には、これらのタンパク質のアミノ酸残基の約2%〜約40%、約5%〜約35%、約10%〜約35%、約10%〜約30%、約15%〜約30%、または約15%〜約25%は塩基性アミノ酸残基であると考えられる。「塩基性アミノ酸残基」とは、pKsが7.0を上回るアミノ酸残基(例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジンなど)を意味する。したがって、本発明は、上記のFisタンパク質およびFisタンパク質断片を含む組成物、ならびにこれらの組成物を本発明の方法に用いるための方法を含む。
【0110】
Fisタンパク質の一例は大腸菌の98アミノ酸のFisタンパク質であり、これは以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 2004531259
【0111】
Fisタンパク質のもう1つの例は肺炎桿菌の93アミノ酸のFisタンパク質であり、これは以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 2004531259
【0112】
Fisタンパク質のさらにもう1つの例はコレラ菌の98アミノ酸のFisタンパク質であり、これは以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 2004531259
【0113】
Fisタンパク質のもう1つの例はインフルエンザ菌の99アミノ酸のFisタンパク質であり、これは以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 2004531259
【0114】
Fisタンパク質のさらにもう1つの例は緑膿菌の107アミノ酸のFisタンパク質であり、これは以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 2004531259
【0115】
Fisタンパク質のさらに別の例はネズミチフス菌の98アミノ酸のFisタンパク質であり、これは以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 2004531259
【0116】
本発明の方法は、Fisタンパク質およびFisタンパク質断片のほか、組換え反応の効率を高める、Fisタンパク質およびFisタンパク質断片の変種、誘導体、および変異体を使用する。本発明に用いるのに適したFisタンパク質断片には、少なくとも10アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも35アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも45アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも55アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも75アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも85アミノ酸などを含む断片が含まれる。本発明に用いるのに適したFisタンパク質断片には、約10〜20アミノ酸、約20〜30アミノ酸、約30〜40アミノ酸、約50〜60アミノ酸、約60〜70アミノ酸、約70〜80アミノ酸、約90〜100アミノ酸などを含む断片も含まれる。
【0117】
本発明に用いうるタンパク質には、基準用のFisタンパク質(例えば、上に示したアミノ酸配列を有するFisタンパク質)またはFisタンパク質断片に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一なアミノ酸配列を含む、変種、誘導体、および変異体が含まれる。
【0118】
基準アミノ酸配列に対して、少なくとも、例えば、65%「同一な」アミノ酸配列を有するタンパク質またはタンパク質断片とは、タンパク質配列が基準タンパク質のアミノ酸配列の100アミノ酸当たり35アミノ酸までの変化を含みうることを除き、タンパク質のアミノ酸配列が基準アミノ酸配列と同一であることを意図している。言い換えれば、基準アミノ酸配列と少なくとも65%同一なアミノ酸配列を有するタンパク質を得るためには、基準配列中の最大35%までのアミノ酸残基が欠失するか別のアミノ酸で置換されてもよく、または基準配列中の総アミノ酸残基の最大35%までの多数のアミノ酸が基準配列中に挿入されてもよい。基準配列のこれらの変化は、基準アミノ酸配列のアミノ(-N)末端もしくは炭素(C-)末端の位置またはそれらの末端位置の間のどこかに生じてもよく、基準配列中の残基間に個別に分散しても基準配列内部に1つまたは複数の連続した群として分散してもよい。実際の手段として、所定のアミノ酸配列が基準タンパク質のアミノ酸配列と例えば少なくとも65%同一であるか否かは、既知のコンピュータプログラム、例えば核酸配列同一性の決定のための上記のプログラムなどを用いて、またはCLUSTAL Wプログラム(Thompson, J.D.ら、Nucleic Acids Res. 22: 4673-4680 (1994))を用いて、従来通りに判定することができる。
【0119】
本発明の実施に用いうるFisタンパク質断片には、Fisタンパク質のN末端およびC末端の欠失変異体(例えば、配列番号:1〜6のいずれかに示されたあるアミノ酸配列を有するFisタンパク質)も含まれる。このようなFisタンパク質断片には、少なくとも5アミノ酸、少なくとも10アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも25アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも35アメ`ノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも45アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも55アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも65アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、または少なくとも75アミノ酸がN末端から欠失したものが含まれる。このようなFisタンパク質断片には、少なくとも1アミノ酸、少なくとも2アミノ酸、少なくとも3アミノ酸、少なくとも4アミノ酸、少なくとも5アミノ酸、少なくとも6アミノ酸、少なくとも7アミノ酸、少なくとも8アミノ酸、少なくとも9アミノ酸、または少なくとも10アミノ酸がC末端から欠失したものも含まれる。さらに、このようなFisタンパク質断片には、上記のN末端およびC末端の欠失の両方を含むタンパク質も含まれる。
【0120】
本発明の実施に用いうるFis欠失変異体の具体的な例には、配列番号:1のアミノ酸75〜98、配列番号:1のアミノ酸76〜97、配列番号:1のアミノ酸77〜96、配列番号:1のアミノ酸78〜95、配列番号:1のアミノ酸79〜93、または配列番号:1のアミノ酸80〜92、ならびに他のFisタンパク質の対応する領域を含むFisタンパク質断片が含まれる。
【0121】
本発明は、本明細書で言及するFisタンパク質をコードする核酸分子のほか、本発明の工程におけるこれらの核酸分子の使用も含む。
【0122】
本発明の組成物には、Fisが特異的に結合する核酸と結合して、組換え反応の効率を高めるタンパク質およびタンパク質断片も含まれうる。例えば、Fisは以下のヌクレオチド配列を有する核酸と結合することが示されている:
Figure 2004531259
ここでR=AまたはG、W=AまたはT、およびY=CまたはTである。
【0123】
Fisは以下のヌクレオチド配列を有する核酸とも結合する:
Figure 2004531259
【0124】
したがって、ある種の態様において、本発明は、(1)配列番号:7もしくは配列番号:8に示されたヌクレオチド配列を有する核酸と結合するタンパク質およびペプチド、または配列番号:7もしくは配列番号:8に示されたヌクレオチド配列(またはその部分)に1つ、2つ、3つ、もしくは4つの置換、欠失、もしくは挿入が生じたものを有する核酸と結合するタンパク質およびペプチド、ならびに(2)組換え反応の効率を高めるタンパク質およびペプチドを用いる、組換え反応を増強するための方法を含む。
【0125】
本発明のFisタンパク質およびFisタンパク質断片、ならびにFisが特異的に結合する核酸と結合するタンパク質およびペプチドを調製し、融合タンパク質として用いることができる。Fisは二量体を形成すると考えられている。このため、本発明に用いうる融合タンパク質の例には、(1)配列番号:7または配列番号:8に示されたヌクレオチド配列(またはその部分)を含む核酸と結合するFisタンパク質、Fisタンパク質断片、またはペプチド、および(2)多量体(例えば、ホモ二量体)の形成を促進するタンパク質またはタンパク質ドメインを含む融合タンパク質がある。このようなタンパク質およびタンパク質ドメインの例には、SH2ドメイン、ストレプトミセスのタンパク質DnaA、AraC、熱ショックタンパク質90などが含まれる。したがって、本発明は、上記の融合タンパク質、これらの融合タンパク質をコードする核酸分子、ならびにこれらの融合タンパク質および核酸分子を組換え反応の効率を高めるために用いるための方法を含む。
【0126】
本発明の融合タンパク質にはさらに、2つまたはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つなど)のFisタンパク質またはそのサブポーションが融合されて単一のポリペプチド鎖となった融合物が含まれる。これらのFisタンパク質は同一なアミノ酸配列を有してもよく、またはアミノ酸配列が異なっていてもよい。本発明はさらに、完全長Fisタンパク質がFisタンパク質断片と融合されたものを含む融合タンパク質も含む。本発明の融合タンパク質の調製に用いうるFisタンパク質断片の例には、配列番号:1のアミノ酸75〜98、配列番号:1のアミノ酸76〜97、配列番号:1のアミノ酸77〜96、配列番号:1のアミノ酸78〜95、配列番号:1のアミノ酸79〜93、または配列番号:1のアミノ酸80〜92、ならびに他のFisタンパク質の対応する領域を含むタンパク質が含まれる。
【0127】
本発明はさらに、1つまたは複数のFisタンパク質が1つまたは複数の非Fisタンパク質(例えば、グルタチオン S-トランスフェラーゼ(GST)、グルクロニダーゼ(GUS)、ヒスチジンタグ(HIS6)、緑色蛍光タンパク質(GEP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)など)と融合したFisタンパク質を含む。上記のFis融合タンパク質をコードする核酸分子も本発明の範囲に含まれる。
【0128】
Fisの存在下で行われる組換え反応の最適化に関係する具体的なパラメーターおよび条件は以下の実施例3に示されており、既知のアッセイ法を用いて決定することもできる。例えば、力価アッセイ法を用いて、精製Fisタンパク質の適切な量または抽出物の適切な量を決定することもできる。このようなアッセイ法については以下の実施例の項で詳細に説明する。
【0129】
Fisタンパク質およびFisタンパク質断片、ならびに組換え反応の効率を高める他のタンパク質およびタンパク質断片は、組換え反応(例えば、BP CLONASE(商標)またはLR CLONASE(商標)により触媒される組換え反応)にさまざまな濃度で含めることができ、これには、約0.5ng/μl、約1.0ng/μl、約1.5ng/μl、約2.0ng/μl、約2.5ng/μl、約3.0ng/μl、約3.5ng/μl、約4.0ng/μl、約4.5ng/μl、約5.0ng/μl、約5.5ng/μl、約6.0ng/μl、約6.5ng/μl、約7.0ng/μl、約7.5ng/μl、約8.0ng/μl、約8.5ng/μl、約9.0ng/μl、約9.5ng/μl、約10.0ng/μl、約10.5ng/μl、約11.0ng/μl、約11.5ng/μl、約12.0ng/μl、約12.5ng/μl、約13.0ng/μl、約13.5ng/μl、約14.0ng/μl、約14.5ng/μl、約15.0ng/μl、約16.0ng/μl、約17.0ng/μl、約18.0ng/μl、約19.0ng/μl、約20.0ng/μl、約22.0ng/μl、約25.0ng/μl、約27.0ng/μl、約30.0ng/μl、約35.0ng/μl、または約40.0ng/μlが含まれる。同様に、Fisも組換え反応にさまざまな範囲で含めることができ、これには、約0.5ng/μl〜約40.0ng/μl、約0.5ng/μl〜約30.0ng/μl、約0.5ng/μl〜約15.0ng/μl、約1.0ng/μl〜約14.0ng/μl、約5.0ng/μl〜約10.0ng/μl、約7.0ng/μl〜約15.0ng/μl、約10.0ng/μl〜約15.0ng/μl、約5.0ng/μl〜約30.0ng/μl、約10.0ng/μl〜約30.0ng/μl、約20ng/μl〜約30.0ng/μl、約20ng/μl〜約35.0ng/μl、または約20ng/μl〜約40.0ng/μlが含まれる。当然ながら、本発明の方法に用いるのに適した他の濃度および範囲は、上記の通りの、以下の実施例に詳細に述べる力価アッセイ法を行うことにより、過度の実験を行うことなく、当業者によって決定されうる。したがって、本発明はさらに、組換え反応の効率を高めるタンパク質を用いる、本明細書に記載の方法を含む。
【0130】
リボソームタンパク質
本組成物に用いられる1つまたは複数のリボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片は塩基性リボソームタンパク質であってよい。「塩基性」リボソームタンパク質とは、塩基性アミノ酸残基を比較的高い比率(すなわち、約15〜50%の範囲)で含む、リボソームタンパク質ならびにリボソームタンパク質断片のことを意味する。ほとんどの場合、本発明の組成物および方法に用いられるリボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片のサイズは約14キロダルトン(kDa)以下であり、しばしばサイズは約5kDa〜約14kDa、約6kDa〜約13kDa、約7kDa〜約12kDa、または約8kDa〜約12kDaであると考えられる。本発明によれば、1つまたは複数のリボソームタンパク質は、1つもしくは複数の原核生物リボソームタンパク質(例えば、1つもしくは複数の細菌リボソームタンパク質)または1つもしくは複数の真核生物リボソームタンパク質(例えば、動物(哺乳動物(ヒトを含む)、魚類、鳥類、爬虫類、両生類、単孔類など)、菌類、植物などの1つもしくは複数のリボソームタンパク質であってよい。ある種の組成物において、リボソームタンパク質は、1つまたは複数の原核生物リボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片、特に、エシェリキア属、セラチア属、サルモネラ属、シュードモナス属、ヘモフィルス属、バシラス属、ストレプトミセス属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属のもの、または他のグラム陽性菌もしくはグラム陰性菌を非制限的に含む細菌)から入手しうる、1つまたは複数のリボソームタンパク質またはこのようなタンパク質の断片であってよい。
【0131】
本発明の特定の組成物において、リボソームタンパク質は、1つまたは複数の大腸菌リボソームタンパク質であってよい。例えば、本発明の組成物および方法に用いるのに適した大腸菌リボソームタンパク質には、S10、S14、S15、S16、S17、S18、S19、S20、S21、L14、L21、L23、L24、L25、L27、L28、L29、L30、L31、L32、L33、およびL34が非制限的に含まれる。原核生物性または真核生物性の源を含む他の源に由来する対応するリボソームタンパク質を本発明に従って用いることもできる。このような対応するリボソームタンパク質はしばしば、(構造、サイズ、生化学、および/または機能の点で)本明細書に記載の大腸菌リボソームタンパク質と対応すると考えられる。
【0132】
リボソームタンパク質、特に原核生物リボソームタンパク質の生産および単離のための源および方法については、以下の実施例1で説明する。加えて、原核生物および真核生物リボソームタンパク質の源および単離に関する情報は、Ann. Rev. Biochem. 51:155 (1982);Ann. Rev. Biochem. 52:35 (1983);Ann. Rev. Biochem. 53:75 (1984);Ann. Rev. Biochem. 54:507 (1985);Ann. Rev. Biochem. 66:679 (1997);ならびにBrucknerおよびCox、Nucl. Acids Res. 17(8): 3145-3161 (1989)にも記載されている。
【0133】
組換え反応を増強するために本発明の組成物および方法に用いるのに最適な1つまたは複数のリボソームタンパク質の量は、公知のアッセイ法を用いて決定しうる。詳細には、力価アッセイ法を用いて、精製リボソームタンパク質の適切な量または抽出物の適切な量を決定することができる。このようなアッセイ法については以下の実施例の項で詳細に説明する。例えば、ある種の態様において、組成物は、大腸菌リボソームタンパク質S20もしくはS15またはそれらの断片の有効量を、例えば、約1ng/20μl〜約2500ng/20μl、約2ng/20μl〜約2000ng/20μl、約5ng/20μl〜約1500ng/20μl、約10ng/20μl〜約1500ng/20μl、約25ng/20μl〜約1500ng/20μl、約50ng/20μl〜約1500ng/20μl、約100ng/20μl〜約1500ng/20μl、約250ng/20μl〜約1500ng/20μl、約300ng/20μl〜約1500ng/20μl、約500ng/20μl〜約1500ng/20μl、約500ng/20μl〜約1250ng/20μl、または約625ng/20μl〜約1250ng/20μlの濃度範囲で含みうる。他の態様において、組成物は大腸菌リボソームタンパク質L27を、例えば、約1,000ng/20μl〜約50,000ng/20μl、約2,000ng/20μl〜約40,000ng/20μl、約5,000ng/20μl〜約30,000ng/20μl、約10,000ng/20μl〜約25,000ng/20μl、約10,000ng/20μl〜約20,000ng/20μl、または約10,000ng/20μlの濃度で含みうる。当然ながら、本組成物に用いうる、S20、S15、もしくはL27または他の適した原核生物もしくは真核生物リボソームタンパク質の他の濃度範囲は、上記の通りの、以下の実施例に詳細に述べる滴定アッセイ法を行うことにより、過度の実験を行うことなく当業者によって決定されうる。さらに他のリボソームタンパク質またはその断片が、本発明の組成物中に上記の量として存在してもよい。
【0134】
組換えタンパク質
本発明の組成物および方法において、DNAセグメントの交換は、リコンビナーゼならびに関連した補助因子およびタンパク質を含む組換えタンパク質によって遂行される。本発明の組成物に用いるための1つまたは複数の組換えタンパク質は、核酸分子の組換えクローニングに用いるのに適した、任意の原核生物または真核生物組換えタンパク質を含む、任意の組換えタンパク質であってよい。このような組換えタンパク質の例には以下のものが非制限的に含まれる。
【0135】
A.Cre:バクテリオファージP1由来の原核生物組換えタンパク質(AbremskiおよびHoess、J. Biol. Chem. 259(3): 1509-1514 (1984))であり、loxP(乗換えの遺伝子座)部位と呼ばれる34bpのDNA配列間の交換を触媒する(すなわち、組換えを引き起こす)(Hoessら、Nucl. Acids Res. 14: 2287 (1986)を参照のこと)。Creは市販されている(Novagen, Inc.、601 Science Drive, Madison, WI 53711, カタログ番号69247-1)。Creによって媒介される組換えは自由に可逆的である。熱力学的考察からは、Cre媒介性組込み(2つの分子間の組換えにより1つの分子を形成する)が、Cre媒介性切出し(同一分子中の2つのloxP部位間の組換えにより2つの娘分子を形成する)よりもはるかに効率が低いことは驚くには当たらない。Creは、当技術分野で周知のように、補助因子としてマグネシウムまたはスペルミジンのいずれかを含む単純な緩衝液中で働く。DNA基質は線状でも超らせん状でもよい。多くの変異型loxP部位が記載されている(Hoessら、Nucl. Acids Res. 14:2287 (1986))。これらのうちの1つであるloxP 511は、別のloxP 511部位との組換えを行うが、loxP部位とは組換えを行わない。
【0136】
B.インテグラーゼ:λゲノムの大腸菌染色体への組込みを媒介する、バクテリオファージλ由来の原核生物組換えタンパク質。バクテリオファージλInt組換えタンパク質は、溶原状態の形成または誘導の一部として、その基質であるatt部位間の非可逆的な組換えを促す。組換え反応の可逆性は、組込み型組換えおよび切出し型組換えのための2つの独立した経路によって生じる。各経路は、att部位のDNAを含む、特有であるが重複する15のタンパク質結合部位のセットを用いる。4つのタンパク質(Int、Xis、IHF、およびFis)が関与する協同的および競合的相互作用が組換えの方向を決定する。
【0137】
組込み型組換えには、Intタンパク質およびIHFタンパク質、ならびにattP部位(240bp)およびattB部位(25bp)が関与する。組換えにより、2つの新たな部位:attLおよびattRが形成される。切出し型組換えは、attPおよびattBを生成するために、Int、IHF、およびXis、ならびにattL部位およびattR部位を必要とする。特定の条件下で、Fisは切出し型組換えを賦活する。これらの正常な反応に加えて、attPおよびattBは、同一分子上に配置された場合、切出し型組換えを促進して2つの切出し産物(attLを有するものおよびattRを有するもの)を生成しうることを理解すべきである。同様に、attLを含む分子とattRを含む分子との間の分子間組換えにより、Int、IHF、およびXisの存在下で、組込み型組換えならびにattPおよびattBの生成が生じうる。このため、DNAセグメントを操作されたatt部位の適切な組合せによって挟み込むことにより、適切な組換えタンパク質の存在下で、互いに逆反応として、切出し型組換えまたは組込み型組換えを導くことができる。
【0138】
att部位のそれぞれは15bpのコア配列を含む。機能的に重要な個々の配列エレメントは、この共通コアの境界の内部に、外側に、およびその境界にまたがって存在する(Landy,A., Ann. Rev. Biochem. 58: 913 (1989))。種々のatt部位間の効率的な組換えには、中心の共通領域の配列が組換えパートナー間で同一であることが必要であるが、現在では正確な配列を改変しうることが明らかになっている。その結果、コア内に変化を有するatt部位の誘導体が、少なくとも天然のコア配列と同程度に効率的に組換えを行うことが現在では見出されている。
【0139】
インテグラーゼは、バクテリオファージλ上のattP部位(約240bp)と大腸菌ゲノム上のattB部位(約25bp)との組換えを行い(Weisberg, R.A.およびLandy, A. 「λII(Lambda II)」、p.211 (1983)、Cold Spring Harbor Laboratory)、attL部位(約100bp)およびattR部位(約160bp)によって挟まれた、組込まれたλゲノムを生成するように作用する。Xisの非存在下(下記参照)では、この反応は本質的に非可逆的である。インテグラーゼおよびIHFによって媒介される組込み反応は、インビトロで、スペルミジンを含む単純な緩衝液を用いて進行する。インテグラーゼは、Nash, H.A.、Methods of Enzymology 100: 210-216 (1983)による記載のようにして入手しうる。IHFは、Filutowicz, M.ら、Gene 147: 149-150 (1994)による記載のようににして入手しうる。
【0140】
種々の生物由来のさまざまな組換え系も、本明細書中に提供する教示および手引きに基づいて用いうる。例えば、Hoessら、Nucleic Acids Research 14(6): 2287 (1986);Abremskiら、J. Biol. Chem. 261(1): 391 (1986);Campbell, J. Bacteriol. 174(23): 7495 (1992);Qianら、J. Biol. Chem. 267(11): 7794 (1992);Arakiら、J. Mol. Biol. 225(1): 25 (1992)を参照されたい。これらの多くはリコンビナーゼのインテグラーゼファミリーに属する(Argosら、EMBO J. 5: 433-440 (1986))。これらの中でおそらく最も研究されているものは、バクテリオファージλ由来のインテグラーゼ/att系(Landy, A. (1993) Current Opinions in Genetics and Devel. 3: 699-707)、バクテリオファージP1由来のCre/loxP系(HoessおよびAbremski (1990)、「Nucleic Acids and Molecular Biology」第4巻、EcksteinおよびLilley編、Berlin-Heidelberg:Springer-Verlag;pp. 90-109)および出芽酵母2μ環状プラスミド由来のFLP/FRT系(Broachら、Cell 29: 227-234 (1982))である。
【0141】
部位特異的リコンビナーゼのリゾルベース(Res)ファミリーのメンバー(例えば、γδ、Tn3リゾルベース、Hin、Gin、およびCin)も知られており、本発明に従って用いうる。この関連性の高いリコンビナーゼのファミリーのメンバーは一般に分子内反応(例えば、反転および切出し)に制約されるほか、宿主がコードする因子を必要とすることがある。宿主因子の要求性のいくつか(MaeserおよびKahnmann (1991) Mol. Gen. Genet. 230: 170-176)ならびに分子内組換えの制約のいくつかを軽減する変異体が単離されている。
【0142】
λIntおよびP1 Creに類似した他の部位特異的リコンビナーゼは、それぞれIntおよびCreの代わりとなりうる。このようなリコンビナーゼは公知である。多くの場合、このような他のリコンビナーゼの精製は、当技術分野で記載されている。それらが知られていない場合には、細胞抽出物を用いること、またはCreおよびIntに関して記載された手順を用いて酵素を部分的に精製することができる。
【0143】
CreおよびIntについて例示のために詳細に記載しているが、関連性のある多くのリコンビナーゼ系が存在し、記載された発明に対するそれらの適用もまた、本発明に従って提供される。部位特異的リコンビナーゼのインテグラーゼファミリーは、例えばバクテリオファージλ、φ80、P22、P2、186、P4、およびP1によってコードされる部位特異的組換えタンパク質のような、本発明のための代替的な組換えタンパク質および組換え部位を提供するために用いうる。本発明の組成物および方法に用いうるこの群の組換えタンパク質は、配列に関して予想外に大きな多様性を示す。この多様性にもかかわらず、これらのリコンビナーゼはすべて、そのC末端側の半分はアライメントが可能である。C末端付近の40残基の領域はすべてのタンパク質で特によく保存されており、酵母2μプラスミドFLPタンパク質のC末端付近の領域と相同である。3つの位置がこのファミリーの多くのメンバー間で完全に保存されている:すなわち、ヒスチジン、アルギニン、およびチロシンが、よく保存されたC末端領域内のアライメント位置396、399、および433にそれぞれ見出される。これらの残基はこのファミリーのリコンビナーゼの活性部位に寄与しており、チロシン-433が鎖切断および再結合の際にDNAと一時的に共有結合を形成することを示唆する。例えば、Argos, P.ら、EMBO J. 5: 433-40 (1986)を参照されたい。
【0144】
接合性トランスポゾン(例えば、Tn916)などの、ある種のトランスポゾンのリコンビナーゼ(ScottおよびChurchward、Ann. Rev. Microbiol. 49:367 (1995);TaylorおよびChurchward, J. Bacteriol. 179:1837 (1997))も本発明の組成物および方法に用いうる。これらのトランスポゾン・リコンビナーゼはリコンビナーゼのインテグラーゼファミリーに属し、場合によっては特異的な組込み部位に対して強い選好性を示す(Ikeら、J. Bacteriol. 174:1801 (1992);Trieu-Cuotら、Mol. Microbiol. 8:179 (1993))。
【0145】
または、IS231および他のバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)転移因子を、組換えタンパク質および組換え部位として本発明に従って用いることも可能と考えられる。バチルス・チューリンゲンシスは、農業病害虫ならびにヒトおよび動物の疾患媒介生物に対して有効な胞子嚢中のデルタエンドトキシン結晶が存在することにその毒性が起因する、昆虫病原性細菌である。これらの毒素タンパク質をコードする遺伝子のほとんどは、プラスミドに保有されており、一般に挿入配列(IS231、IS232、IS240、ISBT1、およびISBT2)ならびにトランスポゾン(Tn4430およびTn5401)と構造的に関連性がある。これらの可動性エレメントのいくつかは活性があって結晶遺伝子の可動性に関与し、それによって細菌毒性の変動に寄与することが示されている。
【0146】
イソIS231エレメントの構造分析により、それらがウェルシュ菌(Clostridium perfringens)由来のIS1151と類縁関係にあり、大腸菌由来のIS4およびIS186とは遠縁に当たる関連性があることが示されている。他のIS4ファミリーのメンバーと同様に、それらは、他のISファミリーおよびレトロウイルスに見出される、保存されたトランスポゼース-インテグラーゼモチーフを含む。さらに、大腸菌のIS231Aから収集された機能的データからは、特異的な標的に対する選好性を有する非複製的な転位様式が示されている。同様な結果はまた、枯草菌およびB.チューリンゲンシスでも同様の結果が得られている。例えば、Mahillon, J.ら、Genetica 93: 13-26 (1994);Campbell, J. Bacteriol. 7495-7499 (1992)を参照を参照されたい。
【0147】
これらと関連性のないリコンビナーゼのファミリーであるトランスポゼースも、レプリコン間の遺伝情報の移行に用いられており、このため、本発明による組換えタンパク質として用いうる。トランスポゾンは構造的にさまざまであり、単純型または複合型と記載されるが、逆方向に構成されるDNA配列によって挟まれたリコンビナーゼ遺伝子をコードすることが一般的である。トランスポゾンの組込みは、ランダムなこともあれば高度に特異的なこともある。高度に部位特異的なTn7などの代表的なものは、レプリコン間のDNAセグメントのインビボ移動に利用されている(Lucklowら, J. Virol. 67: 4566-4579 (1993))。
【0148】
関連したエレメントであるインテグロンも転位可能であり、1つのレプリコンから別のレプリコンへの薬剤耐性カセットの移動を促進する。これらのエレメントはしばしば、欠損型のトランスポゾン誘導体である。トランスポゾンTn21は、In2と呼ばれるクラスIインテグロンを含む。In2由来のインテグラーゼ(IntI1)はこのクラスのすべてのインテグロンに共通しており、2つの59bpエレメントの間または59bpエレメントとattI部位との間の組換えを媒介し、レシピエントインテグロンへの挿入をもたたすことができる。インテグラーゼは切出し型組換えも触媒する(Hall, Ciba Found. Symp. 207:192 (1997);Franciaら、J. Bacteriol. 179:4419 (1997))。
【0149】
グループIIイントロンは、触媒性RNAおよびタンパク質をコードする可動性遺伝因子である。そのタンパク質成分は逆転写酵素、マチュラーゼ、およびエンドヌクレアーゼ活性を有し、一方、RNAはエンドヌクレアーゼ活性を有し、イントロンが組み込まれる標的部位の配列を決定する。RNA配列の部分を改変することにより、エレメントが組み込まれる組込み部位を規定することができる。外来性DNA配列をイントロンの両端の間に組み入れ、特定の部位へのターゲティングを可能にすることができる。「レトロホーミング(retrohoming)」と呼ばれるこの工程は、DNA:RNA中間体を介して起こり、それがcDNAへと、さらに最終的には二本鎖DNAへとコピーされる(Matsuuraら、Genes and Dev. 11:2910-2924 (1997);Guoら、EMBO J. 16: 6835-6848 (1997))。イントロンにコードされたホーミングエンドヌクレアーゼは数多く同定されている(BelfortおよびRoberts、Nucl. Acids. Res. 25:3379 (1997))。この種の系は、本明細書に記載のサブクローニング方法への応用に容易に採用することができる。
【0150】
加えて、他の適した組換えタンパク質が、以下のものに詳細に記載されている:米国特許第5,851,808号;1995年6月7日に提出された米国特許出願第08/486,139号;1996年6月7日に提出された米国特許出願第08/663,002号(現在は米国特許第5,888,732号);1998年1月12日に提出された米国特許出願第09/005,476号;1997年10月24日に提出された米国特許出願第60/065,930号;1998年10月23日に提出された米国特許出願第09/177,387号;1999年3月2日に提出された米国特許出願第60/122,389号;1999年3月22日に提出された米国特許出願第60/122,392号;1999年3月23日に提出された米国特許出願第60/126,049号;1999年11月12日に提出された米国特許出願09/438,358号;1999年5月28日に提出された米国特許出願第60/136,744号;2000年3月2日に提出された米国特許出願第09/517,466号;2000年12月11日に提出された米国特許出願第09/732,914号;およびPCT国際公開公報第00/52027号(これらのすべての開示内容はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)。
【0151】
本発明のある種の組成物において、組換えタンパク質はInt、Cre、Res、Xis、FLP、IHF、およびHUからなる群より選択することができ、これは部位特異的組換えタンパク質であってもよい。
【0152】
組換え反応の効率を高めるための本発明の組成物および方法に用いるのに適した組換えタンパク質の量は、公知のアッセイ法を用いることによって決定しうる。詳細には、力価アッセイ法を用いて、精製リボソームタンパク質の適切な量または抽出物の適切な量を決定することができる。このようなアッセイ法については以下の実施例の項で詳細に説明する。
【0153】
本発明の例示的なある種の態様において、組成物はλIntの有効量を、例えば、約1ng/20μl〜約500ng/20μl、約2ng/20μl〜約250ng/20μl、約5ng/20μl〜約200ng/20μl、約10ng/20μl〜約200ng/20μl、約25ng/20μl〜約200ng/20μl、約50ng/20μl〜約200ng/20μl、または約100ng/20μl〜約200ng/20μlの濃度範囲で含む。
【0154】
加えて、本発明の組成物は1つまたは複数の補足的な組換えタンパク質を含んでもよく、例えば、本発明の組成物はλIntを上記の濃度範囲で含む上に、HUタンパク質および/またはIHFタンパク質を、約1ng/20μl、約5ng/20μl、約10ng/20μl、約20ng/20μl、約30ng/20μl、約40ng/20μl、約50ng/20μl、約60ng/20μl、約70ng/20μl、約80ng/20μl、約90ng/20μl、約100ng/20μl、約110ng/20μl、約120ng/20μl、約130ng/20μl、もしくは約140ng/20μlの濃度、または約1ng/20μl〜約50ng/20μl、約2ng/20μl〜約25ng/20μl、約5ng/20μl〜約20ng/20μl、約5ng/20μl〜約15ng/20μl、約5ng/20μl〜約10ng/20μl、約5ng/20μl〜約120ng/20μl、約5ng/20μl〜約100ng/20μl、約5ng/20μl〜約80ng/20μl、約5ng/20μl〜約70ng/20μl、約5ng/20μl〜約60ng/20μl、約10ng/20μl〜約20ng/20μl、約10ng/20μl〜約40ng/20μl、約10ng/20μl〜約50ng/20μl、約10ng/20μl〜約60ng/20μl、約10ng/20μl〜約70ng/20μl、約10ng/20μl〜約80ng/20μl、約10ng/20μl〜約90ng/20μl、もしくは約10ng/20μl〜約100ng/20μlの濃度範囲で含みうる。当然ながら、本組成物に用いうる、λIntまたは他の適した組換えタンパク質の他の濃度範囲は、上記の通りの、以下の実施例の項に詳細に述べる滴定アッセイ法を行うことにより、過度の実験を行うことなく当業者によって決定されうる。
【0155】
DNA分子、ベクター、および宿主細胞
上記の本発明の組成物は、本発明によって提供される組換えクローニング方法における使用に適している。操作された組換え部位を含む核酸分子を用いる組換えクローニング、ならびにこの技法を遂行するための材料および方法は、以下のものに詳細に記載されている:1995年6月7日に提出された米国特許出願第08/486,139号;1996年6月7日に提出された米国特許出願第08/663,002号(現在は米国特許第5,888,732号);1998年1月12日に提出された米国特許出願第09/005,476号;1997年10月24日に提出された米国特許出願第60/065,930号;1998年10月23日に提出された米国特許出願第09/177,387号;1999年3月2日に提出された米国特許出願第60/122,389号;1999年3月22日に提出された米国特許出願第60/122,392号;1999年3月23日に提出された米国特許出願第60/126,049号;1999年11月12日に提出された米国特許出願09/438,358号;1999年5月28日に提出された米国特許出願第60/136,744号;2000年3月2日に提出された米国特許出願第09/517,466号;2000年12月11日に提出された米国特許出願第09/732,914号;およびPCT国際公開公報第00/52027号(これらのすべての開示内容はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)。
【0156】
本発明によれば、本発明の組成物および方法に用いるための挿入ドナー分子はゲノムDNAもしくはcDNAに由来してもよく、または化学合成法によって作製してもよい。関連した1つの面において、挿入ドナー分子は1つまたは複数のベクターを含みうる。
【0157】
本発明の組成物および方法に用いるためのベクタードナー分子ならびに他の核酸分子は、選択的には、組換え反応の際にベクタードナー分子によって付与される選択マーカーを含むコインテグレートまたは中間体分子および産物分子などの所望の分子を含む宿主細胞の選択を可能にする、少なくとも1つの選択マーカーを含みうる。本発明のこの面によれば、選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子、tRNA遺伝子、栄養要求性マーカー、毒性遺伝子、表現型マーカー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、制限エンドヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ切断部位、酵素切断部位、タンパク質結合部位、および、PCRプライマー配列に対して相補的な配列であってよい。1つの関連した面において、ベクタードナー分子ならびに他の核酸分子は、1つもしくは複数の真核生物ベクターまたは1つもしくは複数の原核生物ベクターを含みうる。本発明のこの面における使用に真核生物ベクターには、例えば、酵母細胞、植物細胞、魚類細胞、真核細胞、哺乳動物細胞、および/または昆虫細胞において増殖および/または複製するベクターが含まれ、適した原核生物ベクターには、例えば、エシェリキア属(最も詳細には大腸菌)、サルモネラ属、バシラス属、ストレプトミセス属、またはシュードモナス属の細菌において増殖および/または複製するベクターが含まれる。
【0158】
本明細書に記載の組成物および方法は、本発明による組換えクローニングにおける使用に適している。しかし、挿入ドナー分子および/またはベクタードナーDNA分子ならびに他の核酸分子に含まれる野生型組換え部位は、本発明の方法に適用された場合に、組換え反応の効率もしくは特異性、または産物分子の機能を低下させる配列を含む可能性がある。例えば、attB、attR、attP、attL、およびloxP組換え部位には複数の終止コドンが両方の鎖上の複数のリーディングフレーム中に存在するため、組換えの効率は、例えば、コード配列が組換え部位を越えなければならない場合(loxPおよびattB部位の各鎖上では1つのリーディングフレームのみが利用可能である)または不可能な場合(attP、attR、またはattLにおいて)には低下する。
【0159】
したがって、これらの問題を克服するために、1つまたは複数の操作された組換え部位を含む核酸分子を本発明の方法に用いうる。例えば、att部位を、組換え反応の特異性または効率および産物DNAの性質を強化するために(例えば、att1、att2、およびatt3部位);逆反応を減少させるために(例えば、attRからのP1およびH1の除去)、1つまたは複数の変異を有するように操作することができる。これらの変異体の試験により、どの変異体が、本発明による組換えサブクローニングに適する程度に十分な組換え活性を生じるかを決定する。このため、1つまたは複数のFisタンパク質またはFisタンパク質断片(ならびに選択的には、本発明に記載の、1つもしくは複数の組換えタンパク質および/または1つもしくは複数のリボソームタンパク質もしくはリボソームタンパク質断片)に加えて、本発明の組成物はさらに、1つまたは複数の挿入ドナー分子、1つまたは複数のベクタードナー分子、1つまたは複数のコインテグレート分子、1つまたは複数の産物分子、および1つまたは複数の副産物分子(それらの任意のものまたはすべてが、操作された組換え部位または変異した組換え部位を含みうる)を非制限的に含む、1つまたは複数の核酸分子を含みうる。
【0160】
部位特異的組換えを増強するために、組換え部位に変異を導入することができる。本発明の組換えクローニング方法において挿入ドナーまたはベクタードナー分子として用いうる分子である、変異し、操作された1つまたは複数の組換え部位を含むDNA分子の作製は、以下のものに詳細に記載されている:1995年6月7日に提出された米国特許出願第08/486,139号;1996年6月7日に提出された米国特許出願第08/663,002号(現在は米国特許第5,888,732号);1998年1月12日に提出された米国特許出願第09/005,476号;1997年10月24日に提出された米国特許出願第60/065,930号;1998年10月23日に提出された米国特許出願第09/177,387号;1999年3月2日に提出された米国特許出願第60/122,389号;1999年3月22日に提出された米国特許出願第60/122,392号;1999年3月23日に提出された米国特許出願第60/126,049号;1999年11月12日に提出された米国特許出願09/438,358号;1999年5月28日に提出された米国特許出願第60/136,744号;2000年3月2日に提出された米国特許出願第09/517,466号;およびPCT国際公開公報第00/52027号(これらのすべての開示内容はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)。特定の態様において、本発明の組成物および方法は、組換え部位の少なくとも1つがインビトロでのコインテグレートDNAまたは産物DNAの形成における組換えを増強する少なくとも1つの操作された変異を有するコア領域を含む、選択マーカーおよび/または所望のDNAセグメントを挟み込んだ少なくとも2つの操作された組換え部位を有する少なくとも1つの核酸セグメントを含む核酸分子を含むか、または用いる。
【0161】
本発明によれば、本発明の方法に用いられるベクタードナーの構築には任意のベクターを用いうる。特に、当技術分野で知られたベクターおよび市販のもの(ならびにそれらの変種または誘導体)を、本発明の方法に用いるための1つまたは複数の組換え部位を含むように本発明に従って操作することができる。このようなベクターは、例えば、Vector Laboratories Inc.、Invitrogen、Promega、Novagen、NEB、Clontech、Boehringer Mannheim、Pharmacia、EpiCenter、OriGenes Technologies Inc.、Stratagene、Perkin Elmer、Pharmingen、およびResearch Geneticsから入手可能である。続いて、このようなベクターを、例えば、目的の核酸分子のクローニングまたはサブクローニングに用いることができる。特に関心が持たれる一般的な種類のベクターには、原核生物および/または真核生物クローニングベクター、発現ベクター、融合ベクター、ツーハイブリッドまたは逆ツーハイブリッドベクター、種々の宿主で用いるためのシャトルベクター、変異誘発ベクター、転写ベクター、大きな挿入物を収容するためのベクターなどが含まれる。本発明の方法に用いられるベクタードナーを構築するために用いうるベクター(およびそれらの変異体、誘導体、または変種)の例は、以下のものに詳細に記載されている:1995年6月7日に提出された米国特許出願第08/486,139号;1996年6月7日に提出された米国特許出願第08/663,002号(現在は米国特許第5,888,732号);1998年1月12日に提出された米国特許出願第09/005,476号;1997年10月24日に提出された米国特許出願第60/065,930号;1998年10月23日に提出された米国特許出願第09/177,387号;1999年3月2日に提出された米国特許出願第60/122,389号;1999年3月22日に提出された米国特許出願第60/122,392号;1999年3月23日に提出された米国特許出願第60/126,049号;1999年11月12日に提出された米国特許出願09/438,358号;1999年5月28日に提出された米国特許出願第60/136,744号;2000年3月2日に提出された米国特許出願第09/517,466号;およびPCT国際公開公報第00/52027号(これらのすべての開示内容はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)。
【0162】
本発明はまた一般に、本発明の方法によって作製されたDNA分子、特に単離されたDNA分子であるDNA分子にも関する。本発明の方法によって作製されたDNA分子の単離のための方法は当業者によく知られており、これらは以下のものに一般的に記載されている:1995年6月7日に提出された米国特許出願第08/486,139号;1996年6月7日に提出された米国特許出願第08/663,002号(現在は米国特許第5,888,732号);1998年1月12日に提出された米国特許出願第09/005,476号;1997年10月24日に提出された米国特許出願第60/065,930号;1998年10月23日に提出された米国特許出願第09/177,387号;1999年3月2日に提出された米国特許出願第60/122,389号;1999年3月22日に提出された米国特許出願第60/122,392号;1999年3月23日に提出された米国特許出願第60/126,049号;1999年11月12日に提出された米国特許出願09/438,358号;1999年5月28日に提出された米国特許出願第60/136,744号;2000年3月2日に提出された米国特許出願第09/517,466号;およびPCT国際公開公報第00/52027号(これらのすべての開示内容はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)。さらに、本発明の単離されたDNA分子を、種々の原核生物(細菌)または真核生物(酵母、植物、またはヒトおよび他の哺乳動物を含む動物)宿主細胞のトランスフェクションまたは形質転換のために適した標準的なヌクレオチドベクターに挿入することもできる。これらの目的に適したベクター、およびその中へのDNA断片の挿入のための方法は当業者に周知であると考えられる。したがって、本発明は、このようなDNA分子を含むベクター、ならびにこのようなDNA分子および/またはベクターを含む宿主細胞にも関する。
【0163】
本発明に用いうる代表的な宿主細胞には、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、および動物細胞が非制限的に含まれる。本発明に用いるのに適した細菌宿主細胞には、エシェリキア属細胞(特に大腸菌細胞、最も詳細には大腸菌株DH10B、Stbl2、DH5α、DB3、DB3.1(例えば、E.coli LIBRARY EFFICIENCY(登録商標)DB3.1(商標)コンピテント細胞;Invitrogen Corp., Life Technologies Division(Rockville, Maryland))、DB4およびDB5;(2000年3月2日に提出された米国特許出願第09/518,188号(その開示内容はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)を参照されたい)、バシラス属細胞(特に枯草菌および巨大菌(B. megaterium)の細胞)、ストレプトミセス属細胞、エルウィニア属細胞、クレブシエラ属細胞、セラチア属細胞(特に霊菌(S. marcessans)細胞)、シュードモナス属細胞(特に緑膿菌細胞)、およびサルモネラ属細胞(特にネズミチフス菌およびチフス菌の細胞)が含まれる。本発明に用いるのに適した動物宿主細胞には、昆虫細胞(最も詳細には、キイロショウジョウバエ細胞、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)Sf9細胞およびSf21細胞、ならびにイラクサキンウワバ(Trichoplusa)ハイファイブ(High-Five)細胞)、センチュウ細胞(特にC.エレガンス細胞)、鳥類細胞、両生類細胞(特にアフリカツメガエル細胞)、爬虫類細胞、および哺乳動物細胞(最も詳細には、CHO、COS、VERO、BHK、およびヒト細胞)。本発明に用いるのに適した酵母宿主細胞には、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞およびピキア酵母(Pichia pastoris)細胞が含まれる。上記および他の適した宿主細胞は、例えば、Invitrogen Corp., Life Technologies Division(Rockville, Maryland)American Type Culture Collection(Manassas, Virginia);およびAgricultural Research Culture Collection(NRRL;Peoria, Illinois)から市販されている。
【0164】
本発明の1つまたは複数の核酸分子および/またはベクターを含む宿主細胞を作製するために、本発明の核酸分子および/またはベクターを本明細書に記載の宿主細胞に導入するための方法は、当業者にはよく知られていると考えられる。例えば、本発明の核酸分子および/またはベクターを、感染、形質導入、トランスフェクション、および形質転換という周知の技法を用いて宿主細胞に導入することができる。本発明の核酸分子および/またはベクターは単独で導入してもよく、または他の核酸分子および/またはベクターとともに導入してもよい、または、本発明の核酸分子および/またはベクターを、沈降物(例えば、リン酸カルシウム沈降物)または脂質との複合物として宿主細胞に導入することもできる。電気穿孔法を、本発明の核酸分子および/またはベクターを宿主に導入するために用いてもよい。同様に、そのような分子を、化学的にコンピテントな細胞に導入することもできる。ベクターがウイルスである場合には、それをインビトロでパッケージ化するかパッケージング細胞に導入し、パッケージングされたウイルスを細胞に形質導入してもよい。したがって、本発明のこの面に従って、本発明の核酸分子および/またはベクターを宿主に導入するために適した非常にさまざまな技法が当業者に周知であり、慣用されている。このような技術は、例えば以下のものに詳細に概説されている:Sambrook, J.ら、「Molecular Cloning, Laboratory Manual」第2版、Cold Spring Harbor, NY:Cold Spring Harbor Laboratory Press, pp. 16.30-16.55 (1989)、Watson, J.D.ら、「Recombinant DNA」第2版、New York:W.H. Freeman and Co., pp. 213-234 (1992)、およびWinnacker, E.、「From Genes to Clones」、New York:YCH Publishers (1987)(これらは、これらの技法を詳述している多くの実験マニュアルの例示であり、これらはその全体が関連する開示内容に関して参照として本明細書に組み入れられる)。
【0165】
キット
本発明は、核酸分子の組換えクローニングに用いるためのキットにも関する。本発明によるキットは、バイアル、チューブ、瓶、アンプルなどの1つまたは複数の容器を内部に密に納めて収容するように区画化された搬送手段を含みうる。このような容器のそれぞれは、核酸分子の組換えクローニングを、特に本発明の方法に従って行うために必要な成分または成分の混合物を含みうる。
【0166】
このような1つの面において、本発明のキットは、少なくとも1つのFisタンパク質またはその断片を含みうる。さらに、このようなキットは少なくとも1つの組換えタンパク質も含みうる。本発明のキットに用いるのに適したFisタンパク質および組換えタンパク質には、これに必ずしも限定されないが、本明細書中に詳細に記載したタンパク質が含まれる。当然ながら、キットが1つまたは複数の容器を含み、第1の容器が少なくとも1つのFisタンパク質および少なくとも1つの組換えタンパク質を含む、または第1の容器が本発明の上記の組成物もしくは成分の1つもしくは複数を含むように、これらの成分の1つまたは複数を単一の容器内に配合することも可能である。本発明のさらなるキットは、核酸分子の組換えクローニングを行う上で有用と思われる補足的な成分、例えば、1つまたは複数のポリメラーゼ(Taq、Tne、Tmaといった、1つまたは複数の耐熱性DNAポリメラーゼなど)、1つまたは複数のリボソームタンパク質(またはその断片)、逆転写酵素活性を有する1つまたは複数のポリペプチド(RSVまたはASLY逆転写酵素、特にRNアーゼH活性が大幅に低下したものなど)、1つまたは複数の制限エンドヌクレアーゼ、1つまたは複数の緩衝液、1つまたは複数の界面活性剤、キットの成分の使用に関する説明書などを含む、1つまたは複数の補足的な容器を含みうる。
【0167】
用途
本発明の組成物、方法、およびキットには数多くの用途がある。これらの用途には、ベクターの変更、遺伝子を調節性遺伝子配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)と機能的に結合させること、融合タンパク質の遺伝子の構築、コピー数の変更、レプリコンの変更、ファージ中へのクローニング、ならびに例えばPCR産物(一方の端にattB部位を有し、もう一方の端にloxP部位を有するもの)、ゲノムDNAおよびcDNAのクローニングが非制限的に含まれる。このような用途は、例えば以下のものに詳細に記載されている:1995年6月7日に提出された米国特許出願第08/486,139号;1996年6月7日に提出された米国特許出願第08/663,002号(現在は米国特許第5,888,732号);1998年1月12日に提出された米国特許出願第09/005,476号;1997年10月24日に提出された米国特許出願第60/065,930号;1998年10月23日に提出された米国特許出願第09/177,387号;1999年3月2日に提出された米国特許出願第60/122,389号;1999年3月22日に提出された米国特許出願第60/122,392号;1999年3月23日に提出された米国特許出願第60/126,049号;1999年11月12日に提出された米国特許出願09/438,358号;1999年5月28日に提出された米国特許出願第60/136,744号;2000年3月2日に提出された米国特許出願第09/517,466号;およびPCT国際公開公報第00/52027号(これらのすべての開示内容はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)。
【0168】
本明細書に記載した方法および用途に対する他の適切な改変および適合化が直ちに明らかであること、ならびにそれを本発明の発明およびその任意の態様から逸脱することなく行いうることは、関連技術分野の当業者には理解されると考えられる。本発明をここまで詳細に説明してきたが、これは以下の実施例を参照することによってより明確に理解されると考えられる。この実施例は、例示の目的のみで含まれるものであり、本発明を限定することは意図していない。
【0169】
実施例
本発明の組換えクローニング方法は、クローニングベクターの変化のように、あるものを使用者にとって有用にするために核酸セグメントの交換を遂行する。ほとんどの場合、これらのセグメントは、互いに対して適切な方向にある組換えシグナルによって両側を挟み込まれる必要がある。以下の実施例において、2つの親の核酸分子(例えば、プラスミド)は挿入ドナーおよびベクタードナーと呼ばれる。挿入ドナーは、ベクタードナーによって付与される新たなベクターと連結される予定のセグメントを含む。両方の開始分子を含む組換え中間体はコインテグレートと呼ばれる。第2の組換え事象は2つの娘分子を生成し、これらは産物(所望の新たなクローン)および副産物と呼ばれる。
【0170】
緩衝液
本発明の反応には種々の既知の緩衝液を用いることができる。制限酵素に関しては、製造者によって推奨される緩衝液を用いることが望ましい。代替的な緩衝液は、文献から容易に見出することができ、または当業者によって考案することもできる。λインテグラーゼのための1つの例示的な緩衝液は、50mM Tris-HCl(pH 7.5-7.8)、70 mM KCl、5mMスペルミジン、0.5 mM EDTA、および0.25mg/mlウシ血清アルブミンを含み、選択的には10%グリセロールも含む。λインテグラーゼのためのもう1つの緩衝液は、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM NaCl、4mMスペルミジン、1.0mM EDTA、および15%グリセロールである。λIntに類似した他の部位特異的リコンビナーゼのために適した緩衝液は当技術分野で知られているか、または特に上記の緩衝液に鑑みて当業者によって経験的に決定されうるかのいずれかである。
【0171】
実施例1:大腸菌リボソームタンパク質によるインテグラーゼの賦活
材料および方法
組換えアッセイ法のためのDNA
1つのattP部位を有するプラスミドpHN894(図2)および1つのattB部位を有するプラスミドpBB105(図3)が記載されている(Kitts, P.A.およびNash, H.A. J. Mol. Biol. 204: 95-107 (1988);Nash, H.A.Methods Enz. 100: 210-216 (1983))。pBB105は使用前にEcoRIで切断した。1つのattL部位を有するプラスミドpHN872(図4)、および1つのattR部位を有するプラスミドpBN868(図5)が記載されている(Kitts, P.A.およびNash, H.A. J. Mol. Biol. 204: 95-107 (1988))。pHN872は使用前にSalIで切断した。これらのプラスミドを大腸菌DH10B株において増殖させた。プラスミドDNAの調製用の細胞を増殖させるための増殖培地は1リットル中に以下を含む:トリプトン12g、酵母エキス24g、KHPO2.3g、KHPO12.5g、0.01%(v/v)PPG消泡剤、および適切な抗生物質。グリセロール保存物からの細胞を、100μg/mlアンピシリン(pBB105、pHN894、pHN868)または100μg/mlカナマイシン(pHN872)を含む25mlの培地中に入れ、37℃で一晩増殖させた。一晩おいた培養物の15mlを、10μg/mlの適切な抗生物質を含む1.5L培地に添加し、細胞をA600が2.0となるまで増殖させた。続いてクロラムフェニコールを最終濃度170μg/mlとなるように添加し、増殖を37℃で16時間続けた。細胞を遠心処理によって回収し、-70℃で保存した。プラスミドDNAは以下の通りに精製した。凍結細胞を氷上で解凍し、25mM Tris-HCl(pH 8.0)、10mM EDTA、および50mMグルコース(TEG)+100μg/mlのRNアーゼA+1mg/mlリゾチームの中に細胞7ml/gとして再懸濁した。続いて、細胞を可溶化するために1%(w/v)SDS-0.125N NaOHを細胞が14ml/gとなるように添加した。氷上に10分間置いた後に、7.5M酢酸アンモニウムを添加して細胞10.5ml/gとした。氷上に10分間置いた後、混合物を28,000×gで10分間遠心し、上清を採取した。0.6倍容量の冷イソプロパノールの添加によってDNAを沈殿させ、28,000×gでの10分間の遠心によってDNAをペレット化した。DNAペレットを10mM Tris-HCl(pH 7.5)-1mM EDTA(T10E)+RNアーゼA(100μg/ml)+RNアーゼT1(1,200U/ml)中に溶解した。DNAのフェノール抽出およびエタノール沈殿の後に、それをT10E中に溶解した。DNAを100倍容量の10mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、および450mM NaCl(T10EN450)に対して一晩透析した。透析したDNAを、T10EN450で平衡化したNACS-37カラム(LTI)にかけた。カラムをカラム10倍量のT10EN450で洗浄した上で、0.45M〜0.65M NaCl(T10E中)によるカラム15倍量の直線的勾配によって溶出させた。画分をアガロースゲル電気泳動によって分析し、超らせんDNAを含むものをプールした。プールしたDNAをT10Eに対して透析し、-20℃で保存した。
【0172】
プラスミドpEZ13835(図6;attP)、pEZC7501(図7;attB)、pEZ11104(図8;attR)、およびpEZC8402(図9;attL)は示した通りである。pEZC7501は使用前にScaIで、pEZC8402はNcoIで切断した。pEZ13835およびpEZC8402は大腸菌DB2株において、他の2つは大腸菌DH5αにおいて増殖させた。グリセロール保存物からの細胞を、25mlのCirclegrow(BIO 101)+100μg/mlアンピシリン(pEZC7501およびpEZC8402)または+100μg/mlカナマイシン(pEZ13835およびpEZ11104)に入れ、37℃で一晩増殖させた。細胞を遠心処理によって回収し、-70℃で保存した。プラスミドDNAはQiagen社のMidi製品およびプロトコールを用いて精製した。
【0173】
SDS PAGE
Tris-Tricine SDS PAGE 16%プレキャストミニゲル(Novex)をタンパク質試料の分析に用いた。試料は、同容積の0.9M Tris-HCl(pH 8.45)、24%(v/v)グリセロール、8%(w/v)SDS、0.015%(w/v)クーマシーブルーG、0.005%(w/v)フェノールレッド、および0.05Mジチオスレイトールを混合して、3〜5分間煮沸することによって調製した。ゲルを0.1M Tris-Tricine(pH 8.3)-0.1%(w/v)SDS中にて125ボルトで90分間泳動させた。ゲルを50%(v/v)メタノール、10%(v/v)酢酸、および1mg/mlクーマシーブルーR-250溶液で染色し、続いて20%(v/v)メタノール、10%(v/v)酢酸溶液中で脱染した。
【0174】
タンパク質濃度の決定
S20、Int、およびXisはブラッドフォード試薬色素とはほとんど結合しないため、ブラッドフォード法はタンパク質濃度の決定に用いなかった。その代わりに、IntおよびXisについては、SDSゲル上をIntまたはXisと並べて泳動させた類似サイズの既知の量のBenchMarkタンパク質標準物質のクーマシーブルー染色バンドの強度との比較によってタンパク質濃度を推定した。S20については、0.140×10M−1cm−1の278nmでの吸光係数を用いてタンパク質濃度を確定した(Eur. J. Biochem. 126: 299-309 (1982))。
【0175】
PCR
PCR反応混合物(50μl)には、22mM Tris-HCl(pH 8.4)、55mM KCl、1.65mM MgCl、各200μMのdATP、dCTP、dTTP、およびdGTP、1μMの各プライマー、300ngのDNAテンプレート、ならびに1.1単位のTaq DNAポリメラーゼを含めた。最初のテンプレート変性は95℃、5分間とした。
【0176】
IHFの精製
IHFの過剰産生に対して用いた染色剤は記載されている(Nash, H.A.ら、J. Bacteriol. 169: 4121-4127 (1987))。IHFは記載されている通りに精製した(Rice, P.A.ら、Cell 87: 1295-1306 (1996))。
【0177】
天然Intの精製
天然のIntは、大腸菌HN695株(Lange-Gustafson, B.J.およびNash, H.A. J. Biol. Chem. 259:12724-12732 (1984))から、発表された手順(Nash, H.A. Methods Enz. 100: 210-216 (1983))の変法によって単離した。
【0178】
細胞の増殖
HN695株のグリセロール保存物からの細胞を、250mlフラスコに入れた25μg/mlアンピシリンを含むLB培地50mlに接種した。この培養物をエアシェーカー(air shaker)内で、A650が0.6〜1.4となるまで31℃で増殖させた。この播種培養物を、それぞれ500mlの増殖培地を含む6本の2.8Lフラスコへの接種に用い、細胞を上記の通りに増殖させた。これらの培養物を、500L発酵槽に入れた360Lの増殖培地への接種に用いた。通気(190rpm)および攪拌(200rpm)の下で、A650が0.65となるまで細胞を31℃で増殖させ、冷却した遠心分離器により回収した。細胞ぺースト(〜400g)を、10%(w/v)スクロースを含む氷冷した50mM Tris-HCl(pH 7.5)の添加によって600mlに増量し、ウェアリング混合機により低速でホモジネート化した。このスラリーを40mlずつのアリコートに分割し、ドライアイスで凍結した上で、-70℃で保存した。
【0179】
抽出物の調製
凍結細胞の3本のチューブ(60g)を室温で解凍し、氷上に置いた。各チューブに対して、10mg/mlリゾチーム溶液(250mM Tris-HCl(pH 7.5)中)2mlを添加し、チューブを十分に混合した。氷上に35分間置いた後、混合物を32,600×gで45分間遠心した。上清を保管した(57ml)。
【0180】
差次的塩析(Differential Salt Precipitation)
上清を50mM Tris-HCl(pH 7.5)で希釈して100mlとし、予冷却したSorval T865ローターにて4℃および41,000rpm(170,000×g)で200分間遠心した。上清をデカントして凍結し、-70℃で保存した。ペレットも-70℃で保存した。解凍したペレットを、テフロン製乳棒を利用して、バッファーX(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、1mMβ-メルカプトエタノール、および10%(w/v)グリセロール)+0.6M KCl中に再懸濁した。同じ緩衝液を用いて容積を50mlに調整した後に、混合物を4℃で1時間攪拌し、Sorval T865ローターにより前と同じように遠心した。透明な淡黄色の上清を注意深く採取し、ドライアイスで凍結した上で、-70℃で保存した。
【0181】
ホスホセルロースクロマトグラフィー
解凍後に、第2の上清を、バッファーX+0.6M KClにより平衡化した4.5mlホスホセルロースカラム(Whatman P-11)に38cm/時でローディングし、カラムをカラム5倍量のバッファーX+0.6M KClで洗った。カラムを、バッファーX+0.6M KClからバッファーX+1.7M KClまでのカラム10倍量の直線的勾配によって19cm/時で展開した。0.7〜1.1M KClの間に溶出するInt含有画分をプールして、-70℃で保存した。
【0182】
ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー
ホスホセルロースによるプールを、バッファーX+0.6M KClにより平衡化した1.5mlヒドロキシアパタイトカラム(Bio-Rad、セラミック、II型)に38cm/時でローディングした。ローディングの前に、プールをバッファーXで希釈して、バッファーX+0.6M KClのイオン強度と一致させた。カラムをバッファーX+1M KClで洗った。Intは、バッファーX+0.6M KClからバッファーX+0.6M KCl+0.025M KPO4までのカラム10倍量の直線的勾配により、19cm/時で溶出された。Int含有画分をプールし、BSAを2mg/mlとなるように添加した上で、プールを-70℃で凍結させた。
【0183】
天然Int調製物の副画分としての賦活タンパク質(stimulatory protein)の精製
「材料および方法」の「天然Intの精製」の項に記載した通りに、細胞を増殖させて回収し、細胞抽出物を調製した。透明な細胞抽出物(〜60ml)をバッファーXで100mlに希釈し(天然Intの精製の項参照)、Sorval T865ローターにて4℃、41,000rpmで200分間遠心した。上清を25mlずつのアリコートに分割して50mlコニカルチューブに入れ、熱湯浴に30分間浸漬した。加熱した懸濁液を27,000×gで45分間遠心した。上清を採取し、バッファーX+1.7M KClで希釈してバッファーX+0.6M KClのイオン強度と一致させた上で、バッファーX+0.6M KClにより平衡化した18mlホスホセルロース(Whatman P-11)カラム(1.6×9cm)に15cm/時でローディングした。カラムをカラム10倍量のバッファーX+0.6M KClで洗い、バッファーX+0.6M KClからバッファーX+1.7M KClまでのカラム10倍量の直線的勾配により展開した。画分は-70℃で保存した。画分のアリコートのSDS PAGE分析によって見かけの分子量11kDaで移動する単一のタンパク質バンドが明らかになった。このタンパク質は1.2M KClで溶出した。この11KDaタンパク質を含む画分をプールし、バッファーXで希釈してバッファーX+0.2M KClのイオン強度と一致させた。希釈したプールを、バッファーX+0.2M KClにより平衡化した1ml Mono Sカラム(Pharmacia)に76cm/時でローディングした。タンパク質はバッファーX+1.0M KClで溶出した。11KDaタンパク質のピークを含む画分をプールし、-70℃で保存した。タンパク質を、「材料および方法」の「賦活タンパク質のアミノ末端アミノ酸配列分析」の項に記載したアミノ末端アミノ酸配列分析にかけたところ、リボソームタンパク質S20であることが判明した。
【0184】
天然Intを産生する細胞からの賦活タンパク質の精製
「材料および方法」の「天然Intの精製」の項に記載した通りに、細胞を増殖させて回収した。細胞スラリー(細胞60g)を室温で解凍し、氷上に置いた。20mg/mlリゾチーム溶液(250mM Tris-HCl(pH 7.5)中)を、細胞の容積の1/20の容積として添加した。時折混合しながら40分間氷上に置いた後、KClを最終濃度0.6Mとして添加した。スラリーを25mlずつのアリコートに分けて50mlコニカルチューブに入れ、72℃水浴中に25分間浸漬した。懸濁液を27,000×gで45分間遠心した。上清を、バッファーX+0.6M KClにより平衡化した10mlホスホセルロースカラム(Whatman P-11)(1.6×5cm)に15cm/時でローディングした。カラムをカラム10倍量のバッファーX+0.6M KClで洗い、バッファーX+0.6M KClから1.7M KClまでのカラム10倍量の直線的勾配によって展開した。画分をλインテグラーゼ活性の賦活能力に関してアッセイした(「材料および方法」の」組込み型組換えゲルアッセイ法」の項参照)。賦活活性の2つのピークが見いだされた。〜0.8M KClで溶出した画分(プール1)および〜1.2M KClで溶出した画分(プール2)から2つのプールを作成し、-70℃で保存した。
【0185】
これらのプールをMono Sにより別個に処理した。各プールをバッファーXで希釈してバッファーX+0.2M KClのイオン強度と一致させ、バッファーX+0.2M KClにより平衡化した1ml Mono Sカラム(Pharmacia)に76cm/時でローディングした。カラムをカラム10倍量のバッファーX+0.2M KClで洗い、バッファーX+0.2M KClからバッファーX+1.7M KClまでのカラム20倍量の直線的勾配によって展開した。画分は-70℃で保存した。
【0186】
各カラムからの画分をλインテグラーゼ活性の賦活能力に関してアッセイした。ホスホセルロースからのプール1は、Mono Sによって2つの活性ピークに分画された。第1のピークの主なタンパク質バンド(図18、レーンAおよびB)はN末端アミノ酸配列分析により、リボソームタンパク質L27と決定された(「材料および方法」の「賦活タンパク質のアミノ末端アミノ酸配列分析」の項参照)。勾配下で後に溶出する第2のピークは2つの主なタンパク質バンドから構成されることが、SDS PAGE分析によって見いだされた(図18、レーンCおよびD)。1つのタンパク質はL27とともに移動し、もう1つはL27およびS20よりも移動度が低かった(レーンE)。ホスホセルロースからのプール2はMono Sによって1つの活性ピークに分画され、これはMono Sのプール1の第2のピークよりも幾分高い塩濃度で溶出した。この活性ピーク中の主なタンパク質はSDS-PAGE分析の際にS20タンパク質とともに移動した(図18、レーンFおよびG)。
【0187】
賦活タンパク質のアミノ末端アミノ酸配列分析
「材料および方法」の「SDS PAGE」の項に記載した通りに、タンパク質試料に対してSDS PAGEを行った。ゲルはトランスファー緩衝液(0.05M Tris、0.04Mホウ酸、0.5mM EDTA、20%(v/v)メタノール(pH 8.4))により平衡化した。PVDF膜(Millipore社のImmobilon P)を製造者の説明書に従って調製し、トランスファーバッファーにより平衡化した。BioRadミニブロッティング装置を100ボルトで1時間用いて、タンパク質を膜に移行させた。膜をクーマシーブルーR-250染色溶液で染色し、100%(v/v)メタノール中で脱染した。膜を風乾させ、染色されたタンパク質バンドを膜から切り出して、1.5ml微量遠心管内に保存した。
【0188】
膜に結合したタンパク質試料に対するアミノ末端アミノ酸配列分析は、HHMI Biopolymer Laboratory, W.M. Keck Foundation, New Haven, CTによる自動エドマン配列分析によって行った。
【0189】
Int-Hisのクローニング
Int遺伝子のクローニングには以下の2つのオリゴヌクレオチドを用いた:
Figure 2004531259
および
Figure 2004531259
これらのオリゴヌクレオチドを、λDNAをテンプレートとして用いて1,092bpのPCR増幅産物を得るために用いた。以下の段階から構成される8サイクルによってDNAを増幅した(「材料および方法」の「PCR」の項):95℃ 15秒間、55℃ 15秒間、および72℃ 90秒間。1,092bpのPCR産物をNdeIおよびHindIIIで消化し、大腸菌DH10B宿主内のプラスミドpTRCN2のNdeI部位およびHindIII部位(図10)にクローニングした。この構築物をpTRCN2INT2と呼ぶ(図11)。Int遺伝子はpTRCプロモーターの制御下にあり、Hisタグをコードする配列をタンパク質のカルボキシ末端に含む。pTRCN2INT2中のInt遺伝子のDNA配列を決定したところ、以下のように改変されていることを除き、発表された配列と一致することが見いだされた。本来は3位および4位のArgをコードするArgコドンAGAおよびAGGが、大腸菌でより高い頻度で用いられるArgコドンであるCGAおよびCGTにそれぞれ変化していた。
【0190】
Int-Hisの精製
プラスミドpTRCN2INT2を有する大腸菌DH10B細胞からInt-Hisを精製した(「材料および方法」の「Int-Hisのクローニング」の項参照)。
【0191】
細胞の増殖
播種用の保存株を調製するために、プラスミドpTRCN2INT2を有する大腸菌DH10B細胞を緩衝リッチメディウム培地+100μg/mlアンピシリン中にて、A590が〜2となるまで30℃で増殖させた。培養物を50%グリセロールと1:1で混合した。混合物は1mlずつに分割して氷上でクリオバイアルに入れた後に-80℃で保存した。
【0192】
小規模増殖のためには、凍結グリセロール保存物からの細胞を、2×250ml底面バッフル付き振盪フラスコに入れた2×50ml緩衝リッチメディウム+100μg/mlアンピシリン中に接種した。細胞を30℃および250rpmの下で16.5時間増殖させてA590を〜4.0とした。初回振盪フラスコ増殖物の25mlを、1Lの緩衝リッチメディウム+100μg/mlアンピシリンを含むそれぞれ4L、2.8Lの底面バッフル付きフェルンバッハフラスコに接種した(初期A590は〜0.1)。培養物をA590=1.0〜1.5となるまで30℃で増殖させた。培養物にIPTGを1mMとなるまで添加することによって誘導を加えた。増殖を30℃で2時間継続した。培養物を4×1L遠心ボトルに入れて氷冷することによって冷却し、4,500rpm(5,895×g)および4℃での12分間の遠心処理によって回収した。各ペレットを〜7mlの50mM Tris-HCl(pH 8.0)、100mM NaCl、4℃中への再懸濁によって洗い、再び遠心を行った。ペレットを凍結して-80℃で保存した。
【0193】
大規模増殖のためには、250ml底面バッフル付き振盪フラスコに入れた50mlの緩衝リッチメディウム+100μg/mlアンピシリンに、1mlの凍結保存株を接種した。細胞を30℃および250rpmの下で増殖させてA590を0.8〜1.2とした。この50mlすべてを、2.8L底面バッフル付きフェルンバッハフラスコに入れた500mlの緩衝リッチメディウム+100μg/mlに接種した。増殖を30℃および250rpmの下で継続し、A590=0.8〜1.2とした。
【0194】
14L容器に入れた10Lの緩衝リッチメディウム+100μg/mアンピシリンに対して、500mlの培養物をすべて接種した。温度は30℃に保った。溶存酸素レベルは>30%、pHは7+/-0.3に調節した。A590=1.5〜2.0となったところで、培養物にIPTGを1mMとなるまで添加することによって誘導を加えた。増殖を30℃で2時間継続した。容器を冷却し、Sharples遠心分離器による遠心処理によって回収した。細胞ペーストを凍結し、-80℃で保存した。
【0195】
精製
凍結細胞(20g)を氷上で解凍し、40mlのTris-HCl(pH 8.0)-10%(w/v)スクロース中に懸濁した。細胞を氷上で超音波処理によって破砕し(最大設定の70%で30秒間のバーストを4回)、抽出物を27,000×g、4℃で30分間遠心した。その上清を収集した。NiSOで荷電させてバッファーA(50mM Tris-HCl(pH 8.0)、0.3M NaCl、10%(v/v)グリセロール)により平衡化した20ml(充填容積)のChelating Sepharose(Pharmacia)と上清を混合した。スラリーを50mlコニカルチューブに移し、4℃で30分間静かに振盪した。続いてスラリーを1.6cmカラムに充填し、FPLCシステム(Pharmacia)に接続した。カラムをカラム20倍量のバッファーA+20mMイミダゾールにより30cm/時で洗った。タンパク質を、バッファーA+20mMイミダゾールからバッファーA+500mMイミダゾールまでのカラム15倍量の直線的勾配によって溶出させた。画分をSDS PAGEにより分析した。Int-Hisを含む画分をプールし、0.5M EDTAを最終濃度1mMとして添加した。続いてこのプールを分画分子量(MWCO)10,000の透析チューブに移し、50倍容量のバッファーB(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、10%(v/v)グリセロール、および1mMβ-メルカプトエタノール)に対して透析した。透析したプールを、バッファーB+0.2M NaClにより平衡化した2ml(1×1cm)END-S04(EM Separations)カラムに38cm/時でローディングした。カラムをカラム10倍量のバッファーB+0.2M NaClによって76cm/時で洗い、バッファーB+0.2M NaClからバッファーB+1.6M NaClまでのカラム15倍量の直線的勾配によって展開した。SDS PAGEによる分析では、Int-Hisは約1.1M NaClで溶出した。ピーク画分をプールし、プールを10,000 MWCOの透析チューブに移して、100倍容量のバッファーC(バッファーBからEDTAを除いたもの)に対して透析した。透析したプールを、バッファーCにより平衡化した1ml(0.5×1cm)ヒドロキシアパタイトカラム(Type II、BioRad)に38cm/時でローディングした。カラムをカラム10倍量のバッファーC+1M NaClで洗い、カラム10倍量のバッファーC+0.6M NaCl+25mM KPO4により19cm/時で展開した。画分をSDS PAGEによって分析し、Int-Hisを含むピーク画分をプールした。このプールを10,000 MWCOの透析チューブに移して、200倍容量の50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM NaCl、0.05mM EDTA、50%(v/v)グリセロール、および1mM DTTに対して4℃で一晩透析した。最終的な試料を-70℃で保存した。
【0196】
Xis-Hisのクローニング
Xis遺伝子のクローニングには以下の2つのオリゴヌクレオチドを用いた:
Figure 2004531259
および
Figure 2004531259
【0197】
これらのオリゴヌクレオチドを、λDNAをテンプレートとして用いて219bpのPCR増幅産物を生成するために用いた。以下の段階から構成される15サイクルによってDNAを増幅した(「材料および方法」の「PCR」の項):95℃ 15秒間、55℃ 15秒間、および72℃ 60秒間。219bpのPCR産物をNdeIおよびHindIIIで消化し、プラスミドpTRCN2のNdeI部位およびHindIII部位にクローニングした(図10)。この構築物をpTRCN2XIS2と命名した(図12)。このXis遺伝子はpTRCプロモーターの制御下にあり、Hisタグをコードする配列をタンパク質のカルボキシ末端に含む。pTRCN2XIS1中のXis遺伝子のDNA配列を決定したところ、発表された配列と一致することが見いだされた。
【0198】
Xis-Hisの精製
プラスミドpTRCN2XIS1を有する大腸菌Stbl 2細胞からXis-Hisを精製した(「材料および方法」の「Xis-Hisのクローニング」の項参照)。
【0199】
細胞の増殖
播種用の保存株を調製するために、プラスミドpTRCN2XIS1を有する大腸菌Stbl 2細胞を緩衝リッチメディウム培地+100μg/mlアンピシリン中で、A590が〜3となるまで37℃で増殖させた。培養物を50%グリセロールと1:1で混合した。混合物を1mlずつに分割して氷上でクリオバイアルに入れた後に-70℃で保存した。
【0200】
小規模増殖のためには、凍結グリセロール保存物からの細胞を、250ml底面バッフル付き振盪フラスコに入れた50mlの緩衝リッチメディウム+100μg/mlアンピシリン中に接種した。細胞を37℃および250rpmの下で17時間増殖させてA590を〜4.0とした。
【0201】
初回振盪フラスコ増殖物の12mlを、1Lの緩衝リッチメディウム+100μg/mlアンピシリンを含むそれぞれ4L、2.8Lの底面バッフル付きフェルンバッハフラスコに接種した(初期A590は〜0.05)。培養物をA590=1.5〜2.0となるまで37℃で増殖させた。培養物にIPTGを1mMとなるまで添加することによって誘導を加えた。増殖を37℃で2時間継続した。培養物を4×1L遠心ボトルに入れて氷冷することによって冷却し、4,500rpm(5,895×g)および4℃での15分間の遠心処理によって回収した。各ペレットを〜20mlの使用培地への再懸濁によって洗い、再び遠心を行った。ペレットを凍結して-70℃で保存した。
【0202】
大規模増殖のためには、250ml底面バッフル付き振盪フラスコに入れた50mlの緩衝リッチメディウム+100μg/mlアンピシリンに、1mlの凍結保存株を接種した。細胞を37℃および250rpmの下で増殖させてA590を0.6〜1.4とした。この50mlすべてを、2.8L底面バッフル付きフェルンバッハフラスコに入れた500mlの緩衝リッチメディウム+100μg/mlアンピシリンに接種した。増殖を37℃および250rpmの下で継続し、A590=0.6〜1.4とした。14L容器に入れた10Lの緩衝リッチメディウム+100μg/mアンピシリンに対して、500mlの培養物をすべて接種した。温度は37℃に保った。溶存酸素レベルは>30%、pHは7+/-0.3に調節した。A590=1.5〜2.0となったところで、培養物にIPTGを1mMとなるまで添加することによって誘導を加えた。増殖を37℃で2時間継続した。容器を冷却し、Sharples遠心分離器による遠心処理によって回収した。細胞ペーストを凍結し、-70℃で保存した。
【0203】
精製
凍結細胞(20g)を氷上で解凍し、50mM Tris-HCl(pH 8.0)、10%(w/v)スクロース、0.002mg/mlロイペプチン、0.002mg/mlペプスタチンA、0.8mg/mlベンズアミド、および0.05mg/ml Pefablockを含む20ml中に懸濁した。細胞を氷上で超音波処理によって破砕し(最大設定の80%での5秒間のバーストと5秒間の休止を交互に3分間)。抽出物を27,000×g、4℃で30分間遠心し、上清を収集した。この上清を、NiSOで荷電させてバッファーD(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、0.4M NaCl、および10%(v/v)グリセロール)+5mM イミダゾール)により平衡化したChelating Sepharose(Pharmacia)の20mlカラム(1.6×10cm)に30cm/時でローディングした。カラムをカラム20倍量のバッファーD+5mM イミダゾールにより30cm/時で洗い、バッファーD+5mM イミダゾールからバッファーD+450mMイミダゾールまでのカラム15倍量の直線的勾配により12cm/時で展開した。画分をSDS PAGEにより分析した。Xis-Hisタンパク質を含むピーク画分をプールし、0.5M EDTAおよび1M DTTをそれぞれ最終濃度1mMおよび4mMとして添加した。続いてこのプールを、バッファーE(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、10%(v/v)グリセロール、および4mM DTT)+0.4M NaClにより平衡化した5.5ml(1.0×7.0cm)のEMD-SO(EM Separations)カラムに38cm/時でローディングした。カラムをカラム10倍量のバッファーE+0.4M NaClにより76cm/時で洗い、バッファーE+0.4M NaClからバッファーE+2M NaClまでのカラム10倍量の直線的勾配によって15cm/時で展開した。画分をSDS PAGEにより分析した。Xis-Hisは約1.1〜1.8M NaClで幅広いピークとして溶出した。Xis-Hisを含むピーク画分をプールした。このプールをバッファーBで希釈してバッファーE+0.2M NaClのイオン強度と一致させ、バッファーE+0.2M NaClにより平衡化した1ml(0.5×5.0cm)のMono S(Pharmacia)カラムに152cm/時でローディングした。カラムをカラム10倍量のバッファーE+0.2M NaClで洗った。Xis-Hisをカラム10倍量のバッファーE+2.0M NaClにより61cm/時で溶出させた。画分をSDS PAGEによって分析し、Xis-Hisを含むピーク画分をプールした。このプールを分画分子量2,000の透析カセット(Pierce)に移して、200倍容量の50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM NaCl、0.05mM EDTA、50%(v/v)グリセロール、および1mM DTTに対して4℃で一晩透析した。最終的な試料を-70℃で保存した。
【0204】
S20のクローニング
S20遺伝子のクローニングには以下の2つのオリゴヌクレオチドを用いた:
Figure 2004531259
および
Figure 2004531259
【0205】
これらのオリゴヌクレオチドを、大腸菌染色体DNAをテンプレートとして用いて267bpのPCR増幅産物を生成するために用いた。以下の段階から構成される15サイクルによってDNAを増幅した(「材料および方法」の「PCR」の項):95℃ 15秒間、55℃ 15秒間、および67℃ 30秒間。267bpのPCR産物をNdeIおよびBamHIで消化し、大腸菌DH10B内のプラスミドpTRCN2のNdeI部位およびBamHI部位(図10)にクローニングした。この構築物をpTRCN2S20AAと命名した(図13)。このS20遺伝子はpTRCプロモーターの制御下にある。pTRCN2S20AA中のS20遺伝子のDNA配列を決定したところ、下記の点を除き、発表された配列と一致することが見いだされた。すなわち、発現増強のためのクローニングの間に開始コドンがTTGからATGに変化していた。pTRCN2S20AAをNdeIおよびBamHIで消化して267bp断片を作製し、これを大腸菌BL21DE3株内のpET12A(Novagen)のNdeI部位およびBamHI部位にクローニングした。この結果得られた構築物をpET12AS20AAと命名した(図14)。S20遺伝子はT7プロモーターの制御下にある。
【0206】
組換えS20の精製
プラスミドpET12AS20AAを有する大腸菌BL21DE3からS20を精製した(「材料および方法」の「S20のクローニング」の項参照)。
【0207】
細胞の増殖
プラスミドpET12AS20AAを有するBL21DE3のグリセロール保存物からの細胞を、100μg/mlアンピシリンを含む3mlのLB培地に接種した。この接種物をLB培地+100μg/mlアンピシリンで1:100に希釈し、300mlの培養物を30℃で増殖させた。培養物のA650が1.0を超えないようにした。この培養物を用いて、それぞれ500mlのCirclegrow(BIO 101)+100g/mlアンピシリン+1mM MgSOを含む10本のフラスコに接種した。A650が0.5となるまで細胞を37℃で増殖させ、IPTGを0.5mMとなるまで添加してS20の発現を誘導した。37℃で4時間増殖させた後に、細胞を4℃での遠心処理によって回収し、-70℃で保存した。。
【0208】
精製
凍結細胞(10g)を氷上で解凍し、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、0.2mM EDTA、10%(v/v)グリセロール、0.2mM DTT、0.2μg/ml ロイペプチン、および1mM PMSFを含む25ml中に懸濁した。続いて細胞を超音波処理によって破砕した(最大設定の80%の5秒間のバーストと5秒間の休止を交互に1.5分間)。続いてNaCl(5.0M)を最終濃度0.67Mとして添加した。容器を転置することによってスラリーを混合し、続いて氷上に10分間置いた。この混合物を27,000×g、4℃で30分間遠心し、上清を収集した。上清をバッファーB(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、10%(v/v)グリセロール、1mMβ-メルカプトエタノール)で希釈してバッファーB+0.3M NaClのイオン強度と一致させた後に、バッファーB+0.3M NaClにより平衡化した7.5ml(1.8×3.7cm)のEMD-SO(EM Separations)カラムに30cm/時でローディングした。カラムをカラム10倍量のバッファーB+0.3M NaClにより30cm/時で洗い、バッファーE+0.3M NaClからバッファーE+1.8M NaClまでのカラム15倍量の直線的勾配によって30cm/時で展開した。画分をSDS PAGEにより分析した。S20は約0.9M NaClで溶出した。S20のピークを含む画分をプールした。このプールを分画分子量2,000の透析カセット(Pierce)に移して、200倍容量の50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM NaCl、0.05mM EDTA、50%(v/v)グリセロール、および1mM DTTに対して4℃で一晩透析した。最終的な試料を-70℃で保存した。
【0209】
組込み型組換えゲルアッセイ法
アガロースゲル電気泳動によって組込み型組換え(線状化attBおよび超らせん状attP DNA基質を含むと定義される)を観測するための反応混合物(最終容積10μl)を、25℃で45分間インキュベートした。1μlのIntまたはInt-His(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、600mM KCl、2mg/ml BSA、および10%(v/v)グリセロール中に含まれる)を、賦活タンパク質の可能性がある物の存在下または非存在下において、20mM Tris-HCl(pH 8.0)、5mMスペルミジン、50μg/ml BSA、125ngの線状化pBB105、125ngの超らせん状pHN894、および12.5ngのIHFを含む混合物に加えることにより、反応を開始させた。温度を70℃に10分間上昇させることによってインキュベーションを停止し、続いて2.5μlの25%(w/v)Ficoll 400、0.5%(w/v)SDSおよび0.00625%(w/v)ブロモフェノールブルーを添加した。いくつかの場合には、反応混合物をプロテイナーゼKで処理した(10〜20μg、25℃で15分間)。1%アガロースミニゲルキャスト(40mM Tris-酢酸(pH 8.3)、1mM EDTA(TAE)、および1μg/ml臭化エチジウム中)によりTAE中にて105Vで30分間泳動させる電気泳動によって試料を分析した。組換え活性は、10,201bpとして移動するDNAバンドの出現によって示される。Int活性の1単位は、以前に記載された通りに定義した(Nash, H.A.Methods Enz. 100: 210-216 (1983))。
【0210】
除去型組換えゲルアッセイ法
アガロースゲル電気泳動によって切出し型組換え(線状化attLおよび超らせん状attR DNA基質を含むと定義される)を観測するための反応混合物(最終容積10μl)を、25℃で45分間インキュベートした。1μlのIntまたはInt-His(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、600mM KCl、2mg/ml BSA、および10%(v/v)グリセロール中に含まれる)を、賦活タンパク質の可能性がある物の存在下または非存在下において、20mM Tris-HCl(pH 8.0)、5mMスペルミジン、50μg/ml BSA、125ngの線状化pHN872、125ngの超らせん状pHN868、12.5ngのIHF、および28ngXisまたはXis-His6を含む混合物に加えることにより、反応を開始させた。温度を70℃に10分間上昇させることによってインキュベーションを停止し、続いて2.5μlの25%(w/v)Ficoll 400、0.5%(w/v)SDS、および0.00625%(w/v)ブロモフェノールブルーを添加した。いくつかの場合には、反応混合物をプロテイナーゼKで処理した(10〜20μg、25℃で15分間)。1%アガロースミニゲルキャスト(40mM Tris-酢酸(pH 8.3)、1mM EDTA(TAE)、および1μg/ml臭化エチジウム中)によりTAE中にて105Vで30分間泳動させる電気泳動によって試料を分析した。組換え活性は、9,991bpとして移動するDNAバンドの出現によって示される。
【0211】
組込み型組換えコロニー形成アッセイ法
大腸菌の形質転換によって組込み型組換え(線状化attBおよび超らせん状attP DNA基質を含むと定義される)を観測するための反応混合物(最終容積20μl)を、25℃で45分間インキュベートした。4μlのIntまたはInt-His(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM NaCl、1mM EDTA、200μg/ml BSA、および50%(v/v)グリセロール中に含まれる)を、S20の存在下または非存在下において、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM NaCl、2.5mMスペルミジン、0.25mM EDTA、200μg/ml BSA、100ngの線状化pEZC7501、100ngの超らせん状pEZ13835、および10ngのIHFを含む混合物に加えることにより、反応を開始させた。温度を70℃に10分間上昇させることによってインキュベーションを停止した。プロテイナーゼK(1μl中に4μg)を添加し、37℃で10分間おいた後に混合物を遠心した(14,000rpm、30秒間)。この混合物(1μl)を用いて、滅菌ポリプロピレンチューブに入れた100μlのME DH5α大腸菌コンピテント細胞(LTI)の形質転換を氷上にて行った。氷上に30分間置いた後、チューブを42℃水浴中に45秒間入れて熱ショックを与えた。続いてチューブを氷上に2分間置いた。S.O.C.培地(0.9ml)をチューブに添加し、チューブを振盪機に入れて37℃および225rpmの下に60分間置いた。形質転換細胞のアリコート(10μlおよび100μl)を、LB培地+100μg/mlカナマイシンにより調製した別個の寒天プレート上に播き、プレートを37℃で16〜24時間インキュベートした。カナマイシン耐性コロニーは、組込み型組換え事象の結果としてのみ生じる。
【0212】
除去型組換えコロニー形成アッセイ法
大腸菌の形質転換によって切出し型組換え(線状化attRおよび超らせん状attL DNA基質を含むと定義される)を観測するための反応混合物(最終容積20μl)を、25℃で45分間インキュベートした。4μlのIntまたはInt-His(50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM NaCl、1mM EDTA、200μg/ml BSA、および50%(v/v)グリセロール中に含まれる)を、S20の存在下または非存在下において、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、50mM NaCl、2.5mMスペルミジン、0.25mM EDTA、200μg/ml BSA、100ngの線状化pEZC8402、100ngの超らせん状pEZ11104、12.5ngのIHF、および28ngのXisまたはXis-Hisを含む混合物に加えることにより、反応を開始させた。温度を70℃に10分間上昇させることによってインキュベーションを停止した。プロテイナーゼK(1μl中に4μg)を添加し、37℃で10分間おいた後に混合物を遠心した(14,000rpm、30秒間)。この反応混合物の一部(10.5μl)を89.5μlのT10E1で希釈した。希釈した混合物(1μl)を用いて、滅菌ポリプロピレンチューブに入れた100μlのME DH5α大腸菌コンピテント細胞(LTI)の形質転換を氷上にて行った。氷上に30分間置いた後、チューブを42℃水浴中に45秒間入れて熱ショックを与えた。続いてチューブを氷上に2分間置いた。S.O.C.培地(0.9ml)をチューブに添加し、チューブを振盪機に入れて37℃および225rpmの下に60分間置いた。形質転換細胞のアリコート(10μlおよび100μl)を、LB培地+100μg/mlアンピシリンにより調製した別個の寒天プレート上に播き、プレートを37℃で16〜24時間インキュベートした。アンピシリン耐性コロニーは、切出し型組換え事象の結果としてのみ生じる。
【0213】
結果
第I部:細胞抽出物成分との混合によるインテグラーゼ活性の回復
カラム分画によるInt活性の回復
大腸菌で過剰発現されたIntの精製には、差次的塩析ならびにその後にホスホセルロースおよびヒドロキシアパタイトによるクロマトグラフィーを用いた(「材料および方法」)。この手順によって天然Intを精製しようと試みたところ、Int組込み型組換え活性(「材料および方法」の「組込み型組換えゲルアッセイ法」の項に記載した通りに決定)は、ホスホセルロースクロマトグラフィーの段階を通じて維持されていたが、最後のヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーの段階で失われることが明らかになった。ヒドロキシアパタイトカラム画分には全く活性が認められなかった。ヒドロキシアパタイト画分のSDS-PAGE分析から、結合したタンパク質がIntであることと整合する分子量40kDaの単一のタンパク質の存在が判明しているため、これはクロマトグラフィーの際のIntタンパク質の損失が原因ではない。この40KDaタンパク質のピークを含む画分をプールし、このプールを組込み型組換え活性に関してアッセイした。表2に示した結果から見てとれるように、活性は全く観察されなかった。
【0214】
(表2)天然Intの精製の概要
Figure 2004531259
【0215】
ホスホセルロースプール中のタンパク質のSDS PAGEによる検討により、Int(40kDa)および、より小型の5〜17kDaの範囲の多数のタンパク質(少なくとも6種)の存在が明らかになった。Int活性を賦活するHUなどの大腸菌DNA結合タンパク質は、この小型サイズの範囲に該当する(Segall, A.M.ら、EMBO J. 13: 4536-4548 (1994))。以上のことから、このInt調製物が組換え反応混合物中にすでに存在するIHFの活性を上回るには別の成分が必要であるとの仮説を立てた(「材料および方法」)。さらに、クロマトグラフィーの結果から、この成分がホスホセルロースからはIntと共溶出するが、ヒドロキシアパタイトによる結合はなされないという可能性が示唆された。この仮説を検証するために、ヒドロキシアパタイトと結合しなかった当初のホスホセルロースプールからの材料を、再びホスホセルロースカラムで分画した。このカラムの画分からの試料を、ヒドロキシアパタイトカラムからプールした不活性型Intに組込み型組換え活性を回復させる能力に関してアッセイした。ホスホセルロースカラムから1.0M KClの前後で溶出した画分は、不活性型Intに組換え活性を回復させる成分を含むことが明らかになった(図15)。最も賦活活性が高かった画分(図15の画分番号15〜18)を、その後の特徴分析に用いた。この賦活物質の至適量の存在下での、組込み型組換えアッセイ法におけるIntヒドロキシアパタイトプールのユニットアッセイ法により、賦活成分がユニットアッセイ法に存在すると、ホスホセルロースプール中に存在するInt活性の100%を上回る活性がヒドロキシアパタイトプール中に存在することが示された(表2)。
【0216】
賦活成分の特徴分析
第2のホスホセルロースカラムからの賦活成分のSDS PAGE分析によって複数のタンパク質バンドが認められ、そのうち2つはIHF基準物質のサブユニットとサイズが類似しているように思われた(図15)。組込み型組換えゲルアッセイ法に用いたIHFの濃度が最適ではなかった可能性を考慮して、IHFの厳密な力価測定を、ホスホセルロースカラム由来の賦活物質の存在下および非存在下で不活性型Intを用いて行った。IHF単独では12.5〜1,250ngの範囲のいずれの量も不活性型Intを賦活しないことが明らかになった。これに対して、12.5ngのIHFおよびホスホセルロースカラム由来の成分の共存下ではInt活性が回復した。
【0217】
賦活成分をDNアーゼIまたはRNアーゼAで処理してもIntを賦活する能力は低下しなかった。成分を熱湯浴に30分間入れても影響は全くなかった。しかし、プロテイナーゼKで処理すると賦活能力が消失し、この賦活成分が高温に耐えうるタンパク質であることが示された。
【0218】
第II部:賦活タンパク質の精製および同定
副画分からの精製
天然Intを発現する大腸菌の抽出物中の、そのリコンビナーゼ活性を賦活するタンパク質を同定するための手段を講じた。Int賦活タンパク質の存在を組込み型組換えゲルアッセイ法(「材料および方法」)および直前に記載した通りに精製した不活性型Intを用いて検出することにより、精製に関してモニタリングした(「材料および方法」の「天然Intの精製」および「結果」の「第I部:細胞抽出物成分との混合によるインテグラーゼ活性の回復」)。この抽出物を水の沸点まで加熱しても賦活活性に負の影響がないという事実を利用した。加熱はいくつかの目的に利用した。第1に、初期精製段階の際に存在する活性型Intは非可逆的に不活性化され、ゲル組換えアッセイ法への干渉をなくせる。第2に、粗抽出物中の多くの大腸菌タンパク質は高温では沈殿する;このため、加熱により、溶解性を保っているタンパク質の精製が容易になる。
【0219】
天然Int精製の初期に生じた副画分(「材料および方法」の「天然Intの精製」)を100℃に加熱し、遠心処理によって清澄化した上で、不活性型Intを賦活する能力に関してアッセイした。差次的塩析の工程における第1の高速遠心処理による上清にほとんどの賦活活性があることが明らかになった。この上清を出発材料として用いて、「材料および方法」の「天然Int調製物の副画分としての賦活タンパク質の精製」の項に記載した通りに賦活タンパク質を精製した。2回のカラムクロマトグラフィー工程の後にほぼ均質な11KDaタンパク質が精製され(図16)、これはゲル組換えアッセイ法において不活性型Intを賦活した(図17)。
【0220】
この11KDaタンパク質を、アミノ末端アミノ酸配列解析のためにHHMI Biopolymer Laboratory, W.M. Keck Foundationに送付した(「材料および方法」の「賦活タンパク質のアミノ末端アミノ酸配列解析」)。この配列は
Figure 2004531259
であることがわかった。GenBank配列データベースの検索により、この配列が大腸菌30Sリボソームタンパク質S20のアミノ酸2〜15位と一致することが判明した(Mackie, G.A., J. Biol. Chem. 256:8177-8182 (1981))。S20は塩基性の高い86アミノ酸のタンパク質である。S20は大腸菌において、30Sリボソームサブユニットと50Sサブユニットとの会合、ならびにfMet-tRNAおよびmRNAとの30Sサブユニット翻訳開始複合体の形成に関与すると考えられている(Gotz, F.ら、Biochem. Biophys. Acta 1050: 93-97 (1990))。S20の遺伝子はクローニング、過剰発現および精製がなされている(「材料および方法」の「S20のクローニング」および「組換えS20の精製」)。組換えS20がIntを賦活する能力を検討した(「結果」の第III部を参照)。
【0221】
全細胞抽出物からの精製
Int活性を賦活する、小型で耐熱性のある核酸結合タンパク質が大腸菌の抽出物中に1つ同定されたことから、他のものを同定する取り組みを行った。Intの賦活に関してアッセイするための不活性型Intを用いたゲル組換えアッセイ法を用い、大腸菌細胞全抽出物から出発して、賦活活性の精製を再度行った(「材料および方法」の「天然Intを産生する細胞からの賦活タンパク質の精製」)。この場合も、加熱した大腸菌抽出物の分画にはホスホセルロースクロマトグラフィーに続いてMono Sクロマトグラフィーを用いた。SDS PAGE上でS20よりも幾分速く移動する、第2の賦活タンパク質が同定された(図18)。このタンパク質も、配列解析のためにHHMI Biopolymer Laboratory, W.M. Keck Foundationに送付した。この配列は
Figure 2004531259
であることがわかった。GenBank配列データベースの検索により、この配列が大腸菌50Sリボソームタンパク質L27のアミノ酸2〜12位と一致することが判明した(Jeong, J.H.ら、DNA Seq. 4: 59-67 (1993))。L27は塩基性の高い85アミノ酸のタンパク質である。L27が主な構成要素である画分18中のタンパク質(図18のレーンAおよびB)を、組込み型組換えゲルアッセイ法においてIntを賦活する能力に関して検討した。図19は、これらのタンパク質が組換えアッセイ法においてIntを賦活したことを示している。しかし、認識しうる組換えDNA産物を生成するためには、L27はS20の10倍以上を要した。
【0222】
第III部:S20のクローニングおよび活性の実証
rS20のクローニング、過剰発現、および精製
大腸菌DNA由来のS20の遺伝子を、PCRを用いてT7プロモーターの制御下にあるようにクローニングした(「材料および方法」の「S20のクローニング」を参照)。組換えS20は高度に過剰発現され、EMD-SOクロマトグラフィーによって容易に精製された(「材料および方法」の「組換えS20の精製」を参照)。大腸菌9gからほぼ均質な組換えS20が約110mg精製された(図20)。
【0223】
rS20の特徴分析
組換えS20は、ゲルアッセイ法による評価で、天然Intにより触媒される組込み型および切出し型のλ組換えを賦活し(図19)、組換えS20はまた、ゲルアッセイ法(図21)およびコロニー形成アッセイ法(表3および4)の双方による評価で、組換えInt-Hisにより触媒される組込み型および切出し型のλ組換えをいずれも賦活した。これらの結果により、天然のS20を用いて得られた結果が裏付けられた;すなわち、組換えS20はIntのリコンビナーゼ活性を賦活する。
【0224】
(表3)組込み型組換えコロニー形成アッセイ法における、組換えS20によるINT-HIS6の賦活*
Figure 2004531259
* アッセイ法の詳細については「材料および方法」を参照されたい。すべての反応混合物に、176ngのInt-Hisおよび10ngのIHFを含めた。
【0225】
(表4)切出し型組換えコロニー形成アッセイ法における、組換えS20によるINT-HIS6の賦活*
Figure 2004531259
* アッセイ法の詳細については「材料および方法」を参照されたい。すべての反応混合物に、176ngのInt-His、12.5ngのIHF、および28ngのXis-Hisを含めた。
【0226】
反応物へのS20およびIntの添加の順序が重要であるように思われた。組込み型組換えの最大限の賦活を得るためには、IntをS20と混合し、これらのタンパク質を混合物としてIHFおよびDNAに添加する必要があった。S20をIntの前に添加した場合またはIntをS20の前に添加した場合には、観察された賦活の程度は弱かった。これらの結果は、S20がIntと結合して、そのリコンビナーゼ活性を強化する何らかの種類の物理的変化を生じる可能性を示唆する。ゲルシフトアッセイ法からは、S20が組換えアッセイ法においてDNA基質と結合することが示されている。したがって、アガロースゲル電気泳動の際にウェル内のDNAの捕捉を避けるには、大量のS20を含む組換えアッセイ法混合物をプロテイナーゼKで処理することが必要である。組込み型(表3)および切出し型(表4)のコロニー形成組換えアッセイ法の双方においてS20の量と組換え数との関係を調べた力価測定により、S20の量に関するかなり鮮鋭な最適条件が、特に切出し反応において示された。これらのアッセイ法におけるS20の至適量でのS20とDNAヌクレオチドとのモル比は、組込み反応ではS20 1分子当たり5〜10ヌクレオチドであり、切出し反応ではS20 1分子当たり25ヌクレオチドであった。単量体として作用するS20のサイズ(約10kDa)のタンパク質の結合領域(binding footprint)は、タンパク質1分子当たり5〜10ヌクレオチドと推測された。組込み型反応に関する最適条件はこの範囲に収まることから、組込み型組換えの最適な賦活のためには、DNAを覆うのに十分なS20が存在しなければならないことが示唆される。同じ仮定を行うと、切出し反応では、DNAを覆うのに十分なS20が存在すると反応が阻害されると考えられる。いずれの場合にも、S20のDNAとの結合は、他の小型の非特異的DNA結合タンパク質と同じように、組換え反応の効率に何らかの影響を及ぼす可能性が高い(Segall, A.M.ら、EMBO J. 13: 4536-4548 (1994))。
【0227】
第IV部.IntおよびInt-Hisの組込み型組換え活性
発表された精製手順(Nash, H.A.、Methods Enz. 100: 210-216 (1983))の変法(「材料および方法」)に従って天然λIntの3通りの精製を遂行し、クローニングしたInt-Hisのはるかに多数の精製をより簡単な手順によって行った(「材料および方法」)。ゲルアッセイ法を用いてこれらの調製物の組込み型リコンビナーゼ活性を調べた結果(「材料および方法」の「組込み型組換えゲルアッセイ法」)、S20の存在下および非存在下におけるIntの活性に関する一般的な結論をいくつか導くことが可能である。第1に、最終精製段階で塩濃度が高く(0.6M KCl)グリセロール濃度が低い(10%)緩衝液中に保ち(発表された精製手順で推奨されている通り)、その後にBSAの存在下または非存在下で-70℃で保存した、ほぼ均質なIntまたはInt-Hisの調製物では、一般にIntリコンビナーゼ活性が低下している。しかし、被験調製物のすべてで、Intをアッセイ法に添加する前にS20と混合することによって活性を高めることができる。しかしながら、塩濃度の高い緩衝液中にある、低いように思われるIntの調製物の活性を、調製物をアッセイ法の前に塩濃度の低い緩衝液(0.05M KCl)で希釈することにより、またはより好ましくは低濃度の塩(0.05〜0.1M KCl)および50%(v/v)グリセロールを含む緩衝液中で調製物を透析することにより、ある程度高めうることが明らかになった。続いて、このような調製物は-20℃または-70℃で保存しうる。さらに、リコンビナーゼ活性のレベルにかかわらず、これらの調製物は単独で、透析の前または後に、その活性を賦活する適切な量のS20の添加を受ける。
【0228】
結論
以上を総合すると、これらの結果から、少なくとも2つの大腸菌リボソームタンパク質S20およびL27が、ならびにおそらくは第3の大腸菌リボソームタンパク質であるS15も、Int媒介性組換えをインビトロで賦活することが示される。さらに、λ組換え系では活性がないように思われるλIntの精製調製物に、S20の添加によって活性を回復させることもできる。
【0229】
実施例2:他の大腸菌リボソームタンパク質によるインテグラーゼ組換えの賦活
S20およびL27に加えて、他の大腸菌リボソームタンパク質も、組換え系、特にλInt系の活性を賦活する可能性がある。特に、塩基性でサイズが約14キロダルトンまたはそれ未満である大腸菌リボソームタンパク質は、原核生物組換え系の活性を賦活するために用いられる。用いられる可能性のある、このようなリボソームタンパク質を表5に示す:
【0230】
(表5)組換え活性の賦活に用いられるそのほかのリボソームタンパク質
Figure 2004531259
【0231】
これらのリボソームタンパク質は天然の源から単離され、これはS20およびL27に関して大まかに述べた通り、ならびにAnn. Rev. Biochem 51:155 (1982)、Ann. Rev. Biochem. 52:35 (1983)、Ann. Rev. Biochem 53:75 (1984)、およびAnn. Rev. Biochem 66:679 (1997)に考察されている通りである。または、リボソームタンパク質は、S20およびXisの産生に関して上記に概要を述べたように、組換えDNA法によっても調製される。単離されたリボソームタンパク質は、S20およびL27に関して上に述べたように、それらの1つまたは複数を本発明の組成物に含めることにより、組換え活性、特にIntのそれを賦活するために用いられ、これらの組成物は、実施例1にS20に関して概要を述べたように、組込み型および切出し型組換えアッセイ法、ならびに本発明の組換えクローニング方法に用いられる。さらに、本明細書に記載したものに対応するリボソームタンパク質を、本発明に従って用いることもできる。例えば、他の原核生物源および真核生物源(例えば、酵母、真菌、動物(ヒトなどの哺乳動物を含む)、植物など)由来のリボソームタンパク質を、本発明の方法および組成物に用いることもできる。
【0232】
実施例3:大腸菌Fisタンパク質はバクテリオファージλIntによる組込み型組換えを賦活する
組換えの賦活のためのFisの使用の例
標準的なBP CLONASE(商標)GATEWAY(商標)反応物への200〜500nM Fisの添加により、組換え産物の形成および生成コロニー数の最適な賦活が得られると考えられる。同じようなレベルのFisは、BP基質のトポロジーが逆になった反応、すなわち線状のP基質および超らせん状のB基質を用いる反応も賦活すると考えられる(ライブラリートランスファー)。いずれの場合にも、BP CLONASE(商標)反応のための標準的な反応条件を用いうる。同じ至適範囲のFisは、Fisの非存在下での反応と同じ反応条件下で、単一のP組換え部位およびB組換え部位を含む組換え反応も賦活すると考えられる。
【0233】
Fisによる組換えの賦活レベルの概要
A.一部位組換え反応
Fisによる最適な賦活は、200〜500nMの範囲のFisおよび5nM DNAで観察される。Fisは、基質のトポロジーにかかわらず、すべての一部位組込み反応を賦活する。超らせん状attPおよび線状attB部位を用いる標準的な反応は、比較的低レベルのIntの存在下で最大10倍に賦活される。超らせん状attBおよび線状attP部位を用いる逆トポロジーの反応は、種々の塩濃度で最大5倍に賦活される。線状attPと線状attB部位との間の反応はFisによって最大3倍に賦活される。
【0234】
B.二部位組換え反応(GATEWAY(商標))
Fisによる最適な賦活は、200〜500nMの範囲のFisおよび5nM DNAで観察される。FisはBP反応産物の形成を、条件に応じて最大3倍に賦活する。コインテグレートの形成は影響を受けないため、この賦活は全面的にコインテグレートの分解の賦活に起因するように思われる。標準的なGATEWAY(商標)反応は、通常用いられるのと同じ条件下で、単にFisを反応物に添加することによって賦活しうる。逆トポロジーのGATEWAY(商標)反応(線状のP、超らせん状のB)では、Fisは産物の生成を幾分賦活するが、コインテグレートへと変換される出発物質B基質の量を著しく増加させる。
【0235】
結果
Fisの産生
大腸菌fis遺伝子を、pLDE15中の、熱誘導性λcI857リプレッサーの制御下にあるλPLプロモーターの下流にクローニングした。この構築物は42℃で誘導するとFisを高レベルで発現したことから、精製プロトコールの検討のために一連の抽出物を作製した。
【0236】
1リットルの培養物から2〜3mgの精製(>90%)Fisが得られると考えられる最終的なプロトコールを開発した。本手順は、粗抽出物を形成させるための超音波処理に続いて、ヘパリン硫酸によるクロマトグラフィー、さらにその後にMono Sによるイオン交換クロマトグラフィーを含む。精製されたタンパク質は少量の副次的不純物を含んでおり、これはおそらくは、精製前に抽出物を加熱することにより(Fisは沸点でも最長10分間は完全に耐熱性であるため)、または塩の完全希釈によるFisの結晶化により、除去しうると考えられる。文献中にはこれらのいずれの方法も用いられている。最終的なFis試料を、50%グリセロールおよび0.5M NaClを含む緩衝液中で透析し、複数のチューブに分割して-20℃または-80℃で保存した。精製したFisを、文献中に発表されたものと類似のゲル遅延アッセイ法を用いて、活性に関してアッセイしたところ、得られた見かけのKd値は10〜30nMであることがわかった。
【0237】
切出し型組換えに対するFisの影響
インビトロでの切出しに対するFisの影響を、超らせん状pEZ11104(attL)および線状化pRCAT1(attR)を用いる二部位LRアッセイ法を用いて評価した。図22に示した通り、Xisが高レベルの場合には、Fisタンパク質の量の増加に伴って組換え産物の量は幾分賦活された。しかし、Xisレベルの低下に伴ってFisの賦活は増強し、Xisレベルが極めて低い場合、Fisによる最大限の賦活は10〜15倍に達した。Fisによる最大限の賦活は、20μlの反応物につきFisが30〜125ngの間で起こるように思われた。コインテグレートは産物へと急速に変換されるため、Fisがコインテグレートの形成および分解の両方に影響を及ぼすか否かを分析することは困難である;しかし、いずれの段階にも賦活が観察される可能性が高く、賦活レベルは同程度であるように思われる。
【0238】
組込み型コインテグレート分解に対するFisの影響
図23は、超らせん状pDONR201(attP)および線状化pBGFP1(attB)を用いる二部位BPアッセイ法に対するFis添加の影響を示している。至適レベルのFis(同じく30〜120ng/反応)の存在下では、組換え産物の比率は2〜4倍に高まる。また、Fisによる賦活の程度は塩濃度が高いほど大きいが、これは通常、コインテグレートの分解には不適な条件である。Fisの存在下では、いかなる塩濃度でもコインテグレート形成に対して観察しうる影響はない(非提示データ)。
【0239】
図24は、塩濃度の影響をより詳細に分析している。この場合もFisによる賦活がすべての塩濃度で認められるが、Fisの存在しない対照が塩濃度により著しい影響を受けたため、塩濃度がより高い場合のFisによる賦活の程度ははるかに大きい。25mM NaClではFisはほぼ2倍に賦活させるが、75mMおよび100mM NaClではFisによる賦活は7倍を上回る。しかし、より高い塩濃度で、組換え産物の量が、25mM NaClでFisにより賦活される最適な組換えを上回る場合はない。
【0240】
組込み型組換えに対するFisの影響
図25は、attP(pATTP2)が超らせん状でattB(pATTB2)が線状である標準的な条件下で、塩濃度が高くても低くても、Fisが一部位PxB組換えに影響を及ぼさないことを示している。しかし、Intレベルが最適濃度を下回れば(図26)、Fisはこの反応を最大10倍に賦活しうる。さらに、図27が示すように、両方の基質が線状化されると、Fisは組換えレベルに顕著な影響を及ぼす。線状化pATTP2および線状化pATTB2を用いると、Fisは種々の塩濃度で組換えを2〜3倍に賦活し、これはコインテグレート分解反応に関して認められた結果と非常に類似している。Fisによる最も顕著な影響は、超らせん状pATTB2と線状pATTP2との間の反応に対するものであるように思われる。この反応は通常の条件下では極めて乏しく、低濃度塩条件でも検出可能な量の産物はほとんど認められない。しかし、Fisの存在下では、図28に示されているように、組換えが強く賦活される。
【0241】
考察
本研究の結果から、組込みの際にインビボで観察される賦活の源と思われるものが特定された。attP基質が超らせん状でない場合はインビトロで2〜3倍の影響が明らかに認められる。超らせん形成エネルギーは、組換えの開始前に形成される必要のある、インタソームとして知られるタンパク質-DNA構造が正しく確立されるために不可欠であることが知られている。この議論は、超らせん状でないattP基質に関してインビトロで観察される組換え効率がはるかに低いことを説明するために用いられている。しかし、細胞内のDNAは、単離されたプラスミドDNAに認められる高レベルの超らせんほどには超らせん化していないことが広く示されている。
【0242】
Johnsonは、このような高い超らせんが存在しない条件下で組込みを増強するためにFisを細胞において用いうるという概念を最初に提唱した(Ball, C.A.およびJohnson, R.C. (1991) J. Bacteriol. 173: 4032-8)。多くの核封入体関連タンパク質が核封入体のDNA凝縮に関与するように思われるという事実からみて、FisがDNAと結合してそれを屈曲させる能力が、超らせん形成によるDNAの凝縮を高度に模倣することは可能であり、このような事象は、高度の超らせんの非存在下においてもインタソーム形成を可能にすると思われる。これは、最適条件を下回るInt濃度で観察される、Fisによる賦活の説明にもなると考えられる。細胞内では、Intレベルが、実験室でのインビトロ組換え反応に用いられた人工的な高濃度よりもはるかに低い可能性が高いため、Fisは「標準的な」組換え反応が進行するためにも必要である可能性がある。
【0243】
F部位変異体に、Fisによる組込みのより強い賦活を促す能力があることも、以上に提唱した役割に対するもう1つの証拠である。より強固なFis結合はより効率的なDNA凝縮、および組込み賦活の増大をもたらす可能性が高いと考えられる。これらの効果が反応速度論レベルで認められるか否か、すなわちFisの添加がインタソーム形成の速度を直接上昇させるかという点は現時点では不明である。初期の研究では、線状attP/超らせん状attB反応の初期速度がFisの存在下で上昇する方向性が示されており、Fisが実際にインタソーム形成レベルで反応速度論的に作用する可能性が示唆されている。
【0244】
Fisが、両方の基質が線状である反応と比べて、線状P/超らせん状B反応をより高度に賦活させるように思われる理由は全く明らかでない。組込み型インタソーム形成はattP上のみで起こり、attBの捕捉は対合過程における最終段階と考えられている。この場合に、attBの超らせん状態がインタソーム形成の結果にどれほど影響しうるかは不明である。そうではなくて、FisのattBとの相互作用が、attB部位を何らかの様式でインタソームに到達しやすくさせる、または対合後の下流の段階、例えば第一鎖切断後の異性化を補助するという可能性もある。
【0245】
実験方法
オリゴヌクレオチド.オリゴヌクレオチドはInvitrogen Corp., Life Technologies Division(Rockville, Maryland)から入手した。
Figure 2004531259
【0246】
組換えアッセイ法プラスミド
pATTP2は、λattP部位をpUC19中にクローニングすることによって構築した。pATTB2は、大腸菌attB部位をpUC19中にクローニングすることによって構築した。pDONR201(Invitrogen Corp., Life Technologies Division(Rockville, Maryland)、カタログ番号11798-014)はattP1部位およびattP2部位をccdB遺伝子に隣接した状態で含む。pEZ11104はattL1部位およびattL2部位をCAT遺伝子に隣接した状態で含む。pBGFP2は、GFP遺伝子に隣接するattB1部位およびattB2部位を含むPCR断片がpUC19に挿入されたものである。pRCAT1は、attR1部位およびattR2部位ならびにCAT/ccdBカセットを含むpEZC8402の断片がpUC19に挿入されたものである。
【0247】
大腸菌Fisのクローニング
fis遺伝子は大腸菌DH10B株の染色体DNAから、Platinum Taq Hi Fidelity、および遺伝子の5'末端および3'末端に対応するプライマー(DE46およびDE49)を用いてPCR増幅した。5'プライマーは、fis遺伝子の開始点の前に強力なシャイン・ダルガルノ開始配列が付与されるように構築した。PCR産物を消化して、熱誘導性λCI857遺伝子の制御下にあるλPLプロモーターを有する高コピー数発現ベクターであるpRAD19中にクローニングした。陽性クローン(pLDE15)を、変異が存在しないことを確認するための配列確認を行った上で、大腸菌BL21に発現のために導入した。
【0248】
大腸菌のFisタンパク質の誘導
pLDE15を含む細胞を、100μg/mlアンピシリンを加えた2mlのLB中にて30℃で一晩増殖させ、新たな培地2mlに入れて希釈した上で、OD600が0.7となるまで増殖させた。この培養物を2本のチューブに分け、一方は30℃に保ち、もう一方には42℃による誘導を2時間行った。2時間後に、培養物を遠心処理してローディングバッファー中に再懸濁し、SDS-PAGEにより分析した。誘導した細胞はすでに部分的に溶解した外観を示し、Fisの著しい過剰発現はこれらの条件下では大腸菌に対して致死的であることが示唆された。誘導した試料は、分子量12kDa前後に極めて明瞭な過剰発現タンパク質バンドを示した。
【0249】
大腸菌のFisタンパク質の精製
一晩培養したpLDE15の培養物5mlを、フェルンバッハフラスコに入った1リットルのLB+Amp中に希釈して、OD600が0.7になるまで30℃で増殖させ、42℃による誘導を2時間行い、遠心処理を行った。7.5gの湿細胞を入手し、これを-80℃で凍結した。細胞を解凍して、50mM Tris-HCl、pH 8.0、5mM EDTA、10%グリセロール、1M NaCl、および1mM DTTを含む15mlの緩衝液中に再懸濁した。細胞液に1/2インチのチップを用いる超音波処理を45秒間、4回行い、細胞片を30,000×g、40分間の遠心処理によって除去した。抽出物は-80℃で保存した。15mlの抽出物を35mlのバッファーA(20mM Tris-HCl、pH 8.0、1mM EDTA、10%グリセロール、1mM DTT)で希釈し、Pharmacia Hitrap Heparinカラム(2×1mlの連続カラム)に流速0.25ml/分でかけた。カラムを10CVの400mM NaCl(バッファーA中)で洗い、400mMから800mM NaCl(バッファーA中)までの15CVの勾配によって溶出させた。Fisの幅広いピークがSDS-PAGEによって検出され、Fisを含む画分をプールして、200mM NaClを含むバッファーAに対して透析した。この試料を、同じ緩衝液により平衡化した1ml Pharmacia Hitrap Mono Sカラムにかけた。カラムを15CVの200mM NaCl(バッファーA中)で洗い、200mMから1M NaCl(バッファーA中)までの20CVの勾配によって溶出させた。2つのピークがカラムから検出され、このうち第2の鋭いピークがFisタンパク質のほとんどを表していた。最も清澄な画分をプールし、クーマシー染色で>90%Fisを含む試料を得た。20mM Tns-HCl、pH 8.0、1mM EDTA、50%グリセロール、1mM DTT、0.5M NaClを含むFis貯蔵バッファー中での透析後に、1mg/ml濃度の精製Fisが得られた。Fisは-80℃または-20℃で保存した。
【0250】
Fis活性アッセイ法
Fis活性を検討するためのゲル遅延アッセイ法を開発した。λattP配列からなるPCR産物を、プライマーDE9およびDE10を用いて増幅した。400塩基対の産物をAvaIで切断し、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を用いて、両端を32P-dCTPで標識した。反応は、20μlの反応物中に20mM Tris-HCl、pH 8.0、5%グリセロール、25mM NaCl、200μg/mlサケ精巣DNA、1.17ng(10,000cpm/fmol)PCR産物という最終的な条件下で行った。タンパク質を添加し、室温で10分間結合させて、試料をNovex 6%ゲル遅延ゲルにローディングし、0.5×TBEバッファー中にて100Vで60分間泳動させた。ゲルを乾燥させ、Phosphorimagerにより2〜3時間露光して可視化した。競合DNAの非存在下では複数のシフトがアッセイ中に観察された。しかし、競合物の存在下では単一の個別のシフトが観察され、これによって見かけのKd値の算出が可能になった。これらのPCR産物はやや不純で分解産物を含んでおり、このため、得られた値はある程度の誤差を含む傾向がある;しかし、見かけのKdは10〜30nMと考えられ、これはλF部位を用いて発表された値とよく合致する。このことは、この種のゲル遅延アッセイ法が精製Fisタンパク質の活性の有効な検査手段となることを示唆する。
【0251】
放射性アッセイ基質
組換えアッセイ法用の線状基質をクレノウ充填反応によって標識した。線状化基質(1μg)を0.5単位のクレノウポリメラーゼ、1mM dATP、1mM dGTP、1mM dTTP、および30μCiの32P-dCTPとともに14分間インキュベートし、1mM dCTPを添加してさらに1分間インキュベートした上で、Concert PCR精製カラムを用いてDNAを精製し、50μl TEにて溶出させた。
【0252】
組換えアッセイ法
一部位組換え反応物(20μl)は、25mM Tris-HCl、pH 8.0、1mM EDTA、6mMスペルミジン、15%グリセロール、75mM NaCl(他に指示する場合を除く)、100fmoleの各基質、および約30,000cpmの32P標識線状基質から構成した。標準的な組込み反応物は、80ng THFおよび150ng Intから構成した。切出し反応物は、35ng IHF、50ng Xis、および150ng Intから構成した。反応物を25℃で45分間インキュベートし、50μg/mlプロテイナーゼKの添加によって停止させ、65℃で15分間加熱し、0.7%アガロースゲルによる電気泳動を行った。ゲルを乾燥させ、Molecular Dynamics phosphorimagerにより可視化した。組換えレベルは、ImageQuantを用いた基質バンドおよび産物バンドの定量化によって判定した。GATEWAY(商標)(2部位)反応も、標準的なBP反応に4mMスペルミジンおよび25mM NaClを含め、標準的なLR反応に7.5mMスペルミジンおよび75mM NaClを含めた点を除き、同様に行った。
【0253】
実施例4:BP CLONASE(商標)反応におけるFisの使用
BP組換え反応を、50fmolの超らせん状pDONR201、75mM NaCl、7.5mMスペルミジン、2μlのBP貯蔵バッファー(5mM EDTA、1mg/ml BSA、22mM NaCl、5mMスペルミジン、25mM Tris-HCl、pH 7.5)および2μlのBP CLONASE(商標)(40ng/μl Int、20ng/μl IHF、pH 7.5)を含む20μlの反応混合物中において室温で60〜120分間行った。BP CLONASE(商標)により触媒される組換え反応の効率を高めるFisの至適濃度は約150nMであることが明らかになった。
【0254】
さらに、上記の反応条件により、標準的な反応物(すなわち、300ng pDONR DNA、100ng attB DNA、4μl BP CLONASE(商標)、4μl BPバッファー、20μlの反応物の場合)と類似したコロニー生成が得られており、必要な酵素およびベクターDNAの量は半分である。
【0255】
標準的なBP組換え反応において、Fisの添加は、標準的なBP反応物と比較してコロニー生成量の3倍の増加をもたらす。
【0256】
Fisは、線状組換え反応によると線形的である第2の組換え反応(コインテグレート分解)の速度を賦活することによって作用を発揮することが知られている。
【0257】
理論に拘束されることは望んでいないが、線状核酸分子および超らせん核酸分子を用いるBP組換え反応の全体的な効率は以下の通りである:
超らせん状P×線状B>線状P×超らせん状B>線状P×線状B>超らせん状P×超らせんB
【0258】
ここまで本発明をある程度詳細に、理解を明確にするための図および実施例によって十分に記載してきたが、本発明の範囲またはそのいずれの特定の態様にも影響を及ぼさずに、条件、配合および他のパラメーターの広範囲かつ等価な範囲内で本発明を改変または変更することにより本発明を実施しうること、ならびにこのような改変または変更が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることは、当業者に明らかであると考えられる。
【0259】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が属する当該分野の当業者のレベルを示しており、これらは、それぞれの個々の刊行物、特許、または特許出願が参照として組み入れられるように特定的および個別に示されている場合と同程度に、参照として本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0260】
【図1】本発明の一般的な方法の1つを示しており、ここで開始(親)DNA分子は環状でも線状でもありうる。その目標は、新たなサブクローニングベクターDを、本来のクローニングベクターBと交換することである。1つの態様においては、ADを選択し、かつすべての他の分子(コインテグレートを含む)を除外選択することが望ましい。四角印と丸印は、組換え部位:例えば、loxP部位、att部位などである。例えば、セグメントDは、発現シグナル、新たな薬剤マーカー、新たな複製起点、またはDNAのマッピングもしくはシークエンシングのために特殊化された機能を含みうる。
【図2】プラスミドpHN894の制限地図を示している。AttP:attP付着部位;'tet:切断型テトラサイクリン耐性遺伝子;amp:β-ラクタマーゼ遺伝子。
【図3】プラスミドpBB105の制限地図を示している。AttB:attB付着部位;'tet:切断型テトラサイクリン耐性遺伝子;amp:β-ラクタマーゼ遺伝子;ori:colE1複製起点;ROP:複製制御部位。
【図4】プラスミドpHN872の制限地図を示している。AttL:attL付着部位;'tet:切断型テトラサイクリン耐性遺伝子;'amp:切断型β-ラクタマーゼ遺伝子;ori:colE1複製起点;KmR:カナマイシン耐性遺伝子。
【図5】プラスミドpHN868の制限地図を示している。AttR:attR付着部位;'tet:切断型テトラサイクリン耐性遺伝子;amp:β-ラクタマーゼ遺伝子;ori:colE1複製起点;ROP:複製制御部位。
【図6】プラスミドpEZ13835の制限地図を示している。WTattP1:改変されたattP付着部位;WTattP3:改変されたattP付着部位;T1T2:転写終結因子;KmR:カナマイシン耐性遺伝子;CmR:クロラムフェニコール耐性遺伝子;ccdB:細胞死遺伝子;ori:colE1複製起点。
【図7】プラスミドpEZC7501の制限地図を示している。AttB1:改変されたattB付着部位;attB3:改変されたattB付着部位;GPP:切断型の緑色蛍光タンパク質遺伝子;T7 P:T7プロモーター;SP6 P:SP6プロモーター;CMV P:CMVプロモーター;lacI':lacIプロモーター;lox p:cre組換え部位;small t & poly A:SV40小型腫瘍抗原イントロンおよびポリAシグナル;f1:f1遺伝子間領域;incA:ファージP1不適合性遺伝子座;Amp:β-ラクタマーゼ遺伝子;ori:colE1複製起点。
【図8】プラスミドpEZ11104の制限地図を示している。AttL1:改変されたattL付着部位;attL3:改変されたattL付着部位;CmR:クロラムフェニコール耐性遺伝子;KmR:カナマイシン耐性遺伝子;ori:colE1複製起点。
【図9】プラスミドpEZC8402の制限地図を示している。attR'1:改変されたattR付着部位;attR'3:改変されたattR付着部位;lac I:lacリプレッサー遺伝子;amp:Pラクタマーゼ遺伝子;ori:colE1複製起点;CmR:クロラムフェニコール耐性遺伝子;f1:f1遺伝子間領域;ccdB:細胞死遺伝子。
【図10】プラスミドpTRCN2の制限地図を示している。Ap:β-ラクタマーゼ遺伝子;ptrc:trcプロモーター;laqI:lacリプレッサー遺伝子;f1'ori:f1遺伝子間領域;ori:colE1複製起点。
【図11】プラスミドpTRCN2INT2の制限地図を示している。Ap:β-ラクタマーゼ遺伝子;ptrc:trcプロモーター;laqI:lacリプレッサー遺伝子;f1'ori:f1遺伝子間領域;ori:colE1複製起点;Int:λインテグラーゼ遺伝子。
【図12】プラスミドpTRCN2XIS1の制限地図を示している。Ap:β-ラクタマーゼ遺伝子;ptrc:trcプロモーター;laqI:lacリプレッサー遺伝子;f1'ori:f1遺伝子間領域;ori:colE1複製起点;xis:λxis遺伝子。
【図13】プラスミドpTRCN2S20AAの制限地図を示している。Ap:β-ラクタマーゼ遺伝子;ptrc:trcプロモーター;laqI:lacリプレッサー遺伝子;f1'ori:f1遺伝子間領域;ori:colE1複製起点;rpsT:S20遺伝子。
【図14】プラスミドpET12AS20AAの制限地図を示している。Ap:β-ラクタマーゼ遺伝子;ori:colE1複製起点;'rpsT:S20遺伝子;T7:T7プロモーター;T7term:T7転写終結配列。
【図15】ホスホセルロースカラム分画による、ヒドロキシアパタイトによる結合がなされなかったタンパク質の画分のSDS-PAGEゲルの写真である。ヒドロキシアパタイトによる結合がなされなかったホスホセルロースカラムのタンパク質の画分13〜20からのアリコート(7.5μl)をSDS PAGEによって分析した。IHF(「IHF A」:0.3μg;「IHF B」:0.5μg)およびBenchMarkタンパク質標準物質(「M」)を基準として泳動させた。図の下方には、画分からのアリコートが、組込み型組換え(integrative recombination)ゲルアッセイ法においてIntを賦活する相対的能力を示している(-、賦活なし;+、++、+++、後者ほど高いレベルでの賦活)。
【図16】天然Int精製物の副画分から精製したS20リボソームタンパク質のSDS-PAGEゲルの写真である。レーンM:BenchMarkタンパク質標準物質;レーンA〜E:S20のMono Sプールのそれぞれ5μl、2μl、2μl、1μl、および1μlのアリコート。
【図17】Mono Sプール中のS20タンパク質(図16参照)がInt活性を賦活する能力を示す、組込み型組換えゲルアッセイ法(材料および方法の項参照)における臭化エチジウム染色ゲルの写真である。レーンA:Int+S20;レーンB:Intのみ;レーンC:Int希釈バッファーのみ。最も移動度の低いバンドが組換えDNA産物である。
【図18】材料および方法の項の「天然Intを産生する細胞からの賦活タンパク質の精製」ならびに結果の項の「第II部:賦活タンパク質の精製および同定」に記載された、Mono Sカラムからの組込み型組換え賦活活性を含むピーク画分のSDS-PAGEゲルの写真である。ホスホセルロースプール#1にはMono Sカラムによる分画を行い、画分18(1μlおよび2μl、レーンAおよびB)および画分22(1μlおよび2μl、レーンCおよびD)の2つの活性ピークを得た。ホスホセルロースプール#2は同じMono Sカラムによる2回目の処理で分画し、画分24に1つの活性ピークを得た(1μlおよび2μl、レーンFおよびG)。S20はレーンE、BenchMarkタンパク質標準物質はレーンMを泳動させた。
【図19】900ngの組換えS20(図19)、900ngのS20(図16参照)、および10μgのL27(図18中の画分18)による37ngの天然Intの賦活を示す、組込み型組換えゲルアッセイ法(材料および方法)における臭化エチジウム染色ゲルの写真である。レーンA:組換えS20;レーンB:S20;レーンC:L27;レーンD:Intのみ;レーンE:Intも賦活タンパク質も添加せず。
【図20】2μgの精製組換えS20のSDS-PAGEゲルの写真である。
【図21】0ng(レーンBおよびE)および382ng(レーンCおよびF)の組換えS20の存在下における59ngのInt-His6のリコンビナーゼ活性を示す、組込み型(レーンA〜C)および切出し型(レーンD〜F)組換えゲルアッセイ法における臭化エチジウム染色ゲルの写真である。すべてのアッセイ法に12.5ngのIHFも含まれている。切出し型組換えアッセイ法には42ngのMS-His6を含めた。レーンAおよびDで分析したアッセイ法にはInt-His6もrS20も含まれていない。
【図22】Fisによる一部位LR組換え反応の賦活に関する実験を示している。反応(20μl)は100fmolのpATTL2および100fmolのpATTR2-BamHI基質を用いて行った(以下の実施例3における「実験方法」の項参照)。所定のFis濃度で観察された組換え産物の比率をXisの3つの異なる濃度に対してプロットした。産物の比率は、産物バンドにおける放射能の量を基質バンドおよび産物バンドにおける放射能の量の合計によって除算することによって決定した。
【図23】Fisによる二部位BP組換え反応の賦活に関する実験を示している。反応(20μl)は100fmolのpDONR201(Invitrogen Corp., Life Technologies Division(Rockville, Maryland), カタログ番号11798-014)および100fmolのpBGFP2-XhoI基質を用いて行った(以下の実施例3における「実験方法」の項参照)。所定のFis濃度で観察された組換え産物の比率を、NaClの3つの異なる濃度に対してプロットした。産物の比率は、産物バンドにおける放射能の量を基質、コインテグレートおよび産物のバンドにおける放射能の量の合計によって除算することによって決定した。
【図24】Fisによる二部位BP組換え反応の賦活に対する塩濃度の影響に関する実験を示している。反応(20μl)は100fmolのpDONR201および100fmolのpBGFP2-XhoI基質を用いて行った(以下の実施例3における「実験方法」の項参照)。所定のNaCl濃度で観察された組換え産物の比率を、Fisの3つの異なる濃度に対してプロットした。示したデータは3回の実験の平均であり、標準偏差をエラーバーとして示している。
【図25】標準条件下ではFisが一部位BP組換え反応を賦活しないことを示した実験を示している。反応(20μl)は100fmolのpATTP2および100fmolのpATTB2-HindIII基質を用いて行った(以下の実施例3における「実験方法」の項参照)。所定のFis濃度で観察された組換え産物の比率を、2つの異なる塩濃度に対してプロットした。示したデータは2回の別個の実験の平均であり、標準偏差をエラーバーとして示している。
【図26】Fisによる一部位BP組換え反応の賦活がより低いInt濃度でも認められることを示した実験を示している。反応(20μl)は100fmolのpATTP2および100fmolのpATTB2-HindIII基質を用いて行った(以下の実施例3における「実験方法」の項参照)。所定のInt濃度で観察された組換え産物の比率を、3つの異なるFis濃度に対してプロットした。
【図27】Fisによる、線状基質を用いた一部位BP組換え反応の賦活に関する実験を示している。反応(20μl)は100fmolのpATTP2-BamHIおよび100fmolのpATTB2-HindIII基質を用いて行った(以下の実施例3における「実験方法」の項参照)。所定のNaCl濃度で観察された組換え産物の比率を、Fisの存在下および非存在下においてプロットした。示したデータは3回の別個の実験の平均であり、標準偏差をエラーバーとして示している。
【図28】Fisによる、トポロジーが変化した基質を用いた一部位BP組換え反応の賦活に関する実験を示している。反応(20μl)は100fmolのpATTB2および100fmolのpATTP2-BamHI基質を用いて行った(以下の実施例3における「実験方法」の項参照)。所定のNaCl濃度で観察された組換え産物の比率を、Fisの存在下および非存在下においてプロットした。示したデータは3回の別個の実験の平均であり、標準偏差をエラーバーとして示している。

Claims (80)

  1. 少なくとも1つの組換えタンパク質および少なくとも1つのFisタンパク質またはFisタンパク質断片を含む組成物であって、組換えタンパク質が少なくとも1つの核酸分子の組換えクローニングのために有効な量として存在し、Fisタンパク質またはFisタンパク質断片が組換えクローニングの効率を高めるのに有効な量として存在する、組成物。
  2. 少なくとも1つのリボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片をさらに含み、リボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片が組換えクローニングの効率を高めるのに有効な量として存在する、請求項1記載の組成物。
  3. リボソームタンパク質が原核生物リボソームタンパク質である、請求項2記載の組成物。
  4. リボソームタンパク質が大腸菌リボソームタンパク質である、請求項2記載の組成物。
  5. 大腸菌リボソームタンパク質が、S10、S14、S15、S16、S17、S18、S19、S20、S21、L14、L21、L23、L24、L25、L27、L28、L29、L30、L31、L32、L33およびL34からなる大腸菌リボソームタンパク質の群より選択されるタンパク質である、請求項4記載の組成物。
  6. 大腸菌リボソームタンパク質がS20である、請求項5記載の組成物。
  7. 大腸菌リボソームタンパク質がL27である、請求項5記載の組成物。
  8. 大腸菌リボソームタンパク質がS15である、請求項5記載の組成物。
  9. リボソームタンパク質が塩基性リボソームタンパク質である、請求項2記載の組成物。
  10. リボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片の分子量が約14キロダルトン未満である、請求項2記載の組成物。
  11. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択される生物のFisタンパク質である、請求項1記載の組成物:
    (a)大腸菌;
    (b)ネズミチフス菌;
    (c)肺炎桿菌;
    (d)コレラ菌;
    (e)インフルエンザ菌;および
    (f)緑膿菌。
  12. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  13. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項12記載の組成物:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  14. Fisタンパク質断片が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸残基を含む、請求項1記載の組成物:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  15. 組換えタンパク質が原核生物組換えタンパク質である、請求項1記載の組成物。
  16. 組換えタンパク質が、Int、Cre、FLP、Xis、IHF、およびHU、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
  17. 組換えタンパク質がIntである、請求項16記載の組成物。
  18. 少なくとも1つの核酸分子をさらに含む、請求項1記載の組成物。
  19. 核酸分子が線状核酸分子である、請求項18記載の組成物。
  20. 核酸分子が閉環状核酸分子である、請求項18記載の組成物。
  21. 核酸分子がベクターである、請求項18記載の組成物。
  22. 核酸分子が、以下のものからなる群より選択される分子を含む、請求項18記載の組成物:
    (a)挿入ドナー分子;
    (b)ベクタードナー分子;
    (c)コインテグレート分子;
    (d)産物分子;および
    (e)副産物分子。
  23. 少なくとも1つの第1の核酸分子の組換えクローニングのための方法であって、
    (a)第1の核酸分子を少なくとも1つの第2の核酸分子および請求項1記載の組成物と混合することによって混合物を形成させる段階;ならびに
    (b)(a)で形成された混合物を、第1の核酸分子と第2の核酸分子との組換えが行われるのに十分な条件下でインキュベートする段階、を含み、
    第1の核酸分子および第2の核酸分子がそれぞれ少なくとも1つの組換え部位を含む方法。
  24. 少なくとも1つの第1の核酸分子の組換えクローニングのための方法であって、
    (a)第1の核酸分子を少なくとも1つの第2の核酸分子および請求項2記載の組成物と混合することによって混合物を形成させる段階ならびに
    (b)(a)で形成された混合物を、第1の核酸分子と第2の核酸分子との組換えが行われるのに十分な条件下でインキュベートする段階、を含み、
    第1の核酸分子および第2の核酸分子がそれぞれ少なくとも1つの組換え部位を含んでいる方法。
  25. 第1の核酸分子がゲノムDNAである、請求項23記載の方法。
  26. 第1の核酸分子がcDNAである、請求項23記載の方法。
  27. 第1の核酸分子が化学合成によって作製される、請求項23記載の方法。
  28. 第1の核酸分子が増幅によって作製される、請求項23記載の方法。
  29. 第2の核酸分子がベクターである、請求項23記載の方法。
  30. ベクターが、原核細胞、真核細胞、または原核生物および真核細胞の両方において複製可能である、請求項29記載の方法。
  31. ベクターが、酵母細胞、植物細胞、魚類細胞、真核細胞、哺乳動物細胞、および/または昆虫細胞において複製可能である、請求項30記載の方法。
  32. ベクターが、エシェリキア属、サルモネラ属、バシラス属、ストレプトミセス属、および/またはシュードモナス属の細菌において複製可能である、請求項30記載の方法。
  33. ベクターが大腸菌において複製可能である、請求項32記載の方法。
  34. 組換えクローニング反応を増強するための方法であって、少なくとも2つの核酸分子を、少なくとも1つのFisタンパク質またはFisタンパク質断片および少なくとも1つの組換えタンパク質と接触させることを含み、核酸分子が少なくとも1つの組換え部位を含んでいる方法。
  35. 核酸分子を、少なくとも1つのリボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片と接触させることをさらに含む、請求項34記載の方法。
  36. リボソームタンパク質が原核生物リボソームタンパク質である、請求項35記載の方法。
  37. リボソームタンパク質が大腸菌リボソームタンパク質である、請求項36記載の方法。
  38. 大腸菌リボソームタンパク質が、S10、S14、S15、S16、S17、S18、S19、S20、S21、L14、L21、L23、L24、L25、L27、L28、L29、L30、L31、L32、L33、およびL34からなる大腸菌リボソームタンパク質の群より選択されるタンパク質である、請求項37記載の方法。
  39. 大腸菌リボソームタンパク質がS20である、請求項38記載の方法。
  40. 大腸菌リボソームタンパク質がL27である、請求項38記載の方法。
  41. 大腸菌リボソームタンパク質がS15である、請求項38記載の方法。
  42. リボソームタンパク質が塩基性リボソームタンパク質である、請求項35記載の方法。
  43. リボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片の分子量が約14キロダルトン未満である、請求項35記載の方法。
  44. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択される生物のFisタンパク質である、請求項34記載の方法:
    (a)大腸菌;
    (b)ネズミチフス菌;
    (c)肺炎桿菌;
    (d)コレラ菌;
    (e)インフルエンザ菌;および
    (f)緑膿菌。
  45. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む、請求項34記載の方法:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  46. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項45記載の方法:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  47. Fisタンパク質断片が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸残基を含む、請求項34記載の方法:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  48. 組換えタンパク質が原核生物組換えタンパク質である、請求項34記載の方法。
  49. 組換えタンパク質が、Int、Cre、FLP、Xis、IHF、およびHU、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項34記載の方法。
  50. 組換えタンパク質がIntである、請求項49記載の方法。
  51. 請求項34記載の方法によって作製されるDNA分子。
  52. DNA分子が単離されたDNA分子である、請求項51記載のDNA分子。
  53. 請求項51記載のDNA分子を含む宿主細胞。
  54. 相互には実質的に組換えを行わない組換え部位である、少なくとも2つの組換え部位によって挟まれた核酸セグメントを含む、少なくとも1つの核酸分子のクローニングのための方法であって、
    (a)(i)核酸分子を含む少なくとも1つの挿入ドナー分子;
    (ii)相互には実質的に組換えを行わない組換え部位である、少なくとも2つの組換え部位を含む少なくとも1つの第1のベクタードナー分子;
    (iii)少なくとも1つの組換えタンパク質の有効量;および
    (iv)少なくとも1つのFisタンパク質またはFisタンパク質断片の有効量、
    をインビトロまたはインビボで組み合わせて配合物を形成させる段階;ならびに
    (b)核酸分子が第1のベクタードナー分子中に移行するのに十分な条件下で配合物をインキュベートし、それによって少なくとも1つの第1の産物分子を作製する段階、
    を含む方法。
  55. (c)(i)核酸分子を含む第1の産物分子;
    (ii)相互には実質的に組換えを行わない組換え部位である、2つまたはそれ以上の組換え部位を含む、少なくとも1つの第2のベクタードナー分子;
    (iii)少なくとも1つの組換えタンパク質の有効量;および
    (iv)少なくとも1つのFisタンパク質またはFisタンパク質断片の有効量、
    をインビトロまたはインビボで組み合わせることによって配合物を形成させる段階;ならびに
    (d)核酸分子が第2のベクタードナー分子中に移行するのに十分な条件下で配合物をインキュベートし、それによって少なくとも1つの第2の産物分子を作製する段階、
    をさらに含む、請求項54記載の方法。
  56. 段階(a)で形成された配合物が、少なくとも1つのリボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片をさらに含む、請求項54記載の方法。
  57. リボソームタンパク質が原核生物リボソームタンパク質である、請求項56記載の方法。
  58. リボソームタンパク質が大腸菌リボソームタンパク質である、請求項56記載の方法。
  59. 大腸菌リボソームタンパク質が、S10、S14、S15、S16、S17、S18、S19、S20、S21、L14、L21、L23、L24、L25、L27、L28、L29、L30、L31、L32、L33、およびL34からなる大腸菌リボソームタンパク質の群より選択されるタンパク質である、請求項58記載の方法。
  60. 大腸菌リボソームタンパク質がS20である、請求項59記載の方法。
  61. 大腸菌リボソームタンパク質がL27である、請求項59記載の方法。
  62. 大腸菌リボソームタンパク質がS15である、請求項59記載の方法。
  63. リボソームタンパク質が塩基性リボソームタンパク質である、請求項56記載の方法。
  64. リボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片の分子量が約14キロダルトン未満である、請求項56記載の方法。
  65. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択される生物のFisタンパク質である、請求項54記載の方法:
    (a)大腸菌;
    (b)ネズミチフス菌;
    (c)肺炎桿菌;
    (d)コレラ菌;
    (e)インフルエンザ菌;および
    (f)緑膿菌。
  66. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む、請求項54記載の方法:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  67. Fisタンパク質が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項66記載の方法:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  68. Fisタンパク質断片が、以下のものからなる群より選択されるアミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸残基を含む、請求項54記載の方法:
    (a)配列番号:1のアミノ酸配列;
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列;
    (c)配列番号:3のアミノ酸配列;
    (d)配列番号:4のアミノ酸配列;
    (e)配列番号:5のアミノ酸配列;および
    (f)配列番号:6のアミノ酸配列。
  69. 少なくとも1つのFisタンパク質またはFisタンパク質断片を含む、核酸分子の組換えクローニングに用いるためのキット。
  70. 以下のものからなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項69記載のキット:
    (a)少なくとも1つの核酸分子;
    (b)少なくとも1つの組換えタンパク質を含む少なくとも1つの組換えタンパク質または組成物;
    (c)リガーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素;
    (d)ポリメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素;
    (e)逆転写酵素活性を有する少なくとも1つの酵素;
    (f)制限エンドヌクレアーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素;
    (g)少なくとも1つのリボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片;
    (h)少なくとも1つのプライマー;
    (i)少なくとも1つの緩衝液;
    (j)少なくとも1つのトランスフェクション試薬;
    (k)少なくとも1つの宿主細胞;
    (l)少なくとも1つの組換えタンパク質;および
    (m)キットの成分の使用に関する説明書。
  71. 少なくとも1つの組換えタンパク質を含む少なくとも1つの組換えタンパク質または組成物が、att部位間の組換えを触媒しうる請求項70記載のキット。
  72. 少なくとも1つの組換えタンパク質を含む組成物が、BP反応、LR反応、またはBP反応およびLR反応の両方を触媒しうる請求項71記載のキット。
  73. リボソームタンパク質が原核生物リボソームタンパク質である、請求項70記載のキット。
  74. リボソームタンパク質が大腸菌リボソームタンパク質である、請求項73記載のキット。
  75. 大腸菌リボソームタンパク質が、S10、S14、S15、S16、S17、S18、S19、S20、S21、L14、L21、L23、L24、L25、L27、L28、L29、L30、L31、L32、L33、およびL34からなる大腸菌リボソームタンパク質の群より選択されるタンパク質である、請求項74記載のキット。
  76. 大腸菌リボソームタンパク質がS20である、請求項75記載のキット。
  77. 大腸菌リボソームタンパク質がL27である、請求項78記載のキット。
  78. 大腸菌リボソームタンパク質がS15である、請求項78記載のキット。
  79. リボソームタンパク質が塩基性リボソームタンパク質である、請求項73記載のキット。
  80. リボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片の分子量が約14キロダルトン未満である、請求項73記載のキット。
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