JP4282093B2 - 金属汚染ウエハ基板の平滑性維持洗浄 - Google Patents

金属汚染ウエハ基板の平滑性維持洗浄 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、ウエハ表面の滑らかさを維持しつつ金属汚染を洗浄するために、マイクロエレクトロニクス産業において集積回路基板の洗浄に、より具体的には、ウエハ表面の洗浄に使用する過酸化水素不含有クリーナーに関する。本発明の方法により、過酸化水素不含有クリーナーは、過度のエッチングを行わずとも、またウエハ表面から酸化物を除去するためにHFなどの追加試薬を必要とせずともかかるウエハ表面を清浄にすることができる。
発明の背景
集積回路(IC)基板、例えばシリコンウエハを金属不含有アルカリ性溶液により洗浄して有機および金属汚染を除去することは、広く実施されている。よく使用されるこの種のアルカリ性溶液の1つは、SC−1またはRCA−1として知られており、有機不純物や銅汚染物質をウエハ表面から除去するために水酸化アンモニウム、過酸化水素および水の熱水性混合物(30%H22、28%NH4OHおよびH2Oが1:1:5)からなるものである。その中でも、SC−1を用いて様々な洗浄作業が実施でき、それには組立て直後のシリコンウエハの洗浄、酸化物増加をゲート制御する直前のかかるウエハの洗浄、IC加工シーケンス最後の酸化物エッチング残存物の除去、選択的エッチングおよび防食剤粒子除去がある。
熱SC−1またはRCA−1溶液によるウエハ表面の処理に続いて、一般に、SC−2またはRCA−2として知られている熱酸溶液によりSC−1またはRCA−1溶液では処理されない金属を除去する。この熱酸溶液SC−2は、過酸化水素、塩酸および水(30%H22、37%HClおよびH2Oが1:1:5)からなる。
SC−1およびSC−2のいずれの溶液も過酸化水素を含有する。過酸化水素の目的は、シリコン表面のエッチングまたは粗面化(roughening)を防ぐために保護酸化物層を連続的に形成することにより、シリコン金属を強酸や強塩基から保護することである。
しかしながら、酸化物表面が望ましくないその後の加工を施すのに適するように、ウエハ表面は酸化物のない状態にしていなければならない。普通、その場合は、過酸化水素により形成された洗浄液中の保護酸化物層を除去する必要がある。このような保護酸化物層を除去するのに常用される物質の例として、HFを挙げることができる。
処方中に過酸化水素が存在すると、これらの溶液に固有の不安定性を与えることになる。このような溶液は、典型的に70℃で1時間以内の過酸化物半減期を示す。SC−1溶液中の過酸化水素は、ある金属、特に銅および鉄の存在下で不安定になり、迅速に発熱して分解し潜在的に危険な状況に至る。過酸化水素は、金属汚染に対する耐性が低い。更に分解した過酸化水素が過酸化水素濃度を下げ、シリコンエッチングの可能性を導き、IC製造に許容できないウエハを生じる。そのため、分解した過酸化水素を補充する必要があり、このことが溶液組成を変えるので、溶液の洗浄特性を変化させることになる。更に、過酸化水素溶液に特有の高いpHにより、安全性や環境を考慮する必要がでてくる。
SC−1またはRCA−1溶液の導入以来、ウエハ表面を洗浄するのに水酸化アンモニウム以外の塩基性物質の使用が提案されてきた。例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)または水酸化トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)などの第4級水酸化アンモニウム化合物が、例えば、日本特許公開第3−93229号および第63−114132号、米国特許第4,239,661号、第4,964,919号および第5,259,888号、ヨーロッパ特許公開第496605号に報告されている。米国特許第4,964,919号に記載のウエハの粗面度(roughness)値は、高密度集積回路製造には許容できない。更に、米国特許第5,207,866号は、第4級アミンを過酸化水素不在下で使用してウエハのシリコン100表面を非等方性にエッチングする例を報告している。
過酸化水素不在下では、上記のアルカリ性または第4級水酸化アンモニウムベースのクリーナーはどれも高密度集積回路製造に必要なウエハの平滑度レベル(smoothness level)を達成できない。最近、過酸化水素を使用せず、許容できる粗面度レベルを維持しながら洗浄できるという2つの技術が開示された。米国特許第5,466,389号の洗浄組成物は、非イオン性界面活性剤と、pH約8から約10の範囲にpHを低下または制御する成分とを含有する。米国第5,498,293号の洗浄組成物は両性界面活性剤を含有する。いずれの例も、過酸化水素を使用せずにウエハの滑らかさを維持している。
これらの新しい技術を用いれば過酸化水素を使用せずにウエハ基板を洗浄できるが、いずれの方法もクリーナー処方に有機界面活性剤を加える必要がある。これらの有機化合物は、最終的にウエハ表面上に吸収されるかまたは残存物として残される。有機物汚染は半導体デバイスの製造には深刻な問題である。シリコンウエハ表面上に有機汚染物質が存在すると、熱酸化物の増加などの熱処理をウエハに施した場合にシリコンカーバイドが形成されることがある。その後シリコンカーバイドは結晶基板に組み込まれ、結晶格子の欠陥を引き起こし得る。このような結晶の欠陥は、ゲート酸化物の早期破損を引き起こすキャリアー(電子)トラップとして働くため、半導体デバイス欠陥の原因になる。無機汚染物質も有機汚染物質とともに表面に沈積され得るので、これもまた誘電ゲート酸化物の早期破損を引き起こす。有機汚染物質は、更に元々存在した天然酸化物の除去も妨げる。そのため、後の酸化物除去処理の際に酸化物除去が不完全になり、微細粗面度(microroughness)が増大し、不均質のゲート酸化物が再増加する結果となる。微細粗面度が増大すると、薄い酸化物またはその他の層を基板と接触させて設けた場合にインターフェースが平坦でなくなり、フィルムの完全性が低下することもある。これらの層の厚さの偏りは、デバイス性能に深刻な影響を与えたり、デバイスの破壊をもたらすことさえある。その他報告されている有機物汚染に関する負の作用は、不本意な疎水性化、粒子沈積の増加、不本意なカウンタードーピング、シリコンウエハ結合の阻止、典型的な結合の阻止、金属パッド粘着力の低下、腐食、化学的キャリーオーバーおよびウエハ上のイメージ形成である。
幾つかの方法がこのような残存有機汚染物質の除去に使用されている。その1つは、オゾン化超純水を使用するものであるが、これには更なる工程を伴い、オゾン化水製造のために特別な装置を必要とする(S.Yasui,et al.,Semiconductor Pure Water and Chemicals Conference Proceedings,pp 64-74,1994)。半導体ウエハ表面の初期“フロント・エンド”洗浄中は有機界面活性剤の使用を避ける方が有利であることは明らかであろう。
界面活性剤およびその他のアルカンジオール含有アルカリ性有機溶液は、過去においてフォトレジストをストリッピングするのに使用されていた。フォトレジストストリッピングは、金属または誘電性集積回路素子から様々な残存物の除去を必要とする。米国特許第4,744,834号(N−メチルピロリドン誘導体またはグリコールエーテル必須)、米国特許第5,091,103号(N−メチルピロリドン必須)、米国特許第4,770,713号(アミド溶媒必須)および米国特許第5,139,607号(共溶媒必須)では、所望のストリッピング作用を起こすために様々な追加溶媒が必要である。シリコンウエハの洗浄にかかわる例では、これらの共溶媒による有機汚染の可能性があり、とても望ましいものではない。
界面活性剤および他の有機物はウエハからフォトレジストを除去するためにストリッパーやクリーナーにおいて使用される。フォトレジストは、機能性集積回路(IC)に必要なパターン化した金属特性を作るのに使用され、ウエハの“バック・エンド”加工の一部であると考えられている。フォトレジストは高分子有機物質であるため、IC加工のこの段階での有機物汚染の危険性は低いことが明らかである。
フォトレジストストリッピングは、ほとんどいつも腐食感受性金属回路素子とストリッパーとを接触させる必要がある。このため、フォトレジストストリッパーの水含量を最少(20%以下)に維持して腐食を回避している。米国特許第4,765,844号と米国特許第5,102,777号に記載のグリコール含有剤では、水についてはなんら明記されていない。
開示されている幾つかのストリッパー剤(米国特許第5,482,566号、米国特許第5,279,771号、米国特許第5,381,807号および米国特許第5,334,332号)は、ヒドロキシルアミンの存在を必要とする。この成分は特許請求された高アルカリ性剤の腐食作用を低減するために含められている。これを目的とした強力な還元手段の使用が公開されている(Schwartzkopf,et al.,ヨーロッパ特許出願第647,884号、1995年4月12日)。ウエハ基板洗浄のためのヒドロキシルアミンの使用は、高度還元手段が金属不純物を可溶性の低い還元形態に変え、続いてその還元形態が素子金属としてシリコン表面上に沈積されることがあるため、不利である。
本発明の目的は、表面微細粗面度を増すことなく、ウエハ基板から金属汚染を洗浄するための洗浄液を提供することであり、このクリーナー組成物は保護酸化物層提供のための過酸化水素の使用や有機界面活性剤の使用を必要としない。本発明の更なる目的は、表面微細粗面度を増すことなく、実質的に酸化物のないウエハ表面を残して、酸化物表面が望ましくないその後の加工を施すのに適した表面を作るため、ウエハ基板の金属汚染洗浄用の洗浄組成物を提供することである。本発明の更なる目的は、酸処理工程を必要としないで、またはHFなどの酸化物表面の除去に使用される物質を使用せずに、このような金属汚染ウエハ表面を洗浄することである。本発明の更なる態様は、たった1種の洗浄液を用いてウエハ表面の微細粗面度を増すことなく、かかる金属汚染ウエハ表面を洗浄する方法を提供することである。更に別の本発明の目的は、アルカリ性水溶液、より具体的には、過酸化水素またはその他の酸化剤と有機界面活性剤のいずれも含まない水酸化第4級アンモニウム水溶液を用いてウエハ表面微細粗面度を増すことなく、かかる金属汚染ウエハ表面を洗浄する方法および組成物を提供することである。本発明のまた別の目的は、ウエハを洗浄し、ウエハピーク高さと谷との間のZ方向角の平均距離として約25オングストローム以下の粗面度を達成するための方法およびアルカリ性洗浄組成物を提供することである。
発明の簡単な説明
アルカリ性金属イオンフリー塩基と、2から10個の−OH基を含有し、かつ式:
HO−Z−OH
式中、−Z−は−R−、
Figure 0004282093
であり、−R−、−R1−、−R2−および−R3−はアルキレン基であり、xは1から4の整数であり、yは1から8の整数であるが、但し、化合物中の炭素原子数は10を越えない、
を有するポリヒドロキシ化合物とからなる過酸化水素不含有の水性洗浄液を用いて表面の微細粗面度を増すことなく金属汚染を除去するためにマイクロエレクトロニクスウエハ基板表面を洗浄する方法が、ウエハ基板表面をウエハ基板表面の洗浄に十分な時間および温度で洗浄組成物と接触させることを含む。この洗浄組成物は、所望により金属錯体形成剤を含有する。このような過酸化水素不含有水性アルカリ性洗浄組成物が、望ましくないウエハ表面の粗面度を生じることなく金属汚染物質に対して効果的なウエハ洗浄作用を示すことを発見した。下記の実施例のデータが示すように、アルカリ性塩基のみを単独で含有するクリーナー組成物では、ウエハの平滑性、すなわち25オングストロームまたはそれ以下のZ−レンジ粗面度を維持しながら効果的に洗浄することはできない。
発明の詳細な説明
本発明の方法に使用する水性アルカリ性洗浄組成物は、一般に約25重量%までの量、一般には約0.05重量%から約10重量%のアルカリ性成分と、2から10個の−OH基を含有し、かつ式:
HO−Z−OH
式中、−Z−は−R−、
Figure 0004282093
であり、−R−、−R1−、−R2−および−R3−はアルキレン基であり、xは1から4の整数であり、yは1から8の整数である、を有するポリヒドロキシ化合物、但し、化合物中の炭素原子数は10を越えない、
を総クリーナー組成物の約50重量%までの量、一般には、約1重量%から約45重量%、好ましくは約5重量%から約40重量%含むものである。このクリーナー組成物の残りは水、好ましくは高純度脱イオン水から構成される。所望により、本発明で使用したアルカリ性洗浄組成物は、約5重量%まで、好ましくは約2重量%までの金属錯体形成剤を含んでいてもよい。
本発明のクリーナー組成物には、適切なアルカリ性成分ならどれでも使用できる。これらのクリーナーのアルカリ性成分は、好ましくは、第4級水酸化アンモニウム、例えば、アルキル基が非置換アルキル基またはヒドロキシおよびアルコキシ基で置換されたアルキル基であり、一般にアルキルまたはアルコキシ基中の炭素原子が1から4個である水酸化テトラアルキルアンモニウムである。これらのアルカリ性物質の中でも最も好ましいのは、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)である。その他の使用可能な第4級水酸化アンモニウムの例には、水酸化トリメチル−3−ヒドロキシプロピルアンモニウム、水酸化トリメチル−3−ヒドロキシブチルアンモニウム、水酸化トリメチル−4−ヒドロキシブチルアンモニウム、水酸化トリエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸化トリプロピル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸化トリブチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸化ジメチルエチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸化ジメチルジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、水酸化モノメチルトリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化モノメチルトリエチルアンモニウム、水酸化モノメチルトリプロピルアンモニウム、水酸化モノメチルトリブチルアンモニウム、水酸化モノメチルトリメチルアンモニウム、水酸化モノエチルトリブチルアンモニウム、水酸化ジメチルジエチルアンモニウム、水酸化ジメチルジブチルアンモニウムなど、およびそれらの混合物がある。
その他の使用可能なアルカリ性成分には、例えば、水酸化アンモニウム、アルカノールアミン、例えば2−アミノエタノール、1−アミノ2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、その他の酸素含有アミン、例えば3−メトキシプロピルアミンおよびモルホリン、およびアルカンジアミン、例えば1,3−ペンタンジアミンおよび2−メチル−1,5−ペンタンジアミンなど、および他の強有機塩基、例えばグアニジンもある。これらのアルカリ性成分の混合物、特に水酸化アンモニウムと上記の水酸化テトラアルキルアンモニウムとの混合物も有用であり、一般的に好ましい。
本発明の水性アルカリ性クリーナー組成物は、上記式HO−Z−OHの適切なポリヒドロキシ成分ならどれでも含有し、好ましくは7.5cal1/2cm-3/2以上のハンセン水素結合溶解パラメーターを持つ高親水性アルカンジオールまたはビシナルアルカンポリオールを含有する。本発明のクリーナー組成物に有用な様々なアルカンジオールの中では、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、およびそれらの混合物を挙げることができる。本発明のクリーナー組成物に有用な様々なビシナルアルカンポリオール(糖アルコール)の中では、例えば、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、アドニトール、グリセロール、およびそれらの混合物を挙げることができる。
親水性溶媒によるシリコン表面の保護は、各種文献がその保護には疎水性物質が必要であると指摘していることから、予期に反するものである。例えば、S.Raghavan,et al.,J.Electochem.Soc.,143(1),1996,p277-283は、その表IIIにおいて、シリコンの表面粗面度はある種の界面活性剤の親水性によって直接的に変化することを示している。
本発明の洗浄液はそのまま使用してもよく、また、溶液中で金属を保持する能力を増大するために適切な金属キレート剤などの追加成分と共に調剤してもよい。そのための典型的なキレート剤の例は、次の有機酸とそれらの塩である:エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸ジ−N−オキシド(EDTA二酸化物)、ブチレンジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、(ヒドロキシエチル)−エチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラニトリロヘキサ酢酸(TTHA)、エチレンジイミノビス[(2−ヒドロキシフェニル)酢酸](EHPG)、メチルイミノジ酢酸、プロピレンジアミンテトラ酢酸、ニトロロトリ酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、糖酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、安息香酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サルチル酸、カテコール、4−アミノエチルカテコール、[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アラニン](DOPA)、ヒドロキシキノリン、N,N,N’,N’−エチレンジアミン−テトラ(メチレンホスホン)酸、アミノ(フェニル)メチレンジホスホン酸、チオジ酢酸、サリチルヒドロキサミン酸など。
本発明の方法に使用する洗浄組成物において、アルカリ性成分は、一般に組成物の約25重量%までの量、一般に約0.05重量%から約10重量%の量、好ましくは約0.1重量%から約5重量%の量で存在する。アルカンジオールは、一般に約50重量%までの量、一般に約1重量%から約45重量%の量、好ましくは約5重量%から約40重量%の量で存在する。
金属キレート化合物を洗浄組成物中に含める場合、一般に約5重量%までの量、一般に約0.01重量%から約5重量%の量、好ましくは約0.1重量%から約2重量%の量で存在する。洗浄組成物の残りは、水、好ましくは高純度脱イオン水で構成される。
本発明の洗浄剤の水含量は、存在する金属汚染物質の除去を容易にするため、常に少なくとも40重量%である。
本発明の洗浄組成物は、所望ならば組成物のpH制御を維持するため、更に酢酸、塩化水素などの緩衝成分を含有できる。
本発明の好ましい洗浄組成物の例として、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)約0.07重量%、水酸化アンモニウム溶液約0.50重量%、ジエチレングリコール約36重量%、およびエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)約0.09重量%を含有し、残りは水で構成されている、水性溶液を挙げることができる。
本発明の好ましい洗浄組成物の更なる例には、水酸化テトラメチルアンモニウム約0.07重量%、水酸化アンモニウム約2.5重量%、エチレングリコールまたはジエチレングリコール約35重量%、氷酢酸約0.08重量%、およびエチレンジアミンテトラ酢酸約0.09重量%を含有し、残りは水で構成されている、水溶液がある。
また、本発明の好ましい洗浄組成物の更なる例には、水酸化テトラメチルアンモニウム約0.5重量%、1,3−ペンタンジアミン約4重量%、ジエチレングリコール約50重量%、酢酸約1重量%、およびエチレンジアミンテトラ酢酸約0.09重量%を含有し、残りは水で構成されている、水溶液がある。
本発明の好ましい洗浄組成物のまた別の例には、水酸化テトラメチルアンモニウム約0.5重量%、1,3−ペンタンジアミン約4重量%、ジエチレングリコール約50重量%、塩化水素約0.6重量%、およびエチレンジアミンテトラ酢酸約0.09重量%を含有し、残りは水で構成されている、水溶液がある。
本発明は、下記実施例で例示説明するが、これらに限定されるものではない。実施例では、パーセンテージは特記しない限り重量%である。実施例は、ウエハ表面の洗浄や過酸化水素などの酸化剤または保護界面活性剤なしでの微細粗面化の防止における、更には酸処理工程なしで低金属レベルを達成した、本発明の驚くべき予想外の結果を示している。
下記の実施例では、洗浄組成物は、すべてポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレン容器中で製造した。新しい3”二重側面光沢シリコンウエハ(double-sided polished silicon wafers)(Pドープ、<100>結晶面)を定常温度で10分間洗浄液中に入れた。洗浄液中で10分後、ウエハを除去し、脱イオン水で濯ぎ、分析した。処理後、“Rz粗面度”(ピーク高さと谷との間のZ方向の平均距離として定義)を各洗浄組成物について測定した。飛沫表面エッチングとグラファイト炉原子吸光分析を併用して金属レベルを測定した。粗さ測定は、原子間力顕微鏡またはTencor Alpha step 100などのプロファイロメーターのいずれかで行った。
実施例1
グリコールと共にかつグリコールなしで水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液を製造した。ウエハをこの溶液中に60℃で10分間入れ、脱イオン水で濯いだ。乾燥後、“Rz粗面度”を測定した。その結果は表1に記載しており、明らかにアルカリ性溶液への暴露に伴うシリコン表面の粗面化を防止または緩和するグリコールの能力を示している。下記の洗浄液はすべてpH>12である。
Figure 0004282093
実施例2
この実施例では洗浄温度が70℃である以外は実施例1と同様にしてウエハを処理した。その結果は表2に記載しており、明らかにアルカリ性溶液への暴露に伴うシリコン表面の粗面化を防止または緩和するグリコールの能力を示している。下記の溶液はすべてpH>12である。
Figure 0004282093
実施例3
この実施例では洗浄温度が80℃である以外は実施例1と同様にしてウエハを処理した。その結果は表3に記載しており、明らかにアルカリ性溶液への暴露に伴うシリコン表面の粗面化を防止または緩和するグリコールの能力を示している。下記の溶液はすべてpH>12である。
Figure 0004282093
実施例4
この実施例では洗浄温度が90℃である以外は実施例1と同様にしてウエハを処理した。その結果は表4に記載しており、明らかにアルカリ性溶液への暴露に伴うシリコン表面の粗面化を防止または緩和するグリコールの能力を示している。下記の溶液はすべてpH>12である。
Figure 0004282093
実施例5
この実施例では洗浄温度を70℃とし、グルコール濃度を6.5〜36重量%に変える以外は実施例1と同様にしてウエハを処理した。その結果は表5に記載しており、明らかにアルカリ性溶液への暴露に伴うシリコン表面の粗面化を防止または緩和するグリコールの能力を示している。下記の溶液はすべてpH>12である。
Figure 0004282093
実施例6
この実施例では洗浄温度を60℃とし、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、コリン(水酸化2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウム)、モノエタノールアミン(MEA)および水酸化アンモニウム(NH4OH)を含む多種のアルカリ性洗浄成分を使用した以外は実施例1と同様にしてウエハを処理した。結果は、アルカリ性成分濃度1.3重量%とグルコール濃度36重量%のそれぞれで60℃10分の処理条件の場合について表6に記載している。グルコールを省略した場合は4種のアルカリ性物質それぞれがシリコンをエッチングした。しかしながら、グリコールが存在する場合は、どの処理もエッチングの形跡はなかった。
Figure 0004282093
実施例7
この実施例では洗浄温度を80℃とし、1−アミノ−2−プロパノール(MIPA)、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(DEGA)、3−アミノ−1−プロパノール(AP)、3−メトキシプロピルアミン(MPA)、1−(2−アミノエチル)ピペラジン(AEP)およびモルホリンを含む多種のアルカリ性洗浄成分を使用した以外は実施例1と同様にしてウエハを処理した。結果は、アルカリ性成分濃度1.3重量%とグルコール濃度36重量%のそれぞれで80℃10分の処理条件の場合について表7に記載している。グルコールを省略した場合は6種のアルカリ性物質それぞれがシリコンをエッチングした。しかしながら、グリコールが存在する場合は、どの処理もエッチングの形跡はなかった。
Figure 0004282093
実施例8
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.22重量%、水酸化アンモニウム1.55重量%およびキレート剤エチレンジニトリロテトラ酢酸(EDTA)0.29重量%を含有するアルカリ性水溶液濃縮物を製造した。アルカリ性水溶液濃縮物を用いて、サンプル処理用の溶液2種を調製した。アルカリ性溶液Aは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1部とジエチレングリコール(DEG)1部を加えて調製した。アルカリ性溶液Bは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水2部を加えて調製した。同じウエハロットの2つのシリコンウエハサンプルを下記の処理にかけた:(1)サンプルをPiranha溶液(96%硫酸/30%過酸化水素(4:1)混合物)におよそ90℃で10分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる、および(2)サンプルをアルカリ性水溶液AまたはBに70℃で5分間入れて処理し、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる。比較のために“Piranhaのみ”処理を用いて第3のシリコンウエハサンプル(上記と同じウエハロットのもの)を製造した(概略は上記工程(1))。処理後、シリコンウエハサンプルの二乗平均(RMS)微細粗面度を1ミクロンスクエアスキャンから原子間力顕微鏡(AFM)により測定し、表8に記載した結果を得た。グルコールの存在がシリコン表面の粗面化を防止することは明らかである。
Figure 0004282093
実施例9
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.20重量%、水酸化アンモニウム7.37重量%およびキレート剤エチレンジニトリロテトラ酢酸(EDTA)0.26重量%を含有するアルカリ性水溶液濃縮物を製造した。アルカリ性水溶液濃縮物を用いて、サンプル処理用の溶液4種を調製した。緩衝化アルカリ性溶液Cは、上記製造した濃縮物1部にジエチレングリコール(DEG)2部を加えて調製し、次いで氷酢酸0.07重量%を加えて溶液pHを約10.8にした。緩衝化アルカリ性溶液Dは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1部とエチレングリコール(EG)1部を加えて調製、次いで、氷酢酸0.08重量%を加えて溶液pHを約10.8にした。緩衝化アルカリ性溶液Eは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1部とテトラエチレングリコール(TaEG)1部を加えて調製し、次いで氷酢酸0.11重量%を加えて溶液pHを約10.8にした。緩衝化アルカリ性溶液Fは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水2部を加えて調製し、次いで、氷酢酸0.11重量%を加えて溶液pHを約10.8にした。同じウエハロットの4つのシリコンウエハサンプルを下記の処理にかけた:(1)サンプルをPiranha溶液(96%硫酸/30%過酸化水素(4:1)混合物)におよそ90℃で10分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる、および(2)サンプルを緩衝化アルカリ性水溶液CまたはDまたはEまたはFに70℃で5分間入れて処理し、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる。比較のために表8のPiranhaのみの粗面度データも示す。処理後、シリコンウエハサンプルの二乗平均(RMS)微細粗面度を1ミクロンスクエアスキャンから原子間力顕微鏡(AFM)により測定し、表9に記載した結果を得た。グルコールの存在がシリコン表面の粗面化を防止または緩和することは明らかである。
Figure 0004282093
実施例10
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.20重量%、水酸化アンモニウム7.37重量%およびキレート剤エチレンジニトリロテトラ酢酸(EDTA)0.26重量%を含有するアルカリ性水溶液濃縮物を製造した。アルカリ性水溶液濃縮物を用いて、サンプル処理用の溶液を2種調製した。緩衝化アルカリ性溶液Gは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1部とジエチレングリコール(DEG)1部を加えて調製し、次いで氷酢酸0.12重量%を加えて溶液pHを約10.8にした。緩衝化アルカリ性溶液Fは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水2部を加えて調製し、次いで、氷酢酸0.11重量%を加えて溶液pHを約10.8にした。実施例8と9で使用した同じウエハロットの2つのシリコンウエハサンプルを下記の処理にかけた:(1)サンプルをPiranha溶液(96%硫酸/30%過酸化水素(4:1)混合物)におよそ90℃で10分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる、および(2)サンプルを緩衝化アルカリ性水溶液FまたはGに70℃で3分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる。比較のために表8のPiranhaのみの粗面度データも示す。処理後、シリコンウエハサンプルの二乗平均(RMS)微細粗面度を1ミクロンスクエアスキャンから原子間力顕微鏡(AFM)により測定し、表10に記載した結果を得た。グルコールの存在がシリコン表面の粗面化を防止または緩和することは明らかである。
Figure 0004282093
実施例11
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)1.03重量%、1,3−ペンタンジアミン8.63重量%、キレート剤エチレンジニトリロテトラ酢酸(EDTA)0.20重量%および氷酢酸2.32重量%を合わせることにより、pH約11.0の緩衝化アルカリ性水溶液濃縮物を製造した。緩衝化アルカリ性水溶液濃縮物を用いてサンプル処理用の溶液2種を調製した。緩衝化アルカリ性溶液Hは、上記製造した濃縮物1部にジエチレングリコール(DEG)1部を加えて調製した。緩衝化アルカリ性溶液Iは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1部を加えて調製した。実施例8、9、10で使用した同じウエハロットの2つのシリコンウエハサンプルを下記の処理にかけた:(1)サンプルをPiranha溶液(96%硫酸/30%過酸化水素(4:1)混合物)におよそ90℃で10分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる、および(2)サンプルを緩衝化アルカリ性水溶液HまたはIに70℃で5分間入れて処理し、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる。比較のために表8のPiranhaのみの粗面度データも示す。処理後、シリコンウエハサンプルの二乗平均(RMS)微細粗面度を1ミクロンスクエアスキャンから原子間力顕微鏡(AFM)により測定し、表11に記載した結果を得た。グルコールの存在がシリコン表面の粗面化を防止または緩和することは明らかである。
Figure 0004282093
実施例12
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)1.02重量%、1,3−ペンタンジアミン8.54重量%、キレート剤エチレンジニトリロテトラ酢酸(EDTA)0.20重量%および37.1%塩酸3.32重量%を合わせることにより、pH約11.0の緩衝化アルカリ性水溶液濃縮物を製造した。緩衝化アルカリ性水溶液濃縮物を用いてサンプル処理用の溶液2種を調製した。緩衝化アルカリ性溶液Jは、上記製造した濃縮物1部にジエチレングリコール(DEG)1部を加えて調製した。緩衝化アルカリ性溶液Kは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1部を加えて調製した。実施例8、9、10、11で使用した同じウエハロットの2種のシリコンウエハサンプルを下記の処理にかけた:(1)サンプルをPiranha溶液(96%硫酸/30%過酸化水素(4:1)混合物)におよそ90℃で10分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる、および(2)サンプルを緩衝化アルカリ性水溶液JまたはKに70℃で5分間入れて処理し、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる。比較のために表8のPiranhaのみの粗面度データも示す。処理後、シリコンウエハサンプルの二乗平均(RMS)微細粗面度を1ミクロンスクエアスキャンから原子間力顕微鏡(AFM)により測定し、表12に記載した結果を得た。グルコールの存在がシリコン表面の粗面化を防止または緩和することは明らかである。
Figure 0004282093
実施例13
実施例8で製造した溶液Aを用いて、フーリエ変換赤外線減衰全反射(FTIR/ATR)分光法による表面ターミネーション(termination)種と有機物汚染レベルの測定のために2つの単一結晶シリコン(100)内部反射素子(Internal Reflection Elements)(IRE)を処理した。IRE−#1は、末端斜角45°で寸法54mm×10mm×2mmの非ドープ化シリコン(100)台形型結晶である。IRE−#1は下記のように処理した:(1)IREをPiranha溶液(96%硫酸/30%過酸化水素(4:1)混合物)におよそ90℃で10分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させ、最後に“基準吸光度スペクトル”をFTIR/ATRで測る、および(2)IREをアルカリ性水溶液Aに70℃で5分間入れて処理し、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させ、最後に“サンプル吸光度スペクトル”をFTIR/ATRで測る。4cm-1分解能、ゲイン32で最低480スキャンを行った。表面ターミネーション種および有機物汚染の有無を測定するためにサンプルスペクトルから基準スペクトルを差し引いた。IRE−#2は、末端斜角45°で寸法54mm×10mm×1mm(より薄い結晶はより大きい内部反射を生じるので感度を高める)のn−リンドープ化シリコン(100)台形型結晶である。IRE−#2は下記のように処理した:(1)IREをPiranha(96%硫酸/30%過酸化水素(4:1)混合物)におよそ90℃で10分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させ、最後に“基準吸光度スペクトル”をFTIR/ATRで測る、および(2)IREをアルカリ性水溶液Aに70℃で5分間入れて処理し、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させ、最後に“サンプル吸光度スペクトル”をFTIR/ATRで測る。4cm-1分解能、ゲイン32で最低480スキャンを行った。表面ターミネーション種および有機物汚染の有無を測定するためにサンプルスペクトルから基準スペクトルを差し引いた。
得られたスペクトルの分析は、領域2990〜2810cm-1(有機物汚染CHxピークが位置する)と2160〜2035cm-1(水素ターミネート化(terminated)シリコンピークが位置する)にて行った。結果は、両方のIRE結晶について2160〜2035cm-1範囲に吸光度ピークが存在することを示しており、これは、シリコンIREの表面に水素ターミネーションが存在することを示すものであった。両方のIRE結晶について2990〜2810cm-1の吸光度領域を分析したが、この領域にはバックグラウンドノイズ上に吸光度ピークは存在せず、これは、検出される有機物汚染(または残存物)がないことを示すものであった。このグリコール含有処理は、実質的に天然シリコン酸化物をシリコンIRE結晶表面から除去し、後に有機残存物を残すことなく水素ターミネート化シリコン表面を形成することが明らかである。
実施例14
実施例8で製造した溶液Aを用いて、ウエハ製造元の容認標準通り、4つのn−リンドープ化シリコンウエハを洗浄した。70℃で5分間洗浄し、次いで脱イオン水で2分濯ぎ、急速回転乾燥した。
それから、飛沫表面エッチング(DSE)法により、続いてグラファイト炉原子吸光分析(GFAAS)を用いる元素分析により溶液Aの金属洗浄能を測定した。同じロットからとった第2組のウエハ2つも“容認標準(as received)”条件で分析し、同じDSE−GFAAS法を用いて金属汚染の初期レベルを測定した。DSE−GFAAS法は、超高純度酸溶液(水中10%HFと10%HCl)の小滴をウエハ表面に置き、ウエハ表面全体に小滴を“スキャニング”して、シリコン酸化物および金属を小滴に溶かすことにより実施した。アルミニウム(Al)、銅(Cu)および鉄(Fe)についてのDSE−GFAAS分析は表13に示す。グリコール含有アルカリ性水溶液Aはウエハ表面からこれらの金属汚染を洗浄できることは明らかである。
Figure 0004282093
実施例15
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.22重量%、水酸化アンモニウム1.55重量%およびキレート剤エチレンジニトリロテトラ酢酸(EDTA)0.29重量%を含有するアルカリ性水溶液濃縮物を製造した。アルカリ性水溶液濃縮物を用いて、サンプル処理用の溶液7種を調製した。アルカリ性溶液Mは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1.7部とD−マンニトール0.3部を加えて調製した。アルカリ性溶液Nは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1.4部とメソエリスリトール0.6部を加えて調製した。アルカリ性溶液Oは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1.4部とD−ソルビトール0.6部を加えて調製した。アルカリ性溶液Pは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1.4部とキシリトール0.6部を加えて調製した。アルカリ性溶液Qは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1.4部とアドニトール0.6部を加えて調製した。アルカリ性溶液Rは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1.4部とグリセロール0.6部を加えて調製した。アルカリ性溶液Sは、上記製造した濃縮物1部に脱イオン水1.4部とDL−トレイトール0.6部を加えて調製した。7つのシリコンウエハサンプルを下記の処理にかけた:(1)サンプルをPiranha溶液(96%硫酸/30%過酸化水素(4:1)混合物)におよそ90℃で10分間入れ、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる、および(2)サンプルをアルカリ性水溶液MまたはNまたはOまたはPまたはQまたはRまたはSに70℃で5分間入れて処理し、取り出し、脱イオン水で濯ぎ、圧縮窒素ガスで乾燥させる。比較のために表8のPiranhaのみおよび溶液B(水のみで希釈)のデータも示す。処理後、シリコンウエハサンプルの二乗平均(RMS)微細粗面度を1ミクロンスクエアスキャンから原子間力顕微鏡(AFM)により測定し、表14に記載した結果を得た。糖アルコールの存在がシリコンウエハ表面の粗面化を防止または緩和することは明らかである。
Figure 0004282093

Claims (31)

  1. ウエハ基板表面の平滑性を維持し、ウエハ表面に回路を生成させる集積回路加工工程においてウエハ表面にその後の加工を施すのに適した実質的に酸化物のないウエハ表面を残しながら金属汚染を除去するためにマイクロエレクトロニクスウエハ基板表面を初期段階で洗浄する方法であって、ウエハ基板表面をウエハ基板表面の洗浄に十分な時間および温度で洗浄組成物と接触させることを含み、該洗浄組成物は、アルカリ性金属イオンフリー塩基の水性溶液と、2から10個の−OH基を含有し、かつ式:
    HO−Z−OH
    式中、−Z−は−R−、−(R1−O)x−R2−または
    Figure 0004282093
    であり、−R−、−R1−、−R2−および−R3−はアルキレン基であり、xは1から4の整数であり、yは1から8の整数であるが、但し、ポリヒドロキシ化合物中の炭素原子数は10を越えない、
    を有するポリヒドロキシ化合物とを含み、水性溶液中に存在する水は洗浄組成物の少なくとも40重量%であり、
    該回路を生成させるための該ウエハ基板表面の製造中に、該ウエハ基板表面を該洗浄組成物と接触させることが、該ウエハ基板表面を過酸化水素と接触させることなく、そして、該ウエハ基板表面に回路を生成させる前に酸化物除去剤を利用することなく実施される、方法。
  2. アルカリ性金属イオンフリー塩基が洗浄組成物中25重量%までの量で存在し、ポリヒドロキシ化合物が50重量%までの量で存在する、請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. アルカリ性金属イオンフリー塩基が0.05重量%から10重量%の量で存在し、ポリヒドロキシ化合物が5重量%から40重量%の量で存在する、請求の範囲第2項に記載の方法。
  4. 洗浄組成物が更に金属キレート化合物を洗浄組成物の0.01から5重量%の量で含む、請求の範囲第3項に記載の方法。
  5. アルカリ性金属イオンフリー塩基が、水酸化アンモニウムまたは、アルキル基が非置換アルキル基またはヒドロキシまたはアルコキシ基で置換されたアルキル基である水酸化テトラアルキルアンモニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求の範囲第2項に記載の方法。
  6. アルカリ性金属イオンフリー塩基が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸化アンモニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求の範囲第5項に記載の方法。
  7. アルカリ性金属イオンフリー塩基がアルカノールアミンである、請求の範囲第2項に記載の方法。
  8. アルカリ性金属イオンフリー塩基がアルカンジアミンである、請求の範囲第2項に記載の方法。
  9. ポリヒドロキシ化合物が、7.5cal1/2cm-3/2以上のハンセン水素結合溶解パラメーターを持つ高親水性アルカンジオールおよびビシナルアルカンポリオールからなる群から選択される、請求の範囲第1項に記載の方法。
  10. ポリヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアルカンジオールである、請求の範囲第9項に記載の方法。
  11. ポリヒドロキシ化合物が、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、アドニトール、グリセロールおよびそれらの混合物からなる群から選択されるビシナルアルカンポリオールである、請求の範囲第9項に記載の方法。
  12. 洗浄組成物が、水酸化テトラメチルアンモニウム0.07重量%、水酸化アンモニウム溶液0.50重量%、ジエチレングリコール36重量%およびエチレンジアミンテトラ酢酸0.09重量%を含有する水性溶液を含み、残りは水で構成されている、請求の範囲第4項に記載の方法。
  13. 洗浄組成物が、水酸化テトラメチルアンモニウム0.07重量%、水酸化アンモニウム溶液2.5重量%、エチレングリコールとジエチレングリコールからなる群から選択されるグリコール35重量%、氷酢酸0.08重量%およびエチレンジアミンテトラ酢酸0.09重量%を含有する水性溶液を含み、残りは水で構成されている、請求の範囲第4項に記載の方法。
  14. 洗浄組成物が、水酸化テトラメチルアンモニウム0.5重量%、1,3−ペンタンジアミン4重量%、ジエチレングリコール50重量%、酢酸1重量%およびエチレンジアミンテトラ酢酸0.09重量%を含有する水性溶液を含み、残りは水で構成されている、請求の範囲第2項に記載の方法。
  15. 洗浄組成物が、水酸化テトラメチルアンモニウム0.5重量%、1,3−ペンタンジアミン4重量%、ジエチレングリコール50重量%、塩化水素0.6重量%およびエチレンジアミンテトラ酢酸0.09重量%を含有する水性溶液を含み、残りは水で構成されている、請求の範囲第2項に記載の方法。
  16. ウエハ基板表面の平滑性を維持し、ウエハ表面に回路を生成させる集積回路加工工程においてウエハ表面にその後の加工を施すのに適した実質的に酸化物のないウエハ表面を残しながら金属汚染を除去するためにマイクロエレクトロニクスウエハ基板表面を初期段階で洗浄するための洗浄組成物であって、アルカリ性金属イオンフリー塩基の水性溶液と、2から10個の−OH基を含有し、かつ式:
    HO−Z−OH
    式中、−Z−は−R−、−(R1−O)x−R2−または
    Figure 0004282093
    であり、−R−、−R1−、−R2−および−R3−はアルキレン基であり、xは1から4の整数であり、yは1から8の整数であるが、但し、ポリヒドロキシ化合物中の炭素原子数は10を越えない、
    を有するポリヒドロキシ化合物からなり、水性溶液中に存在する水は洗浄組成物の少なくとも40重量%であり、該洗浄組成物は、0.01ないし5重量%の金属キレート剤を含有することもあり、緩衝成分を含有することもある、組成物。
  17. アルカリ性金属イオンフリー塩基が洗浄組成物中25重量%までの量で存在し、ポリヒドロキシ化合物が50重量%までの量で存在する、請求の範囲第16項に記載の組成物。
  18. アルカリ性金属イオンフリー塩基が0.05重量%から10重量%で存在し、ポリヒドロキシ化合物が5重量%から40重量%の量で存在する、請求の範囲第17項に記載の組成物。
  19. 洗浄組成物が更に金属キレート化合物を洗浄組成物の0.01から5重量%の量で含む、請求の範囲第18項に記載の組成物。
  20. アルカリ性金属イオンフリー塩基が、水酸化アンモニウムまたは、アルキル基が非置換アルキル基またはヒドロキシまたはアルコキシ基で置換されたアルキル基である水酸化テトラアルキルアンモニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求の範囲第17項に記載の組成物。
  21. アルカリ性金属イオンフリー塩基が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸化アンモニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求の範囲第20項に記載の組成物。
  22. アルカリ性金属イオンフリー塩基がアルカノールアミンである、請求の範囲第17項に記載の組成物。
  23. アルカリ性金属イオンフリー塩基がアルカンジアミンである、請求の範囲第17項に記載の組成物。
  24. ポリヒドロキシ化合物が、7.5cal1/2cm-3/2以上のハンセン水素結合溶解パラメーターを持つ高親水性アルカンジオールおよびビシナルアルカンポリオールからなる群から選択される、請求の範囲第16項に記載の組成物。
  25. ポリヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアルカンジオールである、請求の範囲第24項に記載の組成物。
  26. ポリヒドロキシ化合物が、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、アドニトール、グリセロールおよびそれらの混合物からなる群から選択されるビシナルアルカンポリオールである、請求の範囲第24項に記載の組成物。
  27. 洗浄組成物が、水酸化テトラメチルアンモニウム0.07重量%、水酸化アンモニウム0.50重量%、ジエチレングリコール36重量%およびエチレンジアミンテトラ酢酸0.09重量%を含有する水性溶液を含み、残りは水で構成されている、請求の範囲第19項に記載の組成物。
  28. 洗浄組成物が、水酸化テトラメチルアンモニウム0.07重量%、水酸化アンモニウム2.5重量%、エチレングリコールとジエチレングリコールからなる群から選択されるグリコール35重量%、氷酢酸0.08重量%およびエチレンジアミンテトラ酢酸0.09重量%を含有する水性溶液を含み、残りは水で構成されている、請求の範囲第19項に記載の組成物。
  29. 洗浄組成物が、水酸化テトラメチルアンモニウム0.5重量%、1,3−ペンタンジアミン4重量%、ジエチレングリコール50重量%、酢酸1重量%およびエチレンジアミンテトラ酢酸0.09重量%を含有する水性溶液を含み、残りは水で構成されている、請求の範囲第17項に記載の組成物。
  30. 洗浄組成物が、水酸化テトラメチルアンモニウム0.5重量%、1,3−ペンタンジアミン4重量%、ジエチレングリコール50重量%、塩化水素0.6重量%およびエチレンジアミンテトラ酢酸0.09重量%を含有する水性溶液を含み、残りは水で構成されている、請求の範囲第17項に記載の組成物。
  31. 該ウエハ基板表面を該洗浄組成物と接触させた後、該ウエハ基板表面が、ウエハピークの高さと谷との間の平均距離が25オングストローム以下であるピーク高さと谷を有する、請求項1に記載の方法。
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