JP4275044B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
非晶質の酸化ニオブは高い絶縁性を有するとともに、従来の固体電解コンデンサの材料である酸化タンタルに比べて誘電率が約1.8倍と大きいことから、次世代の高容量固体電解コンデンサの誘電体材料として注目されている。
従来の酸化ニオブを用いる固体電解コンデンサでは、リフロー工程などの熱処理の影響を受けやすく、静電容量の安定性が酸化タンタルなどの他の誘電体材料を用いる固体電解コンデンサに比べて劣るので、これを抑制するために、誘電体層を構成する酸化ニオブ中にニオブ窒化物領域を形成した固体電解コンデンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−329902号公報
しかしながら、上記のようにニオブ窒化物領域が形成された酸化ニオブを誘電体層として用いる従来の固体電解コンデンサにおいても、リフロー工程などの熱処理によって、非晶質の酸化ニオブの一部が結晶化するという現象が生じる。これにより、誘電体層中には絶縁性の低い酸化ニオブの結晶が含まれるので、誘電体層の絶縁性が低下するという不具合があった。さらに、酸化ニオブは非晶質から結晶への状態変化にともなって体積変化を生じるので、酸化ニオブの結晶化により誘電体層には、ひび割れが発生しやすい。これにより、陽極と誘電体層表面に形成される陰極とが短絡しやすくなるという不具合があった。また、上記従来のニオブ窒化物領域が形成された酸化ニオブを誘電体層に用いる固体電解コンデンサにおいても、誘電体層中の酸素の拡散を十分に抑制できないので、誘電体層の厚みが減少しやすいという不具合があった。これらの結果、従来の固体電解コンデンサにおいては、陽極と陰極との間の漏れ電流を十分に低減することができないという問題点があった。
本発明の目的は、漏れ電流が低減された固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による固体電解コンデンサは、ニオブまたはニオブ合金からなる陽極と、陽極上に形成されたニオブおよび酸素を主成分とし、フッ素を含む第1誘電体層と、第1誘電体層上に形成されたニオブおよび酸素に加え、リンを含む第2誘電体層と、第2誘電体層上に形成された陰極とを備える。なお、本発明において、「ニオブおよび酸素を主成分とする」とは、ニオブおよび酸素を含有するとともに、ニオブまたは酸素のいずれか一方の元素を主成分とする状態を意味しており、第1誘電体層は、ニオブまたは酸素のいずれか一方の元素を主成分とする酸化ニオブから構成されている。また、本発明において、「ニオブおよび酸素に加え、リンを含む」とは、酸化ニオブとともにリン含む状態を意味しており、第2誘電体層は、リンを含む酸化ニオブから構成されている。
この第1の局面による固体電解コンデンサでは、上記のように、誘電体層を構成する酸化ニオブからなる第1誘電体層および第2誘電体層のうち、陰極などが形成される表面側に位置する第2誘電体層は、リンを含んでいるので、誘電体層表面の酸化ニオブは結晶化しにくい。これにより、リフロー工程などの熱処理を行っても、第2誘電体層中には絶縁性の低い結晶性の酸化ニオブは生じにくく、誘電体層表面の絶縁性が低下することを抑制することができる。また、誘電体層表面の酸化ニオブの結晶化が抑制されるので、誘電体層の表面にはひび割れが発生しにくい。すなわち、第2誘電体層は、誘電体層の表面保護層として機能する。その結果、誘電体層内部に至るひび割れも発生しにくくなるので、陽極と誘電体層の表面に形成される陰極とが短絡することを抑制することができる。したがって、この第1の局面の発明においては、誘電体層の絶縁性の低下および誘電体層のひび割れの発生が抑制され、漏れ電流の低減された固体電解コンデンサを得ることができる。
また、上記第1の局面による固体電解コンデンサの第1誘電体層は、フッ素を含む。フッ素は、上記のリンと同様に、酸化ニオブの結晶化を抑制することができるので、漏れ電流を低減することができる。
上記第1の局面による固体電解コンデンサにおいて、好ましくは、フッ素の濃度は、第1誘電体層中の陰極側から陽極側に向かって増加している。このように構成すれば、第1誘電体層中の陽極側のフッ素濃度が大きくなるので、第1誘電体層中の陽極側にフッ化ニオブを含む領域が形成されやすい。フッ化ニオブを含む酸化ニオブからなる誘電体層中では酸素が拡散しにくいので、誘電体層と陽極との界面のフッ化ニオブを含む領域は、誘電体層から陽極への酸素の拡散を抑制する酸素ブロック層としての機能を有している。その結果、誘電体層から酸素が減少しにくくなるので、誘電体層の厚みが減少することを抑制することができる。従って、誘電体層の絶縁性が低下することを抑制することができる。
また、この発明の第2の局面による固体電解コンデンサの製造方法は、ニオブまたはニオブ合金からなる陽極を、フッ素イオンを含む第1水溶液中で陽極酸化することにより、ニオブおよび酸素を主成分とし、フッ素を含む第1誘電体層を形成する工程と、第1誘電体層を形成する工程に続いて、陽極をリン酸イオンを含む第2水溶液中で陽極酸化することにより、該第1誘電体層上にニオブおよび酸素に加え、リンを含む第2誘電体層を形成する工程と、第2誘電体層上に陰極を形成する工程とを備える。
この第2の局面による固体電解コンデンサの製造方法では、第1誘電体層を形成する工程に続いて、陽極をリン酸イオンを含む第2水溶液中で陽極酸化することによって、誘電体層を構成する酸化ニオブからなる第1誘電体層および第2誘電体層のうち、陰極などが形成される表面側に位置する第2誘電体層中にリンを含有させることができる。これにより、誘電体層の表面の酸化ニオブは結晶化しにくくなるので、誘電体層の表面の絶縁性の低下を抑制することができる。また、誘電体層の表面の酸化ニオブの結晶化を抑制することができるので、誘電体層の表面には、ひび割れが発生しにくい。その結果、誘電体層内部に至るひび割れも発生しにくくなるので、陽極と誘電体層表面に形成される陰極とが短絡することを抑制することができる。したがって、この第2の局面の発明においては、誘電体層の絶縁性の低下および誘電体層のひび割れの発生を抑制し、漏れ電流が低減された固体電解コンデンサを容易に製造することができる。
上記第2の局面による固体電解コンデンサの製造方法での第1水溶液は、フッ素イオンを含む。このように構成すれば、フッ素を含む第1誘電体層を容易に形成することができるので、第1誘電体層中の酸化ニオブの結晶化を抑制することができる。また、フッ素濃度が陰極側から陽極側に向かって増加するように、第1誘電体層を形成することができるので、第1誘電体層中の陽極側のフッ素濃度を大きくすることができる。これにより、誘電体層と陽極との界面に、誘電体層から陽極への酸素の拡散を抑制する酸素ブロック層としての機能を有するフッ化ニオブを含む領域を容易に形成することができる。その結果、誘電体層から酸素が減少しにくくなるので、誘電体層の厚みが減少しにくい。したがって、誘電体層の絶縁性が低下しにくく、漏れ電流をさらに低減することができる。
さらに、フッ素イオンを含む第1水溶液中で陽極酸化を行うことにより、フッ素イオンがニオブまたはニオブ合金からなる陽極の表面を凹凸形状を有するように溶解するので、陽極の表面積が増大する。一般に、コンデンサの静電容量Cは、陽極の表面積に比例し、さらに、高周波領域における等価直列抵抗(ESR)は、周波数をfとして、1/(2πfC)1/2に比例する。したがって、陽極の表面積が増大することにより、静電容量が増大するので、高周波領域におけるESRを小さくすることが可能な固体電解コンデンサを容易に製造することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
図1は本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサの断面構造図である。
図1に示すように、固体電解コンデンサ100においては、ニオブ粒子を真空中で焼結成形した多孔質焼結体からなる陽極1の周囲を覆うように、陽極1の表面に絶縁性の高い酸化ニオブからなる誘電体層2が形成されている。誘電体層2は、陽極1の周囲を覆うように陽極1上に形成された第1誘電体層21と、第1誘電体層21の周囲を覆うように第1誘電体層21上に形成された第2誘電体層22とから構成されている。
第1誘電体層21はフッ素を含んでおり、陽極1側から第2誘電体層22側に向かってフッ素濃度が減少している。また、第2誘電体層22は、リンまたはイオウを含んでいる。
誘電体層2上には、誘電体層2の周囲を覆うように電解質層3が形成されている。また、電解質層3上には、電解質層3の周囲を覆うように陰極4が形成されている。ここで、陰極4は、電解質層3の周囲を覆うように形成された第1導電層4aと、第1導電層4aの周囲を覆うように形成された第2導電層4bとから構成されている。電解質層3には、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子や二酸化マンガン等の材料が用いられている。第1導電層4aには、カーボンペーストなどが用いられている。第2導電層4bには、銀粒子、保護コロイドおよび有機溶媒からなる銀ペーストなどが用いられている。なお、保護コロイドとは、疎水コロイドの電解質に対する安定性を増すために加える親水コロイドをいう(岩波 理化学辞典 第5版、p1300)。
また、陰極4の周囲のうち上面には、導電性接着剤層5が形成され、さらに導電性接着剤層5上には陰極端子6が形成されている。また、陽極1には陽極リード1aの一部が埋め込まれており、陽極1から露出した陽極リード1a上には、陽極端子7が溶接により接続されている。さらに、陰極端子6および陽極端子7の端部が外部に引き出されるように、陰極4、陰極端子6および陽極端子7の周囲にモールド外装樹脂8が形成されている。これにより、本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサが構成されている。
次に、図1に示す本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサ100の製造方法について説明する。
まず、陽極リード1a上に陽極リード1aの一部を埋め込むように形成されたニオブ粒子を真空中で焼結成形することにより、多孔質焼結体からなる陽極1を形成する。この場合、ニオブ粒子間が溶着する。
次に、陽極1をフッ化アンモニウム水溶液などのフッ素イオンを含む第1水溶液中で陽極酸化する。これにより、陽極1上には、陽極1の周囲を覆うように酸化ニオブからなる第1誘電体層21が形成される。このとき、第1誘電体層21は、フッ素も含有しており、陽極1側から第1誘電体層1の表面側(第2誘電体層22側)に向かってフッ素濃度が減少している。
続いて、上記陽極1をリン酸水溶液などのリン酸イオンまたは硫酸水溶液などの硫酸イオンを含む第2水溶液中で陽極酸化する。これにより、第1誘電体層21の周囲を覆うように、第1誘電体層21上にリンまたはイオウを含む酸化ニオブからなる第2誘電体層22を形成する。これにより、陽極1の表面に、第1誘電体層21および第2誘電体層22が順に積層された絶縁性の高い酸化ニオブからなる誘電体層2が形成される。
次に、誘電体層2の周囲を覆うように、誘電体層2上にポリピロールまたはポリチオフェン等の導電性高分子などからなる電解質層3を重合などにより形成する。導電性高分子などからなる電解質層3を用いた場合、電解質層3が陽極1を構成する多孔質焼結体の表面の凹部を埋めるように誘電体層2上に形成される。
その後、電解質層3上にカーボンペーストなどを塗布し、所定の温度で乾燥させることにより、電解質層3の周囲を覆うように、電解質層3上に第1導電層4aを形成する。さらに、第1導電層4aの周囲を覆うように、第1導電層4a上に銀ペーストなどを塗布し、所定の温度で乾燥させることにより、第1導電層4a上に第2導電層4bを形成する。これにより、電解質層3上に第1導電層4aおよび第2導電層4bからなる陰極4が形成される。
次に、陰極端子6上に導電性接着剤を塗布した後、この導電性接着剤を介して陰極4と陰極端子6とを接触させた状態で乾燥させることにより、導電性接着剤層5を形成するとともに、導電性接着剤層5によって陰極4と陰極端子6とを接続する。また、誘電体層2、電解質層3および陰極4から露出した陽極1の陽極リード1a上に陽極端子7を溶接により接続する。その後、陰極端子6および陽極端子7の端部が外部に引き出されるように、陰極4、陰極端子6および陽極端子7の周囲にモールド外装樹脂8を形成する。以上の方法により、本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサ100が作製される。
本発明の一実施の形態では、電解質層3および陰極4が形成される側の誘電体層2の表面側には、リンまたはイオウを含む酸化ニオブからなる第2誘電体層22が形成されているので、第2誘電体層22中には、リフロー工程などの熱処理を行っても絶縁性の低い結晶性の酸化ニオブは生じにくい。その結果、誘電体層2の表面側の第2誘電体層22の絶縁性が低下することを抑制することができる。また、第2誘電体層22中の酸化ニオブは結晶化しにくいので、第2誘電体層22には、ひび割れが発生しにくい。その結果、誘電体層2内部に至るひび割れも発生しにくくなるので陽極1と誘電体層2の表面に形成される陰極4とが短絡することを抑制することができる。従って、誘電体層2の絶縁性の低下が抑制され、漏れ電流の低減された固体電解コンデンサを得ることができる。
上記一実施の形態では、第1誘電体層21は、酸化ニオブの結晶化を抑制することができるフッ素を含んでいるので、漏れ電流を低減することができる。
また、上記一実施の形態では、第1誘電体層21中のフッ素濃度は、第1誘電体層21中の陰極4側から陽極1側に向かって増加しているので、第1誘電体層21中の陽極1側のフッ素濃度が大きくなる。これにより、第1誘電体層21と陽極1との界面には、フッ化ニオブを含む領域が形成されやすい。この第1誘電体層21と陽極1との界面のフッ化ニオブを含む領域は、第1誘電体層21から陽極1への酸素の拡散を抑制する酸素ブロック層としての機能を有しているので、誘電体層2から酸素が減少しにくくなる。その結果、誘電体層2の厚みが減少しにくいので、誘電体層2の絶縁性の低下を抑制し、漏れ電流を低減することができる。
また、上記一実施の形態では、第1誘電体層21を形成する工程に続いて、陽極1をリン酸イオンまたは硫酸イオンを含む第2水溶液中で陽極酸化することによって、誘電体層2を構成する酸化ニオブからなる第1誘電体層21および第2誘電体層22のうち、電解質層3および陰極4などが形成される表面側に位置する第2誘電体層22中にリンまたはイオウを含有させることができる。これにより、誘電体層2の表面の酸化ニオブは結晶化しにくくなるので、誘電体層2の表面の絶縁性の低下を抑制することができる。また、誘電体層2の表面の酸化ニオブの結晶化を抑制することができるので、誘電体層2の表面には、ひび割れが発生しにくい。その結果、誘電体層2内部に至るひび割れも発生しにくくなるので、陽極1と誘電体層2上に形成される電解質層3および陰極4とが短絡することを抑制することができる。したがって、誘電体層2の絶縁性の低下および誘電体層2のひび割れの発生を抑制し、漏れ電流が低減された固体電解コンデンサを容易に製造することができる。
また、上記一実施の形態では、フッ素イオンを含む第1水溶液により第1誘電体層21を形成しているので、容易に第1誘電体層21中にフッ素を含有させることができる。これにより、第1誘電体層21中の酸化ニオブの結晶化を抑制することができる。また、第1誘電体層21に含有されるフッ素濃度が陰極4側から陽極1側に向かって増加するように、第1誘電体層21を形成することができるので、第1誘電体層21の陽極1側のフッ素濃度を大きくすることができる。これにより、誘電体層2と陽極1との界面に、誘電体層2から陽極1への酸素の拡散を抑制する酸素ブロック層としての機能を有するフッ化ニオブを含む領域を容易に形成することができる。その結果、誘電体層2から酸素が減少しにくくなるので、誘電体層2の厚みが減少しにくい。したがって、誘電体層2の絶縁性の低下を抑制し、漏れ電流をさらに低減することができる。
さらに、上記一実施の形態では、フッ素イオンを含む第1水溶液中で陽極酸化を行っているので、フッ素イオンがニオブからなる陽極1の表面を凹凸形状を有するように溶解する。これにより、陽極1の表面積が増大するので、固体電解コンデンサの静電容量を増加させることができるので、高周波領域におけるESRを小さくすることができる。
また、上記一実施の形態では、陽極1は、多孔質焼結体からなるので、大きな表面積を有し、大容量化が可能となる。なお、本実施の形態では、陽極1として、多孔質焼結体を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ニオブからなる金属箔を用いてもよい。また、陽極1は、ニオブ単体だけでなく、例えば、タングステン、バナジウム、亜鉛、アルミニウム、モリブデン、ハフニウムおよびジルコニウムなどの元素を含むニオブ合金から構成されてもよい。
また、上記一実施の形態では、誘電体層2と陰極4との間には電解質層3が形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、電解質層3はなくてもよい。この場合は、誘電体層2上に陰極4が直接形成される。
以下の実施例では、固体電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例1)
図2は本発明の実施例1による固体電解コンデンサの断面構造図である。実施例1では、次の方法で図2に示す固体電解コンデンサAを作製した。
(酸化ステップ1)
まず、陽極1として、陽極リード1aの一部を埋め込むように形成された高さ約2.8mm×幅約3.3mm×奥行き約1.7mmのニオブの多孔質焼結体を用いた。この陽極1を約60℃に保持した約0.5重量%のフッ化アンモニウム水溶液(フッ酸イオン濃度:約0.05重量%)中において約10Vの定電圧で約10時間陽極酸化を行うことによって、陽極1の周囲を覆うように、陽極1上に第1誘電体層21を形成した。ここで、フッ化アンモニウム水溶液は、本発明の「第1水溶液」の一例である。
(酸化ステップ2)
続いて、上記陽極1を約60℃に保持した約0.5重量%のリン酸水溶液中において約10Vの定電圧で約2時間陽極酸化を行ことによって、第1誘電体層21の周囲を覆うように、第1誘電体層21上に第2誘電体層22を形成した。ここで、リン酸水溶液は、本発明の「第2水溶液」の一例である。これにより、陽極1の周囲を覆うように、陽極1上に形成された第1誘電体層21および第2誘電体層22からなる誘電体層2を形成した。
(電解質層および陰極の形成)
次に、上記誘電体層2の周囲を覆うように、誘電体層2上にポリピロールからなる電解質層3を重合などにより形成し、さらに、電解質層3上にカーボンペーストを塗布・乾燥することにより、電解質層3の周囲を覆うように、電解質層3上に第1導電層4aを形成した。また、第1導電層4a上に銀ペーストを塗布・乾燥することにより、第1導電層4aの周囲を覆うように、第1導電層4a上に第2導電層4bを形成した。これにより、誘電体層2上に、電解質層3と第1導電層4aおよび第2導電層4bからなる陰極4とを形成した。このようにして、実施例1の固体電解コンデンサAを作製した。
(比較例1)
比較例1では、上記の実施例1の酸化ステップ2を行わない点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサX1を作製した。すなわち、比較例1の固体電解コンデンサX1の誘電体層は、第1誘電体層のみから構成されている。
(比較例2)
比較例2では、上記の実施例1の酸化ステップ1を行わずに、さらに、酸化ステップ2における陽極酸化時間を約10時間とした点を除いて実施例1と同じ条件および方法で固体電解コンデンサX2を作製した。すなわち、比較例2の固体電解コンデンサX2の誘電体層は、第2誘電体層のみから構成されている。
(比較例3)
比較例3では、上記の比較例1の固体電解コンデンサX1の作製に用いた約0.5重量%のフッ化アンモニウム水溶液に代えて、約0.5重量%の塩酸を用いた点を除いて上記比較例1と同じ条件および方法で、固体電解コンデンサX3を作製した。
(比較例4)
比較例4では、上記の比較例2において、酸化ステップ2を行う前に、陽極を約300Torr(約4×10−4Pa)の窒素雰囲気中において、約600℃で約5分間熱処理した点を除いて比較例2と同じ条件および方法で固体電解コンデンサX4を作製した。ここで、ニオブからなる陽極に対して上記の窒素雰囲気中における熱処理を行うことにより、陽極の周囲を覆うように、陽極上にニオブ窒化物層を形成することができる。さらに、この陽極に対して酸化ステップ2を行うことにより、陽極の周囲を覆うように、陽極上にニオブ窒化物領域を有する酸化ニオブからなる誘電体層を形成することができる。尚、固体電解コンデンサX4は、特許文献1に記載されている誘電体である酸化ニオブ中にニオブ窒化物領域を形成した固体電解コンデンサに相当するものである。
(評価)
図3は、本発明の実施例1の固体電解コンデンサAについて、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による測定結果を示す図である。なお、本測定時には、電解質層3および陰極4を形成していない試料を用いた。図3において、縦軸は固体電解コンデンサ中の元素の含有量を示し、横軸はスパッタ時間を示す。スパッタ時間は、固体電解コンデンサの厚み方向の位置に対応し、スパッタ時間1分あたりのスパッタ深さは約10nmである。
図3に示すように、実施例1の固体電解コンデンサAの誘電体層2は、ニオブ(Nb)および酸素(O)を主成分とする酸化ニオブからなる。即ち、誘電体層2は、ニオブ(Nb)および酸素(O)を含有するとともに、ニオブ(Nb)または酸素(O)のいずれか一方の元素を主成分とする酸化ニオブからなる。また、誘電体層2には、表面から順に3つの領域(i)、(ii)および(iii)が存在している。
電解質層3および陰極4が形成される誘電体層2の表面側の約1nmの厚みを有する領域(i)は、ニオブおよび酸素を含有するとともに、酸素を主成分とする酸化ニオブからなる。また、領域(i)には、リン(P)は最大約2.5原子%含まれているが、フッ素(F)は約0.5原子%以下とほとんど含まれていない。これにより、領域(i)は、上記酸化ステップ2で形成された第2誘電体層22であることがわかった。また、領域(i)内では、リン(P)の濃度は、表面側が高く、陽極1側に向かって減少していることがわかった。
領域(i)の内側(陽極1側)の約15nmの厚みを有する領域(ii)は、ニオブおよび酸素を含有するとともに、酸素を主成分とする酸化ニオブからなる。また、領域(ii)のさらに内側の約11nmの厚みを有する領域(iii)は、ニオブおよび酸素を含有するとともに、ニオブを主成分とする酸化ニオブからなる。そして、領域(ii)および(iii)には、ともにフッ素(F)が含まれている。これにより、領域(ii)および(iii)は、上記酸化ステップ1で形成された第1誘電体層21であることがわかった。また、領域(ii)には、深さ方向にほぼ一定の約0.5原子%の濃度のフッ素(F)が含まれている。また、領域(iii)では、領域(ii)側から陽極1側に向かってフッ素濃度が増加している。このように、領域(ii)および(iii)からなる第1誘電体層21全体としては、フッ素濃度は、領域(i)側から陽極1側に向かって増加していることがわかった。また、領域(iii)中には、最大で約1.8原子%のフッ素が含まれていることから、領域(iii)中には、フッ化ニオブが含まれていると考えられる。なお、陽極1の内部のフッ素(F)は、第1誘電体層21(領域(ii)および(iii))から拡散したものと考えられる。
図4は、本発明の実施例1において、酸化ステップ2を行った後の誘電体層2の表面のSEM写真を示す図である。また、図5は、本発明の比較例2において、酸化ステップ2を行った後の誘電体層の表面のSEM写真を示す図である。図4より、酸化ステップ1でフッ化アンモニウム水溶液を用いた実施例1では、誘電体層2の表面に凹凸形状が生じている。これに対して、図5より、酸化ステップ1を行っていない比較例2では、誘電体層の表面は比較的平滑である。これにより、実施例1の固体電解コンデンサAでは、酸化ステップ1において、フッ化アンモニウム水溶液中のフッ素イオンによりニオブからなる陽極1の表面が溶解し、凹凸形状が生じていると考えられる。
次に、上記のように作製した各固体電解コンデンサの熱処理後の漏れ電流を測定した。図6は、本発明の実施例1の固体電解コンデンサの漏れ電流の測定方法を示す模式図である。
まず、実施例1の固体電解コンデンサAを約250℃に設定した乾燥炉内の空気中において、約10分間熱処理を施した。続いて、図6に示すように、陽極1の陽極リード1aと陰極3との間に約5Vの定電圧を印加し、約20秒後の漏れ電流を測定した。さらに、陽極リード1aと陰極3との間の約100kHzにおけるESRをLCRメータにより測定した。なお、この熱処理の温度は、熱処理に用いた乾燥炉の設定温度を意味しており、乾燥炉内のサンプル保持治具の付近に設置した熱電対により測定した乾燥炉内の温度である。
また、比較例1〜4の固体電解コンデンサX1〜X4についても、同様の方法で、熱処理後の漏れ電流およびESRを測定した。それらの測定結果を表1に示す。なお、表1においては、各漏れ電流およびESRの測定値は、実施例1の固体電解コンデンサAにおける漏れ電流およびESRの測定結果を100として規格化している。
Figure 0004275044
表1に示すように、比較例1の固体電解コンデンサX1では、実施例1の固体電解コンデンサAの約5倍の漏れ電流を生じた。また、比較例2の固体電解コンデンサX2では、実施例1の固体電解コンデンサAの約10倍の漏れ電流を生じた。また、比較例3の固体電解コンデンサX3では、実施例1の固体電解コンデンサAの約20倍の漏れ電流を生じた。また、比較例4の固体電解コンデンサX4では、実施例1の固体電解コンデンサAの約9.8倍の漏れ電流を生じた。これらの結果より、実施例1の固体電解コンデンサAでは、固体電解コンデンサX1〜X4と比べて漏れ電流が大きく低減していることがわかった。
また、フッ化アンモニウム水溶液を用いる酸化ステップ1を行った実施例1および比較例1の固体電解コンデンサAおよびX1では、誘電体層形成時の陽極酸化にフッ化アンモニウム水溶液を用いていない比較例2〜4の固体電解コンデンサX2〜X4よりもESRが小さいことがわかった。
(実施例2)
実施例2では、本発明の第1誘電体層を形成する際に用いる水溶液と漏れ電流との相関について検証を行った。
ここで、実施例2では、上記の実施例1の酸化ステップ1で用いた約0.5重量%のフッ化アンモニウム水溶液に代えて、約0.16重量%のフッ化カリウム水溶液、約0.11重量%のフッ化ナトリウム水溶液および約0.05重量%のフッ酸水溶液をそれぞれ用いた点を除いて上記の実施例1と同じ条件および方法で、固体電解コンデンサB1、B2およびB3を作製した。なお、上記何れの水溶液中のフッ素イオン濃度も約0.05重量%である。また、フッ化カリウム水溶液、フッ化ナトリウム水溶液、および、フッ酸水溶液は、本発明の「第1水溶液」の一例である。
(評価)
実施例2の固体電解コンデンサB1〜B3について、実施例1と同様にESCAによる測定を行った。その結果、何れの固体電解コンデンサB1〜B3においても、陽極1上にフッ素を含む第1誘電体層21およびリンを含む第2誘電体層22がこの順に積層されていることを確認した。また、実施例2の固体電解コンデンサB1〜B3について、実施例1と同様の方法で、約250℃、約10分間の熱処理後の漏れ電流を測定した。結果を表2に示す。なお、表2においては、各漏れ電流の測定値は、実施例1の固体電解コンデンサAにおける漏れ電流の測定結果を100として規格化している。
Figure 0004275044
表2に示すように、実施例2の固体電解コンデンサB1〜B3では、何れも比較例1〜4の固体電解コンデンサX1〜X4と比べて漏れ電流が小さく、実施例1の固体電解コンデンサAと同等の漏れ電流である。また、漏れ電流の最も小さいのは、フッ化アンモニウム水溶液を用いた固体電解コンデンサAである。これにより、第1誘電体層21を形成する酸化ステップ1には、フッ化アンモニウム水溶液以外にフッ化カリウム水溶液、フッ化ナトリウム水溶液およびフッ酸水溶液も用いることができることがわかった。さらに、フッ素イオンを含む水溶液であれば酸化ステップ1に用いることができると考えられる。
(実施例3)
実施例3では、上記の実施例1において、ニオブの多孔質焼結体からなる陽極に代えて、ニオブとアルミニウムとを約99:1の重量比で混合して焼結形成したニオブ合金の多孔質焼結体からなる陽極を用いた点を除いて上記実施例1と同じ条件および方法で、固体電解コンデンサCを作製した。
(評価)
実施例3の固体電解コンデンサCについて、実施例1と同様にESCAによる測定を行った。その結果、固体電解コンデンサCにおいても、陽極1上にフッ素を含む第1誘電体層21およびリンを含む第2誘電体層22がこの順に積層されていることを確認した。また、実施例3の固体電解コンデンサCについて、実施例1と同様の方法で、約250℃、約10分間の熱処理後の漏れ電流を測定した。結果を表3に示す。なお、表3においては、各漏れ電流の測定値は、実施例1の固体電解コンデンサAにおける漏れ電流の測定結果を100として規格化している。
Figure 0004275044
表3に示すように、実施例3の固体電解コンデンサCでは、比較例1〜4の固体電解コンデンサX1〜X4と比べて漏れ電流が小さく、実施例1の固体電解コンデンサAと同等以下の漏れ電流である。これにより、陽極には、ニオブ単体だけでなく、ニオブ合金も用いることができることがわかった。
(実施例4)
実施例4では、実施例1の酸化ステップ2で用いた約0.5重量%のリン酸水溶液に代えて、約0.5重量%の硫酸水溶液を用いた点を除いて上記の実施例1と同じ条件および方法で、固体電解コンデンサDを作製した。
(比較例5)
比較例5では、上記の実施例4の酸化ステップ1を行わずに、さらに、酸化ステップ2の陽極酸化時間を約10時間とした点を除いて実施例4と同じ条件および方法で固体電解コンデンサX5を作製した。すなわち、比較例5の固体電解コンデンサX5の誘電体層は、第2誘電体層のみから構成されている。
(評価)
実施例4の固体電解コンデンサDについて、実施例1と同様にESCAによる測定を行った。図7は、本発明の実施例4の固体電解コンデンサDについて、ESCAによる測定結果を示す図である。なお、本測定時には、電解質層3および陰極4を形成していない試料を用いた。図7において、縦軸は固体電解コンデンサ中の元素の含有量を示し、横軸はスパッタ時間を示す。スパッタ時間は、固体電解コンデンサの厚み方向の位置に対応し、スパッタ時間1分あたりのスパッタ深さは約10nmである。
図7に示すように、実施例4の固体電解コンデンサDの誘電体層2は、ニオブ(Nb)および酸素(O)を主成分とする酸化ニオブからなる。即ち、誘電体層2は、ニオブ(Nb)および酸素(O)を含有するとともに、ニオブ(Nb)または酸素(O)のいずれか一方の元素を主成分とする酸化ニオブからなる。また、誘電体層2には、表面から順に3つの領域(i)、(ii)および(iii)が存在している。
電解質層3および陰極4が形成される誘電体層2の表面側の約1nmの厚みを有する領域(i)は、ニオブおよび酸素を含有するとともに、酸素を主成分とする酸化ニオブからなる。また、領域(i)には、イオウ(S)は最大約2.5原子%含まれているが、フッ素(F)は約0.5原子%以下とほとんど含まれていない。これにより、領域(i)は、上記酸化ステップ2で形成された第2誘電体層22であることがわかった。また、領域(i)内では、イオウ(S)の濃度は、表面側が高く、陽極1側に向かって減少していることがわかった。
領域(i)の内側(陽極1側)の約15nmの厚みを有する領域(ii)は、ニオブおよび酸素を含有するとともに、酸素を主成分とする酸化ニオブからなる。また、領域(ii)のさらに内側の約11nmの厚みを有する領域(iii)は、ニオブおよび酸素を含有するとともに、ニオブを主成分とする酸化ニオブからなる。そして、領域(ii)および(iii)には、ともにフッ素(F)が含まれている。これにより、領域(ii)および(iii)は、上記酸化ステップ1で形成された第1誘電体層21であることがわかった。また、領域(ii)には、深さ方向にほぼ一定の約0.5原子%の濃度のフッ素(F)が含まれている。また、領域(iii)では、領域(ii)側から陽極1側に向かってフッ素濃度が増加している。このように、領域(ii)および(iii)からなる第1誘電体層21全体としては、フッ素濃度は、領域(i)側から陽極1側に向かって増加していることがわかった。また、領域(iii)中には、最大で約1.8原子%のフッ素が含まれていることから、領域(iii)中には、フッ化ニオブが含まれていると考えられる。なお、陽極1の内部のフッ素(F)は、第1誘電体層21(領域(ii)および(iii))から拡散したものと考えられる。
次に、実施例4および比較例5の固体電解コンデンサDおよびX5について、実施例1と同様の方法で、約250℃、約10分間の熱処理後の漏れ電流と、陽極リード1aと陰極3との間の約100kHzにおけるESRとを測定した。結果を表4に示す。なお、表4においては、各漏れ電流およびESRの測定値は、実施例1の固体電解コンデンサAにおける漏れ電流およびESRの測定結果を100として規格化している。
Figure 0004275044
表4に示すように、比較例5の固体電解コンデンサX5では、実施例1の固体電解コンデンサAの約12倍の漏れ電流を生じているのに対して、実施例4の固体電解コンデンサDは、比較例1〜5の固体電解コンデンサX1〜X5と比べて漏れ電流が大きく低減しており、実施例1の固体電解コンデンサAと同等の漏れ電流である。これにより、誘電体層2の表面側に位置する第2誘電体層22にイオウを含んでいる場合にも、第2誘電体層22にリンを含んでいる実施例1の固体電解コンデンサAと同様に、漏れ電流を低減する効果があることがわかった。
また、実施例4の固体電解コンデンサDでは、ESRについても比較例1〜5の固体電解コンデンサX1〜X5より小さく、実施例1の固体電解コンデンサAと同等のESRであることがわかった。
尚、上記実施例1および4では、第1誘電体層21および第2誘電体層22は、ニオブを主成分とする酸化ニオブからなる領域(iii)と、酸素を主成分とする酸化ニオブからなる領域(i)および(ii)とから構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、全ての領域が、酸素を主成分とする酸化ニオブから構成されていてもよく、あるいは、領域(iii)が酸素を主成分とする酸化ニオブからなるとともに、領域(i)および(ii)がニオブを主成分とする酸化ニオブから構成されていてもよい。
本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサの断面構造図である。 本発明の実施例1による固体電解コンデンサの断面構造図である。 本発明の実施例1の固体電解コンデンサについて、ESCAによる測定結果を示す図である。 本発明の実施例1において、酸化ステップ2を行った後の誘電体層の表面のSEM写真を示す図である。 本発明の比較例2において、酸化ステップ2を行った後の誘電体層の表面のSEM写真を示す図である。 本発明の実施例1の固体電解コンデンサの漏れ電流の測定方法を示す模式図である。 本発明の実施例4の固体電解コンデンサについて、ESCAによる測定結果を示す図である。
符号の説明
1 陽極
1a 陽極リード
2 誘電体層
21 第1誘電体層
22 第2誘電体層
3 電解質層
4 陰極
4a 第1導電層
4b 第2導電層
5 導電性接着剤層
6 陰極端子
7 陽極端子
8 モールド外装樹脂
100 固体電解コンデンサ

Claims (3)

  1. ニオブまたはニオブ合金からなる陽極と、前記陽極上に形成されたニオブおよび酸素を主成分とし、フッ素を含む第1誘電体層と、前記第1誘電体層上に形成されたニオブおよび酸素に加え、リンを含む第2誘電体層と、前記第2誘電体層上に形成された陰極とを備えた、固体電解コンデンサ。
  2. 前記フッ素の濃度は、前記第1誘電体層中の前記陰極側から前記陽極側に向かって増加している、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. ニオブまたはニオブ合金からなる陽極を、フッ素イオンを含む第1水溶液中で陽極酸化することにより、ニオブおよび酸素を主成分とし、フッ素を含む第1誘電体層を形成する工程と、前記第1誘電体層を形成する工程に続いて、前記陽極をリン酸イオンを含む第2水溶液中で陽極酸化することにより、該第1誘電体層上にニオブおよび酸素に加え、リンを含む第2誘電体層を形成する工程と、前記第2誘電体層上に陰極を形成する工程とを備えた、固体電解コンデンサの製造方法。
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