JP4271525B2 - ビニルアルコール系重合体 - Google Patents

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Description

本発明はコーティング剤に関する。さらに詳しくは、表面のひび割れがなく、光沢性が高く、インク吸収性に優れ、かつ透明性の高いインク受理層を有するインクジェット記録材を生産性よく製造するに有用なビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤に関する。また、本発明は該コーティング剤を基材に塗工してなるインクジェット記録材などの塗工物に関する。
ポリビニルアルコールで代表されるビニルアルコール系重合体(以下、ビニルアルコール系重合体を「PVA」と略記することがある)は水溶性の合成高分子として知られており、その強度特性を利用して合成繊維ビニロンの原料に用いられ、また、その優れた皮膜形成能、界面活性能、水素結合形成能などの特徴を利用して紙加工剤、繊維用糊剤、分散剤、接着剤およびフィルムなどに利用されている。中でも紙加工用途に関してビニルアルコール系重合体は、一般紙の表面サイズ剤、アート紙・コート紙のアンダーサイズ剤、蛍光染料の分散剤、インクジェット記録材における充填材のバインダーなどとして、印刷物の品質向上のために利用されている。
最近では、インクジェットプリンターの利用が拡大し、商業印刷におけるカラープルーフ、デザイン分野におけるデザインイメージ出力、オーバーヘッドプロジェクターの原稿などにインクジェット記録材が使用されている。これらの用途においてインクジェット記録材に要求される特性としては、インク受理層表面の光沢が高いこと、インク受理層の透明性が高いこと、画像濃度が高いこと、色再現性が良好なこと、インク吸収性が高いこと、ドット再現性が良好であることなどが挙げられる。
インクジェット記録材への上記要求に対し、無機微粒子と親水性バインダーからなる空隙層をインク受理層として設けた記録材が知られている(特許文献1および2)。この記録材は毛細管現象を利用したインク吸収メカニズムにより、高いインク吸収性と耐水性を両立させている。しかしながら、インク受理層に毛細管を形成させるためには通常、バインダーに対して微粒子を多量に含有させる必要がある。この場合、微粒子に対してバインダーの比率が低くなり、インク受理層は非常に剛性が高く硬いものとなる。そのため、無機微粒子と親水性バインダーからなる塗工液を基材に塗工してインク受理層を形成させる際に、塗膜の乾燥段階での内部応力の発生、または微小な異物の混入によって、インク受理層に容易にひび割れが発生しやすいという問題点がある。
このような塗膜のひび割れの問題に対して、塗膜を乾燥する前に塗膜を増粘させてひび割れを防ぐ方法が考えられ、高重合度ポリビニルアルコールに硬化剤としてホウ酸を添加した塗工液を用い、塗工後に塗膜を20℃以下に冷却する方法が提案されている(特許文献3)。この方法では、塗膜を20℃以下に冷却すると、ポリビニルアルコールとホウ酸との相互作用により塗膜に強固な3次元構造が形成され、その結果、ひび割れが防止できるとされている。しかしながら、この方法では塗工後に塗膜の温度を一旦下げる必要があるため、エネルギー的な損失が大きく、塗膜形成に時間を要し、生産速度を上げることができないという問題がある。さらに、この方法では高重合度のポリビニルアルコールを使用するために塗工液の粘度が高く、その取り扱い性の点で塗工液の濃度を低く抑える必要がある。そのため、この方法には塗膜乾燥に時間を要し、生産速度を上げることができないという問題も存在する。
ビニルアルコール系重合体からなる塗工液の粘度を制御する方法としては、上述のようにビニルアルコール系重合体に対して反応性を有する添加剤を加える方法以外に、変性したビニルアルコール系重合体を使用する方法も考えられる。ビニルアルコール系重合体を変性して、温度変化に対するビニルアルコール系重合体の溶液粘度の挙動を制御しようとする試みは少ないが、水溶液が感熱応答性を示すビニルアルコール系重合体として、ビニルアルコール系重合体成分および水溶液が曇点を示すポリアルケニルエーテル成分からなるブロック共重合体およびグラフト共重合体が知られている。ポリビニルアルコールとポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)とのブロック共重合体の場合、40〜90℃の温度域における該ブロック共重合体の水溶液粘度の温度依存性が、ポリビニルアルコールの場合に比べて小さい(特許文献4)。また、ポリビニルアルコールを幹成分とし、ポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)を枝成分とするグラフト共重合体の場合、幹成分および枝成分に使用している各重合体の水溶液が曇点を示す温度付近において、該グラフト重合体の水溶液粘度が上昇し、水溶液が白濁する(特許文献5)。
ポリエーテル成分を有するビニルアルコール系重合体としては、ポリオキシアルキレン基を有する単量体とビニルエステル系単量体との共重合で得られるランダム共重合体のけん化物の方が一般的であり、主にポリオキシアルキレン基がポリオキシエチレン基またはポリオキシプロピレン基のものが知られている。ポリオキシプロピレン基を有するビニルアルコール系は、ポリオキシプロピレン基の疎水性を利用して、油剤の添加量が少なくて済む繊維用糊剤(特許文献6)、オフセット印刷時に紙がブランケットに粘着するのを防止する効果を有する組成物(特許文献7)、白色度が高い感熱記録材が得られる感熱染料の分散剤(特許文献8)などに用いられる。また、ポリオキシプロピレン基を有するビニルアルコール系重合体の柔軟性を利用し、可塑剤を添加しないビニルアルコール系重合体の溶融成形方法(特許文献9)、ポリオキシプロピレン基を有するビニルアルコール系重合体をホウ素化合物と接触させ、溶融成形することを特徴とするビニルアルコール系重合体成形物の製造方法(特許文献10)も開発されている。
しかしながら、これらの先行文献にはポリオキシプロピレン基を有するビニルアルコール系重合体の水溶液が感熱応答性を示すことは開示されておらず、また、ポリオキシプロピレン基を有するビニルアルコール系重合体について、該重合体中のポリオキシプロピレン基の量や、ポリオキシプロピレン基中のオキシプロピレン繰返し単位の数を調節することにより、該重合体水溶液の温度変化に対する粘度の挙動を制御しようとする試みは、従来なされていない。
特開平3−56552号公報 特開平7−137434号公報 特開2001−150805号公報 特開平6−136036号公報 特開平11−322866号公報 特開昭61−47878号公報 特開2001−342320号公報 特開平4−182189号公報 特開平3−203932号公報 特開平6−256533号公報
本発明は、表面のひび割れがなく、光沢性が高く、インク吸収性に優れ、かつ透明性の高いインク受理層を有するインクジェット記録材を生産性よく製造するのに有用なビニルアルコール系重合体を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記ビニルアルコール系重合体の製造方法、上記ビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤、ならびに該コーティング剤を基材に塗工してなるインクジェット記録材などの塗工物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤により上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は下記の一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体であり;
該ビニルアルコール系重合体は、下記一般式(II)
Figure 0004271525
(Rは炭素数1または2のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子またはメチル基、Aはカルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、オキシ基、アルキレンオキシ基の群から選ばれる2価の連結基)
で示されるポリオキシアルキレン基を有する単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させて得られるビニルエステル系重合体をけん化してなり;
ビニルアルコール系重合体の8重量%水溶液の粘度を、ロータ回転数が60rpmの条件でBL型粘度計により測定したとき、温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8以上であり;
が水素原子の場合、ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度Pと、ビニルアルコール系重合体中の全単量体単位に対するポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量S(モル%)との積P×S、およびポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nが下記の数式(1)〜(4)を満たし;
n>−0.047P×S+25 (1)
n<−0.044P×S+58 (2)
P×S>5 (3)
15<n≦50 (4)
が炭素数1〜4のアルキル基の場合、ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nが下記の数式(5)を満たす;
16≦n≦100 (5)
ことを特徴とするビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤である。また、本発明は、該コーティング剤を基材に塗工してなるインクジェット記録材などの塗工物である。
Figure 0004271525

(Rは炭素数1または2のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基)
本発明のビニルアルコール系重合体は、その水溶液を室温以上に加熱したとき、その水溶液粘度が一般のビニルアルコール系重合体の場合に比べて高くなるという特徴を有する。そのため、本発明のビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤は、該コーティング剤を基材に塗工して得られた塗膜を加熱乾燥する際に、塗膜が乾燥する以前に塗膜の粘度が上昇するため、塗膜のひび割れを防止することができる。そして、本発明のビニルアルコール系重合体をコーティング剤に使用することにより、光沢性が高く、インク吸収性に優れ、かつ透明性の高いインク受理層を有するインクジェット記録材を生産性よく製造することができる。
本発明のビニルアルコール系重合体は、上記の一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体であり、ロータ回転数が60rpmの条件でBL型粘度計により該ビニルアルコール系重合体の8重量%水溶液の粘度を測定したとき、温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8以上であることを特徴とする。本発明のビニルアルコール系重合体をコーティング剤に用いる際にコーティング層のひび割れがないなどの優れた物性を有する塗工物が得られることから、粘度比η/ηは1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
本発明のビニルアルコール系重合体において、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基のRとしてはメチル基が好ましい。また、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基のRとしては水素原子、メチル基またはブチル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。さらに、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基のRがメチル基であり、Rが水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。
本発明のビニルアルコール系重合体において、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基のRが水素原子である場合、ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度Pと、ビニルアルコール系重合体中の全単量体単位に対するポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量S(モル%)との積P×S、およびポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nは、下記の数式(1)〜(4)を満たすことが必要である。
n>−0.047P×S+25 (1)
n<−0.044P×S+58 (2)
P×S>5 (3)
15<n≦50 (4)
数式(1)または数式(3)が満たされない場合、上記の温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8未満となる。数式(2)が満たされない場合、ビニルアルコール系重合体水溶液が曇点を有するか、もしくは容易に相分離を起こすか、あるいはビニルアルコール系重合体が水に不溶となり、ビニルアルコール系重合体の水溶液の取り扱いまたは製造が困難となる。
ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nは、20<n<40を満たすことが好ましい。nが15以下の場合には、上記の温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8未満となる。nが50を超える場合には、ビニルアルコール系重合体水溶液が曇点を有するか、または容易に相分離を起こし、ビニルアルコール系重合体の水溶液の取り扱いまたは製造が困難となる。
本発明のビニルアルコール系重合体において、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基のRが炭素数1〜4のアルキル基である場合、ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nは、下記の数式(5)
16≦n≦100 (5)
を満たす必要がある。さらに、ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度Pと、ビニルアルコール系重合体中の全単量体単位に対するポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量S(モル%)との積P×S、およびポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nが、下記の数式(6)〜(8)を満たすことが好ましい。
n>−0.047P×S+15 (6)
n<−0.044P×S+58 (7)
P×S>5 (8)
数式(6)または数式(8)が満たされない場合、上記の温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8未満となる場合がある。数式(7)が満たされない場合、ビニルアルコール系重合体水溶液が曇点を有するか、もしくは容易に相分離を起こすか、あるいはビニルアルコール系重合体が水に不溶となって、ビニルアルコール系重合体の水溶液の取り扱いまたは製造が困難となる場合がある。
ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nは、16≦n<50を満たすことが好ましく、16≦n<40を満たすことがより好ましい。
本発明のビニルアルコール系重合体において、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン単位を有する単量体単位の含有量は、ビニルアルコール系重合体の全単量体単位に対して0.01〜10モル%であることが好ましく、0.03〜5モル%であることがより好ましく、0.05〜3モル%であることがさらに好ましい。一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン単位を有する単量体単位の含有量が0.01モル%未満の場合、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン単位を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体の8重量%水溶液の粘度を、ロータ回転数が60rpmの条件でBL型粘度計により測定したとき、温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8未満となる。また、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン単位を有する単量体単位の含有量が10モル%を超える場合、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン単位を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体は水への溶解性が低く、また製造コストの面で不利である。
本発明のビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下、重合度と略記する)には特に制限はないが、通常50〜10000であり、好ましくは100〜8000であり、より好ましくは300〜5000である。該ビニルアルコール系重合体の重合度が50未満の場合には、該ビニルアルコール系重合体をインクジェット記録材のインク受理層における充填材のバインダーに使用した際に、充填材に対するバインダー力が発現せず、インク受理層が脆くなって、満足なインクジェット記録材が得られないことがある。一方、該ビニルアルコール系重合体の重合度が10000より大きい場合には、該重合体の水溶液または水分散液の固形分濃度を高くできなかったり、該重合体の水溶液または水分散液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になったりするため、該重合体の水溶液または水分散液を支持基体に塗工する際に均一な塗工層が得られにくい。
本発明のビニルアルコール系重合体のけん化度には特に制限はないが、70〜99.99モル%であることが好ましく、75〜99.5モル%であることがより好ましく、80〜99.5モル%であることがさらに好ましい。該ビニルアルコール系重合体のけん化度が70モル%未満の場合には、水に対する溶解性に劣り、ビニルアルコール系重合体水溶液が曇点を有するか、もしくは容易に相分離を起こし、ビニルアルコール系重合体水溶液の取り扱いが困難となることがある。一方、該ビニルアルコール系重合体のけん化度が99.99モル%より大きい場合には、ビニルアルコール系重合体の水溶液の粘度安定性が悪くなることがある。
本発明のビニルアルコール系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、ビニルエステル系単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有するものであってもよい。ここで、ビニルエステル系単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類またはその塩;前記の不飽和酸の炭素数1〜18のモノもしくはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基含有のα−オレフィン、ビニルトリメトキシシランなどのシリル基含有不飽和単量体などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。本発明のビニルアルコール系重合体において、これらのエチレン性不飽和単量体単位の含有量は全単量体単位に対して20モル%以下であることが好ましい。
一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体の製造方法は、一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体とを共重合して得られるビニルエステル系共重合体をけん化する方法である。ポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体とを共重合する際には、本発明の効果を損なわない範囲で、ビニルエステル系単量体と共重合可能な上記のエチレン性不飽和単量体を共重合してもよい。

一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体としては、下記の一般式(II)で示される不飽和単量体が挙げられる。
Figure 0004271525

(Rは炭素数1または2のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子またはメチル基、Aはカルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、オキシ基、アルキレンオキシ基などの2価の連結基)
一般式(II)で示される不飽和単量体のRとしてはメチル基が好ましい。また、一般式(II)で示される不飽和単量体のRとしては水素原子、メチル基またはブチル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。さらに、一般式(II)で示される不飽和単量体のRがメチル基であり、Rが水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。
例えば、一般式(II)のRが水素原子の場合、一般式(II)で示される不飽和単量体として具体的には、ポリオキシプロピレンモノアクリレート、ポリオキシプロピレンモノメタクリレート、ポリオキシプロピレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシプロピレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシプロピレンモノビニルエーテル、ポリオキシブチレンモノアクリレート、ポリオキシブチレンモノメタクリレート、ポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシブチレンモノアリルエーテル、ポリオキシブチレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシブチレンモノビニルエーテルなどが挙げられる。なかでも、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル、ポリオキシブチレンモノアリルエーテルが好適に用いられ、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテルが特に好適に用いられる。
一般式(II)のRが炭素数1〜4のアルキル基の場合、一般式(II)で示される不飽和単量体として具体的には、上記の一般式(II)のRが水素原子の場合に例示した不飽和単量体の末端のOH基が炭素数1〜4のアルコキシ基に置換されたものが挙げられる。なかでも、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテルまたはポリオキシブチレンモノアリルエーテルの末端のOH基がメトキシ基に置換された不飽和単量体が好適に用いられ、ポリオキシプロピレンモノアリルエーテルの末端のOH基がメトキシ基に置換された不飽和単量体が特に好適に用いられる。
ビニルエステル系単量体としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルなどが挙げられるが、一般に酢酸ビニルが用いられる。
一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体とを共重合するに際しては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を採用することができる。その中でも、無溶媒で重合する塊状重合法、またはアルコールなどの溶媒中で重合する溶液重合法が通常採用され、高重合度の重合体を得る場合には乳化重合法が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールが挙げられ、これらの中でメタノールが好適に用いられる。重合に使用される開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系開始剤、または過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤など、公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。
ビニルエステル系重合体のけん化方法としては、従来公知の方法のいずれもが好適に用いられるが、通常は、ビニルエステル系重合体のアルコール溶液にアルカリ性触媒または酸性触媒を用いてけん化する方法が採用される。けん化溶媒に用いられるアルコールとしてはメタノールが好適である。また、けん化溶媒としては、無水物のみならず少量の水を含むものも目的に応じて用いられるほか、酢酸メチル、酢酸エチルなどその他の有機溶媒を含有したものでもよい。けん化温度は通常10〜70℃の範囲から選ばれる。けん化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドなどのアルカリ性触媒が好ましい。けん化触媒の使用量は、目的とするけん化度の大小および水分量などにより適宜決められるが、重合体中のビニルエステル単位に対してモル比で0.001以上、好ましくは0.002以上であることが望ましい。
本発明のビニルアルコール系重合体は、温度変化に対する該重合体水溶液の粘度挙動を利用して、コーティング剤に好適に使用される。また、本発明のビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤は、インクジェット記録材の製造に好適に用いられる。本発明のビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤を基材に塗工してインクジェット記録材を製造する場合、本発明のビニルアルコール系重合体はインク受理層における充填材のバインダーとして好適に用いられる。ここで、インク受理層の中でも特に光沢度の高いものを光沢層と呼ぶことがある。
本発明のビニルアルコール系重合体をインク受理層または光沢層におけるバインダーとして用いる場合、本発明のビニルアルコール系重合体は単独で使用してもよく、他の水溶性または水分散性樹脂と併用してもよい。本発明のビニルアルコール系重合体と併用することができる水溶性樹脂としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビヤゴム、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、アニオン変性PVA、アルギン酸ナトリウム、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性メラミン樹脂などが挙げられる。本発明のビニルアルコール系重合体と併用することができる水分散性樹脂としては、SBRラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリルエステル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョンなどが挙げられる。
本発明のビニルアルコール系重合体をインクジェット記録材のインク受理層におけるバインダーに使用する場合、インク受理層に用いられる充填材としては沈降性シリカ、ゲル状シリカ、気相法により合成されたシリカ(以下、気相法シリカと称する)、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、クレー、タルク、ケイソウ土、ゼオライト、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化亜鉛、サチンホワイト、有機顔料などが挙げられる。
本発明のビニルアルコール系重合体をインクジェット記録材の光沢層におけるバインダーに使用する場合、光沢層に用いられる充填材の粒子径としては特に制限は無いが、30〜400nmが好ましく、80〜400nmがより好ましい。平均粒子径が30nmより小さい場合は、光沢層に毛細管が形成されにくいため、インクジェット記録材のインク吸収性が悪くなる。また、平均粒子径が400nmを超えると、光沢層表面の光沢性が著しく低下するため好ましくない。光沢層に用いられる充填材としては無機微粒子および有機微粒子のいずれもが用いられる。このような無機微粒子としては、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナゾル、酸化アルミニウム微粒子、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛などが挙げられ、これらの中でもコロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナゾル、酸化アルミニウム微粒子が好適に用いられる。一方、有機微粒子としては、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、スチレン/アクリル共重合体樹脂などの微粒子が挙げられる。
コロイダルシリカとは、水中に分散してコロイド状をなしている無定型シリカ粒子をいう。コロイダルシリカとしては、表面電荷が負に帯電したものが一般に使用できるが、さらにシランカップリング剤などの表面処理により正電荷を付与したもの、ないしはこれらの凝集体としたものも好適に用いられる。
気相法シリカとは、揮発性シラン化合物を酸水素炎中で加水分解することにより得られる二酸化ケイ素である。気相法シリカは平均粒子径が数十nmの球形の1次粒子からなり、最終粒子はこれら1次粒子の凝集体となる。この2次凝集体をビーズミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧式ホモジナイザーなどの粉砕手段により粉砕して得られる粒子径30〜400nmの微粒子が好適に用いられる。このような気相法シリカとしては、表面電荷が負に帯電したものが一般に使用できるが、さらに表面処理により正電荷を付与したものも好適に用いられる。
酸化アルミニウム微粒子としては、γ型結晶形態の酸化アルミニウム微粒子が使用される。γ型結晶形態の酸化アルミニウムは、1次粒子の平均粒子径を10nm程度にまで小さくすることが可能であるが、粉末状態では一般に1次粒子が2次凝集体を形成して、粒子径が数μmオーダーの粒子となる。この2次凝集体をビーズミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧式ホモジナイザーなどの粉砕手段により粉砕して得られる粒子径30〜400nmの微粒子が好適に用いられる。
本発明のビニルアルコール系重合体をインクジェット記録材の光沢層における微粒子のバインダーに使用する場合、ビニルアルコール系重合体/微粒子の重量比率に関しては特に制限されるものではないが、ビニルアルコール系重合体/微粒子の重量比率が3/97〜50/50であることが好ましく、5/95〜40/60であることがより好ましく、8/92〜30/70であることがさらに好ましい。ビニルアルコール系重合体/微粒子の重量比率が、3/97より小さい場合は、バインダー量の不足により十分な強度を持った光沢層が得られない。また、ポリビニルアルコール系重合体/微粒子の重量比率が、50/50より大きい場合は、インク吸収のために必要な毛細管の形成が困難になり、インク吸収性が劣る。
本発明のビニルアルコール系重合体をインクジェット記録材のインク受理層または光沢層に用いる場合には、インクの定着剤としてカチオン性樹脂を併用することもできる。この目的に使用しうるカチオン性樹脂は、水に溶解したときに離解してカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーからなり、これらの中でもオリゴマーまたはポリマーが好ましい。具体的なカチオン樹脂の例は、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合体、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、ポリビニルアミン共重合体、ポリアリルアミン共重合体、ジアリル・ジメチル・アンモニウムクロライド共重合体、ポリエチレンイミンなどであるが、これらに制限されるものではない。
上記のインクジェット記録材に用いられる基材としては、従来公知の透明性または不透明性の支持基体がいずれも使用できる。透明性の支持基体としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、セロハン、セルロイドなどのフィルム、シート、または透明性の高い紙などが挙げられる。不透明性の支持基体としては、一般の紙、顔料コート紙(アート紙、コート紙、キャストコート紙)、布、木材、金属板、合成紙、不透明化処理した合成樹脂系フィルムまたはシートなどが挙げられる。
本発明のビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤を基材に塗工してインクジェット記録材を製造する方法としては、該ビニルアルコール系重合体および必要に応じて充填材、インクの定着剤などを、水性媒体に溶解または分散させてコーティング剤を調製し、得られたコーティング剤を従来公知のサイズプレス、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、キャストコーターなどを用いて基材に塗工する方法が挙げられる。ここで、塗工温度については特に制限は無いが、10℃〜60℃であることが好ましく、より好ましくは20℃〜60℃、さらに好ましくは30℃〜50℃である。また、支持基体が紙である場合には、抄紙時に上記水溶液または水分散液を内添する方法も使用できる。
本発明のビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤を基材に塗工してインクジェット記録材を製造する場合、上記方法により支持基体上に塗工した後に、塗膜の温度を下げることなく、塗工温度より20℃以上高い温度で乾燥することが好ましい。この乾燥条件を満足することにより、インクジェット記録材のインク受理層または光沢層におけるひび割れ防止がより高度に達成される。
本発明のビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤を、インクジェット記録材のインク受理層または光沢層に使用することにより、塗工後において塗膜を一旦冷却することなく、塗工温度より高い温度で乾燥するだけで塗膜のひび割れ防止が達成できる。これにより、生産速度すなわち生産性が著しく向上し、かつ消費電力量などのユーティリティーコストが大きく節約でき、さらには冷却ゾーンの付帯設備を有していないコーティングラインで高光沢性のインクジェット記録材を製造することが可能となる。
このひび割れ防止発現機構については明らかでないが、以下のように推定している。
塗工時の低温状態では、本発明のビニルアルコール系重合体におけるポリオキシアルキレン部位はクラスター構造を有する水で水和され、ポリオキシアルキレン部位の疎水性相互作用が阻害されている。一方、乾燥時の高温状態では、このポリオキシアルキレン部位の水和が外れて、ポリオキシアルキレン部位が疎水性相互作用により会合する。この現象により、高温状態におけるビニルアルコール系重合体は、そのポリオキシアルキレン部位の疎水基相互作用により分子間架橋を生じた状態となる。そのため、本発明のビニルアルコール系重合体を含有する塗工液は、塗工後に加熱することにより粘度上昇を起こし、さらに乾燥過程での水の蒸発による濃度上昇とあいまってゲル化する。これによって得られる塗膜は強固な3次元構造を有し、ひび割れしにくい膜になると考えられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、特に断りのない限り「%」および「部」は重量基準であり、「重合度」は粘度平均重合度である。
I.PVAの製造と評価
下記の方法によりPVAを製造し、その重合度、けん化度、ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量、および水溶液の粘度比η/ηを求めた。
[重合度およびけん化度]
PVAの重合度およびけん化度は、JIS−K6726に記載の方法により求めた。
[ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量]
ビニルエステル系重合体をけん化することにより得られたゲル状物を粉砕後、メタノールによるソックスレー洗浄を3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製PVAを得た。該精製PVAを重水溶媒に溶解したものを測定試料とし、500MHzのプロトンNMR測定装置(JEOL製;GX−500)を用いたNMRスペクトル測定から、ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量を求めた。
[水溶液の粘度比η/η
8%PVA水溶液を調製し、BL型粘度計を用いてロータ回転数60rpm、温度60℃の条件で該水溶液の粘度ηを測定した。次いで、BL型粘度計を用いてロータ回転数60rpm、温度40℃の条件で該水溶液の粘度ηを測定し、PVA水溶液の粘度比η/ηを求めた。
PVA−1
還流冷却器、撹拌機、温度計、窒素導入管、後添加液用の仕込み口およびポンプを備えた6リットルの反応器に、酢酸ビニル2282g、メタノール198g、一般式(II)におけるRおよびRがメチル基であり、Rが水素原子であり、Aがメチレンオキシ基であり、オキシアルキレン繰返し単位の平均値nが24であるポリオキシプロピレン基を有する不飽和単量体(ポリオキシプロピレンモノアリルエーテル(以下、POPMAと略記する)の末端OH基がメトキシ基で置換されたもの)100gを仕込んだ。重合液を撹拌しながら、系内を窒素置換した。重合液を加温し、60℃で恒温状態になった時点で、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略記する)1.3gを添加して重合を開始した。重合開始時点より系内の固形分濃度を分析しつつ重合を行い、1.8時間後に反応器を冷却して重合を停止した。重合停止時の重合率は30%であった。得られた重合ペーストをn−ヘキサン中に滴下して重合体を析出させた。析出した重合体を回収してアセトンに溶解し、n−ヘキサン中で析出させる再沈−精製操作を3回実施した。さらに重合体をアセトンに溶解して蒸留水に滴下し、煮沸精製した後、60℃で乾燥して精製ポリ酢酸ビニル(以下、PVAcと略記する)を得た。
次に、精製PVAcの濃度17.5%のメタノール溶液を調製した。この精製PVAcのメタノール溶液を40℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液を、PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.02となるように添加し、60分間のけん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールによるソックスレー洗浄を3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製PVAを得た。該PVAの重合度およびけん化度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ、重合度は2400、けん化度は98.5モル%であった。また、プロトンNMRスペクトル測定から、該精製PVAにおけるPOPMAの末端メトキシ置換体単位の含有量を求めたところ、全単量体単位に対して0.1モル%であった。上記にて得られたPVAを以下、PVA−1と称する。PVA−1の基本構造および水溶液粘度を表2に示す。
PVA−2〜9、11、13および14
重合反応の条件(酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、ポリオキシアルキレン基を有する単量体の種類およびその仕込み量、重合開始剤の使用量、重合時間)およびけん化反応の条件を表1に示すように変更した以外はPVA−1と同様の方法により各種のPVAを調製した。得られたPVAの基本構造および水溶液粘度を表2に示す。
PVA−10
撹拌機、環流冷却管、窒素導入管および温度計を取り付けた反応器に、酢酸ビニルモノマー2350部、一般式(II)におけるRおよびRがメチル基であり、Rが水素原子であり、Aがカルボニルイミノ基であり、オキシアルキレン繰返し単位の平均値nが38であるポリオキシプロピレン基を有する不飽和単量体(ポリオキシプロピレンモノアクリルアミド(以下、POPAAと略記する)の末端OH基がメトキシ基で置換されたもの)2.2部を仕込み、窒素ガスを30分バブリングして窒素置換した。別途、酢酸ビニル50部にAIBN0.8部を溶解した開始剤溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。また、POPAAの末端メトキシ置換体のメタノール溶液を窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、別途調製した開始剤溶液を添加し重合を開始した。POPAAの末端メトキシ置換体のメタノール溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成が一定となるようにしながら、60℃で5時間重合したのち冷却して重合を停止した。重合停止時の重合率は15%であった。得られた重合ペーストをn−ヘキサン中に滴下して重合体を析出させた。析出した重合体を回収してアセトンに溶解し、n−ヘキサン中で析出させる再沈−精製操作を3回実施した。さらに重合体をアセトンに溶解して蒸留水に滴下し、煮沸精製した後、60℃で乾燥して精製PVAcを得た。
次に、精製PVAcの濃度13%のメタノール溶液を調製した。このPVAcのメタノール溶液を40℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液を、PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.009となるように添加し、60分間のけん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールによるソックスレー洗浄を3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製PVAを得た。該PVAの重合度およびけん化度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ、重合度は4500、けん化度は88.5モル%であった。また、プロトンNMRスペクトル測定から、該精製PVAにおけるPOPAAの末端メトキシ置換体単位の含有量を求めたところ、全単量体単位に対して0.04モル%であった。上記にて得られたPVAを以下、PVA−10と称する。PVA−10の基本構造および水溶液粘度を表2に示す。
PVA−12
攪拌機、温度センサー、滴下漏斗および還流冷却管を備え付けた6リットルのセパラブルフラスコに、酢酸ビニル3825g、メタノール650g、一般式(II)におけるRおよびRがメチル基であり、Rが水素原子であり、Aがメチレンオキシ基であり、オキシアルキレン繰返し単位の平均値nが24であるポリオキシプロピレン基を有する不飽和単量体(POPMAの末端OH基がメトキシ基で置換されたもの)173g、ビニルトリメトキシシラン5.7gを仕込んだ。得られた溶液を攪拌しながら系内を窒素置換した後、セパラブルフラスコの内温を60℃まで上げた。この系にAIBN2.2gを含有するメタノール25gを添加し、重合反応を開始した。重合開始時点よりビニルトリメトキシシランを0.3重量%含有するメタノール330gを系内に添加しながら3.3時間重合反応を行い、その時点で重合反応を停止した。重合停止時の重合率は45%であった。得られた重合ペーストをn−ヘキサン中に滴下して重合体を析出させた。析出した重合体を回収してアセトンに溶解し、n−ヘキサン中で析出させる再沈−精製操作を3回実施した。さらに重合体をアセトンに溶解して蒸留水に滴下し、煮沸精製した後、60℃で乾燥して精製PVAcを得た。
次に、精製PVAcの濃度17.5%のメタノール溶液を調製した。このPVAcのメタノール溶液を40℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液を、PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.02となるように添加し、60分間のけん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールによるソックスレー洗浄を3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製PVAを得た。該PVAの重合度およびけん化度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ、重合度は1760、けん化度は98.5モル%であった。また、プロトンNMRスペクトル測定から、該精製PVAにおけるPOPMAの末端メトキシ置換体単位の含有量は全単量体単位に対して0.1モル%であった。また、ビニルトリメトシキシラン変性量は0.1モル%であった。上記にて得られたPVAを以下、PVA−12と称する。PVA−12の基本構造および水溶液粘度を表2に示す。
PVA−15〜37
重合条件およびけん化反応の条件を表4に示すように変更した以外はPVA−1と同様の方法により各種のPVAを調製した。得られたPVAの基本構造および水溶液粘度を表5に示す。
II.インクジェット記録材の製造と評価
下記の方法により、インクジェット記録紙を製造し、そのインク受理層のひび割れ、光沢度、透過度を評価した。さらにインクジェットプリンターを用いて該記録紙に印刷を行ったときのインク吸収性を評価した。
(1)ひび割れ
インク受理層の表面を光学顕微鏡により観察し(拡大倍率100倍)、以下の基準にて評価した。
○:表面にひび割れが全く観察されない。
△:表面に部分的にひび割れが発生。
×:表面全体にひび割れが発生。
(2)光沢度
JIS−Z8714(入射角60度の鏡面光沢度)に従い、グロスメーター(日本電色工業社製)でインク受理層表面の光沢度を測定し、5回の測定値の平均値を求めた。
(3)透過度
分光光度計(島津製作所製;UV2100)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)基体上にインク受理層を設けた記録材について、その波長500nmにおける透過率を測定した。
(4)インク吸収速度
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製;PM2000C)を用いてインクジェット記録材に黒インクをベタ印字した後、一定時間ごとに印字面を指でこすり、かすれ具合を観察した。全くかすれなくなるまでの時間を測定し、以下の基準にて評価した。
◎:5秒未満、○:5秒以上10秒未満、△:10秒以上30秒未満、×:30秒以上。
実施例1
(気相法シリカ微粒子分散液の調製)
1次粒子の平均粒子径が約12nmの気相法シリカ粉末であるアエロジルA300(日本アエロジル(株)製)600gを、酢酸12gを溶解したイオン交換水2400gに加え、一方撹拌機にて撹拌して分散させ、固形分濃度20重量%の分散液を調製した。この分散液をホモジナイザー(IKA製;ULTRA−TURRAX T25型)にて、9500rpmで5分間粉砕し、乳白色スラリー状の粘稠分散液(固形分濃度20%)を得た。この分散液中に分散している無機微粒子の平均粒子径をレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製;LA−910)にて測定したところ、230nmであった。
(インクジェット記録材の調製)
PVA−1の固形分濃度10%の水溶液400gを調製し、上記で得られた気相法シリカの固形分濃度20%の分散液1000gに加え、よく混合撹拌して分散液を得た。その後、蒸留水を添加して固形分濃度17重量%の塗工液を調製した。この塗工液の溶液粘度を、BL型粘度計を用いてロータ回転数60rpm、温度30℃の条件で測定したところ、63mPa・sであった。
コロナ処理を施したPETフィルムの表面に、メイヤーバーを用いて塗工量(乾燥時)が15g/mとなるように30℃で上記塗工液を塗工し、熱風乾燥機にて110℃で5分間乾燥してインクジェット記録用シートを製造した。シートの評価結果を表3に示す。
実施例2
(気相法アルミナ微粒子分散液の調製)
1次粒子の平均粒子径が約13nmの気相法酸化アルミ粉末である酸化アルミC(日本アエロジル(株)製)600gを、酢酸12gを溶解したイオン交換水2400gに加え、一方撹拌機にて撹拌して分散させ、固形分濃度20重量%の分散液を調製した。この液をホモジナイザー(IKA製;ULTRA−TURRAX T25型)にて、9500rpmで3分間粉砕し、乳白色スラリー状の粘稠分散液(固形分濃度20%)を得た。この分散液中に分散している無機微粒子の平均粒子径をレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製;LA−910)にて測定したところ、350nmであった。
(インクジェット記録材の調製)
PVA−2の固形分濃度10%の水溶液400gを調製し、上記で得られた気相法酸化アルミの固形分濃度20%の分散液1000gに加え、よく混合撹拌して分散液を得た。その後、蒸留水を添加して固形分濃度17重量%の塗工液を得た。この塗工液の溶液粘度を、BL型粘度計を用いてロータ回転数60rpm、温度30℃の条件で測定したところ、60mPa・sであった。
コロナ処理を施したPEラミネート紙の表面に、メイヤーバーを用いて塗工量(乾燥時)が15g/mとなるように50℃で上記塗工液を塗工し、熱風乾燥機にて90℃で5分間乾燥してインクジェット記録用シートを製造した。シートの評価結果を表3に示す。
実施例3
コロイダルシリカの表面をシランカップリング剤により処理した粒子径84nmの凝集状コロイダルシリカ分散体(サイロジェット4000C;グレース製)の固形分濃度40%の分散液1000gに、PVA−1の固形分濃度10%の水溶液400g、カチオン性樹脂の水溶液(センカ(株)製;パピオゲンP−105、固形分濃度60%)20gを加え、よく混合撹拌して分散液を得た。その後、蒸留水を添加して固形分濃度31%の塗工液を得た。この塗工液の溶液粘度を、BL型粘度計を用いてロータ回転数60rpm、温度30℃の条件で測定したところ、270mPa・sであった。
コロナ処理を施したPETフィルムの表面に、メイヤーバーを用いて塗工量(乾燥時)が15g/mとなるように40℃で上記塗工液を塗工し、熱風乾燥機にて100℃で5分間乾燥してインクジェット記録用シートを製造した。シートの評価結果を表3に示す。
実施例4
ゲル状シリカを湿式粉砕し、その表面をカチオン処理した粒子径253nmのサブミクロンゲル状シリカ(サイロジェット733C;グレース製)の固形分濃度30%の分散液1000gに、PVA−2の固形分濃度10%の水溶液400gを加え、よく混合撹拌して分散液を得た。その後、蒸留水を添加して固形分濃度21重量%の塗工液を得た。この塗工液の溶液粘度を、BL型粘度計を用いてロータ回転数60rpm、温度30℃の条件で測定したところ、310mPa・sであった。
市販のキャストコート紙の表面に、メイヤーバーを用いて塗工量(乾燥時)が15g/mとなるように40℃で上記塗工液を塗工し、熱風乾燥機にて110℃で5分間乾燥してインクジェット記録用シートを製造した。シートの評価結果を表3に示す。
実施例5〜7、9、10、12〜16および参考例1、2
PVAの種類と量、無機微粒子の種類と量、塗工液の濃度、塗工温度および乾燥温度を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録材を製造した。得られたインクジェット記録材の評価結果を表3に併せて示す。
比較例1〜5
PVAの種類と量、無機微粒子の種類と量、塗工液の濃度、塗工温度および乾燥温度を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録材を製造した。得られたインクジェット記録材の評価結果を表3に併せて示す。
Figure 0004271525
Figure 0004271525
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表1および表2より、PVA−1〜5、7、8、10〜12は、一般式(I)におけるRが炭素数1または2のアルキル基であり、Rが炭素数1〜4のアルキル基であるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体であり;その8重量%水溶液の粘度を、ロータ回転数が60rpmの条件でBL型粘度計により測定したとき、温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8以上であり;ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nが16≦n≦100の範囲内であることから、本発明のビニルアルコール系重合体である。
一方、PVA−13および14は、一般式(I)におけるRが水素原子であるポリオキシエチレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体であり、その8重量%水溶液の粘度比η/ηは0.8未満であった。また、無変性PVAであるPVA117(けん化度:98.5モル%、重合度:1750; クラレ製)、PVA224(けん化度:88モル%、重合度:2400;クラレ製)、PVA235(けん化度:88モル%、重合度:3500;クラレ製)も、その8重量%水溶液の粘度比η/ηは0.8未満であった。
表3に示す結果から、本発明のビニルアルコール系重合体をインク受理層の充填材のバインダーに用いることで、表面のひび割れがなく、光沢性が高く、インク吸収性に優れ、かつ透明性の高いインク受理層を有するインクジェット記録材が得られることが分かる(実施例1〜16)。
一方、一般式(I)におけるRが水素原子であるポリオキシエチレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体の場合および無変性PVAの場合には、表面のひび割れ、光沢性、インク吸収性および透明性の諸物性を満足できないことが分かる(比較例1〜5)。
実施例17、19および21〜33
PVAの種類と量、無機微粒子の種類と量、塗工液の濃度、塗工温度および乾燥温度を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録材を製造した。得られたインクジェット記録材の評価結果を表6に併せて示す。
実施例18
PVAの種類と量、無機微粒子の種類と量、塗工液の濃度、塗工温度および乾燥温度を表6に示すように変更した以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録材を製造した。得られたインクジェット記録材の評価結果を表6に併せて示す。
実施例20
PVAの種類と量、無機微粒子の種類と量、塗工液の濃度、塗工温度および乾燥温度を表6に示すように変更した以外は、実施例4と同様にしてインクジェット記録材を製造した。得られたインクジェット記録材の評価結果を表6に併せて示す。
比較例6〜14
PVAの種類と量、無機微粒子の種類と量、塗工液の濃度、塗工温度および乾燥温度を表7に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録材を製造した。得られたインクジェット記録材の評価結果を表7に併せて示す。
Figure 0004271525
Figure 0004271525
Figure 0004271525
Figure 0004271525
表4および表5より、PVA−15〜28は、一般式(I)におけるRが炭素数1または2のアルキル基であり、Rが水素原子であるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体であり;その8重量%水溶液の粘度を、ロータ回転数が60rpmの条件でBL型粘度計により測定したとき、温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8以上であり;その粘度平均重合度Pと、該重合体中の全単量体単位に対するポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量S(モル%)との積P×S、およびポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nが下記の数式(1)〜(4)を満たすことから、本発明のビニルアルコール系重合体である。
n>−0.047P×S+25 (1)
n<−0.044P×S+58 (2)
P×S>5 (3)
15<n≦50 (4)
一方、PVA−29〜32および36は、一般式(I)におけるRが炭素数1または2のアルキル基であり、Rが水素原子であるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体であるが、上記の数式(1)または数式(3)を満たしておらず、その水溶液の粘度比比η/ηが0.8未満であった。また、数式(2)を満たしていないPVA−33〜35は水に対して完全には溶解せず、均一な水溶液が得られなかった。
表6の結果から、本発明のビニルアルコール系重合体をインク受理層の充填材のバインダーに用いることで、表面のひび割れがなく、光沢性が高く、インク吸収性に優れ、かつ透明性の高いインク受理層を有するインクジェット記録材が得られることが分かる(実施例17〜33)。
一方、数式(1)または数式(3)を満たしていないビニルアルコール系重合体の場合には、表面のひび割れ、光沢性、インク吸収性および透明性の諸物性を満足できないことが分かる(比較例6〜9および13)。また、数式(2)を満たしていないビニルアルコール系重合体の場合には、該重合体が水に対して完全には溶解せず、均一な塗工液が得られなかった。(比較例10〜12)。
本発明のビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤を、インクジェット記録材のインク受理層または光沢層に使用した場合、塗工後において一旦冷却することなく、塗工温度より高い温度で乾燥するだけで、ひび割れがなく光沢性が高いインクジェット記録材が得られる。これにより冷却ゾーンという付帯設備を有していない一般的な塗工ラインにおいても高光沢タイプのインクジェット記録材を製造することが可能となり、その生産速度すなわち生産性が著しく向上し、消費電力量などのユーティリティーコストを大きく節約できる。

Claims (1)

  1. 下記の一般式(I)
    Figure 0004271525
    (Rは炭素数1または2のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基)
    で示されるポリオキシアルキレン基を有する単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体であり;
    該ビニルアルコール系重合体は、下記一般式(II)
    Figure 0004271525
    (Rは炭素数1または2のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子またはメチル基、Aはカルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、オキシ基、アルキレンオキシ基の群から選ばれる2価の連結基)
    で示されるポリオキシアルキレン基を有する単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させて得られるビニルエステル系重合体をけん化してなり;
    ビニルアルコール系重合体の8重量%水溶液の粘度を、ロータ回転数が60rpmの条件でBL型粘度計により測定したとき、温度60℃での粘度ηと温度40℃での粘度ηとの比η/ηが0.8以上であり;
    が水素原子の場合、ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度Pと、ビニルアルコール系重合体中の全単量体単位に対するポリオキシアルキレン基を有する単量体単位の含有量S(モル%)との積P×S、およびポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nが下記の数式(1)〜(4)を満たし;
    n>−0.047P×S+25 (1)
    n<−0.044P×S+58 (2)
    P×S>5 (3)
    15<n≦50 (4)
    が炭素数1〜4のアルキル基の場合、ポリオキシアルキレン基を有する単量体単位中のオキシアルキレン繰返し単位の数nが下記の数式(5)を満たす;
    16≦n≦100 (5)
    ことを特徴とするビニルアルコール系重合体を含有するコーティング剤。
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