JP4266246B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばパチンコ遊技機やコイン遊技機などで代表される遊技機に関し、詳しくは、入賞に応じて払出される賞球個数別に分類可能な複数種類の入賞領域が遊技領域に形成された遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技機として従来から一般的に知られたものに、たとえば、入賞に応じて払出される賞球個数別に分類可能な複数種類の入賞領域が遊技領域に形成された遊技機があった。
【0003】
この種の遊技機の代表例となるパチンコ遊技機では、前記複数種類の入賞領域として、可変表示装置を可変開始させるための始動入賞口、可変入賞球装置に設けられた大入賞口、その他の一般入賞口を例に挙げることができる。これらの複数の入賞口に入賞した入賞玉は、遊技盤裏面から機構板に形成された玉流下樋に案内され、玉合流樋によって合流された後、共通の全入賞玉検出器でまとめて検出される。そして、全入賞玉検出器の検出信号は、賞球の払出制御を行う賞球制御基板に入力される。賞球制御基板は、この検出信号に基づいて、遊技制御を行う遊技制御基板に払出要求信号を出力する。
【0004】
一方、始動入賞口や大入賞口には別途、個別に入賞玉を検出するための個別入賞玉検出器が設けられ、たとえば始動入賞口に入賞した始動入賞玉は始動入賞玉検出器で検出された後に全入賞玉検出器で検出される。個別入賞玉検出器の検出信号は、遊技制御基板に入力される。なお、一般入賞口には、この種の個別の検出器は設けられていない。
【0005】
遊技制御基板は、賞球制御基板からの払出要求信号に基づいて入賞の発生したことを検出し、各個別入賞玉検出器から検出信号が入力されているか否かを判別する。たとえば、始動入賞玉検出器から検出信号が入力されていれば、発生した入賞が始動入賞であることを特定し、始動入賞口への入賞に対応して予め記憶している数の賞球を払出すための賞球払出信号を賞球制御基板へ出力する。一方、いずれの個別入賞玉検出器からも検出信号が入力されていない場合には一般入賞口に入賞したものとみなし、一般入賞口への入賞に対応して予め記憶している数の賞球を払出すための賞球払出信号を賞球制御基板へ出力する。
【0006】
賞球制御基板は、賞球払出信号に基づいて玉払出装置を駆動し、賞球の払出制を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の遊技機では、機構板に設けられた全入賞玉検出器の検出信号を待って賞球の払出しが行われており、かつ、その検出信号が一旦、賞球制御基板に入力され、払出要求信号として賞球制御基板から遊技制御基板に入力されるものであったために、賞球の払出しに遅れが生じる。特に、全入賞玉検出器は、すべての入賞玉を合流させた後に検出できるよう、機構板の玉流下樋の下流側に設ける必要があることから、入賞口への玉の進入時点から実際に入賞が検出されるまでの間に大きなタイミングのずれが生じることになり、より一層、賞球の払出しが遅れる。
【0008】
この賞球の払出しの遅れは、たとえば、遊技者が残り少ない玉で遊技をしている場合に、入賞が発生したにもかかわらず次に打ち込むべき玉が存在せず不利益を被るなどといった問題を引き起こすことになる。
【0009】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、入賞に基づいた賞球の払出しを速やかに行うことが可能な遊技機を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、入賞に応じて払出される賞球個数別に分類可能な複数種類の入賞領域が遊技領域に形成された遊技機であって、
前記複数種類の入賞領域各々への入賞を各入賞領域に対応する賞球個数別に検出するための複数の入賞検出手段と、
前記入賞領域の種類に対応して払出すべき賞球個数を特定可能な情報が記憶された記憶部を有し、前記入賞検出手段の検出信号のみに基づいて入賞の有無を判別するとともに入賞有と判別したときに賞球個数を特定可能な賞球個数信号を出力する遊技制御手段と、
賞球を払い出す賞球払出装置と、
前記賞球個数信号により特定される賞球個数に対応する払出予定数分の駆動を前記賞球払出装置にさせる賞球払出処理を実行する賞球制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、前記賞球払出装置によって払い出された賞球の数を確認する賞球確認手段を含み、
該賞球確認手段は、払出数の不足を検知した場合には前記賞球個数信号を継続して出力し続けることによって払出数の不足を前記賞球制御手段に通知し、
前記賞球制御手段は、前記賞球払出処理を終えた後、前記賞球確認手段が払出予定数に対する払出数の不足を検知したために前記賞球個数信号が依然入力状態にあるとき、前記賞球払出装置を再度駆動させて不足している賞球を払い出す処理を実行し、
不足している賞球を払い出す場合には、タイムアウトするまでの時間が正常に払い出しが行なわれている場合の払出周期よりも長く設定されているタイマを前記賞球払出装置の駆動が停止した時に起動させ、該タイマがタイムアウトしたときに前記賞球払出装置を再度駆動する処理を実行することにより1個の賞球の払い出しに要する時間を通常の払い出しのときよりも長くすることを特徴とする。
【0013】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、複数の入賞検出手段によって前記複数種類の入賞領域各々への入賞が各入賞領域に対応する賞球個数別に検出される。前記入賞領域の種類に対応して払出すべき賞球個数を特定可能な情報が記憶された記憶部を有する遊技制御手段の働きにより、前記検出信号のみに基づいて入賞の有無が判別されるとともに入賞有と判別したときに賞球個数信号が賞球制御手段へ出力される。遊技制御手段に含まれる賞球確認手段の働きにより、前記賞球払出装置によって払い出された賞球の数が確認される。賞球制御手段の働きにより、前記賞球個数信号が示す払出予定数分だけ前記賞球払出装置が駆動される。さらに、賞球確認手段の働きにより、払出数の不足が検知された場合には前記賞球個数信号が継続して出力され続けることによって払出数の不足が前記賞球制御手段に通知される。前記賞球制御手段の働きにより、賞球払出処理の終了後、前記賞球確認手段が払出予定数に対する払出数の不足を検知したために前記賞球個数信号が依然入力状態にあるとき、前記賞球払出装置が再度駆動されて不足している賞球を払い出す処理が実行される。また、不足している賞球を払い出す場合には、タイムアウトするまでの時間が正常に払い出しが行なわれている場合の払出周期よりも長く設定されているタイマが、前記賞球払出装置の駆動が停止した時に起動される。そして、該タイマがタイムアウトしたときに前記賞球払出装置を再度駆動する処理が実行されることにより、1個の払い出しに要する時間が通常の払い出しのときよりも長くなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はこれに限らず、たとえばコイン遊技機などであってもよく、入賞に応じて払出される賞球個数別に分類可能な複数種類の入賞領域が遊技領域に形成された遊技機であれば、すべてに適用することが可能である。
【0017】
図1は、本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機1およびこれに対応して設置されたカードユニット50の正面図である。
【0018】
カードユニット50には、カード利用可表示ランプ151が設けられており、カードユニット50が使用可能な状態にある旨が、このカード利用可表示ランプ151の点灯または点滅により遊技者に知らされる。このカードユニット50は、遊技機設置島に設置されている複数台のパチンコ遊技機1の間に挿入された状態で設置されており、左右どちらの遊技機に接続されているかが連結台方向表示器153により表示される。
【0019】
遊技者がカード残高の記録されたいわゆる全国共通カードをカード挿入口155に挿入すると、その全国共通カードに記録されているカード残高が読取られる。次に、遊技者が所定の貸玉操作を行うことにより、予め入力設定されている貸出単位額分の残高が減額されるとともに、その貸出単位額分の打玉がパチンコ遊技機1の打球供給皿3に貸出される。
【0020】
カードユニット50には端数表示スイッチ152が設けられている。この端数表示スイッチ152を押圧操作することにより、たとえばカード残高やエラーが発生した場合のエラーコードなどの情報がパチンコ遊技機1に設けられた情報表示器(図示省略)に表示される。図中156はカードユニット錠であり、このカードユニット錠156に所定のキーを挿入して解錠操作することにより、カードユニット50の前面側を開成できるように構成されている。
【0021】
パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。このガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱自在に取付けられている。また、ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3から溢れた玉を貯留する余剰玉受皿4と、遊技者が打球操作するための打球操作ハンドル(操作ノブ)5とが設けられている。打球操作ハンドル5を遊技者が操作することにより、打球供給皿3内に貯留されているパチンコ玉を1個ずつ発射することができる。発射されたパチンコ玉は、遊技盤6に形成された区画レール2の間を通って遊技領域7に導かれる。遊技領域7の中央には、始動口14への打玉の始動入賞を条件にして識別情報の一例となる特別図柄を可変表示開始させる可変表示装置8が設けられている。この可変表示装置8には、打玉の通過ゲート11aの通過に伴って普通図柄が可変表示される可変表示器10と、通過記憶表示器10aと、始動記憶表示器18とが設けられている。さらに、可変表示装置8の下方には、可動片15が左右に設けられた始動口14と、開閉板20の傾動により打玉の入賞可能な開放状態となる可変入賞球装置19とが設けられている。また、一般入賞口として、可変表示装置8の上部には入賞口24aが、可変入賞球装置19の左右には入賞口24d,24eが、遊技領域7の下方左右には入賞口24b,24cが、それぞれ設けられている。また、26は、打込まれた打玉がいずれの入賞口や可変入賞球装置にも入賞しなかった場合にアウト玉として回収するアウト口であり、25は、装飾ランプである。
【0022】
遊技領域7の外周には装飾ランプ28a,28b,28cと、打球操作ハンドル5の稼働に連動して点灯するランプ51と、賞球の払出中に点灯するランプ52とが設けられており、遊技領域7の上部の左右にはステレオ音の音声などの効果音を発生するためのスピーカ27,27が設けられている。
【0023】
図2は、遊技盤6の正面図である。この正面図を参照して、以下に各種遊技装置および遊技の概要を説明する。
【0024】
可変表示装置8は、複数種類の特別図柄を可変表示可能なCRT表示機で構成されている。可変表示装置8の中央の可変表示部9では始動入賞が発生したことを条件として複数種類の特別図柄が上から下に向かってスクロール表示される。その後、所定時間が経過して可変表示が終了した結果、大当り図柄のゾロ目が停止表示されれば大当りとなる。なお、大当り図柄のうちの所定の確変図柄で大当りが発生した場合には、確率変動状態となり大当り確率が高い確率に変動する。大当りとなれば、可変入賞球装置19の開閉板20が傾動して大入賞口が開口する。これにより、打玉を大入賞口に入賞させることが可能な遊技者にとって有利な第1の状態に制御され、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特定遊技状態)となる。
【0025】
可変入賞球装置19の大入賞口は、特定入賞領域と通常入賞領域とに区分されている。特定入賞領域に入賞した入賞球はVカウントスイッチ22により検出される。一方、通常入賞領域に入賞した通常入賞球はカウントスイッチ23により検出される。Vカウントスイッチ22とカウントスイッチ23は、ともに遊技盤6に設けられており、各入賞領域に入賞した入賞玉は各スイッチ22,23により速やかに検出され、入賞玉が検出される毎に15発の賞球が払出される。
【0026】
可変入賞球装置19の第1の状態は、大入賞口に進入した打玉の数が所定個数(たとえば9個)に達した場合、または所定期間(たとえば30秒間)経過した場合のうちのいずれか早い方の条件が成立した場合に一旦終了して開閉板20が閉成する。これにより、可変入賞球装置19は打玉を入賞させることが不可能な遊技者にとって不利な第2の状態に制御される。そして、可変入賞球装置19が第1の状態となっている期間中に進入した打玉が特定入賞領域に特定入賞し、Vカウントスイッチ22により検出されたことを条件として、再度、可変入賞球装置19を第1の状態にする繰返し継続制御が実行される。この繰返し継続制御の実行上限回数はたとえば16回と定められている。繰返し継続制御において、可変入賞球装置19が第1の状態にされている状態がラウンドと呼ばれる。繰返し継続制御の実行上限回数が16回の場合には、第1ラウンドから第16ラウンドまでの16ラウンド分、可変入賞球装置19が第1の状態にされ得る。
【0027】
可変表示装置8の左側方部分および右側方部分には、それぞれワープ入口11が設けられている。このワープ入口11に進入した打玉は、可変表示装置8の裏面側を通って下方に流下してワープ出口13から再度遊技領域7に放出される。このため、ワープ出口13から放出された打玉は、始動口14に比較的入賞しやすい状態となる。可変表示装置8の左側方部分に設けられたワープ入口11に進入した打玉の通過経路には普通図柄始動ゲート11aが設けられている。
【0028】
普通図柄始動ゲート11aに進入した打玉は、ゲートスイッチ12で検出される。打玉がゲートスイッチで検出されることを条件として、可変表示器10が可変開始される。なお、可変表示器10が可変表示している最中にさらに打玉がゲートスイッチ12で検出された場合には、「4」を記憶数の上限として通過球が記憶されてその記憶数が通過記憶表示器10aに表示される。
【0029】
可変表示器10は7セグメント表示器で構成されており、普通図柄と呼ばれる識別情報が可変表示される。可変表示器10の表示結果が予め定められた特別の表示態様(たとえば7)となれば「当り」となる。可変表示器10に「当り」の表示結果が導出されると、始動口14に設けられた左右1対の可動片15が開成する。これにより始動口14が開放状態となって打玉がより始動入賞しやすくなる。始動口14が開放状態にある際に打玉が1つ始動入賞すれば、可動片15が元の位置まで閉成して打玉が始動入賞しにくい状態に戻る。また、始動口14が開放状態となってから所定期間が経過すれば、始動入賞が発生しなくとも可動片15が元の位置まで閉成して開放状態は終了する。始動口14に入賞した始動入賞球は遊技盤6に設けられた始動口スイッチ17により速やかに検出される。始動入賞球が始動口スイッチ17で検出されると6発の賞球が払出されるとともに、その検出出力に基づいて可変表示装置8が可変開始される。なお、可変表示装置8が可変表示中に始動口スイッチ17により検出された始動入賞は、「4」を記憶数の上限として記憶されてその記憶数が始動記憶表示器18に表示される。
【0030】
また、一般入賞口24(24a,24b,24c,24d,24e)に入賞した入賞球は、遊技盤6に設けられた各入賞口スイッチ240(240a,240b,240c,240d,240e)により速やかに検出され、これに基づいて10発の賞球が払出される。
【0031】
図3および図4は、パチンコ遊技機1の制御に用いられる各種制御基板およびそれに関連する構成要素を示すブロック図である。図3、図4には、制御基板として、遊技制御基板(主基板ともいう)31、賞球制御基板37、ランプ制御基板35、音声制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80が示されている。
【0032】
遊技制御基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、各種スイッチ(ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ240(240a,240b,240c,240d,240e)、余剰玉受皿4の満タンを検出する満タンスイッチ402)からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、始動口14の可動片15を動作させるソレノイド16および可変入賞球装置15の開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25を駆動するランプ・LED回路60とを含む。
【0033】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の可変表示に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。
【0034】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。なお、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている場合もある。
【0035】
さらに、遊技制御基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、定期的(例えば、2ms毎)に基本回路53にリセットパルスを与えてゲーム制御用のプログラムを先頭から再度実行させるための定期リセット回路66と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。
【0036】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ(打球操作ハンドル)5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0037】
満タンスイッチ402からの検出信号は、中継基板71を介して遊技制御基板31のI/Oポート57に入力される。また、玉切れ検出スイッチ167および玉切れスイッチ187からの検出信号は、中継基板72および中継基板71を介して遊技制御基板31のI/Oポート57に入力される。CPU56は、玉切れ検出スイッチ167または玉切れスイッチ187からの検出信号が玉切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ402からの検出信号が満タン状態を示していると、賞球可能信号をオフにする。賞球可能信号がオフ状態では、賞球制御基板37の賞球制御用マイクロコンピュータは、賞球処理を停止する。
【0038】
各種入賞口スイッチ240、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23の検出信号は、中継基板71を介して遊技制御基板31のI/Oポート57に入力される。遊技制御基板31のROM54には、上記各スイッチのうち入賞検出用スイッチ(240、17、22、23)の検出信号に対応して払出すべき賞球数を特定可能な賞球個数情報が記憶されている。遊技制御基板31は、各スイッチの検出信号に基づいて払出すべき賞球数を特定し、速やかに賞球個数信号(D0〜D3の4ビット信号)を賞球制御基板37へ出力する。なお、先に出力した賞球個数信号に基づく賞球の払出しが完了していない場合には、入力された検出信号が遊技制御基板31のRAM55内に累積的に記憶される。そして、先の賞球個数信号に基づく賞球の払出しが完了したことを条件として、所定のタイミングでRAM55内の記憶に基づいた賞球個数信号が出力される。RAM55には、入力された検出信号を処理可能な状態になるまでの間、払出すべき賞球個数別に記憶可能なカウンタ(カウンタA,B,C)が記憶されている。カウンタAには、Vカウントスイッチ22およびカウントスイッチ23の検出信号、すなわち、払出数=15個に対応する検出信号がまとめて記憶される。カウンタBには、始動口スイッチ17の検出信号、すなわち、払出数=6個に対応する検出信号が記憶される。カウンタCには、各入賞口スイッチ240の検出信号、すなわち、払出数=10個に対応する検出信号が記憶される。
【0039】
賞球制御基板37には遊技制御基板31から賞球可能信号と賞球個数信号とが入力される。賞球可能信号と賞球個数信号とは、バッファ回路373を介してI/Oポート372に入力される。賞球制御基板37は、賞球個数信号の入力に基づいて玉払出装置97に駆動信号を出力し、賞球個数信号により特定される個数の賞球を払出すための払出制御を行う。玉払出装置97では、この駆動信号により賞球モータ289Aが駆動されて賞球の払出しが行われる。
【0040】
以上のように、遊技制御基板31は遊技盤6に設けられた各種入賞検出用スイッチ(240、17、22、23)の検出信号が入力されたことに基づいて直ちに賞球個数信号を賞球制御基板37へ出力可能であるために、打玉が各種入賞口に進入した後、速やかに賞球が払出される。このため、遊技盤裏面の機構板に設けられた共通の全入賞玉検出器の検出を待って賞球を払出す従来の遊技機に比較して賞球の払出制御を迅速に行うことができる。さらに、各種入賞検出用スイッチ(240、17、22、23)は、各入賞口に対応して遊技盤6に個々に設けられているために、打玉の入賞をより早く検出でき、これにより賞球の払出制御をより一層迅速に行うことができる。なお、バッファ回路373における各バッファは、遊技制御基板31から賞球制御基板37へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、賞球制御基板37側から遊技制御基板31側に信号が伝わる余地はない。賞球制御基板37内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が遊技制御基板31側に伝わることはない。
【0041】
玉払出装置97には、賞球を払出す賞球機構部分と貸玉を貸出す玉貸機構部分とが独立した機構部分として設けられており、それぞれの機構部分には玉を繰出すための玉繰出用スクリュー(図示省略)と当該玉繰出用スクリューを駆動するモータ(賞球モータ289A、玉貸しモータ289C)が設けられている。
【0042】
賞球制御基板37からの賞球モータ289Aおよび玉貸しモータ289Cへの駆動信号は、中継基板72を介して賞球モータ289Aおよび玉貸しモータ289Cに伝えられる。すなわち、玉払出装置97において賞球機構部分と玉貸機構部分とが独立した機構部分として設けられているが、それらは、遊技制御基板31とは別に設けられている賞球制御基板37によって一括して駆動される。従って、玉払出装置97の機構部分が増えても、遊技制御を行う手段における負荷が増えることはない。
【0043】
さらに、玉払出装置97の賞球機構部分には、玉繰出用スクリューで繰出された玉を賞球機構部分の上手側で検出するための賞球モータ位置センサ300A、と、玉繰出用スクリューで繰出された後、賞球機構部分から打球供給皿3へ向けて落下する玉を賞球機構部分の下手側で検出するための賞球カウントスイッチ301A,301Bとが設けられている。同様に、玉払出装置97の玉貸機構部分には、玉繰出用スクリューで繰出された玉を玉貸機構部分の上手側で検出するための玉貸モータ位置センサ300Cと、玉繰出用スクリューで繰出された後、玉貸機構部分から打球供給皿3へ向けて落下する玉を玉貸機構部分の下手側で検出するための玉貸カウントスイッチ301Cとが設けられている。
【0044】
玉貸カウントスイッチ301Cからの検出信号は、中継基板72を介して賞球制御基板37のI/Oポート372に入力される。賞球カウントスイッチ301A,301Bからの検出信号は、中継基板72および中継基板71を介して遊技制御基板31のI/Oポート57に入力されるとともに、賞球制御基板37のI/Oポート372に入力される。
【0045】
また、賞球制御用CPU371は、I/Oポート372を介して、貸し玉数を示す玉貸し個数信号をターミナル基板160に出力し、ブザー駆動信号をブザー基板75に出力する。ブザー基板75にはブザーが搭載されている。さらに、I/Oポート372を介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力するための信号が入力される。
【0046】
カードユニット50には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット50には、端数表示スイッチ152、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。残高表示基板74には、打球供給皿3の近傍に設けられている度数表示LED、玉貸しスイッチおよび返却スイッチが接続される。
【0047】
残高表示基板74からカードユニット50には、遊技者の操作に応じて、玉貸しスイッチ信号および返却スイッチ信号が賞球制御基板37を介して与えられる。
【0048】
また、カードユニット50から残高表示基板74には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および玉貸し可表示信号が賞球制御基板37を介して与えられる。カードユニット50と賞球制御基板37の間では、ユニット操作信号(BRDY信号)、玉貸し要求信号(BRQ信号)、玉貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)がやりとりされる。
【0049】
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371は、カードユニット50にPRDY信号を出力する。カードユニット50においてカードが受付けられ、玉貸しスイッチが操作され玉貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、賞球制御基板37にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、賞球制御基板37にBRQ信号を出力する。そして、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371は、玉貸しモータ289Cを駆動し、所定個数の貸し玉を遊技者に払出す。そして、払出しが完了したら、賞球制御用CPU371は、カードユニット50にEXS信号を出力する。
【0050】
以上のように、カードユニット50からの信号は全て賞球制御基板37に入力される構成になっている。従って、玉貸し制御に関して、カードユニット50から遊技制御基板31に信号が入力されることはなく、遊技制御基板31の基本回路53にカードユニット50の側から不正に信号が入力される余地はない。
【0051】
なお、遊技制御基板31および賞球制御基板37には、ソレノイドおよびモータやランプを駆動するための回路が搭載されているが、図では、それらの回路は省略されている。
【0052】
次に遊技機の動作についてフローチャートに基づいて説明する。図5は、遊技制御基板31における基本回路53のメイン処理を示すフローチャートである。上述したように、この処理は、定期リセット回路66が発するリセットパルスによって、例えば2ms毎に起動される。基本回路53が起動されると、基本回路53は、まず、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理を行う(S1)。次いで、初期化処理を行う(S2)。初期化処理では、基本回路53は、RAM55にエラーが含まれているか判定し、エラーが含まれている場合には、RAM55を初期化するなどの処理を行う。そして、表示制御基板80に送出されるコマンドコードをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(S3)、コマンドコードを表示制御データとして出力する処理を行う(S4)。
【0053】
次いで、ランプ制御基板35および音声制御基板70に音声発生やLED点灯制御用の所定のコマンドを送信するための処理を行うとともに、情報出力回路64を介して、ホール管理用コンピュータに大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを送信するための処理を行う(データ出力処理:S5)。
また、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:S6)。
【0054】
次に、遊技制御に用いられる各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(S7)。S7では、基本回路53は、判定用乱数としての大当り判定用乱数等のカウントアップ(1加算)を行う。
【0055】
次に、基本回路53は、特別図柄プロセス処理を行う(S8)。特別図柄プロセス処理では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(S9)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。さらに、基本回路53は、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17およびVカウントスイッチ22およびカウントスイッチ23の状態を入力し、各入賞口や可変入賞球装置に対する入賞があったか否か判定する(S10)。基本回路53は、さらに、停止図柄を決定する等のための表示用乱数を更新する処理を行う(S110)。また、基本回路53は、賞球制御基板37との間の信号処理を行う(S120)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球制御基板37に賞球個数信号を出力する。賞球制御基板37に搭載されている賞球制御用CPU371は、賞球個数信号に応じて玉払出装置97を駆動する。
【0056】
その後、基本回路53は、再度定期リセット回路66からリセットパルスが与えられるまで、S130の表示用乱数更新処理を繰り返す。
【0057】
次に、遊技盤6に設けられている入賞口に打球が入賞したときの処理について図6〜図19を参照して説明する。図6は、図4、図5に示された遊技制御基板31における基本回路53のCPU56が実行する始動口入賞口チェック処理を示すフローチャートであり、図7は、CPU56が実行する入賞チェック処理を示すフローチャートであり、図8および図9は、CPU56が実行する入賞球信号処理を示すフローチャートであり、図10は、入賞球信号処理中に実行されるエラー表示処理を示すフローチャートである。図11〜図14は、賞球制御基板37の賞球制御用CPU371が実行する賞球モータ制御処理を示すフローチャートである。また、図15は、賞球モータ制御処理中に実行されるエラー処理を示すフローチャートである。そして、図16〜図19は、入賞球信号処理時に遊技制御基板31および賞球制御基板37に入出力される信号を示すタイミング図である。なお、図16は賞球払出が正常に行われた場合の例、図17は遊技制御基板31のCPU56が払出個数不足と判断した場合の例、図18は遊技制御基板31のCPU56が払出個数過多と判断した場合の例、図19は入賞発生と玉貸し要求とが重なった場合の例を示す。
【0058】
まず、図6のフローチャートを参照して、始動口入賞口チェック処理を説明する。CPU56は、はじめに、第1種始動口スイッチカウンタがスイッチオン判定値と一致しないか否か確認する(SA1)。第1種始動口スイッチカウンタは、始動口スイッチ17の検出信号の出力が継続することに伴って加算更新されるカウンタである。第1種始動口スイッチカウンタがスイッチオン判定値と一致しない場合、すなわち、入力信号の継続時間がまだ規定値に達していない場合には入力された信号がノイズ等の可能性があるために処理を終了する。一方、、第1種始動口スイッチカウンタがスイッチオン判定値と一致する場合には始動口スイッチ17が始動入賞を検出したと判断してカウンタBを更新(+1)する。なお、カウンタBは、前述したように始動口スイッチ17の検出信号、すなわち、払出数=6個に対応する検出信号を記憶するカウンタである。次に、始動記憶数をカウントする特別図柄入賞記憶カウンタが特別図柄入賞記憶カウンタの最大値(=4)以上となっているか否かを判断する(SA3)。最大値となっている場合には始動記憶することなく処理を終了する。最大値に達していない場合には特別図柄入賞記憶カウンタを更新(+1)する(SA4)。次に、新たに記憶した特別図柄入賞記憶カウンタのカウント値に対応する特別図柄判定用バンクアドレスを算出する(SA5)。次に、特別図柄の可変表示時間を短縮するための変動短縮設定時間を、一旦、変動短縮タイマバンクに設定する(SA6)。なお、ここで設定された変動短縮設定時間は、後述のSA11で評価される始動記憶数の多少に応じて通常の可変表示時間に変更され得る。つまり、始動記憶数が多い場合には設定がそのまま維持され、始動記憶数が少ない場合には通常の可変表示時間に変更される。
【0059】
次に、可変表示結果を大当りとするか否かを決定するための特別図柄判定用乱数を抽出する(SA7)。次に、可変表示途中にリーチを成立させるか否かを決定するためのリーチ判定用乱数を抽出する(SA8)。次に、SA7で抽出した特別図柄判定用乱数を特別図柄判定用バンクに設定し、SA8で抽出したリーチ判定用乱数をリーチ判定用バンクに設定する(SA9)。次に、SA7で抽出した特別図柄判定用乱数を特定図柄判定用バンクに設定する(SA10)。なお、特別図柄判定用バンクとは、特別図柄判定用乱数に基づいて大当りを発生させるか否か、確率変動を生じさせる確変大当りを発生させるか否かを判定するバンクであり、特定図柄判定用バンクとは、特別図柄判定用バンクによる判定結果に応じて停止図柄の種類を定めるために使用されるバンクである。
【0060】
次に、特別図柄判定処理を実行した後(SA11)、処理を終了する。特別図柄判定処理では、特定図柄判定用バンクおよび特別図柄判定用バンクの格納値に基づいて可変表示装置8の可変表示結果が定められる。
【0061】
次に、図7のフローチャートを参照して、入賞チェック処理を説明する。CPU56は、まず、カウントスイッチカウンタがスイッチオン判定値と一致しないか否か確認する(SB11)。カウントスイッチカウンタは、カウントスイッチ23の検出信号の出力が継続することに伴って加算更新されるカウンタである。カウントスイッチカウンタがスイッチオン判定値と一致しない場合には後述のSB15に移行するが、一致する場合にはカウントスイッチ23が入賞を検出したと判断してその旨を示すカウント通過フラグを設定する(SB12)。次に、遊技状態を示す特別図柄プロセスフラグ値が大入賞口開放中を表わす値以外であるか否かが判断される(SB13)。大入賞口開放中を表わす値以外の場合には後述のSB15に移行するが、大入賞口開放中を表わす値の場合には、大入賞口入賞カウンタ更新処理を実行する(SB14)。ここでは、先に設定されたカウント通過フラグに基づいてカウンタAを加算更新する。なお、カウンタAは、前述したようにVカウントスイッチ22およびカウントスイッチ23の検出信号、すなわち、払出数=15個に対応する検出信号を記憶するカウンタである。次に、Vカウントスイッチカウンタ(特定領域カウントスイッチカウンタ)がスイッチオン判定値と一致しないか否か確認する(SB15)。Vカウントスイッチカウンタは、Vカウントスイッチ22の検出信号の出力が継続することに伴って加算更新されるカウンタである。Vカウントスイッチカウンタがスイッチオン判定値と一致しない場合には後述のSB20に移行するが、一致する場合にはVカウントスイッチ22が入賞を検出したと判断する。そして、特別図柄プロセスフラグ値が大入賞口開放中を表わす値以外であるか否かが判断される(SB16)。大入賞口開放中を表わす値以外の場合には後述のSB18に移行するが、大入賞口開放中を表わす値の場合には、大入賞口入賞カウンタ更新処理を実行する(SB17)。ここでは、Vカウントスイッチ22の検出信号に基づいてカウンタAを加算更新する。次に、可変入賞球装置19の繰返し継続制御の実行回数を計数する継続回数カウンタが継続回数カウンタの最終値(=16)以上となっているか否か判断する(SB18)。最終値となっている場合には、後述のSB20に移行するが、最終値となっていない場合には打玉が特定領域を通過したことを示す特定領域通過フラグを設定する(SB19)。
【0062】
次に、入賞口スイッチカウンタがスイッチオン判定値と一致しないか否か確認する(SB20)。入賞口スイッチカウンタは、各入賞口スイッチ240(240a,240b,240c,240d,240e)の検出信号の出力が継続することに伴って加算更新されるカウンタである。入賞口スイッチカウンタがスイッチオン判定値と一致しない場合には処理が終了すが、一致する場合には入賞口スイッチ240が入賞を検出したと判断してカウンタCを加算更新する(SB21)。その後、処理を終了する。なお、カウンタCは、前述したように各入賞口スイッチ240の検出信号、すなわち、払出数=10個に対応する検出信号を記憶するカウンタである。
【0063】
次に、図8〜図9のフローチャートを参照して、入賞球信号処理を説明する。上述したように、入賞球信号処理は2msに1回実行される。最初に、使用される各タイマについて説明する。
【0064】
(1) タイマT1:賞球カウントスイッチオフ時にセットされ、タイムアウトすると払出個数のチェックが行われる。
【0065】
(2) タイマT5:エラー検出時にセットされ、タイムアウトするまでエラー表示が行われる。
【0066】
(3) タイマT6:タイムアウトする度に繰り返し再起動され、タイムアウト時に累積エラー同数が所定回数を越えていたら復帰不能なエラーとなる。
入賞球信号処理において、遊技制御基板31におけるCPU56は、まず、タイマT6がタイムアウトしたか否か確認する(S11)。タイムアウトしていた場合には、賞球エラーカウンタの値をチェックする(S12)。賞球エラーカウンタの値が所定値を越えていた場合には、エラー状態に入る(S13)。エラー状態では、基本回路53はホールト状態(HALT状態)になる。例えば、動作停止フラグをセットする。動作停止フラグがセットされた場合には、例えば、図5に示された初期化処理(S2)において、ホールト状態(例えば同一番地にジャンプ)とされる。
【0067】
タイマT6がタイムアウトしたときに、賞球エラーカウンタの値が所定回を越えていなければ、賞球エラーカウンタは初期化され(S14)、再度タイマT6がスタートされる(S15)。
【0068】
後述するように、賞球エラーカウンタの値は、賞球個数の過多が検出されるとカウントアップされる。したがって、所定時間内に(タイマT6のカウントアップ時間内に)所定個数を越える賞球過多エラーが生ずると、定期リセット信号によっても解除されない状態になる。このように、賞球過多エラーが生じたときに直ちにホールト状態とならず、頻繁に賞球過多エラーが生じた場合にホールト状態となるように構成すると、一時的的に生じ自然復旧するようなエラーでは遊技機は動作不能状態にならない。また、頻繁に賞球過多エラーが生ずる場合には点検等を要することが多いので、そのような場合には遊技機が動作不能状態になるようにすることができる。
【0069】
なお、ここでは、エラー発生とは無関係にタイマT6をスタートさせタイマT6がタイムアウトする度に、時間T6における発生エラー数をチェックするようにしたが、エラーが発生するとタイマをスタートさせる等の他の監視方法を用いてもよい。要するに、所定時間内に所定回を越えるエラーが発生したことを検出できれば、どのような監視方法を用いてもよい。
【0070】
次に、賞球払出中フラグがオンしているか否か確認する(S16)。オンしている場合には、S32に移行する。賞球払出中フラグがオンしていない場合には、入賞が検出されているか否か確認する(S17)。具体的には、前述したRAM55のカウンタ(カウンタA,B,C)が参照されて入賞が検出されているか否かが判断される。入賞が検出されていなければ処理を終了する。一方、入賞が検出されている場合には、以下の優先順序に従って入賞に応じた賞球個数信号が出力される。
【0071】
まず、Vカウントスイッチ22またはカウントスイッチ23で入賞が検出されたのか否かが判断される(S18)。具体的には、Vカウントスイッチ22およびカウントスイッチ23の検出信号を記憶するためのカウンタAに記憶値があるか否かが判断される。なお、いずれかの入賞検出用スイッチのオンが確認された時点は、図16においてS1およびS2で示されている。
【0072】
この実施の形態では、大入賞口を経た入賞については15個の賞球を払出す。よって、Vカウントスイッチ22またはカウントスイッチ23で入賞が検出されていた(カウンタA>0)ときには賞球予定数に15を設定し(S25)、次いでカウンタAを更新(−1)する(S26)。
【0073】
Vカウントスイッチ22またはカウントスイッチ23で入賞が検出されていない場合には、始動口スイッチ17で入賞が検出されたのか否かが判断される(S19)。具体的には、始動口スイッチ17の検出信号を記憶するためのカウンタBに記憶値があるか否かが判断される。この実施の形態では、始動口14を経た入賞については6個の賞球を払出す。よって、始動口スイッチ17で入賞が検出されていた(カウンタB>0)ときには賞球予定数に6を設定し(S27)、次いでカウンタBを更新(−1)する(S28)。
【0074】
Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23、始動口スイッチ17のいずれによっても入賞が検出されていない場合には、各入賞口スイッチ240のいずれかで入賞が検出されたと判断できる。具体的には、各入賞口スイッチ240の検出信号を記憶するためのカウンタCに記憶値があると判断できる。この実施の形態では、一般入賞口24を経た入賞については10個の賞球を払出すために、S19でNOと判断できる場合には賞球予定数に10を設定し(S20)、次いでカウンタCを更新(−1)する(S21)。
【0075】
以上のように、遊技制御基板31は、複数の入賞検出用スイッチから同時に検出信号が入力された場合であっても、所定の優先順序に従って各検出信号に対応する前記払出制御を行う。
【0076】
その後、CPU56は、賞球予定数に応じた賞球個数信号を出力する(S22)。
【0077】
以上のように、複数の入賞検出用スイッチから同時に検出信号が入力された場合の制御が容易となるように、所定の優先順序に従って各検出信号に対応する賞球個数信号が出力される。なお、賞球制御基板37における賞球制御CPU371は、賞球個数信号で指定された個数の賞球払出制御を行う。
【0078】
次に、CPU56は、賞球払出中フラグをオンして(S30)処理を終了する。なお、次に、入賞球信号処理が実行されると、S16で賞球払出中フラグがオンしているので、S16からS32に移行する。
【0079】
S32において、CPU56は、エラー表示フラグがオンしているか否か確認する。オンしていれば、S440に移行する。なお、エラー表示フラグについては後で説明する。エラー表示フラグがオンしていなければ、賞球カウントスイッチ(a)がオンしたか否かを判断する(S33)。賞球カウントスイッチ(a)のオンを検出すると、賞球カウントスイッチ(a)のオフを待ち(S34)、オフしたら賞球カウント数を+1する(S35)。
【0080】
そして、タイマT1を起動する(S36)。タイマT1は、図16に示された賞球カウントスイッチ(a)の出力がオンした後オフする度に起動または再スタートされる。なお、賞球カウントスイッチ(a)および賞球カウントスイッチ(b)の出力は、実際には賞球カウントスイッチ301A,301Bの出力のオア(OR)をとったものに相当する。また、賞球カウントスイッチ(a)の出力は遊技制御基板31の側での信号であり、賞球カウントスイッチ(b)の出力は賞球制御基板37の側での信号であるが(図14参照)、ともに賞球カウントスイッチ301A,301Bの出力のオアをとったものである。
【0081】
S33において賞球カウントスイッチ(a)がオンしていなければ、タイマT1が動作中か否か確認する(S37)。タイマT1が動作中でない場合には処理を終了する。一方、タイマT1が動作中であれば、CPU56は、タイマT1がタイムアウトしたか否か確認する(S38)。タイムアウトしていなければ処理を終了する。なお、次に、入賞球信号処理が実行されると、賞球払出中フラグがオンしているので、やはりS16からS32に移行する。
【0082】
タイマT1の値(起動時からタイムアウトするまでの時間)は、正常に払出しが行われている場合には払出周期(賞球カウントスイッチ(a)がオンしてから次にオンするまでの期間)よりも長く設定されている。従って、正常に払出しが行われているときには、最後の払出しを除いて、タイマT1がタイムアウトするよりも前に、次の賞球カウントスイッチ(a)のオン(S33)が発生する。すなわち、正常に払出しが行われているときには、タイマT1は、最後の払出しが行われた後に初めてタイムアウトする。
【0083】
S38において、タイマT1がタイムアウトすると、CPU56は、賞球カウント数と賞球予定数とを比較する(S39)。正常に払出しが完了した場合には、それらは一致する。従って、賞球個数信号をオフ状態にし(S40)、賞球払出フラグをオフして処理を終了する(S410)。なお、図16に示された例では、カウントスイッチ(カウントセンサ)23のオンに基づいて上述した処理が行われ賞球個数信号がオフ状態になったときには、既に始動口スイッチ(始動口センサ)17はオンしている(検知2回目)。よって、次に、入賞球信号処理が実行されると、S11→S16→S17と進み、直ちに始動口スイッチ17の検知2回目が認識されて、上述した処理が再度実行される。
【0084】
タイマT1がタイムアウトしたときに賞球カウント数と賞球予定数とが一致していなかった場合には、CPU56は、どちらが多いのかチェックする(S420)。賞球カウント数が賞球予定数に満たない場合、すなわち払出不足と判断される場合には、処理を終了する。従って、賞球個数信号のオン状態が総統され、賞球払出フラグもオンのままである。なお、この状態は、図17に「賞球動作1回目」で示された部分のT1タイムアウトの時点に相当する。
【0085】
後で詳しく説明するが、賞球制御用CPU371は、所定個数の払出しが完了したと認識して賞球モータ289Aを停止させた後に所定時間が経過しても賞球個数信号がオフしない場合には、さらに1個の賞球払出制御を行う。すなわち、再度賞球カウントスイッチ(a)がオンする。
【0086】
次に、入賞球信号処理が実行されると、賞球払出中フラグがオンしているので、S16からS32に移行する。そして、S33で賞球カウントスイッチ(a)のオンが検出された後に賞球カウントスイッチ(a)がオフすると、CPU56は、賞球カウント数を十1する(S35)。そして、タイマT1を再スタートする(S36)。そして、S38でタイマT1のタイムアウトが検知されると、賞球カウント数と賞球予定数とが再度比較される(S39)。ここで一致すれば、たとえば図16に示す「検知1回目」に基づく賞球払出処理は完了する。
【0087】
一方、図17ではタイマT1の1回目のタイムアウトがQ1の時点として示されている。従って、図17には、この時点でも賞球カウント数が賞球予定数に満たない例が示されていることになる。その場合には、CPU56は、再び、賞球個数信号をオフ状態にせず、かつ、賞球払出フラグをオフせずに処理を終了する。すると、賞球制御用CPU371は、所定時間が経過しても賞球個数信号がオフしないことを認識して、再度1個の賞球払出制御を行う。CPU56は、その払出しに基づく賞球カウントスイッチ(a)のオンおよびオフを検出して、賞球カウント数を+1し(S35)、タイマT1を起動する(S36)。そして、タイマT1のタイムアウト時に、再び賞球カウント数と賞球予定数とを比較する。ここで一致すれば「検知1回目」に基づく賞球払出処理は完了する。図17ではこの時点のタイマT1のタイムアウトがQ2として示されている。すなわち、この時点で賞球払出処理が完了した例が示されている。
【0088】
S420において、賞球カウント数が賞球予定数よりも多い場合、すなわち払出過多と判断される場合には、賞球個数信号をオフ状態にし(S430)、エラー表示処理を行う(S440)。なお、この状態は、図18に「賞球動作1回目」で示された部分のT1タイムアウトの時点に相当する。
【0089】
図10は、エラー表示処理の一例を示すフローチャートである。エラー表示処理において、CPU56は、まず、タイマT5が動作中であるかどうか確認する(S41)。動作中でなければ、エラー表示フラグをオンし(S42)、エラー表示要求をセットする(S43)。そして、タイマT5を起動する(S44)。また、賞球エラーカウンタの値を+1する(S45)。賞球エラーカウンタの値は、S12でチェックされ、所定時間内にその値が所定値を越えると自動復旧しない完全エラー状態とされる。なお、エラー表示要求がセットされると、例えば、図5に示された表示制御データ設定処理(S3)および表示制御データ出力処理(S4)において、可変表示装置8にエラー表示がなされるように制御されたり、データ出力処理(S5)においてスピーカ27からエラー報知音が発生されるように制御されたりする。
【0090】
そして、遊技状態が通常状態であるならば(S46)、ホールト状態になる。通常状態とは、大当り遊技状態および可変表示部9に可変表示がなされている状態以外の状態である。なお、ホールト状態は、定期リセット信号によっても解除されない遊技制御停止状態であり、遊技機の電源がオフされ、電源再投入によって解除される。
【0091】
S41においてタイマT5が動作中である場合には、CPU56は、タイマT5がタイムアウトしているか否か確認する(S47)。タイムアウトした場合には、エラー表示要求をリセットするとともに(S48)、エラー表示中フラグをオフする(S49)。また、賞球払出フラグをオフする(S50)。よって、遊技機は、再度入賞球検出と賞球払出制御を行える状態に復帰する。なお、エラー表示フラグがオンしているときには、遊技進行は中断されている。
【0092】
以上のように、この実施の形態では、遊技制御基板31における基本回路53のCPU56が、実際の払出数が賞球予定数を越えたと判断したら、遊技制御が中断され、エラー報知がなされる。そして、タイマT5がタイムアウトしたら正常遊技状態に復帰する。また、そのようなエラー状態の発生が所定期間内に所定回を越えた場合には、電源断によらなければ復帰しない完全エラー状態とされる。さらに、例えば大当たり中や確率変動中等の遊技者にとって有利な状態となっていない通常状態では、直ちに完全エラー状態とされる。
【0093】
図11〜図14は、賞球モータ制御処理を示すフローチャートである。最初に、使用される各タイマについて説明する。
【0094】
(1) タイマT2:払出予定数までの払出しが完了したと判断されたときにセットされ、タイムアウトしたときに賞球個数信号がオフしていなければ、さらに1個の払出制御が行われる。なお、遊技制御基板31の側で用いられるタイマ1、1との関係は、T1<T2である。
【0095】
(2) タイマT11:賞球モータ289Aを駆動開始したとき、または1個の賞球払出が終了したときにセットされ、タイムアウトすると賞球モータ位置センサ300Aのエラーとされる。すなわち、賞球モータ位置センサ300Aのオンチェックタイマである。
【0096】
(3) タイマT12:賞球モータ位置センサ300Aがオンするとセットされ、タイムアウトすると賞球モータ位置センサ300Aのエラーとされる。すなわち、賞球モータ位置センサ300Aのオフチェックタイマである。
【0097】
(4) タイマT13:賞球モータ位置センサ300Aがオフするとセットされ、賞球かフントスイッチ(b)がオンしないとタイムアウトしエラーと判定される
(5) タイマT14:賞球カウントスイッチ(b)がオンするとセットされ、賞球カウントスイッチ(b)がオフしないとタイムアウトしエラーと判定される。
【0098】
賞球制御用CPU371は、カードユニット50から玉貸し要求信号を受けると(S51)、玉貸しモータ289Cを駆動して所定個数の貸し玉の払出しを行う(S62)。従って、図19に示すように、カードユニット50から玉貸し要求信号を受けた場合には、賞球制御用CPU371は玉貸し動作に専念するために、遊技制御基板31からの賞球個数信号に基づく賞球要求は待たされる。上述したように、玉払出装置97において賞球機構部分と玉貸機構部分とは別個に設けられているので同時動作させることも可能であるが、この実施の形態のように、一時には片方のみを制御することによって玉払出制御は複雑化しない。
【0099】
玉貸し要求信号を受けていない場合には、賞球制御用CPU371は、賞球個数信号が出力されているか否か確認する(S52)。賞球個数信号が出力されていれば、賞球個数信号が示す数を払出予定数に設定するとともに(S53)、賞球モータ289Aを駆動開始する(S54)。
なお、払出予定数は、賞球制御用マイクロコンピュータにおけるRAM領域に設定される。そして、賞球制御用CPU371は、タイマT11を起動する(S55)。
【0100】
その後、賞球制御用CPU371は、賞球モータ位置センサ300Aがオンするのを待つ(S56)。オンする前にタイマT11がタイムアウトするとエラー処理に移行する(S63,S64)。賞球モータ位置センサ300Aがオンすると、タイマT11を停止して(S57)、タイマT12を起動する(S58)。その後、賞球制御用CPU371は、賞球モータ位置センサ300Aがオフするのを待つ(S59)。
オフする前にタイマT12がタイムアウトするとエラー処理に移行する(S65,S66)。
【0101】
賞球モータ位置センサ300Aがオフすると、タイマT12を停止して(S60)、タイマT13を起動する(S61)。そして、賞球カウントスイッチ(b)がオンするのを待つ(S71)。既に説明したように、賞球カウントスイッチ(b)の出力は、実際には賞球カウントスイッチ301A,301Bの出力のオア(OR)をとったものに相当する。従って、どちらの賞球カウントスイッチ301A,301Bがオンしても、賞球カウントスイッチ(b)の出力はオン状態になる。賞球カウントスイッチ(b)の出力がオンする前にタイマT13がタイムアウトするとエラー処理に移行する(S82,S83)。
【0102】
賞球カウントスイッチ(b)の出力がオン状態になると、タイマT13を停止して(S72)、タイマT14を起動する(S73)。そして、賞球カウントスイッチ(b)がオフするのを待つ(S74)。賞球カウントスイッチ(b)がオフする前にタイマT14がタイムアウトするとエラー処理に移行する(S84,S85)。タイマT14がタイムアウトする前に賞球カウントスイッチ(b)がオフした場合には、タイマT14を停止して(S75)、賞球個数カウンタを+1する(S76)。
【0103】
以上の処理によって、賞球モータ289Aを駆動しているときに、所定時間内に賞球モータ位置センサ300Aがオンしなかったりオフしなかった場合には、エラーと判定される。賞球モータ位置センサ300Aがオンしなかったりオフしなかった場合には、賞球機構部分の玉繰出用スクリューが回転しなかったり、玉詰まりが生じて玉繰出用スクリューの回転が阻害されている場合等が考えられるからである。
【0104】
また、賞球モータ位置センサ300Aの出力が正常であるにもかかわらず、賞球機構部分の下手側に設けられている賞球カウントスイッチ301A,301B(=賞球カウントスイッチ(b))がオンしなかった場合には、賞球カウントスイッチ301A,301Bの故障等が考えられるので、やはりエラーと判定される。そして、賞球カウントスイッチ(b)がオフしなかった場合には、賞球カウントスイッチ301A,301Bの近傍で玉詰まりが生じている等が考えられるので、やはりエラーと判定される。
【0105】
S76において賞球個数カウンタを+1すると、賞球制御用CPU371は、賞球個数カウンタの値と払出予定数とを比較する(S77)。賞球個数カウンタの値が払出予定数に達していなければ、次の賞球を払出すためにS55に戻る。賞球個数カウンタの値と払出予定数とが一致すれば、遊技制御基板31からの賞球個数信号で指令された個数の賞球の払出制御が完了したことになるので、賞球モータ289Aの駆動を停止する(S78)。
【0106】
遊技制御基板31における基本回路53のCPU56は、賞球カウントスイッチ301A,301Bの出力すなわち賞球カウントスイッチ(a)の出力を監視している。上述したように賞球制御基板37の賞球制御用CPU371も賞球カウントスイッチ301A,301Bの出力を導入して賞球カウントスイッチ(b)の出力として監視しているのであるが、両者で監視することによって、賞球の払出制御はより確実になる。例えば、賞球カウントスイッチ301A,301Bから賞球制御基板37に至るケーブルにノイズがのって凛球カウントスイッチ(b)の出力に誤りが生じても、正しく払出制御を実行することができる。
【0107】
例えば、図17に示されたように、実際には(払出予定数−2)個の賞球しか払出されていないにもかかわらず賞球制御用CPU371が払出予定数まで払出して賞球モータ289Aを停止してしまったような場合であっても、遊技制御基板31におけるCPU56の制御によって不足の2個を払出すことができる。そのような制御を行うために、CPU56は、タイマT1を用いて、タイマT1がタイムアウトしたときに賞球カウントスイッチ(a)のオン同数が賞球予定数に一致したかどうか確認していた。そして、実際の払出数が不足していると判断した場合には、賞球個数信号をオフ状態にしないことによって、払出数の不足を賞球制御基板37に伝えていた。
【0108】
そこで、賞球制御用CPU371は、T1よりも長い時間でタイムアウトするタイマT2を用いて、払出数の不足が伝えられるのかどうか監視する。すなわち、賞球制御用CPU371は、タイマT2を起動し(S79)、賞球個数信号がオフするか否か確認する(S80)。タイマT2がタイムアウトする前に賞球個数信号がオフすれば、遊技制御基板31のCPU56が賞球カウントスイッチ(a)のオン回数が賞球予定数に一致したことを確認したことになるので、タイマT2を停止して(S81)、初期状態であるS51に戻る。
【0109】
しかし、賞球個数信号がオフする前にタイマT2がタイムアウトした場合には(S86)、遊技制御基板31のCPU56が、実際の払出数が不足していると判断したことになる。そこで、賞球制御用CPU371は、賞球モータ289Aを再度起動して(S90)、1個の賞球を払出す。具体的には、タイマT11およびタイマT12を用いて監視しつつ賞球モータ位置センサ300Aのオンおよびオフを確認した後(S91〜S96)、タイマT13を用いて監視しつつ賞球カウントスイッチ(b)がオンするのを待つ(S97,S111,S116,S117)。
【0110】
賞球カウントスイッチ(b)がオンしたら、タイマT13を停止した後(S112)、タイマT14を用いて監視しつつ賞球カウントスイッチ(b)がオフするのを待つ(S114,S118,S119)。そして、賞球カウントスイッチ(b)の出力がオフ状態になると、タイマT14を停止して(S115)、S78に移行する。よって、賞球モータ289Aが停止され(S78)、賞球個数信号のオフを監視するためのタイマT2が起動される(S79)。
【0111】
以上のように、賞球制御基板37において、賞球制御用CPU371は、遊技制御基板31からの賞球個数信号で指定された個数の賞球を、動作量検出手段としての賞球モータ位置センサ300Aの出力を用いて払出す。そして、遊技制御基板31から、賞球個数信号をオフ状態にしないことによって払出数の不足が通知されると1個の払出しを行い、それでも賞球個数信号がオフ状態にならないことによって払出数がまだ不足しているが通知されるとさらに1個の払出しを行う。このような制御が、賞球個数信号がオフ状態になるまで、賞球モータ289Aの駆動を断続的に行うことにより繰り返される。すなわち、遊技制御基板31のCPU56が正しい個数の払出しが行われたことを確認するまで繰り返される。さらに、複数の不足分の払出しを行う場合に、払出しが行われる間隔が通常の払出間隔よりも長く設定されている。
【0112】
図15は、S212のエラー処理の一例を示すフローチャートである。この例では、賞球制御用CPU371は、エラー種類に応じたコードをエラー表示用LED374(図4参照)に表示するとともに(S120)、ブザー基板75に対してブザーを鳴動させる指示を出す(S121)。その後、賞球制御用CPU371は、ホールト状態になる。
【0113】
次に,以上説明した実施形態の変形例や特徴点を以下に列挙する。
(1) 各種スイッチ240,17,22,23の検出信号の入力に基づいて順次賞球の払出制御が行われている途中に停電が発生した場合に備えて、遊技制御基板31にバックアップ用の電源を設けてもよい。パチンコ遊技機1により、打玉を打込んで遊技が行われる弾球遊技機が構成されている。
【0114】
(2) 各遊技盤6に形成された各入賞口に対応して入賞検出用スイッチを設けたが、賞球の払出数が同一の入賞口(たとえば一般入賞口24a〜24e)については、共通の入賞検出用スイッチで検出するように構成してもよい。たとえば、遊技盤6の裏面側に一般入賞口24a〜24eに入賞した玉を回収する回収ケースを設け、この回収ケース下方に入賞検出用スイッチを設けることが考えられる。なお、回収ケース下方の入賞検出用スイッチで検出された玉は、玉流下樋の形成された機構板に案内する。
【0115】
(3) 従来の遊技機では、入賞口に進入した玉は、仮に入賞口に対応して設けられた入賞検出用スイッチで検出されなかったとしても、遊技盤裏面の玉合流樋に設けられた全入賞玉検出器でまとめて検出され、入賞玉として扱われる。このため、たとえば、可変入賞球装置のいわゆる10カウントスイッチを遊技店が故意に引抜くなどの不正行為を行い、規定数を越える入賞を可能にする場合があった。しかしながら、この実施形態では、各入賞口に進入した玉は各入賞口に対応して設けられた入賞検出用スイッチで検出されない限り、入賞玉としては扱われないため、この種の不正行為を効果的に防止できる。
【0116】
(4) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0117】
【課題を解決するための手段の具体例】
パチンコ遊技機1により、入賞に応じて払出される賞球個数別に分類可能な複数種類の入賞領域が遊技領域に形成された遊技機が構成されている。始動口14、可変入賞球装置19内の特定入賞領域と通常入賞領域、一般入賞口24(24a,24b,24c,24d,24e)により、入賞に応じて払出される賞球個数別に分類可能な前記複数種類の入賞領域が構成されている。
【0118】
始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ240(240a,240b,240c,240d,240e)により、前記複数種類の入賞領域各々への入賞を各入賞領域に対応する賞球個数別に検出するための複数の入賞検出手段が構成されている。賞球制御基板37により、前記賞球個数信号にもとづき前記賞球個数信号が示す払出予定数分の駆動を前記賞球払出装置にさせる賞球払出処理を実行する賞球制御手段が構成されている。玉払出装置97により、賞球を払い出す賞球払出装置が構成されている。遊技制御基板31、図8のフローチャートのS17〜S22、S25〜S28により、前記入賞領域の種類に対応して払出すべき賞球個数を特定可能な情報が記憶された記憶部を有し、前記入賞検出手段の検出信号のみに基づいて入賞の有無を判別するとともに入賞有と判別したときに賞球個数を特定可能な賞球個数信号を出力する遊技制御手段が構成されている。ROM54により、前記記憶部が構成されている。
【0119】
図8のフローチャートのS17〜S22、S25〜S28により、前記遊技制御手段は、複数の前記入賞検出手段から同時に前記検出信号が入力された場合、所定の優先順序に従って各検出信号に対応する前記賞球個数信号を前記賞球制御手段に出力することが開示されている。
【0120】
【課題を解決するための手段の具体例の効果】
請求項1に関しては、前記複数種類の入賞領域への入賞が漏れなく検出され、その検出信号のみに基づいて入賞の有無が判別されるとともに入賞有と判別されたときに賞球個数信号が賞球制御手段へ出力されるために、入賞の発生後、賞球の払出しを速やかに行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ遊技機およびこれに対応して設置されたカードユニットの正面図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】パチンコ遊技機の制御に用いられる各種制御基板およびそれに関連する構成要素を示すブロック図である。
【図4】パチンコ遊技機の制御に用いられる各種制御基板およびそれに関連する構成要素を示すブロック図である。
【図5】遊技制御基板の基本回路のメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】始動口入賞口処理を示すフローチャートである。
【図7】入賞チェック処理を示すフローチャートである。
【図8】入賞球信号処理を示すフローチャートである。
【図9】入賞球信号処理を示すフローチャートである。
【図10】エラー表示処理を示すフローチャートである。
【図11】賞球モータ制御処理を示すフローチャートである。
【図12】賞球モータ制御処理を示すフローチャートである。
【図13】賞球モータ制御処理を示すフローチャートである。
【図14】賞球モータ制御処理を示すフローチャートである。
【図15】エラー処理を示すフローチャートである。
【図16】正常な入賞球信号処理時の遊技制御基板および賞球制御基板に入出力される信号を示すタイミング図である。
【図17】払出個数不足の場合の入賞球信号処理時の遊技制御基板および賞球制御基板に入出力される信号を示すタイミング図である。
【図18】払出個数過多の場合の入賞球信号処理時の遊技制御基板および賞球制御基板に入出力される信号を示すタイミング図である。
【図19】入賞発生と玉貸し要求とが重なった場合の遊技制御基板および賞球制御基板に入出力される信号を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1はパチンコ遊技機、6は遊技盤、14は始動口、19は可変入賞球装置、17は始動口スイッチ、22はVカウントスイッチ、23はカウントスイッチ、24(24a,24b,24c,24d,24e)は一般入賞口、31は遊技制御基板(主基板)、37は賞球制御基板、53は基本回路、55はRAM、56はCPU、97は玉払出装置、240(240a,240b,240c,240d,240e)は一般入賞口に設けられた入賞口スイッチである。
Claims (1)
- 入賞に応じて払出される賞球個数別に分類可能な複数種類の入賞領域が遊技領域に形成された遊技機であって、
前記複数種類の入賞領域各々への入賞を各入賞領域に対応する賞球個数別に検出するための複数の入賞検出手段と、
前記入賞領域の種類に対応して払出すべき賞球個数を特定可能な情報が記憶された記憶部を有し、前記入賞検出手段の検出信号のみに基づいて入賞の有無を判別するとともに入賞有と判別したときに賞球個数を特定可能な賞球個数信号を出力する遊技制御手段と、
賞球を払い出す賞球払出装置と、
前記賞球個数信号により特定される賞球個数に対応する払出予定数分の駆動を前記賞球払出装置にさせる賞球払出処理を実行する賞球制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、前記賞球払出装置によって払い出された賞球の数を確認する賞球確認手段を含み、
該賞球確認手段は、払出数の不足を検知した場合には前記賞球個数信号を継続して出力し続けることによって払出数の不足を前記賞球制御手段に通知し、
前記賞球制御手段は、前記賞球払出処理を終えた後、前記賞球確認手段が払出予定数に対する払出数の不足を検知したために前記賞球個数信号が依然入力状態にあるとき、前記賞球払出装置を再度駆動させて不足している賞球を払い出す処理を実行し、
不足している賞球を払い出す場合には、タイムアウトするまでの時間が正常に払い出しが行なわれている場合の払出周期よりも長く設定されているタイマを前記賞球払出装置の駆動が停止した時に起動させ、該タイマがタイムアウトしたときに前記賞球払出装置を再度駆動する処理を実行することにより1個の賞球の払い出しに要する時間を通常の払い出しのときよりも長くすることを特徴とする、遊技機。
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