JP4443688B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技者の操作に応じて遊技が行われるパチンコ遊技機やコイン遊技機等の遊技機に関し、特に、遊技盤における遊技領域において遊技者の操作に応じて遊技が行われる遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。さらに、表示状態が変化可能な可変表示部が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。
【0003】
特別図柄を表示する可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることである。
【0004】
大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば16ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンへの入賞)が成立していない場合には、大当り遊技状態は終了する。
【0005】
また、「大当り」の組合せ以外の表示態様の組合せのうち、複数の可変表示部の表示結果のうちの一部が未だに導出表示されていない段階において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示態様が特定の表示態様の組合せとなる表示条件を満たしている状態を「リーチ」という。そして、可変表示部に可変表示される識別情報の表示結果が「リーチ」となる条件を満たさない場合には「はずれ」となり、可変表示状態は終了する。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。
【0006】
そして、遊技球が遊技盤に設けられている入賞口に遊技球が入賞すると、あらかじめ決められている個数の賞球払出が行われる。遊技の進行は主基板に搭載された遊技制御手段によって制御されるので、入賞にもとづく賞球個数は、遊技制御手段によって決定され、賞球制御基板に送信される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、遊技機には、遊技制御手段を初めとする種々の制御手段が搭載されている。一般に、各制御手段はマイクロコンピュータで構成される。すなわち、ROM等にプログラムが格納され、制御上一時的に発生するデータや制御進行に伴って変化するデータがRAMに格納される。すると、遊技機に停電等による電源断状態が発生すると、RAM内のデータは失われてしまう。よって、停電等からの復旧時には、最初の状態(例えば、遊技店においてその日最初に遊技機に電源投入されたときの状態)に戻さざるを得ないので、遊技者に不利益がもたらされる可能性がある。例えば、大当たり遊技中において電源断が発生し遊技機が最初の状態に戻ってしまうのでは、遊技者は大当たりの発生にもとづく利益を享受することができなくなってしまう。
【0008】
そのような事態を回避するには、停電等の不測の電源断が生じたときに、必要なデータを電源バックアップRAMに保存し、電源が復旧したときに保存されていたデータを復元して遊技を再開させればよい。しかし、そのような制御を行う場合に、電源断が生ずることを何らかの手段によって検出しなければならない。例えば、ハードウェア回路で電源電圧の低下を検出して電源断が生ずることを検出することができるが、ハードウェア回路による検出結果を制御手段が認識しなければならない。制御手段は、常時遊技用装置の制御を行っているので、その上に、電源電圧の低下を検出するための制御を行うのでは制御負担が重くなる。特に、遊技機の遊技演出を豊富にすることが求められている昨今では、遊技用装置の制御以外の制御に要する負担をできるだけ小さくすることが望ましい。
【0009】
そこで、本発明は、電源断が発生した場合に簡単な制御によってそのことを検出でき、遊技用装置を制御する制御手段の電源断監視に要する制御負担を軽減することができる遊技機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による遊技機は、所定の遊技を行った結果として遊技者に遊技結果価値を付与可能な遊技機であって、遊技の進行を制御するための遊技制御手段と、電源電圧を監視し電源電圧異常を検出すると所定信号を出力する電源監視手段とを備え、遊技制御手段は、遊技制御マイクロコンピュータと、遊技制御マイクロコンピュータが制御を行う際に発生する変動データを記憶するとともに、電源断時から少なくとも所定期間は電源断直前の記憶内容が保持されることが可能なRAM等の変動データ記憶手段とを含み、遊技制御マイクロコンピュータは、所定信号が入力される外部信号入力端子と、レジスタと、所定信号の入力に応じてレジスタの値を更新するレジスタ更新手段と、レジスタ更新手段に対して所定信号を供給するための外部信号入力端子とを備え、遊技制御マイクロコンピュータは、レジスタの値が所定値になった場合に電源断時処理を実行することを特徴とする。なお、遊技結果価値とは、遊技球の払い出しや、画像式遊技機の場合の得点の加点を示す概念である。
【0011】
電源監視手段は、所定範囲の電圧の低下を監視するとともに、遊技制御マイクロコンピュータが動作不能となる以前の段階で所定信号を出力するように構成されていてもよい。
【0012】
電源監視手段が監視する電源電圧は交流から直流に変換された直後の電源電圧であり、電源監視手段は、電源電圧が所定値に低下すると電源電圧が電圧低下したと判定するように構成されていてもよい。
【0013】
遊技機は、遊技制御マイクロコンピュータが、電源断時処理で変動データ記憶手段のチェックサムを作成して保存し、電源復帰時にチェックサムを確認することによって保存データの正当性を確認するように構成されていてもよい。
【0014】
遊技制御マイクロコンピュータが、電源復帰時にチェックサムの内容に異常があることを確認したら変動データ記憶手段の内容を初期化するように構成されていてもよい。
【0015】
遊技制御マイクロコンピュータは、電源断時処理で変動データ記憶手段へのアクセスを防止する処理を実行するように構成されていてもよい。
【0016】
所定期間記憶内容を保護可能な変動データ記憶手段にはバックアップ電源が供給され、バックアップ電源は、遊技制御マイクロコンピュータに供給される電源から分岐して蓄電されるように構成されていてもよい。
【0017】
レジスタ更新手段が所定信号の入力に応じてレジスタの値を1減算し、遊技制御マイクロコンピュータが、レジスタの値が0になった場合に電源断時処理を実行するように構成されていてもよい。
【0018】
電源監視手段が電圧低下を検出した後に電圧低下を検出する第2の電源監視手段を備え、第2の電源監視手段の出力は遊技制御マイクロコンピュータのリセット端子に接続され、遊技制御マイクロコンピュータは、リセット端子への入力に応じてシステムリセットを行うように構成されていてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。また、画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。
【0020】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3からあふれた景品玉を貯留する余剰玉受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。
【0021】
遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための可変表示部9と7セグメントLEDによる可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。この実施の形態では、可変表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがある。可変表示装置8の側部には、打球を導く通過ゲート11が設けられている。通過ゲート11を通過した打球は、玉出口13を経て始動入賞口14の方に導かれる。通過ゲート11と玉出口13との間の通路には、通過ゲート11を通過した打球を検出するゲートスイッチ12がある。また、始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
【0022】
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。この実施の形態では、開閉板20が大入賞口を開閉する手段となる。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(Vゾーン)に入った入賞球はVカウントスイッチ22で検出される。また、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、可変表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。
【0023】
遊技盤6には、複数の入賞口19,24が設けられ、遊技球の入賞口19,24への入賞は入賞口スイッチ19a,24aによって検出される。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cが設けられている。
【0024】
そして、この例では、一方のスピーカ27の近傍に、景品玉払出時に点灯する賞球ランプ51が設けられ、他方のスピーカ27の近傍に、補給玉が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技台1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって玉貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
【0025】
カードユニット50には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ151、カード内に記録された残額情報に端数(100円未満の数)が存在する場合にその端数を打球供給皿3の近傍に設けられる度数表示LEDに表示させるための端数表示スイッチ152、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器153、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ154、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口155、およびカード挿入口155の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠156が設けられている。
【0026】
打球発射装置から発射された打球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が通過ゲート11を通ってゲートスイッチ12で検出されると、可変表示器10の表示数字が連続的に変化する状態になる。また、打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ17で検出されると、図柄の変動を開始できる状態であれば、可変表示部9内の図柄が回転を始める。図柄の変動を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶を1増やす。
【0027】
可変表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球が特定入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
【0028】
停止時の可変表示部9内の画像の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。また、可変表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、可変表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。
【0029】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。
可変表示装置8の背面では、図2に示すように、機構板36の上部に景品玉タンク38が設けられ、パチンコ遊技機1が遊技機設置島に設置された状態でその上方から景品玉が景品玉タンク38に供給される。景品玉タンク38内の景品玉は、誘導樋39を通って玉払出装置に至る。
【0030】
機構板36には、中継基板30を介して可変表示部9を制御する可変表示制御ユニット29、基板ケース32に覆われ遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33、および景品玉の払出制御を行う賞球制御用マイクロコンピュータ等が搭載された賞球制御基板37が設置されている。さらに、機構板36の下部には、モータの回転力を利用して打球を遊技領域7に発射する打球発射装置34と、遊技効果ランプ・LED28a,28b,28c、賞球ランプ51および球切れランプ52に信号を送るためのランプ制御基板35が設置されている。
【0031】
また、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。誘導樋39を通った玉は、図3に示されるように、球切れ検出器187a,187bを通過して玉供給樋186a,186bを経て玉払出装置97に至る。玉払出装置97から払い出された景品玉は、連絡口45を通ってパチンコ遊技機1の前面に設けられている打球供給皿3に供給される。連絡口45の側方には、パチンコ遊技機1の前面に設けられている余剰玉受皿4に連通する余剰玉通路46が形成されている。入賞にもとづく景品玉が多数払い出されて打球供給皿3が満杯になり、ついには景品玉が連絡口45に到達した後さらに景品玉が払い出されると景品玉は、余剰玉通路46を経て余剰玉受皿4に導かれる。さらに景品玉が払い出されると、感知レバー47が満タンスイッチ48を押圧して満タンスイッチ48がオンする。その状態では、玉払出装置97内のステッピングモータの回転が停止して玉払出装置97の動作が停止するとともに、必要に応じて打球発射装置34の駆動も停止する。なお、この実施の形態では、電気的駆動源の駆動によって遊技球を払い出す玉払出装置として、ステッピングモータの回転によって遊技球が払い出される玉払出装置97を例示するが、その他の駆動源によって遊技球を送り出す構造の玉払出装置を用いてもよいし、電気的駆動源の駆動によってストッパを外し遊技球の自重によって払い出しがなされる構造の玉払出装置を用いてもよい。
【0032】
賞球払出制御を行うために、入賞口スイッチ19a,24a、始動口スイッチ17およびVカウントスイッチ22からの信号が、主基板31に送られる。主基板31のCPU56は、始動口スイッチ17がオンすると6個の賞球払出に対応した入賞が発生したことを知る。また、カウントスイッチ23がオンすると15個の賞球払出に対応した入賞が発生したことを知る。そして、入賞口スイッチがオンすると10個の賞球払出に対応した入賞が発生したことを知る。なお、この実施の形態では、例えば、入賞口24に入賞した遊技球は、入賞口24からの入賞球流路に設けられている入賞口スイッチ24aで検出され、入賞口19に入賞した遊技球は、入賞口19からの入賞球流路に設けられている入賞口スイッチ19aで検出される。
【0033】
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球制御基板37、ランプ制御基板35、音制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ19a,24aからの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動するランプ・LED回路60とを含む。
【0034】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の画像表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。
【0035】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、マイクロコンピュータにおける情報入出力可能な端子である。
【0036】
さらに、主基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。
なお、玉払出装置97から主基板31に入力されるスイッチ情報もあるが、図4ではそれらは省略されている。
【0037】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0038】
図5は、電源監視および電源バックアップのためのCPU56周りの一構成例を示すブロック図である。図5に示すように、電源監視用IC902は、+30V電源電圧を導入し、+30V電源電圧を監視することによって電源断の発生を検出する。具体的には、+30V電源電圧が所定値(例えば+16V)以下になったら、電源断が生ずるとして電圧低下信号を出力する。電圧低下信号は、バッファ回路を介してCPU56が内蔵するカウンタ/タイマの入力端子(CLK/TRG端子)に供給される。
【0039】
なお、電圧低下信号を直接CLK/TRG端子に接続してもよい。この実施の形態では、電源監視用IC902は、監視電圧が所定値以下になったらハイレベルの電圧低下信号を出力し、カウンタ/タイマは、入力信号の立ち上がりでカウントアップまたはカウントダウンするが、電源監視用IC902がローレベルの電圧低下信号を出力する場合には、バッファ回路に代えて反転回路を用いればよい。
【0040】
電源監視用IC902が電源断を検知するための所定値は、通常時の電圧より低いが、CPU56が暫くの間動作しうる程度の電圧である。また、電源監視用IC902が、CPU56を駆動するための電圧(この例では+5V)よりも高く、かつ、交流から直流に変換された直後の電圧を監視するように構成されているので、CPU56が必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができる。従って、より精密な監視を行うことができる。さらに、監視電圧として+30Vを用いる場合には、遊技機の各種スイッチに供給される電圧が+12Vであることから、電源瞬断時のスイッチオン誤検出の防止も期待できる。すなわち、+30V電源の電圧を監視すると、+30V作成の以降に作られる+12Vが落ち始める以前の段階でそれの低下を検出できる。よって、+12V電源の電圧が低下するとスイッチ出力がオン状態を呈するようになるが、+12Vより早く低下する+30V電源電圧を監視して電源断を認識すれば、スイッチ出力がオン状態を呈する前に電源復旧待ちの状態に入ってスイッチ出力を検出しない状態となることができる。
【0041】
さらに、主基板31には、電源監視用IC902による第1の電源監視回路の他に、第2の電源監視回路903が搭載されている。この例では、第2の電源監視回路903において、電源監視用IC904が、第1の電源監視回路が監視する電圧よりも低い電圧である+5V電源電圧を監視して電圧値が所定値以下になるとローレベルの電圧低下信号を発生する。なお、+5V電源電圧は、遊技用装置制御マイクロコンピュータ(CPU56等)の駆動電源電圧である。
【0042】
第2の電源監視回路903からの電圧低下信号は、初期リセット回路65からの初期リセット信号と論理和をとられた後に、CPU56のリセット端子に入力される。従って、CPU56は、初期リセット回路65からの初期リセット信号がローレベルを呈しているとき、または、第2の電源監視回路903からの電圧低下信号がローレベルを呈しているときに、リセット状態(非動作状態)になる。
【0043】
電源電圧が低下したときに、電源監視用IC904がローレベルの電圧低下信号を発生するタイミングは電源監視用IC902が電圧低下信号を発生するタイミングに対して遅くなるように、電源監視用IC904のしきい値レベル(電圧低下信号を発生する電圧レベル)が設定される。例えば、しきい値は4.25Vである。4.25Vは、通常時の電圧より低いが、CPU56が暫くの間動作しうる程度の電圧である。
【0044】
なお、初期リセット回路65のリセットIC651は、遊技機に電源が投入され+5V電源の電圧が上昇していくときに、+5V電源電圧が所定値以上になると、出力信号をハイレベルにする。すなわち、初期リセット信号をオフ状態にする。また、ここでは、電源監視用IC902,904が異なる電源電圧を監視しているが、同一の電源電圧を監視してもよい。例えば、ともに+30V電源電圧を監視してもよい。そして、例えば、一方の検出電圧(電圧低下信号を出力することになる電圧)を+16Vとし、他方の検出電圧を+8Vとする。そのように構成した場合には、同一の電圧を監視するので、第1の電圧監視手段が電圧低下信号を出力するタイミングと第2の電圧監視手段が電圧低下信号を出力するタイミングの差である所定期間を所望の値に確実に設定することができる。
【0045】
さらに、それぞれの監視電圧がそれぞれの所定値にまで落ちたら、それぞれの電圧低下信号を出力するように設定された1個の電源監視用ICを用いてもよい。例えば、1個の電源監視用ICが+16Vと+8Vの双方を監視するようにしてもよい。その場合には、1個の電源監視用ICで第1の電源監視手段と第2の電源監視手段が実現できる。さらに、この実施の形態では電源監視手段は主基板31に設けられているが、電源基板に搭載してもよい。
【0046】
+5V電源から電力が供給されていない間、RAMの少なくとも一部は、電源基板から供給されるバックアップ電源によってバックアップされ、遊技機に対する電源が断しても内容は保存される。そして、+5V電源が復旧すると、初期リセット回路65からリセット信号が発せられるので、CPU56は、通常の動作状態に復帰する。そのとき、必要なデータがバックアップされているので、停電等からの復旧時には停電発生時の遊技状態に復帰することができる。
【0047】
1チップマイクロコンピュータは、一般にタイマやカウンタとして使用可能なカウンタ/タイマを内蔵している。この実施の形態で用いられるCPU56も、幾つかのカウンタ/タイマを内蔵している。図6に示すように、カウンタ/タイマ561は、CLK/TRG端子に入力される信号の立ち上がりまたは立ち下がりでカウントダウンする。そして、カウントアップすると(0になると)、割込コントローラ562がそのことを検出して割込を発生する等の種々の使い方ができる。なお、図6には、1個のカウンタ/タイマ561のみが示されている。
【0048】
図7は、カウンタ/タイマ561を構成するカウンタと制御レジスタとを示す説明図である。この例では、カウンタ/タイマ561を構成するカウンタとして16ビットカウンタが設けられ、制御レジスタには、カウンタ/タイマ561のモード(使い方)設定等を行うためのデータが設定される。
【0049】
図8は、電源基板910の一構成例を示すブロック図である。電源基板910は、主基板31、表示制御基板80、音制御基板70、ランプ制御基板35および賞球制御基板37等の制御基板と独立して設置され、遊技機内の各制御基板および機構部品が使用する電圧を生成する。この例では、AC24V、DC+30V、DC+21V、DC+12VおよびDC+5Vを生成する。また、バックアップ電源となるコンデンサ916は、DC+5Vすなわち各基板上のIC等を駆動する電源のラインから充電される。
【0050】
トランス911は、交流電源からの交流電圧を24Vに変換する。AC24V電圧は、コネクタ915に出力される。また、整流回路912は、AC24Vから+30Vの直流電圧を生成し、DC−DCコンバータ913およびコネクタ915に出力する。DC−DCコンバータ913は、+21V、+12Vおよび+5Vを生成してコネクタ915に出力する。コネクタ915は例えば中継基板に接続され、中継基板から各制御基板および機構部品に必要な電圧の電力が供給される。
【0051】
DC−DCコンバータ913からの+5Vラインは分岐してバックアップ+5Vラインを形成する。バックアップ+5Vラインとグラウンドレベルとの間には大容量のコンデンサ916が接続されている。コンデンサ916は、遊技機に対する電力供給が遮断されたときの制御基板のバックアップRAM(電源バックアップされているRAM)に対するバックアップ電源となる。また、+5Vラインとバックアップ+5Vラインとの間に、逆流防止用のダイオード917が挿入される。
【0052】
次に遊技機の動作について説明する。
図9は、主基板31におけるCPU56が実行する遊技制御プログラムのメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対する電源が投入されると、メイン処理において、CPU56は、まず、停電からの復旧時であったか否か確認する(ステップS1)。停電からの復旧時であったか否かは、電源断時にバックアップRAM領域に設定される停電フラグによって確認される。すなわち、停電からの復旧時には、バックアップRAM領域に所定のデータが保存されているのに対して、そうでないときにはRAMの内容は不定になっていることにもとづいて、停電フラグがセットされているか否かによって停電からの復旧時であったか否かを確認することができる。
【0053】
停電からの復旧時であった場合には、CPU56は、後述する停電復旧処理を実行する(ステップS3)。そうでない場合には、初期化処理を実行する。その後、メイン処理では、タイマ割込フラグの監視(ステップS7)の確認が行われるループ処理に移行する。なお、ループ内では、表示用乱数更新処理(ステップS6)も実行される。
【0054】
初期化処理では、図10に示すように、レジスタおよびRAMのクリア処理(ステップS2a)と、必要な初期値設定処理(ステップS2b)が行われた後に、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているタイマレジスタの初期設定(タイムアウトが2msであることと繰り返しタイマが動作する設定)が行われる(ステップS2c)。すなわち、ステップS2cで、タイマ割込を能動化する処理と、タイマ割込インタバルを設定する処理とが実行される。
【0055】
なお、初期値設定処理(ステップS2b)では、カウンタ/タイマ561の16ビットカウンタに初期値として「1」が設定されるとともに、CLK/TRG端子への立ち上がり入力に応じてカウントダウンすることやカウント値が「0」になったら割込を発生する等の設定が制御レジスタに対してなされる。
【0056】
この実施の形態では、CPU56の内部タイマ(例えば、カウンタ/タイマ561以外のカウンタ/タイマ)が繰り返しタイマ割込を発生するように設定される。そして、図11に示すように、タイマ割込が発生すると、CPU56は、タイマ割込フラグをセットする(ステップS11)。
【0057】
CPU56は、ステップS7において、タイマ割込フラグがセットされたことを検出すると、タイマ割込フラグをリセットするとともに(ステップS8)、遊技制御処理を実行する(ステップS9)。以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。
【0058】
図12は、遊技制御処理を示すフローチャートである。遊技制御処理において、CPU56は、まず、表示制御基板80に送出される表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(表示制御データ設定処理:ステップS21)、表示制御コマンドを出力する処理を行う(表示制御データ出力処理:ステップS22)。
【0059】
次いで、各種出力データの格納領域の内容を各出力ポートに出力する処理を行う(データ出力処理:ステップS23)。また、ホール管理用コンピュータに出力される大当り情報、始動情報、確率変動情報などの出力データを格納領域に設定する出力データ設定処理を行う(ステップS24)。さらに、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS25)。
【0060】
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS26)。
【0061】
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS28)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0062】
さらに、CPU56は、スイッチ回路58を介して、ゲートセンサ12、始動口センサ17、カウントセンサ23および入賞口スイッチ19a,24aの状態を入力し、各入賞口や入賞装置に対する入賞があったか否か判定する(スイッチ処理:ステップS29)。CPU56は、さらに、停止図柄の種類を決定する乱数等の表示用乱数を更新する処理を行う(ステップS30)。
【0063】
また、CPU56は、賞球制御基板37との間の信号処理を行う(ステップS31)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球制御基板37に賞球制御コマンドを出力する。賞球制御基板37に搭載されている賞球制御用CPUは、賞球制御コマンドに応じて玉払出装置97を駆動する。
【0064】
以上のように、メイン処理には遊技制御処理に移行すべきか否かを判定する処理が含まれ、CPU56の内部タイマが定期的に発生するタイマ割込にもとづくタイマ割込処理で遊技制御処理に移行すべきか否かを判定するためのフラグがセットされるので、遊技制御処理の全てが確実に実行される。つまり、遊技制御処理の全てが実行されるまでは、次回の遊技制御処理に移行すべきか否かの判定が行われないので、遊技制御処理中の全ての各処理が実行完了することは保証されている。
【0065】
従来の一般的な遊技制御処理は、定期的に発生する外部割込によって、強制的に最初の状態に戻されていた。図12に示された例に則して説明すると、例えば、ステップS31の処理中であっても、強制的にステップS21の処理に戻されていた。つまり、遊技制御処理中の全ての各処理が実行完了する前に、次回の遊技制御処理が開始されてしまう可能性があった。
【0066】
ここでは、主基板31のCPU56が実行する遊技制御処理は、CPU56の内部タイマが定期的に発生するタイマ割込にもとづくタイマ割込処理でセットされるフラグに応じて実行されたが、定期的に(例えば2ms毎)信号を発生するハードウェア回路を設け、その回路からの信号をCPU56の外部割込端子に導入し、割込信号によって遊技制御処理に移行すべきか否かを判定するためのフラグをセットするようにしてもよい。そのように構成した場合にも、遊技制御処理の全てが実行されるまでは、フラグの判定が行われないので、遊技制御処理中の全ての各処理が実行完了することが保証される。
【0067】
不測の停電等にもとづく電源断が生ずると、+30Vや+5V等の各直流電源の電圧は徐々に低下する。そして、図5に示された電源監視用IC902は、+30V電源電圧が所定値まで低下すると、出力をハイレベルにする。すなわち、電圧低下信号を発生する。すると、CPU56の内部のカウンタ/タイマ561のカウント値が−1される。カウンタ/タイマ561に設定された初期値は「1」であるので、その値は「0」になる。その結果、割込が発生する。
【0068】
図13は、カウンタ/タイマ561の値が「0」になったことにもとづいて発生した割込で起動される停電発生割込処理の一例を示すフローチャートである。停電発生割込処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS41)。停電発生処理ではRAM内容の保存を確実にするためにチェックサムの生成処理を行う。その処理中に他の割込処理が行われたのではチェックサムの生成処理が完了しないうちにCPUが動作し得ない電圧にまで低下してしまうことがことも考えられるので、まず、他の割込が生じないような設定がなされる。
【0069】
そして、停電フラグを、電源バックアップされているRAM領域に設定する(ステップS42)。また、賞球制御基板37に対して停電準備コマンドを発行する(ステップS43)。賞球制御基板37に搭載されているCPUは、停電準備コマンドを受信すると、停電が生ずることを認識して、所定の電源断時処理を実行する。
【0070】
次いで、CPU56は、全ての出力ポートをオフ状態にする(ステップS44)。そして、必要ならば各レジスタの内容をバックアップRAM領域に格納する(ステップS45)。また、バックアップRAM領域のバックアップチェックデータ領域に適当な初期値を設定し(ステップS46)、初期値およびバックアップRAM領域のデータについて順次排他的論理和をとって(ステップS47)、最終的な演算値をバックアップパリティデータ領域に設定する(ステップS48)。
【0071】
その後、RAMアクセス禁止状態にしてループする(ステップS49)。電源電圧が低下していくときには、各種信号線のレベルが不安定になってRAM内容が化ける可能性があるが、このようにRAMアクセス禁止状態にしておけば、バックアップRAM内のデータが化けることはない。
【0072】
図14は、電源断時の+30V電源電圧の様子、CLK/TRG端子に入力される信号およびカウンタ/タイマ561のカウント値を示す説明図である。図14に示すように、+30V電源電圧が+16Vにまで低下するとCLK/TRG端子に入力される信号が立ち上がるので、カウンタ/タイマ561のカウント値が「0」になる。よって、停電発生割込が生じ、図13に示された停電発生割込処理が実行される。
【0073】
図15は、停電復旧処理(ステップS3)の一例を示すフローチャートである。停電復旧処理において、CPU56は、まず、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS51)。不測の電源断が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されていたはずであるから、チェック結果は正常になる。チェック結果が正常でない場合には、内部状態を電源断時の状態に戻すことができないので、停電復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理(ステップS2)と同様の初期化処理を実行する(ステップS52,S54)。
【0074】
チェック結果が正常であれば、CPU56は、内部状態を電源断時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS53)。
【0075】
なお、ここでは、ステップS1で停電からの復旧か否かを確認し、停電からの復旧時であればパリティチェックを行ったが、最初に、パリティチェックを実行し、チェック結果が正常でなければ停電からの復旧ではないと判断してステップS2の初期化処理を実行し、チェック結果が正常であれば遊技状態復帰処理を行ってもよい。すなわち、パリティチェックの結果をもって停電からの復旧であるか否かを判断してもよい。
【0076】
図16は、バックアップパリティデータ作成方法を説明するための説明図である。ただし、図16に示す例では、簡単のために、バックアップデータRAM領域のデータのサイズを3バイトとする。電源電圧低下にもとづく停電発生処理において、図16(A)に示すように、バックアップチェックデータ領域に、初期データ(この例では00H)が設定される。次に、「00H」と「F0H」の排他的論理和がとられ、その結果と「16H」の排他的論理和がとられる。さらに、その結果と「DFH」の排他的論理和がとられる。そして、その結果(この例では「39H」)がバックアップパリティデータ領域に設定される。
【0077】
電源が再投入されたときには、停電復旧処理においてパリティ診断が行われるが、図16(B)はパリティ診断の例を示す説明図である。バックアップ領域の全データがそのまま保存されていれば、電源再投入時に、図16(A)に示すようなデータがバックアップ領域に設定されている。
【0078】
ステップS51の処理において、CPU56は、バックアップRAM領域のバックアップパリティデータ領域に設定されていたデータ(この例では「39H」)を初期データとして、バックアップデータ領域の各データについて順次排他的論理和をとる処理を行う。バックアップ領域の全データがそのまま保存されていれば、最終的な演算結果は、「00H」、すなわちバックアップチェックデータ領域に設定されているデータと一致する。バックアップRAM領域内のデータにビット誤りが生じていた場合には、最終的な演算結果は「00H」にならない。
【0079】
よって、CPU56は、最終的な演算結果とバックアップチェックデータ領域に設定されているデータとを比較して、一致すればパリティ診断正常とする。一致しなければ、パリティ診断異常とする。
【0080】
以下、遊技状態復旧処理について説明する。
まず、この実施の形態において、主基板31のCPU56が、表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に送出する表示制御コマンド、音制御コマンドおよびランプ制御コマンドについて説明する。各制御コマンドは、図12に示された遊技制御処理における特別図柄プロセス処理(ステップS28)で遊技進行に応じて送出することが決定され、表示制御データ設定処理(ステップS21)で具体的なデータが設定され、表示制御データ出力処理(ステップS22)で出力ポートから出力されることによって送出される。
【0081】
図17(A)は、可変表示部9における図柄変動に関する各制御コマンドの送出タイミング例を示す説明図である。この実施の形態では、主基板31のCPU56は、図柄変動を開始させるときに、表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35のそれぞれに対して変動開始コマンドを送出する。表示制御基板80に対しては、さらに、左右中図柄の確定図柄を示す図柄指定コマンドを送出する。
【0082】
そして、図柄変動を確定させるときに、表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35のそれぞれに対して変動停止コマンドを送出する。表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に搭載されている各CPUは、変動開始コマンドで指定された変動態様に応じた表示制御、音発生制御およびランプ点灯制御を行う。なお、変動開始コマンドには変動時間を示す情報が含まれている。
【0083】
図17(B)は、可変表示部9の表示結果が所定の大当り図柄であった場合に実行される大当り遊技に関する各制御コマンドの送出タイミング例を示す説明図である。この実施の形態では、主基板31のCPU56は、大当り遊技開始時に、表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35のそれぞれに対して大当り開始コマンドを送出する。また、所定時間経過後に、1ラウンド(1R)指定コマンドを送出する。表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に搭載されている各CPUは、大当り開始コマンドを受信すると、大当り開始時の表示制御、音発生制御およびランプ点灯制御を行う。また、1ラウンド指定コマンドを受信すると、大当り中の表示制御、音発生制御およびランプ点灯制御を行う。ただし、表示制御基板80のCPUは、1ラウンド目の表示を行う。
【0084】
その後、主基板31のCPU56は、表示制御基板80に対して各ラウンドを示すコマンド等を順次送出する。表示制御基板80のCPUは、それらのコマンドに応じて対応する表示制御を行う。
【0085】
また、大当り遊技終了時に、主基板31のCPU56は、表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35のそれぞれに対して大当り終了コマンドを送出する。そして、所定時間経過後に、通常画面表示コマンドを送出する。各遊技装置用制御手段は、通常画面表示コマンドを受信すると、制御状態を遊技待ちの状態にする。
【0086】
図18は、図15に示された停電復旧処理で行われる遊技状態復旧処理の一例を示すフローチャートである。この例では、CPU56は、レジスタ内容を復元する必要があれば、バックアップRAMに保存されていた値をレジスタに復元する(ステップS61)。そして、バックアップRAMに保存されていたデータにもとづいて停電時の遊技状態を確認する。例えば、特別図柄プロセス処理の進行状況に対応した特別図柄プロセスフラグの値によって遊技状態を確認することができる。
【0087】
遊技状態が図柄変動中であった場合には(ステップS62)、変動開始コマンドを表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に送出する制御を行う(ステップS63)。また、遊技状態が大当り遊技中であった場合には(ステップS64)、停電前に最後の送出された制御コマンドを表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に送出する制御を行う(ステップS65)。そして、それ以外の遊技状態であった場合には、例えば、通常画面表示コマンドを制御コマンドを表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に送出する制御を行う(ステップS66)。
【0088】
図19は、停電が発生した後に復旧した場合の制御状態の一例を示す説明図である。図19において、可変表示の状態は表示制御基板80のCPU(表示制御手段)によって実現され、音の状態は音制御基板70のCPU(音制御手段)によって実現され、ランプの状態はランプ制御基板35のCPU(ランプ制御手段)によって実現される。
【0089】
図19(A)は、図柄変動中に停電が生じた後に復旧した場合の例を示す。この場合には、電源復旧時に、主基板31から変動開始コマンドが送出される(図15におけるステップS63)。変動開始コマンドは、図柄変動開始時に送出されるコマンドであるから、可変表示制御、音制御およびランプ制御の状態は、変動開始時の状態に戻る。この実施の形態では、変動開始コマンドには変動時間を指定する情報を含まれ、主基板31のCPU56は変動開始コマンド送出後では変動終了時の確定コマンド(変動停止コマンド)まで何も送出しない(図柄指定コマンドを除く)。従って、図柄変動中に停電が生じた場合には、変動途中の状態から変動を再開することはできないが、変動開始コマンドを再送出することによって、表示制御、音制御およびランプ制御は同期した状態に戻る。
【0090】
なお、主基板31において、変動開始時に使用した各種パラメータはバックアップRAMに保存されている。従って、電源復旧後の変動における表示結果(確定図柄)等は、停電によって中断した変動においてなされるはずであった表示結果等と同じである。従って、遊技者に不利益が与えられるということはない。
【0091】
図19(B)は、大当り遊技中に停電が生じた後に復旧した場合の例を示す。この場合には、電源復旧時に、主基板31から停電前の最後に表示制御基板80、音制御基板70およびランプ制御基板35に送出されたコマンドが再送出される(図18におけるステップS65)。従って、音制御およびランプ制御は、大当り遊技中の制御状態に戻る。また、表示制御も、停電時に行われていた状態に戻る。
【0092】
なお、主基板31において、大当り遊技中の各種パラメータ(大入賞口開放回数、大入賞口入賞球数等)はバックアップRAMに保存されている。従って、遊技者にとっての遊技状態も停電前の状態に戻るので、遊技者に不利益が与えられるということはない。
【0093】
以上のように、電源監視手段の出力信号は遊技制御マイクロコンピュータの内蔵カウンタ/タイマ(レジスタ更新手段)に入力される。カウンタ/タイマは、その構成要素であるカウンタ(レジスタ)の値を更新する。そして、遊技制御マイクロコンピュータは、カウンタの値が所定値(この例では「0」)になったら、電源断時処理としての停電発生割込処理を実行する。よって、遊技制御マイクロコンピュータは、特に監視処理を行わず、割込が発生するだけで電源断時処理を開始することができる。すなわち、遊技制御マイクロコンピュータは、レジスタに初期値を設定するだけで、電源断時の割込の契機を設定することができる。従って、電源監視処理が簡略化され、電源監視処理に要する負荷が軽減される。
【0094】
上記の実施の形態では、遊技制御手段において電源監視処理、データ保存処理および復旧処理が行われる場合について説明したが、音声制御手段、ランプ制御手段および表示制御手段におけるRAMの一部も電源バックアップされ、表示制御手段、音制御手段およびランプ制御手段も、上述したような処理を行ってもよい。ただし、表示制御手段、音制御手段およびランプ制御手段は、復旧時にコマンド送出処理を行う必要はない。
【0095】
また、上記の実施の形態では、停電発生処理において、最後に電源断待ちのためにループしたが、電源監視手段の出力信号を監視して、電源復旧したことを検出したらもとの状態に戻るようにしてもよい。そのように構成した場合には、電源瞬断が発生し短期間で電源復旧したような場合に、遊技を続行することができる。
【0096】
なお、上記の各実施の形態のパチンコ遊技機1は、始動入賞にもとづいて可変表示部9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機であっても、本発明を適用できる。
【0097】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、遊技機を、電源監視手段からの所定信号の入力に応じてレジスタの値を更新するレジスタ更新手段を備え、遊技制御マイクロコンピュータが、レジスタの値が所定値になった場合に電源断時処理を実行するように構成したので、遊技制御手段の電源断監視に要する制御負担を軽減することができるという効果がある。
【0098】
電源監視手段が、所定範囲の電圧の低下を監視するとともに、遊技制御マイクロコンピュータが動作不能となる以前の段階で所定信号を出力するように構成されている場合には、電源断時処理を行うことが可能な任意の段階で所定信号を出力することができる。
【0099】
電源監視手段が監視する電源電圧が交流から直流に変換された直後の電源電圧であり、電源監視手段が、電源電圧が所定値に低下すると電源電圧が電圧低下したと判定するように構成されている場合には、遊技制御マイクロコンピュータが必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができ、より精密な監視を行うことができる。
【0100】
遊技制御マイクロコンピュータが、電源断時処理で変動データ記憶手段のチェックサムを作成して保存し、電源復帰時にチェックサムを確認することによって保存データの正当性を確認するように構成されている場合には、電源復旧時にチェックサムにもとづいてデータが破壊されていないかどうかチェックすることができ、保存されるデータの信頼性を向上させることができる。
【0101】
遊技制御マイクロコンピュータが、電源復帰時にチェックサムの内容に異常があることを確認したら変動データ記憶手段の内容を初期化するように構成されている場合には、異常なデータにもとづいて遊技状態が復旧されてしまうことが防止される。
【0102】
遊技制御マイクロコンピュータが、電源断時処理で変動データ記憶手段へのアクセスを防止する処理を実行するように構成されている場合には、電源断時に、RAMのデータが破壊されることがないという効果がある。
【0103】
所定期間記憶内容を保護可能な変動データ記憶手段にはバックアップ電源が供給され、バックアップ電源は、遊技制御マイクロコンピュータに供給される電源から分岐して蓄電されるように構成されている場合には、特に蓄電用の電源を設けなくて済み、遊技機コストを低減することができる。
【0104】
レジスタ更新手段が所定信号の入力に応じてレジスタの値を1減算し、遊技制御マイクロコンピュータが、レジスタの値が0になった場合に電源断時処理を実行するように構成されている場合には、簡単な制御によって遊技制御手段の電源断監視に要する制御負担を軽減させることができる構成が実現される。
【0105】
電源監視手段が電圧低下を検出した後に電圧低下を検出する第2の電源監視手段を備え、第2の電源監視手段の出力が遊技制御マイクロコンピュータのリセット端子に接続されている場合には、電圧低下中に遊技制御マイクロコンピュータはリセット状態になるので、不定データにもとづいて異常動作してしまうことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
【図2】 パチンコ遊技機の遊技盤を正面からみた正面図である。
【図3】 パチンコ遊技機を背面からみた背面図である。
【図4】 遊技制御基板(主基板)の回路構成例を示すブロック図である。
【図5】 電源監視および電源バックアップのためのCPU周りの一構成例を示すブロック図である。
【図6】 CPUに内蔵されているカウンタ/タイマ等を示すブロック図である。
【図7】 カウンタ/タイマを構成するカウンタと制御レジスタとを示す説明図である。
【図8】 電源基板の一構成例を示すブロック図である。
【図9】 主基板における基本回路の動作を示すフローチャートである。
【図10】 初期化処理を示すフローチャートである。
【図11】 2msタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図12】 遊技制御処理を示すフローチャートである。
【図13】 停電発生処理を示すフローチャートである。
【図14】 電源断時の+30V電源電圧の様子、CLK/TRG端子に入力される信号およびカウンタ/タイマのカウント値を示す説明図である。
【図15】 停電復旧処理を示すフローチャートである。
【図16】 バックアップパリティデータ作成方法を説明するための説明図である。
【図17】 主基板からの各制御コマンドの送出タイミング例を示す説明図である。
【図18】 遊技状態復旧処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】 停電が発生した後に復旧した場合の制御状態の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 パチンコ遊技機
31 主基板
53 基本回路
56 CPU
561 カウンタ/タイマ
902 電源監視用IC
910 電源基板
916 コンデンサ
Claims (9)
- 所定の遊技を行った結果として遊技者に遊技結果価値を付与可能な遊技機であって、
遊技の進行を制御するための遊技制御手段と、電源電圧を監視し電源電圧異常を検出すると所定信号を出力する電源監視手段とを備え、
前記遊技制御手段は、遊技制御マイクロコンピュータと、遊技制御マイクロコンピュータが制御を行う際に発生する変動データを記憶するとともに、電源断時から少なくとも所定期間は電源断直前の記憶内容が保持されることが可能な変動データ記憶手段とを含み、
レジスタと、前記所定信号の入力に応じて前記レジスタの値を更新するレジスタ更新手段と、レジスタ更新手段に対して前記所定信号を供給するための外部信号入力端子とを備え、
前記遊技制御マイクロコンピュータは、前記レジスタの値が所定値になった場合に電源断時処理を実行する
ことを特徴とする遊技機。 - 電源監視手段は、所定範囲の電圧の低下を監視するとともに、遊技制御マイクロコンピュータが動作不能となる以前の段階で所定信号を出力する
請求項1記載の遊技機。 - 電源監視手段が監視する電源電圧は、交流から直流に変換された直後の電源電圧であり、
前記電源監視手段は、前記電源電圧が所定値に低下すると電源電圧が電圧低下したと判定する
請求項1または請求項2記載の遊技機。 - 遊技制御マイクロコンピュータは、電源断時処理で変動データ記憶手段のチェックサムを作成して保存し、電源復帰時にチェックサムを確認することによって保存データの正当性を確認する
請求項1ないし請求項3記載の遊技機。 - 遊技制御マイクロコンピュータは、電源復帰時にチェックサムの内容に異常があることを確認したら変動データ記憶手段の内容を初期化する
請求項4記載の遊技機。 - 遊技制御マイクロコンピュータは、電源断時処理で変動データ記憶手段へのアクセスを防止する処理を実行する
請求項1ないし請求項5記載の遊技機。 - 所定期間記憶内容を保護可能な変動データ記憶手段にはバックアップ電源が供給され、
前記バックアップ電源は、遊技制御マイクロコンピュータに供給される電源から分岐して蓄電される
請求項1ないし請求項6記載の遊技機。 - レジスタ更新手段は、所定信号の入力に応じてレジスタの値を1減算し、
遊技制御マイクロコンピュータは、前記レジスタの値が0になった場合に電源断時処理を実行する
請求項1ないし請求項7記載の遊技機。 - 電源監視手段が電圧低下を検出した後に電圧低下を検出する第2の電源監視手段を備え、
前記第2の電源監視手段の出力は遊技制御マイクロコンピュータのリセット端子に接続され、
前記遊技制御マイクロコンピュータは、リセット端子への入力に応じてシステムリセットを行う
請求項1ないし請求項8記載の遊技機。
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