JP2004267234A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パチンコ機10には遊技盤が設けられている。遊技盤には、一般入賞口、可変入賞装置ユニット、第1始動口、第2始動口、可変駆動装置ユニット等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設されている。遊技盤30の内部には、可変駆動装置ユニットに設けられた落下口と繋がる誘導流路が形成されている。誘導流路の開口部は第2始動口の直上方に位置している。そして、所定条件の成立時において、遊技球が前記落下口へ導かれる。遊技球が前記落下口より落下すると、遊技球は誘導流路に沿って流下し、開口部より遊技盤面上に排出される。そして、排出された遊技球のうちのいくつかは第2始動口へ入球することとなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の一種として、例えば遊技盤に開放始動口及び可変入賞装置が設けられ、開放始動口へ遊技球が入球することに基づき可変入賞装置が開放し、この開放時において可変入賞装置へ入球した遊技球の挙動に起因して特別遊技状態へ移行する遊技機、例えばパチンコ機等が知られている(例えば、特許文献1参照)。前記パチンコ機では、1つの遊技球が開放始動口に入賞し、可変入賞装置が開放している時に、他の遊技球がタイミングよく可変入賞装置に入球しなければ、特別遊技状態には移行しない。このため遊技場においては、開放始動口と可変入賞装置の両方に遊技球が寄るように、遊技盤面上に設けられた釘等の案内部材の調整を行う必要がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−197312号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、案内部材等が設けられた遊技盤面上における遊技球の挙動は予測がつきにくく、上述したように開放始動口と可変入賞装置の両方に遊技球が寄るようにすることが困難となる場合がある。そのため、一方ばかりに遊技球がよってしまい、他方へ遊技球が寄らない状況となり、特別遊技状態へ移行しづらくなるおそれがあった。例えば可変入賞装置にばかり遊技球が寄ってしまい開放始動口に寄らない状況となった場合には、特別遊技状態の発生の契機となる開放始動口への遊技球の入球が得られないため、特別遊技状態へ移行する可能性も低くなってしまう。結果として、遊技者にとっての興趣が阻害されてしまうおそれがあった。かかる意味で、さらなる興趣の向上が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、パチンコ機等の遊技機において、興趣の飛躍的な向上を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の目的を達成するために有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用等についても説明する。
【0007】
手段1.遊技球の発射処理を行う発射手段と、
発射された遊技球が案内される遊技領域と、
常には遊技球の通過が許容されている第1の経路と、
前記第1の経路とは別に、遊技球を案内可能に構成された第2の経路と、
前記第1の経路又は前記第2の経路を経た遊技球が入球可能な第1入球手段と、
前記第1入球手段へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う第1入球検出手段と、
開閉可能な開閉部材を有し、当該開閉部材の開状態において遊技球が入球可能な第2入球手段と、
前記第2入球手段へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う第2入球検出手段と、
前記第1入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、前記開閉部材の開閉制御処理を行う開閉部材制御手段と、
前記第2入球手段へ入球した遊技球が入球可能な特定入球部と、
前記特定入球部へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う特定入球検出手段と、
前記特定入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるための移行処理を行う遊技状態移行手段とを備えた遊技機において、
所定条件が成立した場合に限り、遊技球の前記第2の経路の通過を許容するよう切換える切換手段を設けたことを特徴とする遊技機。
【0008】
手段1によれば、常には遊技球の通過が許容されている第1の経路を経た遊技球が、第1入球手段へと入球されうる。これに対し、所定条件が成立した場合に限り、切換手段によって、遊技球の第2の経路の通過が許容される。従って、この場合には、第1の経路とは別の第2の経路を経て第1入球手段への入球が許容されることとなる。それ故、所定条件が成立する前段階に比べて、遊技球が第1入球手段へ入球する機会が増す。そして、遊技球が第1入球手段へ入球し易くなることで、特別遊技状態へ移行する機会も増え、遊技者にとっての興趣の向上が図られる。特に、上記所定条件が、例えば遊技者にとって不利な状況が比較的長く続いた場合等に成立すれば、その効果がより一層高まる。さらに、遊技球が第1の経路を経て第1入球手段へ比較的案内されにくい状況下において、その効果は高まる。
【0009】
なお、「許容」とあるのは、必ずしもそれまで第2の経路の通過が全面的に禁止されていた場合に対する「許容」に限られるものではない。すなわち、それまでも第2の経路の通過は可能であって、「許容」されることにより、より一層第2の経路を通過しやすくなるような場合も含まれる。また、上記「特別遊技状態へ移行させるための移行処理」には、例えば実際に特別遊技状態の発生処理へ移行する処理や、特別遊技状態の発生処理を行うか否かを決定する処理(所定の抽選処理)等が含まれる。また、「常には」とあるのを、「通常状態においては、」としてもよい。さらに、「特別遊技状態が発生していない状況下における通常の遊技状態においては」としてもよい。また、「第1の経路と第2の経路とは、遊技領域正面側からみて別の位置に配置されていること」、或いは、「第1の経路と第2の経路とは、互いに重なり合わないようにして設けられていること」としてもよい(以下の手段においても同様)。
【0010】
手段2.遊技球の発射処理を行う発射手段と、
発射された遊技球が案内される遊技領域と、
少なくとも遊技領域を構成する遊技盤面に植設された複数の釘により構成され、常には遊技球の通過が許容されている第1の経路と、
前記第1の経路とは別に、遊技球を案内可能に構成された第2の経路と、
前記第1の経路又は前記第2の経路を経た遊技球が入球可能な第1入球手段と、
前記第1入球手段へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う第1入球検出手段と、
開閉可能な開閉部材を有し、当該開閉部材の開状態において遊技球が入球可能な第2入球手段と、
前記第2入球手段へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う第2入球検出手段と、
前記第1入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、前記開閉部材の開閉制御処理を行う開閉部材制御手段と、
前記第2入球手段へ入球した遊技球が入球可能な特定入球部と、
前記特定入球部へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う特定入球検出手段と、
前記特定入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるための移行処理を行う遊技状態移行手段とを備えた遊技機において、
所定条件が成立した場合に限り、遊技球の前記第2の経路の通過を許容するよう切換える切換手段を設けたことを特徴とする遊技機。
【0011】
手段2においても、基本的には、手段1と同様の作用効果が奏される。特に、手段2では、第1の経路が、少なくとも遊技領域を構成する遊技盤面に植設された複数の釘により構成されている。かかる釘の配置、角度等の調整具合によっては、遊技球が第1の経路を経て第1入球手段へ比較的案内されにくい状況が想定されるが、手段2においては、そのような状況下、例えば遊技者にとって不利な状況が比較的長く続いた場合等に所定条件が成立すれば、その効果がより一層高まる。
【0012】
手段3.前記切換手段は、常には、遊技球の前記第2の経路の通過を禁止するものであることを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
【0013】
手段3によれば、常には、切換手段により、遊技球の前記第2の経路の通過が禁止されている。つまり、所定条件が成立することによって、はじめて第2の経路の通過が可能となる。それ故、それまでは第2の経路の通過を確認できなかった遊技者にとっては、第2の経路を通過して第1入球手段へ遊技球が案内されるという新たな遊技球の挙動を認識することができ、かかる意味で、面白みが一層増し、興趣のさらなる向上を図ることができる。
【0014】
手段4.遊技球の発射処理を行う発射手段と、
発射された遊技球が案内される遊技領域と、
少なくとも遊技領域を構成する遊技盤面に植設された複数の釘により構成され、常には遊技球の通過が許容されている第1の経路と、
前記第1の経路とは別に、遊技球を案内可能に構成された第2の経路と、
前記第1の経路又は前記第2の経路を経た遊技球が入球可能な第1入球手段と、
前記第1入球手段へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う第1入球検出手段と、
開閉可能な開閉部材を有し、当該開閉部材の開状態において遊技球が入球可能な第2入球手段と、
前記第2入球手段へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う第2入球検出手段と、
前記第1入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、前記開閉部材の開閉制御処理を行う開閉部材制御手段と、
前記第2入球手段へ入球した遊技球が入球可能な特定入球部と、
前記特定入球部へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う特定入球検出手段と、
前記特定入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるための移行処理を行う遊技状態移行手段とを備えた遊技機において、
前記第2の経路の遊技球の通過容易性を、第1の状態と、それよりも通過容易な第2の状態との間で切換可能な切換部材と、
所定条件が成立したか否かを判断する条件成立判断手段と、
条件成立判断手段により所定条件が成立したと判断された場合に限り、遊技球の前記切換部材を前記第2の状態へと切換える切換制御手段とを設けたことを特徴とする遊技機。
【0015】
手段4によれば、常には遊技球の通過が許容されている第1の経路を経た遊技球が、第1入球手段へと入球されうる。また、所定条件が成立したか否かが条件成立判断手段により判断され、当該判断手段により肯定判断された場合に限り、切換制御手段によって、切換部材が第1の状態から、それよりも遊技球が通過容易な第2の状態へと切換えられる。従って、この場合には、第1の経路とは別の第2の経路を経て第1入球手段への入球が許容、促進されることとなる。それ故、所定条件が成立する前段階に比べて、遊技球が第1入球手段へ入球する機会が増す。そして、遊技球が第1入球手段へ入球し易くなることで、特別遊技状態へ移行する機会も増え、遊技者にとっての興趣の向上が図られる。特に、上記所定条件が、例えば遊技者にとって不利な状況が比較的長く続いた場合等に成立すれば、その効果がより一層高まる。さらに、遊技球が第1の経路を経て第1入球手段へ比較的案内されにくい状況下において、その効果は高まる。特に、偶発的に第2の状態へ切り換えられるのではなく、所定条件が成立したか否かが判断された上で切り換えられるよう構成されているため、所定条件を適宜設定することで、遊技者及び遊技場間での調和のとれた制御が可能となる。結果として、遊技者又は遊技場に対する偏った不利益の発生を抑制することが可能となる。
【0016】
手段5.前記第2の経路は、全部又は大部分が視認不能又は視認困難に構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
【0017】
手段5によれば、第2の経路の全部又は大部分が視認不能又は視認困難であるため、遊技者は、遊技球が第2の経路を通過中、当該通過状態を確認しづらい。そのため、遊技にいわばミステリアスな感覚を付与せしめることができ、かかる意味で面白みをさらに高めることができる。
【0018】
手段6.前記第2の経路は、少なくともその経路本体が、遊技領域を構成する遊技盤面よりも後側に配置されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
【0019】
手段6によれば、第2の経路の少なくとも経路本体が、遊技領域を構成する遊技盤面よりも後側に配置されている。このため、当該経路を含めた遊技領域の拡張を図ることができ、かかる意味で、さらなる遊技球の挙動の多様化を図ることができ、面白みをさらに高めることができる。なお、この場合において、「経路本体を通過する遊技球を視認可能な構成」としてもよい。この場合、遊技盤面よりも後側の遊技球を視認できるため、遊技球の挙動に関し立体感を導出することができるというメリットがある。
【0020】
手段7.前記第2の経路の出口部は、前記第1入球手段に臨んでいる又は第1入球手段近傍に臨んでいることを特徴とする手段1乃至6に記載の遊技機。
【0021】
手段7によれば、第2の経路を通過した遊技球は、比較的高い確率で第1入球手段に入球するため、上記作用効果がより確実に奏される。尚、「前記第2の経路の出口部は、遊技盤面に臨んでいること」としてもよい。
【0022】
手段8.第1の特定処理の実行回数を計数する第1特定処理回数計数手段と、
第2の特定処理の実行回数を計数する第2特定処理回数計数手段と、
前記第1特定処理回数計数手段の計数値が第1の設定値に達した場合において、前記第2特定処理回数計数手段の計数値が第2の設定値より小さいか否かを判別する回数判別手段と、
前記回数判別手段によって前記第2の設定値より小さいとの判別結果が得られた場合において、前記所定の条件が成立するよう構成したことを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
【0023】
上記手段8によれば、第1の特定処理の実行回数が第1の設定値に達した場合において、第2の特定処理の実行回数が第2の設定値より少ない場合、つまり、第1の特定処理が第1の設定値数分行われる間の第2の特定処理が行われる割合が少ない場合には、遊技球が第2の経路の通過が許容等される。そのため、第1入球手段への入球率を高めることができるようになる。つまり、遊技球が第1入球手段へ入球し易くなる。上記のように構成された遊技機においては、第1入球手段へ遊技球を入球させることが、遊技球を第2入球手段へ入球させるための契機となっているため、上記切換により、結果的に遊技球を第2入球手段へ入球させるための機会ひいては特別遊技状態へ移行させるための移行処理が行われる機会を増やことができる。従って、第1の特定処理の実行回数が比較的多い割に、第2の特定処理の実行回数が比較的少ないといった状況を緩和するとともに、遊技球が第1入球手段へ入球し易くなることで、特別遊技状態へ移行する機会も増え、遊技者にとっての興趣の向上を図ることができる。特に、第2の特定処理が遊技者にとって有利な処理であり、その行われた回数が少ない場合、つまり遊技者にとって不利な状況が比較的長く続いた場合等において、その効果がより一層高まり、遊技者にとっての興趣の低下抑制が図られる。さらに、遊技球が第1入球手段へ案内されにくいような状況下において、その効果は高まる。
【0024】
手段9.手段8において、前記発射手段による一遊技球の発射処理を前記第1の特定処理とし、当該一遊技球の発射処理の実行回数を計数することにより発射球数を計数する発射球数計数手段を前記第1特定処理回数計数手段として備えたことを特徴とする遊技機。
【0025】
上記手段9によれば、遊技球を発射するという遊技の契機となる処理を、遊技状況(遊技時間や消費される遊技球数等に対して第2の特定処理の実行回数の割合が多いか少ないか等)の判別を行う契機(タイミング)を計る上での契機判断基準にしているため、他の処理を基準にする場合に比べて、遊技状況の判別をより的確に行うことができる。また、「前記発射手段により発射される遊技球を検出する発射球検出手段を備え、当該発射球検出手段が遊技球を検出して検出信号を出力する処理を前記第1の特定処理とし」てもよい。
【0026】
手段10.手段8において、前記第1入球検出手段が前記第1入球手段へ入球する遊技球を検出して検出信号を出力する処理を前記第2の特定処理とし、前記第1入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、前記検出信号出力処理の実行回数を計数することにより前記第1入球手段への入球数を計数する第1入球回数計数手段を前記第2特定処理回数計数手段として備えたことを特徴とする遊技機。
【0027】
上記手段10によれば、遊技状況の判別を行うにあたり、第1入球手段への入球数の多少を判断基準としていることから、遊技球の発射回数に対して遊技球が第1入球手段へ入球する割合が比較的少ないといった状況の緩和に、結果的に効果が現れやすい。さらに、遊技球が第1入球手段へ比較的案内されにくい状況下において、その効果は高まる。
【0028】
手段11.手段8において、前記開閉部材の一開閉制御処理を前記第2の特定処理とし、当該一開閉制御処理の実行回数を計数する開閉回数計数手段を前記第2特定処理回数計数手段として備えたことを特徴とする遊技機。
【0029】
上記手段11によれば、遊技状況の判別を行うにあたり、第2入球手段が開状態となる回数の多少を判断基準としていることから、遊技球の発射回数に対して第2入球手段が開状態となる割合が少ないといった状況の緩和に、結果的に効果が現れやすい。
【0030】
手段12.手段8において、前記第2入球検出手段が前記第2入球手段へ入球する遊技球を検出して検出信号を出力する処理を前記第2の特定処理とし、前記第2入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、前記検出信号出力処理の実行回数を計数することにより前記第2入球手段への入球数を計数する第2入球回数計数手段を前記第2特定処理回数計数手段として備えたことを特徴とする遊技機。
【0031】
上記手段12によれば、遊技状況の判別を行うにあたり、第2入球手段への入球数の多少を判断基準としていることから、遊技球の発射回数に対して遊技球が第2入球手段へ入球する割合が比較的少ないといった状況の緩和に、結果的に効果が現れやすい。
【0032】
手段13.手段8において、前記特別遊技状態へ移行させるための一移行処理を前記第2の特定処理とし、当該一移行処理の実行回数を計数する移行回数計数手段を前記第2特定処理回数計数手段として備えたことを特徴とする遊技機。
【0033】
上記手段13によれば、遊技状況の判別を行うにあたり、前記移行処理が行われた回数の多少を判断基準としていることから、遊技球の発射回数に対して前記移行処理が行われる割合が比較的少ないといった状況の緩和に、結果的に効果が現れやすい。
【0034】
手段14.手段8乃至手段13のいずれかにおいて、特定設定条件の成立に伴い、前記第1の設定値を再設定するとともに、再設定後の第1の設定値に対応して前記第2の設定値を再設定する再設定手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【0035】
上記手段14によれば、上記切換に伴う遊技状態の変化が常に同条件で起きるような不具合を防止でき、ひいては遊技状態の変化が起きる時期や割合が変化することにより、遊技の多様化につながる。なお、上記「前記第1の設定値を再設定するとともに、再設定後の第1の設定値に対応して前記第2の設定値を再設定する」ことには、例えば「前記第1の設定値をより小さい値に再設定するとともに、再設定後の第1の設定値に対応して前記第2の設定値を再設定する」ことが含まれ、又、「前記第1の設定値に所定数値を加えた数値を新たな第1の設定値として再設定するとともに、再設定後の第1の設定値に対応して前記第2の設定値に所定数値を加えた数値を新たな第2の設定値として再設定する」ことが含まれる。例えば、予め第1の設定値として「30」、第2の設定値として「5」という数値が記憶されている場合において、前記特定設定条件の成立に伴い、前記再設定手段が再設定処理を行うことによって、前記第1の設定値「30」に所定数値「10」を加えた数値「40」を新たな第1の設定値として再設定するとともに、再設定後の第1の設定値に対応して前記第2の設定値「5」に所定数値「5」を加えた数値「10」を新たな第2の設定値として再設定するような構成としてもよい。
【0036】
手段15.手段14において、前記第1の設定値が、予め設定された特定周期値に達する毎に、その間に行われた前記第2特定処理計数手段の計数結果を時系列で複数の記憶領域に順に記憶していく第2特定処理回数記憶手段を備え、
前記回数判別手段は、前記複数の記憶領域を参照して判別を行うよう構成されるとともに、前記第1の設定値及び第2の設定値に応じて、参照する記憶領域の数を変化させることを特徴とする遊技機。
【0037】
上記手段15によれば、上記手段13の効果を高めるとともに、判別処理を行う時点における状況により的確に対応した最新のデータを参照して判別処理を行うことができる。
【0038】
手段16.手段15において、前記移行処理が行われ前記特別遊技状態が発生した場合において、前記第2特定処理回数記憶手段に記憶された第2の特定処理の実行回数を消去する記憶消去手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【0039】
上記手段16によれば、遊技者に有利な特別遊技状態の発生に伴い、第2特定処理回数記憶手段に記憶された第2の特定処理の実行回数を消去することにより、特別遊技状態が発生したにも関わらず、さらに遊技状態が遊技者にとって有利な上記切換えられた状態へ比較的容易に変化する状況が長期間続くといった不具合を抑制することができる。
【0040】
手段17.手段14乃至手段16のいずれかにおいて、前記切換えられた回数を計数する変化回数計数手段を備え、前記変化回数計数手段の計数値が所定値に達した場合に前記特定設定条件が成立するようにしたことを特徴とする遊技機。
【0041】
上記手段17によれば、第1入球手段へ入球しやすい状態への変化が起きたにも関わらず、さらに遊技状態が当該入球しやすい状態へ比較的容易に変化する状況が長期間続くといった不具合を抑制することができる。なお、上記「前記変化回数計数手段の計数値が所定値に達した場合に前記特定設定条件が成立する」ことに代えて、「前記変化回数計数手段の計数値が所定値に達する毎に前記特定設定条件が成立する」こととしてもよい。
【0042】
手段18.手段14乃至手段16のいずれかにおいて、前記第1特定処理回数計数手段の計数値が所定値に達した場合に、前記特定設定条件が成立するようにしたことを特徴とする遊技機。
【0043】
上記手段18によれば、手段17と同様の効果を奏する。なお、上記「前記第1特定処理回数計数手段の計数値が所定値に達した場合に、前記特定設定条件が成立する」ことに代えて、「前記第1特定処理回数計数手段の計数値が所定値に達する毎に、前記特定設定条件が成立する」こととしてもよい。
【0044】
手段19.手段8乃至手段18のいずれかにおいて、前記移行処理が行われ前記特別遊技状態が発生した場合において、前記第1特定処理回数計数手段及び第2特定処理回数計数手段の計数値を消去する計数値消去手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【0045】
上記手段19によれば、遊技者に有利な特別遊技状態の発生に伴い、第1特定処理回数計数手段及び第2特定処理回数計数手段の計数値を消去することにより、特別遊技状態が発生したにも関わらず、さらに第1入球手段に入球しやすい状態へ比較的容易に変化する状況が長期間続くといった不具合を抑制することができる。
【0046】
手段20.手段1乃至手段19のいずれかにおいて、左右一側部側を中心に左右他側部側が開閉可能となるように構成され、遊技盤を支持した遊技機本体と、前記遊技盤の前面に設けられたレール部材により略円形状に区画された遊技領域と、
前記遊技機本体の前面側にて前記左右一側部側を中心に前記左右他側部が開閉可能となるよう支持され、閉鎖状態において前記遊技領域を視認可能な視認窓を有した前面扉とを備え、
前記遊技機本体の前記左右一側部には長尺状の補強部材を上下方向へ延びるように設けるとともに、前記遊技機本体の前記左右他側部には前記遊技機本体及び前面扉の開放を禁止するように施錠する施錠装置を設け、
該施錠装置は、遊技機本体の前記左右他側部に上下方向へ延びるようにかつ上下方向へ移動可能となるように設けられた長尺状の連動部材と、遊技機本体の前記左右他側部のうち前記遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられ前記連動部材を上側又は下側に選択的に移動させる鍵部材とを備え、該鍵部材の操作による前記連動部材の上下一方への移動により遊技機本体の施錠が解除されるとともに、前記連動部材の上下他方への移動により前記前面扉の施錠が解除されるように構成し、
前記遊技盤を前記遊技機本体の幅内において前記補強部材及び連動部材を左右に振り分けて配置するための領域を残した幅となるように形成するとともに、前記遊技盤の左右両側部には前記遊技機本体の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように部分的に凹部を形成し、さらに、前記レール部材のうち、前記遊技領域の最大幅となる位置を、遊技盤の左右端位置に至るように配設することにより、
遊技領域を拡張したことを特徴とする遊技機。
【0047】
上記手段20によれば、上記構成による遊技領域の拡張によって、遊技領域が従来の遊技機よりも広くなり、結果として興趣の向上を図ることができる。なお、上記のように遊技領域が拡張された遊技機においては、従来の遊技機以上に上記「発明が解決しようとする課題」で述べた課題等がより顕著に現れるおそれがある。従って、手段1乃至手段19で述べた構成がより効果を発揮することとなる。
【0048】
手段21.手段1乃至手段20のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であること。中でも、上記パチンコ機には、遊技者に有利な特別遊技状態への移行処理が行われ、前記特別遊技状態が発生した場合において、開閉可能な開閉部材を有した入球手段へ所定個数の遊技球を入球させる遊技が複数回行われるよう構成されるとともに、前記複数回のうちの一遊技中において、前記入球手段へ入球した遊技球のうちのいずれかが特定入球部へ入球することに基づき、次なる一遊技への移行が可能となる遊技機が含まれる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する内枠12に対して前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、後述する遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。
【0050】
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。従って、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて構成部材の再利用が容易な構成となっている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。
【0051】
また、内枠12及び前面枠セット14は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂により構成されている。両者の成形に合成樹脂を用いることにより、金属製素材を用いた場合と比較してより複雑な形状に対応できるとともに、生産コストの増大を抑制することもできる。また、ABSを用いる利点としては、ポリカーボネイト等の樹脂素材と比較して、生産コストが低い、粘性が強く衝撃に強い等が挙げられる。加えて、例えば前面枠セット14の前面側等の意匠面にメッキ等のコーティング処理を施す場合において、その処理を比較的容易に行いやすく、外観品質のより高いものが製造できるというメリットがある。
【0052】
さて、内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側(後述するハンドル設置箇所の反対側)に上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようになっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。
【0053】
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられると共に、下皿ユニット13を除く範囲に対応して前面枠セット14が取り付けられている。下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。また、前面枠セット14は、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。図3は、パチンコ機10より前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している)。なお、内枠12の前面側には、その周囲(前面枠セット14に対応する部分)においてリブR1が突設されている。そして、前面枠セット14の閉時には、前面枠セット14がリブR1の内側に嵌まり込んだ状態となる。この構成により、前面枠セット14と内枠12の間の隙間から針金等を進入させることが困難となり、不正防止の役割を果たす。
【0054】
下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されているが、その中でも特に下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル23とは難燃性のABS樹脂にて成形されている。このため、この部分は燃え難くなっている。なお、符号24はスピーカからの音出力口であり、符号25は下皿15内から遊技球を下方へ排出するための球抜きレバーである。
【0055】
下皿15よりも右方には、手前側に突出して遊技球発射ハンドル(以下単に「ハンドル」という)18が配設されている。つまり、ハンドル18は、内枠12の開閉軸線とは反対側にあたるパチンコ機10の正面からみて右側に位置しており、ハンドル18の突出に関わりなく内枠12の開放時における所定の開放量を確保できる。また、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。なお、灰皿26は、下皿15の左側辺部より左方へ突出した図示しない軸棒によって回動可能に支持された、いわゆる片持ち構造となっている。
【0056】
一方、下皿15の上方において球受皿としての上皿19が設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置の方へ導出するための球受皿である。なお、上皿19は、前面枠セット14において、ガラスを支持するガラス枠部と一体的に形成されている。従来のパチンコ機ではガラス枠の下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施の形態では前面枠セット14に対し直接的かつ一体的に上皿19が設けられているため、後述するように前面枠セット14のフレーム部分の幅が従来に比べ比較的細いものであっても、前面枠セット14(ガラス枠部)の所定の強度を確保させることができる。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
【0057】
また、図3において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。なお、樹脂ベース20には、前面枠セット14の開放を検知する開放検知センサ22が設けられている。また、図示しないが内枠12の開放を検知する開放検知スイッチも設けられている。
【0058】
次に、遊技盤30の構成を図4を用いて説明する。遊技盤30には、一般入賞口31a,31b、可変入賞装置ユニット32、第1始動口33a,33b、第2始動口34、可変駆動装置ユニット35a,35b等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。特に、第2始動口34が本実施の形態における第1入球手段を構成する。また、可変入賞装置ユニット32が第2入球手段を構成する。さらに、可変駆動装置ユニット35a,35bが切換手段、切換部材を構成する。
【0059】
ここで、一般入賞口31a,31b等の配設位置について説明する。遊技盤30の略中央部において可変入賞装置ユニット32が配設され、可変入賞装置ユニット32の左右側方においてそれぞれ可変駆動装置ユニット35a,35bが配設され、可変入賞装置ユニット32の下方において第2始動口34が配設され、第2始動口34の左右側方においてそれぞれ第1始動口33a,33bが配設され、各第1始動口33a,33bの左及び右外方において一般入賞口31a,31bが配設されている。周知の通り前記一般入賞口31a,31b、可変入賞装置32、第1始動口33a,33b、第2始動口34に遊技球が入球し、後述する検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(入賞装置、入賞口、始動口等)に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車27等の各種部材(役物)が配設されている。
【0060】
また、遊技盤30には、発射手段としての遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレール部材を構成するレールユニット50が取り付けられており、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成形品にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール構成部(内レール部)51と外レール構成部(外レール取付け部)52とを有する。内レール構成部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されている。また、一部(主に左側部)が内レール構成部51に向かい合うようにして外レール構成部52が形成されている。かかる場合、内レール構成部51と外レール構成部52とにより主として誘導レールが構成され、これら各レール構成部51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0061】
内レール構成部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール構成部51及び外レール構成部52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール構成部52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール構成部52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって例えば遊技盤30の略中央部側へ戻される。外レール構成部52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。なお、本実施の形態では、外レール構成部52及び摺動プレート55によって、いわゆる従来の外レールに相当するものが構成されている。そして、内外レール構成部51,52及び摺動プレートをレールユニット50としてユニット化することにより、従来の内外レールを別々に設けた構成に比べて、取付け作業が容易となり作業性が向上する。
【0062】
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジN等の固定手段が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなれるようになっている。さらに本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。なお、左下のフランジ56においては他の部分(左上部,右上部及び右下部のフランジ56)と比較して、より多く固定手段が使用されている。これは、上記誘導レール及び球案内通路の位置をより適正な位置に固定するためであり、これにより遊技球発射装置から発射された遊技球がより安定して遊技盤30上部へ案内される。加えて、固定手段の数を増やすことでレールユニット50をより強固に固定でき、仮にレールユニット50の成形時において歪みが生じたとしても、その歪みを吸収する効果がある。
【0063】
内レール構成部51及び外レール構成部52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール構成部51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレート(図のSK1,SK2)を貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。
【0064】
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール構成部51,52)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール構成部52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール構成部52の極左位置から内レール構成部51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール構成部51の極左位置から内レール構成部51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
【0065】
本実施の形態では、パチンコ機10の正面から見て、内レール構成部51及び外レール構成部52によって囲まれる領域のうち、内外レール構成部51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域を、主たる遊技領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール構成部52によってではなく内レール構成部51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール構成部51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール構成部52によって特定される。
【0066】
従って、本実施の形態では、正面からみた遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
【0067】
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらには460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
【0068】
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。
【0069】
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
【0070】
なお、可変入賞装置ユニット32の両側に位置する可変駆動装置ユニット35a,35bに関連して、所定条件の成立時には、可変駆動装置ユニット35a,35bへ入球した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、所定条件の成立時には、遊技球を第2始動口34の方へと案内することができ、ひいては、本実施の形態のように遊技領域が従来よりも拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。さらには、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、風車27、比較的大型の可変駆動装置ユニット35a,35b、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、可変入賞装置ユニット32の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができるようになっている。また、遊技領域が上下方向にも拡張されていることから、さらに風車27、比較的大型の可変駆動装置ユニット35a,35b、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができるようになっている。
【0071】
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62と一体的に樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
【0072】
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないことから、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くするとともに発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、さらに発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合特に、発射レール61を、遊技球発射装置の発射位置から遊技領域の左右方向の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。また、発射レール61を上記構成とするため、本実施の形態では金属板62も従来のものより比較的大きなものとし、それを固定する固定手段の数も従来に比べ多くしている。
【0073】
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
【0074】
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール構成部52に沿って流れ、外レール構成部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール構成部51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになる。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
【0075】
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置している。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなるという効果がある。
【0076】
また、上記前面枠セット14側の球出口には、発射される遊技球を検出するための発射球検出手段としての発射球検出スイッチSW1(図1参照)が設けられている。発射球検出スイッチSW1は、図示しない電気配線を通じて後述する主基板(主制御装置)に接続されている。
【0077】
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられている。詳しい図面の開示は省略するが、シャッタ68は、その下辺部に沿って設けられた軸部を軸心として回動可能となるとともに、前面枠セット14を開放した状態(図3の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられるようになっている。なお、前面枠セット14の開放状態においては、遊技球は下皿15へ排出されるようになっている。従って、上述したように前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
【0078】
樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られたシール等(図4のSK1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71から上記シール等を貼り付けることも可能である。
【0079】
また、樹脂ベース20には窓孔21の左上方において略四角形状の小窓72が設けられ、小窓72に対応して遊技盤30の左上部にも略四角形状の孔部73(図4参照)が設けられている。そして、後述する前面枠セット14の電飾部102,103等と接続される各種電気配線(図示略)が小窓72及び孔部73を通して本パチンコ機10の背面側から導かれている。
【0080】
また、内枠12の図3の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
【0081】
また、内枠12にはアース用金具E1,E2が設けられている(図3参照)。アース用金具E1,E2は、内枠12の背面側において所定の金属部材と接続されている。そして、前面枠セット14が閉じられた状態において、アース用金具E1,E2が後述する補強板131,132と当接することにより短絡するようになっている。
【0082】
次に、前面枠セット14について図1,図5を参照しつつ説明する。図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。前面枠セット14は本実施の形態における視認窓(窓部101)を有した前面扉を構成する。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール構成部52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、比較的大型の可変入賞装置ユニット32も比較的上方に配置することができるようになっている。前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
【0083】
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール構成部52の左端部はもちろん、内レール構成部51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール構成部52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール構成部51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
【0084】
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時(特別遊技状態発生時)等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂が取り付けられた小窓107が設けられている。
【0085】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図られる。
【0086】
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。つまり、補強板131〜134において、樹脂パーツ135の絶縁効果により電気が環状に通ることを防止している。これにより、補強板131〜134におけるノイズのループや環状通電による磁界の発生を抑制することができる。
【0087】
図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
【0088】
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
【0089】
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
【0090】
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内外のレール構成部51,52により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール構成部52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
【0091】
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うようにして前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール構成部51のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
【0092】
また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図5の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール構成部52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0093】
さらに、レールカバー140の裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ図5の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた状態において、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール構成部51にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させにくくなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
【0094】
また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。ここで、前記支持機構について支持金具81,82及び支持金具151,152の関連性をふまえてより詳しく説明する。支持金具151は略棒状をなし、その上部の径が下部の径より太くなっている。上記支持孔83の切欠の幅は、前記支持金具151の上部の太さより狭く、下部の太さより広くなっている。前面枠セット14の装着手順としては、まず前記支持金具151の下部を前記切欠を介して支持孔83に挿入し、次に支持金具82の突起軸84に支持金具152を差込む。そして、前記切欠位置に対応して前記支持金具151の上部を位置させることで、支持金具151が支持孔83から外れなくなり、前面枠セット14の装着が完了する。
【0095】
なお、前面枠セット14の施錠機構は、内枠12の施錠機構と一体的となっており、当該一体となった施錠機構G1(図6参照)の本体部は内枠12の背面側に設けられている。そのため、図3では、施錠機構G1から内枠12の前面側に突出した係止爪T1,T2のみが示されている。そして、係止爪T1,T2が前面枠セット14の背面側に係止されることにより、前面枠セット14が施錠された状態となる。
【0096】
ここで、前記施錠機構G1の構成について図8等を参照して説明する。施錠機構G1は、遊技機本体を構成する内枠12の左右一側部(右側部、図8の左側)に上下方向へ延びるようにかつ上下方向へ移動可能となるように設けられた長尺状の連動部材G2と、内枠12の前記一側部のうち遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられ連動部材G2を上側又は下側に選択的に移動させる鍵部材G3(図1等参照)とを備え、該鍵部材G3の操作による連動部材G2の上下一方への移動により内枠12の施錠が解除されるとともに、連動部材G2の上下他方への移動により前面枠セット14の施錠が解除されるように構成されている。
【0097】
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図6はパチンコ機10の背面図である。
【0098】
先ずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
【0099】
また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0100】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0101】
実際には、図7の概略図に示すように各ユニット201〜203が配置され、取り付けられている。なお図7において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
【0102】
詳しくは、第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0103】
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0104】
さらに、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機本体に対して固定保持されるようになっている。
【0105】
この場合、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
【0106】
一方、図8は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態でその構成を示す背面図である。また、図9は内枠12を後方より見た斜視図である。ここでは図8、図9を用いて内枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。
【0107】
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替えることができるよう構成されており、図8にはロック状態を示す。遊技盤30の左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で内枠12外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具である。
【0108】
また、遊技盤30の裏面には、可変入賞装置ユニット32を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口31a,31b、第1始動口33a,33b、第2始動口34(それぞれ図4参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、内枠12にやはり樹脂製(例えばポリカーボネイト樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図8に仮想線で例示するように、一般入賞口31a,31b等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞部(入賞装置、入賞口、始動口等)にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
【0109】
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤30を内枠12から取り外す際において、排出通路盤17が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
【0110】
なお、排出通路盤217は、パチンコ機前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられており、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、さらにその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して可変入賞装置ユニット32を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
【0111】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31a,31bに対応する位置にはそれぞれ入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置ユニット32には、特定領域スイッチ222とカウントスイッチ223とが設けられている。特定領域スイッチ222は、可変入賞装置ユニット32に入賞した遊技球が後述する特定領域(大当たり状態の発生又は継続を判定するための領域)に入ったことを検出するスイッチであり、カウントスイッチ223は可変入賞装置ユニット32への入賞球をカウントするスイッチである。特定領域スイッチ222は本実施の形態における特定入球検出手段を構成する。カウントスイッチ223は本実施の形態における第2入球検出手段を構成する。また、第1始動口33a,33bに対応する位置にはそれぞれ第1始動口スイッチ224が設けられ、第2始動口34に対応する位置には第2始動口スイッチ225が設けられている。第2始動口スイッチ225が本実施の形態における第1入球検出手段を構成する。
【0112】
入賞口スイッチ221、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は図示しない電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、さらにこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置)に接続されている。また、第1始動口スイッチ224及び第2始動口スイッチ225は、入賞口中継基板227に接続され、この入賞口中継基板227がやはり主基板に接続されている。なお、図8において符号228は打球槌等を備えるセットハンドルであり、符号229は発射モータである。これらセットハンドル228や発射モータ229等により上記遊技球発射装置が構成されている。
【0113】
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞部(入賞装置、入賞口、始動口等)に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞部毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
【0114】
また、裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔231aが形成されている。その他、遊技盤30の右下部において符号232は上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)であり、同左上部において符号233は係止爪片である。
【0115】
また、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12にはその右端部に長尺状の支持金具235が取り付けられており、その構成を図10に示す。図10に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット用の支持金具と裏パックユニット用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具である。
【0116】
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。すなわち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。なお、従来、遊技球分配部245に相当する部分が裏パックユニット203側に設けられていたため、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)を通じて裏パックユニット203を押すことにより、内枠12と遊技球分配部245に相当する部分との間に隙間が生じ、その隙間を通じて針金等を差し込み、内部機器を操作するといった不正行為が考えられた。そこで本パチンコ機10では、遊技球分配部245として内枠12側に設け、なおかつ固定手段により固定することにより、そのような不正行為を防止している。さらに、遊技球分配部245の上端面は遊技盤30の下端面が設置される高さ位置に合わせて形成されており、遊技盤30の取外しの妨げにならないように工夫されている。
【0117】
また、内枠12の下端部には、下皿15に設置された上記スピーカの背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
【0118】
次に、第1制御基板ユニット201を図11〜図14を用いて説明する。図11は第1制御基板ユニット201の正面図、図12は同ユニット201の斜視図、図13は同ユニット201の分解斜視図、図14は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
【0119】
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0120】
封印手段としての封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図11等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨を容易に発見できる。
【0121】
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主基板)からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
【0122】
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネイト樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明又は半透明の樹脂成形品であっても良い。
【0123】
そして、一方の基板搭載面252上に主制御装置261(主基板)が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図11等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できる。また、各制御装置が効率良く設置できるようになる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置ユニット32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
【0124】
図13及び図14に示すように、主基板用の基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合が回避できる。また、主制御装置261は第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
【0125】
取付台251には、図11における左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図8等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図8等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に図8等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定されるようになる。なお、支持金具231及び支軸256が前記図7の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
【0126】
次に、第2制御基板ユニット202を図15〜図17を用いて説明する。図15は第2制御基板ユニット202の正面図、図16は同ユニット202の斜視図、図17は同ユニット202の分解斜視図である。
【0127】
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
【0128】
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
【0129】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0130】
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
【0131】
取付台301は例えば無色透明な樹脂成形品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が搭載されている。
【0132】
また、取付台301には、図15等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図8等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図8等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記図7の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
【0133】
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、パチンコ機10の背面から見た背面図を図18に示し、分解斜視図を図19に示す。
【0134】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変入賞装置ユニット32を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の可変入賞装置ユニット32等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0135】
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図19に示す払出通路359等を通じて前記上皿19に供給される。
【0136】
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。なお、バイブレータ360は、パチンコ機の設計変更等による位置変更や故障時等における交換が容易になるよう、モータ等の振動体が本体部であるケース内に収容されたバイブレータ・ユニットとして構成されており、当該ユニットが着脱可能なようにタンクレール356に取付けられている。なお、前記バイブレータ・ユニットは、その本体部(ケース面)がタンクレール356に密着せず、本体部から突出した足部(振動伝達子)を介してタンクレール356の側面に取付けられており、そのバイブ振動がより効果的にタンクレール356に伝達されるよう構成されている。
【0137】
タンクレール356の構成ついて詳述すると、図20に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有し、レール本体361の始端部には球面状の球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれる。また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に開口部365が設けられている。
【0138】
また、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、さらにその下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消されるようになっている。なお、レール本体361が黒色の導電性ポリカーボネイト樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネイト樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
【0139】
図18,19の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0140】
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネイト樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0141】
また、裏パック351には、図18等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図8等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図8等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図8等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。このとき、図8等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記図8の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する。なお、上記係止孔387に図8等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。また、本実施の形態では、多くの遊技球が貯留され比較的負荷のかかるタンク355の近傍の係止部M8として、回動式のI型の留め具が採用されている。このため、ナイラッチ等の固定具(差込み式固定具)を用いた場合に比べてより確実に裏パックユニット203(タンク355)の係止を行うことができる。
【0142】
また、裏パックユニット203のベース部353には、外部中継端子板230用の開口部391が設けられており、裏パックユニット203の固定された状態でも、外部中継端子板230の取外し及び操作が可能となっている。
【0143】
なお、上述してきた構成により、主制御装置261(基板ボックス263)の取外しは、まず裏パックユニット203を開け(又は取外し)、次に第1制御基板ユニット201を開け(又は取外し)、そして、固定具267を解除操作するという複雑な過程をふむことにより、ようやく行うことができる。このため、主制御装置261(基板ボックス263)の取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。
【0144】
さて、次に上記可変入賞装置ユニット32や可変駆動装置ユニット35a,35b等について図21〜図26を参照してより詳しく説明する。なお、ここでの説明及び図24〜図26においては、可変駆動装置ユニット35a,35bを総称して可変駆動装置ユニット35と示す。可変入賞装置ユニット32や可変駆動装置ユニット35は、図示しない電気配線を通じて上記主制御装置261に接続されており、主制御装置261により制御される。
【0145】
図21は、可変入賞装置ユニット32の正面図である。可変入賞装置ユニット32は、略中空形状の本体部401と、該本体部401の下部において遊技球振分け機構402と、該遊技球振分け機構402の上方において上下動を行う移動体403と、本体部401の上部に設けられた遊技球転動部404と、該遊技球転動部404の左右両側部において開閉可能に軸支された一対の開閉部材としての羽根405a,405bと、遊技球転動部404の奥側から遊技球振分け機構402へと遊技球を導く誘導通路406とを備えている。なお、誘導通路406の中途位置において上記カウントスイッチ223が設けられている。主制御装置261は、本実施の形態における開閉部材制御手段を構成する。
【0146】
図22は遊技球振分け機構402の斜視図であり、図23は遊技球振分け機構402の一部を示す分解斜視図である。遊技球振分け機構402は、ベース部411と、該ベース部411の上部に取着された囲枠部412と、ベース部411に固定されたモータ413と、囲枠部412の凹部412aに嵌め込まれ、かつモータ413の回転軸413aに回転可能に軸支された回転体414とを備えている。
【0147】
回転体414は、その周縁に沿って複数(本実施の形態では10個)の収容部を有している。複数の収容部は、複数(本実施の形態では8個)の第1収容部421、1つの第2収容部422、及び1つの第3収容部423によって構成されている。前記第1収容部421は、遊技球が回転体414の半径外方向に転出可能なように下面が傾斜した略U字状に構成されている。第2収容部422は、回転体414の円周方向に沿って架け渡された架橋下面を有し、遊技球が前記架橋下面から回転体414の中心方向に向けて転出可能なように図示しない落下口を備えた構成となっている。第3収容部423は、遊技球が回転体414の半径外方向に転出しないように遊技球を抱えることができるよう構成されている。なお、本実施の形態では、回転体414は、通常時や後述する特別遊技状態の発生時において常時回転を継続するよう構成されている。
【0148】
一方、上記囲枠部412の凹部412aには、その側壁部において第1通過口425が形成され、その底部において第2通過口426及び第3通過口427が形成されている。便宜上、符号は省略するが、もちろんベース部411にも第2通過口426及び第3通過口427に対応して孔部が設けられている。
【0149】
第1通過口425は、前記第1収容部421に収容された遊技球を図示しない球排出部に排出するためのものである。つまり、回転体414が回転して、遊技球を収容した第1収容部425の位置が第1通過口425の位置と一致したとき、第1収容部421から遊技球が排出されるようになっている。
【0150】
第2通過口426は、回転体414の中心軸寄りに形成されており、前記第2収容部422に収容された遊技球を図示しない球排出部に排出するためのものである。つまり、回転体414が回転して、遊技球を収容した第2収容部422の落下口の位置が第2通過口426の位置と一致したとき、第2収容部422から遊技球が排出されるようになっている。
【0151】
第3通過口427は、回転体414の周縁寄りに形成されており、前記第3収容部423に収容された遊技球を図示しない球排出部に排出するためのものである。つまり、回転体414が回転して、遊技球を収容した第3収容部423の位置が第3通過口427の位置と一致したとき、第3収容部423から遊技球が排出されるようになっている。なお、第3通過口427は、上記特定領域スイッチ222が配置された図示しない特定領域に繋がっており、第3通過口427から排出された遊技球はこの特定領域スイッチ222によって検出される。つまり、第1収容部421及び第2収容部422は特定領域に繋がっていない第1通過口425や第2通過口426へ遊技球を導く機能を持ち、第3収容部423は特定領域に繋がっている第3通過口427へ遊技球を導く機能を有する。前記特定領域が本実施の形態における特定入球部を構成する。
【0152】
また、第1通過口425の近傍において当該第1通過口425を遮蔽する第1遮蔽機構431が設けられ、第3通過口427の近傍において当該第3通過口427を遮蔽する第2遮蔽機構432が設けられている。
【0153】
第1遮蔽機構431は、ベース部411と囲枠部412との間に回動可能に軸支された作動部435と、該作動部435を駆動する第1ソレノイド436とを備えている。作動部435には第1通過口425を閉鎖する第1シャッタ437が設けられている。そして、通常時、つまり第1ソレノイド436の非励磁状態において第1シャッタ437は第1通過口425を開状態とする位置にあり、第1ソレノイド436が励磁されると、作動部435が回動し、第1シャッタ437は第1通過口425を閉状態とする位置に移動する。従って、第1シャッタ437により第1通過口425が閉鎖され、遊技球が第1通過口425を通過できなくなる。
【0154】
第2遮蔽機構432は、ベース部411と囲枠部412との間に回動可能に軸支された作動部441と、該作動部441を駆動する第2ソレノイド442とを備えている。作動部441には第3通過口427を閉鎖する第2シャッタ443が設けられている。そして、通常時、つまり第2ソレノイド442の非励磁状態において第2シャッタ443は第3通過口427を開状態とする位置にあり、第2ソレノイド442が励磁されると、作動部441が回動し、第2シャッタ443は第3通過口427を閉状態とする位置に移動する。従って、第2シャッタ443により第3通過口427が閉鎖され、遊技球が第3通過口427を通過できなくなる。
【0155】
さて、図24は可変駆動装置ユニット35の正面図である。また、図25は後述する移動体が最下位置にある時の可変駆動装置ユニット35の斜視図であり、図26は移動体が最上位置にある時の可変駆動装置ユニット35の斜視図である。なお、図24〜図26では、左側の可変駆動装置ユニット35aを可変駆動装置ユニット35として示している。便宜上、図は省略するが、右側の可変駆動装置ユニット35bは、可変駆動装置ユニット35aと左右対称形状となっている。特に、本実施の形態では右側の可変駆動装置ユニット35bが切換手段、切換部材を構成する。
【0156】
可変駆動装置ユニット35は、略中空形状の本体部451と、該本体部451の下部において遊技球転動部452と、遊技球転動部452の上方において上下動を行う移動体453と、移動体453と連動して動く誘導リブ454とを備えている。
【0157】
本体部451には、その遊技盤30面より前方へ突出した部分の両側壁部において、遊技球が通過可能な通過孔455a,455bが相対向するように設けられている。また、可変入賞装置ユニット32側(図24の右側)の通過口455bには、そこから可変入賞装置ユニット32側に向けて前記遊技球転動部452が延出した延出部456が設けられている。
【0158】
遊技球転動部452には、移動体453の下方において遊技球が落下可能な落下口457が設けられている。落下口457は後述する誘導流路Ya,Yb(図4参照)に通じている。なお、移動体453が最下位置にあるときには、落下口457が塞がれた状態となる。また、本実施の形態では、可変駆動装置ユニット35の移動体453は、常時動いているわけではなく、上記主制御装置261の指示により適宜駆動する。つまり、主制御装置261は、本実施の形態における切換手段、切換制御手段を構成する。
【0159】
誘導リブ454は、図24等における落下口457の左側において、略前後方向に沿って形成されており、その前端部は遊技球転動部452の前端部近傍にまで達するとともに、比較的緩やかなカーブを描いて右側に向けて湾曲している。そして、その湾曲部が、両通過孔455a,455bを結ぶ線と交差する位置に位置している。また、誘導リブ454は、移動体453が最下位置にある場合には遊技球転動部452に没入した状態となり(図25参照)、移動体453が上昇するにつれ、遊技球転動部452から上方に突出するようになっている(図26参照)。従って、上記延出部456を介して遊技球が通過孔455bから遊技球転動部452へ入球すると、誘導リブ454の没入状態においては、遊技球は通過孔455aに向かってまっすぐ転動し、通過孔455aから遊技盤30面上へ排出される。又、誘導リブ454の突出状態においては、遊技球は誘導リブ454に沿って落下口457に導かれる。
【0160】
さて、図4に示すように、遊技盤30の内部には、可変駆動装置ユニット35a,35bの落下口457と繋がる一対の誘導流路Ya,Ybが形成されている。誘導流路Ya,Ybは、各落下口457から可変入賞装置ユニット32の下方に向けて傾斜しており、その最下位置において遊技盤30の前面側に開口している。誘導流路Ya,Ybの開口部(出口部)Y2は第2始動口34の直上方に位置しており、遊技盤面に臨んでいる。従って、可変駆動装置ユニット35a,35b内において落下口457より落下した遊技球は誘導流路Ya,Ybに沿って流下し、開口部Y2より遊技盤30面上に排出され、第2始動口34へ入球可能となる。誘導流路Ybが本実施の形態における第2の経路を構成する。
【0161】
本実施の形態では、上記駆動装置ユニット35a,35bの移動体453は、最下位置に位置している。このため、前記誘導流路Ya,Ybへは遊技球が入球不能となっている。換言すれば、常には(少なくとも通常遊技状態時には)、誘導流路Ya,Ybの遊技球の通過が禁止されている。
【0162】
また、前記遊技盤30において、可変入賞装置ユニット32の右側下部から右側の第1始動口33b情報の釘にかけて、通過禁止プレートSTが設置されている。かかる通過禁止プレートST等の存在により、遊技盤30の右側を流下する遊技球は、通常、第2始動口34への入球が禁止されるようになっている。換言すれば、第2始動口34に対し遊技球が入球する場合というのは、遊技盤30の向かって左側領域から入球する場合のみに限定されている。従って、本実施の形態では、遊技盤30のほぼ左側領域が第1の経路に相当するといえる。但し、遊技盤30の上部においては、例えば返しゴム54近傍にあっても、遊技球が跳ねて左側領域へ案内されることもあるため、かかる場合には、当該領域も第1の経路に該当するといえる。要するに、本実施の形態では、第2始動口34へ入球が不可能な遊技球、第2始動口34にとってのいわば「死に球」となる領域以外の領域が第1の領域に相当する。
【0163】
なお、図8に示すように、上記可変入賞装置ユニット32には、移動体403を上下動するための移動体用モータD1と、羽根405a,405bを開閉するための羽根用ソレノイドD2,D3とが設けられ、可変駆動装置ユニット35a,35bには、移動体453及び誘導リブ454を上下動するための移動体用ソレノイドD4,D5が設けられている。
【0164】
図27は、本パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に関して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0165】
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0166】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI割込み処理(図29参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理(図28参照)において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号S1が入力されるように構成されており、停電の発生により、図29の停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0167】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、音声ランプ制御装置262、可変入賞装置ユニット32、可変駆動装置ユニット35a,35bや、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
【0168】
さて、ここで主制御装置261について、現実の構成自体に拘束されず、主制御装置261を機能実現手段の集合体として捉えて説明する。即ち、以下に説明する各種機能はCPU501の制御下で実現される機能であり、その制御プログラムはROM502(場合によってはRAM503)の記憶内容に基づくものであり、その時々の必要なデータはRAM503に一時的に記憶保持されることとなるが、それらのプログラム上の要件等については当業者がなし得るものであるため、個々には説明しない。
【0169】
主制御装置261には各種計数カウンタが設定されている。例えば、上記発射球検出スイッチSW1からの検出信号に基づき、発射球数を計数する発射球数計数カウンタや、上記可変入賞装置ユニット32の羽根405a,405bの開放回数を計数する開放回数計数カウンタが設定されている。なお、発射球数計数カウンタが、本実施の形態における第1特定処理回数計数手段,発射球数計数手段,特定処理回数計数手段,特定処理実行回数判別手段を構成する。従って、発射される遊技球を検出して検出信号を出力する処理が、本実施の形態における第1の特定処理を構成する。また、開放回数計数カウンタは、本実施の形態における第2特定処理回数計数手段,開閉回数計数手段を構成する。従って、羽根405a,405bの開閉制御処理(可変入賞ユニット32を開状態とする処理)が、本実施の形態における第2の特定処理を構成する。
【0170】
主制御装置261は、「開放回数記憶手段」としての機能を有し、羽根405a,405bの開放回数を記憶していく。開放回数記憶手段は、本実施の形態における第2特定処理回数記憶手段,開閉回数記憶手段を構成する。詳しくは、発射球数計数カウンタの値が所定値になる(予め設定された特定周期値に達する)毎に、開放回数計数カウンタの値を参酌して、複数の記憶領域としての記憶エリアに時系列で順次記憶していく。なお、発射球数計数カウンタは前記所定値となる毎に初期化されず、総発射球数もカウントできるよう構成されている。また、開放回数記憶手段は、新たな開放回数計数カウンタの値を記憶する毎に、各記憶エリアのデータ更新を行い、記憶された最も古いデータを消去していく。従って、開放回数記憶手段には、常に最新の遊技状況を把握するためのデータが記憶されるようになっている。本実施の形態では、前記記憶エリアが20個設けられており、発射球数計数カウンタの値が「100」(この値が本実施の形態における特定周期値に相当する)となる毎、つまり遊技球が100回発射された間の羽根405a,405bの開放回数が、過去20回分記憶される。つまり、遊技球が2000回発射された間の開放回数のデータが時系列で記憶される。なお、ここに記憶されたデータは、後述する特別遊技状態の発生に伴い消去され、その値が「0」に戻る。前記2000回という遊技球の発射回数が、本実施の形態において、パチンコ機の起動時に予め設定される第1の設定回数に相当し、後述する回数判別手段はこの遊技球の発射回数(検出回数)に関連した設定回数を参酌して回数判別処理を実行する。
【0171】
主制御装置261は、「切換措置実行回数計数手段」としての機能を有し、後述する切換措置発生処理の実行回数をカウントする。なお、ここにカウントされた値は、後述する特別遊技状態の発生に伴い消去され、その値が「0」に戻る。切換措置実行回数計数手段は、本実施の形態における変化回数計数手段を構成する。
【0172】
主制御装置261は、「特別遊技状態発生手段」としての機能を有し、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる処理(後述する特別遊技状態発生処理)を行う。前記「特別遊技状態発生手段」は、本実施の形態における遊技状態移行手段を構成する。
【0173】
主制御装置261は、「回数判別手段」としての機能を有し、後述する切換措置発生判別処理が行われる際に、上記羽根405a,405bの開放回数が特定の開放回数より少ないか否かを判別する回数判別処理を実行する。なお、本実施の形態では、遊技機の起動時において、この羽根405a,405bの開放回数に関連した設定回数(前記特定の開放回数)として20回が設定される。前記20回という羽根405a,405bの開放回数が、本実施の形態において、パチンコ機の起動時に予め設定される第2の設定回数に相当する。
【0174】
主制御装置261は、「記憶消去手段」としての機能を有し、特別遊技状態の発生処理(データ消去処理)に伴い、上記開放回数記憶手段や切換措置実行回数計数手段に記憶されたデータを消去する処理を実行する。
【0175】
主制御装置261は、「計数値消去手段」としての機能を有し、特別遊技状態の発生処理に伴い、発射球数計数カウンタ及び開放回数計数カウンタの計数値を消去する、つまり0にリセットする処理を実行する。
【0176】
主制御装置261は、「再設定手段」としての機能を有し、上記回数判別処理を行うに際して、羽根405a,405bの開放回数に関連した設定回数、及び、遊技球の発射回数に関連した設定回数を、特定設定条件の成立に伴い、より小さな値に再設定する処理を行う。本実施の形態では、切換措置実行回数計数手段によってカウントされた値が「0」でない場合において、前記特定設定条件が成立し、前記各設定回数が再設定される。例えば、本実施の形態では、遊技球の発射回数に関連した設定回数が「2000」から「300」へ、羽根405a,405bの開放回数に関連した設定回数が「20」から「10」へ再設定される。なお、この場合、回数判別手段は、最新のデータが記憶された3つの記憶エリアを参酌して判別処理を行うこととなる。つまり、回数判別手段は、羽根405a,405bの開放回数に関連した設定回数及び遊技球の発射回数に関連した設定回数に応じて、参照する記憶領域の数を変化させる。
【0177】
また、払出制御装置311は、払出モータにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0178】
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
【0179】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI書込み処理(図29参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
【0180】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0181】
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
【0182】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541と、停電等により電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
【0183】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号S1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号S1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号S1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(図29のNMI割込み処理)を実行する。
【0184】
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に十分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0185】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号S2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
【0186】
次いで、主制御装置261内のCPU501により実行される各制御処理を図28〜図31のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上ここでは、先ずはじめにNMI割込み処理を説明し、その後でメイン処理を説明する。
【0187】
図29は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置261のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源断時に実行される。このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。
【0188】
すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号S1が停電監視回路542から主制御装置261内のCPU501のNMI端子に出力される。すると、CPU501は実行中の制御を中断して図29のNMI割込み処理を開始する。図29のNMI割込み処理は、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号S1が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込み処理が実行される。
【0189】
図29のNMI割込み処理において、先ずステップS801では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し、続くステップS802では、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する。さらに、ステップS803では、電源断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し、ステップS804では、電源が遮断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する。
【0190】
ステップS805ではRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。ステップS806では、RAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
【0191】
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、停電の発生等による電源断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号S1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号S1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して図29のNMI割込み処理を開始する。その内容は図29で説明した通りである(但し、ステップS804の電源断通知コマンドの送信は除く)。
【0192】
また、図28は、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0193】
先ずはじめに、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262,払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。また、ステップS102では、払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信し、続くステップS103では、RAMアクセスを許可する。
【0194】
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS104では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、続くステップS105では、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS106ではRAM判定値を算出し、続くステップS107では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
【0195】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS114等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS114等)に移行する。つまり、ステップS114ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS115ではRAM503の初期化処理を実行する。また、ステップS116では割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
【0196】
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS108では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS109では、電源断の発生情報をクリアする。ステップS110では、サブ側の制御装置を電源断時の遊技状態に復帰させるためのコマンドを送信し、ステップS111では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。さらに、ステップS112、S113では、割込み許可/不許可を電源断前の状態に復帰させた後、電源断前の番地へ戻る。
【0197】
次に、通常処理の流れを図30のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。まず始めに、ステップS201では、タイマ割込み処理を実行する。タイマ割込み処理が実行されると、各種入賞スイッチの読込み処理が行われる。すなわち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但しRAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
【0198】
その後、ステップS202では、第1始動口33a,33b又は第2始動口34への遊技球の入球に伴う始動処理を実行する。具体的には、第1始動口スイッチ224又は第2始動口スイッチ225からの検出信号に基づき、第1始動口33a,33b又は第2始動口34に遊技球が入球したか否かを判別し、受信してない場合にはこの始動処理を繰り返し行う。又、受信した場合には、続くステップS203において、可変入賞装置ユニット32の駆動処理を実行する。なお、前記駆動処理に合わせて、第1始動口33a,33b又は第2始動口34への遊技球の入球に関する払出許可コマンドを払出制御装置311へ出力する処理も行われる。
【0199】
前記駆動処理が実行されると、可変入賞装置ユニット32において羽根405a,405bが所定時間だけ開状態となる。なお、第1始動口スイッチ224から検出信号を受信した場合には羽根405a,405bが1回開放され、第2始動口スイッチ225から検出信号を受信した場合には羽根405a,405bが2回繰り返して開放される。そして、羽根405a,405bが開状態のときに、遊技球が可変入賞装置ユニット32内に入ると、遊技球は遊技球転動部404から誘導通路406を介して遊技球振分け機構402へ導かれる。このとき、カウントスイッチ233によって遊技球が検出され、検出信号が主制御装置261へ送信される。そして、ステップS204において、入賞確認処理が実行される。入賞確認処理が実行されると、当該入賞に関する払出許可コマンドを払出制御装置311へ出力する処理と、各種カウンタ値等の確認処理とが行われる。例えば、上記発射球数計数カウンタ、開放回数記憶手段や切換措置実行回数計数手段を参酌して、その値を確認する処理が行われる。
【0200】
その後、ステップS205では、特別遊技状態発生確認処理が行われる。遊技球が遊技球振分け機構402へ導かれると、遊技球は回転体414のいずれかの収容部に収容される。ここで、遊技球が第3収容部423に収容された場合には、遊技球が上記特定領域に導かれ、特定領域スイッチ222によって検出される。特別遊技状態発生確認処理では、この検出信号を受信したか否か、すなわち遊技球が特定領域に入賞したか否かを判別する。そして、遊技球が特定領域に入賞した場合には、ステップS206において、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生処理が実行され、一旦通常処理が終了する。
【0201】
又、遊技球が特定領域に入賞しなかった場合には、ステップS207に移行し、切換措置発生判別処理を実行する。この処理においては、先ず上記切換措置実行回数計数手段を参酌してその値の判別処理が行われ、その値が「0」である場合には、上記開放回数記憶手段に記憶された過去20回分(遊技球2000個が発射された間)のデータを参酌して総開放数が20回より少ないという条件を満たしているか否かを判別し、この条件を満たしていない場合には、ステップS202に戻る。なお、この処理においては、上記再設定手段によって総開放数の設定回数等が再設定されることで上記判別処理とは異なる判別処理が行われる。具体的には、切換措置実行回数計数手段の値の判別処理において、その値が「0」でない場合には、前記再設定処理が行われ、総開放数の設定回数が「20」から「10」に再設定され、発射球数の設定値が「2000」から「300」に再設定される。この場合、上記開放回数記憶手段の最新のデータを記憶した記憶エリアから順に3つの記憶エリアを参酌して、すなわち過去3回分(遊技球300個が発射された間)のデータを参酌して総開放数が10回より少ないという条件を満たしているか否かを判別し、この条件を満たしていない場合には、同様にステップS202に戻る。上記総開放数が20回より少ないという条件を満たしている場合、又は、再設定が行われた場合の判別処理においてその条件を満たしている場合(上記条件が本実施の形態における所定条件に相当する)には、ステップS208に移行する。そして、ステップS208において、切換措置発生処理が実行され、一旦通常処理が終了する。なお、上記切換措置発生判別処理では、前記開放回数記憶手段において過去20回分のデータが記憶されていない場合には、上記総開放数が20回より少ないという条件を満たしているか否かを判別する処理の代わりに、総開放数が、データが記憶された記憶エリアの数以上であるという条件を満たしているか否かといった判別処理が行われる。このように、本実施の形態では、主制御装置261により条件成立判断手段が構成されている。
【0202】
ここで、切換措置発生処理について説明する。この処理が実行されると、可変駆動装置ユニット35a,35bを駆動制御する処理が行われ、当該ユニット35a,35bの移動体453が所定回数上下動を行う。詳しくは、移動体453は、3秒かけて最上位置まで上昇し(切換部材の第1の状態に相当)、3秒かけて最下位置まで下降する(切換部材の第2の状態に相当)動作を5回繰り返し行う。従って、この際、遊技者が可変駆動装置ユニット35a,35bに向けて遊技球を発射すると、そのうちのいくつかは上述したように通過口455bを通って誘導リブ454に導かれ、落下口457へ落下し、誘導流路Ya,Ybを通って開口部Y2より排出される。そして、そのうちのいずれかの遊技球が第2始動口34へ入球する。つまり、通常時に比べて、遊技球が第2始動口34へ入球しやすくなる。従って、切換措置発生処理が実行されることにより、遊技状態が通常状態より、前記第1入球手段としての第2始動口34への単位時間あたりの入球率を高めることができる切換措置発生状態へ変化する。換言すれば、このような切換措置が実行されることで、それまでは右側領域からの第2始動口34への入球が、誘導流路Ybの通過が許容されることで、可能となる。
【0203】
次に、特別遊技状態発生処理の流れを図31のフローチャートを参照しながら説明する。まず始めに、ステップS211では、可変入賞装置ユニット32の駆動処理を実行する。具体的には、羽根405a,405bの開閉処理、及び、遊技球停留処理が行われる。前記開閉処理が実行されると、羽根405a,405bの開閉が所定回数(例えば18回)行われる。遊技球停留処理が実行されると、主制御装置261から第1遮蔽機構431及び第2遮蔽機構432へ制御信号が送信され、第1ソレノイド436及び第2ソレノイド442が励磁される。これにより、第1通過口425及び第3通過口427が閉鎖され、第1収容部421又は第3収容部423に収容された遊技球は、通過口425,427から排出されず、各収容部に停留する。そして、ステップS212において、入賞処理が行われる。この入賞処理が実行されると、当該入賞に関する払出許可コマンドを払出制御装置311へ出力する処理と、カウントスイッチ233から検出信号に基づき入賞数をカウントする入賞数カウント処理が行われる。
【0204】
続くステップS213では、ラウンド終了判別処理が実行される。ラウンド終了判別処理は、所定終了条件を満たしているか否か、例えば前記駆動処理が開始されてから所定時間経過したか、前記入賞カウント数が所定個数に達したか等を判別し、所定終了条件を満たしていない場合には、ステップS212に戻る。又、所定条件を満たしている場合には、その後ステップS214においてラウンド終了処理を実行する。具体的には、遊技球停留解除処理が実行される。すなわち、主制御装置261から第1遮蔽機構431及び第2遮蔽機構432へ制御信号が送信され、第1ソレノイド436及び第2ソレノイド442が非励磁状態に戻される。これにより、第1通過口425及び第3通過口427が開放され、第1収容部421又は第3収容部423に収容された遊技球が、通過口425,427から排出される。そして、続くステップS215ではラウンド継続判別処理を実行する。この処理では、所定継続条件を満たしているか否か(遊技球が特定領域に入賞したか否か、かつ、所定のラウンド回数に達していないか否か)を判別し、所定継続条件を満たしている場合には、ステップS211に戻る。又、所定継続条件を満たしていない場合には、ステップS216において開放回数記憶手段や切換措置実行回数計数手段等のデータ消去処理を行って後、特別遊技状態発生処理を終了し、上記通常処理に戻る。
【0205】
なお、本実施の形態では、通常、遊技球振分け機構402へ導かれた遊技球が第3収容部423に収容される確率は1/10である。しかし、上記特別遊技状態が発生して上記遊技球停留処理が行われることにより、初めに導かれてきた遊技球が第1収容部421に収容され停留した場合には、次に導かれてきた遊技球が第3収容部423に収容される確率は1/9となる。このように、第3収容部423に遊技球が収容されないまま、遊技球振分け機構402へ次々に遊技球が導かれ、第1収容部423に収容され停留されていったとすると、第3収容部423に遊技球が収容される確率は、第1収容部421に停留している遊技球の数に応じて高くなる。なお、第2収容部422には遊技球が停留されないため、第3収容部423に収容される確率は最大で1/2となる。
【0206】
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。図32は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0207】
先ず始めに、ステップS901では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。また、ステップS902では、主制御装置261から送信される払出許可コマンドを受信するまで待機する。そして、払出許可コマンドを受信した時点でステップS903に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS904で外部割込みベクタの設定を行う。
【0208】
その後、CPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS905では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判別し、続くステップS906では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS907ではRAM判定値を算出し、続くステップS908では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
【0209】
RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS915等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM513の初期化処理(ステップS915等)に移行する。つまり、ステップS915ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS916ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS917ではCPU周辺デバイスの初期設定を行うと共に、ステップS918では割込み許可を設定し、後述する払出制御処理に移行する。
【0210】
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS909では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS910では、電源断の発生情報をクリアする。また、ステップS911では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS912では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS913,S914では、割込み許可/不許可を電源断前の状態に復帰させた後、電源断前の番地へ戻る。
【0211】
次に、払出制御処理の流れを図33のフローチャートを参照しながら説明する。
【0212】
図33において、ステップS1001では、主制御装置261からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する。ステップS1002では、発射制御装置312に対して発射許可の設定を行う。また、ステップS1003では、状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
【0213】
その後、ステップS1004では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS1005では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった特、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
【0214】
その後、ステップS1006では、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
【0215】
ステップS1007〜S1009では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく、且つ前記ステップS1001で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS1007,S1008が共にNO)、ステップS1009に進み、賞球制御処理(後述する図34)を開始する。また、賞球の払出不可状態、又は総賞球個数が0であれば」(ステップS1007,S1008の何れかがYES)、貸球払出の処理に移行する。
【0216】
その後、ステップS1010〜S1012では、貸球払出の処理を実行する。この場合、貸球の払出不可状態でなく、且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(ステップS1010がNO、S1011がYES)、ステップS1012に進み、貸球制御処理(後述する図35)を開始する。また、貸球の払出不可状態、又は貸球払出要求を受信していなければ(ステップS1010がYES又はS1011がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
【0217】
ステップS1013では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS1014では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本払出制御処理の先頭に戻る。
【0218】
ここで、図34に示す賞球制御処理において、ステップS1101では、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS1102では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1103に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図33の払出制御処理に戻る。
【0219】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1104に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1105に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図33の払出制御処理に戻る。
【0220】
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1106に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1107で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図33の払出制御処理に戻る。
【0221】
また、図35に示す貸球制御処理において、ステップS1201では、払出モータ358aを駆動させて貸球の払出を実行する。続くステップS1202では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1203に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図33の払出制御処理に戻る。
【0222】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1204に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1205に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図33の払出制御処理に戻る。
【0223】
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1206に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1207で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図33の払出制御処理に戻る。
【0224】
以上詳述したように、所定個数(本実施の形態では2000個)の遊技球が発射された間の羽根405a,405bの総開放数が所定回数(本実施の形態では20回)より少ないという条件を満たしている場合、つまり、羽根405a,405bの開放が行われる割合が少ない場合には、遊技球が第2始動口34へ入球し易くなるよう、上記切換措置発生処理を実行する。この処理の実行により、遊技状態が通常状態より、第1入球手段としての第2始動口34への単位時間あたりの入球率を高めることができる切換措置発生状態へ変化する。従って、遊技球の発射数が比較的多い割に、羽根405a,405bの開放回数が比較的少ないといった状況を緩和するとともに、遊技球が第2始動口34へ入球し易くなることで、特別遊技状態の発生する機会も増え、遊技者にとっての興趣の向上を図ることができる。特別遊技状態の発生につながる羽根405a,405bの開放といった遊技者にとって有利な処理が行われる回数が少ない場合、つまり遊技者にとって不利な状況が比較的長く続いた場合等において、その効果がより一層高まり、遊技者にとっての興趣の低下抑制が図られる。さらに、遊技球が第1始動口33a,33bや第2始動口34へ案内されにくいような状況下において、その効果は高まる。
【0225】
また、通常状態では、ほとんど左側領域からしか、第2始動口34には、入球が許容されなかったのに対し、このような切換措置が実行されることで、それまでは通過が禁止されていた誘導流路Ya,Yb(特にYb)の通過が許容され、それに伴い右側領域からの第2始動口34への入球が許容される。そのため、上述した第2始動口34への入球機会が増える喜びとともに、第2始動口34の入球経路の増大にも面白みを覚え、遊技球の挙動の多様化を堪能することができる。かかる意味でも、一層の興趣の向上を図ることができる。
【0226】
また、遊技球を発射するという遊技の契機となる処理を基準にして、その実行回数(遊技球の発射回数)に対する羽根405a,405bの開放の割合を判別しているため、他の処理を基準にする場合に比べて、遊技状況(遊技時間や消費される遊技球数等に対する第2の特定処理の実行回数の割合が多いか少ないか等)の判別をより的確に行うことができる。
【0227】
また、上述したように、内枠12の左右一側部(左側部、図8の右側)には補強部材を構成する長尺状の支持金具235を上下方向へ延びるように設けるとともに、内枠12の左右他側部(右側部、図8の左側)には内枠12及び前面枠セット14の開放を禁止するように施錠する施錠機構G1を設け、図8等を参照して分かるように、遊技盤30を内枠12の幅内において前記支持金具235及び連動部材G2を左右に振り分けて配置するための領域を残した幅となるように形成するとともに、図4等を参照して分かるように、遊技盤30の左右両側部には内枠12の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように部分的に凹部を形成し、さらに、レール部材を構成するレールユニット50のうち、遊技領域の最大幅となる位置を、遊技盤30の左右端位置に至るように配設することにより、
遊技領域の拡張が図られている。
【0228】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0229】
(a)上記実施の形態では、遊技状態変化手段として、遊技球が誘導流路Ya,Ybによって導かれることで、第2始動口34へ入球し易くなるような構成が採用されている。これに限らず、遊技球が第2始動口34へ確実に導かれる誘導流路を設けた構成としてもよい。もちろん、誘導流路によって導かれる先を第1始動口33a,33bとした構成としてもよい(この場合、第1始動口33a,33bが第1入球手段を構成することとなる)。
【0230】
また、一方の誘導流路Yaを省略する構成としてもよい。
【0231】
(b)上記実施の形態において、1回の切換措置の発生に伴う切換措置時間(第1始動口33a,33b等への入球率を高めることができる状態)は、可変駆動装置ユニット35a,35bの駆動時間つまり移動体453が上下動を5回繰り返し行う間となっている。これに限らず、切換措置が発生してから特別遊技状態が発生するまでの間、可変駆動装置ユニット35a,35bが駆動し続けるような構成、つまり第2始動口34等への入球率を高めることができる状態が継続する構成としてもよい。また、特別遊技状態の発生とは異なる切換措置の終了条件を設定した構成としてもよい。例えば、所定個数(例えば100個)の遊技球が発射された間の羽根405a,405bの総開放数が所定回数(例えば50回)以上となった場合には、切換措置が終了するような構成としてもよい。
【0232】
(c)上記再設定手段によって複数段階にわたって各設定値が再設定される構成としてもよい。例えば、特別遊技状態が発生せずに、遊技球の発射回数が増えていく場合等において、羽根405a,405bの総開放数の設定回数が「20」から「15」へ、さらに「15」から「10」へというように、遊技球の発射回数が所定回数に達する毎に、設定回数が下がっていくような構成としてもよい。加えて、開放時間が段階的に長くなるような構成としてもよい。もちろん、これは上記(a)に記載の特定開閉部材を備えた構成でも言えることである。
【0233】
(d)上記実施の形態に限らず、別の所定条件の成立に基づき、上記切換措置が行われる構成としてもよい。例えば、遊技球の発射回数が所定回数行われた際に、所定の抽選手段により抽選処理を行い、その抽選結果に基づき所定の切換措置が行われる構成としてもよい。加えて、特別遊技状態が発生せずに、遊技球の発射回数が増えていく場合等において、段階的に切換措置の行われる抽選確率が高くなるようにしてもよい。
【0234】
(e)上記実施の形態では詳述しなかったが、もちろん切換措置の実行処理に関する情報も、上記電源断時等において実行されるバックアップにより、一時記憶される。
【0235】
(f)上記実施の形態では、可変駆動装置ユニット35a,35bが、切換措置が行われる際に駆動されるようになっているが、これに限らず、移動体453が定期的に上下動を行うよう構成するとともに、切換措置が行われる際には、遊技者にとって有利に働くよう、移動体453の動作速度が遅くなる、最上位置における停留時間が長くなる、頻繁に動作する等の制御が行われるような構成としてもよい。
【0236】
(g)上記実施の形態では、発射される遊技球を発射球検出スイッチSW1により検出して検出信号を出力する処理、つまり遊技球の発射回数を、遊技状況(遊技時間や消費される遊技球数等に対する羽根405a,405bの開放回数の割合が多いか少ないか等)の判別を行う契機(タイミング)を計る上での契機判断基準にしている。契機判断基準は、これに限られるものではなく、例えば、第1始動口33a,33b等や可変入賞装置ユニット32への遊技球の入球回数等を基準としてもよい。従って、以下の構成で実施することも可能である。例えば、第1始動口33a,33b又は第2始動口34へ入球する遊技球を第1始動口スイッチ224又は第2始動口スイッチ225により検出して検出信号を出力する処理を本実施の形態における第1の特定処理とし、当該処理の実行回数を計数する第1入球回数計数手段(第1特定処理回数計数手段)としての入球計数カウンタを備え、この値に基づいて遊技状況を判別してその判別結果に基づき上記切換措置が行われる構成としてもよい。又、第2入球手段としての可変入賞装置ユニット32へ入球する遊技球を第2入球検出手段としてのカウントスイッチ223により検出する処理をこの実施の形態における第1の特定処理とし、当該処理の実行回数を計数する第2入球回数計数手段(第1特定処理回数計数手段)として入球計数カウンタを備え、この値に基づいて遊技状況を判別してその判別結果に基づき上記切換措置が行われる構成としてもよい。
【0237】
(h)上記実施の形態では、羽根405a,405bの開放回数が遊技球の発射回数に比べてどれくらい割合で行われているかという判別処理のもとに、上記切換措置を行うか否かが決定される。すなわち、遊技状況の判別を行うにあたり、羽根405a,405bの開放回数の多少を、上記切換措置が行われるか否かの判断基準(所定の設定数値と比較する対象)としている。判断基準はこれに限られるものではなく、例えば、第1始動口33a,33b、第2始動口34や可変入賞装置ユニット32への遊技球の入球回数等を判断基準としてもよい。従って、以下の構成で実施することも可能である。例えば、第1始動口33a,33b又は第2始動口34へ入球する遊技球を第1入球検出手段としての第1始動口スイッチ224又は第2始動口スイッチ225により検出して検出信号を出力する処理をこの実施の形態における第2の特定処理とし、当該処理の実行回数を計数する第1入球回数計数手段(第2特定処理回数計数手段)としての入球計数カウンタを備え、この値に基づいた判別結果に応じて上記切換措置が行われる構成としてもよい。又、第2入球手段としての可変入賞装置ユニット32へ入球する遊技球を第2入球検出手段としてのカウントスイッチ223により検出して検出信号を出力する処理をこの実施の形態における第2の特定処理とし、当該処理の実行回数を計数する第2入球回数計数手段(第2特定処理回数計数手段)として入球計数カウンタを備え、この値に基づいた判別結果に応じて上記切換措置が行われる構成としてもよい。又、特別遊技状態の発生処理(特別遊技状態への移行処理)をこの実施の形態における第2の特定処理とし、当該処理の実行回数を計数する発生回数計数手段(移行回数計数手段,第2特定処理回数計数手段)を備え、この値に基づき上記切換措置が行われる構成としてもよい。
【0238】
(g)上記実施の形態では、いわゆる第2種のパチンコ機10が実施例として挙げられているが、これに限らず、上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機や他の遊技機等として実施することも可能である。例えば、特別遊技状態への移行処理が行われた後、所定条件の成立に基づき特別遊技状態の発生処理が行われる、いわゆる第3種のパチンコ機として実施してもよい。
【0239】
(h)上記実施の形態では、遊技盤30の内部に誘導流路Ya,Ybを設けることで、その流路本体を通過する遊技球を視認不能としているが、当該流路本体の前面部を透明部材で覆う等して、流路本体を通過する遊技球を視認可能としてもよい。また、遊技盤30の裏側に一体導かれ、その裏側を通って開口部Y2に導出されるよう構成してもよい。
【0240】
(i)また、上記実施の形態では、遊技盤30面の後側に流路本体を設けることとしているが、遊技盤30面の表側に誘導流路を設けることとしてもよい。この場合、誘導流路を釘以外の別部材で構成することとしてもよい。
【0241】
(j)上記実施の形態では、遊技盤30の主として左側領域により第1の経路が構成され、誘導流路Ybにより第2の経路が構成されているものとして説明されている。この点、主として遊技盤30面により第1の流路が構成され、誘導流路Ya,Ybにより第2の経路が構成されているものとしてもよい。また、この場合、通過禁止プレートSTを省略する構成としてもよい。さらに、可変駆動装置ユニット35a,35b及び誘導流路Ya,Ybを省略し、通過禁止プレートSTをその下端部側を支点に回動可能に構成してもよい。この場合、所定条件の成立に基づき、通過禁止プレートSTが回動されることに伴い、それまで通過禁止プレートSTにて塞がれていた経路(第2の経路に相当)が通過可能となり、該経路を経て第2始動口34の方へ案内されやすくすることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】前面枠セットを開放した状態のパチンコ機を示す斜視図である。
【図3】前面枠セットを開放した状態における内枠等を示す正面図である。
【図4】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図5】前面枠セットの構成を示す背面図である。
【図6】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図7】パチンコ機裏面における第1制御基板ユニット、第2制御基板ユニット及び裏パックユニットの配置を示す模式図である。
【図8】内枠及び遊技盤の構成を示す背面図である。
【図9】内枠の背面構成を示す斜視図である。
【図10】支持金具の構成を示す斜視図である。
【図11】第1制御基板ユニットの構成を示す正面図である。
【図12】第1制御基板ユニットの構成を示す斜視図である。
【図13】第1制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図14】第1制御基板ユニットの背面構成を示す分解斜視図である。
【図15】第2制御基板ユニットの構成を示す正面図である。
【図16】第2制御基板ユニットの構成を示す斜視図である。
【図17】第2制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図18】裏パックユニットの構成を示す正面図である。
【図19】裏パックユニットの分解斜視図である。
【図20】タンクレールの分解斜視図である。
【図21】可変入賞装置ユニットの正面図である。
【図22】遊技球振分け機構の斜視図である。
【図23】遊技球振分け機構の一部を示す分解斜視図である。
【図24】可変駆動装置ユニットの正面図である。
【図25】移動体が最下位置にある時の可変駆動装置ユニットの斜視図である。
【図26】移動体が最上位置にある時の可変駆動装置ユニットの斜視図である。
【図27】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図28】主制御装置におけるメイン処理を説明するためのフローチャート図である。
【図29】NMI割込み処理を説明するためのフローチャート図である。
【図30】通常処理を説明するためのフローチャート図である。
【図31】特別遊技状態発生処理を説明するためのフローチャート図である。
【図32】払出制御装置におけるメイン処理を説明するためのフローチャート図である。
【図33】払出制御処理を説明するためのフローチャート図である。
【図34】賞球制御処理を説明するためのフローチャート図である。
【図35】貸球制御処理を説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
10…遊技機としてのパチンコ機、30…遊技盤、32…第2入球手段を構成する可変入賞装置ユニット、34…第1入球手段を構成する第2始動口、35a,35b…切換手段、切換部材を構成する可変駆動装置ユニット、221…入賞口スイッチ、222…特定領域スイッチ、223…第2入球検出手段を構成するカウントスイッチ、225…第1入球検出手段を構成する第2始動口スイッチ、228…発射手段を構成するセットハンドル、229…発射手段を構成する発射モータ、261…主制御装置、403…移動体、405a,405b…開閉部材としての羽根、453…移動体、454…誘導リブ、455a,455b…通過孔、456…延出部、457…落下口、SW1…発射球検出手段としての発射球検出スイッチ、Ya…誘導流路、Yb…第2の経路を構成する誘導流路、Y2…開口部。
Claims (1)
- 遊技球の発射処理を行う発射手段と、
発射された遊技球が案内される遊技領域と、
常には遊技球の通過が許容されている第1の経路と、
前記第1の経路とは別に、遊技球を案内可能に構成された第2の経路と、
前記第1の経路又は前記第2の経路を経た遊技球が入球可能な第1入球手段と、
前記第1入球手段へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う第1入球検出手段と、
開閉可能な開閉部材を有し、当該開閉部材の開状態において遊技球が入球可能な第2入球手段と、
前記第2入球手段へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う第2入球検出手段と、
前記第1入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、前記開閉部材の開閉制御処理を行う開閉部材制御手段と、
前記第2入球手段へ入球した遊技球が入球可能な特定入球部と、
前記特定入球部へ入球した遊技球を検出して検出信号を出力する処理を行う特定入球検出手段と、
前記特定入球検出手段からの検出信号の出力に基づき、遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるための移行処理を行う遊技状態移行手段とを備えた遊技機において、
所定条件が成立した場合に限り、遊技球の前記第2の経路の通過を許容するよう切換える切換手段を設けたことを特徴とする遊技機。
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