JP3856182B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技球の排出を検出する排出球検出手段の出力を遊技制御装置と排出制御装置に分配入力し、各々で賞球排出数を計数し、遊技制御装置側で入賞球排出装置による入賞球の排出を制御する遊技機(例えば、パチンコ遊技機)に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、遊技機(特に、パチンコ遊技機)では、遊技盤前面の遊技領域にある入賞口への入賞に基づき、その賞たる賞球の排出を行う排出装置と、排出装置の排出動作を制御する排出制御装置と、役物を制御する役物制御装置とを備えている。
排出制御装置では、役物制御装置から送出される賞球数情報(賞球数データ)に基づいて排出装置に組み込まれている排出センサ1、2の入力、排出ソレノイド1、2への出力を制御して、当該賞球数情報分の遊技球を払い出している。そして、排出制御装置側でセーフユニット(入賞球排出装置)のセーフソレノイドを駆動して、当該賞球情報に関わったセーフ球を遊技機外に排出する。
この場合、セーフ処理のところを詳細に述べると、遊技機はセーフユニットを有しており、セーフユニットは球を1個宛排出可能な機構を備え、セーフセンサ、セーフソレノイド、カム等から構成される。セーフユニットに組み込まれているセーフセンサの信号は役物制御装置へ一旦入り、役物制御装置上でセーフセンサからの信号を2つに分配し、一方を役物制御装置への入力とし、他方を排出制御装置への入力とする。また、セーフソレノイドは排出制御装置のみによって制御される。
【0003】
役物制御装置は、セーフセンサからの入力でセーフ球を検出すると、賞球数記憶があるか否かを確認する。この場合、例えば7個賞球および13個賞球の2系統の役物賞球がある遊技機の例で説明すると、始動口が7個、それ以外の入賞は13個という賞球排出になる。
ここでは、説明の都合上、始動口ヘの入賞が賞球数記憶となる例を取る。なお、始動口ヘの入賞は始動口入賞への特図記憶とは異なる。特図記憶は4個まで有効であるが、賞球数記憶は始動口へ入賞した分有効である。
いま、賞球数記憶があるとすると、役物制御装置は賞球数情報(7個)を排出制御装置へ送信する。これは、役物制御装置→排出制御装置へという単一方向の通信であり、賞球数情報を繰り返して送るいわゆる垂れ流しの方式となっている。
【0004】
排出制御装置では、賞球数情報を受信すると、排出装置の排出センサ1、2および排出ソレノイド1、2を制御して当該賞球数情報分の遊技球を遊技者側へ払い出し、そのとき排出球数を計数し、計数値が所定値に達したら賞球の払い出しが終了(すなわち、 その賞球の払い出しが完了したら、若しくは払出しの途中であっても、あるいは賞球払出信号を送信した時点で)したと判断し、排出制御装置は上述したセーフユニットのセーフソレノイドを制御(駆動)して当該賞球数情報に関わったセーフ球を遊技機外へ排出する。すなわち、排出制御装置側で一連の排出動作が全て行われている。
なお、このとき、そのセーフ球(遊技機外へ排出されるセーフ球)をトリガーにして賞球数情報が決定されており、したがって、遊技機外へ排出されるセーフ球は賞球数情報の決定に関わったものであって、当該賞球数情報分の遊技球の遊技者側への払い出しが終了したセーフ球である。
次いで、排出制御装置はセーフセンサの入力が球有りから球無しになった状態を確認すると、正常に排出制御処理が終了したと判断する。また、役物制御装置でもセーフセンサの入力が球有りから球無しになった状態を確認すると、排出制御装置による排出制御処理が正常に終了したと判断し、そのタイミングで賞球数記憶を減算する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の遊技機にあっては、以下のような問題点があった。
(イ)遊技球の排出動作は遊技機の中で、最も重要な構成要素の1つであり、そのため、それを1つの制御回路(すなわち、排出制御装置にある回路)で実行するのはセキュリティの面で問題があった。
(ロ)従来の遊技機の場合、遊技盤前面の遊技領域にある入賞口への入賞が検出され、その賞球の払い出しが排出装置によって完了したら(若しくは払い出しの途中であっても、あるいは賞球払出信号を送信した時点で)、排出制御装置でセーフユニットのセーフソレノイドを駆動してセーフ球を遊技機外へ排出していたので、排出制御装置の制御を行うプログラムが書き込まれた排出制御用ROMの容量が大きくなっていた。すなわち、排出制御用ROMには排出開始条件が揃っているか否かの判断処理、遊技球を排出流路に流下可能な電気的駆動源(排出ソレノイド等)の駆動制御、賞球数情報に関わったセーフ球を排出する制御のプログラムという排出制御に関わる一連のプログラムを記憶していたため、排出制御用ROMの容量が大きくなっていた。
ところが、ただでさえ、排出制御装置は賞球排出のためのソレノイドの駆動や賞球排出に関連するランプの点灯等の制御を行っているため、大変に複雑な制御になっているにもかかわらず、排出球数の計数やセーフユニットのセーフソレノイドを駆動してセーフ球を排出するという処理のためのプログラムまで記憶させることは決して効率が良いとはいえなかった。
【0006】
(ハ)また、排出制御装置に遊技球の排出に関する動作制御を全て任していたため、排出制御装置に不正を行うことにより、実際は賞球排出を行っていないにもかからわず、排出装置を誤動作させて賞球球を排出することが可能であった。したがって、このような不正が簡単に行えないようにするための、何等かの対策を行うのが望ましい。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、遊技球排出動作のセキュリティを高め、不正の行いにくい遊技機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明による遊技機は、入賞球を1個宛て検出するセーフセンサを有し、該検出された入賞球をトリガーにして賞球数が決定され、該賞球数の決定に関わった入賞球を排出させる指令信号に基づいて入賞球を1個ずつ排出する入賞球排出装置と、
遊技球の排出を検出する排出球検出手段および遊技球を遊技者側へ所要数排出する球排出機構を備えた排出装置と、
所要数の遊技球を遊技者側へ排出するように前記排出装置を制御する排出制御装置と、
前記入賞球排出装置によって検出された入賞球に対応した賞球数を決定し、賞球排出すべく賞球数を前記排出制御装置へ送信するとともに、遊技に関する動作を制御する遊技制御装置と、を備えた遊技機において、
前記排出球検出手段により検出された検出信号を前記排出制御装置と遊技制御装置に分配可能な分配手段を設け、
前記排出制御装置は、
前記排出装置における排出動作を開始可能とする排出可能条件が成立しているか否かを判定する排出可能条件成立判定手段と、
前記分配手段により分配された検出信号に基づいて遊技球を計数し、遊技制御装置から送信された賞球数になったか否かを判定する排出数判定手段と、を有し、
前記遊技制御装置は、
前記排出可能条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合に、前記賞球数を決定し、該賞球数を前記排出制御装置へ送信可能とする賞球データ送信可能状態判定手段と、
前記分配手段により分配された検出信号に基づいて前記排出制御装置の制御により排出される排出装置からの遊技球を計数し、送信した賞球数になったか否かを判定する賞球排出数監視手段と、
前記賞球排出数監視手段で送信した賞球数になったと判定された場合に、前記賞球数の決定に関わった入賞球を排出させる指令信号を前記入賞球排出装置に出力する入賞球排出動作指令手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。最初に、第1の実施の形態から説明する。
【0010】
「第1の実施の形態」
A.遊技機の正面構成
図1は遊技機の正面図である。図1において、1はいわゆるCR機と称される遊技機であり、遊技機1にはカード式球貸機(以下、単に球貸機という)2が併設されている。球貸機2にはカードリーダーが内蔵され、球貸機2の前面パネル3にはプリペイドカードが挿入されるカード挿入口4が形成されているとともに、前面パネル3(開閉可能な構造)を施錠する鍵装置5が設けられている。
【0011】
遊技機1は額縁状前面枠11と、ガラスを支持する樹脂製のガラス枠12と、遊技領域の形成された遊技盤13と、前面表示パネル14と、前面表示パネル14の下方の前面操作パネル15とを有している。額縁状前面枠11は木製の機枠16(図2参照)に対して上部蝶番17および下部蝶番18によって開閉可能に支持され、ガラス枠12は額縁状前面枠11に開閉可能に支持されている。なお、ガラス枠12は鍵装置19によって開閉可能に施錠されている。
【0012】
前面表示パネル14には賞球を受ける上皿21が形成されるとともに、遊技球を購入するときに操作する球貸釦22、プリペイドカードの残高を表示するカード度数表示器(カード残高表示器)23、プリペイドカードを排出するときに操作するカード排出釦(返却釦)24、および上皿21の球を後述の下皿32に移すために両者を接続する通路を開閉するための開閉レバー25が設けられている。なお、上皿21の内部には遊技音等を出力するスピーカが設けられているが、図示略している。
前面操作パネル15には、灰皿31および下皿32が形成されるとともに、下皿32に貯留された球を外部下方に抜くための球抜きレバー33が設けられている。また、前面操作パネル15の右端部側には発射装置の発射操作ノブ34が設けられている。
【0013】
上皿21は上面が開放して遊技球を貯留可能な球貯留部が形成されるとともに、前面表示パネル14の前面側から前方に突出し、かつ上皿21の下側部分が前面表示パネル14の下端近傍まで延在する膨出形状に形成されている。また、下皿32は上面が開放して遊技球を貯留可能な球貯留部が形成されるとともに、上皿21と比較的接近した位置において遊技機1の前面側から前方に突出した膨出形状に形成されるとともに、下皿32の両側に側壁部材35a、35bが配置されている。そして、膨出形状に形成した上皿21の下側部分において前面表示パネル14の当接する当該上皿21の当接箇所の近傍から上皿21の前端部にかけて上皿21の中央底部を左右対象に削り取るように斜昇する斜昇壁面36が形成され、この斜昇壁面を形成することにより、下皿32の上方空間を大きく確保して、遊技者が遊技盤13に目を向けたままで下皿32の遊技球を掻き出すことが容易で、かつ遊技機1後部の見学者に対して下皿32に貯留された出球をアピールすることが可能になっている。
【0014】
次に、遊技盤13における遊技領域はパチンコ球を用いて遊技を行うものであれば、例えばいわゆる「第1種」に属するものあるいは図柄表示装置を備えた「第3種」に属するもの、あるいは他の機種等であっても、任意の構成をとり得るが、一例として本実施の形態では「第1種」に属するタイプのものを用いている。
遊技盤13にはアウト球流入口41、レール42、特別図柄表示装置43、普通電動役物タイプの始動入賞口44、変動入賞装置45(大入賞口)、普図始動ゲート46、47、複数の一般入賞口48〜50、特図始動記憶表示器51、普通図柄表示装置52、普図始動記憶表示器53、サイドランプ54、55、風車と呼ばれる打球方向変換部材(図示略)、多数の障害釘(図示略)が設けられている。
一方、遊技機1の額縁状前面枠11の上部には大当り時に点灯(点滅状態も含む)する大当り表示器56が設けられているとともに、大当り表示器56の側方には島設備から球を補給したときに点灯するとともにエラー発生の場合に点滅する補給ランプ57および賞球排出時および球貸し時に点灯する賞球ランプ58が設けられている。
【0015】
B.遊技機の裏機構
次に、図2は遊技機1の裏機構を示す図である。図2において、遊技機1における裏機構の主要な部品としては、貯留タンク(上タンク)101、誘導路102、ターミナル基盤(外部端子基盤)103、半端センサユニット104、排出ユニット105、排出制御ユニット106、役物制御ユニット107、役物中継基盤108、発射ユニット109、カードユニット接続基板110、セーフユニット111、裏機構盤の基枠体112(裏メカベース)、音制御ユニット113、発射制御ユニット115、表示制御ユニット116、及び装飾制御ユニット117がある。
なお、役物制御ユニット107、役物中継基盤108、及び音制御ユニット113は、この場合遊技盤13の裏側に取り付けられており、また表示制御ユニット116は、センター役物(特別図柄表示装置43)の後部に配設されている。なお、各制御ユニットの取り付け位置は、図2の態様に当然限られず、例えば役物制御ユニット107が基枠体112に取り付けられる場合も有り得る。
【0016】
基枠体112は、合成樹脂製の一体成型品から形成され、遊技機1の前面枠11の裏側に固定された金属フレーム121に取り付けられている。そして、この基枠体112の上に各種の部品、例えば貯留タンク101、誘導路102、ターミナル基盤103、半端センサユニット104、排出ユニット105、排出制御ユニット106、発射ユニット109、カードユニット接続基板110、セーフユニット111、発射制御ユニット115、装飾制御ユニット117などが取り付けられており(例えば、ワンタッチの保持部材によって固定される)、これらの各種部品と基枠体112とを総称する概念として裏機構盤114と称している。
【0017】
金属フレーム121は矩形状をなし、遊技盤13を着脱可能に収納固定する遊技盤収納部122が形成されている。遊技盤収納部122には図示略している複数の遊技盤固定器具が配置され、それらの複数の遊技盤固定器具によって遊技盤13を固定するようになっている。
貯留タンク101は排出される前の球を予め貯留しておくもので、この貯留タンク101の球数の不足は補給センサ(図示略)によって検出され、不足のときは島設備から球が補給される。貯留タンク101内の球は誘導路102により誘導され、排出ユニット105によって排出される。
排出ユニット105は所定の球排出指令信号(排出制御ユニット106からの信号)に基づいて貯留タンク101より案内される遊技球を遊技者側へ所要数排出(ここでの排出には、賞球排出および球貸し排出が含まれる)する球排出機構を備えた請求項記載の排出装置に相当する。
【0018】
排出ユニット105の詳細を説明すると、排出ユニット105は2条の球排出通路(その一方を図3に示す)を有しており、一方の球排出通路131(図3参照)が賞球用の排出を行い、他方の球排出通路が球貸し用の排出を行うようになっている。すなわち、2条の球排出通路を用途によって使い分ける構成になっている。
図3は排出ユニット105の断面を示す図であり、説明の都合上、賞球用の排出を行う球排出通路131側の断面を示している。図3に示すように、球排出通路131側には球の排出カム132を駆動する排出ソレノイド133および球排出通路131の球の排出を検出する排出センサ134を備えている。なお、図3から理解できる範囲内で、排出カム132を変位させる各種の細かい部材(例えば、ロッド、ビス、ワッシャ等)は符号付けを略す。また、135は排出カム132の振動(バウンド)吸収する振動吸収部材(バウンド防止部材)である。
【0019】
排出ユニット105は排出制御ユニット106からの球排出制御信号に基づき排出ソレノイド133を作動させて排出カム132を変位させ、球排出通路131に停止している球の排出を行う(詳しくは、排出ソレノイド133により排出カム132の端部を基点として先端部を図中上方に引上げて球排出通路131を球(最下部の球Tが最初に通過)が通過可能にして球を排出する)。
球の排出は排出センサ134により検出して、後述の分配回路165(図6参照)により役物制御ユニット107および排出制御ユニット106へ信号が分配される。排出制御ユニット106では排出センサ134からの検出信号に基づいて球の排出数をカウントし、役物制御ユニット107より送出された賞球数情報分の遊技球の排出を行う。一方、役物制御ユニット107は、排出センサ134からの検出信号に基づいて、排出制御ユニット106による遊技球の排出をカウントし、所定の計数値であった場合に、その排出球情報を排出制御ユニット106側へ送信する。
【0020】
排出センサ134は、遊技球の排出を検出する排出球検出手段を構成する。
なお、排出センサは排出ユニット105の2条の通路に対応して設けられ、賞球用の排出センサ134(以下、適宜、賞球用の排出センサ134、あるいは賞球排出センサ134という)および球貸し用の排出センサ178となっている(後述の図7参照)。
また、排出制御ユニット106は、球貸機2(後述のカードユニット制御装置194)からの指令に基づいて排出ユニット105の球貸用排出通路側の排出機構を制御して、指令された球貸分の遊技球の排出を行う。
【0021】
再び図2に戻り、誘導路102に賞球排出および球貸し排出のための球が有るかどうかは、半端センサユニット104(半端センサ104a、104bが取り付けられている)によってそれぞれ検出される。
ターミナル基盤103はAC電源の入力や遊技店のホールコンピュータ(管理装置:図示略)との間における信号の授受などについての中継を行うもので、リレー部およびコネクタ部(ホールコンピュータとの接続を行う)に区分されており、両者はケーブルにて接続されている。
【0022】
排出制御ユニット106は基枠体112に取付けられ、球の排出に必要な各種電気部品(例えば、排出ユニット105の電気的駆動源)の制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する制御基板が収納されて構成されている。なお、排出制御ユニット106の制御基板(基板上の電子部品を含む)によって実現される回路は、後述の図7に示す排出制御回路106Aとなる。
役物制御ユニット107は、役物遊技に必要な各種制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する制御基板が収納されて構成されている。なお、役物制御ユニット107の制御基板(基板上の電子部品を含む)によって実現される回路は、後述の図6に示す役物制御回路107Aとなる。
役物中継基盤108は遊技盤13に配置されている役物、サイドランプ51、52、変動入賞装置45等と役物制御ユニット107との間におけるケーブルの接続中継を行うものである。
発射ユニット109は、遊技機1の前面下部に設けられた発射操作ノブ34の操作に応じて、球を発射するための機構である。カードユニット接続基板110は球貸機2から延出するケーブル123を遊技機1に接続するためのもので、ケーブル123の端部にあるコネクタを受ける装着部材(例えば、メス型のコネクタ)を備えている。
【0023】
遊技盤13の裏面側には、入賞球が流下可能な空間が形成されて入賞球を集合させる入賞球集合部材141が設けられており、この入賞球集合部材141は、例えば透明の樹脂製(PC樹脂等)で、遊技盤13の各入賞口に入ったセーフ球(入賞球)を導く機能を有している。そして、この入賞球集合部材141によって導かれたセーフ球は下方の入賞球集合棚142によって集められ、次いで、入賞球流下樋143を通ってセーフユニット111に導かれるようになっている。入賞球集合棚142は基枠体112に形成され、合成樹脂部材により成形されている。また、入賞球集合樋143も同様に基枠体112に形成され、合成樹脂部材により成形されている。
【0024】
セーフユニット111(入賞球排出装置)は、入賞球集合樋143の流下端部に設けられており、入賞球集合樋143を流下してくるセーフ球(入賞球)を1個宛て検出するセーフセンサ111aを備え、セーフ球に対応した賞球排出が行われる毎に、検出したセーフ球を1個ずつ排出する。ここでいう検出したセーフ球とは、セーフ球をトリガーにして賞球数情報が決定されているので、当該賞球数情報の決定に関わったセーフ球のことであって、当該賞球数情報分の遊技球の遊技者側への払い出しが終了したセーフ球のことである。
【0025】
セーフユニット111は、図4にその断面図を示すように、主要なものとしてセーフソレノイド151、第1セーフカム152、第2セーフカム153および非接触型のセーフセンサ111aを有し、内部にセーフ球通路154が形成されている。同様に、図4から理解できる範囲内で、第1セーフカム152、第2セーフカム153を変位させる各種の細かい部材(例えば、ロッド、ビス、ワッシャ等)は符号付けを略す。
図4はセーフソレノイド151に通電されず、第2セーフカム153の一部がセーフ球通路154内に突出してセーフ球STの排出を阻止して保持している状態である。保持した球(図中の1番目のセーフ球ST)はセーフセンサ111aの位置にあり、セーフ球STとしてフォトセンサタイプのセーフセンサ111aによって検出される。また、このとき、第1セーフカム152はセーフ球通路154から引き出されてセーフ球に当接していない。
【0026】
役物制御ユニット107からセーフ球の排出を指令(所定の排出動作指令)する信号がセーフソレノイド151に入力されて、セーフソレノイド151がオンすると、図5にセーフ球STの排出の様子を示すように、まず第2セーフカム153がセーフ球通路154内から引き出されて今まで保持していたセーフ球ST(すなわち、1番目のセーフ球)が1個宛排出されるとともに、同時に第1セーフカム152の一部がセーフ球通路154内に一時的に突出して、その後に続いているセーフ球(2番目のセーフ球)が排出されないようにする。
【0027】
次いで、再び第2セーフカム153がセーフ球通路154内に突出すると同時に、第1セーフカム152がセーフ球通路154から引き出される。これにより、2番目のセーフ球が第2セーフカム153に当接して保持されるとともに、3番目のセーフ球は2番目のセーフ球に当接して続いている状態となる。
すなわち、セーフソレノイド151を1回オンさせる毎に、セーフ球が1個だけ移動して排出され、その後直ちに次のセーフ球が保持されて停止する。このようにセーフ球を一時的に保持しておくことにより、実際にセーフ球が入賞によって生じたという確認をとることができ、不正防止や遊技者とのトラブルを避けるようになっている。セーフ球の排出はセーフセンサ111aによって検出され、検出信号は役物制御ユニット107および排出制御ユニット106に入力される。
【0028】
図2に戻り、遊技盤13の裏面側にはアウト球流下樋(図示省略)が設けられており、このアウト球流下樋は、遊技領域下部のアウト口41に流入した球(アウト球)を流下させて、球排出口144から遊技機1の外部に排出する(すなわち、アウト球を遊技機1の裏面側へ流下案内する)ようになっている。なお、球排出口144は、セーフユニット111から排出された球も同様に外部に排出するようになっている。
また、音制御ユニット113は、遊技機1の前面等に配設されたスピーカ(図示略)より、遊技状態に応じて各種効果音を適宜出力する制御を行うものであり、所定のケース内にこの制御機能を実現する制御基板が収納されて構成されている。この音制御ユニット113は、役物制御ユニット107の制御基板とケーブル接続されて、遊技状態を示す信号などの授受が行われるようになっている。
【0029】
発射制御ユニット115は、球の発射に必要な各種電気部品(例えば、発射ユニット109の電気的駆動源)の制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する制御基板が収納されて構成されている。
表示制御ユニット116は、役物制御ユニット107から出力される指令などに従ってセンター役物を制御して、センター役物の前面の表示部(すなわち、特別図柄表示装置43の表示部)に所定の画像を表示させるもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する制御基板が収納されて構成されている。
装飾制御ユニット117は、遊技機1の前面等に配設された装飾用ランプ類の作動(点灯又は消灯)を制御するもので、やはり、所定のケース内にこの制御機能を実現する制御基板が収納されて構成されている。
【0030】
C.役物制御装置の構成
図6は役物制御ユニット107の制御基板によって実現される役物制御回路107Aを示す図であり、役物制御回路107Aは、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる遊技用演算処理装置160と、水晶の発振周波数を分周して所定のクロックを得る発振器161と、各種センサ信号を受け入れる入力インターフェース162と、出力インターフェース163と、複数の分配回路164、165と、を含んで構成される。遊技用演算処理装置160はCPU、ROM、RAMを内蔵しており、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造され、例えばチップの正当性を判定するための固有IDを格納している。
【0031】
入力インターフェース162には、変動入賞装置45に入った球のうちいわゆる継続入賞(V入賞)した球を検出する継続センサ(スイッチ)171、特図始動入賞口(普通電動役物タイプの始動入賞口)44への入賞を検出する特図始動センサ172、変動入賞装置45に入った全ての球を検出するカウントセンサ173、普図始動ゲート46、47を球が通過したことを検出する普図始動ゲートセンサ174、賞球用半端センサ104a(半端センサユニット104における賞球用通路内のセンサ)、ガラス枠12の開放を検出する金枠センサ175、下皿32の満杯状態(球の過剰貯留)を検出するオーバーフローセンサ176、および補給センサ177からの信号が入力される。
一方、分配回路164、165にはセーフセンサ111a、賞球排出用の排出センサ134からの信号がそれぞれ入力されている。
【0032】
分配回路164はセーフセンサ111aからの信号を2つに分配し、一方を入力インターフェース162を介して遊技用演算処理装置160への入力とし、他方を排出制御回路106Aへの入力とする。分配回路165は賞球排出用の排出センサ134からの信号(排出球検出信号)を2つに分配し、一方を入力インターフェース162を介して遊技用演算処理装置160への入力とし、他方を排出制御回路106Aへの入力とする。
分配回路165は排出センサ134(排出球検出手段)により検出された遊技球の排出(排出球情報)を排出制御ユニット106(排出制御装置)と役物制御ユニット107(遊技制御装置)に分配可能な分配手段を構成する。
なお、前述したように排出ユニット105には2条の通路に対応して排出センサが設けられているが、この場合、賞球排出用の排出センサ134以外の他の排出センサは、後述の図7に示すように球貸し用の排出センサ178となっており、球貸し用の排出センサ178からの信号(球検出信号)は直接に排出制御回路106Aへ入力されている。
【0033】
出力インターフェース163からは、セーフユニット111のセーフソレノイド(SOL)151、排出制御回路106A、ベニヤ(遊技盤13)側の外部出力端子板181、枠側の外部出力端子板182、特別図柄表示装置43の表示制御を行う表示制御装置183、変動入賞装置45である大入賞口を開閉駆動する大入賞口ソレノイド184、普通変動入賞装置(すなわち、始動入賞口44の普通電動役物)を駆動する普通電動役物ソレノイド185、音声制御回路186、装飾表示制御回路187に信号が出力される。すなわち、役物制御回路107A側でセーフソレノイド151を駆動するようになっている。
遊技盤用の外部出力端子板181は遊技に関連する必要な情報を外部に出力するためのもので、例えば大当り情報、特図停止情報、特図停止図柄情報、確変情報を外部に出力する。枠側の外部出力端子板182は、前述したターミナル基盤のことであり、ホールコンピュータ(管理装置)に対して金枠(ガラス枠)開信号、補給信号、賞球数信号、球貸数信号、エラー信号(異常信号)を出力する。なお、図示は略しているが、その他にも特図始動記憶表示器、普通図柄表示装置、普図始動記憶表示器に制御信号が出力される。
【0034】
D.制御系統
図7は遊技機1における制御系統を示す図である。図7において、役物制御ユニット107の制御基板によって実現される役物制御回路107Aは、遊技盤13からのセンサ信号や各センサ171〜177、分配回路164、165によってそれぞれ分配されたセーフセンサ111a、賞球排出用の排出センサ134からの信号に基づいて遊技盤13の遊技制御(すなわち、遊技進行を管理制御)を行うとともに、分配回路165によって分配された排出球検出信号(賞球用の排出センサ134からの排出球検出信号)に基づいて排出制御ユニット106の制御により排出される排出ユニット105からの遊技球を計数し、所定の計数値になったか否かを判定するとともに、判定結果が所定の計数値であった場合に、セーフソレノイド151の駆動をセーフユニット111に指令(セーフ球の排出動作指令)し、かつその排出球情報(この排出球情報には、差数信号があり、差数=0の場合の差数信号は差数正常通知として役物制御回路107A側でセーフソレノイド151の駆動を指令(セーフ球の排出動作指令:セーフSOL作動信号)したことを排出制御回路106A側に知らせるものになる)を排出制御ユニット106側へ送信する処理を行う。したがって、役物制御回路107Aを含む役物制御ユニット107は、遊技制御装置としての機能を実現し、排出球確認手段および入賞球排出動作指令手段を構成する。
【0035】
役物制御回路107Aは遊技進行を管理制御する処理として、表示制御回路183に制御信号を出力して表示装置(特別図柄表示装置43のこと)に特図を表示させたり、音声制御回路186に制御信号を出力し、音声制御回路186によって生成された音信号でスピーカ188を駆動したり、さらには装飾制御回路187に制御信号を出力して各種装飾装置189(例えば、遊技盤13上の各種装飾器具)を駆動して装飾演出を行ったりする。また、役物制御回路107Aからは異常ランプ190に対して異常信号が出力され、異常ランプ190によりエラー等の異常を報知する。
【0036】
次に、排出制御回路106AはCPU、ROM、RAMを含むワンチップマイコンからなる排出処理用IC191、入力用のインターフェース192および出力用インターフェース193を含んで構成され、役物制御回路107Aから排出制御回路106Aに対して賞球制御情報が入力されるようになっている。また、排出制御回路106Aと球貸機2のカードユニット制御装置194との間は球貸制御信号の授受が行われるようになっている。
【0037】
さらに、排出制御回路106Aには2つの分配回路164、165からそれぞれ分配されたセーフセンサ111a、賞球排出用の排出センサ134からの信号が入力されるとともに、球貸し用の排出センサ178からの信号が直接に入力されており、排出制御回路106Aは役物制御回路107Aからの賞球制御情報に基づいて球の排出制御を行うべく、賞球用の排出ソレノイド133を駆動する(すなわち、所要数の遊技球を遊技者側へ排出するように排出ユニット105を制御する)とともに、分配回路165によって分配された排出球検出信号(賞球用の排出センサ134からの排出球検出信号)に基づいて排出制御ユニット106の制御により排出される排出ユニット105からの遊技球を計数する。また、排出制御回路106Aはカードユニット制御装置194からの球貸指令に基づいて、球貸し用の排出ソレノイド195を駆動する。したがって、排出制御回路106Aを含む排出制御ユニット106は、排出制御装置としての機能を実現し、排出球計数手段を構成する。
【0038】
役物制御回路107Aからの賞球制御情報(例えば、賞球排出要求)には送信クロック、賞球データが含まれ、送信クロックは信号のタイミングをとるもの、賞球データは賞球数(例えば、6個、10個、15個)を決定するものである。排出制御回路106Aは賞球数情報に基づいて排出ユニット105の賞球側を駆動して賞球の排出を制御するとともに、カードユニット制御装置194からの球貸信号に基づいて排出ユニット105の球貸側を駆動して遊技者に球を貸し出すための排出制御を行う。このとき、球貸用の半端センサ104bからの信号に基づいて球貸しを行うための遊技球が待機しているかどうかを判断する。
球貸機2のカードユニット制御装置194は、遊技機1の上皿21に設けられている球貸操作部196(球貸釦22、カード返却釦24)からの信号に基づいて球貸しに必要な制御(排出制御回路106Aへの球貸要求)を行うとともに、上皿21に設けられている球貸表示部197(カード度数表示器23のこと)の表示を制御したりする。すなわち、遊技機1側の球貸し部の制御は球貸機2側のカードユニット制御装置194によって行われる。
【0039】
さらに、球の発射については、排出制御回路106Aは発射制御ユニット115の制御基板(基板上の電子部品を含む)によって実現される発射制御回路115Aに発射の許可信号を出力し、発射制御回路115Aでは許可信号に基づいて球を弾発するモータ198を駆動するとともに、タッチプレート199によって遊技者が発射操作ノブ34に触れていることを検出したり、単発スイッチ200で遊技者の意思に沿って意図的に球の発射停止を可能にしたりする。
【0040】
次に、作用を説明する。
「役物制御のメインルーチン」
図8は役物制御ユニット107により行われる役物制御のメインルーチンを示すフローチャートである。この制御処理は、ステップS1からステップS22までの1シーケンスを所定の基準時間毎(例えば、2msのリセット割り込み毎)に繰り返し実行される。
処理が開始されると、ステップS1において、まず電源投入判定処理を行う。これは、電源の投入時であるか否かを判定し、電源投入時であれば初期化処理を行い、電源投入時でなければスルーするものである。初期化処理では、RAMにおけるワークメモリのイニシャライズ、レジスタの設定処理、フラグのイニシャライズ等が行われる。
次いで、ステップS2に進んで入力処理を行う。ここでは、役物制御回路107Aに入力される全てのスイッチ、センサからの信号を取り込む処理等を行うが詳細はサブルーチンで後述する。
【0041】
次いで、ステップS4〜ステップS11のうちの1つの処理を本プログラムのルーチン毎に順次実行していく。ステップS4〜S11の概要は以下のとおりである。
ステップS4:賞球制御情報編集処理
賞球制御情報編集処理では、後述のステップS5で排出制御回路106Aに送信する賞球制御情報を編集する。賞球制御情報とは、後述する賞球データ、状態変化データ、差数信号のことである。
ステップS5:賞球パラレル通信処理
賞球パラレル通信処理では、賞球制御情報を役物制御回路107Aからパラレルで排出排出回路106Aへ送信する。
ステップS6:スルー処理
スルー処理では、ステップS3から何もしないでステップS12に抜ける。
【0042】
ステップS7:音声パラレル通信処理
音声パラレル通信処理では、音制御情報を役物制御回路107Aからパラレルで音声制御回路186へ送信する。
ステップS8:賞球制御情報編集処理
賞球制御情報編集処理では、後述のステップS9で排出制御回路106Aに送信する賞球制御情報を編集する。
ステップS9:賞球パラレル通信処理
賞球パラレル通信処理では、賞球制御情報を役物制御回路107Aからパラレルで排出排出回路106Aへ送信する。
ここで、本プログラムは基準時間毎、例えば2msのリセット割り込み毎に繰り返して実行されるため、リセット割り込みの4回毎にステップS5、ステップS9の処理が行われる。したがって、賞球制御情報は8ms単位で信号を切り替えることが可能である。
【0043】
ステップS10:装飾パラレル通信処理
装飾パラレル通信処理では、装飾制御情報を役物制御回路107Aからパラレルで装飾制御回路187へ送信する。リセット割り込みの8回毎にステップS10の処理が行われるため、装飾制御情報は16ms単位で信号を切り替えることが可能である。なお、装飾制御回路187により装飾制御情報に基づいて遊技盤13上のランプ、LED、普通図柄、記憶表示等の制御が行われる。
ステップS11:表示制御回路パラレル通信処理
表示制御回路パラレル通信処理では、表示制御情報を役物制御回路107Aからパラレルで表示制御回路183へ送信する。リセット割り込みの8回毎にステップS11の処理が行われるため、表示制御情報は16ms単位で信号を切り替えることが可能である。
【0044】
以上のステップS4〜ステップS11の処理分岐によれば、本プログラムのシーケンスが繰返される度に、ステップS4〜ステップS11が順次実行されていく。
次に、図8に示すメインルーチンでは、以上の処理分岐がなされた後に、次いで、ステップS12で乱数生成処理を行う。乱数生成処理は、乱数を更新していくことで生成する処理であり、初期値を乱数生成回路(図示略)より取得し、以降は本シーケンスが繰り返される度に+[1]して乱数が生成される。これにより、特図および普図の乱数が変り、大当りあるいは普図当りの乱数抽出値がランダム性を保つようになる。
次いで、ステップS13でスイッチ入賞処理を行う。これは、役物制御回路107Aに取り込んだ全てのスイッチ、センサからの信号に対応する処理等を行うが詳細はサブルーチンで後述する。
【0045】
次いで、ステップS14〜ステップS21のうちの1つの処理を本プログラムのルーチン毎に順次実行していく。ステップS14〜S21の概要は以下のとおりである。
ステップS14:特別図柄ゲーム処理
特別図柄ゲーム処理では、特図の始動入賞に伴う特図ゲームを行うもので、例えば大当りあるいは外れの停止図柄の決定、大当りゲーム等を行うとともに、停止図柄がリーチ図柄である場合には、リーチフラグをセットした後、次回以降のシーケンスの図柄変動処理でリーチの演出を行ったりする。
ステップS15:普通図柄ゲーム処理
普通図柄ゲーム処理では、普図の始動入賞に伴う普図ゲームを行うもので、例えば当りあるいは外れの停止図柄の決定、普図当りゲーム等を行う。
ステップS16:図柄変動処理
図柄変動処理では、特図の図柄を変動および停止させる処理を行う。この処理で設定された表示情報をステップS3の出力処理で表示制御回路183に送出することで、表示制御回路183により特図が特別図柄表示装置43に表示制御される。
【0046】
ステップS17:装飾制御情報編集処理
装飾制御情報編集処理では、ステップS10の装飾パラレル通信処理で装飾制御回路187に送信する装飾制御情報を編集する。
ステップS18:ソレノイド編集処理
ソレノイド編集処理では、各種ソレノイド(例えば、賞球用の排出ソレノイド133等)に送信するソレノイド制御情報を編集する。
ステップS19:不正監視処理
不正監視処理では、例えばノーカウント不正等の監視およびその対応処理を行う。
【0047】
ステップS20:表示制御回路送信コマンド編集処理
表示制御回路送信コマンド編集処理では、表示制御回路183に送信する送信コマンドを編集する。
ステップS21:外部情報編集処理
外部情報処理では、外部情報(大当たり等を外部のホールコンピュータ側に出力する信号)の編集を行う。
以上のステップS14〜ステップS21の処理分岐によれば、本プログラムのシーケンスが繰返される度に、ステップS14〜ステップS21が順次実行されていく。
次に、図8に示すメインルーチンでは、以上の処理分岐がなされた後に、次いで、ステップS22で残余時間処理を行う。残余時間処理は、本プログラムが基準時間毎、例えば2msのリセット割り込み毎に繰り返して実行されるため、リセット割り込みのタイミングまでの残余時間を待機する処理である。
【0048】
「入力処理のサブルーチン」
次に、図9(a)は役物制御のメインルーチンにおける入力処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、ステップS31で特図始動SW(特図始動センサ172のこと、以下同様)のエッジを検出し、ステップS32で普図始動SW(普図始動ゲートセンサ173のこと、以下同様)のエッジを検出する。また、ステップS33でカウントSW(カウントセンサ173のこと、以下同様)のエッジを検出し、ステップS34で継続SW(継続センサ171のこと、以下同様)のエッジを検出する。
【0049】
次いで、ステップS35でセーフセンサ111aのレベルを保存する。次いで、ステップS36で賞球排出用の排出センサ135のレベルを保存し、ステップS37で賞球排出用の排出センサ134のエッジを検出する。次いで、ステップS38でオーバーフローセンサ176のレベルを保存し、ステップS39で賞球用半端センサ104aのレベルを保存する。また、ステップS40で金枠開放センサ(金枠センサ175のこと、以下、図面では金枠開放センサと表示)のレベルを保存して、メインルーチンに復帰する。このようにして各センサのレベルの保存およびエッジ検出が行われる。
【0050】
「スイッチ入賞処理のサブルーチン」
次に、図9(b)は役物制御のメインルーチンにおけるスイッチ入賞処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、ステップS41で特図始動SWの入賞処理を行う。これは、特図始動SWの出力信号のエッジ検出により、特図判定用乱数を抽出して格納(保存)するとともに、さらに第1特定入賞数を+1だけ更新するものである。
ここで、役物制御回路107Aの記憶データについて説明すると、役物制御回路107Aの記憶データには、図10に示すように6種類のものがある。そのうち、第1特定入賞数とは、予め賞球数を定めてある入賞口(ここでは第1特定入賞口)への入賞があった場合に、賞球として排出される遊技球の数である。例えば、始動入賞口(普通電動役物タイプの始動入賞口44)を第1特定入賞口として6個賞球と設定した場合には、第1特定入賞数=6となる。第1特定入賞数の記憶データは0〜255の値を取り得る。
同様に、第2特定入賞口としては15個賞球の変動入賞装置45(大入賞口)が設定され、第2特定入賞数=15となり、第2特定入賞数の記憶データも0〜255の値を取り得る。なお、一般入賞口48〜50に入賞した場合の入賞球はデフォルト値として10個が設定されている。
【0051】
その他の記憶データのうち、セーフセンサ状態とは、セーフセンサ111aの球有無の確定状態を記憶するデータであり、賞球排出センサ状態とは、賞球排出用の排出センサ134の球有無の確定状態を記憶するデータである。オーバーフローセンサ状態とは、オーバーフローセンサ176の球無し発生、球有り異常発生、球有り異常維持、球無し維持を記憶するデータであり、球無し発生は球有り確定の状態から球無し確定の状態へ遷移したときに設定される。球有り異常発生は球無し確定の状態から球有り確定の状態へ遷移したときに設定される。球有り異常維持は球有り異常の状態が継続しているときに設定され、球無し維持は球無しの状態が継続しているときに設定される。
賞球用半端センサ状態とは、賞球用半端センサ104aの球無し異常発生、球有り発生、球有り維持、球無し異常維持を記憶するデータであり、球無し異常発生は球有り確定の状態から球無し確定の状態へ遷移したときに設定される。球有り発生は球無し確定の状態から球有り確定の状態へ遷移したときに設定される。球有り維持は球有りの状態が継続しているときに設定され、球無し異常維持は球無しの状態が継続しているときに設定される。
【0052】
金枠開放センサ状態とは、金枠センサ175の開放異常発生、閉止発生、閉止維持、開放異常維持を記憶するデータであり、開放異常発生は金枠センサ175がガラス枠12の異常な開放を検出したときに設定され、閉止発生は金枠センサ175がガラス枠12の閉止を検出したときに設定される。閉止維持は金枠センサ175がガラス枠12の閉止状態が継続していることを検出したときに設定され、開放異常維持は金枠センサ175がガラス枠12の異常な開放状態が継続していることを検出したときに設定される。
排出確認数とは、排出ユニット105から排出される排出数を0〜15個の範囲で検出したときに設定される。
【0053】
再び図9(b)の説明に戻り、ステップS41を経ると、次いで、ステップS42で普図始動SWの入賞処理を行い、普図始動SWの出力信号のエッジ検出により、普図判定用乱数を抽出して格納(保存)する。次いで、ステップS43でカウントSWの入賞処理を行う。これにより、カウントセンサ173の出力信号のエッジ検出により、変動入賞装置45(大入賞口)への入賞個数を検出するとともに、第2特定入賞数を+1だけ更新する。次いで、ステップS44で継続SWの入賞処理を行う。これにより、変動入賞装置45(大入賞口)内にある継続センサ171の出力信号のエッジ検出により、大当り遊技におけるラウンド継続の処理を行う。次いで、ステップS45でセーフセンサ111aの状態把握処理を行う。この処理では、セーフセンサ111aの出力信号のレベル(例えば、セーフ球がある場合はアクティブレベル(“H”)で、セーフ球が無い場合はノンアクティブレベル(“L”))の保持時間を監視し、そのレベルが所定時間継続している場合には、セーフセンサ状態(図10(a)参照)の記憶領域の内容を該当するもの(例えば、球有りあるいは球無し)に更新する。すなわち、セーフセンサ111aに入賞球が有るか無いかの状態を確定させる。
【0054】
次いで、ステップS46で賞球排出センサ134の状態把握処理を行う。この処理では、賞球排出センサ134の出力信号のレベルの保持時間を監視し、そのレベルが所定時間継続している場合には、賞球排出センサ状態(図10(a)参照)の記憶領域の内容を該当するもの(例えば、球有りあるいは球無し)に更新する。すなわち、賞球排出センサ134に入賞球が有るか無いかの状態を確定させる。次いで、ステップS47で賞球排出センサ134のエッジ(立ち上がり)を検出することにより、遊技球の通過数を計数し、排出確認数(図10(a)参照)の領域の内容を−1だけ更新する。これにより、排出ユニット1905から排出される遊技球を賞球排出センサ134の出力に基づいて役物制御回路107A側で計数し、監視することになる。
【0055】
次いで、ステップS48でオーバーフローセンサ176の状態把握処理を行う。この処理では、オーバーフローセンサ176の出力信号のレベルの保持時間を監視し、そのレベルが所定時間継続している場合には、オーバーフローセンサ状態(図10(a)参照)の記憶領域の内容を該当するものに更新する。この場合、球無し確定の状態から球有り確定の状態へ遷移したときには、記憶領域の内容に「球有り異常発生」が設定される。逆に、球有り確定の状態から球無し確定の状態へ遷移したときには、記憶領域の内容に「球無し発生」が設定される。
【0056】
次いで、ステップS49で賞球用半端センサ104aの状態把握処理を行う。この処理では、賞球用半端センサ104aの出力信号のレベルの保持時間を監視し、そのレベルが所定時間継続している場合には、賞球半端センサ状態(図10(a)参照)の記憶領域の内容を該当するものに更新する。この場合、球有り確定の状態から球無し確定の状態へ遷移したときには、記憶領域の内容が「球有り維持」から「球無し異常発生」に設定され、球無し状態が継続すると、「球無し異常維持」に設定される。逆に、球無し確定の状態から球有り確定の状態へ遷移したときには、記憶領域の内容が「球無し異常維持」から「球有り発生」に設定され、球有り状態が継続すると、「球有り維持」に設定される。
次いで、ステップS50で金枠センサ175の状態把握処理を行う。この処理では、金枠センサ175の出力信号のレベルの保持時間を監視し、そのレベルが所定時間継続している場合には、金枠開放センサ状態(図10(a)参照)の記憶領域の内容を該当するものに更新する。例えば、金枠センサ175の開放異常発生、閉止発生、閉止維持、開放異常維持の何れかに設定される。
ステップS50を経ると、メインルーチンに復帰する。このようにして各センサの出力信号に基づいて対応する処理が行われる。
【0057】
「賞球制御情報の送信方法」
ここで、役物制御回路107Aから排出制御回路106Aへ伝達される賞球制御情報の送信方法の一例について説明する。
図10(b)は賞球制御情報の送信方法の一例を示す図であり、この例では6本のデータ線(ビット0〜ビット5のデータに対応)および1本のストローブ線を備え、それぞれのデータ線毎にローレベル、ハイレベルの何れかを役物制御回路107Aで設定できるようになっている。データを送信するには、まず役物制御回路107A側で送信したいデータの各ビットの情報(D0〜D5)を設定した後に、ストローブ信号をハイレベルにし、次いで、各ビットの情報(D0〜D5)の論理を反転させ、その後、ストローブ信号をローレベルに設定する。このとき、排出制御回路106A側ではストローブ信号の立ち上がりで各ビットの情報(D0〜D5)を読み込み、続いてストローブ信号の立ち下がりで各ビットの情報(D0〜D5)の反転値を読み込んで互いに読み込んだ情報が背反するかどうかを確認する。このような構成であると、データ線が断線していた場合には、ストローブ信号線の論理が変化しないので、非反転値と反転値との値が同じになるので、断線を検出することが可能になる。
【0058】
図11は、上記賞球制御情報の送信方法(図10(b)により賞球制御情報を送信する場合の第1の例である。第1の例では、6本のデータ線数で送信制御情報を送信するようになっており、送信制御情報の内訳(ビットパターン)は、以下のようになっている。すなわち、信号線の非反転値のハイレベルが図11に示すビットの[1]に対応し、信号線の非反転値のローレベルが図11に示すビットの[0]に対応している。ビット0、1(すなわち、D0、D1)は賞球制御情報のタイプを示しており、例えばビット0が[1]のときは賞球制御情報が状態変化データであることを示すものである。一方、ビット2〜5(すなわち、D2〜D5)は各センサのステータス(異常状態)や遊技機のタイプ(例えば、CR機/現金機)の情報が設定されている。
また、ビット0、1(D0、D1)がそれぞれ[0]、[0]である場合には、排出制御回路106Aに賞球の排出を要求する賞球データとなり、一方、ビット2〜5(D2〜D5)には要求される賞球の数(例えば、1個から15個まで)が設定される。さらに、ビット0、1(D0、D1)がそれぞれ[0]、[1]である場合には、排出制御回路106Aに差数(要求した賞球に対して不足する数)を通知する差数信号となり、一方、ビット2〜5(D2〜D5)には差数(例えば、1個から15個まで)が設定される。
なお、本実施の形態の場合、差数が0の差数信号は、排出制御回路106Aに対して役物制御回路107A側でセーフソレノイド151を駆動したことを知らせる差数正常通知になる。後述の図12で差数正常通知(セーフSOL作動信号)とあるのは、排出制御回路106Aに差数正常通知を送信し、役物制御回路107A側でセーフソレノイド151にセーフSOL作動信号を出力して駆動したことを表している。
【0059】
図12は、上記賞球制御情報の送信方法(図10(b)により賞球制御情報を送信する場合の第2の例である。第2の例では、データ線数がビット0からビット8までの9本存在している点が異なっており、ビット0は賞球制御情報のタイプを示している。ただし、第1の例と異なって、ビット0が[0]のときは賞球制御情報が賞球データであることを示し、ビット0が[1]のときは賞球制御情報が差数信号であることを示している。また、ビット5〜8を利用して各センサのステータス(異常状態)や遊技機のタイプ(例えば、CR機/現金機)の情報が設定されているので、状態変化データも同時に送信することができるという領利点がある。特に、賞球排出や差数通知を要求せずに、状態変化データだけを送信したい場合には、ビット0からビット5までを全て[0]に設定(賞球排出要求無しに設定)して送信することになる。賞球数や差数については、第1の例と同様である。
なお、状態変化データは役物制御や賞球排出のプログラムとは別のプログラム(図示略)を実行することにより送信されるようになっている。
【0060】
「賞球排出に関する処理」
次に、図13は役物制御回路107Aおよび排出制御回路106Aにおいて行われる賞球排出に関するプログラムを示すフローチャートである。図8に示す役物制御プログラムは2ms毎に割込信号に対応して実行されているが、この図13に示すプログラムは入賞球があった場合に、その入賞球に対応して所定の賞球を払い出すための処理として、役物制御プログラムとは別に実行される。
図13のプログラムを説明すると、役物制御回路107Aでは、まずステップS51で賞球データ送信可能状態判定処理を行う。これは、賞球排出の条件を満たしているか否かを判断し、条件を満たしている場合には送信可能フラグをセットし、条件を満たしていない場合には送信可能フラグをリセットする処理を行うもので、詳細はサブルーチンで後述する。
次いで、ステップS52で「送信可能フラグ」がセットされているか否かを判別し、「送信可能フラグ」がセットされていなければステップS51に戻る。一方、「送信可能フラグ」がセットされていると、ステップS53に進んで排出制御回路106Aに賞球データを送信する処理を行う。このとき図10(a)に示す賞球データが図10(b)に示すような送信方法で送信され、信号線は図11あるいは図12に示すような形態が使用される。
【0061】
排出制御回路106Aでは、ステップS54で賞球排出要求フラグをクリアし、続くステップS55で排出可能条件成立判定処理を行う。排出可能条件成立判定処理では、役物制御回路107Aから送信されてきた賞球データを受信し、排出可能条件が成立している場合には賞球排出要求フラグをセットする(詳細はサブルーチンで後述)。次いで、ステップS56で賞球排出要求フラグがセットされているか否かを判別し、セットされていなければステップS54に戻って処理を繰り返す。
【0062】
一方、賞球排出要求フラグがセットされていると、ステップS57に進んで記憶した要求排出数を排出数として設定し、ステップS58に進む。ステップS58では賞球計数排出処理を行う。これは、賞球排出センサ134の出力によって賞球排出数を計数しながら、役物制御回路107Aから送信されてくる差数信号(ここでは、役物制御回路107A側で正常な賞球排出を確認したという情報)を受けるもので、詳細はサブルーチンで後述する。このとき、排出制御回路106Aには賞球排出センサ134からのパルスが入力されているとともに、賞球排出センサ134からのパルスは役物制御回路107Aにも入力されている。
次いで、排出制御回路106Aでは賞球排出が全て終了(確認は役物制御回路107A側で行う:詳細後述)すると、ステップS54に戻って処理を繰り返す。なお、本実施の形態では排出制御回路106A側でセーフユニット111のセーフソレノイド151を駆動する制御は行わない。
【0063】
役物制御回路107Aでは、ステップS53の処理を経ると、ステップS59に進み、賞球排出数監視処理を行う。これは、賞球排出センサ134からのパルス入力に基づいて、排出制御回路106Aの制御によって排出ユニット105から排出された賞球の数を計数して監視し、必要に応じて前述した差数信号を排出制御回路106Aに送信(監視の結果、賞球数が正しい場合に送信)するもので、詳細はサブルーチンで後述する。
次いで、ステップS60でセーフ球排出処理を行う。このとき、役物制御回路107Aからセーフユニット111のセーフソレノイド151を駆動する信号を出力する。これにより、セーフソレノイド151が駆動されて今回の賞球排出に関わったセーフ球がセーフユニット111内から落下して排出される。ステップS60を経ると、ステップS51に戻って処理を繰り返す。なお、セーフ球排出処理では、例えばセーフセンサ111aからの信号に基づいてセーフ球の排出を確認したか否かを判別するセーフ球の排出に確実を期すようにする。
このように、本実施の形態では役物制御回路107A側でセーフ球を排出する処理を行う。
【0064】
「賞球データ送信可能状態判定処理のサブルーチン」
次に、図14は役物制御回路107Aにおける賞球排出に関するプログラムの中の賞球データ送信可能状態判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、まずステップS71で送信可能フラグをクリアする。次いで、ステップS72〜ステップS76で、以下の判断を行う。これは、役物制御回路107A側で排出可能条件が成立しているかどうかの判定を行うものである。
すなわち、ステップS72では図10に示す役物制御回路107Aの記憶データを参照してセーフセンサ球有りを検出か(すなわち、セーフセンサ状態が球有り状態か)否かを判別する。これは、セーフセンサ球有りでなければ、賞球排出を行う必要がないから、入賞球があった否かを判断するものである。ステップS73ではオーバーフローセンサ球無しか(すなわち、オーバーフローセンサ状態が球無し状態か)否かを判別する。これは、オーバーフローセンサ176が球有りを検出していれば、球の過剰貯留と判断されるから、球無しが検出されて遊技球の排出が可能な状態を判断するためである。
【0065】
ステップS74では賞球半端センサ球有りか(すなわち、賞球半端センサ状態が球有り維持状態か)否かを判別する。これは、賞球半端センサ104aが球有りを検出していなければ、球の排出ができないから、遊技球の排出が可能な状態を判断するためである。ステップS75では賞球排出センサ球有りか(すなわち、賞球排出センサ状態が球有り状態か)否かを判別する。これは、賞球排出センサ134が球有りを検出していなければ、球の排出ができないから、遊技球の排出が可能な状態を判断するためである。ステップS76では第1特定入賞数=0であるか否かを判別する。すなわち、6個という賞球数を定めてある第1特定入賞口(始動入賞口)への入賞があったかどうを判断するものである。
【0066】
ステップS72〜ステップS75でNOのときは、今回のルーチンを終了してリターンする。したがって、この場合には賞球排出は行われない。一方、ステップS72〜ステップS75でYESのときは、ステップS76に進む。そして、ステップS76の判別結果がNOのときはステップS77で第1特定入賞球の賞球数(6個)を、送信する賞球数に決定し、ステップS78で第1特定入賞球の記憶エリアを1だけ減算した後、ステップS83にジャンプする。すなわち、始動入賞があった場合には、第1特定入賞球の賞球数(6個)が、送信する賞球数に決定される。
【0067】
一方、ステップS76の判別結果がYESのときは、始動入賞がないと判断してステップS79にジャンプする。ステップS79では、第2特定入賞球=0であるか否かを判別する。すなわち、15個という賞球数を定めてある変動入賞装置(大入賞口)45への入賞があったかどうかを判断するものである。ステップS79の判別結果がNOのときは、ステップS80で第2特定入賞球の賞球数(15個)を、送信する賞球数に決定し、ステップS81で第2特定入賞球の記憶エリアを1だけ減算した後、ステップS83にジャンプする。すなわち、変動入賞装置(第入賞口)45への入賞があった場合には、第2特定入賞球の賞球数(15個)が、送信する賞球数に決定される。
【0068】
ステップS79の判別結果がYESのときは、変動入賞装置(第入賞口)45への入賞がないと判断してステップS82にジャンプする。ステップS82では、デフォルトの賞球数(10個)を、送信する賞球数に決定し、ステップS83に進む。すなわち、始動入賞あるいは変動入賞装置(第入賞口)45への入賞ではなく、一般入賞の場合にはデフォルトの賞球数(10個)が、送信する賞球数に決定される。ステップS83では、決定された賞球に基づく賞球データを編集し、ステップS84で送信可能フラグをセットしてリターンする。
このように、入賞があるか否かを判断し、入賞があった場合には賞球に対応する賞球データを設定することが行われる。
【0069】
「排出可能条件成立判定処理のサブルーチン」
次に、図15は排出制御回路106Aにおける賞球排出に関するプログラムの中の排出可能条件成立判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、まずステップS91で役物制御回路107Aから賞球データを受信したか否かを判別する。受信していない場合はリターンし、受信した場合には、ステップS92に進み、要求された賞球数=0であるか否かを判別する。賞球数=0であれば賞球排出の要求ではないので、リターンする。したがって、このときは賞球排要求フラグ(後述のステップS93参照)はセットされない。
一方、賞球数=0でなければ、ステップS93〜ステップS96の判断を行うことにより、排出制御回路106A側での遊技球の排出可能条件が成立しているか否かの判定を行う。すなわち、前述したように、役物制御回路107A側でも排出可能条件の判定を行っているが、このサブルーチンでも遊技球の排出可能条件が成立しているか否かを排出制御回路106A側で判定するものである。
【0070】
ステップS93では、オーバーフローセンサOKか(すなわち、球の過剰貯留が無い状態か)否かを判別する。これは、球の過剰貯留が無く遊技球の排出が可能な状態を判断するためである。ステップS94では、賞球半端センサOKか(すなわち、賞球半端センサ状態が球有りか)否かを判別する。これは、賞球半端センサ104aが球有りを検出して、遊技球の排出が可能な状態を判断するためである。ステップS95では、賞球排出センサOKか(すなわち、賞球排出センサ状態が球有りか)否かを判別する。これは、賞球排出センサ134が球有りを検出して、遊技球の排出が可能な状態を判断するためである。ステップS96では、セーフセンサOKか(すなわち、セーフセンサ状態が球有りか)否かを判別する。これは、セーフセンサ111aが球有りを検出して、入賞球があったことを判断するものである。
【0071】
ステップS93〜ステップS96の何れかでNOのときは、排出可能条件が成立していないと判断して、今回のルーチンを終了してリターンする。したがって、このときは賞球排要求フラグ(後述のステップS97参照)はセットされない。一方、ステップS93〜ステップS96でYESのときは、ステップS97にに進んで要求排出数を記憶し、賞球排出要求フラグをセットしてリターンする。このように、排出制御回路106A側でも排出可能条件が成立しているかどうかの判定を行い、成立している場合には要求排出数を記憶し、賞球排出要求フラグをセットする。
【0072】
この場合、排出制御回路106Aでは役物制御回路107Aから賞球データを受信しており、この賞球データには役物制御回路107A側で排出可能条件が成立しているかどうかの排出可能条件判定の結果が含まれている。そして、賞球データの受信の後に、排出制御回路106Aで排出可能条件が成立しているかどうかの排出可能条件判定を行い、排出可能条件判定が成立している場合のみ要求排出数を記憶して賞球排出要求フラグをセットする処理が行われる。したがって、排出制御回路106Aおよび役物制御回路107Aでの各排出可能条件判定が成立している場合のみ賞球排出要求フラグがセットされて、排出ユニット105での排出動作が可能となる。
【0073】
「賞球排出数監視処理/賞球計数排出処理のサブルーチン」
次に、図16は賞球排出に関するプログラム(図13)の中の賞球排出数監視処理および賞球計数排出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、まず役物制御回路107AでステップS101において排出確認数の記憶エリアに要求した賞球数を設定する。次いで、ステップS102で賞球排出数確認処理を行う。これは、賞球排出センサ134から出力されるパルスを検出する度に、排出確認数を減算する処理で、詳細は後述のサブルーチンで説明する。
【0074】
次いで、ステップS103で排出確認数を差数信号として排出制御回路106Aに送信する。ここでの差数信号は、要求された賞球数に対して排出した球との差(つまり、不足の球数)を知らせる信号である。不足数=0個の差数信号は、単なる「正常な排出を確認した」という通知信号である。次いで、ステップS104で排出確認数=0であるか否かを判別し、NOのときはステップS102に戻ってループを繰り返す。
ループを繰り返すことにより、排出確認数=0になると、ステップS103において前述したように「正常な排出を確認した」という差数信号が排出制御回路106Aに送信される。続くステップS104ではYES(排出確認数=0)に分岐してルーチンを終了しリターンする。
【0075】
排出制御回路106Aでは、ステップS105で排出機構作動処理を行う。これは、賞球排出センサ134から出力されるパルスに基づいて賞球排出数を計数し、賞球排出ソレノイド133を駆動して賞球排出を制御する処理で、詳細は後述のサブルーチンで説明する。次いで、ステップS106で役物制御回路107Aからの差数信号を受信し、ステップS107で受信した差数信号から残りの排出数を設定する。次いで、ステップS108で排出確認数=0であるか否かを判別し、NOのときはステップS105に戻ってループを繰り返す。
ループを繰り返すことにより、役物制御回路107Aから「正常な排出を確認した」という差数信号を受信すると、ステップS108の判別結果がYESとなってルーチンを終了し、リターンする。
このように、役物制御回路107Aでは賞球排出センサ134から出力されるパルスに基づいて賞球排出数を確認し、その都度、差数信号を排出制御回路106Aに送信し、排出制御回路106Aでは差数信号に基づいて賞球分の球を排出する処理が行われる。
【0076】
「排出機構作動処理のサブルーチン」
次に、図17は賞球計数排出処理(図16)の中の排出機構作動処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、まずステップS111で設定された排出数(例えば、図13に示すステップS57で設定したもの、および後述のステップS118で設定したもの)は1よりも大きいか否かを判別する。設定された排出数が1よりも大きい場合には、ステップS112で賞球排出ソレノイド133をオンする。これにより、排出ユニット105から遊技球が上皿21に排出される。次いで、ステップS113で賞球排出センサ134から出力されるパルスに基づいて賞球排出数を計数するとともに、賞球排出センサ134のパルスの立ち上がりを検出する。次いで、ステップS114で(設定された排出球数−1)回目の立ち上がりを検出したか否かを判別する。これは、実際に排出された排出球数を賞球排出センサ134のパルスに基づいて検出するもので、例えば設定された排出球数=4個の場合には、3回目のパルスの立ち上がりを検出したかどうかを判断するものである。
【0077】
図18(a)は、設定された排出球数=4個であって、3回目のパルスの立ち上がりを検出した場合のタイミングチャートを示している(すなわち、複数の遊技球を排出する場合の例)。図18(a)に示すように、賞球排出ソレノイド133をオンしたとき、賞球排出センサ134は球有り状態であり、この状態から遊技球が排出される度に賞球排出センサ134のパルスが変化していき、3回目のパルスの立ち上が4個の遊技球を排出したタイミングに相当する。
【0078】
ステップS114の判別結果でNOのときは、ステップS113に戻って処理を繰り返し、ステップS114でYESになると、ステップS115に進んで賞球排出ソレノイド133をオフする。次いで、ステップS116で賞球排出センサ134のパルス(排出球数)を計数する。次いで、ステップS117で実際排出された排出球数(賞球排出センサ134のパルスの計数値)が設定された排出球数と一致するか(排出数の計数値はOKか)否かを判別し、NOのときはステップS118に進んで不足の排出数を設定した後、ステップS111に戻って処理を繰り返す。ステップS118に進むのは、例えば、排出ユニット105で球詰り等が発生して排出球数が予定よりも不足している場合に、不足した排出球数を再び設定するためである。
【0079】
処理を繰り返することにより、ステップS111の判別結果がNOとなって設定された排出数が1以下(排出数=1の状態を含む)になると、ステップS119に分岐して賞球排出ソレノイド133をオンし、排出ユニット105から1個の遊技球を上皿21に排出する処理を行う。次いで、ステップS120でタイマ経時をスタートし、ステップS121でタイマがタイムアップしたか(ここでは、タイマの計数値が35ms経過したか)否かを判別し、タイムアップすると、ステップS122に抜ける。ステップS122では賞球排出ソレノイド133をオフする。これは、賞球排出ソレノイド133をオンして排出ユニット105から1個の遊技球を上皿21に排出する場合に、ほぼ35ms経過すれば十分であるため、35msが経過した時点で賞球排出ソレノイド133をオフするものである。
【0080】
図18(b)は、1個の遊技球を排出する場合のタイミングチャートを示している。図18(b)に示すように、賞球排出ソレノイド133を35msだけオンすると、賞球排出センサ134は球有りから球無しに1回だけ変化し、再び球有り状態に戻る。
次いで、ステップS123で賞球排出センサ134のパルス(排出球数)を計数する。次いで、ステップS117に進んで排出数の計数値はOKか否かを判別し、NOのときはステップS118を経た後、ステップS111に戻って処理を繰り返す。一方、ステップS117で排出数の計数値がOKのときは今回のルーチンを終了してリターンする。
【0081】
「賞球排出数確認処理のサブルーチン」
次に、図19は賞球排出数監視処理(図16)の中の賞球排出数確認処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、まずステップS141で賞球排出センサ134から出力されるパルス(すなわち、遊技球通過パルス:1個ずつ送信される)を受信しているか否かを判別する。受信していればステップS142に進んで排出確認数を減算更新する処理を行う。これにより、排出確認数が1だけ減算されて更新される。次いで、ステップS143で排出確認タイマを初期化し、ステップS141に戻って処理を繰り返す。
【0082】
処理を繰り返すことにより、ステップS141で賞球排出センサ134から出力されるパルスを受信しなくなると、ステップS144に分岐して排出確認タイマを更新し、ステップS145で排出確認タイマがタイムアップ(例えば、1秒)したか否かを判別する。タイムアップしていなければ、ステップS141に戻って処理を繰り返し、処理を繰り返すことにより、タイムアップすると、ステップS146に進んで排出確認数が0より小さい(すなわち、マイナス)か否かを判別する。排出確認数が0より小さい(マイナス)とは、実際に排出された賞球数が設定排出数よりも多過ぎる場合である。排出確認数が0以上のときはルーチンを終了してリターンする。
【0083】
このように、賞球排出センサ134からの遊技球通過パルスの受信がなくなってから所定時間(例えば、上記1秒)が経過するまでは排出確認数の減算を続行し、所定時間経過後に排出確認数が0かどうかを判断して、排出確認数が0又は+の値である場合に、ステップS141〜ステップS146のループから抜け出す。したがって、ここでの排出確認数(排出確認数が0以上のとき)は前述したように、差数信号として排出制御回路106Aに送信されることになる。
一方、ステップS146の判別結果がYESで排出確認数がマイナスの場合、すなわち役物制御回路107Aが要求した数よりも排出制御回路106Aの制御によって排出された数の方が多い場合には、ルーチンを終了して遊技不能動化の処理へ移行する。遊技不能動化の処理では、例えば特図の制御を停止したり、変動入賞装置45(大入賞口)の開放動作を中止したりする。なお、役物制御回路107Aから発射制御ユニット115へ向けて遊技球の発射の停止/許可を指示する信号を送信可能な構成であれば、遊技球の発射動作自体を停止させるような処理を行ってもよい。
【0084】
このように、役物制御回路107Aが要求した数よりも排出制御回路106Aの制御によって排出された数の方が多い場合に、遊技不能動化の処理が行われる。したがって、遊技不能動化の処理を行うことにより、本来の正規な仕様よりも賞球数を多くするように(例えば、15個賞球の仕様であるのに、20個賞球の排出にさせてしまうように)、排出制御回路106Aを改造した場合には、遊技機1の遊技動作を止めてしまうことができるので、排出制御回路106Aの不正な改造を防止することができる。
【0085】
以上のように本実施の形態では、賞球排出センサ134(排出球検出手段)からの排出球検出信号(排出球情報)を分配回路165で分配して役物制御回路107Aおよび排出制御回路106Aに入力し、役物制御回路107Aでは排出球検出信号に基づいて排出ユニット105から排出された遊技球を計数し、所定の計数値(排出確認数=0)になった時点でセーフソレノイド151を駆動して今回の賞球排出に関わったセーフ球を排出する。このとき、排出制御回路106Aでは排出球検出信号に基づいて排出ユニット105から排出された遊技球を計数して確認することが行われる。
【0086】
ここで、本実施の形態の場合、セーフソレノイド151を駆動するタイミングは排出確認数=0になった時点であり、図20(a)のタイミングチャートで示される。すなわち、図20(a)に示すように、例えば7個賞球が設定されたとすると(7個賞球の入賞口に入賞して賞球データ=7個が設定されたとき)、排出ユニット105からの賞球排出に伴い賞球排出センサ134は球有りの状態から6回パルス変動することにより、7個賞球排出があったことを検出(7個賞球の終了があると、再び球有り状態になって次回の賞球排出に備えられる)する。
【0087】
そして、7個賞球排出が終了した時点で、役物制御回路107Aが所定の計数値(排出確認数=0)になったと判断してセーフソレノイド151をオン(駆動)する。これにより、今回の賞球排出に関わったセーフ球が排出され、このときセーフセンサ111aの出力信号は球有りから球無しに変化して、セーフ球の排出を検出する。
【0088】
以上のことから、本実施の形態では以下の効果を得ることができる。
▲1▼賞球排出センサ134(排出球検出手段)により検出された排出球情報を2つの制御回路(すなわち、役物制御回路107Aおよび排出制御回路106A)に分配し、一連の賞球排出制御(すなわち、遊技球の排出動作)を2つの制御回路(すなわち、役物制御回路107Aおよび排出制御回路106A)で実行しているので、不正に対するセキュリティを向上させることができる。
すなわち、従来は排出制御装置に遊技球の排出に関する動作制御を全て任していたため、遊技球の排出に関する動作についてセキュリティが低いというおそれがあったが、これに対して本実施の形態では、役物制御回路107A側にも分配回路165から分配された排球情報が入力されているため、役物制御回路107A側で賞球に伴う排出球を計数して、所定の計数値になったらセーフ球の排出制御を行うというように、遊技球の排出動作が遊技機1の中で最も重要な構成要素の1つであるという点に鑑みて、それを2つの制御回路で処理するようにしている。したがって、不正に対する防御性が高まり(不正を行いにくくできる)、従来に比して格段にセキュリティが向上する。
【0089】
▲2▼役物制御回路107Aが排出制御回路106Aを監視する役割を果しているので、この面からも不正に対するセキュリティを高めることができる。特に、本実施の形態では役物制御回路107Aが排出ユニット104から排出される遊技球を計数しており、排出確認数が設定値よりも多い場合には、遊技を不能動化する処理を行っているので、仮に排出制御回路106Aに不正を行うことを試みたとしても、以後の遊技が停止し、遊技球の不正な排出を防止することができる。
【0090】
▲3▼従来は排出制御装置が賞球排出のためのソレノイドの駆動や賞球排出に関連するランプの点灯等の制御を行っていたため、大変に複雑な制御になっており、効率が悪いものであったが、これに対して本実施の形態では、排出制御回路106Aはセーフソレノイド151の駆動に関する処理を行わず、賞球のための遊技球の排出と排出球数を計数して排出数を確認するためのプログラムで済むので、制御が簡単になり、効率も高めることができる。
▲4▼賞球排出の計数を2つの制御回路(すなわち、役物制御回路107Aおよび排出制御回路106A)で行い、それぞれの回路で排出数を確認しているので、賞球排出数の判断の確実性を向上させることができる。
【0091】
▲5▼実際に遊技球を排出させる駆動源(排出ユニット104)を制御する基板(排出制御回路106Aの基板)と、遊技球が排出されたことにより入賞球(セーフ球)を島設備内に流下させる制御を行う基板(役物制御回路107Aの基板)とを別にすることで、遊技球の排出制御を分散し、制御プログラムのみならず、制御を実行する電子部品の負担も軽くなり、遊技球の排出の確実性を高めることができる。
▲6▼役物制御回路107Aあるいは排出制御回路106Aの何れかで賞球排出の計数を行って排出数を確認可能な構成であるので、例えばどちらかの回路で主に排出数を確認するかを選択することも可能になり、賞球排出制御システム設計の幅を広げることが可能になる。
▲7▼また、本実施の形態の特有の効果として、以下のものがある。
遊技機1の主たる制御回路である役物制御回路107Aでは賞球数の確認ができるのみならず、セーフ球の排出制御も行うので、役物制御回路107Aで遊技機全体の制御が把握(特に、賞球データの設定から排出数の監視し、セーフ球を排出するまでの一連の排出制御の充実に活かせる等)できるという利点がある。
【0092】
「第2の実施の形態」
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、排出制御回路106Aが役物制御回路107Aからの確認の信号(例えば、差数信号)を待たずに、次の賞球排出の待機状態になるという点が第1の実施の形態と相違する。
図21は遊技機1における制御系統を示す図である。図21に示す制御系統が第1の実施の形態と異なるのは、役物制御回路107Aにセーフセンサ111aの出力信号を分配する分配回路が設けられておらず、セーフセンサ111aの出力信号は役物制御回路107Aのみに直接に入力されている点である。その他のハード的構成は第1の実施の形態と同様である。
【0093】
「賞球排出に関する処理」
次に、図22は役物制御回路107Aおよび排出制御回路106Aにおいて行われる賞球排出に関するプログラムを示すフローチャートである。図22のプログラムを説明すると、役物制御回路107Aでは、まずステップS51〜ステップS53で第1の実施の形態と同様の処理を行い、賞球データを排出制御回路106Aに送信する(第1の実施の形態と同様の処理を行うステップには同一ステップ番号を付している。以下同様)。
【0094】
排出制御回路106Aでは、ステップS54で賞球排出要求フラグをクリアし、続くステップS201で排出可能条件成立判定処理を行う。排出可能条件成立判定処理では、役物制御回路107Aから送信されてきた賞球データを受信し、排出可能条件が成立している場合には賞球排出要求フラグをセットするもので、詳細はサブルーチンで後述する。次いで、ステップS56、ステップS57を経て、ステップS202へ進む。ステップS202では賞球計数排出処理を行う。これは、賞球排出センサ134の出力によって賞球排出数を計数しながら、遊技球の排出を行うものであり、第1の実施の形態と異なり、役物制御回路107Aから差数信号(例えば、役物制御回路107A側で正常な賞球排出を確認したという情報)が送信されて、それを受けるというような処理はない。このとき、排出制御回路106Aには賞球排出センサ134からのパルスが入力されているとともに、賞球排出センサ134からのパルスは役物制御回路107Aにも入力されている。
次いで、排出制御回路106AではステップS202を経ると(賞球排出が全て終了したという確認は排出制御回路106A自身で行う)、ステップS54に戻って処理を繰り返す。なお、第2の実施の形態でも同様に排出制御回路106A側でセーフユニット111のセーフソレノイド151を駆動する制御は行わない。
【0095】
役物制御回路107Aでは、ステップS53の処理を経ると、ステップS203に進み、賞球排出数監視処理を行う。これは、賞球排出センサ134からのパルス入力に基づいて、排出制御回路106Aの制御によって排出ユニット105から排出された賞球の数を計数して監視するもので、差数信号を排出制御回路106Aに送信するような処理は行わない(詳細はサブルーチンで後述)。
次いで、ステップS204で再送要求フラグはセットされているか否かを判別する。再送要求フラグとは、排出数の確認時に不足があった場合にセットされるもので、再送要求フラグがセットされると、不足数の賞球データが排出制御回路106Aに送られることになり、排出制御回路106Aではあたかも次の賞球排出の要求がきたという判断で制御を行うことになる。
【0096】
ステップS204で再送要求フラグがセットされていると、ステップS53に戻ってループを繰り返す。したがって、このときは前述したように不足数の賞球データが排出制御回路106Aに送られ、排出制御回路106Aではあたかも次の賞球排出の要求がきたという判断で制御を行う。
一方、ステップS204で再送要求フラグがセットされていなければ、ステップS60に進んでセーフ球排出処理を行い、その後、ステップS51に戻って処理を繰り返す。
このように、第2の実施の形態でも同様に役物制御回路107A側でセーフ球を排出する処理を行う。
【0097】
「排出可能条件成立判定処理のサブルーチン」
次に、図23は排出制御回路106Aにおける賞球排出に関するプログラムの中の排出可能条件成立判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、まずステップS211で役物制御回路107Aから賞球データを受信したか否かを判別する。受信していない場合はリターンし、受信した場合には、ステップS212に進み、要求された賞球数=0であるか否かを判別する。賞球数=0であれば賞球排出の要求ではないので、リターンする。したがって、このときは賞球排出要求フラグ(後述のステップS213参照)はセットされない。一方、賞球数=0でなければ、ステップS213に進んで要求排出数を記憶し、賞球排出要求フラグをセットしてリターンする。
【0098】
「賞球排出数監視処理/賞球計数排出処理のサブルーチン」
次に、図24は賞球排出に関するプログラム(図22)の中の賞球排出数監視処理および賞球計数排出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンでは、まず役物制御回路107AでステップS101において排出確認数の記憶エリアに要求した賞球数を設定する。次いで、ステップS102で賞球排出数確認処理を行う。これは、賞球排出センサ134から出力されるパルスを検出する度に、排出確認数を減算する処理で、そのサブルーチンは第1の実施の形態と同様である。
【0099】
次いで、ステップS221で排出確認数=0であるか否かを判別し、NOのときはステップS222に分岐して再送要求フラグをセットし、ステップS223で再送用の賞球データを編集してリターンする。したがって、排出確認数=0でなく、不足の排出数がある場合には、その不足数の賞球データが編集され、次回のルーチンのステップS102の処理で排出制御回路106Aに送られることになり、排出制御回路106Aではあたかも次の賞球排出の要求がきたという判断で制御が行われて不足の排出数が排出される。不足の排出数が排出されると、排出確認数=0となる。
ステップS221で排出確認数=0である場合には、ステップS224に進んで再送要求フラグをクリアしてリターンする。したがって、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、正常な排出を確認した」という差数信号を排出制御回路106Aに送信する処理はない。
【0100】
排出制御回路106Aでは、ステップS105で排出機構作動処理を行う。これは、賞球排出センサ134から出力されるパルスに基づいて賞球排出数を計数し、賞球排出ソレノイド133を駆動して賞球排出を制御する処理で、サブルーチンの内容は第1の実施の形態と同様である。ステップS105を経ると、リターンする。
このように、役物制御回路107Aでは賞球排出センサ134から出力されるパルスに基づいて賞球排出数を確認し、不足の排出数があるときは賞球データが再編集されて排出制御回路106Aに送信され、賞球分の球を確実に排出するような処理が行われる。
【0101】
このように第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果の他に、排出制御回路106A側で役物制御回路107Aからの確認の信号(例えば、セーフソレノイド151の作動信号、差数信号)を待たずに、次の賞球排出の待機状態になるので、排出制御の一連の処理が第1実施の形態に比べて簡単(例えば、プログラムも簡単で済む)になるという利点がある。
【0102】
「本発明の変形例」
次に、本発明の変形例について説明する。
変形例は、役物制御回路107Aおよび排出制御回路106Aにおいて行われる賞球排出に関するプログラムの内容が前記実施の形態と異なり、以下の内容である。
排出制御回路106Aでは、分配回路165により分配された賞球排出センサ134からの信号(排出球情報)に基づいて排出ユニット105から排出される遊技球を計数し、所定の計数値になったか否かを判定するとともに、判定結果が所定の計数値であった場合に、その確認情報を役物制御回路107A側へ送信する処理を行う。これは、排出制御回路106Aが第1排出球確認手段の機能を実現することに相当する。
【0103】
一方、役物制御回路107Aでは、分配回路165により分配された賞球排出センサ134からの信号(排出球情報)に基づいて排出ユニット105から排出される遊技球を計数し、所定の計数値になったか否かを判定するとともに、この判定結果と排出制御回路106Aから送信された確認情報とを比較し、次いで、その比較結果に基づいてセーフユニット111にセーフ球の排出動作指令を出力する処理を行う。これは、役物制御回路107Aが第2排出球確認手段、判定結果比較手段および入賞球排出動作指令手段の機能を実現することに相当する。
【0104】
このような本発明の変形例の制御によると、役物制御回路107Aおよび排出制御回路106Aの双方で賞球排出数を計数して確認し、かつその確認結果を役物制御回路107A側で比較し、比較結果に基づいて役物制御回路107A側でセーフ球を排出制御するので、賞球排出に関する確実性をより一層高めることができる。
【0105】
本発明の実施の形態は、上記例に限らず、以下に述べるような各種の変形実施が可能である。
(a)本発明の適用対象となる遊技機は、どのような種類の遊技機でも遊技球を賞球として排出するものであれば、本発明を適用できる。例えば、磁気カードで球貸しを行うもの、ICカードで球貸しを行う等の遊技機のタイプに限定されずに、本発明を適用することができる。
【0106】
(b)排出ユニット内にある2条の排出通路はどちら側を賞球用、球貸し用の使用してもよく、そして、各通路に対応して2つの排出センサは、それに応じてどちら側を賞球用、球貸し用の使用してもよい。
(c)遊技球の排出を検出する排出球検出手段(例えば、賞球用排出センサ)の排出球情報を分配する分配手段を上記実施の形態では役物制御回路に設けているが、分配手段は役物制御回路でなく、その他の場所に設けてもよい。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、遊技制御装置および排出制御装置の双方で賞球排出数を計数して確認し、遊技制御装置側で入賞球排出装置に所定の排出動作指令を出力する処理を行うので、賞球排出に関する確実性をより一層高めることができる。
【0108】
▲1▼排出球検出手段により検出された排出球情報を2つの制御装置(遊技制御装置および排出制御装置:例えば、役物制御回路107Aおよび排出制御回路106A)に分配し、一連の賞球排出制御(すなわち、遊技球の排出動作)を2つの制御装置で実行しているので、不正に対するセキュリティを向上させることができる。
すなわち、従来は排出制御装置に遊技球の排出に関する動作制御を全て任していたため、遊技球の排出に関する動作についてセキュリティが低いというおそれがあったが、これに対して本発明では、遊技制御装置側にも分配手段から分配された排出球情報が入力されているため、遊技制御装置側で賞球に伴う排出球を計数して、所定の計数値になったらセーフ球の排出制御を行うというように、遊技球の排出動作が遊技機の中で最も重要な構成要素の1つであるという点に鑑みて、それを2つの制御装置で処理するようにしている。したがって、不正に対する防御性が高まり(不正を行いにくくできる)、従来に比して格段にセキュリティが向上する。
【0109】
▲2▼遊技制御装置が排出制御装置を監視する役割を果しているので、この面からも不正に対するセキュリティを高めることができる。
【0110】
▲3▼賞球排出の計数を2つの制御装置で行い、それぞれの装置で排出数を確認しているので、賞球排出数の判断の確実性を向上させることができる。
▲4▼実際に遊技球を排出させる駆動源(例えば、排出ユニット105)を制御する基板(例えば、排出制御回路106Aの基板)と、遊技球が排出されたことにより入賞球(セーフ球)を島設備内に流下させる制御を行う基板(例えば、役物制御回路107Aの基板)とを別にすることで、遊技球の排出制御を分散し、制御プログラムのみならず、制御を実行する電子部品の負担も軽くなり、遊技球の排出の確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊技機の正面図である。
【図2】遊技機の裏面図である。
【図3】排出ユニットの断面図である。
【図4】セーフユニットの断面図である。
【図5】セーフユニットの断面図である。
【図6】役物制御回路のブロック図である。
【図7】遊技機の制御系統を示すブロック図である。
【図8】遊技プログラムを示すフローチャートである。
【図9】入力処理およびスイッチ入賞処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】役物制御回路の記憶データおよび転送論理構成を説明する図である。
【図11】賞球データの転送方法を説明する図である。
【図12】賞球データの転送方法を説明する図である。
【図13】賞球排出に関するプログラムを示すフローチャートである。
【図14】賞球データ送信可能状態判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図15】排出可能条件成立判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】賞球排出数監視処理および賞球計数排出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図17】排出機構作動処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図18】賞球排出動作のタイミングチャートである。
【図19】賞球排出数確認処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図20】セーフ球の排出制御を説明するタイミングチャートである。
【図21】遊技機の制御系統を示すブロック図である。
【図22】賞球排出に関するプログラムを示すフローチャートである。
【図23】排出可能条件成立判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図24】賞球排出数監視処理および賞球計数排出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 遊技機
105 排出ユニット(排出装置)
106 排出制御ユニット(排出制御装置、排出球計数手段、第1排出球確認手段)
106A 排出制御回路
107 役物制御ユニット(遊技制御装置、排出球確認手段、入賞球排出動作指令手段、第2排出球確認手段、判定結果比較手段)
107A 役物制御回路
111 セーフユニット(入賞球排出装置)
111a セーフセンサ
134 賞球排出用の排出センサ(排出球検出手段)
165 分配回路(分配手段)
Claims (1)
- 入賞球を1個宛て検出するセーフセンサを有し、該検出された入賞球をトリガーにして賞球数が決定され、該賞球数の決定に関わった入賞球を排出させる指令信号に基づいて入賞球を1個ずつ排出する入賞球排出装置と、
遊技球の排出を検出する排出球検出手段および遊技球を遊技者側へ所要数排出する球排出機構を備えた排出装置と、
所要数の遊技球を遊技者側へ排出するように前記排出装置を制御する排出制御装置と、
前記入賞球排出装置によって検出された入賞球に対応した賞球数を決定し、賞球排出すべく賞球数を前記排出制御装置へ送信するとともに、遊技に関する動作を制御する遊技制御装置と、を備えた遊技機において、
前記排出球検出手段により検出された検出信号を前記排出制御装置と遊技制御装置に分配可能な分配手段を設け、
前記排出制御装置は、
前記排出装置における排出動作を開始可能とする排出可能条件が成立しているか否かを判定する排出可能条件成立判定手段と、
前記分配手段により分配された検出信号に基づいて遊技球を計数し、遊技制御装置から送信された賞球数になったか否かを判定する排出数判定手段と、を有し、
前記遊技制御装置は、
前記排出可能条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合に、前記賞球数を決定し、該賞球数を前記排出制御装置へ送信可能とする賞球データ送信可能状態判定手段と、
前記分配手段により分配された検出信号に基づいて前記排出制御装置の制御により排出される排出装置からの遊技球を計数し、送信した賞球数になったか否かを判定する賞球排出数監視手段と、
前記賞球排出数監視手段で送信した賞球数になったと判定された場合に、前記賞球数の決定に関わった入賞球を排出させる指令信号を前記入賞球排出装置に出力する入賞球排出動作指令手段と、
を有することを特徴とする遊技機。
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