JP4257078B2 - プリンタ装置および写真プリント作成装置ならびに印刷方法および写真プリント作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇華型熱転写方式により画像を印刷するプリンタ装置および印刷方法、ならびに主としてゲームセンター等に設置され、硬貨等が投入されることにより使用者を含む被写体を撮影し、得られた撮影画像をプリントして出力する写真プリント作成装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゲームセンター等において、写真を撮影してシールプリント等にする写真自販機が数多く設置されている。このような写真自販機としては、一般に、図16に示すようなものが用いられている。このものは、内部および前面に各種の装置が設けられた筐体1と、上記筐体1の上下から被写体2の背後まで達するように突き出された支持フレーム3とを備えている。
【0003】
そして、上記両支持フレーム3の先端部分に、撮影の際の背景となるカーテン5が吊設され、上記筐体1,支持フレーム3,カーテン5で囲まれた空間が、被写体2の撮影用ブースを形成している。上側の支柱3には、撮影用ブース内の被写体2を照射する2つのライト4が取り付けられている。
【0004】
上記筐体1の内部には、被写体2を撮影するカメラ6が設けられている。上記筐体1のカメラ6の被写体2側に位置する面には、透明板10が嵌め込まれている。また、上記筐体1の内部には、上記カメラ6から画像データを受信して画像合成等の処理を行うコンピュータ装置7が設けられている。また、上記筐体1の被写体2側には、上記コンピュータ装置7から送信された合成画像等の画像データを受信して画像を表示するディスプレイ8が設けられている。
【0005】
さらに、上記筐体1の正面には、コンピュータ装置7から送信された画像データを受信し、この画像を印刷媒体13に印刷するプリンタ9が設けられている。このプリンタ9で印刷された印刷媒体13は、筐体1の前面に形成された送出口11から送出されるようになっている。
【0006】
さらに、上記筐体1の前面にはタッチペン12を備えた操作パネルが設けられ、使用者2が上記タッチペン12の先端をディスプレイ8の表面に接触させて文字や図形等を描いて入力しうるようになっており、手書き入力された文字・図形等の画像データやスタンプ画像等が、カメラ6で撮影された被写体2の撮影画像と合成されてディスプレイ8に表示され、印刷媒体13に印刷されるようになっている。
【0007】
上記のような写真自販機には、主として昇華型プリンタが用いられている。この昇華型プリンタは、昇華染料が塗布されたインクフィルムを記録紙に圧着させた状態で、画像データに応じた加熱を行うことにより、記録紙に昇華染料を転写して印刷を行うものである。このような昇華型プリンタでは、印刷画像を保護するために昇華染料の転写後に透明フィルムをラミネートすることが行われている(例えば特開平9−71057号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近は、写真自販機の利用人口の増加とともに、そのニーズも多様化している。そこで、これらのニーズに応えるため、被写体の画像に合成されるフレームや前景として各種の趣向を凝らしたものも数多く提供されているが、単にフレームと顔写真とを合成し、合成画像を普通にプリントするだけの画一的なものではもう満足されなくなってきている。
【0009】
また、従来の昇華型プリンタでは、単に印刷画像を保護するために透明フィルムをラミネートするにすぎず、上述した先行技術においても、保護層の接着性を高める工夫がなされているにすぎず、画質を向上させて写真プリントの付加価値を高めるような工夫はなされていないのが実情である。
【0010】
一方、熱転写プリンタにおいて、印刷画像に光沢を施す方法としては、特開平8−39841号公報に開示された方法がある。しかしながら、この方法では、異なる角度の照明で被写体を2回撮影して2つの画像データを生成し、これら2つの画像データに基づいて光沢処理の光沢信号を生成することから、光沢信号の生成動作が煩雑で、被写体が動きやすい人物写真には適用することができなかった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、印刷結果に立体的な光沢変化を与えることができるプリント装置および写真プリント作成装置ならびに印刷方法および写真プリント作成方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のプリンタ装置は、熱転写ヘッドを有し、入力された画像データに基づいて昇華染料を熱転写して印刷媒体に画像を印刷したのち、上記印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写するプリンタ装置であって、
上記入力された画像データの表色データのうち特定の表色要素として明度を抽出する抽出手段と、
上記抽出された明度が相対的に高い画素か低い画素かにより、明度が相対的に高い画素を相対的に低い画素よりも相対的に低い熱量で、明度が相対的に低い画素を相対的に高い画素よりも相対的に高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御する熱量制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0013】
また、本発明の写真プリント作成装置は、使用者を含む被写体を撮影して画像データを生成する撮影手段と、上記撮影画像を表示する表示手段と、上記撮影画像を印刷媒体に印刷して写真プリント出力する上記請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリンタ装置と、上記撮影手段,表示手段およびプリンタ装置を制御する制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0014】
すなわち、本発明のプリンタ装置および写真プリント作成装置は、抽出された明度が高い画素を低い熱量で、明度が低い画素を高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御する熱量制御手段を備えたことにより、印刷結果に立体的な光沢変化を与えることができ、画質を向上させて写真プリントの付加価値を高めることができる。また、入力された画像データの表色データのうち明度を抽出する抽出手段を備え、上記抽出された明度が高い画素を低い熱量で、明度が低い画素を高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御する。このように、光沢変化を与える光沢処理に用いるデータとして、印刷用に用いる画像データから抽出した明度を用いることから、光沢処理のためのデータ生成が容易で、データ処理の速度が速くなり、印刷時間の延長を防止できる。さらに、従来のように2回撮影によって光沢データを生成するのではなく、印刷用に用いる画像データをそのまま利用できることから、被写体が動きやすい人物写真にも適用することができ、光沢に変化をもたせたハイグレードな人物写真を印刷することが可能となる。また、人が見たときの感じ方に比較的近い色相系表色データの表色要素である明度を特定の表色要素として利用することから、印刷結果に人の感じ方に近い立体的な光沢変化を与えることができる。一般に、被写体に光が強くあたっている部分や光の向きの加減で強く反射している部分は明度が高く、反対に、被写体にあまり光があたっていない部分やあまり反射していない部分は明度が低い。このため、例えば、特定の表色要素として明度を抽出し、明度の高い画素は低い熱量で保護フィルムPを熱転写して光沢を出し、反対に、明度の低い画素は高い熱量で保護フィルムPを熱転写して光沢を抑えることにより、立体的な光沢変化を与えることができるようになる。
【0016】
本発明のプリンタ装置において、上記画像データを3原色系表色データから色相系表色データに変換する変換手段をさらに備え、上記特定の表色要素として、上記変換された色相系表色データにおける明度を抽出する場合には、人が見たときの感じ方に比較的近い色相系表色データの表色要素である明度を特定の表色要素として利用することから、印刷結果に人の感じ方に近い立体的な光沢変化を与えることができる。
【0017】
本発明のプリンタ装置において、転写熱量の調節データの入力を受け付ける調節入力受付手段を備え、上記調節データを反映させた熱量の可変制御を行うようになっている場合には、季節や時刻などの変化に応じて光沢の状態に微調整をすることが可能である。また、表色要素の1階調幅よりも細かな制御を行うことができる。
【0018】
本発明のプリンタ装置において、上記熱量制御手段は、画素単位で熱量を制御するものである場合には、印刷表現力がより高まり、高品質の写真プリント等を得ることができる。
【0019】
本発明のプリンタ装置において、上記昇華染料にブラックインクを用いない場合には、上記熱量制御による保護層転写を行うことから、ブラックインクを使用しなくても深みのある黒を表現することができる。また、ブラックインクは他のシアン,マゼンタ,イエローのインクと製造方法が若干異なりコストが高いため、ブラックインクを利用しないことにより印刷コストを抑えることができる。
【0020】
本発明のプリンタ装置において、上記画像が印刷された印刷媒体の印刷面に第1保護フィルムを熱転写する第1転写工程と、抽出手段で抽出された表色要素に基づいて第2保護フィルムを熱転写する第2転写工程とを実行するようになっている場合には、保護を目的とする第1転写工程と、立体的な光沢変化を目的とする第2転写工程を分けることにより、それぞれの目的に応じた異なる保護フィルムを用いることができ、印刷画像の染着や保護も確実に行え、かつ立体的な光沢変化のある印刷結果が得られる。
【0021】
本発明のプリンタ装置において、入力された画像データに基づいて昇華染料を熱転写して印刷媒体に画像を印刷する第1熱転写ヘッドと、上記画像が印刷された印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写する第2熱転写ヘッドとを備えている場合には、保護フィルムを転写する第2熱転写ヘッドと、画像を印刷する第1熱転写ヘッドとを分けることで、従来の印刷画像品質には影響を与えることなく、保護層転写ヘッドのより細かな制御を行うことができ、光沢に微妙な変化をもたせることが可能になる。また、すでに熱転写ヘッドが2つあるプリンタでは、1つの熱転写ヘッドを改良するだけで済むので効果的である。
【0022】
本発明のプリンタ装置において、保護フィルムが転写された印刷媒体の上記保護フィルムの上に、さらに熱転写により画像を印刷する第3熱転写ヘッドを備えた場合には、立体的な光沢変化のある印刷結果上に、第3熱転写ヘッドにより、たとえばラメやホログラムなどキラキラした印刷等を行うことでさらに特徴的な印刷結果を得ることができる。
【0023】
本発明の写真プリント作成装置は、使用者を含む被写体を撮影して画像データを生成する撮影手段と、上記撮影画像を表示する表示手段と、上記撮影画像を印刷媒体に印刷して写真プリント出力するプリンタ装置と、上記撮影手段,表示手段およびプリンタ装置を制御する制御手段とを備えた写真プリント作成装置であって、
上記制御手段は、画像データの表色データのうち特定の表色要素として明度を抽出し、
上記プリンタ装置は、昇華染料を熱転写して印刷媒体に撮影画像を印刷するとともに、上記印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写する熱転写ヘッドと、上記抽出された明度が相対的に高い画素か低い画素かにより、明度が相対的に高い画素を相対的に低い画素よりも相対的に低い熱量で、明度が相対的に低い画素を相対的に高い画素よりも相対的に高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御する手段を備えたことを第2の要旨とする。
【0024】
本発明の写真プリント作成装置は、上記制御手段は、上記画像データを3原色系表色データから色相系表色データに変換する変換手段をさらに備え、上記特定の表色要素として、上記変換された色相系表色データにおける明度を抽出するものとすることができる。
本発明の写真プリント作成装置は、上記プリンタ装置は、転写熱量の調節データの入力を受け付ける調節入力受付手段を備え、上記調節データを反映させた熱量の可変制御を行うようになっているものとすることができる。
本発明の写真プリント作成装置は、上記プリンタ装置は、画素単位で熱量を制御するものとすることができる。
本発明の写真プリント作成装置は、上記プリンタ装置は、上記昇華染料にブラックインクを用いないものとすることができる。
本発明の写真プリント作成装置は、上記プリンタ装置は、上記画像が印刷された印刷媒体の印刷面に第1保護フィルムを熱転写する第1転写工程と、抽出手段で抽出された表色要素に基づいて第2保護フィルムを熱転写する第2転写工程とを実行するようになっているものとすることができる。
本発明の写真プリント作成装置は、入力された画像データに基づいて昇華染料を熱転写して印刷媒体に画像を印刷する第1熱転写ヘッドと、上記画像が印刷された印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写する第2熱転写ヘッドとを備えているものとすることができる。
本発明の写真プリント作成装置は、上記プリンタ装置は、保護フィルムが転写された印刷媒体の上記保護フィルムの上に、さらに熱転写により画像を印刷する第3熱転写ヘッドを備えたものとすることができる。
【0025】
また、本発明の印刷方法は、入力された画像データに基づいて昇華染料を熱転写して印刷媒体に画像を印刷したのち、上記印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写する印刷方法であって、
上記入力された画像データの表色データのうち特定の表色要素として明度を抽出するステップと、
上記抽出された明度が相対的に高い画素か低い画素かにより、明度が相対的に高い画素を相対的に低い画素よりも相対的に低い熱量で、明度が相対的に低い画素を相対的に高い画素よりも相対的に高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御するステップとを実行することを要旨とする。
【0026】
また、本発明の写真プリント作成方法は、使用者を含む被写体を撮影して画像データを生成する撮影手段と、上記撮影画像を表示する表示手段と、昇華染料を熱転写して印刷媒体に撮影画像を印刷するとともに、上記印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写して上記撮影画像を印刷媒体に印刷して写真プリント出力するプリンタ装置と、上記撮影手段,表示手段およびプリンタ装置を制御する制御手段とを備えた写真プリント作成装置を準備し、
上記画像データの表色データから特定の表色要素として明度を抽出するステップと、
上記抽出された明度が相対的に高い画素か低い画素かにより、明度が相対的に高い画素を相対的に低い画素よりも相対的に低い熱量で、明度が相対的に低い画素を相対的に高い画素よりも相対的に高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御するステップとを実行することを要旨とする。
【0027】
なお、本発明において、表色データとは、色彩を表すデータをいい、具体的には、RGB3原色系表色データ,CMY3原色系表色データ,HSV(HSL,HSI等と称されるものも含む)色相系表色データ等のカラーモデルをあげることができる。また、表色要素とは、各カラーモデルにおいて色彩を表す個々の要素をいい、具体的には、RGB3原色系カラーモデルの場合はR,G,Bそれぞれのデータ、CMY3原色系カラーモデルの場合はC,M,Yそれぞれのデータ、HSV色相系カラーモデルの場合は、色相,彩度,明度それぞれのデータをいう。
【0028】
また、本発明において適用することができる表色データは、例示したものに限定されるわけではなく、デジタル処理において色彩を表すデータであれば各種のものを適用することができる。また、使用する表色要素も例示したものに限定する趣旨ではない。
【0029】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0030】
図1は、本発明のプリンタ装置9の一実施の形態を示す図であり、図2は上記プリンタ装置9に使用するインクフィルム29を示す図である。また、図3は、上記インクフィルム29を使用して画像が印刷された印刷媒体13に保護フィルムPを熱転写する状態を示す図である。
【0031】
上記プリンタ装置9は、図2および図3に示すように、熱転写ヘッド20を有し、コンピュータ装置7から入力された画像データに基づいてインクフィルム29に塗布されたシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各昇華染料を熱転写して印刷媒体13に画像を印刷したのち、画像が印刷された印刷媒体13の印刷面に保護フィルムPを熱転写する。
【0032】
上記インクフィルム29は、図2に示すように、基材フィルム28の表面に、C,M,Yの昇華染料がそれぞれ塗布された領域と、保護フィルムPが積層された領域とを有している。この例では、図示の左からY領域,M領域,C領域,保護フィルムP領域が形成され、長手方向に各領域が同じ順で繰り返すよう設けられている。
【0033】
そして、印刷媒体13に印刷を行うときは、図3に示すように、熱転写ヘッド20とプラテンローラ37の間において、印刷媒体13の受容層39とインクフィルム29の昇華染料Y(図3では保護フィルムPを示している)が対面するよう配置する。
【0034】
この状態で、印刷媒体13およびインクフィルム29を略同じ速度で送りながら熱転写ヘッド20により熱を与えることにより、まず、昇華染料Yが受容層39に網点状に熱転写される。ついで、昇華染料Yが転写された印刷媒体13の領域とインクフィルム29の昇華染料Mが対面するよう配置して、同様に昇華染料Mを熱転写したのち、同様に昇華染料Cを熱転写して写真画像の印刷が行われる。
【0035】
また、昇華染料Y,M,Cによる画像の印刷が終了すると、印刷媒体13の画像が印刷された領域とインクフィルム29の保護フィルムPが対面するよう配置されて、熱転写ヘッド20により、画像が印刷された印刷媒体の印刷面に、保護フィルムPが熱転写される。図3において、38は印刷媒体13の基材紙である。
【0036】
そして、本発明では、後述するように、上記保護フィルムPの熱転写の際に、熱量の制御を行って印刷結果の光沢に変化を与えるのである。
【0037】
つぎに、上記プリンタ装置9のシステム構成について説明する(図1に戻る)。
【0038】
図において、7はコンピュータ装置であり、プリンタドライバ34が内蔵され、このプリンタドライバ34のユーティリティ上で入力装置24からの入力によって印刷モードの選択等のデータや印字指令等を入力しうるように構成されている。また、上記プリンタドライバ34は、入力されたGIFやJPEG等のイメージデータをビットマップ形式の画像データに変換する。印字指令の入力により、プリンタドライバ34からは印刷データが送出されてプリンタ装置9に入力されるようになっている。
【0039】
19はコンピュータ装置7からプリンタ装置9に入力される印刷データが入力されるインターフェースであり、17はインターフェース19に入力された画像データを受け付けて一時的に保持する画像データ入力受付部である。このとき、通常は、コンピュータ装置7から入力される画像データにおける色彩を表すデータである表色データは、RGB3原色系のデータである。
【0040】
18は原色データ変換手段であり、入力された画像データにおけるRGB3原色系の表色データを、印刷に用いるCMY3原色系の表色データに変換する。22は熱量演算手段であり、上記原色データ変換手段18で変換された画像データの各ピクセルにおけるCMY3原色系の表色データの階調に基づいて、C,M,Yの各色の昇華染料を熱転写ヘッド20で熱転写する際の熱量を演算する。
【0041】
21は熱量制御手段であり、上記熱量演算手段22で演算された熱量に基づいて、熱転写ヘッド20の熱量を制御する。そして、熱転写ヘッド20では、上記熱量制御手段21による制御に基づいて、C,M,Yの昇華染料を所定の階調で熱転写し、上述したように、印刷媒体13に写真画像等を印刷するようになっている。
【0042】
また、上記熱転写ヘッド20は、昇華染料C,M,Yが熱転写されたのち、印刷媒体13の印刷面に保護フィルムPを熱転写する。そして、本発明では、保護フィルムPの熱転写の際の転写熱量を制御することにより、印刷結果の光沢特性に変化を与えるのである。
【0043】
すなわち、図4に例示したように、保護フィルムPを転写する際の転写熱量が変わると、印刷結果の光沢特性が変化する。本発明では、入力された画像データを利用して、画素単位で転写熱量を制御することにより、印刷結果に立体的な光沢を与えるのであり、以下、その構成について説明する。
【0044】
図1において、42は表色要素抽出手段であり、コンピュータ装置7から入力され原色データ変換手段18で変換された画像データのCMY3原色系表色データのうち、特定の表色要素を抽出する。上記表色要素抽出手段42で抽出された表色要素のデータは、熱量演算手段22に送られて、各ピクセルにおける抽出された特定の表色要素の階調に基づいて、保護フィルムPを熱転写ヘッド20で熱転写する際の熱量が演算される。
【0045】
そして、上記熱量演算手段22での演算結果により、熱量制御手段21では、上記抽出された表色要素の階調に基づいて保護フィルムPを熱転写する転写熱量が可変制御され、熱転写ヘッド20は、保護フィルムPを所定の階調すなわち熱転写エネルギーで熱転写し、印刷媒体13の印刷面に保護フィルムPを転写するようになっている。このとき、画素単位で転写熱量が制御され、印刷結果に立体的な光沢が与えられる。
【0046】
このように、この例では、熱転写ヘッド20は、昇華染料Y,M,Cの熱転写用のものと保護フィルムPの熱転写用のものについて、1つの熱転写ヘッド20が兼用され、双方を行うようになっている。また、熱量演算手段22および熱量制御手段21も、それぞれ昇華染料の転写熱量の演算および制御用と、保護フィルムPの転写熱量の演算および制御用とが兼用され、双方を行うようになっている。
【0047】
このように、保護フィルムPを熱転写する転写熱量を可変制御することにより、印刷結果に立体的な光沢変化を与えることができ、画質を向上させて写真プリントの付加価値を高めることができる。また、入力された画像データの表色データのうち特定の表色要素を抽出し、上記抽出された表色要素の階調に基づいて上記転写熱量を可変制御する。このように、光沢変化を与える光沢処理に用いるデータとして、印刷用に用いるCMY3原色系の画像データから抽出した表色要素を用いることから、光沢処理のためのデータ生成が容易で、データ処理の速度が速くなり、印刷時間の延長を防止できる。さらに、従来のように2回撮影によって光沢データを生成するのではなく、印刷用に用いるCMY3原色系の画像データをそのまま利用できることから、被写体が動きやすい人物写真にも適用することができ、光沢に変化をもたせたハイグレードな人物写真を印刷することが可能となる。
【0048】
この例において、表色要素抽出手段42で抽出する表色要素としては、CMY3原色系の表色データ中の、C,M,Yのいずれかの表色要素を用いることができる。また、いずれか2色以上を混色させた所定の表色要素を用いてもよい。このように、印刷過程で使用されるCMY3原色系表色データから特定の表色要素を抽出して利用することから、処理を簡素化でき、印刷時間を長くすることなく、効率的に印刷結果に立体的な光沢変化を与えることができる。
【0049】
特に、上記特定の表色要素として、人物写真における肌色を構成する表色要素を抽出して利用するのが好ましい。このようにすることにより、人物の照明を浴びた肌の部分,照明を浴びていない肌の部分,肌以外の部分等において、光沢に変化を与え、明暗さがはっきりしてコントラストが強いくっきりした印刷結果を得ることができる。
【0050】
さらに、図5に示す日本人男女の顔色分光曲線図(日本色彩学会編「新編色彩科学ハンドブック(第2版)」1295頁)においても、肌色を構成する要素として黄色(波長573〜578nm)から赤色(波長640〜780nm)成分が多く含まれることがわかっている。したがって、上記特定の表色要素として、CMY3原色系表色データを用いる場合は、人物写真における肌色を構成する表色要素であるY(イエロー)を用いるのが好ましい。また、RGB3原色系表色データを用いる場合は、同様の理由によりR(レッド)を用いるのが好ましい。
【0051】
特に、上記特定の表色要素としてY(イエロー)に代表されるような、人物写真における肌色を構成するとともに髪の色を構成する表色要素を用いるのが好ましい。そして、Y成分の多い部分は低い熱量で保護フィルムPを熱転写し、Y成分の少ない部分は高い熱量で保護フィルムPを熱転写することにより、人物の肌や髪の部分は艶があり、それ以外の背景や服装等の部分は艶を抑えた効果的な光沢変化を与え、より立体的でハイグレードな人物写真を得ることができる。
【0052】
なお、上述した例は、黄色人種である日本人を被写体とした人物写真の例を示したが、特定の表色要素は被写体とする人物の人種や化粧の程度、あるいは利用者の好み、写真作成者の意図等によって適宜選択することができる。
【0053】
そして、上述したように、上記熱量制御による保護フィルムPの熱転写を行って光沢に変化を与えることから、上記昇華染料としてブラックインクを使用しなくても深みのある黒を表現することができる。特に、上記特定の表色要素としてY(イエロー)のような、人物写真における髪の色を構成する表色要素を用いることにより、ブラックインクを使用しなくても頭髪の部分に深みのある光沢変化を与えることができる。そして、ブラックインクは他のシアン,マゼンタ,イエローのインクと製造方法が若干異なりコストが高いため、ブラックインクを利用しないことにより印刷コストを抑えることができる。
【0054】
ここで、人物写真の頭髪の部分に光沢変化を与えた写真プリントの一例を図6に示す。図において、Dは光沢の少ない部分、Bが光沢の多い部分である。図では光沢の少ないD領域と光沢の多いB領域の境界を実線で示したが、この境界は、はっきりとした境界線をつけないよう徐々に光沢が変化するようにするのが好ましい。
【0055】
また、図1において、44は上記特定の表色要素の指定入力を受け付ける指定入力受付手段であり、ユーザがプリンタドライバ34のユーティリティ上で、コンピュータ装置7の入力装置24等を利用して所望の表色要素を指定入力しうるようになっている。そして、表色要素抽出手段42では、上記指定入力受付手段44で指定された表色要素を抽出するようになっている。このようにすることにより、画像の特徴,利用者の好み,温度変動,湿度変動等の変動因子に柔軟に対応した光沢変化を与えることができるようになり、より利用範囲が広く、立体的な光沢変化のある印刷結果を得ることができる。
【0056】
また、図1において、23は抽出手段で抽出された表色要素に基づく転写熱量の可変制御以外に、転写熱量の調節データの入力を受け付ける調節入力受付手段であり、ユーザがプリンタドライバ34のユーティリティ上で、コンピュータ装置7の入力装置24等を利用して、表色要素抽出手段42で抽出された表色要素以外の所望の表色要素を指定入力しうるようになっている。
【0057】
そして、熱量演算手段22および熱量制御手段21では、上記調節データを反映させた熱量の可変制御を行い、上記抽出された表色要素による光沢変化に加えて、さらに光沢特性を調節できるようになっている。このようにすることにより、季節や時刻などの変化に応じて光沢の状態に微調整をすることが可能である。また、表色要素の1階調幅よりも細かな制御を行うことができる。
【0058】
図7および図8は、本発明の第2の実施の形態のプリンタ装置を示す。
【0059】
このプリンタ装置は、入力された画像データに基づいて昇華染料C,M,Yを熱転写して印刷媒体13に画像を印刷する第1熱転写ヘッド40と、上記画像が印刷された印刷媒体13の印刷面に保護フィルムPを熱転写する第2熱転写ヘッド41とを備えている。
【0060】
また、原色データ変換手段18で変換された画像データの各ピクセルにおけるCMY3原色系の表色データの階調に基づいて、C,M,Yの各色の昇華染料を第1熱転写ヘッド40で熱転写する際の熱量を演算する第1熱量演算手段22aと、上記第1熱量演算手段22aで演算された熱量に基づいて、第1熱転写ヘッド40の熱量を制御する第1熱量制御手段21aとを備えている。
【0061】
そして、上記第1熱量演算手段22a,第1熱量制御手段21a,第1熱転写ヘッド40により、C,M,Yの昇華染料を所定の階調で熱転写して印刷媒体13に写真画像等を印刷するようになっている。
【0062】
また、上記表色要素抽出手段42で抽出された表色要素のデータを、各ピクセルにおける抽出された特定の表色要素の階調に基づいて、保護フィルムPを熱転写ヘッド20で熱転写する際の熱量を演算する第2熱量演算手段22bと、第2熱量演算手段22bでの演算結果により、上記抽出された表色要素の階調に基づいて保護フィルムPを熱転写する転写熱量を可変制御する、第2熱量制御手段21bとを備えている。
【0063】
そして、上記第2熱量演算手段22b,第2熱量制御手段21b,第2熱転写ヘッド41により、保護フィルムPを所定の階調すなわち熱転写エネルギーで熱転写し、印刷媒体13の印刷面に保護フィルムPを転写するようになっている。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0064】
このプリンタ装置によれば、保護フィルムPを転写する第2熱転写ヘッド41と、画像を印刷する第1熱転写ヘッド40とを分けることで、従来の印刷画像品質には影響を与えることなく、保護フィルムPを転写する第2転写ヘッド41のより細かな制御を行うことができ、光沢に微妙な変化をもたせることが可能になる。また、すでに熱転写ヘッドが2つあるプリンタでは、1つの熱転写ヘッドを改良するだけで済むので経済的かつ効果的である。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0065】
つぎに、本発明の第3の実施の形態のプリンタ装置を説明する。
【0066】
この装置は、図7および図8に示したプリンタ装置9により、上記画像が印刷された印刷媒体13の印刷面に第1保護フィルムP1を熱転写する第1転写工程と、表色要素抽出手段42で抽出された表色要素に基づいて第2保護フィルムP2を熱転写する第2転写工程とを実行するようにしたものである。
【0067】
図9は、このような態様のプリンタ装置9に用いられるインクフィルム29の一例を示す。この例では、Y,M,Cの昇華染料がそれぞれ塗布された領域と、第1保護フィルムP1,第2保護フィルムP2がそれぞれ積層された領域とが設けられている。
【0068】
そして、上記第1熱量演算手段22a,第1熱量制御手段21a,第1熱転写ヘッド40により、C,M,Yの昇華染料を所定の階調で熱転写して印刷媒体13に写真画像等を印刷するとともに、印刷面を保護するための第1保護フィルムP1を熱転写する第1転写工程を実行する。
【0069】
また、上記第2熱量演算手段22b,第2熱量制御手段21b,第2熱転写ヘッド41により、第2保護フィルムP2を所定の階調すなわち熱転写エネルギーで熱転写し、第1保護フィルムP1が熱転写された印刷媒体13の表面に第2保護フィルムP2を転写するようになっている。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0070】
このようにすることにより、印刷面の保護を主目的とする第1転写工程と、立体的な光沢変化の付与を主目的とする第2転写工程を分けることにより、それぞれの目的に応じた異なる保護フィルムP1,P2を用いることができ、印刷画像の染着や保護も確実に行え、かつ立体的な光沢変化のある印刷結果が得られる。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0071】
図10は、本発明の第4の実施の形態のプリンタ装置を示す。
【0072】
この装置は、C,M,Yの昇華染料を所定の階調で熱転写して印刷媒体13に写真画像等を印刷するとともに、印刷面を保護するための保護フィルムPを熱転写する第1熱転写ヘッド20(図1〜図3で説明したものである)と、上記保護フィルムPが転写された印刷媒体13の上記保護フィルムPの上に、さらに熱転写により画像を印刷する第3熱転写ヘッド46とを備えている。
【0073】
この装置では、第1熱転写ヘッド20では、図2に示したものと同様のインクフィルム29が用いられ、第3熱転写ヘッド46では、メタリック層,ホログラム層,ラメ顔料,チタンホワイト等を含む顔料インク等の特殊インクが展着されたインクフィルム29bが用いられる。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0074】
上記顔料インクに用いられる顔料としては、特に限定するものではなく、各種のものが使用される。例えば、アゾ顔料,フタロシアニン,縮合多環顔料等の各種有機顔料や、酸化チタンや亜鉛華等の各種酸化物,アルミナホワイト等の各種水酸化物,カドミウムイエロー等の各種硫化物をはじめ、クロム酸,硫酸塩,炭酸塩,珪酸塩,燐酸塩,砒酸塩,フェロシアン化物,炭素,金属粉等の各種無機顔料等があげられる。
【0075】
これらのなかでも、特に、ブロンズ粉やアルミニウム粉等を用いた金色,銀色等のメタリック顔料インクが、上書き画像がキラキラ光る装飾的な効果が高く、好適に用いられる。上記メタリック色の印刷にあたっては、アルミニウム等の金属が蒸着されたフィルムをインクリボンとして用いることもできる。本発明の顔料インクは、このような態様も含む趣旨である。また、各種蛍光顔料,パール顔料,蓄光顔料,示温顔料等も装飾的に優れているため、好適に用いられる。
【0076】
この装置では、立体的な光沢変化のある印刷結果上に、第3熱転写ヘッド46により、たとえばラメやホログラムなどキラキラした印刷等を行うことでさらに特徴的な印刷結果を得ることができる。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0077】
図11は、本発明の第5の実施の形態のプリンタ装置を示す。
【0078】
この装置は、原色データ変換手段18で変換されたCMY3原色系表色データの上記画像データを色相系表色データの画像データに変換するカラーモデル変換手段43をさらに備えている。そして、表色要素抽出手段42で抽出する特定の表色要素として、上記カラーモデル変換手段43で変換された色相系表色データにおけるいずれかの表色要素を抽出し、保護フィルムPの熱転写量制御に利用するようになっている。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0079】
このようにすることにより、人が見たときの感じ方に比較的近い色相系表色データの表色要素である色相,彩度,明度のいずれかを特定の表色要素として利用することから、印刷結果に人の感じ方に近い立体的な光沢変化を与えることができる。一般に、被写体に光が強くあたっている部分や光の向きの加減で強く反射している部分は明度が高く、反対に、被写体にあまり光があたっていない部分やあまり反射していない部分は明度が低い。このため、例えば、特定の表色要素として明度を抽出し、明度の高い部分は低い熱量で保護フィルムPを熱転写して光沢を出し、反対に、明度の低い部分は高い熱量で保護フィルムPを熱転写して光沢を抑えることにより、立体的な光沢変化を与えることができるようになる。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0080】
図12は、本発明の写真プリント作成装置の一実施の形態を示す図である。
【0081】
この写真プリント作成装置は、使用者を含む被写体2を撮影して画像データを生成するカメラ6と、撮影時に被写体2を照明する照明手段であるライト4と、上記撮影画像を表示するディスプレイ8と、上記撮影画像を印刷媒体13に印刷して写真プリント出力するプリンタ装置9と、上記カメラ6,ライト4,ディスプレイ8およびプリンタ装置9を制御するコンピュータ装置7とを備えている。そして、上記プリンタ装置9として、図1〜図11で説明した、プリンタ装置9を使用している。
【0082】
より詳しく説明すると、この写真プリント作成装置は、筐体1の内部および表面に各種の装置が設けられている。ここで、説明の便宜上、筐体1において、使用者(被写体)2と対面する側(図12の左側)を筐体1の前側とし、反対側(図12の右側)を筐体1の後側とする。
【0083】
上記筐体1の前面には、硬貨投入口(図示せず)が設けられ、筐体1内部の硬貨投入口に隣接した位置に、投入した硬貨を検出して後述するコンピュータ装置7に検出信号を送信する硬貨検出部14(図13参照)が設けられている。また、筐体1前面の適所には、コンピュータ装置7から音声信号を受信して音声出力するスピーカ15(図13参照)、被写体2を照射するライト4が設けられている。
【0084】
そして、上記被写体2の背後には、外部からの光を遮断するカーテン5が配設されている。このカーテン5は、筐体1の前面の上部および下部から突出された支持フレーム3によって支持される。上記カーテン5の内面には、画像の合成手法に応じた色彩が施される。例えば、クロマキー合成であれば、カーテン5の内面全体に緑,青等のクロマキー合成に適当な色の着色が施される。
【0085】
上記筐体1の内部空間には、被写体2を撮影するカメラ6と、上記カメラ6から画像データを受信して画像の合成等を行うコンピュータ装置7と、このコンピュータ装置7から送信された合成画像等の画像データを受信して画像を表示するディスプレイ8とが設けられている。
【0086】
上記筐体1のカメラ6の前側に対応する部分には、ガラス・プラスチック等の透明板10が嵌めこまれている。また、上記ディスプレイ8は、被写体2に向かって斜め上向きに配設され、ディスプレイ8に表示された画像が使用者2によって目視されるようになっている。
【0087】
さらに、上記筐体1の前面には、操作部16が設けられている。この操作部16は、使用者2が各種の操作を行うボタン等を有し、コンピュータ装置7に操作信号を送信する。
【0088】
また、上記操作部16には、タッチペン12が備えられている。このタッチペン12は、その先端をディスプレイ(例えば、LCDタブレット,タッチパネル等が用いられる)8の表面に接触させ、操作部16と同様に操作信号の入力が可能となっている。
【0089】
また、上記このタッチペン12の先端をディスプレイ8の表面に接触させて文字や図形等を描くことにより画像を手書き入力等できるようになっている。そして、上記手書き入力された文字・図形等の画像データがディスプレイ8に表示され、印刷媒体13に印刷される。
【0090】
この例において、使用者2がディスプレイ8から見る合成画像は、カメラ6による被写体2の静止画像である撮影画像に、タッチペン12による手書き画像やスタンプ画像が合成されたものである。
【0091】
また、上記筐体1の内部空間には、コンピュータ装置7から送信された合成画像の信号を受信し、この合成画像を印刷媒体13に印刷して写真プリントを生成するプリンタ装置9が設けられている。上記プリンタ装置9で画像が印刷された印刷媒体13は、筐体1前面に形成された送出口11から送出されるようになっている。
【0092】
そして、上記プリンタ装置9は、図1〜図11の各実施の形態で説明したように、熱転写ヘッド20,40を有し、入力された画像データに基づいて昇華染料Y,M,Cを熱転写して印刷媒体13に画像を印刷したのち、上記印刷媒体13の印刷面に保護フィルムP,P1,P2を熱転写する昇華型プリンタが用いられる。
【0093】
そして、上記プリンタ装置9は、昇華染料Y,M,Cを熱転写して印刷媒体13に撮影画像を印刷するとともに、上記印刷媒体13の印刷面に保護フィルムPを熱転写する熱転写ヘッド20,40と、上記画像データの表色データから特定の表色要素を抽出する表色要素抽出手段42と、上記抽出された表色要素の階調に基づいて保護フィルムPを熱転写する転写熱量を可変制御する熱量制御手段21とを有し、印刷結果に光沢の変化を付与するようになっている。
【0094】
つぎに、上記コンピュータ装置7のシステム構成について詳しく説明する。
【0095】
図13に示すように、上記コンピュータ装置7は、画像の合成を行う画像合成手段30と、カメラ6による撮影や画像の合成等の制御を行う制御部31とを備えている。上記制御部31は、硬貨検出部14からの検出信号を受信することにより、撮影プレイやお絵描きプレイならびに画像合成等の制御を開始するようになっている。
【0096】
また、上記コンピュータ装置7には、所定のスタンプ画像等を格納する画像メモリ33が設けられている。一方、上記ディスプレイ8には、タッチペン12によって手書き画像等がペン入力されるペン入力部35と、合成画像を表示する表示部36とが設けられている。
【0097】
そして、上記画像合成手段30は、カメラ6による撮影画像とタッチペン12によって入力された手書き画像やスタンプ画像とを合成してディスプレイ8の表示部36に表示するようになっている。上記画像合成手段30で合成された合成画像(撮影画像とペン入力画像との合成画像)は、ディスプレイ8の表示部36に表示されるようになっている。
【0098】
さらに、上記コンピュータ装置7には、スピーカ15から音声を出力させる音声出力回路32が設けられている。また、上記コンピュータ装置7は、上記プリンタ装置9による印刷を制御したり、タッチペン12等の入力装置から指示入力や調節入力を受け付けたりするドライバ34を備えている。
【0099】
つぎに、上記写真プリント作成装置の動作について説明する。
【0100】
まず、使用者2が硬貨を投入すると、カメラ6による被写体2の撮影が開始され、使用者2がディスプレイ8の表示画像を見ながら被写体2の位置調整を完了した後に、操作部16の調整完了ボタンを押すと、使用者2にポーズをとるよう指示され、それから所定時間後に撮影画像が静止画像として固定される。このとき、ディスプレイ8には、そのときの静止画像が表示される。
【0101】
つぎに、使用者2に上記静止画像のプレビューの確認を促し、使用者2が撮りなおしを希望する場合は、操作部16のキャンセル操作により新たに撮影が開始される。一方、使用者2が撮りなおしを希望しない場合は、使用者2にタッチペン12によるペン入力を促すよう指示する。
【0102】
このとき、使用者2は、タッチペン12の先端をディスプレイ8表面のペン入力部35に接触させて所望の文字や図形等の画像を入力する。例えば、図14に示すように、ディスプレイ8に表示されたペンのアイコン25A,25B,25Cをタップしてから、静止画像の上にタッチペン12の先端で好みの文字等を入力することにより、手書きの文字等が上記静止画像に合成され、ディスプレイ8に表示される。また、星マークのアイコン26やハートマークのアイコン27をタップして星マークやハートマーク等のスタンプ画像を画像メモリ33から読出し、静止画像の任意の位置に配置することもできる。そして、ペン入力が終了すると、図1〜図11において詳しく説明したプリンタ装置9による印刷が開始され、画像が印刷されるとともに光沢処理が行われた印刷媒体13が送出される。
【0103】
このように、上記写真プリント作成装置によれば、保護フィルムPを熱転写する転写熱量を可変制御することにより、印刷結果に立体的な光沢変化を与えることができ、画質を向上させて写真プリントの付加価値を高めることができる。また、入力された画像データの表色データのうち特定の表色要素を抽出し、上記抽出された表色要素の階調に基づいて上記転写熱量を可変制御する。このように、光沢変化を与える光沢処理に用いるデータとして、印刷用に用いるCMY3原色系の画像データから抽出した表色要素を用いることから、光沢処理のためのデータ生成が容易で、データ処理の速度が速くなり、印刷時間の延長を防止できる。さらに、従来のように2回撮影によって光沢データを生成するのではなく、印刷用に用いるCMY3原色系の画像データをそのまま利用できることから、被写体が動きやすい人物写真にも適用することができ、光沢に変化をもたせたハイグレードな人物写真を印刷することが可能となる。
【0104】
図15は、本発明の第2の実施の形態の写真プリント作成装置を示す。この例では、図1〜図11の説明において、プリンタ装置9に内蔵されていた原色データ変換手段18,表色要素抽出手段42,カラーモデル変換手段43等の機能を有する変換抽出手段45が、プリンタ装置9ではなく、コンピュータ装置7に備えられている。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この装置でも、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0105】
なお、上記各実施の形態において、上記カメラ6としては、デジタルカメラを用いることもできるし、ビデオカメラを用いることもでき、特に限定するものではない。また、上記実施の形態において、印刷媒体13としては、昇華染料Y,M,Cおよび保護フィルムPが付着しうるものであれば、特に限定するものではなく、例えば、紙類,シール,プラスチックフィルム,カード類,布,不織布,ガラス板,樹脂板等各種のものを用いることができる。さらに、上記実施の形態では、1台のカメラ6を備えた例を示したが、これに限定するものではなく、複数台のカメラ6を備えるようにしても差し支えない。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、本発明のプリンタ装置および写真プリント作成装置によれば、抽出された明度が高い画素を低い熱量で、明度が低い画素を高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御する熱量制御手段を備えたことにより、印刷結果に立体的な光沢変化を与えることができ、画質を向上させて写真プリントの付加価値を高めることができる。また、入力された画像データの表色データのうち明度を抽出する抽出手段を備え、上記抽出された明度が高い画素を低い熱量で、明度が低い画素を高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御する。このように、光沢変化を与える光沢処理に用いるデータとして、印刷用に用いる画像データから抽出した明度を用いることから、光沢処理のためのデータ生成が容易で、データ処理の速度が速くなり、印刷時間の延長を防止できる。さらに、従来のように2回撮影によって光沢データを生成するのではなく、印刷用に用いる画像データをそのまま利用できることから、被写体が動きやすい人物写真にも適用することができ、光沢に変化をもたせたハイグレードな人物写真を印刷することが可能となる。また、人が見たときの感じ方に比較的近い色相系表色データの表色要素である明度を特定の表色要素として利用することから、印刷結果に人の感じ方に近い立体的な光沢変化を与えることができる。一般に、被写体に光が強くあたっている部分や光の向きの加減で強く反射している部分は明度が高く、反対に、被写体にあまり光があたっていない部分やあまり反射していない部分は明度が低い。このため、例えば、特定の表色要素として明度を抽出し、明度の高い画素は低い熱量で保護フィルムPを熱転写して光沢を出し、反対に、明度の低い画素は高い熱量で保護フィルムPを熱転写して光沢を抑えることにより、立体的な光沢変化を与えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリンタ装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】上記プリンタ装置に用いるインクフィルムの第1例を示す図であり(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図3】熱転写部を示す拡大図である。
【図4】転写熱量と光沢特性の関係を示す線図である。
【図5】日本人男女の顔色分光曲線図である。
【図6】本発明のプリンタ装置によって得られた写真プリントの一例を示す図である。
【図7】本発明のプリンタ装置の第2および第3の実施の形態を示す図である。
【図8】上記第2および第3の実施の形態の熱転写部を示す拡大図である。
【図9】上記第3の実施の形態のプリンタ装置に用いるインクフィルムの一例を示す図であり(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図10】本発明のプリンタ装置の第4の実施の形態を示す図である。
【図11】本発明のプリンタ装置の第5の実施の形態を示す図である。
【図12】本発明の写真プリント作成装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図13】上記写真プリント作成装置の構成を示すブロック図である。
【図14】上記写真プリント装置によるお絵描きプレイの状態を示す図である。
【図15】本発明の写真プリント作成装置の第2の実施の形態を示す構成図である。
【図16】従来の写真自販機を示す説明図である。
【符号の説明】
Y 昇華染料(イエロー)
M 昇華染料(マゼンタ)
C 昇華染料(シアン)
P 保護フィルム
P1 第1保護フィルム
P2 第2保護フィルム
1 筐体
2 被写体(使用者)
3 支持フレーム
4 ライト
5 カーテン
6 カメラ
7 コンピュータ装置
8 ディスプレイ
9 プリンタ
10 透明板
11 送出口
12 タッチペン
13 印刷媒体
14 硬貨検出部
15 スピーカ
16 操作部
17 画像データ入力受付部
18 原色データ変換手段
19 インターフェース(IF)
20 熱転写ヘッド,第1熱転写ヘッド
21 熱量制御手段
21a 第1熱量制御手段
21b 第2熱量制御手段
22 熱量演算手段
22a 第1熱量演算手段
22b 第2熱量演算手段
23 調節入力受付手段
24 入力装置
25A アイコン
25B アイコン
25C アイコン
26 アイコン
27 アイコン
28 基材フィルム
29 インクフィルム
29b インクフィルム
30 画像合成手段
31 制御部
32 音声出力回路
33 画像メモリ
34 プリンタドライバ
35 ペン入力部
36 表示部
37 プラテンローラ
38 基材紙
39 受容層
40 第1熱転写ヘッド
41 第2熱転写ヘッド
42 表色要素抽出手段
43 カラーモデル変換手段
44 指定入力受付手段
45 変換抽出手段
46 第3熱転写ヘッド
Claims (19)
- 熱転写ヘッドを有し、入力された画像データに基づいて昇華染料を熱転写して印刷媒体に画像を印刷したのち、上記印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写するプリンタ装置であって、
上記入力された画像データの表色データのうち特定の表色要素として明度を抽出する抽出手段と、
上記抽出された明度が相対的に高い画素か低い画素かにより、明度が相対的に高い画素を相対的に低い画素よりも相対的に低い熱量で、明度が相対的に低い画素を相対的に高い画素よりも相対的に高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御する熱量制御手段とを備えたことを特徴とするプリンタ装置。 - 上記画像データを3原色系表色データから色相系表色データに変換する変換手段をさらに備え、上記特定の表色要素として、上記変換された色相系表色データにおける明度を抽出する請求項1記載のプリンタ装置。
- 転写熱量の調節データの入力を受け付ける調節入力受付手段を備え、上記調節データを反映させた熱量の可変制御を行うようになっている請求項1または2記載のプリンタ装置。
- 上記熱量制御手段は、画素単位で熱量を制御するものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリンタ装置。
- 上記昇華染料にブラックインクを用いない請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリンタ装置。
- 上記画像が印刷された印刷媒体の印刷面に第1保護フィルムを熱転写する第1転写工程と、抽出手段で抽出された表色要素に基づいて第2保護フィルムを熱転写する第2転写工程とを実行するようになっている請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリンタ装置。
- 入力された画像データに基づいて昇華染料を熱転写して印刷媒体に画像を印刷する第1熱転写ヘッドと、上記画像が印刷された印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写する第2熱転写ヘッドとを備えている請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリンタ装置。
- 保護フィルムが転写された印刷媒体の上記保護フィルムの上に、さらに熱転写により画像を印刷する第3熱転写ヘッドを備えた請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリンタ装置。
- 使用者を含む被写体を撮影して画像データを生成する撮影手段と、上記撮影画像を表示する表示手段と、上記撮影画像を印刷媒体に印刷して写真プリント出力する上記請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリンタ装置と、上記撮影手段,表示手段およびプリンタ装置を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする写真プリント作成装置。
- 使用者を含む被写体を撮影して画像データを生成する撮影手段と、上記撮影画像を表示する表示手段と、上記撮影画像を印刷媒体に印刷して写真プリント出力するプリンタ装置と、上記撮影手段,表示手段およびプリンタ装置を制御する制御手段とを備えた写真プリント作成装置であって、
上記制御手段は、画像データの表色データのうち特定の表色要素として明度を抽出し、
上記プリンタ装置は、昇華染料を熱転写して印刷媒体に撮影画像を印刷するとともに、上記印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写する熱転写ヘッドと、上記抽出された明度が相対的に高い画素か低い画素かにより、明度が相対的に高い画素を相対的に低い画素よりも相対的に低い熱量で、明度が相対的に低い画素を相対的に高い画素よりも相対的に高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御する手段を備えたことを特徴とする写真プリント作成装置。 - 上記制御手段は、上記画像データを3原色系表色データから色相系表色データに変換する変換手段をさらに備え、上記特定の表色要素として、上記変換された色相系表色データにおける明度を抽出する請求項10記載の写真プリント作成装置。
- 上記プリンタ装置は、転写熱量の調節データの入力を受け付ける調節入力受付手段を備え、上記調節データを反映させた熱量の可変制御を行うようになっている請求項10または11記載の写真プリント作成装置。
- 上記プリンタ装置は、画素単位で熱量を制御するものである請求項10〜12のいずれか一項に記載の写真プリント作成装置。
- 上記プリンタ装置は、上記昇華染料にブラックインクを用いない請求項10〜13のいずれか一項に記載の写真プリント作成装置。
- 上記プリンタ装置は、上記画像が印刷された印刷媒体の印刷面に第1保護フィルムを熱転写する第1転写工程と、抽出手段で抽出された表色要素に基づいて第2保護フィルムを熱転写する第2転写工程とを実行するようになっている請求項10〜14のいずれか一項に記載の写真プリント作成装置。
- 入力された画像データに基づいて昇華染料を熱転写して印刷媒体に画像を印刷する第1熱転写ヘッドと、上記画像が印刷された印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写する第2熱転写ヘッドとを備えている請求項10〜15のいずれか一項に記載の写真プリント作成装置。
- 上記プリンタ装置は、保護フィルムが転写された印刷媒体の上記保護フィルムの上に、さらに熱転写により画像を印刷する第3熱転写ヘッドを備えた請求項10〜15のいずれか一項に記載の写真プリント作成装置。
- 入力された画像データに基づいて昇華染料を熱転写して印刷媒体に画像を印刷したのち、上記印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写する印刷方法であって、
上記入力された画像データの表色データのうち特定の表色要素として明度を抽出するステップと、
上記抽出された明度が相対的に高い画素か低い画素かにより、明度が相対的に高い画素を相対的に低い画素よりも相対的に低い熱量で、明度が相対的に低い画素を相対的に高い画素よりも相対的に高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御するステップとを実行することを特徴とする印刷方法。 - 使用者を含む被写体を撮影して画像データを生成する撮影手段と、上記撮影画像を表示する表示手段と、昇華染料を熱転写して印刷媒体に撮影画像を印刷するとともに、上記印刷媒体の印刷面に保護フィルムを熱転写して上記撮影画像を印刷媒体に印刷して写真プリント出力するプリンタ装置と、上記撮影手段,表示手段およびプリンタ装置を制御する制御手段とを備えた写真プリント作成装置を準備し、
上記画像データの表色データから特定の表色要素として明度を抽出するステップと、
上記抽出された明度が相対的に高い画素か低い画素かにより、明度が相対的に高い画素を相対的に低い画素よりも相対的に低い熱量で、明度が相対的に低い画素を相対的に高 い画素よりも相対的に高い熱量で、保護フィルムを熱転写するよう転写熱量を可変制御するステップとを実行することを特徴とする写真プリント作成方法。
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