JP3769797B2 - 画像保護層のラミネート方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、印画紙等の被転写体に形成された画像の表面保護のために、その画像上に画像保護層をラミネートする方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、転写型画像保護フィルムの画像保護層を熱転写することにより画像上に画像保護層をラミネートする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、印画紙等の被転写体に形成された画像、特に昇華性あるいは熱拡散性染料を使用した昇華型熱転写方式により形成された画像に対し、その画像の保護のために透明フィルムをラミネートすることがなされている。ここで、透明フィルムに求められている画像保護の態様としては、画像劣化の要因となるガスからの画像の遮断や、透明フィルムに紫外線吸収能をもたせることによる画像の変退色の防止や、画像を形成している染料が消しゴム等の各種可塑剤を含む物品へ移行することを防止するという耐可塑剤性の付与や、耐摩耗性の付与、耐皮脂性の付与等と多岐にわたっている。
【0003】
また、透明フィルムのラミネート方法についても種々の方法が知られており、例えば、透明フィルムを熱ローラーを用いて画像面に熱圧着するものや、常温で粘着剤を用いて接着させるものが知られている。また、基材フィルム上に熱可塑性樹脂からなる画像保護層を積層した転写型画像保護フィルムを用意し、この転写型画像保護フィルムの画像保護層を被保護画像上に熱転写することにより画像上に画像保護層(即ち、透明フィルム)を形成する方法も知られている(特開昭60−204397号公報、特開昭59−85793号公報、特開昭59−76298号公報)。このような転写型画像保護フィルムによると、画像保護層のうち熱転写時に加熱された部分のみを被保護画像上にラミネートすることができるので、ラミネート後の印画紙のカールを防止することが可能となる。また、画像の形成に使用するインクリボン内に画像保護層を形成し、プリンター内部で画像形成に引き続いて画像保護層をラミネートすることも可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インクリボンを用いてプリンターで印画紙に画像を形成する場合、インクリボンの走行性を確保するため、インクリボンは印画紙の表面に対して離型性を有することが必要となる。そこで、印画紙表面又はインクリボン表面に離型剤を使用してそれらの間の離型性を高めることがなされている。
【0005】
しかし、印画紙表面に離型剤を用いてその離型性を高めると、画像形成後に転写型画像保護フィルムを用いて画像保護層を熱転写によりラミネートする際に画像保護層の印画紙への接着性が低下し、画像保護層のラミネートが困難となるという問題があった。
【0006】
また、離型剤により表面の離型性を高めた印画紙に対して画像を形成し、その画像上に画像保護層を熱転写させる場合、画像濃度の高いところほど接着性が高くなり、反対に画像濃度の低いところほど画像保護層の接着性が低くなるので、均一にラミネートすることが困難であるという問題もあった。これは、印画により印画紙表面の離型剤がインクリボンの表面へ転写され、それにより印画紙表面の離型性が低下して画像保護層の接着性が高まるためか、あるいはインクリボンから染料が印画紙へ転写されることにより印画紙表面の離型性が低下し、画像保護層の接着性が高まるためと考えられる。
【0007】
これとは反対に、インクリボン表面に離型剤を用いてその離型性を高めた場合、そのようなインクリボンを用いて印画紙に画像を形成し、その画像上に画像保護層を熱転写させると、インクリボンから印画紙へ染料が転写する際に同時に離型剤も転写するので、画像濃度の高いところほど印画紙の離型性が高まり、画像保護層の接着性が低下する。したがって、この場合にも均一にラミネートすることが困難であるという問題があった。
【0008】
このような、画像濃度に応じて印画紙と画像保護層との接着性が異なるために均一なラミネートをすることが困難となるという問題に対しては、画像保護層のラミネートエネルギーを高めることも考えられる。しかし、画像保護層のラミネートエネルギーを過度に高めると、転写型画像保護フィルムの基材フィルムの破損や、基材フィルムと画像保護層との間に通常設けられているプライマー層と画像保護層との接着性が過度に高まることなどにより画像保護層の基材フィルムからの剥離不良が起きやすくなる。
【0009】
本発明はこのような従来技術の課題を解決しようとするものであり、プリンター内でインクリボンを用いて画像を形成し、さらに転写型画像保護フィルムを用いて画像上に画像保護層を転写させて接着させる場合に、インクリボンの走行性を確保しつつ、かつ画像保護層の接着性を高めること、及び画像濃度によらず、一律な接着力で画像保護層を印画紙上にラミネートできるようにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、転写型画像保護フィルムを用いて画像上に画像保護層を熱転写によりラミネートする場合に、画像保護層のラミネートエネルギーを当該画像形成時の印画エネルギーに応じてコントロールすることにより上記の目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、被転写体上に熱転写画像を印画し、その上に転写型画像保護フィルムの画像保護層を熱転写によりラミネートする画像保護層のラミネート方法において、画像保護層のラミネートエネルギーを画像形成時の印画エネルギーに応じて変えることを特徴とするラミネート方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0013】
図10は、本発明の実施に使用することのできる昇華型熱転写用インクリボン及び転写型画像保護フィルムであって、昇華型熱転写用インクリボンと転写型画像保護フィルムとが一体になっている一般的なラミネート一体型リボンの平面図(同図(a))及び断面図(同図(b))である。
【0014】
本発明は、熱転写画像を形成し、その上に画像保護層をラミネートするにあたって、公知のインクリボンあるいは転写型画像保護フィルムを使用して実施することができる。したがって、図10のリボン1は、公知のリボンと同様に、基材フィルム2上にプライマー層3を形成し、その上にイエローY、マゼンタM、シアンCの各色のインク層4及びセンサーマーク5を面順次に形成し、またこれらと同一面上に画像保護層6を形成し、さらに基材フィルム2の裏面に耐熱滑性層7を設けたものとすることができる。
【0015】
ここで、リボン1の各構成要素も公知のリボンと同様に構成することができ、例えば、基材フィルム2は、厚さ3〜20μmポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等から形成することができる。
【0016】
プライマー層3は、基材フィルム2とインク層4との接着性を高めるために設けられており、プライマー層3の構成材料は、基材フィルム2やインク層4を構成する樹脂の種類等に応じて適宜選択することができるが、一般にはウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等から形成することができる。
【0017】
インク層4は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酪酢酸セルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン等のビニル系樹脂、その他各種ウレタン樹脂等に昇華性あるいは熱拡散性染料を分散させたものとすることができる。インク層4の厚さにも特に限定はなく、通常約0.5〜5μm程度とすることができる。
【0018】
図10の画像保護層6は、単層の熱可塑性樹脂からなっており、熱転写時に印画紙等の被保護画像に接着する機能と、熱転写後に画像を紫外線、可塑剤、皮脂等から保護する機能とを兼ね備えたものとなっている。このような画像保護層6を形成する熱可塑性樹脂としては、熱転写により印画紙の画像形成面に良好に接着する樹脂であって、かつ、紫外線、可塑剤、皮脂等から画像を保護する保護層としての機能も有する樹脂を適宜使用することができる。例えば、セルロースアセテートブチレート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。なお、図10のリボン1の画像保護層6としては、上述のように接着層としての機能と画像の保護層としての機能とを兼ね備えた単層の画像保護層6を設けた態様を示したが、本発明は、画像保護層として、接着層と保護層とを別個の層として有するリボンにも適用することができる。
【0019】
耐熱滑性層7は、熱転写用プリンターで熱転写画像の形成及び画像保護層6の画像へのラミネートを行う場合に、そのプリンターのサーマルヘッドに基材フィルム2が融着することを防止し、リボン1のスムーズな走行性を確保するために設けられている。このような耐熱滑性層7は、例えば、酢酸セルロース、ポリビニルブチラール樹脂等の高軟化点の樹脂から形成することができる。またシリコーンオイル、ワックス、脂肪酸アミド、リン酸エステル等の滑剤をそのような樹脂層上に塗布したり樹脂層内に添加したりしてもよく、フィラーを樹脂層内に添加したものとしてもよい。
【0020】
この図10のリボンを用いてプリンターで画像形成し、その画像上に画像保護層をラミネートする場合、まず、プリンターの感熱ヘッドでイエローY、マゼンタM、シアンCの各色のインク層4を順次加熱して印画紙に画像を形成し、次いで画像保護層6を加熱し、その加熱部分の画像保護層を画像上に転写させる。
【0021】
この場合、印画紙表面が離型剤で処理されていると、画像形成時の印画エネルギーと印画濃度との関係は、一般に図1(a)に示したように、印画エネルギーが高いほど画像濃度が高くなる。そして、この場合の印画濃度と、画像上に画像保護層をラミネートするために必要とされる最低ラミネートエネルギーとの関係は、図1(b)に破線Xで示したように、印画濃度が高くなるほど最低ラミネートエネルギーは低くなる。ここで、画像保護層のラミネートエネルギーを、最低印画濃度時の最低ラミネートエネルギーよりもやや高い一定の値に設定した場合(図1(b)中、点線A)した場合には、プリンターの感熱ヘッドで蓄熱量が多くなり、画像保護層6のラミネート時に画像保護層6がプライマー層3から剥離しにくくなり、剥離不良の問題が生じる。また、必要以上のエネルギーを画像保護層のラミネートに費やすことは、消費エネルギーの節減の点からも好ましくない。反対に画像保護層6のラミネートエネルギーを最高印画濃度時の最低ラミネートエネルギーよりもやや高い一定の値に設定した場合(図1(b)中、点線B)した場合には、画像保護層6のラミネート時に画像保護層6が印画紙と接着しにくくなり接着不良の問題が生じる。
【0022】
そこで、本発明においては、画像保護層6のラミネートエネルギーを一定の固定値とせずに、印画濃度(即ち、印画エネルギー)に対して負の相関関係をもつように画像保護層のラミネートエネルギーを変化させる。例えば、図1(b)の実線で示したように、印画濃度の増加に伴い画像保護層のラミネートエネルギーを単調減少させる。これにより、印画濃度の高低にかかわず、画像上に画像保護層を一律な接着力でラミネートすることが可能となる。
【0023】
また、本発明においては、最低ラミネートエネルギーが図1(b)の破線で示したように印画濃度が高くなるほど低くなる場合に、画像保護層のラミネートエネルギーを印画濃度の増加に伴って単調減少させることは必ずしも必要ない。例えば、図1(c)に示したように、印画濃度が最低の領域から中程度の領域では印画濃度が高くなるにつれてラミネートエネルギーを単調に低下させるが、印画濃度が中程度以上の領域では、画像保護層のラミネートエネルギーを一定値としてもよい。また、図1(d)に示したように、印画濃度が高くなるにつれてステップ状にラミネートエネルギーを低下させてもよい。図1(e)に示したように、画像保護層のラミネートエネルギーが最低ラミネートエネルギーよりも常時一定値だけ高い値となるように設定してもよい。図1(f)に示したように、印画濃度が最低の領域から中程度の領域では画像保護層のラミネートエネルギーを一定値とするが、印画濃度が中程度以上の領域では印画濃度が高くなるのに伴いラミネートエネルギーを単調減少させてもよい。なお、これら図1(c)〜(f)においても破線Xは画像保護層6の最低ラミネートエネルギーを表している。
【0024】
図1では、印画紙表面が離型剤で処理されている場合について、本発明の方法を説明したが、インク層4の表面が離型剤で処理されている場合、印画濃度と最低ラミネートエネルギーとの関係は、図2(a)〜(e)に破線Xで示したように、印画濃度が高くなるほど最低ラミネートエネルギーは高くなる。したがって、このような場合、本発明においては、印画濃度に対して正の相関関係をもつように画像のラミネートエネルギーを変化させる。例えば、図2(a)に実線で示したように、画像保護層のラミネートエネルギーを印画濃度の増加に伴って単調増加させる。また、図2(b)に示したように、印画濃度が最低の領域から中程度の領域では画像保護層のラミネートエネルギーを一定とするが、印画濃度が中程度以上の領域では印画濃度の増加に伴いラミネートエネルギーを単調に増加させる。図2(c)に示したように、印画濃度が高くなるにつれてラミネートエネルギーをステップ状に増加させてもよい。図2(d)に示したように、画像保護層のラミネートエネルギーが最低ラミネートエネルギーよりも常時一定値だけ高い値となるように設定してもよい。図2(e)に示したように、印画濃度が最低の領域から中程度の領域では印画濃度の増加に伴いラミネートエネルギーを単調に増加させるが、印画濃度が中程度以上の領域では一定値としてもよい。
【0025】
また、印画紙とインク層の双方の表面が離型剤で処理されている場合、印画濃度と最低ラミネートエネルギーとの関係は、図3又は図4に破線で示したようになる場合もある。そこで、このような場合には、それぞれ図3、図4に実線で示したように、印画濃度と最低ラミネートエネルギーとの関係に対応させて、画像保護層のラミネートエネルギーを印画濃度の高低に応じて変化させることが好ましい。
【0026】
以上のように印画濃度(即ち、印画エネルギー)に応じて画像保護層のラミネートエネルギーを変化させることは、画像形成と画像保護層のラミネートとを同一プリンターで行う場合には、容易に行うことができる。例えば、イエローY、マゼンタM、シアンCの各色の印画エネルギーをYn 、Mn 、Cn とした場合、画像保護層のラミネートエネルギーLn は、次式(1)
【0027】
【数1】
Ln =aYn +bMn +cCn (1)
(式中、a,b,cは任意の係数である。)
により、各画素における各色の印画エネルギーの総和に基づいて設定することができる。あるいは、各画素での各色の印画エネルギーのうち、最も大きいものに基づいて画像保護層のラミネートエネルギーを設定してもよい。また、インク層が単一色からなる場合、画像保護層のラミネートエネルギーは、その単一のインク層の印画エネルギーに基づいて変化させればよい。
【0028】
なお、画像形成と画像保護層のラミネートとを同一プリンターで行う場合、印画した画像と、その画像上にラミネートする画像保護層との位置合わせは、画像形成とラミネートとを一連の操作で行うことができるので、極めて容易に行うことができる。
【0029】
本発明は、図10に示したラミネート一体型リボン以外にも種々の態様のリボンを用いて画像形成し、その画像上に画像保護層をラミネートする場合に適用することができる。例えば、図10に示したリボンではインク層4として、イエローY、マゼンタM、シアンCの各色のインク層を面順次に形成した例を示したが、さらにブラック等のインク層を形成してもよく、任意の単一色のみのインク層を形成してもよい。その他必要に応じて、紫外線剤や蛍光増白剤を含有した層等を設けたリボンにも適用することができ、プライマー層をもたないリボンにも適用することができる。
【0030】
以上説明したように、本発明の画像保護層のラミネート方法によれば、画像保護層のラミネートエネルギーを画像形成時の印画エネルギーに応じて変化させる。したがって、画像保護層と印画紙との接着性がその印画紙への印画濃度に応じて変化しても、その変化に対応させて画像保護層を適切な接着力で印画紙へラミネートすることが可能となる。したがって、画像保護層を印画紙へ均一にラミネートすることが可能となる。また、画像保護層のラミネートに不要に大きなエネルギーが費やされることを防止できるので、画像保護層のラミネートに費やすエネルギーを節減することが可能となる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0032】
実施例1
裏面に耐熱処理を施したPETフィルムの表面に、次の表1の組成(a)のプライマー層形成用塗料を乾燥厚0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、その上に表2の組成(bY)、表3の組成(bM) 表4の組成(bC)のイエロー、マゼンタ、シアンの各色のインク層形成用塗料を乾燥厚1μmとなるようにグラビアコーターで面順次に塗布し、さらに表5の組成(c)の画像保護層形成用塗料を乾燥厚3μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、昇華型熱転写用インクリボンと転写型画像保護フィルムとが一体になっているリボンを作製した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
一方、合成紙(ユポFPG−150、王子油化合成紙(株)製)に次の組成(d)の染料受容層形成用塗料を乾燥厚5μmとなるように塗布し、印画紙を形成した。
【0038】
【表6】
【0039】
そして、得られた印画紙に上記のリボンを用いて、平均抵抗3kΩ、8本/mmの感熱ヘッドで、印加電圧20.0V、印画パルス幅17ms/line、ヘッド圧300g/cmで次のように印画を行い、画像保護層をラミネートした。
【0040】
まず、イエロー、マゼンタ及びシアンの3色を重ねて合わせてブラックのステアステップ画像を印画し、その画像濃度をマクベス濃度計TR924のビジュアルフィルターで測定した。その結果、図5に示すような印画エネルギーと画像濃度との関係が得られた。
【0041】
次に、このブラック画像上に画像保護層をラミネートする際の最低ラミネートエネルギーを、このブラック画像の印画エネルギーに対して求めた。その結果、印画エネルギーと最低ラミネートエネルギーとの関係として、図6にBkで示した関係が得られた。図6から、印画紙に離型剤(シリコーンオイル)が含有されており、インク層には離型剤が含有されていないこの実施例1の系においては、印画エネルギーの増加に伴って最低ラミネートエネルギーが低下していることがわかる。
【0042】
そこで、印画エネルギーに対する画像保護層のラミネートエネルギーとして、図6に(a)、(b)、(c)で示した3種を設定した。ここで(a)及び(b)は、画像保護層のラミネートエネルギーが、印画エネルギーによらず一定であることを表している。そしてこの3種の画像保護層のラミネートエネルギーのそれぞれについて、ステアステップ画像の形成と画像保護層のラミネートとを連続的に行った。またこの場合、画像形成と画像保護層のラミネートは、常温(25℃)、高温(35℃)及び低温(5℃)の3通りの環境で行った。
【0043】
その結果、常温環境下(25℃)では、(a)、(b)、(c)いずれのラミネートエネルギーでも良好に画像保護層をブラック画像上にラミネートすることができた。また高温環境下(35℃)では、(b)及び(c)のラミネートエネルギーでは良好に画像保護層をラミネートすることができたが、(a)のラミネートエネルギーでは、プリンターの感熱ヘッドにおける蓄熱量が過度に大きくなり一部に画像保護層のリボンからの剥離不良が生じた。低温環境下(5℃)では、(a)及び(c)のラミネートエネルギーでは良好に画像保護層をラミネートすることができたが、(b)のラミネートエネルギーでは画像の低濃度領域において画像保護層の接着不良が生じていた。
【0044】
次に、上記のリボンを用いて、常温(25℃)、高温(35℃)及び低温(5℃)の3通りの環境で自然画を印画し、それに引き続き画像保護層をラミネートした。この場合、画像保護層のラミネートエネルギーは、各画素において、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の印画エネルギー(Yn ,Mn ,Cn )のうち最も大きいものを選択し、次式のように画像保護層のラミネートエネルギーLn を設定した。
【0045】
【数2】
Ln =kMax(Yn ,Mn ,Cn )
(式中、kは係数である。)
【0046】
ここで、kを適宜定めることにより、図7に(d)、(e)、(f)として表したように3種のラミネートエネルギーを設定した。ここで(d)及び(e)は、画像保護層のラミネートエネルギーが、印画エネルギーによらず一定であることを表している。なお、図7中、「Bk」は、ブラック画像の印画エネルギーと最低ラミネートエネルギーとの関係を表しており、「単色」は、イエロー、マゼンタ、シアンのいずれか単色の印画エネルギーとそれに対応する最低ラミネートエネルギーとの関係を表している。
【0047】
その結果、ラミネートエネルギー(f)で画像保護層をラミネートした場合には、高温(35℃)〜低温(5℃)のいずれの環境下においても、自然画のうち高濃度画像の領域から低濃度画像の領域に至る全ての領域において、画像保護層は良好にラミネートされていた。これに対し、ラミネートエネルギー(d)で画像保護層をラミネートした場合には、高温環境下(35℃)で印画とラミネートを行ったときに、画像濃度が高い部分でプリンターの感熱ヘッドにおける蓄熱量が過度に大きくなり、画像保護層のリボンからの剥離不良が生じていた。また、ラミネートエネルギー(e)でラミネートした場合には、低温環境下(5℃)で印画とラミネートを行ったときに、淡色画像の部分で接着不良が生じていた。
【0048】
以上の結果から、この実施例で用いた印画紙のように印画紙表面に離型剤が含有されている場合において、その印画紙に画像を形成し、その画像上に画像保護層をラミネートするとき、その画像がブラック画像であってもカラーの自然画であっても、印画エネルギーと最低ラミネートエネルギーとの関係に対応させて、画像保護層のラミネートエネルギーを印画エネルギーの増加に伴って低下させることが好ましいことがわかる。
【0049】
実施例2
実施例1で用いたリボンの作製において、各色のインク層の形成時に、インク層形成用塗料として、上述の成分の他にさらにシリコーンオイル(SF8427、東レダウコーニングシリコーン社製)を固形分に対し0.5wt%(塗料中に0.05wt%)含有させたものを使用した。また画像保護層を形成するために、次の表7の組成(e1 )の第1の画像保護層形成用塗料と表8の組成(e2 )の第2の画像保護層形成用塗料とをPETフィルムの表面に順次塗布して2層塗りし、画像保護層として、第1の画像保護層(乾燥厚3μm)と第2の画像保護層(乾燥厚3μm)との積層体が形成されているリボンを作製した。
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】
また、印画紙としては、合成紙(ユポFPG−150、王子油化合成紙(株)製)に、まず次の表9の組成(f)のプライマー層形成用塗料を乾燥厚1μmとなるように塗布し、その上に次の表10の組成(g)の染料受容層形成用塗料を乾燥厚8μmとなるように塗布したものを作製した。
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
得られた印画紙に、上記のリボンを用いて実施例1と同様にブラック画像をステアステップ印画し、その画像濃度を測定した。その結果図8に示すような印画エネルギーと印画濃度との関係が得られた。
【0056】
さらに、このブラック画像上に上記のリボンの画像保護層をラミネートする際に必要とされる最低ラミネートエネルギーを、このブラック画像の印画エネルギーに対して求めた。その結果、印画エネルギーと最低ラミネートエネルギーとの関係として、図9にBkで示した関係が得られた。図9から、インク層に離型剤(シリコーンオイル)が含有されており、印画紙表面に離型剤が含有されていないこの実施例2の系においては、印画エネルギーの増加に伴って最低ラミネートエネルギーが増加していることがわかる。
【0057】
そこで、印画エネルギーに対する画像保護層のラミネートエネルギーとして、図9に(g)、(h)、(i)で示した3種を設定した。ここで(g)及び(h)は、画像保護層のラミネートエネルギーが、印画エネルギーによらず一定であることを表している。そしてこの3種の画像保護層のラミネートエネルギーのそれぞれについて、ステアステップ画像の形成と画像保護層のラミネートとを連続的に行った。この場合も、画像形成と画像保護層のラミネートは、常温(25℃)、高温(35℃)及び低温(5℃)の3通りの環境で行った。
【0058】
その結果、ラミネートエネルギー(g)で画像保護層をラミネートした場合には、高温環境下(35℃)で印画とラミネートを行ったときに、プリンターの感熱ヘッドにおける蓄熱量が過度に大きくなり、画像保護層のリボンからの剥離不良が生じていた。また、ラミネートエネルギー(h)又は(i)で画像保護層をラミネートした場合には、高温(35℃)〜低温(5℃)のいずれの環境下においても良好に画像保護層をラミネートすることができた。しかし、ラミネートエネルギー(h)でラミネートした場合には、ラミネートエネルギー(i)でラミネートした場合に比して不要にラミネートエネルギーを費やしていることになるので、ラミネートエネルギーの節減の点から、ラミネートエネルギー(i)でラミネートするのが好ましいことがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、プリンター内でインクリボンを用いて画像を形成し、さらに転写型画像保護フィルムの画像保護層を熱転写により画像上にラミネートするにあたり、印画した画像濃度によらず、良好に画像保護層を画像上にラミネートすることが可能となる。この場合、画像保護層のラミネートに使用される不要なエネルギー消費を節減することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印画エネルギーと印画濃度との関係図(同図(a))、又は印画濃度とラミネートエネルギーとの関係図である(同図(b)〜(f))。
【図2】印画濃度とラミネートエネルギーとの関係図である(同図(a)〜(e))。
【図3】印画濃度とラミネートエネルギーとの関係図である。
【図4】印画濃度とラミネートエネルギーとの関係図である。
【図5】実施例での印画エネルギーと印画濃度との関係図である。
【図6】実施例での印画エネルギーとラミネートエネルギーとの関係図である。
【図7】実施例での印画エネルギーとラミネートエネルギーとの関係図である。
【図8】実施例での印画エネルギーと印画濃度との関係図である。
【図9】実施例での印画濃度とラミネートエネルギーとの関係図である。
【図10】昇華型熱転写用インクリボンと転写型画像保護フィルムとが一体になっているラミネート一体型リボンの平面図(同図(a))及び断面図(同図(b))である。
【符号の説明】
1 ラミネート一体型リボン
2 基材フィルム
3 プライマー層
4 インク層
5 センサーマーク
6 画像保護層
7 耐熱滑性層
Claims (4)
- 被転写体上に熱転写画像を印画し、その上に転写型画像保護フィルムの画像保護層を熱転写によりラミネートする画像保護層のラミネート方法において、画像保護層のラミネートエネルギーを画像形成時の印画エネルギーに応じて変えることを特徴とするラミネート方法。
- 画像形成時の印画エネルギーに対し、画像保護層のラミネートエネルギーに正の相関関係をもたせる請求項1記載のラミネート方法。
- 画像形成時の印画エネルギーに対し、画像保護層のラミネートエネルギーに負の相関関係をもたせる請求項1記載のラミネート方法。
- 熱転写画像を複数色の画像の重ね合わせにより形成した場合に、各色の画像の印画エネルギーの和に応じて画像保護層のラミネートエネルギーを変える請求項1記載のラミネート方法。
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