JP5794084B2 - 保護層転写シート及び印画物 - Google Patents
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Description
以下に、本発明の保護層転写シートについて詳細に説明する。図1は、本発明の保護層転写シートの一例を示す概略断面図である。
印画物に最も優れた耐可塑剤性を付与することを考慮すると、セルロース系樹脂層に耐可塑剤性の機能のみを持たせ、セルロース系樹脂含有層以外の層に、耐擦過性や、被転写体と転写性保護層2との密着性を付与する構成とすることが好ましい。
接着層としては、上記で説明した密着性を向上させるための成分を含む層をそのまま用いることができる。接着層の形成方法としては、密着性を向上させるための成分を適当な溶媒に溶解或いは分散し、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、無機あるいは有機のフィラー成分、界面活性剤、離型剤等を添加した接着層用塗工液を調製し、これをセルロース系樹脂含有層上に、グラビアコート、グラビアリバースコートなどの方法で塗工・乾燥して形成することができる。
基材1と転写性保護層2との間に、転写性保護層2の離型性を向上させるための離型層(図示しない)を設けてもよい。なお、離型層は本発明の保護層転写シート10における任意の層である。離型層を形成する樹脂としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。また、離型層は、1種の樹脂からなるものであってもよく、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。また離型層は、離型性樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成することとしてもよい。離型層の厚みは0.5〜5μm程度が一般的である。離型層の形成方法としては、上記樹脂を適当な溶剤により、溶解または分散させて離型層用塗工液を調製し、これを基材1上にグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の従来公知の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
また、図1、図2に示すように、基材1の転写性保護層2が設けられている面とは異なる面上に、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上させるための背面層4を設けてもよい。なお、背面層4は本発明の保護層転写シート10における任意の構成である。
上記保護層転写シート10の転写に使用可能な被転写体としては、例えば、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、熱転写受像紙等の従来公知の材料を挙げることができ、その材料について特に限定されない。
次に、本発明の印画物について説明する。本発明の印画物は、画像が形成された基材上に、積層構造の転写性保護層が設けられた印画物であって、積層構造の転写性保護層のうちの1つの層は、ガラス転移温度(Tg)が150℃以上のセルロース系樹脂を含有することを特徴とする。
画像が形成された基材としては、上記被転写体上に画像が形成されたものを適宜選択して用いることができここでの説明は省略する。
積層構造の転写性保護層を構成する層のうち1つの層は、ガラス転移温度(Tg)が150℃以上のセルロース系樹脂を含有する。この積層構造の転写性保護層は、上記保護層転写シート10と被転写体とを重ね合わせ、被転写体上に、転写性保護層2を転写することで得ることができる。転写性保護層は、上記本発明の保護層転写シート10で説明したものをそのまま用いることができ、ここでの説明は省略する。
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の剥離層用塗工液1を乾燥時塗布量が1.0g/m2になるように塗布し転写性保護層を構成する剥離層を形成した。次いで、剥離層上に下記組成の中間層用塗工液1を乾燥時塗布量が0.3〜0.5g/m2になるように塗布し転写性保護層を構成する中間層を形成した。次いで、中間層上に下記組成の接着層用塗工液1を乾燥時塗布量が1.6g/m2になるように塗布し転写性保護層を構成する接着層を形成した。また、基材の転写性保護層が形成される面とは異なる面上に下記組成の背面層用塗工液を乾燥時塗布量が1.0g/m2になるように塗布し背面層を形成することで、実施例1の保護層転写シートを得た。
・アクリル樹脂 20部
(ダイヤナールBR−80 三菱レイヨン(株)製)
・ポリエチレンワックス(平均粒径;10μm) 1部
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80部
・セルロース樹脂(Tg;161℃) 10部
(CAB171−15 イーストマンケミカル社製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 90部
・ポリエステル樹脂 20部
(バイロン200 東洋紡(株)製)
・紫外線吸収剤共重合樹脂 10部
(UVA−635L BASF社製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 80部
・ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
・リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製
・メチルエチルケトン 42.5部
・トルエン 42.5部
中間層用塗工液1を下記組成の中間層用塗工液2に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2の保護層転写シートを得た。
・セルロース樹脂(Tg;159℃) 10部
(CAP504−0.2 イーストマンケミカル社製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 90部
剥離層用塗工液1にかえて下記組成の剥離層用塗工液2を使用し、中間層を形成せずに、剥離層上に接着層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3の保護層転写シートを得た。
・セルロース樹脂(Tg;161℃) 20部
(CAB171−15 イーストマンケミカル社製)
・アクリル樹脂(Tg;105℃) 4部
(ダイヤナールBR−80 三菱レイヨン(株)製)
・ポリエチレンワックス(平均粒径;10μm) 1部
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 75部
接着層用塗工液1にかえて下記組成の接着層用塗工液2を使用し、中間層を形成せずに、剥離層上に接着層を形成した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3の保護層転写シートを得た。
・セルロース樹脂(Tg;161℃) 20部
(CAB171−15 イーストマンケミカル社製)
・ポリエステル樹脂
(バイロン200 東洋紡(株)製) 4部
・紫外線吸収剤共重合樹脂 10部
(UVA−635L BASF社製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 66部
中間層用塗工液1にかえて下記組成の中間層用塗工液Aを使用した以外は、すべて実施例1と同様にして比較例1の保護層転写シートを得た。
・セルロース樹脂(Tg;123℃) 10部
(CAB381−0.1 イーストマンケミカル社製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 90部
中間層用塗工液1にかえて下記組成の中間層用塗工液Bを使用した以外は、すべて実施例1と同様にして比較例2の保護層転写シートを得た。
・セルロース樹脂(Tg;136℃) 10部
(CAB553−0.4 イーストマンケミカル社製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 90部
中間層用塗工液1にかえて下記組成の中間層用塗工液Cを使用した以外は、すべて実施例1と同様にして比較例3の保護層転写シートを得た。
・アクリル樹脂(Tg;105℃) 10部
(ダイヤナールBR−80 三菱レイヨン(株)製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 90部
中間層用塗工液1にかえて下記組成の中間層用塗工液Dを使用した以外は、すべて実施例1と同様にして比較例4の保護層転写シートを得た。
・ポリエステル樹脂(Tg;53℃) 10部
(バイロン220 東洋紡(株)製)
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 90部
下記組成のカード基材からなる被転写体を用いて、その被転写体に、下記のサーマルプリンタを用い、顔写真を色分解して得たイエロー、マゼンタ、シアンそれぞれの画像情報に従って、各染料を被転写体に転写して、フルカラーの写真画像を形成した。また、イエロー、マゼンタ、シアンの染料としては、HID社製プリンタ(HDP−600)用の熱転写シートを使用した。
・ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800) 100部
(安定化剤等の添加剤を約10%含有)
・白色顔料(酸化チタン) 10部
・可塑剤(DOP) 0.5部
階調制御方式;1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルス数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式
サーマルヘッド;KEE−57−12GAN2−STA(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値;3303(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印画電圧;18(V)
1ライン周期;3.0(msec.)
印字開始温度;35(℃)
パルスデューティー;85%
実施例1〜4、比較例1〜4の保護層転写シートを用い、以下の条件にて、上記のフルカラーの写真画像が形成された塩ビカード上に転写性保護層を転写し、実施例1〜4、比較例1〜4の印画物を得た。
転写性保護層の転写は、上記のサーマルプリンタで、階調値230にて行なった。
上記転写性保護層の転写によって得られた実施例1〜4、比較例1〜4の印画物を耐擦過性試験機(東洋精機社製ロータリーアブレージョンテスタ)を用い、研磨輪CS−10Fを荷重500gにて保護層上で500回転の磨耗性試験を行い、目視にて保護層の耐擦過性を下記基準で評価した。耐擦過性の評価結果を表1に示す。
◎;画像が全く影響を受けていない。
○;画像が摩耗の影響を受け始めているが、ほとんど目立たない。
△;若干の摩耗が確認される。
×;かなり摩耗している。
可塑剤入り軟質塩化ビニルシート(三菱化学(株)製アルトロン#480、厚み400μm)と印画物の保護層転写面を重ね合わせ、24g/cm2の荷重をかけて80℃環境下に8時間保存し、可塑剤による画像の劣化状態を目視により観察し、下記基準で保護層の耐可塑剤性を評価した。耐可塑剤性の評価結果を表1に併せて示す。
◎・・・染料の移行が全く無い。
○・・・染料の移行がほとんど無い。
△・・・ある程度染料の移行が確認できる。
×・・・ほぼ全面に染料が移行している。
上記組成のカード基材からなる被転写体を用いて、その被転写体に上記のサーマルプリンタを用いてモノカラー画像を形成した。次いで、実施例1〜4、比較例1〜4の保護転写シートを用いて、モノカラー画像が形成された塩ビカード上に255〜130階調まで25階調ずつ階調を変化させたパターン画像を転写後、どの階調で転写しているのかを目視にて判断し、以下の評価基準に基づいて接着性の評価を行った。なお、低階調で転写性保護層が転写するほど接着性が良好であるといえる。接着性の評価結果を表1に併せて示す。
◎・・・255〜130階調で転写性保護層が転写した。
○・・・255〜155階調で転写性保護層が転写した。
△・・・255〜180階調で転写性保護層が転写した。
×・・・255〜205階調で転写性保護層が転写した。
1…基材
2…転写性保護層
4…背面層
Claims (6)
- 基材上に、積層構造の転写性保護層が剥離可能に設けられた保護層転写シートであって、
前記積層構造の転写性保護層のうち1つの層が、分子量が50000以上であって、且つガラス転移温度(Tg)が150℃以上のセルロースアセテートブチレート樹脂を含有することを特徴とする保護層転写シート。 - 前記1つの層が、前記積層構造の転写性保護層のうち基材側に最も近い層以外の層であることを特徴とする請求項1に記載の保護層転写シート。
- 前記積層構造の転写性保護層が、基材側から、剥離層、中間層、接着層がこの順で積層された転写性保護層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護層転写シート。
- 前記中間層が、分子量が50000以上であって、且つガラス転移温度(Tg)が150℃以上のセルロースアセテートブチレート樹脂を含有することを特徴とする請求項3に記載の保護層転写シート。
- 前記基材と前記積層構造の転写性保護層の間に、離型層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の保護層転写シート。
- 画像が形成された基材上に、積層構造の転写性保護層が設けられた印画物であって、
前記積層構造の転写性保護層のうちの1つの層は、分子量が50000以上であって、且つガラス転移温度(Tg)が150℃以上のセルロースアセテートブチレート樹脂を含有することを特徴とする印画物。
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