JP4296711B2 - 画像記録方法及び熱転写インクシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法及びそれに適した熱転写インクシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、印画紙に形成された画像、特に昇華性あるいは熱拡散性染料を使用した昇華型熱転写方式により形成された画像に対し、紫外線を吸収して画像の劣化を防止し且つ外力による擦れやキズ等の発生を防止するために、画像保護用の透明フィルムをラミネートすることがなされている。
【0003】
このような透明フィルムのラミネート方法についても種々の方法が知られており、例えば、透明フィルムを熱ローラを用いて画像面に熱圧着するものや、常温で粘着剤を用いて接着させるものが知られている。また、基材フィルム上に熱可塑性樹脂からなる画像保護層を積層した転写型画像保護フィルムを用意し、この転写型画像保護フィルムの画像保護層を被保護画像上に熱転写する方法も知られている(特開昭60−204397号公報、特開昭59−85793号公報、特開昭59−76298号公報)。
【0004】
このような転写型画像保護フィルムは、熱転写ヘッドを使用したプリンター内部で画像形成に連続してセルフラミネート可能とするために、基材シート上にインク画像形成のためのインク層(例えばYellow、Magenta、Cyan、Blackなどの各色のインクが面順次に配置されているインク層)が設けられた熱転写型インクリボンの一部に組み込んで使用されるようになっている。具体的には、基材シート上にインク層に続いて画像保護層が繰り返し配置されたインクリボンとして使用されている。ここで、画像保護層が十分な画像保護効果を発揮するには、物理的外力に十分に対抗でき且つ十分に紫外線を吸収できることが必要であり、従って画像保護層の厚みを可能な限り厚くすることが求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像保護層を厚く形成しようとする場合、転写型画像保護フィルムやそれを組み込んだ熱転写型インクリボン作成時のプロセスにおける乾燥の問題(例えば、特別の乾燥設備を新たに設置することや乾燥時間を長くすることが必要となる等の問題)、厚みを増すために特別の製造工程が場合により必要となるという問題、更に、特に熱転写型インクリボンを巻き物にして使用する際に、画像保護層がインク層に比べて厚くなることで物理的な段差が生じ、その段差部分が原因で寝押しなどの変形が発生したり、ブロッキングや皺が発生する等の問題が伴う。従って、これらの問題を回避するために画像保護層の厚みを制限せざるを得ず、必ずしも十分な画像保護効果を得るに至っていないというのが現状である。
【0006】
本発明は、従来の技術の問題点を解決しようとするものであり、基材シート上に画像保護層を厚く形成する際に伴う問題を生ずることなく、十分な画像保護効果を奏し、すかし模様を有する画像保護層を形成可能な画像形成方法、及びそれに適した熱転写インクリボンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、通常は画像形成後に連続して1回だけ行なわれる画像保護層の転写に関し、同一画像上に連続して3回以上の画像保護層を転写させることにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、インク画像が形成された被転写体の一つの単位画像形成領域に、基材シート上に熱転写性の画像保護層が形成された転写型画像保護フィルムの当該画像保護層の熱転写をn回(nは3以上の整数である)繰り返し、2回目乃至(n−1)回目のいずれかの熱転写を任意のすかし模様パターンで行い、1回目とn回目の熱転写をベタパターンで行うことを特徴とする画像形成方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、基材シートとその同一平面上に設けられた熱転写性のインク層及び熱転写性の画像保護層を有し、被転写体の単位画像形成領域に熱転写によりインク画像を形成し、更にインク画像が形成された被転写体の単位画像形成領域上に、該画像保護層を基材シートより剥離させて転写させる熱転写インクシートにおいて、一回のインク画像形成に対しn回(nは3以上の整数である)の画像保護層の熱転写が可能となり、2回目乃至(n−1)回目のいずれかの熱転写を任意のすかし模様パターンで行い、1回目とn回目の熱転写をベタパターンで行うことが可能となるように、画像保護層の面積が、被転写体の単位画像形成領域の面積のn倍となっていることを特徴とする熱転写インクシートを提供する。
【0010】
【実施の形態】
まず、本発明の画像形成方法について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0011】
本発明の画像形成方法は、被転写体に形成されたインク画像上に画像保護用の画像保護層を形成する方法である。具体的には、図1に示すように、インク画像1が形成された被転写体2の一つの単位画像形成領域3(同図(a))に、基材シート4上に、熱転写性の画像保護層5が形成された転写型画像保護フィルム6(同図(b))の当該画像保護層5の熱転写操作(即ち、画像保護層5を基材シート4から剥離させて被転写体に移行させる操作)をn回(nは2以上の整数である)繰り返し、画像保護に必要な十分な厚み(画像保護層5がn層積層した厚み)の積層画像保護層50を形成する(同図(c))。
【0012】
被転写体2としては、紙、合成紙、OHPシートなどの印画紙が挙げられる。これらの印画紙に対する画像形成手法としては、昇華熱転写方式、熱溶融転写方式、インクジェット記録方式などが挙げられる。従って、被転写体2に形成されるインク画像1としては、昇華性染料画像、熱溶融性インク画像、インクジェットインク画像などが挙げられる。
【0013】
単位画像形成領域3は、一回の画像形成操作で形成できるベタパターン領域であり、例えば一般的な昇華熱転写インクリボンを使用した画像形成の場合には、単色のインク層の大きさにほぼ相当する。
【0014】
また、本発明の画像形成方法において、画像保護層5のn回の熱転写がそれぞれ任意のパターンで行えるようにすることが好ましい。これにより、一回の画像形成操作に続くn回の画像保護層5の転写操作において、画像保護層5による画像修飾性を向上させ、更に、画像保護層5の部分転写と全面転写を組み合わせて、画像保存性を損なう事なく、画像保護層5にすかし模様を形成することができる。例えば、nが3以上の整数である場合、2回目乃至(n−1)回目のいずれかの熱転写を任意のすかし模様パターンで行い、1回目とn回目の熱転写をベタパターンで行うことができる。具体的にはnが3の場合、図2に示すように、印画紙21の表面に(同図(a))、ベタパターンで画像保護層22aを熱転写し(同図(b))、続いて文字パターンの画像保護層22bを熱転写し(同図(c))、そしてその上にベタパターンで画像保護層22cを熱転写する(同図(d))。これにより、画像保護層22bがすかし模様となる。
【0015】
本発明の画像形成方法において使用する転写型画像保護フィルム6の基材シート4としては、従来の転写型画像保護フィルムの基材シートと同様のものを使用することができ、例えばポリエステルシート等が挙げられる。
【0016】
また、画像保護層5としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、その他の透明性、耐摩耗性、耐光性、耐侯性等の諸堅牢性に優れた樹脂をキャスト法成膜したものが挙げられる。これらは単層タイプ、積層タイプの何れでもよい。
【0017】
本発明において、基材シート4上に並設された複数の画像保護層5はすべて同じものでもよいが、互いに異なる構成(例えば、構成樹脂の種類、染料の有無等)としてもよい。
【0018】
このような画像保護層5には、画像の耐久性をより高めるために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系など各種の紫外線吸収剤を添加することが好ましい。また、光安定剤などの各種添加剤も使用してもよい。
【0019】
本発明の画像形成方法に特に適した熱転写性保護フィルムとしては、基材シート上に熱転写性のインク層が設けられた熱転写インクシートに画像保護フィルムを一体化したものが挙げられる。このような熱転写インクシートは、被転写体の単位画像形成領域に熱転写によりインク画像を形成し、更にインク画像が形成された被転写体の単位画像形成領域上に、画像保護層を基材シートより剥離させて転写させるものである。従って、このような熱転写インクシートによれば、プリンターによる熱転写画像形成に続いて、その画像形成に使用した当該プリンターのサーマルヘッドにより画像保護層を形成された画像上に熱転写することが可能となる。
【0020】
このような熱転写インクシートの具体的な構造としては、基材シートとその同一平面上に、熱転写性のインク層及び熱転写性の画像保護層とが設けられた構造を有しており、画像保護層の面積が、一回のインク画像形成に対しn回(nは2以上の整数である)の画像保護層の熱転写が可能となるように、被転写体の単位画像形成領域の面積(即ち、インク層の面積)のn倍となっている構造が挙げられる。具体的には、図3(a)に示すように、基材シート31上に、センサーマーク32、イエローインク層Y、マゼンタインク層M及びシアンインク層Cからなるインク層33を面順次に形成し、これらと同一面上に個々の単色のインク層の2倍の面積の熱転写性の画像保護層34を形成したものである。ここで画像保護層34は、二つの領域(34aと34b)に分けられ、まず34aの部分の熱転写を行い、続いて34bの部分の熱転写を行う。
【0021】
また、図3(b)に、単色のインク層の3倍の面積の熱転写性の画像保護層34を形成した例を示す。この場合には、画像保護層34は、三つの領域(34a、34b及び34c)に分けられ、34aの部分の熱転写を行い、続いて34bの部分の熱転写を行い、最後に34cの部分の熱転写を行う。
【0022】
基材シート31としては、図1の画像保護フィルムにおける基材シート4と同様の構成とすることができる。
【0023】
また、インク層33は、昇華熱転写記録用あるいは熱溶融型熱転写記録用のいずれのタイプのインク層でもよく、それぞれ公知のインクリボンのインク層と同様に構成することができる。例えば、昇華型熱転写記録用のインク層とする場合、このインク層32は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン等のビニル系樹脂、その他各種ウレタン樹脂等に昇華性あるいは熱拡散性染料を分散させたものから構成することができる。
【0024】
画像保護層34としては、図1の画像保護フィルムにおける画像保護層5と同様に構成することができる。
【0025】
なお、図3においては、インク層33として、イエローインク層Y、マゼンタインク層M、シアンインク層Cの各色のインク層を面順次に形成した例を示したが、さらにブラック等のインク層を形成してもよく、任意の単一色のみのインク層を形成してもよい。
【0026】
また、昇華型熱転写記録を行う場合に、被転写体に染料受容層が形成されていなくても良好に画像を形成できるように、熱転写インクシートのインク層と同一面側に熱転写性の染料受容層を形成してもよい。このような染料受容層は、ポリエステル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の染着性のよい熱可塑性樹脂から形成することができる。
【0027】
図3に示した熱転写インクシートは、画像保護層の大きさを各色のインク層の大きさのn倍(nは2以上の整数)とする以外は、従来の画像保護層つきの熱転写インクシートと同様に製造することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0029】
実施例1
厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、ルミラー)の一方の全面に表1のバックコート塗工液をコイルバーにより塗布・乾燥させ、厚さ0.5μmのバックコート層を形成した。
【0030】
【表1】
(バックコート塗工液)
【0031】
次に、表2の組成の3色のインク塗料を、先のバックコート層を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面に対してコイルバーを用いて面順次で塗布し、110℃のオーブンにて3.0秒間乾燥し、3色のインク層(厚み=1μm、縦=100mm、横=l20mm)がセットになったインクリボンを作成した。
【0032】
【表2】
(インク層用塗料)
【0033】
得られたイエロー、マゼンタ、シアンの各色のインク層が面順次に形成されたインクリボンのシアンインク層に面順次に続いて、表3の組成による画像保護層用塗料を塗布し、110℃のオーブンにて30秒間乾燥し、YMC各色とそれに続いて、乾燥厚が2μmで、その面積が100mm×240mmの大きさの画像保護層を形成した。
【0034】
【表3】
(画像保護層用塗料1)
【0035】
次に、被転写体となる印画紙として、厚さ150μmのポリプロピレンフィルム(王子油化(株)製、PFG#150)上に、表4の受容層用塗料1をコイルバーにより塗布した後に110℃にて60秒間乾燥し、更に50℃にて2日間放置した。これにより厚さ5μmの受容層を備えた印画紙を作成した。
【0036】
【表4】
(受容層用塗料1)
【0037】
以上の通り作成したインクリボンと印画紙とを重ね合わせ、顔写真を色分解して得た画像データをプリンタのサーマルヘッドにて段階的な熱エネルギーをインクリボン側から付与し、濃淡のあるフルカラー画像を印画紙の受容層上に形成し、次に、インク層に続く画像保護層の前半部分を使用して、サーマルヘッドで適正な熱エネルギーを付与することにより画像上へ画像保護層を転写し、続いて画像保護層後半部分を使用して、サーマルヘッドで適正な熱エネルギーを付与することにより、先に転写した画像保護層上に画像保護層の積層転写を行った。
【0038】
実施例2
実施例1と同様に、バックコート層の塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、イエロー、マゼンタ、シアンの各インク層を準備し、それに続くインク層が形成されていない部分に、表5の組成の下塗り用塗料を乾燥後の厚さが1μm、塗布面積が100mm×360mmになるように塗布し、110℃のオーブンにて30秒間乾燥させた。表6及び表7の画層保護層用塗料2及び3を乾燥後の塗布厚がそれぞれlμmで塗布面積が100mm×360mmになるようにそれぞれ順番に積層塗布し、それぞれ110℃のオーブンにて30秒間乾燥することで画像保護層を積層した。
【0039】
【表5】
(下塗り用塗料1)
【0040】
【表6】
(画像保護層用塗料2)
【0041】
【表7】
(画像保護層用塗料3)
【0042】
次に、表8の受容層用塗料2を使用し、実施例1と同様にして印画紙を作成し、その印画紙に画像形成を行い、それに引き続き画像保護層部分を3分割し、それぞれを順に3回にわたって転写・積層を行った。
【0043】
【表8】
(受容層用塗料2)
【0044】
実施例3実施例1と同様に、バックコート層の塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、イエロー・マゼンタ・シアンの各インク層を準備し、それに続くインク層が形成されていない部分に、表9の組成の下塗り用塗料2を乾燥後の厚さが1μm、塗布面積が100mm×240mmになるように塗布し、オーブンにて110℃、30秒間の乾燥を行った。次いで、表10及び11の画像保護層用塗料4及び5を乾燥後の塗布厚が1.5μm、塗布面積が100mm×240mmになるようにそれぞれ順番に積層塗布し、オーブンにてそれぞれ110℃で30秒間乾燥することで画像保護層を積層した。
【0045】
【表9】
(下塗り用塗料2)
【0046】
【表10】
(画像保護層用塗料4)
【0047】
【表11】
(画像保護層用塗料5)
【0048】
次に、表12の受容層用塗料3を使用し、実施例1と同様にして印画紙を作成し、その印画紙に画像形成を行い、画像形成に連続して画像保護層転写を行ったが、その際に画像保護層を2分割し、その前半部分は画像形成領域の特定パターン上にのみ画像保護層を転写し、画像保護層後半部分では、画像形成領域全体をー様に覆うように画像保護層を転写し、画像保護層にすかし模様を形成した。
【0049】
【表12】
(受容層用塗料3)
【0050】
比較例1
実施例1と同様にして、バックコート層の塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、イエロー・マゼンタ・シアンの各インク層をそれぞれが100mm×120mmの面積になるよう塗布し、それに続くインク層が形成されていない部分に、実施例1と同様の画像保護層用塗料1を乾燥後の塗布厚が1.5μm、面積が100mm×120mmになるように塗布・乾燥し、YMCの各色に続いて画像保護層が形成されたインクリボンを得た。
【0051】
その後に、実施例1で使用した受容層用塗料1を用いて、実施例1と同様に印画紙を作成し、同様に印画紙への画像形成を行った。さらに画像形成と連続して画像保護層転写を行った。但し、画像保護層の転写は画像形成領域全体への1度の転写のみを行った。
【0052】
比較例2
実施例1と同様にして、バックコート層の塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、イエロー・マゼンタ・シアンの各インク層をそれぞれが100mm×120mmの面積になるよう塗布・乾燥し、それに続くインク層が形成されていない部分に、実施例1と同様の画像保護層用塗料1を乾燥後の塗布厚が4μmで、面積が100mm×120mmになるように塗布し、実施例1と同様に110℃のオーブンにて30秒間の乾燥を行った。
【0053】
その後に、実施例1で使用した受容層用塗料1を用いて、実施例1と同様に印画紙を作成し、同様に印画紙への画像形成を行った。さらに画像形成と連続して保護層転写を行った。但し、画像保護層の転写は画像形成領域全体への1度の転写のみを行った。
【0054】
比較例3
実施例1と同様にして、バックコート層の塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、イエロー・マゼンタ・シアンの各インク層をそれぞれが100mm×120mmの面積になるよう塗布・乾燥し、それに続くインク層が形成されていない部分に、実施例1と同様の画像保護層用塗料1を乾燥後の塗布厚が10μmで、面積が100mm×120mmになるように塗布し、実施例1と同様に110℃のオーブンにて300秒間の乾燥を行った。その後に、実施例1と同様の受容層用塗料1を使用して、実施例1と同様に印画紙を作成し、同様に印画紙への画像形成を行った。さらに画像形成と連続して画像保護層転写を行ったが、画像保護層の転写は画像形成領域全体への1度の転写のみであった。
【0055】
比較例4
実施例1と同様にして、バックコート層の塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、イエロー・マゼンタ・シアンの各インク層をそれぞれが100mm×120mmの面積になるよう塗布・乾燥し、それに続くインク層が形成されていない部分に、実施例1と同様の画像保護層用塗料1を乾燥後の塗布厚が10μmで、面積が100mm×120mmになるように塗布し、実施例1と同様に110℃のオーブンにて300秒間の乾燥を行った。その後に、実施例1と同様の受容層用塗料1を使用して、実施例1と同様に印画紙を作成し、同様に印画紙への画像形成を行った。さらに画像形成と連続して画像保護層転写を行ったが、その際、画像保護層の転写を実施例3で使用した特定のパターンで行った。
【0056】
(評価)
以上の実施例および比較例で得られた各印画物について、画像保護層の効果を比較する目的で以下に説明するように「画像耐光性(Xe光源下での画像の光退色性)」及び「耐擦過性」に関する比較評価を行った。また、実施例および比較例で得られた各インクリボンについて、リボンとしての使用前の状態での保存性を比較する目的で、以下に説明するように「ブロッキング」及び「画質の保存特性」について比較評価を行った。
【0057】
画像耐光性
得られた印画物に対し、耐光性試験機(Ci35Aキセノンウェザーメーター、ATLAS社製)を用いて、50kJ/m2のエネルギー密度で照射を行い、以下の基準に従って評価した。
【0058】
評価基準
ランク 内容
◎: 照射前後で印画物に何ら変化がなく、見分けがつかない場合
○: 照射後の印画物にやや退色が観察されるが、照射前の状態に近い場合
×: 照射後の印画物は明らかに退色しており、照射前とはほど遠い場合
【0059】
耐擦過性
印画物の画像表面を、アルコールを含ませた綿棒にて10往復擦り、以下の評価基準に従って評価した。
評価基準
ランク 内容
◎: 印画物の表面が全く変化が観察されなる場合
○: 印画物の表面にやや傷つきが観察されるが、画像には何ら変化がない場合
×: 印画物の表面に傷がつき、画像が損傷を受けて変化している場合
【0060】
ブロッキング
インクリボンの画像保護層面とバックコート層面とを重ね合せた状態で、55℃の環境にて荷重(100g/cm2)をかけ、各インクリボンの画像保護層とバックコート層とのブロッキングの有無を目視にて確認した。
評価基準
ランク 内容
○: ブロッキングが観察されない場合
×: ブロッキングが観察された場合
【0061】
画質の保存特性
インクリボンを直径lcmのリボンスプールに巻き取り、45℃の環境にて1週間保存した後に、そのインクリボンを使用して画像形成を行い、画像保護層を転写させた。得られた画像について保存による画質への影響の有無を目視にて確認した。得られた結果を表13に示す。
【0062】
【表13】
【0063】
表13から分かるように、2μm厚の画像保護層を2回熱転写させた実施例1、3層構造の4μm厚の画像保護層を3回熱転写させた実施例2、及び3層構造の4μm厚の画像保護層を2回熱転写させた実施例3(但し、初回の熱転写時には特定パターン状に熱転写)の場合には、画像耐光性、耐擦過性、ブロッキング、及び画質保存特性の各評価項目の結果は好ましいものであった。
【0064】
一方、1.5μ厚の画像保護層を1回だけ熱転写させた比較例1の場合には、画像耐光性と耐擦過性とが不満足な結果であった。4μ厚の画像保護層を1回だけ熱転写させた比較例2の場合にはブロッキングが生じ、10μ厚の画像保護層を1回だけ熱転写させた比較例3の場合には画質保存特性が不満足な結果であった。また、10μ厚の画像保護層をパターン状に1回だけ熱転写させた比較例4の場合には、画像耐光性、耐擦過性並びに画質保存特性の各評価項目が不満足な結果であった。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、乾燥時間を長くすることや特別の設備を使用することなく製造できる画像保護フィルムを使用し、インクリボンの保存時の不具合を生ずることなく、十分な厚みの画像保護層を被転写体に熱転写することが可能となる。従って、画像の紫外線による退色や傷付きなどの不具合なども改善できる。
【0066】
また、本発明によれば、画像保護層を積層するので、画像に透かしや表面のパターン処理を施すことができる。その場合にも、透かしや表面修飾に使用する画像保護層と、画像全体を覆う画像保護層とを積層するので、画像保存性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法の説明図である。
【図2】本発明の画像形成方法に適した熱転写インクシートの部分上面図である。
【図3】本発明の画像形成方法に適した熱転写インクシートの部分上面図である。
【符号の説明】
1 インク画像、2 被転写体、3 単位画像形成領域、4 基材シート、5画像保護層、50 積層画像保護層、6 転写型画像保護フィルム、21 印画紙、22a,22b,22c 画像保護層、31 基材シート、32 センサーマーク、33 インク層、34 画像保護層
Claims (3)
- インク画像が形成された被転写体の一つの単位画像形成領域に、基材シート上に熱転写性の画像保護層が形成された転写型画像保護フィルムの当該画像保護層の熱転写をn回(nは3以上の整数である)繰り返し、
2回目乃至(n−1)回目のいずれかの熱転写を任意のすかし模様パターンで行い、1回目とn回目の熱転写をベタパターンで行うことを特徴とする画像形成方法。 - 基材シートとその同一平面上に設けられた熱転写性のインク層及び熱転写性の画像保護層を有し、被転写体の単位画像形成領域に熱転写によりインク画像を形成し、更にインク画像が形成された被転写体の単位画像形成領域上に、該画像保護層を基材シートより剥離させて転写させる熱転写インクシートであって、一回のインク画像形成に対しn回(nは3以上の整数である)の画像保護層の熱転写が可能となるように、画像保護層の面積が、被転写体の単位画像形成領域の面積のn倍となっている熱転写インクシートを、転写型画像保護フィルムとして使用する請求項1に記載の画像形成方法。
- 基材シートとその同一平面上に設けられた熱転写性のインク層及び熱転写性の画像保護層を有し、被転写体の単位画像形成領域に熱転写によりインク画像を形成し、更にインク画像が形成された被転写体の単位画像形成領域上に、該画像保護層を基材シートより剥離させて転写させる熱転写インクシートにおいて、一回のインク画像形成に対しn回(nは3以上の整数である)の画像保護層の熱転写が可能となり、2回目乃至(n−1)回目のいずれかの熱転写を任意のすかし模様パターンで行い、1回目とn回目の熱転写をベタパターンで行うことが可能となるように、画像保護層の面積が、被転写体の単位画像形成領域の面積のn倍となっていることを特徴とする熱転写インクシート。
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