JP4245853B2 - 水性被覆用組成物 - Google Patents

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    • C08L33/04Homopolymers or copolymers of esters

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、マスチック塗料、防音塗料、防振塗料、コーキング材等として用いられる水性被覆用組成物に関し、さらに詳しくは、特に、車輛類、殊に自動車の床裏、タイヤハウス、シャーシー、ガソリンタンク、サスペンション等の室外板金加工部材の飛石などによる擦傷、いわゆる「チッピング」から該板金加工部材を保護するために使用される、耐チッピング性、金属加工部材への密着性、塗膜の均一性及び平滑性、耐水性、耐ガソリン性、耐衝撃性、防音性などの諸性能に優れ、さらに一度塗装に用いた後の残液を廃棄することなく、新規な水性組成物をつぎ足して使用することのできる(以下、このような性質をリサイクル性ということがある)、合成ゴム系重合体粒子及びアクリル系重合体粒子の混合物をベースとする耐チッピング性水性被覆用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば自動車などの車輛類の室外板金加工部材に用いられる水性の耐チッピング用被覆剤として、ゴム系ラテックスやアクリル系共重合体エマルジョンなどの水性樹脂分散液をビヒクルとし、炭酸カルシウム、タルクなどの無機質充填剤を配合したものが知られている。これらの被覆剤は、適宜増粘されてエアレススプレー等の手段により金属基材に塗工されることが多い。
【0003】
このような水性被覆剤に要求される性質としては、該被覆剤が塗装に適した粘度及び粘性に調整できること;一回の塗工で比較的厚い塗膜を形成させることができ、且つその乾燥に際して形成される塗膜にフクレやクラックが生じないこと;形成される塗膜が板金加工部材(金属基材)に対して優れた密着性を有すること;形成された塗膜が高いゴム弾性を有して耐チッピング性に優れており、仮に塗膜に傷が付いても下地の金属基材の錆の発生を極力防止しうること;塗膜が寒冷地などの低温条件下においても十分な耐衝撃性を保持すること;特に最近の環境への配慮や厳しい経済情勢に鑑みて、塗装後、塗装ブースの壁面などにかなり多量に付着した塗装剤の回収して、新たな塗装剤を添加することにより再使用することが可能で、所謂、リサイクル性に優れていること。これにより塗装剤の利用効率を高めることができ、塗装ブースの洗浄に伴う排液の量を減少させ及び/又は濃度を低下させることができ、排液処理に掛かる経費が削減できること;などがある。
【0004】
これら前記の水性被覆剤のうち、アクリル系共重合体水性樹脂分散液をベースとしたものは、例えば、特開昭53−64287号公報、特開昭59−75954号公報、特開昭62−230868号公報、特開昭63−10678号公報、特開昭63−172777号公報などに開示されている。
【0005】
これらのアクリル系水性被覆剤は、一般に比較的良好な粘度特性を示し、前記のエアレススプレー塗工性にも優れており、一回の塗工で比較的厚い塗膜を形成させることが可能であり、またしばしばある程度のリサイクル性を具備してはいるものの、一般に板金加工部材への密着性が必ずしも十分であるとはいい難いものが多い。そして特に最近では、自動車等の製造に際して従来から使用されてきた板金加工部材の金属基材である鉛−錫合金メッキ鋼板(所謂タンシート鋼板)の使用が、鉛の毒性の観点から問題視され、代わりにアルミニウムメッキ鋼板、錫−亜鉛メッキ鋼板などが使用されるようになってきているが、これらの金属基材は、従来のタンシート鋼板に比較して被覆剤の密着性が不十分となりがちで、従来のアクリル系共重合体水性樹脂分散液をベースとした水性被覆剤では、このような金属基材に対する密着性は極めて劣悪なものとなることが多い。
【0006】
一方、ビヒクルとしてゴム系ラテックスを用いた耐チッピング用水性被覆剤が、例えば、特開昭57−180617号公報、特開昭59−75954号公報、特開昭59−129213号公報などに開示されている。
【0007】
しかしながら、これら公報に記載されたラテックスを用いた耐チッピング用水性被覆剤は、その塗工に際してその粘性のため一回の塗工で厚い塗膜を形成することが容易ではなく、その点の改良のため増粘すると、今度はその粘度挙動に問題があって、スプレー塗装などによる均質な塗膜の形成が容易ではなく、特に縦にした基材に対する塗工では形成されたばかりの塗膜が滑って落ちてしまうスリップ現象が起こりやすいなどの問題がある。またラテックス系の耐チッピング用水性被覆剤では、一般にその機械的安定性が不十分であるものが多く、リサイクル性はほとんど期待できない。
【0008】
また、ビヒクルとしてゴム系ラテックスに他の共重合体を配合したものを用いた耐チッピング用水性被覆剤も知られており、例えば、特開昭54−52139号公報には、ビヒクルとして、スチレン−ブタジエン共重合樹脂に、塩化ビニル−酢酸ビニル−不飽和二塩基酸共重合体樹脂及び低分子液状ポリマーそれぞれ特定量配合したものを用いることが提案されている。
【0009】
しかしながら、上記公開公報の実施例においては、塩化ビニル−酢酸ビニル−不飽和二塩基酸共重合体樹脂として粉末形状のものが用いられているが、該共重合体樹脂粉末は分散が容易でなく、得られる塗膜は板金加工部材に対して密着性が十分ではなく、耐チッピング性も不十分であることがわかった。
【0010】
さらに、例えば、特開平2−28269号公報では、耐チッピング用水性被覆剤における基体樹脂(ビヒクル成分)として、スチレン、ブタジエン及びアクリル系モノマーのエマルジョン重合により形成される、ガラス転移温度が0℃以下で且つブタジエン含量が共重合体100重量部当たり5〜50重量部である共重合体を用いることが提案されている。
【0011】
しかしながら、上記公開公報の実施例によれば、上記基体樹脂は、スチレン−ブタジエンゴムラテックスの存在下にアクリル系モノマーを乳化重合して調製されているが、本発明者らが該実施例に記載の方法に従って共重合体の調製を試みたところ、スチレン−ブタジエンゴムラテックスの存在下でのアクリル系モノマーの乳化重合時に、該ゴムラテックス中のブタジエン単位に由来する残存二重結合に対してアクリル系モノマーがグラフト重合するため、所望とするゴム弾性をもつ共重合体が得られず、固くて脆い共重合体が得られるのみであった。
【0012】
さらにまた、自動車部品のうちシャーシー、ガソリンタンク、サスペンション等のボディー以外の部品への耐チッピング用被覆剤の塗装は、一般にボディーの塗装ラインとは別のラインで行われるが、特に最近では自動車製造コストの低減化を目的に、該塗装ラインの塗装被膜焼付温度を、例えば100℃以下などの比較的低温とする試みがなされており、この場合、フクレ発生の問題はほとんど回避できるという利点があるものの、該被覆剤のこれら部品に対する密着性が一層低下するという問題点があることも判明した。
【0013】
【発明が解決すべき課題】
本発明者らは、塗装後の残液のリサイクル性に優れていること;エアレススプレーなどによる塗工性に優れていること;均一で平滑な塗膜が得られること;得られる塗膜の金属基材、従来からの鉛−錫合金メッキ鋼板(タンシート鋼板)は元より、最近多用されるようになったアルミニウムメッキ鋼板、錫−亜鉛メッキ鋼板などの金属基板に対しても優れた密着性を有すること;優れた、常態、耐水性及び耐溶剤性の耐チッピング性を有すること;などの耐チッピング用被覆剤としての諸特性をバランスよく兼備する水性被覆用組成物を提供することを目的に鋭意研究を行った。
【0014】
その結果、水性被覆用組成物のビヒクル成分として、共役ジオレフィン、例えばブタジエンに、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレンなどを共重合した、ガラス転移温度(Tg)が−20℃以下、例えば−40℃程度の合成ゴム系重合体水性分散液を用い、これにTgが0℃以下、例えば−30℃程度のアクリル系重合体水性分散液を特定量併用することにより、前記の課題をことごとく解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、水性媒体中に分散された重合体微粒子と無機質充填剤とを含有してなる水性被覆用組成物であって、該重合体微粒子が、
【0016】
(A) 共役ジオレフィン単量体に由来する繰返し単位を50〜90重量%含有するガラス転移温度が−20℃以下の合成ゴム系重合体粒子 50〜90重量%、及び
【0017】
(B) アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルに由来する繰り返し単位を50重量%以上含有するガラス転移温度が0℃以下のアクリル系重合体粒子10〜50重量%
を含有してなることを特徴とする水性被覆用組成物が提供される。
【0018】
なお、本明細書において、「水性媒体中に分散された重合体微粒子」、「合成ゴム系重合体粒子」及び「アクリル系重合体粒子」なる表現は、水性媒体中に分散された重合体の微粒子であって、その平均粒子径が、通常1000nm以下、好ましくは50〜800nm程度の分散粒子をいい、必ずしも乳化重合によって得られる重合体粒子だけを意味するものではない。
【0019】
以下、本発明の水性被覆用組成物についてもさらに詳細に説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】
【0021】
〔合成ゴム系重合体粒子(A)〕
本発明の水性被覆用組成物におけるビヒクルの必須成分である合成ゴム系重合体粒子(A)は、共役ジオレフィンに由来する繰返し単位を、合成ゴム系重合体の重量を基準にして50〜90重量%、好ましくは50〜75重量%、さらに好ましくは55〜80重量%の割合で含有するゴム弾性をもつ共重合体から構成されるものである。
【0022】
このような合成ゴム系重合体は、それ自体既知の合成ゴム系重合体ラテックスの製造法と同様の方法に従い、例えば、
【0023】
(a1) 共役ジオレフィン系単量体と、
(a2) メタクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体を、好ましくは、
(a3) 分子内にカルボキシル基を有する単量体(以下、カルボキシル基含有単量体ということがある)、及び、さらに必要に応じて、
(a4) 他の共重合可能な単量体、
と共に、加圧下に水性乳化重合することにより形成せしめることができる。
【0024】
上記共役ジオレフィン系単量体(a1)としては、例えば、ブタジエン、インプレン、クロロプレン等から選ばれる1種又は2種以上の単量体が挙げられ、特にブタジエンが好適である。
【0025】
共役ジオレフィン系単量体(a1)の共重合量は、合成ゴム系重合体粒子の重量100重量%に基づいて、一般に50〜90重量%、さらには55〜80重量%、特には60〜70重量%であることが好ましい。該共重合量が該上限値以下であれば、十分なゴム弾性を有する塗膜が得られるので好ましく、一方該下限値以上であれば該塗膜の基材への密着力が十分なものとなるので好ましい。
【0026】
また、前記メタクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体(a2)において、メタクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルメタクリレート等を例示することができ、シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を例示することができ、アクリロニトリルの使用が好ましい。さらに芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられ、スチレンの使用が好ましい。
【0027】
これらメタクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体(a2)は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができるが、得られる塗膜の基材への密着性及びゴム弾性の優秀さ等の観点から、2種以上組み合わせて使用することが好ましく、3種以上組み合わせて使用することがさらに好ましい。また該単量体成分(a2)の中には、必須成分としてメタクリル酸エステル単量体(特にメチルメタクリレート)が含有されていることが好ましい。
【0028】
これらの単量体(a2)の共重合量は、合成ゴム系重合体粒子の重量100重量%に基づいて、合計で、一般に10〜50重量%、さらには20〜40重量%、特には25〜35重量%の範囲であることが好ましい。該共重合量が該上限値以下であれば、十分なゴム弾性を有する塗膜が得られるので好ましく、一方該下限値以上であれば、該塗膜の基材への密着性が十分なものとなるので好ましい。
【0029】
さらに、好適な場合において用いられるカルボキシル基含有単量体(a3)には、遊離の形態又は塩もしくは無水物の形態でありうるカルボキシル基を1分子中に1又は2個有するα,β-エチレン性不飽和単量体が包含され、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の炭素数3〜5のα,β-不飽和モノカルボン酸;シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の炭素数4〜5のα,β-不飽和ジカルボン酸又はそれらの無水物もしくは炭素数1〜12のモノアルキルエステル(例えば、モノエチルエステル、モノ-n-ブチルエステルなど);或いはこれらカルボン酸の塩(例えばアンモニウム塩、アルカリ金属塩など)を例示することができる。これらの単量体もそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらのカルボキシル基含有単量体のうち、特に好適に使用しうるものとしては、アクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸を挙げることができる。
【0030】
上記のカルボキシル基含有単量体(a3)の共重合量は、合成ゴム系重合体粒子の重量100重量%に基づいて、一般に0.3〜10重量%、さらには1〜7重量%、特には2〜5重量%の範囲であることが好ましい。該共重合量が該上限値以下であれば、得られる塗膜の耐水性が十分なものとなるので好ましく、一方該下限値以上であれば、エアレススプレーなどによる塗工性に優れており、また塗料時に必要となる十分な機械的安定性が得られるので好ましい。
【0031】
本発明で使用される合成ゴム系エマルジョン重合体粒子は、以上に述べた共役ジオレフィン系単量体(a1)と、メタクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体(a2)を必須の単量体成分とし、これにさらに好ましくはカルボキシル基含有単量体(a3)を組み合わせて共重合させることによって製造することができるが、合成ゴム系重合体ラテックスの製造に際してしばしば行われているように、必要に応じてさらに、前記単量体(a1)〜(a3)と共重合可能で該単量体(a1)〜(a3)以外の単量体(a4)〔以下、単に共単量体(a4)ということがある〕を共重合させることもできる。
【0032】
そのような共単量体(a4)としては、例えば次のものが挙げられる。
▲1▼ アクリル酸エステル及び前記単量体(a2)以外のメタクリル酸エステル:例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ドデシルメタクリレートなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル。
【0033】
▲2▼ 架橋性官能基を少なくとも1個含有するラジカル重合性不飽和単量体:例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-i-ブトキシメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド等のアミド基もしくは置換アミド基含有単量体;例えば、アミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体;
【0034】
例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等のヒドロキシル基含有単量体;
【0035】
例えば、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-n-ブトキシエチルアクリレート、2-メトキシエトキシエチルアクリレート、2-エトキシエトキシエチルアクリレート、2-n-ブトキシエトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-n-ブトキシエチルメタクリレート、2-メトキシエトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエトキシエチルメタクリレート、2-n-ブトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等の低級アルコキシル基含有単量体;
【0036】
例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル等のエポキシ基含有単量体;アリルメルカプタン等のメルカプト基含有単量体;
【0037】
例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリブロモシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ-n-プロポキシシラン、ビニルトリ-i-プロポキシシラン、ビニルトリ-n-ブトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(2-ヒドロキシメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジエトキシシラノール、ビニルエトキシシラジオール、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、2-アクリルアミドエチルトリエトキシシラン等の珪素含有基を有する単量体;
【0038】
例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体;等。
【0039】
以上述べた共単量体(a4)の共重合量は、合成ゴム系重合体粒子の重量100重量%に基づいて、一般に0〜20重量%、さらには0〜15重量%、特には0〜10重量%の範囲であることが好ましい。該共重合量が該上限値以下であれば、得られる塗膜のゴム弾性及び基材密着性が優れているので好ましい。
【0040】
合成ゴム系重合体粒子(A)は、以上に述べた単量体成分(a1)〜(a4)を、それ自体既知の合成ゴム系ラテックスの製造法と同様に、界面活性剤の存在下且つ必要に応じて保護コロイドの共存下に水性媒体中で、約30〜約100℃、好ましくは約40〜約90℃の温度で、通常加圧下に、乳化重合することにより製造することができる。
【0041】
界面活性剤としては、非イオン系、陰イオン系、陽イオン系又は両性のいずれのタイプの界面活性剤でも使用することができる。
【0042】
非イオン界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフエノールエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類;
【0043】
例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー;等を挙げることができる。
【0044】
陰イオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン塩酸類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類:例えば、モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類:等を例示することができる。
【0045】
また陽イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩;ポリオキシエチルアルキルアミン;等が挙げられ、さらに両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタインなどのアルキルベタイン等を挙げることができる。
【0046】
さらに、これらの界面活性剤のアルキル基の水素の一部をフッ素で置換したもの;これら界面活性剤の分子構造中にラジカル共重合性不飽和結合を有する、いわゆる反応性界面活性剤;等も使用することができる。
【0047】
これらの界面活性剤のうち、乳化重合時の凝集物発生の少なさなどの観点より、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフエノールエーテル類;そして陰イオン界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフエノールエーテル硫酸エステル塩類;等を使用することが好ましい。これらの界面活性剤はそれぞれ単独で又は適宜組み合わせて使用することができる。
【0048】
これらの界面活性剤の使用量は、用いる界面活性剤の種類等に応じて変えうるが、一般には、合成ゴム系重合体粒子の重量100重量部に基づいて、すなわち単量体成分(a1)〜(a4)の合計100重量部に対して約0.1〜約10重量部の範囲内とすることができるが、水性乳化重合の重合安定性、生成する合成ゴム系重合体粒子の水性分散液(以下、合成ゴム系重合体エマルジョンということがある)の貯蔵安定性及び耐チッピング性水性被覆用組成物に用いたときの、板金加工部材などの基材との密着性の優秀さ等の観点から、約1〜6重量部、特には約1〜4重量部の範囲内で用いるのが好ましい。
【0049】
また、合成ゴム系重合体粒子の製造において使用することができる保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;例えば、グアーガムなどの天然多糖類;などが挙げられる。
【0050】
これら保護コロイドの使用量もまた厳密に制限されるものではなく、その種類等に応じて変えることができるが、通常前記単量体成分(a1)〜(a4)の合計100重量部に対して0〜3重量部程度の量を例示することができる。
【0051】
前記単量体成分(a1)〜(a4)の乳化重合は、重合開始剤を用いて行なわれる。使用しうる重合開始剤として、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩類;例えば、t-ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、p-メンタンハイドロパーオキシドなどの有機過酸化物類;過酸化水素:などが挙げられ、これらは一種のみで又は複数種組み合わせて使用することができる。
【0052】
上記重合開始剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、その種類や反応条件等に応じて広い範囲で変えることができるが、一般には、前記単量体成分(a1)〜(a4)の合計100重量部に対して、約0.05〜約3重量部、より好ましくは約0.1〜約2重量部、特に好ましくは約0.1〜約1.5重量部の如き使用量を例示することができる。
【0053】
また乳化重合に際して、所望により、還元剤を併用することができる。使用しうる還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物を例示することができる。これら還元剤の使用量もまた特に制限されるものではないが、一般には前記単量体(a1)〜(a4)の合計100重量部に対して、約0.05〜約3重量部の範囲内を例示することができる。
【0054】
さらにまた、乳化重合に際して、所望により連鎖移動剤を用いることもできる。このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;アントラセン、フエナントレン、フルオレン、9-フエニルフルオレンなどの多環式芳香族化合物類;p-ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p-ニトロ安息香酸、p-ニトロフエノール、p-ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6-テトラメチル-p-ベンゾキノン等のベンゾキノン誘導体類;トリブチルボラン等のボラン誘導体;
【0055】
四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2-テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3-クロロ-1-プロペン等のハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒド等のアルデヒド類;例えば、n-ドデシルメルカプタン等炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフエノール、トルエンメルカプタン等の芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸;メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;2-メルカプトエタノール等の炭素数1〜12のヒドロキルアルキルメルカプタン類;ビネン、ターピノレン等のテルペン類;などを挙げることができる。
【0056】
上記連鎖移動剤を用いる場合のその使用量は、前記単量体(a1)〜(a4)の合計100重量部に対して、約0.005〜約5重量部の範囲内が好ましい。
【0057】
以上に述べた乳化重合により形成される合成ゴム系重合体エマルジョン(ラテックス)は、一般に、10〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、さらに好ましくは40〜60重量%の範囲内の固形分を有することができ、また、B型回転粘度計を用い、25℃、20rpmで測定したときの粘度は、通常10,000cps以下、特に約50〜約5,000cpsの範囲内にあることが望ましい。
【0058】
上記エマルジョンは通常2〜10、特に5〜9の範囲内の pHを有することが望ましく、pH調節は例えばアンモニア水、アミン水溶液、水酸化アルカリの水溶液を用いて行うことができる。
【0059】
本発明の水性被覆用組成物において使用される合成ゴム系重合体粒子(A)は、Tgが−20℃以下であり、好ましくは−50〜−30℃、さらに好ましくは−45〜−35℃の範囲内にあることができる。Tgが該上限値より高い合成ゴム系重合体粒子を用いて調製される水性被覆用組成物から形成される塗膜は、一般に基材への密着性が不十分となりがちであり好ましくない。一方、Tgが該下限値以上であれば、耐チッピング性に優れた塗膜が得られるので好ましい。
【0060】
なお、本明細書において、重合体粒子のガラス転移温度(Tg)は、以下の方法で測定した場合の値である。
【0061】
ガラス転移温度( Tg ):
厚さ約0.05mmのアルミニウム箔製の、内径約5mm、深さ約5mmの円筒型のセルに、(共)重合体エマルジョンの試料約10mgを秤取し、100℃で2時間乾燥したものを測定試料とし、示差走査熱量計〔Differential Scanning Calorimeter:セイコー電子工業(株)製「SSC-5000」型〕を用い、−150℃から昇温速度10℃/分で試料のガラス転移温度前後の比熱容量差を測定し、その結果からTgを決定する。
【0062】
また、上記合成ゴム系重合体粒子は、一般に70〜95重量%、特に75〜90重量%の範囲内のゲル含有量を有することが望ましい。該重合体粒子のゲル含有量が該下限値以上であれば、塗膜の加熱による乾燥時にフクレが生じることなく厚い塗膜が得られるので好ましく、また該上限値以下であれば、弾性に富み耐チッピング性の優れた塗膜が得られるので好ましい。
【0063】
なお、本明細書において、合成ゴム系重合体粒子(A)のゲル含有量は、以下の方法で測定した場合の値である。
【0064】
ゲル含有量:
室温乾燥にて合成ゴム系重合体エマルジョン(又は後記するアクリル系重合体エマルジョン)からフイルムを作成し、該フイルムを約200〜800倍のトルエン中に投入し、48時間放置させた後に No.2濾紙を用いて濾過する。濾液を70℃で減圧乾燥を行い、秤量して重合体エマルジョンからのフイルムのトルエン可溶分(重量%)を求め、100重量%から上記トルエン可溶分(重量%)を減じた数値、すなわちトルエン不溶分(重量%)をもってゲル含有量とする。
【0065】
さらに、前記の如くして製造されるエマルジョン中に分散している合成ゴム系重合体粒子(A)の平均粒子径(以下、単に粒子径ということがある)は、一般に、100〜300nm、特に120〜250nmの範囲内にあることが望ましい。エマルジョン中の重合体粒子の粒子径のコントロールは、例えば使用する界面活性剤の書類や量、さらには重合温度などを適宜選択することにより行うことができる。
【0066】
なお、本明細書において、分散粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定された値であり、具体的には「マスターサイザー2000」〔シスメックス(株)製〕を用いて測定された重量平均径である。
【0067】
合成ゴム系重合体粒子(A)としては、前述の方法で製造したものの他、例えば、「LX-407C」〔日本ゼオン(株)製〕、「SN-318」、「SN-534」、「SN-562」、「J-1666」〔以上、住友ダウ(株)製〕、「SK-80」〔武田薬品工業(株)製〕、「L-2001」、「L-2337」〔以上、旭化成工業(株)製〕、「ポリラック 707」〔三井東圧化学(株)製〕等の商品名で市販されているスチレン−ブタジエン系合成ゴムラテックス(以下、SBRと略称することがある);「ニポール 1571」、「ニポール 1551」、「ニポール 1562」〔以上、日本ゼオン(株)製〕等の商品名で市販されているアクリロニトリル−ブタジエン系合成ゴムラテックス(以下、NBRと略称することがある)等を使用することもできる。
【0068】
〔アクリル系重合体粒子(B)〕
本発明の水性被覆用組成物において、ビヒクル成分として、前記の合成ゴム系重合体粒子(A)と組み合わせて使用することのできるアクリル系重合体粒子(B)は、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルに由来する繰り返し単位を、該アクリル系重合体粒子(B)の重量100%に基づいて、一般に50重量%以上、好ましくは60〜99重量%、さらに好ましくは70〜98重量%の割合で含有するものである。
【0069】
具体的には、本発明において用いられる好ましいアクリル系重合体粒子(B)は、下記単量体(b1)〜(b4)、
【0070】
(b1) 下記一般式(1)、
H2C=CR1HCOOR2 (1)
(ここでR1は、H又はメチル基を表し、R2は、炭素数4〜10の直鎖又は分枝鎖アルキル基を表す)
で示され、その単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃以下であるアクリル酸エステル 50〜90重量%、
【0071】
(b2) 分子内にカルボキシル基を有する単量体 0.3〜10重量%、
(b3) 分子内にヒドロキシル基を有する単量体 1.5〜15重量%、
(b4) 上記単量体(b1)〜(b3)と共重合可能で、該単量体(b1)〜(b3)以外の共単量体 8.2〜48.2重量%、
〔但し、単量体(b1)〜(b4)の合計を100重量%とする〕
を水性乳化重合することにより製造することができる。
【0072】
上記単量体(b1)としては、例えば、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレートなどが挙げられ、これらの中でも、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレートが好ましい。これらのアクリル酸エステルは、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0073】
単量体(b1)の共重合量は、上記のとおり50〜90重量%であることが必要であり、60〜88重量%、特に70〜84重量%であることが好ましい。該共重合量が該上限値を超えて多すぎては、得られる塗膜の耐チッピング性が低下する傾向にあり好ましくなく、一方、該下限値未満と少なすぎては、基材への密着性が低下することがあり好ましくない。
【0074】
なお、本明細書でいう「単独重合体のガラス転移温度(Tg)」には、L. E. ニールセン著、小野木宣治訳「高分子の力学的性質」第11〜35頁に記載されている単量体のガラス転移温度が適用される。
【0075】
前記のカルボキシル基含有単量体(b2)としては、前記合成ゴム系重合体の製造において前述したカルボキシル基含有エチレン系単量体(a3)と同様のものを使用することができ、その好適なものは、単量体(a3)におけると同様、アクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸である。該単量体(b2)の共重合量は、前記のとおり0.3〜10重量%であることが必要であり、0.5〜5重量%、特に1〜3重量%であることが好ましい。該共重合量(b2)が該上限値を超えて多すぎては、塗膜の加熱による乾燥時にフクレが生じやすく厚い塗膜が得にくいので好ましくなく、一方、該下限値未満と少なすぎては、得られる水性被覆用組成物の安定性が不十分となりがちであり、塗装適性が低下すること多いので好ましくない。
【0076】
また前記ヒドロキシル基含有単量体(b3)としては、前記合成ゴム系重合体の製造において前述した共単量体(a4)の▲2▼の中に例示したヒドロキシル基含有単量体と同様のものを使用することができ、その好適なものは、2-ヒドロキシエチルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。該単量体(b3)の共重合量は、前記のとおり1.5〜15重量%であることが必要であり、2〜10重量%、特に3〜8重量%であることが好ましい。該共重合量(b3)が該上限値を超えて多すぎては、加熱による塗膜の乾燥時にクラックが生じやすく厚い塗膜が得にくいので好ましくなく、一方、該下限値未満と少なすぎては、得られる水性被覆用組成物のリサイクル性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0077】
前記の共単量体(b4)としては、例えば次のものが挙げられる。
▲1▼ 前記(b1)以外のアクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステル:例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、オレイルアクリレート等(好ましくはメチルアクリレート);メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等(好ましくはメチルメタクリレート);
【0078】
▲2▼ アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル以外のエチレン系単量体:例えば、飽和脂肪酸ビニルエステル、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)等(好ましくは酢酸ビニル);芳香族ビニル単量体、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等(好ましくはスチレン);シアン化ビニル単量体、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等(好ましくはアクリロニトリル);モノオレフイン単量体、例えば、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、i-ブチレン等;マレイン酸もしくはフマル酸のジエステル、例えば、ジメチルマレート、ジ-n-ブチルマレート、ジ-2-エチルヘキシルマレート、ジ-n-オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ-n-ブチルフマレート、ジ-2-エチルヘキシルフマレート、ジ-n-オクチルフマレート、ジ-n-ブチルイタコネート、ジ-2-エチルヘキシルイタコネート、ジ-n-オクチルイタコネート等;
【0079】
▲3▼ 共単量体(a4)の▲2▼として例示した単量体。具体的には、アミド基もしくは置換アミド基含有単量体、アミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体、低級アルコキシル基含有単量体、エポキシ基含有単量体、メルカプト基含有単量体、珪素含有基を有する単量体、2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体等。
【0080】
これら共単量体(b4)のうち、入手の容易さ、乳化重合の容易さ等の観点から、▲1▼及び▲2▼に挙げた単量体、中でもメチルメタクリレート、スチレン及びアクリロニトリルの使用が好ましい。これら単量体はそれぞれ単独で用いることができ又は2種以上併用してもよい。
【0081】
これら単量体(b4)の共重合量は、前記のとおり8.2〜48.2重量%であることが必要であり、9.5〜37.5重量%、特に12〜26であることが好ましい。該上限値を超えて多すぎては、得られる塗膜の基材に対する密着性が低下しがちとなるので好ましくなく、一方、該下限値未満と少なすぎては、塗膜の耐チッピング性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0082】
なおここで、前記のアクリル系重合体粒子(B)中におけるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルに由来する繰り返し単位の量とは、前記単量体(b1)のアクリル酸エステル並びに、(b4)のうち▲1▼のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルに由来する繰り返し単位の合計量を意味する。
【0083】
以上述べた単量体(b1)〜(b4)は、合成ゴム系重合体粒子(A)の製造法について前述した方法と同様の乳化重合法〔通常は大気圧下で乳化重合させること〕によって製造することができる。
【0084】
本発明の水性被覆用組成物において、ビヒクル成分として、前述の合成ゴム系重合体粒子(A)と組み合わせて使用することのできるアクリル系重合体粒子(B)としては、Tgが0℃以下であることが必要であり、−65〜−20℃、好ましくは−60〜−30℃の範囲内にあることが望ましい。該Tgが該上限値を超えて高すぎては、得られる塗膜の基材に対する密着性が低下しがちとなるので好ましくない。一方、Tgが該下限値以上であれば、塗膜の耐チッピング性が優れたものとなるので好ましい。
【0085】
また、上記アクリル系重合体粒子(B)は、一般に80重量%以下、特に40〜75重量%の範囲内のゲル含有量を有することが望ましい。該重合体粒子のゲル含有量が該上限値以下であれば、得られる水性被覆用組成物のリサイクル性が優れているので好ましく、また該下限値以上であれば、塗膜の加熱による乾燥時にフクレが生じにくく厚い塗膜が得られるので好ましい。
【0086】
これら単量体(b1)〜(b4)の乳化重合により形成されるアクリル系(共)重合体エマルジョンは、固形分として、アクリル系重合体粒子(B)を、一般に10〜70重量%、好ましくは30〜65重量%、さらに好ましくは40〜60重量%の範囲内で含有することができ、また、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmで測定したときの粘度は通常、10,000mPa・s以下、特に約10〜約5,000mPa・sの範囲内にあるのが好都合である。
【0087】
上記エマルジョンは通常2〜10、特に5〜9の範囲内のpHを有することが望ましく、pH調節は例えばアンモニア水、アミン水溶液、水酸化アルカリの水溶液を用いて行うことができる。
【0088】
アクリル系重合体粒子(B)は、前記に従って測定するとき、そのゲル含有量が80重量%以下、さらに40〜75重量%の範囲であることが望ましい。また、形成される重合体エマルジョン中に分散しているアクリル系重合体粒子(B)の平均粒子径は、一般に1000nm以下、さらに150〜800nmの範囲内にあることが好ましい。該平均粒子径が、該上限値以下であれば、得られる塗膜の基材に対する密着性が優れているので好ましく、また該下限値以上であれば、塗膜の加熱による乾燥時にフクレが生じにくく厚い塗膜が得られるので好ましい。アクリル系重合体粒子(B)の粒子径のコントロールは合成ゴム系重合体粒子(A)の粒子径のコントロールと同様にして行うことができる。
【0089】
〔水性被覆用組成物〕
本発明の水性被覆用組成物は、ビヒクル成分として、合成ゴム系重合体粒子(A)及びアクリル系重合体粒子(B)を組み合わせに対して、無機質充填剤を配合することにより調製することができる。
【0090】
上記合成ゴム系重合体粒子(A)及びアクリル系重合体粒子(B)の配合量は、これらエマルジョン中の重合体粒子(A)及び(B)(すなわち固形分)の合計量を基準にして、合成ゴム系重合体粒子(A)は50〜90重量%、好ましくは55〜85重量%、さらに好ましくは60〜80重量%の範囲内、そしてアクリル系重合体粒子(B)は50〜10重量%、好ましくは15〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%の範囲内とすることができる。合成ゴム系重合体粒子(A)の配合割合が該下限値未満と少なすぎ、アクリル系重合体粒子(B)の配合割合が該上限値を超えて多すぎれば、得られる塗膜の耐チッピングが低下しがちとなるので好ましくない。一方、合成ゴム系重合体粒子(A)の配合割合が該上限値を超えて多すぎ、アクリル系重合体粒子(B)の配合割合が該下限値未満と少なすぎれば、得られる水性被覆用組成物のリサイクル性が低下する傾向があり好ましくない。
【0091】
また、上記水性被覆用組成物には、必要に応じて、ウレタン系樹脂粒子(C)を配合することができ、これにより、例えばカチオン電着塗装鋼板などの極性基材に対する塗膜の密着性を更に向上させることができるが、その配合量は、固形分、すなわちウレタン系樹脂粒子(C)として、合成ゴム系重合体粒子(A)とアクリル系重合体粒子(B)との合計100重量部に基づいて、一般に30重量部以下程度の範囲内とすることができる。
【0092】
本発明において、必要に応じて配合することのできるウレタン系樹脂粒子(C)を含むエマルジョンには、例えば、「SF 150HS」、「SF 420」[以上、第一工業製薬(株)製]、「HUX-320」、「HUX-290N」[以上、旭電化工業(株)製]などの商品名で市販されているものが使用できる。
【0093】
さらに本発明の水性被覆用組成物には、必要に応じ架橋剤としてイソシアネート誘導体を配合することができる。該イソシアネート誘導体の配合によって、得られる塗膜の耐水性及び基材密着性をさらに向上させることができる。
【0094】
上記イソシアネート誘導体としては、アジリジン化合物及びブロック化イソシアネートが例示でき、いずれも水分散性のものが好適に用いられる。
【0095】
アジリジン化合物としては、ポリイソシアネート化合物とエチレンイミンとの反応生成物が使用でき、ポリイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;例えば1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;例えば、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート化合物;などを例示することができる。また、これらイソシアネートの2量体又は3量体;これらイソシアネートと、例えばトリメチロールプロパン等の2価以上のポリオールとのアダクト体などを例示できる。
【0096】
このようなアジリジン化合物のうち、本発明に好適に利用できる水分散性アジリジン化合物の市販品としては、例えば、「SU-125F」〔明成化学工業(株)製〕、「DZ-22E」〔日本触媒(株)製〕等を挙げることができる。
【0097】
またブロック化イソシアネートとしては、前記ポリイソシアネート化合物に揮発性低分子活性水素化合物を付加させたものを挙げることができる。
【0098】
このようなブロック化イソシアネートのうち、本発明に好適に利用できる水分散性ブロック化イソシアネートの市販品としては、例えば、「DM-30」、「DM-60」〔以上、明成化学工業(株)製〕、「エラストロンBN-69」、「エラストロンBN-44」、「エラストロンBN-08」〔以上、第一工業製薬(株)製〕等を挙げることができる。
【0099】
本発明においては、これらイソシアネート誘導体のうち、架橋反応の温度依存性が小ささ、フクレ限界膜厚向上効果の大きさ、及び、得られる塗膜の湿潤耐チッピング性、基材密着性等の改善効果の顕著さ等の観点から、アジリジン化合物を用いるのが好ましい。
【0100】
前記イソシアネート誘導体の配合量は、本発明の水性被覆用組成物中に含有される重合体微粒子〔すなわち、必須成分の合成ゴム系重合体粒子(A)及びアクリル系重合体粒子(B)の合計〕100重量部に基づいて、通常10重量部以下(有効成分として)程度の範囲である。
【0101】
本発明組成物においては、必要に応じてさらに、イソシアネート誘導体以外の適宜の架橋剤を配合することができる。
【0102】
このようなイソシアネート誘導体以外の架橋剤としては、
(イ) 水溶性多価金属塩、例えば、酢酸亜鉛、蟻酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等の亜鉛塩;例えば、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどアルミニウム塩;例えば、酢酸カルシウム、義酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等のカルシウム塩;例えば、酢酸バリウム、塩化バリウム、亜硫酸バリウム等のバリウム塩;酢酸マグネシウム、蟻酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩;例えば、酢酸鉛、蟻酸鉛等の鉛塩;例えば、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル等のニッケル塩;例えば、酢酸マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン等のマンガン塩;例えば、塩化銅、硝酸銅、硫酸銅等の銅塩;など、
【0103】
(ロ) 水溶性エポキシ樹脂、例えば、グリセロールジグリシジルエーテルなど、
【0104】
(ハ) 水溶性メラミン樹脂、例えば、メチロールメラミン;該メチロールメラミンの水酸基の少なくとも1部をメチルアルコール、エチルアルコール、n-ブチルアルコールなどでエーテル化したものなど、
を例示することができる。
【0105】
これらの架橋剤の使用量は、得られる被覆用組成物の粘度の経時変化抑制等の観点から、該組成物中の重合体微粒子100重量部に対して、例えば、0〜10重量部、好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜6重量部の範囲内を例示することができる。
【0106】
本発明の水性被覆用組成物において使用される水性媒体は、前述のエマルジョンに由来するものであり、通常は水であるが、場合によっては、水と水混和性有機溶媒との混合溶媒であってもよい。
【0107】
本発明の水性被覆用組成物は、必須成分として、前記の合成ゴム系重合体粒子(A)及びアクリル系重合体粒子(B)からなる重合体微粒子とともに、無機質充填剤を含有してなるものである。該無機質充填剤は、増量剤、塗膜の硬さの調節、ブリスターの発生防止等の目的で該組成物に配合されるものであり、使用しうる無機質充填剤としては、実質的に水に不溶性ないし難溶性の無機質個体粉末、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、タルク、珪藻土、マイカ、水酸化アルミニウム、ガラス粉、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等を例示することができる。
【0108】
これらの無機質充填剤の配合量は、その種類や被覆用組成物に対して望まれる物性等に応じて広い範囲で変化させることができるが、該組成物中に含有される重合体微粒子の合計100重量部に対して、一般に100〜390重量部、好ましくは120〜380重量部、さらに好ましくは150〜320重量部の範囲内とすることができる。
【0109】
また上記無機質充填剤は、一般に約0.5〜約50μm、特に1〜約30μmの範囲内の平均粒径をもつものであることが望ましい。
【0110】
本発明の被覆用組成物は、必要に応じて、通常の被覆用組成物におけると同様に、防錆顔料、着色顔料、架橋剤等を含有することができる。
【0111】
上記防錆顔料としては、鉛丹;例えば、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、クロム酸ストロンチウムなどのクロム酸金属塩;例えば、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸チタン、リン酸珪素、又は、これら金属のオルトもしくは縮合リン酸塩などのリン酸金属塩;例えば、モリブテン酸亜鉛、モリブテン酸カルシウム、モリブテン酸亜鉛カルシウム、モリブテン酸亜鉛カリウム、リンモリブテン酸亜鉛カリウム、リンモリブテン酸カルシウムカリウムなどのモリブテン酸金属塩;例えば、硼酸カルシウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、メタ硼酸バリウム、メタ硼酸カルシウムなどの硼酸金属塩:等を例示することができる。これらの防錆顔料のうち、リン酸金属塩、モリブテン酸金属塩、硼酸金属塩などの無毒性又は低毒性防錆顔料が好ましい。
【0112】
防錆顔料の配合量としては、被覆用組成物中の重合体微粒子100重量部に対して、例えば、0〜50重量部、好ましくは5〜30重量部の範囲内を例示することができる。
【0113】
また、着色顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機もしくは無機の着色顔料を挙げることができる。これらの着色顔料の配合量は、被覆用組成物中の重合体微粒子100重量部に対して、例えば、0〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の範囲内を例示することができる。
【0114】
なお、これら防錆顔料及び着色顔料の粒径は、得られる被覆用組成物の形成塗膜の平滑さなどの観点から、1〜50μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0115】
本発明の水性被覆用組成物には、さらに必要に応じて、無機質分散剤〔例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等〕、有機質分散剤〔例えば、「ノブコスパース 44C」(商品名、ポリカルボン酸系;サンノブコ(株)製〕などの分散剤;シリコン系などの消泡剤;ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂、界面活性剤系等の増粘剤及び粘性改良剤;エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等の有機溶剤;老化防止剤;防腐剤・防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;等を添加混合することができる。
【0116】
本発明の水性被覆用組成物は、特に限定されるものではないが、一般に、約40〜90重量%、好ましくは約50〜85重量%、特に好ましくは約60〜80重量%の範囲内の固形分を含有し、また、7〜11、好ましくは8〜10の範囲内のpHを有し、且つ約3,000〜100,000mPa・s、好ましくは約5,000〜50,000mPa・sの範囲内の粘度(B型回転粘度計、25℃、20rpmによる)をもつことができる。
【0117】
本発明の水性被覆用組成物を適用することができる基材は、特に限定されず、例えば、鋼板;例えば、鉛−錫合金メッキ鋼板(タンシート鋼板)、錫メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、錫−亜鉛メッキ鋼板、鉛メッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板などの各種メッキ鋼板;電着塗装鋼板などの塗装鋼板:等をあげることができるが、特に最近自動車等の製造に際して、タンシート鋼板が鉛の毒性の観点から問題視されてきており、それに代って使用されているアルミニウムメッキ鋼板、錫−亜鉛メッキ鋼板などに対して、本発明の水性被覆用組成物は特に優れた基材密着性を示す。
【0118】
本発明の被覆用組成物は特に、このような基材を板金プレスなどにより各種形状に成形加工したもの及びこれらを各種自動車部材として溶接したもの、例えば、自動車のガソリンタンク、床裏、タイヤハウス、フロントエプロン、リヤーエプロンなどの車室外の板金加工部材の電着塗装面、中塗塗装面又は上塗塗装面等の被覆用に好適に使用することができる。
【0119】
本発明の被覆用組成物の塗装は、それ自体既知の塗装法、例えば、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等により行うことができるが、一般にエアレス吹き付け塗装が好適である。
【0120】
その際の塗装膜厚は、基材の用途等に応じて異なるが、通常、約200〜800μm、特に約300〜600μmの範囲内が適当である。また、塗膜の乾燥は自然乾燥、加熱乾燥等により行うことができるが、一般には、低温焼付用の水性被覆用組成物の場合には約60〜100℃の温度の加熱炉で焼付けするのが好ましく、また、高温焼付用の水性被覆用組成物の場合には約60〜100℃の温度で予備乾燥した後、約120〜160℃程度の温度の加熱炉で焼付けするのが好都合である。
【0121】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例において用いる試験用サンプルの作成及びその試験方法は次ぎのとおりである。
【0122】
(1) 試験片の作製
新日本製鉄(株)製の0.8×100×200mmのアルミニウムメッキ鋼鈑(以下Al鋼板ということがある)の表面をシンナーにて洗浄した後、各試料をエアレス吹き付け塗装法によって乾燥膜厚が所定の厚さになるように塗装し、室温で10分間放置した後、熱風循環式乾燥器を用いて80℃、15分の予備乾燥した後、120℃、30分間熱処理する。
【0123】
また、アルミニウムメッキ鋼鈑の代わりに同じ形状の錫−亜鉛メッキ鋼鈑(以下Sn/Zn鋼板ということがある)又はタンシート鋼鈑(以下Pb/Sn鋼板ということがある)〔何れも新日本製鉄(株)製〕を用い、同様にして基材密着性試験用の試験片を作製する。
【0124】
(2) エアレススプレー塗工性
前(1)項と同様に処理したAl鋼板に対して、市販のエアレスポンプ及びスプレーガンを用い、塗装ガン手元圧90kg/cm2、吹き付け距離30cmの条件にて吹き付け塗装を行い、得られた塗装幅を以下の基準に従って評価する。
○・・・30cm以上
△・・・25〜30cm
×・・・20cm以下
【0125】
(3) リサイクル性
前(2)項と同様の塗装ガン手元圧及び吹き付け距離を用いて湿時の膜厚が1000μm以上になるように吹き付け塗装し、得られた塗装物を25℃、50%RHの恒温恒湿条件下にて2時間以上放置する。放置後、塗装部分の被覆組成物を掻き落として回収し、脱イオン水にて粘度を調整した後、前(2)項と同様の方法にて吹き付け塗装を行い、同様の評価基準にて塗装幅を評価する。
【0126】
(4) フクレ限界膜厚
前(1)項におけるAl鋼板の吹き付け塗装に当って、乾燥塗膜の厚さを変えて塗装を行い、乾燥時にふくれの生じない最大膜厚を求め、フクレ限界膜厚とする。
【0127】
(5) クラック限界膜厚
前(1)項におけるAl鋼板の吹き付け塗装に当って、乾燥皮膜の厚さを変えて塗装を行い、乾燥時にクラックの生じない最大膜厚を求め、クラック限界膜厚とする。
【0128】
(6) 基材密着性試験
前(1)項において、乾燥膜厚が約300μとなるように塗装して得た3種の試験片を約25℃の恒温条件下に16時間放置した後、クロスカットガイド〔コーテック(株)製〕と事務用カッターを用いて、塗装表面から縦、横それぞれ1mm間隔で基材に達する深さのカット線も入れて1cm2中に 100個のゴバン目を作成する。このゴバン目に 24mm幅のセロファンテープ〔ニチバン(株)製〕を貼付け、手で素早く180゜剥離を行い、塗膜に残存した目の数を数えて塗膜残存目数/100と表示する。
【0129】
(7) 耐チッピング性試験
(7-1) 常態試験
前(1)項において、Al鋼板に乾燥膜厚が約300μとなるように塗装して得た試験片を約25℃の恒温条件下に16時間放置した後、事務用カッターを用いて塗膜表面から基材に達する深さで、長さそれぞれ約5cmの×印のカット線を入れる。
【0130】
試験片は、水平面に対して60゜の角度で立てかけて固定し、その塗面に2mの高さから鉛直方向に25mmφのポリ塩化ビニル製パイプを用いてナット(M-6)をカット線のクロス部めがけて連続して落下させ、基材の素地が露出した時点での落下したナットの総重量で評価する。
【0131】
(7-2) 湿潤試験
前(1)項において、Al鋼板に乾燥膜厚が約300μとなるように塗装して得た試験片を約25℃の恒温条件下に16時間放置した後、約40℃の脱イオン水中に7日間浸漬後取り出して水分をふき取って25℃で3時間放置し、次いで前(5-1)項と同様に×印のカット線を入れて、以下前(5-1)項と同様の方法で耐チッピング性試験を行い同様に評価する。
【0132】
(8) 低温耐衝撃性試験
前(1)項において、Al鋼板に乾燥膜厚が約300μとなるように塗装して得た試験片を約25℃の恒温条件下に16時間放置した後、−30℃の恒温条件下に3時間以上放置したのち同温度でJIS K-5400に準じてデュボン式耐衝撃テストを行う。
【0133】
この時の条件は、試験器に半径6.35±0.03mmの撃ち型と受け型を取り付け、試験片の塗膜面を上向きにしてその間に挟み、質量500±1gの重りを50cmの高さから撃ち型の上に落とし、塗膜面の損傷の度合いを目視により次のような評価基準に従って評価する。
【0134】
◎ ・・・・・・ 全く変化無し
○ ・・・・・・ わずかに微クラック発生
△ ・・・・・・ 微クラック発生多い
× ・・・・・・ 大きなクラック発生
【0135】
〔合成ゴム系重合体エマルジョンの製造〕
製造例A1
攪拌機、温度計及び原料添加装置を備えたオートクレーブに、脱イオン水100重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部、炭酸水素ナトリウム0.2重量部、過硫酸カリウム1.0重量部、t-ドデシルメルカプタン1.0重量部、並びに、ブタジエン(Bd)65重量部、スチレン(St)22重量部、メチルメタクリレート(MMA)5重量部、アクリロニトリル(AN)5重量部及びアクリル酸(AA)3重量部からなる単量体を仕込んで十分に攪拌した後、65℃にて重合を行った。重合終了後、この重合体エマルジョンを水酸化ナトリウム水溶液にてpH6前後に調整し、水蒸気蒸留により未反応単量体等を除去・回収した後、固形分50重量%に調整して、pH6.1、粘度500mPa・s(B型粘度計、25℃、20rpmにて測定。以下同様)、平均粒子径160nmの合成ゴム系重合体エマルジョンを得た。この合成ゴム系重合体粒子のTgは−40℃、ゲル含有量は85重量%であった。
【0136】
製造例A2
製造例A1において、t-ドデシルメルカプタンを1.5重量部とする以外は製造例A1と同様にして合成ゴム系重合体エマルジョンを得た。得られた合成ゴム系重合体エマルジョンの性状すなわちpH、粘度及び粒子径、並びに重合体粒子のTg及びゲル含有量を表1に示す。
【0137】
製造例A3〜A5
製造例A1において、単量体としてBd 65重量部及びSt 22重量部用いる代わりに、表1に示すように単量体組成を変えてTgを変える以外は製造例A1と同様にして合成ゴム系重合体エマルジョンを得た。得られた合成ゴム系重合体エマルジョンの性状並びに、重合体粒子のTg及びゲル含有量を表1に示す。
【0138】
製造例A6〜A8
製造例A1において、単量体としてBd 65重量部、St 22重量部、MMA5重量部、AN5重量部及びAA3重量部用いる代わりに、表1に示すように単量体組成を変える以外は製造例A1と同様にして合成ゴム系重合体エマルジョンを得た。得られた合成ゴム系重合体エマルジョンの性状並びに、重合体粒子のTg及びゲル含有量を表1に示す。
【0139】
なお表1における単量体の略号は以下のとおりである。
Bd:ブタジエン
St:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
AN:アクリロニトリル
AA:アクリル酸
IA:イタコン酸
【0140】
【表1】
【0141】
〔アクリル系重合体エマルジョンの製造〕
製造例B1
攪拌機、還流冷却器、温度計及び原料添加装置を備えた反応容器に、脱イオン水94重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートのアンモニウム塩1.0重量部を仕込み、窒素を流しながら70℃に昇温した。次いでこの反応容器に、単量体組成が、2-エチルヘキシルアクリレート(HEA)75重量部、アクリル酸(AA)2重量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)4重量部、St 10重量部及びMMA9重量部からなる単量体混合物100重量部並びに、過硫酸アンモニウムの5重量%水溶液6重量部とを3時間にわたり連続添加し、その後同温度で2時間保持した後、約25重量%のアンモニア水を適量添加して、固形分約50重量%、pH7.0、粘度680mPa・s、平均粒子径180nmのアクリル系重合体エマルジョンを得た。このアクリル系重合体粒子のTgは−50℃、ゲル含有量は85重量%であった。
【0142】
製造例B2
製造例B1において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを増量する以外は製造例B1と同様にして、固形分約50重量%、pH6.8、粘度2510mPa・s、平均粒子径(120)nmのアクリル系重合体エマルジョンを得た。このアクリル系重合体粒子のTgは−50℃、ゲル含有量は85重量%であった。
【0143】
製造例B3〜B4
製造例B1において、5重量%過硫酸アンモニウム水溶液の使用量を増やす以外は製造例B1と同様にして、ゲル含有量の異なるアクリル系重合体エマルジョンを得た。得られたアクリル系重合体エマルジョンの固形分、pH、粘度及び平均粒子径、並びにアクリル系重合体のTg及びゲル含有量を表2に示す。
【0144】
製造例B5〜B9
製造例B1において、HEA 75重量部、AA2重量部、HEMA4重量部、St 10重量部及びMMA9重量部からなる単量体混合物を用いる代わりに、表2に示すような単量体組成を変える以外は製造例B1と同様にして、Tgの異なるアクリル系重合体エマルジョンを得た。得られたアクリル系重合体エマルジョンの固形分、pH、粘度及び平均粒子径、並びにアクリル系重合体のTg及びゲル含有量を表2に示す。
【0145】
製造例B10〜B11
製造例B1において、AA2重量部を用いる代わりに、AA 0.1重量部又は8重量部を用い、それに伴ってEHA、MMA及びStの使用量をそれぞれ加減する以外は製造例B1と同様にして、Tgが約−50℃のアクリル系重合体エマルジョンを得た。得られたアクリル系重合体エマルジョンの固形分、pH、粘度及び平均粒子径、並びにアクリル系重合体のTg及びゲル含有量を表2に示す。
【0146】
製造例B12〜B13
製造例B1において、HEMA4重量部を用いる代わりに、HEMA1重量部又は15重量部を用い、それに伴ってEHA、MMA及びStの使用量をそれぞれ加減する以外は製造例B1と同様にして、Tgが約−50℃のアクリル系重合体エマルジョンを得た。得られたアクリル系重合体エマルジョンの固形分、pH、粘度及び平均粒子径、並びにアクリル系重合体のTg及びゲル含有量を表2に示す。
【0147】
【表2】
【0148】
〔水性被覆用組成物の作製〕
実施例1
合成ゴム系重合体エマルジョン(A)として、製造例A1で製造した合成ゴム系重合体エマルジョン140重量部(固形分で約70重量部)を用い、且つ、アクリル系重合体エマルジョン(B)として製造例B1で製造したアクリル系重合体エマルジョン60重量部(固形分で約30重量部)を用い、これに、分散剤として「ノプコスパース44C」〔サンノプコ(株)製、ポリカルボン酸系分散剤〕2.0重量部(固形分約0.88重量部)、無機質充填剤として粉末炭酸カルシウム〔商品名「SL-700」、平均粒径 4.5μ、竹原化学工業(株)製〕215重量部、防錆顔料としてメタ硼酸バリウム15重量部、着色顔料としてカーボンブラック3重量部を、ディスパーを用いて均一に分散させ、次いで、増粘剤として「アデカノールUH-472」〔(商品名)、旭電化工業(株)製〕2重量部を加え、更に攪拌した。最後に粘度が20,000〜25,000mPa・sになるように「アデカノールUH-472」と脱イオン水にて調整し、PWCが70重量%で固形分が75.5重量%の水性被覆用組成物を作製した。
【0149】
得られた水性被覆用組成物を用いて各種物性試験を行った。該被覆用組成物の配合組成及び特性値を表3に、各種物性試験の測定結果を表4に示す。
【0150】
実施例2〜3及び比較例1〜2
実施例1において、製造例A1で製造した合成ゴム系重合体エマルジョンと、製造例B1で製造したアクリル系重合体エマルジョンとの使用割合を変え、又は該アクリル系重合体エマルジョンを用いない以外は実施例1と同様にして、水性被覆用組成物を作製し、各種物性試験を行った。該被覆用組成物の配合組成及び特性値を表3に、各種物性試験の測定結果を表4に示す。
【0151】
実施例4〜9及び比較例3
実施例1において、製造例A1で製造した合成ゴム系重合体エマルジョンを用いる代りに、製造例A2〜A8で製造した合成ゴム系重合体エマルジョンを用いる以外は実施例1と同様にして、水性被覆用組成物を作製し、各種物性試験を行った。該被覆用組成物の配合組成及び特性値を表3に、各種物性試験の測定結果を表4に示す。
【0152】
実施例10〜18及び比較例4〜6
実施例1において、製造例B1で製造したアクリル系重合体エマルジョンを用いる代りに、製造例B2〜B13で製造したアクリル系重合体エマルジョンを用いる以外は実施例1と同様にして、水性被覆用組成物を作製し、各種物性試験を行った。該被覆用組成物の配合組成及び特性値を表3に、各種物性試験の測定結果を表4に示す。
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】
【発明の効果】
本発明の水性被覆用組成物は、例えば、マスチック塗料、防音塗料、防振塗料、コーキング材等の水性被覆用組成物、中でも、車輌類、特に自動車のシャーシー、ガソリンタンク、サスペンション等の室外金属加工部材を保護するための被覆材として使用される耐チッピング用水性被覆用組成物であって、ビヒクル成分として−50℃〜−30℃のガラス転移温度を有する合成ゴム系重合体粒子(A)を主成分とし、これに−60℃〜−40℃のガラス転移温度を有するアクリル系重合体粒子(B)を副次量含有させてなるものである。
【0156】
本発明の水性被覆用組成物は、このように構成されることによって、優れたエアレススプレー塗工性を有しており、一回の塗工で、比較的厚い塗膜、例えば600μm以上などの厚い塗膜を形成するときにも、その乾燥工程で該塗膜にフクレやクラックを生ずることが無く、且つ、形成された塗膜が、例えば300μm程度の、この種塗膜としては比較的薄い場合にも優れた耐チッピング性を有する。また最近、金属基材として従来から使用されてきた鉛−錫合金鋼鈑が、鉛の環境上の問題から敬遠されるようになっており、これに代わる鉛フリーの基材、例えばアルミメッキ鋼鈑及び錫−亜鉛メッキ鋼鈑等の基材は、従来の鉛−錫合金鋼板に比較して塗膜の密着性が不十分となりがちであるが、本発明の水性被覆用組成物による塗膜は、これらの新規な基材に対する密着性が優れている。
【0157】
さらに本発明の水性被覆用組成物は、一度塗装に用いた後の残液を廃棄することなく、新規な水性組成物をつぎ足してリサイクル使用することができるという卓越した特性を有している。

Claims (11)

  1. 水性媒体中に分散された重合体微粒子と無機質充填剤とを含有してなる水性被覆用組成物であって、該重合体微粒子が、(A) 共役ジオレフィン単量体に由来する繰返し単位を50〜90重量%含有するガラス転移温度が−50℃〜−30℃の合成ゴム系重合体粒子 50〜90重量%、及び(B) ゲル含有量が80重量%以下であって、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルに由来する繰り返し単位を50重量%以上含有するガラス転移温度が−60℃〜−40℃のアクリル系重合体粒子10〜50重量%、を含有してなることを特徴とする耐チッピング用水性被覆用組成物。
  2. 合成ゴム系重合体粒子が、下記単量体(a1)〜(a4) (a1) 共役ジオレフィン系単量体、 (a2) メタクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体、並びに、必要に応じて、 (a3) 分子内にカルボキシル基を有する単量体、及び、さらに必要に応じて、 (a4) 単量体(a1)〜(a3)と共重合可能で該単量体(a1)〜(a3)以外の単量体、を加圧下に水性乳化重合してなるものである請求項1に記載の耐チッピング用水性被覆用組成物。
  3. 共役ジオレフィン単量体がブタジエンである請求項1又は2に記載の水性被覆用組成物。
  4. メタクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体(a2)が、メチルメタクリレート、アクリロニトリル及び/又はスチレンである請求項2に記載の耐チッピング用水性被覆用組成物。
  5. メタクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体(a2)の共重合量が、合成ゴム系重合体粒子の重量100重量%に基づいて合計で10〜50重量%の範囲である請求項2又は4に記載の耐チッピング用水性被覆組成物。
  6. メタクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体(a2)が、メチルメタクリレート、アクリロニトリル及びスチレンから選ばれる少なくとも2種の単量体を含む請求項2、4又は5に記載の耐チッピング用水性被覆用組成物。
  7. 分子内にカルボキシル基を有する単量体(a3)の共重合量が、合成ゴム系重合体粒子の重量100重量%に基づいて0.3〜10重量%の範囲である請求項2に記載の耐チッピング用水性被覆用組成物。
  8. 合成ゴム系重合体粒子のゲル含有量が70〜95重量%の範囲である請求項1又は2に記載の耐チッピング用水性被覆組成物。
  9. 合成ゴム系重合体粒子の粒子径が100〜300nmの範囲である請求項1又は2に記載の耐チッピング用水性被覆用組成物。
  10. アクリル系重合体粒子が、下記単量体(b1)〜(b4)、 (b1) 下記一般式(1)、 H2C=CR1HCOOR2 (1) (ここでR1は、H又はメチル基を表し、R2は、炭素数4〜10の直鎖又は分枝鎖アルキル基を表す)で示され、その単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃以下であるアクリル酸エステル 50〜90重量%、 (b2) 分子内にカルボキシル基を有する単量体 0.3〜10重量%、 (b3) 分子内にヒドロキシル基を有する単量体 1.5〜15重量%、 (b4) 上記単量体(b1)〜(b3)と共重合可能で、該単量体(b1)〜(b3)以外の共単量体 8.2〜48.2重量%、〔但し、単量体(b1)〜(b4)の合計を100重量%とする〕を水性乳化重合してなるものである請求項1に記載の耐チッピング用水性被覆用組成物。
  11. アクリル系重合体粒子の粒子径が1000nm以下の範囲である請求項1又は10に記載の耐チッピング用水性被覆用組成物。
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