JP4208292B2 - アルコキシエチルトラン化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学的表示材料として新規なアルコキシエチルトラン化合物、詳しくは、低粘度で、高温域を含む広い範囲で液晶相を示し、液晶材料の屈折率の異方性を大きくするのに有用である新規なアルコキシエチルトラン化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
液晶の電気光学的効果を利用した液晶表示素子の普及につれ、これらの用途に適した特性を有する液晶材料が求められている。液晶表示素子に用いられる液晶材料に要求される特性としては次に示す(1)〜(5)などがある。
【0003】
(1)液晶の物理的、化学的安定性が大きいこと。
(2)室温を含む広い温度範囲で液晶相を示すこと。
(3)広い温度範囲で応答性がよいこと。
(4)駆動回路との整合性がよいこと。
(5)光学的異方性が光学的要請にかなった値であること。
【0004】
このような特性を全て満足する単一の液晶化合物は現在のところ知られておらず、数種類の液晶化合物を混合した液晶組成物として上記の諸物性を満足させようとしているのが現状である。
【0005】
現在、STN型液晶セルはグリーンまたはブルーモードより白黒、フルカラー化へ向けて開発が進められており、それと併行して動画対応への高速応答化の検討が進められている。高速対応としては、従来、強誘電性液晶が研究されているが、STN型液晶セルの層の厚さをより薄くすることにより、高速対応が期待できる。その場合、セルに充填される液晶材料の屈折率の異方性(以下、「Δn」ということもある)の大きな液晶材料が必要となり、各種の検討が進められてきた。
【0006】
また、液晶化合物は、低温側から、結晶相(C)から場合によってスメクチック相(S)を経由してネマチック相(N)となり、さらに高温で等方性液体相(I)を示すが、ここでスメクチック相(S)とネマチック相(N)のときに液晶状態である。液晶化合物を含有する液晶材料は室温をを含む広い温度範囲で液晶相を示すことが必要であり、この液晶温度範囲が広いことは、広範な使用環境において良好な表示が得られることを意味するものである。よって、CN点が低く、NI点の高いものが好ましい。特に、高温となる使用環境で使用される場合にはNI点は高温側における表示に影響するため、NI点の高い液晶材料が必要となるが、一般的にNI点の高い液晶材料はCN点も高い傾向にある。よって、このCN点があまりにも高い液晶材料は液晶組成物に混合した場合にその液晶温度範囲を小さくするため好ましくない。このため、ネマチック液晶材料に混合して、高いΔnを与え、さらにCN点をあげることなくNI点を与える化合物が求められてきた。
従来知られている液晶組成物は、液晶相を示す温度範囲が適当でない場合が多く、特に高温域における特性が不充分なものが多かった。
【0007】
例えば、特開昭61−140535号、特開平2−104549号公報および特開平2−311441号公報には、それぞれトラン誘導体化合物が提案されているが、いずれもNI点は高いが、それにつれてCN点も高く、未だ満足のいく化合物ではなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、高いΔnを示し、広い範囲で液晶相を示す新規な液晶材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の新規なアルコキシアルキルトラン化合物が、低粘度で、特に高温域を含む広い温度範囲で液晶相を示し、しかも液晶材料の屈折率の異方性を大きくするのに有用であることを見出し、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、下記の式で表されるアルコキシエチルトラン化合物(以下、三環トラン化合物(1)ということもある)を提供するものである。
【0011】
【化2】
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアルコキシエチルトラン化合物について詳述する。
【0016】
また、本発明の三環トラン化合物(1)は、例えば、次の製造方法(下記〔化4〕に示す化学反応式参照)に従って製造することができる。
【0017】
【化4】
【0018】
即ち、上記第一段階では、式(2)で表される化合物を、酢酸溶液中でヨウ素とヨウ素酸とを反応させて、式(3)で表される化合物を得る。
次に、上記第二段階では、第一段階の反応で得られた式(3)で表される化合物を溶媒中でビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド及びヨウ化銅の如き触媒を用いて式(4)で表される化合物と反応させて、三環トラン化合物(1)を得る。
【0019】
本発明の三環トラン化合物(1)は、単独で液晶材料としても用いられるが、従来既知の液晶化合物もしくは液晶類似化合物またはそれらの混合物(母液晶)に配合することによって液晶組成物としても用いられる。該母液晶としては、例えば、下記〔化5〕の一般式(A) で表される化合物またはこれらの混合物があげられる。
【0020】
【化5】
【0021】
従って、上記一般式(A)で表される化合物の具体例としては、下記〔化6〕の各化合物などがあげられる。尚、各化合物におけるY1、Y2およびY3は、上記一般式(A)におけるものと同じ意味である。
【0022】
【化6】
【0023】
上記〔化6〕に示す各化合物の中でも、特性の良好な液晶組成物を得るためには、Y2がシアノ基である化合物(シアノベンゼン化合物)またはY2がシアノ基である化合物の2種以上を含む混合物を用いることが好ましく、特に、下記〔化7〕の式(B)で表されるシアノベンゼン化合物または該シアノベンゼン化合物の2種以上を含む混合物を用いることが好ましい。
【0024】
【化7】
【0025】
本発明の三環トラン化合物(1)を上記液晶組成物に用いる場合、本発明の三環トラン化合物(1)の含有量は特に制限を受けないが、一般的には全液晶組成物100重量部中、1〜80重量部、特に、3〜50重量部となるように用いることが好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではない。
【0027】
実施例1
化合物(5)(下記〔化8〕に示す化合物)の合成
【0028】
【化8】
【0029】
4−(2−メトキシエチル)ヨウドベンゼンの合成:
2−フェニルエチルメチルエーテル13.6g(0.1mol)、ヨウ素13.1g(52mmol)、ヨウ素酸4.6g(26mol)、酢酸50ml、濃硫酸1g、水2g、四塩化炭素2gを反応フラスコに仕込み、85℃で3時間反応させた。冷却後、チオ硫酸ナトリウム水溶液100mlを加えた後に、ジエチルエーテル100mlで2回抽出した。取り出したジエチルエーテル層を1%水酸化ナトリウム水溶液100mlで洗浄した後に、水100mlで2回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、脱溶媒し、減圧蒸留することにより目的の4−(2−メトキシエチル)ヨウドベンゼンを11.9g得た。
【0030】
化合物(5)の合成:
良く乾燥させ、アルゴン置換した反応フラスコに、 の反応で得られた4−(2−メトキシエチル)ヨウドベンゼン1.31g(5mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド10.5mg、ヨウ化銅9.5mg、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7を0.837gおよびキシレン3.6gを仕込み、攪拌しているところに、水冷下にて、4−(4−n−プロピルシクロヘキシル)フェニルアセチレン1.18g(5.25mmol)をキシレン1.0gに溶解させた溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で3時間攪拌し、析出物をろ過後脱溶媒した。残留物を酢酸エチル/ヘキサン=1/9を展開溶媒とするシリカゲルカラムを使用して精製を行った後に、n−ヘキサンで再結晶することによって目的物である化合物(白色粉末)を0.4g(収率;20%)得た。
【0031】
尚、IR,1H−NMR測定により得られた生成物の同定を行った。
IR(cm−1)の特性吸収の測定結果は以下の通りであった。
2910、2850、2210、1515、1440、1380、1190、1105、830
また、1H−NMR(ppm)測定の結果は以下の通りであった。
0.8−2.3(m、17H)
2.9(t、2H)
3.3(s、3H)
3.6(t、2H)
7.1−7.5(m、8H)
【0032】
上記測定結果より、本発明の目的物であると同定した。また、相転移温度は、融点(CN点)が80.4℃、透明点(NI点)が188.8℃であった。
【0033】
液晶材料として市販液晶Aを母液晶とし、実施例1により得られた化合物(5)を10%添加したときの液晶組成物の物性を測定した。それらの結果より算出した外挿値は、 Δn(25℃)が0.280、粘度(20℃)が48.5cpとなった。
【0034】
尚、上記市販液晶Aは、下記〔化9〕の組成を有する4−n−アルキルシクロヘキサンカルボン酸アルコキシフェニルエステル系の組成物である。
【0035】
【化9】
【0036】
従って、本発明の化合物(5)は低粘度でかつΔnが大きい優れた物性を有する化合物であることが確認できた。
さらに、他の公知なトラン化合物と比較してみると、透明点(NI点)は同等に高いが、ネマチック相を示す温度が本発明の化合物は低く、液晶材料として広い温度範囲で液晶相を示すことが確認できた。比較のために他の公知なトラン化合物(7)の物性を下記〔化10〕に示す。
【0037】
【化10】
【0038】
以上の結果から明らかな如く、新規化合物である本発明のアルコキシエチルトラン化合物は、他の公知化合物と比較して、低粘度で広い範囲で液晶材料として利用出来、ネマチック液晶材料に混合することによって屈折率の異方性を大きくするのに有用であることが判る。
【0039】
【発明の効果】
本発明のアルコキシエチルトラン化合物は、新規な液晶化合物であり、低粘度で、高温域を含む広い範囲で液晶相を示し、しかも液晶材料の屈折率の異方性を大きくするのに有用なものである。
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JP19147798A Expired - Lifetime JP4208292B2 (ja) | 1998-07-07 | 1998-07-07 | アルコキシエチルトラン化合物 |
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1998
- 1998-07-07 JP JP19147798A patent/JP4208292B2/ja not_active Expired - Lifetime
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