JP4207379B2 - 偏光板保護フィルム及びその製造方法並びに偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に用いる偏光板用保護フィルムの製造方法及び偏光板保護フィルム、このフィルムを用いた偏光板、更にはこの偏光板を用いたバーティカルアライメント(VA)型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶型表示装置は、低電圧、低消費電力で、IC回路への直結が可能であり、そして、特に薄型化が可能であることから、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等の表示装置として広く採用されている。この液晶表示装置は、基本的な構成としては、例えば液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。
【0003】
この様な液晶表示装置においては、コントラスト等の観点から、ツイスト角が90度のツイステッドネマティック(TN)を用いた液晶表示装置からツイスト角が160度以上のスーパーツイステッドネマティック(STN)を用いた液晶表示装置に移行してきている。
【0004】
しかし、STNを用いた液晶表示装置は、液晶の複屈折を利用したものであることから、TNを用いた液晶表示装置におけるノーマリーホワイトでは白だった背景が青色或いは黄色に着色する問題があり、このため、白黒表示ではコントラスト、視野角が狭く、また、カラー化が困難という問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、即ち複屈折分を補償するため、上記の偏光板の下に位相差板を用いる技術が提案された。この技術によれば、前記着色の問題は解決されるものの、視野角については殆ど改善されていない。
この問題を解決するため、厚さ方向の屈折率が複屈折の光軸に垂直な方向の屈折率よりも大きな複屈折フィルムを作製し、これを位相差板として用いる技術が提案された。更には、固有複屈折値が正と負のフィルムを各々一枚ずつ、或いは積層したものを位相差板として用いる技術が提案された。
【0006】
また、特開平7−218724号公報に示される如く、偏光子の少なくとも一面にある偏光板用保護フィルムのレターデーション値が波長590nmの光で測定した面内の値として30〜70nmのトリアセチルセルロースを用いた偏光板が提案された。
【0007】
これら提案の技術によって、視野角によるコントラストの変化が小さくなり、視野角特性が向上したが、しかしながら、低電圧、低消費電力、薄型化の上で他の表示装置にはない大きな特徴を有する液晶表示装置における最大の問題としての視野角が狭いという問題の改善にまでは至らず、更に視野角を広くしたいという要求はますます強まる一方であり、更なる開発が進められている。
【0008】
この様な開発の一つとして、TNやSTNタイプとは異なるタイプの液晶が提案されるに至った。即ち、TNやSTNタイプの液晶セルは電圧オフ時に、液晶分子が配向板に平行で、電圧オン時に、液晶分子が配向板に垂直に配向するタイプの液晶であるのに対し、電圧のオフ時に、液晶分子が配向板に垂直で、電圧オン時に配向板に平行となるタイプ、例えば、負の誘電異方性のネガ型液晶を用いた、いわゆる、バーティカルアライメント型のものが開発されるに至った。この様なバーティカルアライメント型液晶表示装置は、例えば特開平2−176625号公報に開示されている。このバーティカルアライメント(VerticalAlignment、略してVA、以降VAと表示することがある)型液晶表示装置は、液晶分子が電圧オフ時に配向板に垂直で、電圧オン時に配向板に平行に配向させる、いわゆる垂直配向モードの液晶セルであることから、黒がしっかり黒として表示され、コントラストが高く、TNやSTN型のものに比べて、視野角が比較的広いという特徴を持っている。
【0009】
しかしながら、液晶画面が大きくなるに従って、更に視野角を広げたいという要望が高まっている。
【0010】
ところで、偏光子を保護する目的で、偏光子の少なくとも1面に保護フィルムを貼り合わせて偏光板を形成することが行われている。この保護フィルムを偏光板用保護フィルムというが、この偏光板用保護フィルムには、従来から、その優れた光学的等方性や透明性からセルローストリアセテートフィルムが使用されている。ところがセルローストリアセテートフィルムでは、厚み方向のレターデーション値を大きくするには上限があり、視野角を大きくすることが難しく、更に大きな厚み方向のレターデーション値を得るためには、フィルムの厚みを厚くする必要があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、昨今では、液晶表示装置も携帯性が要求されており、小型化、特に薄くすることが求められており、バーティカルアライメント型液晶表示装置の視野角を更に向上させることが可能で、フィルムの厚さが薄くとも厚さ方向のレターデーション値が大きい偏光板用保護フィルムを開発することが求められている。
【0012】
本発明は上記の如き事情に鑑みなされたものであって、その目的は、厚さ方向のレターデーションが大きく、従来より薄膜化が可能な偏光板用保護フィルムを提供し、それを用いた偏光板と視野角が非常に広いVA型液晶表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来検討されてきた様な面内のレターデーション値ではなく、面方向と厚み方向の異方性を表す値である厚み方向のレターデーション値(Rt値:下記式)に注目し、厚み方向のレターデーションを大きくする方法について検討した結果、本発明に到達した。
【0014】
本発明は以下の構成からなる。
1.セルロースエステルを有機溶媒に溶解させた溶液を、支持体上に流延し溶媒を蒸発させてフィルムを形成することにより得られるセルロースエステルを含む偏光板保護フィルムの製造方法であって、該セルロースエステルが下記(1)から(5)を満たすセルロースエステルであり、且つ厚み方向のレターデーション値(Rt:ディメンションはnm)は、
Rt=〔{(nx+ny)/2}−nz〕×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)で表され、該レターデーションが100〜200nmの範囲であることを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
(1)アセチル基の置換度:1.75から1.95
(2)プロピオニル基の置換度:0.61から0.76
(3)アルカリ土類金属の含有量:1から50ppm
(4)残留硫酸量(硫黄元素の含有量として):1から50ppm
(5)遊離酸量:1から100ppm
【0017】
2.有機溶媒が非塩素系有機溶媒であることを特徴とする上記1に記載の偏光板保護フィルムの製造方法。
【0018】
3.非塩素系有機溶媒が酢酸メチルまたはアセトンを含有する有機溶媒であることを特徴とする上記2に記載の偏光板保護フィルムの製造方法。
【0019】
4.上記1〜3のいずれかに記載の方法で製造された偏光板保護フィルム。
【0020】
5.上記4に記載の偏光板保護フィルムを偏光膜の少なくとも1方の面に貼り合わせたことを特徴とする偏光板。
【0021】
6.上記5に記載の偏光板を用いたことを特徴とするバーティカルアライメント(VA)型液晶表示装置。
尚、面内のレタデーション値(Ro値:単位はnm)は、
Ro={(nx−ny)}×d
で表される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明の偏光板保護フィルムに用いられるセルロースエステルは、アセチル基の置換度が1.75から1.95の範囲で、プロピオニル基の置換度が0.61から0.76の範囲であるセルロースアセテートプロピオネートである。このようなセルロースアセテートプロピオネートはセルロースの水酸基を無水酢酸及び/または無水プロピオン酸を用いて常法の反応によりアセチル基及び/またはプロピオニル基を上記の範囲内に置換することで得られる。アセチル基及びプロピオニル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96により測定することができる。
【0023】
本発明のセルロースエステル中のアルカリ土類金属量は、1から50ppmの範囲である。更に1から30ppmの範囲が好ましい。
本発明のセルロースエステル中の残留硫酸量は、1から50ppmの範囲である。更に1から30ppmの範囲が好ましい。
本発明のセルロースエステル中の遊離酸量は、1から100ppmの範囲である。更に1から70ppmの範囲が好ましい。
【0024】
セルロースエステル中のアルカリ土類金属量、残留硫酸量及び遊離酸量を上記の範囲とすることで、寸法変化、機械強度、透明性、耐透湿性、Rt値、Ro値が良好なフィルムを得ることができる。
【0025】
セルロースエステルの極限粘度(IV)は、偏光板用保護フィルムとして好ましい機械的強度を得るためには、1.50から1.75g/cm3が好ましく、更に1.53から1.63の範囲が好ましい。
【0026】
セルロースエステルの水分量は、得られるフィルムの高い透明性を得る点から0.01から2.0質量%であることが好ましく更に0.01から1.5質量%であることが好ましい。
これらの特性値はASTM−D817−96により測定することができる。
このようなセルロースエステルの合成方法は、特に限定はないが、例えば、特開平10−45804号公報に記載の方法で合成することができる。
【0027】
次に、溶液流延製膜方法によるセルロースエステルフィルムの製造方法について述べる。
【0028】
本発明のセルロースエステルフィルムに使用するセルロースエステルの原料となるセルロースは特に限定はなく綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを用いることができる。これらを混合して使用してもよい。ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く使用した方が生産性効率が高く好ましい。綿花リンターから合成されたセルロースエステルの比率は60質量%以上で剥離性の効果が顕著になるため、60質量%以上が好ましく、より好ましくは85質量%以上、更には、単独で使用することが最も好ましい。本発明に使用するセルロースエステルについては、アセチル基及びプロピオニル基の置換度などは前述の通りである。
【0029】
先ず、セルロースエステルを溶解し得る有機溶媒に溶解してドープを形成する。セルロースエステルのフレークと有機溶媒を混合し、攪拌しながら溶解し、ドープを形成する。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号、同9−95557号または同9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35質量%程度が好ましい。
【0030】
セルロースエステルを溶解し得る有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、アセト酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、塩化メチレン等を挙げることができる。塩化メチレンのような塩素系有機溶媒は、昨今の厳しい環境問題の中では、使用を見合わせた方が良い場合もあり、非塩素系の有機溶媒の方が好ましい。中でも酢酸メチル、アセトンが好ましく使用できる。また、これらの有機溶媒に、メタノール、エタノール、ブタノール等の低級アルコールを併用すると、セルロースエステルの有機溶媒への溶解性が向上したりドープ粘度を低減できるので好ましい。特に沸点が低く、毒性の少ないエタノールが好ましい。
【0031】
ドープ中には、フタル酸エステル、リン酸エステルなどの可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤などの添加剤を加えてもよい。
【0032】
本発明において、セルロースエステルフィルム中に可塑剤を含有させることが好ましい。用いることのできる可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好ましい。可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい、セルロースエステルに用いる場合、リン酸エステル系の可塑剤の使用比率は50%以下が、セルロースエステルフィルムの加水分解を引き起こしにくく、耐久性に優れるため好ましい。リン酸エステル系の可塑剤比率は少ない方がさらに好ましく、フタル酸エステル系やグリコール酸エステル系の可塑剤だけを使用することが特に好ましい。
【0033】
また、本発明において、セルロースエステルフィルム中に紫外線吸収剤を含有させることが好ましく、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。特に、波長370nmでの透過率が、10質量%以下である必要があり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。用いられるものとしては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に溶解してから添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。本発明において、紫外線吸収剤の使用量はセルロースエステルに対し、0.1〜5.0質量%、好ましくは、0.5〜2.0質量%、より好ましくは0.8〜2.0質量%である。
【0034】
更に、本発明のセルロースエステルフィルム中には、酸化防止剤を含有させることが好ましく、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0035】
また本発明において、セルロースエステルフィルム中に、取扱性を向上させる為、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲で、その含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.3質量%が好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子には有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられ、表面にメチル基が存在するような処理が好ましい。微粒子の平均粒径が大きい法がマット効果は大きく、平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜14nmである。これらの微粒子はフィルム中では、通常、凝集体として存在しフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好ましい。二酸化ケイ素の微粒子としてはアエロジル社製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはAEROSIL R972、R972V、R974、R202、R812である。これらのマット剤は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なるマット剤、例えばAEROSIL 200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使用できる。
【0036】
溶液流延製膜方法は、上記のドープを濾過して、定量ポンプでダイに送り、表面研磨されているステンレスベルトあるいは金属ドラム上にダイからドープを流延し、その金属支持体上で、有機溶媒を蒸発あるいは冷却して固化させて、金属支持体が一周する前にウェブを剥離し、乾燥工程で乾燥してフィルムを形成させるものである。
【0037】
ウェブを金属支持体から剥離するまでの工程において、レターデーション値(Rt値)を増加させる手段としては、剥離時の残留溶媒量を少なくすることがよく、残留溶媒量5〜100質量%が好ましく、より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜45質量%である。
【0038】
なお、残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0039】
剥離する際、剥離張力をできるだけ低くするようにコントロールすることもレターデーション値(Rt値)を増加させるのに効果があり、剥離張力を50〜390N/m程度にすることが好ましく、より好ましくは、100〜300N/m、更に好ましくは、100〜250N/mである。
【0040】
乾燥工程では、剥離したウェブをロール搬送乾燥機及び/またはテンター乾燥機に通し乾燥し、最終的にフィルムの残留溶媒量を2質量%以下にするが、好ましくは0.4質量%以下である。テンターで乾燥する際には、乾燥によってウェブが収縮するのをクリップで幅を保持する程度にクリップ間の張力を掛ければよいが、延伸倍率を大きくすると、レターデーション値(Rt値)を増加させる場合もあり、延伸してもよい。延伸する場合、延伸倍率は2〜50%が好ましい。なお、この場合面内レタデーション値(Ro値)を20nm以下とするように延伸条件をコントロールすることが好ましい。
【0041】
また、ロール搬送による乾燥工程においても、搬送張力をコントロールすることによりレターデーション値(Rt値)を増加させることができ、搬送張力を低くすることによって増加させることができる。搬送張力としては50〜200N/mの範囲とするのが好ましく、より好ましくは、75〜150N/m、更に好ましくは、75〜120N/mである。
【0042】
本発明のセルロースエステルフィルムは、前記式で表される厚み方向のレターデーション値(Rt値)の絶対値として、100〜200nmである。
【0043】
本発明のセルロースエステルフィルムの厚み方向のレターデーション値は、大きければ大きいほどよく、薄いフィルムでも視野角が広く、形態によっては薄いフィルムを使用する液晶画像表示装置もあり、これらにも本発明の偏光板用保護フィルムを使用することができる。またVA型液晶画像表示装置のように特に広い視野角を要求される場合には本発明のセルロースエステルフィルムの厚さを若干増して視野角を更に広くすることができる。
【0044】
また、本発明の偏光板板用保護フィルムは、その厚さが40〜165μmであることが好ましく、更に60〜165μmが好ましく、VA型液晶画像表示装置用にはより好ましくは75〜140μmである。
【0045】
上記の如く製造された本発明のセルロースエステルフィルムは偏光板用保護フィルムとして偏光板に好ましく用いられる。偏光板は前述の如く、偏光子の少なくとも一面に偏光板用保護フィルムを貼り合わせ積層することによって形成される。偏光子は従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如きの親水性ポリマーフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して延伸したものである。セルロースエステルフィルムと偏光子との貼り合わせは、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行うことができる。本発明においては、この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。
【0046】
このようにして得られた偏光板は、種々の液晶表示装置に使用できるが、本発明の偏光板用保護フィルムのセルロースエステルフィルムは高いレターデーション値が得られることからVA型液晶表示装置に特に有用である。
【0047】
本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板を、VA型液晶セルの一面側または両面側に設けることにより、VA型液晶表示装置を得ることができる。偏光板用保護フィルムのセルロースエステルフィルムの厚み方向のレターデーション値を上記の範囲とすることにより、本発明のVA型液晶表示装置は視野角の広い特性を有することができる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0049】
実施例1
アセチル基の置換度1.75プロピオニル基の置換度0.63、アルカリ土類金属量6ppm、残留硫酸量(硫黄元素として)16ppm、遊離酸量20ppm、極限粘度1.53、水分率0.1質量%を含有するセルロースアセテートプロピオネート(平均粒径1500μm)100質量部、エチルフタリルエチルグリコレート2質量部、トリフェニルフォスフェイト10質量部、塩化メチレン295質量部、エタノール56質量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり攪拌しながら徐々に昇温し、60分かけて45℃まで上げ溶解した。容器内は1.2気圧となった。このドープを安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、24時間静置しドープ中の泡を除いた。また、これとは別に、上記セルロースアセテートプロピオネート5質量部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)6質量部、チヌビン328(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)6質量部、及びAEROSIL R972V(日本アエロジル社製)1質量部を塩化メチレン94質量部とエタノール8質量部を混合し撹拌溶解し、紫外線吸収剤溶液を調整した。上記ドープ100質量部に対して紫外線吸収剤溶液を2質量部の割合で加え、スタチックミキサーにより十分混合した後、ダイからステンレスベルト上にドープ温度35℃で流延した。ステンレスベルトの裏面から35℃の温度の温水を接触させて温度制御されたステンレスベルト上で1分間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、15℃の冷水を接触させて15秒間保持した後、ステンレスベルトから剥離した。剥離時のウェブ中の残留溶媒量は40質量%であった。次いで剥離したウェブの両端を固定しながら120℃で10分間乾燥させ、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたセルロースエステルフィルムを60℃、2mol/lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬し水洗した後、100℃で10分間乾燥しアルカリ鹸化処理セルロースエステルフィルムを得た。
【0050】
また、これとは別にVA型液晶セルを以下の手順で作製した。ポリビニルアルコール3質量%の水溶液に、カップリング剤としてオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド1質量%を添加し、ITO電極付きのガラス基板上にスピンコートし、160℃で加熱処理を施した後、更にラビング処理を施し垂直配向膜を形成させた。ラビング処理は2枚のガラス基板がそれぞれ反対方向になる様に行った。2枚のガラス基板を向かい合わせてセルギャップが5.5μmとし、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物を注入し、セルギャップと液晶性化合物の複屈折の積が280nmのVA型液晶セルを得た。
【0051】
また、別に、厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光膜(偏光子)を作った。この偏光膜の両面に前記アルカリ鹸化処理セルロースアセテートフィルムを完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として各々貼り合わせ偏光板を作製した。
この偏光板を前記のVA型液晶セルの両面側に設け、液晶表示装置を作製した。
【0052】
実施例2
アセチル基の置換度1.92プロピオニル基の置換度0.76、アルカリ土類金属量15ppm、残留硫酸量(硫黄元素として)20ppm、遊離酸量8ppm、極限粘度1.61、水分率0.2質量%を含有するセルロースアセテートプロピオネート(平均粒径350μm)を100質量部、エチルフタリルエチルグリコレート4質量部、トリフェニルフォスフェイト3質量部、塩化メチレン295質量部、エタノール56質量部を用いて実施例1と同様にしてドープを得た。また、これとは別に、上記セルロースアセテートプロピオネート5質量部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3質量部、チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、及びAEROSIL R972V(日本アエロジル社製)1質量部を塩化メチレン94質量部とエタノール6質量部を混合し撹拌溶解し、紫外線吸収剤溶液を調整した。上記ドープ及び紫外線吸収剤溶液を用いて実施例1と同様にして、膜厚100μmのセルロースエステルフィルムを得た。
【0053】
得られたセルロースエステルフィルムを用いて実施例1と同様にしてアルカリ鹸化処理セルロースエステルフィルム、偏光板及び液晶表示装置を得た。
【0054】
実施例3
アセチル基の置換度1.94プロピオニル基の置換度0.63、アルカリ土類金属量8ppm、残留硫酸量(硫黄元素として)25ppm、遊離酸量70ppm極限粘度1.54 水分率0.9質量%を含有するセルロースアセテートプロピオネート(平均粒径150μm)を100質量部、エチルフタリルエチルグリコレート4質量部、トリフェニルフォスフェイト3質量部、塩化メチレン295質量部、エタノール56質量部を用いて実施例1と同様にしてドープを得た。また、これとは別に、上記セルロースアセテートプロピオネート5質量部、チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)7質量部、チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、及びAEROSIL R972V(日本アエロジル社製)1質量部を塩化メチレン94質量部とエタノール6質量部を混合し撹拌溶解し、紫外線吸収剤溶液を調整した。上記ドープ及び紫外線吸収剤溶液を用いて実施例1と同様にして、膜厚120μmのセルロースエステルフィルムを得た。
【0055】
得られたセルロースエステルフィルムを用いて実施例1と同様にしてアルカリ鹸化処理セルロースエステルフィルム、偏光板及び液晶表示装置を得た。
【0057】
実施例4
アセチル基の置換度1.92、プロピオニル基の置換度0.70、アルカリ土類金属量6ppm、残留硫酸量(硫黄元素として)12ppm、遊離酸量20ppm、極限粘度1.59、水分率0.1質量%を含有するセルロースアセテートプロピオネート(平均粒径500μm)100質量部、エチルフタリルエチルグリコレート4質量部、トリフェニルフォスフェイト3質量部、酢酸メチル245質量部、エタノール105質量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり攪拌しながら徐々に昇温し、60分かけて70℃まで上げ溶解した。容器内は1.2気圧となった。このドープを安積濾紙社製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、24時間静置しドープ中の泡を除いた。また、これとは別に、上記セルロースアセテートプロピオネート5質量部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3質量部、チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部及びAEROSIL R972V(日本アエロジル社製)1質量部を酢酸メチル94質量部とエタノール8質量部を混合し撹拌溶解し、紫外線吸収剤溶液を調整した。上記ドープ100質量部に対して紫外線吸収剤溶液を1.5質量部の割合で加え、スタチックミキサーにより十分混合した後、ダイからステンレスベルト上にドープ温度55℃で流延した。ステンレスベルトの裏面58℃の温度の温水を接触させて温度制御されたステンレスベルト上で1分間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面に、15℃の冷水を接触させて15秒間保持した後、ステンレスベルトから剥離した。剥離時のウェブ中の残留溶媒量は40質量%であった。次いで剥離したウェブの両端を固定しながら130℃で10分間乾燥させ、膜厚120μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたセルロースエステルフィルムを60℃、2mol/lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬し水洗した後、100℃で10分間乾燥しアルカリ鹸化処理セルロースエステルフィルムを得た。
【0058】
また、これとは別にVA型液晶セルを以下の手順で作製した。ポリビニルアルコール3質量%の水溶液に、カップリング剤としてオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド1質量%を添加し、ITO電極付きのガラス基板上にスピンコートし、160℃で加熱処理を施した後、更にラビング処理を施し垂直配向膜を形成させた。ラビング処理は2枚のガラス基板がそれぞれ反対方向になる様に行った。2枚のガラス基板を向かい合わせてセルギャップが5.5μmとし、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物を注入し、セルギャップと液晶性化合物の複屈折の積が280nmのVA型液晶セルを得た。
【0059】
また、別に、厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光膜(偏光子)を作った。この偏光膜の両面に前記アルカリ鹸化処理セルロースエステルフィルムを完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として各々貼り合わせ偏光板を作製した。
【0062】
実施例5
実施例1のセルロースアセテートプロピオネートと実施例4のセルロースアセテートプロピオネートの混合物(混合割合30/70)100質量部、エチルフタリルエチルグリコレート4質量部、トリフェニルフォスフェイト3質量部、塩化メチレン295質量部、エタノール56質量部を用いて実施例1と同様にしてドープを得た。また、これとは別に、上記セルロースアセテートプロピオネート5質量部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3質量部、チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、及びAEROSIL R972V(日本アエロジル社製)1質量部を塩化メチレン94質量部とエタノール6質量部を混合し撹拌溶解し、紫外線吸収剤溶液を調整した。上記ドープ及び紫外線吸収剤溶液を用いて実施例1と同様にして、膜厚120μmのセルロースエステルフィルムを得た。
【0063】
得られたセルロースエステルフィルムを用いて実施例1と同様にしてアルカリ鹸化処理セルロースエステルフィルム、偏光板及び液晶表示装置を得た。
【0064】
比較例1
実施例1でセルロースエステルとしてアセチル基の置換度2.92のセルローストリアセテート100質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、乾燥後の厚さが120μmになるようにセルローストリアセテートフィルムを作製し、更に実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
【0065】
比較例2
アセチル基の置換度2.10、プロピオニル基の置換度0.82、アルカリ土類金属量105ppm、残留硫酸量(硫黄元素として)80ppm、遊離酸量110ppm、極限粘度1.61、水分率0.5質量%を含有するセルロースアセテートプロピオネート(平均粒径350μm)を100質量部、エチルフタリルエチルグリコレート2質量部、トリフェニルフォスフェイト10質量部、塩化メチレン295質量部、エタノール56質量部を用いて実施例1と同様にしてドープを得た。また、これとは別に上記セルロースアセテートプロピオネート5質量部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3質量部、チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5質量部、及びAEROSIL R972V(日本アエロジル社製)1質量部を塩化メチレン94質量部とエタノール6質量部を混合し攪拌溶解し、紫外線吸収剤溶液を調整した。上記ドープ及び紫外線吸収剤溶液を用いて実施例1と同様にして、膜厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。
【0066】
得られたセルロースエステルフィルムを用いて実施例1と同様にしてアルカリ鹸化処理セルロースエステルフィルム、偏光板及び液晶表示装置を得た。
【0067】
上記実施例1〜4並びに比較例1及び2について、それぞれ得られた、セルロースエステルフィルムについて寸法変化、引っ張り強さ、破断伸度、弾性率、引き裂き強度、透過率、透湿性、輝点異物、面内レタデーション、厚み方向レタデーション及び液晶表示装置の視野角特性を評価し、結果を表1に示した。
【0068】
〔評価方法〕
〈寸法変化率〉
フィルムを60℃90%RHで処理した時の、処理前後での寸法変化を測定し、処理前の寸法で除して求めた。結果は百分率で表した。収縮する方向をマイナス、伸びる方向をプラスで表した。
【0069】
〈引っ張り強さ、破断伸度、弾性率〉
JIS K7127−1989に準じて測定した。試験片は1号形試験片、試験速度は試験速度Gにより行った。
【0070】
〈引き裂き強度〉
ISO 6383/2−1983に準じて測定した。
【0071】
〈透過率〉
分光光度計(U−3400、日立製作所社製)を用いて波長500nmにおける透過率を求めた。
【0072】
〈透湿度〉
JIS Z0208−1976に準じて行った。試験条件は条件Aで行った。
【0073】
〈輝点異物〉
偏光板をクロスニコルの位置にしてその間にフィルムサンプルを挟みフィルムサイズ100mm四方の範囲にある10μm以上の大きさの異物の数を測定した。
【0074】
〈厚み方向レターデーション値(Rt値)の測定〉
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求め、前記式に従って、レターデーション値(Rt値)を算出した。
【0075】
〈面内レターデーション値(Ro値)の測定〉
上記で求めたnx、nyの値から|(nx−ny)d|を求め、Ro値とした。
ただしdはフィルムの厚さで単位はnmである。
【0076】
〈視野角特性の評価〉
得られた液晶表示装置に、エーエムティ社製VG365Nビデオパターンジェネレーターにて、白色表示、黒色表示及びグレー8階調表示を行い、白色/黒色表示時のコントラスト比を大塚電子社製LCD−7000にて、上下左右角度60度の範囲で測定した。コントラスト比≧10を示す角度を視野角とした。角度が大きいほど視野角特性に優れていることを表す。
【0077】
【表1】
【0078】
(結果)
本発明の方法で得られたセルロースエステルフィルムは従来の方法から得られたセルローストリアセテートフィルムに比べ偏光板保護フィルムとして十分な特性を備えており、更にRt値が大きいので液晶表示装置に用いた場合に、視野角特性に優れることが分かる。
【0079】
【発明の効果】
レターデーション値が大きいセルロースエステルフィルムを得ることができ、これらを使用し視野角特性が優れた液晶表示装置を提供できる。
Claims (6)
- セルロースエステルを有機溶媒に溶解させた溶液を、支持体上に流延し溶媒を蒸発させてフィルムを形成することにより得られるセルロースエステルを含む偏光板保護フィルムの製造方法であって、該セルロースエステルが下記(1)から(5)を満たすセルロースエステルであり、且つ厚み方向のレターデーション値(Rt:ディメンションはnm)は、
Rt=〔{(nx+ny)/2}−nz〕×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)で表され、該レターデーションが100〜200nmの範囲であることを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
(1)アセチル基の置換度:1.75から1.95
(2)プロピオニル基の置換度:0.61から0.76
(3)アルカリ土類金属の含有量:1から50ppm
(4)残留硫酸量(硫黄元素の含有量として):1から50ppm
(5)遊離酸量:1から100ppm - 有機溶媒が非塩素系有機溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護フィルムの製造方法。
- 非塩素系有機溶媒が酢酸メチルまたはアセトンを含有する有機溶媒であることを特徴とする請求項2に記載の偏光板保護フィルムの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で製造された偏光板保護フィルム。
- 請求項4に記載の偏光板保護フィルムを偏光膜の少なくとも1方の面に貼り合わせたことを特徴とする偏光板。
- 請求項5に記載の偏光板を用いたことを特徴とするバーティカルアライメント(VA)型液晶表示装置。
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