JP2005241794A - 液晶表示装置及び偏光板セット - Google Patents

液晶表示装置及び偏光板セット Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、偏光板保護フィルムが位相差フィルムである偏光板を2枚含み、両者が異なる光学特性を有することにより、生産性に優れた偏光板を備え、かつ表示品質が改善された液晶表示装置及びそれに用いる偏光板セットを提供することにある。
【解決手段】 液晶表示セルの観察面に偏光板A及びバックライト側に偏光板Bが配置された液晶表示装置において、偏光板Aは、偏光板保護フィルム(T1)/偏光子/偏光板保護フィルム(T2)で構成され、(T2)が液晶表示セル面に存在し、かつ偏光板Bは、偏光板保護フィルム(T3)/偏光子/偏光板保護フィルム(T4)で構成され、(T3)が液晶表示セル面に存在した構成を有し、該(T2)及び(T3)のリターデーション値Ro、Rthが特定の関係を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示装置及びそれに用いる偏光板セットに関し、特に液晶セルが複屈折性の異なる位相差フィルムを有する2枚の偏光板に狭持された液晶表示装置に関し、より詳しくは、該偏光板を備えた垂直配向モード型の液晶表示装置及びそれに用いる偏光板セットに関する。
偏光子を保護する目的として、偏光板保護フィルムが使用されている。この偏光板保護フィルムは、偏光子の両面をサンドイッチする構成で偏光板としている。従来、位相差フィルムを貼付して視野角補償フィルムとして用いた光学補償フィルムを用いることにより、液晶表示装置の表示品質を向上することが行われてきた。近年は偏光板保護フィルムに位相差フィルムの機能が融合されるようになり、該保護フィルムの役割が多機能化し、かつ部材が削減出来るようになってきた。
一方、液晶表示装置の表示品質において視野角の補償が改良されつつあり、特開平7−191217号公報に開示されているように、ディスコティック液晶のフィルムをツイストネマチック(TN)型液晶セルの上面と下面に配置して、液晶セルの視野角特性を改善出来ることが開示されている。
液晶モードの改善による視野角改良の技術は、例えば、特開平2−176625号公報に、液晶性化合物を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる垂直配向(VA)型液晶セルを用いた液晶表示装置が開示されている。VA型液晶は、従来のTN型液晶表示装置と比較して、視野角が広く、応答が高速であるとの特徴があるとされているが、それでもCRTと比較すれば改善が必要である。
VA型液晶表示装置は、略垂直配向した液晶層と、この液晶層を介して互いに対向しクロスニコル状態に配置された一対の偏光板とによって黒表示を行う。従って、これらの液晶表示装置による黒表示を表面法線方向から観察すると良好な黒表示であるが、表示面法線から傾斜した方向(以下、「斜め視角方向」という。)から観察すると光漏れが発生し黒表示の品位が低下する。
この斜め視角方向における光漏れは、垂直配向状態の液晶層を斜め視角方向から観察すると複屈折が生じること、及びクロスニコル状態に配置された一対の偏光板の透過軸を斜め視角方向から観察すると、互いに直交した関係からずれることに起因する。
これらの光学的観点から視野角の表示品質を補償する方法について、例えば特許文献1にMVA型の液晶表示装置において補償フィルムの設計値が開示されている。しかしながら、該明細書においては具体的な樹脂を用いて作製された補償フィルムを備えた偏光板を用いた液晶表示装置の開示及び視角補償において偏光板保護フィルム自身が補償フィルムの機能を兼ね備えた一体型の保護フィルムを有する偏光板を含む液晶表示装置については開示されていない。近年、特に動画像を主目的としたTV用液晶表示装置の需要の拡大に対しても、表示品質の改善と生産性に優れた偏光板を備えた液晶表示装置の開発が望まれていた。
特開2003−262869号公報
従って本発明の目的は、偏光板保護フィルムが位相差フィルムである偏光板を2枚含み、両者が異なる光学特性を有することにより、生産性に優れた偏光板を備え、かつ表示品質が改善された液晶表示装置及びそれに用いる偏光板セットを提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
(請求項1)
液晶表示セルの観察面に偏光板A及びバックライト側に偏光板Bが配置された液晶表示装置において、偏光板Aは、偏光板保護フィルム(T1)/偏光子/偏光板保護フィルム(T2)で構成され、(T2)が液晶表示セル面に存在し、かつ偏光板Bは、偏光板保護フィルム(T3)/偏光子/偏光板保護フィルム(T4)で構成され、(T3)が液晶表示セル面に存在した構成を有し、下記関係を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)は、
Rth(T2)>Rth(T3)である時
3.0≦[Rth(T2)/Ro(T2)]<5.3
かつ、20(nm)<Ro(T2)≦120(nm)
かつ、0(nm)≦Ro(T3)≦20(nm) を満たすこと、
或いは、
Rth(T3)>Rth(T2)である時
3.0≦[Rth(T3)/Ro(T3)]<5.3
かつ、20(nm)<Ro(T3)≦120
かつ、0(nm)≦Ro(T2)≦20(nm) を満たす。
ここでRo(T2)、Rth(T2)、Ro(T3)、Rth(T3)、は各々590nmの下記式で表されるリターデーション値であり、各々23℃、55%RHの環境下の測定値である。
式 Ro(T2)=(nx(T2)−ny(T2))×d(T2)
式 Rth(T2)={(nx(T2)+ny(T2))/2−nz(T2)}×d(T2)
式 Ro(T3)=(nx(T3)−ny(T3))×d(T3)
式 Rth(T3)={(nx(T3)+ny(T3))/2−nz(T3)}×d(T3)
(式中、nx(T2)はフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、ny(T2)はフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nz(T2)はフィルムの厚み方向の屈折率であり、d(T2)はフィルムの厚さを表す。
nx(T3)はフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、ny(T3)はフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nz(T3)はフィルムの厚み方向の屈折率であり、d(T3)はフィルムの厚さを表す。)
(請求項2)
偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)が下記の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
Rth(T2)>Rth(T3)>0である時、
0(nm)<Ro(T3)≦5(nm)であり、かつ下記(1)、(2)の少なくとも1項を満たす。
(1) 3.0<[Rth(T2)/Ro(T2)]<4.0
(2) 40(nm)<Ro(T2)≦95(nm)
または、
Rth(T3)>Rth(T2)>0である時、
0(nm)<Ro(T2)≦5(nm)であり、かつ下記(3)、(4)の少なくとも1項を満たす。
(3) 3.0<[Rth(T3)/Ro(T3)]<4.0
(4) 40(nm)<Ro(T3)≦95(nm)
(請求項3)
液晶セルの厚さ方向のリターデーション値をRth(cell)とした時、Rth(cell)は300nmより高く450nm以下の値であり、かつ前記偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)の厚さ方向のリターデーション値の和と液晶表示装置の厚さ方向とのリターデーション値との比を[Rth(T2)+Rth(T3)]/Rth(cell)とする時、該比が0.8以上1.2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
(請求項4)
前記偏光板保護フィルム(T1)、(T2)、(T3)、(T4)の少なくとも1つがセルロースアシレート誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(請求項5)
前記セルロースアシレート誘導体がセルロースアセテートでかつ酢化度が59.0〜61.5%であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
(請求項6)
前記セルロースアシレート誘導体がセルロースアセテートプロピオネートであり、総アシル基置換度が2.5〜2.9の範囲かつアセチル基置換度が1.4〜2.3の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
(請求項7)
前記偏光板保護フィルム(T2)及び偏光板保護フィルム(T3)を2枚の偏光子間に設置した時に観察される該偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)の輝点数の和が、フィルム250mm2当たり50μmを越える大きさの輝点数の和が0個、かつ5〜50μmの大きさの輝点数の和が300個以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(請求項8)
前記液晶表示装置が垂直配向モードであり、マルチドメイン型であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(請求項9)
請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置が偏光板A及び偏光板Bを各々1枚ずつ併用することを特徴とする偏光板セット。
本発明により、偏光板保護フィルムが位相差フィルムである偏光板を2枚含み、両者が異なる光学特性を有することにより、生産性に優れた偏光板を備え、かつ表示品質が改善された液晶表示装置及びそれに用いる偏光板セットを提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の液晶表示装置は、液晶表示セルの観察面に偏光板A及びバックライト側に偏光板Bが配置された液晶表示装置において、偏光板Aは、偏光板保護フィルム(T1)/偏光子/偏光板保護フィルム(T2)で構成され、(T2)が液晶表示セル面に存在し、かつ偏光板Bは、偏光板保護フィルム(T3)/偏光子/偏光板保護フィルム(T4)で構成され、(T3)が液晶表示セル面に存在した構成を有し、下記関係を満たすことを特徴とする液晶表示装置である。
偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)は、
Rth(T2)>Rth(T3)である時
3.0≦[Rth(T2)/Ro(T2)]<5.3
かつ、20(nm)<Ro(T2)≦120(nm)
かつ、0(nm)≦Ro(T3)≦20(nm) を満たすこと、
或いは、
Rth(T3)>Rth(T2)である時
3.0≦[Rth(T3)/Ro(T3)]<5.3
かつ、20(nm)<Ro(T3)≦120
かつ、0(nm)≦Ro(T2)≦20(nm) を満たす。
ここでRo(T2)、Rth(T2)、Ro(T3)、Rth(T3)、は各々590nmの下記式で表されるリターデーション値であり、各々23℃、55%RHの環境下の測定値である。
式 Ro(T2)=(nx(T2)−ny(T2))×d(T2)
式 Rth(T2)={(nx(T2)+ny(T2))/2−nz(T2)}×d(T2)
式 Ro(T3)=(nx(T3)−ny(T3))×d(T3)
式 Rth(T3)={(nx(T3)+ny(T3))/2−nz(T3)}×d(T3)
(式中、nx(T2)はフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、ny(T2)はフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nz(T2)はフィルムの厚み方向の屈折率であり、d(T2)はフィルムの厚さを表す。
nx(T3)はフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、ny(T3)はフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nz(T3)はフィルムの厚み方向の屈折率であり、d(T3)はフィルムの厚さを表す。)
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、上記偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)の特性を上記記載の範囲にすることによって、視角改善の効果を達成出来、同時に偏光板及び液晶表示装置の生産性も改善出来ることを見出し本発明を成すに至った次第である。
偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)が液晶表示セル面に存在した構成とは、偏光板A及び偏光板Bが液晶セルのガラス面に貼合され、このとき粘着剤を介して接することを含む。
上記Ro(T2)、Ro(T3)、Rth(T2)、Rth(T3)の光学的なリターデーションの関係は、本発明の目的を達成する為に、特に表示品質の向上の為に必須の範囲である。
従来は、偏光板Aの液晶セル側の偏光板保護フィルム(T2)、偏光板Bの液晶セル側の偏光板保護フィルム(T3)において、(T2)と(T3)が等しいか、或いはほぼ等しいリターデーション値(Ro値及びRth値)を有するフィルムを用いた液晶表示装置が多く用いられていた。本発明では、上記偏光板保護フィルム(T2)と(T3)のリターデーション値にあえて差を付けることにより、即ち異なったリターデーション値を有する偏光板保護フィルムを配置することにより、本発明の上記目的を達成出来ることを見出したものである。両者のリターデーション値において、Ro(T2)とRo(T3)の差が15nmよりも大きな差、好ましくは20nmよりも大きな差を有する構成にすることが、本発明の目的を達成する上で好ましい範囲である。更に、Rth(T2)及びRth(T3)は、本発明においては各々正の値であることが好ましい。
液晶表示装置の視角補償のために要求されるフィルムのリターデーション値は、特開2003−262869号明細書内容を参考に出来る。液晶セルの垂直方向のリターデーション値をRth(cell)とすると、黒表示時のRth(cell)は、ノーマリーブラックの構成にした時の光漏れ抑制のために、本発明の補償フィルムと組み合わせる際の好ましい範囲が存在する。
Rth(cell)は、市販の表示装置におけるリターデーション測定装置によって測定出来る。後述のマルチドメイン化型のVA液晶セルにおいて、Rth(cell)は、300nmより高く450nm以下の値であることが、表示画像のコントラストを重視する観点で好ましい。Rth(cell)値が300nm以下であると、表示画像のコントラストが低下し好ましくなく、一方Rth(cell)値が450nmより大きいと、表示信号に対する応答性が低下し動画表示として好ましくない。
偏光板A/液晶セル/偏光板Bの構成において、本発明は偏光子間に存在する2枚の偏光板保護フィルムが補償フィルムとして機能する。ここでは、該偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)の厚さ方向のリターデーション値の和と液晶表示装置の厚さ方向とのリターデーション値との比、[Rth(T2)+Rth(T3)]/Rth(cell)は液晶表示装置の視野角補償としての機能として重要である。該比は、0.8以上1.2以下であることが好ましく、本発明の目的をより具現化するためには、0.85以上1.1以下、より好ましくは0.90以上1.0以下である。
本発明の液晶表示装置に用いる偏光板A及び偏光板Bの関係において、上述のようにRth(T2)>Rth(T3)またはRth(T2)<Rth(T3)の2者の構成が選択出来る。本発明においてはRth(T2)>Rth(T3)を満たす構成がより好ましい。これはRth(T2)<Rth(T3)を満たす場合は、バックライトによる発熱によって偏光板が加熱された時、偏光板の熱変動によりリターデーション値が変動するため黒表示のムラに影響する。
本発明の保護フィルムは長尺状のロールフィルムの形態で生産することが工業的観点から効率的である。リターデーション値は、例えば、0.1m以上離れた測定点において長尺フィルムの長手及び幅手の平均値で表現出来る。
図1に本発明に係る液晶表示装置の一例を概略図で説明する。
Rth(T2)>Rth(T3)を関係を満たす場合、図1で示す配置構成aとなる。この時に偏光板Aの保護フィルム(T2)のRo(T2)は、20nmよりも大きくかつ120nm以下の範囲で選択出来る。この時Ro(T2)は40nmよりも大きく95nm以下であることがより好ましい。液晶表示セルの上下に偏光板がそれぞれ配置されクロスニコル状態にある表示系において、偏光板保護フィルム(T2)のRo(T2)は、表示装置の正面から観察した時各々の偏光板透過軸の直交関係に対し、斜め視角観察した時に該直交関係からずれることを光学的に補償するために機能する。
偏光板Bの保護フィルム(T3)のRo(T3)は、0nm以上20nm以下であることが(T3)を偏光板保護フィルムとして用いた時に、生産性の観点から好ましく、0nmよりも大きくかつ10nm以下、より好ましくは0nmよりも大きくかつ5nm以下である。
偏光板保護フィルムは、フィルム面領域でRo(T3)が0nmに近いことが好ましいが、すべて均一に0nmにすることは、該フィルムを工業的に製造する上で極めて困難である。
[Rth(T2)/Ro(T2)]の比は、3.0以上かつ5.3よりも小さい値であることが好ましく、3.5よりも大きくかつ4.3よりも小さいことが本発明の目的に対して更に好ましい。
[Rth(T2)/Ro(T2)]の比が本発明の範囲よりも低いと、液晶セルの複屈折性を補償するための視角補償として求められる[Rth(T2)+Rth(T3)]/Rth(cell)比の範囲が定まっているために、偏光板保護フィルム(T3)に求められるRth(T3)の値が高くなる。
それ故、偏光板保護フィルム(T3)に求められるリターデーション値を具現化するためには極めて厚いフィルムが必要となり、これは保護フィルムの製造において、生産性の低下につながる。保護フィルムが厚くなる場合、特に溶液流延法によって生産される時、溶媒の蒸発及び乾燥の観点から生産速度の低下を引き起こす要因となる。
[Rth(T2)/Ro(T2)]の比が本発明の範囲よりも高いと、偏光板保護フィルム(T2)において必要以上のRthなる点で好ましくない。これは、[Rth(T2)+Rth(T3)]/Rth(cell)比は、用いる液晶セルに対して、光学補償のためのフィルムに求められるリターデーションの好ましい範囲が本発明において存在することを意味する。Rth(T2)の値が高くなると、Rth(T3)≦0となり、この領域のリターデーションを有するフィルムは製造しにくいため好ましくない。偏光板保護フィルム(T3)において、Ro(T3)は偏光板製造時の偏光子透過軸或いは偏光子の吸収軸との配置によって、光漏れの挙動が異なることが想定出来る。Ro(T3)は、実質的に表示画像に影響を与えない範囲で用いることが生産性の観点から好ましく、特開2000−352620号明細書の段落番号[0068]記載のP値に定義された領域であることが好ましく、これはRo(T3)の成分が実質的に画像に対して影響を与えない領域である観点でより好ましい領域である。
一方、Rth(T2)<Rth(T3)を関係を満たす場合、図1配置構成bとなる。
配置構成bは、配置構成aの観察側と光源の位置を固定した時偏光板Aと偏光板Bが入れ替わった構成である。このとき、配置構成aの観察側の偏光板保護フィルム(T1)は配置構成bにおいてはバックライト側の位置に対応し、配置構成aのバックライト側の偏光板保護フィルム(T4)は配置構成bにおいて観察側に位置する構成を意味する。配置構成bは、配置構成aの上記偏光板を入れ替えた構成となり、本発明の意とするところと同義である。
〈液晶表示装置〉
本発明の液晶表示装置は、特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置に使用することが本発明の効果をより発揮出来る。
マルチドメイン化は、画像表示の対称性の向上にも適しており、種々の方式が報告されている。例えば、「置田、山内:液晶,6(3),303(2002)」があり、該液晶表示セルは、「山田、山原:液晶,7(2),184(2003)」にも示されているが、これらに限定される訳ではない。
本発明の偏光板は垂直配向モードに代表されるMVA(Multi−domein Vertical Alignment)モード、特に4分割されたMVAモード、電極配置によってマルチドメイン化された公知のPVA(Patterned Vertical Alignment)モード、電極配置とカイラル能を融合したCPA(Continuous Pinwheel Alignment)モードに効果的に用いることが出来る。また、OCB(Optical Compensated Bend)モードへの適合においても光学的に二軸性を有するフィルムの提案が開示されており(T.Miyashita,T.Uchida:J.SID,3(1),29(1995))、本発明の偏光板によって表示品質において、本発明の効果を発現することも出来る。本発明の偏光板を用いることによって本発明の効果が発現出来れば、液晶モード、偏光板の配置は限定されるものではない。
表示セルの表示品質は、人の観察において左右対称であることが好ましい。従って、表示セルが液晶表示セルである場合、実質的に観察側の対称性を優先してドメインをマルチ化することが出来る。ドメインの分割は、公知の方法を採用することが出来、2分割法、より好ましくは4分割法によって、公知の液晶モードの性質を考慮して決定出来る。
本発明において、視角特性の向上とは液晶表示装置による表示のコントラストを向上させることにある。重要な項目として、黒表示時の光漏れを抑制することにある。上述の垂直配向モードに属するMVAモードを例に挙げると、液晶表示装置としては、例えばノーマリホワイトモードのTN型液晶表示装置やノーマリブラックモードのVA型液晶表示装置が存在し、本明細書においては、特にこの液晶セルの複屈折性の変化を介して互いに対向しクロスニコル状態に配置された一対の偏光板とによって黒表示を行う方式が好ましい。
従来は、これらの液晶表示装置による黒表示は、画像の法線方向から観察すると良好な黒表示を示すが、表示面法線から傾斜した時に光漏れを生じることがあった。
この光漏れは、垂直配向状態の液晶層を斜め視角方向から観察すると複屈折が生じること、及びクロスニコル状態に配置された一対の偏光板の透過軸を斜め視角方向から観察すると、互いに直交した関係からずれる(透過軸がなす角が幾何光学的に90°からずれる)ことに起因する。
コントラストの向上のために、ノーマリブラックのVA型液晶表示装置について説明すると、黒表示時の液晶セルは複屈折性において視角依存性が存在する。この複屈折性の視角依存性をなくすかまたは低減させるためにリタデーション値が負の一軸異方性または負の一軸性に近い異方性を有する光学シートで補償する。また、一対の偏光板の透過軸の直交関係が、斜め視角方向からの観察時にずれることを、フィルム面内に一致する遅相軸成分で補償する。この遅相軸の方向は、偏光板の透過軸に一致させることがコントラストの向上に効果的であり、本発明に用いる液晶表示装置に用いる偏光板は、この観点によってリターデーション値及び範囲を上述のように決定したものである。
本発明の液晶表示装置に用いる偏光板は、液晶表示セルの両面に存在する。本発明における偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)は本発明において異なることが特徴的であり、Ro(T2)とRo(T3)の差が15nmよりも大きな差、好ましくは20nm以上であることが効果的である。前記(T2)及び(T3)においてどちらかが負の一軸または負の一軸に近いRoが0nm以上20nm以下であること、好ましくはRoが0nmよりも大きくかつ5nm以下の領域になる光学的に負の一軸または負の一軸に近い保護フィルムに対して、液晶セルの反対の面に位置する偏光板保護フィルムは、前記配置構成aまたはbにおいて、上述の光学的なリターデーション値を発現させるための有効な領域で製造する。このフィルムはフィルム面内に遅相軸を有する光学的に二軸性を示すことを特徴とする。ここで上述の光学的に二軸なフィルムを二軸性フィルムと定義する。二軸性フィルムは面内リターデーションであるRoが20nmよりも大きくかつ120nm以下、好ましくは40nmよりも大きくかつ95nmより小さい範囲であることが好ましい。
また、前述の様に厚さ方向のリターデーションは、上述の観点から前記(T2)及び(T3)のフィルム成分における厚さ方向のリターデーション値の和[Rth(T2)+Rth(T3)]と液晶セルの厚さ方向のリターデーション値[Rth(cell)]の比率がコントラスト向上に重要な因子である。
[Rth(T2)+Rth(T3)]/Rth(cell)比は、0.8以上かつ1.2以下であることが好ましく、本発明の目的をより具現化するためには、0.85以上かつ1.1以下、より好ましくは0.90かつ1.0を越えないことにある。上記領域よりも低いと、液晶セルの複屈折性を補償するために必要なフィルムのリターデーションは不足し、十分なコントラストが得られない。また上記領域よりも高いと、2枚の偏光子間に過剰なリターデーションが存在することとなるためにコントラストの低下を引き起こす。
本発明の液晶表示装置に用いる偏光板は、コントラスト向上のために負の一軸または負の一軸に近い保護フィルムと二軸性フィルムの組み合わせを上記配置構成aまたはbの形態で用いることが本発明の主旨である。
また、別の目的として、負の一軸または負の一軸に近い保護フィルムと二軸性フィルムは各々偏光子に直接貼合する位相差フィルムの機能を備えた偏光板保護フィルムを用いることに特徴がある。従来のように、偏光板保護フィルムの上に位相差フィルムを貼合して用いる場合、貼合のための粘着剤が存在するために、偏光板部材が多いことに由来する生産性低下と、液晶表示装置を使用する環境の変動によるフィルムの表示画像への劣化因子が欠点となっている。これはフィルムの温度や湿度の変動によって該フィルムのリターデーション値が変動することに起因する。
本発明に用いる偏光板保護フィルムが位相差フィルムの機能を含むことで、上記貼合のための粘着工程が削減出来ることで生産性が向上すること、及び本発明に用いる偏光板保護フィルムが偏光子に直接貼合するために、粘着剤による上記貼合工程を削減するために二軸性フィルムの遅相軸と偏光子の透過軸との軸ずれを伴う工程を削減することに寄与出来る。
また、材質の異なる部品が数多く存在する場合、各々の温度や湿度による変動が異なるために部品点数の削減が望まれているが、本発明の表示装置の場合には部品点数の削減に寄与することが出来る。
また、上記位相差フィルムの機能を有する偏光板が長尺ロールの形態で生産することが好ましく、このとき生産性の観点から、従来の偏光板に粘着剤を介して位相差フィルムを貼合するよりも、本発明において、位相差フィルム自身が偏光板保護フィルムである構成の方が製造パス数を考慮すると優位な構成である。
本発明に用いる偏光板を構成する負の一軸または負の一軸に近い保護フィルムと二軸性フィルムは本発明の領域で用いることがコントラストの向上とともに環境変動の耐性に優れること、及び輝点の少ない液晶表示装置を得ることに特徴がある。
一方、本発明に用いる偏光板を構成する負の一軸または負の一軸に近い保護フィルムと二軸性フィルムは、表示画像のコントラスト向上に加えて、各々の保護フィルムの生産性の観点からも優れている。
[Rth(T2)+Rth(T3)]/R(cell)比は上述の範囲で用いる時、前記(T2)または(T3)が二軸性フィルムであって、負の一軸または負の一軸に近い保護フィルムの厚さ方向のリターデーション値は上記比率の関係から定まる。このとき、二軸性フィルムのRth/Ro比が本発明の範囲を超えて低い値である時、負の一軸または負の一軸に近い保護フィルムのRthは、コントラスト向上のためには、高い値が必要となり、この光学特性を満たすためには極端に厚いフィルムが必要となる。
このとき、本発明の保護フィルムが溶液流延法によって製造される場合、厚い保護フィルムは薄い保護フィルムよりも、乾燥工程において時間がかかるために、該フィルムの生産性の低下に影響するとともに画像に不要な輝点を多く含むこととなる。
二軸性フィルムのRth/Ro比が、本発明の範囲を超えて高い値である時、目的のリターデーションを得るためには、二軸性フィルム自身のフィルムが厚くなること、リターデーション向上剤を樹脂に対して多く添加すること、またセルロース系樹脂を用いた場合は置換度を低下させる手段を少なくとも1つ以上選択することとなる。
前記したように二軸性フィルム自身のフィルムが厚くなることは、生産性の低下や不用な輝点が増加する為好ましくない。
また、二軸性フィルムにリターデーション向上剤を多く添加することや低置換度のセルロース系樹脂の使用は、温度や湿度の変動によってリターデーションの変動が高くなるために画像のムラや設計したコントラスト向上を満たさない要因となる。
従って、本発明の液晶表示装置に用いる偏光板を構成する保護フィルムは、異なる2枚の偏光板の組み合わせによって、視野角特性、環境変動の耐性、及び偏光板保護フィルムの生産性の観点からも優れている。
該液晶表示装置はカラー化及び動画表示用の装置としても応用されつつあり、本発明における表示品質は、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことにより、眼が疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。例えば、耐性に劣る偏光板は、目的の光学特性を得ようとして添加した化合物が析出することがある。また光、特に紫外線によって偏光能の低下が生じることがある。該偏光板において透過率の低下や輝点の発生、偏光能の低下の少なくとも一要素が原因となり、動画像観察において疲労感や違和感に反映することがある。
本発明において、偏光クロスニコル状態で認識される輝点とは、2枚の偏光板を直交(クロスニコル)状態にし、その間に保護フィルムを設置して観測されるものをいう。このような輝点は、クロスニコル状態において、フィルムの連続相が暗視野となるように回転すると、輝点の箇所のみ光って観察されるので、容易にその大きさと個数を識別することが出来る。
前記偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)は、輝点の個数としては、面積250mm2当たり、偏光クロスニコル状態で認識される大きさ5〜50μmの輝点が、偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)の観察時に300個以下、かつ50μm以上の輝点が0個であることが好ましい。更に好ましくは、5〜50μmの輝点が200個以下である。
輝点が多いと、液晶ディスプレイの画像に重大な悪影響を及ぼす。(T2)及び(T3)が位相差フィルムとして機能する場合、この輝点の存在は複屈折の乱れの要因であり、位相差フィルムとして好ましくない。また、偏光板保護フィルム(T1)及び(T4)に関して輝点領域が例えば50μm以上である場合、該フィルムの表面に反射防止層を設置する場合に塗設の弊害になることがある。このような画像への悪影響を考慮すると、本発明の液晶表示装置を構成する偏光板Aにおいては、偏光板を構成する保護フィルムの輝点の個数は、上記面積において(T1)≧(T2)であることが好ましく、より好ましくは(T1)>(T2)の関係を満たすことである。また、本発明の液晶表示装置を構成する偏光板Bにおいては、偏光板を構成する保護フィルムの輝点の個数は、上記面積において(T4)≧(T3)であることが好ましく、より好ましくは(T4)>(T3)の関係を満たすことである。
本発明の液晶表示装置に用いる偏光板A及び偏光板Bは表示装置の品質を向上する上で、他の機能性層を配置することも可能である。機能層は偏光板保護フィルム(T1)の観察面側及び偏光板保護フィルム(T4)のバックライト側に配置することが好ましく、例えば、反射防止、防眩、耐キズ、ゴミ付着防止、輝度向上のためにディスプレイとしての公知の機能層の構成物として含むフィルムを少なくともどちらかに設置してもよく、または本発明の偏光板表面に貼付または設置してもよいがこれらに限定されるものではない。
〈ポリマー〉
本発明の液晶表示装置を構成する偏光板に用いる保護フィルムは、可視域の透過率が80%以上の特性を有するフィルムであり、該フィルムを構成する樹脂としてポリカーボネート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィン樹脂誘導体、ポリスルフォンなどのような合成ポリマーや天然物に由来するセルロース誘導体が用いられる。その中でも、セルロースエステルが好ましく、セルロースアシレートとしてセルロースの低級脂肪酸エステルが更に好ましい。
偏光板A及び偏光板Bにおいて少なくとも1つ以上のセルロースアシレート誘導体である場合、偏光板の製造工程において、従来の偏光板保護フィルム製造工程が適用出来ることで好ましい。
従って、より好ましくは、偏光板Aの保護フィルム(T1)及び保護フィルム(T2)、或いは偏光板Bの保護フィルム(T3)及び保護フィルム(T4)の少なくともどちらかがセルロースアシレート誘導体であることが、本発明の目的を効果的に達成出来、より好ましくは偏光板保護フィルム(T1)、(T2)、(T3)、(T4)のすべてがセルロースアシレート誘導体である。
本発明に用いられるフィルムには、後述の、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤及びリターデーション向上剤を本発明の範囲で用いることが出来る。
本発明に用いる液晶表示装置を構成する偏光板において、偏光板保護フィルムは溶液流延に次ぐインライン延伸操作により作製することが出来る。光学的に上記光学領域を満たす偏光板保護フィルムとして、セルロースアシレートフィルム(以下、セルロースエステルフィルムと記す場合もある)の製造例について説明するがこれらに限定される訳ではない。
本発明に用いるセルロースエステルフィルムの製造方法としては、セルロースエステルを溶解調製したドープ液を支持体(ステンレスベルト等)上に流延、製膜し、得られたフィルムを支持体から剥ぎ取り(剥離ともいう)、その後一定の残留溶媒量を含有したままの状態で幅手方向に張力をかけて延伸し、乾燥ゾーン中を搬送させながら乾燥する溶液流延製膜法が好ましい。これは、必要なリターデーション特性がディスプレイ表示の領域内で均一であることが、表示ムラの低減に寄与するからである。
以下、本発明の偏光板保護フィルムに係る溶液流延製膜法について説明する。尚、長手方向(MD)とは基材搬送方向、ドープ流延方向を表し、幅手方向(TD)とはフィルム面内で長手方向と直交する方向を表す。
(1)溶解工程:セルロースエステル(フレーク状、パウダー状もしくは顆粒状で、好ましくは平均粒径100μm以上の粒子)に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該セルロースエステルや添加剤を攪拌しながら溶解し、ドープを形成する工程である。溶解には、常圧で行う方法、良溶媒の沸点以下で行う方法、良溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、冷却溶解法で行う方法、高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。
上記のドープとは、セルロースエステルと後述する添加剤を有機溶媒に溶解した溶液である。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。
本発明に係るセルロースエステルは、セルロース原料のアシル化剤が酸無水物(無水酢酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応が行われる。
アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することが出来る。
セルロースエステルはアシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している場合、置換度は3.0として定義される。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することが出来る。
本発明に用いられるセルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に70000〜200000のものが好ましく用いられる。
本発明における上記偏光板保護フィルム(T1)〜(T4)においてセルロースエステルを用いる場合、セルロースアセテートまたはセルロースアセテートプロピオネートが用いることが好ましい。セルロースアセテートにおいては、好ましくは酢化度が57.0〜61.5%であるのものが本発明の目的のために好ましく用いられる。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味し、ASTM−D817−91におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースアセテートプロピオネートは、置換度が異なる2種以上のセルロースエステルを混合して用いてもよく、この場合、混合後の置換度及び総置換度が本発明の範囲にあるものを用いてもよい。
本発明の液晶表示装置に用いる偏光板を構成するセルロースアセテートプロピオネートフィルムにおいて、置換度の限定はないが、光学的な観点から必要なリターデーション発現のために、アシル基の総置換度が2.50以上2.90以下の範囲かつアセチル基置換度が1.40以上2.30以下の範囲にあることが好ましい。アシル基の総置換度の範囲は本発明の目的に対して、より好ましくは2.5以上2.80以下、更に好ましくは2.6以上2.75以下である。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することが出来る。
セルロースエステルの数平均分子量は下記のように測定出来る。高速液体クロマトグラフィにより下記条件で測定する。
溶媒:アセトン
カラム:MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度:0.2(質量/容量)%
流量:1.0ml/分
試料注入量:300μl
標準試料:ポリメタクリル酸メチル
温度:23℃
セルロースエステルフィルムにおいて、求められる光学特性値に満たない場合、製膜条件として、厚さ、温度、延伸倍率、またリターデーションを調整するための添加剤を用いることが出来る。
〈リターデーション向上剤〉
リターデーションを調節するために添加する化合物は、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することが出来る。
また二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
〈ドープ溶媒〉
セルロースエステルを溶解するドープ形成に有用な有機溶媒としては、塩素系有機溶媒と非塩素系有機溶媒がある。塩素系の有機溶媒としてメチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることが出来、セルロースエステル、特にセルロースアセテートの溶解に適している。また、非塩素系有機溶媒を使用することが出来る。
非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来る。
これらの有機溶媒をセルロースアセテートに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の溶解方法を用いることにより不溶解物を少なくすることが出来るので好ましい。メチレンクロライドを用いることが偏光板保護フィルム(T2)や(T3)の製膜工程において光学特性の制御、ここでは特にリターデーション値の制御する観点で好ましい。また、樹脂を溶解するために酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンも使用出来る。
本発明に用いる、上記セルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主有機溶媒または主たる有機溶媒という。ここで良溶媒とは、25℃において溶媒100gに5g以上セルロースエステルの溶解性を示す溶媒とする。
本発明に用いるドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらはドープを金属支持体に流延後溶媒が蒸発し始め、アルコールの比率が多くなるとウェブがゲル化し、ウェブを上部にして金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられる。また、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることが出来る。これらのうちドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は単独ではセルロースエステルに対して溶解性に乏しいか、または不溶なため貧溶媒の範疇に入る。貧溶媒とは、25℃において溶媒100gに5g未満のセルロースエステルの溶解性を示すとする。
フィルム面質向上の観点からは、ドープ中のセルロースエステル濃度は15〜40質量%に調整し、ドープ粘度は10〜50Pa・sの範囲に調整することが好ましい。
また染料、マット剤等も添加されることがある。これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
〈可塑剤〉
本発明に用いる液晶表示装置を構成する偏光板において偏光板保護フィルム(T1)〜(T4)において、いわゆる可塑剤として知られる化合物を、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水蒸気透過率低減等の目的で添加することが出来、例えばリン酸エステル誘導体、カルボン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。また、特開2003−12859号に記載の重量平均分子量が500以上10000以下であるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーなども好ましく用いられる。
リン酸エステル誘導体としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることが出来る。
カルボン酸エステル誘導体としては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等が挙げられ、フタル酸エステル誘導体としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることが出来る。
その他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、トリメチロールプロパントリベンゾエート等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることが出来、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。また、これらアルキルフタリルアルキルグリコレート等を2種以上混合して使用してもよい。
これらの化合物の添加量は可塑剤がフィルムを構成する樹脂に対して、0.5質量%以上〜20質量%未満の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1質量%以上〜11質量%未満の範囲にある。これらの化合物の添加量は目的効果の発現及びフィルムからのブリードアウト抑制などの観点から調整することが出来る。これらの可塑剤としてはブリードアウトを抑制させるためには、200℃における蒸気圧が1333Pa以下のものであることが好ましい。
〈劣化防止剤〉
本発明のポリマーフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることが出来る。
〈紫外線吸収剤〉
紫外線吸収剤は、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。本発明に用いる紫外線吸収剤において、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(いずれもチバ−スペシャルティ−ケミカルズ社製)を好ましく使用出来る。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
紫外線吸収剤、劣化防止剤、リターデーション向上剤のドープへの添加方法は、添加する化合物が溶解するものであれば制限なく使用出来るが、本発明においては、例えば紫外線吸収剤においてはメチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソランなどのセルロースエステルに対する良溶媒、または良溶媒と低級脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)のような貧溶媒との混合有機溶媒に溶解し、紫外線吸収剤溶液をセルロースエステル溶液に混合してドープとする方法が好ましい。紫外線吸収剤と合わせて劣化防止剤、リターデーション向上剤を目的に応じて同様に混合ドープとして調整することが出来る。このとき、できるだけドープ溶媒組成と添加する該溶液の溶媒組成は同じであるか、または近づけることが好ましい。
〈マット剤〉
本発明において、マット剤をセルロースエステルフィルム中に含有させることによって、搬送や巻き取りをし易くすることが出来る。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることが出来る。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さく出来るので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の二次粒子の平均粒径は0.05〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の二次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7〜14nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、セルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させる為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエステル中の含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.3質量%が好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることが出来、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用出来る。
(2)流延工程:ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えば、ステンレスベルト、或いは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイからドープを流延する工程である。金属支持体の表面は鏡面となっている。その他の流延する方法は、流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、いずれも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。
(3)溶媒蒸発工程:ウェブ(金属支持体上にドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を金属支持体上で加熱し、金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率の点で好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。
製膜速度を上げるため、金属支持体上でのウェブ温度を上げる方法が有効である。但し、過剰な熱供給はウェブに含まれる溶媒によりウェブ内部からの発泡を引き起こすため、ウェブの組成により好ましい乾燥速度が規定される。また、製膜速度を上げるためベルト状の金属支持体の上に流延を行う方法も好ましく用いられる。ベルト状の支持体を用いて流延を行う場合、ベルト長を長くすることにより流延速度を増加させることが出来る。但し、ベルト長の拡大はベルト自重によるたわみを助長する。このたわみは製膜の際に振動を引き起こし、流延時の膜厚を不均一にさせるため、ベルト長さとしては、40〜120mであることが好ましい。
(4)剥離工程:金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で十分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。
この方法は、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来る。
本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を10〜40℃に調整することが好ましく、更に好ましくは、15〜30℃に調整することである。また、剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を30〜120質量%とすることが好ましい。本発明においては、残留溶媒量は下記式で表すことが出来る。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
ベルト状支持体上に製膜する場合、速度の上昇は上述のベルト振動を助長する。剥離時の残留溶媒量及びベルト長さなどを考慮すると、製膜速度としては、10〜120m/分が好ましく、15〜60m/分が更に好ましい。
本発明において、ウェブ全幅に対する残留溶媒量を平均残留溶媒量、或いは中央部の残留溶媒量ということがあり、またウェブの両端部の残留溶媒量というように局部的な残留溶媒量をいう場合もある。
(5)乾燥工程:剥離後、一般には、ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥する。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。全体を通して、通常乾燥温度は30〜250℃の範囲で行われる。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組み合わせに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
本発明において、流延されたフィルムを剥離したのち、テンター部分まで搬送を行う工程を「工程D0」と呼ぶことがある。工程D0では、延伸時のフィルム残留溶媒量をコントロールする目的で、温度をコントロールすることが好ましい。工程D0でのフィルム残留溶媒量にもよるが、搬送方向(以下、長手方向)への延伸が起こりにくく、残留溶媒量を調整する意図で、20〜80℃が好ましく、更に好ましくは、20〜70℃であり、特に好ましくは、20〜50℃である。
工程D0において、フィルム面内でありフィルム搬送に対して垂直な方向(以下、幅手方向)でフィルム雰囲気温度分布が少ないことは、フィルムの均一性を高める観点から好ましい範囲が存在する。工程D0での温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
工程D0でのフィルム搬送張力としては、支持体からの剥離条件及び工程D0での搬送方向の伸びを防止する観点から、下記に示すような好ましい条件が存在する。
工程D0でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及び工程D0での残留溶媒量、工程D0での温度などに影響を受けるが、30〜300N/mが好ましく、更に好ましくは57〜284N/mであり、特に好ましくは57〜170N/mである。工程D0での搬送方向へフィルムの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。工程D0での良溶媒及び貧溶媒の比率はフィルム搬送に対しての伸びを防止する意味で好ましい範囲が規定される。工程D0終点での貧溶媒質量/(良溶媒質量+貧溶媒質量)×100(%)としては、95質量%〜15質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、95質量%〜25質量%であり、特に好ましくは、95質量%〜30質量%である。
(6)延伸工程
本発明に係る延伸工程(テンター工程ともいう)を一例として、図3を用いて説明する。
図3において、工程Aでは、図示されていないフィルム搬送工程D0から搬送されてきたフィルムを把持する工程であり、次の工程Bにおいて、後述する図2に示すような延伸角度でフィルムが幅手方向(フィルムの進行方向と直交する方向)に延伸され、工程Cにおいては、延伸が終了し、フィルムが把持したまま搬送される工程である。
フィルム剥離後から工程B開始前及び/または工程Cの直後に、フィルム幅方向の端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。特に、A工程開始直前にフィルム端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。幅手方向に同一の延伸を行った際、特に工程B開始前にフィルム端部を切除した場合とフィルム端部を切除しない条件とを比較すると、前者がより配向角分布を改良する効果が得られる。
これは、残留溶媒量の比較的多い剥離から幅手延伸工程Bまでの間での長手方向の意図しない延伸を抑制した効果であると考えられる。
テンター工程において、配向角分布を改善するため意図的に異なる温度をもつ区画を作ることも好ましい。また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
この場合、延伸完了時とは、乾燥膜厚100μm当たりの面内リターデーション(Ro)値が15nm以上発現する延伸操作の最終段階の延伸時点をいう。即ち、通常のフィルム搬送に伴う微量の延伸操作や、乾燥収縮を幅保持により規制することによる実質的な延伸操作は、前述のRo値の発現に寄与しない場合には、残留溶媒量を規定する場合の「延伸完了時」における延伸には該当しない。
また、本発明における「延伸方向」とは、延伸操作を行う場合の直接的に延伸応力を加える方向という意味で使用する場合が通常であるが、多段階に二軸延伸される場合に、最終的に延伸倍率の大きくなった方(即ち、通常遅相軸となる方向)の意味で使用されることもある。特に、寸法変化率に関する記載の場合の単に「延伸方向」という表現の場合には主として後者の意味で使用される。
高分子フィルムの延伸操作を行うことによる80℃、90%RH条件下における寸法安定性の改善のためには、残留溶媒存在下、かつ加熱条件下にて延伸操作を行うことが好ましい。本発明者らは、延伸方向(最終的に流延時における幅手が遅相軸となる場合は幅手方向)と当該延伸方向に直交する面内方向の80℃、90%RHにおける寸法安定性について、以下のような傾向があることを見出した。
即ち、当該延伸方向における80℃、90%RHの寸法安定性は延伸温度に対する依存性が相対的に小さく、残留溶媒依存性は相対的に大きい。一方、当該延伸方向に直交する面内方向の同様条件における寸法安定性は、延伸温度に対する依存性が相対的に大きく、残留溶媒依存性は小さい。ここで、延伸温度とは、延伸操作時の環境温度を指し、延伸終点時のフィルム温度は、通常、実質的に延伸温度とほぼ同等まで昇温する。また、このような温度、残留溶媒条件を各々の方向について最適化した場合の80℃、90%RHの寸法安定性の改善効果は、延伸方向に対する効果が当該延伸方向に直交する面内方向に対する効果よりも優れることが見出されている。
具体的には、例えば、Ro値が40〜50nmとなる膜厚約80μmのセルロースエステルフィルムについて説明すると、流延後連続的に延伸を行うインライン延伸において、延伸温度が120℃以上、残留溶媒量が延伸終点時に7質量%以上とすることにより流延方向(MD方向)の80℃、90%RH条件下における100時間経過後の寸法変化率は、±1.0%以内という安定性に優れるフィルムが得られる。また、延伸温度110℃以上、残留溶媒量を延伸終点時に12質量%以上とすることにより、幅手方向(TD方向)の同一条件下における寸法変化率は、±0.5%以内のフィルムを得ることが出来る。また、延伸温度100℃以上、残留溶媒量を延伸終点時に12質量%以上とすることにより80℃、90%RH条件下100時間経過後における寸法変化率は、MD方向に±1.5%以内、TD方向に±1.0%以内のフィルムを得ることが出来る。
より好ましくは、延伸条件を延伸温度120℃以上、残留溶媒量を延伸終点時に7質量%以上とすることにより当該条件下における寸法変化率が、MD方向に±1.0%、TD方向に0.5%以内のフィルムを得ることが出来る。更に好ましくは、延伸温度130℃以上、残留溶媒量が延伸終点時に12質量%以上とすることにより当該条件下における寸法変化率がMD方向に±0.7%、TD方向に±0.2以内のフィルムを得ることが可能である。
また、テンター工程では、工程A、B、Cでの良溶媒濃度をそれぞれMa、Mb、Mcとすると、Ma>Mcの関係を満たすことが好ましく。また、Mb>Mcの関係を満たすことが好ましい。
テンター工程で、工程A、B、C各終点時点でのフィルム中の残留溶媒について特に限定はないが、好ましい良溶媒及び貧溶媒の比率が存在する。工程A、B、C終了時点でのそれぞれの残留貧溶媒質量/(残留良溶媒質量+残留貧溶媒質量)×100(%)が95質量%〜15質量%の範囲が好ましい。更に、95質量%〜25質量%が好ましく、95質量%〜30質量%の範囲が最も好ましい。また、工程A、B、C終了時点でのそれぞれの残留貧溶媒質量/(残留良溶媒質量+残留貧溶媒質量)×100(%)は同一であっても、異なっていてもよい。
フィルムを幅手方向に延伸する場合には、フィルムの幅手方向で光学遅相軸の分布(以下、配向角分布)が悪くなることはよく知られている。RthとRoの値を一定比率とし、かつ、配向角分布を良好な状態で幅手延伸を行うため、工程A、B、Cで好ましいフィルム温度の相対関係が存在する。工程A、B、C終点でのフィルム温度をそれぞれTa℃、Tb℃、Tc℃とすると、Ta≦Tb−10であることが好ましい。また、Tc≦Tbであることが好ましい。Ta≦Tb−10かつ、Tc≦Tbであることが更に好ましい。
工程Bでのフィルム昇温速度は、配向角分布を良好にするために、0.5〜10℃/sの範囲が好ましい。
工程Bでの延伸時間は、80℃、90%RH条件における寸法変化率を小さくするためには短時間である方が好ましい。但し、フィルムの均一性の観点から、最低限必要な延伸時間の範囲が規定される。具体的には1〜10秒の範囲であることが好ましく、4〜10秒がより好ましい。
上記テンター工程において、熱伝達係数は一定でもよいし、変化させてもよい。熱伝達係数としては、41.9〜419×103J/m2hrの範囲の熱伝達係数を持つことが好ましい。更に好ましくは、41.9〜209.5×103J/m2hrの範囲であり、41.9〜126×103J/m2hrの範囲が最も好ましい。
80℃、90%RH条件下における寸法安定性を良好にするため、上記工程Bでの幅手方向への延伸速度は、一定で行ってもよいし、変化させてもよい。延伸速度としては、50〜500%/minが好ましく、更に好ましくは100〜400%/min、200〜300%/minが最も好ましい。
テンター工程において、フィルム雰囲気温度分布が少ないことは、フィルムの均一性を高める観点から好ましい範囲が存在する。テンター工程での温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。上記温度分布を少なくすることにより、フィルムの幅手での温度分布も小さくなることが期待出来る。
工程Cに於いて、寸法変化を抑えるためフィルム搬送方向に対して垂直な方向に緩和することが好ましい。具体的には、前工程のフィルム幅に対して95〜99.5%の範囲になるようにフィルム幅を調整することが好ましい。
テンター工程で処理した後、更に後乾燥工程(以下、工程D1)を設けるのが好ましい。テンター工程でセルロースエステルフィルムに付与された光学特性を洗練し、かつ、乾燥を行う目的で50〜140℃の温度範囲で熱処理を行うのが好ましい。更に好ましくは、80〜140℃の範囲であり、最も好ましくは80〜130℃の範囲である。
テンター工程でセルロースエステルフィルムに付与された光学特性を洗練し、かつ乾燥を行う目的で熱伝達係数20.9〜126×103J/m2hrで熱処理を行うことが好ましい。更に好ましくは、41.9〜126×103J/m2hrの範囲であり、最も好ましくは41.9〜83.7×103J/m2hrの範囲である。
工程D1で、幅手フィルム面内でありフィルム搬送に対して垂直な方向でフィルム雰囲気温度分布が少ないことは、フィルムの均一性を高める観点から好ましい範囲が存在する。テンター工程での温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
工程D1でのフィルム搬送張力としては、搬送方向のフィルム伸びを防止するために、好ましい条件が存在する。工程D1でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及び工程D0での残留溶媒量、工程D1での温度などに影響を受けるが、120〜200N/mが好ましく、140〜200N/mが更に好ましい。140〜160N/mが最も好ましい。
工程D1での搬送方向へフィルムの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。乾燥終了後、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。
本発明の液晶表示装置を構成する偏光板において、表示特性の向上のために光学的なリターデーションをフィルムに付与するために、セルロースエステルフィルムを幅手方向に延伸して、セルロースエステルフィルムのリターデーションを制御することが好ましい。
〈偏光板保護フィルムの厚さ〉
本発明に用いる液晶表示装置を構成する偏光板保護フィルム(T1)〜(T4)において、これらの保護フィルムの厚さは5μm以上200μm以下の厚さが好ましい。これらの偏光板保護フィルム(T1)〜(T4)において、公知の溶液流延法によって製造される場合は、保護フィルム(T1)と(T4)は生産性の観点から、保護フィルム(T2)及び(T3)は生産性と光学特性の観点から、10μm以上180μm以下の厚さが好ましく、より好ましくは15μm以上150μm、更に好ましくは25μm以上1120μmの範囲の厚さにある。
上記保護フィルムが上記範囲よりも薄いと目的の光学特性が得られず、加えて保護フィルムとしての強度が不足して好ましくない。一方、保護フィルムが上記範囲よりも厚いと、溶液流延法によって製造した場合に溶媒の乾燥に時間がかかり生産性が低下する。
偏光板Aを構成する保護フィルム(T1)及び(T2)の厚さは、両者が同じであっても異なっても良い。
また、偏光板Bを構成する保護フィルム(T3)及び(T4)の厚さは、両者が同じであっても異なっても良い。
〈偏光板〉
本発明の偏光板は、偏光子としてヨウ素をドープしたポリビニルアルコールを延伸したものを使用し、フィルムA/偏光子/フィルムBの構成で貼合して製造することが出来る。
本発明の液晶表示装置を構成する偏光板に用いる保護フィルム(T2)及び(T3)において、Rth(T2)>Rth(T3)となる配置構成aについて以下説明するがこれに限定される訳ではない。
配置構成aの場合、該フィルムを幅手方向に延伸する際に、幅手方向での配向角分布をある範囲に制御しながら延伸することは重要である。これは、本発明に用いる偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)の遅相軸の方向を示す配向角を、ある範囲内に納めることが、本発明の目的をより効果的に発現出来る。
本発明の液晶表示装置に用いる偏光板が長尺ロール偏光板から断裁されることは、偏光板保護フィルムの上に位相差フィルムを貼合する方法よりも偏光板の量産において好ましい。
長尺なロール偏光子の透過軸は搬送方向に直交することが長尺ロール偏光板の量産製造の観点から好ましい。これは長尺な偏光板保護フィルム(T2)の遅相軸が搬送方向に対して直交している場合、長尺なロール偏光子の透過軸方向と一致出来る点にある。このとき、液晶セルを挟んで対向側の偏光板保護フィルム(T3)は、特開2000−352620号明細書の段落番号[0068]記載のP値に定義された領域であることが好ましい。これは、偏光板保護フィルム(T3)のRo(T3)が表示画像に実質的に影響しない領域である。この観点から、偏光板Aと偏光板Bを組み合わせたセットとして用いる場合、本発明の目的を発現する上で好ましい。
セルロースエステルフィルム面内における遅相軸の方向(流延製膜時の幅手方向に対する角度)は、製造時の延伸においてバラツキを含むことがある。この遅相軸の方向を配向角と規定すると、配向角の測定に関しては、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことが出来る。
配向角が幅手方向のいずれの測定点においても、測定点すべての平均配向角の角度から±2°以内が好ましく、±1°がより好ましく、±0.5°が最も好ましい。
また、セルロースエステルフィルムの面内方向のリターデーション(Ro)分布は、5%以下に調整することが好ましく、より好ましくは2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。また、フィルムの厚み方向のリターデーション(Rth)分布を10%以下に調整することが好ましいが、更に好ましくは、2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。
本発明の偏光板に用いる保護フィルム(T2)において、リターデーションの分布変動が小さい方が好ましく、液晶表示装置に本発明の偏光板を用いた場合、特に(T2)のリターデーション分布変動が小さいことが色ムラ等を防止する観点で好ましい。
上記、リターデーション分布の数値は、得られたフィルムの幅手方向に1cm間隔でリターデーションを測定し、得られたリターデーションの変動係数(CV)で表したものである。リターデーション、その分布の数値の測定方法については、例えば、面内及び厚み方向のリターデーションをそれぞれ(n−1)法による標準偏差を求め、以下で示される変動係数(CV)を求め、指標とする。測定において、nとしては、130〜140に設定して算出することも出来る。
変動係数(CV)=標準偏差/リターデーション平均値
本発明の偏光板に用いるフィルムBは、リターデーションの波長分散性を有していてもよく、表示装置、特に液晶表示素子に用いる場合、表示品質の向上のために、該波長分散性に関して適宜選択することが出来る。ここで、フィルムBにおいて590nmの測定値Roと同様に、450nmにおける面内リターデーションR450、650nmの面内リターデーションをR650と定義する。
本発明において、偏光板保護フィルム(T2)または(T3)において少なくともどちらかのフィルムにおいて面内リターデーションの波長分散性は、好ましくは、0.7<R450/R0<1.0、1.0<R650/R0<1.5である。更に好ましくは0.7<R450/R0<0.95、1.01<R650/R0<1.2であり、特に好ましくは0.8<R450/R0<0.93、1.02<R650/R0<1.1の範囲内である。これは表示の色再現性において有効な効果を発揮するために選択することが出来る。
Rth(T2)<Rth(T3)の関係を満たす配置構成bにおいて、上述の配置構成aの偏光板を入れ替えた構成をとることで、本発明の主旨は同義である。
液晶表示装置を構成する偏光板として用いる各々の偏光板保護フィルム(T1)、(T2)、(T3)、(T4)は、明るい表示特性を得るため、高い透過率と紫外線吸収性能が求められる。これらのフィルムの透過率は上述の添加剤を組み合わせて製膜し乾燥した後において、500nm透過率は、85%から100%が好ましく、90%から100%が更に好ましく、92%から100%が最も好ましい。また、400nm透過率は40%から100%が好ましく、50%から100%が更に好ましく、60%から100%が最も好ましい。また、380nm透過率は0%から10%が好ましく、0%から5%が更に好ましく、0%から3%が最も好ましい。
偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)のヘイズ値は低いことが好ましい。ヘイズ値は、2%以内が好ましく、1.5%がより好ましく、1%以内が最も好ましい。製造時幅手方向に延伸したフィルムについても同様である。
透湿度はJIS Z 0208に記載の方法で測定することが出来る値で定義する。偏光板保護フィルム(T1)、(T2)、(T3)、(T4)の各々の透湿度は、25℃、90%RH環境下で10〜250g/m2・24時間であることが好ましく、20〜200g/m2・24時間であることが更に好ましく、50〜180g/m2・24時間であることが最も好ましい。これは、偏光板の作製、偏光子の劣化抑制、及び保護フィルムの光学的な変動等の観点から、上記範囲で適宜決めることが出来る。
本発明の範囲で偏光板Aおよび偏光板Bの組で使用することにより、効率的に本発明の効果が発現でき、偏光板セットとして本発明の液晶表示装置に用いることが本発明の目的を達成するために優れている。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《VA型液晶セル−1の作製》
〈基板Aの作製〉
1枚のガラス基板上に、所定のパターンのマスクを介してITOをスパッタリングした。その後、このITO膜上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして用いてITO膜の露出部をエッチングし、図4に示すように画素電極10を連続的に形成した。ここで、スリット20の幅及び画素電極10のスリット20に挟まれた部分の幅はいずれも5μmとした。このレジストパターン化したITO電極上に垂直配向性を示すポリイミドを厚さ70nmの厚さに印刷し、更に180℃で焼成することにより垂直配向膜を形成した。
〈基板Bの作製〉
対向側はITO膜付きガラス基板を用いた。ITO膜上に垂直配向性を示すポリイミドを厚さ70nmの厚さに印刷し、更に180℃で焼成することにより垂直配向膜を形成した。
〈セルの作製〉
垂直配向膜が形成された面が対向するように及び液晶材料を注入するための注入口が残されるように接着剤を介して貼り合わせることにより液晶セルを形成した。
液晶セルのセルギャップは、スペーサとして球状の樹脂ボールを介在させることにより一定に維持した。このとき、セルの厚さ方向のリターデーション(Rth(cell))が目的の値になるように樹脂ボールの径を選択しセルギャップを調整して、セルを作製した。
この液晶セル中に誘電率異方性が負である表示用液晶材料(Δn=0.08、Δε=−4)を真空注入法によって注入して液晶を満たし配向させた。注入口を紫外線硬化樹脂で封止することによりVA型液晶セルを得た。
液晶セルの厚さ方向のリターデーション値(Rth(cell))は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定しガラスの屈折率を考慮して、590nmの波長において算出した。この結果、セル1のRth(cell)は370nmであった。
《偏光板保護フィルムの作製》
〈フィルム101〉
(ドープ液D−101の調製)
セルロースアセテート(平均酢化度60.1%) 100質量部
トリフェニルフォスフェート 9.5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2.2質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液D−101を調製した。製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液D−101を濾過した。(ドープ液D−101の一部は下記のインライン添加液IN−101の作製にも使用した。)
(二酸化珪素分散液B)
アエロジル200V(日本アエロジル(株)製) 2質量部
(一次粒子の平均径12nm、見掛け比重100g/リットル)
エタノール 18質量部
以上をディゾルバーで30分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散後の液濁度は100ppmであった。二酸化珪素分散液Bに18質量部のメチレンクロライドを攪拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間攪拌混合し、二酸化珪素分散希釈液Bを作製した。
(インライン添加液IN−101の作製)
メチレンクロライド 100質量部
ドープ液D−101 34質量部
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 5質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 5質量部
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 3質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
これに上記作製した二酸化珪素分散希釈液B20質量部を、攪拌しながら加えて、更に60分間攪拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液IN−101を調製した。
インライン添加液のライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液IN−101Bを濾過した。濾過したドープ液D−101を100質量部に対し、濾過したインライン添加液IN−101を2.5質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1650mm幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に1.3倍に延伸しながら、130℃の乾燥温度で、乾燥させた。このときテンターで延伸を始めた時の残留溶剤量は20%であった。その後、120℃、110℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1400mm幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、フィルム101を得た。本工程の製造直後のフィルム101の残留剤量は0.1%であり、膜厚は80μm、巻数は4000mであった。この時のフィルム101のRo=4nm、Rth=52nmであった。
(Ro、Rth)
アッベ屈折率計(4T)を用いてフィルム構成材料の平均屈折率を測定した。また、ノギスを用いてフィルムの厚さを測定した。
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が590nmにおいるフィルムのリターデーション測定を行った。上述の平均屈折率と膜厚を入力し、面内リターデーション(Ro)及び厚み方向のリターデーション(Rth)の値を得た。遅相軸の方向も同時に測定した。
〈フィルム102〜フィルム114の作製〉
フィルム101と同様にフィルム作製を行った。但し用いたセルロースアセテートの酢化度、チヌビン109、同171、同326の添加量は同じ割合での総量、下記リターデーション向上剤及び試料の乾燥膜厚は表1記載のように変更した。尚、リターデーション向上剤はインライン添加液IN−101に添加した。
また、テンターでTD方向に延伸する際の延伸倍率は1.01以上1.40以下の範囲で、表1で示すリターデーションRo、Rthとなるように適宜調整した。各々のフィルムは、本工程の製造直後、残留溶剤量が0.1%以下となるように調整した。
フィルム101〜フィルム114における紫外線吸収剤、リターデーション向上剤の1m2当たりの量は、製膜乾燥したフィルムから分別抽出し、高速液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ及びマススペクトルの分析より定量化し、フィルムを構成する樹脂(ここではセルロースアセテート)に対する質量%を求めた。フィルム膜厚と質量及び定量化した組成により1m2当たりの紫外線吸収剤、リターデーション向上剤を算出し、その結果を表1に示した。
Figure 2005241794
〈フィルム151の作製〉
(ドープ液D−151の調製)
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8) 100質量部
トリフェニルフォスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 60質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液D−151を調製した。製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液D−151を濾過した。
(二酸化珪素分散液C)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 10質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 75質量部
以上をディゾルバーで30分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散後の液濁度は200ppmであった。二酸化珪素分散液Cに75質量部のメチレンクロライドを攪拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間攪拌混合し、二酸化珪素分散希釈液Cを製した。
(インライン添加液IN−151の作製)
メチレンクロライド 100質量部
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 4質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 4質量部
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 2質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
これに二酸化珪素分散希釈液Cを20質量部、攪拌しながら加えて、更に30分間攪拌した後、セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート、アセチル基置換度1.90、プロピオニル基置換度0.80)5質量部を攪拌しながら加えて、更に60分間攪拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液IN−151を調製した。
インライン添加液のライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液IN−151を濾過した。濾過したドープ液D−151を100質量部に対し、濾過したインライン添加液IN−151を4質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムのウェブを55℃で溶媒を蒸発させ、1650mm幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に125℃で1.33倍に延伸した。このときテンターで延伸を始めた時の残留溶剤量は15%であった。その後、115℃、110℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1400mm幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施し、巻き取り初期張力220N/m、終張力110N/mで内径6インチコアに巻き取り、フィルム151を得た。フィルムの残留溶剤量は0.1%であり、平均膜厚は80μm、巻数は4000mであった。このフィルムのRoは50nm、Rthは176nmであった。
〈フィルム152〜フィルム163の作製〉
フィルム151のセルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート(DSa/DSp)=(1.90/0.80)、総置換度=2.70)を樹脂Aとし、セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート(DSa/DSp)=(1.80/0.85)、総置換度=2.65)を樹脂Bとして表2に示すように同様にフィルム作製を行った。
但し、セルロースエステルは、樹脂Aまたは樹脂Bを用い、チヌビン109、同171、同326の添加量は同じ割合での総量、上記リターデーション向上剤及び試料の乾燥膜厚は表2記載のように変更した。また、テンターでTD方向に延伸する際の延伸倍率は1.01以上1.40以下の範囲で、表2で示すリターデーションRo、Rthとなるように適宜調整した。各々のフィルムは、本工程の製造直後、残留溶剤量が0.1%以下となるように調整した。
上記実施例で作製した紫外線吸収剤、リターデーション向上剤の1m2当たりの量は、上記方法と同様にして測定した。
更に下記方法で各フィルムの輝点個数を測定した。
(輝点個数)
直交状態で配置した輝点含まない2枚の偏光板の間に、偏光板保護フィルム(T1)、(T2)、(T3)、(T4)に用いるフィルム試料を各々置き、一方の偏光板の外側から光を当て、他方の偏光板の外側から顕微鏡で250mm2当たりの個数(輝点の大きさ5〜50μmのものと、50μm以上のものの個数)とし、この評価をN数で10回繰り返し、その平均値をもって、輝点の個数とした。この時の顕微鏡の条件は、透過光源で倍率30倍である。
以上、各フィルム構成、Ro、Rth、Rth/Ro比、及び輝点個数の結果を下記表1及び表2に示す。
Figure 2005241794
Figure 2005241794
《偏光板の作製》
上記作製した偏光板保護フィルムの原反試料を使って、下記に記載するアルカリケン化処理、偏光板の作製を行った。
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
〈偏光子の作製〉
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に搬送方向に延伸して偏光膜を作った。
上記偏光膜の両面に表3の構成で前記アルカリケン化処理した保護フィルムを完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として各々貼り合わせ、乾燥して偏光板を作製した。
《液晶表示装置の作製》
上記作製したVA型液晶セルの両面に図1配置構成aまたは配置構成bとなるように偏光板A及び偏光板Bを液晶セルを挟むように2枚、粘着剤を介して貼合し、表3に示す液晶表示装置LCD−1〜LCD−18を作製した。
Figure 2005241794
得られた液晶表示装置LCD−1〜LCD−18について下記の評価を行った。
〈表示品質の評価:VA型液晶表示装置の視野角測定〉
視野角特性の評価にはELDIM社製EZ−contrastを用い黒表示及び白表示時の透過光量を測定した。視野角の評価はコントラスト=(白表示時の透過光量)/(黒表示時の透過光量)を算出した。
本実施例で作製したVA型液晶セルに対して、55Hz矩形波で電圧を印加した。黒表示2V、白表示6Vのノーマリーブラックモードとし、この条件を視野角測定時のコントラスト比とした。
上記で作製した液晶表示装置において、上記LCD−1のコントラストが下記測定時に最も広い方向を水平方向として設置した。LCD−2〜LCD18は、LCD−1を基準として同様に測定した。
富士通製15型液晶ディスプレイVL−1530Sを用いた評価は、液晶セルが水平面に平行になるように設置した。視野角評価は、上記で得られた偏光板を貼合した液晶パネルを、ELDIM社製EZ−contrastを用いて視野角を測定した。上記液晶テレビの白表示と黒表示時について評価を行い、コントラスト比が10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角の範囲を評価した。法線上を0°とすると傾き角が大きくなるほど視野角領域が広いこととなる。
評価パネルは水平方向を0°とした時、斜め45°方位におけるコントラストの値で評価した。
◎:パネル面に対する法線方向からの傾き角が80°以上である
○:パネル面に対する法線方向からの傾き角が70°以上80°未満である
×:パネル面に対する法線方向からの傾き角が70°に満たない
〈変動試験1〉
表3で示した偏光板と同じ構成の偏光板を、湿熱環境を維持出来る恒温室で40℃、90%RH、24時間の環境下で処理した。
処理後の偏光板を、23℃55%RHで1時間放置後、同様にVA型液晶セルに貼合して上記と同様に視野角測定を行った。
◎:処理前と処理後の同コントラスト比の傾き角変動が 3°以内である
○:処理前と処理後の同コントラスト比の傾き角変動が 5°以内である
△:処理前と処理後の同コントラスト比の傾き角変動が10°以内である
×:処理前と処理後の同コントラスト比の傾き角変動が20°以上で表示装置として環境変動が大きすぎ使用出来ない
〈輝点評価〉
上記作製した液晶表示装置を用いて輝点の存在による影響を評価した。暗室に液晶表示装置を設置し黒表示とし、液晶表示装置から10倍のルーペを用いて正面より観察し、下記評価を行い、その結果を表3に示した。
◎:鮮明な黒表示であった
○:黒表示であるが、やや明るみを帯びていた
×:明らかな輝点が認められ、表示装置としては使用出来ない
上表から本発明の偏光板構成を用いた液晶表示装置は、視野角特性、変動試験1、輝点評価が比較例に対し優れていることが明らかである。
また、[Rth(T2)+Rth(T3)]/R(cell)比が本発明の範囲内にある場合、視野角特性がよい液晶表示装置が得られることが分かった。
即ち、配置構成aにおいて、Rth/Roが本発明の範囲を超えて低い値であると、[Rth(T2)+Rth(T3)]/R(cell)比において、視野角特性を満たすために必要なRth(T3)は必然的に高い値が必要となる。例えば、LCD−3の液晶表示装置は、(T2)の保護フィルム163がRth/Roが1.5であり、本発明の範囲より低い領域である。このときRth(T3)は[Rth(T2)+Rth(T3)]/R(cell)比を本発明の範囲内にする為に、片側にRth(T3)が著しく高い本発明外のフィルムを配置すると、変動試験1の高湿処理によってコントラスト比の変動が大きくなり、加えてT3のフィルム膜厚が極端に厚くなり、溶液流延法によるフィルムの製造においても溶媒を乾燥させるために時間がかかり生産性を低下させることになり好ましくない。従って、本発明の範囲にある偏光板の組み合わせは、視野角特性、環境変動の耐性、及び偏光板保護フィルムの生産性の観点からも優れていることは明白である。
一方、LCD−19の液晶表示装置において、T2の保護フィルム114のRth/Roが5.8であり、本発明の範囲より高い領域である。このとき[Rth(T2)+Rth(T3)]/R(cell)の値を本発明の範囲内に満たすために、T3の保護フィルム102が視野角特性の観点から選択できるが、この構成を満たすための保護フィルムT2と保護フィルムT3の組み合わせは、変動試験および輝点が多く表示装置としての品質面において使用できない。
このように本発明外の保護フィルムの領域は、保護フィルムのリターデーション値を向上させる手段として、酢化度を低くすること、リターデーション向上剤の添加量を増加させること、および保護フィルムの膜厚を増加させる手段が選択できるが、保護フィルムの生産性、変動試験を用いた環境におけるリターデーション値の変動、輝点の数の観点から好ましくないことがわかる。
したがって、本発明の範囲にある偏光板の組み合わせは、視野角特性、環境変動の耐性、および偏光板保護フィルムの生産性の観点からも優れていることは明白である。
LCD−3の液晶表示装置は、(T2)の保護フィルム163がRth/Roが1.5であり、変動試験時と同様に(T3)の保護フィルム105を使用している。(T3)に位置する保護フィルム105は輝点を多く含みこれが表示装置の画像に悪影響を与えている。
輝点の画像への影響は、液晶表示装置において偏光板A及び偏光板Bの間に存在する保護フィルム(T2)及び(T3)の輝点の数と大きさが影響する。ここでは5〜50μmの大きさの輝点が(T2)と(T3)の総和において、300個以下が良好な表示品質を与え、200個以下では鮮明な黒の画像が認められ、表示に影響しないことが認められた。この評価において、上記◎の評価は同200個以下、○の評価は同200より多く300個以下の評価結果と一致している。
保護フィルムを構成する輝点の数は、表1と表2より同じ光学性能を発現するためにセルロースアセテートよりも、樹脂A及び樹脂Bの方がフィルム厚が薄く、かつリターデーション向上剤が少ないことが分かる。同時に輝点の数も少ないために保護フィルムとして明確に品質に優れていることが分かる。例えば、保護フィルムの試料112と試料153の比較において、リターデーションは同じ値を示すが、試料153の方が試料112に対して、フィルムが薄いために生産性に優れること、及び輝点の数が少なく画像に影響を与えないことが、液晶表示装置LCD−5よりもLCD−9の方が優れている要因となっている。
実施例2
LCD−14の偏光板Aに変えて、LCD−1に用いたの偏光板Aとこれに液晶セル側に位置する面にアクリル系粘着剤を介しRo=90nm、Rth=202nmを満たす保護フィルムを貼付した。また、LCD−14の偏光板Bにおいて、液晶セル側に位置する面にアクリル系粘着剤を介し、保護フィルム101を貼合した構成の液晶表示装置LCD−20を作製した。LCD−20の視野角特性はLCD−14の視野角特性をほぼ同等の性能を示した。しかしながら、変動試験1の評価を同等に行ったところ、コントラストの変動が著しく劣化し、環境変動試験1の評価は×となった。LCD−20は、偏光板Aおよび偏光板Bは、保護フィルム/偏光板/保護フィルムの構成に該粘着剤を介して、粘着剤層の増加は環境変動を劣化させた。
実施例3
〈配置構成の評価〉
LCD−4〜LCD−18は、配置構成aである。
表3で示した偏光板Aと偏光板Bを液晶セルに対して入れ替えて配置構成bを満たす液晶表示装置を作製した。このとき、LCD−4〜LCD−18の順に対応してLCD−54〜LCD−68を作製した。ここでLCD−54〜LCD−68の偏光子よりもセル側の保護フィルムは、対応するLCD−4〜LCD−18を入れ替える前と同様に液晶セル側にあるようにした。
作製したLCD−54〜LCD−68について、23℃の環境で表示装置を連続点灯させた。液晶セルの観察側の偏光板Aの表面温度を熱電対温度計で測定したところ、すべての液晶表示装置において35℃〜40℃の範囲にあった。一方、バックライト側の偏光板Bの表面温度は、すべての液晶表示装置において75℃〜80℃の間にあった。
配置構成aの液晶表示装置のLCD−4〜LCD−18は、この順に対応する配置構成bのLCD−54〜LCD−68よりも黒表示による画像のムラが少ないことが認められた。
偏光板保護フィルムかつ位相差フィルムである偏光板を液晶表示装置に設置する場合、Ro(T2)>Ro(T3)となるような構成が好ましく、これはバックライト由来の偏光板の加熱による影響が小さい配置構成aの方が好ましいことが分かる。
実施例4
本発明において、実施例1と同様にVA型液晶セル−2を作製した。液晶セルの厚さ方向のリターデーションは同測定の結果、R(cell)は405nmであった。このとき、本発明の構成を満たす液晶表示装置は、本発明の効果を上記と同様に発現出来、視野角、環境の変動によるコントラストの影響に関して優れた液晶表示装置を得られた。
実施例5
〈液晶テレビの視野角評価〉
富士通製15型液晶ディスプレイVL−1530Sにおいて同様に視野角評価を行った。該液晶ディスプレイに予め貼合されていた偏光板を剥がし、MVA型液晶セルの両面に配置構成aとなるように偏光板の透過軸が、予め貼合されていた偏光板の透過軸と同じ方向になるよう粘着剤を介して偏光板A及び偏光板Bを貼合し、上記と同様の評価を行った結果、本発明の範囲を満たす液晶表示装置は、本発明の効果を上記と同様に発現出来、視野角、環境の変動によるコントラストの影響に関して優れた液晶表示装置を得た。
本発明に係る液晶表示装置の一例を示す概略図である。 延伸工程での延伸角度を説明する図である。 本発明に用いられるテンター工程の1例を示す概略図である。 VA型液晶セルに用いられる基板Aの概略図である。

Claims (9)

  1. 液晶表示セルの観察面に偏光板A及びバックライト側に偏光板Bが配置された液晶表示装置において、偏光板Aは、偏光板保護フィルム(T1)/偏光子/偏光板保護フィルム(T2)で構成され、(T2)が液晶表示セル面に存在し、かつ偏光板Bは、偏光板保護フィルム(T3)/偏光子/偏光板保護フィルム(T4)で構成され、(T3)が液晶表示セル面に存在した構成を有し、下記関係を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
    偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)は、
    Rth(T2)>Rth(T3)である時
    3.0≦[Rth(T2)/Ro(T2)]<5.3
    かつ、20(nm)<Ro(T2)≦120(nm)
    かつ、0(nm)≦Ro(T3)≦20(nm) を満たすこと、
    或いは、
    Rth(T3)>Rth(T2)である時
    3.0≦[Rth(T3)/Ro(T3)]<5.3
    かつ、20(nm)<Ro(T3)≦120
    かつ、0(nm)≦Ro(T2)≦20(nm) を満たす。
    ここでRo(T2)、Rth(T2)、Ro(T3)、Rth(T3)、は各々590nmの下記式で表されるリターデーション値であり、各々23℃、55%RHの環境下の測定値である。
    式 Ro(T2)=(nx(T2)−ny(T2))×d(T2)
    式 Rth(T2)={(nx(T2)+ny(T2))/2−nz(T2)}×d(T2)
    式 Ro(T3)=(nx(T3)−ny(T3))×d(T3)
    式 Rth(T3)={(nx(T3)+ny(T3))/2−nz(T3)}×d(T3)
    (式中、nx(T2)はフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、ny(T2)はフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nz(T2)はフィルムの厚み方向の屈折率であり、d(T2)はフィルムの厚さを表す。
    nx(T3)はフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、ny(T3)はフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nz(T3)はフィルムの厚み方向の屈折率であり、d(T3)はフィルムの厚さを表す。)
  2. 偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)が下記の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
    Rth(T2)>Rth(T3)>0である時、
    0(nm)<Ro(T3)≦5(nm)であり、かつ下記(1)、(2)の少なくとも1項を満たす。
    (1) 3.0<[Rth(T2)/Ro(T2)]<4.0
    (2) 40(nm)<Ro(T2)≦95(nm)
    または、
    Rth(T3)>Rth(T2)>0である時、
    0(nm)<Ro(T2)≦5(nm)であり、かつ下記(3)、(4)の少なくとも1項を満たす。
    (3) 3.0<[Rth(T3)/Ro(T3)]<4.0
    (4) 40(nm)<Ro(T3)≦95(nm)
  3. 液晶セルの厚さ方向のリターデーション値をRth(cell)とした時、Rth(cell)は300nmより高く450nm以下の値であり、かつ前記偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)の厚さ方向のリターデーション値の和と液晶表示装置の厚さ方向とのリターデーション値との比を[Rth(T2)+Rth(T3)]/Rth(cell)とする時、該比が0.8以上1.2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記偏光板保護フィルム(T1)、(T2)、(T3)、(T4)の少なくとも1つがセルロースアシレート誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記セルロースアシレート誘導体がセルロースアセテートでかつ酢化度が59.0〜61.5%であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
  6. 前記セルロースアシレート誘導体がセルロースアセテートプロピオネートであり、総アシル基置換度が2.5〜2.9の範囲かつアセチル基置換度が1.4〜2.3の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
  7. 前記偏光板保護フィルム(T2)及び偏光板保護フィルム(T3)を2枚の偏光子間に設置した時に観察される該偏光板保護フィルム(T2)及び(T3)の輝点数の和が、フィルム250mm2当たり50μmを越える大きさの輝点数の和が0個、かつ5〜50μmの大きさの輝点数の和が300個以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記液晶表示装置が垂直配向モードであり、マルチドメイン型であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置が偏光板A及び偏光板Bを各々1枚ずつ併用することを特徴とする偏光板セット。
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