JP4074762B2 - 光学補償フィルムおよびその製造方法、円偏光板、画像表示装置 - Google Patents

光学補償フィルムおよびその製造方法、円偏光板、画像表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースアセテートを始めとするポリマー素材からなり、優れた諸物性を有する光学補償フィルムに関し、さらには円偏光板、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた表示装置、タッチパネル等に関する。
【0002】
【従来の技術】
λ/4板は、反射防止膜や液晶表示装置に関連する多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。しかし、λ/4板と称していても、ある特定波長でλ/4やλ/2を達成しているものが大部分であった。
特開平5−27118号および同5−27119号の各公報には、レターデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板が開示されている。二枚のフイルムのレターデーションの差が可視光域の全体にわたりλ/4であれば、位相差板は理論的には、可視光域の全体にわたりλ/4板として機能する。
【0003】
特開平10−68816号公報に、特定波長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板が開示されている。
特開平10−90521号公報にも、二枚のポリマーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板が開示されている。
国際公開WO00/26705号には変成ポリカーボネイトを延伸したλ/4位相差板が開示されている。
これらのλ/4位相差板をいろいろな環境で使用したところ、色味の変化が発現し改善が望まれていた。さらにこのような色味の変化は幅方向で分布があり、これが色味のむらとなり改善が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、使用環境で色味の変化が少なく、かつ場所による色味のむらを発生せず、視野角の大きい光学補償フィルム、特に一枚型広帯域λ/4板、さらには円偏光板、およびそれを用いた画像表示装置、およびそれらを工業規模で安定して製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(15)により達成された。
(1)波長550nmで測定したレターデーションが30nm以上300nm以下であって、(A)2nm/%rh以下であるレターデーションの湿度変化率、(B)少なくとも一方が7.5×10-3%/%rh以下であるMD、TD湿度寸法変化率、(C)0.35%/分以下である脱湿速度、(D)1.5nm/℃以下であるレターデーションの温度変化率、および(E)少なくとも一方が3.5×10-4%/℃以下であるMD、TD熱膨張係数から選ばれた少なくとも一つの物性を有することを特徴とする光学補償フィルム。
(2)波長550nmで測定したレターデーション値、Re550が30nm以上300nm以下であって、
(a)Re550の湿度変化率、(b)MD、TD湿度寸法変化率、(c)脱湿速度、(d)Re550の温度変化率、(e)MD、TD熱膨張係数から選ばれた少なくとも一つの物性の幅方向のばらつきが30%以下であることを特徴とする光学補償フィルム。
(3)前記(A)〜(E)の各物性から選ばれた少なくとも一つの物性の幅方向のばらつきが30%以下であることを特徴とする光学補償フィルム。
(4)前記(A)〜(C)の各物性を兼ね備えて有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の光学補償フィルム。
(5)前記(D)、(E)の各物性を兼ね備えて有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の光学補償フィルム。
(6)前記光学補償フィルムの厚さが、50μm以上300μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の光学補償フィルム。
(7)波長550nmで測定したレターデーション値、Re550が80nm≦Re550≦330nm、ヘイズ値HZが0%以上2%以下であり、前記波長550nmで測定したレターデーション値、Re550に対する、波長450nmで測定したレターデーション値、Re450、および波長650nmで測定したレターデーション値、Re650の比が、それぞれ0.5<Re450/Re550<0.98、1.01<Re650/Re550<1.35であり、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1.1<(nx−nz)/(nx−ny)≦3の関係を満足することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の光学補償フィルム。
(8)前記光学補償フィルムのポリマー素材が、セルロースアセテートであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の光学補償フィルム。
(9)前記ポリマー素材のセルロースアセテートが、その酢化度が57.0乃至62.5%であり、かつ該セルロースアセテート100質量部に対して、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物を0.01乃至10質量部含むことを特徴とする上記(8)に記載の光学補償フィルム。
【0006】
(10)波長550nmで測定したレターデーションが30nm以上300nm以下の光学補償フィルムの製造方法において、下記(a)〜(g)から選ばれた少なくとも一つの未延伸フィルムの延伸に係わる条件を満たして未延伸フィルムの延伸が行われることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
(a) 降伏応力が4.5kg/mm2以上10kg/mm2以下の未延伸フィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸する。
(b) 破断伸度が20%以上100%以下の未延伸フィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸する。
(c) 未延伸フィルムを、含水率2%以上10%以下で、Tg−60℃以上Tg−20℃以下で1.1倍以上2倍以下に多段延伸する。
(d) 未延伸フィルムを延伸した後、50℃以上150℃以下で、0.5分以上60分以下、30%rh以下で、2kg/m以上20kg/m以下の張力で搬送しながら再度延伸する。
(e) 未延伸フィルムを、2段以上10段以下の多段で、1.1倍以上2倍以下に延伸し、最後段の延伸倍率がその前段の倍率より低くなるように延伸する。
(f) 未延伸フィルムの幅をW、ニップロール間距離をLとしたときに、未延伸フィルムをアスペクト比が0.3≦L/W≦2で1.1倍以上2倍以下に延伸した後、50cm以下の間隔で配置した2本以上のロールに通すことにより延伸する。
(g) 未延伸フィルムを1.1倍以上2倍以下に延伸した後、冷却速度0.1℃/分以上2℃/秒以下、または好ましくは0.3℃/分以上1.5℃/秒以下、またはさらに好ましくは0.5℃/分以上1℃/秒以下で冷却する。
【0007】
(11)波長550nmで測定したレターデーションが30nm以上300nm以下であって、(イ)レターデーションの湿度変化率が2nm/%rh以下である特性、(ロ)脱湿速度が1.5%/日以下である特性、および(ハ)レターデーションの温度変化率が1nm/℃以下である特性から選ばれた少なくとも一つの特性を有する円偏光板。
(12)前記(イ)〜(ハ)の各特性を兼ね備えて有することを特徴とする上記(11)に記載の円偏光板。
(13)上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の光学補償フィルムを、その遅相軸が偏光膜の透過軸と実質的に45°となるように貼り合わされたことを特徴とする円偏光板。
(14)上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の光学補償フィルム、および上記(11)〜(13)のいずれか一つに記載の円偏光板の少なくともいずれか一方を用いたことを特徴とする画像表示装置。
(15)上記(14)に記載の画像表示装置が反射型液晶表示装置、有機EL素子を用いた表示装置、またはタッチパネル付き画像表示装置であることを特徴とする上記(14)に記載の画像表示装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
発明者の鋭意研究により、レターデーションの環境依存性を小さくし、上記本発明の課題を解決する手法を見出した。即ち、環境変化に対応するために、▲1▼レターデーションの湿度変化率、▲2▼湿度寸法変化率、▲3▼脱湿速度、▲4▼レターデーションの温度変化率、▲5▼熱膨張係数をそれぞれ小さくし、本発明の範囲にすることで上記本発明の課題を達成できることを見出した。
【0009】
上記▲1▼は、未延伸フィルムの降伏応力が5kg/mm2以上10kg/mm2以下、より好ましくは6kg/mm2以上9kg/mm2以下、さらに好ましくは6.5kg/mm2以上9.5kg/mm2以下の原反を延伸することで達成できる。即ち延伸は降伏応力を越えて実施されるが、本発明の上記降伏応力とすることで分子鎖を配向させることにより分子の運動性を規制し、湿度でレターデーションが変動するのを防止している。これによりレターデーションの湿度変化を2nm/%rh以下、より好ましくは1nm/%以下、さらに好ましくは0.7nm/%rh以下、特に好ましくは0.5nm/%rh以下にすることができる。
上記▲2▼は、未延伸フィルムの破断伸度が20%以上100%以下、より好ましくは25%以上80%以下、さらに好ましくは30%以上70%以下の原反を延伸することで達成できる。即ち本発明のものは適度に分子間の絡み合いが生成しており、これが吸湿により光学補償フィルムが膨張し、レターデーション発現性が変化するのを防止しているためと予想される。これにより湿度寸法変化率を7.5×10-3%/%rh以下、より好ましくは7×10-3%/%rh以下、さらに好ましくは6×10-3%/%rh以下、特に好ましくは5×10-3%/%rh以下にすることができる。
上記▲3▼は、含水率2%以上10%以下でTg−60℃以上Tg−20℃以下で多段延伸することで達成される。より好ましくは含水率2.5%以上8%以下でTg−60℃以上Tg−30℃以下で2〜10段延伸する。さらに好ましくは含水率3%以上6%以下でTg−60℃以上Tg−40℃以下で2〜7段延伸する。但し最後段の延伸倍率はその前の倍率より低くする必要がある。このような湿度存在下で延伸することで、あらかじめ水による構造変化を小さくすることができ、水の出入りを遅くできるためと予想できる。さらに最後段の倍率を低くし、急激に延伸応力を開放しない方が、この構造をより形成しやすい(急激な応力の開放のショックでこの構造を乱し易い)と推定される。これにより脱湿速度を0.35%/分以下、より好ましくは0.3%/分以下、さらに好ましくは0.2%/分以下、特に好ましくは0.15%/分以下にすることができる。
【0010】
上記▲4▼は、アスペクト比が0.3≦L/W≦2、より好ましくは0.4≦L/W≦1.5、さらに好ましくは0.5≦L/W≦1で延伸した後、50cm以下の間隔で配置した2本以上のロールを通すことで達成される。延伸は2対以上のニップロールを用い、入口側の周速より出口側の周速を大きくすることで達成されるが、このニップロール間距離をL、延伸前の光学補償フィルムの幅をWとした場合アスペクト比はL/Wで表される。このようにニップロール間隔の狭いところで延伸することでネックイン(幅方向の収縮)を抑制し、幅方向にもより緊張した分子構造を形成できる。さらに延伸後に間隔の狭いロール間を通すことで、ロールとフィルムの摩擦で幅方向の収縮を抑制し、より緊張した分子構造を形成するため、レターデーションの温度変化を小さくできるものと推定する。
この結果レターデーション温度変化率を1.5nm/℃以下、より好ましくは1nm/℃以下、さらに好ましくは0.8nm/℃以下、特に好ましくは0.6nm/℃以下にすることができる。
上記▲5▼は、延伸後の冷却速度を0.1℃/分以上2℃/秒以下、より好ましくは0.3℃/分以上1.5℃/秒以下、さらに好ましくは0.5℃/分以上1℃/秒以下で行うことで達成される。即ち延伸後に急冷するとフィルム内部の残留応力が残りやすく、これが熱膨張を助長するためと予想される。従って本発明の範囲で冷却するのが好ましい。これによりMD、TDの少なくとも一方の熱膨張係数が3.5×10-4%/℃以下、より好ましくは3×10-4%/℃以下、特に好ましくは2.5×10-4%/℃以下、さらに好ましくは2×10-4%/℃以下とすることができる。
【0011】
上記▲1▼から▲5▼の物性値の幅方向の分布を小さくするとして好ましくは、延伸後50℃以上150℃以下で10秒以上10分以下、より好ましくは60℃以上140℃以下で20秒以上7分以下、さらに好ましくは70℃以上120℃以下で30秒以上5分以下熱処理を行うことで達成される。即ちこの間に焼き鈍しのように幅方向の物性むらを均一化させるものと推定される。この間の搬送張力は2kg/m以上20kg/m以下で行うのが好ましい。
さらに、これらの▲1▼から▲5▼の物性を有する光学補償フィルムの波長550nmで測定したレターデーションは30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは70nm以上250nm以下、さらに好ましくは100nm以上200nm以下である。
以下にフィルムの調製から順を追って説明を加える。
【0012】
[ポリマー素材]
本発明で用いるフィルムのポリマー素材としては、100μmに製膜した時の光線透過率が85%以上の熱可塑性ポリマーを用いるのが好ましい。さらにガラス転位温度(Tg)が100℃以上300℃以下のものが好ましい。さらにより良好な平面性を得るために溶液流延製膜できるものが好ましい。
これらを満足するものとしてセルロースアセテートに代表されるセルロースアシレート、ポリノルボルネン、ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等が上げられる。またこれらの変成物も好ましく用いられる(例えばポリカーボネイトにフルオレン基を導入したWO00/26705号に記載の化合物)。これらのなかで、より好ましいのがセルロースアシレート、ポリノルボルネン、ポリカーボネイトおよびこの変成物であり、さらに好ましいのがセルロースアセテート、ポリカーボネイトの変成物である。
なかでも好ましいのがセルロースアシレートフイルムである。本発明で用いるセルロースアシレートフイルムとして、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
これらの中でより好ましいのがトリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースであり、とくに好ましいのが、酢化度が57.0乃至62.5%であるセルロースアセテートである。さらに好ましいの酢化度が58.0乃至62.0%のセルロースアセテートである。
酢化度とは、セルロース単位重量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.4乃至1.6であることが最も好ましい。
【0013】
[レターデーション上昇剤]
各波長におけるレターデーション値を調整するため、レターデーション制御剤をセルロースアシレートに添加するのが好ましい。
レターデーション制御剤は、ポリマー素材100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05〜8.0質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜7.0質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上のレターデーション制御剤を併用してもよい。
【0014】
レターデーション制御剤は、210〜360nmの波長領域に最大吸収波長を有することが好ましい。また、レターデーション制御剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
レターデーション制御剤は、少なくとも二つの「芳香族環」を有する化合物を用いることが好ましい。この「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
【0015】
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環であり、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0016】
芳香族環の具体例として、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
これらの芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
このようなレターデーション制御剤は、下記(イ)板状化合物、(ロ)棒状化合物のいずれを用いても良い。これらは単独で用いても、混合して用いても良い。
【0017】
(イ)板状化合物
この化合物には2対上の芳香族環を含むが、これらの二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)が、結合関係は(a)〜(c)のいずれでもよい。
【0018】
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
【0019】
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二つ以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
【0020】
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
【0021】
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
【0022】
上記置換基のアルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0023】
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0024】
アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
【0025】
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。
【0026】
レターデーション制御剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。このような板状のレターデーション制御剤の具体例は国際特許出願公開WO00/65384号等に記載されている。
【0027】
(ロ)棒状化合物
本発明では、250nmよりも短波長側に吸収極大を有する棒状化合物をレターデーション制御剤として用いることも好ましい。
レターデーション制御剤の機能の観点では、棒状化合物は、少なくとも一つの芳香族環を有することが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有することがさらに好ましい。
【0028】
棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造の角度が140度以上であることを意味する。
【0029】
棒状化合物としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
式(I):Ar1 −L1 −Ar2
上記式(I)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0030】
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N'−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)および非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
【0031】
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が挙げられる。
アルキル置換アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。
アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
【0032】
式(I)において、L1 は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることがさらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好ましい。
【0033】
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましく、2乃至8であることがより好ましく、2乃至6であることがさらに好ましく、2乃至4であることがさらにまた好ましく、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も好ましい。
【0034】
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
【0035】
式(I)の分子構造において、L1 を挟んで、Ar1 とAr2 とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式(II)で表される化合物がさらに好ましい。
式(II):Ar1 −L2 −X−L3 −Ar2
上記式(II)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、式(I)のAr1 およびAr2 と同様である。
【0036】
式(II)において、L2 およびL3 は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、1乃至8であることがより好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることがさらにまた好ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。
2 およびL3 は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
【0037】
式(II)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。
以下に、式(I)で表される化合物の具体例を示す。
【0038】
【化1】
Figure 0004074762
【0039】
【化2】
Figure 0004074762
【0040】
【化3】
Figure 0004074762
【0041】
【化4】
Figure 0004074762
【0042】
【化5】
Figure 0004074762
【0043】
【化6】
Figure 0004074762
【0044】
【化7】
Figure 0004074762
【0045】
【化8】
Figure 0004074762
【0046】
【化9】
Figure 0004074762
【0047】
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1-trans)とシス型(1-cis)とを、以下に示す。
【0048】
【化10】
Figure 0004074762
【0049】
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
【0050】
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
【0051】
(具体例のスペクトル測定)
前記のレターデーション制御剤(10-trans)の紫外・可視領域(UV−vis)スペクトルを測定した。レターデーション制御剤(10-trans)を、テトラヒドロフラン(安定剤(BHT:ブチル化ヒドロキシトルエン)なし)に溶解し、濃度が10-5mol/dm3 になるように調整した。このように調整した溶液を、測定機(日立製作所(株)製)で測定したところ、吸収極大を与える波長(λmax)は220nmであり、そのときの吸光係数(ε)は15000であった。同様に、レターデーション制御剤(29-trans)では、吸収極大を与える波長(λmax)は240nmであり、そのときの吸光係数(ε)は20000であった。同様に、レターデーション制御剤(41-trans)では、吸収極大を与える波長(λmax)は230nmであり、そのときの吸光係数(ε)は16000であった。
【0052】
本発明では、レターデーション制御剤は、単独で用いても、2種類上の化合物を混合して用いてもよい。
【0053】
[製膜]
▲1▼ドープの調製
ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0054】
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0055】
一般的な方法で流延用ポリマー溶液(ドープ)を調製できる。溶液の調製は通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。溶解には有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
溶解するポリマー量は、溶液中に10乃至40質量%、より好ましくは10乃至30質量%である。この有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でポリマーと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
【0056】
ポリマーフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、ポリマーの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
ポリマーフイルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
【0057】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0058】
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。これはフィルムのポリマー素材としてセルロースアシレートを用いた場合、特に有効である。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。
セルロースアシレートの量は、この混合物中に10乃至40質量%含まれるように調整することが好ましく、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0059】
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0060】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアシレート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0061】
▲2▼流延
調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
また、調整したポリマー溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延でフィルム化すべく、ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを作製してもよい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0062】
ここで得られたポリマー溶液は、2層以上の複数のセルロースアシレート溶液を流延するが、複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からポリマー溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。
或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことでより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号に記載されている方法である。
流延するポリマー溶液は同一の溶液でもよいし、異なるポリマー溶液でもよく特に限定されない。複数のポリマー層に機能(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を持たせるために、その機能に応じたポリマー溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。また、製造時のハンドリング性向上のために、片面または両面にマット剤とポリマーを含有するマット層を設けてもよい。マット剤およびポリマーについては特開平10−44327に記載されている素材を好適に用いることができる。
【0063】
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のポリマー溶液を押出すことが必要であり、その場合ポリマー溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のポリマー溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なポリマー溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
【0064】
このように流延したポリマーを本発明では、降伏応力が5kg/mm2以上10kg/mm2以下、より好ましくは6kg/mm2以上9kg/mm2以下、さらに好ましくは6.5kg/mm2以上9.5kg/mm2以下にすることが好ましい。即ちこのような降伏応力はフィルム中に形成される結晶量により制御される。溶液流延法では溶剤存在下で溶液結晶化が進むため、残留溶剤量とその時の温度により制御される。即ちこのような物性を達成するには、バンドあるいはドラムから剥取った時の残留溶剤を10%以上50%以下、より好ましくは10%以上45%以下、さらに好ましくは10%以上40%以下とした後、100℃以上150℃以下で10分以上200分以下、より好ましくは20分以上120分以下熱処理するのが好ましい。このとき、残留溶剤の蒸発潜熱によりフィルムの温度が低下し易いため、大量の送風を行うことが好ましく、フィルム面上で1〜10m/秒の風速で送風することが好ましい。
さらにフィルムの破断伸度が20%以上100%以下、より好ましくは25%以上80%以下、さらに好ましくは30%以上70%以下にすることが好ましい。これは上記熱処理中の搬送張力により制御でき、好ましい張力は2kg/m以上20kg/m以下であり、より好ましくは3kg/m以上18kg/m以下、さらに好ましくは4kg/m以上16kg/m以下である。さらに熱処理後に水蒸気に曝すのも好ましい。好ましい水蒸気温度は100℃以上160℃以下、より好ましくは110℃以上150℃以下、さらに好ましくは115℃以上145℃以下、処理時間は0.2秒以上30秒以下であり、より好ましくは0.5秒以上20秒以下であり、さらに好ましくは0.7秒以上15秒以下である。
本発明の流延速度は3m/分以上100m/分以下が好ましく、より好ましくは5m/分以上80m/分以下であり、さらに好ましくは10m/分以上70m/分以下である。
【0065】
[延伸方法]
延伸前に上記方法で製膜したポリマーフィルムの含水率を2%以上10%以下、より好ましくは2.5%以上8%以下、さらに好ましくは3%以上6%以下とする。ポリマーフィルムへの含水は、延伸前に該ポリマーフイルムを水中に浸漬してもよく、水蒸気に曝しても良い。水中に浸漬する場合、水温は60℃以上100℃が好ましく、より好ましくは70℃100℃以下、さらに好ましくは80℃以上100℃以下である。これを張った水槽内を搬送させながら0.1分から20分、より好ましくは0.2分から10分、さらに好ましくは0.5分から5分間、ポリマーフィルムを搬送させることで含水させることができる。水蒸気に曝す場合は、60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上140℃以下、さらに好ましくは75℃以上130℃以下で、相対湿度70%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは85%以上100%以下の水蒸気に、0.1分から20分、より好ましくは0.2分から10分、さらに好ましくは0.5分から5分間、ポリマーフィルムを曝す。これは上記条件の水蒸気を満たした部屋の中を搬送させることで含水させることができる。これらの浸漬、水蒸気曝気に用いる水は実質的に水でれば良い。実質的に水とは60wt%以上が水からなるものを指し、水以外に有機溶剤、可塑剤、界面活性剤等を含んでも良い。好ましい有機溶剤として炭素数が1から10の水溶性有機溶剤が挙げられる。但し、最も好ましいのは、純水を用いたものである。
このような方法は、組みあわせて実施しても良く、単独で用いても良い。中でも好ましいのが、水蒸気法単独で実施する方法である。
【0066】
このようにして含水させたポリマーフィルムを延伸する前に、このフィルム表面に実質的に水膜が形成されていないようにすることは本発明において好ましい。上述の含水処理で、表面に水膜が形成されやすいが、これが残っていると延伸で用いるニップロールの間でスリップし、所望の倍率に延伸できないばかりか、擦り傷が発生し易いためである。
本発明でいう「実質的に水膜が形成されていない」とは、フィルム上に濾紙を押し当て、濾紙が吸水した面積を計測し、全面積の30%以下である状態を指す。
このような水膜の除去は、含水処理後にエアナイフから吹き出す気体を用いて表面の水分を吹き飛ばすことが好ましく用いられる。この際、エアナイフから吹き出す気体が乾燥空気であると、フィルム中の水分が揮散し易いため、相対湿度70%以上100%以下の空気を吹き付けることが好ましい。また、ゴムブレード等で表面の水をかき取っても良く、吸水性の布を表面に被覆したロールと接触させることで拭き取っても良い。これらは単独で実施しても良く、組み合わせて実施しても良い。中でも好ましいのが、エアナイフによる方法である。
このような水膜の除去も相対湿度70%以上100%以下の雰囲気としたケーシング内で実施するのが好ましい。このケーシング内の温度も60℃以上150℃以下にされていることが好ましい。
【0067】
上述の方法で含水率を2%以上10%以下、より好ましくは含水率2.5%以上8%以下、さらに好ましくは含水率3%以上6%以下としたポリマーフィルムを、Tg−60℃以上Tg−20℃以下、より好ましくはTg−60℃以上Tg−30℃以下、さらに好ましくはTg−60℃以上Tg−40℃以下で延伸する。このような延伸は、断熱材で作ったケーシング内に2対以上のニップロールを設置し、この中に所定の温湿度に調製した風を導入することで達成できる。温湿度の調製は、水蒸気と外気を混合することで調製でき、さらにこれにヒーターを用いて調整しても良い。
延伸中の温度は、幅方向、長手方向均一に行うのが一般的であるが、本発明では少なくとも片方に温度差を設けるのが好ましい。好ましい温度差は1℃以上20℃以下、より好ましくは2℃以上17℃以下、さらに好ましくは2℃以上15℃以下である。延伸の際幅方向の中央部は両端に規制され延伸されにくいが、端部は一方しか規制されておらず延伸により配向が進みやすい。この対策として、両端の温度を中央部より上記のように高くすることが好ましい。これにより幅方向の物性値の分布を小さくできる。
延伸は多段で行うことが好ましく、より好ましくは2段から10段であり、さらに好ましくは2段から7段である。延伸は入口側(前段)のニップロールの回転数より出口側(後段)のニップロールの回転数を速くすることで実施できる。後段の回転速度(ロール直径に回転数をかけたもの)の前段の回転速度の比を延伸倍率とする。多段延伸の場合、格段の延伸倍率の積を延伸倍率とするが、好ましい延伸倍率は1.1倍以上2倍以下、より好ましくは1.2倍以上1.8倍以下、さらに好ましくは1.3倍以上1.7倍以下である。このような多段延伸は3対以上のニップロールをタンデムに配置して実施する。これらは連続して実施してもよく分割して実施しても良いが、より好ましいのが連続で実施するものである。多段延伸ではこれらの延伸倍率を独立に設定できるが、ポイントは最後段の延伸倍率をその前段の倍率より低くすることである。より好ましくは、最大延伸倍率の後、2段以上にわたり徐々に延伸倍率を低下させるものである。これにより急激に延伸応力を開放しないことがポイントである。このような多段延伸の合計時間は1〜30秒、より好ましくは2〜25秒、さらに好ましくは3〜20秒で実施されることが好ましい。
延伸に用いるニップロールは2本のロールから形成されるが、片方あるいは両方がゴムで被覆されていることが好ましい。本発明では延伸フィルム中の含水率が高く、スリップし易いため、ゴムで被覆したものを用いるのが好ましい。ゴムの材質は天然ゴム、合成ゴム(ネオプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム)が挙げられる。好ましい被覆ゴムの厚みは1mm以上50mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以上40mm以下、さらに好ましくは3mm以上30mm以下である。
ニップロールの直径は5cm以上100cm以下が好ましく、より好ましくは10cm以上50cm以下、さらに好ましくは15cm以上40cm以下である。
このようなニップロールは中空にして内部から温調できるようにしたものも好ましい。
【0068】
本発明ではニップロールの間隔は、アスペクト比L/W(延伸するポリマーフイルムの幅をWとニップロール間距離Lの比)が0.3≦L/W≦2であることが好ましく、より好ましくは0.4≦L/W≦1.5、さらに好ましくは0.5≦L/W≦1である。通常アスペクト比は2を越える領域で用いるのが一般的であるが、本発明ではにニップロール間隔の狭いところで延伸することでネックイン(幅方向の収縮)を抑制し、幅方向にもより緊張した分子構造を形成することが特徴である。多段延伸の場合、このようなアスペクト比は各段において実施することが好ましい。
【0069】
ニップロールのニップ圧は、1m幅当たり0.5t以上20t以下が好ましく、1t以上10t以下がより好ましく、2t以上7t以下がさらに好ましい。
本発明では、延伸が50℃以上150℃以下、より好ましくは60℃以上140℃以下、さらに好ましくは70℃以上130℃以下で実施するのが好ましい。温度は、幅方向、長手方向均一に行うのが一般的であるが、本発明では少なくとも片方に温度差を設けるのが好ましい。好ましい温度差は1℃以上20℃以下、より好ましくは2℃以上17℃以下、さらに好ましくは2℃以上15℃以下である。また、延伸は、1〜30秒、より好ましくは2〜25秒、さらに好ましくは3〜20秒で実施されることが好ましい。
本発明におけるような含水率を有するフィルムは、ガラス転位温度(Tg)が低下しており、弱い応力で延伸することができるが、ネックインを生じやすく、延伸ムラを発生し易い。これを防ぐため、下記のように温度分布を付与することが有効である。
【0070】
▲1▼長手方向の温度分布
ニップロール延伸では、上流側のニップロール出口(即ち延伸開始点)に応力が集中し易く、ここで集中的に延伸され、均一延伸されにくい。即ち、全領域にわたって均一延伸するため、延伸部の平均温度(即ち延伸部の長手方向中央の温度)より、上流側ニップロール直後の温度を、上記の温度だけ低くすることが好ましい。このような温度分布は、上流側のニップロールを温調ロールとしこの温度を下げることでも実施できるし、長手方向に沿って設置した分割熱源(IRヒーター等の放射熱源や、複数のい吹き出し口を設けた熱吹き出し口)を用いることで達成できる。
【0071】
▲2▼幅方向の温度分布
本発明におけるような小さなアスペクト比での延伸では、幅方向で延伸ムラが発生し易い。即ち、両端が中央部に比べ延伸されやすい。従って、両端の温度を幅方向中央部に比べ上記の温度だけ高くすることが好ましい。このような温度分布は、幅手方向に沿って設置した分割熱源(IRヒーター等の放射熱源や、複数のい吹き出し口を設けた熱吹き出し口)を用いることで達成できる。
【0072】
延伸後50cm以下、より好ましくは40cm以下、さらに好ましくは30cm以下の間隔で配置した2本以上、より好ましくは2本以上10本以下、さらに好ましくは3本以上8本以下のロールを通すことで、さらに幅方向の収縮を抑制し幅方向にもより緊張した分子構造を形成することができる。
このような延伸後50℃以上150℃以下で10秒以上10分以下、より好ましくは60℃以上140℃以下で20秒以上7分以下、さらに好ましくは70℃以上120℃以下で30秒以上5分以下熱処理を行うことで達成される。この熱処理は低湿で行うのが好ましく、30%rh以下の度が好ましく、より好ましくは20%rh以下、さらに好ましくは10%rh以下である。即ちこの間に焼き鈍しのように幅方向の物性むらを均一化さるのが狙いである。この間の搬送張力は2kg/m以上20kg/m以下で行うのが好ましい。
【0073】
このような延伸・熱処理に引き続き、ゆっくり冷却することが好ましく、好ましい冷却速度は0.1℃/分以上2℃/秒以下、より好ましくは0.3℃/分以上1.5℃/秒以下、さらに好ましくは0.5℃/分以上1℃/秒以下である。延伸後に急冷するとフィルム内部の残留応力が残りやすく、これが熱膨張を助長するためである。ここでいう冷却速度とは、延伸温度から延伸温度−50℃の間の平均速度を指す。このような徐冷は温度勾配をつけた複数のケーシングの中を通すことでも、温度勾配を付けたケーシング内(例えば入口側、出口側に送風口を設け、入口側から高温、出口側から低温の風を吹き込む)を通すことで達成できる。
延伸後の好ましいフィルム幅は0.6m以上5m以下であり、より好ましくは1.1m以上4m以下、さらに好ましくは1.2m以上3m以下である。このような幅することでより延伸を均一にすることができ、幅方向の物性の分布を小さくできる。これは、延伸中、中央部は両端に拘束され延伸方向に応力が働くが直交方向にも応力が働く。一方、両端部では片端が拘束されないため、中央部に比べ直交方向の応力が弱い。この差が物性値の差となる。この両端部の比率はフィルム幅が狭いとき大きくなりやすく、幅方向の分布が大きくなる。従って本発明ではこのような範囲が好ましい。
延伸に用いる延伸前のフィルムの厚みは60μm以上400μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以上350μm以下、さらに好ましくは80μm以上300μm以下である。延伸後の厚みは50μm以上300μm以下が好ましく、より好ましくは60μm以上250μm以下、さらに好ましくは70μm以上200μm以下である。
【0074】
[ポリマーフイルムのレターデーション]
このような延伸によりレターデーションを30nm以上300nm以下とすることができる。ここでいうレターデーションとは面内方向に波長550nmで測定した値を指す。
ポリマーフイルムをλ/4板として使用する場合は、80nm以上200nm以下が好ましく、より好ましくは90nm以上170nm以下、さらに好ましくは110nm以上150nm以下である。λ/2板として使用する場合は、200nm以上300nm以下であり、より好ましくは220nm以上295nm以下であり、さらに好ましくは240nm以上290nm以下である。
λ/4板、λ/2板として使用する場合、いずれも、波長450nm、550nm、650nmで測定したレターデーション値Re450、Re550、Re650の比がそれぞれ0.5<Re450/Re550<0.98、1.01<Re650/Re550<1.35であることが好ましい。より好ましくは0.6<Re450/Re550<0.95、1.05<Re650/Re550<1.3、さらに好ましくは0.7<Re450/Re550<0.9、1.1<Re650/Re550<1.25である。このような波長依存性は、上述のレターデーション上昇剤の添加量を制御することで達成できる。
これらのレターデーション値(Re)は、下記式に従って算出する。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、位相差板の厚さ(nm)である。
さらに本発明に用いられるポリマーフイルムは下記式を満足することが好ましく、
1.1<(nx−nz)/(nx−ny)≦3
より好ましくは
1.4<(nx−nz)/(nx−ny)≦2.5
さらに好ましくは
1.55<(nx−nz)/(nx−ny)≦2
である。
式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率であり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、nzは、厚み方向の屈折率である。
本発明に用いられるポリマーフイルムのヘイズ値HZは0%以上2%以下であることが好ましく、より好ましくは0%以上1.5%以下、さらに好ましくは0%以上1%以下である。
【0075】
[ポリマーフイルムの表面処理]
ポリマーフイルムには、表面処理を施してもよい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。
フイルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてポリマーフイルムの温度をガラス転位温度(Tg)以下とすることが好ましい。
これらの処理の中で、偏光板の透明保護膜として使用する場合、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理を実施することが特に好ましく、さらに好ましいのがアルカリ処理(アルカリ鹸化)である。この方法はポリマーフィルムがセルロースアシレートフイルムの場合に特に有効である。
アルカリ鹸化は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1N乃至3.0Nであることが好ましく、0.5N乃至2.0Nであることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温乃至90℃の範囲が好ましく、40℃乃至70℃がさらに好ましい。これらのアルカリ溶液は水溶液でも良く、有機溶剤でも良い。有機溶の場合、低級アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数が1から5のアルコールあるいはグリコールであり、より好ましくはエタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールである。さらに好ましくはiso-プロパノール、プロピレングリコールである。これらは混合して使用しても良い。さらに水や界面活性剤を添加しても良い。
好ましい例として下記溶液にアルカリを溶解したものを挙げることができる。
iso-プロパノール/プロピレングリコール/水(70/15/15:体積比)
iso-プロパノール/水(85/15:体積比)
iso-プロパノール/プロピレングリコール(85/15:体積比)
iso-プロパノール
これらのアルカリ溶液に浸漬しても良く、塗布(バー塗布、カーテン塗布等)しても良い。
本発明では、ポリマーフイルムとその上に設けられる層(接着層、配向膜、あるいは光学異方性層)との接着を改善するために、特開平7−333433号公報に記載のような接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層の厚みは0.1乃至2μであることが好ましく、0.2μ乃至1μであることがさらに好ましい。
【0076】
[円偏光板]
円偏光板は、偏光板と上記方法で延伸したポリマーフィルムからなる光学補償フィルムを組み合わせることで達成できる。即ちガラス基板上に上記光学補償フィルムを粘着剤を用いて貼り付け、この光学補償フィルムの延伸軸と偏光板の透過軸が45度になるように張り合わせる。
この結果、この円偏光板のレターデーションが30nm以上300nm以下で、レターデーション湿度変化率が2nm/%rh以下、より好ましくは1nm/%rh以下、さらに好ましくは0.8nm/%rh以下、特に好ましくは0.7nm/%rhh以下、脱湿速度が1%/日以下、より好ましくは0.8%/日以下、さらに好ましくは0.7%/日以下、レターデーション温度変化率が1.5nm/℃以下、より好ましくは1nm/℃、さらに好ましくは0.8nm/℃以下、特に好ましくは0.7nm/℃以下とすることができる。ここでいう脱湿速度とは円偏光板全体に含まれる水分の変化率を指す。即ち25℃60%rhで1日以上調湿した上記光学補償フィルムと偏光板をガラスに貼り付けたものの水分を測定し、この後25℃10%rhに移し1日後の含水率を測定し、その差を指す。
また、この円偏光板のレターデーションが30nm以上300nm以下で、レターデーションの湿度変化率、脱湿速度、および/またはレターデーションの温度変化率の幅方向のばらつきが40%以下、好ましくは30%以下とすることができる。これらのばらつきは上記物性を満たした上であることが望ましい。
このような円偏光板を達成する上でのポイントは本発明の光学補償フィルムを用いることと、粘着剤の厚みを10μm以上50μm以下、より好ましくは12μm以上40μm以下、さらに好ましくは15μm以上30μm以下のものを用いることにある。粘着剤の組成はアクリレート系のものが好ましい。これにより、温湿度変化で発現する光学補償フィルムの寸法変化とガラス基板の寸法変化の差で発生する応力を緩和する上に、水分の透過速度を制御し本発明の達成することを助ける。
【0077】
偏光板は偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなるが、さらに本発明の偏光板は、少なくとも一方の保護膜として、上記のポリマーフィルムを用いることができる。この場合も偏光板の透過軸と光学補償フィルムの延伸軸を45度になるように配置し、ガラス基板上に粘着剤、上記偏光膜を貼り付けることで達成できる。
通常、偏光板はMD方向に延伸した偏光膜(ヨウ素や二色性染料をポリビニルアルコール系ポリマー等のバインダーに分散させたもの)を用いるが、本発明では偏光板は長手方向(MD)に対し透過軸が45度のものが好ましい。このような偏光膜は以下のように達成される。
一方端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの保持手段の軌跡L1および偏光膜のもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの保持手段の軌跡L2と、二つの実質的な保持解除点の距離Wが、下記式(A)を満たし、かつ偏光膜の支持性を保ち、揮発分率が5%以上の状態を存在させて延伸したのち、収縮させながら揮発分率を低下させることで製造することができる。
式(A) |L2-L1|>0.4W
【0078】
図1に斜め延伸により45°に配向が傾斜した偏光膜を作製する装置の概略平面図を示す。図1において、(a)が原反偏光膜を矢印(イ)方向に導入する工程、(b)が幅方向延伸工程、(c)が延伸偏光膜を次工程に(ハ)方向に送る工程である。偏光膜は(イ)の方向から連続的に導入され、上流側から見て左側の保持手段にB1点で初めて保持される。この時点ではいま一方の偏光膜端は保持されておらず、幅方向に張力は発生しない。つまり、B1点は実質保持開始点にはあたらない。実質保持開始点は偏光膜両端が初めて保持される点で定義し、これはより下流側の保持開始点A1と、A1から導入側偏光膜の中心線21に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡23と交わる点C1の2点で示される。この点を起点とし、両端の保持手段を実質的に等速度で搬送すると、単位時間ごとにA1はA2,A3…Anと移動し、C1は同様にC2,C3…Cnに移動する。つまり同時点に基準となる保持手段が通過する点AnとCnを結ぶ直線が、その時点での延伸方向となる。図1に示すようにAnはCnに対し次第に遅れてゆくため、延伸方向は、搬送方向垂直から徐々に傾斜していく。実質保持解除点は、より上流で保持手段から離脱するCx点と、Cxから次工程へ送られる偏光膜の中心線22に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡14または24と交わる点Ayの2点で定義される。最終的な延伸方向の角度は、実質的な延伸工程の終点での左右保持手段の行程差Ay-Ax(すなわち|L1-L2|)と、実質出口幅Ay-Cx(すなわちW)の比率で決まる。ここで、延伸方向が次工程への搬送方向に対しなす傾斜角θは
tanθ=(Ay-Cx)/(Ay-Ax)
すなわち tanθ=|L1-L2| /Wで表される。 図の上側の偏光膜端は、Ay点の後も28まで保持されるが、もう一端が保持されていないため新たな幅方向延伸は発生せず、28は実質保持解除点ではない。
【0079】
以上のように、実質保持開始点とは左右各々の保持手段への単純な噛み込み点ではなく、より下流側の噛み込み点を一点とし、いま一点は左右の実質保持開始点を結ぶ直線が、保持工程に導入される偏光膜の中心線と略直交するものとして定義されるものである。同様に実質保持解除点とは、より上流側の離脱点を一点とし、いま一点は左右の実質保持解除点を結ぶ直線が、次工程に送り出される偏光膜の中心線と略直交するものとして定義されるものである。略直交とは、フィルムの中心線と左右の実質保持開始点、あるいは実質保持解除点を結ぶ直線が、90±0.5゜であることを表す。
テンター方式の延伸機を用いて左右の行程差を付けようとする場合、レール長などの機械的制約により、しばしば導入側からみて左右保持手段に初めて保持される位置、あるいは次工程側から見て左右保持手段から離脱する位置に前後差が生ずるが、上で定義する実質保持開始点、実質保持解除点間の行程が上記式(A)の関係を満たしていれば、任意の前後差を付けることができる。
上記において、得られる延伸偏光膜における配向軸の傾斜角度は、(c)工程の出口幅Wと、実質的左右保持手段の行程差|L1-L2|の比率で制御、調整することができる。偏光板、位相差膜ではしばしば長手方向に対し45゜配向した偏光膜が求められるが、45゜に近い配向角を得るためには、0.9W<|L1-L2|<1.1Wで有ることが望ましく、0.97W<|L1-L2|<1.03Wであることがさらに好ましい。
【0080】
[画像表示装置(同表示素子、パネルを含む)]
上記のポリマーフィルムからなる光学補償フィルム、または上記の円偏光板は、液晶表示装置に有利に用いられる。液晶表示装置としては、透過型、反射型、半透過型のいずれで用いても構わないが、特に反射型、半透過型が好ましい。
図2は、本発明における反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図2に示す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板(1)、反射電極(2)、下配向膜(3)、液晶層(4)、上配向膜(5)、透明電極(6)、上基板(7)、λ/4板(8)、そして偏光膜(9)からなる。
下基板(1)と反射電極(2)が反射板を構成する。下配向膜(3)、上配向膜(5)が液晶セルを構成する。λ/4板(8)は、反射板と偏光膜(9)との間の任意の位置に配置することができる。
カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を設ける。カラーフィルター層は、反射電極(2)と下配向膜(3)との間、または上配向膜(5)と透明電極(6)との間に設けることが好ましい。
図2に示す反射電極(2)の代わりに透明電極を用いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み合わせて用いる反射板としては、金属板が好ましい。反射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射されて視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表面に凹凸構造(特許275620号公報記載)を導入することが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は(表面に凹凸構造を導入する代わりに)、偏光膜の片側(セル側あるいは外側)に光拡散フイルムを取り付けてもよい。
液晶セルは特に限定されない。用いられる液晶表示モードは何を用いても構わないが、好ましくはTN(twisted nematic)型、STN(Supper Twisted Nematic)型、またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Vertically Allignment)型、ECB型(Electricaly Controlled Birefrigence)、OCB(Optically Compensatory Bend)型であることが好ましい。
【0081】
TN型液晶セルのツイスト角は、40乃至100゜であることが好ましく、50乃至90゜であることがさらに好ましく、60乃至80゜であることが最も好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.1乃至0.5μmであることが好ましく、0.2乃至0.4μmであることがさらに好ましい。
STN型液晶セルのツイスト角は、180乃至360゜であることが好ましく、220乃至270゜であることがさらに好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.3乃至1.2μmであることが好ましく、0.5乃至1.0μmであることがさらに好ましい。
HAN型液晶セルは、片方の基板上では液晶が実質的に垂直に配向しており、他方の基板上のプレチルト角が0乃至45゜であることが好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、0.1乃至1.0μmであることが好ましく、0.3乃至0.8μmであることがさらに好ましい。液晶を垂直配向させる側の基板は、反射板側の基板であってもよいし、透明電極側の基板であってもよい。
【0082】
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号および特公平7−69536号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した液晶セルが含まれる。具体的には、MVA(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845、SID99、Digest of tech. Papers(予稿集)30(1999)206および特開平11-258605号公報記載)、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14記載)、PVA(Asia Display98、Proc. of the 18th Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383記載)、Para-A(LCD/PDP International‘99で発表)、DDVA(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838記載)、EOC(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319記載)、PSHA(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081記載)、RFFMH(Asia Display98、Proc. of the 18th Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)375記載)、HMD(SID98、Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)702記載)が含まれる。その他に(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(IWD’98、Proc. of the 5th Inter. Display Workshop.(予稿集)(1998)143記載))も含まれる。
OCBモードでは棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させる配向モードの液晶セルを用いたものである。この結果自己光学補償能を有する。詳細は米国特許4583825,同5410422号に記載されている。
ECBモードでは水平に液晶を配向させていることが特徴であり、特開平5−203946号に詳細が記載されている。
反射型および半透過型液晶表示装置は、印加電圧が低い時に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示であるノーマリーブラックモードでも、用いることができる。ノーマリーホワイトモードの方が好ましい。
【0083】
[タッチパネル・有機EL表示装置への応用]
タッチパネルは、特開平5−127822号、特願2000−236797号等に記載のものに応用することができる。また、有機EL表示素子には、特開平11−305729号、同11−307250号、特開2000−267097号に記載のもの等に応用することができる。
【0084】
[本発明の測定方法]
(1)レターデーション
▲1▼光学補償フィルムのレターデーション
25℃60%rhにおいて1日調湿した後、自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて位相差測定モードで、サンプルフィルム表面に対し垂直方向から550nm波長のレターデーション値を測定した。また450nm、650nmのレターデーションも同様に測定しR450,R650とした。
▲2▼光学補償フィルムのレターデーションの湿度変化率
上記方法で光学補償フィルムを25℃60%rhで測定し、これをRe(60%)とする。このフィルムを25℃10%rhに3時間調湿した後、この雰囲気中で550nmのレターデーションを測定しRe(10%)とする。これらから下記式に従い求める。
レターデーション湿度変化率=(Re(10%)とRe(60%)の差の絶対値)/50
▲3▼光学補償フィルムのレターデーション温度変化率
光学補償フィルムを40℃60%rhで上記方法で550nmのレターデーションを測定し、これをRe(40℃)とする。このフィルムを10℃60%rhに3時間放置した後、この雰囲気中で550nmのレターデーションを測定しRe(10℃)とする。これらから下記式に従い求める。
レターデーション温度変化率=(Re(10℃)とRe(40℃)の差の絶対値)/30
▲4▼円偏光板のレターデーション
25℃10%rhの調湿時間を2週間にした後、自動複屈折計(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用いて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向から550nm波長のレターデーション値を測定した。但し測定は、装置に付いている偏光子のうち1枚を取り除き偏光板モードで測定した。
▲5▼円偏光板のレターデーション湿度変化率
上記方法で円偏光板のレターデーションを25℃60%rhで測定し、これをRe(60%)とする。このフィルムを25℃10%rhに2週間調湿した後、この雰囲気中で550nmのレターデーションを測定しRe(10%)とする。これらから下記式に従い求める。
レターデーション湿度変化率=(Re(10%)とRe(60%)の差の絶対値)/50
▲6▼円偏光板のレターデーション温度変化率
円偏光板を30℃60%rhで上記方法で550nmのレターデーションを測定し、これをRe(30℃)とする。このフィルムを10℃60%rhに3時間放置した後、この雰囲気中で550nmのレターデーションを測定しRe(10℃)とする。これらから下記式に従い求める。レターデーションの測定は上記光学補償フィルムのレターデーション
レターデーション温度変化率=(Re(10℃)とRe(30℃)の差の絶対値)/20
▲7▼光学補償フィルムのNZファクター((nx−nz)/(nx−ny))
エリプソメーター(KOBRA-21ADH/PR:王子計測器(株)製)を用い、フィルム面に対し垂直方向、40度、−40度傾斜した方向から550nmでレターデーションを測定し、各々Re(0)、Re(40)、Re(-40)を求めた。これからでまた、遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算した。
【0085】
(2)光学補償フィルムの湿度寸法変化率
25℃60%rhにおいて1日調湿した後、20cm基長のピンゲージを用いて測長し、これをL(60%)とする。このフィルムを25℃10%rhに3時間調湿した後、この雰囲気中で10%rhでの寸法を測定しL(10%)とした。これらから下記式に従い求める。
湿度寸法変化率=(L(10%)とL(60%)の差の絶対値)/50
(3)光学補償フィルムの脱湿速度
25℃60%rhにおいて1日調湿した後、下記方法で含水率を測定し、これをW(60%)とする。このフィルムを25℃10%rhに移し10分後に含水率をはかり、これをW(10%)とした。これらから下記式に従い求める。
脱湿速度=(W(10%)とW(60%)の差の絶対値)/10
※含水率の測定法(カールフィッシャー法)
サンプル(0.9m×4.5cmを2枚)を秤量する。これを直ちに磨り栓の付いたガラス瓶に入れ封入し3分以内に下記方法で測定する。
・気化器:三菱化学製VA−05型を用い、150℃にてサンプル中の水分を揮発させ水分計に導入する。
・水分計:カールフィッシャー水分計(三菱化学製CA−03型)を用い、測定する。
※含水率の計算
水分計の示した水分量(μg)をWとし、秤量したサンプル量をF(mg)とすると、含水率(%)=0.1×(W/F)
【0086】
(4)光学補償フィルムの熱膨張係数
光学補償フィルムを下記方法でTMA(Thermal Mechanical Analysis)測定する。
TNA測定:チャック間=25.4mm、昇温条件=25℃から60℃まで2℃/分で昇温、サンプル幅=3mm、張力=0.04N
これを下記式を用いて算出する。
熱膨張係数=100×(30℃と60℃の寸法差の絶対値(mm))/(25.4×30)
(5)幅方向のばらつき
光学補償フィルムまたは円偏光板全幅にわたり10等分した点で、上記(1)〜(5)の物性値をはかり、最大値と最小値の差を、10点の平均値で割り百分率であらわしたものとする。
(6)アセチル置換度
Polymer Journal 17. 1065-1069(1985)に記載の方法で13C−NMRスペクトルから測定した。
(7)ヘイズ値
ヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
【0087】
【実施例】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.光学補償フィルムの作成
(1)組成
▲1▼セルロースアシレートフイルム
下記組成のセルロースアセテートドープ(高濃度溶液)を作成した。なお、レターデーション発現剤(少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物)は、下記構造式の棒状化合物(化11)および板状化合物(化12)を用いた。(表1にはTACと記入)
【0088】
【化11】
Figure 0004074762
【0089】
【化12】
Figure 0004074762
【0090】
(イ)メチレンクロリド(MC)系
セルロースアセテート(酢化度は表1に記載) 100質量部
トリフェニルホスフェート 10.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 5.0質量部
メチレンクロリド 565.6質量部
メタノール 49.2質量部
レターデーション制御剤(Re制御剤) 表1に記載
シリカ微粒子(粒径20nm) 0.05質量部
(ロ)酢酸メチル(MA)系
セルロースアセテート(酢化度は表1に記載) 118質量部
トリフェニルホスフェート 9.19質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 4.60質量部
トリベンジルアミン 2.36質量部
酢酸メチル 530質量部
エタノール 99.4質量部
ブタノール 33.1質量部
レターデーション制御剤(Re制御剤) 表1に記載
シリカ微粒子(粒径20nm) 0.05質量部
【0091】
(2)溶解
MC系は常温溶解法、MA系は冷却溶解法を用いて溶解し、ドープを作成した。
(a)常温溶解法
溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得られた膨潤混合物を還流冷却機を有する混合タンク中で50℃において撹拌しながら溶解した。
(b)冷却溶解法
溶媒中に、よく攪拌しつつ上記の化合物を徐々に添加し、室温(25℃)にて3時間放置し膨潤させた。得られた膨潤混合物をゆっくり撹拌しながら、−8℃/分で−30℃まで冷却、その後表1記載の温度まで冷却し6時間経過した後、+8℃/分で昇温し内容物のゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の撹拌を開始した。50℃まで加温しドープを得た。
▲2▼変性ポリカーボネイト
WO 00/26705の実施例1に従い調整した。(表1には変成PCと記入)
【0092】
【表1】
Figure 0004074762
【0093】
(3)製膜
(3-1)流延
下記2方式から選択し製膜し表1に記載した。
(イ)単層製膜
上記方法により得られた溶液(ドープ)を、濾紙(安積濾紙(株)製No.244)およびネル製の濾布で濾過した後、定量ギアポンプで加圧ダイに送液し、有効長6mのバンド流延機を用いて流延した。
(ロ)積層製膜
三層共流延ダイを用い、内層から上記組成のドープを、両側に10%に溶剤量を増加し希釈したドープを、金属支持体上に同時に吐出させて重層流延した後、流延膜を支持体から剥ぎ取り、乾燥して、本発明の三層構造の積層体(内層の厚さ:各表面層の厚さ=8:1)を製造した。
(3-2)剥取り・乾燥
流延後、表1記載の残留溶剤となったところで、流延膜を支持体から剥取った。なお、残留溶剤とは、はぎとった直後のサンプルの質量(W0)と、これを140℃20分乾燥させた後のサンプル質量(W1)から、下記式に従い求める。
残留溶剤(質量%)=100×(W0−W1)/W0
この剥取り直後に表1記載の温度・時間・乾燥風速・搬送張力で乾燥する。この後、表1に記載の温度・時間で水蒸気に曝した。この後、これらの両端15cmずつトリミングし、両端に高さ50μm幅1cmのナーリング(厚みだし加工)を行い、長さ3000mの未延伸フイルムを得た。なお、ここでトリミングしたフイルム屑は粉砕した後、未使用のポリマー原料と混合し再使用される(全ポリマー中30質量%これを混合した)。
このようにして得た未延伸フィルムの破断伸度、降伏応力は表1に示した。なお、これらの値は下記の方法で測定した。
・ 25℃60%に3時間以上調湿した後、同じ温湿度でチャック間10cm、幅1cmのサンプルを10mm/分で引っ張り測定する。この時、チャックで把持される部分にはセロテープを1重巻き付け、チャック部の凹凸で引っ張り試験中に破断するのを防ぐ。
・ 3回繰り返し測定し、サンプルの破断長の平均を求め破断伸度とした。
・ 1mm〜3mm延伸したところの応力-歪み曲線の外挿線(弾性部)と、7mm〜10mm延伸したところの応力-歪み曲線の内挿線(平坦部)の交点の応力を降伏応力とした。
併せて、市販のタックフィルム(富士写真フイルム(株)製フジタッククリアー)を比較例−3として掲載した。
【0094】
(4)延伸
表2記載の条件で多段延伸を行い、光学補償フィルム(位相差フィルム)を得た。
延伸前の含水は、浸漬法あるいは水蒸気法から選択した前者は90℃の温水浸漬し、後者は120℃の水蒸気に曝し、表2記載の含水率とした。
延伸温度は表2のように幅方向で温度差を付与した。なお、多段延伸の場合は、格段全て同じ温度条件とした。
ニップロールは、全て直径30cmのものを用い、対を成すニップロールの片一方のロールを厚み10mmのゴムで被覆されているものを用いた。
【0095】
【表2】
Figure 0004074762
【0096】
(5)光学補償フィルム(位相差フィルム)の評価
このようにして得た光学補償フイルムの特性を表3に示した。
【0097】
【表3】
Figure 0004074762
【0098】
(6)円偏光板の作成
▲1▼偏光膜の作製
PVAフィルムをヨウ素2.0g/l、ヨウ化カリウム4.0g/lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、図2の形態のテンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、テンターを延伸方向に対し図2の如く屈曲させ、以降幅を一定に保った。80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱した。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、46°であった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口における実質延伸方向Ax-Cxは、次工程へ送られるフィルムの中心線22に対し45゜傾斜していた。 さらに、PVA((株)クラレ製PVA-117H)3%水溶液を接着剤としてケン化処理した富士写真フィルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm)、同様に片側ケン化処理した上記全水準の光学補償フィルムをそれぞれ上記偏光膜に接着面を向け、ロールtoロールで積層して円偏光板を得た。
このようにして得た円偏光板の特性を表4に記載した。
【0099】
【表4】
Figure 0004074762
【0100】
[TN型反射型液晶表示装置の作製]
ITO透明電極を設けたガラス基板と、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE-7992、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を行った。1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC-6252、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70゜、Δndの値が269nmのTN型液晶セルを作製した。
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、上記円偏光板(表面がAR処理された保護膜を積層した偏光膜)をそれぞれセルロースアセテートフイルム側から貼り付けた。
作製した反射型液晶表示装置に、1kHzの矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示4.5Vとして目視で評価を行ったところ、本発明では白表示においても、黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていることが確認できた。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定したところ、正面からのコントラスト比が25であり、コントラスト比10となる視野角は、本発明ではいずれも上下120゜以上、左右120゜以上であった。これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0101】
[STN型反射型液晶表示装置の作製]
ITO透明電極を設けたガラス板と、平坦なアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE-150、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を行った。6.0μmのスペーサを介して二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、60゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の隙間に、液晶(ZLI-2977、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにしてツイスト角が240゜、Δndの値が791nmのSTN型液晶セルを作製した。
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、内部拡散シート(IDS、大日本印刷(株)製)と、上記方法で作製した円偏光板を、この順序でそれぞれ粘着を介して、偏光板が最外層となるように貼り付けた。
作製した反射型液晶表示装置に、55Hzの矩形波電圧を印加した。黒表示2.0V、白表示2.5Vとして目視で評価を行ったところ、本発明では白表示においても黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレイが表示されていることが確認できた。
次に測定器(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定したところ、本発明では正面からのコントラスト比が8であり、コントラスト比3となる視野角は、上下90゜、左右105゜であった。
これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0102】
[VA型液晶表示装置]
VA型液晶表示装置は下から順に、下側ガラス基板、絶縁膜、薄膜トランジスタ、反射板、下側配向膜、液晶、上側配向膜、ITO透明電極、オーバーコート層、カラーフィルター、上側ガラス基板からなる。ITO透明電極を設けたガラス基板と、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板とを用意した。上側配向膜、下側配向膜にはそれぞれ垂直配向膜(RN783、日産化学(株)製)を用意し、ラビング処理を行った。1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、Δn=0.08、Δε=-4の液晶(メルク社製)を真空注入法により注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が45゜、Δndの値が135nmのVA型液晶セルを作製した。
ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、ガラス基板側から、上記光学補償フィルム、市販の偏光板(HLC2-5618HCS、(株)サンリッツ製)をこの順で粘着剤を介して積層した。光学補償フィルムと偏光膜を貼り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わせた。本発明の光学補償フィルムを用いたものは、全て上下視野角160度以上、左右視野角160度以上の良好な視野角を得た。
同様に、VA型液晶セルを作製し、ITO透明電極を設けたガラス基板の側に、上記円偏光板を光学補償フィルムがガラス基板側になるように、粘着剤を介して貼り付けた。上下視野角160度以上、左右視野角160度以上の良好な視野角を得た。これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0103】
[ECB型液晶表示装置]
特開平11−316378の実施例1に従い、第2透明支持体を実施例4で作製した本発明の光学補償フィルム4とした。但し、これと偏光膜を貼り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わせた。これを用いて特開平11-316378の実施例6に従いECB型液晶表示素子を作製した。本発明の光学補償フィルムを用いたものは、全て上下視野角120度以上、左右視野角115度以上の良好な視野角を得た。これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0104】
[有機ELを用いた表示装置]
本発明の光学補償フィルムを特開2000-267097号公報に従い、観察者側から順に保護タック(最表面に反射防止機能層付き)/偏光膜/光学補償フィルム/有機EL素子/反射電極の構成とした。偏光膜の透過軸と光学補償フィルムの遅相軸との角度は45°となるように配置した。目視にてその色味の評価を実施したところ、特に黒表示時における着色が少なく、それによりコントラストが高く、視認性に優れることが確認できた。これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0105】
[反透過型製品への実装]
サイバーショット(Sony社製)の液晶表示部の液晶セルの上側部分の偏光板、λ/2板、λ/4板を剥がし、ガラス基板側から、本発明の光学補償フィルム(λ/4板)、市販の偏光板(HLC2-5618HCS、(株)サンリッツ製)をこの順で粘着剤を介して積層した。光学補償フィルムと偏光膜を貼り合わせる際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わせた。実施例4、5で作製した光学補償フィルム4、5を用いたものは、全て上下視野角120度以上、左右視野角115度以上の良好な視野角を得た。これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0106】
[反射型液晶表示装置への実装]
タッチパネル付き反射型液晶表示装置(シャープ社製、ザウルス)でタッチパネル/偏光板/光学補償フィルム/液晶セルの偏光板と光学補償フィルム部分を剥がして、本発明の光学補償フィルム、市販の偏光板(HLC2-5618HCS、(株)サンリッツ製)に置き換えた。この際、偏光膜の吸収軸と光学補償フィルムの遅相軸とが45度になるように貼り合わせ、コントラストが最大となるように貼り合わせた。本発明の光学補償フィルムを用いたものはいずれも上下視野角120度以上、左右視野角115度以上の良好な視野角を得た。これらの特性は10〜40℃10%rh〜80%rhの間で全く変化が無かった。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、使用環境で色味の変化が少なく、かつ場所による色味のむらを発生せず、視野角の大きい光学補償フィルム、特に一枚型広帯域λ/4板、さらには円偏光板、およびそれを用いた反射型液晶表示装置等、およびそれらを工業規模で安定して製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏光膜を作製する装置の概略平面図である。
【図2】反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。
【符合の説明】
(イ) フィルム導入方向
(ロ) 次工程へのフィルム搬送方向
(a) フィルムを導入する工程
(b) フィルムを延伸する工程
(c) 延伸フィルムを次工程へ送る工程
A1 フィルムの保持手段への噛み込み位置とフィルム延伸の起点位置(右)
B1 フィルムの保持手段への噛み込み位置(左)
C1 フィルム延伸の起点位置(左)
Cx フィルム離脱位置とフィルム延伸の終点基準位置(左)
Ay フィルム延伸の終点基準位置(右)
|L1-L2| 左右のフィルム保持手段の行程差
W フィルムの延伸工程終端における実質幅
θ 延伸方向とフィルム進行方向のなす角
21 導入側フィルムの中央線
22 次工程に送られるフィルムの中央線
23 フィルム保持手段の軌跡(左)
24 フィルム保持手段の軌跡(右)
25 導入側フィルム
26 次工程に送られるフィルム
27、27’ 左右のフィルム保持開始(噛み込み)点
28、28’ 左右のフィルム保持手段からの離脱点
1 下基板
2 反射電極
3 下配向膜
4 液晶層
5 上配向膜
6 透明電極
7 上基板
8 λ/4板
9 偏光膜

Claims (7)

  1. セルロースアシレートと有機溶媒を含むドープを金属支持体上に流延ダイから吐出流延し、部分的に乾燥した後、剥ぎ取り乾燥して降伏応力が5kg/mm 2 以上10kg/mm 2 以下かつフィルムの破断伸度が20%以上100%以下の原反フィルムを製造した後、倍率1 . 1倍以上2倍以下に延伸することにより、波長550nmで測定したレターデーションが30nm以上300nm以下、レターデーションの湿度変化率が2nm/%rh以下、MD、TD方向のうちの少なくとも一方の湿度寸法変化率が7.5×10 -3 %/%rh以下である光学補償フィルムを製造する光学補償フィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の原反フィルムを、剥ぎ取り時の残留溶媒量が10%以上50%以下とし、剥ぎ取り後のフィルムに、100℃以上150℃以下で10分以上200分以下の熱処理乾燥を施し、該熱処理乾燥と並行してフィルム面上に1〜10m/秒の風速で送風するとともに、該フィルムの搬送張力を2 kg/ m以上20 kg/ m以下に調整することにより、請求項1に記載の光学補償フィルムを製造する光学補償フィルムの製造方法。
  3. 請求項1または2において、該原反フィルムの延伸前に、水蒸気にさらす工程を設けることにより含水率が2%以上10%以下の原反フィルムを製造する光学補償フィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかにより製造された光学補償フィルムであり、該光学補償フィルムが下記(A)〜(F)の特性を備える光学補償フィルム。
    (A)波長550nmで測定したレターデーションが30nm以上300nm以下
    (B)2nm/%rh以下であるレターデーションの湿度変化率
    (C)少なくとも一方が7.5×10 -3 %/%rh以下であるMD、TD湿度寸法変化率
    (D)0.35%/分以下である脱湿速度
    (E)1.5nm/℃以下であるレターデーションの温度変化率
    (F)少なくとも一方が3.5×10 -4 %/℃以下であるMD、TD熱膨張係数
  5. 波長550nmで測定したレターデーション値を Re 550、波長450nmで測定したレターデーション値を Re 450、および波長650nmで測定したレターデーション値を Re 650とした時に、
    0.5< Re 450/ Re 550<0.98、
    1.01< Re 650/ Re 550<1.35であり、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、1.1<(nx−nz)/(nx−ny)<3の関係を満足する請求項4に記載の光学補償フィルム。
  6. 請求項4または5に記載の光学補償フィルムを、その遅相軸が偏光膜の透過軸と実質的に45°となるように貼り合わされた円偏光板。
  7. 請求項4または5に記載の光学補償フィルム、および請求項6に記載の円偏光板、の少なくともいずれか一方を用いたことを特徴とする画像表示装置。
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